JP4231155B2 - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2種のアルデヒドとを効率よく反応させ、所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を得ることのできる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂は、合わせガラスの中間膜、接着剤、バインダー、塗料等の原料として広く使用されている。このような原料樹脂には、水媒体を用いる沈澱法で製造されたポリビニルブチラール樹脂が専ら用いられている。
【0003】
その理由は、この水媒体を用いる沈澱法が、溶液法のように溶剤の使用及びその回収の必要がなく、工業的に有利であるからである。なお、反応器としては釜状反応器が専ら使用されている。
【0004】
しかし、沈澱法では酸触媒を比較的多く(例えば、反応系に対して2〜4重量%)使用するため、この酸触媒等を除去する精製上の問題から粒子を細かく(例えば、50μm以下)する必要がある。この場合、粒子の凝集のない均一な粒子を得るために、アセタール化反応を比較的低温(例えば、0〜30℃)で行う必要がある。
【0005】
また、比較的低温で反応を行わなければ釜状反応器の内壁にスケールが付着し、長時間の運転が不可能になったり、内壁からスケールが脱落して樹脂中に混入して樹脂の品質が低下することがあり、この点からもアセタール化反応を比較的低温で行う必要がある。
【0006】
しかし、アセタール化反応を比較的低温で行う場合は、アセタール化反応の際にポリビニルアルコールのゲル化が発生し、得られる樹脂の溶融粘度や溶解粘度が高くなる。
【0007】
このような樹脂を用いて例えば中間膜を作製し、この中間膜を用いて曲率の大きい合わせガラスを製造する場合は、その溶融粘度の高さ故にガラス板の曲面に追随することが困難となり、そのためガラス板と中間膜との間に空気が残留し、品質の良好な合わせガラスを効率良く製造することができない。
【0008】
また、上記樹脂を用いて例えば接着剤やバインダーや塗料を製造する場合には、その溶解粘度の高さ故に多量の溶剤を使用しなければ塗布作業性が悪くなり、コストの安い接着剤やバインダーや塗料を製造することができない。
【0009】
上記の問題を解決するために、ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒドとをループ状反応器内へ供給し、ループ状反応器内で循環させながら部分的に反応させた後、部分反応液を釜状反応器内へ移送し、釜状反応器内で攪拌しながら反応を完結させることにより、沈澱法でポリビニルアセタール樹脂を製造する方法が知られている。
【0010】
この場合、アルデヒドとしては、1種のアルデヒドみならず、少なくとも2種のアルデヒドを混合して用いることがある。また、ループ状反応器は、1個のループ状反応器のみならず、少なくとも2個のループ状反応器を直列に連結して用いることがある(例えば、特開平4−275310号公報、特開平4−1108号公報及び特開平5−59117号公報参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このようにループ状反応器と釜状反応器とを併用することにより、溶剤溶解性が改善され、溶液粘度や溶融粘度の低下した樹脂を得ることができるとともに、樹脂粒子の凝集が防止され、しかも反応装置内壁にスケールが付着するのを防止することができる。
【0012】
しかしながら、上記提案の従来方法にあって、少なくとも2種のアルデヒドを用いて、所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を製造する場合、少なくとも2種のアルデヒドを混合し、この混合アルデヒドを最初のループ状反応器内に供給して部分的にアセタール化反応を行っている。
【0013】
このように、少なくとも2種の混合アルデヒドを用いて同時に反応させると、混合アセタール化度を所望の割合に調節することが容易ではない。また、反応速度の遅いアルデヒドが遅れて反応し、所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を得るには、反応速度の遅いアルデヒドが多量に必要となり、そのため反応終了後の未反応のアルデヒドが多くなり、その処理により多くの工数がかかり生産性が低下するという問題がある。
【0014】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、その目的とするところは、少なくとも2種のアルデヒドを用いて、所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を製造する際に、少なくとも2種のアルデヒドと効率よく反応させ、所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を容易に製造する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ポリビニルアルコール水溶液と少なくとも2種のアルデヒドとをループ状反応器内へ供給し、ループ状反応器内で循環させながら部分的に反応させた後、部分反応液を釜状反応器内へ移送し、釜状反応器内で攪拌しながら反応を完結させることにより、ポリビニルアセタール樹脂を製造する方法において、少なくとも2個のループ状反応器を直列に連結し、それぞれのループ状反応器内へそれぞれ1種のアルデヒドを供給することを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法が提供される。
【0016】
また、請求項2に記載の発明では、反応速度の異なる少なくとも2種のアルデヒドが用いられ、前段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドは、その後段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドよりも反応速度が遅いアルデヒドであることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法が提供される。
【0017】
以下、図1に示す反応装置を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に用いる反応装置の一例を示す概略説明図である。この反応装置は、攪拌翼を備えたポリビニルアルコール溶解槽10と、第1のアルデヒドタンク11と、触媒タンク12と、第1のループ状反応器(前段のループ状反応器)13と、第2のアルデヒドタンク14と、第2のループ状反応器(後段のループ状反応器)15と、攪拌翼を備えた慣用の釜状反応器16とを備えている。
【0018】
ポリビニルアルコール溶解槽10と第1のループ状反応器13とは、供給パイプ10aにより連結され、この供給パイプ10aには定量ポンプ10bが設けられている。第1のアルデヒドタンク11と第1のループ状反応器13とは、供給パイプ11aにより連結され、この供給パイプ11aには定量ポンプ11bが設けられている。
【0019】
触媒タンク12と第1のループ状反応器13とは、供給パイプ12aにより連結され、この供給パイプ12aには定量ポンプ12bが設けられている。また、第2のアルデヒドタンク14と第2のループ状反応器15とは、供給パイプ14aにより連結され、この供給パイプ14aには定量ポンプ14bが設けられている。
【0020】
そして、第1のループ状反応器13と第2のループ状反応器15とは、移送パイプ13aにより直列に連結されている。第2のループ状反応器15と釜状反応器16とは、移送パイプ15aにより連結され、この移送パイプ15aには抜き出しバルブ15cが設けられている。16aは釜状反応器16の排出パイプである。
【0021】
さらに、上記第1のループ状反応器13には循環ポンプ13bが設けられており、また上記第2のループ状反応器15には循環ポンプ15bが設けられている。なお、第1のループ状反応器13及び第2のループ状反応器15には、圧力計(図は省略)と流量計(図は省略)とがそれぞれ設けられている。また、釜状反応器16には、未反応アルデヒドが系外へ流出するのを防ぐために、還流冷却器(図は省略)が設けられている。
【0022】
このように装備された反応装置において、ポリビニルアルコール溶解槽10には、ポリビニルアルコールの水溶液が用意される。ポリビニルアルコールとしては、一般に平均重合度が200〜3500、鹸化度が90〜100モル%のポリビニルアルコールが用いられる。そして、一般に5〜12重量%の水溶液に調整される。しかしながら、これ等の範囲のみに限定されるものではない。
【0023】
第1のアルデヒドタンク11には、アルデヒド又はその水溶液が用意される。アルデヒドとしては、一般にホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等の1種のアルデヒドが用いられる。なお、上記アルデヒドには、該アルデヒドに変換し得るパラホルムアルデヒドやパラアセトアルデヒドなどのアルデヒド類も含むものとする。
【0024】
また、第2のアルデヒドタンク14には、上記のような各種アルデヒドの中から、第1のアルデヒドタンク11に用意されたアルデヒドとは異なる種類の単独アルデヒド又はその水溶液が用意される。このように、異なる種類のアルデヒドを用いることにより、得られるポリビニルアセタール樹脂の物性を適当な物性に調整することができる。
【0025】
例えば、ホルムアルデヒドのような低級アルデヒドを用いる場合は、得られるポリビニルアセタール樹脂の耐熱性などを高めることができる。また、ブチルアルデヒドのような高級アルデヒドを用いる場合は、得られるポリビニルアセタール樹脂の溶剤溶解性などを高めることができる。したがって、ホルムアルデヒドとブチルアルデヒドとを併用することにより、耐熱性や溶剤溶解性などを適当に調整することができる。
【0026】
さらに、触媒タンク12には酸触媒が用意される。酸触媒としては、塩酸、蟻酸、燐酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等が用いられる。これ等の酸触媒は、例えば、塩酸触媒の場合は、反応全系に対して一般に0.05〜1重量%含有されるか、或いは、水溶液のpHが、反応全系に対して一般に1〜2になるように調整される。しかしながら、これ等の範囲のみに限定されるものではない。なお、酸触媒はポリビニルアルコールの水溶液と混合して使用してもよく、この場合は触媒タンク12は必要でない。
【0027】
先ず、ポリビニルアルコール溶解槽10からポリビニルアルコールの水溶液が、供給ポンプ10bにより供給パイプ10aを経て第1のループ状反応器13内に一定割合で供給されるとともに、触媒タンク12から酸触媒が、供給ポンプ12bにより供給パイプ12aを経て第1のループ状反応器13内に一定割合で供給される。同時に、第1のアルデヒドタンク11から、例えばパラアセトアルデヒドのような反応速度の遅い第1のアルデヒドが、供給ポンプ11bにより供給パイプ11aを経て第1のループ状反応器13内に一定割合で供給される。
【0028】
上記第1のアルデヒドの供給量は、目的のアセタール化度を得るに必要な理論量よりも一般に5〜40重量%過剰に供給される。しかしながら、この範囲のみに限定されるものではない。供給量は変動しないように正確に制御される。ポリビニルアルコールの水溶液と酸触媒と第1のアルデヒド又はその水溶液とは、それぞれ第1のループ状反応器13の合流点を通って混合され、その混合液は循環ポンプ13bにより第1のループ状反応器13内を循環する。この第1のループ状反応器13内でポリビニルアルコールの水溶液と第1のアルデヒドとが部分反応する。反応温度は、一般に10〜90℃とされる。また、この時のアセタール化度は、一般に10〜60モル%とされる。しかしながら、これ等の範囲のみに限定されるものではない。
【0029】
ポリビニルアルコール水溶液と酸触媒と第1のアルデヒド又はその水溶液とを第1のループ状反応器13内を循環させるとともに、これ等の原料の供給に見合う量の部分反応液が、移送パイブ13aを経て第2のループ状反応器13内に一定割合で移送される。それと同時に、第2のアルデヒドタンク14から、例えばブチルアルデヒドのような反応速度の早い第2のアルデヒドが、供給ポンプ14bにより供給パイプ14aを経て第2のループ状反応器15内に一定割合で供給される。
【0030】
上記第2のアルデヒドの供給量は、目的のアセタール化度を得るに必要な理論量よりも一般に5〜40重量%過剰に供給される。しかしながら、この範囲のみに限定されるものではない。供給量は変動しないように正確に制御される。第2のアルデヒドは、第2のループ状反応器15の合流点を通って、第2のループ状反応器15内へ移送されてきた部分反応液と混合され、その混合液は循環ポンプ15bにより第2のループ状反応器15内を循環する。この第2のループ状反応器15内で上記部分反応液と第2のアルデヒドとがさらに部分的に反応する。反応温度は、一般に0〜90℃とされる。この時の混合アセタール化度は、一般に70モル%以下とされる。しかしながら、これ等の範囲のみに限定されるものではない。
【0031】
こうして、ポリビニルアルコールの水溶液と第1のアルデヒド及び第2のアルデヒドとが部分的に反応して、最終の部分反応液が得られる。そして、第2のループ状反応器15内へ移送されてきた部分反応液と第2のアルデヒドの供給に見合う量の最終の部分反応液が、抜出しバルブ15cを操作することにより釜状反応器16内へ移送される。釜状反応器16内において、最終の部分反応液を攪拌しながら、一般に20〜90℃で2〜5時間程度反応、熟成させて反応を完結される。しかしながら、これ等の範囲のみに限定されるものではない。その後、冷却され、排出パイプ16aから排出され、常法によりアルカリを加えて中和され、水洗、乾燥されて、粉末状或いは顆粒状の所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂が製造される。
【0032】
得られるポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、用途により異なるが、一般に最終の全アセタール化度で60〜80モル%とされる。しかしながら、この範囲のみに限定されるものではない。ここで、部分反応におけるアセタール化度及び反応が完結した後のアセタール化度は、例えば、部分反応液又は反応完結後の反応液(スラリー液)を常法によりアルカリで中和、水洗、乾燥して得られる反応物を用い、この反応物の10〜20重量%ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)溶液を作製し、共鳴種として同位元素13Cを用いる13C核磁気共鳴スペクトル法で測定することができる。
【0033】
(作用)
上述のように、第1のアルデヒドタンク11と第2のアルデヒドタンク14とに、それぞれ異なる種類のアルデヒドを用意して、所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を製造すると、異なる種類のアルデヒドを効率よく反応させ、所望の混合アセタール化度を得るのが容易となり、物性のバランスがとれたポリビニルアセタール樹脂を製造することができる。
【0034】
特に、前段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドは、その後段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドよりも反応速度が遅いアルデヒドを用いると、反応速度の遅いアルデヒドが先に効率よく反応するので、このアルデヒドの使用量が比較的少量ですみ、そのため反応終了後の未反応のアルデヒドが少なくなり、その処理により多くの工数をかけずにすみ生産性が向上する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例及び比較例を示す。
(実施例1)
この実施例では図1に示す反応装置を用いた。
ポリビニルアルコール溶解槽10は、容積100リットルのステンレス製であり、第1のアルデヒドタンク11及び第2のアルデヒドタンク14は、いずれも容積6リットルのステンレス製である。触媒タンク12は、容積20リットルのポリエチレン製である。また、第1のループ状反応器13及び第2のループ状反応器15は、いずれも口径40mmの内面ガラスライニング配管で形成され、その容量はいずれも5リットルである。釜状反応器16は、容積100リットルの内面ガラスライニング材からなる。なお、移送パイプ13a、15aは内面ガラスライニング配管で形成されている。
【0036】
先ず、ポリビニルアルコール溶解槽10に純水60kgを入れ、これに平均重合度2000、鹸化度98.5モル%のポリビニルアルコール5.2kgを投入して分散させた後、これを90℃に昇温してポリビニルアルコールを完全に溶解した後、60℃まで冷却保持した。また、触媒タンク12には、酸触媒として濃度35%の塩酸700gを投入した。また、第1のアルデヒドタンク11には、パラアセトアルデヒド1280gを投入し、第2のアルデヒドタンク14には、ブチルアルデヒド1370gを投入した。
【0037】
第1のループ状反応器13及び第2のループ状反応器15内には、循環ポンプによる始動を円滑に行うために、いずれも純水を充満させ、これを60℃に加熱保持し循環ポンプ13b及び循環ポンプ15bを運転して循環させた。その後、供給ポンプ10b、供給ポンプ11b及び供給ポンプ12bを運転して、ポリビニルアルコールの水溶液、パラアセトアルデヒド、酸触媒を第1のループ状反応器13内に供給するとともに、供給ポンプ14bを運転して、ブチルアルデヒドを第2のループ状反応器15内に供給した。
【0038】
ポリビニルアルコールの水溶液、パラアセトアルデヒド、酸触媒及びブチルアルデヒドの供給速度は、各原料が52分で供給終了するように、供給ポンプ10b、供給ポンプ11b及び供給ポンプ12bを調整した。なお、第1のループ状反応器13内及び第2のループ状反応器15内における反応温度は60℃に調節した。
【0039】
第1のループ状反応器13及び第2のループ状反応器15内への原料供給開始と同時に、抜出しバルブ15cで圧力計が4kg/cm2 となるように各ループ状反応器内の圧力を調節し、攪拌中の釜状反応器16内へ部分反応液を移送した。次に、各原料の供給終了を確認後、各ループ状反応器内に60℃の純水を10リットル流して各ループ状反応器内の反応を終了させた。
【0040】
釜状反応器16内へ移送した部分反応液は、60℃で6時間反応、熟成させて反応を完結させた後冷却した。その後、排出パイプ16aより排出させ、常法によりアルカリを加えて中和し、水洗、乾燥して、白色粉末状のポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂について、核磁気共鳴スペクトル法によりアセタール化度を求めたところ、アセトアセタール化度は39.0モル%、ブチラール化度は32.5モル%であった。
【0041】
この実施例において、使用したパラアセトアルデヒドは、使用したポリビニルアルコール100重量部に対して24.6重量部となり、また使用したブチルアルデヒドは、使用したポリビニルアルコール100重量部に対して26.3重量部となる。
【0042】
(比較例1)
実施例1において、第2のアルデヒドタンク14を使用せずに、第1のアルデヒドタンク11にパラアセトアルデヒド1280gとブチルアルデヒド1370gとの混合アルデヒドを投入し、ポリビニルアルコールの水溶液、混合アルデヒド及び酸触媒の供給速度は、各原料が52分で供給終了するように、供給ポンプ10b、供給ポンプ11b及び供給ポンプ12bを調整した。それ以外は実施例1と同様に行って、白色粉末状のポリビニルアセタール樹脂を得た。
【0043】
得られたポリビニルアセタール樹脂について、核磁気共鳴スペクトル法によりアセタール化度を求めたところ、アセトアセタール化度は22.5モル%、ブチラール化度は33.0モル%であり、実施例1と同量のパラアセトアルデヒド及びブチルアルデヒドを使用しても、実施例1と比べて特にアセトアセタール化度が低く、所望の混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂は得られなかった。
【0044】
(比較例2)
比較例1において、パラアセトアルデヒド1280gを1530gに増量した。それ以外は比較例1と同様に行って、白色粉末状のポリビニルアセタール樹脂を得た。
【0045】
得られたポリビニルアセタール樹脂について、核磁気共鳴スペクトル法によりアセタール化度を求めたところ、アセトアセタール化度は29.1モル%、ブチラール化度は32.8モル%であり、実施例1に比べてパラアセトアルデヒドの使用量を増やすことにより、比較例1よりはアセトアセタール化度の高い混合アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂が得られた。
【0046】
しかし、この場合は、実施例1に比べてパラアセトアルデヒドの使用量が多く、そのため実施例1に比べて、その処理により多くの工数がかかり生産性が低下した。
【0047】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、異なる種類のアルデヒドを効率よく反応させ、所望の混合アセタール化度を得るのが容易となり、物性のバランスがとれたポリビニルアセタール樹脂を製造することができる。
【0048】
特に、前段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドは、その後段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドよりも反応速度が遅いアルデヒドを用いると、反応速度の遅いアルデヒドが先に効率よく反応するので、このアルデヒドの使用量が比較的少量ですみ、そのため反応終了後の未反応のアルデヒドが少なくなり、その処理により多くの工数をかけずにすみ生産性が向上する。
【0049】
したがって、本発明の製造方法により得られるポリビニルアセタール樹脂は、曲率の大きい合わせガラスを製造する場合でも、溶融粘度の低下によりガラス板と中間膜との間に空気が残留することが防止され、品質の良好な合わせガラスを効率良く製造することができる。また、比較的少量の溶剤を使用して塗布作業性が良好で且つコストの安い接着剤や塗料を製造することができる。本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、以上のような利点をもっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる反応装置の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
10 ポリビニルアルコール溶解槽
11 第1のアルデヒドタンク
12 触媒タンク
13 第1のループ状反応器
14 第2のアルデヒドタンク
15 第2のループ状反応器
16 釜状反応器
Claims (1)
- ポリビニルアルコール水溶液と少なくとも2種のアルデヒドとをループ状反応器内へ供給し、ループ状反応器内で循環させながら部分的に反応させた後、部分反応液を釜状反応器内へ移送し、釜状反応器内で攪拌しながら反応を完結させることにより、ポリビニルアセタール樹脂を製造する方法において、少なくとも2個のループ状反応器を直列に連結し、それぞれのループ状反応器内へそれぞれ異なる種類のアルデヒドを供給するポリビニルアセタール樹脂の製造方法であって、
反応速度の異なる少なくとも2種のアルデヒドを用い、前段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドは、その後段のループ状反応器内へ供給されるアルデヒドよりも反応速度が遅いアルデヒドであることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
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