JP4231147B2 - 内視鏡用光源装置及びその調光方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影対象の照明光を内視鏡に供給する内視鏡用光源装置に関し、特に、内視鏡に供給する照明光の光量の調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、撮影対象の照明光を内視鏡に供給する内視鏡用光源装置(以下、「光源装置」という)が知られている。図7は、従来における光源装置1の一つを示す構成図である。図7において、光源装置1は、光源2と絞り装置3とを有している。光源2から発せられた照明光は、絞り装置3によって光量を調整された後、内視鏡(電子スコープ)4に供給される。その後、照明光は、電子スコープ4の先端部から出射されることによって撮影対象を照明し、この際における撮影対象が、電子スコープ4の先端部に設けられた固体撮像素子(CCD)5によって撮影される。すると、CCD5の出力信号が、光源装置1の信号処理回路6aに入力され、信号処理回路6a,6bがCCD5の出力信号に基づく画像信号を生成する。そして、モニタ9が画像信号に基づく画像を表示する。
一方、信号処理回路6aは、CCD5の各画素の輝度信号をピーク値検波回路7に入力する。ピーク値検波回路7は、各画素の輝度信号のうち、最も高い輝度を持つ輝度信号(最大値:ピーク値)を抽出し、絞り制御回路8に入力する。絞り制御回路8は、ピーク値を参照値(適正な輝度)と比較し、その結果をもって絞り装置3の動作を制御する。即ち、絞り制御装置8は、ピーク値が参照値より大きい場合には、電子スコープ4に供給される照明光の光量が低下するように絞り装置3を動作させ、ピーク値が参照値より小さい場合には、電子スコープ4に供給される照明光の光量が増加するように絞り装置3を動作させる。このようなフィードバックループによって、画像の最も明るい領域の輝度が参照値と同じ値になるように、電子スコープ4から出射される照明光の光量が調整されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示した光源装置1には以下の問題があった。即ち、図7に示した光源装置1は、参照値と比較する値をピーク値とするので、モニタ9に表示される画像は、ピーク値の輝度を検出した画素に対応する領域が適正な明るさとなる。ところが、ピーク値の輝度を検出した画素と他の画素の検出した輝度との差が大きい場合に、ピーク値の輝度を基準として画像全体の明るさを調整すると、他の画素に対応する領域の明るさが必要以上に抑えられてしまい、当該領域が暗くなってしまうことがあった。特に、ピーク値の輝度を持つ画素が少ない場合には、画像全体が暗いものとなってしまうことがあった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、内視鏡に供給される照明光の光量を従来に比べて適正に調整することができ、明るさの適正な画像を得ることができる内視鏡用光源装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した問題を解決するために以下の構成を採用する。すなわち、請求項1の発明は、撮影対象の照明光を内視鏡に供給する内視鏡用光源装置である。この内視鏡用光源装置は、前記内視鏡によって撮影された被写体の画像における各画素の輝度データを、所定数の階調の何れかに振り分け、各階調に属する輝度データの個数をヒストグラムデータとして求めるヒストグラム作成部と、前記ヒストグラム作成部によって得られたヒストグラムデータに基づいて、最高階調から下位へ向けて各階調に属する輝度データの個数を累計し、この累計値が所定値に至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定する比較値特定部と、前記比較値特定部によって特定された比較値とこの比較値に属する各画素が検出すべき輝度を示す参照値とを対比する比較部と、前記比較値が前記参照値を上回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を低下させ、前記比較値が前記参照値を下回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を増加させる光量調整部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によると、比較値を持つ画素の輝度が参照値と等しい輝度となるように各画素の輝度(明るさ)が調整される。即ち、比較値を持つ画素の輝度を基準として他の画素の輝度が決定される。ここで、比較値は最高階調よりも低い階調であるので、比較値が下がるように光量を調整した際に内視鏡に供給される光量の下げ幅が従来に比べて小さくなり、他の画素の輝度の下げ幅が従来よりも小さくなる。従って、画像を全体的に明るく表示することができる。
請求項2の発明は、請求項1記載の比較値特定部が、内視鏡用光源装置に接続されている内視鏡の種類に応じて前記所定値を決定することで特定したものである。このようにすれば、内視鏡の種類に応じた明るさの画像を自動的に得ることができる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1記載の比較値特定部が、外部からの入力信号に従って前記所定値を決定することで特定したものである。このようにすれば、内視鏡用光源装置の操作者の好みに応じた明るさの画像を得ることができる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1記載の比較部が、外部からの入力信号に従って前記比較値と対比すべき参照値を決定することで特定したものである。このようにしても、操作者の好みに応じた明るさの画像を得ることができる。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1記載の比較値特定部が、前記被写体の画像における全画素数に対して前記累計値が所定の比率をなすに至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定することで特定したものである。
【0010】
請求項6の発明は、撮影対象の照明光を内視鏡に供給する内視鏡用光源装置の調光方法であって、前記内視鏡によって撮影された被写体の画像における各画素の輝度データを、所定数の階調の何れかに振り分け、各階調に属する輝度データの個数をヒストグラムデータとして求める第1のステップと、前記第1のステップによって得られたヒストグラムデータに基づいて、最高階調から下位へ向けて各階調に属する輝度データの個数を累計し、この累計値が所定値に至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定する第2のステップと、前記第2のステップによって特定された比較値とこの比較値に属する各画素が検出すべき輝度を示す参照値とを対比する第3のステップと、前記比較値が前記参照値を上回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を低下させ、前記比較値が前記参照値を下回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を増加させる第4のステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6記載の調光方法が、内視鏡用光源装置に接続されている内視鏡の種類に応じて前記所定値を決定するステップをさらに含むことで特定したものである。
【0012】
請求項8の発明は、請求項6記載の調光方法が、外部からの入力信号に従って前記所定値を決定するステップをさらに含むことで特定したものである。
【0013】
請求項9の発明は、請求項6記載の調光方法が、外部からの入力信号に従って前記比較値と対比すべき参照値を決定するステップをさらに含むことで特定したものである。
【0014】
請求項10の発明は、請求項6記載の第2のステップでは、前記被写体の画像における全画素数に対して前記累計値が所定の比率をなすに至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定することで特定したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、本発明の実施形態による内視鏡システムの構成図である。図1において、内視鏡システムは、電子スコープ10と、電子スコープ10と接続された内視鏡用光源装置兼ビデオプロセッサ(以下、「光源装置」という)20と、光源装置20に接続されたテレビモニタ30とからなる。
【0016】
電子スコープ10は、撮影対象を撮影するためのカラーCCD11をその先端部に有しており、カラーCCD11の出力信号は、信号線12を介して光源装置20に入力される。また、電子スコープ10は、光源装置20から供給される照明光を伝達するためのライトガイドファイババンドル(以下、「LCB」という)13を有している。光源装置20から供給される光は、LCB13を通じて電子スコープ10の先端部まで伝達され、この先端部に配置されたLCB13の出射端面から出射され、撮影対象を照明する。
【0017】
光源装置20は、電子スコープ10に供給すべき照明光を発する光源2と、光源2から発せられた照明光の光量を調整する絞り装置3と有している。絞り装置3によって調整された照明光(図1に示す光束LF参照)は、コンデンサレンズ14によって収束され、光源装置20内に配置されたLCB13の入射端面に入射される。
【0018】
また、光源装置20は、上記した信号線12に接続された信号処理回路21と、信号処理回路21に接続された信号処理回路22及びヒストグラム処理回路23と、ヒストグラム処理回路23に接続されたCPU(中央処理装置)24と、CPU24に接続されたキーボード25及び操作パネル26と、絞り制御回路27と、モータ28とを有している。そして、CPU24は、上記した絞り制御回路27と接続されている。
【0019】
信号処理回路21は、カラーCCD11の出力信号を信号線12から受け取り、この出力信号から二つの色差信号(R−Y信号及びB−Y信号)と輝度信号(Y信号)とを生成した後、各信号をアナログ・ディジタル変換し、信号処理回路22へ向けて出力する。
【0020】
信号処理回路22は、信号処理回路21から入力された二つの色差信号及び輝度信号からビデオ信号を生成し、モニタ30に向けて出力する。これによって、モニタ30には、ビデオ信号に基づく撮影対象の画像が表示される。
【0021】
ヒストグラム処理回路23は、信号処理回路21から輝度信号(1画面分の映像信号における内視鏡像部分をなす全画素の輝度)を受け取り、これらの輝度信号についてヒストグラム処理を施す。即ち、ヒストグラム処理回路23は、各輝度信号の輝度(各画素の輝度)を0〜255の何れかの階調に分類し、各階調に属する輝度信号の個数(画素数:以下「度数」と称する)を計数する。これによって、横軸を輝度(0〜255)とし、縦軸を度数(画素数)とするヒストグラムのデータが作成される(図2参照)。そして、ヒストグラム処理回路23は、作成したヒストグラムデータを図示せぬメモリに保持する。
【0022】
CPU24は、図示せぬメモリに記憶されたプログラムやその実行に際して使用されるデータに従って、光源装置20の各部を制御する。例えば、CPU24は、ヒストグラム処理回路23からヒストグラムデータを読み出し、このヒストグラムデータに基づいて参照値と比較すべき値(「比較値」と称する)を算出する。
【0023】
このとき、CPU24は、図2に示したヒストグラムにおいて、輝度の最大値(最高階調:255)から下位(最小値側)へ向かって各階調に属する度数を累計した場合に、その度数の累計値が全度数のv2(v2>0)%に達した際における階調の輝度を比較値として算出する。この比較値算出処理を含め、CPU24による処理は後述する。
【0024】
CPU24は、算出された比較値に基づいて絞り装置3の制御信号を生成し、絞り制御回路27に入力する。絞り制御回路27は、CPU24から入力された制御信号に従って、制御信号に応じた動力を、モータ28から絞り装置3に供給する。これによって、絞り装置3は、電子スコープ10へ供給される光量を、制御信号に応じた量となるように調整する。
【0025】
キーボード25は、パソコンのキーボードとほぼ同じものであり、データ入力用のキー群を有している。また、操作パネル26は、光源装置20の操作用スイッチやツマミを複数個有している。
〔光源装置のCPUによる処理〕
次に、図1に示した光源装置20のCPU24による処理を説明する。図3は、CPU24による処理を示すフローチャートであり、図4は、図3に示したキーボード処理(S2)を示すフローチャートであり、図5は、図3に示した絞り制御処理(S5)を示すフローチャートであり、図6は、図3に示した内視鏡関連処理(S6)を示すフローチャートである。
【0026】
CPU24は、光源装置20の電源投入によって起動し、最初に所定の初期設定(例えば、自己チェック)を実行する(S1)。初期設定が終了すると、CPU24は、キーボード処理(図4に示すサブルーチン)を実行する(S2)。即ち、図4に示すように、CPU24は、何れのキーも打鍵されない場合(S201;NO)には、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0027】
一方、何れかのキーが打鍵された場合(S201;YES)には、CPU24は、現在図示せぬメモリに保持されている変数v1が“1”か否かを判定する(S202)。ここに、変数v1は、CPU24がキーボード処理において通常処理(v1=0)と比較値設定処理(v1=1)とを区別するためのフラグである。
【0028】
このとき、変数v1が“1”でない場合(v1=0である場合:S202;NO)には、CPU24は、比較値設定処理を行わないものとし、打鍵されたキーが第1ファンクションキー(F1キー)か否かを判定する(S203)。ここで、打鍵されたキーがF1キーである場合(S203;YES)には、CPU24は、変数v1を“1”に設定し(S204)、処理を図3のメインルーチンに戻す。これに対し、打鍵されたキーがF1キーでない場合(S203;NO)には、CPU24は、打鍵されたキーと対応する処理を実行し(S205)、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0029】
一方、変数v1が“1”である場合(S202;YES)には、CPU24は、打鍵されたキーが数字“1”キーであるか否かを判定し(S206)、数字“1”キーである場合(S206;YES)には、CPU24は、図示せぬメモリに保持されている変数v2を“5[%]”に設定するとともに、図示せぬメモリに保持されている変数v3を“1”に設定し(S207)、その後、変数v1を“0”に設定し(S214)、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0030】
ここに、変数v2は、上述した“v2[%]”を示す値であり、変数v3は、電子スコープのタイプに依る自動設定(v3=0)と内視鏡操作者による手動設定(v3=1)との何れを優先して比較値の設定条件とするかを決定するためのフラグである。
【0031】
これに対し、打鍵されたキーが数字“1”キーでない場合(S206;NO)には、CPU24は、打鍵されたキーが数字“2”キーであるか否かを判定し(S208)、数字“2”キーである場合(S208;YES)には、CPU24は、変数v2を“10[%]”に設定するとともに変数v3を“1”に設定し(S209)、その後、変数v1を“0”に設定し(S214)、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0032】
これに対し、打鍵されたキーが数字“2”キーでない場合(S208;NO)には、CPU24は、打鍵されたキーが数字“3”キーであるか否かを判定し(S210)、数字“3”キーである場合(S210;YES)には、CPU24は、変数v2を“20[%]”に設定するとともに変数v3を“1”に設定し(S211)、その後、変数v1を“0”に設定し(S214)、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0033】
これに対し、打鍵されたキーが数字“3”キーでない場合(S210;NO)には、CPU24は、打鍵されたキーが数字“0”キーであるか否かを判定し(S212)、数字“0”キーである場合(S212;YES)には、CPU24は、変数v3を“0”に設定し(S213)、その後、変数v1を“0”に設定し(S214)、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0034】
キーボード処理が終了すると、図3に示すように、CPU24は、操作パネル処理を実行する(S3)。即ち、操作パネル26は、予め用意された幾つかの参照値の何れかを選択するためのスイッチ(図示せず)を有しており、電子スコープ10の操作者が何れかのスイッチを投入することで参照値を選択可能となっている。
【0035】
CPU24は、操作者によって、好みの表示画像の明るさに応じて投入されたスイッチを特定し、特定したスイッチに応じた参照値(操作者によって選択された参照値)を記憶する。これによって、CPU24は、自身が算出した比較値と当該参照値とを用いて、絞り装置3の制御信号を絞り制御回路27に与える。
【0036】
操作パネル処理が終了すると、CPU24は、光源関連処理を実行する(S4)。即ち、CPU24は、光源2を構成するランプに異常が生じていないか等、光源2の動作チェックを行う。
【0037】
光源関連処理が終了すると、CPU24は、絞り制御処理(図5に示すサブルーチン)を実行する(S5)。即ち、CPU24は、ヒストグラム処理回路23にヒストグラムデータが保持されているか否かを判定する(S501)。このとき、電子スコープ10が光源装置20に接続されていないこと等に因って、ヒストグラム処理回路23がヒストグラムデータを保持していない場合(S501;NO)には、絞り制御処理が終了し、処理が図3に示すメインルーチンへ戻る。
【0038】
これに対し、ヒストグラム処理回路23がヒストグラムデータを保持している場合(S501;YES)には、ヒストグラムデータを読み出し、配列S1[256]として図示せぬメモリに書き込む(S502)。ここに、ヒストグラムデータと配列S1[256]との対応は以下の通りである。
【0039】
階調0の度数(画素数) :S1[0]と対応
階調1の度数(画素数) :S1[1]と対応
・ ・
・ ・
階調255の度数(画素数):S1[255]と対応
続いて、以下の(式1)によって変数Srの値を求め、変数S2を“0”に設定し、変数pを“256”に設定する(S503)。
【0040】
Sr=(S0×v2)/100 ・・・(式1)
ここに、変数S0は、全度数(全画素数)を示す値であり、変数Srは、全度数のv2%の場合における度数の個数を示す値であり、変数S2は、輝度の各階調に属する度数(画素数)を累積的に算出するための値であり、変数pは、最終的に求めるべき比較値となる値である。
【0041】
続いて、CPU24は、現在の変数pの値を1減算するとともに、変数S2の値を以下の(式2)によって求める(S504)。
【0042】
S2=S2+S1[p] ・・・(式2)
最初にS504が実行される時には、変数pの値は“255”となり、変数S2の値はS1[255]の値となる。
【0043】
続いて、CPU24は、変数S2が変数Sr以上となったか否かを判定する(S505)。このとき、変数S2が変数Sr未満である場合(S505;NO)には、CPU24は、変数S2が変数Sr以上となったと判定される(S505;YES)までS504及びS505の処理を繰り返し行う。
【0044】
これによって、最高階調(S1[255])の度数を起算点とし、ここから下位の階調へ向けて各階調に属する度数が累算される。そして、累算された度数が全度数のv2%以上となると、S505にてYESの判定がなされ、この際における変数pの値が、求めるべき比較値pとなる。以上説明したS502〜S505の処理が上述した比較値算出処理である。
【0045】
その後、CPU24は、比較値pと所定の参照値(操作パネル処理(S3)にて選択された参照値)とを比較し(S506)、比較値pが参照値の許容値外か否かを判定する(S507)。
【0046】
このとき、比較値pが参照値の許容値内である場合(S507;NO)には、処理が図3に示すメインルーチンに戻る。従って、絞り装置3の状態が維持され、映像信号の各画素の輝度が維持される。これに対し、比較値pが参照値の許容値外である場合(S507;YES)には、絞り制御回路27は、比較値pが参照値を上回っているか否かを判定する(S508)。
【0047】
そして、比較値pが参照値を上回っている場合(S508;YES)には、絞り制御回路27は、絞り装置3が閉じる方向(光束LFを絞る方向)に動作するための制御信号(パルス)をモータ28に与え(S509)、その後、処理が図3に示すメインルーチンへ戻る。S509の処理によって、モータ28が制御信号に従って駆動し、絞り装置3が光束LFを絞り、電子スコープ10に供給される照明光の光量を低下させる。
【0048】
一方、比較値pが参照値を上回っていない場合(S508;NO)には、絞り制御回路27は、絞り装置3が開く方向に動作するための制御信号(パルス)をモータ28に与える(S510)。その後、処理が図3に示すメインルーチンに戻る。S510の処理によって、モータ28が制御信号に従って駆動し、絞り装置3が開く方向(光束LFの遮光状態を解除する方向)に動作し、電子スコープ10に供給される照明光の光量を増加させる。このように、比較値pとなる輝度を持つ画素を基準とし、この画素の輝度が参照値に近づくように、電子スコープ10に供給される光量が調整される。
【0049】
絞り制御処理が終了すると、CPU24は、内視鏡関連処理(図6に示すサブルーチン)を実行する(S6)。即ち、本実施形態による光源装置20は、タイプA〜Cの3種類の電子スコープ10を接続可能となっており、何れかのタイプの電子スコープ10が光源装置20に接続されると、その接続された電子スコープ10を示す信号が発せられる。CPU24は、図6のS601において、この信号を検出しており且つ当該信号が前回のS601にて検出した信号と同じであるか否かを判定する。そして、前回のS601では信号を検出していなかったが今回のS601では信号を検出することができた場合,又は、前回のS601にて検出した信号とは異なる信号を今回のS601にて検出した場合には、今回検出した信号と対応する電子スコープ10の名称をモニタ30に表示させる(S602)。
【0050】
続いて、CPU24は、現在の変数v3の値がv3=0かを判定し(S603)、v3=0でない場合(v3=1の場合;S603;NO)には、処理を図3のメインルーチンへ戻す。これに対し、v3=0の場合(S603;YES)には、今回のS601にて検出した信号がタイプAの電子スコープ10を示す信号かを判定し(S604)、そうである場合(S604;YES)には、変数v2を“5[%]”に設定し(S605)、処理を図3のメインルーチンへ戻す。
【0051】
これに対し、S601にて検出された信号がタイプAを示すものでない場合(S604;NO)には、CPU24は、当該信号がタイプBの電子スコープを示す信号かを判定し(S606)、そうである場合(S606;YES)には、変数v2を“10[%]”に設定し(S607)、処理を図3のメインルーチンへ戻す。
【0052】
これに対し、S601にて検出された信号がタイプBを示すものでない場合(S606;NO)には、CPU24は、当該信号がタイプCの電子スコープを示す信号か否かを判定し(S608)、そうである場合(S608;YES)には、変数v2を“20[%]”に設定し(S609)、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0053】
一方、今回のS601にて信号を検出することができなかった場合,又は、前回のS601にて検出した信号と同じ信号を今回のS601にて再度検出した場合(S601;NO)には、CPU24は、前回のS601にて信号を検出していたが今回のS601では信号を検出できなかったか否かを、チェックする(S601)。そして、前回のS601にて信号を検出していたが今回のS601では信号を検出できなかった場合(S610;YES)には、光源装置20から電子スコープ10が外されたと判定し(S610;YES)、モニタ30から電子スコープ10の名称を消去させ(S611)、処理を図3のメインルーチンへ戻す。これに対して、今回のS601でも前回のS601でも共に信号が検出できなかった場合,又は、今回のS601でも前回のS601でも共に同じ信号を検出した場合には(S610;NO)、そのまま、処理を図3のメインルーチンに戻す。
【0054】
内視鏡関連処理が終了すると、CPU24は、他の処理を実行し(S7)、他の処理が終了すると、処理をS2に戻す。
【0055】
なお、本実施形態による光源装置20では、電源投入時における変数v1及びv3の値は“0”となっている。このため、変数v2は、一巡目のキーボード処理(S2)では設定されず、内視鏡関連処理(S6)にて光源装置20に電子スコープ10が接続されている場合にのみ、その電子スコープ10のタイプに応じて設定される。その後、光源装置20の操作者が、キーボード処理のS201にてF1キーを押せば(S203)、次のキーボード処理にて変数v2の値を好みに応じて変更することができる。
【0056】
また、本実施形態では、キーボード処理にて選択可能な変数v2の数は3つであったが、用意される変数v2の数は増減可能である。また、内視鏡関連処理にて設定される変数v2の数も、電子スコープ10のタイプの数に応じて増減可能である。また、キーボード処理にて用意されている変数v2の数と、内視鏡関連処理にて用意されている変数v2の数とは異なっていても良く、両処理の間で設定されるv2の値は同じでなくても良い。
〔内視鏡システムの動作例〕
次に、図1に示した内視鏡システムの動作例を説明する。内視鏡システムを用いて撮影対象(例えば、人の体腔内)を撮影する場合には、上述したように、操作者が光源装置20に電子スコープ10を接続し、光源装置20の電源を投入する。すると、図3に示したS1〜S7の処理が実行され、光源装置20の各部のチェックが行われるとともに、参照値や変数v2が設定される。
【0057】
その後、光源2のランプを発光させると、光源2から照明光(光束LF)が発せられる。この照明光は、絞り装置3によって光量が調整され、コンデンサレンズ14にて収束され、LCB13の入射端面に入射される。
【0058】
LCB13の入射端面に入射された照明光は、電子スコープ10の先端部に設けられたLCB13の出射端面から撮影対象に向けて照射され、撮影対象を照明する。カラーCCD11は、照明された撮影対象を撮影し、その出力信号は、信号線12を通じて信号処理回路21に入力される。すると、各信号処理回路21,22が撮影対象のビデオ信号を生成し、このビデオ信号に基づく画像をモニタ30が表示する。
【0059】
一方、信号処理回路21は、映像信号における内視鏡像部分をなす全画素の輝度信号を、ヒストグラム処理回路23に入力する。その後、操作者が、電子スコープ10の先端部を体腔内に挿入して撮影位置に配置する。ヒストグラム処理回路23は、信号処理回路21から受け取った輝度信号に基づいて、上記したヒストグラムデータを生成し保持する。続いて、CPU24が、ヒストグラム処理回路23からヒストグラムデータを読み出し、図5に示したS502〜S505の処理を実行することによって、変数v2に応じた比較値pを算出する。
【0060】
すると、CPU24が、図5に示したS506〜S510の処理を実行し、参照値と比較値pとの比較結果に基づく制御信号を絞り制御回路27に与える。このとき、比較値pが参照値の許容値を上回っている場合には、モニタ30に表示される画像の明るい部分が白く飛ぶおそれがある。そこで、CPU24は、絞り装置3を閉じる方向に動作させるための制御信号を生成し、絞り制御回路27に与える。これに対し、比較値pが参照値の許容値を下回っている場合には、モニタ30に表示される画像の暗い部分が黒くつぶれるおそれがある。そこで、CPU24は、絞り装置3を開く方向に動作させるための制御信号を生成し、絞り制御回路27に与える。
【0061】
そして、絞り制御回路27が、制御信号に応じてモータ28を駆動し、絞り装置3を開閉させる。これによって、絞り装置3による光束LFの絞り量が変化し、LCB3の入射端面に入射される照明光の光量が増減する。このような絞り装置3のフィードバック制御が継続して実行され、最終的には、CPU24によって算出される比較値pが、参照値の許容値内となる。すると、モニタ30には白く飛んだ部分や黒くつぶれた部分がなく、且つ全体的に明るい画像が表示される。
〔実施形態の作用〕
本実施形態による光源装置20によると、最高階調の輝度(最大値)よりもやや低い階調の比較値pを算出し、この比較値pが参照値とほぼ同じになるように、絞り装置3をフィードバック制御する。即ち、比較値pを基準として画像全体の明るさが決定される。
【0062】
このため、従来のように、最大値を持つ画素の輝度を基準として他の画素の輝度が決定されることによって、他の画素に対応する領域の明るさが必要以上に抑えられることがない。このため、当該領域が暗くなったり、黒くつぶれたりすることを防止できる。従って、モニタ30には、白く飛んだ部分がなく、且つ全体として明るい画像が表示される。これによって、画像が従来に比べて観察し易いものとなるので、操作者(観察者)の疲労を軽減できるとともに、表示された画像から適正な判断を下すことが容易となる。
【0063】
また、比較値pを算出するための変数v2が、内視鏡関連処理(図6参照)によって、電子スコープ10のタイプに応じて設定されるので、操作者の手間が省けるとともに、電子スコープ10のタイプに応じた明るさの画像をモニタ30に表示することができる。
【0064】
さらに、変数v2は、キーボード処理(図4参照)において、操作者によって設定可能となっているので、モニタ30に表示される画像の明るさを操作者(観察者)の好みに応じて設定することができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明による内視鏡用光源装置によれば、内視鏡に供給される照明光の光量を従来に比べて適正に調整することができるので、明るさのより適正な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による内視鏡システムの構成図
【図2】図1に示したヒストグラム処理回路によって得られるヒストグラムを示す図
【図3】図1に示したCPUによる処理を示すフローチャート
【図4】図3に示したキーボード処理を示すフローチャート
【図5】図3に示した絞り制御処理を示すフローチャート
【図6】図3に示した内視鏡関連処理を示すフローチャート
【図7】従来の内視鏡用光源装置の説明図
【符号の説明】
3 絞り装置(光量調整部)
10 電子スコープ(内視鏡)
20 内視鏡用光源装置兼ビデオプロセッサ(内視鏡用光源装置)
23 ヒストグラム処理回路(ヒストグラム作成部)
24 CPU(比較値特定部,比較部)
27 絞り制御回路
Claims (10)
- 撮影対象の照明光を内視鏡に供給する内視鏡用光源装置において、
前記内視鏡によって撮影された被写体の画像における各画素の輝度データを、所定数の階調の何れかに振り分け、各階調に属する輝度データの個数をヒストグラムデータとして求めるヒストグラム作成部と、
前記ヒストグラム作成部によって得られたヒストグラムデータに基づいて、最高階調から下位へ向けて各階調に属する輝度データの個数を累計し、この累計値が所定値に至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定する比較値特定部と、
前記比較値特定部によって特定された比較値とこの比較値に属する各画素が検出すべき輝度を示す参照値とを対比する比較部と、
前記比較値が前記参照値を上回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を低下させ、前記比較値が前記参照値を下回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を増加させる光量調整部と
を備えたことを特徴とする内視鏡用光源装置。 - 前記比較値特定部は、内視鏡用光源装置に接続されている内視鏡の種類に応じて前記所定値を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の内視鏡用光源装置。 - 前記比較値特定部は、外部からの入力信号に従って前記所定値を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の内視鏡用光源装置。 - 前記比較部は、外部からの入力信号に従って前記比較値と対比すべき参照値を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の内視鏡用光源装置。 - 前記比較値特定部は、前記被写体の画像における全画素数に対して前記累計値が所定の比率をなすに至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定する
ことを特徴とする請求項1記載の内視鏡用光源装置。 - 撮影対象の照明光を内視鏡に供給する内視鏡用光源装置の調光方法であって、
前記内視鏡によって撮影された被写体の画像における各画素の輝度データを、所定数の階調の何れかに振り分け、各階調に属する輝度データの個数をヒストグラムデータとして求める第1のステップと、
前記第1のステップによって得られたヒストグラムデータに基づいて、最高階調から下位へ向けて各階調に属する輝度データの個数を累計し、この累計値が所定値に至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定する第2のステップと、
前記第2のステップによって特定された比較値とこの比較値に属する各画素が検出すべき輝度を示す参照値とを対比する第3のステップと、
前記比較値が前記参照値を上回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を低下させ、前記比較値が前記参照値を下回っている場合に前記内視鏡に供給される照明光の光量を増加させる第4のステップと
を含むことを特徴とする内視鏡用光源装置の調光方法。 - 内視鏡用光源装置に接続されている内視鏡の種類に応じて前記所定値を決定するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項6記載の内視鏡用光源装置の調光方法。 - 外部からの入力信号に従って前記所定値を決定するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項6記載の内視鏡用光源装置の調光方法。 - 外部からの入力信号に従って前記比較値と対比すべき参照値を決定するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項6記載の内視鏡用光源装置の調光方法。 - 前記第2のステップでは、前記被写体の画像における全画素数に対して前記累計値が所定の比率をなすに至った際における最高階調以外の階調の輝度を比較値として特定する
ことを特徴とする請求項6記載の内視鏡用光源装置の調光方法。
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