JP4230398B2 - 熱水を利用した排ガス減温装置及び排ガス減温方法 - Google Patents

熱水を利用した排ガス減温装置及び排ガス減温方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱水を利用した排ガス減温システムの改良に関するものであり、排ガスの減温をより安定した状態下で効率よく行えるようにした熱水を利用した排ガス減温装置と排ガス減温方法に関するものである。
一般にごみ焼却炉やごみ溶融炉、ボイラ燃焼装置等から排出された燃焼排ガスは、所定の温度にまで減温されたあとガス浄化装置により清浄化され、大気中へ放散されて行く。
而して、前記排ガスの減温システムとしては、所謂一流体方式(加圧水)や二流体方式(圧縮流体+加圧水)と呼ばれる常温水を排ガス内へ噴霧する方式が、これ迄多く利用されて来た。ところが近年、大気圧下での水の沸点よりも高い温度の加圧熱水を排ガス内へ噴霧するようにした排ガス減温システムが新たに開発され、実用化の段階に近付いて来ている。
図7は、本願出願人が先きに開発をして実用化を進めている熱水を利用した排ガス減温システムの基本構成を示すものであり、図7において、1はガス冷却室、1aは排ガス入口、1bは排ガス出口、1cは灰出口、1dは気密保持装置、2は熱水タンク、3は加圧ポンプ、4は減温水ノズル、5は温度制御装置、5aは出口側の排ガス温度検出器、5bは入口側の排ガス温度検出器、6は減温水量制御弁、Ghは高温排ガス、Glは低温排ガス、Sは加熱蒸気、Wtは熱水、Chは灰である。
高温排ガスGhの減温に際しては、熱水タンク2内の熱水Wtが、熱水タンク2内の内圧及び又は減温水加圧ポンプ3の加圧送水力によって減温水ノズル4へ送られ、減温水ノズル4から高温排ガスGh内へ噴霧される。減温水ノズル4から噴霧された熱水Wtは、大気圧下における沸点(100℃)よりも相当に高い温度の高圧水であるため、減温水ノズル4の噴出口の出口近傍で急激に減圧沸騰し、減温水ノズル4から噴霧された加圧熱水は、粒子径が約数10μm〜数μmの微細粒子になると共に、瞬時に蒸発して水蒸気となり、ガス冷却室1内の高温排ガスGhとの熱交換によりこれを冷却する。また、所定の温度にまで冷却された低温排ガスGlは排ガス出口1bを通して外部へ誘引され、更に、分離された排ガス内の灰(ダスト等)Chは、灰出口1cより外部へ排出されて行く。
上記図7の排ガス減温システムは、(a)減温水として加圧熱水を用いているため、噴霧された熱水は、減温水ノズルの噴出口の近傍に於いて急激に減圧沸騰をし、粒径が数μm程度の微粒子状の噴霧体となると共に、瞬時に蒸発をして水蒸気となる。これにより、噴霧された熱水が水滴のままで直接にガス冷却室の壁面へ衝突・付着することが皆無となり、水滴の付着に起因するガス冷却室壁面の損傷やダストの堆積によるトラブルが完全に防止されること、(b)噴霧された熱水が瞬時に蒸発されることにより噴霧水の冷却性能が大幅に向上し、ガス冷却室の大幅な小形化が可能となること、(C)熱水タンクの加圧力が充分である場合には、減温水加圧ポンプが必要でなくなり、設備が極めて簡素に構成できるうえ、ランニングコストの大幅な引下げが可能になること、(d)焼却炉やボイラ設備に脱気器が付属されている場合には、脱気器の熱水をそのまま利用することができ、減温水設備としては減温水ノズルと脱気器からの配管設備のみがあれば良く、排ガス減温設備を極めて安価に構成することができること、等の優れた効用を奏するものであり、高い実用的効用を有している。
しかし、当該排ガス減温システムにも未だ解決すべき多くの課題が残されており、実用化試験の積み重ねと共にその問題点が明らかになって来た。
第1の問題点は、排ガス減温システムのスタート時や低量噴霧時に於ける減温用熱水の圧力の保持の点である。
即ち、熱水タンク2内の熱水Wtは、通常加熱蒸気Sを熱源とする熱交換器により加熱・加圧されている。しかし、システムのスタート時や熱水の低量噴霧から大量噴霧への切換時には、熱水Wtの供給に時間遅れを生ずることになり、結果として熱水Wtの噴霧圧力を所望値に保持することが困難となり、排ガス減温が不安定になると云う問題がある。
第2の問題は、熱水Wtの昇温時に於ける水膨張(配管等の内圧上昇)の問題である。蒸気式熱交換器により熱水Wtを加熱・加圧する場合、例えば常温水を130℃以上に昇温させるとその昇温過程で水膨張が発生し、機器類や配管路の内圧が上昇する。その結果、配管路等に損傷を生ずる虞れが高まり、安全性の確保等の点でも様々な問題が起生することになる。
第3の問題は、熱水Wtの噴霧を停止した際の減温水による減温塔内壁面の漏れ及びこれに起因するダスト付着の点である。即ち、熱水Wtを減温水ノズル4から一流体方式により噴霧している途中で熱水Wtの供給を停止させると、ノズル4の通路内における熱水Wtの圧力が低下して噴霧状態が極端に悪化する。その結果、熱水Wtが微粒化されずにそのまま流出し、減温塔内壁面を漏らすことによりダスト付着による排ガス通路の閉塞等の問題が生ずることになる。
第4の問題は、熱水Wtの供給系のウォーターハンマーの問題である。緊急時に熱水の噴霧を停止するために減温水量調整弁6や緊急遮断弁(図示省略)等を急閉鎖すると、減温水加圧ポンプ3の迅速停止にも拘わらず熱水配管内の圧力が上昇し、管路の破損等を生ずる虞れが増加する。
第5の問題は、熱水噴霧量の調整の問題である。従前の排ガス減温システムでは、定格噴霧流量の大きな減温水ノズルを使用すると共に、減温水量制御弁6の開度調整により熱水噴霧量を調整し、これによって定格噴霧熱水量の30〜100%程度の範囲に亘って熱水噴霧量を調整するようにしている。しかし、減温水ノズル4のターンダウン比が小さいために、熱水流量の減少に伴って噴霧粒径の増加等の不都合が大きくなってくる。
そのため、減温水ノズル4としては小流量容量のものを複数個、しかも排ガス流れ方向に2〜5段に分けて設け、それ等を適宜に切換作動させることにより熱水噴霧量を制御するのが、最適の方法であることが判っている。しかしこれを実現するためには、その前提として、前記第3の問題点の場合と同様に減温水ノズル4の作動の切換時に於ける熱水Wtによる内壁面の漏れを有効に防止することが必要となってくる。
特開2000−274654号 特開2001−314725号
本発明は、従前の熱水を利用した排ガス減温システムにおける上述の如き問題、即ち(1)排ガス減温装置のスタート時や低量熱水噴霧から大量熱水噴霧への切換時に熱水温度・圧力の上昇に時間遅れが生じ、排ガス減温が不安定になること、(2)熱水Wtの昇温時や熱水供給の緊急遮断時等に機器・管路等の内圧が上昇し、損傷を生じ易いこと、(3)熱水Wtの噴霧停止時にノズル内部の熱水圧力が下降し、熱水Wtがそのまま流出して減温塔内壁面が漏れることによりダストの付着が発生すること、(4)熱水噴霧量を減温水量制御弁(熱水供給量制御弁)のみで調整しているため、減温水量の制御範囲が60〜100%を越えると減温水ノズル4から熱水の噴霧状態が極端に悪化し、様々な問題が起生すること、及び(5)適宜容量の減温水ノズル4を複数個設置し、これ等の作動の切換えによって噴霧量を制御する場合には、前記減温塔内壁面の漏れに起因する各種の問題が生ずること等の問題を解決せんとするものであり、常に所定温度・圧力の熱水Wtを噴霧することが出来ると共に、適宜容量の減温水ノズルを複数個設けてそれ等の作動を切換制御することにより、ダスト付着に起因するトラブルを生ずることなしに減温水量(熱水量)の制御範囲を拡大することができ、常に最適状態の熱水噴霧を行えるようにした、熱水を利用した排ガス減温装置とこれを用いた排ガス減温方法を提供するものである。
請求項1の発明は、大気圧下での水の沸点よりも高い温度加圧熱水を貯留する熱水タンクと、熱水タンクからの熱水をガス冷却室又はガスダクト内へ噴霧する減温水ノズルと、熱水タンクからの熱水を減温水ノズルへ供給する減温水加圧ポンプと、減温水ノズルへ供給する熱水量を調整する減温水量制御弁と、減温後の低温排ガスの温度に基づいて減温水量制御弁を開閉制御する排ガス温度制御装置とを備えた熱水を利用した排ガス減温装置において、前記減温水量制御弁6の入口側の管路へ分岐状に接続されてその出口側を熱水タンク2の減温水入口側へ接続した圧力逃し弁13と、減温水量制御弁6の入口側の熱水Wtの検出圧力に基づいて前記圧力逃し弁13を開閉制御する熱水圧力制御装置12とから成る循環圧力制御機構Aと高温排ガスGhの流れ方向に沿って所定間隔を置いて配設した複数の減温水ノズル4a、4b・・と、前記減温水量制御弁6の出口側と各減温水ノズル4a、4b・・との間に介設した複数の遮断弁19、20・・と、前記各遮断弁19、20・・の出口側に分岐状に接続した開閉弁21、22・・と、前記各開閉弁21、22・・から排出した熱水Wtを貯留するブロータンク23と、前記遮断弁19、20・・の入口側の管路の熱水Wtの検出圧力に基づいて各遮断弁19、20・・の開・閉並びに各開閉弁21、22・・の閉・開を制御する減温水ノズルの作動制御装置18とから成る減温水ノズルの作動切換制御機構Bとを設けたことを発明の基本構成とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、熱水タンク2を、熱水の加熱源として低圧蒸気だめ7からの加熱蒸気Sを用いる蒸気式熱交換器8を備えたものとしたものである。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、熱水タンク2を、脱気器からの熱水又はボイラ給水若しくはボイラからの連続ブロー水を受け入れられる熱水タンクとしたものである。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、熱水タンク2を、蒸気式熱交換器8への加熱蒸気Sの供給管路に介設した蒸気流量制御弁11と、熱水タンク2から圧送した熱水Wtの検出温度に基づいて蒸気流量制御弁11を開閉制御する熱水温度制御装置10とから成る熱水温度制御機構Cを備えた構成としたものである。
請求項5の発明は、請求項1の発明において、熱水タンク2と減温水量制御弁6との間を連結する熱水Wtの供給管路にアキュームレータ17を設ける構成としたものである。
請求項6の発明は、請求項1の発明において、減温水ノズルの作動切換制御機構Bを、遮断弁の閉鎖と同時に又は閉鎖より僅かに早くに、前記遮断弁に接続された開閉弁を開放する構成としたものである。
請求項7の発明は、大気圧下での水の沸点よりも高い温度の加圧熱水を減温水としてガス冷却室又はガスダクト内へ噴霧するようにした熱水を利用した排ガス減温方法に於いて、熱水Wtを噴霧する複数個の減温水ノズル4a、4b・・を高温排ガスGhの流れ方向に所定の間隔をおいて配設すると共に、各減温水ノズル4a、4b・・の入口側に遮断弁19、20・・を、また前記各遮断弁19、20・・の出口側に分岐状に各開閉弁21、22・・を夫々設け、各遮断弁19、20・・へ流入する熱水Wtの検出圧力に基づいて減温水ノズル作動制御装置18により前記各遮断弁19、20・・の開・閉並びに各開閉弁21、22・・の閉・開を制御することにより、複数の減温水ノズルの作動を適宜に切換えるようにしたことを特徴とする発明の基本構成とするものである。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、遮断弁の閉鎖と同時に又は遮断弁の閉鎖より僅かに早くに開閉弁を開放し、減温水ノズルの内部に残留する熱水を開閉弁を通して外部へ排出させるようにしたものである。
請求項9の発明は、請求項7の発明において、遮断弁の入口側の管路の熱水圧力が一定時間に亘って低圧側の設定値Lより低下すると複数の減温水ノズルの中の少なくとも1個の減温水ノズルの遮断弁を閉に及び開閉弁を開にし、また、前記熱水圧力が一定時間に亘って高圧側の設定値Hより上昇すると、複数の減温水ノズルの全部の遮断弁を開に及び開閉弁を閉にするようにしたものである。
本発明では、複数の減温ノズル4a、4b・・を設けると共に、各減温ノズル4a、4b・・の入口側に遮断弁19・20・・と、当該遮断弁の入口側に分岐状に開閉弁20・21・・を設け、遮断弁の入口側の熱水圧力に基づいて減温水ノズル作動制御装置18により作動させる前記減温水ノズルの数を切換えると共に、作動を停止させる減温水ノズルの開閉弁を開放して、減温水ノズルの内部の熱水を冷却室外へ排出させる構成としている。
これにより、急激な冷却負荷の変動に対しても迅速に対応することができ、減温水の定格噴霧量の10〜100%範囲に亘って、噴霧粒径の悪化(大型化)を招くことなしに高精度な噴霧量制御を行うことが出来ると共に、作動を停止させた減温水ノズルから粒径の大きな減温水が放出され、冷却室の壁面が減温水によって漏れることにより起生する様々なトラブルが、完全に防止されることになる。
また、本発明では、熱水圧力制御装置12及び圧力逃し弁13等から成る循環圧力制御機構Aを設けているため、運転開始時や低量熱水噴霧時に於いても、熱水の温度圧力の低下を防止することが出来ると共に、各管路内の熱水の温度・圧力を必要な値に保持並びに均一化することができ、結果として良好な状態の噴霧を安定して行うことが出来る。
更に、本発明においては、熱水タンク2の蒸気式熱交換器8に熱水温度制御装置10と蒸気流量制御弁11等から成る熱水温度制御機構Cを設けているため、熱水の温度・圧力が常に設定値に保持されることになり、安定且つ良好な熱水噴霧が可能となる。
加えて、本発明においては、熱水タンク圧力制御装置14及び自動開閉弁15を熱水タンク2に備えているため、常温水Woの加熱昇温時に万一水膨張が発生しても、自動開閉弁15の作動により管路や機器内の過度な圧力上昇が防止されることになる。
同様に、本発明に於いては、減温水量制御弁6の入口側管路にアキュームレータ17を設けているため、万一遮断弁19・20・・や減温水量制御弁6が急閉鎖されたとしても、所謂ウォーターハンマによる衝撃エネルギーはアキュームレータ17に吸収されることになり、管路や機器類に対する悪循環が殆ど生じない。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る熱水を利用した排ガス減温装置及び排ガス減温方法に関する基礎データを得るために用いた試験装置の全体系統図であり、当該試験装置そのものは、本発明に係る排ガス減温装置とその構成を基本的に同一にするものである。
図1に於いて、1はガス冷却塔(ガス冷却室)、2は熱水タンク、3は減温水(熱水)加圧ポンプ、4は減温水ノズル、5は減温後の排ガス温度制御装置、6は減温水量制御弁、7は低圧蒸気だめ、8は蒸気式熱交換器、9は復水タンク、10は熱水温度制御装置、11は加熱蒸気流量制御弁、12は熱水循環圧力制御装置、13は圧力逃がし弁、24は減温水槽、25は減温水供給ポンプである。尚、先行技術を示す図7と同一の部位・部材には、これと同じ参照番号が使用されている。
図1の実験装置に於いては、熱水の加熱源として蒸気式熱交換器8が使用されており、低圧蒸気だめ(0.49MP・220℃)7より加熱蒸気Sを蒸気流量制御弁11を通して熱交換器8へ供給することにより、熱水(120℃〜155℃、1.1MPa〜2.0MPa)Wtが製造されている。
[試験例1]
全連続式都市ごみ焼却施設(55ton/日)を実稼動させ、その高温燃焼排ガスGhを排ガス冷却塔1へ導入して、ここで排ガスの減温試験を行った。試験条件は表1の通りである。
Figure 0004230398
排ガス冷却塔1は内径約20,000mmに設定されており、設計蒸発位置Lo(冷却塔の最上方位置)、Loより1000mm下方位置L1及び2000mm下方位置L2に於いて、冷却塔中心から半径方向の各点における排ガス温度を測定した。
図2乃至図4は、上記位置Lo、L2、L2位置における排ガス冷却塔1の中心から半径方向に亘る排ガス温度を示すものであり、減温条件は、噴霧熱水温度140℃、噴霧熱水量800kg/h、噴霧熱水圧力1.5MPa、入口排ガス量16000m3 N/h、入口排ガス水分濃度16.1%−wet、入口排ガス温度270℃、出口排ガス量17000m3 N/h、出口排ガス水分濃度21.0%−wet、出口排ガス温度180℃及び蒸発時間3.9secであった。
上記表1及び図2乃至図4からも明らかなように、減温水(熱水)温度140℃・圧力1.5MPaの熱水Wtを800kg/hの割合で一流体方式により噴霧することにより、温度270℃、流量16000m3 N/hの高温排ガスGhを約180℃に安定して連続的に減温できることが、図1に示した試験装置により確認された。
尚、当該実験装置に用いた排ガス等の条件は、後記する図6に示した本発明の実施形態へもそのまま適用されているものである。
図5は、上記図1の試験装置で使用した減温水ノズル4における熱水Wtの流通状態を模式的に示したものであり、ノズルチップNa内へ供給された加圧熱水Wtは、ノズル孔Nb内での急減圧に伴う気泡4cの生成を過程経て、噴霧後は瞬時に流分裂をして微粒化することになる。即ち、液相流、気泡流、液分裂の過程を経て所謂噴霧状態となる。
上記基礎試験の結果から、複数の減温水ノズルの作動切換に際しては、噴霧作動を停止させる減温水ノズル4のノズルチップNa内及びこれに連通する通路内の減温水量を可能な限り短時間内に減量させ、低圧状態になった減温水(熱水)Wtが連続的にノズルチップNa内へ流れ込まないようにすることが、減温水の噴霧粒径の増大を押えて減温水による排ガス冷却塔内壁面の漏れを防止する上で、必須の要件となることが確認された。
図6は、図1の試験装置を用いた試験結果より創案された本発明に係る排ガス減温システムの実施形態を示すものであり、上向流の高温排ガスGh内へ2個の減温水ノズル4a、4bから減温水(熱水)Wtを噴霧する構成とした場合を示すものである。即ち、図6に於いて、1は排ガス冷却塔、2は熱水タンク、3は減温水加圧ポンプ、4は減温水噴霧ノズル、5は排ガス温度制御装置、6は減温水量制御弁、7は低圧蒸気だめ、8は蒸気式熱交換器、9は復水タンク、10は熱水温度制御装置、11は加熱蒸気流量制御弁、12は熱水圧力制御装置、13は圧力逃し弁、14は熱水タンク圧力制御装置、15は自動開閉弁、16は減温水流量検出装置、17はアキュームレータ、18は減温水ノズルの作動制御装置、18aは噴霧熱水の圧力検出器、19は第1遮断弁、20は第2遮断弁、21は第1開閉弁、22は第2開閉弁、23はブロータンク、24は減温水槽、25は減温水供給ポンプ、26は制御弁、27は薬注装置、28は管路である。
尚、上記図6に於いて、熱水タンク圧力制御装置14、アキュームレータ17、減温水ノズルの作動制御装置18、第1・第2遮断弁20、21、第1・第2開閉弁21、21及び第1・第2減温水ノズル4a、4bの部分を除いてその他の部分の構成は、図1に示した実験装置の場合の構成と略同一である。
また、図6においてAは循環圧力制御機構であり、熱水圧力検出器12a、熱水圧力制御装置12、圧力逃し弁13及び循環路28等から当該循環圧力制御機構Aが構成されている。
更に、図6においてBは減温水ノズルの作動切換制御機構であり、後述するように遮断弁19・20、開閉弁21・22、噴霧熱水圧力検出器18a及び減温水ノズル作動制御装置18等から当該減温水作動切換制御機構Bが構成されている。
加えて、図6においてCは熱水温度制御機構であり、熱水温度検出器10a、熱水温度制御装置10及び加熱蒸気流量制御弁11等から当該熱水温度制御機構Cが構成されている。
図6を参照して、減温水槽24から熱水タンク2内へ供給された水Wo(水W又はアルカリ性薬剤の注入された水)は、蒸気式熱交換器8を介して所定の温度・圧力にまで加熱・加圧され、減温水加圧ポンプ3により減温水量制御弁6、第1遮断弁19及び第2遮断弁20、第1減温水ノズル4a及び第2減温水ノズル4bを経て、排ガス冷却塔1内の高温排ガスGh内へ噴霧される。
前記減温水加圧ポンプ3からの減温水(熱水)Wtの圧力は、熱水循環圧力制御装置12により設定値に保持されており、熱水圧力が高圧側の設定値(2.0MPa)を超えた場合には、圧力逃し弁13が開放され、循環路28を介して熱水タンク2内へ熱水Wtがリターンされる。
同様に、減温水(熱水)Wtの温度は熱水温度制御装置10により設定値に保持されており、熱水温度が高温側の設定値(155℃)を超えた場合には蒸気流量制御弁11が閉鎖され、低圧蒸気だめ7から蒸気式熱交換器8への加熱蒸気S(0.49MPa、220℃)の流入が停止される。
具体的には、前記熱水循環圧力制御装置12により、圧力逃し弁13は圧力2.0MPa以上(全開)、圧力1.1MPa以下(全閉)及び圧力2.0〜1.1MPa(1.4MPaP1D制御)の状態におかれ、減温水量制御弁6の入口側の熱水圧力は略1.4MPaに保持されることになる。
同様に、前記熱水温度制御装置10により加熱蒸気流量制御弁11は温度155℃以上(全閉)、温度120℃以下(全開)及び温度155℃〜170℃(135℃P1D制御)の状態におかれ、減温水量制御弁6の入口側の熱水温度は略135℃に保持されることになる。
尚、ボイラの連続ブロー水やボイラ給水を減温水(熱水)として利用する場合に於いても、前記熱水循環圧力制御及び循環熱水温度制御が適用可能なことは勿論である。
前記熱水タンク圧力制御装置14は、熱水タンク2内の水側の圧力を制御しており、所謂水膨張により熱水タンク内の水側圧力が所定値を超えると、自動開閉弁15を開放し、加圧熱水Wtをブロータンク23内へ排出する。
具体的には、熱水タンク2内の熱水水圧が1.05MPaを超える状態が5Sec以上継続されると、上限警報を発すると共に自動開閉弁15を直ちに開放する。また、熱水水圧が0.95MPa以下の状態が20Sec継続すると下限警報を発すると共に、1秒経過後に自動開閉弁15が閉鎖される。
前記減温水量制御弁6は、排ガス温度制御器5によりその開度が制御されており、排ガス冷却塔1の出口側の低温排ガスGlの温度を設定値に保持するように、制御弁6の開度が調整されると共に、減温水量が流量検出装置16により検出されている。
具体的には、前記低温排ガスGlの温度を180℃に保持するように、減温水量制御弁6の開度制御が行われている。
排ガス冷却塔(冷却室)の下方部には、第1減温水ノズル4a及び第2減温水ノズル4bが前者を上方位置に後者を下方位置にして夫々配置されている。尚、使用しているノズル4a、4bの型式は、従前の所謂一流体噴霧型ノズルである。
また、前記両減温水ノズル4a、4bへは、第1遮断弁19及び第2遮断弁20を通して減温水量制御弁6の出口側から減温水(熱水)が供給されている。
更に、前記両減温水ノズル4a、4bの熱水入口側には第1開閉弁21及び第2開閉弁22が分岐状に接続されており、各第1、第2開閉弁21、22を開放することにより、熱水(Wt)が前記ブロータンク23へ排出される構成となっている。
前記両遮断弁19、20及び両開閉弁21、22の開閉は、減温水量制御弁6の出口側に設けた減温水ノズルの作動制御装置18により制御されており、噴霧熱水圧力が高圧側の設定値Hp以上の場合には両減温水ノズル4a、4bから夫々熱水Wtの噴霧が行われ、また、噴霧熱水圧力が低圧側の設定値(HL)以下の場合には、上方に位置する第1減温水ノズル4aのみが作動される構成となっている。
より具体的には、噴霧熱水Wtの圧力が1.5MPa(Hp状態)を超える状態が15sec以上継続した場合には上限警報が発せられると共に、上限警報の発信から10sec以内に第2減温水ノズル4bが作動状態に置かれる(第2遮断弁20が開、第2開閉弁が閉)。
また、噴霧熱水Wtの圧力が0.3MPa(HL状態)以下の状態が25秒以上継続した場合には、下限警報が発せられると共に下限警報の発信から20秒後に第2減温水ノズル4bが非作動状態(第2遮断弁20が閉、第2開閉弁が開)におかれる。
尚、上記減温水ノズル作動制御装置18による両遮断弁19、20及び両開閉弁21、22の自動開閉制御は、手動操作によって両遮断弁19、20が強制閉鎖(熱水噴霧の停止状態)の状態に置かれているときには、非作動の状態におかれることは勿論である。
また、前記第1及び第2遮断弁19、20を閉鎖する場合には、減温水ノズル作動制御装置18によりに、両遮断弁19、20の閉鎖のタイミングに合わせて自動的に両開閉弁21、22が開放され、両減温水ノズル4a、4bの内部の熱水Wtがブロータンク23内へ排出される。
同様に、第2遮断弁20のみを閉鎖する場合には、減温水ノズル作動制御装置18により自動的に、前記第2開閉弁22のみが開放され、第2減温水ノズル4bの内部の熱水Wtがブロータンク23内へ排出される。
前記遮断弁19、20の閉鎖と開閉弁21、22の開放との間のタイミングは、減温水ノズル作動制御装置18を介して自動的に取るようにしてもよいが、手動操作によってタイミングを任意に調整(例えば、先きに開閉弁21、22を全開しておいてから、若干遅れて遮断弁19、20を閉鎖する)することも可能である。
また、図6の実施形態では、減温水ノズル4を2個としているが、これを3〜5個とすることも可能である。
更に、図6の実施形態では減温水ノズル4を2個とし、熱水噴霧圧力の低下時(熱水噴霧量が少なくてよいとき)には下方に位置する第2減温水ノズル4bを非作動の状態にするようにしているが、上方に位置する第1減温水ノズル4aを非作動状態にして、下方に位置する第2減温水ノズル4bを作動状態とするようにしてもよい。
前記図6の実施形態に於いては、一流体噴霧型式の減温水ノズル4を使用するようにしているが、これに替えて二流体噴霧型式のノズルを使用することも可能なことは勿論である。
前記減温水量制御弁6の一次側には、衝撃吸収用アキュームレータ17が設けられており、熱水管路系の衝撃圧力の吸収が行われる。例えば、130℃・1.0MPa以上の加圧熱水を一流体噴霧型式のノズルを用いて噴霧している際に、熱水量制御弁6を急全閉したり、両遮断弁19、20を急閉鎖したような場合には、減温水加圧ポンプ3による熱水加圧を急激に停止することが出来ないこともあいまって配管内圧が上昇し(具体的には2.0MPaを超える場合がある)、熱水加圧ポンプ3やその他の計装機器への圧力負荷が上昇するが、当該アキュームレータ17を設けることにより、これ等の衝撃圧力が有効に吸収されることになる。
また、上記図6の実施形態では、熱水Wtの加熱源として蒸気式熱交換器8を使用しているが、加熱源は如何なるものであってもよく、例えば、減温水(熱水)Wtとしてボイラーの連続ブロー水やボイラ給水、脱気器からの熱水を利用することも可能であることは勿論である。
更に、図6の実施形態では、排ガス冷却塔1の下方より高温排ガスGhを流入させると共に、排ガス冷却塔1の下方に減温水ノズル4a、4bを配置するようにしているが、高温排ガスGhを上方から下方へ向う下向流とすると共に、減温水ノズル4a、4bを排ガス冷却塔1の上方に設けるようにしてもよい。
図6の実施形態では、排ガス冷却塔1を用いる場合について説明しているが、減温水ノズル4の取付場所は排ガスダクト等であってもよく、排ガス内へ有効に熱水Wtを噴霧できる対象であれば、その形態は如何なるものであっても良い。
前記図6の実施形態及び図1の基礎実験では、ごみ焼却炉からの燃焼排ガス(冷却入口ガス温度220〜290℃)を対象としているが、灰溶融炉等からの高温燃焼排ガス(入口ガス温度400℃〜900℃)を180℃〜200℃に冷却する場合にも、本願発明を適用できることは勿論である。
本発明は、主として都市ごみ焼却炉や灰溶融炉、ボイラ装置を含む各種燃焼装置等からの燃焼排ガスの冷却に用いられるものである。
本発明に係る排ガス減温システムの基本データを得るために用いた試験装置の全体系統図である。 図1の試験に用いた排ガス冷却塔の高さLo位置に於ける半径方向の排ガス温度分布を示すものである。 排ガス冷却塔の高さL1位置に於ける半径方向の排ガス温度分布を示すものである。 排ガス冷却塔の高さL2位置に於ける半径方向の排ガス温度分布を示すものである。 図1の試験に於ける減温水ノズル4内の減温水(熱水)Wtの流動状態を示す説明図である。 本発明に係る排ガス減温システムの実施形態の一例を示すものである。 従前の熱水を用いた排ガス減温システムの一例を示すものである。
符号の説明
Wは上水、Woは供給水、Wtは熱水、Sは加熱蒸気、Aは循環圧力制御機構、Bは減温水ノズルの作動切換制御機構、Cは熱水温度制御機構、Lpは低温側の噴霧熱水圧力設定値、Hpは高温側の噴霧熱水圧力設定値、1は排ガス冷却塔、1aは排ガス入口、1bは排ガス出口、2は熱水タンク、3は減温水加圧ポンプ、4は減温水ノズル、4aは第1減温水ノズル、4bは第2減温水ノズル、5は排ガス温度制御装置、5aは出口側排ガス温度検出器、6は減温水量(熱水量)制御弁、7は低圧蒸気だめ、8は蒸気式熱交換器、9は複水タンク、10は熱水温度制御装置、10aは熱水温度検出器、11は加熱蒸気流量制御弁、12は熱水循環圧力制御装置、12aは熱水圧力検出器、13は圧力逃し弁、14は熱水タンク圧力制御装置、14aは熱水タンク内圧検出器、15は自動開閉弁、16は減温水(熱水)流量検出装置、16aは減温水(熱水)流量検出器、17はアキュームレータ、18は減温水ノズルの作動制御装置、18aは噴霧熱水圧力検出器、19は第1遮断弁、20は第2遮断弁、21は第1開閉弁、22は第2開閉弁、23はブロータンク、24は減温水槽、25は減温水供給ポンプ、26a・26bは制水弁、27は薬注装置、28は循環路。

Claims (9)

  1. 大気圧下での水の沸点よりも高い温度の加圧熱水を貯留する熱水タンクと、熱水タンクからの熱水をガス冷却室又はガスダクト内へ噴霧する減温水ノズルと、熱水タンクからの熱水を減温水ノズルへ供給する減温水加圧ポンプと、減温水ノズルへ供給する熱水量を調整する減温水量制御弁と、減温後の低温排ガスの温度に基づいて減温水量制御弁を開閉制御する排ガス温度制御装置とを備えた熱水を利用した排ガス減温装置において、前記減温水量制御弁(6)の入口側の管路へ分岐状に接続されてその出口側を熱水タンク(2)の減温水入口側へ接続した圧力逃し弁(13)と、減温水量制御弁(6)の入口側の熱水(Wt)の検出圧力に基づいて前記圧力逃し弁(13)を開閉制御する熱水圧力制御装置(12)とから成る循環圧力制御機構(A)と高温排ガス(Gh)の流れ方向に沿って所定間隔を置いて配設した複数の減温水ノズル(4a)、(4b)・・と、前記減温水量制御弁(6)の出口側と各減温水ノズル(4a)、(4b)・・との間に介設した複数の遮断弁(19)、(20)・・と、前記各遮断弁(19)、(20)・・の出口側に分岐状に接続した開閉弁(21)、(22)・・と、前記各開閉弁(21)(22)・・から排出した減温水ノズル内部の熱水(Wt)を貯留するブロータンク(23)と、前記遮断弁(19)、(20)・・の入口側の管路の熱水(Wt)の検出圧力に基づいて各遮断弁(19)、(20)・・の開・閉並びに各開閉弁(21)、(22)・・の閉・開を制御する減温水ノズルの作動制御装置(18)とから成る減温水ノズルの作動切換制御機構(B)とを設けたことを特徴とする熱水を利用した排ガス減温装置。
  2. 熱水タンク(2)を、熱水の加熱源として低圧蒸気だめ(7)からの加熱蒸気(S)を用いる蒸気式熱交換器(8)を備えた構成とした請求項1に記載の熱水を利用した排ガス減温装置。
  3. 熱水タンク(2)を、脱気器からの熱水又はボイラ給水若しくはボイラからの連続ブロー水を受け入れられる熱水タンクとした請求項1に記載の熱水を利用した排ガス減温装置。
  4. 熱水タンク(2)を、蒸気式熱交換器(8)への加熱蒸気(S)の供給管路に介設した蒸気流量制御弁(11)と、熱水タンク(2)から圧送した熱水(Wt)の検出温度に基づいて蒸気流量制御弁(11)を開閉制御する熱水温度制御装置(10)とから成る熱水温度制御機構(C)を備えた構成とした請求項1に記載の熱水を利用した排ガス減温装置。
  5. 熱水タンク(2)と減温水量制御弁(6)との間を連結する熱水(Wt)の供給管路にアキュームレータ(17)を設ける構成とした請求項1に記載の熱水を利用した排ガス減温装置。
  6. 減温水ノズルの作動切換制御機構(B)を、遮断弁の閉鎖と同時に又は閉鎖より僅かに早くに、前記遮断弁に接続された開閉弁を開放する構成とした請求項1に記載の熱水を利用した排ガス減温装置。
  7. 大気圧下での水の沸点よりも高い温度の加圧熱水を減温水としてガス冷却室又はガスダクト内へ噴霧するようにした熱水を利用した排ガス減温方法に於いて、熱水(Wt)を噴霧する複数個の減温水ノズル(4a)、(4b)・・を高温排ガス(Gh)の流れ方向に所定の間隔をおいて配設すると共に、各減温水ノズル(4a)、(4b)・・の入口側に遮断弁(19)、(20)・・を、また前記各遮断弁(19)、(20)・・の出口側に分岐状に各開閉弁(21)、(22)・・を夫々設け、各遮断弁(19)、(20)・・へ流入する熱水(Wt)の検出圧力に基づいて減温水ノズル作動制御装置(18)により前記各遮断弁(19)、(20)・・の開・閉並びに各開閉弁(21)、(22)・・の閉・開を制御することにより、複数の減温水ノズルの作動を適宜に切換えるようにしたことを特徴とする熱水を用いた排ガス減温方法。
  8. 遮断弁の閉鎖と同時に又は遮断弁の閉鎖より僅かに早くに開閉弁を開放し、減温水ノズルの内部に残留する熱水を開閉弁を通して外部へ排出させるようにした請求項7に記載の熱水を利用した排ガス減温方法。
  9. 遮断弁の入口側の熱水圧力が一定時間に亘って低圧側の設定値(L)より低下すると複数の減温水ノズルの中の少なくとも1個の減温水ノズルの遮断弁を閉に及び開閉弁を開にし、また、前記熱水圧力が一定時間に亘って高圧側の設定値(H)より上昇すると、複数の減温水ノズルの全部の遮断弁を開に及び開閉弁を閉にするようにした請求項7に記載の
    熱水を利用した排ガス減温方法。
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