JP4229679B2 - 光高反射性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光高反射性を有するポリカーボネート樹脂組成物に関する。より詳しくは、芳香族ポリカーボネート、特定の層状珪酸塩、および二酸化チタン、並びにより好適には芳香族ポリカーボネートと親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物からなる樹脂組成物であって、良好な剛性、遮光性、および表面平滑性を有する光高反射性樹脂組成物、並びにかかる樹脂組成物より形成される光反射機能材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、二酸化チタンを配合し、白度を向上させて反射率を高めた樹脂成形品が、液晶表示のバックライト用反射板、照光式プッシュスイッチや光電スイッチの反射板、自動販売機の表示内部フレーム、ストロボリフレクター等に使用されている。このような用途に使用される樹脂としては、耐衝撃性、耐熱性に優れるポリカーボネート樹脂が優れている。更に製品の小型化や薄肉化の要求によってかかる反射板などの成形品も薄肉になることが求められる。かかる場合、材料の剛性および遮光性の向上が必要となる。
【0003】
一方、上記の用途は従来比較的に光反射面の状態については問題とされなかった。すなわち反射面全体の光反射率が問題であって、その反射光の拡散状態については特に問題ではなかった。しかしながら用途によっては成形品表面状態を極めて平滑にして、正反射の割合を増加することが求められる場合がある。例えばレーザー光の光路を変化させるためのミラーなどである。かかる用途に対してより低コストなミラーを実現すべく二酸化チタンを配合した高剛性かつ良好な表面平滑性を有する樹脂組成物が求められる場合があった。
【0004】
高剛性の光反射性樹脂成形品を得る方法として、既にポリカーボネート系樹脂、無機充填剤、リン酸エステル系化合物、および二酸化チタンからなる樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながらかかる樹脂組成物は、耐熱性が低下する点、および未だ表面平滑性が不十分な点で改良が求められる場合があった。
【0005】
一方で比較的少量の充填材で高い曲げ弾性率を達成する技術の1つとして、無機充填剤として層状珪酸塩を、より好ましくはかかる層状珪酸塩の層間イオンを各種の有機オニウムイオンにイオン交換させた層状珪酸塩を、樹脂中へ微分散させた樹脂組成物が既に知られている。芳香族ポリカーボネート樹脂と層状珪酸塩、特に層状珪酸塩の層間イオンを各種の有機オニウムイオンにイオン交換させた層状珪酸塩とを組み合わせた樹脂組成物も既に広く知られている(特許文献2〜特許文献7参照)。更に他樹脂を介在させることによりその分散性を改良する提案も知られている(特許文献2および特許文献6参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平05−140373号公報
【特許文献2】
特開平03−215558号公報
【特許文献3】
特開平07−207134号公報
【特許文献4】
特開平07−228762号公報
【特許文献5】
特開平07−331092号公報
【特許文献6】
特開平09−143359号公報
【特許文献7】
特開平10−060160号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な剛性および遮光性を有し、更に高剛性かつ良好な表面平滑性を有する光高反射成形品を作成可能な光高反射性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意検討した。その結果、芳香族ポリカーボネート、特定の層状珪酸塩(より好適にはその陽イオン交換基が有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩)、および二酸化チタン、並びにより好適には芳香族ポリカーボネートと親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(より好適にはカルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有する重合体)からなる樹脂組成物が、極めて低い珪酸塩の含有量によって大幅に剛性を向上させること、良好な遮光性を有すること、並びに極めて良好な表面平滑性を達成できることを見出した。更に検討を進めた結果、良好な剛性、遮光性、および表面平滑性とを有する光高反射性のポリカーボネート樹脂組成物を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部、(B)50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩(B成分)0.1〜20重量部、および(D)二酸化チタン(D成分)3〜30重量部よりなる光高反射性樹脂組成物にかかるものである。
【0010】
かかる構成(1)によれば、良好な剛性および遮光性を有し、更に高剛性かつ良好な表面平滑性を有する(以下単に“本発明の効果”と称する場合がある)光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0011】
本発明のより好適な態様の1つは、(2)更に(C)芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(C成分)を0.1〜50重量部含んでなる前記(1)に記載の光高反射性樹脂組成物である。かかる構成(2)によれば、本発明の効果を有しかつより剛性が改良され、更に熱安定性が改良された光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0012】
本発明のより好適な態様の1つは、(3)前記B成分は、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつその陽イオン交換基の少なくとも40%が有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩であることを特徴とする前記(1)〜(2)に記載の光高反射性樹脂組成物である。かかる構成(3)によれば、より良好な本発明の効果を有する光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0013】
本発明のより好適な態様の1つは、(4)前記B成分における有機オニウムイオンは下記一般式(I)で示されることを特徴とする前記(3)に記載の光高反射性樹脂組成物である。
【0014】
【化2】
Figure 0004229679
【0015】
〔上記一般式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わす。また、R1〜R4は互いに同一もしくは相異なる有機基を表わし、その少なくとも1つは炭素原子数6〜20のアルキル基または炭素原子数6〜12のアリール基であり、残りの基は炭素原子数1〜5のアルキル基である。〕
かかる構成(4)によれば、より良好な本発明の効果を有しかつより熱安定性において優れた光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0016】
本発明のより好適な態様の1つは、(5)前記B成分における有機オニウムイオンは、上記一般式(I)において、R1およびR2がそれぞれ同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、R3が炭素原子数1〜16のアルキル基、R4が炭素原子数1〜4のアルキル基であることを特徴とする前記(4)に記載の光高反射性樹脂組成物である。かかる構成(5)によれば、より良好な本発明の効果を有し更に熱安定性に優れた光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0017】
本発明のより好適な態様の1つは、(6)前記C成分は、前記A成分と親和性を有し、かつカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有する重合体であることを特徴とする前記(2)〜(5)に記載の光高反射性樹脂組成物である。かかる構成(6)によれば、本発明の効果を有し更に熱安定性においてより優れた光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0018】
本発明のより好適な態様の1つは、(7)前記C成分は、カルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C-1成分)であることを特徴とする前記(6)に記載の光高反射性樹脂組成物である。かかる構成(7)によれば、本発明の効果を有し、熱安定性において更に優れた光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0019】
本発明のより好適な態様の1つは、(8)前記C成分は、スチレン−無水マレイン酸共重合体であることを特徴とする前記(7)に記載の光高反射性樹脂組成物である。かかる構成(8)によれば、本発明の効果を有し、特に熱安定性の点で優れた光高反射性樹脂組成物が提供される。かかるC成分はC成分として最も好ましい態様である。
【0020】
本発明のより好適な態様の1つは、(9)前記B成分と前記C成分とを予め溶融混練した後に、該溶融混練物と前記A成分とを溶融混練して調製されたものであることを特徴とする前記(2)〜(8)に記載の光高反射性樹脂組成物である。かかる構成(9)は層状珪酸塩は更に微細な分散を達成し、それにより樹脂組成物は更に高い剛性、遮光性、並びに表面平滑性を効果的に発揮する。加えてかかる構成(9)は層状珪酸塩の熱安定化を促進する。したがってかかる構成(9)によれば、本発明の効果のいずれにおいても更に優れた光高反射性樹脂組成物が提供される。
【0021】
本発明のより好適な態様の1つは、(10)前記(1)〜(9)に記載の光高反射性樹脂組成物より形成された光反射機能材である。かかる構成(10)によれば、本発明の効果を有するおよびより良好な光高反射効果を有する光反射機能材が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂組成物を構成する各成分、樹脂組成物における各成分の組成割合、樹脂組成物の調整法および特性等について詳細に説明する。
【0023】
<A成分について>
本発明のA成分である芳香族ポリカーボネートは、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法および環状カーボネート化合物の開環重合法等を挙げることができる。
【0024】
前記2価フェノールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらのなかでも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特にビスフェノールA(以下“BPA”と略称することがある)が汎用されている。
【0025】
本発明では、汎用ポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、例えば、吸水による寸法変化をより低減する目的やさらに剛性を向上させる目的および光源に対する耐熱性をより向上させる目的等から、他の2価フェノール類を使用した特殊な芳香族ポリカーボネ−トをA成分として使用することも可能である。
【0026】
例えば、2価フェノール成分の一部または全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することもある)を用いた芳香族ポリカーボネ−ト(単独重合体または共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が厳しい用途に適当である。これらの2価フェノールは芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
【0027】
殊に、高剛性かつ吸水率の低い(よって吸水による寸法変化の少ない)光反射機能材が要求される場合には、光高反射性樹脂組成物を構成するA成分が次の(a)〜(c)の共重合ポリカーボネートであるのが特に好適である。
(a)該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、BCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。(b)該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、BCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(c)該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、Bis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
【0028】
これらの特殊な芳香族ポリカーボネートは単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA系の芳香族ポリカーボネートと混合して使用することもできる。
【0029】
これらの特殊な芳香族ポリカーボネートの製法および特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報および特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
【0030】
なお、前記各種ポリカーボネートのなかでも、共重合組成等を調整して、吸水率およびTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、耐加水分解性が良好で、かつ低反り性においても格段に優れているため、特に好適である。
(a)Tgが120〜180℃であり、かつ吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%である芳香族ポリカーボネート、あるいは、
(b)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%である芳香族ポリカーボネート。
【0031】
ここで、芳香族ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
【0032】
また、前記カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは2価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0033】
前記2価フェノールとカーボネート前駆体とから界面重合法によってポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて、触媒、末端停止剤、2価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。
【0034】
また、本発明樹脂組成物を構成するA成分となる芳香族ポリカーボネートは、3官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。かかる3官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用できる。分岐構造を生ずる多官能性化合物を含む場合、その割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造の割合についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、芳香族ポリカーボネート中の分岐構造量の割合は、1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0035】
さらに、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の2官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート、2官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネートに前記官能性カルボン酸および2官能性アルコールをともに共重合したポリエステルカーボネートでもよい。脂肪族の2官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の2官能性のカルボン酸としては、例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。2官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えば、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が例示される。本発明では、この他に、ポリオルガノシロキサン単位を共重合したポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
【0036】
本発明の樹脂組成物におけるA成分(芳香族ポリカーボネート)は、2価フェノール成分の異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等、各種の芳香族ポリカーボネートを2種以上を混合したものであってもよい。また、製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネート等を2種以上混合して使用することもできる。
【0037】
芳香族ポリカーボネート製造における界面重縮合法による反応は、通常、2価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために、例えば、トリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の3級アミン、4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は、通常、0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0038】
また、かかる重合反応において、通常、末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類の具体例としては、例えば、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等の単官能フェノール類を用いるのが好ましい。さらに、単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール、トリアコンチルフェノール等を挙げることができる。かかる末端停止剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0039】
溶融エステル交換法による反応は、通常2価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に2価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常、120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0040】
カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素原子数1〜4のアルキル基等のエステルが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0041】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。かかる重合触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、2価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物;等の各種触媒を用いることができる。さらに、アルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類等の通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。これらの触媒は単独で使用してもよく2種以上を組合せて使用してもよい。触媒の使用量は、原料の2価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0042】
溶融エステル交換法による反応では、生成ポリマーのフェノール性末端基を減少させる目的で、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば、2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
【0043】
さらに、溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また、重合後のポリカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のホスホニウム塩およびテトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等のアンモニウム塩等が好ましく挙げられる。
【0044】
芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は限定されない。しかしながら、粘度平均分子量が10,000未満であると成形品の強度等が低下し、50,000を超えると成形加工特性が低下するようになるので、10,000〜50,000の範囲が好ましく、12,000〜30,000の範囲がより好ましく、14,000〜28,000の範囲がさらに好ましい。この場合、成形性等が維持される範囲内で、粘度平均分子量が前記範囲外であるポリカーボネートとを混合することも可能であり、例えば、粘度平均分子量が50,000を超える高分子量の芳香族ポリカーボネート成分を配合することもできる。
【0045】
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0046】
なお、本発明の樹脂組成物における粘度平均分子量を測定する場合は、次の要領で行う。すなわち、該組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。この固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、20℃における比粘度(ηSP)を、オストワルド粘度計を用いて求め、上記の式により粘度平均分子量Mを算出する。
【0047】
<B成分について>
本発明の樹脂組成物を構成するB成分は、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量をする層状珪酸塩である。好適には、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ該陽イオン交換容量の40%以上、特に50〜100%、が有機オニウムイオンにてイオン交換された層状珪酸塩である(以下、この層状珪酸塩を“有機化層状珪酸塩”と略称することがある)。
【0048】
B成分の層状珪酸塩は、SiO2連鎖からなるSiO4四面体シート構造とAl、Mg、Li等を含む八面体シート構造との組合せからなる層からなり、その層間に交換性陽イオンの配位した珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)である。これらの珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)は、スメクタイト系鉱物、バーミキュライト、ハロイサイトおよび膨潤性雲母等に代表される。具体的には、スメクタイト系鉱物としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スチブンサイト等が挙げられ、膨潤性雲母としては、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母およびLi型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられる。これらの層状珪酸塩は、天然品、合成品のいずれも使用可能である。合成品は、例えば、水熱合成、溶融合成、固体反応によって製造される。
【0049】
層状珪酸塩のなかでも、陽イオン交換容量等の点から、モンモリロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母等の膨潤性を持ったフッ素雲母が好適に用いられ、ベントナイトを精製して得られるモンモリロナイトや合成フッ素雲母が、純度等の点からより好適である。さらに、良好な機械特性が得られる合成フッ素雲母が特に好ましい。
【0050】
前記B成分である層状珪酸塩の陽イオン交換容量(陽イオン交換能ともいう)は、50〜200ミリ当量/100gであることが必要とされ、好ましくは80〜150ミリ当量/100g、さらに好ましくは100〜150ミリ当量/100gである。陽イオン交換容量は、土壌標準分析法として国内の公定法となっているショーレンベルガー改良法によってCEC値として測定される。層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、A成分である芳香族ポリカーボネートへの良好な分散性を得るために、50ミリ当量/100g以上必要であるが、200ミリ当量/100gより大きくなると芳香族ポリカーボネートの熱劣化が大きくなり、本発明の光高反射性樹脂組成物の熱劣化への影響が大きくなってくる。この層状珪酸塩は、そのpHの値が7〜10であることが好ましい。pHの値が10より大きくなると、本発明の光高反射性樹脂組成物の熱安定性が低下する傾向が現われる。
【0051】
B成分の層状珪酸塩としては、有機オニウムイオンが層状珪酸塩の層間にイオン交換されたもの(有機化層状珪酸塩)が好適である。該有機オニウムイオンは、通常、ハロゲンイオン等との塩として取り扱われる。ここで有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、複素芳香環由来のオニウムイオン等が挙げられる。オニウムイオンは1級、2級、3級、4級のいずれも使用できるが、4級オニウムイオンが好ましく、オニウムイオンとして4級アンモニウムイオンおよび4級ホスホニウムイオンが好適である。
【0052】
該イオン化合物には各種の有機基が結合したものが使用できる。かかる有機基としては、アルキル基が代表的であるが、芳香族基を有するものでもよく、また、エーテル基、エステル基、二重結合部分、三重結合部分、グリシジル基、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基等の各種官能基を含有するものでもよい。
【0053】
有機オニウムイオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムの如き同一のアルキル基を有する4級アンモニウム;トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム,トリメチルイコサニルアンモニウムの如きトリメチルアルキルアンモニウム;トリメチルオクタデセニルアンモニウムの如きトリメチルアルケニルアンモニウム;トリメチルオクタデカジエニルアンモニウムの如きトリメチルアルカジエニルアンモニウム;トリエチルドデシルアンモニウム、トリエチルテトラデシルアンモニウム、トリエチルヘキサデシルアンモニウム、トリエチルオクタデシルアンモニウムの如きトリエチルアルキルアンモニウム;トリブチルドデシルアンモニウム、トリブチルテトラデシルアンモニウム、トリブチルヘキサデシルアンモニウム、トリブチルオクタデシルアンモニウムの如きトリブチルアルキルアンモニウム;ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムの如きジメチルジアルキルアンモニウム;ジメチルジオクタデセニルアンモニウムの如きジメチルジアルケニルアンモニウム;ジメチルジオクタデカジエニルアンモニウムの如きジメチルジアルカジエニルアンモニウム;ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチルジオクタデシルアンモニウムの如きジエチルジアルキルアンモニウム;ジブチルジドデシルアンモニウム、ジブチルジテトラデシルアンモニウム、ジブチルジヘキサデシルアンモニウム、ジブチルジオクタデシルアンモニウムの如きジブチルジアルキルアンモニウム;トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、トリテトラデシルメチルアンモニウムの如きトリアルキルメチルアンモニウム;トリオクチルエチルアンモニウム、トリドデシルエチルアンモニウムの如きトリアルキルエチルアンモニウム;トリオクチルブチルアンモニウム、トリデシルブチルアンモニウムの如きトリアルキルブチルアンモニウムが挙げられる。
【0054】
また、メチルベンジルジヘキサデシルアンモニウムの如きメチルベンジルジアルキルアンモニウム;ジベンジルジヘキサデシルアンモニウムの如きジベンジルジアルキルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等の芳香環を有する4級アンモニウム等を例示することができる。さらに、トリメチルフェニルアンモニウムの如き芳香族アミン由来の4級アンモニウム;メチルジエチル[PEG]アンモニウムおよびメチルジエチル[PPG]の如きトリアルキル[PAG]アンモニウム;メチルジメチルビス[PEG]アンモニウムの如きジアルキルビス[PAG]アンモニウム;エチルトリス[PEG]アンモニウムの如きアルキルトリス[PAG]アンモニウムが挙げられる。また、前記アンモニウムイオンの窒素原子がリン原子に置換したホスホニウムイオンを用いることもできる。
【0055】
これらの有機オニウムイオンは、単独使用および2種以上の組合せ使用のいずれも選択できる。なお、前記“PEG”の表記はポリエチレングリコールを、“PPG”の表記はポリプロピレングリコールを“PAG”の表記はポリアルキレングリコールを示す。ポリアルキレングリコールの分子量としては100〜1,500のものが使用できる。
【0056】
これら有機オニウムイオン化合物の分子量は、100〜600であることが好ましい。より好ましくは150〜500である。分子量が600より多いときには、場合により芳香族ポリカーボネートの熱劣化を促進したり樹脂組成物の耐熱性を損なう傾向が現れる。なお、かかる有機オニウムイオンの分子量は、ハロゲンイオン等のカウンターイオン分を含まない有機オニウムイオン単体の分子量を指す。
【0057】
本発明において、B成分の好適な態様は、下記一般式(I)で示される有機オニウムイオンでイオン交換されたものである。
【0058】
【化3】
Figure 0004229679
【0059】
上記一般式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わす。また、R1〜R4は互いに同一もしくは相異なる有機基を表わし、その少なくとも1つは炭素原子数6〜20のアルキル基または炭素原子数6〜12のアリール基であり、残りの基は炭素原子数1〜5のアルキル基である。これらのR1〜R4は、前記の条件を満たす限り、その一部が互いに同一の基であってもよく、全部または一部が相異なる基であってもよい。
【0060】
本発明のB成分において使用される有機オニウムイオンのさらに好適な態様は、上記一般式(I)において次の条件を満足するものである。すなわち、Mは窒素原子またはリン原子であり、R1およびR2はそれぞれ炭素原子数6〜16のアルキル基である。R3は炭素原子数1〜16のアルキル基であり、かつR4は炭素原子数1〜4のアルキル基である。なお、R1とR2とは互いに同一の基であっても相異なる基であってもよく、また、R3とR4とは互いに同一の基であっても相異なる基であってもよい。
【0061】
上記一般式(I)で示される有機オニウムイオンのより好適な態様は、(i)前記R3が炭素原子数1〜4のアルキル基の場合である。より好しくは(ii)R3およびR4がそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基であって、かつR1およびR2がそれぞれ炭素原子数7〜14のアルキル基の場合である。さらに好ましくは、(iii)R3およびR4がそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基で、かつR1およびR2は炭素原子数7〜12、特に好ましくは炭素原子数8〜11、のアルキル基の場合である。なお、これらのうちでも、R3およびR4が炭素原子数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基またはエチル基、さらに好ましくはメチル基の4級アンモニウムイオンが特に好適である。
【0062】
これら(i)〜(iii)のより好適な態様(さらに好ましい態様を含む)によれば、樹脂組成物の耐加水分解性が特に優れたものとなり、本発明の光高反射性樹脂組成物に良好な長期実用特性を与える。
【0063】
なお、上記式(I)においてR1〜R4はいずれも直鎖状および分岐状のいずれも選択できる。
【0064】
かかる好適な4級アンモニウムイオンの例としては、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジブチルジオクチルアンモニウム、ジブチルジデシルアンモニウム、ジブチルジドデシルアンモニウム等が例示される。
【0065】
層状珪酸塩への有機オニウムイオンのイオン交換は、極性溶媒中に分散させた層状珪酸塩に、有機オニウムイオン化合物を添加し、析出してくるイオン交換化合物を収集することによって作成することができる。通常、このイオン交換反応は、有機オニウムイオン化合物を、層状珪酸塩のイオン交換容量の1当量に対し1.0〜1.5当量の割合で加えて、ほぼ全量の層間の金属イオンを有機オニウムイオンで交換させるのが一般的である。しかし、このイオン交換容量に対する交換割合を一定の範囲に制御することも、芳香族ポリカーボネートの熱劣化を抑制する上で有効である。ここで有機オニウムイオンでイオン交換される割合は、層状珪酸塩のイオン交換容量に対して40%以上であることが好ましい。かかるイオン交換容量に対する割合は好ましくは40〜95%であり、特に好ましくは40〜80%である。ここで、有機オニウムイオンの交換割合は、交換後の化合物について、熱重量測定装置等を用いて、有機オニウムイオンの熱分解による重量減少を求めることにより算出することができる。
【0066】
<C成分について>
本発明のC成分はA成分である前記芳香族ポリカーボネートと親和性を有し、かつ親水性成分を有する化合物であり、本発明において使用されることがより好適である。このC成分は、A成分との親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物であるため、芳香族ポリカーボネート及び層状珪酸塩の双方に対する良好な親和性を生み出す。これら双方に対する親和性は2種の成分の相溶性を向上させ、層状珪酸塩がマトリックスの芳香族ポリカーボネート(A成分)中で微細かつ安定して分散するようになる。
【0067】
層状珪酸塩の分散に関するC成分の機能は、異種ポリマー同士を相溶化させるために使用されるポリマーアロイ用相溶化剤(コンパティビライザー)と同様と推測される。従って、C成分は、低分子化合物よりも重合体であることが好ましい。また、重合体の方が混練加工時の熱安定性にも優れる。該重合体の平均繰り返し単位数は2以上であることが必要であり、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。一方、該重合体の平均分子量の上限においては数平均分子量で2,000,000以下であることが好ましい。かかる上限を超えない場合には良好な成形加工性が得られる。
【0068】
本発明の樹脂組成物に配合されるC成分が重合体である場合、その基本的構造としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
ア)前記芳香族ポリカーボネートに親和性を有する成分をα、親水性成分をβとするとき、αとβとからなるグラフト共重合体(主鎖がα、グラフト鎖がβ、並びに主鎖がβ、グラフト鎖がαのいずれも選択できる。)、αとβとからなるブロック共重合体(ジ−、トリ−、等ブロックセグメント数は2以上を選択でき、ラジアルブロックタイプ等を含む。)並びにαとβとからなるランダム共重合体。ここで、α及びβは重合体セグメント単位及び単量体単位のいずれをも意味するが、α成分は芳香族ポリカーボネートとの親和性の観点から重合体セグメント単位であることが好ましい。
イ)前記芳香族ポリカーボネートに親和性を有する成分をα、親水性成分をβとするとき、αの機能は重合体全体によって発現され、βが該α内に含まれる構造を有する重合体。すなわち、α単独では芳香族ポリカーボネートとの親和性が十分ではないものの、αとβとが組み合わされ一体化されることにより、良好な親和性が発現する場合である。α単独の場合にも芳香族ポリカーボネートとの親和性が良好であって、かつβとの組合せによってさらに親和性が向上する場合もある。従ってこれらの構造ア)及びイ)はその一部において重複することがある。
【0069】
本発明におけるC成分成分としては、α分のみでも芳香族ポリカーボネートに対する親和性が高く、さらにβが付加したC成分全体においてその親和性が一段と高くなるものが好適である。
【0070】
C成分における芳香族ポリカーボネートに親和性を有する成分(以下αと称する場合がある)について説明する。前記の如くC成分は、ポリマーアロイにおける相溶化剤との同様の働きをすると考えられることから、αには相溶化剤と同様の重合体に対する親和性が求められる。従ってαは非反応型と反応型とに大略分類できる。
【0071】
非反応型では、以下の要因を有する場合に親和性が良好となる。すなわち、芳香族ポリカーボネートとαとの間に、▲1▼化学構造の類似性、▲2▼溶解度パラメータの近似性(溶解度パラメータの差が1(cal/cm31/2以内、すなわち約2.05(MPa)1/2以内が目安とされる)、▲3▼分子間相互作用(水素結合、イオン間相互作用等)及びランダム重合体特有の擬引力的相互作用等の要因を有することが望まれる。これらの要因は相溶化剤とポリマーアロイのベースになる重合体との親和性を判断する指標としても知られている。
【0072】
反応型では、相溶化剤において芳香族ポリカーボネートと反応性を有する官能基を有するものを挙げることができる。例えば、芳香族ポリカーボネートに対して反応性を有する、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、エステル基、エステル結合、カーボネート基及びカーボネート結合等を例示することができる。
【0073】
一方で、芳香族ポリカーボネートとαとが良好な親和性をもつ場合、その結果として芳香族ポリカーボネートとαとの混合物において単一のガラス転移温度(Tg)を示すか又は芳香族ポリカーボネートのTgがαのTgの側に移動する挙動が認められるので、芳香族ポリカーボネートと親和性を有する成分(α)は、かかる挙動により判別することができる。
【0074】
前記の如く、本発明の組成物の構成成分として有用なC成分における芳香族ポリカーボネートと親和性を有する成分(α)は、非反応型であることが好ましく、殊に溶解度パラメータが近似することにより良好な親和性を発揮することが好ましい。これは反応型に比較して芳香族ポリカーボネートとの親和性により優れるためである。また反応型は過度に反応性を高めた場合、副反応によって重合体の熱劣化が促進される欠点がある。
【0075】
芳香族ポリカーボネート(A成分)及びC成分のαの溶解度パラメータは次の関係を有することが好ましい。すなわち、芳香族ポリカーボネート(A成分)の溶解度パラメータをδA((MPa)1/2)とし、C成分におけるαの溶解度パラメータ又はC成分全体の溶解度パラメータをδα((MPa)1/2)としたとき、次式:
δα=δA±2 ((MPa)1/2
の関係を有することが好ましい。
【0076】
例えば、A成分の溶解度パラメータは通常約10(cal/cm31/2(すなわち約20.5((MPa)1/2))とされていることから、δαは18.5〜22.5((MPa)1/2)の範囲が好ましく、19〜22((MPa)1/2)の範囲がより好ましい。
【0077】
かかる溶解度パラメータδαを満足する重合体成分の具体例としては、スチレンポリマー、アルキル(メタ)アクリレートポリマー、アクリロニトリルポリマー(例えばポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等に代表される)等のビニル系重合体を挙げることができる。本発明の組成物の耐熱性の保持のためには、Tgの高い重合体成分を用いることが好ましい。
【0078】
ここで溶解度パラメータは、「ポリマーハンドブック 第4版」(A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION,1999年)中に記載されたSmallの値を用いた置換基寄与法(Group contribution methods)による理論的な推算方法が利用できる。芳香族ポリカーボネートのTgは既に述べたようにJIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求めることが可能である。
【0079】
前記のA成分の芳香族ポリカーボネートと親和性を有する成分αは、C成分中5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上がより好ましく、30重量%以上がさらに好ましく、50重量%以上が特に好ましい。C成分全体をαとする態様も可能であることから上限は100重量%であってよい。
【0080】
一方、C成分における親水性成分(以下、βと称する場合がある)は、親水基(水との相互作用の強い有機性の原子団)を有する単量体及び親水性重合体成分(重合体セグメント)より選択される。親水基はそれ自体広く知られ、下記の基が例示される。
1)強親水性の基:−SO3H、−SO3M、−OSO3H、−OSO3H、−COOM、−NR3X(R:アルキル基、X:ハロゲン原子、M:アルカリ金属、−NH4) 等、
2)やや小さい親水性を有する基:−COOH、−NH2、−CN、−OH、−NHCONH2 等、
3)親水性が無いか又は小さい基:−CH2OCH3、−OCH3、−COOCH3、−CS 等
【0081】
本発明の組成物に配合するC成分としては、親水基が上の1)及び2)に分類されるものが使用され、なかでも、前記2)の親水基は芳香族ポリカーボネートの溶融加工時の熱安定性により優れるため好ましい。親水性が高すぎる場合には芳香族ポリカーボネートの熱劣化が生じやすくなる。これはかかる親水基が直接カーボネート結合と反応し、熱分解反応を生じるためである。
【0082】
なお、かかる親水基は1価及び2価以上の基のいずれであってもよい。C成分が重合体の場合、2価以上の官能基とは該基が主鎖を構成しないものをいい、主鎖を構成するものは結合として官能基とは区別する。具体的には、主鎖を構成する炭素等の原子に付加した基、側鎖の基及び分子鎖末端の基は、2価以上であっても官能基である。
【0083】
親水基のより具体的な指標は、溶解度パラメータである。溶解度パラメータの値が大きいほど親水性が高くなることは広く知られている。基ごとの溶解度パラメータは、Fedorsによる基ごとの凝集エネルギー(Ecoh)及び基ごとのモル体積(V)より算出することができる(「ポリマー・ハンドブック 第4版」(A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION),VII/685頁、1999年、Polym.Eng.Sci.,第14巻,147及び472頁,1974年、等参照)。さらに親水性の大小関係のみを比較する観点からは、凝集エネルギー(Ecoh)をモル体積(V)で除した数値(Ecoh/V;以下単位は“J/cm3”とする)を親水性の指標として使用できる。
【0084】
C成分におけるβに含まれる親水基は、Ecoh/Vが600以上であることが必要であり、好ましくはEcoh/Vは800以上である。800以上の場合にはA成分の芳香族ポリカーボネートにおけるカーボネート結合のEcoh/Vを超え、カーボネート結合よりも高い親水性を有する。Ecoh/Vは900以上がより好ましく、950以上がさらに好ましい。
【0085】
上述のとおり、親水性が高すぎる場合には、芳香族ポリカーボネートの熱劣化が生じやすくなる。従ってEcoh/Vは2,500以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,500以下がさらに好ましい。
【0086】
C成分の親水性成分(β)として、親水性重合体成分(重合体セグメント)も選択される。C成分の重合体中に含まれる親水性重合体のセグメントはβとなる親水性重合体としては、例えばポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸金属塩(キレート型を含む)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びポリヒドロキシエチルメタクリレート等が例示される。これらのなかでも、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく例示される。これらは良好な親水性と本発明において好適な芳香族ポリカーボネート樹脂に対する熱安定性(溶融加工時の芳香族ポリカーボネートの分解の抑制)とを両立できるためである。なお、ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドが好ましい。
【0087】
親水基を有する単量体及び親水性重合体成分のいずれにおいても、βは酸性の官能基(以下単に“酸性基”と称することがある)を有するのが好ましい。かかる酸性基は、本発明の光高反射性樹脂組成物の溶融加工時の熱劣化を抑制する。とりわけ、窒素原子を含まない酸性基がより好適である。好適な酸性基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基及びホスフィン酸基等が例示される。
【0088】
これに比して、アミド基やイミド基等の窒素原子を含む官能基は溶融加工時の芳香族ポリカーボネートの熱劣化を十分には抑制しない場合がある。これは窒素原子が局所的に塩基性を有しカーボネート結合の熱分解を生じさせるためと考えられる。
【0089】
C成分におけるβの割合は、βが親水基を有する単量体の場合、官能基1つ当たりの分子量である官能基当量として、60〜10,000であり、70〜8,000が好ましく、80〜6,000がより好ましく、100〜3,000がさらに好ましい。また、βが親水性重合体セグメントの場合、C成分100重量%中βが5〜95重量%であることが適当であり、10〜90重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましく、30〜50重量%がさらに好ましい。
【0090】
前記芳香族ポリカーボネートに対して親和性を有する成分(α)と親水性成分(β)とを有する有機化合物(C成分)の製造方法としては、βの単量体とαを構成する単量体とを共重合する方法、βの重合体成分をαとブロック又はグラフト共重合する方法、及びβをαに直接反応させて付加する方法等が例示される。
【0091】
C成分の具体例として、芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつ酸性の官能基を有する重合体、芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつポリアルキレンオキシドセグメントを有する重合体、芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつオキサゾリン基を有する重合体、あるいは、芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつ水酸基を有する重合体、が例示される。これらのC成分として好ましい重合体においては、その分子量は重量平均分子量において1万〜100万の範囲が好ましく、5万〜50万の範囲がより好ましい。かかる重量平均分子量は標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出される。
【0092】
<C-1成分について>
前記C成分のなかでも、芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつ酸性の官能基を有する重合体が好ましく、さらに好ましくは親和性を有しかつカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基とを有する重合体である。また、芳香族ポリカーボネートの耐熱性保持効果の観点から、重合体は芳香環成分を主鎖に有するもの及びスチレン成分を主鎖に有するものが好ましい。前記の点からカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C-1成分)が本発明のC成分として特に好適である。ここでスチレン含有重合体とはスチレンなどの芳香族ビニル化合物を重合した繰返し単位を重合体成分として含有する重合体を指す。
【0093】
かかるカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基の割合としては、0.1〜12ミリ当量/gが好ましく、0.5〜5ミリ当量/gがより好ましい。ここでC-1成分における1当量とは、カルボキシル基が1モル存在することをいい、その値は水酸化カリウム等の逆滴定により算出することが可能である。
【0094】
カルボキシル基の誘導体からなる官能基としては、カルボキシル基の水酸基を(i)金属イオンで置換した金属塩(キレート塩を含む)、(ii)塩素原子で置換した酸塩化物、(iii)−ORで置換したエステル(Rは一価の炭化水素基)、(iv)−O(CO)Rで置換した酸無水物(Rは一価の炭化水素基)、(v)−NR2で置換したアミド(Rは水素又は一価の炭化水素基)、(vi)2つのカルボキシル基の水酸基を=NRで置換したイミド(Rは水素又は一価の炭化水素基)等、を挙げることができる。
【0095】
カルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基(以下、単に“カルボキシル基類”と称する)を有するスチレン含有重合体の製造方法としては、従来公知の各種の方法を取ることができる。例えば、(a)カルボキシル基を有する単量体とスチレン系単量体とを共重合する方法、及び(b)スチレン含有重合体に対してカルボキシル基類を有する化合物又は単量体を結合又は共重合する方法等を挙げることができる。
【0096】
前記(a)の共重合においては、ランダム共重合体の他に交互共重合体、ブロック共重合体、テーパード共重合体等の各種形態の共重合体が使用できる。また共重合の方法においても溶液重合、懸濁重合、塊状重合等のラジカル重合法の他、アニオンリビング重合法やグループトランスファー重合法等の各種重合方法をとることができる。さらに一旦マクロモノマーを形成した後重合する方法も可能である。
【0097】
前記(b)の方法は、一般的にはスチレン含有重合体又は共重合体に必要に応じて、パーオキサイドや2,3−ジメチル−2,3ジフェニルブタン(通称ジクミル)等のラジカル発生剤を加えて、高温下で反応又は共重合する方法を挙げることができる。かかる方法はスチレン含有重合体又は共重合体に熱的に反応活性点を生成し、かかる活性点に反応する化合物又は単量体を反応させるものである。反応に要する活性点を生成するその他の方法として、放射線や電子線の照射やメカノケミカル手法による外力の付与等の方法も挙げられる。さらにスチレン含有共重合体中に予め反応に要する活性点を生成する単量体を共重合しておく方法も挙げられる。反応のための活性点としては不飽和結合、パーオキサイド結合、立体障害が高く熱的に安定なニトロオキシドラジカル等を挙げることができる。
【0098】
前記カルボキシル基類を有する化合物又は単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸及びその誘導体、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等の無水マレイン酸の誘導体、グルタルイミド構造やアクリル酸と多価の金属イオンで形成されたキレート構造等が挙げられる。これらのなかでも金属イオンや窒素原子を含まない官能基を有する単量体が好適であり、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基を有する単量体、特に無水マレイン酸がより好適である。
【0099】
また、スチレン系単量体化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレン等を用いることができるが、特にスチレンが好ましい。
【0100】
さらに、これらの化合物と共重合可能な他の化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等を共重合成分として使用しても差し支えない。
【0101】
本発明において好適なものは、カルボキシル基類を有する単量体を共重合してなるスチレン含有共重合体である。かかる共重合体においては比較的多くのカルボキシル基類を安定してスチレン含有重合体中に含むことが可能となるためである。より好適な態様としてカルボキシル基類を有する単量体とスチレン系単量体とを共重合してなるスチレン含有共重合体を挙げることができ、殊に好適なものはスチレン−無水マレイン酸共重合体である。スチレン−無水マレイン酸共重合体は、層状珪酸塩中のイオン成分及び芳香族ポリカーボネートのいずれに対しても高い相溶性を有することから、層状珪酸塩(B成分)を良好に微分散させる。さらに、カルボン酸無水物基の作用により層状珪酸塩、殊に有機化層状珪酸塩を含有する樹脂組成物において良好な熱安定性が得られる。またかかる共重合体それ自体の熱安定性が良好であるため、芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融加工に必要な高温条件に対しても高い安定性を有する。
【0102】
カルボキシル基類を有する単量体を共重合してなるスチレン含有共重合体、殊にスチレン−無水マレイン酸共重合体の組成については上述のβの割合における条件を満足する範囲内において何ら制限はないが、カルボキシル基類を有する単量体(好適には無水マレイン酸)からの成分を1〜30重量%(好ましくは5〜25重量%)、スチレン系単量体化合物成分(好適にはスチレン)99〜70重量%(好ましくは95〜75重量%)を含み、共重合可能な他の化合物成分を0〜29重量%を含むものを用いるのが好ましく、カルボキシル基類を有する単量体(好適には無水マレイン酸)を1〜30重量%(好ましくは5〜25重量%)、スチレン系単量体化合物成分(好適にはスチレン)99〜70重量%(好ましくは95〜75重量%)の共重合体が特に好ましい。
【0103】
前記C-1成分の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量は1万〜100万の範囲にあることが好ましく、5万〜50万の範囲がより好ましい。なお、ここで示す重量平均分子量は、標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出されたものである。
【0104】
<他のC成分>
他の好適なC成分としては、親水基としてオキサゾリン基を含有するスチレン含有共重合体(C-2成分)が挙げられる。かかる共重合体を形成するスチレン系単量体化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレン等を用いることができる。さらに、これらの化合物と共重合可能な他の化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等、を共重合成分として使用しても差し支えない。特に好適なC−2成分の具体例としては、スチレン(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)−スチレン−アクリロニトリル共重合体が例示される。
【0105】
また、他の好適なC成分としては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリエーテルエステル共重合体(C-3成分)がある。このポリエーテルエステル共重合体は、ジカルボン酸、アルキレングリコール及びポリ(アルキレンオキシド)グリコール並びにこれらの誘導体3から重縮合を行うことで製造される重合体である。かかるC-3成分として特に好適なものは、重合度10〜120のポリ(アルキレンオキシド)グリコールあるいはその誘導体、テトラメチレングリコールを65モル%以上含有するアルキレングリコールあるいはその誘導体及びテレフタル酸を60モル%以上含有するジカルボン酸あるいはその誘導体から製造される共重合体である。
【0106】
<D成分について>
本発明のD成分である二酸化チタンについて説明する。D成分の二酸化チタンはアナターゼ型、ルチル型の何れでもよく、それらは必要に応じて混合して使用することもできる。初期の機械特性や、乾熱性や耐光性などの長期耐久性の点でより好ましいのはルチル型である。尚、ルチル型結晶中にアナターゼ型結晶を含有するものでもよい。更に二酸化チタンの製法は硫酸法、塩素法、その他種々の方法によって製造された物を使用できるが、塩素法がより好ましい。また本発明の二酸化チタンは、特にその形状を限定するものではないが粒子状のものがより好適である。平均粒径は0.01〜0.4μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましく、0.15〜0.25μmが更に好ましい。尚、平均粒子径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン系)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリテックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
【0107】
D成分である二酸化チタンは、表面をアルミナなど無機物で処理されているものが使用でき、その処理には、格別の方法を採用する必要はなく、任意の方法によって行われる。処理によって付与される量については、少なすぎると要求される高い反射特性が得られ難く、多すぎるとポリカーボネート樹脂の分子量低下や物性低下が生じるようになるので、表面処理された二酸化チタン微粉末中1〜15重量%の範囲になる量が好ましい。
【0108】
二酸化チタンの表面処理はアルミニウムの酸化物以外にも、シリコン、チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズ、亜鉛などの各種金属の酸化物も使用可能である。中でもシリコン、すなわちSiO2による表面処理が好適である。またかかる表面処理は高密度な処理および低密度(多孔質)な処理の何れも選択できる。
【0109】
更にD成分の二酸化チタンは有機化合物で表面処理されていることが望ましい。有機化合物の適度な表面処理は、分散性を良好にし耐熱性を向上させることにより、より良好な光高反射性や耐衝撃性を樹脂組成物に与える。
【0110】
かかる表面処理剤としては、アミン類化合物を主成分とする表面処理剤、シリコーン化合物を主成分とする表面処理剤、ポリオール化合物を主成分とする表面処理剤などの各種処理剤を使用することができる。アミン類化合物を主成分とする表面処理剤としては、例えばトリエタノールアミンおよびトリメチロールアミンなどのアルカノールアミン、および該アミンと有機酸との塩などが挙げられる。シリコーン化合物を主成分とする表面処理剤としては、例えばアルキルクロロシラン(トリメチルクロロシランなど)、アルキルアルコキシシラン(メチルトリメトキシシランなど)、各種シランカップリング剤、およびアルキルハイドロジェンポリシロキサン(メチルハイドロジェンポリシロキサンなど)などが挙げられる。ポリオール化合物を主成分とする表面処理剤としては、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、およびトリメチロールプロパンなどが挙げられる。なかでも、アルキルアルコキシシラン、各種シランカップリング剤、並びにアルキルハイドロジェンポリシロキサンで被覆したものが熱安定性や色相が良好である点で好ましい。殊にアルキルハイドロジェンポリシロキサンで被覆した二酸化チタンが好適に使用される。
【0111】
表面処理される有機化合物の量は、D成分100重量%当り1重量%以下が好ましく、0.6重量%以下が更に好ましく、0.4重量%以下が更に好ましい。一方下限としては0.05重量%以上が挙げられる。表面処理は、使用される有機化合物を二酸化チタンをマイクロナイザーやジェットミルなどの流体エネルギー粉砕機で粉砕する際に有機化合物またはその溶解液や分散液を添加して行うことができる。更にかかる粉砕において、有機化合物を予め気化させ気流式粉砕機の気流に混合して行うことができる。更に粉砕後の二酸化チタンをスーパーミキサーなどの高せん断力攪拌型混合機を用いて均一に混合して行うこともできる。尚、有機化合物の表面処理は、本発明の樹脂組成物を原料を溶融混練などして混合し組成物を製造する際に別途添加し、結果として二酸化チタン表面に処理がなされる態様であってもよい。
【0112】
次に各成分の組成割合について説明する。B成分の層状珪酸塩はA成分100重量部あたり、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜15重量部であり、更に好ましくは0.5〜10重量部であり、特に好ましくは1〜9重量部である。B成分のかかる組成割合が前記下限より少ないときには、層状珪酸塩の効果が不十分となりやすい。したがって高剛性を得る上で不十分となる。B成分のかかる組成割合が前記上限より多いときには、組成物の光高反射機能が低下する場合があり、また耐熱性や熱安定性の低下により色相が悪化して好ましくない場合がある。
【0113】
C成分のA成分の芳香族ポリカーボネートと親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物の組成割合は、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは0.5〜20重量部であり、更に好ましくは1〜12重量部である。前記範囲においては層状珪酸塩の良好な微分散および熱安定性の向上が達成される。よって高剛性、および熱安定性においてより優れた光高反射性樹脂組成物が提供される。熱安定性の向上は光高反射成形品の色相も良好とする。
【0114】
D成分の二酸化チタンは、A成分100重量部あたり、3〜30重量部であり、好ましくは3〜25重量部であり、更に好ましくは5〜20重量部であり、特に好ましくは7〜18重量部である。かかるD成分の組成割合が前記範囲にある場合に好ましい光高反射性が得られ、また樹脂組成物の比重も低いため製品の軽量化において好ましい。
【0115】
<炭素フィラーについて>
更に本発明の光高反射性樹脂組成物には、遮光性を更に向上させるため、極少量の炭素フィラーを含むことができる。かかる炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然および人工のいずれも含み、更にウイスカーを含む)、カーボンファイバー(気相成長法によるものを含む)、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単独でまたは2種以上併用して使用することができる。
【0116】
ここでカーボンブラックは、特に製造方法、原料種等に制限はなく、例えばオイルファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ランプブラック、ローラーブラック、ディスクブラック等のいずれも使用できる。また、カーボンブラックのストラクチャー、粒径、比表面積、着色力、DBP吸油量、揮発分、pH等の特性についても特に制限はないが、ストラクチャーが顕著に発達したものは成形加工性や成形品の表面外観に不利となる場合があるため、好ましいのはオイルファーネスブラックやチャンネルブラックである。またかかる好ましいカーボンブラックにおいてもHCC、HCF、MCF、LFF、RCFなどいずれのタイプも使用可能であるが、より好ましいのはHCF、MCF、LFFなどである。またpH値は7以下であるものがより好適であり、2〜6の範囲が更に好ましい。カーボンブラックは単独でまたは2種以上併用して使用することができる。
【0117】
上記炭素フィラーの原料形態は特に制限されるものでなく、炭素フィラーのみの粉体形態のほか、オイル中に分散された形態、バインダー樹脂によって顆粒化された形態、およびポリカーボネート樹脂や他の樹脂中に高濃度で溶融混練したマスターバッチの形態など各種の態様のものが使用可能である。
【0118】
炭素フィラー(F成分)は本発明の光高反射性樹脂組成物中、0.1〜15ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.3〜10ppmの範囲がより好ましく、0.5〜6ppmの範囲が更に好ましい。上記の範囲内においては、光高反射性を有しかつ極めて良好な遮光性が得られる。
【0119】
<その他の成分について>
本発明の樹脂組成物は、A成分である前記芳香族ポリカーボネート、B成分である前記層状珪酸塩、およびD成分である前記二酸化チタンにて構成され、よりこのましくは更に前記C成分にて構成されるが、さらに、所望により付加的成分として、A成分、C成分以外の重合体やその他の添加剤を加えても差し支えない。かかる重合体としては、前記C成分以外のスチレン系樹脂、および芳香族ポリエステル樹脂等を例示することができる。
【0120】
かかるスチレン系樹脂としては、ポリスチレン(PS)(シンジオタクチックポリスチレンを含む)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)が好ましく使用され、なかでもABS樹脂が最も好ましい。これらスチレン系樹脂2種以上混合して使用することも可能である。
【0121】
芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等の他、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエチレンテレフタレート(いわゆるPET−G)、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレートのような共重合ポリエステルも使用できる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートが好ましい。また、成形性及び機械的性質のバランスが求められる場合、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートが好ましく、さらに重量比でポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートが2〜10の範囲のブレンドや共重合体が好ましい。芳香族ポリエステル樹脂の分子量については特に制限されないが、o−クロロフェノールを溶媒として35℃で測定した固有粘度が0.4〜1.2、好ましくは0.6〜1.15である。
【0122】
さらに本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、前記スチレン系樹脂や芳香族ポリエステル樹脂以外の非晶性熱可塑性樹脂や結晶性熱可塑性樹脂を含むことができる。また、必要に応じ、難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、シリコーン系難燃剤等)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、染料、帯電防止剤、流動改質剤、無機及び有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等)、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤、及び蛍光増白剤等を配合してもよい。特に難燃剤としては、特開平9−176471号に開示されたホスフェートオリゴマー化合物が好適である。ホスフェートオリゴマーの配合量はA成分100重量部当たり1〜25重量部が好適であり、2〜20重量部がより好適である。
【0123】
前記染料類としては、好ましい染料としてはペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などが例示される。更にアンスラキノン系染料、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、チオキサントン系染料等に代表される各種の蛍光染料が例示される。また蛍光増白剤としては、ビスベンゾオキサゾリル−スチルベン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル−ナフタレン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル−チオフェン誘導体及びクマリン誘導体等の蛍光増白剤が例示される。かかる染料および蛍光増白剤の配合は、特定の波長を選択的に反射し、他の波長の光の影響を最小限に抑制する必要のある場合に好適である。殊に蛍光増白剤は可視光の反射率を高めることが可能であるため、反射する光の色相が目的に適えば配合が好ましい場合が多い。
【0124】
本発明の光高反射性樹脂組成物は、リン含有熱安定剤を含むことが好ましい。かかるリン含有熱安定剤としてはトリメチルホスフェート等のリン酸エステル、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト及びビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル、並びにテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等の亜ホスホン酸エステル等が例示される。かかるリン含有熱安定剤は全組成物100重量%中0.001〜1重量%を含むことが好ましく、0.01〜0.5重量%を含むことがより好ましく、0.01〜0.2重量%を含むことがさらに好ましい。かかるリン含有熱安定剤の配合によりさらに熱安定性が向上し良好な成形加工特性を得ることができる。
【0125】
<樹脂組成物の調製及び成形>
本発明の光高反射性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機に代表される多軸押出機が好ましい。かかる多軸押出機を用いることにより強力なせん断力で層状珪酸塩は基体樹脂中に微分散させられる。
【0126】
さらに、本発明の光高反射性樹脂組成物の溶融混練機による溶融混練において次の態様がより好適である。すなわち、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩(B成分)と、A成分の芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(C成分)、殊に好適にはカルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C-1成分)とを予め溶融混練しておく。その後該溶融混練物と、A成分の芳香族ポリカーボネート並びにD成分の二酸化チタンとを溶融混合する。D成分は必要に応じてサイドフィーダーなどを用いて多軸押出機の途中から溶融した樹脂中に供給することもできる。かかる溶融混練方法は層状珪酸塩の微分散を達成し、更に芳香族ポリカーボネートの熱安定性を向上させ、良好な光反射特性が得られるため好ましい。
【0127】
もちろん他の混合方法によっても本発明の効果は発揮される。例えばA成分とD成分との樹脂組成物のペレットとB成分とC成分とを予め溶融混練したペレットとを成形加工機(例えば射出成形機)に同時に供給して成形加工機中において混合する製造方法が挙げられる。
【0128】
かくして本発明によれば、(C)芳香族ポリカーボネートと親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(C成分)100重量部および(B)50〜200ミリ当量/gの陽イオン交換容量を有しかつその陽イオン交換容量の少なくとも40%が有機オニウムイオンでイオン交換されている層状珪酸塩(B成分)1〜100重量部よりなる、二酸化チタンをを含有する樹脂の物性強化のための樹脂添加剤が提供される。
【0129】
この樹脂添加剤においてC成分はスチレン−無水マレイン酸共重合体であることが好ましい。またこの樹脂添加剤は芳香族ポリカーボネート樹脂またはそれを50重量%以上含有する樹脂100重量部当たり二酸化チタン3〜30重量部を含有する樹脂組成物に配合するために有利に利用される。
【0130】
本発明の樹脂組成物の有利な製造法は、より具体的には、例えば、(i)B成分とC成分をベント式二軸押出機にて溶融混練しペレット化したものを、再度A成分と溶融混練する方法や、(ii)B成分とC成分をベント式二軸押出機の主供給口より投入し、A成分の一部または全部を二軸押出機の途中段階に設けられた供給口から、B成分とC成分が既に溶融混練された状態の中へ投入する方法などが挙げられる。これらB成分とC成分を予め溶融混練する方法においては、その溶融混練時に、A成分の一部を含んでいても構わない。更に前記(i)および(ii)のいずれの場合においても二酸化チタンは押出機のスクリュー根元部分から樹脂原料などと供給されることもでき、また押出機の途中の位置から供給されることもできる。
【0131】
<樹脂組成物の特性>
本発明の光高反射性樹脂組成物から形成された成形品は、良好な剛性を有し、良好な表面外観(表面平滑性)を有し、さらに良好な熱安定性を有する。従って、この樹脂組成物からの成形品は、実用上問題のない幅広い成形加工条件の下で製造され、かつ良好な剛性及び良好な表面外観を有する。
【0132】
より具体的には、本発明によれば、その表面のJIS B0601に準拠して測定された算術平均粗さRaの値が0.1μm以下、かつASTM D790に準拠して測定された曲げ弾性率の値が、樹脂組成物を構成しているA成分のみより形成された成形品の曲げ弾性率の値の1.2倍以上であるポリカーボネート樹脂成形品を提供することができる。曲げ弾性率の値は、樹脂組成物を構成しているA成分のみより形成された成形品の曲げ弾性率の値に比べて、好ましくは1.3〜3倍、より好ましくは1.4〜2.8倍になる。かくして本発明の光高反射性樹脂組成物からの成形品の曲げ弾性率の値は2,500MPa以上、より好ましくは2,800MPa以上であり、さらに好ましくは3,000MPa以上である。一方、その上限は8,000MPaが適切であり、7,000MPaが好ましく、6,000MPaがより好ましい。
【0133】
本発明の光高反射性樹脂組成物は、通常、前述の如く製造されたペレットを射出成形することで各種の成形品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、及び超高速射出成形等の射出成形法を用いて成形品を得ることができる。また成形はコールドランナー方式及びホットランナー方式のいずれも選択することができる。
【0134】
本発明の光高反射性樹脂組成物からなる成形品は、射出成形法より製造され、その金型温度が前記A成分のTgに対し、Tg−25〜Tg(℃)の範囲であることが好ましい。射出成形時の金型温度を前記範囲とすることによって、より精密な転写による極めて平滑な表面が形成され、例えば精密部品におけるミラーなどに好適な特性が得られる。上記金型温度のさらに好ましい範囲は、Tg−20〜Tg−5(℃)である。
【0135】
また本発明の樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で樹脂成形品とすることもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより中空成形品として樹脂成形品とすることも可能である。
【0136】
さらに、本発明の光高反射性樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルム等に成形して使用することもできる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の光高反射性樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により中空成形品とすることも可能である。
【0137】
本発明の光高反射性樹脂組成物からなる成形品は、既に述べたように特に表面の平滑性が優れているが、その利点を利用して表面改質を施すことにより、平滑性に優れた表面改質成形品を得ることができる。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、スパッタリング、コーティング、塗装、印刷等により樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、これら表面改質では、改質される樹脂成形品の表面平滑性が、改質後の表面性に大きな影響を与えるが、本発明による樹脂組成物を使用すると、表面平滑性に優れた成形品を得ることができる。一般にこれらの表面改質は、表面修飾や機能付与だけでなく、樹脂成形品の表面平滑性等を高める目的で施されることもあり、表面の平滑性や平坦性が悪いと改質の厚さを大きくとる必要があるが、本発明の樹脂組成物を用いた成形品では、薄い厚みにて効率よく改質することができる。すなわち、表面改質層の厚みが50μm以下で本発明の効果を十分発揮されるので、そのような厚みが好ましい。表面改質層の厚みは20μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、2μm以下がさらに好ましい。厚みの下限値としては0.001μm以上が適切である。
【0138】
さらに、本発明の光高反射性樹脂組成物の成形品単体におけるJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さRaに対して、かかるRaの500倍以内の厚みで表面改質を行うと、本発明の光高反射性樹脂組成物の利点が生かされる。更にかかる厚みは、より好ましくは成形品単体のRaの200倍以内であり、更に好ましくは100倍以内であり、特に好ましくは50倍以内である。
【0139】
本発明において好ましい表面改質方法は、蒸着、メッキ等の改質厚みの小さい手法であり、殊に金属層又は金属酸化物層が積層されていることが好ましい。なお、表面改質は成形品の一部及び全部のいずれも可能である。このため、本発明の光高反射性樹脂組成物は、前記の特性を生かし樹脂材料として従来使用できなかった部品に用途展開が可能である。殊に従来ガラス成形品又は金属の精密切削品でなければ達成できなかった極めて高い表面平滑性・平坦性と剛性が要求される用途に適している。例えば、本発明の光高反射性樹脂組成物はミラ−用途として使用可能である。かかる用途としては例えばプロジェクター装置やカメラなど光学精密機器内に配されるミラー、レーザー式複写・印刷装置等に配されるポリゴンミラー等が例示される。更に他の用途としては、各種ランプリフレクターが挙げられ、例えば蛍光灯など照明灯用の反射板、液晶表示装置など各種表示装置のバックライト用反射板、スイッチ類用の反射板、LEDアレイ用の反射板、並びに上記の機能が複合した反射板などが例示される。
【0140】
すなわち、本発明によれば、本発明の光高反射性樹脂組成物より形成された光反射機能材が提供される。より好適には本発明によれば、(1)その表面のJIS B0601に準拠して測定された算術平均粗さRaの値が0.1μm以下(より好ましくは0.01〜0.1μm)であって、(2)ASTM D790に準拠して測定された曲げ弾性率の値が、樹脂組成物を構成しているA成分のみより形成された成形品の曲げ弾性率の値の1.2倍以上(より好ましくは13〜3倍、更に好ましくは1.4〜2.8倍)であり、更に(3)厚み2mmの板状成形品をカラーコンピューターを用いて測定された450〜800nmの間の光線反射率の最小値が87%以上(より好ましくは88〜92%の範囲)である光反射機能材が提供される。更にかかる光反射機能材のより好適な曲げ弾性率の値は2,500MPa以上、より好ましくは2,800MPa以上であり、さらに好ましくは3,000MPa以上である。一方、その上限は8,000MPaが適切であり、7,000MPaが好ましく、6,000MPaがより好ましい。
【0141】
かかる光機能反射材は、本発明の樹脂組成物単体からなるものであっても、上記の如く金属層または金属酸化物層に代表される表面改質層を有するものであってもよい。
【0142】
一方、本発明の光高反射性樹脂組成物は、上記の如く良好な光反射機能材を提供するものであるが、本発明の樹脂組成物は光反射機能を必要としない用途にも当然に使用可能である。例えば良好な剛性、寸法安定性、および遮光性のみが求められる用途に使用可能であり、かかる用途の具体例としては例えばICカードなどの各種カードの用途が例示される。その他本発明の光高反射性樹脂組成物は、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、銘板、及び雑貨等の各種用途にも有用である。
【0143】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明を具体的に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。なお、評価は下記の(I)〜(IV)の方法により行った。また、例中において単に“部”とあるは、特に断らない限り、重量部を意味する。
(I)曲げ弾性率
ASTM D790に従い、6.4mm厚の試験片を用いて23℃での曲げ弾性率を測定した。測定は5点行い、その平均値を取った。
(II)光反射率
射出成形より得られた見本板(長さ90×幅50×厚み2mm)を、カラーコンピューター(東京電色製TC−1800MK−II)により測定した。波長450nm〜850nmにおける最も低い反射率の値で評価した。
(III)遮光性
JIS K7361−1に従い、射出成形より得られた見本板(長さ90×幅50×厚み1mm)の全光線透過率を、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製HR−100)により測定した。
(IV)成形品の算術平均粗さ(Ra)
半径60mm、厚み1.2mmのコンパクトディスク基板と同一のゲート構造を有する円盤状ミラー成形品を射出成形し、かかる円盤状ミラー成形品の算術平均粗さ(Ra)を、JIS B0601-1994に準拠して、表面粗さ形状測定機((株)東京精密製:サーフコム1400A)を用い、中央から外周へ40mm離れたところで測定した。
【0144】
[実施例1〜4、6および7、比較例1〜
一部の実験例(比較例1〜)においては、後掲の表1に記載した各成分を同表に記載した配合割合でポリエチレン袋中に量り入れ、かかる袋を上下方向および左右方向に十分に回転させることにより、各成分を均一にドライブレンドした。なお、全ての実験例において、A成分100重量部に対して、トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製:「TMP」)0.1重量部、ホスホナイト系熱安定剤(Sandoz社製:「サンドスタブP−EPQ」)0.05重量部、クマリン系蛍光増白剤(ハッコールケミカル(株)製:ハッコールPSR−B)、脂肪酸エステル0.1重量部(理研ビタミン(株)製:リケスターEW−400)、およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ケミプロ化成(株)製:「ケミソーブ79」0.2重量部を配合した。かかる配合には、A成分とこれらの配合剤とをその濃度が10重量%となるように配合し均一に混合したマスターを使用した。
【0145】
前記のドライブレンドされた混合物から押出機を用いて溶融混練しペレットを製造した。押出機としてスクリュー直径30mのベント付2軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30XSST;完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を用い、排出量は20,000g/hrに設定した。押出温度は全ての区間を250℃とし、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaとした。前記の方法を表1中“方法1”と称する。尚、組成物に下記に示すFRを含むものについては、液注装置を用いて、ベント口手前の注入孔から所定量を注入した。
【0146】
一方、他の実験例(実施例1〜4、6、および7)においては、B成分とC成分を前記と同様の装置を用いて溶融混練し一旦ペレット化(シリンダー温度200℃)した後に、かかるペレットとA成分等の他の成分とを混合する方法によって、前記と同様の装置および条件にてペレットを作成した。かかる方法を表1中“方法2”と称する。
【0147】
得られたペレットを100℃で5時間熱風循環式乾燥機により乾燥した後、前記評価(I)〜(III)に使用する所定の試験片を射出成形機[住友重機械工業(株)SG−150U]を用いて作成した。成形条件はシリンダ温度270℃、金型温度80℃、射速30mm/秒、および保圧50MPa前後とした。一方評価(IV)に使用する所定の試験片は、射出成形機(名機製作所(株)製:M35B−D−DM)によりシリンダー温度310℃、金型温度130℃、成形サイクル40秒の条件で射出成形し(但し実施例6のみシリンダー温度290℃、金型温度105℃)、半径60mm、厚み1.2mmの円盤状成形品成形した。これらについての評価結果を表1に示す。
【0148】
更に、表1記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(A成分)
PC−1:粘度平均分子量19,700のビスフェノールA型芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂パウダー(帝人化成(株)製 パンライトL−1225WX)
〔PC−2〕:下記方法により製造された4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称)および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“BTC”と略称)からなる共重合芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂パウダー
〔PC−2の製造法〕:温度計および撹拌機付き反応器にイオン交換水22600部および48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液2700部を仕込み、これにBPM2518部およびBTC2001部およびハイドロサルファイト10部を溶解した後、塩化メチレン14121部を加えて激しく撹拌しながら25℃でホスゲン1631部を約40分かけて吹込み反応させた。ホスゲン吹き込み終了後、反応系の温度を28℃に上げてp−tert−ブチルフェノール90.0部を加えて乳化させた後、トリエチルアミン3部を加えて1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところでニーダーにて塩化メチレンを蒸発させることにより、BPMとBTCのモル比が53:47である無色の共重合芳香族ポリカーボネートパウダー4600部を得た。このパウダーの粘度平均分子量は14,500であった。
【0149】
(B成分)
〔B−1〕:トリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロライドでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(コープケミカル(株)製:「ソマシフ MTE」、合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)
〔B−2〕:下記製法で製造されたトリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロライドで陽イオン交換容量の55%分がイオン交換された有機化合成フッ素雲母(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)
〔B−2の製造法〕:合成フッ素雲母(コープケミカル(株)製「ソマシフ ME−100」)約100部を精秤してこれを室温の水(イオン交換水)10 ,000部に撹拌分散し、ここに前記オニウムイオンのクロライド(トリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロライド)を合成フッ素雲母の陽イオン交換当量に対して0.8倍当量を添加して6時間撹拌した。生成した沈降性の固体を濾別し、次いで30,000部のイオン交換水中で撹拌洗浄後再び濾別した。この洗浄と濾別の操作を各3回行った。得られた固体は5日の風乾後乳鉢で粉砕し、さらに50℃の温風乾燥を10時間行い、再度乳鉢で最大粒径が100μm程度となるまで粉砕した。かかる温風乾燥により窒素気流下120℃で1時間保持した場合の熱重量減少で評価した残留水分量が3重量%とし、B−2を得た。
〔B−3〕:下記製法で製造されたジメチルジ−n−デシルアンモニウムクロライドイオンでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)
〔B−3の製造法〕:前記B−2の製造法において、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロライドに代えて、ジメチルジ−n−デシルアンモニウムクロライドを合成フッ素雲母の陽イオン交換当量に対して1.2倍当量を添加した以外は、前記B−2の場合と同様にして製造した。
【0150】
なお、表1中に示す樹脂組成物全量中におけるB成分の無機分の割合(重量%)は、B成分中に占める無機分の割合と樹脂組成物中のB成分の配合量とから計算で求めた値である。
(C成分)
C−1:スチレン−無水マレイン酸共重合体(ノヴァケミカルジャパン(株)製:DYLARK 332−80、無水マレイン酸量約15重量%)
C−2:(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)−スチレン−アクリロニトリル共重合体((株)日本触媒製:EPOCROS RAS−1005、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン量約5重量%)
(D成分)
Ti−1:二酸化チタン(石原産業(株)製:タイペークPC−3)
Ti−2:下記方法により製造した二酸化チタン
(Ti−2の製造)
二酸化チタン(石原産業(株)製:タイペークCR−93)100重量部と、アルキルアルコキシシラン化合物(信越化学(株)製:KBM−3103)2重量部をスーパーミキサーにより均一に混合し、該アルキルアルコキシシラン化合物で二酸化チタンの表面処理を行った。
(その他の成分)
CB:カーボンブラック(三菱化学(株)製:三菱カーボンブラック#970)FR:ホスフエートオリゴマー(大八化学工業(株)製:CR−741)
TA:造粒形態のタルク(林化成(株)製「UPN HS−T0.8」)
【0151】
【表1】
Figure 0004229679
【0152】
上記表から明らかなように、本発明の光高反射性樹脂組成物は、良好な剛性、光反射特性、遮光性、および表面平滑性を同時に満足することができ、かかる特性は従来の樹脂組成物からは困難な特性であった。
【0153】
【発明の効果】
本発明の光高反射性樹脂組成物は、高剛性、良好な遮光性、および良好な表面平滑性を有する光高反射性の樹脂組成物であり、特に表面平滑性が要求されるレーザー光などの光路を変化させる用途においても適用可能である。各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、および雑貨などの幅広い分野において有用であり、その奏する産業的価値は極めて高い。

Claims (6)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部、(B)50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩(B成分)0.1〜20重量部、(C−1)カルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)0.1〜50重量部、および(D)二酸化チタン(D成分)3〜30重量部よりなり、かつB成分とC−1成分とを予め溶融混練した後に、該溶融混練物とA成分および残りの成分とを溶融混練して調製されたものであることを特徴とする光高反射性樹脂組成物。
  2. 前記B成分は、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつその陽イオン交換基の少なくとも40%が有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の光高反射性樹脂組成物。
  3. 前記B成分における有機オニウムイオンは下記一般式(I)で示されることを特徴とする請求項に記載の光高反射性樹脂組成物。
    Figure 0004229679
    〔上記一般式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わす。また、R〜Rは互いに同一もしくは相異なる有機基を表わし、その少なくとも1つは炭素原子数6〜20のアルキル基または炭素原子数6〜12のアリール基であり、残りの基は炭素原子数1〜5のアルキル基である。〕
  4. 前記B成分における有機オニウムイオンは、上記一般式(I)において、RおよびRがそれぞれ同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、Rが炭素原子数1〜16のアルキル基、Rが炭素原子数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項に記載の光高反射性樹脂組成物。
  5. 前記C−1成分は、スチレン−無水マレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光高反射性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の光高反射性樹脂組成物より形成された光反射機能材。
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