JP4229525B2 - 水素を燃料とする機器への水素供給システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水素を燃料とする機器への水素供給システム、特に、水素を燃料とする機器に水素を供給すべく、アルコール、ガソリン等の原料から水素を生成する改質器を備えた水素供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の水素供給システムとしては、改質器の応答遅れによる燃料電池への水素供給量の不足分を充足すべく、水素吸蔵材としての水素吸蔵合金を有する水素貯蔵装置を備えたものが知られている(例えば、特開平2−56866号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
水素吸蔵材としては、水素を吸蔵し易く、また吸蔵水素を放出し易いものが理想的であるが、現在、知られている水素吸蔵材は、水素を吸蔵し易いものは水素を放出しにくく、一方、水素を吸蔵しにくいものは水素を放出し易い、といったように理想からはほど遠い性質を有する。
【0004】
このような状況下において、従来の水素吸蔵装置に、例えば、水素を放出しにくい水素吸蔵材を用いた場合には改質器の応答遅れ等による水素供給量の不足分を迅速に充足することができず、一方、水素を吸蔵しにくい水素吸蔵材を用いた場合には、吸蔵量不足から前記水素供給量の不足分を充足することができない、というおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、機器の要求水素量を改質器により充足することができない時、その要求水素量を迅速に充足し得る前記水素供給システムを提供することを目的とする。
【0006】
前記目的を達成するため本発明によれば、水素を燃料とする機器に水素を供給すべく、原料から水素を生成する改質器を備えた水素供給システムにおいて、前記改質器により生成された水素を吸蔵し、且つ放出することが可能な水素貯蔵器を有し、その水素貯蔵器は、第1の水素吸蔵材を備えた第1貯蔵部と、第2の水素吸蔵材を備えた第2貯蔵部とを有し、両水素吸蔵材において、水素の吸蔵し易さに関しては前記第1の水素吸蔵材が前記第2の水素吸蔵材に比べて優れており、一方、吸蔵水素の放出し易さに関しては前記第2の水素吸蔵材が前記第1の水素吸蔵材に比べて優れており、前記第1貯蔵部に前記改質器からの水素を一旦吸蔵させ、次いでその吸蔵水素を放出して得られた水素を前記第2貯蔵部に吸蔵させ、前記機器の要求水素量を前記改質器により充足することができない時、その要求水素量を充足すべく、前記第2貯蔵部より吸蔵水素を放出させる、水素を燃料とする機器への水素供給システムが提供される。
【0007】
例えば、機器の休止中において改質器を作動させ、その改質器で生成された水素を第1貯蔵部に吸蔵させる。この水素の吸蔵は第1の水素吸蔵材が水素を吸蔵し易い性質を有するので、スムーズに、且つ十分に行われる。
【0008】
第1吸蔵部から第2吸蔵部への水素の移送において、第1吸蔵部からの吸蔵水素の放出は、第1の水素吸蔵材が水素を放出しにくい性質を持つことを考慮して、その第1の水素吸蔵材の温度を加熱により高めることによって行われ、これにより高圧な放出水素が得られる。第2貯蔵部における第2の水素吸蔵材は水素を吸蔵しにくい性質を有するが、第1吸蔵部からの放出水素は高圧であるため第2貯蔵部に十分に吸蔵される。
【0009】
そして、機器の運転開始時には、第2貯蔵部より水素を放出させて機器に供給する。この放出水素の供給は、機器の運転開始時に同時に始動させた改質器が定常状態に到るまで行われる。第2貯蔵部からの水素の放出は、第2の水素吸蔵材が水素を放出し易い性質を有するので、迅速に且つ十分に行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示す水素供給システム1は、水素を燃料とする機器としての燃料電池2を電源とする電気自動車に搭載される。
【0011】
水素供給システム1において、改質器3は、アルコール、ガソリン等の原料から水素を生成するもので、その生成された水素を燃料電池2に供給すべく、その供給口4が燃料電池2の入口5に供給管6を介して接続される。燃料電池2の出口7は排出管8を介して改質器3の燃焼系に接続され、これにより燃料電池2の排ガス中の可燃成分が燃焼されて、その発生熱は改質器3における改質反応に用いられる。この改質反応には、燃料電池2、改質器3、モータ等が発生する熱も利用される。
【0012】
供給管6において、その改質器3側に第1三方弁3V1 が、またその燃料電池2側に第2三方弁3V2 がそれぞれ装置される。第1三方弁3V1 の第1,第2ポートp1,p2は供給管6の上流側と下流側とにそれぞれ接続され、また第2三方弁3V2 の第1,第2ポートp1,p2も、前記同様に供給管6の上流側と下流側とにそれぞれ接続される。
【0013】
調湿器10は加湿機能および除湿機能を有するもので、その一端側に第1連通口11を、また他端側に第2連通口12をそれぞれ有する。第1連通口11は導管13を介して第1三方弁3V1 の第3ポートp3に接続される。その導管13には第3三方弁3V3 が装置されており、その第1,第2ポートp1,p2は導管13の第1三方弁3V1 側と調湿器10側とにそれぞれ接続され、第3ポートp3は導管17を介して第2三方弁3V2 の第3ポートp3に接続される。また第2連通口12は導管14を介して水素貯蔵器15の入口側に接続される。その導管14に第4三方弁3V4 が装置されており、その第1,第2ポートp1,p2は導管14の調湿器10側と水素貯蔵器15の入口側とにそれぞれ接続され、第3ポートp3は導管16を介して水素貯蔵器15の出口側に接続される。供給管6における第2三方弁3V2 よりも下流側と、導管17とが、別の導管18を介して接続され、その導管18に第1二方弁2V1 が装置される。
【0014】
水素貯蔵器15は、改質器3により生成された水素を第1三方弁3V1 、第3三方弁3V3 、調湿器10および第4三方弁3V4 を介し供給されてそれを吸蔵し、またその吸蔵水素を放出して第4三方弁3V4 、調湿器10、第3三方弁3V3 および第2三方弁3V2 を介し、または第4三方弁3V4 、調湿器10、第3三方弁3V3 および第1二方弁2V1 を介してそれぞれ燃料電池2に供給することができる。その水素貯蔵器15は、第1の水素吸蔵材MH1 を備えた第1貯蔵部151 と、第2の水素吸蔵材MH2 を備えた第2貯蔵部152 とを有する。第1,第2の水素吸蔵材MH1 ,MH2 としては水素吸蔵合金または炭素材が用いられる。第1の水素吸蔵材MH1 のプラトー領域を示す温度は第2の水素吸蔵材MH2 のそれよりも高く、したがって改質器3からの比較的高温な水素の吸蔵し易さに関しては第1の水素吸蔵材MH1 が第2の水素吸蔵材MH2 に比べて優れているが、常温下での吸蔵水素の放出し易さに関しては第2の水素吸蔵材MH2 が第1の水素吸蔵材MH1 に比べて優れている。つまり、両水素吸蔵材MH1 ,MH2 において、水素吸蔵特性に関しては、同一温度・同一圧力下では第1の水素吸蔵材MH1 が第2の水素吸蔵材MH2 に比べて水素吸蔵の平衡圧が低く、一方、水素放出特性に関しては、同一温度・同一圧力下では第2の水素吸蔵材MH2 が第1の水素吸蔵材MH1 に比べて水素放出の平衡圧が高いのである。実施例では第1の水素吸蔵材MH1 はAB5系合金、例えばMmNi4.9 Al0.1 合金よりなり、また第2の水素吸蔵材MH2 はAB5系合金、例えばMmNi4.77Al0.23合金よりなる。各化学式において、Mmはランタン系ミッシュメタルを意味する。
【0015】
第1貯蔵部151 は、第1の水素吸蔵材MH1 を内蔵した1つ以上、図示例では2つの第1,第2タンク(吸蔵タンク)T1 ,T2 を備え、両タンクT1 ,T2 の入口19間を接続する導管20に第5三方弁3V5 が装置される。第5三方弁3V5 の第1,第2ポートp1,p2は導管20の第1,第2タンクT1 ,T2 側にそれぞれ接続され、また第3ポートp3は、第4三方弁3V4 を装置された導管14に接続される。両タンクT1 ,T2 の出口21間は導管22により接続され、その導管22に第6三方弁3V6 が装置される。第6三方弁3V6 の第1,第2ポートp1,p2は導管22における第1,第2タンクT1 ,T2 側にそれぞれ接続され、また第3ポートp3は導管23を介して排出管8に接続される。
【0016】
第2貯蔵部152 は第2の水素吸蔵材MH2 を内蔵した1つ以上、図示例では1つの第3タンク(放出タンク)T3 を備える。第1,第2タンクT1 ,T2 の出口21間を接続する導管22において、第1タンクT1 および第6三方弁3V6 間に、別の導管24の一端が接続され、その他端は第3タンクT3 の入口19に接続される。その導管24に第7三方弁3V7 が装置され、第7三方弁3V7 の第1,第2ポートp1,p2は導管24の第1,第3タンクT1 ,T3 側にそれぞれ接続される。また第1,第2タンクT1 ,T2 の出口21間を接続する導管22において、第2タンクT2 および第6三方弁3V6 間に、別の導管25の一端が接続され、その他端は第7三方弁3V7 の第3ポートp3に接続される。第3タンクT3 の出口21に導管26を介して第2二方弁2V2 が接続され、その第2二方弁2V2 に導管16が接続される。なお、実施例では第1〜第3タンクT1 〜T3 の水素吸蔵容量は略等しい。
【0017】
調湿器10は第1貯蔵部151 の水素吸蔵性を向上させるべく、改質器3からの水素に除湿処理を施し、また燃料電池2の発電性能を向上させるべく、放出水素に加湿処理を施す。必要に応じて、調湿器10に、改質器3からの水素に含まれた炭酸ガス、酸素等の不純ガス成分を除去する機能を持たせることができる。図中、Vは逆止弁である。
【0018】
(1) 例えば、翌朝において電気自動車の走行を確実に開始させるためには、夜間駐車中であって、燃料電池2の運転休止中に次のような水素貯蔵作業を行う。便宜上、作業開始前においては水素貯蔵器15の第1〜第3タンクT1 〜T3 は空(カラ)状態であるとする。各図面において、「E」は空状態を、また「F」は充填状態(満状態)を、さらに「<F/E」は水素が放出されて、空ではないが充填状態でもない状態(<F)か、または空状態(E)にあることをそれぞれ示す。
【0019】
(1)−a 図1に示すように、第7三方弁3V7 を切換えて、第1貯蔵部151 の第1タンクT1 →第7三方弁3V7 →第2貯蔵部152 の第3タンクT3 の経路を遮断する。また第2二方弁2V2 を切換えて、第3タンクT3 →第2二方弁2V2 →第4三方弁3V4 の経路を遮断する。
【0020】
この状態において、第1,第3,第4,第5,第6三方弁3V1 ,3V3 ,3V4 ,3V5 ,3V6 を切換えて、改質器3→第1三方弁3V1 →第3三方弁3V3 →調湿器10→第4三方弁3V4 →第5三方弁3V5 →第1タンクT1 →第6三方弁3V6 →排出管8の経路を確立させる。そして改質器3を作動させ、その改質器3で生成された比較的高温な水素を調湿器10を経て第1貯蔵部151 の第1タンクT1 に吸蔵させる。この水素の吸蔵は第1の水素吸蔵材MH1 が改質器3からの比較的高温な水素を吸蔵し易い性質を有するので、スムーズに、且つ十分に行われる。第1の水素吸蔵材MH1 に吸蔵されなかった過剰の水素は排出管8を経て改質器3の燃焼系に導かれ、そこで燃焼されて、その発生熱は改質器3における改質反応に用いられる。また水素に含まれ、且つ第1の水素吸蔵材MH1 に吸蔵されない炭酸ガス等の不純ガス成分は第1タンクT1 の出口21を通じて排出管8に排出されるので、第1タンクT1 内における不純ガス成分の濃度上昇が回避される。この第1タンクT1 への水素の貯蔵は、そのタンクT1 が充填状態(満状態)となるまで行う。
【0021】
(1)−b 第1貯蔵部151 の第1タンクT1 から第2貯蔵部152 の第3タンクT3 への水素の移送に当っては、図2に示すように、第5,第6三方弁3V5 ,3V6 を切換えて、調湿器10→第4三方弁3V4 →第5三方弁3V5 →第1タンクT1 →第6三方弁3V6 →排出管8の経路を遮断すると共に、第7三方弁3V7 を切換えて、第1タンクT1 →第7三方弁3V7 →第3タンクT3 の経路を確立させる。第1タンクT1 からの吸蔵水素の放出は、常温下における第1の水素吸蔵材MH1 の水素を放出しにくい性質を考慮して、その第1の水素吸蔵材MH1 の温度を加熱により60℃以上に高めることによって行われ、これにより高圧な放出水素が得られる。第3タンクT3 における第2の水素吸蔵材MH2 は、第1タンクT1 からの比較的高温な放出水素を吸蔵しにくい性質を有するが、その放出水素は高圧でもあるため第3タンクT3 に十分に吸蔵される。この場合、改質器3による生成水素を燃焼させて、その燃焼熱により第1の水素吸蔵材MH1 を加熱することが可能である。
【0022】
また第5,第6三方弁3V5 ,3V6 の切換えにより、改質器3→第1三方弁3V1 →第3三方弁3V3 →調湿器10→第4三方弁3V4 →第5三方弁3V5 第2タンクT2 →第6三方弁3V6 →排出管8の経路が確立されているので、改質器3で生成された水素が第2タンクT2 に吸蔵される。
【0023】
(1)−c 図3に示すように、第3タンクT3 が充填状態となり、一方、第1タンクT1 が空状態となったとき、第7三方弁3V7 を切換えて第1タンクT1 →第7三方弁3V7 →第3タンクT3 の経路を遮断する。また第2タンクT2 が充填状態となったとき、第5,第6三方弁3V5 ,3V6 を切換えて、再び、改質器1→第1三方弁3V1 →第3三方弁3V3 →調湿器10→第4三方弁3V4 →第5三方弁3V5 →第1タンクT1 →第6三方弁3V6 →排出管8の経路を確立させて第1タンクT1 に水素を吸蔵させる。
【0024】
(2) 電気自動車の走行開始時、つまり燃料電池2の運転開始時には、図4に示すように、第2,第3三方弁3V2 ,3V3 および第1二方弁2V1 の切換えによって、調湿器10→第3三方弁3V3 →第2三方弁3V2 →燃料電池2の経路が確立されると共に第1二方弁2V1 が導管18を遮断している状態において、第4三方弁3V4 および第2二方弁2V2 を切換えて第3タンクT3 →第2二方弁2V2 →第4三方弁3V4 →調湿器10の経路を確立させる。これにより第2貯蔵部152 、つまり第3タンクT3 より水素が放出されて燃料電池2に供給される。この放出水素の供給は燃料電池2の運転開始時に同時に始動させた改質器3が定常状態に到るまで行われる。燃料電池2の運転に伴い電気自動車が走行する。第3タンクT3 からの水素の放出は、第2の水素吸蔵材MH2 が常温下で水素を放出し易い性質を有するので、約25℃でスムーズに、且つ十分に行われる。
【0025】
この間に、第1三方弁3V1 を切換えて改質器3→第1三方弁3V1 →第3三方弁3V3 →調湿器10の経路を遮断し、一方、改質器3→第1三方弁3V1 →第2三方弁3V2 の経路を確立させておく。
【0026】
(3) 改質器3が定常状態に到ったとき、図5に示すように第2三方弁3V2 を切換えて、改質器3→第1三方弁3V1 →第2三方弁3V2 →燃料電池2の経路を確立させる。これにより電気自動車の走行が継続される。また第2二方弁2V2 を切換えて、第3タンクT3 →第2二方弁2V2 →第4三方弁3V4 →調湿器10の経路を遮断すると共に第7三方弁3V7 を切換えて、第2タンクT2 →第7三方弁3V7 →第3タンクT3 の経路を確立させる。これにより、水素を第2タンクT2 から第3タンクT3 に移送することができる。
【0027】
図6に示すように、第3タンクT3 が充填状態となり、一方、第2タンクT2 が空状態となったとき、第7三方弁3V7 を切換えて第2タンクT2 →第7三方弁3V7 →第3タンクT3 の経路を遮断する。また第5,第6三方弁3V5 ,3V6 を切換えて、第5三方弁3V5 →第2タンクT2 →第6三方弁3V6 →排出管8の経路を確立させる。
【0028】
(4) 電気自動車の加速時、つまり燃料電池2の高出力時には、改質器3の応答遅れにより、その改質器3の水素供給量が燃料電池2の要求水素量に満たなくなる。この場合には、図7に示すように第1,第2二方弁2V1 ,2V2 を切換えて、第3タンクT3 →第2二方弁2V2 →第4三方弁3V4 →調湿器10→第3三方弁3V3 →第1二方弁2V1 →燃料電池2の経路を確立させ、改質器3による水素供給量の不足分を第3タンクT3 からの放出水素により充足する。
【0029】
改質器3からの水素供給量が燃料電池2の要求水素量を満たしたとき、図6に示したごとく、第1,第2二方弁2V1 ,2V2 を切換えて、前記経路、つまり第3タンクT3 →……→燃料電池2の経路を遮断する。第3タンクT3 における水素消費量は第1タンクT1 からの水素の移送により充足される。
【0030】
(5) 電気自動車の減速時には、図6の状態から図8に示すように、第1,第3,第4三方弁3V1 ,3V3 ,3V4 を切換えて、改質器3→第1三方弁3V1 →第3三方弁3V3 →調湿器10→第4三方弁3V4 →第5三方弁3V5 →第2タンクT2 →第6三方弁3V6 →排出管8の経路を確立させ、これにより改質器3の応答遅れによる余剰水素を第2タンクT2 に吸蔵させる。第2タンクT2 が充填状態となれば、余剰水素は第1タンクT1 に充填される。
【0031】
なお、水素貯蔵器15の第1,第2貯蔵部151 ,152 において、必要に応じ、タンクの数を実施例の場合よりも増すか、或は第1,第2の吸蔵材MH1 ,MH2 の量を増して、それら貯蔵部151 ,152 の水素吸蔵能力(水素吸蔵容量)を増大させることが行われる。また水素を燃料とする機器としては、燃料電池の外に内燃機関を挙げることができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、前記のような手段を採用することによって、機器の要求水素量を改質器により充足することができない時、その要求水素量を迅速に充足することが可能な水素供給システムを提供することができる。
【0033】
請求項2記載の発明によれば、前記のような手段を採用することによって、余剰水素の無駄を防止すると共にそれを有効に利用することが可能な水素供給システムを提供することができる。
【0034】
請求項3記載の発明によれば、前記のような手段を採用することによって、過剰の水素だけでなく、水素中に含まれ、且つ第1の水素吸蔵材には吸蔵されない炭酸ガス等の不純ガス成分を出口を通じてタンク外に排出し、これにより不純ガス成分のタンク内における濃度上昇に伴う水素充填速度の低下等の不具合を解消することが可能な水素供給システムを提供することができる。
【0035】
請求項4記載の発明によれば、前記のような手段を採用することによって、タンクから排出された水素の有効利用を図ることが可能な水素供給システムを提供することができる。
【0036】
請求項5記載の発明によれば、前記のような手段を採用することによって、第1の水素吸蔵材を加熱するための燃料を別に用意する必要のない、経済的な水素供給システムを提供することができる。
【0037】
請求項6記載の発明によれば、前記のような手段を採用することによって、機器の要求水素量を改質器により充足することができない時、その要求水素量を迅速に充足することが可能な水素供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 燃料電池の運転休止中において、第1タンクに水素を充填している状態を示す水素供給システムの説明図である。
【図2】 第1タンクから第3タンクへ水素を移送し、また第2タンクに水素を充填している状態を示す水素供給システムの説明図である。
【図3】 第1タンクに再び水素を充填している状態を示す水素供給システムの説明図である。
【図4】 燃料電池の運転開始状態を示す水素供給システムの説明図である。
【図5】 電気自動車が走行し、また第2タンクから第3タンクへ水素を移送している状態を示す水素供給システムの説明図である。
【図6】 電気自動車が走行し、また第2タンクに再び水素を充填し得る状態を示す水素供給システムの説明図である。
【図7】 電気自動車の加速状態を示す水素供給システムの説明図である。
【図8】 電気自動車の減速状態を示す水素供給システムの説明図である。
【符号の説明】
1 水素供給システム
2 燃料電池(機器)
3 改質器
15 水素貯蔵器
151 ,152 第1,第2貯蔵部
MH1 ,MH2 第1,第2の水素吸蔵材
Claims (6)
- 水素を燃料とする機器(2)に水素を供給すべく、原料から水素を生成する改質器(3)を備えた水素供給システムにおいて、前記改質器(3)により生成された水素を吸蔵し、且つ放出することが可能な水素貯蔵器(15)を有し、その水素貯蔵器(15)は、第1の水素吸蔵材(MH1 )を備えた第1貯蔵部(151 )と、第2の水素吸蔵材(MH2 )を備えた第2貯蔵部(152 )とを有し、両水素吸蔵材(MH1 ,MH2 )において、水素の吸蔵し易さに関しては前記第1の水素吸蔵材(MH1 )が前記第2の水素吸蔵材(MH2 )に比べて優れており、一方、吸蔵水素の放出し易さに関しては前記第2の水素吸蔵材(MH2 )が前記第1の水素吸蔵材(MH1 )に比べて優れており、前記第1貯蔵部(151 )に前記改質器(3)からの水素を一旦吸蔵させ、次いでその吸蔵水素を放出して得られた水素を前記第2貯蔵部(152 )に吸蔵させ、前記機器(2)の要求水素量を前記改質器(3)により充足することができない時、その要求水素量を充足すべく、前記第2貯蔵部(152 )より吸蔵水素を放出させることを特徴とする、水素を燃料とする機器への水素供給システム。
- 前記改質器(3)の生成水素量が前記機器(2)の要求水素量を上回ったとき、その余剰分を前記第1貯蔵部(151 )に吸蔵させる、請求項1記載の水素を燃料とする機器への水素供給システム。
- 前記第1貯蔵部(151 )において、前記第1の水素吸蔵材(MH1 )を内蔵したタンク(T1 ,T2 )は、水素を受容するための入口(11)の外に出口(12)を有する、請求項1または2記載の水素を燃料とする機器への水素供給システム。
- 前記タンク(T1 ,T2 )から排出された水素を、前記改質器(3)の燃料として用いる、請求項3記載の水素を燃料とする機器への水素供給システム。
- 前記第1貯蔵部(151 )から前記第2貯蔵部(152 )へ水素を移送する際に、前記改質器(3)による生成水素を燃焼させて、その燃焼熱により前記第1の水素吸蔵材(MH1 )を加熱する、請求項1,2,3または4記載の水素を燃料とする機器への水素供給システム。
- 水素を燃料とする機器(2)に水素を供給すべく、原料から水素を生成する改質器(3)を備えた水素供給システムにおいて、前記改質器(3)により生成された水素を吸蔵し、且つ放出することが可能な水素貯蔵器(15)を有し、その水素貯蔵器(15)は、第1の水素吸蔵材(MH1 )を備えた第1貯蔵部(151 )と、第2の水素吸蔵材(MH2 )を備えた第2貯蔵部(152 )とを有し、両水素吸蔵材(MH1 ,MH2 )において、水素吸蔵特性に関しては、同一温度・同一圧力下では前記第1の水素吸蔵材(MH1 )が前記第2の水素吸蔵材(MH2 )に比べて水素吸蔵の平衡圧が低く、一方、水素放出特性に関しては、同一温度・同一圧力下では前記第2の水素吸蔵材(MH2 )が前記第1の水素吸蔵材(MH1 )に比べて水素放出の平衡圧が高く、前記第1貯蔵部(151 )に前記改質器(3)からの水素を一旦吸蔵させ、次いでその吸蔵水素を放出して得られた水素を前記第2貯蔵部(152 )に吸蔵させ、前記機器(2)の要求水素量を前記改質器(3)により充足することができない時、その要求水素量を充足すべく、前記第2貯蔵部(152 )より吸蔵水素を放出させることを特徴とする、水素を燃料とする機器への水素供給システム。
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