JP4229367B2 - 成型用紙 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、飲料用紙コップ、ヨーグルト容器、冷凍食品容器、アイスクリーム容器、弁当箱等の食品包装用の成型材料に用いられる伸張紙を基紙とした成型用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料用紙コップ、ヨーグルト容器、冷凍食品容器、アイスクリーム容器、弁当箱等の食品包装用の容器の成型に、プレス成型、圧空・真空成型による立体成型が可能な成型用紙として、伸張紙を基紙とした成型用紙が知られている。
【0003】
このような容器の成型に使用される成型用紙は、一般に、基紙の両面に熱可塑性樹脂層が積層され、耐水性及び耐油性が付与されている。しかしながら、容器の端面や打ち抜き加工部分(ストローの差口等)は、内容物、結露水等の液体に暴露されることにより、液体が基紙に浸透してしまう場合がある。
【0004】
このような事態を防止する手段として、一般飲料用カップ成型用紙では、ステキヒドサイズ度を500秒以上に高めることにより断面浸透を防止することが知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、他の手段として、紙コップのような、打ち抜いた紙片を張り合わせて加工する容器では、紙コップブランクスの側縁をそり落して傾斜面を形成し、その中央で折り曲げて片面のフイルム層を他面に巻上げ、これを紙コップ胴部の内側に面するようにすることにより液体の浸透を防止する方法が知られている(例えば特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−101190号公報
【0007】
【特許文献2】
特開昭55−164143号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に開示された方法では、使用時間が1時間程度の紙コップでは液体の浸透防止が可能であるが、ヨーグルトカップのような食品包装材料用途では、充填から消費までの期間が1週間以上と長いため対応できないといった問題があった。また、前記特許文献2に開示された方法では、プレス成型による連続立体成型が特徴である伸張紙を基紙とした成型用紙には適用できないといった問題があった。
【0009】
本発明の目的とするところは、液体内容物あるいは結露水に長時間暴露した際にも、断面からの液体の浸透を抑えることが可能な成型用紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、JIS P 8113に規定された引張破断伸びにおいて、縦方向及び横方向の伸びが10%以上の伸張紙を基紙とし、該基紙の最外面と最内面に熱可塑性樹脂層が積層された成型用紙であって、前記基紙には、下記一般式で表されるアルキルケテンダイマーを0.15重量%以上含有し、1辺の長さが40mmの正方形とした前記成型用紙の試験片を23℃、1重量%クエン酸水溶液に2時間浸漬したとき、重量増加率が10重量%未満である耐断面浸透性を有するものであることを特徴とする。
【化1】
(ただし、R1、R2は炭素数18以上の直鎖または分岐のアルキル基)
【0011】
このような耐断面浸透性を有する成型用紙で成型された容器では、断面が液体内容物あるいは結露水に長時間暴露した際においても、断面からの液体の浸透が抑えられる。そして、前記基紙には、炭素数18以上の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルキルケテンダイマーを0.15重量%以上含有するので、撥水効果が大きくなり、耐断面浸透性が容易に得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る成型用紙の実施の形態の一例を説明する。
本例の成型用紙は、JIS P 8113に規定された引張破断伸びにおいて、縦方向及び横方向の伸びが10%以上の伸張紙を基紙とし、該基紙の最外面と最内面に熱可塑性樹脂層が積層された成型用紙であって、1辺の長さが40mmの正方形とした前記成型用紙の試験片を23℃、1重量%クエン酸水溶液に2時間浸漬したとき、重量増加率が10重量%未満である耐断面浸透性を有するものである。
【0015】
前記重量増加率が10重量%未満である耐断面浸透性を有するものとしたのは次の理由による。容器断面から水の浸透した距離が2.0mmを越えると、一般に需要者からの重大なクレームの対象になることを前提として、本発明において、耐断面浸透性の目標として、断面からの浸透距離を2.0mm未満とした。しかしながら、浸透距離は、部分的に長短があり客観的評価には適さないため、標準液の浸透に伴う重量変化から目標値を設定し、断面からの浸透距離を2.0mm未満をクリアできる重量変化による重量増加率を10重量%未満に設定した。
【0016】
そして、前記の重量変化による重量増加率は、前記伸張紙を基紙とし、該基紙の最外面と最内面に熱可塑性樹脂層が積層された成型用紙を、1辺の長さが40mmの正方形に形成して試験片とし、酸性食品に相当する酸性液を標準液とし、この標準液として濃度1重量%のクエン酸水溶液を用いて、前記試験片を23℃の条件で2時間浸漬した際の重量増加率によって評価した。
【0017】
標準液としてクエン酸水溶液を用いたのは、クエン酸水溶液は、水より浸透し易いので、中性の飲料物、水、結露水に対する耐水性については、十分にカバーできることによる。
【0018】
前記試験片の大きさを一辺が40mmの正方形としたのは、食品用カップのヒートシール加工部の長さに相当するする大きさとして求めた。断面からのクエン酸水溶液の浸透した距離の許容範囲を2.0mm未満としたとき、この目標は、基紙の密度を0.75g/cm3、基紙の浸透時の膨潤率を20%として、クエン酸水溶液の浸透による重量増加率を10重量%未満にすることにより達成される。
【0019】
このような耐断面浸透性を有する成型用紙で成型された容器では、断面を液体内容物あるいは結露水に長時間暴露した際においても、断面からの液体の浸透が抑えられる。
【0020】
前記条件下で重量増加率が10重量%未満である耐断面浸透性を有する前記成型用紙の基紙には、下記一般式で表されるアルキルケテンダイマーを0.15重量%以上含有する。
【0021】
【化1】
(ただし、R1、R2は炭素数18以上の直鎖または分岐のアルキル基)
アルキルケテンダイマーの撥水性は、アルキル基R1、R2に依存しており、それらの炭素数が多いほど撥水効果は大きく、両者とも炭素数が18以上の直鎖または分岐のアルキル基であれば、本発明の目的としている酸性水溶液に対する耐断面浸透性が容易に得られることが明らかになった。また、R1、R2のいずれか1つでも炭素数が18未満の場合には、本発明の目的としている耐断面浸透性を得ることは困難である。
【0022】
アルキルケテンダイマーの添加量は、対パルプ重量当たり0.15重量%以上0.75重量%以下であることが好ましい。添加量が多くなるほど耐断面浸透性は良好となるが、0.75重量%を超えて添加しても耐断面浸透性の向上は頭打ちであり、経済的に無意味である。このことから、炭素数18以上の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルキルケテンダイマーを0.15重量%以上含有すると、撥水効果が大きくなり、前記耐断面浸透性が容易に得られる。
【0023】
次に、前記成型用紙を構成する伸張紙からなる基紙と、前記耐断面浸透性を得るために前記基紙に対する撥水処理について詳細に説明する。
前記基紙は、JIS P 8113に規定された引張破断伸びにおいて、縦方向及び横方向の伸びが10%以上の伸張紙からなっている。更に具体的には、クレープ紙、クルパック紙、あるいは特表平11−509276号公報に記載されているような収縮付与装置によって収縮処理して縦方向及び横方向の伸び特性が同時に付与された紙が伸張紙として挙げられる。
【0024】
このような収縮付与装置について具体的に述べると、紙中水分を20〜50%に調整した湿紙を、ロール周面に周方向に沿った溝をロールの幅方向に所定の間隔をあけて設けた金属ロールとロール周面が平坦なゴムロールから成り、加圧下で前記金属ロールの周速度に対して前記ゴムロールの周速度を遅くして回転するようにしたプレスロールから成る収縮付与装置に通紙して紙匹を収縮させ、処理後に乾燥することによって、縦方向及び横方向の引っ張り破断伸びが15〜50%である伸張紙を得ることができる。
【0025】
この収縮付与装置において、金属ロールの周方向に沿った溝は、ロール幅方向に0.5〜3.0mmの間隔で、幅0.3〜1.5mm、深さ0.5〜2.0mmであることが好ましい。また、金属ロールとゴムロールとの線圧は10〜70kg/cmの範囲が好ましく、ゴムロールの周速が金属ロールの周速に対して50〜95%であることが好ましい。
【0026】
本発明の成型用紙を構成する基紙に用いられるパルプには、針葉樹または広葉樹から得られるクラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、ケナフ、竹、麻等から得られる非木材繊維を適宜配合することが可能である。
【0027】
本発明の基紙においては、酸性食品の収容を考えると、酸性液体の浸透を防ぐ必要がある。液体の浸透を抑えるためには、水が浸透可能な細孔径を小さくする、連続細孔容積を小さくする、撥水性を高くする等の対策が有効である。
【0028】
細孔径を小さくすること、あるいは連続細孔容積を小さくすることに関しては、原料パルプの濾水度が大きな支配因子となる。パルプの濾水度がCSF450mlを超えると、紙層構造が粗くなるため、本発明が目標としている耐断面浸透性が得られない。しかしながら、叩解を進めると耐断面浸透性の点では有利であるが、紙器原紙は、200g/m2以上の高坪量が必要とされるのでCSF250ml未満では、単層抄紙は困難となる。
【0029】
従って、本発明においてはCSF250ml以上450ml以下のパルプを使用することが好ましい。また、原料パルプの混合濾水度がCSF250ml以上450ml以下であれば、CSF250ml未満のパルプやCSF450mlを超えるパルプを適宜配合することも可能である。
【0030】
また、本発明は伸びが良好な成型用紙に耐断面浸透性を付与することを目的としている。伸びを付与するには、基紙シートを剪断力により収縮させる必要があるが、剪断力によりパルプ繊維が畳み込まれるため、基紙シート内部の空隙の粗密は大きくなる。耐断面浸透性を向上させるにはこの空隙を小さくすることが必要である。
【0031】
液体の浸透に際して、パルプ間の繊維間結合が切断されることにより膨潤が起こり、細孔径が拡大する現象も耐断面浸透性を制御する上で重要な支配因子である。膨潤を抑える具体的な方法としては、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂に代表される湿潤紙力増強剤を添加することにより、吸水による基紙の膨潤を抑える方法が有効である。
【0032】
基紙の撥水性に関しては、内添サイズ剤の選択が大きな支配因子となる。内添サイズ剤としては、前記したアルキル基の炭素数が18以上のアルキルケテンダイマーを用いることが望ましい。ロジン系サイズ剤を用いた場合でも、ステキヒドサイズ度600秒以上の高度なサイズ性を得ることが可能であるが、低pH条件下ではサイズ性が低下するため、本発明の目的としている酸性水溶液に対するサイズ効果が不十分であるために適当ではない。一方、アルキルケテンダイマーは、低pH条件下でも十分な撥水性を示すため、本発明の目的とする低pH水溶液に対する高度なサイズ性が期待できる。
【0033】
本発明の成型用紙を構成する基紙は、パルプに前記のアルキルケテンダイマーからなるサイズ剤の他に、湿潤紙力増強剤等を添加した紙料を、抄紙機にて湿式抄紙することにより製造することができる。抄紙にあっては、単層抄き紙に比べて多層抄き紙は叩解を進めた原料を用いることが可能なため、緻密な紙層構造が得られるので耐断面浸透性においては有利である。しかしながら、多層抄き紙の場合は、紙層間の強度が弱いため、成型加工時に層間で剥離してしまう欠点がある。従って、本発明の成型用紙の基紙は、単層抄き紙であることが好ましい。
【0034】
これらの方法で得られた基紙に、耐断面浸透性をさらに向上させるために、サイズプレスコーター又はカレンダーサイズを用いてポリビニルアルコール、澱粉、加工澱粉、スチレン・マレイン酸系共重合体、スチレン・アクリル酸系共重合体、ポリエチレンイミン等の表面サイズ剤を塗布して含浸させてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものでない。実施例及び比較例で作成した成型用紙について、耐断面浸透性、引っ張り破断伸びについて以下の方法で測定した。なお、実施例中の%は全て重量%、x/yはxとyの重量比を示す。
【0036】
<耐断面浸透性>
耐断面浸透性は、クエン酸水溶液に浸漬した時の重量増加率を以下の方法により測定し、評価した。成型用紙の基紙の坪量を測定し、基紙の両面を厚さ20μmのポリエステル粘着フィルムでラミネートして成型用紙とする。成型用紙を1辺40mmの正方形に切断して試料片とする。試料片の重量を測定した後、試料片を23℃、濃度1.0重量%クエン酸水溶液に2時間浸漬する。浸漬後、表面に付着した溶液を十分に拭き取った後に、試料片の重量を測定する。これらの測定結果を基に、次式からクエン酸水溶液に浸漬した時の重量増加率を算出し、これにて耐断面浸透性を評価した。
【0037】
重量増加率={(浸漬後の試料の重量−浸漬前の試料の重量/試料中の基紙の重量}×100
<引っ張り破断伸び>JIS P 8113に準拠して測定した。
【0038】
[実施例1]
広葉樹クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を50/50に配合したパルプをCSF350mlまで叩解して原料パルプとした。原料パルプスラリーにアルキル基の炭素数が18のアルキルケテンダイマーを対パルプ当たり0.35%、エピクロルヒドリンポリアミド系樹脂(商品名:WS570、日本PMC(株)製)を対パルプ当たり0.2%、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック130、日食製)を対パルプ当たり0.5%添加した後、炭酸ナトリウムでpH7.5に調整して原料スラリーとした。この原料をフォードリニア式長網抄紙機で抄紙し、続いて、速度差を付けた溝付き金属ロールとゴムロールによりシートをニップ処理した。溝付き金属ロールは、直径500mmのロール円周上に1.25mm間隔で、深さ0.8mmの螺子を切削した構造となっている。ゴムロールは、直径500mmのコアロールに、ショア硬度A60のNBRを厚さ30mm巻きつけた構造である。ニップ処理のニップ線圧は、50kg/cmである。速度差は、金属ロールに比べてゴムロールを20%遅くする。この処理によって得られた紙匹を、多筒式ドライヤで乾燥しカレンダーサイズプレスにより、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセサイズP700、日本合成化学(株)製)とスチレン・マレイン酸系共重合体(商品名:PM351、荒川化学工業(株)製)を重量比5.0/2.5に配合したサイズプレス液を塗布量0.5g/m2となるように塗工して、坪量300g/m2の基紙を得た。この基紙の伸びは、縦方向22%、横方向18%であった。クエン酸水溶液に浸漬した時の重量増加率は5.0%であった。
【0039】
[実施例2]
LBKPとNBKPを50/50に配合したパルプをCSF250mlまで叩解して原料パルプとした。原料パルプスラリーにアルキル基の炭素数が18のアルキルケテンダイマーを対パルプ当たり0.6%、エピクロルヒドリンポリアミド系樹脂(商品名:WS570、日本PMC(株)製)を対パルプ当たり0.2%、カチオン化デンプン(商品名:ネオタック130、日食製)を対パルプ当たり0.5%添加した後、炭酸ナトリウムでpH7.5に調整して原料スラリーとした。この原料をフォードリニア式長網抄紙機で抄紙した。次いで、得られた紙匹を、ロールとエンドレスゴムベルトの間にニップするクルパック処理に供した。この処理によって得られた紙匹を、多筒式ドライヤにより乾燥して、カレンダーサイズプレスにより、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセサイズP700、日本合成化学(株)製)とスチレン・マレイン酸系共重合体(商品名:PM351、荒川化学工業(株)製)を5.0/2.5に配合したサイズプレス液を0.5g/m2塗工して、坪量300g/m2の紙器原紙を得た。この原紙の伸びは、縦方向20%、横方向10%であった。クエン酸水溶液に浸漬した時の重量増加率は5.0%であった。
【0040】
[比較例1]
LBKPとNBKPを50/50に配合したパルプをCSF350mlまで叩解して原料パルプとした。原料パルプスラリーにアルキル基の炭素数が18のアルキルケテンダイマーを対パルプ当たり0.60%、エピクロルヒドリンポリアミド系樹脂(商品名:WS570、日本PMC(株)製)を対パルプ当たり0.2%、カチオン化デンプン(商品名:ネオタック130、日食製)を対パルプ当たり0.5%添加した後、炭酸ナトリウムでpH7.5に調整して原料スラリーとした。この原料をフォードリニア式長網抄紙機で抄紙した。次いで、得られた紙匹をカレンダーサイズプレスにより、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセサイズP700、日本合成化学(株)製)とスチレン・マレイン酸系共重合体(商品名:PM351、荒川化学工業(株)製)を5.0/2.5に配合したサイズプレス液を0.5g/m2塗工して、坪量300g/m2の紙器原紙を得た。この原紙の伸びは、縦方向3.0%、横方向6.0%であった。クエン酸水溶液に浸漬した時の重量増加率は5.0%であった。
【0041】
[比較例2]
LBKPとNBKPを50/50に配合したパルプをCSF350mlまで叩解して原料パルプとした。原料パルプスラリーにアルキル基の炭素数が16のアルキルケテンダイマーを対パルプ当たり0.60%、エピクロルヒドリンポリアミド系樹脂(商品名:WS570、日本PMC(株)製)を対パルプ当たり0.2%、カチオン化デンプン(商品名:ネオタック130、日食製)を対パルプ当たり0.5%添加した後、炭酸ナトリウムでpH7.5に調整して原料スラリーとした。この原料をフォードリニア式長網抄紙機で抄紙し、続いて、実施例1と同様に速度差を付けた溝付き金属ロールとゴムロールによりシートをニップ処理した得られた紙匹を、多筒式ドライヤで乾燥して得られた紙匹をカレンダーサイズプレスにより、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセサイズP700、日本合成化学(株)製)とスチレン・マレイン酸系共重合体(商品名:PM351、荒川化学工業(株)製)を5.0/2.5に配合したサイズプレス液を0.5g/m2塗工して、坪量300g/m2の成型用紙原紙を得た。この原紙の伸びは縦方向22%、横方向18%であった。クエン酸水溶液に浸漬した時の重量増加率は16.5%であった。
【0042】
[比較例3]
LBKPとNBKPを85/15に配合したパルプをCSF400mlまで叩解して原料パルプとした。原料パルプスラリーにロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:サイズパインN755、荒川化学工業(株)製)を対パルプ当たり0.5%、エピクロルヒドリンポリアミド系樹脂(商品名:WS570、日本PMC(株)製)を対パルプ当たり0.2%、硫酸バンドを対パルプ当たり1.0%添加し、原料スラリーとした。この原料をフォードリニア式長網抄紙機で抄紙し、続いて、実施例1と同様に速度差を付けた溝付き金属ロールとゴムロールによりシートをニップ処理した得られた紙匹を、多筒式ドライヤで乾燥後、カレンダーサイズプレスにより、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセサイズP700、日本合成化学(株)製)とスチレン・マレイン酸酸系共重合体(商品名:PM351、荒川化学工業(株)製)を5.0/2.5に配合したサイズプレス液を0.5g/m2塗工して、坪量300g/m2の成型用紙原紙を得た。この原紙の伸びは、縦方向22%、横方向18%であった。クエン酸水溶液に浸漬した時の重量増加率は18.0%であった。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、縦方向及び横方向の伸びが10%以上の伸張紙を基紙とし、該基紙の最外面と最内面に熱可塑性樹脂層が積層された成型用紙であって、1辺の長さが40mmの正方形とした前記成型用紙の試験片を23℃、1重量%クエン酸水溶液に2時間浸漬したとき、重量増加率が10重量%未満である耐断面浸透性を有するので、プレス成型、圧空・真空成型により容器の立体成型が可能であるとともに、耐断面浸透性を有する成型用紙で成型された容器は、断面が液体内容物あるいは結露水に長時間暴露した際においても、断面からの液体の浸透を抑えることができる。
【0044】
そして、前記基紙には、炭素数18以上の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルキルケテンダイマーを0.15重量%以上含有するので、撥水効果が大きくなり、耐断面浸透性を容易に得ることができるものとなる。
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