JP4228708B2 - 多機能時計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常時刻を表示する針の他に、クロノグラフ時間、温度等の通常時刻以外の情報を表示する針を有する多機能時計に関する。
【0002】
【背景技術】
近年においては、デジタル式電子時計だけでなく、アナログ電子時計(指針式電子時計)に対しても、クロノグラフ、アラーム、タイマー等の時間情報や、温度、圧力、湿度等の情報を表示する多機能表示の要求が強く、色々な多機能アナログ時計が商品化されている。
これらの多機能アナログ時計においては、通常の時刻を表す時針、分針、秒針等の通常時刻表示用の指針(基本時計用指針)の他に、クロノグラフ用やアラーム用等の付加機能表示用の指針が設けられる。
このため、時計の時刻表示部内に、上記各指針を互いの針が干渉しないように配置する必要があった。なお、時刻表示部とは、文字板の周囲を保持するケース内周面等の見切部で区画され、前記文字板が視認される領域を意味する。
【0003】
このため、例えばクロノグラフ機能を有する多機能時計では、通常は、時刻表示部の中心(例えば、時刻表示部が平面円形の一般的な多機能時計では前記円の中心位置であり、平面矩形状の時刻表示部では各対角線の交点の位置であり、通常は文字板の重心位置に一致する)に、通常時刻を表示する時針、分針の各回転軸を配置し、さらにクロノグラフ機能の秒クロノグラフ針(秒CG針)の回転軸が同軸で配置されている。
また、時刻表示部の中心以外に回転軸が配置された針(副針)として、通常時刻の秒を表示する小秒針、クロノグラフの分クロノグラフ針(分CG針)、時クロノグラフ針(時CG針)が配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、時刻表示部の中心に回転軸を配置した指針を設けずに、通常時刻を表示する時針、分針、秒針を時計表示部の中心位置から下側(通常の時計で6時側)に配置し、1/10秒CG針を時計表示部中心位置から左側(通常の時計で9時側)に配置し、秒CG針を時計表示部中心位置から上側(通常の時計で12時側)に配置し、分CG針、時CG針を時計表示部中心位置から右側(通常の時計で3時側)に配置して、通常時刻表示部とクロノグラフ表示部が重ならないように配置しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−83991号公報
【特許文献2】
WO99/54792号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載のクロノグラフ機能付き電子時計は、通常時刻表示の針と、クロノグラフ表示の針とが重なっており、特に秒CG針と通常時刻表示の分針、時針が同軸で重なっているため、使用者が判別し難いという問題点がある。また、3つの指針が同軸に配置されているので、各指針を駆動するための輪列等も時刻表示部の中心部に重なり合うように配置されるため、電子時計の厚みが増してしまう問題がある。
【0007】
一方、上記特許文献2に記載されたクロノグラフ機能付き電子時計は、通常時刻表示部とクロノグラフ表示部が重ならないように独立しているため、使用者の判読性は向上している。しかしながら、各針の寸法が小さくなり、全体として各表示部が小さく見にくくなってしまうという問題がある。
【0008】
このような問題は、クロノグラフ機能付きの時計に限らず、アラーム、タイマー等の時間情報や、温度、圧力、湿度等の情報を表示する指針を有する多機能時計において共通する問題である。
【0009】
本発明の目的は、指針の視認性を向上でき、時計の厚みの増加を抑えることができる多機能時計を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の多機能時計は、文字板の外周に沿って配置される見切部により区画される時刻表示部内に配置され、かつ通常時刻を計時するための時針および分針と、前記時刻表示部内に配置され、かつ前記通常時刻以外の他の情報を指示する指針と、前記指針と異なる情報を指示する第2の指針を備え、前記指針は秒クロノグラフ針であり、前記第2の指針は分クロノグラフ針であり、前記指針の回転軸から指針先端までの長さ寸法Aは、前記分針の回転軸から分針先端までの長さ寸法Bよりも長く形成され、前記指針の回転軸と時針および分針の回転軸とは、前記時刻表示部の中心位置とは異なる位置に配置され、前記時針および分針の回転軸と前記指針の回転軸とは、分針の前記長さ寸法Bよりも長く、かつ指針の前記長さ寸法Aよりも短い距離だけ互いに離れた位置に配置され、前記第2の指針の回動軸から第2の指針先端までの長さ寸法Dは前記指針の前記長さ寸法Aよりも短く形成され、前記第2の指針の回動軸は他の針の回転軸とは異なる位置に独立して配置されているとともに、前記指針の回転軸および前記第2の指針の回動軸の間隔は、指針の前記長さ寸法Aよりも短い距離に設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、通常時刻を計時する時分針と、クロノグラフ時間、アラーム時間、温度、圧力等の通常時刻以外の情報を指示する指針とは、各回転軸が異なるように配置されているので、各指針と時分針とが独立して配置されて各針の指示を使用者が判読しやすくでき、その視認性を向上できる。
また、各指針と時分針とが別々の位置に配置されているので、各針を駆動するための輪列も互いに離して配置することができ、断面的な針の重なりや、各輪列の重なりも最小限で抑えることができる。従って、多くの針を備える多機能時計であっても、時計を薄型化することができる。
さらに、第2の指針を備え、各指針でクロノグラフ時間の秒および分を指示しているので、多機能時計において、最も多用されるクロノグラフ付時計を構成することができる。
【0012】
その上、前記指針の長さ(回転軸から針先端までの長さ寸法A)は、分針の長さ寸法Bよりも長くされているため、その指針のダイナミックな動作が表現でき、視認性も向上できる。この指針の長さは、指針の回転軸から時刻表示部の外周までの長さ寸法の最も短い長さを上限に制限される。但し、前記時針および分針の回転軸と前記指針の回転軸とは、分針の前記長さ寸法Bよりも長く、かつ指針の前記長さ寸法Aよりも短い距離だけ互いに離れた位置に配置されているため、つまり、指針の移動軌跡内に前記時分針の回転軸が配置されるように構成しているため、前記指針の長さを、前記特許文献2のように、指針の軌跡が時分針と重ならないように構成した場合に比べて、非常に長くすることができる。
このように指針の長さを長くできるので、通常時刻の視認性を低下させることなく、前記指針の視認性を向上でき、各情報の確認が容易な時計を構成することができる。すなわち、時分針は、両針の位置関係から概略の時刻を読み取ることができるため、必ずしもその針の指示する目盛等を確認する必要はない。このため、指針がある程度小さくてもその時刻情報を読み取ることができる。これに対し、クロノグラフ時間や圧力値等の他の情報を指示する指針は、対応する目盛位置を読んで指示情報を確認する必要がある場合が多く、その指示情報を確認する上で、指針自体を長く(大きく)形成し、目盛間隔を大きくできれば、視認性を向上することができる。
【0013】
本発明では、前記指針の回転軸と、前記時針および分針の回転軸とは、時刻表示部の中心位置を挟んで互いに反対方向に偏心した位置に配置されていることが好ましい。
前記指針の回転軸が時刻表示部の中心位置に配置されている場合に、時分針を前記回転軸に干渉しないように配置するには、時分針の針の長さは、時刻表示部の中心から外周までの半径の半分以下に抑える必要がある。
これに対し、本発明では、前記時分針の回転軸を、時刻表示部の中心位置に対して前記指針の回転軸とは反対側に配置しているので、指針の回転軸が時刻表示部の中心位置に配置されている場合に比べて時分針の針の長さをより長くすることができ、通常時刻の視認性もより向上できる。
【0014】
ここで、前記指針の回転軸は、時刻表示部の中心から12時方向に偏心した位置に配置され、前記時針および分針の回転軸は、時刻表示部の中心から6時方向に偏心した位置に配置されていることが好ましい。
ここで、12時方向とは、通常時刻を指示する時分針の回転軸から、その通常時刻の12時を示す目盛に向かう方向を、前記時刻表示部の中心からの方向に対応させた場合の方向を意味する。6時方向も同様である。
指針および時分針が上下方向(12時および6時を結ぶ方向)にずれていれば、各針の配置バランスが良く、意匠性に優れた時計にできる。
【0015】
本発明では、前記時刻表示部内に配置されて通常時刻を計時するための秒針を備え、前記秒針の回転軸から秒針先端までの長さ寸法Cは指針の前記長さ寸法Aよりも短く形成され、前記秒針の回転軸は他の針の回転軸とは異なる位置に独立して配置されているとともに、前記指針の回転軸および前記秒針の回転軸の間隔は、秒針の前記長さ寸法Cよりも長く、かつ指針の前記長さ寸法Aよりも短い距離に設定されていることが好ましい。
【0016】
通常時刻の秒針を、時分針や前記指針とは別に配置すれば、通常時刻の秒を容易に視認でき、かつ、断面的な針の重なりや、各輪列の重なりも最小限で抑えることができて時計を薄型化することができる。
【0019】
ここで、前記指針の回転軸および前記第2の指針の回動軸の間隔は、第2の指針の前記長さ寸法Dよりも短い距離に設定され、かつ前記第2の指針は、一定角度範囲内のみで回動駆動可能に構成されていることが好ましい。
本発明では、第1の指針の軌跡は他の針と一部重なるように構成されているので、第1の指針以外の針は、第1の指針の回転軸に干渉しないように配置する必要がある。この際、前記時分針や秒針のように、これらの針の長さ寸法よりも各回転軸間の距離を離すことで、時分針や秒針が回転しても前記指針の回転軸に干渉しないようにすることもできる。
一方、本発明のように、一定角度範囲内のみで回動可能に構成した場合には、その駆動範囲に前記第1の指針の回転軸が含まれないように設定すれば、第2の指針の回動軸を第1の指針の回転軸に近接して配置しても、第2の指針が第1の指針に衝突することを防止できる。その上、時刻表示部の範囲内に各針を納めるために、回転しても第1の指針の回転軸に衝突しないようにする必要がある場合には、それらの針の長さをあまり長くすることができないが、これらの針に比べて回動角度範囲で衝突を防止する第2の指針の長さ寸法Dは比較的大きくでき、視認性をより向上できる。
【0020】
本発明では、前記第2の指針の回動軸は、時刻表示部の中心から略2時方向に偏心した位置に配置され、前記指針の回転軸は、時刻表示部の中心から12時方向に偏心した位置に配置され、前記時針および分針の回転軸は、時刻表示部の中心から6時方向に偏心した位置に配置されているとともに、回転軸が前記時刻表示部の中心から略10時方向に偏心した位置に配置されて通常時刻を計時するための秒針を備えているものでもよい。
【0021】
このように各針がレイアウトされていれば、各針の配置バランスが良く、意匠性を向上できるとともに、各針を駆動する輪列なども分散して配置できてムーブメントにおける各部品の配置が容易になり、省スペース化を図ることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の多機能時計の実施形態であるクロノグラフ付時計1の表外観が示されている。
このクロノグラフ付時計1は、図1のA−A線からD−D線までの各断面線に沿った断面図である図2〜4にも示すように、透光性のガラス2を通して視認可能な文字板3部分からなる時刻表示部4を備えている。すなわち、時刻表示部4は、文字板3の周囲に配置されるガラス保持リング5の内周面(見切り面)5Aの内側に区画形成されている。このため、本実施形態では、時刻表示部4は正面略円形に区画形成され、前記ガラス保持リング5により時刻表示部4を区画形成する見切部が構成されている。
【0024】
[1.指針のレイアウト構成]
図1に示すように、クロノグラフ付時計1は、時刻表示部4に配置された通常時刻表示用の時針11、分針12、秒針13と、通常時刻以外の他の情報であるクロノグラフ時間を示す秒クロノグラフ針(秒CG針)14、分クロノグラフ針(分CG針)15とを備えている。
また、時計1の3時方向の側面には通常時刻を修正するための外部操作部材であるりゅうず17が配置され、2時方向には、秒CG針14、分CG針15をスタート、ストップ操作をするためのスタート・ストップボタン18が配置され、4時方向には秒CG針14、分CG針15を帰零するためのリセットボタン19が配置されている。
【0025】
ここで、図6にも示すように、時針11、分針12の回転軸12Aは同軸とされ、時刻表示部4の中心4Aに対してその回転軸12Aが6時方向(図6中下方)に離れた位置に設けられている。秒針13は、その回転軸13Aが前記中心4Aに対して略10時方向に離れた位置に配置されている。
【0026】
一方、秒クロノグラフ時間を示す秒CG針14は、その回転軸14Aが前記中心4Aに対して12時方向にわずかにずれた(偏心した)位置に配置されている。本実施形態では、偏心量d1は約1.5mmであるが、この偏心量d1は時計1のサイズ、デザイン等に応じて設定されるものであり、約1.5mmに限定されるものではない。
また、分クロノグラフ時間を表示する分CG針15は、中心4Aに対してその回転軸15Aが略2時方向に離れた位置に配置されている。
【0027】
文字板3には、通常時刻を示す時分用の目盛3Aと、秒用の目盛3Bと、秒クロノグラフ時間を示す目盛3Cと、分クロノグラフ時間を示す目盛3Dとが形成されている。各目盛3A〜3Dは、各指針11〜15の針先の軌跡に対応して設けられている。このため、目盛3Cは、時刻表示部4に対して12時側に偏心して設けられている。
【0028】
各針11〜14は、通常の時計と同様に時計回りに回転されるが、分CG針15のみは扇形の目盛り上を扇形に運針する。つまり、分CG針15は、図6に示す帰零状態(リセット状態)から時計回りに回転する。また、リセットボタン19を操作すると、分CG針15は、逆方向に回転して初期位置(リセット状態)に戻るようになっている。なお、本実施形態では、分クロノグラフは45分計となっており、サッカー、ラクビーなどの試合時間の計測なども可能になっている。
【0029】
ここで、分針12、秒針13、秒CG針14、分CG針15の各回転軸12A〜15Aから各針12〜15の先端までの長さ寸法をそれぞれL1〜L4とすると、秒CG針14の長さ寸法L3は、他の針の長さ寸法L1,L2,L4よりも長く形成されている。すなわち、本実施形態において、指針である秒CG針14の回転軸14Aから秒CG針14の先端までの長さ寸法AはL3であり、分針12の回転軸12Aから分針12の先端までの長さ寸法BはL1であり、秒針13の回転軸13Aから秒針13の先端までの長さ寸法CはL2であり、第2の指針である分CG針15の回転軸15Aから分CG針15の先端までの長さ寸法DはL4である。
【0030】
分針12の回転軸12Aおよび秒CG針14の回転軸14A間の間隔(距離)は、前記分針12の長さ寸法L1よりも大きくされ、前記分針12が回転軸14Aに衝突しないようにされている。なお、時針11の長さ寸法は、当然、前記分針12の前記長さ寸法よりも短く、かつ前記分針12と同軸に配置されているので、時針11が回転軸14Aに衝突することもない。
ここで、分針12の長さ寸法L1および回転軸12Aの位置は、上記条件の他、分針12が回転軸12Aを中心に回転した際に、分針12の先端が見切部であるガラス保持リング5にも当接しないように設計される。すなわち、回転軸12Aは、ガラス保持リング5における6時方向側内面5Aおよび回転軸14A間の略中間位置に配置され、その配置位置に応じて前記分針12の長さ寸法L1が設定されている。
【0031】
秒針13の回転軸13Aおよび前記回転軸14A間の間隔(距離)も、前記秒針13の長さ寸法L2よりも大きくされ、秒針13が回転軸14Aにぶつかることがないようされている。
なお、秒針13は、時刻表示部4において略10時方向に配置されており、時分針11,12が配置された6時方向に比べて配置可能なスペースが小さいため、秒針13の長さ寸法L2は、分針12の長さ寸法L1よりも小さくされている。この秒針13の長さ寸法L2や回転軸13Aの配置位置は、分針12と同様に、回転軸14Aや時刻表示部4外周のガラス保持リング5に衝突しないように設定されている。
【0032】
一方、分CG針15の回転軸15Aおよび前記回転軸14A間の間隔は、分CG針15の長さ寸法L4よりも短くされ、各回転軸14A,15Aが近接して配置されている。
このため、分CG針15を1周回転させると、針15は回転軸14Aにぶつかってしまう。そこで、本実施形態では、分CG針15は、前述のように、他の針11〜14のように1周回転するのではなく、一定角度範囲内のみで回動駆動可能つまりその駆動軌跡が扇形となるように構成されている。
【0033】
ここで、時針11、分針12、秒針13、分CG針15の各回転軸12A,13A,15Aは、秒CG針14の移動軌跡内に配置される。このため、秒CG針14の高さ位置(レベル)は、各針11〜13,15の高さ位置よりも高く(ガラス2側に)配置されており、秒CG針14が各針11〜13,15に干渉しないように高さレベルが設定されている。
そして、各針11〜13,15と、秒CG針14との高さ位置が異なることから、各目盛3A〜3Dが形成される文字板3も、各針11〜15の高さ位置に合わせて設けられている。
【0034】
具体的には、文字板3は、図2〜4に示すように、上下に積層された2枚の文字板31,32で構成されている。上側(ガラス2側)の文字板31には、秒CG針14に対応する目盛3Cが形成されている。また、文字板31において、各針11〜13,15が配置される箇所は穴が加工されており、下側の文字板32が露出するようにされている。このため、各目盛3A,3B,3Dは、文字板32に形成されている。
また、文字板3の4時から5時方向の略中間部分(略4時半方向)には、日車を露出させて日付を表示するための窓16が各文字板31,32を貫通して形成されている。
【0035】
クロノグラフ付時計1は、図2〜4に示すように、ケース20と、このケース20の上部開口にパッキンを介して取り付けられたガラス保持リング5と、このガラス保持リング5で保持されるガラス2と、ケース20の下部開口にパッキンを介して取り付けられる裏蓋30とを備えている。なお、本実施形態において、時計1の断面方向の上下位置関係は、特に説明がない場合、ガラス2側を上側、裏蓋30側を下側という。
これらのケース20、ガラス2、裏蓋30で囲まれた内部空間に、各針11〜15を駆動するムーブメント100が配置されている。
【0036】
[2.ムーブメント構造]
次に、クロノグラフ付時計1のムーブメント100の構成について説明する。本実施形態のムーブメント100は、大きく分けて二層構造とされている。一層目には、通常時刻を表示するための基本時計輪列と、クロノグラフを表示するためのCG(クロノグラフ)輪列と、通常時刻を修正するための時刻修正機構が配置されている。
また、二層目には、発電用のコイルブロック、ステーター、発電用輪列、発電エネルギーを充電するための二次電源、クロノグラフの帰零機構が配置されている。
そして、一層目と二層目の間には、通常時刻表示やクロノグラフ表示の電気的な制御、発電機の制御を行う回路基板501が配置されている。
なお、本実施形態において、一層目とは時計1の上方側つまりガラス2に近い側を意味し、二層目とは時計1の下方側つまり裏蓋30に近い側を意味する。
【0037】
[2−1.ムーブメント一層目の構成]
時計1のムーブメント100の一層目には、図7にも示すように、基本時計輪列やクロノグラフ輪列、時刻修正機構が配置されている。なお、図7の斜視図においては、裏蓋30側を上方に、ガラス2側を下方にして記載されている。これは、ムーブメント100を組み立てる際に、通常は、地板400上に各部品を組み付けていくからである。なお、この上下位置関係は、ムーブメント100の組立の過程を示す図8〜14の各斜視図においても同様である。
図7に示すように、地板400の上面(裏蓋側)には合成樹脂製の回路受け座700が配置されており、各輪列の歯車等はこの回路受け座700上に配置されている。
【0038】
〔2−1−1.基本時計輪列〕
通常時刻を示すための基本時計輪列の概略構造を説明する。基本時計は、基本時計用モーター101、基本時計輪列を備えて構成される。
基本時計用の駆動源である基本時計用モーター101は、基本時計用コイル102、基本時計用ステーター103、基本時計用ローター104から構成されている。そして、電子回路からの駆動信号により1秒に1ステップのタイミングで基本時計用ローター104が回動し、五番車105を経て小秒車106に駆動が減速伝達される。従って、前記小秒車106に保持された基本時計秒針(小秒針)13によって通常時刻の秒表示がされる。
すなわち、基本時計用モーター101は、小秒針13を保持する小秒車106の近傍に配置されている。これにより、小秒針13の運針時の指示ムラを抑えることができる。
【0039】
また、ローター104の回転は、五番車105、四番第三中間車107、四番第二中間車108、四番第一中間車109、三番車110を経て二番車111に減速伝達される。従って、前記二番車111に保持された基本時計の分針12によって通常時刻の分表示がなされる。二番車111からは日の裏車を経て筒車113にも駆動が伝達されて通常時刻の時表示がされる。
ここで、時刻表示部4の中心4Aから略10時方向に配置された秒針13と、6時方向に配置された時針11、分針12との距離は非常に長くなる。このため、本実施形態では、基本時計用モーター101の回転をローター104から離れた二番車111に伝えるために、増減速しない3つの中間車107〜109を配置している。なお、各中間車107〜109は、増減速しない歯車であるため、同一の歯車で構成されている。これにより、歯車の数が増えてもコストが大幅に向上しないようにしている。
そして、各歯車105〜111により基本時計輪列が構成されている。
【0040】
〔2−1−2.時刻修正機構〕
時針11、分針12の時刻を修正するための時刻修正機構は、りゅうず17が固着された巻真130と、この巻真130を通常形態位置、時刻修正位置、カレンダー修正位置の各状態に位置規正するおしどり131、かんぬき132、規正レバー139,つづみ車133等で構成される切換部とを備えている。ここで、巻真130は時計1の3時方向に配置されており、切換部は3時から5時方向に配置されている。
そして、3時方向に配置された巻真130と、6時方向に配置された時針11、分針12とが離れているため、本実施形態の時刻修正機構は、3つの中間車135〜137を備えている。
【0041】
すなわち、りゅうず17に固着された巻真130を引き出すことにより、おしどり131とかんぬき132が連動し、つづみ車133が小鉄車134と噛み合う。小鉄車134は順次、日の裏第三中間車135、日の裏第二中間車136、日の裏第一中間車137を介して日の裏車138に巻真130の回転を伝達し、通常の時刻修正が行われる。おしどり131には規正レバー139が係合しており巻真130の引き出しに連動して四番第一中間車109を規正する。
ここで、りゅうず17と時分針11,12が離れているために設けられた中間車134〜137は、増減速しない歯車であるため、日の裏車138と同一の歯車で構成されている。これにより、歯車の数が増えてもコストが大幅に向上しないようにしている。
【0042】
〔2−1−3.クロノグラフ輪列〕
クロノグラフ時計は、クロノグラフモーター201、クロノグラフ輪列を備えて構成されている。
クロノグラフ輪列の駆動源であるクロノグラフモーター201は、コイル202、ステーター203、ローター204から構成され、時計1の略12時位置に配置されている。このモーター201は、電子回路からの駆動信号によりローター204が回転駆動する。
このローター204の回転は、秒CG第三中間車205、秒CG第二中間車206、秒CG第一中間車207を経て秒CG車208に伝達され、秒CG車208に保持された秒CG針14にてクロノグラフ秒が表示される。
【0043】
一方、秒CG第一中間車207に伝達された回転は、秒CG第一中間車207から分CG第二中間車222、分CG第一中間車221を経て分CG車220に伝達され、分CG車220に保持された分CG針15にてクロノグラフ分が表示される。すなわち、秒CG第一中間車207には、上下に2つのかなを備えており、一方のかなに秒CG車208が噛み合い、他方のかなに第二中間車222が噛み合っている。
なお、秒CG車208および分CG車220には、帰零のためのハートカム210、224がそれぞれ備えられている。また、秒CG車208および分CG車220を構成する真および歯車のうち、真は各車208,220で同一のものが使用され、歯車のみが異なるものとされている。これらの秒CG車208および分CG車220は、図7に示すように、針高さが異なるため、断面的にずらして配置されている。
【0044】
以上のムーブメント100の一層目に配置される基本時計輪列とクロノグラフ輪列の上(裏蓋側)には、図8に示すように、輪列受け401が配置され、この輪列受け401により、基本時計輪列およびクロノグラフ輪列の各上ほぞ(裏蓋側のほぞ)が回動自在に支持されている。すなわち、基本時計輪列およびクロノグラフ輪列は、地板400の上面に載置した回路受け座700と、輪列受け401との間に支持されている。
【0045】
[2−2.ムーブメント中間層の構成]
前記輪列受け401の上(裏蓋側)には、図9に示すように、回路基板501が配置されている。回路基板501は、時計1の略2時位置に配置されたスタート・ストップボタン18部分からリセットボタン19、6時位置、各モーターが配置された10時位置まで、時計1のケース内周に沿って平面略C字状に形成されている。
この回路基板501に設けられたIC等の電子回路によって各モーター101,201の駆動制御と、各ボタン18,19の操作状態を検出できるようにされている。
さらに、回路基板501には、二層目の回路との導通を行うための4つの導通端子を有する導通端子部502が設けられている。
【0046】
[2−3.ムーブメント二層目の構成]
ムーブメント100の二層目には、発電用のコイルブロック、ステーター、発電用輪列、発電エネルギーを充電するための二次電源、クロノグラフの帰零機構が配置される。
【0047】
ムーブメント二層目は、図10に示すように、まず、回路基板501の上(裏蓋側)に重ねて配置される回路押さえ600を備えている。この回路押さえ600が発電機、二次電池、帰零機構の基盤となる。
すなわち、図11,12に示すように、回路押さえ600の略4時方向には、発電用コイルブロック611、発電用ステーター612、発電用ローター613を備えた発電機610が配置されている。
また、略8時方向には二次電源640を配置するための略円筒状の凹部620が形成されており、その外周に沿って導通基板630が配置されている。4つの導通コイル631を回路押さえ600に形成された4つの貫通孔内にそれぞれ配置することで、その端部が前記回路基板501と前記導通基板630の各端子にそれぞれ接触する。これにより、導通コイル631を介して、ムーブメント100の一層目のモーター101,201等に電気的に接続されている回路基板501と、二層目の発電機610や二次電源640に電気的に接続される導通基板630とが、電気的に接続できるように構成されている。
また、回路押さえ600は、秒CG車208、秒CG第一中間車207の各回転軸の上ほぞを回動自在に支持している。
【0048】
さらに、ハートカム210,224に当接する復針レバー330、スタート・ストップボタン18の押し操作に伴い回動して前記復針レバー330をハートカム210,224から離す作動レバー340、リセットボタン19の押し操作に伴い回動して前記復針レバー330をハートカム210,224に当接させる伝達レバー310および復針伝達レバー320等の帰零機構を構成するレバー類は、CG輪列やCGモーター201と上下方向に重なるように、時計1の概略4時から10時位置に配置されている。
そして、これらの帰零機構を構成するレバー類は、発電機610や二次電源640とは平面的に重ならないように配置されている。
【0049】
作動レバー340には、スイッチ入力端子341が一体に形成されており、前記スタート・ストップボタン18を押すと、スイッチ入力端子341が回路基板501の端子に接触し、ボタン18の押し操作つまりスイッチの入力が検出できるようにされている。
【0050】
帰零機構の各レバー310,320,330,340の上(裏蓋側)には、図12に示すように、帰零押さえ360が配置され、各レバー310,320,330,340はこの帰零押さえ360および回路押さえ600間に支持されている。この帰零押さえ360には、作動レバー340に突設されたピンに係合するクリックバネ361と、復針伝達レバー320に突設されたピンに係合するクリックバネ362とが一体に形成されている。
また、図12に示すように、帰零押さえ360には、リセットボタン19が当接するばね部363が形成されている。このため、リセットボタン19を押すと、ばね部363を介して伝達レバー310が押されて回動される。また、ばね部363は、帰零押さえの対向する側から形成されている入力端子部364を弾性的に保持しており、リセットボタン19が押されると、ばね部363は、帰零押さえ360に形成された入力端子部364を開放し、入力端子部364が回路基板501に設けられるリセット端子に当接される。これにより、リセットボタン19の押し操作を検出できるようになっている。
【0051】
帰零押さえ360の上側には、発電用ローター613に噛み合うローター伝え車614も配置されている。
さらに、帰零押さえ360の上には、図13に示すように、回転錘受460が配置される。この回転錘受460により、前記発電用ローター613、ローター伝え車614、分CG車220、分CG第一中間車221の各回転軸の各上ほぞが回転自在に支持されている。
また、前記凹部620には、二次電源640が配置されている。この二次電源640は、二次電池とマイナス端子とを溶接することで一体化された二次電源ユニットで構成されている。この二次電源640は、金属部材である二次電池押さえ641により絶縁板を介して2本のねじでムーブメント100に固定されており、ムーブメント部品の最後に組み立てられるようになっている。なお、二次電池640には、二次電池のマイナスリード板642も取り付けられている。
【0052】
回転錘受460上には、図14に示すように、回転錘車470および回転錘480が配置されている。回転錘車470は、回転錘受460から突出しているローター伝え車614のかなに噛合している。このため、回転錘480の回動に伴い回転錘車470が回転すると、ローター伝え車614を介して発電用ローター613が回転し、発電機610で発電されることになる。
【0053】
[3−1.基本時計の動作]
このような本実施形態では、時計1を腕に装着するなどして動かすと、回転錘480が回転する。回転錘480の回転に伴い、回転錘車470、ローター伝え車614を介して発電用ローター613が回転され、発電されるようになる。
発電機610で発電された電力は、導通基板630や導通コイル631を介して電気的に接続された整流回路で整流された後、二次電源640に供給されて充電される。
二次電源640に充電された電力は、前記導通基板630、導通コイル631を介して回路基板501に供給される。これにより、回路基板501に配置された水晶発振器やICなどの制御装置が駆動され、この制御装置から出力される駆動パルスによって基本時計用モーター101が駆動される。
【0054】
基本時計用モーター101が駆動されてロータ104が回転されると、その回転は、前述の通り、五番車105を介して小秒車106に伝達され、小秒針13が作動される。
同時に、ロータ104の回転は、五番車105、各中間車107〜109、三番車110、二番車111、日の裏車等の基本時計輪列を介して伝達され、時針11および分針12も作動される。
【0055】
[3−2.クロノグラフ時計の動作]
一方、クロノグラフ時計機能を利用する場合には、まず、スタート・ストップボタン18を押す。すると、作動レバー340を介して復針レバー330が動かされ、復針レバー330がハートカム210,224から離れて秒CG車208、分CG車220の規正が解除される。
同時に、スタート・ストップボタン18の押し操作により、スイッチ入力端子341が回路基板501に接触してスイッチが入力され、制御回路からCGモーター201に駆動パルスが送られてモーター201が駆動する。
CGモーター201のローター204の回転は、前記CG輪列を介して秒CG車208および分CG車220に伝達され、秒CG針14、分CG針15がそれぞれ作動される。
【0056】
なお、スタート・ストップボタン18の押し操作を解除すると、クリックバネ361の弾性力で作動レバー340は元の位置に戻り、スイッチ入力端子341も回路基板501から離れる。但し、CGモーター201の駆動は継続し、クロノグラフ時の計時が続行される。
【0057】
CGモーター201が駆動している際に、再度スタート・ストップボタン18を押すと、作動レバー340が再度回動して前記スイッチが入力される。これにより、CGモーター201が停止し、各秒CG針14、分CG針15も停止する。
その後、再度、スタート・ストップボタン18を押せば、CGモーター201の駆動が再開され、秒CG針14、分CG針15の作動も再開する。以降、スタート・ストップボタン18を押すたびに、CGモーター201の停止、駆動が交互に繰り返されて、クロノグラフ時間の積算計測が行われる。
【0058】
一方、リセットボタン19を押すと、伝達レバー310および復針伝達レバー320を介して復針レバー330が移動され、この復針レバー330が秒CG車208および分CG車220のハートカム210,224を圧接して各針14,15を帰零させる。
なお、本実施形態では、リセットボタン19を押した際に、秒CG第二中間車206に圧接して規正するクロノグラフ規正レバーが設けられており、秒CG車208、分CG車220の帰零動作に伴いCGモーター201のローター204が回転しないようにしている。さらに、リセットボタン19の押し操作で、ばね部363が入力端子部364を開放することにより入力端子部364がリセット端子に当接し、リセットスイッチが入力されると、CGモーター201を制御する電子回路はリセットされる。
【0059】
[3−3.基本時計の時刻修正操作]
基本時計の指示時刻を修正するには、りゅうず17を時刻修正位置まで引き出して巻真130を引き出す。これにより、おしどり131とかんぬき132が連動し、つづみ車133が小鉄車134と噛み合うため、巻真130を回転させると、小鉄車134、各中間車135〜137、日の裏車138を介して二番車111に回転が伝達され、通常の時刻修正が行われる。この際、巻真130の引き出しに連動して規正レバー139が作動し、四番第一中間車109を規正するため、巻真130の回転は、基本時計用モーター101側には伝達されることはない。
【0060】
このような本実施形態では、次のような効果がある。
(1) 秒CG針14を単独で設け、その回転軸14Aが他の針の回転軸と一致しないようにしており、通常時刻表示も時分針11,12と秒針13とを独立させているため、各針の指示を使用者が容易に判読できる。また、分CG針15も単独で設けられているので、その指示をより容易に判読できる。従って、クロノグラフ時計機能を有し、多くの指針を備える多機能時計1であっても、各指針の指示を確実に確認できて視認性の高い時計にできる。
また、時分針11,12以外は、各針11〜15がそれぞれ独立して配置されているので、各針11〜15を駆動するための輪列も互いに離して配置することができ、断面的な針の重なりや、各輪列の重なりも最小限に抑えることができる。従って、多くの指針を備える多機能時計1であっても、時計1を薄型化することができる。
【0061】
(2) 秒CG針14の回転軸14Aを時刻表示部4の中心4Aから若干偏心させて配置しているので、この回転軸14Aに干渉しないように配置しなければならない時針11、分針12の長さ寸法を前記偏心した分だけ長くすることができる。このため、通常時刻表示用の時分針11,12を、秒CG針14と独立させて時刻表示部4の6時位置に配置した場合でも、各針11,12の長さを比較的長く設定でき、通常時刻の視認性も向上できる。
さらに、秒CG針14は、回転軸14Aを時刻表示部4の中心4Aから若干偏心させて配置し、他の針11〜13,15に比べても最も長い寸法に設定しているので、メカ帰零時の針14のダイナミックな動作が表現でき、かつ視認性も向上できる。
【0062】
(3) 分CG針15を扇運針としたので、その回転軸15Aを秒CG針14の軸14Aに近接して配置することができる。すなわち、各回転軸14A,15A間の距離を、分CG針15の長さ寸法L4よりも短くすることができる。このため、分CG針15の回転軸15Aを時刻表示部4の中心4A近傍に配置でき、その分、分CG針15の長さ寸法L4も長く設定できるため、分CG針15の指示も判読しやすくできる。
また、各クロノグラフ針14,15をメカ帰零方式で帰零する際に、各軸14A,15Aが近接しているため、各軸のハートカム210,224に当接する復針レバー330の各カム当接部も近接することができ、各ハートカム210,224に当接する復針レバー330を容易に一体化でき、かつ小型化することができる。
【0063】
(4) 時分針11,12が取り付けられる車(二番車111、筒車)と、基本時計用モーター101のローター104との間に、増減速しない歯車107〜109を少なくとも2つ以上配置し、これらの歯車107〜109を同一の車で構成したので、部品コストを抑えることができる。従って、時分針11,12と秒針13との距離が長い場合でもコストを抑えることができる。
【0064】
(5) 通常の時計では、二次電源と回路基板の導通構造を優先し、二次電源を回路基板の下層(第1層)に配置していたが、二次電源が下層に配置されていると、各部品を組み立てた後に回路の電気的な検査を行う場合には、二次電源からの電気導通を遮断しなければならない。そのため、一般には、プラス端子のような部品を最後に組み込めるように設計し、組立工程の途中では二次電源を導通させない配慮が必要になる。
これに対し、本実施形態では、二次電源640を裏蓋30側の二層目(上層)に配置しているので、ムーブメント100の組立工程において二次電源640を最後に組み込むことが可能となり、組立工程内で回路の電気的な検査を容易に行うことができる。このため、組立施工性や生産性を向上できる。
【0065】
(6) 帰零機構をCG輪列の上層に配置したので、ハートカム210,224を叩く復針レバー330や作動レバー340等を効率的に配置することができる。従って、多数の部品を有する多機能時計1であっても通常の腕時計サイズに納めることができる。
【0066】
(7) 回路基板501と、2層目の二次電源640等とを導通コイル631を利用して電気的に接続しているので、高さ方向に離れた回路同士であっても簡単な構成で確実に接続することができる。
【0067】
(8) 秒CG針14を時刻表示部4の中心4Aから12時方向に偏心した位置に配置し、時針11、分針12を中心4Aから6時方向に偏心した位置に配置し、秒針13を中心4Aから略10時方向に偏心した位置に配置し、分CG針15を中心4Aから略2時方向に偏心した位置に配置したので、各針の配置バランスが良くなり、意匠性を向上できる。
その上、扇運針を行う分CG針15を略2時方向に配置したので、分CG針15も帰零位置から時計回りに、つまり他の針と同方向に回動できるので、各針の作動が違和感無く把握できる。
【0068】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、電子時計を例としてあげていたが、各指針の駆動方式としてはモーター駆動に限らず、ぜんまい駆動の機械式時計に本発明を採用してもよい。
【0069】
また、前記実施形態では、秒CG針14および分CG針15の2つの指針を設けていたが、さらに時CG針を追加してもよいし、秒CG針14のみを設けてもよい。
【0070】
さらに、通常時刻を指示する指針以外に設けられる指針が指示する情報としては、前記実施形態のようなクロノグラフ時間に限らず、アラームやタイマーのセット時間のような他の時間情報でもよい。さらには、時間情報に限らず、圧力計、温度計、湿度計等を組み込んでおき、それらの測定値を指示するために前記指針を用いてもよい。また、測定情報以外に、例えば、二次電池の充電電圧等を指示するために前記指針を利用しても良い。要するに、指針で指示する情報としては、通常時刻以外で有ればよく、時計1に求められる機能に応じて適宜設定すればよい。
また、通常時刻以外の情報を指示する指針の数は単数でも複数でもよく、少なくとも時刻表示部4の中心4Aから僅かに偏心して設けられ、他の指針に比べて長さ寸法の大きな指針が1つ設けられていればよい。
【0071】
さらに、前記実施形態では、通常時刻を指示する秒針13を備えていたが、この秒針13は必ずしも設けなくてもよく、時分針11,12のみで通常時刻を表示してもよい。
【0072】
前記実施形態では、分CG針15を扇運針するように構成していたが、秒針13等と同様に回転運針するように構成してもよい。この場合は、秒針13等と同様に、回転軸14Aに分CG針15が干渉しないように、分CG針15の配置位置やその長さ寸法を設定すればよい。
【0073】
前記実施形態では、秒CG針14と時針11、分針12とは、中心4Aに対して12時方向および6時方向に偏心した位置にそれぞれ配置されていたが、この方向に限定されず、例えば、3時方向および9時方向等の他の方向に互いに偏心していてもよい。
さらに、秒CG針14と時針11、分針12とは、中心4Aに対して互いに反対方向(互いに対向する方向)に偏心されていたが、中心4Aに対して互いに対向しない方向に偏心させてもよい。例えば、秒CG針14を中心4Aに対して12時方向に偏心させ、時針11、分針12を略8時方向に偏心させてもよい。また、中心4Aに対して同じ方向、例えば12時方向に、秒CG針14および時分針11,12を偏心させてもよい。
要するに、各針の配置位置は、配置する指針の数等に応じて適宜設定すればよく、特に各針のバランスや輪列配置などを考慮して設定すればよい。
【0074】
時刻表示部4の平面形状としては、円形、楕円形、矩形等が選択できる。これらにおいて、時刻表示部4の中心4Aは、通常、各形状の時刻表示部4の重心位置とすればよい。
【0075】
【発明の効果】
このような本発明の多機能時計によれば、指針の視認性を向上でき、時計の厚みの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であるクロノグラフ付時計の表側外観図。
【図2】 図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】 図1のB−B線に沿った断面図。
【図4】 図1のC−C線に沿った断面図。
【図5】 図1のD−D線に沿った断面図。
【図6】 クロノグラフ付時計の表側外観の拡大図。
【図7】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【図8】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【図9】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【図10】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【図11】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【図12】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【図13】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【図14】 ムーブメントの組立工程の途中状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1…クロノグラフ付時計(多機能時計)、4…時刻表示部、4A…中心、5…ガラス保持リング、11…時針、12…分針、13…小秒針、14…秒クロノグラフ針、15…分クロノグラフ針、11A〜15A…回転軸、18…スタート・ストップボタン、19…リセットボタン、100…ムーブメント、101…基本時計用モーター、105…五番車、106…小秒車、107〜109…中間車、111…二番車、134…小鉄車、135〜137…中間車、138…日の裏車、201…クロノグラフモーター、208…秒クロノグラフ車、220…分クロノグラフ車、210,224…ハートカム、310…伝達レバー、320…復針伝達レバー、330…復針レバー、340…作動レバー、360…帰零押さえ、400…地板、401…輪列受け、460…回転錘受、470…回転錘車、501…回路基板、600…回路押さえ、610…発電機、630…導通基板、640…二次電源、700…回路受け座。
Claims (6)
- 文字板の外周に沿って配置される見切部により区画される時刻表示部内に配置され、かつ通常時刻を計時するための時針および分針と、
前記時刻表示部内に配置され、かつ前記通常時刻以外の他の情報を指示する指針と、
前記指針と異なる情報を指示する第2の指針を備え、
前記指針は秒クロノグラフ針であり、前記第2の指針は分クロノグラフ針であり、
前記指針の回転軸から指針先端までの長さ寸法Aは、前記分針の回転軸から分針先端までの長さ寸法Bよりも長く形成され、
前記指針の回転軸と時針および分針の回転軸とは、前記時刻表示部の中心位置とは異なる位置に配置され、
前記時針および分針の回転軸と前記指針の回転軸とは、分針の前記長さ寸法Bよりも長く、かつ指針の前記長さ寸法Aよりも短い距離だけ互いに離れた位置に配置され、
前記第2の指針の回動軸から第2の指針先端までの長さ寸法Dは前記指針の前記長さ寸法Aよりも短く形成され、前記第2の指針の回動軸は他の針の回転軸とは異なる位置に独立して配置されているとともに、
前記指針の回転軸および前記第2の指針の回動軸の間隔は、指針の前記長さ寸法Aよりも短い距離に設定されていることを特徴とする多機能時計。 - 請求項1に記載の多機能時計において、
前記指針の回転軸と、前記時針および分針の回転軸とは、時刻表示部の中心を挟んで互いに反対方向に偏心した位置に配置されていることを特徴とする多機能時計。 - 請求項2に記載の多機能時計において、
前記指針の回転軸は、時刻表示部の中心から12時方向に偏心した位置に配置され、
前記時針および分針の回転軸は、時刻表示部の中心から6時方向に偏心した位置に配置されていることを特徴とする多機能時計。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の多機能時計において、
前記時刻表示部内に配置されて通常時刻を計時するための秒針を備え、
前記秒針の回転軸から秒針先端までの長さ寸法Cは指針の前記長さ寸法Aよりも短く形成され、前記秒針の回転軸は他の針の回転軸とは異なる位置に独立して配置されているとともに、
前記指針の回転軸および前記秒針の回転軸の間隔は、秒針の前記長さ寸法Cよりも長く、かつ指針の前記長さ寸法Aよりも短い距離に設定されていることを特徴とする多機能時計。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の多機能時計において、
前記指針の回転軸および前記第2の指針の回動軸の間隔は、第2の指針の前記長さ寸法Dよりも短い距離に設定され、かつ前記第2の指針は、一定角度範囲内のみで回動駆動可能に構成されていることを特徴とする多機能時計。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の多機能時計において、
前記第2の指針の回動軸は、時刻表示部の中心から略2時方向に偏心した位置に配置され、
前記指針の回転軸は、時刻表示部の中心から12時方向に偏心した位置に配置され、
前記時針および分針の回転軸は、時刻表示部の中心から6時方向に偏心した位置に配置されているとともに、
回転軸が前記時刻表示部の中心から略10時方向に偏心した位置に配置されて通常時刻を計時するための秒針を備えていることを特徴とする多機能時計。
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