JP4227518B2 - 接着によって互いに連結するコアとセラミック製のスリーブを含む歯科用インプラントおよびその類似物 - Google Patents

Description

本発明は医療分野、とりわけ歯科用インプラント分野に属する。
本発明は金属製または合成材料製のコアとセラミック製の外側スリーブを有する歯科用インプラントとしての義装具に関するものである。

骨組織に少なくとも部分的に挿入する歯科用インプラントは従来からある。
これらのインプラントに十分な力学的耐性と患者の生体組織との生体適合性の両方を与えるために、頑丈な金属製コアと生体が同化できるセラミック製のコーティングまたは外側スリーブを組み合わせることが提案されている。
特に、フランス特許第２７７８０９１号（ＢＥＮＨＡＭＯＵ）、ドイツ特許第２４１９０８０号（ＫＩＲＳＣＨＮＥＲ）、フランス特許第２７４５９９８号（ＰＲＯＳＩＳ）、フランス特許第２６９３９００号（ＰＲＯＳＩＳ）、アメリカ特許第４７１３００６号（ＨＡＫＡＭＡＴＳＵＫＡ）、アメリカ特許第５３１０３４３号（ＨＡＳＡＧＡＷＡ）およびヨーロッパ特許第ＥＰ０４０５５５６号（ＴＤＫ）を参照することができる。

しかし、コアとセラミック製外側スリーブの連結には解決すべき問題がある。
第一の技法によれば、この連結は焼成でコアに固定するセラミック結合剤を介してなされる（ドイツ特許第２４１９０８０号）。
第二の技法によれば、この連結は嵌め込み（フランス特許第２７４５９９８号、フランス特許第２６９３９００号）またはねじ止め（アメリカ特許第５３１０３４３号、アメリカ特許第４７１３００６号）によって機械的になされる。
接着によって連結する第三の技法も提案されている（フランス特許第２７７８０９１号）。

概して、得られる連結は強固である。
しかし、強固さのゆえにコアとセラミック製外側層の連結の信頼性およびインプラントの全般的耐性が損なわれがちであることが明らかになった。
さらに、セラミック製外側層とコアが互いに異なる部品であり、それらを組み付けて連結する場合は、セラミック製外側層とコアの位置合わせが難しいという克服すべき問題がある。
嵌め込みによる連結の場合は、連結の強固さに伴う上記の難点がなおさら大きい。
その上、大きな力で嵌め込むと、組み付け部品、特にセラミック製部品に都合の悪い応力が生じて、それが脆弱になる。

ねじ止めによる連結の場合は、ねじ山間の隙間のゆえに上記の位置合わせがなおさら難しくなるので、ＵＳ４７１３００６に記載されているように、隙間を埋める柔軟な中間剤を使用する必要がある。
フランス特許第２７７８０９１号（接着によって連結する構成）

本発明の目的は、金属製または合成材料製のコアとセラミック製の外側スリーブをしっかり連結するが、有害な強固さを伴わない該分野の歯科用インプラントまたは義装具を提案することである。
この目的に沿って、コアとセラミック製の外側層を正確に位置合わせできるような連結を提案する。

本発明の独創性は、全般的にいえば、接着によるコアとセラミック製外側スリーブの連結を選択するという点にある。
該外側スリーブはコアとは異なり、スライド嵌め込みによってコアに組み付け、接着によって固定するスリーブである。
該嵌め込みはインプラントが受ける衝撃を吸収し、弾力のある緩衝材の役割を果たす接着剤を挿入するための空間をコアとスリーブの間に確保して行い、該空間はスリーブとコアの相対的可動性を許容できるほどの大きさとし、結果的にコアとセラミック製スリーブの間に隙間が生じないようにする。
また、とりわけ鋳造によってコアとは別に成形したスリーブをコアに固定するので、コアの寸法に見合った寸法のスリーブを得やすく、該空間を容易に確保することができる。
該接着剤挿入空間は、コアとスリーブの対応する側面の間に８０ミクロンから１５０ミクロンの隙間ができるようにして確保する。
接着剤が金属に接着しやすくなるように、コアに線条を付けるのが好ましい。
好ましくは、Ｕ．Ｖ．Ａ（長波長紫外線）曝露下で重合する、溶剤なし単一成分樹脂の接着剤を使用する。
２５℃での密度が約１．１２ｇ／ｃｍ^３で、４０ｍＷ／ｃｍ^２の曝露下での凝結時間が約１０秒のチキソトロープ接着剤が特に好ましい。
該接着剤は重合後に約７５Ｄのショア硬度を示し、約−５５℃から＋１３５℃までの温度に耐えられるものとする。
好ましくは、コアの材料はチタンまたは他の金属とし、スリーブの材料はジルコンまたはアルミナとする。
コアは合成材料製であってもよい。

この発明によれば、金属製または合成材料製のコアとセラミック製の外側スリーブをしっかり連結し、有害な強固さを伴わないようにした該分野の歯科用インプラントまたは義装具を提供することができる。

本発明の接着によって互いに連結するコアとセラミック製のスリーブを含む歯科用インプラントおよびその類似物を理解しやすくし、本発明の詳細を示すために、以下に添付図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。

図１から図４までは、本発明の実施例１に従って製造された各種歯科用インプラントの半縦断面図である。
即ち、図１は歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図、図２は図１と異なるコアからなる歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図、図３はコアを覆うようにスリーブを外嵌した歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図、図４はコアを覆うようにスリーブを外嵌した図３と異なるコアからなる歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図である。

ここで、コア１とセラミック製外側スリーブ２の連結が接着により行われる。
該外側スリーブ２は、コア１とは異なり、スライド嵌め込みによってコア１に組み付け、接着によって固定される。

該嵌め込みは、インプラントが受ける衝撃を吸収し、弾力のある緩衝材の役割を果たす接着剤を挿入するための空間３をコア１とスリーブ２の間に確保して行い、該空間３はスリーブ２とコア１の相対的可動性を許容できるほどの大きさとし、結果的にコア１とセラミック製スリーブ２の間に隙間Ｊが生じないようにする。

また、とりわけ鋳造によってコア１とは別に成形したスリーブ２をコア１に固定するので、コア１の寸法に見合った寸法のスリーブ２を得やすく、該空間３を容易に確保することができる。

該接着剤挿入空間３は、とりわけ、コア１とスリーブ２の対応する側面の間に約８０ミクロンから１５０ミクロンの隙間Ｊができるようにして確保する。
接着剤が金属に接着しやすくなるように、コア１に線条を付けるのが好ましい。

好ましくは、Ｕ．Ｖ．Ａ曝露下で重合する、溶剤なし単一成分樹脂の接着剤を使用する。
２５℃での密度が約１．１２ｇ／ｃｍ^３で、４０ｍＷ／ｃｍ^２の曝露下での凝結時間が約１０秒のチキソトロープ接着剤が特に好ましい。
該接着剤は重合後に約７５Ｄのショア硬度を示し、約−５５℃から＋１３５℃までの温度に耐えられるものとする。

好ましくは、コア１の材料は、チタンまたは他の金属とし、スリーブ２の材料はジルコンまたはアルミナとする。
コア１は合成材料製であってもよい。

図５および図６は、異なる形状のコアを有する単一成型義装具の半縦断面図である。
その他の主要は構成は前記実施例に準じるので説明を省略する

図７および図８は、互いに組み付ける二つの部品ａおよびｂからなる本発明の第２実施例に従って製造された各種歯科用義装具の半縦断面図である。

これらの図に示した歯科用インプラントまたは類似用途品は、金属製コア１および少なくとも部分的にコア１を覆うセラミック製外側層２を含んでいる。
セラミック製外側層２は鋳造によって成形し、成形後にコア１の周囲に組み付け、接着によって固定するジルコン製スリーブ２から成る。

コア１とスリーブ２の対応する側面の間に隙間Ｊをあけて、そこに接着剤挿入空間３を確保する。
その他の構成は前記実施例に準じるので説明を省略する。

実施例１に従って製造された歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図である。 実施例１に従って製造された、図１と異なるコアからなる歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図である。 実施例１に従って製造された、コアを覆うようにスリーブを外嵌した歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図である。 実施例１に従って製造された、コアを覆うようにスリーブを外嵌した図３と異なるコアからなる歯科用インプラントの中心線の一方を断面とした説明図である。 単一成型義装具の中心線の一方を断面とした説明図である。 図１と異なる中空部を有するコアからなる単一成型義装具の中心線の一方を断面とした説明図である。 実施例２に従って製造された歯科用義装具の中心線の一方を断面とした説明図である。 実施例２に従って製造された図７と異なるコアからなる歯科用義装具の中心線の一方を断面とした説明図である。

符号の説明

１ コア
２ スリーブ、外側層
３ 接着剤挿入用の空間
Ｊ 隙間（コアと外側スリーブの対応する側面の間）

Claims (7)

1. 金属製または合成材料製のコア（１）および少なくとも部分的にコア（１）を覆うセラミック製の外側スリーブ（２）を有し、該コアと外側スリーブは接着によって互いに連結されていて、前記外側スリーブ（２）は、スライド嵌め込みによって前記コアに取付け、接着によって固定されており、
   前記接着は、インプラントが受ける衝撃を吸収しうる量の接着剤を挿入して行っており、該接着剤が緩衝材の役割を果たすと共に、前記コア（１）と外側スリーブ（２）の相対的可動性を許容できる大きさの空間（３）を前記コアと外側スリーブの間に形成しており、結果的に前記コア（１）と前記スリーブ（２）の間に隙間が生じないようにしており、
   前記コア（１）と外側スリーブ（２）の対応する側面にはそれぞれ軸方向に沿う凹凸面を設けず、且つ前記コア（１）と外側スリーブ（２）の対応する側面の間には均一に８０ミクロンから１５０ミクロンの隙間（Ｊ）をあけて前記空間（３）としたことを特徴とする歯科用のインプラント。
2. 接着剤がコア（１）に接着しやすくなるように、該コアに線条を付けることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
3. 接着剤が長波長紫外線曝露下で重合する、溶剤を有さない単一成分樹脂であることを特徴とする請求項１または２に記載のインプラント。
4. 接着剤が２５℃での密度が約１．１２ｇ／ｃｍ３で、４０ｍＷ／ｃｍ２の曝露下での凝結時間が約１０秒のチキソトロープ接着剤であり、重合後に約７５Ｄのショア硬度を示し、約−５５℃から＋１３５℃までの温度に耐えられるものであることを特徴とする請求項３に記載のインプラント。
5. コア（１）の材料が金属であることを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載のインプラント。
6. コア（１）の材料が合成材料であることを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載のインプラント。
7. 外側スリーブ（２）の材料がジルコンであることを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載のインプラント。

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