<A:構成>
図面を参照して本発明の具体的な形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る通信システムの全体構成を示すブロック図である。同図に示されるように、この通信システム100は、移動通信網11と、複数の移動通信端末21と、移動通信網11に接続されたメールサーバ111とを有する。移動通信網11は、移動通信端末21に対して音声通信サービスやデータ通信サービスといった各種の通信サービスを提供するためのネットワークであり、複数の交換機や各々が無線エリアを形成する複数の無線基地局を含んでいる。この移動通信網11はゲートウェイサーバ13を介してインターネット12に接続されている。インターネット12にはパーソナルコンピュータなどの複数の通信端末22が接続されている。なお、以下では、移動通信端末21と通信端末22とを特に区別する必要がない場合には単に「通信端末2」と表記する。
一方、メールサーバ111は、移動通信端末21に対して電子メールサービスを提供するためのサーバ装置であり、メールボックスと称される記憶領域が移動通信端末21ごとに設定された記憶装置を有する。このメールサーバ111は、移動通信端末21同士の電子メールの授受、または移動通信端末21と通信端末22との間の電子メールの授受を仲介する。さらに詳述すると、メールサーバ111は、移動通信端末21を宛先として他の移動通信端末21または通信端末22から送信された電子メールをその宛先に相当する移動通信端末21のメールボックスに格納する一方、電子メールの転送を要求してきた移動通信端末21に対してその移動通信端末21のメールボックスに格納されている電子メールを送信する。本実施形態に係る通信システム100においては、メールサーバ111の処理負荷や移動通信網11の通信トラヒックが過大となる事態を回避するために、移動通信端末21から送信される電子メールのデータ量には上限値たる送信許容値(例えば10,000バイト)が設定されている。
各移動通信端末21は、移動通信網11の無線基地局と無線にて通信する端末であり、利用者によって携帯され得る。典型的には、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)が移動通信端末21として採用される。図2は、ひとつの移動通信端末21の構成を示すブロック図である。同図に示される制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算制御装置を含んで構成され、プログラムに従って演算処理や各部の制御を行なうことによって種々の機能を実現する。操作部32、表示部33、無線通信部34および記憶部4は、それぞれバス38を介して制御部31に接続されている。なお、実際の移動通信端末21には、スピーカやマイクロホンといった音声通信のための機器が配設され得るが、これらの機器の図示は省略されている。
操作部32は、複数の操作子を備え、利用者によって操作された操作子を識別するための信号を制御部31に出力する。一方、表示部33は、液晶表示パネルなどの表示装置を備え、制御部31による制御のもとに各種の画像を表示する。また、無線通信部34は、移動通信網11を構成する無線基地局との間で無線チャネルを介した信号の授受を行なう。すなわち、無線通信部34は、無線基地局から受信した信号を復調して制御部31に出力する一方、制御部31から供給される信号を変調して無線基地局に送信する。
記憶部4は、プログラムやデータを記憶する手段であり、ROM(Read Only Memory)41とRAM(Random Access Memory)42と不揮発性メモリ43とを有する。ROM41は、制御部31によって実行される各種のプログラムを記憶する。このROM41に記憶されたプログラムとしては、電子メールの編集および送信を行なうためのプログラム(以下「メール処理プログラム」という)がある。また、不揮発性メモリ43は、各種のデータを不揮発的に記憶する書き換え可能なメモリであり、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。この不揮発性メモリ43には、電子メールに添付される画像データが記憶される。これらの画像データは、移動通信網11を介してダウンロードされた画像データ(ダウンロード画像)や、移動通信端末21の製造時に予め用意された画像データ(プリインストール画像)といった複数の分類に区分されたうえで不揮発性メモリ43に格納されている。また、不揮発性メモリ43には、他の通信端末2から受信した電子メールが記憶される。
一方、RAM42は、制御部31によって作業領域として使用されるメモリである。このRAM42には、移動通信端末21の利用者により作成された電子メールが一時的に記憶される。図3は、電子メールのデータ構造を示す図である。同図に示されるように、ひとつの電子メールは、送信先となる通信端末に割り当てられたアドレス(送信先アドレス)と、送信元となる移動通信端末21に割り当てられたアドレス(送信元アドレス)と、電子メールの本文(以下「メール本文」という)の内容を示す本文データとを含む。さらに、メール本文に画像が付加される場合には、この画像を表す画像データが本文データに付加される。
本実施形態においては、電子メールの作成および送信に際して、体系(データ構造)が異なる2つのデータが本文データとして用いられる。これらのうち一方のデータは、移動通信端末21から実際に送信される電子メールに含められるデータ(以下「出力用データ」という)Daであり、他方のデータは、利用者により作成されている最中のメール本文を表示部33に表示するためのデータ(以下「編集用データ」という)Dbである。出力用データDaは、電子メールを受信した移動通信端末21の表示部33に実際に表示される本文の内容を示すデータであると捉えることもできる。この出力用データDaは、マークアップ言語であるHTMLのタグを含んでいる。すなわち、図4に示されるように、出力用データDaは、メール本文の文字を表すデータ(以下「文字データ」という)D1のほか、この文字に施されるべき装飾の態様を表すタグ(以下「装飾タグ」という)Tdを含んでいる。このように、移動通信端末21から送信される電子メールの本文データは汎用性の高いマークアップ言語によって記述されているから、移動通信網11に収容された移動通信端末21のほかインターネット12に接続された通信端末によっても適切に表示される。
図5は、図4に示される出力用データDaに基づいて表示部33に表示される画像(以下「本文出力画像5a」という)の内容を示す図である。図5に示されるように、本文出力画像5aは、この画像を縦方向に区分する各行に種々の装飾が施された文字や各種の画像が配置された画像である。文字に施される装飾とは、各文字の表示態様を当該文字について初期値として設定された形態(プレーンテキスト)とは異なる態様に変更する処理を意味する。具体的な装飾の内容としては、文字色、文字サイズまたは文字位置(左寄せ/中央/右寄せ)の変更や、文字を点滅させる処理、あるいは本文出力画像5aにおける特定の方向に文字を移動させる処理がある。例えば、図5に示される「お誕生日」という文字は初期値として選定された黒色にて固定的に表示されるのに対し、図4において“<FONT color="red">”という装飾タグTdと“</FONT>”という装飾タグTdとに挟まれた「おめでとう」という文字は、図5に示されるように赤色にて表示される。また、図4において“<BLINK>”という装飾タグTdと“</BLINK>”という装飾タグTdとに挟まれた「メッセージは」という文字は、図5に示される本文出力画像5aにおいて周期的に点滅する文字として表示される(以下ではこの装飾を「点滅表示」という)。さらに、図4において“<MARQUEE behavior="alternative">”という装飾タグTdと“</MARQUEE>”という装飾タグTdとによって挟まれた「どうだったかな」という文字は、図5に示される本文出力画像5aにおいて水平方向に往復する文字として表示される(以下ではこの装飾を「スウィング表示」という)。
また、図5に示されるように、本文出力画像5aには各種の画像I(I0またはIL)が含まれる。これらの画像Iの付加も出力用データDaの装飾タグTdによって指定される。例えば、図4における“<IMG src="image001">”および“</IMG>”という装飾タグTdは、図5の「バースデー」という文字と「メッセージは」という文字とに挟まれた画像I0の付加を指定するためのものである。なお、この装飾タグTdに含まれる“image001"という文字は、付加される画像データを識別するための符号である。本文出力画像5aに含まれる画像Iには、横方向および縦方向の大きさが任意に選定された画像I0のほか、本文出力画像5aの1行分に相当する横幅を有する画像(以下では特に「ライン画像」という)ILがある。このライン画像ILを複数行にわたって連続して配列させることにより、装飾性に富んだ電子メールを作成することが可能となる。以上のように、移動通信端末21から送信される電子メールには多様な装飾が施された文字や種々の画像が含まれる。したがって、本実施形態によれば、単に文字のみを含む電子メールと比較して、極めて表現力に富んだグリーティングカードのような電子メールを相手に送ることができ、電子メールの授受の興趣性を向上させることができる。
一方、編集用データDbは、利用者により編集されている最中のメール本文を表示部33に表示するためのデータであり、上述した出力用データDaとは異なる体系のデータである。本実施形態における編集用データDbは、図6に示されるように、電子メールの本文を構成する各文字を示す文字データと、その文字に対して施されるべき装飾の態様を示すデータ(以下「属性データ」という)D2とが対応付けられたデータ構造を有する。この属性データD2としては、文字色、文字サイズまたは文字位置を示すデータや、文字が点滅表示されることを示すデータ、あるいは文字がスウィング表示されることを示すデータがある。さらに、メール本文に画像データが付加される場合には、この画像データの識別子が編集用データDbに含められる。このように、編集用データDbは装飾タグTdを含まない体系のデータであるから、これに基づいて画像(後述する本文編集画像5b)を表示させるときにタグを解釈する必要はない。したがって、出力用データDaの装飾Tdタグを解釈することによって本文出力画像5aを表示する場合の処理負荷と比較して、編集用データDbに基づいて画像を表示させる場合の処理負荷は低く抑えられる。
制御部31は、メール処理プログラムを実行することにより、編集用データDbから出力用データDaを生成する手段(本発明における「出力用データ生成手段」)として機能する。出力用データDaの生成は、予めROM41に記憶されたデータ処理テーブルTBLに基づいて実行される。図7は、このデータ処理テーブルTBLの内容を示す図である。同図に示されるように、データ処理テーブルTBLは、編集用データDbに含められる属性データD2と、この属性データD2が出力用データDaの生成に際して変換されるべき装飾タグTdとが対応付けられたテーブルである。制御部31は、編集用データDbに含まれる各属性データD2に対応する装飾タグTdをデータ処理テーブルTBLから検索し、編集用データDbに含まれる文字データD1とデータ処理テーブルTBLから検索された装飾タグTdとを含む出力用データDaを生成する。実際に移動通信網11に送信される電子メールには、この変換により得られた出力用データDaが含められる。
次に、図8は、編集用データDbに基づいて表示部33に表示される画像(以下「本文編集画像5b」という)の内容を示す図である。同図においては、図5に本文出力画像5aを例示したメール本文が作成(編集)されるときの本文編集画像5bが例示されている。図8に示されるように、本文編集画像5bと本文出力画像5aとは形態が異なる。例えば、本文出力画像5aにおいて点滅表示される「メッセージは」という文字が、本文編集画像5bにおいては反転表示される(点滅表示はされない)。また、本文出力画像5aにおいては「どうだったかな」という文字が実際にスウィング表示されるのに対し、本文編集画像5bにおいてはこれらの文字がスウィング表示を示す図像(アイコン)Ic1とともに配置されて実際のスウィング表示はなされない。さらに、本文出力画像5aにおいてはメール本文に付加された画像Iそのものが表示されるのに対し、本文編集画像5bにおいては各画像Iが表示される代わりに、その挿入を示す図像(アイコン)Ic2が配置される。なお、表示色や文字サイズ、表示位置の変更など、編集用データDbに基づいて実際に装飾を表示してもそれほど処理負荷が増大しない装飾については、本文編集画像5bにおいても本文出力画像5aと同様の形態にて表示される。このように、本文編集画像5bは本文出力画像5aよりも簡略化された内容となっているから、これを表示するための処理負荷は本文出力画像5aを表示する場合よりも低減される。
さらに、図8に示されるように、本文編集画像5bの下方にはデータ量表示部60が配置される。このデータ量表示部60は、作成中のメール本文のデータ量を利用者に報知するための部分である。さらに詳述すると、データ量表示部には、実際に電子メールに含められる出力用データDaのデータ量(以下「実データ量」という)を送信許容値から減算した数値、またはメール本文のデータ量の概算値(以下「概算データ量」という)を送信許容値から減算した数値が、データ残量として選択的に表示される。ここで、実データ量は、図4に示した出力用データDaのデータ量を実際に積算して得られた数値である。したがって、実データ量は、電子メールに含められる本文データのデータ量を正確に表す数値であると言える。これに対し、概算データ量は、出力用データDaの実際のデータ量とは無関係に編集用データDbに基づいて概算されたデータ量である。この概算データ量は、ROM41に記憶されたデータ処理テーブルTBLに基づいて制御部31が算定する。
図7に示されるように、データ処理テーブルTBLの各属性データD2には、上述した装飾タグTdのほかに、属性データD2の種類ごとに予め定められたデータ量の概算値が対応付けられている。制御部31は、編集用データDbに含まれる属性データD2の各々に対応付けられた概算値を積算することによって概算データ量を算定する。例えば、文字色として「赤」を指定する属性データD2と文字サイズとして「10」を指定する属性データD2とが編集用データDbに含められているとすれば、各属性データD2に概算値として対応付けられた「20」および「10」の積算値である「30」が概算データ量として算定される。さらに、データ処理テーブルTBLに含められる各概算値は、これに対応付けられた装飾タグTdのデータ量の最大値よりも大きい数値となっている。したがって、データ処理テーブルTBLに基づいて算定された概算データ量は、出力用データDaに基づいて算定された実データ量よりも大きい数値となる。なお、ここでは編集用データDbから出力用データDaへの変換に用いられるテーブルと概算データ量を算定するためのテーブルとがひとつのテーブル(データ処理テーブルTBL)とされた構成を例示したが、各テーブルが別個のテーブルとしてROM41に格納された構成も採用され得る。
<B:動作>
次に、本実施形態の動作を説明する。
利用者が操作部32に所定の操作を行なうと、制御部31は、ROM41に記憶されたメール処理プログラムを起動して順次に実行する。図9は、メール処理プログラムの実行に伴なって表示部33に表示される各画面の内容を示す図である。メール処理プログラムが起動されると、まず、メニュー画面51が表示部33に表示される。このメニュー画面51は、電子メールに関する種々の処理を利用者に選択させるための画面であり、各処理の内容を図像化したアイコン511が配列されている。これらのアイコン511のうち電子メールの作成を表す「新規作成」アイコン511が利用者により選択されると、メニュー画面51に代えてメール作成画面52が表示部33に表示される。このメール作成画面52は、電子メールのうち編集されるべき項目を利用者に選択させるための画面である。さらに詳述すると、メール作成画面52は、電子メールの転送先となる通信端末の通信アドレスを入力するための「宛先」ボタン521と、電子メールの件名を入力するための「件名」ボタン522と、メール本文を編集するための「本文」ボタン523とを含んでいる。なお、メール作成画面52に含められるコマンドボタンは図9に示されたものに限られない。例えば、画像データなどの添付ファイルの参照や変更を指示するための「添付ファイル」ボタンを含む構成も採用され得る。これらのコマンドボタンのうち「本文」ボタン523が利用者により選択されると、メール作成画面52に代えて本文編集画面53が表示部33に表示される。
この本文編集画面53は、図8に示したように、本文編集画像5bとデータ量表示部60とが配置された画面である。利用者は、この本文編集画面53を参照しながら操作部32を適宜に操作することによってメール本文を編集する。この後に利用者によって操作部32が操作されてメール本文の内容を確定するための指示が入力されると、上述したメール作成画面52が本文編集画面53に代えて再び表示される。このようにメール本文が作成された後のメール作成画面52においては、図9に示されるように、本文編集画面53において既に作成されたメール本文を表す本文出力画像5aが「本文」ボタン523の下方に配置される。さらに、この本文出力画像5aの下方にはデータ量表示部60が配置される。また、本文出力画像5aを含むメール作成画面52が表示された段階で利用者によって「本文」ボタン523が選択されると、メール作成画面52に代えて本文編集画面53が再び表示部33に表示されてメール本文が編集可能となる。一方、メール作成画面52が表示されているときに操作部32が操作されてメール送信の指示が入力されると、その段階において作成されているメール本文を含む電子メールが移動通信網11に送信される。なお、メール本文が未だ作成されていない段階(すなわちメニュー画面51から初めてメール作成画面52に遷移した段階)においては本文出力画像5aが表示されず、本文データのデータ量は「0」であるから送信許容値そのものがデータ残量としてデータ量表示部60に表示される。
上述した本文出力画像5aは、メール本文の編集中にも表示され得る。すなわち、本文編集画面53が表示されているときに操作部32が操作されてプレビュー表示の指示が入力されると、プレビュー画面54が本文編集画面53に代えて表示部33に表示される。このプレビュー画面54は、メール作成画面52と同様に本文出力画像5aおよびデータ量表示部60を含む。ただし、プレビュー画面54は、「宛先」ボタン521、「件名」ボタン522および「本文」ボタン523が配置されていない点でメール作成画面52とは異なっている。プレビュー画面54の表示が終了すると本文編集画面53に戻る。
次に、メール処理プログラムに基づいて実行される処理の具体的な内容を説明する。図10は、メニュー画面51において「新規作成」アイコン511が選択されたときに実行される処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理が開始されると、制御部31は、図9に示したメール作成画面52を作成して表示部33に表示させる(ステップSa1ないしSa4)。ただし、図10の処理が開始された最初の段階では未だメール本文が作成されていないから、この段階で表示されるメール作成画面52には本文出力画像5aが含まれない。
続くステップSa5において、制御部31は、利用者によって操作部32が操作されるまで待機する。そして、利用者によって操作部32が操作されると、制御部31はその操作内容に応じた処理を実行する。例えば、制御部31は、メール作成画面52の「宛先」ボタン521が選択されると送信先アドレスの入力を受け付ける一方(ステップSa21)、「件名」ボタン522が選択されると電子メールの件名の入力を受け付ける(ステップSa22)。また、電子メールの保存を示す指示が入力されると、制御部31は、その段階においてRAM42に格納されている本文データ(出力用データDaおよび編集用データDb)を不揮発性メモリ43に書き込む(ステップSa23)。一方、「本文」ボタン523が選択されると、制御部31は、本文編集画面53を表示部33に表示させたうえで(ステップSa6)、メール本文を作成または編集するための処理(以下「本文編集処理」という)を実行する(ステップSa7)。以下、図11を参照して、本文編集処理の具体的な内容を説明する。
本文編集画面53が表示部33に表示されると、利用者は、メール本文について実行されるべき複数の編集処理の何れかを選択する。図11に示されるように、本文編集処理が開始されると、制御部31はまず、本文データについて実行される複数の編集処理の何れかが利用者によって選択されるまで待機する(ステップSb1)。より具体的には、制御部31は、図12に示されるように各編集処理の内容を示す文字が選択肢として含められた編集メニューMを表示部33に表示させ、これらの編集処理のうち利用者によって選択された編集処理を実行する。ここで利用者が選択し得る編集処理としては、メール本文に対して文字の入力/削除や装飾の付加/解除を行なう処理(ステップSb2〜Sb15)、メール本文に対して画像を付加する処理(ステップSb20〜Sb28)、およびプレビュー画面54を表示する処理(ステップSb40)などがある。
ただし、本実施形態においては、メール本文の編集に伴なって概算データ量または実データ量が送信許容値を超えると、それ以降は特定の編集処理(以下「制限対象処理」という)の選択が禁止されるようになっている。より具体的には、図13に示されるように、編集メニューMのうち制限対象処理の選択肢がそれ以外の処理(以下「許容対象処理」という)の選択肢とは異なる態様にて表示(グレイアウト表示)され、制限対象処理の選択肢は利用者によって選択され得ないようになっている。制限対象処理と許容対象処理との区分は予め定められている。例えば、実行に伴なってメール本文のデータ量を増加させるような編集処理は制限対象処理に区分される一方、実行に伴なってメール本文のデータ量を減少させるような編集処理やデータ量を変化させない編集処理は許容対象処理に区分される。本実施形態においては、メール本文に既に含められている文字を削除する編集処理と、文字に対して施されている装飾を解除する編集処理と、プレビュー画面54を表示させる編集処理とが許容対象処理として選定される一方、これ以外の編集処理は制限対象処理として選定されている。
そして、この制限を行なうか否かを制御部31が判定するために、RAM42には制限対象処理の選択が禁止されるべきか否かを示すフラグ(以下「操作制限フラグ」という)が記憶される。換言すると、操作制限フラグは、概算データ量または実データ量が送信許容値を超えるか否かを示す。ステップSb1において、制御部31は、操作制限フラグが“0”にリセットされていれば、図12に示される編集メニューMを表示して総ての編集処理の選択を許容する。これに対し、制御部31は、操作制限フラグが“1”にセットされていれば、図13に示される編集メニューMを表示して制限対象処理の選択を禁止する。なお、メール処理プログラムが起動された段階においては、操作制限フラグは“0”にリセットされている。したがって、メール処理プログラムが起動された当初においては、利用者は総ての編集処理を選択することができる。ここで、本文データのデータ量(概算データ量または実データ量)に拘わらず総ての編集処理が許容されるとすれば、このデータ量は送信許容値を大幅に超過し得る。この場合には、電子メールの送信の直前にデータ量が送信許容値を超えていることが利用者に報知されることとなるから、利用者は、その段階になってから本文データに多大な修正(例えば文字や画像の削除)を施さなければならない。これに対し、本実施形態によれば、本文データのデータ量が送信許容値を大幅に超過する事態が回避されるから、本文データの多大な修正といった煩雑な作業が不要となる。
次に、ステップSb1において利用者に選択される編集処理の具体的な内容を説明する。以下では、メール本文に対する文字の入力または削除とメール本文に対する装飾の付加または解除を行なう処理(ステップSb10〜Sb15、およびステップSb7)と、メール本文に対して画像を付加する処理(ステップSb20〜Sb28、およびステップSb7)と、プレビュー画面54を表示する処理(ステップSb40)とを例示する。もっとも、ステップSb1においてはこれら以外の編集処理が選択される場合もあり、その場合には選択内容に応じた処理が適宜に実行される。
(1)文字の入力/削除および装飾の付加/解除
ステップSb1において文字の入力もしくは削除、または装飾の付加もしくは解除が選択されると、制御部31は、その選択内容に応じて以下の処理を実行する(ステップSb10)。ただし、操作制限フラグが“1”にセットされている場合には、ステップSb1において文字の削除および装飾の解除が選択された場合に限ってステップSb10の処理が実行される。図6に示した編集用データDbは、制御部31がステップSb10の処理を実行することによってRAM42内に順次に生成される。すなわち、制御部31は、メール処理プログラムを実行することにより、編集用データDbを生成するための手段として機能する。
まず、文字の入力が選択された場合、制御部31は、利用者により入力された文字を示す文字データD1を生成し、これをRAM42に格納されている編集用データDbに追加する。一方、文字の削除が選択された場合、制御部31は、既にRAM42に書き込まれた文字データD1のうち利用者によって選択された文字データD1を削除する。
一方、装飾の付加または解除が選択されると、制御部31は、図14に示される処理を実行する。同図に示されるように、制御部31はまず、利用者による操作部32への操作に基づいて、本文編集画像5bとして表示されたメール本文のうち装飾が付加または解除されるべき範囲を特定する(ステップSc1)。次いで、制御部31は、付加され得る装飾の内容を示す複数の項目と装飾の解除を示す項目とを表示部33に編集メニューとして表示させたうえで(ステップSc2)、何れかの項目が利用者によって選択されるまで待機する(ステップSc3)。装飾の内容を示す項目としては、「文字色」、「文字サイズ」、「点滅表示」および「スウィング表示」などがある。利用者によって何れかの項目が選択されると、制御部31は、その項目に応じた処理を実行する(ステップSc4)。例えば、装飾の付加を示す項目が選択された場合、制御部31は、その装飾の態様を示す属性データD2を生成するとともに、この属性データD2を、RAM42に格納されている編集用データDbのうちステップSc1において特定した範囲の文字データD1に対応づけてRAM42に書き込む。一方、装飾の解除を示す項目が選択された場合、制御部31は、編集用データDbのうちステップSc1において特定した範囲の文字データD1に対応付けられている属性データD2を削除する。
次に、制御部31は、図11に示されるように、RAM42に生成されている編集用データDbに基づいて概算データ量を算定し、この概算データ量を送信許容値から差し引くことによってデータ残量を算定する(ステップSb11)。上述したように、概算データ量の算定には図7に示したデータ処理テーブルTBLが使用される。続いて、制御部31は、ステップSb11にて算定したデータ残量が負数であるか否か、すなわち概算データ量が送信許容値を超えているか否かを判定する(ステップSb12)。ここでデータ残量が負数である(すなわち概算データ量が送信許容値を超えている)と判定した場合、制御部31は、RAM42に書き込まれた操作制限フラグを“1”にセットする(ステップSb13)。なお、既に操作制限フラグが“1”にセットされている場合にはその値が維持される。この結果、次回のステップSb1においては制限対象処理の選択が禁止されることとなる。この後、制御部31は、メール本文のデータ量が許容値を超えた旨を示すメッセージ(以下「超過メッセージ」という)を表示部33に表示させたうえで(ステップSb14)、ステップSb7に処理を移行する。一方、ステップSb12においてデータ残量が負数でない(すなわち概算データ量が送信許容値を超えていない)と判定した場合、制御部31は、RAM42に書き込まれた操作制限フラグを“0”にリセットしたうえで(ステップSb15)、ステップSb7に処理を移行する。なお、既に操作制限フラグが“0”にリセットされている場合にはその値が維持される。
ステップSb7において、制御部31は、本文編集画面53のデータ量表示部60に表示されているデータ残量を、ステップSb11において新たに算定したデータ残量に更新する。ここで新たに表示されるデータ残量はステップSb11において概算データ量から算定されたものである。このため、制御部31は、ステップSb7において、表示されるデータ残量が概算値であることを示す「約」の文字を当該データ残量とともにデータ量表示部60に表示させる。より具体的には、図8に例示されるようにデータ残量「5,800bytes」の左側に「約」の文字が付されることによって、このデータ残量が概算値であることが利用者に報知される。
また、本実施形態においては、ステップSb10において実際に編集された後の編集用データDbに基づいて概算データ量が算定されるから、ステップSb11にて算定されたデータ残量は負数となり得る。このように概算データ量が送信許容値を超えることを許容しているのは、実際に電子メールに含まれる本文データ(出力用データDa)よりもデータ量が大きくなるように概算データ量が算定されるからである。図15は、データ残量が負数となった場合の本文編集画面53の内容を示す図である。同図に示されるように、データ残量は負数として符号(マイナス)とともに表示される。このように、概算データ量が送信許容値を超えた場合には、概算データ量が送信許容値を下回る場合とは異なる態様にてデータ残量が表示されるから、利用者は、編集中の本文データのデータ量が送信許容値を超えているか否かを直感的に把握することができる。
(2)画像挿入
図11のステップSb1においては、操作制限フラグが“0”にリセットされている場合に限って画像の挿入が許容される。利用者によって画像の挿入が指示されると、制御部31は、メール本文に付加されるべき画像が利用者によって選択されるまで待機する(ステップSb20)。さらに詳述すると、制御部31はまず、ダウンロード画像やプリインストール画像といった画像の分類を利用者に選択させる。ここで分類が選択されると、制御部31は、この分類に属する複数の画像の何れかを利用者に選択させるための画面(以下「画像選択画面」という)を表示部33に表示させて、利用者による画像の選択を待機する。図16に示されるように、画像選択画面56は、不揮発性メモリ43に記憶された画像データに対して縮小処理を施した画像Is(図5の画像I0やライン画像ILの縮小画像)が配列された画面である。つまり、制御部31は、不揮発性メモリ43に格納された複数の画像データのうち利用者により選択された分類に属するものを読み出し、これらの画像データに縮小処理を施したうえで表示部33にリスト表示させる。利用者は、操作部32を適宜に操作することにより、これらの画像の何れかを選択する。
図11に示されるように、制御部31は、こうして選択された画像をメール本文に付加するための処理を実行する(ステップSb21)。すなわち、制御部31は、利用者により選択された画像の識別子をRAM42に格納されている編集用データDbに含める。続いて、制御部31は、ステップSb21における画像の付加を反映させたデータ残量を算定する(ステップSb22およびSb23)。すなわち、制御部31は、第1に、RAM42に格納されている編集用データDbからデータ処理テーブルTBLに基づいて出力用データDaを生成する(ステップSb22)。第2に、制御部31は、ステップSb22にて生成した出力用データDaのデータ量を実際に積算し、この積算値に画像データのデータ量を加算することによって実データ量を算定する(ステップSb23)。さらに、ここで算定した実データ量を送信許容値から差し引くことによってデータ残量を算定する(ステップSb23)。
続いて、制御部31は、ステップSb23にて算定したデータ残量が負数であるか否か(すなわち実データ量が送信許容値を超えるか否か)を判定する(ステップSb24)。ここでデータ残量が負数であると判定した場合、制御部31は、画像を挿入することができない旨のメッセージ(挿入不可メッセージ)を表示部33に表示させる(ステップSb25)。この場合、制御部31は、ステップSb21における画像の付加を解除したうえで(ステップSb26)、ステップSb27に処理を移行する。ステップSb26において、制御部31は、ステップSb21で編集用データDbに含められた識別子を削除する。一方、ステップSb24においてデータ残量が負数でないと判定した場合、制御部31は、ステップSb25およびSb26の処理を経ることなくステップSb27に処理を移行する。
ステップSb27において、制御部31は再び実データ量を算定し、これを送信許容値から差し引くことによってデータ残量を算定する。ステップSb23に加えてステップSb27においてもデータ残量を算定するのは、ステップSb25およびSb26において画像の付加が解除されることによって実データ量およびデータ残量が変化した可能性があるからである。次に、制御部31は、ステップSb27において算定したデータ残量が送信許容値を超えているか否かに応じて操作制限フラグの内容を更新するための処理(以下「データ量判定処理」という)を実行する(ステップSb28)。図17に示されるように、このデータ量判定処理の内容は、実データ量から算定されたデータ残量を対象としている点を除いて、上述したステップSb12からSb15の内容と同様である。すなわち、制御部31は、ステップSb27にて算定したデータ残量が負数であるか否か(すなわち概算データ量が送信許容値を超えているか否か)を判定し(ステップSd1)、データ残量が負数でないと判定した場合には、操作制限フラグを“0”にリセットしたうえで(ステップSd2)、図11のステップSb7に処理を移行する。これに対し、データ残量が負数である(すなわち概算データ量が送信許容値を超えている)と判定した場合、制御部31は、RAM42に書き込まれた操作制限フラグを“1”にセットする(ステップSd3)。この結果、次回のステップSb1においては制限対象処理の選択が禁止されることとなる。この後、制御部31は、超過メッセージを表示部33に表示させたうえで(ステップSd4)、図11のステップSb7に処理を移行する。
続くステップSb7において、制御部31は、本文編集画面53のデータ量表示部60に表示されているデータ残量を、ステップSb27において新たに算定したデータ残量に更新する。この更新後のデータ残量は実データ量に基づいて算定されたものである。このため、制御部31は、ステップSb7の直前においてデータ残量とともに「約」の文字が表示されている場合にはこれを消去する。このように、本実施形態においては、概算データ量から算定されたデータ残量と実データ量から算定されたデータ残量とが異なる態様にて表示される。したがって、この表示の相違を確認することにより、利用者は、現に表示されているデータ残量が概算値であるのか正確な数値であるのかを直感的に把握することができる。
ところで、本実施形態においては、複数の画像がメール本文に付加される場合であっても、これらが共通の画像である場合にはひとつの画像データのみが本文データに付加されるようになっている。このため、メール本文に対して既に付加された画像と同一の画像がステップSb20において選択されると、制御部31は、ステップSb22およびSb23において、これらの画像を示すひとつの画像データのデータ量のみを出力用データDaのデータ量に加算して実データ量を算定する。一方、メール本文に付加される画像の識別子は複数の画像が共通する場合であっても各画像ごとに編集用データDbに含められる。したがって、メール本文に対して既に付加された画像と共通する画像を付加することが指示された場合、ステップSb23において算定されるデータ残量は、その直前のデータ残量と比較して、画像の識別子から生成される装飾タグTd(例えば図4に“<IMG src="image001">”と図示されたタグ)の分だけ減少することとなる。
図18は、画像の添付に伴なうデータ量表示部60の表示内容の変化の様子を示す図である。同図のステップS100は、未だメール本文に画像が付加されていない段階を示している。ここではステップS100におけるデータ残量を「5,000bytes」と仮定する。この段階においてひとつの画像Iaの付加が指示されると、ステップS101として示されるように、この画像Iaを示すアイコンIc2が本文編集画面53に含められる。この画像Iaの付加に伴ない、データ量表示部60に表示されたデータ残量は、画像Iaのデータ量とこの画像Iaの付加を示す装飾タグTdのデータ量との合計値である「500bytes」を直前の「5,000bytes」から減算した「4,500bytes」に更新される。次に、本文編集画像5bの別の位置に画像Iaを付加することが指示されると、ステップS101と同様にアイコンIc2が本文編集画面53に含められる(ステップS102)。ここで、ステップS102において付加される画像IaはステップS101において既に付加された画像Iaと同一の画像である。したがって、ステップS102において、データ量表示部60に表示されるデータ残量は、この画像Iaの付加を示す装飾タグTdのデータ量である「10bytes」を直前の「4,500bytes」から減算した「4,490bytes」に更新される。このように、データ量表示部60に表示されたデータ残量は、画像Iaのデータ量と装飾タグTdのデータ量との合計値たる「500bytes」を直前の「4,500bytes」から減算した「4,000bytes」とはならない。ステップS102の後にさらに同じ画像Iaの付加が指示された場合も同様である。すなわち、図18にステップS103として示されるように、データ量表示部60に表示されるデータ量は、この画像Iaの付加を示す装飾タグTdのデータ量である「10bytes」を直前の「4,490bytes」から減算した「4,480bytes」に更新されることとなる。このように、本実施形態においては、共通する複数の画像についてひとつの画像データのみが付加されるから、電子メールのデータ量を画像数に比例して増大させることなく、多数の画像をメール本文に付加することができる。
(3)プレビュー表示
ステップSb1においては、操作制限フラグの内容に拘わらずプレビュー表示が選択され得る。プレビュー表示によって本文データのデータ量が増加することはないからである。このプレビュー表示が選択されると、制御部31は、図19に示されるプレビュー処理を実行する(ステップSb40)。同図に示されるように、制御部31はまず、RAM42に記憶されている編集用データDbからデータ処理テーブルTBLに基づいて出力用データDaを生成し(ステップSe1)、この出力用データDaに基づいて実データ量およびデータ残量を算定する(ステップSe2)。ステップSe1において、編集用データDbはRAM42に記憶されたままである。続いて、制御部31は、ステップSe2にて算定されたデータ残量を対象として、図17に示したデータ量判定処理を実行する(ステップSe3)。すなわち、制御部31は、このデータ残量が負数である場合には操作制限フラグを“1”にセットして超過メッセージを表示する一方(ステップSd3およびSd4)、負数でない場合には操作制限フラグを“0”にリセットする(ステップSd2)。
次に、制御部31は、図9に示したプレビュー画面54を表示部33に表示させる(ステップSe4)。このプレビュー画面54は、ステップSe1にて生成した出力用データDaが示す本文出力画像5aと、ステップSe2にて算定したデータ残量を含むデータ量表示部60とからなる。この後、制御部31は、利用者によってプレビュー表示の終了が指示されるまで待機する(ステップSe5)。そして、この終了が指示されると、制御部31は、RAM42に記憶されている編集用データDbに基づいて本文編集画面53を表示部33に表示させる(ステップSe6)。このとき、制御部31は、本文編集画面53のデータ量表示部60に表示されているデータ残量をステップSe2にて実データ量から算定したデータ残量に更新するとともに、「約」の文字が表示されている場合にはこれを消去する。
以上が図10のステップSa7における本文編集処理の内容である。同図に示されるように、制御部31は、メール本文の内容を確定するための指示(以下「本文確定指示」という)が利用者によって入力されるまで本文編集処理を繰り返す(ステップSa8およびSa7)。一方、本文確定指示が入力されると(ステップSa8:Yes)、制御部31は、ステップSa1に処理を移行する。このステップSa1において、制御部31は、RAM42に記憶されている編集用データDbからデータ処理テーブルTBLに基づいて出力用データDaを生成する。このとき、編集用データDbはRAM42に記憶されたままである。そして、制御部31は、ステップSa1において生成された出力用データDaとこれに付加された画像データとに基づいて実データ量を算定し、この実データ量を送信許容値から減算することによってデータ残量を算定する(ステップSa2)。次いで、制御部31は、メール作成画面52を表示部33に表示させる(ステップSa3)。このメール作成画面52は、ステップSa1にて生成された出力用データDaが示す本文出力画像5aと、ステップSa2にて算定されたデータ残量を表示するデータ量表示部60とを含む。
この後、制御部31は、ステップSa2にて実データ量から算定されたデータ残量を対象として、図17に示したデータ量判定処理を実行する(ステップSa4)。すなわち、制御部31は、このデータ残量が負数である場合には操作制限フラグを“1”にセットして超過メッセージを表示する一方(ステップSd3およびSd4)、負数でない場合には操作制限フラグを“0”にリセットする(ステップSd2)。
上述したように、続くステップSa5において、制御部31は、利用者によって操作部32が操作されるまで待機する。このステップSa5においても、ステップSb1と同様に、利用者が選択し得る処理が操作制限フラグの内容に応じて制限される。さらに詳述すると、ステップSa5に処理が移行した段階で操作制限フラグが“0”にリセットされている場合、利用者は、図10に示される各種の処理を任意に選択することができる。例えば、利用者によってメール送信が選択されると、制御部31は、利用者によって作成されたメール本文を含む電子メールを無線通信部34から移動通信網11に送信したうえで(ステップSa9)、メール処理プログラムを終了する。この電子メールには、送信先および送信元の通信アドレスのほか、ステップSa1にて生成された出力用データDaと、図11のステップSb21にて付加された画像データとが含まれる。このように、実際に移動通信端末21から送信される電子メールにはマークアップ言語により記述された出力用データDaが本文用データとして含まれる。したがって、メールサーバ111の配下にある移動通信端末21だけでなく、インターネット12に接続された通信端末22においても、メール本文を適切に表示することができる。
また、メール本文の内容がステップSa8において確定された後にステップSa5において「本文」ボタン523が選択されると、制御部31は、既にRAM42に格納されている編集用データDbに基づいて本文編集画面53を表示部33に表示させる(ステップSa6)。このとき、制御部31は、本文編集画像5bとともに表示されるデータ量表示部60のデータ残量を、ステップSa2にて実データ量から算定したデータ残量に更新するとともに、「約」の文字が表示されている場合にはこれを消去する。このように、利用者は、既に作成した電子メールの内容(特にメール本文の内容)と実データ量から算定されたデータ残量とを電子メールの送信前に確認したうえで、この電子メールの内容を編集し直すことができる。
一方、ステップSa9のメール送信処理は制限対象処理に区分されている。このため、操作制限フラグが“1”にセットされている場合、制御部31は、ステップSa5においてメール送信処理の選択を禁止する。したがって、本文データのデータ量が送信許容値を下回るように再編集がなされるまで、この本文データを含む電子メールが送信されることはない。この場合、利用者は、ステップSa5において「本文」ボタン523を選択することによって本文編集画面53を表示部33に表示させたうえで、許容対象処理を実行することによってメール本文のデータ量を削減する。そして、この再編集によって操作制限フラグが“0”にリセットされて初めて、ステップSa5においてメール送信を選択することが可能となる。
以上に説明したように、本実施形態においては、メール本文を編集する段階においては編集用データDbが処理対象とされる。この編集用データDbに基づいて本文編集画面53を表示する場合にはマークアップ言語に準拠した装飾タグTdを処理する必要はないから、制御部31の処理負荷が過大になるのを抑えながら、利用者による入力に応じてメール本文を随時に変更することができる。一方、実際に送信される電子メールにはマークアップ言語に準拠した出力用データDaが含められる。したがって、編集用データDbが他の通信端末(特にインターネット12に接続された通信端末)によっては処理し得ない体系のデータであったとしても、受信した電子メールを不具合なく表示部33に表示することが可能である。このように、本実施形態によれば、編集時における処理負荷を低減しつつ、多様な装飾が施された電子メールを送信することができる。
加えて、本実施形態においては、本文データのデータ残量を表示するデータ量表示部60が本文編集画面53に含まれるから、利用者は、この表示を確認することにより、メール本文に対してあとどのくらいの編集を加え得るのかを把握することができる。ここで、文字の入力/削除や装飾の付加/解除といった編集処理が実行されるたびに実データ量が算定される構成とすれば、そのたびに出力用データDaを生成することが必要となり、この結果として制御部31の処理負荷が過大となり得る。これに対し、本実施形態によれば、これらの編集処理が実行されるときには概算データ量が算定されるから、そのたびに出力用データDaを生成する必要はない。したがって、制御部31の処理負荷を低く抑えることができる。その一方、メール本文のデータ残量として常に概算値を表示するとすれば、これを正確に知りたいという利用者の要求に応えることができない。本実施形態によれば、特定の時機(画像挿入時、プレビュー表示時および本文確定時)に実データ量が算定され、この実データ量から得られたデータ残量が表示されるから、制御部31の処理負荷を低く抑えながらも、正確なデータ残量を利用者に報知することができる。
<C:変形例>
上記実施形態には種々の変形が加えられ得る。具体的な変形の態様を挙げれば以下の通りである。
(1)上記実施形態においては、実データ量または概算データ量を送信許容値から減算したデータ残量が表示部33に表示される構成を例示したが、実データ量または概算データ量そのものが表示される構成も採用され得る。もっとも、この構成のもとで電子メールに対する更なる編集の余地(データ残量)を認識するためには、利用者自身が送信許容値から実データ量または概算データ量を減算する必要があり、しかも利用者が送信許容値を把握していなければならない。したがって、利用者の負担を低減するという観点からすると、データ残量を表示する構成が望ましい。あるいは、データ残量と実データ量または概算データ量とがともに表示される構成も採用され得る。さらに、データ残量、実データ量または概算データ量を数値として表示する必要は必ずしもなく、例えばこれらの数値をグラフ表示する構成や、これらを音声によって出力する構成も採用され得る。要するに、本発明においては、実データ量または概算データ量に応じた利用者への報知が行なわれる構成であれば足り、その具体的な構成は不問である。
(2)上記実施形態においては、概算データ量が送信許容値を超えた場合に負号を表示する構成を例示したが、概算データ量と送信許容値との大小関係に応じて表示の態様を異ならせる方法はこれに限られない。例えば、データ量表示部60にデータ残量が表示される構成のもとでは、データ残量が負数である場合(すなわち概算データ量が送信許容値を超えた場合)と正数である場合とでその数値の表示色や字体を異ならせる構成も採用され得る。
(3)上記実施形態においては、概算データ量から算定されたデータ残量に「約」の文字を付する構成を例示したが、このデータ残量と実データ量から算定されたデータ残量との表示の態様を異ならせる方法はこれに限られない。例えば、双方のデータ残量の表示色や文字サイズを異ならせてもよい。
(4)上記実施形態においては、移動通信端末21に本発明を適用した構成を例示したが、ネットワークに対して有線を介して接続された通信端末(例えばインターネット12に接続された通信端末22など)にも本発明は適用され得る。もっとも、本発明の目的のひとつは通信端末の処理負荷を軽減することにあるから、移動通信端末21のように処理性能が充分に備わっていない通信端末に適用されたときに本発明は特に顕著な効果を奏する。また、上記実施形態においては通信端末に本発明を適用した構成を例示したが、ネットワークを介した通信を行なう機能を持たない装置にも本発明は適用され得る。すなわち、本発明に係る電子メール作成装置は、メール本文の作成時に用いられた編集用データから出力用データを生成する機能を備えていれば足り、出力用データを含む電子メールを送信する機能を備えているか否かは不問である。例えば、電子メール作成装置を通信端末に接続し、利用者による操作に応じて作成された電子メールを電子メール作成装置が通信端末に出力する一方、通信端末がこの電子メールをネットワーク(例えば移動通信網11)に送信する構成も採用され得る。
100……通信システム、11……移動通信網、111……メールサーバ、12……インターネット、13……ゲートウェイサーバ、21……移動通信端末、22……通信端末、31……制御部(編集用データ生成手段、出力用データ生成手段、概算データ量特定手段)、32……操作部、33……表示部(報知手段)、34……無線通信部(送信手段)、4……記憶部(記憶手段)、41……ROM、42……RAM、43……不揮発性メモリ、51……メニュー画面、52……メール作成画面、53……本文編集画面、54……プレビュー画面、5a……本文出力画像、5b……本文編集画像、60……データ量表示部、Da……出力用データ、Db……編集用データ、Td……装飾タグ、D1……文字データ、D2……属性データ、TBL……データ処理テーブル。