JP4226830B2 - 複合生体材料の生分解性制御 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシウム塩(特に、ハイドロキシアパタイト)とコラーゲンを含む複合生体材料の生体内分解性を制御する方法および該方法によって提供される改良された複合生体材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、整形外科の領域における骨欠損部の修復には、自己組織の再移植を行うことが多い。しかし、自己組織の使用は患者の負担が大きく、その採取量にも限界があるため、人工インプラントによる補填が不可欠となる。こうした人工骨には生体骨類似の機械的特性に加えて、生体適合性や骨伝導性−すなわち、生体適用後徐々に吸収され、骨再生サイクルに取り込まれて自身の骨に置換していく性質−が求められる。
【0003】
元々脊椎動物の骨は無機物のハイドロキシアパタイト(HAp)と有機物のコラーゲンからなる複合体である。これらは、生体骨中でHApがそのc軸方向にコラーゲン繊維に沿って配向した特有のナノコンポジット構造を形成(自己組織化)し、この構造が骨に特有の機械的性質を与えている。すなわち、単にHApとコラーゲンを組み合わせただけでは、生体骨同様の構造や特性を得ることはできない。
【0004】
そこで、HApとコラーゲンを用いて、より生体骨に近い複合生体材料を開発するための様々な検討がなされてきた。例えば、Mehlischらは、HAp粒子とコラーゲンの混合物を合成し(Mehlisch, A.S et al, Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 70(6) (1990), 685-692)、Miyamotoらは、HApセメントで補強したコラーゲンを作製して、その生体適合性を評価した(K.S. TenHuisen, et al, J. Biomed Mater Res, 29(7) (1995), 803-810)。また、TenHuisenらは、リン酸水素カルシウムをHApのプリカーサーとして、コラーゲン(Col)繊維上にHAp結晶を成長させ、HAp/Colナノコンポジットを製造した(Y. Miyamoto et al., Biomaterials, 19 (1998), 707-715)。しかしながら、そのいずれも、生体骨類似のナノ構造を再現することはできなかった。
【0005】
一方、本発明者らは、HApとColの自己組織化を利用して、バイオミメティックな条件下(骨新生が生じる生体内環境に似た条件)で、生体骨類似のナノコンポジット構造を有するHAp/Col複合体を合成することに成功した(特開平7-101708号公報、特開平11-199209号公報、特開平2000-5298号公報等)。この複合体は、優れた生体適合性を有し、破骨細胞に吸収され、骨新生を促すことが確認された。しかしながら、該複合体は移植後すみやかに吸収・分解されてしまうため、人工骨材等としての実用性に欠けるという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生体骨類似の構造をもったカルシウム塩(特に、ハイドロキシアパタイト)とコラーゲンを含む複合体において、その機械的強度を維持しつつ、生体内分解速度を制御し、実用に適した複合生体材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、複合体を構成するコラーゲン繊維に架橋を導入すれば、その機械的強度と生体内分解速度が制御できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(9)を提供するものである。
(1) カルシウム塩とコラーゲンを含む複合生体材料において、コラーゲンに架橋を導入することにより、該複合生体材料の生体内分解速度を制御する方法。
(2) 前記カルシウム塩がハイドロキシアパタイトである、上記(1)記載の方法。
(3) 前記複合生体材料がハイドロキシアパタイトのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を有するものである、上記(2)記載の方法。
(4) 前記架橋がコラーゲン中の反応可能な官能基の少なくとも1%以上に導入されることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の方法。
(5) 前記架橋がグルタールアルデヒドを用いた架橋反応によって導入されることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の方法。
【0009】
(6) 前記グルタールアルデヒドが複合生体材料中のコラーゲン1gに対して10μmol〜10mmol用いられることを特徴とする、上記(5)記載の方法。
(7) ハイドロキシアパタイトとコラーゲンを含む複合生体材料において、該複合生体材料中のコラーゲン1gに対して10μmol〜10mmolのグルタールアルデヒドを用いて架橋を導入したことを特徴とする、複合生体材料。
(8) 前記架橋がコラーゲン中の反応可能なε−アミノ基の少なくとも5%以上に導入されていることを特徴とする、上記(7)記載の複合生体材料。
(9) 前記複合生体材料がハイドロキシアパタイトのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を有するものである、上記(7)または(8)記載の複合生体材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容について詳述する。
1.本発明の複合生体材料
本発明の複合生体材料は、カルシウム塩(特に、ハイドロキシアパタイト)とコラーゲンを含む複合体において、コラーゲンに架橋を導入することにより、生体材料に適した機械的強度と生体内分解速度を実現したことを特徴とする。
【0011】
本発明の複合生体材料に含まれる、カルシウム塩としては、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムが好ましく、特にハイドロキシアパタイトが最も好ましい。このコラーゲンとハイドロキシアパタイトを含む複合生体材料において、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンは自己組織化的に配向し、生体骨類似の複合体を形成することが好ましい。なお、「自己組織化」とは、一般的には「同種あるいは異種の原子、分子、微粒子などが、非共有結合的相互作用によって集合し、特異的な組織を形成すること(東京化学同人「生化学辞典」より)」を意味するが、特に本発明中においては、コラーゲン繊維に沿って、アパタイト構造を有するリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト:HAp)が生体骨特有の配向、すなわちHApのc軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を形成することを意味するものとする。
【0012】
ハイドロキシアパタイトは、一般組成をCa5(PO4)3OH、とする化合物であり、その反応の非化学量論性によって、CaHPO4 、Ca3(PO4)2、Ca4O(PO4)2、Ca10(PO4)6(OH)2、CaP4O11、Ca(PO3)2、Ca2P2O7、Ca(H2PO4)2・H2Oなどリン酸カルシウムと称される1群の化合物を含む。また、ハイドロキシアパタイトは、Ca5(PO4)3OH、またはCa10(PO4)6(OH)2の組成式で示される化合物を基本成分とするもので、Ca成分の一部分は、Sr、Ba、MG、Fe、Al、Y、La、Na、K、Hなどから選ばれる1種以上で置換されてもよい。また、(PO4)成分の一部分が、VO4、BO3、SO4、CO3、SiO4等から選ばれる1種以上で置換されてもよい。更に、(OH)成分の一部分が、F、Cl、O、CO3等から選ばれる1種以上で置換されてもよい。また、これらの各成分の一部が欠陥となっていてもよい。生体骨中のアパタイトのPO4およびOH成分の一部は通常CO3に置換されているため、本複合生体材料の製造中、大気中からのCO3の混入と各成分への一部置換(0〜10質量%程度)があってもよい。
【0013】
なお、ハイドロキシアパタイトは、通常の微結晶・非晶質並びに結晶体の他に、同型固溶体、置換型固溶体、侵入型固溶体であってもよく、非量子論的欠陥を含むものであってもよい。また、この「ハイドロキシアパタイト」中、カルシウム及びリンの原子比(Ca/P)は1.3〜1.8の範囲内にあることが好ましく、特に1.5〜1.7がより好ましい。原子比が1.3〜1.8の範囲内にあると、生成物中のアパタイト(リン酸カルシウム化合物)の組成と結晶構造が、脊椎動物の骨の中に存在するアパタイトと類似の組成と構造をとりうるため、生体親和性・生体吸収性が高くなるからである。
【0014】
コラーゲンは、現在では20種類程度の分子種の異なるものが、哺乳動物に限らず、魚類を含む広範な動物の生体組織中に存在することが知られており、「コラーゲン類」と総称される。本発明で用いられるコラーゲンは、その出発原料とする動物の種、組織部位、年齢等は特に限定されず、任意のものを用いることができる。一般的には、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ネズミ等)や鳥類(例えば、ニワトリ等)の皮膚、骨、軟骨、腱、臓器などから得られるコラーゲンが用いられる。また、魚類(例えば、タラ、ヒラメ、カレイ、サケ、マス、マグロ、サバ、タイ、イワシ、サメ等)の皮、骨、軟骨、ひれ、うろこ、臓器などから得られるコラーゲン様蛋白を出発原料として用いてもよい。あるいは、動物組織からの抽出ではなく、遺伝子組み替え技術によって得られたコラーゲンを用いてもよい。
【0015】
ここで、コラーゲンの分子種のなかで最も量が多く、よく研究されているのはI型コラーゲンで、通常、単にコラーゲンという場合はI型コラーゲンを指すことも多い。本発明で用いられるコラーゲンの分子種は特に限定されないが、I型コラーゲンを主成分とすることが好ましい。さらに、コラーゲンは、コラーゲンタンパク質のアミノ酸残基を、アセチル化、コハク化、マレイル化、フタル化、ベンゾイル化、エステル化、アミド化、グアニジノ化など、適当に化学修飾して用いてもよい。
【0016】
コラーゲンの調製方法としては、例えば、前記の出発原料(遺伝子組み替え技術は除く)から中性緩衝液や塩酸、酢酸、クエン酸などの希酸で抽出する方法が挙げられる。前者は中性塩可溶性コラーゲン、後者は酸可溶性コラーゲンと呼ばれる。しかし、いずれも抽出されるコラーゲンの量は少なく、大部分は不溶性コラーゲンとして残留する。この不溶性コラーゲンを可溶化させる方法としては、酵素可溶化法とアルカリ可溶化法が知られている。前者は酵素可溶化コラーゲン、後者はアルカリ可溶化コラーゲンと呼ばれるが、ともにほぼ100%の収率で分子状のコラーゲンとして可溶化できる。
【0017】
本発明に用いられるコラーゲンの調製方法(抽出型)は、特に限定されないが、コラーゲンが可溶化しているときの分子量が大きいと、立体障害のために複合体の強度が不十分となるため、モノメリック(単分子)なコラーゲンを用いることが好ましい。特に、酵素可溶化コラーゲンとアルカリ可溶化コラーゲンは、モノメリック分が多量であることに加えて、調製段階でコラーゲンの抗原性の大部分を有する非螺旋部(テロペプチド)が、選択的に分解・除去されるため、本発明の有機無機複合生体材料に好適である。なお、この非螺旋部が分解、除去されたコラーゲンはアテロコラーゲンと呼ばれる。
【0018】
ここで、酵素可溶化コラーゲンとアルカリ可溶化コラーゲンでは、等イオン点に違いがみられる。等イオン点とは、タンパク質分子に固有の解離基に由来する正、負の両荷電がちょうど相殺するpHのことで、コラーゲンの場合は等イオン点のpH領域に近づくと、可溶化していたものが線維化することが知られている。一般的に、酵素可溶化コラーゲンの等イオン点はpH8〜9で、アルカリ可溶化コラーゲンの等イオン点はpH4〜5である。本発明では、pHが7〜11に保たれた反応容器中でコラーゲンの線維化が進み、自己組織化しやすい酵素可溶化コラーゲンを用いることがより好ましい。また、可溶化するための酵素としては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、プロナーゼなどが例示されるが、酵素反応後の処理の容易性からペプシン、プロナーゼが好適に用いられる。
【0019】
2.ハイドロキシアパタイトとコラーゲンを含む複合体の製造方法
本発明の複合生体材料の母体となる、カルシウム塩とコラーゲンを含む複合体の好適な例として、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンを含む複合体の製造方法について説明する。
【0020】
ハイドロキシアパタイトとコラーゲンを含む複合体は、例えば、Kikuchiらの方法(Kikuchi, S. et al, J.,Biomater., 22(13) (2001), 1705-1711, S. Itoh et al, J. Biomed Mater Res, (2001), 445-453)にしたがって製造することができる。該複合体は、少なくとも、コラーゲン、リン酸塩、カルシウム塩の3種の成分を出発物質として製造される。なお、厳密には「塩」に該当するものでないが、本発明において上記リン酸塩にはリン酸も、カルシウム塩には水酸化カルシウムをも含むものとする。
【0021】
用いられるリン酸塩水溶液のリン酸源としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウムおよびリン酸等が挙げられる。該リン酸塩水溶液は上述のコラーゲンを溶解して反応に供される。
【0022】
また、用いられるカルシウム塩水溶液のカルシウム源としては、例えば炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。該カルシウム塩水溶液は均一な状態であれば、懸濁液であってもよく、例えば、炭酸カルシウムを焼成後乳鉢等で粉砕して水酸化カルシウムとし、これに水を加えて得た水酸化カルシウムの懸濁液を好適に用いることができる。
【0023】
前記複合体の製造方法において、前記カルシウム塩水溶液とコラーゲンを含有するリン酸塩水溶液は、反応容器に同時滴下される。ここで「同時」とは厳密に同時に滴下する形態のみをさすものではなく、少量(0.01〜5ml程度)づつ交互に滴下する形態をも含む。なお両溶液は、同時である限り連続的に滴下してもよいし、間欠的に滴下してもよい。
前記反応容器内にはあらかじめ、適当量の純水を入れておく。該純水の量は特に限定されないが、用いるカルシウム塩水溶液の量とほぼ同程度であることが好ましい。
【0024】
前記製造方法において、反応容器内におけるカルシウムイオン濃度は3.75mM以下、リン酸イオン濃度は2.25mM以下に維持されることが重要である。カルシウムイオンやリン酸イオンの濃度が上記範囲内を超えると、複合体の好適な自己組織化が妨げられるからである。これは、反応容器内に対流する上記イオンの濃度が、体液中におけるそれらの濃度を超えると自発的な核形成を起こすためと考えられる。なお、カルシウムイオン濃度が2.5mM、リン酸イオン濃度が1.5mM以下に維持されれば、平均繊維長さ1mm以上の複合体を得ることができ、より好適である。
【0025】
前記製造方法において、反応容器内に生成するハイドロキシアパタイトとコラーゲンは、重量比で3:2〜9:1、好ましくは70:30〜85:15となるように存在することが好ましい。これは理想的な反応が起こったときのハイドロキシアパタイトとコラーゲンの重量比が、生体骨の組成(75:25)により近いことが自己組織化に重要だからである。
【0026】
コラーゲンを含むリン酸水溶液とカルシウム塩水溶液との比率は、3:1〜1:3の範囲とすることが好ましい。コラーゲンを含有するリン酸水溶液の使用量が少ない場合には、カルシウム過剰組成になり強度が低下し、カルシウム塩を含有する水溶液の使用量が少ない場合には、カルシウム欠損が発生して、ヤング率が低下し、強度の低下をまねくこともあるからである(特開平11-199209号公報参照)。
【0027】
本発明において、反応液のpHは7〜11の範囲で、かつ変化の幅を1以内となるように滴下することが望ましい。より好ましくはpH7〜9の範囲で、かつ変化の幅を0.5以内とすることがよい。これは、ネイティブなコラーゲンはpH7〜11の範囲で等電点による沈澱を起こして線維が再生するものであり、またリン酸カルシウムもこのpH範囲において沈澱を起こしやすいため、このpH範囲であればリン酸カルシウムとコラーゲンの自己組織化が促進されるからである。なおpHが11を超えると、コラーゲン分子周辺に水分子が水和して後の加圧成形工程で水分子が離れにくくなるため、複合体の含水率が高くなり、自己組織化が妨げられ、強度も低下するおそれがある。一方、pHが7未満だと、リン酸カルシウム、コラーゲンともに沈澱しにくくなる。また、変化の幅が1を越えると、コラーゲン上でのリン酸カルシウムの核形成に乱れが生じ、自己組織化が悪くなる(Kikuchi et.al., Biomaterials 22, (2000) p1705-1711))。
【0028】
前記製造方法において、好適なpH制御を行うには、pHコントローラーを用いることが簡便である。pHコントローラーは、反応液のpHを測定する手段と、滴下する両溶液の滴下量を調節する手段とを備えたものであり、所期値として設定されたpH(例えば10)に対して一定範囲(例えば±0.3)を保つように、両溶液のpH値に基づいて両溶液の滴下量を調節するものである。pHコントローラーとしては、例えばNISSIN社製のものが挙げられる。なお、反応液のpHが偏ることのないように、両溶液および反応液をたえず攪拌しながら反応を行うことが好ましい。
【0029】
前記製造方法において、反応液の温度は35℃〜40℃に維持されることが好ましい。この範囲の温度であれば、生体内と同様の条件で複合体形成が行われることが期待されるからである。反応液から生じた沈澱物を濾過、乾燥後、加圧成形すれば、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンが自己組織化的に配向結合した複合体が得られる。
【0030】
3.架橋の導入
上記のようにして得られたカルシウム塩(特に、ハイドロキシアパタイト)とコラーゲンを含む複合体において、該複合体を構成するコラーゲン繊維に架橋を導入する。架橋は反応液から複合体を単離せずに、直接行うことが好ましい。また、架橋点を増やすために少量(複合体のコラーゲン量に対して、1〜100mol%)のコラーゲンまたは多糖類を添加してもよい。
【0031】
架橋は、架橋剤や縮合剤を用いた化学的架橋、γ線、紫外線、熱脱水、電子線等を用いた物理的架橋など、いずれの方法で行ってもよい。架橋剤としては、例えば、グルタールアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド系架橋剤;ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系架橋剤;1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジド系架橋剤;エチレングリコールジエチルエーテル等のポリエポキシ系架橋剤;トランスグルタミナーゼ等が挙げられる。これらの架橋剤の使用量は、複合体中のコラーゲン1gに対して10μmolから10mmol程度とすることが好ましい。
【0032】
前記架橋は、コラーゲン同士のどの部分を架橋するものであってもよいが、特にカルボキシル基と水酸基、カルボキシル基とε-アミノ基、ε-アミノ基同士を架橋することが好ましい。また、反応可能な官能基のうち、その少なくとも1%以上に架橋が導入されることが好ましく、5%以上に導入されることがより好ましい。架橋が不十分だと生体内での分解が早く、骨欠損部の十分な補填効果が期待できないからである。ただし、過剰な架橋剤の使用は、複合体を形成する各繊維間に架橋を導入する結果、複合体の水分含量を高め、粒子間の結合を阻害して複合体の強度を低下させるので注意が必要である。
【0033】
前記架橋方法のうち、グルタールアルデヒド等の架橋剤を用いた化学的架橋は、架橋度のコントロールしやすさや、得られる複合体の生体適合性という面から、特に好ましい。以下、本発明の好適な態様として、グルタールアルデヒドを用いた架橋方法について説明する。
【0034】
前項で得られた、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンを含む複合体の反応液は、複合体合成後直ちに、あるいは3時間までのエージング後、激しく撹拌しながらグルタールアルデヒドを加えて10分間反応させる。架橋反応後、速やかに複合体をろ過し、純水で3回洗浄して過剰なグルタールアルデヒドを除去する。
ここで、グルタールアルデヒドは、複合生体材料中のコラーゲン1gに対して10μmol〜10mmol、特に10μmol〜1mmol添加されることが好ましい。また、反応液の温度は0℃〜40℃に維持されることが好ましい。
【0035】
4.架橋による物性(機械的強度、生体内分解速度)の向上
得られた架橋複合生体材料は、未架橋の複合生体材料に比べて、高い機械的強度を有し、生体内分解速度も遅いため、人工骨材等に必要な生体内滞留性を有する。すなわち、本発明は、ハイドロキシアパタイトとコラーゲン間に架橋を導入することにより、機械的強度を保ちつつ、複合生体材料の生体内分解速度を制御する方法を提供する。
【0036】
前記生体内分解速度は、例えば、マウス、ラット、ウサギ等の骨内に該複合生体材料を移植して、その生体内滞留性をみることによって評価することができる。また、前記機械的強度は、例えば、三点曲げ強度やその値から求められるヤング率によって評価できる。
【0037】
具体的には、コラーゲン1gに対して10μmol〜10mmolのグルタールアルデヒドを添加して架橋を導入した有機無機複合生体材料は、その機械的強度が7MPa(未架橋)から15MPa以上(架橋後)に向上した。そして、未架橋試料が生体骨内において4週間でほぼ(90%以上)吸収されるのに対し、架橋複合生体材料は4週間経っても生体骨内に約50%以上が残存していた。
【0038】
5.架橋複合生体材料の利用方法
前記方法で得られた架橋複合生体材料は、適宜加圧成形して人工骨材等のインプラントとして利用することができる。加圧成形は、0℃以上110℃以下の温度範囲で、かつ10Mpa〜5Gpaの圧力範囲で行うことが好ましい。この温度範囲で加圧成形を行うと、沈澱物に含まれる水のほとんどが急激に放出されるからである。温度は、水の放出量の多い25℃以上60℃以下の範囲とすることが好ましく、35℃以上45℃以下の範囲とすることが特に好ましい。
また、超音波を印加しながら行うと、自己組織化をさらに促進することができるので好ましい。本発明で加圧成形に用いることのできる圧力処理装置としては、例えば神戸製鋼社製のCIP等を挙げることができる。
【0039】
本発明の複合生体材料の形態・形状は特に限定されず、ブロック状、ペースト状、膜状、粒状、スポンジ状など、その用途にあわせて任意の形態・形状に成形することができる。本発明の複合生体材料は、水を吸うとスポンジのような弾性を有し、優れた生体親和性、骨誘導能ないしは骨伝導能を有する。したがって、該複合生体材料をインプラントとして使用する場合、生理食塩水など適当な液体に一旦浸漬してから、使用してもよい。こうして埋入された複合生体材料は、速やかに骨組織と結合し、ドナー側の硬組織と一体化しうる。
【0040】
本発明の複合生体材料には、必須の成分であるカルシウム塩、リン酸塩、コラーゲンに加えて、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、さらに他の成分を含有させることもできる。かかる成分としては、例えばSt、MgおよびCO3等の無機塩、クエン酸およびリン脂質等の有機物、骨形成タンパク質、抗ガン剤等の薬剤が挙げられる。
【0041】
本発明の複合生体材料は、生体骨に近い強度と組成をもち、構成成分であるコラーゲンおよびリン酸カルシウムがともに生体溶解性であるため薬剤徐放効果、あるいは骨誘導能ないしは骨伝導能を有する。しかも、架橋によって優れた機械的強度と生体内滞留性(適度な生体内分解速度)を有する。
【0042】
また、本発明の複合生体材料に生理活性の高いサイトカインを含有させ、これを基板として力学・電気などを加えた生体類似環境下あるいは生体内で組織培養を行うことにより、骨髄、肝臓などの組織再建の効果も期待される。たとえば、骨肉腫などの切除骨の再建に、本発明により得られる複合材料に抗癌剤を含浸させたものを用いることで、癌再発の防止とともに生体硬組織の誘導を行うことができる。
【0043】
したがって、本発明によって得られる複合生体材料の用途としては、骨誘導および骨伝導能を有する生体骨置換型骨再建材としての利用法、アミノ酸、糖質、サイトカインを含有する組織工学に用いられる生体活性基材、および抗癌剤等の生体融和型薬剤徐放性基材としての利用法を挙げることができ、具体的には、人工骨、人工関節、腱と骨との接合材、歯科用インプラント材、カテーテル用経皮端子、薬剤徐放性基材、骨髄誘導チャンバー、組織再建用チャンバー・基材等を挙げることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:架橋 HAp/Col 複合体の作製
(1) HAp/Col複合体の調整
Kikuchiらの方法(M. Kikuchi, et al.,Biomater., 22(13) (2001), 1705-1711)に従い、Hap/Col複合体を調整した。まず、出発物質として炭酸カルシウム(アルカリ分析用、和光純薬)、リン酸(特級、和光純薬)およびブタ皮膚由来のアテロコラーゲン(新田ゼラチン)を用意した。炭酸カルシウムは1050℃で焼成後、加水消化して水酸化カルシウム単相にした。40mMの水酸化カルシウム懸濁液2dm3とコラーゲン2gを含んだ24mMのリン酸水溶液2dm3を、チューブポンプを介して反応容器に導入した。反応容器内のpHはコントローラによってpH9に制御し、温度は湯浴によって40℃に制御した。
【0045】
(2) 架橋反応
反応液を懸濁したまま3時間静置し、激しく撹拌しながら架橋剤:グルタールアルデヒドを加えて10分間反応させた。架橋反応後、速やかに複合体をろ過し、純水で3回洗浄した。比較として、水溶性カルボジイミド、トランスグルタミナーゼ(いずれも縮合剤)を用いて同様に架橋反応を行った。
【0046】
架橋反応は、複合体中のコラーゲン1gに対して、それぞれグルタールアルデヒド:0.0191-13.5 mmol/g、水溶性カルボジイミド:0.0191-8.8 mmol/g 、トランスグルタミナーゼ: 19.1-1910 mg/g の範囲で変化させて行った。なお、グルタールアルデヒドの場合、0.191 mmol/gで理論上コラーゲン分子中の全てのε-amino基が架橋可能となる。
【0047】
(3) 特性値の測定
得られた架橋複合体の特性を以下のようにして測定した。
▲1▼複合体構造(粒子サイズ):
架橋複合体を純水に分散させ、透過型電子顕微鏡Rapid-VueR (Beckman-Colter製) を用いて観察した。
▲2▼三点曲げ強度:
架橋複合体を20MPaで24時間1軸加圧して脱水成形し、universal testing machine (Autograph AGS-1kN, Shimadzu製) により三点曲げ強度を測定した。測定は、5×3×20mmの架橋複合体片を用いて、クロスヘッドスピード500μm、スパン15mmで行った。
【0048】
▲3▼HAp/Col/H2O 比:
上記の加圧成形した架橋複合体のHAp/Col/H2O 比をcarbon determinator (LECO製, RC-412)を用いて測定した。
▲4▼膨潤度:
上記の加圧成形した複合体をリン緩衝液 (pH=7.4, 37°C)中に4週間浸漬し、重量測定を行い膨潤度(下式)を求めた。
【0049】
【数1】
膨潤度(%)=〔(Wx−Wo)/Wo〕×100
Wx:初期重量、Wo:浸漬後の重量
【0050】
▲5▼架橋量:
三点曲げ強度測定に用いた架橋複合体を用いて、sulfo-SDTB 法によりε-amino 基量を測定し、架橋量を求めた。
【0051】
(4) 結果
▲1▼ 透過型電子顕微鏡観察の結果、グルタールアルデヒド架橋複合体の繊維長は平均44.8μmであった。また、架橋されたハイドロキシアパタイトとコラーゲンにはマクロな配向性はみられず、架橋はランダムに生じることがわかった。なお、生体骨類似のナノスコピックな構造(コラーゲン単繊維状のHApの配向)は実質的に維持されていた。グルタールアルデヒド濃度の増加につれて、複合体の色は暗い黄色から茶色に変化した。これは過剰なグルタールアルデヒドが自己組織化繊維間を架橋して複合体繊維長を増大させるためと思われた。
【0052】
▲2▼ グルタールアルデヒド架橋複合体の場合、三点曲げ強度はグルタールアルデヒド含量にしたがって増加し、1.35mmol/g collagenで最高値に達した(図1)。この結果は、過剰なグルタールアルデヒド架橋剤(1.35mmol/g以上)は、複合体を形成する各繊維間に架橋を導入し、複合体の水分含量が高める結果、粒子間の結合を阻害して複合体強度を低下させることを示唆していた。
水溶性カルボジイミドやトランスグルタミナーゼによる架橋物では、必ずしも濃度的な変化はみられなかった。
【0053】
▲3▼ グルタールアルデヒド架橋複合体のHAp/Col比はほぼ一定だったが、水の含有量はグルタールアルデヒドの量にしたがって増加した。これは、自己組織化繊維内に生じる架橋は複合体の保水性に影響を与えないが、自己組織化繊維間に生じる架橋が複合体の保水性を増加させるためである。水溶性カルボジイミドやトランスグルタミナーゼでも、グルタールアルデヒド同様、反応剤の濃度にしたがってコラーゲンおよび水含量は増加した。
【0054】
▲4▼ 膨潤度は主としてコラーゲン量に依存する。それゆえ膨潤度は、架橋量を反映するようにコラーゲン量で正規化した(図2)。その結果、膨潤度はグルタールアルデヒド濃度にしたがって減少し、架橋により生体組織中における複合体の生分解性を制御しうることが示唆された。
一方、水溶性カルボジイミドやトランスグルタミナーゼでは膨潤度の増加ははっきりと観察できなかった。これは、水溶性カルボジイミドやトランスグルタミナーゼは縮合剤であるため、架橋は複合体を密にして、膨潤を妨げるためと思われた。
▲5▼ sulfo-SDTB 測定の結果、グルタールアルデヒド1.35mmol/g濃度では、遊離のε-amino基は検出されなかった。この濃度は、コラーゲン中の架橋可能な官能基を架橋するために必要なグルタールアルデヒド量の約70倍にあたる。
【0055】
(5) 結論
グルタールアルデヒド架橋物の場合、グルタールアルデヒドが1.35mmol/g・col濃度を超えると、架橋物の機械的強度は減少し、人工骨材として適当な機械的強度を維持するためには10mmol/g・col以下の濃度で架橋することが好ましいと思われた。一方、生体内での分解が膨潤度に比例するとすれば、架橋量が多いほど分解は抑えられることが予測された。また、架橋によっても、生体骨類似のナノスコピックな構造(コラーゲン単繊維状のHApの配向)は実質的に維持されていた。
【0056】
実施例2:ウサギによる HAp/Col 複合体架橋物の生分解性試験
(1) 試験方法
HAp/Col複合体架橋物の生体内分解性を、実施例1で得られた各種グルタールアルデヒド濃度による架橋物(2×2×2mm)をウサギ脛骨内に埋入して調べた。評価は、1,2,4週後に肉眼所見(図3)と組織学的検査(ヘマトキシリンーエオジン染色)を行うことにより評価した。
【0057】
(2) 結果
組織学的検査の結果、炎症反応等、グルタールアルデヒド架橋物による毒性反応は全く見られなかった。また、全ての架橋体において、架橋体周囲に、未架橋の複合体と同程度の骨形成および骨伝導能が認められた。。
【0058】
HAp/Col複合体架橋物の吸収/分解速度は、グルタールアルデヒド濃度にしたがって遅くなり、高密度の架橋(191μmol以上)では、4週間たっても70-80%が骨内に残存していた。コラーゲン1gあたり19.1μmolのグルタールアルデヒドで架橋したものは約50%が、675μmolで架橋したものは約85%以上が残存していた。さらに、コラーゲン1gあたり1.35mmolのグルタールアルデヒドで架橋したもでは表面のみが吸収され、95%以上が残存していた。なお、それぞれの架橋試料におけるε-アミノ基の残存量は、80-95%、0-10%、0%であった。特に1.35mmolのグルタールアルデヒドによる架橋では過剰なグルタールアルデヒド同士が複合体内で架橋のネットワークを形成し、複合体の吸収性をさらに下げていると考えられた。
【0059】
(3) 結論
以上より、コラーゲン1gあたりグルタールアルデヒド19.1μmol〜1.35mmolの濃度で架橋した複合体は、人工骨材に必要とされる機械的強度と、生体内分解速度を有することが確認された。上記結果と実施例1の結果から、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンを含む複合体において、コラーゲンの反応可能なε-アミノ基の少なくとも1%以上(好ましくは5%以上)に架橋を導入すれば、機械的強度を維持しつつ、人工骨材に必要な生体内分解速度の達成が可能と考えられた。そしてそのような架橋の導入には、少なくともコラーゲン1gあたりグルタールアルデヒド10μmol〜10mmol程度を用いればよいと考えられた。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、生体骨類似の構造をもったカルシウム塩(特に、ハイドロキシアパタイト)とコラーゲンを含む複合体において、その機械的強度を維持しつつ、生体内分解速度を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、架橋剤濃度と架橋複合体の三点曲げ強度の関係を示す。
【図2】図2は、架橋剤濃度と架橋複合体の膨潤度(コラーゲン量で正規化したもの)を示す。
【図3】図3は、ウサギ脛骨内埋入2週間後の各グルタールアルデヒド架橋複合体の写真である。
Claims (4)
- カルシウム塩とコラーゲンを含む複合生体材料において、コラーゲンに架橋を導入することにより、該複合生体材料の生体内分解速度を制御する方法であって、前記カルシウム塩がハイドロキシアパタイトであり、前記複合生体材料がハイドロキシアパタイトの c 軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を有するものであり、前記架橋がグルタールアルデヒドを用いた架橋反応によって導入され、かつ、前記グルタールアルデヒドが複合生体材料中のコラーゲン 1g に対して 10 μ mol 〜 10mmol 用いられる、上記方法。
- 前記架橋がコラーゲン中の反応可能な官能基の少なくとも1%以上に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ハイドロキシアパタイトとコラーゲンを含む複合生体材料において、該複合生体材料中のコラーゲン1gに対して10μmol〜10mmolのグルタールアルデヒドを用いて架橋を導入したことを特徴とする、複合生体材料であって、前記複合生体材料がハイドロキシアパタイトの c 軸がコラーゲン繊維に沿うように配向した微小多孔質構造を有する、上記複合生体材料。
- 前記架橋がコラーゲン中の反応可能なε−アミノ基の少なくとも1%以上に導入されていることを特徴とする、請求項3に記載の複合生体材料。
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