JP4226746B2 - 可溶栓およびこれを搭載した冷凍装置 - Google Patents
可溶栓およびこれを搭載した冷凍装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4226746B2 JP4226746B2 JP2000014592A JP2000014592A JP4226746B2 JP 4226746 B2 JP4226746 B2 JP 4226746B2 JP 2000014592 A JP2000014592 A JP 2000014592A JP 2000014592 A JP2000014592 A JP 2000014592A JP 4226746 B2 JP4226746 B2 JP 4226746B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure vessel
- plug
- fusible
- escape hole
- plug member
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Safety Valves (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍装置などの安全装置として用いられる可溶栓およびこの可溶栓を搭載した冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、冷凍装置の一例を示すものである。この冷凍装置は、高圧側の圧力容器として構成された圧縮機3、凝縮器4、膨張弁5、および、熱交換器6を順次接続して冷凍サイクルを構成している。そして、凝縮器4の側壁には、何らかの原因で凝縮器4内の冷媒温度が上昇したときに、低温溶融合金からなる栓部材12が軟化溶融し、圧力容器としての凝縮器4内の冷媒を外気中に放出することにより凝縮器4の破裂を未然に防止する安全装置として、可溶栓1が取り付けられている。
【0003】
図8および図9は、この可溶栓1として、従来一般的に使用されているものの概略構造を示す。すなわち、図8はこの可溶栓1の斜視図的な模式説明図であり、図9は、凝縮器(以下の説明においては凝縮器または圧力容器と称す)4に取り付けられた状態における図8記載の可溶栓1の断面図である。
これら図に示されるように、可溶栓1は、凝縮器(圧力容器)4の内外を導通する逃がし孔11a、凝縮器4への取り付け用ねじ部11bおよび凝縮器4への取り付け時の当たりを構成する鍔部11cを有する本体11と、この本体11における前記逃がし孔11aを閉塞するように保持された栓部材12とからなる。この栓部材12は、逃がし孔11a内に溶融した低温溶融合金を流し込み、この低温溶融合金を逃がし孔11a内で冷却固化することにより固着保持されたものである。また、栓部材11の端面は、本体11の端面に揃えるように加工されている。
【0004】
この冷凍装置にあっては、圧縮機3で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器4で空気あるいは水と熱交換して凝縮され、高温高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、膨張弁5に送られて減圧され、低温低圧の液ガス混合冷媒となって熱交換器6に流入する。そして、この熱交換器6で、水等の冷却対象物と熱交換して、気化した後、再び圧縮機3で圧縮され、高温高圧のガス冷媒となり再び冷媒回路内に循環される。
【0005】
このとき、栓部材12の凝縮器(圧力容器)4内の空間にさらされている面(以下受圧面という)12aには、高温高圧の冷媒が乱流状態で接触しながら流れている。この冷媒の圧力P(この圧力は、図9に矢印をもって示すように、受圧面12aに対し直角方向に作用する)は通常30kg/cm2前後であり、かつ、この冷媒の圧力Pおよび温度は、冷凍機運転中不規則な変化を繰り返している。したがって、栓部材12は、受圧面12aに不規則な変化をする圧力が作用し、さらに、不規則な温度変化をする冷媒により不規則に加熱されているため、比較的短期間でクリープを生じ、栓部材12の一部が本体11の外部に露出したり、さらには、動作設計温度以下で図示Lの方向に栓部材12が飛び出して冷媒漏れが発生するなどのことが懸念されていた(以下、このような露出や飛び出しを総称して「漏れ出し」という)。
【0006】
このような漏れ出しを防止する可溶栓として、例えば、特開平10−184960号公報あるいは特開平10−339528号公報に開示されたものが提案されている。図10は前者の可溶栓の説明図であり、図11は後者の可溶栓の説明図である。なお、これら図において、前記図8および図9に図示した従来の一般的な可溶栓1と同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0007】
図10の可溶栓1は、逃がし孔11aの全体の2/3を占める冷媒側部分を、圧力容器4側の部分が拡開するテーパ孔として形成したもので、これにより栓部材12が圧力容器4内から圧力容器4外へ移動し難い構造としたものである。
一方、図10の可溶栓1は、逃がし孔11aを、圧力容器4の内側から外側に至る経路においてL字状に形成している。すなわち、逃がし孔11aは、曲がり部手前の圧力容器4側の孔部11a1を大径とし、この孔部11a1に続けて小径の孔部11a2を設け、さらに、方向を90度偏向して圧力容器4の側壁に沿う方向の小径の孔部11a3により圧力容器4の外部に導通しており、前記小径の孔部11a2に栓部材12を設けている。したがって、この可溶栓1では、受圧面12aに作用する圧力Pの方向と、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lとを相違させることにより、栓部材12の漏れ出し方向Lへの移動を規制する構造としたものである。
【0008】
ところが、上記図10に記載の可溶栓1においては、安全基準によって、漏れ出し側(圧力容器4外側)の最低孔径が定められていることから、受圧側(圧力容器4の内面側)の孔径を前述の従来のものより必ず大きくしなければならない。したがって、高価な低温溶融合金を、従来のものよりも多く使う必要がある。このため、栓部材12を構成する低温溶融合金にIn等の特に高価な元素を用いる場合には、コスト的に非常に不利であった。
【0009】
一方、上記図11に記載の可溶栓1においては、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向L(前記圧力容器4の側壁に沿う小径の孔部11a3の方向)が、圧力容器4の側壁に対し垂直方向でなく水平方向とされ、かつ、一つしか設けられていないないために、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lへの流出を視覚により確認すること(以下視認性という)に難があるという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、外気や冷媒の圧力変化や温度変化等により、可溶栓の設定動作温度に達する前に、栓部材を構成する低温溶融合金が外部に移動したり、あるいは可溶栓の漏れ出しにより圧力容器内の冷媒が漏洩したりすることを防止するとともに、安価で視認性の良い可溶栓を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る可溶栓は、冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔の内面に設けたNiを主成分とする金属層と、この金属層を内面に設けた前記逃がし孔内に溶融したSnを主成分とする低温溶融合金を流し込み、これを冷却して前記逃がし孔内に固着した栓部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明に係る可溶栓は、冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、前記圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔を閉塞するように前記逃がし孔内に固定された栓部材とを備え、さらに、この栓部材は、熱伝導性が200W/m・K以上である高熱伝導性の棒状部材の周囲に低温溶融合金を配置し、かつ、この棒状部材の一部を前記本体から外側に突出して構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る可溶栓は、冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、前記圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔を閉塞するように前記逃がし孔内に固定された、低温溶融合金からなる栓部材とを備え、さらに、前記逃がし孔は、この栓部材の前記圧力容器から外方への漏れ出し方向と異なる方向で圧力容器内に開口していることを特徴とするものである。
【0015】
なお、前記本体は、前記逃がし孔の外側に、前記栓部材が溶融して外方に漏れ出した場合の低温溶融合金を受けるための受け皿を備えたものとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る冷凍装置は、前記いずれかの可溶栓を搭載していることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に実施の形態1について図1および図2に基づき説明する。なお、図7、図8および図9に図示した従来の可溶栓1と同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。また、以下の説明においては、圧力容器(凝縮器)の図示を省略しているが、本実施の形態1の可溶栓1は前記各従来例と同様に圧力容器4に取り付けられているものとする。
【0018】
図1は、可溶栓1の断面図であり、図2は逃がし孔11aと栓部材12との境界部分の拡大図である。
図1に示すように、可溶栓1は、従来のものと同様に本体11と栓部材12とを備えている。また、本体11は銅(Cu)を主成分とする合金で構成され、栓部材12は、錫(Sn)を主成分とした融点約68℃の低温溶融合金で構成されている。また、本体11の逃がし孔11aと栓部材12との間に、つまり逃がし孔11aの内面にニッケル(Ni)めっき7が施され、この逃がし孔11aに溶融した低温溶融合金が流し込まれ、この低温溶融合金を冷却固化して、逃がし孔11a内に固着している。
【0019】
このように構成した本実施の形態1の可溶栓1を10個と、図7、図8および図9に記載したNiめっきを施さない従来一般の可溶栓1を10個とについて、次のようなクリープ試験を行った。
すなわち、被試験可溶栓1として、本発明および従来いずれの可溶栓1についても栓部材12が直径約8mm、長さ約50mmの円筒形状となるように形成し、栓部材12の受圧面12a側に、減圧弁および圧力ゲージを介装した配管により窒素ガスボンベを接続し、この圧力ゲージが42kgf/cm2を指したところで、前記受圧面12a側の配管を封じ切ったものを準備した。そして、この被試験可溶栓1を、65℃の水温に保持した水槽内の湯中に付け、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出しを目視により確認した。なお、水槽としては、幅が約300mm、長さが約500mm、高さが約25mmのものを使用した。
この結果、前者(本実施の形態に係る可溶栓1)の10個全てが、時間差はあるものの後者(前記めっき層7を施さないもの、すなわち、従来一般のものに相当するもの)よりも遅く漏れ出すことを観測した。
【0020】
これは本実施の形態1の場合、Niめっき層7と低温溶融合金(栓部材12)との間に、図2に示すようにNi3Sn4からなる金属間化合物層8が形成され、この金属間化合物層8により、本体11と栓部材12との境界面におけるクリープが抑制され、可溶栓1の設定動作温度以下での漏れ出しを防止することができたものと考えられる。
なお、めっき層7としてはピンホールがほぼない状態が好ましく、このためには、Niめっき層7を5μm以上の厚さとすることが望ましい。
【0021】
また、本実施の形態1のように構成すると、逃がし孔をテーパ孔とする必要がないので、栓部材12の材料を無駄に費やす必要がなく、かつ、栓部材12として安価な錫を主体とした合金を使用することができる。また、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lが圧力容器4の側壁と直角方向となるので、視認性が良好となる。
【0022】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2を図3により説明する。なお、図7、図8および図9に図示した従来の可溶栓1と同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。また、以下の説明においては、圧力容器4の図示を省略しているが、本実施の形態2の可溶栓1は前記各従来例と同様に圧力容器4に取り付けられているものとする。
【0023】
この実施の形態2は、図7、図8および図9に図示した従来一般の可溶栓1において、低温溶融合金からなる栓部材12に高伝導性材料からなる棒状部材、例えば、円柱13を部分的に埋設したものである。
このようにすると、円柱13からの放熱により栓部材12の温度上昇を緩和してクリープを抑制し、可溶栓1の設定動作温度以下での漏れ出しを防止することができる。
なお、円柱13の径は逃がし孔11aの約1/2とし、円柱13の長さは逃がし孔11aの長さ(すなわち、栓部材12の充填長さ)の80%とし、円柱13の1/4を大気に露出し、残部3/4を低温溶融合金からなる栓部材12に埋設するように構成するのが好ましい。また、高熱伝導性材料は、純銅製等のごとく熱伝導性が200W/m・K以上のものが好ましい。
【0024】
また、本実施の形態2のように構成すると、逃がし孔11aをテーパ孔とする必要がないので、栓部材12としての材料を無駄に費やさなくて済む。特に、栓部材12として高価な材料、例えば、インジウム(In)を主成分とする合金を使用するような場合に有益である。また、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lが圧力容器4の側壁と直角方向となるので、視認性が良好となる。
【0025】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3を図4により説明する。なお、図7、図8および図9に図示した従来の可溶栓1と同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。また、以下の説明においては、圧力容器4の図示を省略しているが、本実施の形態3の可溶栓1は前記各従来例と同様に圧力容器4に取り付けられているものとする。
【0026】
この実施の形態3は、図7、図8および図9に図示した従来一般の可溶栓1における受圧面12aを、図4に示すごとく、圧力容器4内空間に面し、かつ、圧力容器4の側壁に平行な14a、14bの二つとしたものである。したがって、低温溶融合金の漏れ出し方向Lを圧力容器4の側壁に対し直角としながら、この栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lと冷媒の圧力が作用する方向とを異なるようにしている。
【0027】
実施の形態3の可溶栓は、このように構成することにより、冷媒圧力Pが栓部材12の受圧面12aに作用しても、冷媒圧力Pの作用方向が漏れ出し方向Lと異なるため、可溶栓1の設定動作温度以下での漏れ出しを防止することができる。
また、逃がし孔11aをテーパ孔としていないので、栓部材12としての材料を無駄に費やさなくて済む。特に、栓部材12として高価な材料、例えば、インジウム(In)を主成分とする合金を使用するような場合に有益である。また、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lが圧力容器4の側壁と直角方向となるので、視認性が良好となる。
【0028】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4を図5により説明する。なお、図7、図8および図9に図示した従来の可溶栓1と同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。また、以下の説明においては、圧力容器4の図示を省略しているが、本実施の形態4の可溶栓1は前記各従来例と同様に圧力容器4に取り付けられているものとする。
【0029】
図7、図8および図9に図示した従来の可溶栓1においては,栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し通路が圧力容器4に対し直角方向に形成されていたが、この実施の形態4では、栓部材12の外部に面する開口部、つまり逃がし孔11aの圧力容器4の外面側への開口部を、圧力容器4の側壁に沿う2方向の開口121a、121bとしたものである。なお、図11に示した他の従来例と比較すると、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lを圧力容器4に沿う方向とすることにより、栓部材12の漏れ出し方向Lへの移動を規制し、可溶栓1の設定動作温度以下での漏れ出しを防止する点では同一であるが、開口部が1つではなく二つとしたことにより視認性を向上させた点で改良されている。
また、実施の形態4の可溶栓1は、前述の各実施の形態と同様、逃がし孔11aをテーパ孔とする必要がないので、栓部材12としての材料を無駄に費やさなくて済む。特に、栓部材12として高価な材料、例えば、インジウム(In)を主成分とする合金を使用するような場合に有益である。
【0030】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5を図6により説明する。なお、図1および図2に図示した実施の形態1の可溶栓1と同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。また、以下の説明においては、圧力容器4の図示を省略しているが、本実施の形態5の可溶栓1は前記実施の形態1の場合と同様に、すなわち、各従来例と同様に、圧力容器4に取り付けられているものとする。
【0031】
本発明の実施の形態5は、実施の形態1における栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lの逃がし孔11a近傍に、漏れ出した低温溶融合金を充分回収できる受け皿19を備えたものである。なお、この受け皿19は、本体11と栓部材12との境界部分から延出された適宜の支持部材18により支持されている。なお、図示しないが本体11と受け皿19との間にネットを設ければ、漏れ出した低温溶融合金の飛散をより確実に防止することができる。
【0032】
実施の形態5の可溶栓は、このようにする構成されているので、漏れ出した低温溶融合金の飛散を防止し、環境破壊を防止することができる。
【0033】
なお、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
(1) 上記各実施の形態において、低温溶融合金の量や関係基準に従う範囲で、逃がし孔11aの孔の大きさや形状を変形させてもよく、この場合、上記各実施の形態の可溶栓1と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(2) 上記各実施の形態において、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し通路を直線状から曲線状にしたり、その方向を受圧方向と角度を持たせても同様の効果が得られる。
【0035】
(3) 実施の形態4において、逃がし孔11aの圧力容器4階への開口部は、2方向の開口121a、121bとされていたが、これを3以上の開口として、さらに視認性を向上させることもできる。
【0036】
(4) 実施の形態2乃至4において、実施の形態5の場合と同様に、栓部材12を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lの逃がし孔11a近傍に、漏れ出した低温溶融合金を充分回収できる受け皿19を備えるようにしても良く、このように構成すれば、漏れ出した低温溶融合金の飛散を防止することができる。
【0037】
(5) 上記各実施の形態の可溶栓を冷凍装置に搭載しても良い。この場合、冷凍装置は、従来のものと比較すると、高信頼で安価、かつ、視認性に優れたものとなる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏することができる。
本発明の可溶栓は、冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔の内面に設けたNiを主成分とする金属層と、この金属層を内面に設けた前記逃がし孔内に溶融したSnを主成分とする低温溶融合金を流し込み、これを冷却して前記逃がし孔内に固着した栓部材とを備えているので、Niめっき層と低温溶融合金(栓部材)との間に形成される金属間化合物層により、本体と栓部材との境界面におけるクリープが抑制され、可溶栓の設定動作温度以下での漏れ出しを防止することができる。また、逃がし孔をテーパ孔とする必要がないので、栓部材の材料を無駄に費やす必要がなく、かつ、栓部材として比較的安価な錫(Sn)を主体とした合金を使用することができる。また、栓部材を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向Lが圧力容器の側壁と直角方向となるので、視認性が良好となる。
【0039】
また、本発明の可溶栓は、冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、前記圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔を閉塞するように前記逃がし孔内に固定された栓部材とを備え、さらに、この栓部材は、熱伝導性が200W/m・K以上である高熱伝導性の棒状部材の周囲に低温溶融合金を配置し、かつ、この棒状部材の一部を前記本体から外側に突出して構成されているので、棒状部材からの放熱により栓部材の温度上昇を緩和してクリープを抑制し、可溶栓の設定動作温度以下での漏れ出しを防止することができる。
また、この場合も前述同様、逃がし孔をテーパ孔とする必要がないので、栓部材の材料を無駄に費やす必要がない。これは、栓部材の材料として、特に、高価なインジウム(In)を主体とした合金等の材料を使用する場合に有益である。また、栓部材を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向が圧力容器の側壁と直角方向となるので、視認性が良好となる。
【0040】
また、本発明の可溶栓は、冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、前記圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔を閉塞するように前記逃がし孔内に固定された、低温溶融合金からなる栓部材とを備え、さらに、前記逃がし孔は、この栓部材の前記圧力容器から外方への漏れ出し方向と異なる方向で圧力容器内に開口しているので、冷媒圧力が栓部材の漏れ出し方向と異なる方向に作用することになり、これにより可溶栓の設定動作温度以下での漏れ出しを防止することができる。また、この場合も前述同様、逃がし孔をテーパ孔とする必要がないので、栓部材の材料を無駄に費やす必要がない。これは、栓部材の材料として、特に、高価なインジウム(In)を主体とした合金等の材料を使用する場合に有益である。また、栓部材を構成する低温溶融合金の漏れ出し方向が圧力容器の側壁と直角方向となるので、視認性が良好となる。
【0042】
また、本発明における可溶栓の本体は、前記逃がし孔の外側に、前記栓部材が溶融して外方に漏れ出した場合の低温溶融合金を受けるための受け皿を備えているので、漏れ出した低温溶融合金の飛散を防止し、環境破壊を防止することができる。
【0043】
また、本発明の冷凍装置は、上記の可溶栓を搭載したものであるので、高信頼で安価、かつ、視認性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る可溶栓の断面図である。
【図2】 図1記載の可溶栓における本体と栓部材との境界線部分の拡大図である。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る可溶栓の断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態3に係る可溶栓の断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態4に係る可溶栓の説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態5に係る可溶栓の説明図である。
【図7】 従来の冷凍装置の冷媒回路図である。
【図8】 図7記載の従来の冷凍装置に用いられる一般的な可溶栓の斜視図的構造説明図である。
【図9】 図8に記載した従来の可溶栓についての断面図である。
【図10】 他の従来の可溶栓についての断面図である。
【図11】 さらに他の従来の可溶栓についての断面図である。
【符号の説明】
1 可溶栓、4 圧力容器(凝縮器)、11 本体、11a 逃がし孔、12栓部材、12a 受圧面、13 高熱伝導性棒状部材(円柱)、14a、14b 受圧面、18 連結板、19 受け皿、P 冷媒圧力、L 漏れ出し方向。
Claims (5)
- 冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔の内面に設けたNiを主成分とする金属層と、この金属層を内面に設けた前記逃がし孔内に溶融したSnを主成分とする低温溶融合金を流し込み、これを冷却して前記逃がし孔内に固着した栓部材とを備えていることを特徴とする可溶栓。
- 冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、前記圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔を閉塞するように前記逃がし孔内に固定された栓部材とを備え、さらに、この栓部材は、熱伝導性が200W/m・K以上である高熱伝導性の棒状部材の周囲に低温溶融合金を配置し、かつ、この棒状部材の一部を前記本体から外側に突出して構成されていることを特徴とする可溶栓。
- 冷媒を収容する圧力容器に設けられる可溶栓であって、この可溶栓は、前記圧力容器の内外を導通する逃がし孔を有する本体と、前記逃がし孔を閉塞するように前記逃がし孔内に固定された、低温溶融合金からなる栓部材とを備え、さらに、前記逃がし孔は、この栓部材の前記圧力容器から外方への漏れ出し方向と異なる方向で圧力容器内に開口していることを特徴とする可溶栓。
- 前記本体は、前記逃がし孔の外側に、前記栓部材が溶融して外方に漏れ出した場合の低温溶融合金を受けるための受け皿を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可溶栓。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の可溶栓を搭載していることを特徴とする冷凍装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000014592A JP4226746B2 (ja) | 2000-01-24 | 2000-01-24 | 可溶栓およびこれを搭載した冷凍装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000014592A JP4226746B2 (ja) | 2000-01-24 | 2000-01-24 | 可溶栓およびこれを搭載した冷凍装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001201218A JP2001201218A (ja) | 2001-07-27 |
JP4226746B2 true JP4226746B2 (ja) | 2009-02-18 |
Family
ID=18542033
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000014592A Expired - Lifetime JP4226746B2 (ja) | 2000-01-24 | 2000-01-24 | 可溶栓およびこれを搭載した冷凍装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4226746B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005315294A (ja) * | 2004-04-27 | 2005-11-10 | Toyota Motor Corp | 高圧タンク |
GB0411693D0 (en) * | 2004-05-25 | 2004-06-30 | Microgen Energy Ltd | A stirling engine |
JP2006125593A (ja) * | 2004-11-01 | 2006-05-18 | Neriki:Kk | 安全弁付きバルブ装置 |
JP5012768B2 (ja) * | 2008-11-12 | 2012-08-29 | 三菱電機株式会社 | 可溶栓の製造方法 |
JP5469922B2 (ja) * | 2009-06-02 | 2014-04-16 | 株式会社不二工機 | 可溶栓 |
-
2000
- 2000-01-24 JP JP2000014592A patent/JP4226746B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001201218A (ja) | 2001-07-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR950011704B1 (ko) | 액화천연가스용 기화기 | |
JP4226746B2 (ja) | 可溶栓およびこれを搭載した冷凍装置 | |
KR100468217B1 (ko) | 다공성 금속물질을 이용한 축방열 시스템 | |
KR20110106942A (ko) | 비등 냉각 장치 | |
CN112216313B (zh) | 数据灾备存储装置及载具 | |
JP4730624B2 (ja) | 沸騰冷却装置 | |
TW201842297A (zh) | 熱管 | |
JPH06130169A (ja) | 原子炉設備 | |
JP5091419B2 (ja) | 超電導装置 | |
US11313627B2 (en) | Heat pipe | |
JP2002286138A (ja) | 圧力容器用可溶栓、圧力容器用可溶栓の製造方法、及び圧力容器 | |
JP2006029577A (ja) | 可溶栓 | |
JP2005331016A (ja) | 可溶栓 | |
TWM616502U (zh) | 熱管結構 | |
US20050194098A1 (en) | Cast design for plasma chamber cooling | |
JP2004076955A (ja) | 極低温温度ダンパ | |
JP2011202874A (ja) | 可溶栓用合金およびそれを用いた可溶栓並びに冷凍装置 | |
JP5012768B2 (ja) | 可溶栓の製造方法 | |
CN218939583U (zh) | 一种新式防爆保险丝 | |
TWI796096B (zh) | 具有主動散熱機制的電池芯固持裝置 | |
JP4305952B2 (ja) | スターリングサイクル機関 | |
CN116864464B (zh) | 一种半导体封装结构及其使用方法 | |
JP2002161999A (ja) | 水素貯蔵タンク | |
JPH10170180A (ja) | ヒートパイプ | |
TWM404523U (en) | Connector structure with preventing leakage of signal feature |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061019 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080618 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080624 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080717 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080902 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081023 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081125 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081127 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4226746 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131205 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |