JP4226243B2 - 強化コンクリート製格納容器の開口部周辺のリングプレート - Google Patents

強化コンクリート製格納容器の開口部周辺のリングプレート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には、原子炉に関し、特に、原子炉を封入する鉄筋コンクリート製格納容器の開口部に対応する補強リングプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
格納容器は原子力発電所には必要な構成要素である。格納容器は、格納容器内部において構成要素の故障が発生した場合に放射性物質が周囲環境へ放出されるのを防止する。通常、格納容器は鉄筋コンクリートで構成されており、鉄筋コンクリート製の土台で支持され且つ上部は鉄筋コンクリート製厚板で密閉された円筒形のシェルの形態をとる。蒸気ライン、給水ライン、緊急冷却ライン、計器ライン及び制御ライン及び/又は給電ラインを引き込むことができるように、鉄筋コンクリート製格納容器(RCCV)シェルには複数の貫通孔が設けられている。更に、機器類用ハッチとして、また、職員の出入り口として、円筒形シェルの開口部が必要になる場合は多い。
【0003】
ある一定の時点でRCCVシェルに加わる荷重には、構造荷重、地震荷重、流体力学的荷重、冷却剤欠乏事故による内部圧力荷重、及びパイプの支持に起因する反応荷重など、多種多様な荷重がある。従って、このような荷重に対処するため、RCCVシェルは、通常、大型の鋼製補強筋、すなわち、鉄筋(rebar)を具備している。ラインを貫通させるため又は出入り口用ハッチを形成するためにRCCVに設けられた大きな開口部に鉄筋が突き当たる場合、そこで鉄筋を終端させなければならない。その結果、鉄筋は遮断されてしまうため、荷重の伝達に影響が及び、平衡状態を維持する能力が低減するおそれがある。
【0004】
このため、荷重伝達を容易にする目的で、開口部の周囲に更に別の鉄筋又は鋼製補強フレームを設置する場合が多い。しかし、これにより、構造を複雑にし且つRCCVセルの構造を複雑にする過密(congestion)の問題が起こる。これに代わる解決方法は、開口部の周囲のシェル壁を局所的に厚くするというものである。しかし、壁を厚くするとスペースがその分だけ取られ、場合によっては、原子炉の極めて重要な構成要素や、隣接する領域にある構造の配置を妨げることもある。従って、RCCVシェルの開口部の周囲の鉄筋の荷重伝達メカニズムを提供することが望ましい。
【特許文献1】
特開平04−285893号公報
【特許文献2】
特開平08−220274号公報
【0005】
【発明の概要】
一実施例では、原子力発電所における原子炉の鉄筋コンクリート製格納容器(RCCV)は、少なくとも1つの開口部が貫通している側壁を有する円筒形シェルを含む。RCCVは、少なくとも1つがシェル壁開口部で遮断されている複数の鉄筋を更に含む。開口部を有する補強板は、補強板開口部が側壁開口部と整列し且つ遮断された鉄筋が補強板に結合されるように、シェル壁に配置されている。
【0006】
補強板開口部には貫通スリーブが配置される。貫通スリーブは対応する補強板開口部より小さい外径を有し、補強板に固着されている。鉄筋は垂直鉄筋と、水平フープ鉄筋とを含む。鉄筋終端部材は鉄筋を補強板に結合する。鉄筋と補強板は構造鋼から製造されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、沸騰水型原子炉10の一部切り欠き正面断面図である。しかし、本発明はその他の型の原子炉にも同等に適用可能であり、従って、原子炉10の説明は限定的な意味をもつのではなく、単なる一例としてなされるにすぎない。原子炉10は、ほぼ円筒形であり、一端部を底部ヘッド14により閉鎖され、他端部は着脱自在の上部ヘッド16により閉鎖されている原子炉圧力容器(RPV)12を含む。原子炉10は、側壁20を含む鉄筋コンクリート製格納容器(RCCV)18の内部に配置されている。RCCV側壁20は、蒸気ライン、給水ライン、緊急冷却ライン、計器ライン及び制御ライン、給電ライン、機器類ハッチ及び/又は職員出入り用ハッチ(図示せず)などを引き込むために配置されている複数の開口部(図1には図示せず)を含む。
【0008】
RPV12は、原子炉炉心24を包囲する円筒形の炉心シュラウド22を含む。シュラウド22は一端部でシュラウド支持部26により支持されており、他端部には着脱自在のシュラウドヘッドを含む。シュラウド22とRPV側壁32との間には、環状部分30が形成されている。リング形であるポンプデッキ34はシュラウド支持部26とRPV側壁32との間に延出している。ポンプデッキ34は複数の円形開口部36を含み、各開口部はジェットポンプアセンブリ38を収容している。ジェットポンプアセンブリ38は炉心シュラウド22の周囲に沿って配分されている。
【0009】
核分裂性物質の燃料バンドル40を含む炉心24の内部で熱が発生される。炉心24を通って情報へ循環している水の少なくとも一部は蒸気に変換される。蒸気分離器42は蒸気を水から分離し、水は再び循環される。残留する水は蒸気乾燥器44により蒸気から除去される。蒸気は容器の上部ヘッド16付近にある蒸気出口46を通ってRPV12から排出される。
【0010】
炉心24で発生する熱の量は、中性子吸収物質から成る制御棒48を出し入れすることにより調整される。燃料バンドル40の中へ制御棒48を挿入する深さに応じて、制御棒48は中性子を吸収する。これを行わないと、中性子は炉心24で熱を発生させる連鎖反応を促進するために利用されることになるであろう。制御棒案内管50は制御棒48を出し入れしている間の制御棒48の垂直運動を維持する。制御棒駆動装置52は制御棒48の挿入、後退を発生させる。制御棒駆動装置52は底部ヘッド14を貫通している。
【0011】
燃料バンドル40は、炉心24の底面に配置された炉心板54により整列されている。燃料バンドル40を炉心24の内部へ下ろすとき、上部ガイド56が燃料バンドル40を整列させる。炉心板54と上部ガイド56は炉心シュラウド22により支持されている。
【0012】
図2は、RCCV側壁20の外面60から内面62まで延出する複数の開口部58を有するRCCV側壁20の平面断面図である。開口部58は蒸気ライン、給水ライン、緊急冷却ライン、計器ライン及び制御ライン、給電ライン、機器類ハッチ及び/又は職員出入り用ハッチ(図示せず)を引き込むために配置されている。鉄筋64は側壁開口部58で終わっている。鉄筋64は垂直鉄筋66(図3に示す)と、水平フープ鉄筋68とを含む。垂直鉄筋66は補強板70に結合している。垂直鉄筋66と補強板70は、例えば、構造鋼などの何らかの適切な材料から製造できる。
【0013】
図3は補強板70の正面図である。補強板70はほぼ正方形であり、側壁開口部58(図2に示す)とほぼ整列された開口部72を含む。補強板の開口部72はほぼ円形である。別の実施例においては、補強板70及び/又は開口部72は多角形又は楕円形などの異なる形状を有していることも可能である。
【0014】
複数の層として重なり合った鉄筋64が鉄筋終端部材76によって補強板70に結合されている。補強板70は、補強板中間部分82を包囲する周縁部80に外側フランジ78を含む。補強板内側フランジ84は補強板開口部72に隣接しており、補強板内側フランジ84に固着される貫通スリーブ86を受け入れる大きさに形成されている。貫通スリーブ86は、蒸気ライン、給水ライン、計器ライン及び制御ライン又は給電ライン(図示せず)を収容するための孔88を含む。一実施例では、外側フランジ78は内側フランジ84より厚く、内側フランジ84は中間部分82より厚くなっている。別の実施例においては、補強板開口部72の直径は対応する貫通スリーブ86の外径より大きい。言い換えれば、補強板開口部72は貫通スリーブ86の内径に貫通スリーブ壁90の厚さの2倍を加えた長さより大きな直径を有する。
【0015】
補強板70は、補強板70をRCCV側壁20(図1に示す)の、開口部58に対応する場所に位置決めすることにより、RCCV側壁20内部に設置される。そこで、垂直鉄筋66及び水平フープ鉄筋68を補強板70に装着された鉄筋終端部材76に結合する。貫通スリーブ86を補強板開口部72に挿入し、例えば、溶接により補強板内側フランジ84に固着する。その後、コンクリートを使用してRCCVシェル側壁20を形成する。
【0016】
図4は、二重補強板94を形成するために外縁部接触領域92で互いに結合された2枚の補強板70の正面図である。補強板70を接触領域92で互いに溶接する場合、補強板70は接触領域92にフランジ74を含まない。この実施例では、RCCVシェル側壁20は、2つの貫通部材(図示せず)を収容するように配置された2つの隣接する開口部(図示せず)を有する。垂直鉄筋66と水平フープ鉄筋68はそれぞれの開口部の周囲を終端部とする。従って、垂直鉄筋66及び水平フープ鉄筋68は補強板70の外側フランジ74に鉄筋終端部材76によって装着される。この特定の構成は、複数の隣接するRCCVシェル側壁開口部に対応するような補強板の組み合わせを例示するために提示されたものである。本発明は、隣接する開口部の数及びその相対的配置に関して他の多様な構成を有する隣接する側壁開口部に対しても、図4に提示する特定の構成に類似する構成又はそれとは異なる構成で実施できるであろう。従って、図4の補強板70の構成は単なる例示を目的として示されているにすぎず、本発明をいずれかの特定の構成に限定しようとするものではない。更に、1つの側壁開口部に複数の貫通スリーブ86が挿入されるように構成されている状況に対応するため、複数の補強板を互いに隣接して位置決めしても良い。
【0017】
図5は、本発明の別の実施例に従って不連続の補強板外側フランジ98を含む補強板96の正面図である。外側フランジ98は一部で補強板中間部分100を取り囲んでいる。特に、外側フランジ98は第1の側面102及びそれと反対側の第2の側面104に沿って補強板96を取り囲んでいる。補強板96は鉄筋延長部106を含む。垂直鉄筋66は、それらの鉄筋延長部106に装着された鉄筋終端部材76に結合されている。延長部106は補強板中間部分100に溶接されている。
【0018】
図6は、第1の側面102における補強板96の平面図である。鉄筋延長部106は補強板中間部分100に装着されている。すなわち、垂直鉄筋66は延長板108に装着された終端部材76に結合されている。延長板108は、補強板中間部分100に装着された延長フランジ110に結合されている。延長部106は水平フープ鉄筋68と、垂直鉄筋66と、補強板96との結合部における偏心度を最小にする。
【0019】
図7は、本発明の別の実施例による補強板112の平面図である。補強板112には複数の鉄筋延長部114(1つのみを示す)が結合されている。鉄筋延長部114は、終端部材76を受け入れるブラケット116を含む。ブラケット116は補強板中間部分118に結合している。鉄筋延長部114は、水平フープ鉄筋68とは整列するが、垂直鉄筋66とは整列しない補強板112に対応するために設けられている。
【0020】
補強板96及び112は、鉄筋延長部106及び114に類似する又はそれとは異なる多様な鉄筋延長部を含むことができる。従って、特定の構成を有する鉄筋延長部について論じたが、以上説明した鉄筋延長部106及び114は単なる例として示されたにすぎず、本発明を特定の型の鉄筋延長部に限定しようとするものではない。更に、本発明の範囲内で多様な鉄筋延長部の構成を多様な鉄筋終端部材の構成と組み合わせて使用することができるであろう。
【0021】
図8は、いくつかの補強板部分120及び122から形成された補強板70の正面図である。適切な時点で容易に設置できるように、補強板部分120及び122は現場で互いに溶接される。特に、補強板70は2つの板半体部分120及び122から形成されており、それらの間の水平中心線に沿って継ぎ目124が位置している。
【0022】
以上説明した補強板70、96及び112は、鉄筋64を終端させるRCCV側壁20の開口部58に沿って確実に荷重を伝達する手段を提供する。補強板70、96及び112は、開口部58に隣接する鉄筋64が過剰に使用されることに起因する過密(congestion)の問題を回避すると共に、開口部58に隣接するRCCV側壁20の厚さを局部的に増す必要をなくす。更に、補強板70、96及び112を使用してRCCV18を製造すると、構築スケジュールが短縮され且つ改善される。また、補強板70、96及び112は、開口部58の直径がRCCV側壁20の厚さより大きい場合に特に有用である。
【0023】
本発明を様々な特定の実施例に関して説明したが、特許請求の範囲の趣旨の範囲内で変形を伴って本発明を実施できることは当業者には認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に従ってRCCV内部に封入された沸騰水型原子炉圧力容器の一部切り欠き正面断面図。
【図2】 複数枚の補強板を含む図1に示すRCCV円筒形シェルの一部の平面断面図。
【図3】 図2に示す補強板の正面図。
【図4】 本発明の別の実施例に従って互いに溶接された2枚の補強板の正面図。
【図5】 本発明の別の実施例による鉄筋延長部を有する補強板の正面図。
【図6】 図5に示す補強板及び鉄筋延長部の一部の平面図。
【図7】 本発明の更に別の実施例による鉄筋延長部を有する補強板の一部の平面図。
【図8】 2つの板部分から形成されている、図2に示す補強板の側面図。
【符号の説明】
10…沸騰水型原子炉、12…原子炉圧力容器(RPV)、18…鉄筋コンクリート製格納容器(RCCV)、32…RPV側壁、58…開口部、64…鉄筋、66…垂直鉄筋、68…水平フープ鉄筋、70…補強板、72…開口部、76…鉄筋終端部材、78…補強板外側フランジ、84…補強板内側フランジ、86…貫通スリーブ、94…二重補強板、96…補強板、98…補強板外側フランジ、106…鉄筋延長部、112…補強板、114…鉄筋延長部、116…ブラケット、120、122…補強板部分

Claims (9)

  1. 貫通する少なくとも1つの開口部(58)を有する側壁(20)と、
    少なくとも1つが前記少なくとも1つの開口部で遮断されている複数の鉄筋(64)と、
    前記側壁に配置され、各々が対応する前記側壁の開口部とほぼ整列されている開口部(72)を含み、各々が少なくとも1つの遮断された鉄筋に結合されている少なくとも1つの補強板(96)と
    を具備し、
    前記補強板は、多角形、円形又は楕円形のいずれかの形状であり、外側フランジ(98)と該外側フランジに囲われた中間部分(100)とを備え、
    前記補強板は、該中間部分(100)に装着された延長フランジ(110)と該延長フランジに結合された延長板(108)とを含む延長部(106)を備え、前記複数の鉄筋(64)は、鉄筋の前記延長部(106)に装着された鉄筋終端部材(76)に結合されることを特徴とする強化コンクリート製格納容器(18)。
  2. 前記補強板(70)の各々は、少なくとも一部が前記補強板の周囲に沿って延出しているフランジ(78)を具備する請求項1記載の強化コンクリート製格納容器(18)。
  3. 各々が対応する補強板開口部(72)と、対応する側壁開口部(58)とを貫通し、且つ各々が前記対応する補強板開口部より小さい外径を有する少なくとも1つの貫通スリーブ(86)を更に具備する請求項1記載の強化コンクリート製格納容器(18)。
  4. 前記貫通スリーブ(86)の各々は対応する補強板(70)に固着されている請求項3記載の強化コンクリート製格納容器(18)。
  5. 前記複数の鉄筋(64)は複数の垂直鉄筋(66)と、複数の水平フープ鉄筋(68)とを含む請求項1記載の強化コンクリート製格納容器(18)。
  6. 前記補強板(70)の各々は正方形である請求項1記載の強化コンクリート製格納容器(18)。
  7. 前記少なくとも1つの補強板(70)は2つの補強板からなり、前記2つの補強板は対応する縁部に沿って互いに溶接されている請求項1記載の強化コンクリート製格納容器(18)。
  8. 少なくとも1つの前記補強板(70)は複数の補強板部分(120、122)を具備し、前記補強板部分は互いに溶接されて1つの補強板を形成している請求項1記載の強化コンクリート製格納容器(18)。
  9. 強化コンクリート製格納容器(18)に封入された原子炉圧力容器(12)を具備する原子炉において、前記強化コンクリート製格納容器(18)は、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の強化コンクリート製格納容器であることを特徴とする原子炉。
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