JP4226078B2 - 分子コーミングによる遺伝病の診断法および診断用キット - Google Patents
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Description
本発明はまた、試薬をコーミングしたDNAの総てまたは一部と結合させることにより、生物学的、天然、または合成起源の試薬を検出および位置決定する方法に関する。核酸、より詳しくはゲノムDNAに適用される、以下の参照文献:10/02/95のPCT/FR95/00164および10/02/95のPCT/FR95/00165に記載のような分子コーミング技術により、直鎖および実際には整列した線条の形態のDNAまたはRNAの均一に伸長し、かつ、視認化できるようになる。
本発明は、プローブ、すなわち、整列したDNAの一部を特異的に認識し、コーミングしたDNAとハイブリダイズする標識DNA分子などのヌクレオチド配列鎖を含有するポリヌクレオチドを用い、コーミングしたゲノム上に相補配列の位置を直接視認化することができるという事実の証明に基づいている。
これらの状況の下、例えば、赤と緑などの色によりそれらを視認化できるように、異なる発色団で標識した2種のプローブを用いて、それらを分かつ距離を測定することができる。しかしながら、また、異なるプローブ、または一連のプローブ(以下、「コンティグ」という)を用いて、注目する領域の長さを直接測定することも可能であるし、異常なゲノムの場合はその潜在的欠陥を測定することも可能である。
従って本発明は、特に、遺伝病の診断法であって、好ましくは例えばその構造、欠失、または転座におけるか、ある配列のコピー数(例えば、その配列が1つの染色体全体を表すトリソミー)におけるかいずれかでのゲノムの実質的欠陥により特徴づけられる方法、ならびに遺伝子を迅速に位置決定し、マッピングすることができる方法に関する。
遺伝子診断はいくつかの分野に分類される:
胎児診断、
遺伝的要素を持つ病状、
癌および癌に対する感受性。
胎児診断
極めて多数の(95%)の胎児異常は、第21、18、13、XまたはY染色体のトリソミーによるものである。それらの決定的な診断はいく分遅い(例えば、無月経の17週目、羊水穿刺による)。羊水穿刺には、実質的には羊水穿刺(ミリリットルの数十分の一)を行い、そこから懸濁中の胎児細胞を抽出し、次いで数日間培養することが必要である(S.Mercier and J.L.Bresson(1995)Ann.Genet.,38,151-157により記載された技術を参照)。これらの細胞の核型は、高度に専門化したスタッフにより、専門顕微鏡観察および染色体の計数によって確認される。
絨毛膜絨毛の採取に関する技術により、培養の必要がなくなり、また、羊水も採取しなくてすむ。しかしながら、核型分析のためには同様の作業を要する(Medecine Prenatale.Biologie Clinique du Foetus.Andre Boue,Publisher Flammarion,1989を参照)。これら2つの技術は初期に適用できる(絨毛膜絨毛の採取は妊娠第7週まで、羊水穿刺は13〜14週)が、流産の危険性がわずかながら増す。最後には、臍帯レベルの胎児血液を直接採取することにより、培養せずとも核型分類をすることが可能となるが、この技術に専門化した臨床医チームが前提として必要である(C.Donner et al.,1996,Fetal Diagn.Ther.,10,192-199)。
染色体の実質的一部の転座または欠失/挿入などのその他の異常は、この段階で、あるいは蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などの技術を用いることにより検出すればよい。しかしながら、ここで再び、この種の診断は高度な資格を持ったスタッフにしか行えない。
さらに研究では、21トリソミーまたは他の異常の決定的な診断を可能にする、母親の血液中の胎児マーカーの検出を可能にする免疫学的方法はまだないことが示されている(例えば、ダウン症候群に関する21トリソミーについては、N.J.Wald et al.,1996,Br.J.Obstet.Gynaecol.,103,407-412を参照)。
従って現行の胎児診断には不利な点が多くある、すなわち、それは胎児の発達の比較的遅い段階でしか行えず;胎児または母胎に対する危険性が完全にないというわけではなく;結果はかなりの期間(技術により1〜3週間)の後に得られることが多く、またコストがかかる。最後に、染色体数の異常は検出できない。
遺伝的要素を用いた病状の診断
多くの疾病で、遺伝的要素が認められている(糖尿病、高血圧症、肥満など)が、これは種々のサイズの欠失、挿入および/または染色体再編成の結果である。この段階で、細胞培養には何の問題もないが、G.D.Lichter et al.(1993),Gemonics,16,320-324;B.Brandritt et al.,(1991),Genomics,10,75-82およびG.Van den Hengh et al.,(1992),Science,257,1410-1412)により記載されたFISH技術では、解像度は制限され、しかも高度な資格を持つスタッフが必要であり、このことによりこれらの試験は利用し難くなっている。
より効果的かつ費用のかからない試験を開発すれば、関連する病状の初期段階でそれらの緩解を向上させると考えられる適切な治療法を一般に適用することができる。
癌診断
遺伝的要素を有する病状のうち癌の症状は、人口に占める割合の増加に影響を及ぼす腫瘍クラスのものである。癌症状の発症プロセスについてのこれまでの理解は、細胞の癌細胞への転換を進行させる前癌遺伝子(細胞のゲノムにおける突然変異)の増殖段階に関与している。この増殖段階は残念ながら検出できないが、この段階で治療を行い得る可能性は、緩解の機会を確実に増し、患者の身体障害を軽減すると考えられる。
最後には、多くの腫瘍は、転座、欠失、部分的または完全なトリソミーなどの染色体再編成により特徴づけられる。
これらの分野の各々において、分子コーミングは、主に、迅速かつ必要とされる生物学的材料が少量であることにより、または結果の定量の正確さにより寄与する。特に、遺伝学的材料が、もはや分裂しないかまたは培養できない細胞から得られる場合、あるいはDNAが有意には分解していない死細胞から得られる場合においてさえ、この技術の重要性は明白である。
胎児診断の場合、母胎の血液中を循環している胎児細胞を抽出した後がそうである(Cheung et al.,1996,Nature Generics 14,264-268)。同様のことがある腫瘍から得た癌細胞の場合にもあてはまる。
分子コーミングにより遺伝病の診断の可能性が向上するが、該疾病の原因であるゲノム配列の研究および同定もまた可能となる。さらにこれまでに、この病状に関与する遺伝子の検索とともに、診断「キット」またはボックスの開発が始まっている。
現在、この病状に関与する遺伝子の検索(ヒト他)は、一般にいくつかの工程で行われている:
(i)病状により影響を受けた患者、彼らの子孫、先祖および縁者の標的集団の確立、ならびに(DNAまたは細胞系統の形態での)遺伝学的材料の保管を目的とした血液および/または細胞サンプルの採取。
(ii)遺伝子マーカーを用いた同時分離の確率解析による遺伝子の位置決定(連鎖解析)。この段階の研究では、与えられた1以上の染色体上に位置する数種の密接に関連したマーカーが使用でき、これにより物理的位置決定の工程を行うことができる。
(iii)物理的マッピング:前記工程で得られた遺伝子マーカーを用いて開始し、前記工程で決定された領域に特異的なヒトDNAクローンライブラリー(YACs、BACs、コスミドなど)のスクリーニングを行う。かくして、前記マーカーを含有する多くのクローンが得られる。次いで、注目する領域を、サイズを小さくしたクローンを用いて正確にマッピングすればよい。考えるゲノム部分のクローニングをヒトDNAを用いて再度行えばよい。
(iv)遺伝子の検索:この工程ではいくつかの技術を用いてよい:エキソン「トラッピング」(cDNAライブラリー(メッセンジャーRNAから得られた相補的DNA)の使用)CpG島、種間配列の保存など、これらにより前記工程で選択されたクローンの1つ(またはそれ以上)に対するコーディング配列を割り当てることが可能となる。
全体としてこの戦略は、(おそらく数年までの)主要な研究を提供するものである。結果として、いずれの技術も工程(iv)でより早く達成することができ、遺伝子の検索だけでなく、診断にも有利である。
当該技術分野の現行の工程では、例えば前記の方法によって遺伝子の位置決定を行った場合、その検出は一般に、問題の配列に対応する特異的プローブを用いて行われ、それは例えば、(特許EP0 439 182に記載のような)PCRタイプもしくはLCRタイプの方法、またはNASBAタイプ(Organon Teknika社により市販されているキット)の技術により増幅される。
しかしながら、増幅技術は、特に異型接合体に関しては、ゲノム中に多くの遺伝子コピーが存在するので完全には上手くいかず、また、欠失が大きい場合や反復配列を含む疾病の場合には、いずれもPCRは上手くいかない。
今や、分子コーミングおよびDNAの標識を用い、多数の遺伝病の診断が考案できる。
分子コーミングは、十分に定義された物理化学条件の下で、DNA分子をそれらの末端により表面につなぎ留め、次いで、凹型のメニスカスを用いてそれらを伸長させるというものであり;かくして、並行に整列したDNA分子が得られる。用いる精製DNAいずれの大きさであってもよく、それゆえ特にヒト細胞から抽出したゲノムDNAであってもよい。ゲノムはまた、胎児起源の遺伝学的材料を少なくとも80%含有するゲノム材料から得てもよい。
このように検索されたDNA分子は、いずれかの適切な手段(特にビオチンdUTPまたはジゴキシゲニンdUTPヌクレオチド)によって標識した核酸プローブとハイブリダイズする前に変性させてもよく、次いでそれを、例えば蛍光抗体系を用いて明らかにする。
分子コーミングが、検索された分子の一定した伸長、(例えば)エピフルオロレッセンス顕微鏡により観察された蛍光断片の長さの測定により特徴づけられるならば、ハイブリダイズしたプローブ断片のサイズが直接得られる。
しかし表面の種による伸長の程度は正確に測定でき;それは例えば、参照(1)に記載され、実施例で使用されたプロトコールに従いシラン化した表面の場合は、2キロベース(kb)/マイクロメーター(μm)である。
必要な場合には、それを内部標準、すなわちいわゆる既知の長さの較正DNAとして提供することができ、これにより、実施、すなわち各測定の較正が可能となるであろう。
本発明は種々の具体例を含み、本質的には、1以上の遺伝子、または特異的A DNAの1以上の配列、またはB DNAにおけるDNAと反応する1以上の分子の存在もしくは位置を検出する方法であって、
(a)ある量のB DNAをコーミング表面に結合させ、次いでコーミング表面上でにコーミングし、
(b)Bコーミング生成物を、遺伝子、または特異的A DNA配列、またはDNAと反応可能な分子と結合した1以上の標識プローブと反応させ、
(c)以下のカテゴリー:
(1)プローブの位置、
(2)プローブ間の距離、
(3)プローブの大きさ(大きさの合計により、ハイブリダイズしたプローブの数の計数が可能になる)
の少なくとも1つに対応する情報を導き出し、そこから、遺伝子または特異的A DNA配列の存在、位置および/または量を推定することを特徴とする方法に関する。
本明細書では、コーミング技術とは、凹型のメニスカスによりDNAの固定およびその伸長が可能になる処理面に相当する「コーミング面」の概念と同じく、前記文書に記載の技術をいう。
コーミング面は、読み取りがより容易な平滑面であることが好ましいことに注目すべきである。
「標識プローブと、コーミングしたDNAとの間の反応」とは、化学的または生化学的反応、特に免疫学的タイプの反応(例えば、メチル化DNAに対して向けられた抗体)、タンパク質/DNA、もしくは核酸/DNA(例えば、相補セグメント間のハイブリダイゼーション)、もしくは核酸/RNA、または核酸/RNA-DNAハイブリッド反応のいずれかを意味するものと理解される。また例として、ソラレン分子を用いたDNA-DNA化学結合反応、またはポリメラーゼ酵素を用いるDNAの重合反応を記載してもよい。
ハイブリダイゼーションは一般に、結合し、コーミングしたDNAの変性により行われる;この技術は公知であり、詳細には記載しない。
「プローブ」とは、少なくとも20の合成ヌクレオチド、またはゲノムDNA断片と、「コンティグ」、すなわち隣接する、もしくは問題の領域と重複し、それを覆う1セットのプローブ、または標識されたもしくはそうではないいくつかの別個のプローブを含有する、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドの双方を表すものと理解される。また「プローブ」とは、少なくとも1つの前記のものと共有結合した、または非共有結合したいずれの分子、DNAと反応し得るいずれの天然、もしくは合成の生物学的分子(「反応」という言葉に与えられた意味は前記に明記されている)、またはDNAと反応し得るいずれの分子とも共有結合した、または非共有結合したいずれの分子をも意味するものと理解される。
一般に、プローブはいずれの適切な方法によって同定してもよく;それらは特に、その存在が適切な手段により検出される標識プローブまたは非標識プローブであってよい。このように、それらは、プローブがメチル化シトシンで標識されていた場合、コーミング生成物との反応後にこれらメチル化シトシンに対して向けられた蛍光抗体により明らかにすることができた。標識を確実にする要素は放射能であってもよいが、例えば蛍光によるコールド標識であることが好ましい。またそれらは、いくつかの原子が置換されているヌクレオチドプローブであってもよい。
プローブのサイズは、伸長単位で測定された値のいずれでもあると理解してよく、すなわち2種のプローブのサイズは別個に取ったプローブサイズの合計に等しい。例は長さにより与えられるが、例えば蛍光強度を用いてもよい。使用されるプローブ長は、例えば5kbと40〜50kbの間であるが、それはまた全コーミングゲノムからなってもよい。
本発明の方法では、少なくとも1つのプローブが、DNAと相互作用可能な治療上注目する生成物であることが有利である。プローブのコーミングDNAとの反応は1以上の分子、溶媒またはその他関連するパラメーターにより調整されることが好ましい。
最後に、一般に、以下に続く明細書では「ゲノム」が用いられ;これが簡略化であると明らかに理解されるはずであり;コーミング面に結合することができるDNAまたは核酸配列のいずれもがこの用語に含められる。
さらに、「遺伝子」とは、無差別にゲノム起源の「遺伝子部分」、または特異的合成「ポリヌクレオチド配列」を表すために使用されることがあろう。
第一の態様では、本発明の方法はゲノム破断のスクリーニングを可能にするため、ならびにかかる破断の位置クローニングのために使用される。「破断」とは、極めて多数の局所的修飾を覆うことに注目すべきであり、そのリストは後に明確に記載する。
本発明の方法は、所望の遺伝子領域に位置する(クローン化された、またはそうではない)既知サイズのゲノムプローブの、病状に苦しむ患者の、コーミングしたゲノムDNAとのハイブリダイゼーションにより、遺伝子起源の病状に関与する可能性ある破断点の位置を決定することである。これらの破断点は遺伝子配列中の点からなり、その周囲は健常者と患者の間では数キロベース(kb)にわたって変異している。
破断点の決定の原理は、分子コーミングにより、考える領域レベルで、すでに研究されているゲノムとの比較研究されたゲノムの局所的修飾を検出することが可能であるということに基づいている。
このように、1kb未満のサイズのゲノムの局所的修飾を見つけだす方法の開発は、密接に関わる分野である観察技術(AFM、STM、SNOMなど)、または本質的により高い解像度を有する技術(例えば、金ナノビーズ電子顕微鏡法)により考案可能である。
さらに詳しくは、本発明は、ゲノム破断の遺伝子異常を同定する方法であって、
(a)ある量のゲノムをコーミング面に結合させ、次いでコーミング面上でコーミングし、
(b)コーミング生成物を、異常性が調べられているゲノム配列に対応する、標識された1以上の特異的プローブとハイブリダイズし、
(c)ハイブリダイゼーションシグナルに対応する断片のサイズ、および所望によりそれらの反復を測定し、次いで
(d)そこから、直接測定によるか、対照長に対応する鎖と比較することによるかのいずれかで破断の存在を推定することを特徴とする方法に関する。
実例として、断片サイズの測定によりヒストグラム、すなわち観察された断片長のグラフ表示が得られる。
プローブのヒストグラムを作製するために、定義されたプローブ長を有するクローンの数を評価する。原則として、ヒストグラムは、分析される破断のタイプにより、1つまたは2つのピークしか含まず、プローブが2つの別個の断片としてハイブリダイズする場合は2つのピークであり、単一の断片としてハイブリダイズする場合は単一のピークである。
考慮された領域について対立遺伝子の1つが正常である異型接合ゲノムの場合、正常な対立遺伝子のサイン(破断の不在)は遺伝子な対立遺伝子のサインの上に重なるが、そのことは公知であるので抽出可能である。
またこの方法を使用して、位置クローニングを行う、すなわち病状に関与する1以上の未知の遺伝子の位置を決定することもできる。この原理は、前の通り、この場合プローブとして働くヒトまたは動物または植物DNAを、研究する病状に苦しむ1人以上の患者の、コーミングしたゲノムDNAとハイブリダイズすることにある。これらのハイブリダイゼーションに関して明らかにすることにより、ハイブリダイズした断片のサイズを測定すること、および観察した種々のサイズのヒストグラム構成することが可能となる。プローブとして使用されるクローンがその遺伝子の破断点を覆っているならば、この現象のサインはハイブリダイズした断片の長さ(より短い)において読み取れるであろう。
遺伝子連鎖解析により推定され得る連座領域に対して特異的なクローン数の使用が制限されるので、分子コーミングと組み合わせた検出技術によって十分分離されるサイズの破断点、欠失、または他のいずれの遺伝子再編成の位置の迅速かつ正確な決定が可能となる。
この場合明らかに、この破断はそれをマッピングするために探し出されるものであり;この破断は診断において既知であり;探し出されるのは、それが存在するかまたは不在であるかということである。
(病状に関与するゲノム領域に破断点が存在するという仮定に対して)2つの可能性が存在する:
(i)プローブが破断点と重複しない、
(ii)プローブが破断点と重複する。
(i)の場合、蛍光プローブの長さの測定値は、同じ性質(すなわち、本質的に同じサイズであり、かつ、同一条件下で調製される)の非病原性ゲノムDNAとハイブリダイズした同プローブで得られるであろうものに匹敵するものである。
他方、(ii)の場合、プローブは、(破断点の存在の決定により)コーミングしたゲノムDNAの2つ(またはそれ以上)の別個の種と体系的にハイブリダイズし、ハイブリダイズした蛍光プローブの長さの測定値は、非病原性ゲノムDNAとのハイブリダイゼーションにより得られた結果とは異なっている。さらに、さらなる分解技術を用いれば、病原性DNAとハイブリダイズした断片のサイズにより、数kb、あるいはそれ以上の精度でクローン中の破断点の位置を評価することが可能となる。
このため、今やこのクローン中の遺伝子を検索することだけが残っている。基本的には、それには、遺伝子に対応する領域を部分的に覆うと思われる総てのクローンについてこれらの測定を繰り返すことが含まれる。ハイブリダイゼーションスライドの数は、以下に記載するように、異なる標識のいくつかのプローブを同時にハイブリダイズすることによって、または色素を組み合わせることによるコーディング法を用いることによって低減され得る。
この技術により、クローン化したゲノムDNAの、患者から得たコーミングしたゲノムDNAとのハイブリダイゼーションにより、遺伝的病状に関与するゲノムの領域の可能性ある破断点の位置を決定することが可能となる。従ってこの技術は、
このゲノム領域の部または全体の欠失、
このゲノム領域の総てまたは一部の転座、
その内部またはゲノムの他のいずれか部位での、このゲノム領域の総てまたは一部の重複またはいくつかのコピーの存在、
このゲノム領域の内部へのいずれかの遺伝子配列の挿入
により、病状の原因であるゲノム領域を検索するために適用される。
第二の具体例およびいくつかの特殊な場合では、特に探し出された遺伝子異常が主として欠失、または重複(例えばトリソミーの場合)を含む場合、本発明の主題である方法は、次いで遺伝子または特定の配列のアッセイを含むので、改良してもよい。
さらに詳しくは、本発明は、ゲノム中の与えられたゲノム配列のアッセイ方法であって、
(a)ある量のゲノムをコーミング面に結合させ、次いで、コーミング面上でコーミングし、
(b)コーミング生成物を、いわゆる対照ゲノム配列に相当する長さlt、すなわちそのゲノム中のコピー数が既知である標識した対照プローブ、およびアッセイするゲノム配列に相当する長さlcの標識した特異的プローブとハイブリダイズし、結果としてこれらプローブを別々に同定してもよく、
(c)次いで、この2つのプローブに対するハイブリダイゼーションシグナルの全長、すなわちLcおよびLtを測定し、
(d)相当する配列のコピー数を各々について比率
によって算出し、
そこから対照配列に対してアッセイする配列のコピー数を推定することを特徴とする方法に関する。
トリソミー21についての胎児診断の場合、本方法は、羊膜サンプルから、または胎児起源の細胞を含有する他のいずれかのサンプルから抽出した、コーミングしたゲノムDNAビオチニル化ヌクレオチドで標識した対照染色体(例えば、長さltのプローブである第1染色体)に対して特異的なコスミドプローブのハイブリダイゼーション、およびジゴキシゲニンで標識した第21染色体(長さlcのプローブ)に対して特異的なコスミドプローブのハイブリダイゼーションにあってよい。
例えば、対照プローブについてはアビジン-テキサスレッド(赤色)表示系を、また特異的プローブについてはアンチジゴキシゲニン-FITC(緑色)表示系を使用できる:従って、与えられた表面領域内で観察される赤いハイブリダイゼーションシグナルの全長LT、および同領域内、すなわち同等な表面領域内で観察される緑のハイブリダイゼーションシグナルの全長LCにより、前記で定義した数値NtおよびNcが導き出される。
Nc/Nt比が1に近ければ、正常な遺伝子型(第21染色体2本:第1染色体2本)を示し、一方、その比が1.5に近ければ、トリソミーの遺伝子型(第21染色体3本:第1染色体2本)を示す。
一般に、Ncと、Ntから推定される、ゲノムの存在数に対する期待値との間に有意な差があれば、遺伝子異常の存在が示される。
癌遺伝子または前癌遺伝子をスクリーニングする場合も、同方法を用いてよい:対照プローブをハイブリダイズし、例えば赤で表示し、探し出された遺伝子、または遺伝子の一部に対応するプローブをハイブリダイズし、例えば緑で表示する。前記のように測定を行った後、Nc/Nt比は、二倍性ゲノムあたり2コピーの頻度と比較した遺伝子の相対的存在量を与える。
また、多くの癌に頻繁に見られるGpC島の異常なメチル化(結腸癌の92%)を本発明の方法により、コーミングしたDNAとメチル化シトシンに対して向けられた蛍光抗体との間の反応よって検出することもできる。
実際に、染色体9p21における異型接合性の欠如は、ヒトの癌において最も頻繁に同定される遺伝子欠陥の1つである。この領域に位置する腫瘍抑制遺伝子CDKN2/p16/MTS1は、多くのヒトの癌において、同型接合欠失により不活性化されていることが多い。しかしながら、別の不活性化様式も報告されており、それは肺癌、神経膠腫ならびに頭部および頸部の表皮落屑を伴う癌腫におけるCDKN2/p16のGpC5’島の新たなメチル化を伴う転写の低下を含む。また、これらGpC島の異常なメチル化は、胸部(33%)、前立腺(60%)、肝臓(23%)、および結腸(92%)癌細胞系統でもしばしば起こる(J.G.Herman et al.,(1995)Cancer Res.,Oct.15,55(20);4525-30;M.M.Wales et al.,(1995)Nature Med.,Jun.,1(6):570-607)。
遺伝子のメチル化領域の正確な位置決定は、癌発達のメカニズムを理解するため、また「スクリーニング」試験を可能とするために極めて重要である。分子コーミングにより、数kbの精度で、癌発達に関与するかかるGpC島の位置を検出することができる。
この技術によりゲノム中の遺伝子のコピー数を決定することが可能となり、また、この技術を用いてゲノムの一部が存在しないことを確認することもできる。
染色体の実質的一部の欠失により特徴づけられる病状の場合、実際には、欠失した領域に含まれるクローンを標的配列とし、かつ、この領域の外側のクローンを対照配列として取ることで十分である。それにより、コスミドクローン(30-50kb)またはそれ以上のサイズの欠失を検出することができる。
十分な密度のコーミング分子が利用できるのであれば、用いる標的配列の一部に相当する、より小さな欠失(数kb)の検出を考えることができる。それは、コーミング表面上に少なくとも10コピーのゲノムを置くことが特に有利だからである。
Nc/Nt比における統計学的誤差は、
のオーダーである。有利には、Nc/Nt比の20%未満の統計学的誤差を有するため、コーミング表面上に十分な数のシグナルを有することが望ましい。従って、極めて多数のハイブリダイズプローブ、典型的にはNc,Nt>100を有することが重要である。
しかしながら、実際には、1種ではなく数種の対照プローブと標的プローブを、それら種のプローブ間での識別を必要することなく用いることにより、すなわち、同様にしてそれら総てを明らかにすることにより、これら測定の精度を高めることもできる。
かかる多数のシグナルが得られる可能性は証明されている:20x20mmの有効表面積を有するシラン化したガラス面上で、約100のシグナルを測定することができる。この密度は、多量のDNAが利用可能である限り、相当高めてもよい。
20x20mmの有効表面積を有する表面あたりの十分なゲノム数は、単一のプローブを用いる場合は、100の範囲内である。数種のプローブまたはそれ以上のプローブを用いる場合は、
コーミング面とそれゆえに分析される面、
用いるDNA密度とそれゆえにその表面上にコーミングしたゲノム数
のいずれかを低減できると考えることができる。
主要な制約(必要とされる速度、またはDNA量の制限)により、これら2つのルートのいずれかを用いてよい。
開示された技術は、厳密であるが技術上困難な点が特にない調製プロトコールの使用を含む。シグナル分析のレベルにおいて、特に定性の必要はなく、それにより、分子生物学に関して最小限の能力を持ったスタッフがいる総ての実験室に対し、この技術を一般化することができる。
原則として、分析のため表面上の高密度のコーミング分子をもたらすゲノムDNA溶液を調製するには、千数百の細胞で十分であるはずである。それゆえ、原則として、ほとんどの場合で細胞培養を行う必要はない。従って、サンプリング-分析を全体として数日以内に行うことが可能なはずである。
分析するシグナルが単純であれば(同時的であり、かつ、ハイブリダイゼーションのバックグラウンドノイズから識別される)、そのシグナルの分析工程の完全な自動化を考えることが可能となる(表面の走査、捕捉および測定値の処理)。異なる患者に対応する表面を蓄積するためのシステムと統合することにより、高収量が予見でき、これにより数日以内に様々な種の診断を提供できる可能性が与えられる。
前記の方法は様々な種の診断を可能にする:染色体の計数(トリソミー、モノソミーなど)、ゲノムコピーの計数、既知の欠失の検出、またはゲノムにつき与えられたゲノムプローブのハイブリダイズ長を変更する結果となるその他の染色体変異。
また、単一の対立遺伝子の部分的欠失を検出することも可能であることに注目すべきである。
同様に、同一の表面上でコーミングしたいくつかの異なるゲノムに対し、クローンのハイブリダイゼーションを行うこともできる。例えば、元の生物のゲノムの、および宿主生物(寄生生物、細菌、ウイルスなど)のゲノムの同時コーミング、および一方は元の生物由来の、他方は宿主生物由来の特異的プローブの使用により、原則として、宿主/元の生物の細胞数の比を求めることが可能となる。ウイルスが感染した生物の場合、これによりウイルス量の測定が可能となる。おそらく前記の図面は、この診断法の感度を宿主細胞およそ100につき1を超える感染生物が存在する条件に制限する。
これら様々な種の診断は、多重表示系(数色、または色の組み合わせ)、または異なるプローブから得られ、かつ、正確な診断を意図したハイブリダイゼーションシグナル間の識別を可能にする他のいずれの方法の使用と組み合わせてもよい。
本発明はまた、以下の構成要素:
コーミング面、
検出する異常性に対応する、標識された、または標識されることを意図したプローブ、
DNAをコーミングさせる装置、
対照ゲノムおよび/または対照プローブ、このゲノムは所望によりコーミング面でコーミングする、
例えばエキスパートシステム(例えばソフトウエア)の形態で行われる診断で得られる結果を判断するためのグリッドを提供するため、1以上の対照位置で前記のプロトコールを用いて得られた1以上の特異的な結果、
本発明の方法に従う診断の実施を助けることができるエキスパートシステムのうち少なくとも1つを含有する診断用「キット」に関する。
この技術の原理は患者のDNAのコーミングに基づき、このDNA調製工程には抽出、コーミングおよび対応する材料(処理表面、分子コーミング装置)のためのプロトコールが必要である。
本発明の主題はまた、分子コーミング条件の下で転写、または翻訳、または調節の生成物に対応するプローブと反応できるゲノムDNAまたはゲノムDNAの一部にある。
診断はそれ自体、特異的ヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションと、例えば抗体系によるこれらプローブ表示を必要とする。組み合わせた診断の場合、さらにカラーコーディングを行えば、ある診断のカタログに対応するプレ標識プローブのバッチを提供することができる。
分析に、シグナルの長さ、またはより一般には前記の3つの情報カテゴリーのうち1つの測定が必要であるなら、これらのシグナル(ソフトウエアおよび自動装置)を分析するための系もまた、本発明の一部をなす。
第三の具体例では、本発明は特にゲノムの物理的マッピングを可能にする方法に関する。
物理的マッピングの目的は、ゲノム内のクローン順序づけであり、本来、分子コーミングはコーミングされたゲノム上のクローンの単純なハイブリダイゼーションによってこの目的に応用される(例えば、YACの場合、酵母の天然染色体から人工的染色体を分離することを省くため、全酵母染色体をコーミングすることができる。)
クローンの位置は、参照クローンまでの、またはコーミングしたゲノム上の他の参照ハイブリダイゼーションシグナルのいずれかまでのそれらの距離を直接測定することにより得られる。次いで、コーミングしたDNAの一定の伸長により、後者が本方法の分解能を超える場合、それらのサイズとともに個々のクローンの位置がキロベース(kb)で直接確定することが可能となる。特に、従来のエピフルオロレッセンス顕微鏡観察の場合、その分解能は波長の半分であり、cDNA(細胞内で転写するRNAに相補的なDNA)の正確なマッピングが可能であるが、一般に数百塩基のオーダーであるハイブリダイズ断片(エキソン)のサイズを正確に測定することはできない。しかしながら、この方法を用いれば、完全なcDNA断片の、またはそれらの断片のゲノムDNA内の正確な位置が得られる。例えば、クローンが参照マークとして働くと同時に、cDNAの、ゲノムDNAとの、またはゲノムDNAクローン(例えばコスミド、BAC、YAC)とのハイブリダイゼーションにより、注目するタンパク質に対応するcDNAの存在または不在およびその位置を決定することができる。
cDNAから得られた複数の断片を使用すれば、例えば、コスミドまたはYAC種のベクターにおける1以上のゲノムDNAの存在または不在を抽出することができる。
さらに分離能の高い方法を使用すれば、さらにプローブサイズの測定が可能となるが(密着視野、電子顕微鏡観察法など)、それが選択された観察様式であれば、蛍光強度測定もまたこのような情報をもたらす。
発明者らが提供する方法により、ハイブリダイゼーションを表示するために与えられたクローン数、与えられた色の固定数を順序づけるために必要なハイブリダイゼーションの、または(より一般には)ハイブリダイゼーションを表示する明瞭な様式の数を最小にすることが可能となる。
本発明は、
(a)ある量のゲノムをコーミング面に結合させ、次いで、コーミング面上でコーミングし、
(b)コーミング生成物を、各クローンに対応する、ビーズ、粒子などの放射活性または蛍光エレメントなどで標識したプローブとハイブリダイズし、その結果プローブが特に色により特異的に表示でき、
(c)各クローンの位置ならびにサイズに対応する、また、ゲノム上の距離に対応する情報を導き出し、
(d)P色、標識または異なる表示様式を用い、n回のハイブリダイゼーションの後、Pnクローンの位置決定ができるという知見において、色、標識またはプローブの表示様式を変更することにより、工程b)とc)をn回繰り返すことを特徴とする方法に関する。
マッピングの標準法に関しては、pの標識、色または表示様式を用い、N個のクローンをマッピングするのに必要なハイブリダイゼーション数Iは、クローン数Nとともに直線的に増加する。
従って、現在のところ、3色を用いた場合、30個のクローンをマッピングするためには、前記のタイプのハイブリダイゼーションが少なくとも15回行う必要がある。
このハイブリダイゼーション回数は多く、実際上、利用可能な色の数は(蛍光の組み合わせを用いるとしても)限られている。さらに、ひと度総ての測定を行えば、クローンの種々の可能性ある位置選択を行う必要があり、測定誤差を考慮するとすれば、それは必ずしも容易であるわけではない。
ここで提供する方法により、行われるハイブリダイゼーション回数とともに指数関数的に増加するクローン数をマッピングすることが可能となる。
実例として、図10の線図は、あるハイブリダイゼーションと別のもの(それらの半分に関して)とが異なる2色で表示される4クローンの2回のハイブリダイゼーションの結果を示している。ハイブリダイズした4クローンは、あるハイブリダイゼーションと別のものとが異なって着色されたキャンバスを形成し、それらのコーディング(この場合二元)によりクローンを抽出することができる。この4クローンの例では、各々のクローンを識別するには一連の2色からなるコードで十分である:
A=赤および赤
B=緑および緑
C=赤および緑
D=緑および赤。
一連の3色によりクローン間を識別するためには、5〜8クローンでの3回のハイブリダイゼーションが必要であろう。
さらに一般には、p色を用い、N個のクローンをマッピングし、N=pIで示されるハイブリダイゼーション数Iで十分であると考えられる。
標準法と比較した場合、2色しか使用できければ、30個のクローンは(30ではなく)5回のハイブリダイゼーションで、また3色が使用できれば、(15ではなく)4回のみのハイブリダイゼーションでマッピングされ得る。
ここで示したマッピング原理は単純である。しかしながら、ある潜在的な実験上の人工産物(シグナルサイズの分散、飽和の変異性、分子の破断など)を克服するためには、画像処理用の、および統計解析用の適切なソフトウエアを用いることが有利である。
以下の実施例により、本発明の他の特徴および利点をよりよく理解することができよう。
最後に第四の態様では、本発明は、特にコーミングしたDNAと反応可能な生成物の検出または位置決定を可能にする方法に関する。例えば、本発明を行うための前記の方法に従い、例えば、細胞周期中のDNA結合遺伝子の転写を調節するタンパク質その他を、コーミングしたDNA、および既知であり、かつ、抽出されている配列位置に対して決定したそれらの好ましい結合部位において検出してもよい。
同様にして、DNAと反応可能な治療上注目する分子を、コーミングしたDNAにおいて検出してもよく;DNAと反応可能な他の分子に対するそれらの効果も、比較により研究され得る。
コーミングしたDNAと反応可能な分子のうち、
ショウジョウバエDNAと結合する調節タンパク質に関するLaughon and Matthew(1984),Nature,310:25-30、
それらの特異的結合ドメインのDNAと結合する調節タンパク質に関するK.Struhl et al.(1987),Cell,50:841-846
により記載された調節タンパク質を記載すべきである。
またこれらの分子は、
DNA誘導、例えば転写の多重相互作用についてのH.Echols et al.,(1996),Science,223:1050-1056、
Gross and Ganardは、総説An.Rev.of Bioch.(1988),57:159-167で、クロマチンのヌクレアーゼ部位の過敏性について記載、
Hanson et al.,(1976),Science,193:62-64は、ヌクレオチド配列の選択的切断における光活性剤としてのソラレンについて記載、
Cartwright et al.(1984),NAS,10:5835-5852
により記載されたDNAを修飾する挿入剤または分子であってもよい。
本発明はまた、本発明に従う前記の方法の1つにより同定されるパラメーターと関連した分子、溶媒または方法のいずれもに関する。
図面の説明
図1a:捜し出された遺伝子(従って破断点)と重複するクローン(赤)の場合の図解。細かく分断された領域は存在しないものとして考え、このことは特に、2つのプローブのセグメントが並んで存在する場合、実際にはそれらの長さの合計に等しい長さを有する1つのセグメントしか生じないということを意味する。半隣接染色体は白いバーで表している。
(a)健常者の位置。
(b1)遺伝子の一部の欠失。
(b2)全遺伝子の欠失。
(c1)および(c2)遺伝子の一部の転座。
(c3)全遺伝子の転座。
(d1)遺伝子の一部の重複(任意に逆位をともなう)。
(d2)全遺伝子の重複(任意に逆位をともなう)。
(d3)ゲノムの別の部分の遺伝子の一部の反復。
(e)遺伝子(およびクローン化ゲノム)の異なる部分の遺伝子への挿入。
図1b:前記の位置に対応するハイブリダイズしたクローン長の典型的ヒストグラム。総ての場合において(1または2つのピーク)、その位置は全クローン(a)のそれと明確に識別できる。
この図面のヒストグラムは異常な対立遺伝子のシグナルに対応し、従ってこれは図1cに示した未処理のヒストグラムから、(a)で示した正常な対立遺伝子のための寄与を差し引いた後に得られる。x軸上にはハイブリダイズした断片のサイズがあり、(任意の)スケールは図1aのものと同様である。y軸上には任意の単位の観察された断片数があり、種々の集団間での比率だけが重要である。
図1c:前記の位置に対応し、かつ、正常な対立遺伝子を考慮してハイブリダイズしたクローン長の典型的ヒストグラム。正常な対立遺伝子が寄与していることは、(a)で示した正常な場合の位置に対応するピークにより示される。異常な対立遺伝子がこのピークの値を増加させる方向に寄与する場合((d3)の場合)、一般に正常な対立遺伝子の寄与は、異常なピークの値と同等であるとみなしてよい。
図2a:捜し出された遺伝子と部分的に重複するクローンの場合の図解。
(a)健常者の位置。
(b1)遺伝子の一部の欠失。この欠失部分が完全にクローンに含まれる場合には、別の位置は示されなかった(線図1aに相当する場合と比較)。
(b2)全遺伝子の欠失。
(c1)および(c2)遺伝子の一部の転座。この転座部分が完全にクローンに含まれる場合には、線図1aの(c2)の場合に相当する別の位置は示されなかった。
(c3)全遺伝子の転座。
(d1)2つの頭の矢印で示した遺伝子の一部の重複(この重複部分は完全にクローンに含まれる)。
(d2)逆位をともなう遺伝子の一部の重複。
(d3)遺伝子の一部の重複(この重複部分は部分的にクローンに含まれる)。
(d4)全遺伝子の重複(逆位をともなわない)。
(d5)ゲノムの別の部分の遺伝子の一部の反復。
(e)遺伝子(およびクローン化ゲノム)の異なる部分の遺伝子への挿入。
図2b:前記の位置に対応するハイブリダイズしたクローン長の典型的ヒストグラム。総ての場合において(1つまたは2つのピーク)、その位置は全クローンのそれと明確に識別できる。
この図面のヒストグラムは異常な対立遺伝子のシグナルに対応し、従ってこれは図2cに示した未処理のヒストグラムから、(a)で示した正常な対立遺伝子のための寄与を差し引いた後に得られる。x軸上にはハイブリダイズした断片のサイズがあり、(任意の)スケールは図2aのものと同様である。y軸上には任意の単位の観察された断片数があり、種々の集団間での比率だけが重要である。
図2c:前記の位置に対応し、かつ、正常な対立遺伝子を考慮してハイブリダイズしたクローン長の典型的ヒストグラム。正常な対立遺伝子が寄与していることは、(a)で示した正常な場合の位置に対応するピークにより示される。正常な対立遺伝子がこのピークの値を増加させる方向に寄与する場合((d4)および(d5)の場合)、一般に正常な対立遺伝子の寄与は、異常なピークの値と同等であるとみなしてよい。
図3a:捜し出された遺伝子に完全に含まれるクローンの場合の図解。
(a)健常者の位置。
(b1)遺伝子の一部の欠失。この欠失部分が完全にクローンに含まれる場合には、別の位置は示されなかった(線図1aに相当する場合と比較)。
(b2)全遺伝子の欠失。
(c1)および(c2)遺伝子の一部の転座。この転座部分が完全にクローンに含まれる場合には、線図1aの(c2)の場合に相当する別の位置は示されなかった。
(c3)全遺伝子の転座。
(d1)2つの頭の矢印で示した遺伝子の一部の重複(この重複部分は完全にクローンに含まれる)。
(d2)逆位をともなう遺伝子の一部の重複。
(d3)遺伝子の一部の重複(この重複部分は部分的にクローンに含まれる)。
(d4)全遺伝子の重複(逆位をともなわない)。
(d5)ゲノムの別の部分の遺伝子の一部の反復。
(e)遺伝子(およびクローン化ゲノム)の異なる部分の遺伝子への挿入。
図3b:前記の位置に対応するハイブリダイズしたクローン長の典型的ヒストグラム。総ての場合において(1つまたは2つのピーク)、その位置は全クローンのそれと明確に識別できる。
この図面のヒストグラムは異常な対立遺伝子のシグナルに対応し、従ってこれは図3cに示した未処理のヒストグラムから、(a)で示した正常な対立遺伝子のための寄与を差し引いた後に得られる。x軸上にはハイブリダイズした断片のサイズがあり、(任意の)スケールは図3aのものと同様である。y軸上には任意の単位の観察された断片数があり、種々の集団間での比率だけが重要である。
図3c:前記の位置に対応し、かつ、正常な対立遺伝子を考慮してハイブリダイズしたクローン長の典型的ヒストグラム。正常な対立遺伝子が寄与していることは、(a)で示した正常な場合の位置に対応するピークにより示される。異常な対立遺伝子がこのピークの値を増加させる方向に寄与する場合((c3)、(d2)、(d3)および(d5)の場合)、一般に正常な対立遺伝子の寄与は、異常なピークの値と同等であるとみなしてよい。
図4:工程モデルの長さのヒストグラム。特徴的なサイズの影響の研究。
図5:工程モデルの長さのヒストグラム。破断レベルの影響の研究。
図6:ガウスモデルの長さのヒストグラム。特徴的なサイズの影響の研究。
図7:ガウスモデルの長さのヒストグラム。破断レベルの影響の研究。
図8:破断点でのBAC(125kb)のハイブリダイゼーションの場合におけるヒストグラムのシミュレーション:(a)35および90kbの断片;(b)50および75kbの断片;(c)60および65kbの断片;(d)対照位置;(e)ヒトゲノムDNAとハイブリダイズしたコスミドクローンのコンティグの実際のヒストグラム(コンティグの長さ:約77.5μm、すなわち155kb)。x軸は断片サイズをミクロンで表し、y軸はハイブリダイズしたプローブの連続した断片の数を表す。
図9:カラーコードを用いないマッピングの原理の図解。各ラインは、それがハイブリダイズしたものに対してマッピングした新たなサブクローンの可能性ある位置を示している。最初の2つのクローンの配向は任意である。ハイブリダイズした新たなクローンに関しては、各段階おいて、用いたもとのクローンの各側の2カ所の可能性がある。
図10:カラーコードを用いたマッピングの原理の図解。
各ハイブリダイゼーションでは、同一のサブクローンがハイブリダイズし、このことは、色の情報を無視すれば、同一のハイブリダイゼーションモチーフ(キャンバス)を生じることを示している。用いる2種の配合の色は、あいまいさをともなうことなく、サブクローンの各々を抽出することを可能にする(コーディングの原理)。
図11:人工染色体を含有する酵母(YAC774G4)の全ゲノムDNAを処理面上でコーミングした。未知の間隔により隔てられた隣接する2つのコンティグに属するコスミドを、それらの配置の正確な地図を再構成できるように、対でハイブリダイズした。使用されるコスミドのうち、1F11は、その突然変異が帯筋障害タイプ2Aの原因である、カルパイン3の遺伝子配列の大部分を含む。
この図は、各ハイブリダイゼーションに特徴的な画像(左ではコスミドをハイブリダイズして赤で表示し、右ではその他を緑で表示している)、ならびにおよそ3kb内に対し、測定値から再構成した地図を示す。スケールは20kbのバーで示されている。この実験により、特に、STSを用いて得られた領域の地図を補正すること(Richard et al.,1995,Mammalian Genome,6,754-756)、また遺伝子の染色体の方向づけを得ることが可能となった。
図12:ヒト全ゲノムDNAを処理面上でコーミングした。「結節硬化症1」(STC1)の遺伝子(クローン化されていない)を含有する第9染色体の領域の隣接する3つのコンティグに属するコスミドを対でハイブリダイズし、これらのコンティグを分断する間隔のサイズを測定するため、異なる2色で表示した。この図面は、50〜80の測定値に対し1.5〜3kbの精度をもって、コスミド間の距離を示すこれらの測定値の各々に特徴的な3つの画像を示す。使用されるコスミドのコードが、それらが属するコンティグとともに(括弧内)示されている。
緑色は白で、赤色は灰色で示されている。
材料および方法
ヒストグラム法
図1aの線図は、捜し出されたゲノム領域(その改変が病状を出現させるゲノム配列のいずれをも含有する領域)を完全に覆うプローブの場合における多くの状態を示している。そのプローブは破断に関与しない、すなわち例えば欠失のいずれかの端部におけるゲノムの一部を覆うことが好ましい。
対応する理論的ヒストグラム(捜索されたゲノムDNAが完全なものであるという仮定におけるものであり、それは本来あまり実質的ではなく、以下に続く明細書で議論される)は、図1bの線図で示されている。図1cは、正常な対立遺伝子の寄与を導き出す前の未処理の結果を示す。用いるクローンが、図2aおよび3aの線図で捜し出された遺伝子(またはゲノム領域)を完全には覆っていない場合に、同様の位置が示されている。
以下に続く明細書では、「このゲノム領域」(病状への関与を意味する)または「遺伝子」という表現は、厳密に言えば、この技術により遺伝子の決定はできないが、損なわれている(「破断点」の結果である)ゲノム領域の決定は可能であるので、互換的に用いられる。
前記線図で示された総ての状態は、使用するクローン化プローブが健常者のゲノム領域とハイブリダイズし、患者の場合には改変されている状態の間で差異が期待されるということを認識させる。
提示された総ての場合(ただし、完全クローンを含有する遺伝子の総てまたは一部の転座の場合を除く−線図3a(c3)と比較)で、(理論的)ヒストグラムが「正常な」ヒストグラムから識別される:
単一ピークの存在によるか(しかしそれは、クローン長とは異なる値で(例えば、(d2)の場合はより長く、または(b1)の場合はより短い)位置する)、
または2つ以上のピークの存在によるかのいずれか。
従って、クローン長の、またクローン長Lcのヒストグラムに関する単純なデータ(例えば、健常者のDNAに対するハイブリダイゼーションによって得られ、かつ対応するヒストグラムのピークを得る)により、研究されたクローンが破断点(ここでは広義において意味する)を覆うかどうかを知ることが可能となる。
ヒストグラムのレベルで観察された異常性は、いくつかのカテゴリーに分類され得る:
(a)長さLi<Lcに対する1ピーク
(b)長さLs>Lcに対する1ピーク
(c)Lcより短い数ピーク
(d)Lcより長い数ピーク
(e)長さL=Lcに対する1ピーク、および長さLcより短い1以上のピーク
(f)長さL=Lcに対する1ピーク、および長さLcより長い1以上のピーク
(g)長さ<、=および>Lcの1以上のピーク。
残念ながら、一般に、前記で挙げた異常性のクラスは、概略の遺伝子の異常性決定するのに十分でない。
図1bの線図は実際に、全遺伝子を覆うと考えられるクローンの場合における部分的転座(c1)もしくは(c2)、完全な転座(c3)、または挿入の間を優先して識別することはできないことを示している。そのクローンが遺伝子を部分的にしか覆わない場合についても同じことが当てはまる(図2bおよび3bの線図)。
他方、ヒストグラムのピークに対応する長さに関するデータにより、いくつかの場合で、クローンにおける欠失した、転座した、重複した、または挿入と接したゲノム部分の末端の位置を明記することが可能となる。
いずれの場合にも、正常ゲノムの場合に期待されるものとは異なるヒストグラムの測定値は、研究するゲノム中に、使用するクローンに含まれる配列のレベルでの異常性の存在を示す。
(a:長さLi<Leに対する1ピーク):これにはほとんど確実に1つ(またはそいれ以上)の欠失が含まれる。しかしながら、注目されてきたように、それは数ピークがともに分類される場合を含む。発明者らは、一般に、異なるゲノム領域に対応するプローブ(参照プローブ)との比較により、これら2つの場合を識別できることを見出す。
欠失の場合、完全なクローンの長さから残存する2つの長さを差し引くことにより、そこからサイズを推定することができる(ただし、クローンが遺伝子の全推定部分を覆う場合に限る)。しかしながら、クローンに対する位置を知ることはできず、他のクローンまたはサブクローンとのさらなるハイブリダイゼーションによってはじめて、この決定が可能となると考えられる。
しかしながら、同じタイプのヒストグラムはいくつかの欠失に対応し、この場合に唯一、この欠失の合計のサイズを測定可能である(依然としてそのクローンが遺伝子の全欠失部分を覆うという仮定における)。
クローンが遺伝子を部分的にしか覆わない場合、推定される欠失は、有効な遺伝子欠失の一部だけを表すものと考えられる(例えば線図2aと比較)。
(b:長さLs>Lcに対する1ピーク):この場合、遺伝子内でのまたはその末端での、遺伝子の全体または一部の1以上の重複が含まれる。このクローンは完全にまたは部分的に遺伝子を覆い得る。配列の逆位が任意に存在するが、クローンが完全に遺伝子を覆う場合には、これは検出できない。この重複の位置は決定できない。
(c:Lcより短い数ピーク):遺伝子の部分的転座、または遺伝子内への配列の挿入がこの場合に含まれてよい。転座を仮定すると、クローン内の遺伝子の2つの末端を明記できるか(クローンが遺伝子を完全に覆う場合)、またはこれらの末端に関する2つの可能性を提唱することができる(クローンが遺伝子を部分的に覆う場合)。
(d:Lcより長い数ピーク):クローンにより覆われているゲノム領域中の遺伝子の総てまたは一部のいくつかの重複がこの場合に含まれてよい。
(e:長さL=Lcに対する1ピーク、およびLcより短い1以上のピーク):クローンにより覆われている領域とは異なるゲノム領域中の遺伝子の総てまたは一部の1つ(またはそれ以上)の重複が含まれてよく、これは、クローンが遺伝子の総てまたは一部を覆う場合である。
(f:長さL=Lcに対する1ピーク、およびLcより長い1以上のピーク):この位置は線図1〜3には示されていないが、それは正常な遺伝子に関連した(d)タイプの重複の場合を含む。
(g:長さ<、=および>Lcに対する1以上のピーク):(e)と(f)の組み合わせ。
多くの状態において、ハイブリダイゼーションシグナルおよびそれらの距離に関する分析は、それらが配列される場合、さらに付加的な情報を提供するはずである。
線図1a(e)の例はこの考え方を示すものである:この挿入の場合、ハイブリダイズしないが、ともに直線状の2つのハイブリダイゼーション(任意のサイズ)により囲まれているセグメントのいずれもが挿入を示し得ることを仮定する必要がある:従って、これら測定値のヒストグラムが構成され;実際に挿入が存在すれば、いずれのハイブリダイゼーションとも同様に、それはピークとして現れるはずである。
またこの測定は、例えば欠失または転座の場合にも役立つ。
前記で開示した技術により、ハイブリダイズし、コーミングしたゲノムDNAは完全なものであると仮定される。実際には、ハイブリダイゼーションのために用いるクローンに対応するそのDNAが改変されていない健常者のものである参照位置は、理論的には、そのクローン長の値におけるピークにより表される。
実際、DNAはその調製中、またコーミング中に、流体力学的応力を受け、このことにより多くのランダムな破断が生じる。これらランダムな破断は、プローブの標的配列内で生じる可能性があり、これのより、コーミング後、この配列のいくつかの断片への分割が起こると考えられる。プローブとのハイブリダイゼーション中、これらのセグメントはハイブリダイズし、表示後に、そのサイズが標的配列のサイズより小さい断片として測定されるであろう。
これらの破断は、コーミングに用いるあらゆるゲノムにおいて、総ての標的配列に影響を及ぼす必要はないであろう。研究される表面上でコーミングしたヒトゲノムの数により、また調製条件により、破断した標的配列の割合は適度に小さく維持される。この場合、そのプローブの長さにおける、単一ピークからなる典型的ヒストグラムは、より短い長さにおける分布テールを伴うより小さなピークに置き換わると考えられる。実験的および基本的に実施を考慮すれば、記載の実験条件の下では、研究される表面あたりのコーミングしたゲノムの最適な数は、コーミング面あたり少なくともおよそ10である。
以下に続く明細書では、理論的ヒストグラムにおいて、これらの現象の長さへの影響を評価することができる2つのパラメーターによる、(DNAの調製およびコーミング後の)破断プロセスのシミュレーションが研究される。
2つのパラメーターはこの破断現象において重要であると思われ、それはすなわち特徴的なサイズと破断レベルである。
特徴的なサイズとは、多数の操作を受けた分子が達するおよそのサイズ限界と定義される。あり得る操作の一例としてピペット操作があり:ピペットの円錐の径により、分子の最大サイズ限界はより大きく、またはより小さくなる。もう1つの操作例としては、DNA溶液の攪拌がある。
破断レベルは操作回数のモデルを提供すると考えられ:例えば、ピペット操作の回数が増えれば、分子が破断される危険性も増す。
A.工程モデル
溶液中のDNAの操作モデルを提供する最も簡単な方法は、破断の確率0を、特徴的なサイズLOより小さいサイズを有する断片に帰することにあり、LOより大きいサイズを有する断片については破断確率は1等しい。サイズLを有する断片で、さらに無作為にいずれかの2断片へと破断する:
L<LO=>PO(L)=0
L>LO=>PO(L)=1
このモデルに破断レベルを導入するため、パラメーターとして、分子およびその一連の断片が受ける破断プロセスの回数を設定する。
このモデルにより、既知の長さLCのプローブのハイブリダイゼーションの際に期待されるヒストグラムを、このモデルのパラメーターの関数としてシミュレートすることが可能となる。選択される条件は:50Mbの染色体とハイブリダイズするプローブ、200のコーミングゲノム、LC=50kbである。
A.1.ヒストグラムに対する特徴的なサイズの影響
図4は、種々の破断レベル(または工程)に関して、プローブサイズの1、2、4または8倍の特徴的サイズ値(LO、Lbroak)について得られた理論的ヒストグラムの形を表している。この特徴的サイズがプローブのサイズに近いほど、ヒストグラムは第2節に記載した単一ピークからさらに識別しやすくなり、事実上それが期待値LCに対するピークが認められなくなるまで、プローブの長さLCより短い長さで分布のテールがより大きくなる。
A.2.ヒストグラムに対する破断レベルの影響
図5は、種々の特徴的サイズに関して、理論的ヒストグラムの変量を破断レベルの関数、すなわち無作為な破断工程の回数(工程N回)として表している。本来、破断長が長くなると、期待される長さLCにおけるピークは小さくなると考えられる。
しかしながらこのモデルでは、残存する断片の総てがLCより短いサイズを有する場合には破断は起こらないので、破断レベルが無制限に増加する場合でさえ、ピークは完全には消失しない。
A.3.モデルの利点
前記モデル主な利点は、ハイブリダイズしたプローブ断片の長さに関してヒストグラムが取り得る形を、観察の結果を解釈できるよう評価する迅速な手段を提供することにある。
B.ガウスモデル
若干より現実的なモデルは、同様であるが、工程モデルの「オール・オア・ナッシング」の法則とは異なる破断法則を有する一連の破断工程にある。単純な「ラウンディング・オフ」の方式であるこの法則では、前記の確率がガウスの破断法則の確率に置き換わる。
PC(L)=1-e-(L/LO)2
B.1.ヒストグラムに対する特徴的サイズの影響
図6は、種々の破断レベルに関して、プローブサイズの1、2、4または8倍の特徴的サイズ値(LO、Lbreak)について得られた理論的ヒストグラムの形を表しており、これは工程モデルに関して行ったシミュレーションで用いたものに等しい。同様に、この特徴的サイズがプローブのサイズに近いほど、ヒストグラムは第2節に記載した単一ピークからさらに識別しやすくなり、事実上それが期待値LCに対するピークが認められなくなるまで、プローブの長さLCより短い長さで分布のテールがより大きくなる。
B.2.ヒストグラムに対する破断レベルの影響
図5は、種々の特徴的サイズに関して、理論的ヒストグラムの変量を破断レベルの関数、すなわち無作為な破断工程の回数(工程N回)として表している。本来、破断レベルが増すと、期待される長さLCにおけるピークは小さくなると考えられる。
しかしながらこのモデルは、特徴的なサイズの値にかかわらず、破断レベルが増すと、LCに対応するピークは小さくなり、破断レベルが無制限に増加する場合には完全に消失するので、前記のものよりより現実的な挙動を有する。
B.3.モデルの利点
ガウスモデルはより現実的であり、発明者らが以下に続く明細書で、ハイブリダイズしたプローブ断片の長さのヒストグラムをシミュレーションするのに使用するものである。
C.破断点までのハイブリダイゼーションのシミュレーション
発明者らの技術の適用性に関する研究のため、発明者らは破断点までのクローンのハイブリダイゼーションに特徴的な3タイプの状況のシミュレーションを提供する。発明者らは例として、転座に関与する破断点にわたる125kbのBAC(細菌性人工染色体)の場合を考える(例えば線図2a(c1)を参照)。
図8dに示されたシミュレーションは、クローンが正常ゲノムDNAへハイブリダイズする状況に相当する:操作のために切断された断片を除けば、これらの条件下で、ほとんどのハイブリダイゼーションはLC=125kbの長さを有する。発明者らは特徴的なサイズLOの2つの値:LO=100(<LC)およびLC=200(>LC)を選択する。この破断レベルは特異的であり、N=10に等しい。
これらのヒストグラムは、それらがLO=100、N=10の場合のように相当に不利である場合でさえ、ほとんどの場合において125kbでのピークが識別可能であることを示す。
C.1.35および90kbの断片
図8aは125kbのBACが、密接に関連しない、非常に異なるサイズ(35および90kb)のゲノムの2つの部分で、線図2a(c1)で記載した場合のようにハイブリダイズする場合に、ハイブリダイズした断片の長さのヒストグラムのシミュレーション結果を示す。
特徴的なサイズが最大の断片よりかなり大きい場合、状況がかなり有利であっても、この2つの場合(LO=100、LO=200)において、35および90kbでの2つのピークは認識できる。
さらに、より小さなサンプルの場合においてさえ、それはほとんど識別されない90kbでのピークを生じ、35kbでのピークをとどめるであろうことに注目すべきであり、このことはそのクローンの正常なサイズに関する異常性を示している。
C.2.50および75kbの断片
図8bは、そのサイズが互いにあまり異ならない2断片の場合のシミュレーション結果を示す。ここで再び、対応するピークが十分明確にされ、互いに異なっている。この場合、より小さなサンプルでの、これら2つのピークの同定が依然として可能であることが予測できる。
C.3.60および65kbの断片
図8cは、非常に類似したサイズの2断片の場合のシミュレーション結果を示す。両場合において、そのピークはその小さな断片のヒストグラムから明白であるが、測定の精度には限りがあるので、ただ1つに合わさってしまうという恐れがある。
しかしながらここで再び、かかる情報はハイブリダイズしたBACの中ほどに位置する破断点の存在を考慮するのに十分であろう。
C.4.結論
前記シミュレーションは、DNAの過度の切断を防ぐ条件下で、コーミングの前およびその間中、プローブが正常なヒトゲノムにハイブリダイズする対照状況と、プローブが破断点の存在により修飾されたゲノムにハイブリダイズする状況との間を明白に区別することが可能であることを示す。
しかしながら、コーミングを特徴づける発見的パラメーターにより、最大のハイブリダイゼーション長より大きいか、または同等の特徴的サイズを有することが好ましいことが示される。後者は未知であり、それゆえに簡単な基準としては、プローブとして用いられるクローンの長さのオーダーの、またはそれより長い特徴的サイズがある。
従って、この基準の達成を実験的に評価するためには、ゲノムにおける異常性を捜し出すよう意図されたプローブに加えて、ゲノムの異なる部分とハイブリダイズする、比較可能なサイズの対照プローブを用いることが望ましいと考えられる。かくして、対応するヒストグラムにより、実験状況を再現するモデルのパラメーターを定性的に測定することが可能である。
図8eは図8aに記載した前記の例の実験装置を図解している。ヒトゲノムDNAは下記のプロトコールに従いコーミングした。全体で、合計約155kbの第9染色体(TSC1遺伝子のコンティグに属する280A6、37A1、149B8、134A11、99B4)の5種の連続したコスミドプローブをこのDNAとハイブリダイズし、次いで蛍光抗体で表示した。測定したハイブリダイゼーションの長さのヒストグラムをプロットし、それはLbreak=100に対する図8dのヒストグラムと非常に類似している。さらに、実際のヒストグラムは40の二倍性ゲノムより少ない当量について得られた(100の二倍性ゲノムに対応するシミュレーション)。
表面処理
22×22mmスライドを準備し、特許出願PCT/FR95/00164およびPCT/FR95/00165に記載の方法を用いてシランで被覆する。
コスミドプローブの調製
コスミドDNAをランダムプライマーからの伸長により、ジゴキシゲニンで修飾したヌクレオチドまたはビオチニル化したもので標識する。ビオチンで標識したプローブのためには、ランダムな8量体プライマーおよびビオチン-14-dCTPを含有するBioprime(商標)DNA標識「キット」(Gibco-BRL)を用いる。ジゴキシゲニンでの標識のためには、dCTP、dATPおよびdGTP(0.1mM)、dTTP(0.065mM)およびdig-11-dUTP(0.033mM)を含むdNTPの異なる混合液を用いる。
標識したDNA断片のサイズと濃度は、0.6%アガロースゲル上での電気泳動およびバンドの濃度測定により確認する。この標識効率はジゴキシゲニンプローブの、およびビオチンプローブの連続希釈を用い、ナイロン膜上に沈降させたスポットを用いて評価する。抗-digアルカリ性ホスファターゼ(AP)(Boehringer Mannheim)またはストレプトアビジンAP(Gibco-BRL)とともにインキュベートした後、このスポットをGibco-BRL製のNBT(ニトロブルーテトラゾリウム)およびBCIP(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート)で表示する。陽性スポットはdigまたはビオチンで標識した対照DNAサンプルから得られた結果と比較する。
バックグラウンドノイズを制限するためには、最終的に、その株を1500gで5分間の遠心分離によって、Bio-Spin6カラム(Biorad)上で精製する。
酵母DNAの分離
YAC774G4(1600kb)を含有する酵母DNAを、標準PFGEブロックの調製のためのプロトコールを用い、0.8%LMPアガロース(1μg/ブロック)の100μlブロック中で調製する。このブロックを0.5M EDTA中で4℃にて保存し、使用する2時間前に15ml TE緩衝液(10mM Tris/1mM EDTA、pH8)ですすぐ。各ブロックを100μl T40E2(40mM Tris/2mM EDTA、pH8)中の3.3μM YOYO-1(Molecular Probes)で室温(RT)にて1時間染色する。次いで、アガロースを68℃にて45分間融解し、ブロックにつき1xNEBアガラーゼ緩衝液(Biolabs)中、2Uのβ-アガラーゼIを用い、40℃にて2時間消化する。
50mM MES(pH5.5)中のDNA(0.25μg/ml)希釈は、このDNA鎖を破断しないよう、極めで慎重に行う。次いで、この溶液を、コーミングのためシラン処理した22×22mmの3枚のスライドの投入が可能な4ml Teflon(商標)貯蔵槽に注ぐ。また、このDNA溶液も4℃にて数日間保存してもよい。
分子コーミング
シラン処理したスライドを、全酵母DNA(50mM MES、pH5.5中0.25g/ml)溶液を含有するTeflon(商標)貯蔵槽に浸し、室温でインキュベートし、次いで、インキュベーション10分後、簡単な機械的装置を用いて貯蔵槽から取り出す。インキュベーション中、DNA分子はそれらの末端で表面上に固定されるようになる。貯蔵槽からの表面を引き出すことにより、これは「滴下法」で提供される蒸発と同様の効果を有し、そのメニスカスは表面に関連して動き、貯蔵槽に残留している分子上で一定の引張力を発揮する。
次いで、コーミングしたDNAで被覆された表面をエピフルオレッセンス顕微鏡で調査し、コーミング特性を調べる。ハイブリダイゼーション後試験として、各スライドの代表的な視野の記録を行う。
次いで、その表面を顕微鏡スライド(シアノクリレート)へ結合させ、60℃にて一晩加熱する。それらは-20℃または室温で湿気から保護すれば、数ヶ月保存することができる。その後、この表面を、漸増濃度のエタノール(70%、90%、100%)を含有する槽を用いて変性させる前に脱水する。
変性およびハイブリダイゼーション
この表面を70%脱イオン化ホルムアミド/30% 2xSSC、pH7.0)中で70℃にて4分間変性させ、直ちに漸増濃度(70%、90%、100%)の冷エタノール槽(0℃)に5分間浸す。その後この表面を乾燥させる。
次いで、50ngのビオチン-標識プローブおよび50ngのジゴキシゲニン-標識プローブを3μgのヒトDNACot1および10μgのニシン精子DNAとともに10μlのハイブリダイゼーション緩衝液(50%脱イオン化ホルムアミド/10%硫酸デキストラン/2xSSC/1% Tween20、pH7)中で混合する。これらのプローブを80℃にて5分間変性させ、直ちに0℃にて冷凍する。
22x22mmのコーミングスライドにつき10μlのプローブ溶液を加え、次いで未処理スライドでカバーし、Sanford,USAにより市販されているゴムのりタイプのポリマーで密閉する。ハイブリダイゼーションは湿潤室(HC)内で、37℃にて一晩行う。
蛍光プローブを用いた表示
ハイブリダイゼーション後、スライドを3槽(50%脱イオン化ホルムアミド/2xSSC、pH7)中で、室温にて5分間、次いで3槽の2xSSC中で室温にて5分間5’まで洗浄する。これらのスライドを37℃(HC)にて30分間、スライドにつき4xSSC/0.05% Tween20,pH7.2)中50μlの試薬(Boehringer Mannheim)のブロッキング溶液(1.5%-w/v)とともにインキュベートする。
ビオチン-およびジゴキシゲニン-標識プローブの検出を同時に各検出層について同じプロトコールを用いて行い、各抗体層は37℃にて30分間インキュベートし、スライドは各層の後で洗浄する(4xSSC/0.05% Tween20中、室温にて5分間を3回)。
ビオチン-標識プローブ用としては、次の層を用いる(スライドにつき50μlのハイブリダイゼーション緩衝液):(1)40mg/mlのAvidin-Texas Red(Vector)。(2)5mg/mlのヤギ抗ビオチン化アビジン(Vector)。(3)40mg/mlのAvidin-Texas Red(Vector)。
ジゴキシゲニン-標識プローブ用:(1)34mg/mlのFITC接合マウス抗dig(Jackson)。(2)28mg/mlのロバ抗マウス-FITC(Jackson)。(3)30mg/mlのマウス抗ウサギ-FITC(Jackson)。
検出後、スライドを迅速に1xPBS中ですすぎ、試験前に試薬(Vectashield,Vector)で固定する。これらのスライドは4℃にて数ヶ月、暗所に置いてもよい。
実施例1
ヒトゲノムDNAのコーミングの場合、数十kb(180F1および50D9)のギャップにより分断された2つのコスミドの同時ハイブリダイゼーションが行われる:約120kb(実施例5を参照)の全間隔に相当する、1枚の22x22mmカバーガラス上で約80の連結シグナル(コスミド1-ギャップ-コスミド2)を測定することができた。
この結果により、正常ヒトゲノムにおける全BACの約100のハイブリダイゼーションの観察が可能であると保証できる。この実験的状況を図8で考える理論上の状況と比較する:実際、ヒストグラム8dは、特定のパラメーターを有する100の2倍性ゲノム(それゆえクローン化配列が200生じる)に対して、125kb(LO=100kbの場合)のBACの約10の完全なハイブリダイゼーションシグナル、またはBACの約16の完全なハイブリダイゼーションシグナル(LO=200kbの場合)が推測されることを示す。すなわち、シミュレーションで用いられる理論上のパラメーターは現在設定可能な実験条件よりずっと悲観的である。
従って、全体としてこの理論的および実験的解析により本発明の第一の確認が可能となる。
前記のBAC(または同等もしくはより小さなサイズの他のプローブ)による破断点の調査に加えて、YAC(完全なヒトゲノム、および他のゲノムに利用できる)の使用を考えることもできる。前記で提供されたものと同様のシミュレーションにより、ガウスモデルにおいてLO=600、N=10に相当する条件下でコーミングした100のゲノムに対し、400および1200kb(例)の異なる2断片において1600kbのYACのハイブリダイゼーションの検出が考えられることを示す。
しかしながら、BACの、またはx100もしくはx63のレンズおよびカメラ(視野の最大サイズ:各々約123μmおよび195μm)を装備するエピフルオレッセンス顕微鏡により困難なく行われる同等もしくはより小さなサイズのプローブの観察に比べ、数百kbの断片の測定には、より低い倍率のレンズを使用する必要があるが、これについてはおそらくシグナル検出力の問題が存在するであろう:
x40:視野の最大サイズ約307μm。
x20:視野の最大サイズ約614μm。
このように大きなプローブを用いる利点は、注目するクローンを見出すために必要なハイブリダイゼーション数が明らかに減少するということである。
実施例2
E.Coli(大腸菌)のゲノムにおけるλファージDNAのアッセイ
λファージゲノム(5243系統,1t=49kb)の1コピーを含有する大腸菌のゲノムDNA(1c=4.7Mb)を、蛍光性分子(YOYO-1)で対比染色した後、シラン処理した表面上でコーミングした。
視野当たりのコーミングDNAの全長は、各表面全体にわたり一様に分布した30〜50視野から評価した。
次いで、ビオチン-dUTP標識λファージDNAをハイブリダイズし、FITC(緑)とコーミングした抗体系を用いて表示した。視野当たりのハイブリダイズしたDNAの全長は、各表面全体にわたり一様に分布した100視野から評価した。
4回の実験結果を以下の表に示す。ここで、Nb大腸菌=Lc/IcおよびNb=LT/It
これらの結果は、スライド43_9を除き、期待値1にかなり近い比を示した。しかしながら、用いた原理はハイブリダイゼーション前の総てのシグナルを測定することにあり、より大きなゲノムに対してはあまり実用的ではない(誤差△Rは、主にここで測定された6〜24オーダーの少数の大腸菌ゲノムによる)。
実施例3
ハムスター細胞のゲノムにおけるアンプリコンの数のアッセイ
実現の可能性の研究は、哺乳類ゲノムDNAまで拡張された。選択された系は、半数性ゲノム当たり標的遺伝子AMP1のそれぞれ1および2コピーを含有する、2匹のハムスターの肺繊維芽細胞系統(618およびGMA32系統)のDNAである。
溶液において提供される細胞のゲノムDNAは、22x22mmの表面当たり100の二倍性ゲノムと評価される密度で、シラン処理した表面上でコーミングした。
標的遺伝子領域に特異的なコスミドプローブ(D3S1、〜40kb)をdig-dUTPで標識した。標的遺伝子から約1Mbに位置する領域に特異的な、もう一方のコスミドプローブ(565.5A1、〜40kb)を対照として用い、ビオチン-dUTPで標識した。
このプローブを予め変性させたコーミングゲノムDNAとハイブリダイズし、ある場合には赤(ビオチニル化プローブ)および緑(ジゴキシゲニン化プローブ)で表示し、他の場合では色を逆にした。各色に対するハイブリダイゼーションシグナルを表面の代表例である多くの視野について測定した。
A32系統の場合、プローブD3S1プローブ(約1400μm)に対して得られる合計サイズは、この遺伝子の70コピーを表す。同じ視野で、対照プローブ(約1180μm)に対して得られるサイズは、その一部として、60の半数性ゲノムを表す。それゆえ半数性ゲノム当たり遺伝子の1コピーの存在と適合する標的/対照比1.2±0.3がこの測定により得られる。
従って、これらの実験によって、十分な数のシグナルと同等に長い、標的および対照プローブのハイブリダイゼーションシグナルを単独で用いる、この遺伝子アッセイの実現の可能性を認め得ることが示される。
実施例4
酵母ゲノムDNAに含まれる1600bpのYACにおける6個のコスミドの対としてのマッピング
YAC774G4は、カルパイン遺伝子(CANP3)を含有する第15染色体のヒトゲノムDNAクローンを含み、その突然変異は帯ジストロフィー(LGMD2A)の原因となるものである。Genethon(Evry)のJ.Beckmanのグループとの共同研究において、発明者らは低融解アガロースのブロック(1ブロック、ブロック当たり1μgのDNA)を含む酵母ゲノムDNAをシラン処理した表面上でコーミングした。
6個のコスミドを対としてハイブリダイズし、サイズと距離のヒストグラムを作成することにより、それらの典型的なサイズと距離の測定を行った。そこから、各ヒストグラムの主なピークについての平均値と標準偏差を特殊なソフトウェアを用いて導き出した。この測定の標準偏差は、2〜4kbのオーダーであることが確認される(図11)。
実施例5
ヒトゲノムDNAにおけるコスミド対のマッピング
ギャップにより分断された隣接する3つのコンティグに属する4つのコスミドを、MRC(London)のS.Foveyのグループとの共同研究において行った2シリーズのハイブリダイゼーションに用いた。このコンティグは、結節硬化症(第9染色体)の形態の1つに関与するTSC1遺伝子の領域を覆う。コスミドプローブは前記プロトコールに従って調製した。
用いるゲノムDNAは細胞培地から抽出し、ブロック当たり106細胞の割合で低融解アガロースのブロック中に入れた。前記プロトコール(4mlの貯蔵槽、150mM MES pH5.5最終モル濃度の使用)に従って処理した3ブロックを、ゲノムDNAのコーミングに用いた。
コスミドを同様のスライド上で対としてハイブリダイズし、スライド当たり合計数十の二倍シグナル(整列した赤/緑)が平均して確認される。前記と同様の測定プロトコールが確認され、前記実験と同じ精度を有する最終値が生じることがわかった。
図12は、研究される2つのギャップのサイズ測定を可能にした数種の典型的な画像を示す。
実施例6
制限セグメントのマッピング
本来、マッピング技術は、他のいずれの種のコーミングDNAまたはサブクローンにも適用される。この技術の拡張の可能性は、例えば、あるクローンのサブクローンのマッピングにはもはやないが、コーミングDNAの制限断片の直接的マッピング(例えばBACタイプのクローン)にあるであろう。
これは配列決定前の中間型サブクローンの生成を回避し、最終配列の再構成するのに十分な精度で、制限断片の物理的マップが得られる。この技術の応用性は、制限バンドの良好な分離、および主要な断片の適切なサイズ(>10kb)、ならびにこれに次ぐこれらバンドのサブクローニング(配列決定のための付加的な酵素による制限の後の小さなベクターへのサブクローニング)にある。
Claims (16)
- ゲノムにおける破断の遺伝子異常を同定するための方法であって、
(a)ある量のゲノムをコーミング面に結合させ、次いでコーミング面上でコーミングし、
(b)コーミング生成物を、異常性が調べられているゲノム配列に対応する1以上の特異的プローブとハイブリダイズし、
(c)ハイブリダイゼーションシグナルに対応する断片サイズを測定し、次いで
(d)そこから、直接測定によるか、対照長に対応する鎖対照と比較することによるかのいずれかで破断の存在を推定する方法であり、
測定したプローブの長さのヒストグラムを確立することを特徴とする方法。 - コーミング生成物を1以上の標識プローブと反応させる、請求項1に記載の方法。
- プローブが破断に関与していないゲノムの一部を覆っている、請求項1または2に記載の方法。
- プローブの長さのヒストグラムを、同じプローブを用いる対照ゲノムに対して作成したヒストグラムと比較する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 所望により別々に表示する、修飾ヌクレオチドで標識したプローブを用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- ビオチニル化により修飾した、DIGを用いて修飾した、または抗体もしくは特異的分子の積層系により表示される他のハプテン類を用いて修飾したヌクレオチドの組み込みにより標識したプローブを用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 蛍光ヌクレオチドで標識したプローブもまた用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- いくつかの原子が置換されているヌクレオチドプローブを用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも約10コピーのゲノムをコーミング面に置く、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 表面が、各測定値の較正を可能にする較正DNAを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 生物学的流体のサンプルから、または生物起源の組織からゲノムを得る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- ゲノムが、羊膜サンプルから、あるいは胎児起源の細胞を含有する他のサンプルから得られたものであり、このサンプルが、絨毛膜絨毛の採取物、臍帯レベルの胎児血液の採取物、および母体血の採取物から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を行うための診断用、または遺伝子の位置決定用キットであって、以下の構成要素:
コーミング面、
検出すべき異常性に対応する、標識された、または標識されることを意図したプローブ、
DNAをコーミングさせる装置、
対照ゲノムおよび/または対応する対照プローブ(このゲノムは所望によりコーミングすべき表面に結合させる)、
実施された診断で得られる結果を判断するためのグリッドを提供するため、1以上の対照位置で前記のプロトコールを用いて得られた1以上の特異的な結果のうち少なくとも1つを含むキット。 - 少なくとも1つのプローブがDNAと相互作用可能な生成物である、請求項1記載の方法。
- 少なくとも1つのプローブがDNAと相互作用可能な治療上注目する生成物である、請求項1記載の方法。
- プローブのコーミングDNAとの反応が、1以上の分子、溶媒または他の関連パラメーターにより調整される、請求項1記載の方法。
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