JP4224808B2 - 生理活性物質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、医薬品、飲食品、化粧品および農業用薬品等に利用することのできる、新規な生理活性物質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パイナップルからの抽出物としては蛋白分解酵素であるブロメラインが抗炎症剤、壊死組織除去剤、消化酵素剤として医薬品に、あるいは血流改善などを期待してサプリメントとして広く利用されている(非特許文献1〜4)。
【0003】
【非特許文献1】
「日経ヘルス12月号(p92〜p95)」、(パイナップルに含まれる〜リスクもほとんどない)、〔online〕、〔平成15年2月5日検索〕、インターネット<URL:http://www.best.gr.jp/urine.html>
【非特許文献2】
「医薬品・医療用具等安全性情報」(9壊死組織除去剤〜処置を行うこと)、〔online〕、平成13年12月、厚生労働省医薬局、〔平成15年2月5日検索〕、インターネット<URL:http://www.mhlw.go.jp/houdou/0112/h1213−1.html>
【非特許文献3】
磯部浩昭、「5.消炎酵素成分」、(ブロメライン〜作用があるとされています)、〔online〕、〔平成15年2月5日検索〕、インターネット<URL:http://home.highway.ne.jp/geki/homepage/memo10.html>
【非特許文献4】
山田紀彦、「医者の使う主な「痔の薬坐剤」成分効能一覧」、(ヘモナーゼ錠〜食後3−4回)、〔online〕、〔平成15年2月5日検索〕、インターネット<URL:http://www.mediawars.ne.jp/ kik0488y/Doc.med.html>
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら医薬品やサプリメントの作用は蛋白分解酵素の直接的な作用であるとは考え難く、薬理作用の作用メカニズムを明確に説明することができなかった。
【0005】
そこで、この発明は、蛋白分解酵素を含まないパイナップル抽出物中の生理活性物質を特定し、障害やストレスを受けるなどして機能低下した細胞を速やかに賦活し、細胞本来の機能を速やかに正常に回復する作用を有し、医薬品、飲食品、化粧品、農薬として広く利用できる新規な生理活性物質を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、発明者等は前記課題を解決するために、ハブクラゲ毒素に対する抗溶血活性を指標としてパイナップル中の生理活性物質を探索した。
【0007】
その結果、この生理活性物質は、14種のアミノ酸から構成される分子量10000以下のペプチドであることを明らかにし、またその生理活性を確認してこの発明を完成した。
【0008】
すなわち、この発明の生理活性物質は、パイナップル茎部の搾汁液にエタノールを加え室温で放置して抗溶血物質を抽出し、この抽出液を濃縮した後、遠心分離により集めた上澄液のpHを2に調節し、これに酢酸エチルを加えて抽出し、次いで酢酸エチル層を回収して乾固し、乾固物を蒸留水に溶解し、展開溶媒をメタノール−水(1:1)としたクロマトグラフにより活性画分を集め、この活性画分を蒸留水に溶解し、展開溶媒をブタノール−酢酸−ジエチルエーテル−水(9:12:6:3)としてさらにクロマトグラフを行い活性画分を集め、この活性画分を蒸留水に溶解し、陰イオン交換カラムに吸着させ、食塩水による濃度勾配法により溶出して得られる生理活性物質であって、アスパラギン酸9 . 4重量%、グルタミン酸12 . 4重量%、セリン5 . 3重量%、グリシン11 . 1重量%、アルギニン3 . 5重量%、トレオニン2 . 6重量%、アラニン10 . 6重量%、プロリン5 . 0重量%、チロシン12 . 9重量%、バリン6 . 7重量%、イソロイシン3 . 4重量%、ロイシン7 . 5重量%、フェニルアラニン2 . 7重量%、リジン6 . 8重量%の14種のアミノ酸から構成され、紫外部吸収スペクトルの極大吸収が260nm〜280nm付近に示され、分子量10000以下のペプチドからなり、難発芽種子の発芽促進作用、細胞増殖の促進作用、ヒト赤血球変形能の改善作用、ヒト赤血球の浸透圧耐性の増強作用、ヒト白血球貧食能の促進作用、及び免疫機能の活性化促進作用を有することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の生理活性物質を詳細に説明する。
【0010】
先ず、この発明の生理活性物質を単離する方法及びその物性について説明する。
【0011】
この発明の生理活性物質は、パイナップル茎部より単離したが、その起源はパイナップルあるいは植物体の部位に限定するものではなく、また化学合成によってもたらされたものも含まれる。
【0012】
(単離方法)
粉末パイナップル茎部搾汁液200gに99%エタノール1l を加え、室温で24時間放置して抗溶血物質を抽出した。次に、本抽出液をロータリーエバポレーターにより50℃で200mlに濃縮した後、遠心分離(12,000回転、20分間) を行った。得られた上澄液に5N、HClを加えてpH2に調節した後、これに約2倍量の酢酸エチルを加えた。酢酸エチル層を回収し、ロータリーエバポレーターを用いて50℃で乾固するまで濃縮した。これに適当量の蒸留水を加えて抗溶血物質を可溶化し、カラムクロマトグラフィーに供した。
【0013】
羊の赤血球浮遊液は株式会社日本生物材料センターから購入し、使用する前に赤血球数が109 個になるように2%グルコースおよび3mMアデノシンを含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH7) で希釈した。この発明の生理活性物質はハブクラゲ(the Deadly Box Jellyfish, Habu Kurage) の毒素による赤血球の溶血を抑制することから、この抑制作用を指標として精製を行った。抗溶血活性の測定は下記の手順に従った。すなわち、反応混液の組成はPBS(+) 0.79mlに赤血球浮遊液0.1m1(109 個) 、10.5mg/ml ハブクラゲ毒素0.01ml、および抗溶血物質0.1mlを加えて総量を1.0mlとした。本反応混液を室温で10分間保持した後、遠心分離(3,000回転、5分間)を行い、遊離したヘモグロビンの色度を波長541nmにおいて島津分光光度計UV-1200 型を用いて測定した。抗溶血物質の1単位は、ハブクラゲ毒素による溶血を50%阻害する抗溶血物質量とした。また、ペプチド量はニンヒドリン法に従い、ロイシン量(mg/ml) として算出した。この発明の生理活性物質の比活性はアミノ酸量(mg)当りの抗溶血活性で算出した。
【0014】
最初に、抗溶血物質の水溶液を蒸留水で平衡化したSephadexG-25カラム(2×120cm) を用いるゲル濾過に供した。次に、活性画分を集めシリカゲル60プレートF254(メルク社)上にスポットし、メタノール−水(1:1)を展開溶媒とする薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。活性画分を掻き取り、蒸留水で煮沸により抽出した試料を上記と同様のシリカゲルにスポットし、ブタノール−酢酸−ジエチルエーテル−水(9:12:6:3)を展開溶媒に用いるTLCに供した。さらに、活性画分を掻き散り、上記と同様に抽出した抗溶血物質を陰イオン交換カラム(Mini Q PC32 2/3,0.24m1)に吸着させ、0から1Mの食塩水を用いて濃度勾配法により溶出した。さらに、活性画分をSephadexG-10(1×120cm)を用いて脱塩後、再度上記の陰イオンカラムを用いてカラムクロマグラフィーを行った。抗溶血物質の溶出は、0から0.15Mの食塩水を用いて濃度勾配法により行った。その結果、この発明の生理活性物質は0.05M付近のNaClを含むリン酸ナトリウム緩衝液でシングルピークとして溶出し均一に精製された。精製標品の紫外部吸収スペクトルは260nm〜280nm付近に極めて弱い極大吸収を示し、透析膜(分子量10000以下透過)を通過した。さらに、アミノ酸組成を調べるため、試料に1%フェノールを含む6N、HClを加え、150℃で60分間加水分解し、アミノ酸分析システム(Waters Pico-Tag )によりアミノ酸分析を行った。
【0015】
以上の結果、この発明の生理活性物質は、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、セリン(Ser)、グリシン(Gly)、アルギニン(Arg)、トレオニン(Thr)、アラニン(Ala)、プロリン(Pro)、チロシン(Tyr)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、フェニルアラニン(Phe)、リジン(Lys)の14種のアミノ酸からなり、表1に示すアミノ酸構成で、分子量が10000以下のペプチドからなることが明らかとなった。
【0016】
【表1】
次に、この発明の生理活性物質の性質について説明する。
【0017】
この発明の生理活性物質(以下、必要に応じAFPという)は、活性の高い細胞よりむしろ低い、あるいはストレスを受けている細胞により明確に作用する。すなわち、細胞の恒常性を維持するように作用する。図1は4℃で保存したヒト赤血球をグルコースを含むリン酸緩衝化生理食塩水に懸濁し、AFPとともに37℃でインキュベートすると赤血球中のATPレベルは対照よりも明らかに増加することを示す。一方、クエン酸で緩衝化したAlsver液中でインキュベートした場合には逆にATPレベルは低下した(図2)。このように環境により全く異なる結果が得られたので、さらに次のような検討を行なった。すなわち、生理的濃度のグルコース(100mg/dl)を含む50mMリン酸緩衝化生理食塩水中での赤血球によるグルコース消費と赤血球中の各種アデニレートの量を経時的に測定した。その結果、AFPを添加した系の赤血球のグルコース消費量は増大した(図3)にもかかわらず、この時のATPレベルは対照よりも低い値を示した(図4)。ところが、この場合のAEC(Adenylate Energy Charge )は対照よりも常に高く、インキュベート開始後約90分で生理的下限値といわれる0.85に達したのに対し、対照の場合は120分後でもAECは0.8に達していなかった(図5)。なお、グルコース消費量とAECとの相関係数は0.845(n=24、P<0.01)と高い相関をした。
【0018】
また、総アデニレートの変化を見てみると、対照の総アデニレート量は経時的に増加し、約30分でプラトーに達したのに対し、AFPの添加系ではインキュベート前の水準を維持するかやや低下する傾向が見られた(図6)。すなわち、AFPの添加系での高AECは総アデニレート量の制御によるものであると結論される。
【0019】
生体細胞の機能発現においては、ATPの絶対量よりもむしろAECの方が重要であるといわれている。すなわち、細胞中の代謝系はAEC=0.85を境としてATP利用系とATP合成系の優劣が制御されており。AECが0.85以上となるとATP利用系が優勢となり、それ以下ではATP合成系が優勢となるといわれている。ATP利用系が優勢となることは細胞が賦活されることを示すものであり、AFPの添加系では低ATPレベル状態にもかかわらず速やかなAECの上昇により、速やかにATP利用系が活性化され、細胞にとって不利な環境下でも細胞の賦活をもたらすことが明らかとなった。また、採血直後に前記の赤血球懸濁液を作成し、この赤血球中のAECを測定したところその値は0.822と生理的水準に近い値であった。この懸濁液19mlにAFP添加液1mlを添加し60分間37℃でインキュベートし、その1mlを孔径5μm のメンブランフィルターを装着したフィルターを通過させ、このときの通過液量を対照とAFP添加懸濁液で比較した。その結果を表2に示す。表2に示すようにAFP添加の影響は観察されなかった。後述する「(3)ヒト赤血球変形能の改善」の欄に示すように、4℃に保存した血液では赤血球の変形能は低下し、フィルターの目詰まりを生じるためにフィルター通過液量は著しく少ない。これは変形能が低下した赤血球には著しい改善効果を示すが、表2のように細胞が正常に働いている場合にはAFPはほとんど作用しないことを意味している。すなわち、この発明の生理活性物質は活性の低下した細胞にのみ作用を発現する物質である。したがって、この発明の生理活性物質の生体への適用範囲は極めて広範囲である。
【0020】
【表2】
【0021】
次に、この発明の生理活性物質の生理活性を説明する。
【0022】
(1)難発芽種子の発芽促進作用
アカシアの種子を発芽させる場合、通常90℃、5分間の温度処理を行う。5年間保存したアカシア種子50粒ずつに対して、温度処理の有無、AFPの添加(1ppm )の有無の各組み合わせで発芽実験を行った。その結果を表3に示す。温度処理を行わなかった場合は全く発芽しなかったが、温度処理を行った場合には8〜12%が発芽した。一方、AFPを添加した場合には、温度処理後の発芽率は60〜84%となり、明らかに発芽率は上昇していた。また、6年間保存したハツカダイコンについても、表4に示すように発芽は促進されていた。一般に植物の種子は採取後の保存期間とともに発芽率は低下するが、AFPは発芽率低下を抑制する作用を示す。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
(2)細胞増殖の促進
10%グルコースと0.1M 、リン酸一水素カリウムを含むpH4.5とした培養液にAFPを添加し、ビール酵母を20時間培養した後の菌体乾燥重量を調べた。その結果は表5に示すように、2ppm で対照の菌体増加量の約2倍の増加量を示し、200ppm で3倍以上の菌体増加量を示した。さらに、このような菌体の増加の要因を調べるための実験を行った。すなわち、個体の増殖は一般にロジスティック曲線にしたがうことが知られており、したがって、増殖過程の個体数を経時的に追跡し数理解析を行った。ロジスティック曲線は式1で表され、各パラメータのうちλが単位時間あたりの分裂回数を示す。実験には黄色ブドウ球菌を用いて解析を行った結果、表6に示すようにパラメータλはAFPの添加により有意に増大し、細胞分裂が促進されていることが示された。
【0026】
【式1】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
(3)ヒト赤血球変形能の改善
赤血球は平均直径7〜8μm の円盤状であるが、生体中では直径3μm の毛細血管をも通過している。しかし、変形能が低下してくるともはやこの様な狭い場所は通過することができずに溶血してしまう。変形能の低下は赤血球の老化、血液pHの変化、浸透圧の変化等によってもたらされる。そこで、変形能に及ぼす影響を調べるためポアサイズ8μm のメンブランフィルターを通過する赤血球懸濁液の量を測定した。これは赤血球の変形能が低下した場合にはフィルターが目詰まりを起こし、フィルターを通過する液量が減少することを利用したものである。すなわち、保存赤血球を生理食塩水で3回洗浄後、2%グルコース及び3mMアデノシンを含むリン酸緩衝化生理食塩水に再浮遊させる(赤血球濃度1×109 個/ml )。この浮遊液20mlにAFPの生理食塩水溶液(100μg/ml)1mlを混和して37℃でインキュベートを行い、この赤血球浮遊液1mlを注射筒で経時的に採取し、通過した浮遊液量を計測した。その結果を図7に示す。また、同様に処理して、AFPの添加直後、10分後及び30分後に採取した赤血球浮遊液1mlをポアサイズ5μm のメンブランフィルターを装着したフィルターホルダーに注入し、通過液を検鏡し、10×15(150倍)の視野中にみられる赤血球をカウントした。その結果を図8に示す。いずれの場合もAFPの添加によりメンブランフィルターを通過する赤血球数は有意に増加しており、変形能は対照よりも優れていた。
【0030】
(4)ヒト赤血球の浸透圧耐性の増強
保存赤血球を生理食塩水で3回洗浄後、2%グルコース及び3mMアデノシンを含むリン酸緩衝化生理食塩水に再浮遊させる(赤血球濃度1×109 個/ml)。37℃で1時間インキュベートした後、AFPの生理食塩水溶液を混和(100μg/ml)し、以後、経時的に1mlを採取する。採取液は直ちに55mM食塩水14m1と混和して赤血球を溶血させる。遠心沈殿後の上清の吸光度を波長541nmで測定して溶血率を求め、対照(生理食塩水のみを赤血球浮遊液に混和)の溶血率に対する阻害率を計算した。その結果を図9に示す。図に示すようにAFPとのインキュベート後、約20分で60%強の溶血阻害がみられ、低浸透圧に対する耐性が増強されていることが示された。
【0031】
(5)ヒト白血球貧食能の促進
ヒト白血球をラテックス粒子で刺激して、その貧食能をルミノールによる化学発光を利用して測定した。
【0032】
A)白血球懸濁液の調製
ヘパリン加静脈血10mlと滅菌した6%デキストラン生理食塩水溶液(デキストランは分子量180,000、ナカライテスク) を混和する。室温で2時間放置後、上層を採取し、500rpm 、5分間遠心分離を行う。沈澱物に4℃に冷却し滅菌した0.2%NaCl溶液を十分量加え、混入している赤血球を溶血させる。溶血させたならば直ちに等量の1.6%NaCl溶液(滅菌、4℃冷却)を加え、さらに500rpm 、5分間の遠心分離を行い沈澱物を得る。この沈澱物に卵丘細胞との共培養液(TCM199)を加えて懸濁し、滅菌ガーゼでろ過し、TCM199で濃度を調製した。
【0033】
B)ルミノール液
ルミノール(ナカライテスク)を終濃度0.2mMとなるようにTCM199に溶解した。
【0034】
C)ラテックス粒子
ラテックス粒子(Difco Bacto1atex 0.81) をTCM199で2倍に希釈し、その100μl を白血球刺激に用いた。
【0035】
D)貧食能の測定
TCM199の1mlに56.7ng、567ng、56.7μg のAFPを溶解し、それぞれを白血球懸濁液5mlと混和し、直ちに37℃に保温した。この混和液を経時的に300μl ずつ採取し、ルミノール溶液30μl を予め注入していたマイクロチューブと混和した。混和後直ちにラテックス粒子100μl と混和し蛍光検出器により蛍光強度を測定した。また、白血球懸濁液の保温開始後4時間後に再度17ngのAFPを追加混和し、その30分後の貧食能を測定した。ラテックス粒子との混和30秒後から2分間の発光量を測定しその積分値を求めた。AFPの代わりにTCM199のみを白血球懸濁液に混和したものを対照とし、対照から得られた積分値に対する割合を算出した。その結果を図10に示す。図に示すようにAFPの添加濃度が高いものでは貧食が抑制されていたが、56.7ng添加では30分後に対照の約150%、567ng添加では1時間後に80%の貧食能促進が観察された。これらの貧食能は経時的に低下してゆくが再度のAFPの添加により貧食能は再び促進された。
【0036】
(6)免疫機能の活性化作用
12週齢(若齢)及び12ヶ月齢(老齢)のマウス脾臓細胞を採取しAFPを添加し抗原とともに6日間培養し、培養上清液を採取して培養細胞の抗体産生量を対照と比較した。その結果を図11、図12に示す。若齢マウス、老齢マウスともにAFPによって抗体産生は促進されていた。また、その促進の程度は老齢マウスから得られた培養細胞において顕著であった。
【0037】
【発明の効果】
この発明の生理活性物質は、以上に述べたように構成されており、障害やストレスを受けるなどして機能低下した細胞を速やかに賦活し、細胞本来の機能を速やかに正常に回復する作用を有し、医薬品、飲食品、化粧品、農薬として広く利用できるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト赤血球をグルコースを含むリン酸緩衝化生理食塩水に懸濁し、この発明の生理活性物質とともにインキュベートした場合の、ヒト赤血球中のATPレベルの変化を示す図である。
【図2】 ヒト赤血球をグルコースを含むクエン酸緩衝化Alsver液中でこの発明の生理活性物質をインキュベートした場合の、ヒト赤血球中のATPレベルの変化を示す図である。
【図3】 グルコースを含むリン酸緩衝化生理食塩水中での赤血球によるグルコース消費量の経時的変化を示す図である。
【図4】グルコースを含むリン酸緩衝化生理食塩水中での赤血球中のATPレベルの経時的変化を示す図である。
【図5】 グルコースを含むリン酸緩衝化生理食塩水中での赤血球中のAECレベルの経時的変化を示す図である。
【図6】 グルコースを含むリン酸緩衝化生理食塩水中での赤血球中の総アデニル酸量の経時的変化を示す図である。
【図7】 この発明の生理活性物質によるヒト赤血球の変形能に及ぼす影響の経時的変化を示す図である。
【図8】 この発明の生理活性物質によるヒト赤血球の変形能を比較するためのフィルター通過赤血球数を示す図である。
【図9】 この発明の生理活性物質の低浸透圧溶血に対する抵抗作用の経時的変化を示す図である。
【図10】 この発明の生理活性物質のヒト白血球貧食能に及ぼす影響の経時的変化を示す図である。
【図11】 この発明の生理活性物質の添加による若齢マウスの抗体産生量を示す図である。
【図12】 この発明の生理活性物質の添加による老齢マウスの抗体産生量を示す図である。
Claims (1)
- パイナップル茎部の搾汁液にエタノールを加え室温で放置して抗溶血物質を抽出し、この抽出液を濃縮した後、遠心分離により集めた上澄液のpHを2に調節し、これに酢酸エチルを加えて抽出し、次いで酢酸エチル層を回収して乾固し、乾固物を蒸留水に溶解し、展開溶媒をメタノール−水(1:1)としたクロマトグラフにより活性画分を集め、この活性画分を蒸留水に溶解し、展開溶媒をブタノール−酢酸−ジエチルエーテル−水(9:12:6:3)としてさらにクロマトグラフを行い活性画分を集め、この活性画分を蒸留水に溶解し、陰イオン交換カラムに吸着させ、食塩水による濃度勾配法により溶出して得られる生理活性物質であって、
アスパラギン酸9 . 4重量%、グルタミン酸12 . 4重量%、セリン5 . 3重量%、グリシン11 . 1重量%、アルギニン3 . 5重量%、トレオニン2 . 6重量%、アラニン10 . 6重量%、プロリン5 . 0重量%、チロシン12 . 9重量%、バリン6 . 7重量%、イソロイシン3 . 4重量%、ロイシン7 . 5重量%、フェニルアラニン2 . 7重量%、リジン6 . 8重量%の14種のアミノ酸から構成され、
紫外部吸収スペクトルの極大吸収が260nm〜280nm付近に示され、分子量10000以下のペプチドからなり、
難発芽種子の発芽促進作用、細胞増殖の促進作用、ヒト赤血球変形能の改善作用、ヒト赤血球の浸透圧耐性の増強作用、ヒト白血球貧食能の促進作用、及び免疫機能の活性化促進作用を有することを特徴とする生理活性物質。
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