JP4223769B2 - 測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定装置に関し、特に磁気カー効果、ファラデー効果等の磁気光学効果を検出する測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性体の磁化状態を測定するために、光を磁性体に照射してその反射光の偏光状態や反射率が磁気カー効果により変化するのを検出する方法が広く利用されている。例えば、カー効果測定装置、カー効果磁区観察装置などと呼ばれる装置では、M−H特性の測定やカメラによる磁区観察が可能で、ランプ光源出力を偏光子に通した直線偏光光源やレーザ光源が使用される。また、微小領域の磁化状態を観察するマイクロカー測定装置、走査型カー効果顕微鏡などと呼ばれる装置があり、主にレーザ光源を使用し、対物レンズで集光して試料による反射光の偏光検出を行うことでレーザ集光位置の磁化測定を行うことができ、試料を走査しながら磁化測定を行うことで、磁化分布像を測定することができる。
【0003】
さらに、これらの装置にパルス光源を使用することで、高速に変化する磁化分布をストロボ式で画像観察を行ったり(例えば、M.H.Kryder and F.B.Humphrey," Dynamic Kerr Obsevations of High-Speed Flux Reversal and Relaxation Processes in Permalloy Thin Films", Journal of Applied Physics Volume40,Number6,p.2469-2474)、レーザ集光位置における高速磁化応答の時間分解測定を行う方法も使われている(例えば、M.R.Freeman and J.F.Smyth"Picosecond time-resolved magnetization dynamics of thin-film heads"J.Appl.Phys.79(8),15 April 1996)。
【0004】
また、磁気カー効果は、光磁気記録装置において磁性媒体の磁気記録データの読み出しにも利用されている。
磁気カー効果は、直線偏光の平行光入射に対して、磁性体の磁化方向と光の入射面との関係で、極カー効果、縦カー効果、横カー効果の3種に分類されている。
極カー効果は、磁性体の磁化方向が磁性体の表面に垂直な場合であり、P偏光又はS偏光の直線偏光を入射した場合に、磁化の大きさに応じて反射光偏光面の回転と楕円偏光化が起きる。
縦カー効果は、磁性体の磁化方向が磁性体の表面に平行でかつ光入射面内を向いている場合であり、P偏光又はS偏光の直線偏光を入射した場合に、磁化の大きさに応じて反射光偏光面の回転と楕円偏光化が起きる。
横カー効果は、磁性体の磁化方向が表面に平行でかつ光入射面に垂直な方向を向いている場合であり、P偏光の直線偏光を入射した場合に磁化の大きさに応じて反射率が変化し偏光の回転や楕円化は起きない現象で、S偏光の直線偏光を入射した場合は磁化の大きさに伴う変化は起きない。
【0005】
高い空間分解能を必要としない磁性膜の磁気的性質を測定するカー効果測定装置においては、レーザ光源からのコリメート光をそのまま集光せずにP偏光やS偏光状態で磁性膜に照射して反射光の偏光回転や楕円偏光化や光量の変化を観察すれば、これらの3種のカー効果を分離して測定することが可能である。
【0006】
一方、微小な領域の磁化状態を高い空間分解能で観察するマイクロカー測定装置では、ランプ光源やレーザ光源からの光を集光レンズで集光して磁性体に照射し、反射光を同じ集光レンズで集光して観察を行う。この場合、磁性体に照射される集光光には連続的に異なる方位角度をもつ入射面が含まれ、さらに、各入射面をもつ光に対して連続的に異なる入射角の光線成分を含んでいる。また、光源からの光が一定の偏光方位をもつ直線偏光であっても、集光光を各入射面に分けて考えると入射面の方位角に応じてP偏光成分とS偏光成分が異なる比率をとって存在している。従って、集光光束を異なる入射面に分けて考えると、垂直磁化成分に対しては定義から極カー効果のみが働くが、面内磁化成分に対してはその向きと光源の光の偏光方位との関係がどのようであっても縦カー効果と横カー効果の両方が混在する入射面があることになる。横カー効果はP偏光やS偏光に対して反射光の偏光回転を引き起こさないが、一般の方位をもつ偏光に対してはそのP偏光成分の反射率が変わることで、偏光方位の回転を引き起こす。従って、反射光の偏光回転を検出するような偏光検出系を用いたとしても、集光照射光学系を使用した場合には各入射面に対して横カー効果が一般には影響する。以上のように、対物レンズで光を集光して磁性体に照射する場合は、極カー、縦カー、横カー効果が複雑に混合することになり、垂直磁化成分と2つの直交する面内磁化成分のうちの1成分のみを完全に分離して測定するには特別な条件が必要になる。
【0007】
磁性体の表面に垂直な磁化成分を高い空間分解能で測定するためには、直線偏光を出力するレーザ光を対物レンズの瞳の光軸中心に対して偏らずに軸対称に入射して磁性体表面に集光照射し、その反射光を同じ対物レンズで軸対称性を保ちながら集光してその偏光状態の変化を光束全体で一様に検出する。この場合、面内磁化成分により生じる縦カー効果や横カー効果は、軸対称に集光された異なる入射面の光の全体としては打ち消しあい、極カー効果すなわち垂直磁化成分が残る。
【0008】
面内磁化成分を測定する場合には、対物レンズ瞳内への入射光位置を偏らせる方法、例えば、対物レンズ瞳内の片側半分に光を入射し、光入射角を磁性体表面の垂直方向に対して偏らせ、反射光を対物レンズ瞳の他の半分側から取り出して偏光状態を検出し、縦カー効果や横カー効果を利用して測定を行うのが一般的である(例えば、昭和58年度電子通信学会半導体・材料部門大会、p48、マイクロパーマロイパターンの磁化分布測定、野中、他。「特開平5-215828、磁区構造解析装置」。)。
【0009】
また、「特開平6-236586、光磁気記録媒体、これを用いた光磁気記録再生方法及び光磁気記録再生装置」において、偏光方位が異なる2種の光源を使用することで平面内の2つの方向の磁化記録情報を読み出す方法について述べられている。
【0010】
また、対物レンズへの光入射/反射光集光は極カー測定と同様にレーザ光を対物レンズの瞳の光軸中心に対して偏らせずに入射し、反射光の偏光状態の検出を2分割、又は4分割フォトディテクタを利用して、対物レンズによる集光入反射角の成分を分離して検出し、フォトディテクタ各分割部分の検出信号の加減算を電気的に行って、垂直磁化成分と面内磁化成分を分離して検出する方法も利用されている(例えば、The Fifth International Perpendicular Magnetic Recording Conference (PMRC 2000)「Real-time Observation of Sub-nanosecond Athermal Magnetic Switching in Perpendicular Multilayers」Ganping Ju,Rene他、日本応用磁気学会誌Vol.23,No12,1999,「記録および再生ヘッドの評価解析技術」大森広之)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
対物レンズ瞳内への光入射強度分布を中心から偏らせる方法、例えば、瞳の片側半分に入射して光入射角を磁性体表面の垂直方向に対して偏らせ、反射光を対物レンズ瞳の他の半分側から取り出して偏光状態を検出し、縦カー効果や横カー効果を利用して面内磁化成分の測定を行う方法では、垂直磁化成分による極カー効果も同時に検出されてしまうという欠点がある。また、光源からの光を効率よく使うためには、瞳の半径程度の直径をもつ光ビームを瞳の片側から入射するのが簡単であるが、その場合、対物レンズのもつ開口数NAのうち実際に使用される実効NAがかなり小さくなるため、空間分解能が劣化する。対物レンズの瞳径と同程度以上の径をもつ光源からの光ビームの片側を遮光して対物レンズに入射すれば、実効NAを先の方法より大分高くできるが、それでも空間分解能の劣化は生じ、光利用効率もかなり下がってしまうという問題がある。
【0012】
また、「特開平6-236586」において、偏光方位が異なる2種の光源を使用することで平面内の2つの方向の磁化記録情報を読み出す方法について述べられているが、その実現方法は、光源となるヘッドを2つ設けるか、2つの波長の異なる光源を用いており、2つの偏光を出力する光源は独立して置かれ、2つの偏光の光路を分けた後に2つの偏光の回転を2つの独立した偏光回転検出器で検出する構造となっている。この場合、2つの光源がインコヒーレントに独立して働くので、得られる光強度集光スポットは2つの光源各々で独立に形成される光強度集光スポットを重ねたものとなり、上記と同様に実効NAが下がり、集光性能が落ちる。また、垂直磁化成分の検出感度をゼロとするための実現方法が記述されていない。また、垂直磁化成分測定の実現方法も記述されておらず、垂直磁化成分を面内磁化成分から分離して測定する実現方法も記述されていない。また、独立な2つ光源と偏光検出器を使用しており、構造が複雑で調整も容易でない。
【0013】
また、2分割、又は4分割フォトディテクタを使用して垂直磁化成分と面内磁化成分を分離して検出する方法では、各分割フォトディテクタ素子に対してその出力電流信号を増幅するI/V変換アンプ等のアンプが必要になり、かつその各アンプ出力を加減算する必要があるが、その際、アンプノイズも加算されてS/Nが劣化する。例えば、同一のノイズ出力を持つアンプの2つの出力を加減算する場合、加減算回路(ここでは説明の便利のため加減算回路のゲインは1とする)の発生するノイズを無視してもI/V変換アンプ1つの場合に比べてノイズ電圧は√2倍となり、4つの出力を加減算すれば2倍となる。磁気カー効果は微弱であるため、回路ノイズやその他のノイズに埋もれた微小な信号を信号処理により抽出する必要があるが、このようにノイズが増大すればそれが直接測定精度を低下させてしまうという問題が生じる。
【0014】
また、2分割、又は4分割フォトディテクタへの光入射位置を光の分割検出比が所定の比率、通常各分割部分に丁度等分配されるように正確に合わせる必要があり、受光面積の小さな素子を使用するとこの調整が困難になる。また、分割フォトディテクタを2個使用して直交する2つの偏光成分を検出して両者の差を取る差動偏光検出光学系とすると、光量ノイズがキャンセルされて高いS/Nが得られやすくなるが、この場合には2つの分割ディテクタへの光入射位置を同時に調整しなければならず、さらに調整が困難になる。
【0015】
一方、大きな受光面積を持つフォトディテクタではディテクタの接合容量が大きくなり、ディテクタ自身高速応答が得られにくいうえに、大きな入力容量がついた状態で高速応答が得られるI/Vアンプの実現も困難なため、広帯域の受光検出系を形成できないという問題が生じる。また、高周波において精度よく動作する加減算回路の実現も困難である。
【0016】
また、2分割、又は4分割フォトディテクタを使用する方法では、磁性体の1点で反射された反射光束の中心を分割フォトディテクタの中心に合わせる必要がある。従って、点光源を使用する走査型のレーザ顕微鏡には分割フォトディテクタを使用する方法が適用できるが、光源からの光で試料のある範囲の領域を同時に照明し、反射光を結像レンズで集光してその像をCCDカメラで受光することにより、画像として面内磁化分布を観察することはできない。例えば、CCDカメラの各画素の隣同士を分割フォトディテクタとして扱ったとしても、磁性体上のすぐとなりで反射してこれらの画素の近傍に集光されてくる光が混入してしまう。従って、分割フォトディテクタを使用する方法では、たとえそれをアレイ状に作ったとしても画像を一括してカメラで観察する通常の顕微観察法には適用できない。また、接眼レンズを通した目視もできない。
【0017】
また、2分割、又は4分割フォトディテクタを使用する方法では、面内磁化成分を測定する直交する2つの軸は、フォトディテクタの分割方向で決まる方向に固定されてしまう。また、この軸を自由に回転できるようにするために、フォトディテクタの向きを回転可能にするためには複雑な機構が必要になる。
【0018】
本発明の目的は、簡単な構成で、面内磁化及び/又は磁界成分を垂直磁化及び/又は磁界成分から分離して測定することができる高空間分解能、高S/Nの測定装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、光源と、前記光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、前記被測定磁性体で反射した光束の偏光状態、又は光量の磁気光学効果による変化を検出するために、一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を光検出器で検出する偏光分離検出器とを有する磁化測定装置において、前記被測定磁性体からの反射光のみに作用し、かつ、その入射光束断面内の偏光分布への作用が光軸のまわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する180度回転非対称偏光素子を備えることで、前記被測定磁性体の面内磁化成分の測定を可能とした測定装置が提供される。集光手段の開口数(NA)を最大限に利用でき、光利用効率も高くできるため、高空間分解能で測定のS/Nを高くすることができる。
【0020】
さらに、前記180度回転非対称偏光素子を、その入射光束に対する作用が光軸を含むある面に対する鏡映対称性をもつ180度回転非対称鏡映対称偏光素子とすることで、前記被測定磁性体の3次元成分をもつ磁化ベクトルのうち、面内磁化ベクトルの1成分のみを他の直交する2成分から分離して測定を可能とした測定装置が提供される。光検出器を簡単な構成にすることが可能なため、測定のS/Nを高くすることが可能になる。
【0021】
さらに、本測定原理により光検出器として画像検出素子を使用することも可能となり、磁化ベクトルの3成分のうち面内磁化の1成分を分離して高空間分解能、高S/Nで観察が可能な磁化画像観察装置が提供される。
【0022】
さらに、前記180度回転非対称鏡映対称偏光素子の位置を移動させたり回転する手段を備えて光束が入射する位置や回転角を切り換えることにより、前記被測定磁性体の3次元磁化ベクトルの各成分を切り換えて分離測定することを可能とした測定装置が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態は、高い空間分解能で面内磁化成分を測定する方法に関するもので、特に、集光性能や空間分解能の劣化を抑えて測定する方法、垂直磁化および面内磁化2成分の測定を完全に分離して測定する方法、面内磁化成分と垂直磁化成分の測定を切り換えて測定する方法、構造が単純な方法、光軸調整が簡単な方法に関するものである。また、磁界測定にも適用できる。
【0024】
最初に、本発明の実施形態を説明するために必要なことがらについて述べる。磁気光学効果の測定において垂直磁化成分や面内磁化成分が検出されるかどうかを調べる場合、物理法則の空間回転対称性と、空間反転対称性、特に鏡映対称性を利用すると基本的な性質がわかる。空間反転対称性、鏡映対称性はそれから導出されるパリティ保存則として知られ、ベータ崩壊などの原因となる弱い相互作用においては成立しないことが知られているが、ここで扱うような電磁相互作用現象の範囲内ではパリティ保存則が成立する。物理法則に回転、鏡映対称性があれば、「ある現象がその物理法則のもとで許された場合、それを任意角度回転又は鏡映した現象も同じ物理法則のもとで許される」といえる。さらに、初期条件に対する物理方程式の解の一意性を仮定すれば、「回転又は鏡映対称な初期状態から出発した現象は、結果も回転又は鏡映対称な状態をとる」といえる。その際、磁化ベクトルや磁場ベクトルが電場ベクトルなどの通常の極性ベクトルではなく、軸性ベクトルとして振る舞うことに注意する。極性ベクトルは空間反転で符号が変わるが、軸性ベクトルは変えない。ある面(鏡映面と呼ぶ)に対する鏡映をとる場合は、極性ベクトルは鏡映により鏡に垂直な成分の符号が変わり、鏡映面に平行な成分は変わらないが、軸性ベクトルは鏡に垂直な成分の符号が変わらず、鏡に平行な成分は符号が変わる。
【0025】
ここで扱う磁気光学効果は磁化や磁界について線型な効果であり、任意の向きの磁化ベクトルに対する効果は、磁化ベクトルを任意の向きの成分に分けて考えることが許されるとする。磁気カー効果、ファラデー効果は磁化や磁界に線型な効果である。
【0026】
ここで使用する磁気光学効果の検出を行う偏光分離検出器は、入射光束の断面内で一様な特性をもち、その検出出力は1つの方向の偏光成分を分離してその光強度を出力するか、又は直交する2つの偏光成分の光強度やその差は一次結合を出力(この差を出力する場合を差動偏光検出(器)とよぶ)するものとする。従って、偏光分離検出器の検出出力特性は、入射光の光軸のまわりの180度の回転に対して不変である。
【0027】
また、偏光分離検出器の出力は任意の方向の磁化量の変化(正負を含む)に比例する変化量(比例係数ゼロも含む)を出力し、磁化の2乗以上の項はそれに比べて無視できるものとする(磁化に無関係な定数がのっていてもよい)。すなわち、Mx,My,Mzを磁化の3直交成分、A,B,C,Dを定数(ゼロを含む)として、次式で表される。
偏光分離検出器の出力=A+B×Mx+C×My+D×Mz
【0028】
測定対象の磁気光学効果は通常微小な効果であるから、特別な場合を除きこの性質をもつ。しかし、例えば、直線偏光光源の偏光方位と検光子の偏光方位を直交させるいわゆるクロスニコル配置の完全な状態では磁化に比例する項がゼロになり、磁化の二乗に比例する信号が得られるため、このような測定配置は避けるものとする。
【0029】
偏光分離検出器は、実際には被測定磁性体での反射光を検出する場合には反射光を光源の光路からビームスプリッタなどで分岐した位置に置く必要がある。しかし、ビームスプリッタとして透過と反射に対する偏光特性のないものを使用すれば、実質的には反射光をそのまま分岐せずに(分岐による光量の一定比率の損失は考慮する)光源と集光手段の光軸と同軸に配置された偏光分離検出器で受けるような仮想的な配置と同等と考えることができ、そうすると回転や鏡映操作を考えやすくなる。
【0030】
ビームスプリッター等で光束を折り曲げた場合、その前後での光束断面内に取るXY座標は、XY座標を回転せずに光束とともに光軸に直交しながら折り曲げることで一致するように取ることにする。光束断面内での方位角の基準はこのようにしてとったXY座標を基準にして取り、X軸の方位を0度とする。被測定磁性体の面内に取るXY座標や方位角基準も、それに垂直入射する光束断面に対して取ったXY座標や方位角基準と一致するようにする。
【0031】
また、簡単のため、被測定磁性体の磁化状態は、レーザの集光スポット内又は顕微鏡の解像限界内では一様であると考える。
なお、本明細書では半波長素子等の直線位相子の進相軸又は遅相軸を主軸と呼び、その方位を主軸方位と呼ぶことにした。なお、楕円の長軸、短軸に対しても主軸という用語を使用する。主軸方位の方位角は、±90度や0〜180度などの範囲で表現するように定める場合があるが、不便なためここではそのような範囲の制限は設けないことにする。すなわち、180度の整数倍の差をもつ方位角は等しい。また、ここで使う「光軸」という用語は、幾何光学で使う光軸の意味で、複屈折性結晶における光学軸又は光軸や、上記の進相軸、遅相軸とは異なる。
【0032】
通常、鏡映というと3次元空間内でのある平面に対する鏡映を指すが、ここでは、その意味の他に、2次元平面内でのその平面内の直線(鏡映線ともいう)に対する鏡映を「その鏡映線と平面に直交する線とを含む平面に対する3次元空間内の鏡映によって生じる2次元平面内での変換」を意味するものとして使用することにする。
鏡映対称線とは、この2次元の鏡映対称性をもつ場合の鏡映線を意味するものとする。
【0033】
さらに、本明細書では、以下のような表現や用語を以下の意味で使用する。
1つの入力光束に作用して1つの出力光束を生じる光学素子が、(光軸のまわりの)180度回転対称性や(光軸を含むある面に対する)鏡映対称性など、ある変換に対する対称性をもつ、あるいは不変であるとは、光学素子の所定の領域内に入力する光束断面内で任意の偏光状態分布と強度分布をもつ入力光束に対して、光学素子の出力光束の偏光状態分布と強度分布が、その光学素子にその変換を行っても変わらない性質をもつことをいうこととする。例えば、通常の顕微鏡対物レンズは構造が光軸のまわりで回転対称に作られているため、光軸のまわりの任意の角度の回転に対して不変である。
【0034】
この場合、特に入力光の偏光状態分布と強度分布がその変換に対して対称(不変)であれば、その光学素子の出力光の偏光状態分布と強度分布もその変換に対して対称(不変)である。
【0035】
入力光束の偏光状態分布になんらかの作用をする偏光光学素子が、上記のような対称性をもつ(もたない)場合、その入力光束への作用を「光束断面内の偏光分布への作用がその変換に対して対称性をもつ(もたない)ように作用する」ともいい、特に180度回転対称性を持つ(持たない)場合には「180度回転(非)対称偏光素子」ということとする。この「180度回転非対称偏光素子」がさらに鏡映対称性をもつ場合には、「180度回転非対称鏡映対称偏光素子」ということとする。例えば、入射光束に一様に働く半波長板等の直線位相子は直交する主軸間の発生位相差で特徴づけられるため、180度回転対称偏光素子である。
【0036】
偏光回転素子とは、任意の入力偏光状態に対して一定の角度の回転を引き起こして出力する素子をいい、半波長板のように入力偏光の方位によって出力偏光の回転角度が異なる素子とは区別する。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による測定装置の構成例を示す図である。直線偏光光源101はレーザ光源を用い、その出力光束は強度分布が円又は楕円形状でその楕円主軸の方位に偏光方位をもつものとする。まず、半波長板102及び112がない場合を説明する。光源101からの光はビームスプリッタ105を透過後に集光手段となる対物レンズ106で集光して被測定磁性体107に入射し、その反射光を対物レンズ106で集光してビームスプリッタ105で反射させて検出器に導く。
【0038】
上記の光学系は、光軸104を有する。又は、光源101からの光をビームスプリッタ105で反射させて被測定磁性体107に集光照射し、その反射光がビームスプリッタ105で透過した光を検出してもよい。光源101の出力光束のもつ鏡映対称性をビームスプリッタ105のもつ偏光特性が崩さないように、ビームスプリッタ105の反射方向を光源101のもつ鏡映対称面にそった方向か直交する方向に揃えるとよい。また、不要な偏光変化を避けるため、ビームスプリッタ105は無偏光、無位相差特性のものが望ましい。また、対物レンズ106は軸対称であり、その中心軸がこの光学系の光軸104となり、こらが入反射光束の光軸と一致している。
【0039】
被測定磁性体107での反射光109は「180度回転非対称偏光素子」111を通過した後、偏光ビームスプリッタ113で直交する2つの直線偏光に分離されてそれぞれ集光レンズ114,119で集光後、光検出器115,120で検出される。「180度回転非対称偏光素子」111は、例えば図2(B)のように、上半分に半波長板201、下半分にガラス板211を有する。図2(A)に示すように、半波長板201の主軸203の方位角は0度、すなわちX軸に一致し、偏光方位204の直線偏光が入射すると、偏光方位205の直線偏光を出力する。入射光の偏光方位204及び出射光の偏光方位205は、主軸203に対して対称である。一方、ガラス板211は、光をそのまま通過させる。偏光ビームスプリッタ113は、直交する2つのX軸及びY軸の直線偏光に分離する。上記の光学系は、光軸110を有する。
【0040】
必要なら偏光を回転調整するために半波長板102を光源101の出力、又は半波長板112を「180度回転非対称偏光素子」111の前後、又は対物レンズ106の手前などの光路中に挿入してもよいし、逆に省略してもよい。
【0041】
光検出器115,120には、例えば半導体光検出器(フォトダイオード)や光電子増倍管(フォトマル)が使用される。2つの光検出器115,120は、光量に応じて電流を出力する。その出力はI/Vアンプ116,121で電圧に変換される。差動アンプ117は、その2つの電圧の差動偏光検出信号118を制御部124に出力する。加算アンプ122は、その2つの電圧の和信号123を制御部124に出力する。
【0042】
差信号118は、被測定磁性体107の磁化に伴う磁気光学効果を検出した信号となる。和信号123は必ずしも必要ないが、反射光量信号となり、反射光量画像を測定することができる。
【0043】
制御部124の制御によりステージ108を移動させ、被測定磁性体107の位置を走査して上記の検出を行うことで、被測定磁性体107の磁化分布と反射分布が得られる。
【0044】
この「180度回転非対称偏光素子」111を光路中に挿入したために、光学系の偏光検出特性の180度回転に対する対称性が崩れ、面内磁化成分に対して感度を有するようにできる。また、レーザ光源101の出力光の中心軸を光学系の光軸104、すなわち対物レンズ106の中心軸に合わせて被測定磁性体107への集光照射と反射光の集光が行われるため高い集光性能が得られる。また、レーザ光の集光照射までの光路には「180度回転非対称偏光素子」111が作用しないため、偏光分布の乱れによって集光性能を落とすことがない。光の強度分布を光軸から偏らせるための部分的な遮光も行う必要がないため、光利用効率が高い。
【0045】
なお、光路中に光源101の偏光方位の切り換えや、途中の偏光方位の調整、偏光回転角基準を得るなどの目的で、光路中の任意の位置に半波長板や偏光回転素子やファラデー素子を挿入してもよい。
【0046】
この「180度回転非対称偏光素子」111としては、複屈折性素子や偏光回転素子を分割接合して無数の種類のものを作成することができるが、下記の分割半波長素子や分割偏光回転素子が典型的で単純なものである。
【0047】
[反射光に対する分割偏光操作(180度回転非対称)]
(構成1)光源101からの光束を集光手段106により集光して被測定磁性体107に照射し、その反射光の偏光状態や光量の磁気光学効果による変化を一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を検出する偏光分離検出器113〜117,119〜121によって検出することで被測定磁性体の磁化状態を測定する磁化測定装置であって、被測定磁性体で反射した光束のみに作用し、かつ、その光束断面内の偏光分布への作用が光軸まわりの180度回転に対して非対称性をもつ「180度回転非対称偏光素子」111を作用させることで、被測定磁性体107の面内磁化成分に対する感度をもたせる。
【0048】
光束断面内での強度分布と偏光状態の分布が光学系の光軸のまわりの180度回転対称性をもつ光源101からの光束を集光手段106により被測定磁性体107に垂直に集光照射し、反射光を集光手段で集光して偏光分離検出器で検出したとする。すなわち、まず「180度回転非対称偏光素子」111がない場合を考える。
【0049】
任意の向きの面内磁化成分を考える。磁性体107と測定装置を光軸のまわりで180度回転したものを考える。偏光分離検出器の出力値自体はスカラー量であり、回転しても変わらないが、被測定磁性体107の磁化は軸性ベクトル量であるから向きが反転する。一方、上に述べたことから、回転後の測定装置自体の特性は、回転前の測定装置と性質が等価である。仮定により、磁化の変化による偏光分離検出器出力の変化量は磁化の反転で符号が反転するので、それはゼロでなければならない。従って、面内磁化成分は検出されず、垂直磁化成分のみが検出されうる。
【0050】
任意の1点における偏光状態は電気ベクトルが回転して描く楕円の形状とその回転の向きで特徴づけられるから、一点の偏光状態自体はその点の回りの180度回転対称性をもつ。従って、通常使用される強度分布が円又は楕円形状の分布で、偏光状態の分布が一様な光源では、強度と偏光状態の分布はともに光束光軸の回りの180度回転対称性をもち、上のような測定条件では垂直磁化成分のみしか検出されない。
【0051】
そこで、偏光分離検出器のまえに、偏光特性が180度回転対称性をもたない180度回転非対称偏光素子111を挿入して測定系の180度回転対称性を崩し、面内磁化成分に対する感度をもたせた。
【0052】
このような光学素子としては、例えば、直線位相子を分割して作成することができる。直線位相子は直交する2種の主軸方位(遅相軸と進相軸方位)で光学異方性が特徴づけられ、素子の一点における特性はその回りでの180度回転対称性をもつ。従って、反射光束全体を一様な直線位相子に透過させても、180度回転対称性は失われない。しかし、直線位相子を光束の一部に作用させるようにしたり、複数の素子に分割して異なる主軸方位をもたせて接合したりすることで、180度回転対称性をもたない素子を作成することができる。
【0053】
本実施形態では、被測定磁性体107での反射光に対してのみ偏光への操作を行うことが特徴であり、集光レンズ106への入射光の偏光分布を乱して集光性能が劣化するのを防ぐことができる。例えば、光磁気記録装置では、集光スポットによる発熱で磁性体をキューリ温度以上に上昇させて記録を行うため、集光性能の劣化が直接記録密度の低下に直接つながってしまう。また、光学系に180度回転非対称性をもたせるための作用を光束内での部分的な遮光によってではなく、直線位相子などの偏光素子で行うことで、光量の損失がなく検出信号量の低下を防ぐことが可能になる。
【0054】
(第2の実施形態)
図2(A)及び(B)は、本発明の第2の実施形態による180度回転非対称偏光素子111(図1)の典型例である分割半波長素子の例を示す。図2(A)では、分割半波長素子を上半分の半円形状の分割半波長板201としている。光源101は直線偏光を出力し、光ビーム202の断面は円形状で光軸に軸対称な強度分布を持つとしたが、強度分布はXY軸方向に主軸をもつ楕円形状でもよい。カー効果を受けない状態での光ビームの偏光方位が分割半波長板201の主軸方位203にほぼ一致し、かつ光ビーム202のほぼ半分が分割半波長板201を通過するようにする。図では、分割半波長板201の主軸方位203を図のX軸を基準にして0度(0ラジアン)とし、カー効果を受けない状態(被測定磁性体107に磁化がない状態)での分割半波長板201への入射光ビームの偏光方位が0度になるようにした。カー回転角+δラジアンを受けて偏光方位角が+δラジアンとなった偏光方位204の光が入射した場合、半波長板201を通過した光の偏光方位205の角度は−δラジアンとなる。
【0055】
ここで、±45度の直交する偏光成分を分離して差動偏光検出を行うこととすると、カー回転が検出され、楕円偏光化と反射率の変化は検出されない。
【0056】
図2(B)は、分割半波長板201の下側に複屈折性をもたないほぼ同じ厚みのガラス板211などを接合したもので、ホルダーなどへの取り付けが容易となる。また、分割半波長板201の光透過率とほぼ同一の光透過率をもつ材料のガラス板211を使うと、複屈折以外の光学特性を上下で均質にでき、測定誤差を低減できる。
【0057】
[反射光に対する分割偏光操作(分割半波長板によるカー回転角反転)]
(構成2)図1の「180度回転非対称偏光素子」111は、半波長の位相差を発生する素子201を構成要素として含み、光束202の断面内で非一様に作用する分割半波長素子とする。
【0058】
ここで半波長素子201とは、光束の直交する偏光成分に半波長の奇数倍の位相差を発生させる作用をもつ素子を指し、複屈折をもつ水晶から作られた半波長板が一般的なものであるが、他の構造のものもある。
【0059】
光束断面内で非一様に半波長素子が作用するようにすることで、光学系の180度回転に対する対称性を崩すことができる。例えば、180度回転で移りあう領域の一方のみに半波長素子が作用するようにすればよい。
【0060】
以下、特にカー回転のみを考える。半波長素子201はその主軸方位角をθとし、入射光の偏光方位角(楕円偏光の場合は楕円主軸の方位角)をφとすると、その透過光の偏光方位角φ’は、φ’=θ+(θ−φ)=2θ−φとなる。今、入射偏光の方位角がカー回転δを受けてφ+δになったとすると、透過光の偏光はφ”=2θ−(φ+δ)=φ’−δとなる。特に、φ=θとするとφ’=φ、φ”=φ−δで、半波長素子の偏光回転作用はカー回転成分δの符号を反転させるだけの作用になる。
【0061】
光束断面内での強度分布と偏光状態分布が光学系の光軸のまわりの180度回転対称性をもつ光源からの光束を集光手段により被測定磁性体に垂直に集光照射し、反射光を集光手段で集光した光束の断面内における偏光状態分布を考える。
【0062】
垂直磁化成分による偏光状態と反射率の変化は、反射光束断面内の光軸まわりの180度回転で互いに移りあう点どうしで等しくなる。半波長素子201の作用を2つの領域の一方のみに作用し、かつその主軸方位角をカー効果の無いときのこの素子への入射偏光方位角に一致するようにすると、両領域において偏光分離検出器の垂直磁化成分によるカー回転に対する感度を打ち消すことができる。偏光分離検出器の前の反射光束が通る断面領域全体を2つ以上の領域に分割し、各領域において上記の関係がほぼ成立するように分割半波長素子を作成して偏光分離検出器の前に挿入すれば、面内磁化成分に対する感度を確保すると同時に、垂直磁化成分によるカー回転に対する感度を下げることができる。
【0063】
(構成3)分割半波長素子111は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その一方の領域に作用する光に対してのみ半波長の位相差を半波長板201により発生するように構成する。
【0064】
光束断面内での強度分布(の等強度線)が楕円形状でその楕円主軸方位に偏光方位をもつ直線偏光をもつ光源からの光束光軸を光学系の光軸に一致させて、集光手段により被測定磁性体に垂直に集光照射し、反射光を集光手段で集光した光束の断面内における偏光状態分布を考える。
【0065】
光軸と光源の偏光方位を含む境界面による鏡映を考える。この鏡映に対して、磁性体への入射偏光分布は対称である。鏡映面に垂直な面内磁化成分はこの鏡映で反転しない。従って、この磁化成分による反射光束断面内の偏光分布は鏡映対称になり、鏡映で移りあう点同士でカー回転の絶対値は同じで方向は反転し、反射率は等しい。
【0066】
一方、鏡映面にそった面内磁化成分と、磁性体表面に垂直な磁化成分は鏡映で反転することから、反射光束断面内の鏡映で移り合う点は、互いに磁化を反転後鏡映した状態に等しく、カー回転は同じで反射率の変化は逆符号になる。
【0067】
分割半波長素子の主軸方位に直線の境界線をもち、かつ、光源の偏光方位(又は、カー効果を受けないときの素子への入射偏光方位)に一致又は直交させたとすると、境界線で分けられた一方の側を通る光のみカー回転が反転される。
【0068】
偏光分離検出系の偏光分離方向を鏡映面に対して±45度の方向とし、両偏光成分の差動偏光検出を行えばカー回転が検出され、反射率の変化や楕円偏光化は検出されない。従って、反射光束全体での差動偏光検出器出力では、ここで考えた鏡映面に垂直な面内磁化成分のみが検出される。
【0069】
図2(A)において、Y軸方向の面内磁化成分によるカー効果の場合は、X軸を鏡映線とする鏡映に関して対称に生じるため、カー回転は互いに鏡映で移り合う点で逆向きになる。また、垂直磁化成分とX軸方向の面内磁化成分によるカー効果では、X軸の鏡映で移り合う点でカー回転は同じになる。従って、分割半波長板でその一方のカー回転角が反転されると、垂直磁化成分とX軸方向の面内磁化成分は検出がキャンセルされ、Y軸方向の面内磁化成分のみが検出される。
【0070】
(第3の実施形態)
図3(A)及び(B)は、本発明の第3の実施形態による180度回転非対称偏光素子111(図1)の典型例である分割偏光回転素子の例を示す。図3(A)の例は、分割偏光回転素子として半円形状の旋光子板で構成した分割旋光性素子301としている。旋光性素子301は、水晶などの旋光性結晶から作成できる。この半円形状の分割旋光性素子301は、透過光の偏光を+90度(π/2ラジアン)回転303する作用をもつ。光源101は直線偏光を出力し、光ビーム302の断面は円形状で光軸に軸対称な強度分布を持つとしたが、強度分布はXY軸方向に主軸をもつ楕円形状でもよい。光ビーム302の上半分がこの分割旋光性素子301を透過し、下半分はなにも作用されずに素通りしていく。カー回転を受けない状態での分割旋光素子301に入射する光の偏光方位角を0度(0ラジアン)とした。カー回転角+δラジアンを受けて偏光方位角が+δラジアンとなった偏光方位304の光が入射した場合、分割旋光性素子301を通過した光の偏光方位角305はπ/2+δラジアンとなる。分割旋光性素子301を透過した光と素通りした光の±45度の直交する偏光成分の差動偏光検出を差動アンプ117で行うと、分割旋光素子301を透過した光と素通りした光のカー回転は互いに逆符号で検出されることになる。従って、Y軸方向の面内磁化成分のみが検出される。
【0071】
図3(B)は、分割旋光性素子301の下側に旋光性をもたないほぼ同じ厚みのガラス板311などを接合したもので、図2(B)と同様の効果がある。
【0072】
なお、ファラデーガラスや磁性ガーネットなどに磁界を印加したファラデー回転素子でも光を片側からのみ通すかぎりは、旋光性素子と同じ働きをするため、上記と同様にして使用できる。
【0073】
[反射光に対する分割偏光操作(偏光回転子による検出感度反転)]
(構成4)図1の「180度回転非対称偏光素子」111は、偏光回転素子301を構成要素として含み、光束302の断面内で非一様な偏光回転作用をもつ分割偏光回転素子111を構成要素として含む。
【0074】
ここでいう偏光回転素子301とは任意の偏光状態を一定の角度回転する素子をいい、入射偏光方位によって偏光回転角のことなる半波長素子とは区別する。偏光回転素子301は、自然旋光性をもつ水晶などの物質から作ることができる。自然旋光性を利用して作成した偏光回転素子301を以下では旋光素子とよぶことにする。旋光素子では光を往復させると偏光回転が打ち消す。ファラデー効果を利用した偏光回転素子(ファラデー素子と呼ぶことにする)もあるが、旋光素子と異なり、光を往復させたときに偏光回転が2倍になる。しかし、光が片側からのみ透過するように使用する限りは、旋光素子と働きが同等とみなせる。
【0075】
光束断面内で非一様に偏光回転素子が作用するようにすることで、光学系の180度回転に対する対称性を崩すことができる。例えば、180度回転で移りあう領域の一方のみに偏光回転素子が作用するようにすればよい。
【0076】
以下、特にカー回転のみを考える。偏光回転素子は半波長素子とことなり偏光のカー回転を反転しない。しかし、カー効果がない状態での偏光方位(楕円偏光の場合はその楕円主軸の方位)が、偏光分離検出器の偏光分離方向に対して対称な角度に偏光回転素子で回転するようにしておくと、偏光分離検出器出力のカー回転に対する変化量の符号を反転することができる。従って、例えば、光軸のまわりの180度の回転で互いに移りあう領域の一方又は両方に偏光回転素子を作用させ、両領域のカー効果のないときの偏光方位が偏光分離検出器の偏光分離方向からの角度が互いに逆符号で絶対値が等しいようにすれば、両領域において偏光分離検出器の垂直磁化成分によるカー回転に対する感度を打ち消すことができる。偏光分離検出器の前の反射光束が通る断面領域全体を2つ以上の領域に分割し、各領域において上記の関係がほぼ成立するように分割偏光回転素子を作成して偏光分離検出器の前に挿入すれば、面内磁化成分に対する感度を確保すると同時に、垂直磁化成分によるカー回転に対する感度を下げることができる。
【0077】
(構成5)上記の分割偏光回転素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その一方の領域の偏光回転角と、もう一方の領域の偏光回転角が異なるように構成する。一方の偏光回転角がゼロでもよい。
【0078】
以下、特にカー回転のみの作用を考える。光束断面内での強度分布(の等強度線)が楕円形状でその楕円主軸方位に偏光方位をもつ直線偏光をもつ光源からの光束の中心軸を光学系の光軸に一致させて、集光手段により被測定磁性体に垂直に集光照射し、反射光を集光手段で集光した光束の偏光状態分布を考える。
【0079】
分割偏光回転素子の境界線の方向は光源の偏光方位(又は、カー効果を受けないときの素子への入射偏光方位)を一致させたとする。分割偏光回転素子の境界線と光軸を含む境界面による鏡映を考える。この鏡映に対して、磁性体への入射偏光分布は対称である。鏡映面に垂直な面内磁化成分はこの鏡映で反転しない。従って、この磁化成分による反射光の偏光分布は、鏡映対称になり、反射光束断面内の鏡映で移りあう点同士でカー回転の方向は反転し、反射率は等しい。
【0080】
従って、鏡映面で分かれる2つの側の反射光の偏光を、分割偏光回転素子で異なる角度回転し、偏光分離検出器の偏光分離方向を両回転の中央の角度に設定すると、鏡映で移りあう両側の微小領域における偏光回転による偏光分離検出器の出力特性を線型でかつ極性を反転することができるため、両側の互いに逆向きのカー回転による偏光分離検出器の出力がキャンセルせずに足し合わされる。
【0081】
一方、鏡映面にそった面内磁化成分と、磁性体表面に垂直な磁化成分は鏡映で反転することから、互いに磁化を反転後鏡映した状態に等しく、カー回転は同じで反射率の変化は逆符号になる。従って、鏡映で移りあう両側の微小領域におけるカー回転による偏光分離検出器の出力はキャンセルされる。
【0082】
従って、垂直磁化成分と鏡映面にそった磁化成分によるカー回転はキャンセルされ、鏡映面に垂直な面内磁化成分によるカー回転は検出される。
【0083】
(構成6)上記の分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角度の差の絶対値を10度以下とすることが好ましい。光源の出力光を直線偏光とし、カー効果のない状態で分割偏光回転素子と作用した光の異なる偏光方位の中間の方向又はそれに直交する方向に偏光分離検出器の偏光分離方向をそろえることで、いわゆるクロスニコル状態から少しずれた状態に相当する状態での検出が可能になる。これにより、カー回転による信号量に対する検出光量の比率を大幅に抑えることができる。従って、光電変換後の直流オフセット成分を減らすことができ、検出信号のコントラストを上げることができる。
【0084】
(構成7)上記の分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角度の差を90度とすることが好ましい。この場合、偏光分離検出器の偏光分離方向を適当にとって差動偏光検出を行うと、カー効果が無い状態での差動偏光検出器の出力をほぼゼロとすることができ、光量の変化が検出信号に現れるのを抑えることができる。従って、磁気光学効果による反射率の変化を除去してカー回転のみを検出でき、特に前記(構成5)で述べた条件において鏡映面に垂直な面内磁化成分のみを検出することも可能になる。また、光量ノイズが大きいような場合に、カー回転による信号成分の検出を高いS/Nで測定することができる。
【0085】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子111(図1)の典型例である分割半波長素子の例を示す。この例では、上半分の第1の分割半波長板401の主軸411の方位角をθ1= π/8ラジアン、下半分の第2の分割半波長板402の主軸421の方位角をθ2= −π/8ラジアンとした。光源からの出力光束は直線偏光であり、光学系の光軸のまわりの180度回転対称性と、光軸と偏光方位を含む面に対して鏡映対称性をもつ。その偏光方位をX軸とし、カー効果を受けない状態での分割波長板に入射する偏光方位角を0ラジアンとした。
【0086】
偏光分離検出器の偏光分離方向をXとY軸方向にしての差動偏光検出を行うとする。カー回転角+δラジアンを受けた偏光方位412をもつ光が第1及び第2の分割半波長板401,402に入射した場合を考えると、第1の分割半波長板401を透過した光の偏光方位角413はφ1’ =π/4−δラジアン、第2の分割半波長板402を透過した光の偏光方位角423はφ2’=−π/4−δラジアンとなる。第1及び第2の分割半波長板401,402を透過した光の偏光方位413,423に対して差動偏光検出を行うと、第1及び第2の分割半波長板401,402を透過した光の偏光方位413,423のカー回転は互いに逆符号の信号として検出されることになる。
【0087】
Y軸方向の面内磁化成分によるカー効果の場合は、X軸を鏡映線とする鏡映で対称に生じるため、カー回転は互いに鏡映で移り合う点で逆向きになるが、分割半波長素子が作用することで互いに逆符号で検出されるため、加算されて検出される。
【0088】
また、垂直磁化成分とX軸方向の面内磁化成分によるカー効果では、X軸の鏡映で移り合う微小領域でカー回転は同じになり、分割半波長素子の作用により互いに逆符号で検出されるため、打ち消される。従って、Y軸方向の面内磁化成分のみが検出される。
【0089】
以上の説明では、集光手段や被測定磁性体での金属的反射による偏光の変化を無視している。しかし、より厳密には、光源とこの分割半波長素子と偏光分離検出器と他の光学素子のもつX軸に対する鏡映対称性から、直接、Y軸方向の面内磁化成分以外は検出されないことがわかる。
【0090】
[反射光に対する分割偏光操作(180度非対称及び鏡映対称)]
(構成8)光源101からの光束を集光手段106により集光して被測定磁性体107に照射し、その反射光の偏光状態や光量の磁気光学効果による変化を一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を検出する偏光分離検出器113〜117,119〜121によって検出することで被測定磁性体の磁化状態を測定する磁化測定装置であって、被測定磁性体107で反射した光束のみに作用し、光束断面内の偏光分布への作用が、光学系の光軸まわりの180度回転に対する非対称性と、光軸を含むある平面に対する鏡映対称性をもつ「180度回転非対称鏡映対称偏光素子」111を備えることで、被測定磁性体107の面内磁化成分に対する感度をもたせる。多分割板の移動使用も含まれる。
【0091】
上記の180度回転非対称鏡映対称偏光素子111のもつ鏡映面に対する鏡映を考えると、鏡映面に垂直な面内磁化成分は、鏡映により向きを変えず、鏡映面に沿った面内磁化成分は、鏡映により向きが反転し、磁性体の垂直磁化成分は、鏡映により向きを反転する。
【0092】
今、光源の強度分布と偏光分布はこの鏡映に対して対称であるとする。偏光分離検出器として、上記の鏡映に対して偏光検出特性が対称性をもつものを使用することにより、鏡映面に沿った面内磁化成分と磁性体の垂直磁化成分に対する感度をゼロとすることができ、鏡映面に垂直な磁化成分のみを検出できる。
【0093】
また、偏光分離検出器として、上記の鏡映に対して偏光検出特性が反転するものを使用することにより、鏡映面に垂直な磁化成分に対する感度はゼロとし、鏡映面に沿った面内磁化成分と磁性体の垂直磁化成分のみを検出できる。
【0094】
この180度回転非対称鏡映対称偏光素子111は、光透過率や反射率の分布、又は部分的な遮光によるのではなく偏光特性を利用して非対称性を生じているため、光量の損失がほとんど無いようにでき、光利用効率が高く、検出感度を高くすることが可能になる。
【0095】
(構成9)上記の偏光分離検出器の偏光検出方位と上記鏡映面のなす角を90度の整数倍にして置くことが好ましい。偏光分離検出器の偏光検出方位角と鏡映面のなす角を90度の整数倍にして置いたとすると、偏光検出器の検出特性は鏡映に対する対称性をもつ。従って、この場合には、磁性体の垂直磁化成分と鏡映面に沿った面内磁化成分によるカー効果は検出されず、鏡映面に垂直な面内磁化成分によるカー効果のみが検出される。
【0096】
(構成10)上記の偏光分離検出器の偏光検出方位角と上記鏡映面のなす角を±45度の角度で置き、差動偏光検出器とすることが好ましい。偏光分離検出器の偏光検出方位角と鏡映面のなす角を±45度の角度で置いたとすると、鏡映変換に対して差動偏光検出器のカー効果の検出極性は反転する。従って、上記の構成9の場合とは逆に、磁性体の垂直磁化成分と鏡映面に沿った面内磁化成分によるカー効果が検出され、鏡映面に垂直な面内磁化成分によるカー効果は検出されない。
【0097】
[反射光に対する分割偏光操作(分割半波長板で検出極性を反転)]
(構成11)上記の「180度回転非対称鏡映対称偏光素子」111は、光束が作用する領域内で、2つ以上に分割された領域に対して2つ以上の異なる主軸方位角をもつ半波長の位相差を発生する素子を構成要素として含む分割半波長素子とする。
【0098】
平面領域を直交する2つの線を境界線として4つの領域に分ける。そのうち隣り合う2つの領域をそれらの領域に挟まれる第1の境界線に対して鏡映対称性を持たない配置で半波長板を敷きつめる。次に、他方の第2の境界線を鏡映線として鏡映対称な型で他の2つの領域を半波長板で敷きつめれば、第2の境界線に対して鏡映対称で、第1と第2の境界線の交差する点を中心とした180度の回転に対して非対称な光学素子を作成することができる。なぜなら、第2と第1の境界線に対する鏡映を繰り返すと、その交差点まわりの180度の回転操作になるからである。
【0099】
このようにして、半波長板からなる構成8の条件を満たす180度回転非対称鏡映対称偏光素子を作成でき、面内磁化成分の検出が可能になる。また、構成9及び構成10の方法で測定する磁化成分を選択できる。
【0100】
(構成12)上記構成11の分割半波長素子は、光束が作用する断面領域内で光軸を通る直線を境界線として分割され、その両領域の主軸方位は境界線に対して絶対値が同じで互いに符号の異なるゼロ度ではない所定の角度をなすように構成する。
【0101】
このような分割半波長板は、境界線に対して鏡映対称性をもち、180度回転に対して対称性をもたないため、構成8の180度回転非対称鏡映対称偏光素子となり、面内磁化成分の検出が可能になる。また、構成9及び構成10の方法で測定する磁化成分を選択できる。また、一つの半波長板を主軸方位に対して傾いた角度で切断し、一方を裏返して切断面同士を接合することで容易に製作が可能である。
【0102】
(構成13)上記構成11及び構成12の分割半波長素子は、光束が作用する断面領域内で分割された領域の主軸方位が、鏡映対称面と光束断面の交差する線、又は上記分割境界線となす角の絶対値が0度でなくかつ5度以下とする。
【0103】
光源の出力光を直線偏光とし、この偏光方位を分割半波長素子の鏡映対称線方向又はそれに直交する方向に合わせ、偏光分離検出器の偏光検出方位を光源の偏光方位(すなわち、カー効果と分割半波長素子がないときに偏光検出器に入射する光の偏光方位)に直交する方向に合わせると、カー回転による信号量に対する検出光量の比率を大幅に抑えることができる。従って、光電変換後の直流オフセット成分を減らすことができ、検出信号のコントラストを上げることができる。
【0104】
(構成14)上記構成11及び構成12の分割半波長素子は、光束が作用する断面領域内で分割された領域の主軸方位が、鏡映対称面と分割半波長素子に入射する光の光束断面との交差する線、又は上記分割境界線となす角を±22.5度とする。
【0105】
光源の出力光を直線偏光とし、光源の偏光方位(すなわち、カー効果がないときに分割半波長素子に入射する光の偏光方位)に分割半波長素子の主軸方位を合わせれば、透過光の異なる偏光方位間の角度差を概略90度とすることができる。差動偏光検出の偏光分離方向を分割半波長素子の鏡映対称線とそれに直交する方向に合わせることで、カー効果が無い状態での差動偏光検出信号をほぼゼロとすることができ、光量の変化が検出信号に現れるのを抑えることができる。従って、光量ノイズが大きいような場合に、カー効果による信号成分の検出を高いS/Nで測定することができる。
【0106】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子111(図1)の典型例である分割1/4半波長素子の例を示す。この例では、上半分の第1の分割1/4波長板501の主軸(遅相軸、又は進相軸のどちらか一方)511の方位角をθ1= π/4ラジアン、下半分の第2の分割1/4波長板502の主軸521の方位角をθ2= −π/4ラジアンとした。カー効果を受けない状態での分割1/4波長板501,502に入射する直線偏光の偏光方位角を0ラジアンとした。
【0107】
偏光分離検出器の偏光分離方向をXとY軸方向にしての差動偏光検出を行うとする。カー回転+δラジアンを受けた直線偏光が入射した場合を考えると、第1及び第2の分割1/4波長板501及び502を透過した光は±45度方向に楕円主軸方位をもった左及び右に回転する楕円偏光となり、カー回転に対する感度を生じない。
【0108】
カー効果による楕円偏光化のみを考えると、0度と90度方向に楕円主軸方位をもったある回転方向の楕円偏光となり、第1及び第2の分割1/4波長板501,502を透過した光の偏光513,523は楕円の縦横比が逆になる。また楕円偏光の楕円上を回転する電気ベクトルの回転方向(以下、楕円回転方向とよぶ)が逆になると、透過光の楕円の縦横比が逆になる。
【0109】
被測定磁性体の垂直磁化成分によるカー効果では、反射光束内での光軸まわりの180度回転で移り合う微小領域同士で同じカー楕円率と楕円回転方向を生じ、第1及び第2の分割1/4波長板501,502を透過した光は楕円の縦横比が逆になって差動偏光検出器出力では打ち消し合い、全光束断面でも打ち消す。
【0110】
Y軸方向の面内磁化成分によるカー効果の場合は、X軸を鏡映線とする鏡映で対称に生じるため、鏡映で互いに移り合う微小領域でカー楕円率は同じで楕円回転方向が逆向きになり、第1及び第2の分割1/4波長板501,502を透過すると楕円の縦横比が同じになるため、2つの微小領域のカー楕円偏光化は差動偏光検出器で加算されて検出され、全光束断面でも加算される。
【0111】
また、X軸方向の面内磁化成分によるカー効果では、鏡映で互いに移り合う微小領域でカー楕円率も楕円回転方向も同じになり、第1及び第2の分割1/4波長板501,502を透過すると楕円の縦横比が逆になって差動偏光検出器出力では打ち消し合い、全光束断面でも打ち消す。従って、Y軸方向の面内磁化成分のみが検出される。
【0112】
また、光源とこの分割1/4半波長素子と偏光分離検出器と他の光学素子のもつX軸に対する鏡映対称性からも、直接、Y軸方向の面内磁化成分以外は検出されないことがわかる。
【0113】
[反射光に対する分割偏光操作(分割1/4波長素子で検出極性を反転)]
(構成15)上記構成8の「180度回転非対称鏡映対称偏光素子」111は、光束が作用する領域内で、2つ以上に分割された領域に対して2つ以上の異なる主軸方位角をもつ1/4波長の位相差を発生する素子を構成要素として含む分割1/4半波長素子とする。
【0114】
平面領域を直交する2つの線を境界線として4つの領域に分ける。そのうち隣り合う2つの領域をそれらの領域で挟まれる第1の境界線に対して鏡映対称性を持たない配置で1/4波長素子を敷きつめる。次に、他方の第2の境界線を鏡映線として鏡映対称な型で他の2つの領域を敷きつめれば、第2の境界線に対して鏡映対称で、第1と第2の境界線の交差する点を中心とした180度の回転にたいして非対称な光学素子を作成することができる。このようにして、1/4波長板からなる構成8の条件を満たす180度回転非対称鏡映対称偏光素子を作成でき、面内磁化成分の検出が可能になる。また、構成9及び構成10の方法で測定する磁化成分を選択できる。
【0115】
(構成16)上記構成15の分割1/4半波長素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その両領域の1/4波長素子の主軸方位は境界線に対して絶対値が同じで互いに符号の異なるゼロ度ではない所定の角度をなすように構成する。
【0116】
このような分割1/4波長板は、境界線に対して鏡映対称性をもち、180度回転にたいして対称性をもたないため、構成8の180度回転非対称鏡映対称偏光素子となり、面内磁化成分の検出が可能になる。また、一つの1/4波長板を主軸方位に対して傾いた角度で切断し、一方を裏返して切断面同士を接合することで容易に製作が可能である。
【0117】
(構成17)上記構成15及び構成16の分割1/4半波長素子は、光束が作用する断面領域内で分割された領域の主軸方位が、鏡映対称面と光束断面の交差する線、又は上記境界線となす角を±45度とする。
【0118】
光源の出力光を直線偏光とすれば、カー効果のない状態で分割1/4波長素子に入射する偏光は概略直線偏光となり、この偏光方位に分割1/4半波長素子の鏡映対称面を合わせれば、両領域の透過光を概略円偏光とすることができる。従って、カー効果が無い状態での差動偏光検出信号をほぼゼロとすることができ、光量の変化が検出信号に現れるのを抑えることができる。従って、光量ノイズが大きいような場合に、カー効果による信号成分の検出を高いS/Nで測定することができる。
【0119】
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子111(図1)である分割偏光回転素子の例を示す。この例では、分割偏光回転素子として半円形状の2つの互いに回転角が逆向きの旋光子板601及び602で構成した分割旋光性素子を使用している。図の上側半円形状の第1の分割旋光性素子601は、透過光の偏光を+45度(π/4ラジアン)回転612する作用をもち、下側半円形状の第2の分割旋光性素子602は、透過光の偏光を−45度(−π/4ラジアン)回転622する作用をもつ。光ビーム603の上半分が第1の分割旋光性素子601を透過し、下半分は第2の分割旋光性素子602を透過していく。
【0120】
カー回転を受けない状態での分割旋光素子に入射する光の偏光方位角を0度(0ラジアン)とした。カー回転角+δラジアンを受けて偏光方位角がδラジアンとなった光の偏光方位611が第1及び第2の分割旋光性素子601,602に入射した場合、第1の分割旋光性素子601を通過した光の偏光方位613の角度はπ/4+δラジアンとなり、第2の分割旋光性素子602を通過した光の偏光方位623の角度は−π/4+δラジアンとなる。第1及び第2の分割旋光性素子601,602を透過した光の直交するX及びY偏光成分を検出すると、互いに逆符号でカー信号が検出されることになる。従って、上記図4の説明と同様に、Y軸方向の面内磁化成分のみが検出される。
【0121】
また、光源とこの分割偏光回転素子と偏光分離検出器と他の光学素子のもつX軸に対する鏡映対称性からも、直接、Y軸方向の面内磁化成分以外は検出されないことがわかる。
【0122】
[反射光に対する分割偏光操作(偏光回転素子で検出極性を反転)]
(構成18)上記構成8の「180度回転非対称鏡映対称偏光素子」111は、光束が作用する領域内で、偏光回転作用が非一様な分布をもつ分割偏光回転素子とする。
【0123】
平面領域を直交する2つの線を境界線として4つの領域に分ける。そのうち隣り合う2つの領域をそれらの領域で挟まれる第1の境界線に対して鏡映対称性を持たないように偏光回転素子を敷きつめる。次に、他方の第2の境界線を鏡映線として鏡映対称な型で他の2つの領域を偏光回転素子で敷きつめれば、第2の境界線に対して鏡映対称で、第1と第2の境界線の交差する点を中心とした180度の回転にたいして非対称な光学素子を作成することができる。このようにして、偏光回転素子からなる構成8の条件を満たす180度回転非対称鏡映対称偏光素子を作成でき、面内磁化成分の検出が可能になる。また、構成9及び構成10の方法で測定する磁化成分を選択できる。
【0124】
(構成19)上記構成18の分割偏光回転素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その一方の偏光回転角が他方の偏光回転角と絶対値が同じで符号の異なるゼロではない値となるように構成する。
【0125】
まず、このような分割偏光回転素子の偏光特性は分割境界線に対して鏡映対称性をもち、180度回転にたいして対称性をもたないため、構成8の180度回転非対称鏡映対称偏光素子となり、面内磁化成分を検出できる。また、構成9及び構成10の方法で測定する磁化成分を選択できる。
【0126】
(構成20)上記構成18の分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角の角度差の絶対値を10度以下とする。
光源の出力光を直線偏光とし、この偏光方位を鏡映対称線方向又はそれに直交する方向に合わせ、偏光分離検出器の偏光検出方位を光源の偏光方位(すなわち、カー効果と分割半波長素子がないときに偏光検出器に入射する光の偏光方位)に直交する方向に合わせると、カー回転による信号量に対する検出光量の比率を大幅に抑えることができる。従って、光電変換後の直流オフセット成分を減らすことができ、検出信号のコントラストを上げることができる。分割偏光回転素子が鏡映対称性を持たない場合でも、光源の偏光方位と偏光検出器の偏光検出方向をほぼ一致させると、上記と同様の効果が得られる。
【0127】
(構成21)上記構成18の分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角の角度差を±90度とする。
光源の出力光を直線偏光とすれば、分割偏光回転素子の透過光の異なる偏光方位間の偏光回転角度差をカー効果の無い状態において±90度とすることができる。差動偏光検出の偏光分離方向をこれらと±45度をなすように合わせることで、カー効果が無い状態での差動偏光検出信号をほぼゼロとすることができ、光量の変化が検出信号に現れるのを抑えることができる。従って、光量ノイズが大きいような場合に、カー効果による信号成分の検出を高いS/Nで測定することができる。
【0128】
(第7の実施形態)
図7は、本発明の第7の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子である分割半波長素子719を使用したサンプリング式走査型カー顕微鏡の例を示す。この装置は、主に磁気記録装置に使用される磁気記録ヘッド710のライト磁極の高速磁化応答を測定する目的のものである。磁気ヘッド710はパターンジェネレータ706からのパターン信号708に従って、ヘッドドライバ709により電流駆動される。一方、パターンジェネレータ706からはパターン信号に同期したトリガ信号707が遅延回路705に入力される。遅延回路705はCPU701からの制御信号704に従って任意の(可変の)遅延時間がかかったトリガ711及び730をレーザドライバ712及びA/D変換器731に入力する。レーザドライバ712は入力トリガ711によりドライブパルス713を発生し、半導体レーザ714をパルス駆動する。半導体レーザ714はこのパルス駆動により光パルス715を発生する。ここでは、波長400nmの半導体レーザ714を使用し、半値全幅30psのレーザパルス715を発生する。
【0129】
図では省略したコリメート光学系でコリメートされたレーザパルス715はビームスプリッタ716とファラデーセル717を通ってから集光手段である対物レンズ718に入射される。対物レンズ718は図では省略したレボルバで切り換え可能であり、高い空間分解能を得ようとする場合は、図のようなソリッドイマージョンレンズ(SIL)の付いた対物レンズ(NA:2.0)718を使用する。磁気ヘッド710の磁極に集光されて反射したレーザパルスは、再び対物レンズ718で集光されてコリメート光となり、ファラデーセル717を通過後、ビームスプリッタ716で反射して分割半波長素子719を通る。その後、偏光ビームスプリッタ(PBS)721で直交する2つの偏光成分に分離され、その一方はプリズムミラー724で反射され、レンズ722及び725で集光してそれぞれ光検出器723及び726に入射する。光検出器723,726としてはアバランシェフォトダイオード(APD)を使用した。APDの各出力電流は、図では省略したI/V変換アンプで電圧値に変換された後、アンプ727に入力して差信号728と和信号729が演算増幅されて出力される。
【0130】
差信号728と和信号729は、2チャンネルのA/D変換器731において、遅延回路705からのトリガ信号730に適当な遅延をかけたタイミングでA/D変換され、その変換データ732がCPU701に渡される。これにより、磁気ヘッド710の磁極上のレーザパルス集光スポット位置における任意のタイミングにおける磁化状態が、30psの時間分解能で測定できる。遅延回路705で発生する遅延時間をCPU701から制御してずらしながら測定を繰り返すことで、磁化の時間変化波形を測定することができる。また、CPU701からの制御信号720により、磁気ヘッド710が固定されているピエゾステージ703を走査しながら測定を繰り返すことで、任意のタイミングにおける磁化分布や、磁化分布の時間変化も測定できる。
【0131】
ここで、ファラデーセル717は、ファラデー効果をもつ物質に電流コイルを巻いて磁界を印加できるようにしたもので、コイル電流とファラデー効果による偏光回転角度の関係をあらかじめ測定してある。コイル電流はCPU701から制御でき、垂直磁化測定モードにおいて、コイル電流とA/D変換データ732の関係を測定することができる。これにより、A/D変換データ732を偏光回転角度に換算することができる。この垂直磁化測定モードで測定した関係を面内磁化測定モードにおいても使用することで、面内磁化測定でも偏光回転角度に換算することができる。これは、後に説明する(構成60)の例である。
【0132】
分割半波長素子719はステージ720に固定され、その移動により垂直磁化測定モード、面内磁化Y成分測定モード、面内磁化X成分測定モードの間で切り換えられる。
【0133】
図8(A)及び(B)は、この装置に取り付けた分割半波長素子719の第1の構成例である2分割半波長板を示す。図8(A)において、1つの円形の半波長板をその主軸方位に22.5度傾いた直線で半分に切断し、一方を裏返して切断面同士を接合して作成した。半波長板801の主軸803は+22.5度であり、半波長板802の主軸804は−22.5度である。接合線である境界線の中央位置にレーザビーム805が透過するように、この2分割半波長板の位置をステージで調整することで、面内磁化Y成分測定モードにできる。また、レーザビーム806がこの境界線を通らない上下の位置になるようにずらすことで、垂直磁化成分測定モードにできる。また、図8(B)のように、2分割半波長板を90度回転して、境界線の中央位置にレーザビーム805が透過するように、この2分割半波長板の位置をステージで調整することで、面内磁化X成分測定モードにできる。この際、半波長板801の主軸803は+22.5+90度であり、半波長板802の主軸804は−22.5+90度である。
【0134】
図9は、この2分割半波長板をステージに固定したようすを示す。分割半波長板911は回転ステージ903に固定され、回転可能になっている。さらにそれがY軸ステージ902とX軸ステージ901に固定され、左右及び上下方向に移動可能になっている。分割半波長板911の境界線912を水平方向に合わせると、図8(A)に対応し、面内Y成分測定モードになる。分割半波長板911を回転させ、境界線913を垂直方向に合わせると、図8(B)に対応し、面内X成分測定モードになる。また、分割半波長板914を下方向に移動させると、垂直磁化成分測定モードになる。
【0135】
次に、この2分割半波長板を取り付けた状態で、パーマロイ膜の磁区観察を行った結果を説明する。背景ノイズを除去して明瞭な磁化分布を観察するために、パーマロイ膜の近くに備えた電磁石に流す電流をオン/オフして、パーマロイ膜への印加磁界をおおよそゼロにした状態と、パーマロイ膜の面内方向に磁界を印加してパーマロイ膜の磁化を横方向に揃えた状態との差を測定した。面内磁化X成分測定モードと面内磁化Y成分測定モードで測定されたカー信号分布を得た。この画像から磁化方向を推測した。このカー測定後、パーマロイ膜への印加磁界をほぼゼロにした状態で、磁性微粒子を含んだ液体を塗布して磁壁を観察する方法であるビッター法でみた磁壁パターンも得た。カー測定でえられた磁区構造とよく似た磁区構造が観察された。細部が異なるのは、ヒステリシスのためやむをえない。このようにして、本実施形態の方法で面内磁化X,Y成分の測定が分離して行えていることを確認できた。
【0136】
図10(A)は、この装置に取り付けた分割半波長素子の第2の構成例である4分割半波長板を示す。これは特に、後に説明する(構成37)の例である。半波長板1001の主軸1011は−22.5度、半波長板1002の主軸1012は+22.5度、半波長板1003の主軸1013は+22.5度、半波長板1004の主軸1014は−22.5度である。±22.5度の主軸方位角をもつ半波長板が、互いに直交する第1の境界線1031及び第2の境界線1032により分離されている。この2つの境界線1031,1032は図に示したような1つの直線1033と交差している。図10(B)に示すように、この4分割半波長板1052を移動可能なモータステージ1051を設け、この直線1033にそった方向にこの4分割半波長板を移動可能にする。このステージの移動のみで光束がこの光学素子を透過する位置を第1の境界線1031上と第2の境界線1032上、および境界線のない領域との間で切り換えることが可能になっている。これにより、単軸のモータステージ1051のみにより、4分割半波長板を通過する光束1021,1022,1023,1024の位置を切り換えることが可能になっている。光束1021の位置は垂直磁化成分測定モード、光束1022の位置は面内磁化Y成分測定モード、光束1023の位置は光束1021とは検出極性が反転する垂直磁化成分測定モード、光束1024の位置は面内磁化X成分測定モードとなる。
【0137】
図11(A)〜(D)は、上記のモータステージ1051に固定した4分割半波長板1052を使用して、磁気ヘッドの磁化分布と磁化の時間応答波形を測定した例を示す。高屈折率のソリッドイマージョンレンズ(SIL)の付いた対物レンズを使用し、開口数NAを2.0としている。図11(A)は磁気ヘッドの垂直磁化成分の分布を測定した結果の概略図である。また、この図上の1104の線に沿って垂直磁化成分1141zと面内磁化Y成分1141yを測定した分布図を図11(D)に示す。ライトギャップ1103を挟んで位置する上部磁極1101と下部磁極1102でライトギャップ1103よりに強く集中した逆符号の磁化分布が観察され、これは垂直磁化成分として期待されるとおりの結果となった。また、面内磁化Y成分(紙面横方向)の分布を観察した結果、垂直磁化成分と異なり、ライトギャップ1103を挟んで上部磁極1101と下部磁極1102で同符号の磁化分布が観察され、これも面内磁化Y成分の分布として期待される結果であった。これから、本装置で確かに垂直磁化成分と面内磁化成分を分離して測定できていることが確認できた。垂直磁化測定だけでなく、面内磁化測定においても高い空間分解能が得られ、S/Nも高い画像が得られた。
【0138】
図11(B)は、磁気ヘッド上の位置1111、1112及び1113での垂直磁化(Z)成分の時間応答波形を測定した結果を示す。横軸は時間、縦軸はカー回転を示す。波形1121、1122及び1123は、それぞれ磁気ヘッドの位置1111、1112及び1113の垂直磁化成分の波形を示す。
【0139】
図11(C)は磁気ヘッド上の位置1111、1112及び1113での面内磁化X,Y成分の磁化の時間応答波形を測定した結果を示す。横軸は時間、縦軸はカー回転を示す。波形1131y、1132y及び1133yは、それぞれ磁気ヘッドの位置1111、1112及び1113の面内磁化Y成分の波形を示す。波形1133xは、磁気ヘッドの位置1113の面内磁化X成分の波形を示す。
【0140】
各成分で異なる時間応答が測定された。以上のように、SILを使用しても、垂直磁化成分、面内磁化XY成分が分離して測定できることが確認できる。本実施形態の測定原理は基本的に物理法則の対称性を基礎とする方法であるため、フォトントンネリング現象、あるいはエバネッセント光と磁性体との間の磁気光学相互作用という複雑な現象が働くSILを使用しても有効に機能する。
【0141】
(第8の実施形態)
図12は、本発明の第8の実施形態による測定装置を示す。図1の「180度回転非対称偏光素子」111が無い代わりに、光源として「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」1201を備えている。ビームスプリッタ105のもつ偏光特性が鏡映対称性を崩さないように、ビームスプリッタ105の反射方向を光源1201のもつ鏡映対称面にそった方向か直交する方向に揃えるとよい。さらに、ビームスプリッタ105として無偏光無位相差特性のものを使用するとよい。また、光源1201からの光をビームスプリッタ105で反射させ、被測定磁性体107で反射してきた光をビームスプリッタ105で透過させるような配置にしてもよい。この光学系が実質的にもつ光軸のまわりの180度回転非対称性と鏡映対称性により、鏡映面に垂直な方向の面内磁化成分を測定することができる。
【0142】
なお、「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」は、直線偏光光源1202と、分割偏光素子(分割半波長素子又は分割偏光回転素子)1203とから構成されていてもよい。また、光路中の適当な位置に半波長板を挿入してもよい。
【0143】
(第9の実施形態)
図13は、本発明の第9の実施形態による分割半波長素子1203(図12)の例を示す。上半分の第1の分割半波長板1301の主軸(遅相軸、又は進相軸)1311の方位角をπ/8ラジアン、下半分の第2の分割半波長板1302の主軸1321の方位角を−π/8ラジアンとした。光源1202は直線偏光を出力し、その偏光方位1312は0度とした。第1及び第2の分割半波長板1301,1302に偏光方位1312の光が入射すると、第1の分割半波長板1301を透過した光の偏光方位1313の角度はπ/4ラジアン、第2の分割半波長板1302を透過した光の偏光方位1323の角度は−π/4ラジアンとなる。その後、被測定磁性体107でカー回転角δを受けると、第1の分割半波長板1301を透過した光の偏光方位1314の角度はπ/4+δラジアン、第2の分割半波長板1302を透過した光の偏光方位1324の角度は−π/4+δラジアンとなる。直交するX及びY偏光成分を検出すると、第1及び第2の分割半波長板1301,1302を透過した光は互いに逆符号でカー回転が検出されることになる。従って、上記第4の実施形態の説明と同様に、Y軸方向の面内磁化成分のみが検出される。
【0144】
また、光源とこの分割半波長素子と偏光分離検出器と他の光学素子のもつX軸に対する鏡映対称性からも、直接、Y軸方向の面内磁化成分以外は検出されないことがわかる。
【0145】
[光源に対する分割偏光操作(によりカー回転検出極性を反転)]
(構成22)光源として、その出力光束が、光軸に直交する光束断面内での強度分布は光軸回りの180度回転対称性をもつが偏光状態分布は同180度回転対称性をもたず、かつ、光軸を含むある面を境界面とした鏡映に対して光束断面内の強度分布と偏光状態分布がともに対称であるような「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」1201を使用する。上記光源光出力から偏光分離検出器の直前までの光路にあって光束に作用する光学素子は、光束への光強度分布と偏光分布に対する作用が光軸回りの180度回転と上記鏡映面に対する鏡映に対して対称性をもつ。偏光分離検出器の1つ又は互いに直交する2つの偏光分離検出方位と上記鏡映面、又は、被測定磁性体による磁気光学作用のないときに入射する光束の鏡映対称面とのなす角を90度の整数倍(0倍ももちろん含む)にしておくことで、被測定磁性体の面内磁化の1成分のみの分離測定を可能にする。
【0146】
光源の強度分布が光学系の光軸に対して軸対称又は180度回転対称で、反射光の偏光検出を光束の断面内で一様に行ったとしても、入射光束の偏光状態の分布を180度の回転に対して非対称にすることで、面内磁化成分を検出しうる。
【0147】
そこで、光源出力光を光学系の光軸のまわりの180度の回転に対して光束断面内の強度分布は対称、偏光状態の分布は非対称とし、かつ、光軸を含むある面に対する鏡映に対して、光源出力光の光束断面内の強度分布と偏光分布を対称とし、かつ、光源光出力から偏光分離検出器の直前までの光路にあって光束に作用する光学素子は、光束への光強度分布と偏光分布に対する作用が光軸回りの180度回転と上記鏡映面に対する鏡映に対して対称であり、かつ、偏光分離検出器の1つ又は互いに直交する2つの偏光分離検出方位と上記鏡映面、又は、被測定磁性体による磁気光学作用のないときに入射する光束の鏡映対称面とのなす角を90度の整数倍にして置く。すると、この偏光分離検出器の特性もこの鏡映に対して対称になる。従って、測定装置の特性はこの鏡映で実際上対称(不変)である。
【0148】
一方、垂直磁化成分と鏡映面に沿った面内磁化成分は、この鏡映により反転し、鏡映面に垂直な面内磁化成分のみがこの鏡映に対して対称である。従って、この場合、垂直磁化成分と鏡映面に沿った面内磁化成分に対する感度はゼロになり、この鏡映面に垂直な磁化成分のみを選択して測定できる。
【0149】
この方法では、対物レンズ入射瞳全体に光を照射できるため、光利用効率が高く、空間分解能の劣化も少なく抑えたまま、面内磁化の一成分のみの測定を行うことができる。また、通常の垂直磁化成分測定系で使用される単純な偏光分離検出系、受光素子、光電変換回路、演算増幅回路がそのまま使える。また、垂直磁化成分を測定する磁気光学測定顕微鏡装置で光源を変更するだけで本実施形態を適用できるため、垂直磁化成分の測定と面内磁化成分の測定を切り換えることが容易に可能となり便利である。
【0150】
(構成23)上記構成22の「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」1201の光出力の光束断面内での偏光分布は、光軸に直交して光軸を通る直線を境界線として偏光状態が異なり、それぞれの領域では直線偏光であり、それらの偏光方位角が上記境界線となす角度はゼロではなく、絶対値が等しく逆符号であるように構成する。
【0151】
このような偏光分布は、上記構成22の条件を満たしている。また、偏光分布が単純であるため、このような光源の実現が容易である。さらに、反射光の偏光成分を分離して検出する際に、各領域内において光量むらを小さく抑えることができ、かつカー効果の検出感度も比較的一様にできるため、検出特性を良好にすることができる。
【0152】
(構成24)上記構成23の「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」の異なる偏光方位間の角度差の絶対値を10度以下とする。このように偏光方位の角度差を小さくすると、鏡映境界線又はそれに直交する線に偏光分離検出器の偏光検出方向を揃えることで、光源の偏光方位と検光子の偏光方位を直交させるいわゆるクロスニコル状態から僅かにずれた状態にでき、カー回転による信号量をそれほど減らさずに検出光量を抑えることができる。従って、光電変換後の直流オフセット成分を減らすことができ、検出信号のコントラストを上げることができる。
【0153】
(構成25)上記構成23の「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」の異なる偏光方位間の角度差を±90度とする。偏光分離検出器は2つの直交する偏光成分に分離し、両偏光成分の光量の差を検出する差動偏光検出器を使用することで、カー効果が無い状態での差動偏光検出信号を丁度ゼロとすることができ、光量の変化が検出信号に現れるのを抑えることができる。従って、光量ノイズが大きいような場合に、カー回転による信号成分の検出を高いS/Nで測定することができる。
【0154】
(構成26)上記構成22〜25の「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」1201は、自然偏光光源又は部分偏光光源又は直線偏光光源1202と、一方の偏光成分を取り出す偏光子から構成される、光源の出力光束断面内で非一様な作用をする分割偏光子1203とから構成する。
【0155】
強度分布と偏光分布が光軸のまわりで180度回転対称かつ光軸を含むある面で鏡映対称な光束を出力する光源に、直線の境界線で2つに分割され、その偏光透過軸が境界線に対して±θ度傾いた構成の分割偏光子をその境界線を光源の鏡映対称面に一致させて作用させることで、上記構成23〜25の光源を構成することができる。
【0156】
また、平面領域を直交する2つの線を境界線として4つの領域に分け、そのうち隣り合う2つの領域をそれらの領域に挟まれる第1の境界線に対して鏡映対称性を持たない配置で偏光子を敷きつめ、次に、他方の第2の境界線を鏡映線として鏡映対称な型で他の2つの領域を偏光子で敷きつめれば、第2の境界線に対して鏡映対称で、第1と第2の境界線の交差する点を中心とした180度の回転に対して非対称な分割偏光子を作成することができる。その鏡映対称線を光源の鏡映対称面に一致させ、かつ際1、第2の境界線の交点を光源の180度回転対称軸に一致させて作用させることで、複数の領域で異なる偏光方位角をもち、上記構成22の条件を満たす光源をつくることができる。
【0157】
例えば、ポラロイドシートなどの偏光子をその偏光透過方位に対してθ度傾いた線にそって切断し、片側を裏返して切断線同士で接合することで、±θの偏光透過軸をもつ分割偏光子を作成することができる。強度分布と偏光分布が光軸のまわりで180度回転対称かつ光軸を含むある面で鏡映対称な光束を出力するランプ光源やレーザ光源の出力の鏡映対称面にこの分割偏光子の分割線(鏡映対称線)に一致させ、かつ光束の光軸を分割線と交差するように取り付けることで、光軸を通る境界線の両側で偏光方位が±θをとる「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」を作成できる。
【0158】
(構成27)上記構成23〜25の「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」1201は、直線偏光光源と、半波長の位相差を発生する素子を構成要素として含む、直線偏光光源の出力光束断面内で非一様な作用をする分割半波長素子とから構成する。
【0159】
強度分布と偏光分布が光軸のまわりの180度回転対称性をもち、かつ光軸を含むある面で鏡映対称な光束を出力する光源に、直線の境界線で2つに分割され、その主軸方位が境界線に対して±θ/2度傾いた構成の分割半波長素子をその境界線を光源の鏡映対称面に一致させて作用させることで、上記構成23〜25の光源を構成することができる。
【0160】
また、平面領域を直交する2つの線を境界線として4つの領域に分け、そのうち隣り合う2つの領域をそれらの領域で挟まれる第1の境界線に対して鏡映対称性を持たない配置で半波長素子を敷きつめ、次に、他方の第2の境界線を鏡映線として鏡映対称な型で他の2つの領域を半波長素子で敷きつめれば、第2の境界線に対して鏡映対称で、第1と第2の境界線の交差する点を中心とした180度の回転に対して非対称な分割半波長素子を作成することができる。その鏡映対称線を光源の鏡映対称面に一致させ、かつ際1、第2の境界線の交点を光源の180度回転対称軸を一致させて作用させることで、複数の領域で異なる偏光方位角をもち、上記構成22の条件を満たす光源をつくることができる。
【0161】
例えば、水晶などから作成される1つの半波長素子を主軸方位にθ/2の角度をなす直線にそって切断し、片側を裏返して切断面同士を接合することで、±θ/2の主軸方位領域を上下の領域でもつ分割半波長素子を作成する。直線偏光を出力する強度分布が光軸のまわりで180度回転対称で、光軸と偏光方位を含む面に対して強度分布が鏡映対称な光源の偏光方位をこの分割半波長素子の分割線に一致させ、かつ、光束の光軸を分割線に交差させて透過させることで、光軸を通る境界線の両側で偏光方位が±θをとる「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」を作成できる。
【0162】
(構成28)上記構成22〜25の「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」1201は、直線偏光光源1202と、偏光を回転する素子を構成要素として含み直線偏光光源の出力光束断面内で非一様な作用をする分割偏光回転素子1203とから構成する。
【0163】
強度分布と偏光分布が光軸のまわりで180度回転対称性をもち、かつ光軸を含む面で鏡映対称な光束を出力する光源に、直線の境界線で2つに分割され、各領域で偏光を±θ度回転する分割偏光回転素子をその境界線を光源の鏡映対称面に一致させて作用させることで、上記構成23〜25の光源を構成することができる。
【0164】
また、平面領域を直交する2つの線を境界線として4つの領域に分け、そのうち隣り合う2つの領域をそれらの領域に挟まれる第1の境界線に対して鏡映対称性を持たない配置で偏光回転素子を敷きつめ、次に、他方の第2の境界線を鏡映線として鏡映対称な型で他の2つの領域を偏光回転素子で敷きつめれば、第2の境界線に対して鏡映対称で、第1と第2の境界線の交差する点を中心とした180度の回転に対して非対称な分割偏光回転素子を作成することができる。その鏡映対称線を光源の鏡映対称面に一致させ、かつ際1、第2の境界線の交点を光源の180度回転対称軸を一致させて作用させることで、複数の領域で異なる偏光方位角をもち、上記構成22の条件を満たす光源をつくることができる。
【0165】
例えば、±θの偏光回転角をもつ旋光素子を直線を境界にして接合することで、±θの旋光回転角を2つの領域でもつ分割偏光回転素子を作成する。直線偏光を出力する強度分布が光軸のまわりで180度回転対称で、光軸と偏光方位を含む面に対して強度分布が鏡映対称な光源の偏光方位をこの分割偏光回転素子の接合線に一致させ、かつ、光束の光軸を接合線に交差させて透過させることで、光軸を通る境界線の両側で偏光方位が±θをとる「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」を作成できる。
【0166】
しかしながら、水晶から作られる自然旋光素子では片側の極性の回転のものしか入手しにくくなっている。そこで、±θの偏光回転角を作る代わりに、それらの角度に180度の整数倍を加えて同符号の偏光回転角をもつ2つの偏光回転素子から作成してよい。
【0167】
また、旋光性素子の代わりに入射する光に対して同じ偏光回転作用をするファラデー回転素子を使用しても、光を一方向から通すかぎり同等な働きをするので問題ない。
【0168】
(第10の実施形態)
図14(A)〜(D)は、本発明の第10の実施形態による分割位相変調器の例を示す。ここでは、分割位相変調器として液晶位相変調器で構成した分割液晶位相変調器の例を示す。
【0169】
図14(A)において、外部制御電圧源1401が分割液晶位相変調器1402の発生位相差を制御する。分割液晶位相変調器1402の主軸1403は0度にしてあり、光束1404の半分にのみ分割液晶位相変調器1402が作用する。
【0170】
図14(B)において、外部制御電圧源1411が分割液晶位相変調器1412の2分割領域の発生位相差を制御する。分割液晶位相変調器1402の2分割領域のそれぞれの主軸方位1413及び1414は+22.5度及び−22.5度としている。主軸方位1413及び1414は、±45度等でもよい。光束1415の上下半分に異なる主軸方位1413及び1414の分割液晶位相変調器1412が作用する。必要なら光束全体に作用する例えば+22.5度の主軸方位角の液晶位相変調器をさらに光路に設けて、垂直磁化成分測定に切り換えたときに必要な45度の偏光回転に利用する。
【0171】
図14(C)において、外部制御電圧源1421が分割液晶旋光変調器1422を制御する。その制御により、分割液晶旋光変調器1422の旋光角1423を制御することができ、例えば0度や90度等になる。光束1424の半分にのみ分割液晶旋光変調器1422が作用する。
【0172】
図14(D)において、外部制御電圧源1431が分割液晶旋光変調器1432の2分割領域を制御する。その制御により、分割液晶旋光変調器1432の2分割領域のそれぞれの旋光角1433及び1434を制御することができ、例えば0度や+45度及び−45度等になる。光束1435の上下半分に異なる旋光角1433及び1434の分割液晶旋光変調器1432が作用する。
【0173】
液晶位相変調器は外部制御電圧源からの印加電圧によって透過光の直交する偏光成分間の発生位相差を制御できるもので、必要なら補償位相板を重ねて位相差0から半波長の間で連続的に変化あるいはスイッチングできるものである。液晶のイオン化による劣化を防ぐために、印加電圧を矩形波形などの交流波形とする場合は、交流電圧振幅で位相差を制御する。
【0174】
この分割液晶位相変調器を分割半波長素子の代わりに使用することで、たとえば、液晶位相変調器の発生位相差を半波長に設定制御した場合には面内磁化成分の測定が行え、液晶位相変調器の発生位相差をゼロに制御した場合には垂直磁化成分の測定が行える。液晶に電圧を印加する外部制御電圧源を制御することで、電気的に垂直磁化成分と面内磁化成分の切り替え測定が可能になる。
【0175】
(第11の実施形態)
図15は、本発明の第11の実施形態による空間位相変調器の例を示す。ここでは、空間位相変調器として、液晶空間位相変調器1501を使用した例を示す。この例の液晶空間位相変調器1501は、6×6=36の液晶要素からなるもので、液晶空間位相変調器コントローラ1504から各液晶要素の発生位相差を独立に制御できるものである。図では、36要素の上半分1502にハイ電圧を印加し、下半分1503にロー電圧を印加して、上半分1502の位相差をゼロ、下半分1503の発生位相差を半波長としている例である。上記構成3で説明した原理により面内磁化のY軸成分を面内磁化X軸成分と垂直磁化成分から分離して測定することができる。また、右半分の液晶要素にハイ電圧を印加し、左半分にロー電圧を印加して、右半分の位相差をゼロ、左半分の発生位相差を半波長とすれば、面内磁化のX軸成分を面内磁化Y軸成分と垂直磁化成分から分離して測定することができる。また、全液晶要素にハイ電圧を印加すれば、垂直磁化成分を測定することができる。
【0176】
さらに、液晶要素が入射光ビーム1505のサイズより十分小さければ、光ビーム1505の中心を通る任意の角度の境界線で液晶要素を分離して一方を位相差ゼロ、他方を位相差半波長に設定し、さらに必要なら光源の偏光方位をこの境界線に沿わせるか直交させるよう偏光回転素子や1/2波長素子で制御し、偏光分離検出器の前にも偏光回転素子や1/2波長素子をおいて偏光分離方向をこの境界線に沿わせるか直交させるよう制御することで、面内の任意の方向の磁化成分を測定できる。
【0177】
また、液晶空間位相変調器1501の代わりに、空間偏光回転変調器として液晶空間旋光変調器も同様にして使用できる。
【0178】
[分割変調器]
(構成29)上記「分割半波長素子又は分割1/4半波長素子」の代わりに、分割された領域における各発生位相差を外部制御可能な分割位相変調器を用い、各領域における発生位相差を外部から制御する。
【0179】
外部制御可能により発生位相差をゼロに切り換えることで、面内磁化成分に対する感度をもつ測定から、通常の垂直磁化成分のみに感度をもつ測定に切り換えることができる。
【0180】
例えば、構成3における分割半波長素子の代わりに分割位相変調器を用いれば、外部制御可能により発生位相差を半波長からゼロに切り換えることで、面内磁化成分の測定から、通常の垂直磁化成分の測定に切り換えることができる。分割位相変調器としては、分割液晶位相変調器、又は分割電気光学位相変調器、又は分割光弾性位相変調器などが使用できる。
【0181】
(構成30)上記「分割半波長素子又は分割1/4半波長素子」の代わりに、位相差の空間分布を外部制御可能な空間位相変調器を使用し、位相差の発生分布を外部から制御する。
【0182】
外部制御により発生位相差をゼロに切り換えることで、面内磁化成分に対する感度をもつ測定から、通常の垂直磁化成分のみに感度をもつ測定に切り換えることができる。
【0183】
さらに、位相差の発生分布を切り換えることで、面内磁化成分の2つの直交する成分の測定感度を切り換えることができる。また、位相差の発生分布を微調整することで、垂直磁化成分に対する感度が最小になるように調整することもできる。空間位相変調器としては、例えば液晶空間位相変調器が使用できる。
【0184】
(構成31)上記「分割偏光回転素子」の代わりに、分割された領域における各偏光回転角を外部制御可能な分割偏光回転変調器を用い、各領域における偏光回転角を外部から制御する。
【0185】
外部制御により偏光回転角をゼロに切り換えることで、面内磁化成分に対する感度をもつ測定から、通常の垂直磁化成分のみに感度をもつ測定に切り換えることができる。分割偏光回転変調器としては、例えば分割ファラデー回転変調器や分割液晶旋光性変調器が使用できる。
【0186】
(構成32)上記「分割偏光回転素子」の代わりに、偏光回転角の空間分布を外部制御可能な空間偏光回転変調器を使用し、偏光回転角の発生分布を外部から制御する。
【0187】
外部制御により発生回転角をゼロに切り換えることで、面内磁化成分に対する感度をもつ測定から、通常の垂直磁化成分のみに感度をもつ測定に切り換えることができる。
【0188】
さらに、発生回転角の発生分布を切り換えることで、面内磁化成分の2つの直交する成分の測定感度を切り換えることができる。また、発生回転角の発生分布を微調整することで、垂直磁化成分に対する感度が最小になるように調整することもできる。空間偏光回転変調器としては、例えば液晶空間旋光変調器が使用できる。
【0189】
[横カー効果]
(構成33)上記構成25、14、21で、光路中の被測定磁性体と偏光分離検出器の間に、上記「180度回転非対称鏡映対称偏光光源」の鏡映対称線又は上記「180度回転非対称鏡映対称偏光素子」の鏡映対称線に対して主軸方位のなす角が+22.5度又は−22.5度をなす半波長素子を挿入する機構を備える。
【0190】
これにより、光束断面内の鏡映対称線で分割された2つの領域の偏光回転を検出する光学系から、カー効果のないときの差動偏光分離検出器に入射する光束の断面内における偏光方位を分割された2つの領域で互いに直交する偏光分離方位に一致させることで、2つの領域の光量の差を検出する光学系に切り換えることが可能になる。後者の場合、横カー効果による反射率変化の2領域間での差が検出でき、分割線に沿った面内磁化成分のみを測定できる。
【0191】
(構成34)上記構成25、14、21で、光路中の被測定磁性体と偏光分離検出器の間に、回転角が+45度又は−45度の偏光回転素子を挿入する機構を備える。
【0192】
これにより、前記構成33と同様に、光束断面内の鏡映対称線で分割された2つの領域の偏光回転を検出する光学系から、光量の差を検出する光学系に切り換えることが可能になる。この場合、横カー効果による反射率変化の2領域間での差が検出でき、分割線に沿った方向の面内磁化成分のみを測定できる。
【0193】
[回転、移動、XY成分切り換え]
(構成35)上記の「180度回転非対称偏光光源、分割偏光子、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子、分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」の光軸まわりの方位角を回転調整する「分割光学素子回転調整ステージ」を供える。ステージは手動又は自動ステージとする。
【0194】
各素子の方位角の回転調整により、偏光方位や位相差や偏光回転の発生分布を切り換え、面内磁化成分の2つの直交する成分の測定感度を切り換えることができる。さらに、必要に応じて主軸方位角を手動又は自動で回転調整可能な半波長板を光路に追加することで、任意の方向の面内磁化成分を切り換えて測定することも可能である。
【0195】
(構成36)上記の「180度回転非対称偏光光源、分割偏光子、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子、分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」の位置を移動調整する「分割光学素子位置調整ステージ」を供え、光束がこれらの素子を透過する位置を調整可能とする。ステージは手動又は自動ステージとする。各素子の位置を調整することで、垂直磁化成分に対する感度が最小になるように調整することができる。
【0196】
(構成37)上記の「分割偏光子、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子、分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」は、隣同士の光学特性が異なる分割境界線として、互いに直交する第1、第2の2つの境界線を少なくとも含み、第1と第2の境界線はある1つの直線と一方が重なり他方と交差するか、又は両方とも交差するように配置され、その直線にそった方向にこの光学素子を移動可能なステージをそなえ、このステージの移動のみで光束がこの光学素子を入射する位置を第1の境界線上と第2の境界線上、および境界線のない領域とのあいだで切り換えることを可能にする。
【0197】
光束の通過する位置を第1の境界線上と第2の境界線上と境界線のない領域との間で、単軸の手動又は自動ステージのみで切り換えることが可能になる。これにより、例えば、面内磁化の直交する2成分と垂直磁化成分の3つの成分の測定を切り換えることが単軸ステージで可能になる。また、この単軸ステージの移動方向を第1、第2の境界線の両方に平行でないようにすることで、第1、第2の境界線を光束が通過又は作用する位置をこの単軸ステージのみで微調整することも可能になる。
【0198】
(第12の実施形態)
図16は、本発明の第12の実施形態による測定装置の例を示す。まず、リレーレンズ1609がない場合を説明する。照明光学系1601からの光を偏光プリズム(又は偏光板)1602に通して直線偏光1603としてから、ビームスプリッタ1605と対物レンズ1606を通して試料である被測定磁性体1607を照明する。上記の光学系は、光軸1604を有する。
【0199】
試料1607で反射した光を対物レンズ1606で集光し、ビームスプリッタ1605で反射させた後、分割半波長板(又は分割偏光子又は分割偏光回転素子)1611を通し、偏光プリズム(偏光板)1612を通して結像レンズ1613でカメラ1614に集光する。これにより、面内磁化成分を垂直磁化成分から分離して画像観察ができる。分割半波長板(又は分割偏光子又は分割偏光回転素子)1611により、面内磁化X成分又は面内磁化Y成分のいずれかのみの画像を観察できる。このように、レーザの走査や試料走査を行わずに画像観察が行えることが、従来の分割フォトディテクタを使用して異なる磁化成分を検出する原理に比べての本実施形態の著しい利点の一つである。偏光プリズム1602,1612は、例えばグラン・トムソンプリズムである。
【0200】
なお、観察位置によりその位置からの反射光束位置が分割半波長板又は分割旋光性素子内で若干ずれが生じるが、これで問題が生じる場合には、リレーレンズ1609をビームスプリッタ1605及び分割半波長板1611の間に設ける。リレーレンズ1609により対物レンズ瞳面を分割半波長板面(又は分割偏光子面又は分割偏光回転素子面)に写像することで、各観察位置からの反射光束の位置ずれの影響を無くすことができる。カメラ1614の代わりに、接眼レンズを備えて目視することも可能である。もちろん、カメラ1614の画像出力は、必要なら信号処理系や計算機に取り込んで適当な信号処理や画像処理を行ってもよい。
【0201】
(第13の実施形態)
図17は、本発明の第13の実施形態による測定装置の例を示す。図1のステージ108の代わりに、レーザ走査系1701と共焦点測定のためのスペーシャルフィルタ1702を備えた。レーザ走査系1701は、走査による反射レーザビームのシフトを防ぐためのリレーレンズも組み込まれている。スペーシャルフィルタ1702は、2個のレンズ1703及びその間のピンホール1704を有し、フォーカスのずれた位置からの反射光や散乱光をカットし、また、面内空間分解能を向上させる効果もある。
【0202】
[カメラ、レーザ走査、短パルス光]
(構成38)上記の光検出器の代わりに、結像レンズ1613と画像検出素子1614、例えば撮像管、CCDカメラ、冷却CCDカメラを使用し、各画素に入射する光を検出して磁化分布画像データの取得を可能とする。
【0203】
この方法をとる場合、偏光分離素子を透過した光を結像レンズで画像検出素子の受光面に結像することで面内磁化成分の画像観察が可能になる。光学系の光軸(すなわち対物レンズの中心軸)から外れた観察試料位置では、厳密には面内磁化の一成分のみを完全に分離するために必要な上記の鏡映対称性は崩れるが、光軸の近傍では近似的に成り立つ。
【0204】
(構成39)上記の光検出器の代わりに、結像レンズと接眼レンズを備え、磁化分布の目視を可能とする。
この方法をとる場合、偏光分離素子を透過した光を結像レンズで結像した像を接眼レンズを通して目視することが可能になる。
【0205】
(構成40)上記の光源として磁性体の磁化状態の変化動作、又は磁性体の移動動作に同期をとって発光するパルス幅100ps以下の短パルスレーザ光源を使う。
【0206】
磁気記録装置の磁気ヘッドのライト磁極など、高速に動作する磁化状態の時間変化のようすを測定するには、通常の連続光源を用いたまま光検出の測定帯域を上げる方法では、光検出器やそれに後続するI/Vアンプや演算増幅器の帯域や精度が不足したり、光検出器や広帯域I/Vアンプのノイズが大きくなる等のリ理由により測定が困難になる。そこで、磁化動作を周期動作させ、その周期の任意のタイミングでパルス光を照射して検出することで、そのタイミングの磁化状態を光検出器の帯域に制限されずに光パルス幅の時間分解能で測定することができる。さらに、短パルス光の照射タイミングを磁化変化の周期内でずらしながら測定を繰り返すことで、磁化の高速時間変化の様子を測定できる。この測定方法はサンプリング測定法とよばれる。
【0207】
短パルス光源としては、パルス幅100fs程度の超短パルス光を発生するモードロックレーザを用いるのが一般的であるが、半導体レーザをパルス駆動して得られるパルス幅数十psの短パルス光を使うことも可能である。
【0208】
しかしながら、従来から知られている分割フォトディテクタを使用して面内磁化成分を測定する方法では、このように短い光パルスの入射に対して、分割フォトディテクタ、その各要素が出力する多数の電気パルス信号に働く多数のI/V変換アンプ、およびその各出力に働く演算回路の出力が、各分割部分への光入力に対して全て線型に正確に動作するのは困難になる。これらの正確な動作は高速な応答動作ほど困難になるため、わざと遅い応答をする素子や回路やローパスフィルタ等を使用して、検出回路帯域をサンプリング周波数よりも十分低くすることで測定精度を高めることもできるが、サンプリング周波数を大きく変えて測定を行う場合には受光する平均光量が大きく変わるため、検出および信号処理系のダイナミックレンジが不足して測定が困難になる。また、分割フォトディテクタの各要素に対応する複数のI/V変換アンプを必要とするため、ノイズが増大する。
【0209】
この方法では、光の偏光状態を偏光性素子により制御する方法をとるため、このような極めてパルス幅の短いパルス光源を使用しても良好に機能し、ノイズの増大もなく、磁性体の垂直磁化成分、面内磁化の直交する2成分の超高速時間変化を正確に高い感度で測定することが可能になる。また、光検出器に分割構造が不要なため、製作又は入手が容易な非分割のアバランシェフォトダイオードや、光電子増倍管を使用することができる。
【0210】
(構成41)上記のレーザ光源からの光ビームが集光手段で集光される集光スポット位置を走査するためのレーザ走査系をそなえ、かつ、上記「分割光学素子回転調整ステージ」「分割光学素子位置調整ステージ」「分割光学素子位置移動調整ステージ」は自動ステージであり、レーザ走査の少なくとも一方向の走査に同期してこれらの自動ステージを移動調整する。
【0211】
例えば、ピエゾ素子による傾斜ミラーを使用してレーザ走査を可能にした場合、磁性体からの反射光が再び傾斜ミラーにあたる位置もずれ、傾斜ミラー以降の反射光光路で光束位置がレーザ走査位置に対応してずれてしまう。従って、反射光束が上記の分割光学素子を通過又は作用する位置がずれてしまい、面内磁化成分の測定時に垂直磁化成分が混入してしまう。そこで、上記自動ステージで分割光学素子の位置をレーザ走査位置に同期して移動して調整を行うことで、この問題を避けることができる。なお、光学系の光軸(対物レンズの中心軸)から外れた観察試料位置では、厳密には磁化の一成分のみを完全に分離するために必要な上記の鏡映対称性は崩れるが、光軸の近傍では近似的に成り立つ。
【0212】
(構成42)上記の「分割偏光子、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子、分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」に入射する光束位置が集光レンズの瞳位置と光学的に一致させるためのリレーレンズ系をそなえる。
【0213】
ランプ等の空間的にインコヒーレントな光源を使用して結像レンズでカメラに結像して磁化分布の画像測定を行う場合には、磁性体の異なる点で反射する光は、ずれた光路を通る。従って、上記の分割光学素子のずれた位置を通ることになり、2つ以上の方向の磁化成分が混合してしまう。2つ以上のレンズ系から構成されたリレーレンズを使用して集光レンズの瞳位置を上記の分割光学素子の位置に適当な倍率で光学的に一致させることで、このずれを無くして、磁化成分の正確な測定が可能になる。
【0214】
また、レーザ光源とレーザ走査系を使用して画像測定を行う場合にも、磁性体の異なる点で反射する光は、ずれた光路を通り、上記の分割光学素子のずれた位置を通ることになり、2つ以上の方向の磁化成分が混合したり、各磁化成分の感度ばらつきや測定誤差を生じる。2つ以上のレンズ系から構成されたリレーレンズを使用して集光レンズの瞳位置を上記のレーザ走査系の走査位置に適当な倍率で光学的に一致させることで、このずれを無くして、正確な測定が可能になる。
【0215】
(第14の実施形態)
図18は、本発明の第14の実施形態による測定装置の例を示す。この測定装置は、磁気カー効果の代わりに、ファラデー効果の測定を行う。ファラデー効果は、被測定物(磁性体)1805に直線偏光の光を当てて通過させると、被測定物のもつ磁化の影響を受けて、光の偏光面が回転する現象である。上記の実施形態の面内磁化成分および垂直磁化成分の分離測定方法および装置は、光透過性の磁性体(常磁性体、反磁性体を含む)のファラデー効果の観察にも適用できる。
【0216】
直線偏光光源1801は、直線偏光1803を第1の対物レンズ1804で集光して、被測定物1805に照射する。被測定物1805は、磁性体又はファラデー素子プローブである。被測定物1805の透過光は、第2の対物レンズ1806で集光して、ミラー1808により180度回転非対称鏡映対称偏光素子111に入射される。以降は、図1と同じである。これにより、磁界及び磁化観察を行うことができる。
【0217】
なお、後に説明する図20(A)〜(C)及び図21(A)、(B)のファラデー素子プローブで、光反射面を形成せず、透過型のファラデー素子プローブとして用いることもできる。また、図では透過光をミラー1808で光路を90度折り曲げてから偏光分離検出系に導いているが、折り曲げずに直接検出系に導いてもよい。
【0218】
[ファラデー効果]
(構成43)上記の被測定磁性体での反射光の磁気光学効果による偏光状態や光量の変化を検出する代わりに、被測定磁性体での透過光又は透過往復光のファラデー効果による偏光状態や光量の変化を検出する。
【0219】
ファラデー効果は磁気光学効果の一種であり、透過光に対して磁化や磁界に比例して偏光回転や左右円偏光に対する異なる吸収を引き起こす。この効果が従う物理法則はもちろん空間回転対称性や空間反転対称性(パリティ保存則)をもつため、上記のこれに基づく議論は成立する。これらの効果は磁化ベクトル又は磁界ベクトルの光透過方向の成分に比例する。従って、集光レンズで集光した光をファラデー素子に通すと、集光光の異なる入射方向の光成分は磁化ベクトル又は磁界ベクトルの異なる成分に比例する効果を受ける。この透過光に対して、上記測定方法を適用することで、ファラデー素子の磁化又はそれに働く磁界成分の垂直および面内方向成分を測定できる。
【0220】
また、光が磁性体中を往復すると、自然旋光性による偏光回転と異なり、偏光回転角は2倍になる。従って、片側に反射面のあるファラデー素子に対して、反射面で反射してファラデー素子を往復させた光の反射光を検出するようにしてもよい。
【0221】
(第15の実施形態)
図19(A)及び(B)は、本発明の第15の実施形態によるソリッドイマージョンレンズの例を示す。光源や受光光学系は第1の実施形態等と同じ構成で、対物レンズの下にソリッドイマージョンレンズ(SIL)を使用する。これにより、空間分解能を向上させることができる。
【0222】
図19(A)は、対物レンズ1902の下に半球型SIL1903を設ける。入射光1901は、対物レンズ1902及び半球型SIL1903を介して、被測定物1904に照射される。
【0223】
図19(B)は、対物レンズ1912の下に超半球型SIL1913を設ける。入射光1911は、対物レンズ1912及び超半球型SIL1913を介して、被測定物1914に照射される。
【0224】
超半球型SIL1913は、半球より厚みを球半径の1/n倍(ここで、nはSILの材料の屈折率)だけ増やした形状であり、この型もSILとして使用できることができる。この場合、光がSIL球面に入射する際に入射光をさらに集光屈折させるもので、対物レンズのNAがあまり大きくなくても、SIL内でのNAを大きくして空間分解能を向上することができる。特に、対物レンズとSIL間の距離を大きくとりたい場合は対物レンズのNAを大きくとることが困難なため、半球型SILよりも高い空間分解能を得ることができる。
【0225】
[SIL]
(構成44)上記の集光手段にソリッドイマージョンレンズをそなえる。顕微鏡の空間分解能を通常より向上する方法として、ソリッドイマージョンレンズを使用する方法が知られている(例えば、米国特許第5004307号)。上記の集光手段として例えば顕微鏡対物レンズの先端にソリッドイマージョンレンズをそなえたものを使用する。高い屈折率材料でできたソリッドイマージョンレンズを使用することで、その内部を通る光の波長は短縮する。被測定磁性体をソリッドイマージョンレンズに完全に密着したとすると、この屈折率による波長短縮により、磁性体に照射される集光スポット径を縮小して空間分解能が向上する。しかし、実際にはソリッドイマージョンレンズの底面と磁性体の間にわずかでも隙間があくが、光波長より十分短いような隙間まで近接すれば完全に密着した状態に近づいていくと考えられる。実際、これはフォトントンネリング効果により説明されている。フォトントンネリング効果及びその磁気光学効果の従う物理法則はもちろん空間回転対称性や空間反転対称性(パリティ保存則)をもつため、上記の議論でそれらに基づいた部分は成立し、上記の測定法を使用して垂直磁化成分や面内磁化成分をすることができ、さらに、上記の方法を使用して各成分を分離した測定も可能である。
【0226】
(第16の実施形態)
図20(A)〜(C)は、本発明の第16の実施形態による磁界プローブの例を示す。光源や受光光学系は第1の実施形態等と同じ構成である。
図20(A)は、光透過性プローブ2003の先端に磁性膜2004を付けて光反射型磁界プローブとした例である。入射光2001は、対物レンズ2002及びプローブ2003を通して、磁性膜2004で反射する。また、光透過性プローブ2003自体をファラデー効果を持つ材料で作成し、下面に反射膜又は反射磁性膜2004を付けてもよい。測定したい試料の磁化上や電流により発生する磁界中にこのプローブを置き、上記の測定方法および検出手段を適用することにより、面内磁界成分や垂直磁界成分を分離して検出することが可能になる。また、プローブを微小化してプローブ走査手段又は試料走査手段と組み合わせることで、走査型磁界ベクトル測定装置を構成することができる。
【0227】
図20(B)は、光透過性プローブ2013の先端に微小突起の磁性膜2014を付けて光反射型磁界プローブとした例である。入射光2011は、対物レンズ2012及びプローブ2013を通して、微小突起の磁性膜2014で反射する。また、光透過性プローブ2013自体をファラデー効果を持つ材料で作成し、下面に微小突起の反射膜又は反射磁性膜2014を付けてもよい。
【0228】
図20(C)は、プローブ2023を球形状にしたもので、下面に磁性膜2024を形成して光反射型磁界プローブとする。入射光2021は、対物レンズ2022及び球型プローブ2023を通して、磁性膜2024で反射する。また、プローブ2023自身をファラデー効果をもつ材料で作成し、下側に光反射膜又は反射磁性膜2024を形成してもよい。上記の測定方法および検出手段を適用して、面内磁界成分や垂直磁界成分を分離して検出することが可能になる。
【0229】
微小球の作成は比較的容易なため、数μm径〜サブミクロン径の極めて小さな磁界プローブの作成が可能で、高い空間分解能で面内磁界、垂直磁界成分を分離して測定可能な走査型プローブ顕微鏡を実現できる。
【0230】
但し、以上で強磁性体の膜や強磁性体のファラデー材料を使用する場合は、それ自身の磁気異方性、形状異方性、磁区構造により、磁界成分を完全に分離して測定できるための対称性の条件が破れてしまう場合があるが、磁界ベクトルについてのある程度の情報は得られると期待できる。
【0231】
(第17の実施形態)
図21(A)及び(B)は、本発明の第17の実施形態によるSIL磁界プローブの例を示す。光源や受光光学系は第1の実施形態等と同じ構成である。半球SIL(又は超半球SIL)2103の底面の光照射部に磁性膜2104を付けている。入射光2101は、対物レンズ2102及び半球SIL2103を通して、磁性膜2104で反射する。また、半球SIL又は超半球SIL2103自身をファラデー効果をもつ材料で作成し、底面の光照射部に反射膜2104を付けてもよい。また、図21(B)に示すように、SIL2103の底面に微小磁性体2105を形成し、その周囲を遮光膜2106で覆ってもよい。光源101からの入射光2101は、ビームスプリッタ105及び対物レンズ2102を介してSOLに入射される。偏光分離検出器2111は、図1の偏光分離検出器113〜117、119〜121に相当する。
【0232】
上記の測定方法および検出手段を適用することにより、測定したい試料の磁化や電流により発生する磁界中にこのプローブを置き、面内磁界成分や垂直磁界成分を分離して検出することが可能になる。SILにより集光スポットを通常よりも小さく集光できるため、空間分解能を向上できる。さらに、微小磁性体2105をSIL内での集光スポットより小さくすることで光回折限界を超えた空間分解能を得ることもできる。
【0233】
対物レンズとファラデープローブ間の距離を大きくとりたい場合は対物レンズのNAを大きくとることが困難なため、半球SILより超半球SILの方が高い空間分解能を得ることができる。
【0234】
以上、図20(A)〜(C)及び図21(A)、(B)の磁界プローブで、光の入射する上面側は反射防止膜を形成してもよいが、逆に反射膜を付けて、入射した光がプローブ内で往復反射を繰り返させたり、又は特定波長の光に対する光共振器現象を利用して、カー回転又はファラデー回転などの磁気光学効果を増大して磁界測定感度を向上することも可能である。また、磁性膜に多層膜を使い、共振現象を利用して感度を上げることもできる。
【0235】
[磁界測定]
(構成45)上記の磁化測定装置において、被測定磁性体の代わりに、磁性体をそなえたプローブを集光部にもち、その磁性体の磁化ベクトルの各成分を上記測定方法および測定装置により測定することで、磁性体のおかれた位置の空間磁界ベクトル成分の測定を可能にする。
【0236】
例えば、薄いガラス板に磁性膜を蒸着やスパッタで形成し、それを微小な形に加工することで磁性体をそなえたプローブを作成できる。このプローブを磁界中において、その磁性体の垂直および面内磁化成分を上記測定方法で測定することで、磁性体のおかれた場所の磁界の垂直および面内方向成分を測定できる。磁性体を針状にして空間分解能を向上することができる。さらに、磁性体突起を原子間力顕微鏡(AFM)の針として用いて、AFMと同様のプローブ位置制御手段および走査手段を備えて凹凸像を測定することもできる。また、磁気力顕微鏡(MFM)としても使用できる。
【0237】
(構成46)上記で、磁性体をそなえたプローブの磁性体は垂直磁化膜である。面内磁化膜を使用すると、面内磁界に対するヒステリシスを生じやすく、面内磁界に対する応答が非線形になる。垂直磁化膜を使用することで、面内磁界成分に対するヒステリシスが低減し、感度の線型性が良好になる。また、強い垂直磁気異方性を利用すれば、面内磁界成分に対する高周波応答特性も良好にできる。
【0238】
(構成47)上記で、集光手段に底面に磁性体をもつソリッドイマージョンレンズをそなえる。底面に磁性体をそなえたソリッドイマージョンレンズをプローブとして使い、上記実施形態の測定法を適用することで、空間磁界ベクトル成分を測定するこができる。ソリッドイマージョンレンズ内で通常より小さい集光スポットが得られるため、空間分解能を向上することができる。
【0239】
(構成48)上記で、集光手段に磁気光学効果をもつ光透過性で磁気光学効果をもつ物質を構成要素とするソリッドイマージョンレンズをそなえる。
これにより、ソリッドイマージョンレンズのおかれた場所の空間磁界ベクトル成分を測定できる。その空間分解能は、基本的にはソリッドイマージョンレンズの大きさと同程度になる。しかしながら、磁気ヘッドの発生する空間磁界分布や磁性膜の発生する空間磁界は、表面の極近傍に集中して表面分布をとっている。従って、ソリッドイマージョンレンズ内の集光スポットと同程度の解像度をもつ分布が測定でき、空間分解能を通常より向上できる。
【0240】
(第18の実施形態)
図22は、本発明の第18の実施形態による測定装置の例を示す。これは、光ファイバープローブ2204を用いた反射型近接場顕微鏡に適用した例である。第1の集光手段である光ファイバープローブ2204の先端は曲げられていて、被測定磁性体2206の表面にほぼ垂直になって近接している。プローブ制御手段2203により、光ファイバープローブ2204の先端と被測定磁性体2206との間隔が制御される。例えば、加振素子でファイバープローブを上下又は横方向に振動させ、振動センサでプローブ先端と試料との間に働く力による振動の変化、例えば振動振幅や振動位相を検出し、プローブ制御手段2203のステージ又は試料ステージ2205にフィードバック制御する。
【0241】
また、被測定磁性体2206で反射された光を集光する第2の集光手段である対物レンズ2207は、被測定磁性体2206の表面に垂直な軸上に光軸2209をそろえて配置している。光源2201からの光の偏光状態を偏光コントローラ2202で制御し、ファイバープローブ2204の先端から出力される光の偏光が180度回転非対称鏡映対称偏光素子111の鏡映対称面にそった又は直交する角度に偏光方位をもつ直線偏光にほぼなるように調整する。被測定磁性体2206で反射された光を対物レンズ2207で集光し、その光2208を分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子等の180度回転非対称鏡映対称偏光素子111に通した後、偏光ビームスプリッタ113等で構成される偏光分離検出光学系で偏光検出を行い、差動偏光検出信号118と加算信号123が制御部124に取り込まれる。このようにして、近接場光の照射、反射光の集光光学系、偏光分離検出系をファイバープローブ2204からの出力直線偏光の偏光方位と反射光の光軸を含む面に対してほぼ鏡映対称な型にすることができる。以上の構成により、近接場顕微鏡において面内磁化成分を垂直磁化成分と分離して検出したり、さらに、面内磁化成分の測定する方向を切り替えたり、垂直磁化成分の測定に切り替えることが可能になる。
【0242】
なお、光ファイバープローブの先端に光透過性を有する磁性体をそなえることで、プローブ先端における磁界ベクトルの異なる成分に関する情報を取得することも可能になる。パーマロイ等の金属磁性体でも厚さを数十nm以下にすれば、光透過性を生じるので光ファイバープローブの先端に付けて使用できる。また、単なる磁気力顕微鏡(MFM)としても使用できる。
【0243】
(第19の実施形態)
図23は、本発明の第19の実施形態による測定装置の例を示す。プローブ2302は、金属やシリコン等をエッチングなどの方法で先端を尖らせ、必要なら表面を金属等でコーティングしたものを使用し、被測定磁性体107の表面にほぼ垂直に先端を向けるようにする。プローブ制御手段2301は、制御部124の制御により、このプローブ2302の位置や走査制御を上記の光ファイバープローブ2204や原子間力顕微鏡などと同様の方法で行う。他の部分は、図1の測定装置と同様である。
【0244】
光源101からの光103は直線偏光で、対物レンズ106で集光してプローブ2302の先端に照射する。照射する直線偏光の偏光方位は、180度回転非対称鏡映対称偏光素子の鏡映対称軸にそった方向又は直交する方向に揃える。プローブ2302と被測定磁性体107で散乱された光は対物レンズ106で集光されて、ビームスプリッタ105で分岐されて、遮光板2303によって非散乱光をカットして散乱光を透過させ、上記の分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子等の180度回転非対称鏡映対称偏光素子111を通した後、偏光ビームスプリッタ113等で構成される偏光分離検出光学系で偏光検出を行い、差動偏光検出信号118と加算信号123が制御部124に取り込まれる。このようにして、プローブ2302、反射光の集光光学系、偏光分離検出系を光源101からの直線偏光のもつ鏡映対称面に対してほぼ鏡映対称な型にすることができる。以上の構成により、散乱型の近接場顕微鏡において面内磁化成分を垂直磁化成分と分離して検出したり、さらに、面内磁化成分の測定する方向を切り替えたり、垂直磁化成分の測定に切り替えることが可能になる。
【0245】
(第20の実施形態)
図24(A)〜(E)は、本発明の第20の実施形態による遮光板2403,2415の例を示す。この遮光板は、例えば図1の180度回転非対称偏光素子111の直前の位置に設置される。
図24(A)は、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子等の分割光学素子2401の中央部分を円盤形状の遮光板2403で遮光している。面内磁化成分の信号が少ない入射光2402の光軸の中央付近の領域を遮光することで、測定感度や磁化のコントラストを高められる場合がある。また、超解像効果も生じる。長方形状の遮光板でもよい。また、遮光板は、光の一部の領域の透過率を下げる半透板でもよい。
【0246】
図24(B)は、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子等を入射光2417の光軸で交差する±45度の線を境界として異なる光学素子からなるように作成した分割光学素子で、図のような形の遮光板2415で上下の領域を遮光している。円形の分割光学素子は、それぞれ扇形の第1の領域2411、第2の領域2412、第3の領域2413及び第4の領域2414を有する。遮光板2415は、分割光学素子の第1の領域2411及び第2の領域2412を遮光する。そして、図24(C)に示すように、この遮光板2415を90度回転することで、左右の領域を遮光できる。すなわち、分割光学素子の第3の領域2413及び第4の領域2414を遮光できる。
【0247】
例えば、図24(D)に示す分割半波長素子は、第1の領域2411の主軸2441が22.5度、第2の領域2412の主軸2442が−22.5度、第3の領域2413の主軸2443が67.5度、第4の領域2414の主軸2444が112.5度である。この分割半波長素子を遮光すれば、上下の第1及び第2の領域2411,2412でY軸方向の磁化成分測定を行え、左右の第3及び第4の領域2413,2414をX軸方向の磁化成分測定を行えるため、この分割半波長素子2440に図24(B)及び(C)の遮光を切り換えて行うことで、XとYの磁化成分の切り換え測定が可能になる。また、図24(E)に示す分割半波長素子2451のように、+45度(−45度でもよい)の線2456のみを境界として一方の半波長板領域2452の主軸2454を+22.5度、他方の半波長板領域2453の主軸2455を−22.5度としてもよい。また、この主軸方位±22.5度の符号を逆にしてもよい。
【0248】
[近接場]
(構成49)上記で、光源からの光を磁性体に集光照射するための第1の集光手段として、微小領域から光を発生する近接場プローブを使い、磁性体からの反射光、又は透過光を第2の集光手段により集光し、この集光光束に対して上記の「分割偏光子、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子、分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」を作用させることで、磁化ベクトル成分の測定を可能にする。
【0249】
例えば、光ファイバーの先を尖らせて先端部を除いて遮光膜をつけて先端開口部に近接場光を生じるようにしたプローブを走査して試料を透過又は散乱反射した光を検出する、近接場プローブ測定法が知られており、磁性膜の磁化分布を磁気光学効果により測定した例もある(E.Betzig他,"Near-field magneto-optics and high density data storage",Appl.Phys.Lett.61(2),13,july 1992)。
【0250】
この近接場光やそれとの磁気光学相互作用の従う物理法則はもちろん空間回転対称性や空間反転対称性(パリティ保存則)をもつため、上記の議論でそれらに基づいた部分は成立し、反射光や透過光の偏光検出系の部分に上記の測定法を適用することで、近接場測定法においても面内磁化成分の方向を積極的に選択して検出することが可能になる。近似的に軸対称とみなせる構造の近接場プローブを使用することで、垂直磁化成分や面内の直交する2成分を分離して測定することも可能になる。
【0251】
また、ソリッドイマージョンレンズの底面に微小開口を付けて開口で生じる近接場光により空間分解能を向上する方法が提案されているが、これにおいても面内磁化成分の方向を積極的に選択して検出することが可能になる。さらに、その微小開口を近似的に軸対称な構造にすれば、上記実施形態の方法により垂直磁化成分や面内磁化成分を分離して測定することができる。
【0252】
また、ソリッドイマージョンレンズの底面に光照射で透過率が増す可飽和吸収層をつけて光照射により微小開口を形成する方法も提案されているが、これにおいても上記実施形態の方法により垂直磁化成分や面内磁化成分を分離して測定することができる。
【0253】
(構成50)上記近接場プローブは、先端部が磁気光学効果をもつ磁性体をもつことで、空間磁界ベクトル成分の測定を可能にする。
磁性体を上記近接場プローブの先端部につけてその磁化成分を検出することで、磁界ベクトルの測定が可能になる。
【0254】
(構成51)集光手段により集光された光スポット位置にその先端が配置される光散乱プローブをそなえ、上記の測定法を適用することで、磁化ベクトル成分の測定を可能にする。
先端を尖らせた針や、微小球をプローブとし、それに光を集光照射し、プローブを被測定試料に接近させると、試料表面状態に依存して散乱光が変化する。プローブを試料表面で走査しながらこの散乱光を検出して試料表面の測定を行う、散乱型の近接場測定方法が知られている。
この近接場光やそれとの磁気光学相互作用の従う物理法則はもちろん空間回転対称性や空間反転対称性(パリティ保存則)をもつため、上記の議論でそれらに基づいた部分は成立し、反射光や透過光の偏光検出系の部分に上記の測定法を適用することで、近接場測定法においても面内磁化成分の方向を積極的に選択して検出することが可能になる。近似的に軸対称とみなせる構造のプローブを使用することで、垂直磁化成分や面内の直交する2成分を分離して測定することも可能になる。
【0255】
(構成52)上記光散乱プローブは、先端部が磁気光学効果をもつ磁性体から構成することで、空間磁界ベクトル成分の測定を可能にする。
上記光散乱プローブの先端部を磁性体から構成し、その磁化成分を検出することで、磁界ベクトルの測定が可能になる。
【0256】
[遮光]
(構成53)上記の「180度回転非対称偏光光源、分割偏光子、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子、分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」から出射する光束、又はこれらへ入射する光束のうち一部を遮光又は透過率を下げる遮光マスクを備える。
極カー効果に対しては入射角ゼロでもっとも大きく、入射角が大きくなると小さくなる。一方、縦、横カー効果については、入射角ゼロで効果がゼロになり、入射角がかなり大きな角度でピークをもつ。従って、光束の中心部を遮光することで、垂直磁化成分に対する感度を面内磁化成分に対して低減することができる。
また、光源に直線偏光を使用しても、集光される光を360度異なる入射面の光に分けて考えると、各光は異なるP偏光成分とS偏光成分をもち、反射光に対する磁気光学効果を縦、横カー効果に分けるとこれらが混合している。光束に対して遮光することにより、これらの成分の混合比を変えた測定が可能になる。
【0257】
(構成54)上記構成53で、遮光マスクは回転又は移動により遮光領域を変えることができるような構成とする。
例えば、上記の分割光学素子を光軸を中心に±45度の線で4分割し、かつ、これらを2つの対称な形状をもつ領域に分類する。一方の領域は面内磁化成分の直交する2成分のうちの一方を検出する構成とし、もう一方の領域はもう一方の面内磁化成分を検出する構成にしておく。遮光板をこれらの片側のみを遮光するような形状に作成し、この遮光板を90度ずつ回転すれば、面内磁化成分の直交する2成分の測定を切り換えられる。
【0258】
[変調検出]
(構成55)上記で、光源の出力に、偏光状態を外部より制御可能な偏光変調器をそなえる。
例えば、直線偏光を出力する光源出力に、その偏光方位に対して主軸方位角を±45度の角度にしてゼロと半波長の間で位相差を切り換えて発生できる位相変調器をそなえると、光源の偏光方位を90度変えることが可能になる。例えば、図1の半波長板102として、図15の偏光変調器(位相変調器)を用いる。
上記の面内磁化成分のみを検出できる光学系を使用した場合でも、光学系のずれや磁性体からの反射光の分布の偏りなどにより垂直磁化成分が混入する場合がある。このような場合に、光源の偏光を90度変えた測定を行って、両測定結果の差をとると、垂直磁化成分による偏光回転角は両偏光での差が小さいが、面内磁化成分に対する縦カー効果による偏光回転はP偏光とS偏光で入射角があまり大きくないうちは偏光回転角の符号がことなる。従って、両偏光での偏光回転の差、実際には偏光検出器の偏光回転検出極性が90度の光源偏光方位の切り換えで反転するため偏光検出器出力の和をとれば、垂直磁化成分の混入を低減して面内磁化成分を検出することができる。
また、垂直磁化測定を行う状態で両測定の差をとれば、面内磁化成分の混入や光検出器出力を増幅するアンプにのる電磁ノイズやオフセット等を低減して垂直磁化成分を測定することができる。
【0259】
(構成56)上記で、光源から被測定磁性体の間の光路と、被測定磁性体と偏光分離検出器の間の光路の2箇所に、偏光状態を外部より制御可能な偏光変調器をそなえる。例えば、図1の半波長板102及び112として、図15の偏光変調器を用いる。
上記構成55のように、光源からの光出力のみに偏光変調器をおいて90度偏光を回転する場合、面内磁化成分については両偏光での測定結果の和をとる必要があり、この場合は検出電気回路にのる電磁ノイズやオフセット等をキャンセルできない。そこで、偏光分離検出器の前にもう一つ偏光変調器をもうけて、光源側の偏光変調器による偏光回転分をキャンセルするようにすれば、偏光が90度回転することによる偏光分離検出器出力の極性の逆転を防ぐことができる。従って、面内磁化成分を両偏光での偏光分離検出器出力の差で検出することができ、垂直磁化成分を低減するだけでなく、検出電気回路にのる電磁ノイズやオフセット等をキャンセルできる。
垂直磁化成分を測定する場合は、偏光分離検出器側の偏光変調器の動作をやめれば、両偏光での偏光分離検出器出力の差で垂直磁化成分を検出でき、面内磁化成分を低減するだけでなく、検出電気回路にのる電磁ノイズやオフセット等をキャンセルできる。
【0260】
(構成57)上記構成55及び56の偏光変調器の変調を周期的に行い、その変調周期に同期した信号成分を検出する。
任意の磁化又は磁界成分に対する検出感度を変調し、それに同期した信号を検出することで、任意の磁化又は磁界成分を高い感度で検出することができる。また、この変調検出にロックインアンプを使用することで、さらに感度を高められる。
【0261】
(構成58)上記の「分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」の変調分布特性の変調を周期的に行い、その変調周期に同期した信号成分を検出する。
例えば、垂直磁化成分を測定する状態と面内磁化成分の1成分の測定する状態の2つの間で切り換える変調を周期的に行い、この変調周波数に同期した信号成分を両測定値の差分の平均を計算処理で算出したり、又はロックインアンプを使用して検出することで、両磁化成分の差を高い感度で検出することが可能になる。この場合、被測定磁性体が垂直磁化膜であれば面内磁化成分がないことにより垂直磁化成分が高感度で検出できる。面内磁化膜であれば、垂直磁化成分がないことにより面内磁化成分が高感度で検出できる。
【0262】
[調整、感度登録]
(構成59)上記の光学系の被測定磁性体の前、又は後ろ、又は被測定磁性体で反射する光の往復する光路中にファラデーセルを備え、ファラデーセルの変調に対する偏光分離検出信号の変調量が最小になるように、上記の「180度回転非対称鏡映対称偏光光源、分割偏光子、分割半波長素子、分割偏光回転素子、分割1/4半波長素子、分割位相変調器、分割偏光回転変調器、空間位相変調器、空間偏光回転変調器」の位置や変調空間分布を調整することで、垂直磁化成分の検出感度が最小となる位置を探す。
光路中におかれた光束全体に一様に偏光回転を引き起こすファラデーセルを変調し、それによる偏光検出器の出力があれば、光学系が軸対称な感度を有し、垂直磁化成分に対する感度があることがわかる。このファラデーセルの変調による信号がゼロとなるように上記分割光学素子の位置調整や変調分布を調整することで、垂直磁化成分に対する感度がゼロになるように検出系を調整することができる。調整方法は例えば以下のように行う。
【0263】
調整アルゴリズム:
1:分割光学素子の位置Dの変化dDとファラデーセルの変調による信号変調量Fの変化dFの比例係数γを測定して登録する(γ=dD/dF)。
2:i=1。
3:位置D(i)におけるF(i)を測定。
4: もし、F(i)の絶対値が指定値より小さければ終了。
5:D(i+1)=D(i)− γ×F(i)。
6:i=i+1。3行目にいく。
【0264】
(構成60)上記の光学系の被測定磁性体の前、又は後ろ、又は被測定磁性体で反射する光の往復する光路中に予め偏光回転角を校正したファラデーセルを備え、垂直磁化成分を測定する状態で、ファラデーセルにより偏光分離検出器の出力と偏光回転角の関係を登録し、面内磁化成分の測定時にはこの登録した関係を用いて偏光分離検出器の出力から偏光回転角度に換算する。
ファラデーセルは面内磁化成分のみを分離して測定する状態では、ファラデーセルでの偏光回転に対する偏光分離検出器の感度がゼロになり、そのままでは偏光回転角に換算するのに使用できない。そこで、垂直磁化成分を測定する状態で予め校正しておいたファラデーセルによる偏光回転角と偏光分離検出器の出力の関係を測定して登録し、面内磁化成分の測定での偏光分離検出器出力と登録した関係から面内磁化成分の測定値を偏光回転角度に換算することができる。
【0265】
[磁気記録装置]
(構成61)位置移動手段又は回転手段に固定又は着脱可能なように固定された磁性記録媒体をそなえ、上記の測定方法又は測定装置により、磁性記録媒体の磁化ベクトル成分、又は磁性記録媒体の表面磁界ベクトル成分を測定することで、記録情報を読み出すことを特徴とする磁気記録装置が提供される。
面内で直交する2方向又は異なる複数の方向にそって正負の方向に磁化して記録された磁気記録媒体の磁化方向や磁化強度を上記実施形態の方法および装置で読むことができる。また垂直方向にそって正負の方向に磁化して記録された磁気記録媒体の磁化方向や磁化強度も上記実施形態の方法および装置で面内磁化成分を測定する状態から切り替えて読むことができる。さらに、面内の直交する2方向又は異なる複数の方向と垂直方向にそって正負の方向に磁化して記録された磁気記録媒体の磁化方向や磁化強度を上記実施形態の方法および装置で測定する磁化方向を切り替えて読むことができる。さらに、任意の方向に磁化して記録された磁気記録媒体の磁化方向や磁化強度を上記実施形態の方法および装置で異なるいくつかの磁化成分を切り替えて測定することで読むことができる。
【0266】
(第21の実施形態)
図25は、本発明の第21の実施形態による分割半波長板の構成例である直交4分割半波長板2500を示す。第1の半波長板2501の主軸は+22.5度、第2の半波長板2502の主軸は−22.5度、第3の半波長板2503の主軸は+22.5度、第4の半波長板2504の主軸は−22.5度である。±22.5度の主軸方位をもつ半波長板が、互いに直交する第1の境界線2541と第2の境界線2542を境に主軸方位が異なる。
【0267】
この直交4分割半波長板2500は、図26に示すように、直交する移動軸をもつ2つのステージ2606及び2607に固定され、被測定磁性体からの反射光束の通過する光路(例えば図1の111の位置)や、光源の出力位置(例えば図12の1203の位置)に置かれる。この2つのステージ2606及び2607の移動により、直交4分割半波長板2500に光束2605が入射する位置を図25の光ビーム断面位置2531〜2538で切り換えることができる。位置2531〜2534では垂直磁化成分の測定が行える。位置2535及び2537では、面内磁化Y成分の測定ができる。位置2536及び2538では、面内磁化X成分の測定ができる。例えば、図26の位置2602では面内磁化X成分を測定することができ、位置2603では面内磁化Y成分を測定することができ、位置2604では垂直磁化成分を測定することができる。
【0268】
図25の位置2531及び2533に対して、位置2532及び2534の位置では垂直磁化成分に対する感度極性が反転する。また、位置2535及び2537では面内磁化Y成分の感度極性が反転し、位置2536及び2538では面内磁化X成分の感度極性が反転する。
これらの極性の互いに反転する位置で垂直、面内X、Y磁化成分の分布や時間変化波形を測定した結果の差を取ることで、電磁ノイズなどの背景ノイズをキャンセルして測定のS/Nを向上することができる。
【0269】
さらに、光束の入射する位置を第1の分割境界線2541及び第2の分割境界線2542に対して微調整して最適な位置に設定することができる。また、レーザを走査して入射光束位置がずれる場合にも、それに追従して光束の入射する位置を調整することができる。
なお、直交4分割半波長板を光軸のまわりで回転する回転ステージをさらに備えてもよい。
【0270】
[直交4分割半波長板+2軸ステージ]
(構成62)上記構成1の「180度回転非対称偏光素子」は、隣同士の光学特性が異なる分割境界線として、互いに直交して交差する第1及び第2の2つの境界線を少なくとも含み、この2つの境界線により分割された4つの領域をもち、この光学素子を2つの異なる方向に移動可能な2軸ステージをそなえ、このステージの移動により光束がこの光学素子を透過する位置を第1の境界線上と第2の境界線上、および境界線のない領域とのあいだで切り換えることを可能にする。
2つの直交する面内磁化成分の測定や垂直磁化成分の測定との間の切り換えが可能である。また、2つの直交する面内磁化成分の測定において、「180度回転非対称偏光素子」に光束が入射する位置を2つの直交する方向で自由に調整が可能となる。さらに、レーザ走査を行い、「180度回転非対称偏光素子」に光束が入射する位置がずれても、その位置を調整して正しい位置に入射するように調整することが自由にできる。
【0271】
(第22の実施形態)
図27は、本発明の第22の実施形態による測定装置を示し、図9及び図10(A)、(B)の変形例を示す。図1の「180度回転非対称偏光素子」111がない代わりに集光手段である対物レンズ106の上(対物レンズ106及びビームスプリッタ105の間)の光束が往復する光路に分割半波長素子2701を有する。この位置に分割半波長素子2701を挿入することで、光学系のもつ光学特性の180度回転に対する対称性を崩すことができ、被測定磁性体の面内磁化成分の測定が可能になる。
【0272】
図28(A)及び(B)は、図27の対物レンズ106の上に備えられる分割半波長素子2701の例であり、この構成自体は図2(A)及び(B)と同じになっている。光源からの光を直線偏光とし、その偏光方位を分割半波長素子2801の主軸方位角(0度)2803に一致させる。光源からの光2802が分割半波長素子2801を通る場合には偏光は変化を受けずに集光手段に入射する。従って、偏光状態に対する作用は、分割半波長素子2801を反射光のみが通る光路に置いたのと等価になり、面内磁化成分の測定が行える。図28(B)は、上半分の分割半波長板2801と下半分のガラス板2811を接合し、その屈折率と厚みを適当にとることで光源からの入射光の波面特性が乱れるのを防ぐことができる。
【0273】
図29は、図27の対物レンズ106の上に備えられる分割半波長素子2701のもう一つの例である。この分割半波長素子2900は、入射光束断面2903内において直線2904を境界として2つの半波長板領域2901及び2902に分割され、2つのそれぞれの領域2901及び2902における主軸2911及び2912が境界線2904に対して絶対値が等しい±θの角度をなす半波長素子から構成されている。この境界線2904は光軸に交差するようにして置く。例えば、第1の半波長板2901の主軸2911は+θ(+11.25度)であり、第2の半波長板2902の主軸2912は−θ(−11.25度)である。
【0274】
ここでは特に、±θを±11.25度とした例を示した。入射光の偏光方位を0度とすると、入射光束のうち主軸方位が+11.25度の第1の半波長板2901を透過した光の偏光方位は+22.5度となり、被測定磁性体で反射した光は主軸方位が−11.25度の第2の半波長板2902を透過し、カー回転を仮にδ度とすると偏光方位は−45−δ度となる。入射光束のうち第2の半波長板2902を透過した光については反射光は第1の半波長板2901を透過し、その偏光方位は+45−δ度となる。
【0275】
0度または90度の方位の偏光を分離する偏光分離検出器で偏光の変化を検出すると、両領域のカー回転は逆極性で検出される。従って、垂直磁化成分は検出されず、分割半波長素子の境界線に垂直な方位の面内磁化成分のみが検出される。差動偏光検出を行う場合には±θの値として±11.25度をとるのが適する。
【0276】
図30は、図28(A)、(B)及び図29の分割半波長素子3001が、集光手段である対物レンズ3002の入射瞳位置3003におかれている。分割半波長素子3001をこの位置3003におくことにより、レーザ走査により瞳位置3003に傾斜して入射する光束位置がずれても、入射ビーム径が瞳径より十分大きければ、分割半波長素子3001を透過する光束の中心軸は分割半波長素子3002の境界線に対するずれが生じず、被測定磁性体からの反射光束が分割半波長素子3001を通る位置のずれも生じない。従って、偏光分離検出器に入射する光束に対しては、分割半波長素子を通った位置の中心軸からの偏りを低減でき、垂直磁化成分の混入を低減することができる。
【0277】
[集光手段前に分割半波長素子]
(構成63)光源と、前記光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、前記被測定磁性体で反射した光束の偏光状態、又は光量の磁気光学効果による変化を一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を光検出器により検出する偏光分離検出器と、集光手段の前の光が往復する光路に、光束断面内の偏光分布への作用が光軸のまわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する分割半波長素子を有することで、前記被測定磁性体の面内磁化成分の測定を行う測定装置が提供される。
集光手段の前の光が往復する光路に、光束断面内の偏光分布への作用が光軸のまわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する分割半波長素子を有することで光学系のもつ180度回転に対する対称性を崩し、面内磁化成分に対する感度が得られる。
【0278】
[集光手段前に片側分割半波長素子]
(構成64)前記構成63の分割半波長素子は、光束断面内において光軸と交差する直線を境界として2つに分割された領域の一方のみに作用し、主軸方位が境界線と平行または直交する半波長素子を有する分割半波長素子である測定装置が提供される。
光源からの光を直線偏光とし、その偏光方位を分割半波長素子の主軸方位に一致させる。光源からの光が分割半波長素子を通る場合には偏光状態は変化を受けずに集光手段に入射し、被測定磁性体で反射した光は磁気光学効果により偏光が変化するため、分割半波長素子を通ることで偏光分布が作用を受ける。従って、偏光状態に対する作用は、分割半波長素子を反射光のみが通る光路に置いたのと等価になり、面内磁化成分の測定が行える。
【0279】
[集光手段前に±θ度分割半波長素子]
(構成65)前記構成63の分割半波長素子は、光束断面内において直線を境界として2つの領域に分割され、2つのそれぞれの領域における主軸が前記境界線に対して絶対値が等しく、符号が逆である角度をなす半波長素子から構成される分割半波長素子である測定装置が提供される。
分割半波長素子の2つの領域の主軸と境界線とのなす角度を+θ度と−θ度とし、境界線を光学系の光軸に交差するように置く。光源からの出力偏光はこの境界線に平行または直交する直線偏光で、光軸まわりの180度回転対称性と鏡映対称性をもつとする。この場合、分割半波長板の主軸が+θ度の領域を通る入射光の偏光方位は+2θ度となり、集光手段を通って被測定磁性体で反射して分割半波長素子の主軸−θ度の領域を通る反射光の偏光方位はカー回転を仮にδ度とすれば−2θ−δ度となる。これと反対側の領域を通る光の偏光方位は+2θ−δ度となる。
0度または90度の方位の偏光を分離して検出する偏光分離検出器で偏光の変化を検出すると、両領域のカー回転は逆極性で検出される。従って、垂直磁化成分は検出されず、分割半波長素子の境界線に垂直な方位の面内磁化成分のみが検出される。
また、より厳密には、この分割半波長素子は光軸のまわりの180度回転対称性を持たず、境界線と光軸を含む面を鏡映面として鏡映対称性をもつ「180度回転非対称鏡映対称偏光素子」であることから、直接、分割半波長素子の境界線に垂直な方位の面内磁化成分のみが検出されることがわかる。
【0280】
[往復光路に±11.25度分割半波長素子]
(構成66)前記構成65の分割半波長素子の前記境界線に対する主軸の角度が+11.25度と−11.25度であることを特徴とする測定装置が提供される。
この場合、分割半波長板の主軸が+11.25度の領域を通る入射光の偏光方位は+22.5度となり、集光手段を通って被測定磁性体で反射して分割半波長素子の主軸−11.25度の領域を通る反射光の偏光方位はカー回転を仮にδ度として−45−δ度となる。これと反対側の領域を通る光の偏光方位は+45−δ度となる。0度と90度の方位の偏光を分離する差動偏光検出器で偏光の変化を検出すると、カー回転のない時には直交する偏光の強度が等しいためその検出出力はゼロとなり、前記構成301と同様に、垂直磁化成分は検出されず、分割半波長素子の境界線に垂直な方位の面内磁化成分のみが検出される。カー回転のないときの差動偏光検出器出力をゼロとすることができるため、光量ノイズの影響を受けにくく、高い測定S/Nが得られる。
【0281】
[集光手段入射瞳位置に±θ度分割半波長素子]
(構成67)前記構成63の分割半波長素子は、集光手段の入射瞳に位置する。
レーザ走査系を備えてレーザ走査を行う場合には、たとえ対物レンズに入射する光束の位置がレーザ走査に伴ってずれたとしても、対物レンズに入射する光束の径が対物レンズの瞳径にくらべて十分大きければ、被測定磁性体で反射して対物レンズ瞳を透過したレーザ光束の中心が分割半波長素子の境界線に一致するため、レーザ走査位置によって光束への分割半波長素子の作用位置がずれるのを防ぐことができる。従って、広い視野範囲に対して面内磁化成分を正確に測定できる。また、結像レンズと画像検出素子により磁化分布を画像観察する場合や、結像レンズと接眼レンズにより目視観察する場合にも、広い視野範囲に対して面内磁化成分を正確に観察できる。
【0282】
[微小磁性体付きSIL磁界測定装置]
(構成68)上記構成47で、ソリッドイマージョンレンズにそなえた磁性体は集光スポット径より小さくし、その周囲に遮光膜をそなえる。
ソリッドイマージョンレンズにそなえた磁性体を集光スポット径より小さくすることで、磁界測定の空間分解能を光回折限界を超えて集光スポット径より小さくすることができる。さらに、被測定磁性膜から生じるもれ磁界を測定するような場合、ソリッドイマージョンレンズの磁性体からはみだした光が被測定磁性体に照射されて磁気カー効果を受けた反射光が偏光分離検出器に入射し、磁界測定を妨げるのを防ぐことができる。この場合、磁性体での光反射は微小磁性体粒子による光散乱現象に近くなってくるが、このような場合にも上記の物理法則の対称性に基づいた面内磁化成分を分離して測定する方法は有効である。
【0283】
以上のように、上記の実施形態によれば、偏光分離検出器を簡単な構成のままで面内磁化及び/又は磁界成分を垂直磁化及び/又は磁界成分から分離して測定することが可能で、S/Nの高い検出が可能となる。また、簡単な構成で面内磁化の直交する2成分と垂直磁化成分、又は、面内磁界の直交する2成分と垂直磁界成分を切り替えて測定することが可能になる。
【0284】
また、仮に2分割又は4分割フォトディテクタを使用すると、走査型のレーザ顕微測定法にしか適用できない。本発明の実施形態では、走査型のレーザ顕微測定法だけでなく、カメラや目視により画像を一括して観察することも可能になる。また、ソリッドイマージョンレンズや、近接場プローブ顕微鏡にも適用でき、通常の光学顕微鏡の限界を超える分解能で、面内磁化成分を垂直磁化成分から分離して測定することが可能になる。
【0285】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0286】
本発明の実施形態は、例えば以下のように種々の適用が可能である。
(付記1)被測定磁性体の面内磁化成分を測定するための測定装置であって、
光源と、
前記光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、
前記被測定磁性体で反射した光束の偏光状態、又は光量の磁気光学効果による変化を検出するために、一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を光検出器で検出する偏光分離検出器と、
前記被測定磁性体からの反射光のみに作用し、かつ、その入射光束断面内の偏光分布への作用が光軸のまわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する180度回転非対称偏光素子と
を有する測定装置。
(付記2)前記180度回転非対称偏光素子は、半波長の位相差を発生する素子を含み、光束断面内で非一様に作用する分割半波長素子である付記1記載の測定装置。
(付記3)前記分割半波長素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その一方の領域に作用する光に対してのみ半波長の位相差を発生する付記2記載の測定装置。
(付記4)前記180度回転非対称偏光素子は、偏光回転素子を含み、光束断面内で非一様な偏光回転作用をもつ分割偏光回転素子である付記1記載の測定装置。
(付記5)前記分割偏光回転素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その一方の領域の偏光回転角と、もう一方の領域の偏光回転角が異なるように構成し、一方の偏光回転角がゼロでもよい付記4記載の測定装置。
(付記6)前記分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角度の差の絶対値が10度以下である付記4記載の測定装置。
(付記7)前記分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角度の差が90度である付記4記載の測定装置。
(付記8)前記180度回転非対称偏光素子は、それが作用する光束の光束断面内の偏光分布への作用が、光軸を含むある平面の鏡映面に対する鏡映対称性をもつ180度回転非対称鏡映対称偏光素子である付記1記載の測定装置。
(付記9)前記偏光分離検出器の偏光検出方位と前記180度回転非対称鏡映対称偏光素子の鏡映対称面のなす角の絶対値が90度の整数倍である付記8記載の測定装置。
(付記10)前記偏光分離検出器の偏光検出方位と前記180度回転非対称鏡映対称偏光素子の鏡映対称面のなす角の絶対値が45度である付記8記載の測定装置。
(付記11)前記180度回転非対称鏡映対称偏光素子は、光束が作用する領域内で、2つ以上に分割された領域に対して2つ以上の異なる主軸方位角をもつ半波長の位相差を発生する素子を含む分割半波長素子である付記8記載の測定装置。
(付記12)前記分割半波長素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その両領域の主軸方位は境界線に対して絶対値が同じで互いに符号の異なるゼロ度ではない角度をなすように構成される付記11記載の測定装置。
(付記13)前記分割半波長素子は、光束が作用する断面領域内で分割された領域の主軸方位が、鏡映対称面と光束断面の交差する線、又は前記分割境界線となす角の絶対値が0度でなく5度以下である付記11記載の測定装置。
(付記14)前記分割半波長素子は、光束が作用する断面領域内で分割された領域の主軸方位が、鏡映対称面と光束断面の交差する線、又は前記分割境界線となす角が+22.5度と−22.5度である付記12記載の測定装置。
(付記15)前記180度回転非対称鏡映対称偏光素子は、光束が作用する領域内で、2つ以上に分割された領域に対して2つ以上の異なる主軸方位角をもつ1/4波長の位相差を発生する素子を含む分割1/4半波長素子である付記8記載の測定装置。
(付記16)前記分割1/4半波長素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その両領域の1/4波長素子の主軸方位は境界線に対して絶対値が同じで互いに符号の異なるゼロ度ではない角度をなすように構成される付記15記載の測定装置。
(付記17)前記分割1/4半波長素子は、光束が作用する断面領域内で分割された領域の主軸方位が、鏡映対称面と光束断面の交差する線、又は前記境界線となす角が+45度と−45度である付記15記載の測定装置。
(付記18)前記180度回転非対称鏡映対称偏光素子は、光束が作用する領域内で、偏光回転作用が非一様な分布をもつ分割偏光回転素子である付記8記載の測定装置。
(付記19)前記分割偏光回転素子は、光束が作用する断面領域内で光軸と交差する直線を境界線として分割され、その一方の偏光回転角が他方の偏光回転角と絶対値が同じで符号の異なるゼロではない値となるように構成される付記18記載の測定装置。
(付記20)前記分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角の角度差の絶対値が10度以下である付記18記載の測定装置。
(付記21)前記分割偏光回転素子の領域により異なる偏光回転角の角度差の絶対値が90度である付記18記載の測定装置。
(付記22)光源として、その出力光束が、光軸回りの180度回転に対して光軸に直交する光束断面内での強度分布は対称性をもつが偏光状態分布は対称性をもたず、かつ、光軸を含むある面を境界面とした鏡映に対して光束断面内の強度分布と偏光状態分布がともに対称であるような180度回転非対称鏡映対称偏光光源と、
前記180度回転非対称鏡映対称偏光光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、
前記被測定磁性体で反射した光束の偏光状態、又は光量の磁気光学効果による変化を検出するために、一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を光検出器で検出する偏光分離検出器とを有し、
前記光源光出力から前記偏光分離検出器の直前までの光路にあって光束に作用する光学素子は、光束への光強度分布と偏光分布に対する作用が光軸回りの180度回転と前記鏡映面に対する鏡映に対して対称性をもち、
前記偏光分離検出器の1つまたは互いに直交する2つの偏光分離検出方位と前記鏡映面、または、前記被測定磁性体による磁気光学作用のないときに入射する光束の鏡映対称面とのなす角を90度の整数倍にして置くことで、
前記被測定磁性体の面内磁化ベクトルの1成分のみを他の直交する2成分から分離して測定を可能とした測定装置。
(付記23)前記180度回転非対称鏡映対称偏光光源の光出力の光束断面内での偏光分布は、光軸に直交して光軸と交差する直線を境界線として偏光状態が異なり、それぞれの領域では直線偏光であり、その方位角が前記境界線となす角度は絶対値が等しく逆符号であるように構成される付記22記載の測定装置。
(付記24)前記の180度回転非対称鏡映対称偏光光源の光出力の光束断面内での異なる偏光方位間の角度差の絶対値が10度以下である付記23記載の測定装置。
(付記25)前記180度回転非対称鏡映対称偏光光源の光出力の光束断面内での異なる偏光方位間の角度差の絶対値が90度である付記23記載の測定装置。
(付記26)前記180度回転非対称鏡映対称偏光光源は、
自然偏光光源又は部分偏光光源又は直線偏光光源と、
一方の偏光成分を取り出す偏光子から構成され前記直線偏光光源の出力光束断面内で非一様な作用をする分割偏光子とを含む付記22記載の測定装置。
(付記27)前記180度回転非対称鏡映対称偏光光源は、
直線偏光光源と、
半波長の位相差を発生する素子を含み前記直線偏光光源の出力光束断面内で非一様な作用をする分割半波長素子とを有する付記22記載の測定装置。
(付記28)前記180度回転非対称鏡映対称偏光光源は、
直線偏光光源と、
偏光を回転する素子を含み前記直線偏光光源の出力光束断面内で非一様な作用をする分割偏光回転素子とを有する付記22記載の測定装置。
(付記29)前記180度回転非対称偏光素子は、分割された領域における各発生位相差を外部制御可能な分割位相変調器である付記1記載の測定装置。
(付記30)前記180度回転非対称偏光素子は、位相差の空間分布を外部制御可能な空間位相変調器である付記1記載の測定装置。
(付記31)前記180度回転非対称偏光素子は、分割された領域における各偏光回転角を外部制御可能な分割偏光回転変調器である付記1記載の測定装置。
(付記32)前記180度回転非対称偏光素子は、偏光回転角の空間分布を外部制御可能な空間偏光回転変調器である付記1記載の測定装置。
(付記33)さらに、光学系のもつ鏡映対称面と光束断面との交線に対して主軸方位のなす角度の絶対値が22.5度である半波長素子を光路中の前記被測定磁性体と前記偏光分離検出器の間に挿入する機構を有する付記14記載の測定装置。
(付記34)さらに、回転角の絶対値が45度である偏光回転素子を光路中の前記被測定磁性体と前記偏光分離検出器の間に挿入する機構を有する付記14記載の測定装置。
(付記35)さらに、前記180度回転非対称偏光素子の光軸まわりの方位角を回転調整するための手動又は自動の回転調整ステージを有する付記1記載の測定装置。
(付記36)さらに、前記180度回転非対称偏光素子の位置を移動調整するための手動又は自動の位置調整ステージを有する付記1記載の測定装置。
(付記37)前記分割半波長素子は、隣同士の光学特性が異なる分割境界線として、互いに直交する2つの第1及び第2の境界線を少なくとも含み、
さらに、前記第1及び第2の境界線はある1つの直線と一方が重なり他方が交差するか、又は両方とも交差するように配置され、その直線にそった方向に前記分割半波長素子を移動可能なステージを有し、
前記ステージの移動のみで光束が前記分割半波長素子に入射する位置を第1の境界線上と第2の境界線上と境界線のない領域との間で切り換えることが可能である付記2記載の測定装置。
(付記38)被測定磁性体の面内磁化成分を測定するための測定装置であって、
光源と、
前記光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、
前記被測定磁性体の面内磁化成分に対する感度をもたせるために、前記被測定磁性体で反射した光束のみに作用し、かつ、その光束断面内の偏光分布への作用が光軸まわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する180度回転非対称偏光素子と、
前記180度回転非対称偏光素子により作用された光の一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離する偏光分離素子と、
結像レンズ及び画像検出素子を含み、前記偏光分離素子により分離された偏光成分が各画素に入射する光を検出して磁化分布画像データを取得するための検出器と
を有する測定装置。
(付記39)被測定磁性体の面内磁化成分を測定するための測定装置であって、
光源と、
前記光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、
前記被測定磁性体の面内磁化成分に対する感度をもたせるために、前記被測定磁性体で反射した光束のみに作用し、かつ、その光束断面内の偏光分布への作用が光軸まわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する180度回転非対称偏光素子と、
前記180度回転非対称偏光素子により作用された光の一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離する偏光分離素子と、
前記偏光分離素子により分離された偏光成分を基に磁化分布の目視を可能とするための結像レンズ及び接眼レンズと
を有する測定装置。
(付記40)前記光源は、磁性体の磁化状態の変化動作、又は磁性体の移動動作に同期をとって発光するパルス幅が100ps以下の短パルスレーザ光源である付記1記載の測定装置。
(付記41)さらに、前記光源からの光ビームが前記集光手段で集光される集光スポット位置を走査するための光走査手段と、
前記光走査手段の少なくとも一方向の走査に同期して前記180度回転非対称偏光素子の位置を移動調整するための自動位置調整ステージとを有する付記1記載の測定装置。
(付記42)さらに、前記180度回転非対称偏光素子に入射する光束位置が前記集光レンズの瞳位置と光学的に一致させるためのリレーレンズを有する付記1記載の測定装置。
(付記43)前記180度回転非対称偏光素子は、前記被測定磁性体での透過光又は透過往復光を入射し、
前記被測定磁性体のファラデー効果による偏光回転を測定する付記1記載の測定装置。
(付記44)前記集光手段は、ソリッドイマージョンレンズを含む付記1記載の測定装置。
(付記45)さらに、磁性体を備えたプローブを前記集光手段の集光部に有し、プローブの磁性体の磁化ベクトル成分を測定することにより磁性体のおかれた位置の空間磁界ベクトル成分を測定することができる付記1記載の測定装置。
(付記46)前記プローブに備えられた磁性体は、垂直磁化膜である付記45記載の測定装置。
(付記47)前記磁性体を備えたプローブは、底面に磁性体を備えるソリッドイマージョンレンズである付記45記載の測定装置。
(付記48)前記磁性体を備えたプローブは、光透過性で磁気光学効果をもつソリッドイマージョンレンズである付記45記載の測定装置。
(付記49)前記集光手段は、近接場光を発生する近接場プローブであり、
さらに、近接場光が前記被測定磁性体と相互作用して生じた伝搬光を集光するための伝搬光集光手段を有する付記1記載の測定装置。
(付記50)前記近接場プローブは、先端部が磁気光学効果をもつ磁性体をもち、
前記近接場プローブの先端部の空間磁界ベクトル成分を測定することができる付記49記載の測定装置。
(付記51)前記集光手段は、集光レンズ又は集光ミラーと、その集光位置に配置された鋭利な先端をもつ光散乱型近接場プローブとからなり、そのプローブ先端と被測定磁性体で散乱した光を集光してその偏光状態又は反射率の変化を検出する付記1記載の測定装置。
(付記52)前記光散乱型近接場プローブは、先端部が磁気光学効果をもつ磁性体である付記51記載の測定装置。
(付記53)さらに、前記180度回転非対称偏光素子から出射する光束、又は前記180度回転非対称偏光素子へ入射する光束のうち一部を遮光する遮光マスクを有する付記1記載の測定装置。
(付記54)前記遮光マスクは、回転又は移動により遮光領域を変えることができる付記53記載の測定装置。
(付記55)さらに、前記光源の出力に偏光状態を外部より制御可能な偏光変調器を有する付記1記載の測定装置。
(付記56)さらに、前記光源から前記被測定磁性体までの間の光路と、前記被測定磁性体から前記偏光分離検出器までの間の光路との2箇所に偏光状態を外部より制御可能な偏光変調器を有する付記1記載の測定装置。
(付記57)前記偏光変調器は、変調を周期的に行い、
前記偏光分離検出器の出力する前記変調周期に同期した信号成分を検出する付記55記載の測定装置。
(付記58)前記分割位相変調器は、変調分布特性の変調を周期的に行い、
前記偏光分離検出器の出力する前記変調周期に同期した信号成分を検出する付記29記載の測定装置。
(付記59)さらに、前記被測定磁性体の前、後ろ、又は前記被測定磁性体で反射する光の往復する光路中に設けられるファラデーセルを有し、
前記ファラデーセルの変調に対する前記偏光分離検出器の出力信号の変調量が最小になるように、前記180度回転非対称偏光素子の位置や変調空間分布を調整することで、垂直磁化成分の検出感度が最小となる位置を探すことができる付記1記載の測定装置。
(付記60)さらに、前記被測定磁性体の前、後ろ、又は前記被測定磁性体で反射する光の往復する光路中に予め偏光回転角を校正したファラデーセルと、
垂直磁化成分を測定する状態で、前記ファラデーセルにより前記偏光分離検出器の出力と偏光回転角の関係を登録し、面内磁化成分の測定時には前記登録した関係を用いて前記偏光分離検出器の出力から偏光回転角度に換算する換算手段を有する付記1記載の測定装置。
(付記61)光源と、
位置移動手段又は回転手段に固定又は着脱可能なように固定された磁性記録媒体と、
前記光源からの光束を集光して磁性記録媒体に照射する集光手段と、
前記磁性記録媒体の面内磁化成分に対する感度をもたせるために、前記磁性記録媒体で反射した光束のみに作用し、かつ、その光束断面内の偏光分布への作用が光軸まわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する180度回転非対称偏光素子と、
前記磁性記録媒体の磁化状態を測定するために、前記180度回転非対称偏光素子により作用された光の偏光状態又は光量の磁気光学効果による変化を一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を検出することにより、前記磁性記録媒体の磁化ベクトル成分、又は前記磁性記録媒体の表面磁界ベクトル成分を測定することで、記録情報を読み出す読出手段と
を有する磁気読出装置。
【0287】
【発明の効果】
以上説明したように、偏光分離検出器を簡単な構成のままで面内磁化及び/又は磁界成分を垂直磁化及び/又は磁界成分から分離して測定することが可能で、S/Nの高い検出が可能となる。また、簡単な構成で面内磁化の直交する2成分と垂直磁化成分、又は、面内磁界の直交する2成分と垂直磁界成分を切り替えて測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による測定装置の構成例を示す図である。
【図2】図2(A)及び(B)は本発明の第2の実施形態による180度回転非対称偏光素子の典型例である分割半波長素子の例を示す図である。
【図3】図3(A)及び(B)は本発明の第3の実施形態による180度回転非対称偏光素子の典型例である分割偏光回転素子の例を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子の典型例である分割半波長素子の例を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子の典型例である分割1/4半波長素子の例を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子である分割偏光回転素子の例を示す図である。
【図7】本発明の第7の実施形態による180度回転非対称鏡映対称偏光素子である分割半波長素子を使用したサンプリング式走査型カー顕微鏡の例を示す図である。
【図8】図8(A)及び(B)は図7の顕微鏡に取り付けた分割半波長素子の第1の構成例である2分割半波長板を示す図である。
【図9】2分割半波長板をステージに固定したようすを示す図である。
【図10】図10(A)及び(B)は図7の顕微鏡に取り付けた分割半波長素子の第2の構成例である4分割半波長板を示す図である。
【図11】図11(A)〜(D)はモータステージに固定した4分割半波長板を使用して、磁気ヘッドの磁化分布と磁化の時間応答波形を測定した例を示す図である。
【図12】本発明の第8の実施形態による測定装置を示す図である。
【図13】本発明の第9の実施形態による分割半波長素子の例を示す図である。
【図14】図14(A)〜(D)は本発明の第10の実施形態による分割位相変調器の例を示す図である。
【図15】本発明の第11の実施形態による空間位相変調器の例を示す図である。
【図16】本発明の第12の実施形態による測定装置の例を示す図である。
【図17】本発明の第13の実施形態による測定装置の例を示す図である。
【図18】本発明の第14の実施形態による測定装置の例を示す図である。
【図19】図19(A)及び(B)は本発明の第15の実施形態によるソリッドイマージョンレンズの例を示す図である。
【図20】図20(A)〜(C)は本発明の第16の実施形態による磁界プローブの例を示す図である。
【図21】図21(A)及び(B)は本発明の第17の実施形態によるSIL磁界プローブの例を示す図である。
【図22】本発明の第18の実施形態による測定装置の例を示す図である。
【図23】本発明の第19の実施形態による測定装置の例を示す図である。
【図24】図24(A)〜(E)は本発明の第20の実施形態による遮光板の例を示す図である。
【図25】本発明の第21の実施形態による分割半波長板の構成例である直交4分割半波長板を示す図である。
【図26】移動ステージに固定された直交4分割半波長板を示す図である。
【図27】本発明の第22の実施形態による測定装置を示す図である。
【図28】図28(A)及び(B)は対物レンズの上に備えられる分割半波長素子の例を示す図である。
【図29】対物レンズの上に備えられる分割半波長素子の他の例を示す図である。
【図30】対物レンズの入射瞳位置におかれる分割半波長素子を示す図である。
【符号の説明】
101 光源
102 半波長板
103 直線偏光
104 光軸
105 ビームスプリッタ
106 対物レンズ
107 被測定磁性体
108 ステージ
109 反射光束
110 光軸
111 180度回転非対称偏光素子
112 半波長板
113 偏光ビームスプリッタ
114 レンズ
115 光検出器
116 I/Vアンプ
117 差動アンプ
118 差動偏光検出信号
119 レンズ
120 光検出器
121 I/Vアンプ
122 加算アンプ
123 加算信号
124 制御部

Claims (10)

  1. 被測定磁性体の面内磁化成分を測定するための測定装置であって、
    光源と、
    前記光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、
    前記被測定磁性体で反射した光束の偏光状態、又は光量の磁気光学効果による変化を検出するために、一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を光検出器で検出する偏光分離検出器と、
    前記被測定磁性体からの反射光のみに作用し、かつ、その入射光束断面内の偏光分布への作用が光軸のまわりの180度回転に対して非対称性をもつように作用する180度回転非対称偏光素子と
    を有する測定装置。
  2. 前記180度回転非対称偏光素子は、さらに、その入射光束に対する作用が光軸を含むある面に対する鏡映対称性をもつ180度回転非対称鏡映対称偏光素子とすることで、前記被測定磁性体の面内磁化ベクトルの1成分のみを他の直交する2成分から分離して測定を可能とした請求項1記載の測定装置。
  3. 前記180度回転非対称偏光素子は、光束断面内の一部に作用する半波長の位相差を生じる半波長素子、又は光束断面内の分割された領域で主軸方位の異なる半波長素子から構成される分割半波長素子である請求項1又は2記載の測定装置。
  4. 前記180度回転非対称偏光素子は、光束断面内で非一様な偏光回転作用をもつ分割偏光回転素子である請求項1又は2記載の測定装置。
  5. 光源として、その出力光束が、光軸回りの180度回転に対して光軸に直交する光束断面内での強度分布は対称性をもつが偏光状態分布は対称性をもたず、かつ、光軸を含むある面を境界面とした鏡映に対して光束断面内の強度分布と偏光状態分布がともに対称であるような180度回転非対称鏡映対称偏光光源と、
    前記180度回転非対称鏡映対称偏光光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、
    前記被測定磁性体で反射した光束の偏光状態、又は光量の磁気光学効果による変化を検出するために、一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を光検出器で検出する偏光分離検出器とを有し、
    前記光源光出力から前記偏光分離検出器の直前までの光路にあって光束に作用する光学素子は、光束への光強度分布と偏光分布に対する作用が光軸回りの180度回転と前記鏡映面に対する鏡映に対して対称性をもち、
    前記偏光分離検出器の1つまたは互いに直交する2つの偏光分離検出方位と前記鏡映面、または、前記被測定磁性体による磁気光学作用のないときに入射する光束の鏡映対称面とのなす角を90度の整数倍にして置くことで、
    前記被測定磁性体の面内磁化ベクトルの1成分のみを他の直交する2成分から分離して測定を可能とした測定装置。
  6. 被測定磁性体の面内磁化ベクトルの1成分のみを他の直交する2成分から分離して測定するための測定装置であって、
    光源と、
    前記光源からの光束を集光して被測定磁性体に照射する集光手段と、
    前記被測定磁性体で反射した光束の偏光状態、又は光量の磁気光学効果による変化を一方向の偏光成分又は互いに直交する偏光成分を分離してその各成分の光量を光検出器により検出する偏光分離検出器と、
    光源と集光手段の間の光が往復する光路に、光束断面内において直線を境界として2つの領域に分割され、2つのそれぞれの領域における主軸が前記境界線に対して絶対値が等しく、符号が逆である角度をなす半波長素子からなる分割半波長素子と
    を有する測定装置。
  7. 前記180度回転非対称偏光素子は、分割された領域における各発生位相差を外部制御可能な分割位相変調器である請求項1記載の測定装置。
  8. 前記光検出器は、画像検出素子と、画像検出素子に結像する結像レンズとを有することで、被測定磁性体の面内磁化分布の画像データを取得することを可能にした請求項1〜7のいずれか1項に記載の測定装置。
  9. 前記集光手段は、
    近接場光を発生する近接場プローブと、
    近接場光が前記被測定磁性体と相互作用して生じた伝搬光を集光する集光部とを有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の測定装置。
  10. さらに、磁性体を備えたプローブを有し、
    前記プローブの磁性体の磁化ベクトル成分を測定することにより、プローブ位置における空間磁界ベクトル成分の測定を可能とした請求項1〜9のいずれか1項に記載の測定装置。
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