JP4223257B2 - 合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類の処理方法 - Google Patents

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Landscapes

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  • Non-Flushing Toilets (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
防災用あるいは介護用のトイレとして、いわゆるパクトトイレと称されるトイレが提供されている。このパクトトイレは、人のした糞尿を一回ごとに合成樹脂シートで密封パックし、それをトイレ下のタンクに収容していくというもので、周囲を汚さないので衛生管理が容易で、悪臭がすることもない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類については、後処理が問題である。即ち、現状では、合成樹脂シートと糞尿類を分別し、糞尿類は浄化槽へ、合成樹脂シートは産業廃棄物として処分しなければならず、この分別作業を機械で行うとランニングコストがかかり、人手であっても手間がかかる上、ひどい悪臭のため作業者の確保が容易ではない。
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類を悪臭を広がらせることなく容易に処理することができる処理方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類を密閉耐圧容器中に入れ、高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器内の、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類を高温高圧下で所定の時間蒸煮処理することを特徴とする、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類の処理方法によって解決される。
【0006】
蒸煮処理は、密閉耐圧容器内の圧力を15〜25Kg/cm2の範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行うとよい。
【0007】
この処理方法では、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類をそのまま密封耐圧容器中に入れて処理するようにしているので、密封耐圧容器中に入れる際に糞尿の悪臭が周囲に広がることはないし、また、蒸煮処理中に悪臭が外に広がり出ることもない。
【0008】
合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類は、高温高圧下で蒸煮処理することによって、合成樹脂シートは化学変化をすることなく溶解し、そして、糞尿類に含まれる、アンモニアや硫化水素を発生する嫌気性微生物及び雑菌は殺され、糞尿特有の悪臭を発しなくなる。これにより、蒸煮処理後に処理物を耐圧容器から取り出す際に悪臭を放つこともない。
【0009】
特に、密閉耐圧容器中に、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類とともに木類を入れて高温高圧下で蒸煮処理を行う場合は、蒸煮処理によって木酢液を生じ、この木酢液と糞尿類中のアンモニアとが中和反応を起こし、また、木類の炭化が部分的に進みポーラス状となることによってそこに臭いが吸着吸収され、糞尿類の悪臭をより一層効果的になくすことができる。木類としては、ナラ、カラマツ、クヌギ、ブナ、カシなどの広葉樹木、スギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹木、その他、竹類、樹皮類、わら類など、主成分としてヘミセルロース、セルロース等が含まれるものであればよい。木類は、チップ状や粉状の細片にして用いるとよい。
【0010】
こうして、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類を悪臭を広がらせることなく容易に処理することができる。
【0011】
また、この処理済み内容物は、高温高圧下での蒸煮処理によって、無菌化されると共に糞尿中の易分解性物質も分解されるので、微生物や酵素などによる発酵が短時間で行われ、発酵させることによってこれを肥料や土壌改良材として使用することが可能となる。処理済み内容物に消滅型分解菌を加える場合は、蒸煮処理物を水と二酸化炭素に容易に分解することができる。
【0012】
蒸煮処理によって溶解した合成樹脂は、縮小し固化して蒸煮処理物中に残るだけであり、蒸煮処理物を発酵させて肥料や土壌改良材にしたり、土壌材にする場合には、肥料や土壌改良材、土壌材の中に無害物として残るにすぎない。また、合成樹脂については、焼いたのではなく蒸煮しただけであるから、物質の状態変化をするだけで化学変化をすることはなく、合成樹脂シートが塩素系化合物からなるものであるか否かを問わず、蒸煮処理中に有害ガスを発生するということもない。従って、糞尿類を密封パックしている合成樹脂シートは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非塩素系化合物からなっていてもよいし、塩化ビニルなどの塩素系化合物からなっていてもよい。このように、本発明の処理方法によれば、合成樹脂シートと糞尿類とを分別する必要もなく、処理を容易に行っていくことができる。なお、蒸煮処理の温度、圧力条件は、合成樹脂シートを化学変化させることなく溶解させうる程度のものに設定しておけばよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)
図1に示すように、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類1をパクトトイレ2から回収し、これをパックされたそのままのかたちで蒸煮処理用の密閉耐圧容器3中に入れ、また、木類としてのおがくず4も入れ、内部を密閉し、ボイラー5から耐圧容器3内に高温高圧の飽和水蒸気を送り込み、耐圧容器3内を200°C、20atmにして、撹拌しながら蒸煮処理を30分から1時間程度行った。しかる後、弁6を開いて耐圧容器3内を減圧していき、その時排出される水蒸気を冷却し、液分を回収容器7に回収し、最後に、耐圧容器3から処理物8を取り出した。
【0014】
取り出した処理物8には糞尿特有の悪臭はなく、土壌材として遜色なく用いることができるものであった。また、回収容器7に回収された液分を調べたところ、タール分の含まれない高品質の木酢液であることが判明した。
【0015】
そして、処理物8を二週間程度堆積しておくと発酵が進んで肥料、土壌改良材9が得られ、また、消滅型分解菌10を加えると、二酸化炭素と水に分解してその存在がなくなっていった。
【0016】
(第2実施例)
合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類1をそのままのかたちで蒸煮処理用の密閉耐圧容器3中に入れ、木類は入れることなく、必要に応じて木類以外の水分調整材を入れ、内部を密閉し、ボイラー5から耐圧容器3内に高温高圧の飽和水蒸気を送り込み、耐圧容器3内を200°C、20atmにして撹拌しながら蒸煮処理を30分から1時間程度行った。しかる後、弁6を開いて耐圧容器3内を減圧し、耐圧容器3から処理物8を取り出した。
【0017】
この場合も、取り出した処理物8には糞尿特有の悪臭はなく、また処理物8は土壌材として遜色なく用いることができるものであった。処理物8を二週間程度堆積しておくと発酵が進んで肥料、土壌改良材9が得られ、また、消滅型分解菌10を加えると、二酸化炭素と水に分解してその存在がなくなっていったことも上記の場合と同様であった。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、以上のとおりのものであるから、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類を悪臭を広がらせることなく容易に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法に用いる設備の概略構成図である。
【符号の説明】
1…合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類
3…耐圧容器
4…おがくず(木類)
5…ボイラー
8…処理物
9…肥料、土壌改良材

Claims (3)

  1. 合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類とともに木類を密閉耐圧容器中に入れ、高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器内の、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類と木類を高温高圧下で所定の時間蒸煮処理することを特徴とする、合成樹脂シートで密封パックされた糞尿類の処理方法。
  2. 前記蒸煮処理は、密閉耐圧容器内の圧力を15〜25Kg/cm2の範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行う請求項1に記載の処理方法。
  3. 蒸煮処理物を発酵させる請求項1又は2に記載の処理方法。
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