以下、本発明に係る電気光学装置用基板及び電気光学装置を、液晶装置用基板及び液晶装置を例にとって図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、本実施の形態の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
(第1実施形態)
まず、図1から図4を参照して本発明の電気光学装置の一実施形態である液晶装置について説明する。図1は、本実施形態の液晶装置の外観構造を示している。図2は、その液晶装置の断面構造を示している。図3は、その液晶装置を構成する液晶装置用基板におけるいくつかの表示ドット部分を拡大して平面的に示している。図4は、図2の要部を拡大して示している。なお、ここに示す液晶装置1は、いわゆる半透過反射型のパッシブマトリクス方式の液晶装置である。
図1に示すように、液晶装置1は、ガラス板や合成樹脂板等から成る透明な、すなわち透光性を有する第1基材11を基体とする液晶装置用基板10と、これに対向する同様の第2基材21を基体とする対向基板20とを有する。これらの基板10及び20は、シール材30によって互いに貼り合せられる。そして、それらの基板10及び20の間であって、シール材30によって囲まれる領域内に注入口30aを通して液晶が注入され、その後、注入口30aが封止材31によって封止される。これにより、液晶層を有したセル構造が形成される。
第1基材11の内面(すなわち、第2基材21に対向する表面)上には複数並列したストライプ状の透明電極16が形成され、第2基材21の内面上には複数並列したストライプ状の透明電極22が形成されている。また、透明電極16は配線18Aに導電接続され、透明電極22は配線28に導電接続されている。透明電極16と透明電極22とは相互に直交し、その交差領域はマトリクス状に配列された多数の表示ドットを構成し、これらの表示ドットの集まりによって表示領域Aを構成している。
第1基材11は第2基材21の外側へ張り出す張出し部10Tを有し、この張出し部10T上には、配線18A、配線28に対してシール材30の一部で構成される上下導通部を介して導電接続された配線18B、及び独立して形成された複数の配線パターンからなる入力端子部19が形成されている。また、張出し部10T上には、これらの配線18A、18B、及び入力端子部19に対して導電接続されるように、液晶駆動回路等を内蔵した半導体IC69が実装されている。また、張出し部10Tの端部には、入力端子部19に導電接続されるように、フレキシブル配線基板68が実装される。
この液晶装置1においては、図2に示すように、第1基材11の外面に位相差板としての1/4波長板40及び偏光板41が配置され、第2基材21の外面には位相差板としての1/4波長板50及び偏光板51が配置される。また、図1及び図2に示すように、液晶装置1の背面には、LED61等を光源とした照明装置60が緩衝材66を介して配設される。
LED61はLED基板62によって固定される。LED61から出射した照明光は、導光体63によって第1基材11に導入される。導光体63の液晶層側の表面には拡散シート65が装着され、導光体63のその反対側の表面には反射シート64が装着されている。
(液晶装置用基板の構造)
次に、図2、図3及び図4を参照して、液晶装置用基板10の構造について具体的に説明する。第1基材11の表面には、反射層12が形成されている。反射層12は、例えば、アルミニウム、銀若しくはこれらの合金、又はアルミニウム、銀若しくはこれらの合金と、チタン、窒化チタン、モリブデン、タンタル等との積層膜から構成される。
この反射層12には、図4に示すように、表示ドットD毎に、外光を反射する反射部12rと、光を透過する透過部12aとが設けられている。反射層12の透過部12aは、反射層12に設けられる開口部、すなわち貫通穴、によって構成することもできるし、あるいは反射層12におけるその他の部分よりも厚さの薄い部分によって構成することもできる。本実施形態においては、透過部12aは開口部、すなわち貫通穴、として形成されている。
なお、透過部12aがその他の部分よりも厚さの薄い部分として形成されると、第1基材11と反射層12との接合部が外部へ露出せず、従って、水等といった不純物が当該接合部へ侵入することを防止できる。このため、反射層12を安定した状態に保持できる。
反射層12の上には、例えば、SiO2やTiO2等といった無機材料又はアクリル樹脂やエポキシ樹脂等といった有機樹脂等によって、絶縁層25が形成される。この絶縁層25には、反射層12の透過部12aと平面的に重なる領域に窪みとしての開口部、すなわち貫通穴、25aが形成されている。
なお、絶縁層25は、実質的に光を透過する透光層であってもよい。また、絶縁層25の窪み25aは開口部に代えて凹部、すなわち有底穴とすることもできる。また、絶縁層25が透光層である場合、その絶縁層25は、母材と、母材中に分散されていて当該母材とは屈折率の異なる微粒体とを有する材料によって形成できる。このように構成すれば、透光層に光散乱機能を持たせることが可能になる。
また、絶縁層25は、反射層12の液晶層側の表面(すなわち、反射面)を保護する機能を持つこともできる。例えば、反射層12としてアルミニウム、銀若しくはこれらの合金、又はアルミニウム、銀若しくはこれらの合金と、チタン、窒化チタン、モリブデン、タンタル等との積層膜を用いる場合には、絶縁層25を保護膜として機能させることが有効である。
絶縁層25の上には、ITO(Indium Tin Oxide)等といった透明導電体から成る透明電極16が形成されている。この電極16は、反射層12の反射部12rに対応する位置に配置されると共に、少なくとも絶縁層25の開口部25aに入り込むことにより、反射層12の透過部12aに対応する位置の表面に凹部を有している。
電極16は、図3の紙面上下方向に延びる帯状に形成され、複数の電極16が相互に並列してストライプ状に構成されている。これらの電極16を用いることにより、図2の液晶層42の表示ドットD部分に電圧を印加できる。電極16上、及び電極16が形成されていない領域に対応する絶縁層25上には、ポリイミド樹脂等から成る配向膜17が形成される。
図4において、絶縁層25の開口部25aは反射層12の透過部12aと平面的に重なる領域に形成されるので、第1基材11の表面上には、反射層12の透過部12a及び絶縁層25の開口部25aによって凹形状が形成される。そして、電極16及び配向膜17はこの凹形状を再現するように配置されているので、液晶装置用基板10の表面には凹部10aが形成される。
(対向基板の構造)
一方、液晶装置用基板10と対向する対向基板20は、第2基材21上に、反射層12に平面的に重なるように着色層14が設けられ、その上をアクリル樹脂やエポキシ樹脂等といった透明樹脂から成る表面保護層、すなわちオーバーコート層、15が被覆している。この構成により、コントラストに優れたフルカラー表示を実現することができる。
着色層14は、通常、透明樹脂中に顔料や染料等の着色材を分散させて所定の色調を呈するものとされている。着色層14の色調の一例としては原色系フィルタとしてR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の組合せからなるものがあるが、これに限定されるものではなく、補色系その他の種々の色調で形成することができる。
なお、着色層14は、通常、第2基材21の表面上に顔料や染料等といった着色材を含む感光性樹脂からなる着色レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によって不要部分を除去することによって、所定のカラーパターンに形成される。ここで、複数の色調の着色層14を形成する場合には上記工程を繰り返す。
上記のように表示ドットD毎に形成された着色層14の間のドット間領域には、黒色遮光膜14BMが形成される。この黒色遮光膜14BMは、ブラックマトリクス、ブラックマスク等と呼ばれることがある。この黒色遮光膜14BMとしては、例えば、黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたものや、クロム、酸化クロム又はそれらの積層膜等の金属薄膜等を用いることができる。
なお、着色層14の配列パターンとして、図3に示す例ではストライプ配列を採用しているが、このストライプ配列の他に、デルタ配列や斜めモザイク配列等の種々のパターン形状を採用することができる。
図4において、対向基板20上には、さらに、ITO等といった透明導電体から成る透明電極22及びポリイミド樹脂等から成る配向膜24が順次に積層されている。反射層12の透過部12aに対応する位置の配向膜17と対向基板20側の配向膜24との間隔は、反射層12の反射部12rに対応する位置の配向膜17と配向膜24との間隔よりも大きくなっている。こうすれば、反射層12の透過部12aに対応する位置の液晶層42の厚さ“b”を、反射層12の反射部12rに対応する位置の液晶層42の厚さ“a”よりも厚くすることができる。これにより、反射型表示における画像表示の明るさを低下させることなく、透過型表示における透過光の利用効率を高めることができる。この作用効果の詳細については後述する。
対向基板20上の透明電極22と、液晶装置用基板10上の透明電極16とは、互いに直交するように配置され、それらの交点は図2及び図3に示すようにマトリクス状に配列する。そして、そのマトリクス状の各交点が一つの表示ドットDを構成する。
(液晶層の構造)
図4において、液晶装置用基板10と対向基板20との間には、液晶が充填されて液晶層42が形成されている。このとき、液晶装置用基板10の液晶層42に接する表面には、上述のように表示ドットD毎に凹部10aが形成されているので、液晶層42を構成する液晶はこの凹部10a内に入り込んだ状態、すなわち、絶縁層25の開口部25aの内側に入り込んだ状態になる。このため、反射層12の透過部12aに対応する位置の液晶層42の厚さ“b”は、反射層12の反射部12rに対応する位置の液晶層42の厚さ“a”よりも厚くなっている。
さらに、出願人の実験によると、反射層12の反射部12rに対応する位置の液層層42の厚さ“a”と、反射層12の透過部12aに対応する位置の液晶層42の厚さ“b”とは、1.8a≦b≦2.4aの関係式が満足されるように形成されていることが好ましい。この関係式を満たさない条件では、透過部12aにおける透過率が90%よりも小さくなり、それ故、透過部12aにおける透過型表示は暗くなってしまう。
本実施形態の液晶装置1は以上のように構成されているので、反射型表示によって画像表示を行う場合は、対向基板20側から入射した外光は、着色層14等から構成されている対向基板20及び液晶層42を通過した後に反射部12rで反射し、再び液晶層42及び対向基板20を通過して外部へ出射する。このとき、反射光は対向基板20と液晶装置用基板10との間の液晶層42を2回通過する。
一方、透過型表示によって画像表示を行う場合は、液晶装置用基板10の背面側に配設された照明装置60のLED61等からの照明光の一部が反射層12の透過部12aを通過して液晶層42へ入射し、着色層14等によって構成された対向基板20を通過して外部へ出射する。このとき、透過光は液晶層42を1回だけ通過する。
このように、液晶層42を構成する液晶が、液晶装置用基板10の液晶層42側の表面に形成された凹部10aの中へ入り込むと、液晶層42の厚さが反射層12の透過部12aと重なる領域において厚くなるため、透過型表示を行っている透過光に作用する液晶層42のリタデーション(Δn・d、ここでΔnは液晶層の屈折率異方性、dは液晶層の厚さ)が増大し、その結果、透過型表示における透過光の利用効率を高めることができる。つまり、反射型表示における画像表示の明るさを低下させることなく、明るい透過型表示を実現することができる。 図5は、上記のように液晶層の厚さを変えた場合の効果を説明するための図である。図4に示した液晶装置1の場合と同様に、図5において、液晶装置用基板TE1には、透過部Raを備えた反射層Rの上に、絶縁層Tが、反射層Rの透過部Ra上に開口部を有するように形成されている。液晶装置用基板TE1の背面には照明装置としてのバックライトBLが配置されている。
このとき、透過部Raと平面的に重なる領域の液晶層の厚さ“b”を、それ以外の領域の液晶層の厚さ“a”の2倍にしたとする。ここでは、説明の都合上、ホモジニアス方式のネマティック液晶層LCが構成されているとし、さらに、この液晶層LCのリタデーションがΔn・a=λ/4、Δn・b=λ/2(Δnは液晶層LCの屈折率異方性、λは光の波長)であるとする。
上記の状況では、液晶層LCが光透過状態にある場合、透過型表示では、(A)に示すように、バックライトBLからの照明光が偏光板P2を通過して直線偏光となり、さらに、位相差板(例えば、1/4波長板)D2を通過することにより、例えば、右回りの円偏光となる。この偏光は、厚さ“b”の液晶層を通過することから位相差がさらに1/2波長進んで、左回りの円偏光となる。この円偏光は対向基板TE2を通過し、位相差板D1を通過することでさらに1/4波長進んで元の直線偏光になり、偏光板P1を通過する。
また、上記と同じく液晶層LCが光透過状態にあるとき、反射型表示では、(B)に示すように、外光が偏光板P1を通過して直線偏光となり、位相差板(例えば、1/4波長板)D1を通過することにより、例えば、右回りの円偏光になる。この円偏光は、厚さ“a”の液晶層を往復で二度、通過することから位相差がさらに1/2波長進んで左回りの円偏光となり、再び位相差板D1を通過することにより元の直線偏光に戻って偏光板P1を通過する。
ここで、(C)に示すように、透過型表示において、仮に厚さ“a”(すなわち、(A)に示す液晶層の厚さ“b”の半分)の液晶層を通過する場合を想定してみると、その液晶層LCのリタデーションはλ/4となるので、照明光が偏光板P2、位相差板D2を経て液晶層LCを通過した後の偏光状態は、当初とは直交する方向の直線偏光となり、その後、位相差板D1を通過して左回りの円偏光となり、さらに、偏光板P1を通過する。このとき、偏光板P1を通過することができる偏光成分は、(A)に示した透過型表示の偏光成分のほぼ半分となる。 以上説明したように、本実施形態のような半透過反射型の液晶装置の場合には、反射層Rの透過部Raと平面的に重なる領域の液晶層の厚さ“b”がそれ以外の領域の液晶層の厚さ“a”より厚くなると、光透過状態における光透過率が高くなり、特に、透過部Raと平面的に重なる領域の液晶層の厚さ“b”がそれ以外の領域の液晶層の厚さ“a”のほぼ2倍になると、光透過量も、また、ほぼ2倍になる。
そして、出願人の実験によると、液晶層を構成するネマティック液晶の屈折率異方性をΔn、反射部の位置に対応する液晶層の厚さ“a”との積をΔn・a、透過部Raの位置に対応する液晶層の厚さ“b”との積をΔn・bとすると、
1.8Δn・a≦Δn・b≦2.4Δn・a
の関係式が満足されるように構成することで、透過型表示を行うときの透過部Raにおける透過率を90%以上とすることができ、それ故、明るい透過表示を行うことができることが判明した。
液晶層LCがホモジニアス方式ではなく、液晶層LCにツイストが存在すると透過率が向上しない場合もあるが、例えば、40°ツイストの液晶では、透過部Raと平面的に重なる領域の液晶層の厚さ“b”をそれ以外の領域の液晶層の厚さの2倍にすれば40%程度の透過率の向上を得ることができる。
この構成によれば、透過型表示に対する透過光の利用効率を向上させ、透過型表示を明るくすることができるので、例えば、バックライト等の照明光量を低減することができ、それ故、バックライトの小型化、薄型化、軽量化や消費電力の低減を達成できる。また、透過型表示の明るさが十分に確保されていれば、透過部Raの開口面積を縮小して、反射部の面積を増加させることにより、反射型表示の明るさを向上させることもできる。
また、図4における絶縁層25は、反射層12の透過部12aを形成するときにレジストマスクとして利用できるので、従来の液晶装置用基板10の製造工程を何ら複雑化させることはない。なお、液晶装置用基板10の製造方法については後述する。
(第2の実施形態)
次に、図6から図8を参照して本発明に係る電気光学装置の他の実施形態である液晶装置について説明する。図6は、その液晶装置101の主要部の断面構造を示している。図7は、その液晶装置101を構成する液晶装置用基板を図6におけるZ軸の正方向から見た平面図である。図8は、その液晶装置101を構成する対向基板を図6におけるZ軸の正方向から見た平面である。なお、図6は、図7のX1−X1’線及び図8のX2−X2’線に従った断面図である。
この液晶装置101は、アクティブ素子(すなわち、能動素子)としてTFD(Thin Film Diode)素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置であって、図6において、対向基板120には、着色層114に平面的に重なって配置される透明電極122及びその透明電極122に接続されるスイッチング素子として機能するアクティブ素子としてのTFD素子130が設けられる。この構成により、消費電力を低減することができると共に、液晶装置の小型化を実現できる。
図6及び図7に示すように、液晶装置用基板110においては、第1基材111上に反射部112r及び透過部112aを備えた反射層112が形成され、この反射層112上に絶縁層125が形成されている。絶縁層125には、反射層112の透過部112aと重なるように開口部125a、すなわち貫通穴が形成されている。
また、絶縁層125の上には、走査線として機能する透明電極116が、反射層112が形成されている領域を覆うように形成され、さらに少なくとも透明電極116上及び透明電極116が形成されない領域に対応する絶縁層125上に配向膜117が形成される。これらの反射層112、絶縁層125、透明電極116及び配向膜117は、図4に示した実施形態において用いたものと同様の素材から構成されている。
図6及び図8に示すように、対向基板120は、着色層114とTFD素子130とを有するカラーフィルタアレイ基板であって、第2基材121の上にTFD素子130が形成されている。TFD素子130は、第1金属層131と、この第1金属層131の表面に形成された絶縁層132と、この絶縁層132の上に形成された第2金属層133とによって構成されている。このようにTFD素子130は、第1金属層131/絶縁層132/第2金属層133から成る積層構造、いわゆるMIM(Metal Insulator Metal)構造によって構成されている。
そして、第1基材111上に形成された透明電極116と平面的に交差するように、画素信号を供給する信号線134が第2基材121上に形成され、この信号線134がTFD素子130と電気的に接続している。
TFD素子130を構成する第1金属層131は、例えば、タンタル単体、タンタル合金等によって形成される。第1金属層131としてタンタル合金を用いる場合には、主成分のタンタルに、所定の元素、例えば、タングステン、クロム、モリブデン、レニウム、イットリウム、ランタン、ジスプロシウム等のような周期律表の第6〜第8族に属する元素を添加する。
絶縁層132は、例えば、陽極酸化法によって第1金属層131の表面を酸化することによって形成された酸化タンタル(Ta2O3)によって形成され、さらにその上には、第2金属層133が、例えば、クロム等といった導電材によって形成される。
このようにしてTFD素子130が形成された第2基材121の上には、さらに、着色層114が表示ドットD毎に形成される。そして、これらの着色層114の間のドット間領域には黒色遮光膜114BM、いわゆるブラックマトリクス或いはブラックマスク、が形成されている。本実施形態において、1つの表示ドットとは、第2基材121上の1つの透明電極122と第1基材111上の透明電極116とが平面的に重なる領域として定義される。また、これらの着色層114及び黒色遮光膜114BMは図3に示した実施形態において用いたものと同様の材料から構成されている。
着色層114の表面には、ITO等といった透明導電体から成る透明電極122及びポリイミド樹脂等から成る配向膜124が順次に積層され、さらに、透明電極122はコンタクトホール122aを介してTFD素子130と電気的に接続している。配向膜124は、少なくとも透明電極122上、透明電極122が形成されない領域に対応する着色層114上及び黒色遮光膜114BM上に形成されている。
液晶装置用基板110と対向基板120との間には液晶が充填されて液晶層142が形成される。この液晶層142を構成する液晶は、液晶装置用基板110の液晶層142側の表面に形成された凹部110a内に入り込んだ状態(すなわち、少なくとも絶縁層125の開口部125aの内側に入り込んだ状態)になっている。このとき、反射層112の反射部112rに対応する位置の液晶層142の厚さ“a”と、透過部112aに対応する位置の液晶層142の厚さ“b”は、
1.8a≦b≦2.4a
の関係式が満足されるように形成されることが好ましい。
また、液晶層142を構成するネマティック液晶の屈折率異方性をΔn、反射部112rに対応する位置の液晶層の厚さ“a”との積をΔn・a、透過部112aに対応する位置の液晶層の厚さ“b”との積をΔn・bとすると、
1.8Δn・a≦Δn・b≦2.4Δn・a
の関係式が満足されるように形成されることが好ましい。
この構成により、図3に示した実施形態と同様の作用効果を得ることができ、反射型表示における画像表示の明るさを低下させることなく、透過型表示における透過光の利用効率を高めることができる。
また、本実施形態では、反射層112が形成される第1基材111上にTFD素子130を形成しないので、反射層112が形成される第1基材111上にTFD素子130を形成する場合に比べて、液晶装置用基板110の製造工程を簡略化できる。そして、TFD素子130が形成される第2基材121上に着色層114及び黒色遮光膜114BMを形成するので、着色層114及び黒色遮光膜114BMをTFD素子130と別の基板上に形成する場合に比べて、対向基板120及び液晶装置用基板110の貼り合わせ時の組みズレの影響を低減することができる。
(第3実施形態)
次に、図9及び図10を参照して本発明に係る電気光学装置の他の実施形態である液晶装置について説明する。図9は、その液晶装置201の主要部の断面構造を示している。図10は、その液晶装置201を構成する対向基板220を図9におけるZ軸の負方向から見た平面構造を示している。この対向基板220は、カラーフィルタアレイ基板と呼ばれることもある。なお、図9は、図10のX3−X3’線に従った断面図である。本実施形態は、アクティブ素子(すなわち、能動素子)として3端子型の能動素子であるTFT(Thin Film Transistor)素子230を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置である。
図9において、対向基板220は、着色層214に平面的に重なって配置される透明電極222及びその透明電極222に接続されるスイッチング素子が設けられているカラーフィルタアレイ基板である。そして、第2基材221の上にスイッチング素子として機能するアクティブ素子としてのTFT素子230が形成されている。
TFT素子230は、第2基材221上に形成されたゲート電極231と、このゲート電極231の上で第2基材221の全域に形成されたゲート絶縁膜232と、このゲート絶縁膜232を挟んでゲート電極231の上方位置に形成された半導体層233と、その半導体層233の一方の側にコンタクト電極234を介して形成されたソース電極235と、その半導体層233の他方の側にコンタクト電極236を介して形成されたドレイン電極239とを有する。
ゲート電極231はゲートバス配線237から延びるように形成されており、また、ソース電極235はソースバス配線238から延びるように形成されている。図10において、ゲートバス配線237は基材221の横方向に延びていて縦方向へ等間隔で平行に複数本形成される。また、ソースバス配線238はゲート絶縁膜232を挟んでゲートバス配線237と交差するように縦方向に延びて横方向へ等間隔で平行に複数本形成される。
ゲートバス配線237及びゲート電極231は、例えば、クロム、タンタル等によって形成される。ゲート絶縁膜232は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiOX)等によって形成される。半導体層233は、例えば、A−Si、多結晶シリコン、CdSe等によって形成される。ソース電極235及びそれと一体なソースバス配線238並びにドレイン電極239は、例えば、チタン、モリブデン、アルミニウム等によって形成される。ゲートバス配線237は走査線として作用し、ソースバス配線238は信号線として作用する。
TFT素子230が形成された第2基材221の上には、さらに着色層214が表示ドットD毎に形成され、これらの着色層214の間のドット間領域には黒色遮光膜214BMが形成されている。この黒色遮光膜214BMは、ブラックマトリクス或いはブラックマスクとも呼ばれる。本実施形態において、1つの表示ドットDとは、第2基材221上の1つの透明電極222と第1基材211上の透明電極216が平面的に重なる領域によって定義される。これら着色層214及び黒色遮光膜214BMは、図4に示した実施形態で用いたものと同様の材料から構成されている。
着色層214の表面には、ITO等といった透明導電体から成る透明電極222及びポリイミド樹脂等から成る配向膜224が順次に積層され、さらに、透明電極222はコンタクトホール222aを介してTFT素子230と電気的に接続される。
液晶装置用基板210には、図4の実施形態の場合と同様に、反射部212r及び透過部212aを備えた反射層212が第1基材211上に形成され、この反射層212上に絶縁層225が形成される。また、さらに、絶縁層225上には、透明電極216及び配向膜217が順次に形成される。また、絶縁層225には、反射層212の透過部212aと重なるように開口部、すなわち貫通穴225aが形成される。これら反射層212、絶縁層225、透明電極216及び配向膜217は、図4の実施形態で用いたものと同様の素材から構成されている。
液晶装置用基板210と対向基板220との間には液晶が充填されて液晶層242が形成される。液晶層242を構成する液晶は、液晶装置用基板210の液晶層242側の表面に形成された凹部210a内に入り込んだ状態、すなわち、少なくとも上記絶縁層225の開口部225aの内側に入り込んだ状態になっている。
このとき反射層212の反射部212rに対応する位置の液晶層242の厚さ“a”と、透過部212aに対応する位置の液晶層242の厚さ“b”は、
1.8a≦b≦2.4a
の関係式が満足されるように形成されることが好ましい。
また、液晶層242を構成するネマティック液晶の屈折率異方性をΔn、反射部212rの位置に対応する液晶層の厚さ“a”との積をΔn・a、透過部212aの位置に対応する液晶層の厚さ“b”との積をΔn・bとすると、
1.8Δn・a≦Δn・b≦2.4Δn・a
の関係式が満足されるように形成されることが好ましい。
この構成により、図4の実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができ、反射型表示における画像表示の明るさを低下させることなく、透過型表示における透過光の利用効率を高めることができる。また、本実施形態においても、図6の実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、反射層212が形成される第1基材211上にTFT素子230を形成しないので、反射層212が形成される第1基材211上にTFT素子230を形成する場合に比べて、液晶装置用基板210の製造工程を簡略化できる。
また、TFT素子230が形成される第2基材221上に着色層214及び黒色遮光膜214BMを形成するので、着色層214及び黒色遮光膜214BMをTFT素子230と別の基板上に形成する場合に比べて、対向基板220及び液晶装置用基板210の貼り合わせ時の組みズレの影響を低減することができる。
(第4実施形態)
次に、図11(a)〜(f)を参照して、本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法の実施形態について、液晶装置用基板の製造方法を例にとって具体的に説明する。本実施形態は、図4に示した液晶装置1に用いられる液晶装置用基板10の製造方法に関するものである。
まず、図11(a)に示すように、第1基材11上に、アルミニウム、銀若しくはこれらの合金、又はアルミニウム、銀若しくはこれらの合金と、チタン、窒化チタン、モリブデン、タンタル等の金属を蒸着法やスパッタリング法等によって薄膜状に成膜し、これを公知のフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする。これにより、表示ドット毎に区画された厚さ50nm〜250nm程度の反射層12を形成する。
次に、図11(b)に示すように、反射層12の全域に厚さ0.5μm〜2.5μm程度の絶縁膜25Xを形成する。絶縁膜25Xの母材としては、SiO2やTiO2等といった無機材料又はアクリル樹脂やエポキシ樹脂等といった有機樹脂等を用いることができる。また、有機樹脂等の母材と屈折率の異なる微粒体を、その母材中に分散して構成された材料を用いて、絶縁層25Xを形成してもよい。この構成により、反射型表示の画像表示に際し、適度な散乱を生じさせ、表示画面に顔等が映り込むのを防止することができる。
次に、図11(c)に示すように、絶縁膜25X(図11(b)参照)をフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、後述する反射層12の透過部12aに対応する領域に開口部25aが配置されるようにパターニングすることにより、絶縁層25を形成する。
次に、図11(d)に示すように、絶縁層25をレジストマスクとして反射層12をエッチングすることで、反射層12に開口部、すなわち貫通穴を開けて透過部12aを形成する。通常のエッチング工程においては、レジストマスクはエッチング工程が終了した後にアッシング工程等によって除去されるが、本実施形態においては、絶縁層25をマスクにして反射層12を露光して当該反射層12に開口部を形成するため、それらの工程を省略することができる。
次に、図11(e)に示すように、基材11上の全域にITO等といった透明導電体からなる透明導電層16’を形成する。この透明導電層はスパッタリング法により成膜することができる。そして、この透明導電層に対してフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてパターニングをすることにより、透明電極16を形成する。
次に、図11(f)に示すように、第1基材11の全域にポリイミド樹脂等から成る配向膜17を形成し、さらにこの配向膜17に対してラビング処理を施す。こうして、液晶装置用基板10が形成される。
(変形例1)
次に、図12及び図13を参照して、図4に示した液晶装置1の変形例について説明する。この変形例は、図12に示す液晶装置用基板310を除いて、図4の液晶装置1と同様に構成されるので、同様の部分には同一符号を付して、それらの説明は省略する。
本変形例では、図12及び図13に示すように、第1基材311の表面には、SiO2やTiO2等といった無機材料又はアクリル樹脂やエポキシ樹脂等といった有機樹脂等によって下地層325が形成される。この下地層325は、開口部すなわち貫通穴によって構成された透過部325aを表示ドットD毎に有する。また、この下地層325は、例えば、絶縁性を有する絶縁層であることが好ましい。また、本変形例においても、対向基板20上の透明電極22と、液晶装置用基板310上の透明電極316とは、互いに直交するように配置され、それらの交差点はマトリクス状に配列され、そのマトリクス状の各交差点が1つの表示ドットDを構成している。
下地層325上には反射層312が形成され、この反射層312には、反射部312r及び光を透過する透過部312aが設けられる。この透過部312aは開口部、すなわち貫通穴として形成されている。また、この透過部312aは、下地層325の開口部325aと重なるように形成されている。反射層312は、アルミニウム、銀若しくはこれらの合金、又はアルミニウム、銀若しくはこれらの合金と、チタン、窒化チタン、モリブデン、タンタル等との積層膜から構成されている。
また、下地層325は、反射層312の透過部312aに対応する領域以外の領域において、反射層312側の表面に凹凸(図示略)を有することが好ましい。下地層325の表面に凹凸を設ければ、この上に積層される反射層312の反射部312rの表面にも凹凸が形成され、反射型表示の画像表示に際し適度な散乱が生じ、表示画面に顔等が映り込むことを防止できる。
反射層312の上には、ITO等といった透明導電体から成る透明電極316が形成される。また、透明電極316の上には、ポリイミド樹脂等から成る配向膜317が形成される。透明電極316は、反射層312の端部を覆うように形成される。これは、反射層312としてアルミニウム、銀若しくはこれらの合金、又はアルミニウム、銀若しくはこれらの合金と、チタン、窒化チタン、モリブデン、タンタル等との積層膜を用い、それにITO等を積層させるという層構造においてパターニングを行う場合に、良好にエッチングを行うために有効である。
透明電極316は図13の紙面上下方向に延びる帯状に形成され、複数の透明電極316が相互に並列してストライプ状に構成されている。また、透明電極316は、反射層312の反射部312rの位置に対応して配置されると共に、少なくとも下地層325の開口部325aに入り込む。これにより、反射層312の透過部312aに対応する位置の表面に凹部310aが形成される。この構成により、下地層325の開口部325aを有効に活用して、明るい透過型の画像表示を実現できる。
このように構成された液晶装置においては、液晶装置用基板310の液晶層342側の表面に凹部310aが形成され、この凹部310aの中に液晶層342を構成する液晶が入り込む。これにより、液晶層342の厚さに関しては、反射層312の透過部312aと重なる領域において厚くなる。このため、図4の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、反射型表示において、光が下地層325を通過しないので、光が下地層325を透過するときの光量の損失を無くすことができる。これにより、反射型表示の反射率をさらに向上させることができる。
なお、図12の変形例は、図4のようなパッシブマトリクス方式の液晶装置だけではなく、図6に示したTFD素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置や、図9に示したTFT素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置においても適用できる。また、TFD素子、TFT素子等を反射層が設けられる第1基材上に形成するようにしてもよい。
(変形例2)
次に、図14を参照して、液晶装置の他の変形例について説明する。この変形例は、対向基板420を除いて、図4に示した実施形態と同様に構成されているので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図14において、第2基材421の表面に、着色層414が表示ドットD毎に形成され、これらの着色層414の間のドット間領域には黒色遮光膜414BMが形成される。この黒色遮光膜414BMは、ブラックマトリクス或いはブラックマスクとも呼ばれる。この黒色遮光膜414BMは、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等といった透明樹脂から成る表面保護層415によって被覆される。
表面保護層415の液晶層側には、第2基材421に対向して配置された液晶装置用基板10上の反射層12の透過部12aに対応する領域に、凹部415aが形成されている。
表面保護層415の上には、ITO等といった透明導電体から成る透明電極422が形成され、さらに、この透明電極422の上にはポリイミド樹脂等から成る配向膜424が形成される。この配向膜424の表面には、表面保護層415の凹部415aが再現され、これにより、対向基板420はその表面に凹部420aをする。対向基板420上の透明電極422と、液晶装置用基板10上の透明電極16とは、互いに直交するように配置され、それらの交点はマトリクス状に配列され、そのマトリクス状の各交点が1つの表示ドットDを構成する。
本変形例では、対向基板420も凹部420aを有するため、液晶層442を構成する液晶は、液晶装置用基板10の凹部10aと対向基板420の凹部420aとのそれぞれに入り込む。これにより、透過部12aと平面的に重なる領域の液晶の厚さ“b”を、それ以外の領域の液晶層の厚さ“a”を不変に保持したまま、さらに厚く形成することが可能になる。
一方、本変形例によれば、透過部12aに対応する領域の液晶層442の厚さ“b”を図4の実施形態の場合と同じに設定しようとする場合、液晶装置用基板10に設けられる凹部10a及び対向基板420に設けられる凹部420aのそれぞれの深さを、図4の実施形態においける凹部10aの深さよりも小さくすることができる。これにより、凹部10aにおける段差に起因して透明電極16に断線が生じることを低減できる。
また、本変形例によれば、凹部10a及び凹部420aの深さを、それぞれ、図4の実施形態における凹部10aの深さと比較して小さくすることができるので、表面保護層415の凹部415aの内側面に透明電極422をスパッタによって形成する場合、及び絶縁層25の開口部25aの内側面に透明電極16をスパッタによって成する場合に、凹部415aの内側面及び開口部25aの内側面に、それぞれ、透明電極422及び透明電極16が良好に形成されないという不具合が生じることを低減できる。
また、本変形例によれば、凹部10a及び凹部420aの深さをそれぞれ図4の実施形態における凹部10aの深さと比較して小さくすることができるので、凹部10a及び凹部420aのそれぞれの内側面に形成されるテーパを、図4の実施形態における凹部10aのテーパよりも、より90°に近い値にすることができる。これにより、テーパが平面的に占める領域を小さくすることができ、テーパが平面的に占める領域に起因する表示の不具合を低減することができる。
なお、図14の変形例は、図4のようなパッシブマトリクス方式の液晶装置だけではなく、図6に示したTFD素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置や、図9に示したTFT素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置においても適用できる。また、TFD素子、TFT素子等を反射層が設けられる第1基材上に形成するようにしてもよい。
また、液晶装置用基板10の凹部10aは、反射部12rの形成領域に対応する液晶装置用基板10の表面から凹部10aの底までの深さb1を有する。一方、対向基板420の凹部420aは、反射部12rの形成領域に対応する対向基板420の表面から凹部420aの底までの深さb2を有する。そして、本変形例では、b1>b2となるように凹部10a及び凹部420aを設定している。 これは、液晶装置用基板10はその構造が簡単であるので、深さの大きな凹部を形成するのに適しており、その反面、着色層414を備えていて構造が複雑な対向基板420は深い凹部を形成するのに適していないからである。本変形例のように、構造の簡単な液晶装置用基板10における凹部10aの深さb1を大きく形成し、さらに、構造の複雑な対向基板420における凹部420aの深さb2を小さく形成すれば、液晶装置用基板10及び対向基板420の製造時における歩留まりを向上できる。
(変形例3)
次に、図15を参照して、液晶装置の他の変形例について説明する。この変形例は、図12に示した液晶装置用基板310と図14に示した対向基板420とを用いた液晶装置である。
この構成の液晶装置においては、液晶装置用基板310と対向基板420のそれぞれに凹部310a及び凹部420aが設けられるので、液晶層542を構成する液晶はそれらの凹部310a及び凹部420aのそれぞれに入り込む。これにより、開口部、すなわち貫通穴として構成された透過部312aに対して平面的に重なる領域の液晶層542の厚さ“b”を、それ以外の領域の液晶層542の厚さ“a”を不変に保持したまま、さらに厚く形成することが可能になる。
また、透過部312aに対応する領域の液晶層542の厚さ“b”を図4の実施形態の場合と同じ値に設定しようとする場合、液晶装置用基板310に設けられる凹部310a及び対向基板420に設けられる凹部420aのそれぞれの深さは、図4の実施形態における凹部10aの深さよりも小さくすることができる。このため、凹部310aにおける段差に起因して透明電極316に断線が生じることを低減できる。
また、本変形例によれば、凹部310a及び凹部420aの深さを、それぞれ、図4の実施形態における凹部10aの深さと比較して小さくできるので、表面保護層415の凹部415aの内側面に透明電極422をスパッタによって形成する場合、及び下地層325の開口部325aの内側面に透明電極316をスパッタによって形成する場合に、凹部415aの内側面及び開口部325aの内側面のそれぞれに透明電極が良好に形成されないという不具合が生じるのを低減できる。
また、本変形例によれば、凹部310a及び凹部420aの深さをそれぞれ図4の実施形態における凹部10aの深さと比較して小さくできるので、凹部310a及び凹部420aのそれぞれの内側面に形成されるテーパを、図4の実施形態における凹部10aのテーパよりも、より90°に近い値とすることができ、テーパが平面的に占める領域を小さくすることができる。これにより、テーパが平面的に占める領域に起因する表示の不具合を低減できる。
さらに、本変形例では、下地層325が底上げ層としての機能を有するため、反射型表示における光の通過距離を短くでき、その結果、反射型表示の透過率をさらに向上できる。
なお、本変形例は、図4のようなパッシブマトリクス方式の液晶装置だけではなく、図6に示したTFD素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置や、図9に示したTFT素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置においても適用できる。また、TFD素子、TFT素子等を反射層が設けられる第1基材上に形成するようにしてもよい。
また、液晶装置用基板310の凹部310aは、反射部312rの形成領域に対応する液晶装置用基板310の表面から凹部310aの底までの深さb1を有する。一方、対向基板420の凹部420aは、反射部312rの形成領域に対応する対向基板420の表面から凹部420aの底までの深さb2を有する。そして、本変形例では、b1>b2となるように凹部310a及び凹部420aを設定している。
これは、液晶装置用基板310はその構造が簡単であるので、深さの大きな凹部を形成するのに適しており、その反面、着色層414を備えていて構造が複雑な対向基板420は深い凹部を形成するのに適していないからである。本変形例のように、構造の簡単な液晶装置用基板310における凹部310aの深さb1を大きく形成し、さらに、構造の複雑な対向基板420における凹部420aの深さb2を小さく形成すれば、液晶装置用基板310及び対向基板420の歩留まりを向上できる。
(変形例4)
次に、図16を参照して、液晶装置のさらに他の変形例について説明する。この変形例は、液晶装置用基板610の構造を除いて、上記の図4の実施形態と同様に構成されているので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図16において、第1基材611の表面に反射層612が形成される。この反射層612は、例えば、アルミニウム、銀若しくはこれらの合金、又はアルミニウム、銀若しくはこれらの合金と、チタン、窒化チタン、モリブデン、タンタル等との積層膜から構成される。また、この反射層612には、光を透過する透過部612aが開口部、すなわち貫通穴として表示ドットD毎に設けられている。 反射層612の上には、SiO2やTiO2等といった無機材料又はアクリル樹脂やエポキシ樹脂等といった有機樹脂等から構成される絶縁層625が形成され、この絶縁層625は、反射層612の透過部612aと平面的に重なる領域に、その他の領域よりも厚さの薄い領域625aが設けられている。
また、絶縁層625の上には、ITO等といった透明導電体から成る透明電極616が形成され、この透明電極616の上にはポリイミド樹脂等から成る配向膜617が形成されている。
この構成の液晶装置は、液晶装置用基板610の凹部610aに液晶層642を構成する液晶が入り込むので、液晶層642の厚さが反射層612の透過部612aと重なる領域において厚くなる。これにより、図4の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、絶縁層625の厚さの薄い領域625aの厚さを調節することで、液晶層の厚さ“b”を調節することが可能であり、これによって、透過光の利用効率が最も高くなるように液晶層642の厚さを設定することができる。
なお、図16の変形例は、図4のようなパッシブマトリクス方式の液晶装置だけではなく、図6に示したTFD素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置や、図9に示したTFT素子を有するアクティブマトリクス方式の液晶装置においても適用できる。また、TFD素子、TFT素子等を反射層が設けられる第1基材上に形成するようにしてもよい。
(電子機器の実施形態)
次に、今までに説明した液晶装置を表示部に用いた電子機器の実施形態について説明する。図17は、本実施形態の電子機器の全体構成をブロック図によって示している。ここに示す電子機器は、液晶装置1と、これを制御する制御手段700とを有する。液晶装置1は、パネル構造体701と、半導体IC等で構成される駆動回路702とを有する。また、制御手段700は、表示情報出力源703と、表示情報処理回路704と、電源回路706と、タイミングジェネレータ707とを有する。
表示情報出力源703は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から成るメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等から成るストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを有する。タイミングジェネレータ707によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路704に供給するように構成されている。
表示情報処理回路704は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等といった周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路702へ供給する。駆動回路702は、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路706は、上記の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
図18は、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話機を示している。この携帯電話機710では、ケース体711の内部に回路基板712が配置され、この回路基板712に対して上記の液晶装置1が実装されている。この液晶装置1の表示面、すなわち図1の画像表示領域Aは、表示窓718を通して外部から視認できる。
ケース体711の前面には操作ボタン713が配列され、また、一端部からアンテナ714が出没自在に取付けられている。受話部716の内部にはスピーカが配置され、送話部717の内部にはマイクが内蔵されている。
(その他の実施形態)
本発明の電気光学装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、図1に示した液晶装置は、ICチップを基板上に直接に実装する構造、いわゆるCOG(Chip On Glass)方式の構造を有するが、これに代えて、例えば、フレキシブル配線基板やTAB基板を介してICチップを液晶装置に実装する構造を採用することもできる。さらに、本発明は、液晶以外の電気光学物質、例えば、EL発光素子等を電気光学物質として用いた電気光学装置にも適用できる。
1、101、201:液晶装置、10、110、210、310、610:液晶装置用基板、10a、110a、210a、310a、610a:凹部、11、111、211、311、611:第1基材、12、112、212、312、612:反射層、12a、112a、212a、312a、612a:透過部、12r、112r、212r、312r:反射部、14、114、214、414:着色層、14BM、114BM、214BM、414BM:黒色遮光膜、15:表面保護層、16、116、216、316、616:透明電極、17、117、217、317、617:配向膜、20、120、220、420:対向基板、21、121、221、421:第2基材、22、122、222、422:透明電極、24、124、224、424:配向膜、25、125、225、625:絶縁層、25X:絶縁膜、25a、125a、225a:開口部、40:位相差板(1/4波長板)、41:偏光板、42、142、242、342、442、542、642:液晶層、50:位相差板(1/4波長板)、51:偏光板、60:明装置、61:LED、62:LED基板、63:導光体、64:反射シート、65:拡散シート、66:緩衝材、68:フレキシブル配線基板、69:半導体IC、122a、222a:コンタクトホール、130:TFD素子、131:第1金属層、132:絶縁層、133:第2金属層、230:TFT素子、231:ゲート電極、232:ゲート絶縁膜、233:半導体層、234:コンタクト電極、235:ソース電極、236:コンタクト電極、237:ゲートバス配線、238:ソースバス配線、239:ドレイン電極、325:下地層、325a:透過部、420a:凹部、625a:薄い領域、700:制御手段、701:パネル構造体、710:携帯電話機、711:ケース体、712:回路基板、713:操作ボタン、716:受話部、717:送話部、718:表示窓、BL:バックライト、D1,D2:位相差板(1/4波長板)、P1,P2:偏光板、LC:液晶層、R:反射層、Ra:透過部、T:絶縁層、TE1:液晶装置用基板、TE2:対向基板、D:表示ドット