JP4221855B2 - 光学ピックアップ及び記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体の信号記録面に光を照射し、その戻り光を検出して検出信号を出力する光学ピックアップ及びこの光学ピックアップを用いた記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置等のように光を用いて信号の記録再生を行う記録再生装置は、記録媒体の信号記録面に光を照射し、その戻り光を検出して検出信号を出力する光学ピックアップを備えている。そして、この光学ピックアップからの検出信号に基づいて、再生信号を生成し、また、トラッキングサーボやフォーカスサーボ等を行うためのサーボ信号を生成するようにしている。
【0003】
光ディスク装置に用いられる光学ピックアップは、例えば半導体レーザチップ等の光源を備え、この光源から出射された光を対物レンズにより集束して、記録媒体である光ディスクの信号記録面に照射させる。そして、光ディスクの信号記録面にて反射された信号成分を含む戻り光を、受光素子としてのフォトダイオードにより受光して、検出信号を出力する。
【0004】
フォトダイオードは、PN接合を利用して受光した光を光電変換し、受光した光に含まれる信号成分を検出信号として出力するものであり、例えば図10に示すような構造を有している。
【0005】
この図10に示すフォトダイオード100は、ICウェハ・プロセスにより作製されるものであり、P型基板101にN型エピタキシャル層102が形成され、これらの間のPN接合をダイオードとして利用している。N型エピタキシャル層102が形成されたP型基板101上には、アノードとなる電極部103及びカソードとなる電極部104が、SiO2等の絶縁層105に埋め込まれたかたちで形成されている。そして、絶縁層105上には、光を入射させる部分(以下、この部分を受光部106という。)を除く箇所に、受光部106以外に照射された光を遮光するための遮光膜107が形成されている。
【0006】
遮光膜107は、例えばアルミニウム等が絶縁層105上に成膜されてなるものであり、当該遮光膜107上に照射された光を、例えば90%以上の反射率で反射させる。フォトダイオード100では、以上のように、受光部106を除く箇所に遮光膜107を設けることによって、受光部106以外の箇所に照射された光が受光部106以外の箇所から当該フォトダイオード100内に入射し、ノイズとして検出信号に悪影響を及ぼすといった不都合を生じさせないようになされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、フォトダイオード100の受光部106以外の箇所に照射された光を遮光膜107によって反射させるようにすると、遮光膜107によって反射された光が、他の部材により更に反射されて、再度フォトダイオード100に向かい、受光部106に入射してしまう場合がある。遮光膜107により反射された光は、信号の検出には不要な光であるので、受光部106に入射したこのような不要光の強度が強いと、適切な信号の検出が阻害されてしまう。
【0008】
特に、近年では、光学ピックアップの小型化及びこれを搭載した記録再生装置全体の小型化を実現すると共に、コストの低減を図るために、光源や受光素子(フォトダイオード100)、光を分離するためのプリズム等の光学素子を集積した集積型の光学素子が提案されている。このような集積型の光学素子において、信号の検出に不要な光を遮光膜107によって反射させるようにすると、遮光膜107によって反射された不要光が集積型の光学素子の内部で乱反射し、迷光となって受光部106に入射して適切な信号検出を阻害する可能性が高い。
【0009】
そこで、本発明は、信号の検出に不要な光を受光部に入射させないようにして、適切な検出信号を出力することができる光学ピックアップ及びこれを用いた記録再生装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学ピックアップは、光源と、上記光源から出射された光を集束して記録媒体の信号記録面に照射する対物レンズと、上記記録媒体の信号記録面にて反射された戻り光を検出する受光素子と、上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射された光を回折して主ビームと2つの副ビームとを含む複数のビームに分割する光分割手段と、上記光分割手段により分割され、上記記録媒体にて反射された戻り光を分離する戻り光分離手段と、上記戻り光分離手段により分離された一方の戻り光を偏光分離する偏光分離手段とを備え、上記受光素子により検出された戻り光に基づき再生信号及びサーボ信号を生成するための検出信号を出力し、上記受光素子には、上記検出信号の信号成分を含む戻り光が照射される位置に、再生信号及びサーボ信号を生成する信号処理手段に接続される受光部と、上記受光部に入射しない光が照射される位置に、この光を吸収する光吸収手段とが設けられ、上記受光部は、上記戻り光分離手段により分離された他方の戻り光の主ビームが照射される位置及び副ビームが照射される位置と、上記偏光分離手段により分離された戻り光の主ビームが照射される位置とにそれぞれ設けられ、上記光吸収手段は、上記偏光分離手段により分離された戻り光の副ビームが照射される位置にそれぞれ設けられ、且つ、上記信号処理手段に接続されないダミーの受光部よりなり、上記ダミーの受光部が、上記受光素子の電源又はグランドに接続される。
【0011】
この光学ピックアップにおいては、検出信号の信号成分を含む戻り光が、受光素子に設けられた受光部によって受光されることで、この戻り光に含まれる信号成分が受光素子により光電変換され、検出信号として信号処理手段に出力されることになる。
【0012】
また、この光学ピックアップにおいては、信号の検出には不要な不要光が、受光素子に設けられた光吸収手段により吸収されることになる。したがって、信号の検出に不要な不要光が、例えば、乱反射等によって受光部に入射し検出信号に悪影響を及ぼすといった不都合が有効に抑制され、適切な検出信号を出力することが可能となる。
【0013】
また、この光学ピックアップにおいて、光吸収手段をダミーの受光部により構成することにより、通常の受光素子の作製プロセスにより光吸収手段を設けることができるので、光吸収手段としてダミーの受光部を設けることが特に有効である。なお、この場合には、ダミーの受光部を、受光素子の電源又はグランドに接続するようにすれば、ダミーの受光部に受光された不要光が検出信号に悪影響を及ぼすことを更に低減することができる。
【0014】
また、本発明に係る記録再生装置は、再生信号及びサーボ信号を生成するための検出信号を出力する光学ピックアップと、上記光学ピックアップから出力された検出信号に基づいて再生信号及びサーボ信号を生成する信号処理手段と、上記信号処理手段により生成されたサーボ信号に基づいてトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行うサーボ手段とを備え、上記光学ピックアップは、光源と、上記光源から出射された光を集束して記録媒体の信号記録面に照射する対物レンズと、上記記録媒体の信号記録面にて反射された戻り光を検出する受光素子と、上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射された光を回折して主ビームと2つの副ビームとを含む複数のビームに分割する光分割手段と、上記光分割手段により分割され、上記記録媒体にて反射された戻り光を分離する戻り光分離手段と、上記戻り光分離手段により分離された一方の戻り光を偏光分離する偏光分離手段とを備え、上記受光素子には、上記検出信号の信号成分を含む戻り光が照射される位置に、上記信号処理手段に接続される受光部と、上記受光部に入射しない光が照射される位置に、この光を吸収する光吸収手段とが設けられ、上記受光部は、上記戻り光分離手段により分離された他方の戻り光の主ビームが照射される位置及び副ビームが照射される位置と、上記偏光分離手段により分離された戻り光の主ビームが照射される位置とにそれぞれ設けられ、上記光吸収手段は、上記偏光分離手段により分離された戻り光の副ビームが照射される位置にそれぞれ設けられ、且つ、上記信号処理手段に接続されないダミーの受光部よりなり、上記ダミーの受光部が、上記受光素子の電源又はグランドに接続され、上記光学ピックアップは、上記受光素子により検出された戻り光に基づき再生信号及びサーボ信号を生成するための検出信号を出力する。
【0015】
この記録再生装置においては、検出信号の信号成分を含む戻り光が、光学ピックアップの受光素子に設けられた受光部によって受光されることで、この戻り光に含まれる信号成分が受光素子により光電変換され、検出信号として光学ピックアップから信号処理手段に出力されることになる。そして、信号処理手段が、光学ピックアップから出力された検出信号に基づいて再生信号及びサーボ信号を生成する。信号処理手段により生成されたサーボ信号はサーボ手段に供給され、サーボ手段がこのサーボ信号に基づいて、トラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行う。
【0016】
また、この記録再生装置においては、信号の検出には不要な不要光が、光学ピックアップの受光素子に設けられた光吸収手段により吸収されることになる。したがって、信号の検出に不要な不要光が、例えば、乱反射等によって受光部に入射し検出信号に悪影響を及ぼすといった不都合が有効に抑制され、適切な検出信号が光学ピックアップから出力されることになる。そして、この適切な検出信号に基づいて信号処理手段により再生信号及びサーボ信号が生成されるので、信頼性の高い再生動作を行うことができると共に、サーボ手段により適切なトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、ここでは、記録媒体として光磁気ディスクを用いる光磁気ディスクドライブに本発明を適用した例について説明するが、本発明は、特にこの例に限定されるものではなく、光を用いて記録再生動作をおこなう種々の記録再生装置に適用可能である。
【0018】
本発明を適用した光磁気ディスクドライブの一例の全体構成を図1に示す。この光磁気ディスクドライブ10は、図1に示すように、記録媒体としての光磁気ディスク11を回転駆動するスピンドルモータ12と、このスピンドルモータ12により回転駆動される光磁気ディスク11の信号記録面に対して集束した光を照射し、この光磁気ディスク11の信号記録面により反射された戻り光を受光して検出信号を出力する光学ピックアップ20と、これらスピンドルモータ12及び光学ピックアップ20を制御する制御部13とを備えている。
【0019】
制御部13は、ドライブコントローラ14と、信号処理回路15と、インターフェース16と、アクセス制御部17と、サーボ制御部18とを備えている。
【0020】
ドライブコントローラ14は、スピンドルモータ12を所定の回転数で駆動制御すると共に、制御部13内の各部の動作を制御する。
【0021】
信号処理回路15は、光学ピックアップ20により光磁気ディスク11から検出された検出信号に基づいて再生信号(MO信号)及びサーボ信号を生成する。信号処理回路15により生成された再生信号は、インターフェース16を介して光磁気ディスクドライブ10に接続された機器に送出されることになる。
【0022】
アクセス制御部17は、ドライブコントローラ14の制御のもと、光学ピックアップ20を、光磁気ディスク11の信号記録面上の所定の記録トラックまで、例えばトラックジャンプ等により移動させる。
【0023】
サーボ制御部18は、ドライブコントローラ14の制御のもと、信号処理回路15により生成されたサーボ信号に基づいて、光学ピックアップ20の二軸アクチュエータに保持されている対物レンズを、光磁気ディスク11の径方向に沿った方向(トラッキング方向)及び光磁気ディスク11の信号記録面に近接離間する方向(フォーカシング)の二軸方向に移動させ、トラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行う。
【0024】
光学ピックアップ20は、図2に示すように、光源や受光素子を含む複数の光学素子が集積されてなる集積光学素子30と、この集積光学素子30から出射された光を集束して光磁気ディスク11の信号記録面上に照射させる対物レンズ21と、集積光学素子30から出射された光の光路を折り曲げて対物レンズ21に導くと共に、光磁気ディスク11の信号記録面にて反射された戻り光の光路を折り曲げて集積光学素子30に導くための立上げミラー22とを備えている。
【0025】
対物レンズ21は、スピンドルモータ12により回転操作される光磁気ディスク11の信号記録面に対向した位置に配設され、集積光学素子30から出射されたレーザ光を集束し、光磁気ディスク11の信号記録面の所望の記録トラック上に照射させる。
【0026】
この対物レンズ21は、図示しない二軸アクチュエータにより、二軸方向、すなわちフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されている。そして、対物レンズ21は、二軸アクチュエータが、信号処理回路15により生成されたフォーカスサーボ信号FC及びトラッキングサーボ信号TRに基づいて駆動されることにより、光磁気ディスク11の径方向に沿った方向及び光磁気ディスク11の信号記録面に近接、離間する方向へと移動操作される。これにより、対物レンズ21により集束されたレーザ光が光磁気ディスク11の信号記録面上に適切にスポットを形成するためのフォーカスサーボ及び、レーザ光のスポットが光磁気ディスク11の信号記録面の所望の記録トラックに追従するためのトラッキングサーボが行われる。
【0027】
立上げミラー22は、集積光学素子30から出射されたレーザ光の出射方向に対して約45度の傾斜角で傾斜する傾斜面(反射面22a)を有しており、集積光学素子30と対物レンズ21との間に配設されている。この立ち上げミラー22は、集積光学素子30から出射されたレーザ光を反射面22aにて反射し、その光路を約90度折り曲げて対物レンズ21へと導く。
【0028】
光学ピックアップ20においては、以上のように、集積光学素子30と対物レンズ21との間に立上げミラー22を配設し、集積光学素子30から出射されたレーザ光の光路を立上げミラー22により折り曲げて対物レンズ21に導くことにより、集積光学素子30から立上ミラー22までのレーザ光の光路を、光磁気ディスク11の信号記録面に対して略平行となるようにすることが可能となる。これにより、光ディスク装置10は光磁気ディスク11に照射させるレーザ光の光路として必要な光路長を維持しながら、薄型化を図ることが可能となる。
【0029】
集積光学素子30は、図3に示すように、光源としての半導体レーザ素子31と、透明材料よりなる光学部材32と、複合プリズム33と、受光素子としてのフォトダイオード34とを備えている。
【0030】
ここで、半導体レーザ素子31とフォトダイオード34は、それぞれ樹脂パッケージ35内に配設されている。また、樹脂パッケージ35には、その一方の主面部に開口部35aが設けられており、この開口部35aが設けられた樹脂パッケージ35の主面部上に、この開口部35aを閉塞するように、光学部材32が接着剤等により接合されている。さらに、光学部材32上には、複合プリズム33が接着剤等により接合されている。すなわち、集積光学素子30は、上記各部材が集積され、一体の素子として構成されている。そして、この集積光学素子30は、図示しないガイド軸に沿って光磁気ディスク11の半径方向に移動可能に支持された光学ベース上に固定され、保持されている。
【0031】
半導体レーザ素子31は、半導体の再結合発光を利用した発光素子であり、光磁気ディスク11の信号記録面に照射させるレーザ光を出射する。この半導体レーザ素子31は、支持台36上に設置された状態で、樹脂パッケージ35内に配設されている。支持台36には、半導体レーザ素子31が設置された面に対して約45度の傾斜角で傾斜する傾斜面(反射面36a)が設けられており、半導体レーザ素子31から出射されたレーザ光は、この反射面36aにより反射されてその光路が約90度折り曲げられ、樹脂パッケージ35の開口部35aから光学部材32内に入射するようになされている。
【0032】
光学部材32は、例えば、透明なプラスチック材料やガラス等が平行平板に成形されてなる。この光学部材32の樹脂パッケージ35側の面には、半導体レーザ素子31から出射され複合プリズム33へ向かうレーザ光の光路(以下、第一の光路L1という。)上に位置して、光分割手段としてのグレーティング37が一体形成されている。
【0033】
このグレーティング37は、入射した光を回折させる回折格子であって、第一の光路L1を通って光学部材32を透過する光ビームを、0次回折光から成る主ビーム及びプラスマイナス1次回折光から成る2つの副ビームの3本のビームを含む複数のビームに分割する。光学ピックアップ20は、半導体レーザ素子31から出射されたレーザ光をこのグレーティング37によって少なくとも3本のビームに分割することにより、3ビーム法でのトラッキングサーボ信号の検出が可能となる。なお、この光分割手段としてのグレーティング37は、光学部材32の上面(複合プリズム33側の面)に作り付けられていてもよい。
【0034】
光学部材32の樹脂パッケージ35側の面には、更に、複合プリズム33により分離され、フォトダイオード34へ向かう戻り光の光路(以下、第二の光路L2という。)上に位置して、この第二の光路L2を通る戻り光に非点収差を生じさせるためのシリンドリカルレンズ38が一体形成されている。
【0035】
このシリンドリカルレンズ38は、いわゆる非点収差法によるフォーカスサーボ信号の検出を可能にするために、複合プリズム33により分離され第二の光路L2を通って光学部材32を通過する戻り光に対して非点収差を付与するものである。なお、このシリンドリカルレンズ38は、グレーティング37と同様に、光学部材32の上面(複合プリズム33側の面)に作り付けられていてもよい。また、フォーカスサーボ信号を検出するためには、このシリンドリカルレンズ38の代わりに、例えば、互いに直交する二方向に曲率の異なるトーリックレンズを設けるようにしてもよいし、また、フーコープリズムを設けるようにしてもよい。シリンドリカルレンズ8の代わりにフーコープリズムを設けるようにした場合には、いわゆるフーコー法によるフォーカスサーボ信号の検出が可能となる。
【0036】
光学ピックアップ20においては、以上のように、集積光学素子30の光学部材32に、光分割手段としてのグレーティング37や、非点収差法によるフォーカスサーボ信号を検出するためのシリンドリカルレンズ38が一体形成されているので、これらを個別の光学素子として別途設ける必要がない。したがって、この光学ピックアップ20においては、グレーティング37やシリンドリカルレンズ38が個別の光学素子として設けられていない分だけ、部品点数が削減されており、また、装置全体の小型化が実現されている。更に、この光学ピックアップ20を組み立てる際には、グレーティング37やシリンドリカルレンズ38を個別に位置合わせする必要がないので、組立作業の簡素化が図られることになる。
【0037】
複合プリズム33は、図4に示すように、第1乃至第7の7つの部材41,42,43,44,45,46,47が接着剤等により接合され一体化されてなり、光学部材32上に接合されている。
【0038】
第1の部材41は、樹脂パッケージ35内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して約45度の傾斜角で傾斜する傾斜面41aを有する三角プリズムよりなる。そして、第1の部材41には、その傾斜面41aを接合面として、第2の部材42が接着剤を介して接合されている。
【0039】
第2の部材42は、樹脂パッケージ36内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して約45度の傾斜角で傾斜する一対の傾斜面42a,42bを有し、断面が平行四辺形となるプリズムよりなる。そして、この第2の部材42の一方の傾斜面42aには、第1のビームスプリッタ膜48が形成されており、他方の傾斜面42bには、第2のビームスプリッタ膜49が形成されている。これら第1のビームスプリッタ膜48と第2のビームスプリッタ膜49は、共に誘電体多層膜よりなる。そして、第1のビームスプリッタ膜48は、部分偏光型のビームスプリッタとして構成されており、第2のビームスプリッタ膜49は、無偏光分離型のビームスプリッタとして構成されている。
【0040】
第1のビームスプリッタ膜48は、光磁気ディスク11に向かうレーザ光の一部を透過させると共に、光磁気ディスク11からの戻り光の一部を反射することで、光磁気ディスク11に向かうレーザ光と光磁気ディスク11からの戻り光とを分離する機能を有する。また、この第1のビームスプリッタ膜48は、部分偏光型のビームスプリッタとして構成されており、入射する光の偏光方向に応じてその透過率を異ならせるので、戻り光の偏光面の回転角を増大させる、いわゆるカー回転角のエンハンス効果を発揮させることができる。
【0041】
第2のビームスプリッタ膜49は、第1のビームスプリッタ膜48を透過し、第2の部材42を通過した戻り光の一部を透過させると共に他の一部を反射して、戻り光を分離する機能を有する。
【0042】
一対の傾斜面42a,42bに第1及び第2のビームスプリッタ膜48,49がそれぞれ形成された第2の部材42は、第1のビームスプリッタ膜48が形成された一方の傾斜面42aを第1の部材41に対する接合面として、第1の部材41の傾斜面41aに接着剤を介して接合されている。また、この第2の部材42には、第2のビームスプリッタ膜49が形成された他方の傾斜面42bを接合面として、第3の部材43が接着剤を介して接合されている。
【0043】
第3の部材43は、樹脂パッケージ35内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して約45度の傾斜角で傾斜する傾斜面43aと、樹脂パッケージ35内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して略垂直な垂直面43bとを有する三角プリズムよりなる。そして、この第3の部材43は、その傾斜面43aを第2の部材42に対する接合面として、第2の部材42の第2のビームスプリッタ膜49が形成された他方の傾斜面42bに接着剤を介して接合されている。また、この第3の部材43には、その垂直面43bを接着面として、第4の部材44が接着剤を介して接合されている。
【0044】
第4の部材44は、人工水晶等が板状に成形された半波長板よりなる。この半波長板よりなる第4の部材44は、光磁気ディスク11の信号記録面にて反射され、第1及び第2のビームスプリッタ膜48,49を透過した戻り光の偏光面を45°回転させる機能を有する。
【0045】
この半波長板よりなる第4の部材44は、一方の面44aaを第3の部材43に対する接合面として、第3の部材43の垂直面43bに接着剤を介して接合されている。また、この半波長板よりなる第4の部材44には、他方の面44bを接合面として、第5の部材45が接着剤を介して接合されている。
【0046】
第5の部材45は、樹脂パッケージ35内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して略垂直な垂直面45aと、樹脂パッケージ35内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して約45度の傾斜角で傾斜する傾斜面45bとを有する三角プリズムよりなる。そして、この第5の部材45は、その垂直面45aを第4の部材44に対する接合面として、第4の部材44の他方の面44bに接着剤を介して接合されている。また、この第5の部材45には、その傾斜面45bを接着面として、第6の部材46が接着剤を介して接合されている。
【0047】
第6の部材46は、樹脂パッケージ36内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して約45度の傾斜角で傾斜する一対の傾斜面46a,46bを有し、断面が平行四辺形となるプリズムよりなる。そして、この第6の部材46の一方の傾斜面46aには、偏光ビームスプリッタ膜50が形成されている。
【0048】
偏光ビームスプリッタ膜50は、誘電体多層膜よりなり、その多重干渉効果により、入射する光をその偏光方向に応じて完全に分離する。すなわち、この偏光ビームスプリッタ膜50は、入射面に平行なP偏光成分をほぼ100%透過し、入射面に垂直なS偏光成分をほぼ100%反射するように設計されている。
【0049】
この偏光ビームスプリッタ膜50には、半波長板よりなる第4の部材44を透過することにより偏光面が45°回転された戻り光が第5の部材45を介して入射することになる。光学ピックアップ20においては、以上のように、複合プリズム33の第4の部材44により偏光面が45°回転された戻り光を偏光ビームスプリッタ膜50に入射させて偏光分離させることにより、いわゆる45°MO差動検波による光磁気信号(MO)の検出を行えるようにしている。
【0050】
一方の傾斜面46bに偏光ビームスプリッタ膜50が形成された第6の部材46は、偏光ビームスプリッタ膜50が形成された一方の傾斜面46aを第5の部材45に対する接合面として、第5の部材45の傾斜面45bに接着剤を介して接合されている。また、この第6の部材46には、他方の傾斜面46bを接合面として、第7の部材47が接着剤を介して接合されている。
【0051】
第7の部材47は、樹脂パッケージ35内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して約45度の傾斜角で傾斜する傾斜面47aと、樹脂パッケージ35内の半導体レーザ素子31が設置された面に対して略垂直な垂直面47bとを有する三角プリズムよりなる。そして、この第7の部材47の傾斜面47aには、偏光ビームスプリッタ膜50を透過した戻り光を反射する反射膜51が形成されている。
【0052】
この第7の部材47は、反射膜51が形成された傾斜面47aを第6の部材46に対する接合面として、第6の部材46の他方の傾斜面46bに接着剤を介して接合されている。
【0053】
以上のように構成される複合プリズム33においては、第2の部材42の一方の傾斜面42aに形成された第1のビームスプリッタ膜48が、光磁気ディスク11に向かうレーザ光と光磁気ディスク11からの戻り光とを分離する機能を有する。また、この複合プリズム33においては、第2の部材42の他方の傾斜面42bに形成された第2のビームスプリッタ膜49が、光磁気ディスク11からの戻り光を分離する戻り光分離手段として機能する。そして、この第2のビームスプリッタ膜49により反射された戻り光が、第二の光路L2を通ってフォトダイオード34に向かうことになる。
【0054】
また、この複合プリズム33においては、半波長板よりなる第4の部材44と、第6の部材46の一方の傾斜面46aに形成された偏光ビームスプリッタ膜50とが、戻り光分離手段としての第2のビームスプリッタ膜49を透過した戻り光を偏光分離する偏光分離手段として機能する。そして、偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光が、第三の光路L3を通ってフォトダイオード34に向かうことになる。
【0055】
さらに、この複合プリズム33においては、第7の部材47の傾斜面47aに形成された反射膜51が、偏光分離手段としての偏光ビームスプリッタ膜50を透過した戻り光を反射させる機能を有する。そして、この反射膜51により反射された戻り光が、第四の光路L4を通ってフォトダイオード34に向かうことになる。
【0056】
光学ピックアップ20は、以上の機能を有する各部が接合一体化されてなる複合プリズム33を備えることによって、小型化を実現することができると共に、部品点数を削減して、部品コスト及び組立コストの低減を可能にすることができる。
【0057】
フォトダイオード34は、図5に示すように、P型基板61にN型エピタキシャル層62が形成され、これらの間のPN接合をダイオードとして利用するものであり、信号成分を含む戻り光を受光部により受光し、この戻り光に含まれる信号成分を光電変換して信号処理回路15に出力する機能を有する。
【0058】
このフォトダイオード34は、ICウェハ・プロセスにより作製され、N型エピタキシャル層62が形成されたP型基板61上には、アノードとなる電極部63及びカソードとなる電極部64が、SiO2等の絶縁層65に埋め込まれたかたちで形成されている。そして、絶縁層65上の受光部を除く箇所に、アルミニウム膜等よりなる遮光膜67が形成されている。
【0059】
このフォトダイオード34には、複合プリズム33の第2のビームスプリッタ膜49により反射された戻り光の主ビームが照射される位置及び2つの副ビームが照射される位置と、第2のビームスプリッタ膜49を透過し、偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光の主ビームが照射される位置と、偏光ビームスプリッタ膜50を透過し、反射膜51により反射された戻り光の主ビームが照射される位置とに、これらの光を受光する受光部がそれぞれ設けられている。
【0060】
具体的には、フォトダイオード34には、図6に示すように、複合プリズム33の第2のビームスプリッタ膜49により反射された戻り光の主ビームを受光する受光部Aと、複合プリズム33の第2のビームスプリッタ膜49により反射された戻り光の2つの副ビームを各々受光する受光部B及び受光部Cと、第2のビームスプリッタ膜49を透過し、偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光の主ビームを受光する受光部Dと、偏光ビームスプリッタ膜50を透過し、反射膜51により反射された戻り光の主ビームを受光する受光部Eとが設けられている。これらの受光部A〜Eのうちで、第2のビームスプリッタ膜49により反射された戻り光の主ビームを受光する受光部Aは、縦横に垂直に交差する二本の分割ラインによって、さらに4つの受光部A1,A2,A3,A4に分割されている。
【0061】
これらフォトダイオード34に設けられた各受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eは、光磁気ディスクドライブ10の信号処理回路15にそれぞれ接続されている。そして、フォトダイオード34は、これら各受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eにより受光された戻り光に含まれる信号成分を光電変換して、検出信号として信号処理回路15に出力するようになされている。
【0062】
ここで、フォトダイオード34の各受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eにより受光された戻り光に基づく受光信号をそれぞれSA1,SA2,SA3,SA4,SB,SC,SD,SEとすると、光磁気信号MO、ピット再生信号Pit、フォーカスサーボ信号FC及びトラッキングサーボ信号TRは、それぞれ、以下の演算式により求められる。
【0063】
MO=SD−SE ・・・式1
Pit=SD+SE ・・・式2
FC=(SA1+SA3)−(SA2+SA4) ・・・式3
TR=SB−SC ・・・式4
ところで、フォトダイオード34には、上述したような信号検出に必要とされる戻り光以外の光も照射される場合がある。例えば、以上のような構成の光学ピックアップ20においては、複合プリズム33の第2のビームスプリッタ膜49を透過し、偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光の2つの副ビームや、光ビームスプリッタ膜50を透過し、反射膜51により反射された戻り光の2つの副ビームもフォトダイオード34に照射されることになる。
【0064】
このような光は、フォトダイオード34の上述した受光部以外の箇所に照射されることになるが、これらの光が照射される箇所に上述したアルミニウム膜等よりなる遮光膜67が形成されていると、これらの光が遮光膜67により反射され、更に他の部材により反射されて、再度フォトダイオード34に向かい、上述した各受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eに入射してしまう場合がある。特に、集積光学素子30を備える光学ピックアップ20においては、フォトダイオード34と光学部材32や複合プリズム34等の光学素子が極めて近い位置にあるので、遮光膜67により反射されたこれらの光が、集積光学素子30の内部において乱反射し、迷光となってフォトダイオード34の各受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eに入射してしまう可能性が高い。
【0065】
これらの光は、信号検出には不要な光であるので、このような不要な光が受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eに入射すると、これら不要な光がノイズとなって、適切な信号の検出が阻害されてしまう場合がある。
【0066】
そこで、本発明を適用した光学ピックアップ20では、図6に示すように、フォトダイオード34の不要な光が照射される箇所、すなわち、複合プリズム33の第2のビームスプリッタ膜49を透過し、偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光の2つの副ビームや、光ビームスプリッタ膜50を透過し、反射膜51により反射された戻り光の2つの副ビームが照射される箇所に、ダミーの受光部71,72,73,74をそれぞれ設けるようにしている。
【0067】
これらダミーの受光部71,72,73,74は、上述した各受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eと同様の構成を有するが、信号処理回路15には接続されない受光部である。これらダミーの受光部71,72,73,74に入射した光は、これらダミーの受光部71,72,73,74により吸収されるのみで、検出信号には寄与しない。したがって、これらダミーの受光部71,72,73,74は、信号検出に不要な光を吸収して、これら不要な光が受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eに入射することを防止するための光吸収手段として機能することになる。
【0068】
なお、これらダミーの受光部71,72,73,74は、図7に示すように、フォトダイオード34の電源VCC或いはグランドGNDに接続されていることが望ましい。このように、ダミーの受光部71,72,73,74をフォトダイオード34の電源VCC或いはグランドGNDに接続するようにすれば、ダミーの受光部71,72,73,74に受光された不要光が検出信号に悪影響を及ぼすことを更に低減することができる。なお、図7は、いわゆるアノードコモンタイプのフォトダイオード34の回路構成を示している。
【0069】
本発明を適用した光学ピックアップ20においては、以上のように、フォトダイオード34の不要な光が照射される箇所に、光吸収手段としてのダミーの受光部71,72,73,74を設け、これらダミーの受光部71,72,73,74に、例えば、複合プリズム33の第2のビームスプリッタ膜49を透過し、偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光の2つの副ビームや、光ビームスプリッタ膜50を透過し、反射膜51により反射された戻り光の2つの副ビーム等のように本来の信号検出に不要な光を入射させて、これらの不要な光をダミーの受光部71,72,73,74により吸収するようにしているので、これら不要な光が受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eに入射して信号の検出に悪影響を及ぼすことが有効に抑制される。
【0070】
特に、集積光学素子30を備える光学ピックアップ20においては、不要な光を遮光膜67により反射させるようにすると、遮光膜67により反射された不要な光が集積光学素子30の内部において乱反射し、受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eに入射してしまう可能性が高いので、このような不要光をダミーの受光部71,72,73,74等の光吸収手段に入射させて吸収させることが特に有効である。
【0071】
なお、以上は、光吸収手段としてダミーの受光部71,72,73,74を設けるようにした例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、光を吸収して反射させないものであれば、いかなるものを光吸収手段として設けるようにしてもよい。例えば、フォトダイオード34の不要な光が照射される箇所に、光を吸収して熱エネルギーに変換する光学薄膜を成膜し、これを光吸収手段としてもよい。また、フォトダイオード34の不要な光が照射される箇所に黒色の塗料を塗布し、これを光吸収手段としてもよい。
【0072】
但し、光吸収手段としてダミーの受光部71,72,73,74を設けるようにした場合には、通常のフォトダイオード34の作製プロセスによりフォトダイオード34に光吸収手段を設けることができるので、フォトダイオード34に光吸収手段を設ける上で特に有利である。
【0073】
ここで、以上のように構成される光磁気ディスクドライブ10により、光磁気ディスク11から信号を再生する動作について説明する。
【0074】
この光磁気ディスクドライブ10により光磁気ディスク11から信号を再生する際は、まず、光磁気ディスク11がスピンドルモータ12に装着される。そして、ドライブコントローラ14の制御によりスピンドルモータ12が所定の回転数で回転駆動されることにより、光磁気ディスク11が回転操作される。
【0075】
そして、ドライブコントローラ14の制御によりアクセス制御部17が駆動されることにより、光学ピックアップ20が光磁気ディスク11の信号記録面上の所定の記録トラックまで移動操作される。
【0076】
また、光学ピックアップ20においては、集積光学素子30の半導体レーザ素子31からレーザ光が出射される。
【0077】
半導体レーザ素子31から出射されたレーザ光は、支持台36の反射面36aにて反射され、樹脂パッケージ35の開口部35aを介して、光学部材32に入射する。光学部材32に入射したレーザ光は、光学部材32に設けられたグレーティング37により主ビームと2つの副ビームとを含む複数のビームに分割され、複合プリズム33の第1の部材41に入射する。
【0078】
複合プリズム33の第1の部材41に入射したレーザ光は、その一部が第1のビームスプリッタ膜48を透過して集積光学素子30から出射される。
【0079】
集積光学素子30から出射したレーザ光は、立上げミラー22の反射面22aにて反射され、対物レンズ21に入射する。対物レンズ21に入射したレーザ光は、この対物レンズ21により集束され、光磁気ディスク11の信号記録面上の所定の記録トラックに照射される。このとき、グレーティング37により分割された主ビームと2つの副ビームとによって、光磁気ディスク11の信号記録面上には3つのスポットが形成されることになる。
【0080】
光磁気ディスク11の信号記録面上の所定の記録トラックに照射されたレーザ光は、磁気カー効果により、この光磁気ディスク11の信号記録面にて反射される際に、記録トラックに記録された信号、すなわち、このレーザ光が照射された箇所の磁化の状態に応じてその偏光面が回転される。
【0081】
光磁気ディスク11の信号記録面にて反射された戻り光は、再度対物レンズ21を通過した後に、立上げミラー22の反射面22aにて反射され、集積光学素子30の複合プリズム33に入射する。
【0082】
複合プリズム33に入射した戻り光は、その一部が第1のビームスプリッタ膜48により反射され、第2の部材42に入射する。第2の部材42に入射した戻り光は、その一部が第2のビームスプリッタ膜49により反射され、第二の光路L2を通って光学部材32を透過する。このとき、この戻り光は、光学部材32に設けられたシリンドリカルレンズ38を通過することにより、非点収差が付与される。
【0083】
この非点収差が付与された戻り光は、樹脂パッケージ35の開口部35aを介して樹脂パッケージ35内に入射し、フォトダイオード34に到達して、その主ビームが受光部A1,A2,A3,A4により入射し、2つの副ビームが受光部B,Dにそれぞれ入射する。
【0084】
一方、第2のビームスプリッタ膜49を透過した戻り光は、第3の部材43を透過して第4の部材44に入射する。そして、半波長板として機能する第4の部材44を透過することによって偏光面が45°回転した戻り光が、第5の部材45を透過して第6の部材46に入射する。
【0085】
第6の部材46に入射した戻り光は、偏光ビームスプリッタ膜50によりその偏光方向に応じて分離される。すなわち、第6の部材46に入射した戻り光は、入射面に平行なP偏光成分が偏光ビームスプリッタ膜50を透過し、入射面に垂直なS偏光成分が偏光ビームスプリッタ膜50により反射される。
【0086】
偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光は、第三の光路L3を通って光学部材32を透過した後、樹脂パッケージ35の開口部35aを介して樹脂パッケージ35内に入射し、フォトダイオード34に到達する。そして、その主ビームが受光部Dに入射すると共に、2つの副ビームがダミーの受光部71,72にそれぞれ入射する。
【0087】
また、偏光ビームスプリッタ膜50を透過した戻り光は、反射膜51により反射され、第四の光路L4を通って光学部材32を透過した後、樹脂パッケージ35の開口部35aを介して樹脂パッケージ35内に入射し、フォトダイオード34に到達する。そして、その主ビームが受光部Eに入射すると共に、2つの副ビームがダミーの受光部73,74にそれぞれ入射する。
【0088】
フォトダイオード34の各受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D.Eに入射した戻り光は、フォトダイオード34により光電変換され、これらの戻り光に含まれる信号成分が検出信号として信号処理回路15に供給される。
【0089】
そして、信号処理回路15において、受光部D,Eに入射した戻り光からの検出信号に基づいて、再生信号としての光磁気信号(MO)又はピット再生信号(Pit)が生成される。また、受光部A1,A2,A3,A4に入射した戻り光からの検出信号に基づいて、フォーカスサーボ信号(FC)が非点収差法により生成される。また、受光部B,Cに入射した戻り光からの検出信号に基づいて、トラッキングサーボ信号(TR)が3ビーム法により生成される。
【0090】
一方、ダミーの受光部71,72,73,74に入射した戻り光は、これらダミーの受光部71,72,73,74により吸収される。
【0091】
信号処理回路15で生成された光磁気信号(MO)又はピット再生信号(Pit)は、インターフェース16を介して、光磁気ディスクドライブ10に接続された機器に送出される。
【0092】
また、信号処理回路15で生成されたフォーカスサーボ信号(FC)及びトラッキングサーボ信号(TR)は、ドライブコントローラ14を介してサーボ制御部18に供給される。サーボ制御部18は、ドライブコントローラ14の制御のもと、フォーカスサーボ信号(FC)及びトラッキングサーボ信号(TR)に基づいて光学ピックアップ20の対物レンズ21を保持する二軸アクチュエータを駆動し、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行う。
【0093】
この光磁気ディスクドライブ10においては、上述したように、光学ピックアップ20が備えるフォトダイオード34の不要な光が照射される箇所に、光吸収手段としてのダミーの受光部71,72,73,74を設け、これらダミーの受光部71,72,73,74に、例えば、複合プリズム33の第2のビームスプリッタ膜49を透過し、偏光ビームスプリッタ膜50により反射された戻り光の2つの副ビームや、光ビームスプリッタ膜50を透過し、反射膜51により反射された戻り光の2つの副ビーム等のように本来の信号検出に不要な光を入射させて、これらの不要な光をダミーの受光部71,72,73,74により吸収するようにしているので、これら不要な光が受光部A1,A2,A3,A4,B,C,D,Eに入射して、光学ピックアップ20による信号の検出に悪影響を及ぼすことが有効に抑制される。
【0094】
したがって、この光磁気ディスクドライブ10においては、光学ピックアップ20から出力される適切な検出信号に基づいて、信号処理回路15において光磁気信号(MO)やピット再生信号(Pit)等の再生信号及びフォーカスサーボ信号(FC)及びトラッキングサーボ信号(TR)等のサーボ信号が生成されることになり、信頼性の高い再生動作を行うことができると共に、サーボ制御部18により適切なトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行うことができる。
【0095】
なお、以上は、集積光学素子30を用いて光学ピックアップ20を構成した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、例えば、光学ピックアップが図8に示すような、いわゆるディスクリートタイプの光学ピックアップ80として構成されていてもよい。
【0096】
この図8に示すディスクリートタイプの光学ピックアップ80は、光源としての半導体レーザ素子81から出射され光磁気ディスク11に向かうレーザ光の光路中に順次配設された非点収差補正板82、グレーティング83、ビームスプリッタ84、コリメータレンズ85、立上げミラー86及び対物レンズ87と、ビームスプリッタ84の分離膜84aにより分離された光磁気ディスク11からの戻り光の光路中に順次配設されたウォラストンプリズム88、マルチレンズ89及び受光素子としてのフォトダイオード90とを備えており、これらの各光学部品が個別にマウントされている。
【0097】
このような構成の光学ピックアップ80においては、半導体レーザ素子81から出射されるレーザ光は、非点収差補正板82により非点収差が補正された後、グレーティング83によって、主ビームと2つの副ビームとを含む複数のビームに分割され、それぞれビームスプリッタ84に入射する。
【0098】
ビームスプリッタ84に入射したレーザ光の一部は、このビームスプリッタ84の分離膜84aを透過し、コリメータレンズ85によって平行光に変換された後、立上げミラー86によって光路を折曲げられて、対物レンズ87により集束され、光磁気ディスク11の信号記録面に照射される。このとき、グレーティング83により3分割された各ビームによって、光磁気ディスク11の信号記録面には3つのスポットが形成される。
【0099】
光磁気ディスク11の信号記録面に照射された上記レーザ光は、磁気カー効果により、この光磁気ディスク11の信号記録面にて反射される際に、この信号記録面の当該レーザ光が照射された箇所の磁化の状態(記録状態)に応じてその偏光面が回転される。
【0100】
光磁気ディスク11の信号記録面にて反射された戻り光は、再度対物レンズ87、立上げミラー86、コリメータレンズ85を介して、ビームスプリッタ84に入射する。
【0101】
ビームスプリッタ84に入射した戻り光の一部は、このビームスプリッタ84の分離膜84aにより反射され、ウォラストンプリズム88に入射する。
【0102】
ウォラストンプリズム88は、2つの一軸性結晶が貼り合わされてなるプリズムであり、2つの一軸性結晶の接合面における両結晶の光学軸の方位の違いにより、入射した光を、それぞれ屈折角の異なるp偏光、s偏光、p+s偏光(ビームスプリッタ84の分離膜84aに対する偏光方向)の3つの光線に分割するものである。このウォラストンプリズム88に入射した戻り光は、このウォラストンプリズム88により3分割された後、マルチレンズ89により非点収差を付与され且つ光路長を延ばされて、フォトダイオード90に照射される。
【0103】
ここで、フォトダイオード90に照射される戻り光のうち、ウォラストンプリズム88により分割され、マルチレンズ89により非点収差が付与されたp+s偏光の光の主ビームは、図9に示すように、フォトダイオード90に設けられた受光部Fに入射する。そして、受光部Fに入射した戻り光に基づいて、非点収差法によりフォーカスサーボ信号が検出される。
【0104】
また、ウォラストンプリズム88により分割されたp+s偏光の光の2つの副ビームは、フォトダイオード90に設けられた受光部Gと受光部Hとにそれぞれ入射する。そして、受光部Gと受光部Hとに入射したこれらの戻り光に基づいて、3ビーム法によりトラッキングサーボ信号が検出される。
【0105】
更に、ウォラストンプリズム88により分割されたp偏光の光とs偏光の光の主ビームは、フォトダイオード90に設けられた受光部Iと受光部Jとにそれぞれ入射する。そして、受光部Iと受光部Jとに入射したこれらの戻り光に基づいて光磁気信号が検出される。
【0106】
また、フォトダイオード90の不要な光が照射される箇所、すなわち、ウォラストンプリズム88により分割されたp偏光の光とs偏光の光の2つの副ビームが照射される箇所には、図9に示すように、光吸収手段としてのダミーの受光部91,92,93,94がそれぞれ設けられており、信号検出に不要な光は、これらダミーの受光部91,92,93,94に入射され、これらダミーの受光部91,92,93,94により吸収されるようになされている。
【0107】
この光学ピックアップ80においても、上述した光学ピックアップ20と同様に、フォトダイオード90の不要な光が照射される箇所に、光吸収手段としてのダミーの受光部91,92,93,94を設け、信号検出に不要な光をこれらダミーの受光部91,92,93,94に入射させて吸収するようにしているので、これら不要な光が信号の検出に悪影響を及ぼすことが有効に抑制される。
【0108】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る光学ピックアップにおいては、信号の検出には不要な不要光が、受光素子に設けられた光吸収手段により吸収されるので、信号の検出に不要な不要光が、例えば、乱反射等によって受光部に入射し検出信号に悪影響を及ぼすといった不都合が有効に抑制され、適切な検出信号を出力することが可能となる。
【0109】
また、本発明に係る記録再生装置においては、信号の検出には不要な不要光が、光学ピックアップの受光素子に設けられた光吸収手段により吸収されることになるので、信号の検出に不要な不要光が、例えば、乱反射等によって受光部に入射し検出信号に悪影響を及ぼすといった不都合が有効に抑制され、適切な検出信号が光学ピックアップから出力されることになる。そして、この適切な検出信号に基づいて信号処理手段により再生信号及びサーボ信号が生成されるので、信頼性の高い再生動作を行うことができると共に、サーボ手段により適切なトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光磁気ディスクドライブの一構成例を示すブロック図である。
【図2】上記光磁気ディスクドライブが備える光学ピックアップを模式的に示す斜視図である。
【図3】上記光学ピックアップが備える集積光学素子の模式図である。
【図4】上記集積光学素子が備える複合プリズムを分解した状態を示す側面図である。
【図5】上記集積光学素子が備えるフォトダイオードの一部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】上記フォトダイオードの平面図である。
【図7】上記フォトダイオードの回路図である。
【図8】本発明を適用した他の光学ピックアップを示す模式図である。
【図9】上記他の光学ピックアップが備えるフォトダイオードの平面図である。
【図10】一般的なフォトダイオードの構造を説明する図であり、フォトダイオードの一部を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 光磁気ディスクドライブ、11 光磁気ディスク、14 ドライブコントローラ、15 信号処理回路、18 サーボ制御部、20 光学ピックアップ、21 対物レンズ、30 集積光学素子、31 半導体レーザ素子、32 光学部材、33 複合プリズム、34 フォトダイオード、37 グレーティング、38 シリンドリカルレンズ、48 第1のビームスプリッタ膜、49 第2のビームスプリッタ膜、50 偏光ビームスプリッタ膜、51 反射膜、A1,A2,A3,A4,B,C,D,E 受光部、71,72,73,74 ダミーの受光部
Claims (4)
- 光源と、
上記光源から出射された光を集束して記録媒体の信号記録面に照射する対物レンズと、
上記記録媒体の信号記録面にて反射された戻り光を検出する受光素子と、
上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射された光を回折して主ビームと2つの副ビームとを含む複数のビームに分割する光分割手段と、
上記光分割手段により分割され、上記記録媒体にて反射された戻り光を分離する戻り光分離手段と、
上記戻り光分離手段により分離された一方の戻り光を偏光分離する偏光分離手段とを備え、
上記受光素子により検出された戻り光に基づき再生信号及びサーボ信号を生成するための検出信号を出力し、
上記受光素子には、上記検出信号の信号成分を含む戻り光が照射される位置に、再生信号及びサーボ信号を生成する信号処理手段に接続される受光部と、上記受光部に入射しない光が照射される位置に、この光を吸収する光吸収手段とが設けられ、
上記受光部は、上記戻り光分離手段により分離された他方の戻り光の主ビームが照射される位置及び副ビームが照射される位置と、上記偏光分離手段により分離された戻り光の主ビームが照射される位置とにそれぞれ設けられ、
上記光吸収手段は、上記偏光分離手段により分離された戻り光の副ビームが照射される位置にそれぞれ設けられ、且つ、上記信号処理手段に接続されないダミーの受光部よりなり、上記ダミーの受光部が、上記受光素子の電源又はグランドに接続される光学ピックアップ。 - 上記光源及び上記受光素子が同一パッケージ内に収容されている請求項1記載の光学ピックアップ。
- 上記光源及び上記受光素子が同一パッケージ内に収容され、上記パッケージに、上記光分割手段と上記戻り光分離手段と上記偏光分離手段とが一体に設けられている請求項1記載の光学ピックアップ。
- 再生信号及びサーボ信号を生成するための検出信号を出力する光学ピックアップと、
上記光学ピックアップから出力された検出信号に基づいて再生信号及びサーボ信号を生成する信号処理手段と、
上記信号処理手段により生成されたサーボ信号に基づいてトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行うサーボ手段とを備え、
上記光学ピックアップは、光源と、
上記光源から出射された光を集束して記録媒体の信号記録面に照射する対物レンズと、
上記記録媒体の信号記録面にて反射された戻り光を検出する受光素子と、
上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射された光を回折して主ビームと2つの副ビームとを含む複数のビームに分割する光分割手段と、
上記光分割手段により分割され、上記記録媒体にて反射された戻り光を分離する戻り光分離手段と、
上記戻り光分離手段により分離された一方の戻り光を偏光分離する偏光分離手段とを備え、
上記受光素子には、上記検出信号の信号成分を含む戻り光が照射される位置に、上記信号処理手段に接続される受光部と、上記受光部に入射しない光が照射される位置に、この光を吸収する光吸収手段とが設けられ、
上記受光部は、上記戻り光分離手段により分離された他方の戻り光の主ビームが照射される位置及び副ビームが照射される位置と、上記偏光分離手段により分離された戻り光の主ビームが照射される位置とにそれぞれ設けられ、
上記光吸収手段は、上記偏光分離手段により分離された戻り光の副ビームが照射される位置にそれぞれ設けられ、且つ、上記信号処理手段に接続されないダミーの受光部よりなり、上記ダミーの受光部が、上記受光素子の電源又はグランドに接続され、
上記光学ピックアップは、上記受光素子により検出された戻り光に基づき再生信号及びサーボ信号を生成するための検出信号を出力する記録再生装置。
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