次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1を示す回路図である。同図において、従来と同一のものには同一符号を付し、その説明を省略する。
図示の無停電電源装置1−1は、従来の構成に加え、過電流保護器3と交流入力端子Eとの間に、流れる電流(入力電流)を検出し、その大きさを表す入力電流情報Iiを発生する電流検出器4を有している。また、この無停電電源装置1−1は、従来の充電器制御回路60に代えて、充電器制御回路10を有している。この充電器制御回路10には、電流検出器4からの入力電流情報Ii、電流検出器5からの充電電流情報Ic、バッテリ電圧端子Iからのバッテリ充電電圧Vchのほかに、交流入力端子E、F間の電圧(入力電圧)が入力される。
充電器制御回路10は、従来の基準電圧源6001に代えて、交流入力端子E、F間の電圧(入力電圧)から入力電圧情報Viを生成する入力電圧検出回路1009と、入力電圧検出回路1009からの入力電圧情報Viと電流検出器4からの入力電流情報Iiと電流検出器5からの充電電流情報Icとを受け、これらをそれぞれA/D変換して入力電圧情報Vidと入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとを出力するA/Dコンバータ1010と、A/Dコンバータ1010からの入力電圧情報Vidと入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとに基づいて充電電圧設定値(目標電圧値)Vcdsetを発生するCPU(演算部)1011と、充電電圧設定値Vcdsetに対応する電圧値Vcsetを出力するD/Aコンバータ1012とを有している。これら入力電圧検出回路1009、電流検出器4、5、A/Dコンバータ1010、CPU1011及びD/Aコンバータ1012が、バッテリ充電最大電力値制御手段として働く。
以下、図1の無停電電源装置1−1の動作について、従来の無停電電源装置7と異なる点を中心に説明する。
入力端子A及びBに供給された交流電力が、フィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4及び交流入力端子E及びFを介して充電回路20及び高力率整流回路30に供給されると、電流検出器4は過電流保護器3と交流入力端子Eとの間に流れる電流を検出する。そして、電流検出器4は、検出した電流の大きさを表す入力電流情報Iiを出力する。また、交流入力端子E、F間の電圧(入力電圧)は、充電器制御回路10内の入力電圧検出回路1009により入力電圧情報Viに変換される。
充電器制御回路10では、A/Dコンバータ1010が入力電圧検出回路1009から出力される入力電圧情報Viと、電流検出器4から出力される入力電流情報Iiと、電流検出器5から出力される充電電流情報IcをそれぞれA/D変換して、CPU1011へ供給する。
CPU1011は、例えば、図2に示すように動作する。即ち、CPU1011は、まずステップS2−1において、入力電圧検出回路1009とA/Dコンバータ1010を介して数値化された入力電圧情報Vidを基に停電回復からの経過時間Hと、予め設定された所定の経過時間設定値Hsetを比較する。ここで、経過時間設定値Hsetは、充電電圧設定値Vcdsetを推奨充電電圧より低い所定値に設定した場合にバッテリを十分に充電することが可能であり、かつ、推奨充電電圧よりも高い所定値(=Vcdmax)に設定した場合においてもバッテリに対する(充電電圧過度による)負担の全くない時間の中から任意に設定可能である。経過時間設定値Hsetは、図示しない入力設定部より予め入力設定され、図示しないメモリに格納される。
CPU1011は、ステップS2−1の結果、H≦Hsetでないと判断すると、ステップS2−7に進み、充電電圧設定値VcdsetをVcd0に保持する。ここでVcd0は、バッテリメーカーから提示されている推奨充電電圧値であり、図示しない入力設定部より予め入力設定され、図示しないメモリに格納される。
一方、CPU1011は、ステップS2−1において、H≦Hsetであると判断すると、ステップS2−2に進み、A/Dコンバータ1010を介して数値化された入力電流情報Iidと入力電流制限値Iidlimitを比較する。ここで、入力電流制限値Iidlimitは、過電流保護器3の過電流検出電流Iiaclimに基づいて決められる最大値(<Iiaclim)よりも小さい値であれば任意に設定可能である。入力電流制限値Iidlimitは、図示しない入力設定部より予め入力設定され、図示しないメモリに格納される。
CPU1011は、ステップS2−2の比較の結果、Iid<Iidlimitでないと判断すると、ステップS2−3に進み、充電電圧設定値Vcdsetを、例えば所定量、減少させる。
一方、CPU1011は、ステップS2−2の比較の結果、Iid<Iidlimitであると判断すると、ステップS2−4に進み、充電電圧設定値Vcdsetを充電電圧設定最大値Vcdmaxと比較する。ここで、充電電圧設定最大値Vcdmaxは、バッテリのサイクルユース充電に使用される充電電圧値であり、図示しない入力設定部より予め入力設定され、図示しないメモリに格納される。
CPU1011は、ステップS2−4の比較の結果、Vcdset<Vcdmaxでないと判断すると、ステップS2−5に進み、充電電圧設定値Vcdsetを、例えば所定量、減少させる。
一方、CPU1011は、ステップS2−4の比較の結果、Vcdset<Vcdmaxであると判断すると、ステップS2−6に進み、充電電圧設定値Vcdsetを、例えば所定量、増加させる。
以上のようにして、CPU1011は、入力電圧情報Vidと入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとに基づいて充電電圧設定値Vcdsetを調整する。
なお、図2には、充電電流情報Icdに基づく動作は示されていないが、充電電流情報Icdは、後述するように充電電流を制限するために用いられる。具体的には、CPU1011は、充電電流情報Icdと予め入力設定部より設定されている充電電流制限値Icdlimitとを比較する。この比較は、例えば、ステップS2−2とS2−4との間で行われ、Icd<Icdlimitの場合は、ステップS2−4へ進み、そうでなければステップS2−3又はS2−5へ進む。こうして、CPU1011は、充電電流が所定値を超えることがないように、充電電圧設定値Vcdsetを調整する。
図1に戻ると、上述したような処理を経て得られる充電電圧設定値Vcdsetは、CPU1011からD/Aコンバータ1012に供給される。D/Aコンバータ1012は、充電電圧目標電圧値である充電電圧設定値VcdsetをD/A変換し、対応する電圧値Vcsetとして、誤差増幅器1006の反転入力端子へ出力する。
誤差増幅器1006には、その非反転入力端子に充電回路20からのバッテリ充電電圧Vchが入力されている。誤差増幅器1006は、この充電回路20からのバッテリ充電電圧Vchと、D/Aコンバータ1012からの充電電圧設定値Vcsetとの差に応じた出力電圧を発生する。即ち、誤差増幅器1006は、バッテリ充電電圧Vchと充電電圧設定値Vcsetとの差(Vch−Vcset)のβv倍(=誤差増幅器1006の増幅率)に相当する誤差増幅電圧Evを出力する。この誤差増幅電圧Evは、一端が誤差増幅器1001の出力端子に接続される抵抗器1002の他端と比較器1003の反転入力端子との接続点に一端が接続される抵抗器1007の他端に供給される。
他方、誤差増幅器1001の非反転入力端子には電流検出器5からの充電電流情報Ic(Icは電圧値)が入力され、反転入力端子にはバッテリ充電電流を設定する基準電圧Vrefが基準電圧源1005から入力されている。誤差増幅器1001は、充電電流情報Icと基準電圧Vrefとの差(Ic−Vref)のβi倍(=誤差増幅器1001の増幅率)に相当する誤差増幅電圧Eiを出力する。この誤差増幅電圧Eiは、抵抗器1002を介して比較器1003の反転入力端子に供給される。
抵抗器1002及び1007を介して加算される誤差増幅器1001及び1006の誤差増幅電圧Ei及びEvは、制御用信号Eとして比較器1003の反転入力端子に入力される。比較器1003の非反転入力端子には鋸歯状波発生器1008からの鋸歯状波信号Sが入力される。比較器1003は、制御用信号Eと鋸歯状波信号Sとを比較し、制御用信号Eのレベルに応じたパルス幅Δtを持つパルス信号を生成する。
比較器1003により生成されたパルス信号は、駆動回路1004に供給される。駆動回路1004は、比較器1003からのパルス信号に応じて制御パルス信号T1を発生し、充電回路20のMOSFET2009の開閉制御を行う。
以上のように動作する結果、図1の無停電電源装置1−1では、バッテリ充電電流値が入力電流制限やバッテリの充電電圧制限値を加味されて設定される充電電圧設定値Vcset以上となる場合には、充電回路20からバッテリ6へ供給される安定化出力電圧値(充電電圧Vch)を低下させるようMOSFET2009が制御され、結果的にバッテリ6は定電流定電圧充電される。よって、本実施の形態では、過充電の恐れはない。
図1の無停電電源装置1−1においても、定格出力電力(大きいほど良い)と、回復充電時間(短いほど良い)を決定付ける充電初期電力の合算値は、入力許容最低電圧と入力電流の制限値から決定付けられる。即ち、入力電流Iiacは、許容出力電力をPout、充電初期電力をPcha、全体効率をη、全体力率をξ、入力許容最低電圧をViacmin、過電流保護器3の過電流検出電流をIiaclim、過電流保護器3の低減率をαとして、数式3(=数式1)により表される。
ここで、出力容量が945.6[W]、バッテリバックアップ時間が6分、全体効率η=0.87、全体力率ξ=0.97、使用するバッテリの容量=48V7Ah、過電流保護器3の過電流検出電流Iiaclim=15[A]、過電流保護器3の低減率α=0.95、入力許容最低電圧Viacmin=85[V]とすれば、充電初期電力Pchaに消費可能な電力は数式4で与えられる。
同様に、出力容量が944.7[W]、943.0[W]、941.4[W]、939.7[W]、938.0[W]の場合に充電初期電力Pchaとして消費可能な電力は、それぞれ数式5乃至9で与えられる。
本実施の形態に係る無停電電源装置1−1では、入力電流制限値Iidlimitとして、出力容量に応じた値を設定することにより、充電電圧の大きさ(充電電力最大値)を変更することができる。充電電圧と回復充電時間との関係は図3のようなものであるため、充電電圧を大きくすることにより、回復充電時間を従来よりも短縮できる。具体例を図4に示す。
図4の例は、使用バッテリとして、市場に広く流通している12V7Ahのバッテリを4個直列に使用する場合を想定したものである。12Vバッテリに対してバッテリメーカーから提示されている(定常的な)推奨充電電圧は13.65V程度であるが、一時的に充電電圧を増加させて充電時間を短縮するサイクルユースの場合は、充電電流0.25CA以下に制御することにより、15.0V程度までに上昇させることができる。図4は、上述した6種類の出力容量の各々について、バッテリ充電電力として消費可能な充電初期電力、その場合の充電電圧、その充電電圧に対応した回復充電時間(100%充電時間、110%充電時間及び120%充電時間)の関係を示している。
このように、本実施の形態に係る無停電電源装置1−1は、バッテリ充電電圧値として、入力電流制限値やバッテリの充電電圧制限値、その際のバッテリ充電電流制限値を加味されて設定される充電電圧設定値Vcdsetに対応した充電電圧値を自動設定することが可能となり、出力容量に見合った回復充電時間の短縮が図4の表のとおり可能となる。これにより、無停電電源装置の運用性の向上を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無停電電源装置1−2について図5を参照して詳細に説明する。以下では、主に第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1と異なる点について説明する。
図5の無停電電源装置1−2が図1の無停電電源装置1−1と異なる点は、充電器制御回路10及び充電回路20がそれぞれ2象限チョッパ制御回路11及び2象限チョッパ回路21に変更されている点、2象限チョッパ回路21の入力兼出力端子が直流端子G、Hに接続され、昇圧回路50が削除されている点、及び2象限チョッパ制御回路11が直流端子G及びHにも接続されている点である。
詳述すると、図5の無停電電源装置1−2の2象限チョッパ回路21は、高力率整流回路30とインバータ回路40との接続点である直流端子G及びHに接続されるとともにバッテリ6が接続されるバッテリ電圧端子I及びJに接続されている。また、2象限チョッパ制御回路11は、交流入力端子E及びFと、直流端子G及びHと、バッテリ電圧端子Iとに接続されるとともに、電流検出器4及び5に接続されている。
以下、図5の無停電電源装置1−2の動作について説明する。
入力端子A、Bから入力される交流電力は、フィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4、交流入力端子E及びFを介して、高力率整流回路30に入力される。高力率整流回路30は、入力される交流電源電圧を昇圧して電圧が安定化された直流電力を直流端子G及びHに供給する。高力率整流回路30から直流端子G及びHに出力された直流電力は、インバータ回路40、2象限チョッパ回路21及び2象限チョッパ制御回路11に入力される。
2象限チョッパ回路21は、例えば、図示のようにMOSFET2101及び2102と、リアクトル2103と、コンデンサ2104とを備えている。MOSFET2101及び2102は、2象限チョッパ制御回路11から与えられるゲート駆動信号T2、T3によりそれぞれ開閉制御される。
交流入力受電時、2象限チョッパ回路21は高力率整流回路30からの直流電圧を降圧制御(安定化制御)し、バッテリ6に対する充電器として動作する。この場合、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3は常にLレベルとなり、従ってMOSFET2102は常にOFF状態にある。一方、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T2は、このときHレベルとLレベルとを交互に繰り返す。
ゲート駆動信号T2がHレベルのときはMOSFET2101がONし、直流端子G→MOSFET2101→リアクトル2103→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→直流端子Hの経路で電流が流れ、リアクトル2103にエネルギーが蓄積される。また、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T2がLレベルのときはMOSFET2101がOFFし、リアクトル2103に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2103→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→MOSFET2102のボディーダイオード(図示せず)→リアクトル2103の経路で電流が循環してバッテリ6に供給される。
ゲート駆動信号T2のHレベルの期間を大に、Lレベルの期間を小とすると、2象限チョッパ回路21からバッテリ6に供給される出力電流と出力電圧は増加する。逆にゲート駆動信号T2のHレベルの期間を小に、Lレベルの期間を大とすると、2象限チョッパ回路21からバッテリ6に供給される出力電流と出力電圧は減少する。
以上のように交流入力受電時はMOSFET2101のゲート駆動信号T2のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、2象限チョッパ制御回路11にて2象限チョッパ回路21からバッテリ6に供給される出力電流と電圧、即ちバッテリ充電電流、電圧を所望の値に制御することができる。
上記構成において停電が発生した場合、高力率整流回路30から出力される所定の直流電力は絶たれるが、バッテリ6からのバッテリ電圧に対して2象限チョッパ回路21は昇圧(安定制御)器として働き、所定の時間、インバータ回路40に対し所定の直流電力を供給する。その結果、インバータ回路40からは所定の交流出力電圧Voの交流電力が所定の時間、出力端子C、Dを介して負荷機器に供給される。
停電発生時、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T2は常にLレベルとなり、従ってMOSFET2101は常にOFF状態にある。一方、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3はHレベルとLレベルとを交互に繰り返す。
2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3がHレベルのときはMOSFET2102がONし、バッテリ6→バッテリ電圧端子I→電流検出器5→リアクトル2103→MOSFET2102→バッテリ電圧端子J→バッテリ6の経路で電流が流れ、リアクトル2103にエネルギーが蓄積される。また、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3がLレベルのときはMOSFET2102がOFFし、リアクトル2103に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2103→MOSFET2101のボディーダイオード(図示せず)→直流端子G→インバータ回路40及び出力端子C、Dに接続された負荷機器(図示せず)→直流端子H→バッテリ電圧端子J→バッテリ6→バッテリ電圧端子I→電流検出器5→リアクトル2103の経路で電流が循環して負荷機器に無停電電力を供給する。
ゲート駆動信号T3のHレベルの期間を大に、Lレベルの期間を小とすると、2象限チョッパ回路21からインバータ回路40及び前記負荷機器に供給される出力電流と出力電圧は増加する。逆にゲート駆動信号のT3がHレベルの期間を小に、Lレベルの期間を大とすると、2象限チョッパ回路21からインバータ回路40及び前記負荷機器に供給される出力電流と出力電圧は減少する。
以上のように停電時はMOSFET2102のゲート駆動信号T3のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、2象限チョッパ制御回路11にて2象限チョッパ回路21からインバータ回路40及び前記負荷機器に供給される出力電流と電圧を所望の値に制御することができる。
2象限チョッパ制御回路11は、上述のように2象限チョッパ回路21を制御するため、誤差増幅器1001、1006、抵抗器1002、1007、基準電圧源1005、入力電圧検出回路1009、A/Dコンバータ1010、CPU1011、D/Aコンバータ1012、及び2象限チョッパ電圧制御回路1101を備えている。
2象限チョッパ制御回路11では、入力電圧検出回路1009が交流入力端子E、F間の電圧(入力電圧)に基づき入力電圧情報Viを生成する。A/Dコンバータ1010は、入力電圧検出回路1009から出力される入力電圧情報Viと、電流検出器4から出力される入力電流情報Iiと、電流検出器5から出力される充電電流情報IcをそれぞれA/D変換して、CPU1011へ供給する。CPU1011は、第1の実施の形態の場合と同様(図2参照)に動作して、入力された入力電圧情報Vidから算出される停電回復からの経過時間Hと、入力された入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとに基づいて充電電圧設定値Vcdsetを生成し、D/Aコンバータ1012に出力する。D/Aコンバータ1012は、CPU1011の処理結果である充電電圧設定値Vcdsetを変換し、目標充電電圧値に対応した電圧値Vcsetとして誤差増幅器1006の反転入力端子に出力する。
誤差増幅器1006の非反転入力端子にはバッテリ電圧端子Iからのバッテリ充電電圧情報Vchが入力されている。そして、誤差増幅器1006は、このバッテリ充電電圧情報Vchと反転入力端子に入力されるD/Aコンバータ1012からの目標充電電圧値に対応した電圧値Vcsetとの差(Vch−Vcset)のβv(誤差増幅器1006の増幅率)倍に相当する誤差増幅電圧Evを発生する。誤差増幅器1006から出力された誤差増幅電圧Evは、抵抗器1007を介して一端が誤差増幅器1001の出力端子に接続される抵抗器1002の他端に供給される。
他方、誤差増幅器1001の非反転入力端子には電流検出器5からの充電電流情報Ic(Icは電圧値)が入力され、反転入力端子にはバッテリ充電電流を設定する基準電圧Vrefが基準電圧源1005から入力されている。誤差増幅器1001は、充電電流情報Icと基準電圧Vrefとの差(Ic−Vref)のβi(誤差増幅器1001の増幅率)倍に相当する誤差増幅電圧Eiを出力する。
抵抗器1002及び1007を介して加算される誤差増幅器1001及び1006の誤差増幅電圧Ei及びEvは、制御用信号Eとして2象限チョッパ電圧制御回路1101に入力される。
2象限チョッパ電圧制御回路1101は、誤差増幅器1001及び1006から抵抗器1002及び1007を介して供給される制御用信号Eの他、直流端子G及びHとからの電位Vg及びVhが与えられている。2象限チョッパ電圧制御回路1101は、これら電圧E、Vg及びVhに基づき、公知の方法により2象限チョッパ回路21に与えるゲート駆動信号T2、T3を生成する。
つまり、2象限チョッパ電圧制御回路1101は、交流入力(電源電圧)受電時は、ゲート駆動信号T3を常にLレベルにするとともに、バッテリ電圧端子I、J間の電圧、即ちバッテリ6に対するバッテリ充電電圧、を安定化制御するようにゲート駆動信号T2のHレベルとLレベルの時比率を制御する。このとき、2象限チョッパ電圧制御回路1101は、抵抗器1002及び1007を介して加算される誤差増幅器1001及び1006の誤差増幅電圧Ei及びEvの加算結果である制御用信号Eに基づき、充電電流情報Icが示す電流値が所定の値より大きくならない範囲でバッテリ充電電圧情報Vchが示す電圧が充電電圧設定値Vcdsetが示す電圧に一致するようにゲート駆動信号T2のHレベルとLレベルの時比率を制御する。このようにして、2象限チョッパ電圧制御回路1101は、交流入力受電時に、2象限チョッパ回路21の出力電流と電圧、即ちバッテリ充電電流、電圧を所望の値に制御することができる。
一方、停電発生時には、2象限チョッパ回路21は、バッテリ6からのバッテリ電圧に対して昇圧器として働き、ゲート駆動信号T2を常にLレベルにするとともに、直流端子G、H間の電圧、即ちインバータ回路40の入力電圧、を安定化制御するようにゲート駆動信号T3のHレベルとLレベルの時比率を制御する。
以上のようにして、本実施に形態に係る無停電電源装置1−2においても、第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1と同様に、バッテリ充電電圧値として、入力電流制限値やバッテリの充電電圧制限値、その際のバッテリ充電電流制限値を加味されて設定される充電電圧設定値Vcdsetに対応した充電電圧値を自動設定することが可能となり、出力容量に見合った回復充電時間の短縮が図4の表のとおり可能となる。これにより、無停電電源装置の運用性の向上を図ることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無停電電源装置1−3について図6を参照して詳細に説明する。以下では、主に第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1と異なる点について説明する。
図6の無停電電源装置1−3が図1の無停電電源装置1−1と異なる点は、図1の充電器制御回路10及び充電回路20がそれぞれ双方向コンバータ制御回路12及び双方向コンバータ回路22に変更されている点と、双方向コンバータ回路22の入力兼出力端子が交流入力端子E及びFと出力端子C及びDとに接続されている点と、図1の高力率整流回路30、インバータ回路40及び昇圧回路50が削除されている点である。
詳述すると、図6の無停電電源装置1−3は、入力端子A及びBがフィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4、及び交流入力端子E及びFを介して出力端子C及びDに接続されている。双方向コンバータ回路22は、交流入力端子E及びFに接続されるとともに、バッテリ電圧端子I及びJに電流検出器5を介して接続されている。また、双方向コンバータ制御回路12は、交流入力端子E及びFとバッテリ電圧端子Iとに接続されるとともに、電流検出器4及び5にも接続されている。
以下、図6の無停電電源装置1−3の動作について説明する。
入力端子A、Bに入力される交流電力は、フィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4、交流入力端子E及びF、及び出力端子C及びDを介して負荷機器(図示せず)に供給される。また、交流電力は、交流入力端子E及びFから双方向コンバータ回路22及び双方向コンバータ制御回路12に入力される。
双方向コンバータ回路22は、例えば、図示のようにトランス2201、コンデンサ2202及び2208、リアクトル2203、MOSFET2204〜2207により構成される。この双方向コンバータ回路22は、双方向コンバータ制御回路12から与えられるゲート駆動信号T4〜T7によりMOSFET2204〜2207の開閉制御がなされ、交流入力(電源電圧)受電時には、バッテリ6に対する充電器として動作する。
詳述すると、交流入力受電時、交流入力端子Fの電位より交流入力端子Eの電位が高い期間(以降、「正の半サイクル」と称する。)、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4、T6及びT7は常にLレベルとなり、MOSFET2204、2206及び2207は常にOFF状態となる。このとき、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5がHレベルであれば、MOSFET2205がONし、交流入力端子E→トランス2201→交流入力端子Fの経路で流れる電流によりトランス2201の二次側に誘起された電流が、トランス2201→リアクトル2203→MOSFET2205→MOSFET2207のボディーダイオード(図示せず)→トランス2201の経路で流れ、リアクトル2203にエネルギーが蓄積される。
他方、正の半サイクル期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5がLレベルのときはMOSFET2205がOFFし、リアクトル2203に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2203→MOSFET2204のボディーダイオード(図示せず)→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→MOSFET2207のボディーダイオード(図示せず)→トランス2201→リアクトル2203の経路で電流が循環してバッテリ6に供給される。
正の半サイクルの期間において、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5のHレベル期間を長くすると(即ち、MOSFET2205のON期間を大にすると)リアクトル2203に蓄積されるエネルギーが大となりバッテリ6への充電電流・電圧は増加する。逆に双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5のLレベル期間を長くすると(即ち、MOSFET2205のOFF期間を大にすると)リアクトル2203に蓄積されるエネルギーが小となりバッテリ6への充電電流・電圧は減少する。
次に、交流入力受電時であって、交流入力端子Eの電位より交流入力端子Fの電位が高い期間(以降、「負の半サイクル」と記す)の動作について説明する。
負の半サイクルの期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4、T5及びT6は常にLレベルとなり、MOSFET2204、2205及び2206は常にOFF状態となる。このとき、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7がHレベルであれば、MOSFET2207がONし、交流入力端子F→トランス2201→交流入力端子Eに流れる電流によってトランス2201の二次側に誘起された電流は、トランス2201→MOSFET2207→MOSFET2205のボディーダイオード(図示せず)→リアクトル2203→トランス2201の経路で流れ、リアクトル2203にエネルギーが蓄積される。
他方、負の半サイクルの期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7がLレベルのときはMOSFET2207がOFFし、リアクトル2203に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2203→トランス2201→MOSFET2206のボディーダイオード(図示せず)→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→MOSFET2205のボディーダイオード(図示せず)→リアクトル2203の経路で電流が循環してバッテリ6に供給される。
負の半サイクルの期間において、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7のHレベル期間を長く(即ちMOSFET2207のON期間を大)にするとリアクトル2203に蓄積されるエネルギーが大となりバッテリ6への充電電流・電圧は増加する。逆に、負の半サイクルの期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7のLレベル期間を長く(MOSFET2207のOFF期間を大)にするとリアクトル2203に蓄積されるエネルギーが小となりバッテリ6への充電電流・電圧は減少する。
以上のように、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3では、交流入力受電時における正の半サイクル時はMOSFET2205のゲート駆動信号T5のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、交流入力受電時における負の半サイクル時はMOSFET2207のゲート駆動信号T7のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、双方向コンバータ制御回路12にて双方向コンバータ回路22の出力電流と電圧、即ちバッテリ充電電流、電圧を所望の値に制御(安定化制御)することができる。
次に、停電が発生した場合、即ち交流電源電圧が断した場合、の無停電電源装置1−3の動作について説明する。
停電が発生した場合、入力端子A及びBに入力され交流入力端子E及びFを介して双方向コンバータ回路22に供給される交流電力が途絶える。このとき、双方向コンバータ回路22は、バッテリ6からのバッテリ電圧に対してインバータとして動作し、所定の交流出力電圧Voの交流電力を、所定の時間、出力端子C、Dを介して負荷機器(図示せず)に供給する。
双方向コンバータ回路22のインバータとしての動作を、交流入力端子E及びFの電位に応じて場合分けして以下に説明する。
まず、双方向コンバータ回路22が、交流入力端子Eの電位より交流入力端子Fの電位が高い(以降、「正の半サイクル」と称す。)出力電圧を発生する期間について説明する。
双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4及びT7によりMOSFET2204とMOSFET2207が同時にONすると、トランス2201の2次コイル側にバッテリ電圧が正方向に印加される。次に、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4及びT6によりMOSFET2204とMOSFET2206が同時にONすると、トランス2201の二次コイル電圧はゼロとなる。つまり、MOSFET2204をONさせた状態で、MOSFET2206とMOSFET2207とを交互にON/OFFさせることにより、トランス2201の二次コイル側には、バッテリ電圧とゼロ電圧とを交互に繰り返すPWM波が印加される。このPWM波は交流フィルタを構成するリアクトル2203とコンデンサ2202とで平滑され、トランス2201の一次コイルには、一次コイルと二次コイルの巻数比に応じた電圧の正弦波が誘起され、この正弦波が交流入力端子E、F間に印加され、出力端子C、Dから出力される。
正の半サイクル期間中において、MOSFET2204とMOSFET2207が同時にONする期間を大にしMOSFET2204とMOSFET2206が同時にONする期間を小にすると、トランス2201の二次側はバッテリ電圧が印加される期間が大となりゼロ電圧が印加される期間が小となる。その結果、トランス2201の一次側に誘起される正弦波の平均電圧は増加し、交流入力端子E、F間に発生する電圧は増加する。
逆に、MOSFET2204とMOSFET2207が同時にONする期間を小にしMOSFET2204とMOSFET2206が同時にONする期間を大にすると、トランス2201の一次側に誘起される正弦波の平均電圧は減少し、交流入力端子E、F間に発生する電圧は減少する。
以上のようにして、MOSFET2204とMOSFET2207が同時にONする期間と、MOSFET2204とMOSFET2206が同時にONする期間の時比率を適切に制御することにより、交流入力端子EとFとの間には所望の振幅を有する正弦波の正の半サイクルを発生させることができる。
次に、双方向コンバータ回路22が、交流入力端子Eの電位より交流入力端子Fの電位が低い(以降、「負の半サイクル」と称す。)出力電圧を発生する期間について説明する。
双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5及びT6によりMOSFET2205とMOSFET2206が同時にONすると、トランス2201の二次コイル側にバッテリ電圧が負方向に印加される。また、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5及びT7によりMOSFET2205とMOSFET2207が同時にONすると、トランス2201の二次コイル電圧はゼロとなる。つまり、MOSFET2205をONさせた状態で、MOSFET2206とMOSFET2207とを交互にON/OFFさせることにより、トランス2201の二次コイル側には、バッテリ電圧とゼロ電圧とを交互に繰り返すPWM波が印加される。このPWM波は交流フィルタを構成するリアクトル2203とコンデンサ2202とで平滑され、トランス2201の一次コイルには、一次コイルと二次コイルの巻数比に応じた電圧の正弦波が誘起され、この正弦波が交流入力端子E、F間に印加され、出力端子C、Dから出力される。
負の半サイクル期間中において、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間を大にしMOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする期間を小にすると、トランス2201の二次側はバッテリ電圧が負方向に印加される期間が大となりゼロ電圧が印加される期間が小となる。その結果、トランス2201の一次側に負方向に誘起される正弦波の平均電圧は増加し、交流入力端子E、F間に発生する電圧は負方向に増加する。
逆に、負の半サイクル期間中において、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間を小にしMOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする期間を大にすると、トランス2201の二次側はバッテリ電圧が負方向に印加される期間が小となりゼロ電圧が印加される期間が大となり、その結果正弦波の負方向の平均電圧は減少し、交流入力端子E、F間に発生する負方向の電圧は減少する。
このようにして、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間と、MOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする期間の時比率を適切に制御することにより、交流入力端子EとFとの間には所望の振幅を有する正弦波の負の半サイクルを発生させることができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3では、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4、T5、T6及びT7を制御することにより所望の振幅を有する正弦波の出力電圧を得ることができる。
次に、双方向コンバータ制御回路12の動作について説明する。
双方向コンバータ制御回路12の入力電圧検出回路1009、A/Dコンバータ1010、CPU1011、D/Aコンバータ1012、基準電圧源1005、誤差増幅器1001及び1006、及び抵抗器1002及び1007は、第2の実施の形態に係る無停電電源装置1−2の入力電圧検出回路1009、A/Dコンバータ1010、CPU1011、D/Aコンバータ1012、基準電圧源1005、誤差増幅器1001及び1006、及び抵抗器1002及び1007と同様に動作する。即ち、入力電圧検出回路1009は、交流入力端子E、F間の電圧(入力電圧)に基づき入力電圧情報Viを生成する。A/Dコンバータ1010は、入力電圧検出回路1009から出力される入力電圧情報Viと、電流検出器4から出力される入力電流情報Iiと、電流検出器5から出力される充電電流情報IcをそれぞれA/D変換して、CPU1011へ供給する。CPU1011は、第1の実施の形態の場合と同様(図2参照)に動作して、入力された入力電圧情報Vidから算出される停電回復からの経過時間Hと、入力された入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとに基づいて充電電圧設定値Vcdsetを生成し、D/Aコンバータ1012に出力する。D/Aコンバータ1012は、CPU1011の処理結果である充電電圧設定値Vcdsetを変換し、目標充電電圧値に対応した電圧値Vcsetとして誤差増幅器1006の反転入力端子に出力する。
誤差増幅器1006の非反転入力端子にはバッテリ電圧端子Iからのバッテリ充電電圧情報Vchが入力されている。そして、誤差増幅器1006は、このバッテリ充電電圧情報Vchと反転入力端子に入力されるD/Aコンバータ1012からの目標充電電圧値に対応した電圧値Vcsetとの差(Vch−Vcset)のβv(誤差増幅器1006の増幅率)倍に相当する誤差増幅電圧Evを発生する。誤差増幅器1006から出力された誤差増幅電圧Evは、抵抗器1007を介して一端が誤差増幅器1001の出力端子に接続される抵抗器1002の他端に供給される。
他方、誤差増幅器1001の非反転入力端子には電流検出器5からの充電電流情報Ic(Icは電圧値)が入力され、反転入力端子にはバッテリ充電電流を設定する基準電圧Vrefが基準電圧源1005から入力されている。誤差増幅器1001は、充電電流情報Icと基準電圧Vrefとの差(Ic−Vref)のβi(誤差増幅器1001の増幅率)倍に相当する誤差増幅電圧Eiを出力する。
抵抗器1002及び1007を介して加算される誤差増幅器1001及び1006の誤差増幅電圧Ei及びEvは、制御用信号Eとして双方向コンバータ電圧制御回路1201に入力される。
双方向コンバータ電圧制御回路1201は、前記制御用信号Eのほか、交流入力端子E及びFからの電位VeとVfとに基づき、公知の方法により双方向コンバータ回路22に与えるゲート駆動信号T4、T5、T6、T7を生成する。
以上のように、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3では、交流入力受電時における正の半サイクル時はMOSFET2205のゲート駆動信号T5のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御し、交流入力受電時における負の半サイクル時はMOSFET2207のゲート駆動信号T7のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、双方向コンバータ制御回路12にて双方向コンバータ回路22の出力電流と電圧、即ちバッテリ充電電流、電圧を所望の値に制御することができる。なお、双方向コンバータ電圧制御回路1201は、抵抗器1002及び1007を介して加算される誤差増幅器1001及び1006の誤差増幅電圧Ei及びEvの加算結果である制御用信号Eに基づき、充電電流情報Icが示す電流値が所定の値より大きくならない範囲でバッテリ充電電圧情報Vchが示す電圧値が充電電圧設定値Vcdsetが示す電圧値に一致するようにゲート駆動信号T2のHレベルとLレベルの時比率に制限を加えている。
また、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3は、停電発生時において、双方向コンバータ回路22をバッテリ6からのバッテリ電圧に対してインバータとして働かせ、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間と、MOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする時間の時比率を適切に制御することにより、所望の振幅を有する正弦波出力電圧を得ることができる。
以上のようにして、本実施の形態による無停電電源装置1−3においても、第1及び2の実施の形態に係る無停電電源装置1−1及び1−2と同様に、バッテリ充電電圧値として、入力電流制限値やバッテリの充電電圧制限値、その際のバッテリ充電電流制限値を加味されて設定される充電電圧設定値Vcdsetに対応した充電電圧値を自動設定することが可能となり、出力容量に見合った回復充電時間の短縮が図4の表のとおり可能となる。これにより、無停電電源装置の運用性の向上を図ることができる。
次に、本発明の第1、2及び3の実施の形態に係る無停電電源装置のCPU1011において採用可能な他の処理例について図7のフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、図7において、図2のフローチャートと同一のステップには同一符号が付されている。
図7を参照すると、CPU1011は、まずステップS7−1にて、Iidlimitのマニュアル設定を受け付ける。即ち、図示しない入力設定部からのIidlimitの入力を受け付ける。ここでは、複数個のIidlimit候補I1、I2、・・・、が予めメモリに格納されており、それを指定するものとする。
CPU1011は、ステップS7−1でIidlimit候補が指定されると、指定されたIidlimit候補を、ステップS7−2において、Iidlimitに設定する。
以降は、図2と同じ処理(ステップS2−1〜S2−7)を繰り返し、Vcdsetを制御する。
本実施の形態によれば、マニュアルでIidlimitを設定するようにしたことで、バッテリ6として任意のバッテリを使用することが可能になる。
なお、上記実施の形態では、予めメモリに格納されているIidlimit候補を指定する場合について説明したが、直接Iidlimitを設定するようにしてもよい。
次に、本発明の第1、2及び3の実施の形態に係る無停電電源装置のCPU1011において採用可能なさらに他の処理例について図8のフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、図8においても、図7と同様、図2のフローチャートと同一のステップには同一符号が付されている。
図8を参照すると、CPU1011は、まずステップS2−1において、入力電圧検出回路1009とA/Dコンバータ1010を介して数値化された入力電圧情報Vidを基に停電回復からの経過時間Hと、予め設定された所定の経過時間設定値Hsetを比較する。そして、CPU1011は、ステップS2−1の結果、H≦Hsetでないと判断すると、ステップ2−7に進み、充電電圧設定値VcdsetをVcd0に保持する。また、CPU1011は、ステップS2−1において、H≦Hsetであると判断すると、ステップS2−2に進み、A/Dコンバータ1010を介して数値化された入力電流情報Iidと入力電流制限値Iidlimitを比較する。
CPU1011は、ステップS2−2の比較の結果、Iid<Iidlimitでないと判断すると、ステップS2−3に進み、充電電圧設定値Vcdsetを、例えば所定量、減少させる。
一方、CPU1011は、ステップS2−2の比較の結果、Iid<Iidlimitであると判断すると、ステップS8−1に進み、バッテリの種類を判別する。この判別は、例えば初期設定時にメモリに格納されるバッテリ情報に基づいて行ってもよいし、バッテリ種別を検出する検出手段を設け、検出結果に基づいて行ってもよい。
次に、CPU1011は、ステップS8−2において、バッテリの種類に応じてVcdmaxを設定する。この設定は、例えば、図示しないメモリに、バッテリの種類に応じた複数のVcdmax候補を予め格納しておき、判別したバッテリの種類に応じてVcdmax候補を読み出すことにより行われる。
残りのステップについては、図2を参照して説明したとおりである。
本実施の形態によれば、バッテリの種類に応じてVcdmaxを設定するようにしたことで、種類の異なるバッテリ6を使用することが容易にできる。
次に、本発明の第1、2及び3の実施の形態に係る無停電電源装置のCPU1011において採用可能なさらにもう一つの処理例について図9のフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、図9のフローチャートが図8のフローチャートと異なる点は、ステップS8−1に代えてステップS9−1を有している点である。ステップS8−2とステップS9−2とは実質的に差異はない。
なお、本実施の形態に係る無停電電源装置1−1、1−2及び1−3は、図1、5及び6に示す構成に加え、周囲温度を検出するための温度検出器(図示せず)を備えているものとする。そして、その温度検出器からの検出出力が(A/Dコンバータ1010を介して)CPU1011に与えられているものとする。
図9を参照すると、CPU1011は、ステップS9−1において温度検出器からの検出温度が、予め設定された複数の温度範囲のうち、どの範囲に含まれるのかを判別する。なお、複数の温度範囲には、それぞれ、設定すべきVcdmaxが割り当てられており、その関係がメモリ(図示せず)に格納されている。
次に、CPU1011は、ステップS9−2において、検出温度が含まれる範囲に割り当てられたVcdmaxをメモリから読み出して設定する。
残りのステップについては、図2と同様である。
本実施の形態によれば、無停電電源装置の周囲温度に応じてVcdmaxを自動設定するようにしたことで、定電流定電圧充電を行った場合に、周囲温度が高くなるに従ってバッテリが過充電傾向を示すのを防止することができる。
以上、本発明についていくつかの実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、無停電電源装置の構成や制御方式に関しては、直流出力無停電電源装置を含め他の無停電電源装置の構成や制御方式、処理フローチャート等を用いる場合にも本発明が適用できる。また、上記実施の形態では、入力電流を検出して充電電力最大値を制御する場合について説明したが、出力端子C及びDから負荷に供給される出力電流を検出するようにしてもよい。この場合、検出した出力電流値をCPUに与え、CPUが負荷との関係に基づいて入力電流値に換算するようにすれば、上述した実施の形態と同様の制御が実現できる。