JP4221289B2 - 核酸アジュバント - Google Patents

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Description

本発明は、分子生物学および免疫学の分野、全般的には核酸免疫感作技術に関する。より詳しくは、本発明は、アジュバントをコードするポリヌクレオチド、およびそのようなポリヌクレオチドを使用する免疫感作法に関する。
発現産物に対する免疫感作を目的として哺乳動物組織中にDNAおよびmRNAを注入するための技術は当技術分野において既に記載されている。本明細書中で用いる「核酸免疫感作」と称される技術は体液性および細胞性の両方の免疫応答を惹起することが示されている。例えば、エンベロープ糖タンパク質gp160をコードするDNA構築物で免疫したマウスからの血清はイムノアッセイにおいて組換えgp160と反応することが示され、該注入マウスからのリンパ球は組換えgp120に応答して増殖することが示された(Wangら.(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4156-4160)。同様に、ヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子で免疫したマウスは、抗体に基づく免疫応答を示した(Tangら (1992) Nature 356:152-154)。哺乳動物プロモーターにより駆動されるインフルエンザ核タンパク質をコードするDNAの筋肉内注射は、その後の致死的なウイルスチャレンジに対してマウスを防御しうるCD8+ CTL応答を惹起することが示されている(Ulmerら (1993) Science 259:1745-1749)。該注射部位の免疫組織化学的研究は、該DNAが骨髄芽球により取り込まれること、およびウイルスタンパク質の細胞質産生が少なくとも6ヶ月示されうることを明らかにした。
本発明の主な目的は、第1および第2核酸配列(該第1核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化(末端切断型)Aサブユニットコード領域であり、該第2核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Bサブユニットコード領域である)を含有するポリヌクレオチドアジュバント組成物を提供することである。該トランケート化サブユニットコード領域のそれぞれは5’欠失を有し、アミノ末端の細菌シグナルペプチドをもたないサブユニットペプチドをコードしている。
第1および第2核酸配列は、同じ又は異なる核酸構築物中に存在しうる。トランケート化サブユニットコード領域は、同じ細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたものであってよく、ある好ましい実施形態においては、該細菌ADPリボシル化外毒素はコレラ毒素(CT)または大腸菌(E. coli)易熱性エンテロトキシン(LT)である。また、トランケート化サブユニットコード領域の少なくとも1つは、それによってコードされるサブユニットペプチドを解毒するように遺伝的に修飾されており、例えば、トランケート化Aサブユニットコード領域は、該サブユニットペプチド発現産物におけるADPリボシルトランスフェラーゼ活性を破壊または不活性化するように遺伝的に修飾されている。
また、第1および第2核酸配列(該第1核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導された修飾Aサブユニットコード領域であり、該第2核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたBサブユニットコード領域である)を含有するポリヌクレオチドアジュバント組成物を提供することも、本発明の主な目的である。修飾Aサブユニットコード領域およびBサブユニットコード領域はそれぞれ、成熟サブユニットペプチドをコードし、該修飾Aサブユニットコード領域は、それによってコードされるサブユニットペプチド中のC末端KDELまたはRDELモチーフを欠失するように遺伝的に修飾されている。
前記のとおり、第1および第2核酸配列は同じ又は異なる核酸構築物中に存在しうる。トランケート化サブユニットコード領域は、同じ細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたものであってよく、ある好ましい実施形態においては、該細菌ADPリボシル化外毒素はコレラ毒素(CT)または大腸菌(E. coli)易熱性エンテロトキシン(LT)である。また、トランケート化サブユニットコード領域の少なくとも1つは、それによってコードされるサブユニットペプチドを解毒するように遺伝的に修飾されており、例えば、トランケート化Aサブユニットコード領域は、該サブユニットペプチド発現産物におけるADPリボシルトランスフェラーゼ活性を破壊または不活性化するように遺伝的に修飾されている。
本発明の或る態様においては、前記組成物は粒子形態で提供されることが可能であり、例えば、該組成物は、粒子送達装置からの送達に適した粒子である。この場合、本組成物を同じ又は異なるコア担体粒子上にコーティングすることが可能であり、したがって、粒子媒介トランスフェクション技術を用いる送達に適している。好ましいコア担体粒子は約0.1〜10μmの平均径を有し、金のような金属を含みうる。したがって、本明細書中に定義される粒子状組成物がロードされた(例えば、該組成物を含有する)粒子送達装置を提供することが、本発明の更にもう1つの目的である。
また、脊椎動物被験者において対象の抗原に対する免疫応答を増強するための医薬の製造における、第1および第2核酸配列(各配列は、細菌ADPリボシル化外毒素からのサブユニットのコード領域を含む)を含有する組成物の使用を提供することも、本発明の主な目的である。該対象抗原および該組成物は、該第1および第2核酸配列によりコードされる毒素サブユニットが、該抗原に対する増強された免疫応答を惹起するのに十分な量で発現されるよう、該被験者に投与される。該第1核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Aサブユニットコード領域を含有し、該第2核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Bサブユニットコード領域を含有する。ただし、該トランケート化サブユニットコード領域のそれぞれは5’欠失を有し、アミノ末端の細菌シグナルペプチドを有しないサブユニットペプチドをコードしている。
本発明の関連する主要目的は、被験者において対象の抗原に対する免疫応答を増強する方法を提供することである。この方法は、一般には、(a)対象となる抗原を該被験者に投与し、(b)第1および第2核酸配列(該第1核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Aサブユニットコード領域であり、該第2核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Bサブユニットコード領域である)を含むアジュバント組成物を準備し、(c)該アジュバント組成物を該被験者に投与し、それにより、該被験者への導入により、該第1および第2核酸配列が、対象の抗原に対する増強された免疫応答を惹起するのに十分な量のサブユニットペプチドをもたらすように発現される、ことを特徴としている。各コード領域が5’欠失を有し、アミノ末端の細菌シグナルペプチドを有しないサブユニットペプチドをコードしているという点で、該サブユニットコード領域はトランケートされている。
本発明の更にもう1つの主要目的は、脊椎動物被験者において対象の抗原に対する免疫応答を増強するための医薬の製造における、第1および第2核酸配列(各配列は、細菌ADPリボシル化外毒素からのサブユニットのコード領域を含む)を含む組成物の使用を提供することである。該対象抗原および該組成物は、第1および第2核酸配列によりコードされる毒素サブユニットが、該抗原に対する増強された免疫応答を惹起するのに十分な量で発現されるように、該被験者に投与される。第1核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導された修飾Aサブユニットコード領域を含有し、第2核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたBサブユニットコード領域を含有する。ただし、修飾Aサブユニットコード領域およびBサブユニットコード領域はそれぞれ、成熟サブユニットペプチドをコードし、更に、修飾Aサブユニットコード領域は、それによってコードされるサブユニットペプチド中のC末端KDELまたはRDELモチーフを欠失するように遺伝的に修飾されている。
本発明の関連する主要目的は、被験者において対象の抗原に対する免疫応答を増強する方法を提供することである。この方法は、(a)対象となる抗原を該被験者に投与し、(b)第1および第2核酸配列(該第1核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導された修飾Aサブユニットコード領域であり、該第2核酸配列は、細菌ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたBサブユニットコード領域である)を含むアジュバント組成物を準備し、(c)該アジュバント組成物を該被験者に投与し、それにより、該被験者への導入後に、第1および第2核酸配列が、対象の抗原に対する増強された免疫応答を惹起するのに十分な量のサブユニットペプチドを与えるように発現される、ことを特徴としている。該サブユニットコード領域のそれぞれは成熟サブユニットペプチドをコードするが、該Aサブユニットコード領域は、それによってコードされるサブユニットペプチド中のC末端KDELまたはRDELモチーフを欠失するように遺伝的に修飾されているという点で、該サブユニットコード領域は修飾されている。
本発明の使用および方法においては、該アジュバント組成物の投与は、本発明のポリヌクレオチドアジュバント組成物で被験者の細胞をトランスフェクトすることを含む。細胞をトランスフェクトするためには、本発明の核酸分子を含有する発現カセットおよび/またはベクターを使用することが可能であり、トランスフェクションは、被験者内での該サブユニットペプチドの発現を可能にする条件下で行う。この方法は更に、少なくとも1つの二次組成物を被験者に投与する1以上のステップを含みうる。
免疫感作の間に行うトランスフェクション法は、(例えば、二次免疫感作ステップを行う前に被験者に続いて導入されるトランスフェクト細胞を得るために)in vivoまたはex vivoで行うことができる。in vivoトランスフェクションを用いる場合には、核酸分子をプラスミドDNAの筋肉内または皮内注射により被験者に投与したり、あるいは、好ましくは、粒子媒介送達技術を用いて被験者に投与することができる。ワクチン組成物(対象の抗原を含有するもの)は、任意の適当なワクチン組成物の形態、例えば、ペプチドサブユニット組成物の形態、核酸ワクチン組成物の形態、または全ウイルスもしくはスプリットウイルス(ウイルス成分)インフルエンザワクチン組成物の形態で提供されうる。
ある方法においては、対象の抗原およびアジュバント組成物を被験者の同じ部位に投与する。例えば、アジュバント組成物および対象の抗原を同時に投与する(例えば、単一のワクチン組成物中に提供する)ことができる。ある好ましい実施形態においては、該アジュバント、および場合により対象の抗原、を粒子形態で投与する。例えば、この場合、アジュバント組成物はコア担体粒子上にコーティングされ、粒子媒介送達技術を用いて被験者に送達される。
これらの方法においては、本発明のポリヌクレオチドアジュバント組成物の投与は、好ましくは、共投与された対象抗原に対する増強された細胞性免疫応答をもたらす。そのような増強された免疫応答は、一般には、インターフェロン産生CD4+および/またはCD8+ Tリンパ球の力価の増加、抗原特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性の増加、ならびにTヘルパー2様免疫応答(Th2)(例えば、通常はCTまたはLTのような細菌ADPリボシル化外毒素アジュバントを使用して被験者を免疫した場合に生じるもの)ではなく対象抗原に対するTヘルパー1様免疫応答(Th1)(典型的には細胞性免疫に関連しているサブクラス(例えばIgG2a)の抗原特異的抗体力価の増加、および通常はそれに付随して起こる、典型的には体液性免疫に関連しているサブクラス(例えばIgG1)の抗体力価の減少により特徴づけられる)により特徴づけられうる。
本発明の利点には、本アジュバント組成物が顕著なアジュバント効果を賦与して免疫被験者において共投与抗原の免疫原性を増強しうること、および共投与抗原に対するTh1様免疫応答(ワクチン製品において有益である)を優先させうることが含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明のこれら及び他の目的、構成および効果は、本明細書の開示を考慮すれば当業者に容易に見出されるであろう。
発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特に例示されている分子または方法パラメーターに限定されるものではなく、それらはもちろん様々に変更しうると理解されるべきである。また、本発明で用いる用語は、専ら本発明の特定の実施形態を説明することを目的としたものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。さらに、本発明の実施は、特に示さない限り、ウイルス学、微生物学、分子生物学、組換えDNA技術および免疫学の通常の方法(それらのすべては当技術分野の通常の技量の範囲内である)を用いる。そのような技術は文献に十分に説明されている。例えば、Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);DNA Cloning: A Practical Approach,vol.I & II(D.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編,1984);A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)およびFundamental Virology,2nd Edition,vol.I & II(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編)を参照されたい。
本明細書に引用されているすべての刊行物、特許および特許出願は、前記のものも後記のものも、それらの全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられている単数表現は、内容から特に明示されない限り、複数物に対する言及を含むことに注意しなければならない。
(定義)
特に示さない限り、本明細書で用いるすべての科学技術用語は、本発明に関連する当業者に一般に理解されているのと同じ意義を有する。本発明の実施においては、本明細書に記載のものと類似した又は同等の多数の方法および材料を使用することが可能であり、本明細書には好ましい材料および方法が記載されている。
本発明を説明する際には、以下の用語が用いられ、後記のとおりに定義されるものとする。
「アジュバント」なる語は、抗原特異的免疫応答を特異的または非特異的に改変、増強、誘導、再誘導、強化または開始することができる任意の物質または組成物を意味する。したがって、アジュバントと抗原との共投与は、該抗原を投与する被験者において所望の免疫応答を得るのに必要な抗原の用量を低下または減少させうる。あるいは、共投与は、定性的および/または定量的に異なる免疫応答を該被験者においてもたらしうる。アジュバントの有効性は、ワクチン組成物単独の投与に平行して、ワクチン組成物と共に該アジュバントを動物に投与し、ラジオイムノアッセイ、ELISA、CTLアッセイなど(すべて当技術分野において良く知られている)のような標準的なアッセイを用いて、これら2つのグループにおける抗体および/または細胞性免疫を比較することにより、判定することができる。ワクチン組成物においては、単一分子がアジュバントと抗原の両方の特性を有することもあるが、典型的には、アジュバントは抗原とは別の成分である。
「アジュバント組成物」は、アジュバントを含有する任意の医薬組成物を意味する。アジュバント組成物は、本発明の方法で、例えば液剤、粉剤、クリーム剤、ローション剤、乳剤、ゲル剤などの任意の適当な医薬形態で送達されうる。しかし、好ましいアジュバント組成物は粒子形態である。必ずしも明確に述べられていないが、分子は、野生型もしくは精製ペプチドまたは化学アジュバントと同様の生物活性を有することが意図される。
「ペプチド」なる語は、2個以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体または他のペプチドミメチックの化合物を意味するよう本発明においては最も広義に用いられる。該サブユニットは、ペプチド結合または他の結合(例えば、エステル、エーテルなど)により連結されうる。本明細書で用いる「アミノ酸」なる語は、天然および/または非天然または合成アミノ酸を意味し、グリシンおよびDまたはLの両方の光学異性体、およびアミノ酸類似体およびペプチドミメチックを含む。ペプチド鎖が短い場合には、3個以上のアミノ酸のペプチドは一般には「オリゴペプチド」と称される。ペプチド鎖が長い場合には、ペプチドは典型的には「ポリペプチド」または「タンパク質」と称される。
「抗原」は、個体において免疫学的応答を惹起しうる任意の物質、一般には巨大分子を意味する。この用語は、個々の巨大分子または抗原性巨大分子の同質もしくは異質集団を表すために用いられうる。本明細書で用いる「抗原」は、一般には、1以上のエピトープを含有するペプチドまたは炭水化物分子を意味する。本発明の目的においては、抗原は、任意の適当な起源から取得または誘導されうる。さらに、本発明の目的においては、「抗原」は、天然配列に対する修飾、例えば欠失、付加および置換(一般には同類的な性質のもの)などを有するペプチドを含むが、これは、該ペプチドが十分な免疫原性を維持する場合に限られる。これらの修飾は、例えば部位特異的突然変異誘発による意図的なもの、または該抗原をもたらす宿主の突然変異によるような偶発的なものでありうる。
対象の抗原に対する「免疫応答」は、個体におけるその抗原に対する体液性および/または細胞性免疫応答の発生である。本発明の目的においては、「体液性免疫応答」は抗体分子により媒介される免疫応答を意味し、「細胞性免疫応答」はTリンパ球および/または他の白血球により媒介される免疫応答を意味する。
「核酸免疫感作」なる語は、本明細書においては、1以上の選択された抗原をコードする核酸分子を該抗原のin vivo発現のために宿主中に導入することを意味するものとして用いられる。また、この用語は、1以上の選択されたアジュバントをコードする核酸分子を該アジュバントのin vivo発現のために宿主中に導入することを含む。核酸分子は、例えば、標準的な筋肉内または皮内注射、経皮粒子送達、吸入、局所的または経口、鼻腔内もしくは粘膜投与様式により、レシピエント被験者に直接的に導入することができる。あるいは、核酸分子は、被験者から摘出された細胞中にex vivoで導入することができる。後者の場合には、対象の核酸分子を含有する細胞を被験者に再導入して、該核酸分子によってコードされる抗原に対して免疫応答を生起させたり、あるいは該核酸分子によってコードされるアジュバントにそのアジュバント効果を発揮させることができる。
「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」なる語は、本明細書においては互換的に用いられ、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドまたはそれらの類似体を含む任意の長さのヌクレオチドの重合形態を意味する。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有することが可能であり、既知または未知の任意の機能を発揮しうる。ポリヌクレオチドの非限定的な具体例には、遺伝子、遺伝子断片、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。
ポリヌクレオチドは、典型的には、4種類のヌクレオチド塩基、すなわち、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)およびチミン(T)(該ポリヌクレオチドがRNAの場合には、チミン(T)の代わりにウラシル(U)となる)の特定の配列から構成される。したがって、核酸配列なる語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表示である。このアルファベット表示は、中央処理装置を有するコンピューター中のデータベースに入力され、機能ゲノミクスおよびホモロジー検索のようなバイオインフォマティックスの応用に用いられうる。
「ベクター」は、核酸配列を標的細胞に導入できるものである(例えば、ウイルスベクター、非ウイルスベクター、粒子状担体およびリポソーム)。典型的には、「ベクター構築物」、「発現ベクター」および「遺伝子導入ベクター」は、対象となる遺伝子の発現を導きうる及び遺伝子配列を標的細胞に導入しうる任意の核酸構築物を意味する。したがって、この用語は、クローニングおよび発現ビヒクルならびにウイルスベクターを含む。「プラスミド」は、染色体外遺伝因子の形態のベクターである。
選択されたアジュバントおよび/または抗原を「コード」する核酸配列は、適当な調節配列の制御下に配置された場合にin vivoで転写され(DNAの場合)、ポリペプチドへと翻訳される(mRNAの場合)核酸分子である。このコード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終結コドンにより定められる。本発明の目的においては、そのような核酸配列は、ウイルス由来のcDNA、原核または真核生物mRNA、ウイルスまたは原核生物DNAまたはRNA由来のゲノム配列、および更には合成DNA配列を含むが、これらに限定されるものではない。転写終結配列はコード配列の3’側に位置しうる。
「プロモーター」は、ポリペプチドコード化ポリヌクレオチドの転写を開始させ調節するヌクレオチド配列である。プロモーターは、誘導性プロモーター(この場合、機能しうる形でプロモーターに連結されたポリヌクレオチド配列の発現が、被検体、補因子、調節タンパク質などにより誘導される)、抑制性プロモーター(この場合、プロモーターに機能しうる形で連結されたポリヌクレオチド配列の発現が、被検体、補因子、調節タンパク質などにより抑制される)および構成性プロモーターを含みうる。「プロモーター」または「制御要素」なる語は、完全長プロモーター領域およびこれらの領域の機能的(例えば、転写または翻訳を制御する)セグメントを含むものとする。
「機能しうる形で連結(された)」は、そのように記載された成分がそれらの通常の機能を発揮するように配置されている要素の配置を指す。したがって、核酸配列に機能しうる形で連結された所与のプロモーターは、適当な酵素が存在する場合にはその配列の発現を引き起こしうる。プロモーターは、それが該配列の発現を指令するように機能する限り、該配列と連続している必要はない。したがって、例えば、翻訳されないが転写はされる介在配列がプロモーター配列と核酸配列との間に存在することが可能であり、該プロモーター配列は尚も、該コード配列に「機能しうる形で連結」されているとみなされうる。
「組換え体」は、本明細書では、ゲノム、cDNA、半合成または合成起源の核酸分子(ポリヌクレオチド)のうち、その起源または操作により、それが天然で会合しているポリヌクレオチドの全部または一部と会合していないもの、および/または、それが天然で結合している以外のポリヌクレオチドに結合しているものを示すために用いられる。単一の組換え核酸分子中に含有される2つの核酸配列は、それらが天然で通常互いに会合していない場合には、互いに対して「異種」である。
「単離(された)ポリヌクレオチド」は、それが天然で見出される全生物から分離された核酸分子、または天然でそれと通常会合している配列の全部または一部を欠く核酸分子、または天然で存在するままの配列であるがそれと会合した異種配列(後記で定義される)を有する配列である。ある配列が1つの分子から「誘導されたまたは得られた」は、それが、該起源分子、そのcDNA、その相補体の領域と同じ又は実質的に同じ塩基対配列を有する場合、またはそれが後記の配列同一性を示す場合である。
核酸およびアミノ酸の「配列同一性」または「配列相同性」を測定するための技術も当技術分野において公知である。典型的には、そのような技術は、遺伝子のmRNAのヌクレオチド配列を決定し及び/又はそれにコードされるアミノ酸配列を決定し、これらの配列を第2ヌクレオチドまたはアミノ酸配列と比較することを含む。一般に、「同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のそれぞれヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の厳密な一致を指す。2以上の配列(ポリヌクレオチドまたはアミノ酸)は、それらの「同一性%」を測定することにより比較されうる。2つの配列の同一性%は、核酸配列の場合もアミノ酸配列の場合も、2つのアライメント(整列)された配列間の厳密なマッチの数を、短いほうの配列の長さで割り、100を掛けたものである。核酸配列に関するおおよそのアライメントは、SmithおよびWaterman, Advances in Applied Mathematics 2:482-489 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズムにより得られる。このアルゴリズムは、Dayhoff, Atlas of Protein Sequences and Structure, M.O.Dayhoff編, 5 suppl.3:353-358, National Biomedical Research Foundation, Washington, D.C., USA,and normalized by Gribskov,Nucl.Acids Res.14(6):6745-6763(1986)により開発されGribskov, Nucl. Acids Res. 14(6):6745-6763 (1986)により標準化されたスコアリングマトリックスを使用することにより、アミノ酸配列に適用されうる。配列の同一性%を測定するためのこのアルゴリズムの代表的なインプリメンテーションは、Genetics Computer Group(Madison, WI)により「BestFit」ユーティリティーアプリケーションにおいてもたらされる。この方法のデフォルトパラメーターは、Wisconsin Sequence Analysis Package Program Manual, Version 8 (1995)(Genetics Computer Group, Madison, WIから入手可能)に記載されている。本発明の場合に同一性%を確立する好ましい方法は、University of Edinburghが著作権を有しJohn F. CollinsおよびShane S. Sturrokにより開発されIntelliGenetics, Inc. (Mountain View, CA)により頒布されたプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。このパッケージ一式から、Smith-Watermanアルゴリズムを使用することが可能であり、この場合、該スコアリング表に関してデフォルトパラメーター(例えば、12のギャップオープンペナルティー、1のギャップ伸長ペナルティーおよび6のギャップ)を使用する。得られたデータからは、「Match(マッチ)」値が「配列同一性」を表す。配列間の同一性%または類似性%を計算するための他の適当なプログラムが当技術分野において一般に公知であり、例えば、デフォルトパラメーターで使用されるもう1つのアライメントプログラムとして、BLASTが挙げられる。例えば、以下のデフォルトパラメーターを使用して、BLASTNおよびBLASTPを使用することができる:遺伝暗号=標準;フィルター=無し;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;ソート=HIGH SCORE;データベース=非冗長, GenBank + EMBL + DDBJ + PDB + GenBank CDS翻訳 + Swissタンパク質 + Spupdate + PIR。これらのプログラムの詳細はインターネットアドレスhttp://www.ncbi.nlm.gov/cgi-bin/BLASTにおいて見出されうる。
あるいは、相同領域間で安定な二本鎖を形成する条件下のポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよびそれに続く一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化および該消化断片のサイズ測定により、相同性を測定することができる。2つのDNAまたは2つのポリペプチド配列は、前記方法を用いて測定した場合に該分子の一定の長さにわたりそれらの配列が少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の配列同一性を示す場合に、互いに「実質的に相同」である。また、本発明で用いる実質的に相同は、特定のDNAまたはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示す配列に関するものである。実質的に相同なDNA配列は、例えばその特定の系に関して定められるストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において同定することができる。例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5×デンハルト液、5×SSC、、0.1%SDSおよび100μg/ml変性サケ精子DNAを含むことが可能であり、該洗浄条件は、37℃での2×SSC、0.1%SDSおよびそれに続く68℃での1×SSC、0.1%SDSを含むことが可能である。適当なハイブリダイゼーション条件を定めることは当技術分野における技量の範囲内である。例えば、Sambrookら, 前掲; DNA Cloning, 前掲; Nucleic Acid Hybridization, 前掲を参照されたい。
「経皮(transdermal)」送達なる語は、皮内(例えば、真皮または表皮内)、経皮(transdermal)(例えば、「経皮(percutaneous)」)および経粘膜投与、すなわち、皮膚または粘膜組織内への又はそれを介した物質の通過による送達を意味する。例えば、Transdermal Drug Delivery: Developmental Issues and Research Initiatives, HadgraftおよびGuy (編), Marcel Dekker, Inc., (1989); Controlled Drug Delivery: Fundamentals and Applications, RobinsonおよびLee (編), Marcel Dekker Inc., (1987); およびTransdermal Delivery of Drugs, Vols. 1-3, KydonieusおよびBerner (編), CRC Press, (1987)を参照されたい。したがって、この用語は、米国特許第5,630,796号に記載されているような粒子送達装置(例えば、針無し注射器)を使用する物質の送達、および米国特許第5,865,796号に記載されているような粒子媒介送達装置を使用する送達を含む。
「コア担体」は、ゲスト(guest)核酸(例えば、DNA、RNA)分子が粒子媒介技術(例えば、米国特許第5,100,792号を参照されたい)を用いて送達されうるよう、細胞膜透過に要求される運動量を得るために十分に高い密度および一定の粒径を与えるために該ゲスト核酸がコーティングされる担体を意味する。コア担体は、典型的には、タングステン、金、白金、フェライト、ポリスチレンおよびラテックスのような材料を含む。例えば、Particle Bombardment Technology for Gene Transfer, (1994) Yang, N.編, Oxford University Press, New York, NY p.10-11を参照されたい。
「粒子送達装置」は、皮膚に孔をあけるための通常の針の補助無しに経皮的に粒子組成物を送達する装置を意味する。本発明で使用する粒子送達装置は本明細書の全体にわたり記載されている。
本発明で用いる「治療」なる語は以下のいずれかを含む:感染または再感染の予防、症状の軽減または消失、および病原体の減少または完全な消失。治療は、予防的(感染前)または治療的(感染後)に行われうる。
「個体」および「被験者」なる語は、本発明においては、脊索動物亜門(subphylum cordata)の任意のメンバー、例えば(以下のものに限定されるものではない)ヒトおよび他の霊長類、例えば非ヒト霊長類、例えばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種;家畜、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマ;家畜哺乳動物、例えばイヌおよびネコ;実験用動物、例えばげっ歯類、例えばマウス、ラットおよびモルモット;鳥類、例えば家禽、野生および競技用鳥類、例えばニワトリ、シチメンチョウおよび他の家禽鳥類、アヒル、ガチョウなどを示すために互換的に用いられる。該用語は特定の年齢を示すものではない。したがって、成体および新生個体の両方が含まれると意図される。本明細書に記載の方法は、前記脊椎動物種のいずれかにおける使用を意図したものである。なぜなら、これらの脊椎動物のすべての免疫系は同様に作動するからである。
(全般的概観)
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特に例示されている分子または方法パラメーターに限定されるものではなく、それらはもちろん様々に変更しうると理解されるべきである。また、本発明で用いる用語は、専ら本発明の特定の実施形態を説明することを目的としたものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。
本発明は、核酸配列を含有する新規組成物(該組成物中の第1配列は、ADPリボシル化細菌毒素から得られたまたは誘導されたAサブユニットのコード配列であり、該組成物中の第2配列は、ADPリボシル化細菌毒素から得られたまたは誘導されたBサブユニットのコード配列である)を提供する。該第1および第2配列は、それらを被験者に送達して該免疫被験者においてアジュバント効果(共投与された対象抗原に対するもの)を得る免疫感作方法において有用である。ADPリボシル化細菌毒素は、関連細菌外毒素のファミリーであり、ジフテリア毒素(DT)、百日咳毒素(PT)、コレラ毒素(CT)、大腸菌(E. coli)易熱性毒素(LT1およびLT2)、シュードモナス(Pseudomonas)内毒素A、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素S、ビー・セレウス(B. cereus)エキソ酵素、ビー・スファエリクス(B. sphaericus)毒素、シー・ボツリヌム(C. botulinum)C2およびC3毒素、シー・リモスム(C. limosum)エキソ酵素、およびシー・ペルフリンゲンズ(C. perfringens)、シー・スピリフォルマ(C. spiriforma)およびシー・ディフィシレ(C. difficile)からの毒素、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)EDINおよびADPリボシル化細菌毒素突然変異体、例えばCRM197、無毒性ジフテリア毒素突然変異体(例えば、Bixlerら (1989) Adv. Exp. Med. Biol. 251: 175; およびConstantinoら (1992) Vaccineを参照されたい)。ほとんどのADPリボシル化細菌毒素はA:B多量体として構成され、ここで、AサブユニットはADPリボシルトランスフェラーゼ活性を含有し、Bサブユニットは結合部分として作用する。本発明の組成物において使用する好ましいADPリボシル化細菌毒素には、コレラ毒素および大腸菌(E. coli)易熱性毒素が含まれる。
コレラ毒素(CT)および関連大腸菌(E. coli)易熱性エンテロトキシン(LT)は、全身、経口または粘膜投与された場合に強力な毒性を示し強力な免疫原であるそれらのそれぞれの腸管毒性細菌株の分泌産物である。CTおよびLTは共に、筋肉内または経口経路で投与された場合に抗原にアジュバント効果を与えることが公知である。これらのアジュバント効果は、毒性が現れる用量より低い用量で観察されている。それらの2つの毒素は極めて類似した分子であり、アミノ酸レベルにおいて少なくとも約70〜80%相同である。
CTおよびLT毒素は、5分子のBサブユニットから構成されるドーナッツ型の輪に包囲された単一のAサブユニット分子から構成される六量体である。AサブユニットはADPリボシラーゼ活性を有し、哺乳動物細胞におけるAサブユニットのインターナリゼーション後にcAMPおよびプロテインキナーゼAのアップレギュレーションへと導くGタンパク質修飾をもたらす。Aサブユニットは、外因性プロテアーゼにより切断されて、単一のジスルフィド架橋により連結されたA1およびA2断片を与えうる。CTのAサブユニットは、トランスゴルジ網からERへのタンパク質の回収に関連したC末端KDELペプチドモチーフ(LTのAサブユニットではRDEL)を含有する。これは、インターナリゼーション後の、毒性のための正しい細胞区画へのA断片の送達、およびその細胞区画内の毒素の保持に重要であるらしい。A1サブユニットは細胞質に入り、Gタンパク質のADPリボシル化を触媒することによりC1流出を誘発し、それはアデニル酸シクラーゼを活性化して、cAMPレベルの上昇を招く。cAMPの上昇は、プロテインキナーゼAに、嚢胞性繊維症膜貫通コンダクタンス調節塩素チャンネルのリン酸化および開口を引き起こさせる。
A2断片の主な役割はBサブユニットとの相互作用にある。毒素のインターナリゼーションは、哺乳動物細胞の表面上に遍在的に見出されるスフィンゴ糖脂質であるGM1ガングリオシドに対する結合活性を有する5コピーのBサブユニットにより媒介される。
アジュバント活性に関するAおよびBサブユニットの相対的重要性については議論が分かれている。この分野においては、Aサブユニットの毒性活性が、Bサブユニットに関連したアジュバント効果をモジュレートしうるという仮説が存在する。Aサブユニット中の突然変異がアジュバント活性を妨げることを示している研究がある一方で、ADPリボシラーゼ活性を阻止するAサブユニット突然変異はアジュバント活性に何ら影響を及ぼさないことを示している研究もある。他の報告は、精製Bサブユニットまたは組換えBサブユニット調製物に関する種々のレベルのアジュバント効果を示している。AおよびBサブユニットは、独立してアジュバント活性に寄与する別々の機能を有する可能性がある。これらの機能は、それぞれADPリボシラーゼ活性および受容体誘発(triggering)活性である。特にLTのBサブユニットに関しては、B細胞上のGM1受容体への結合はポリクローナル活性化を引き起こし、有意な増殖の不存在下で生じ、MHCクラスII、B7、CD40、ICAM-1およびIL-2Rαのような多数の重要な分子のアップレギュレーションを伴う。T細胞の場合、コンカナバリンAで刺激されたT細胞へのCTもしくはLT完全毒素または組換えBサブユニットの添加はチミジンの取込みの減少を引き起こす。マクロファージおよび樹状細胞に対するこれらの分子の影響は報告されていない。PBMC培養においては、EtxBは高レベルのTNF-αおよびIL-10の産生を刺激するが、IL-12の産生は刺激しない。これは、アジュバントとしてのCTおよびLT形態の使用に伴う主としてTh2様の応答の観察と合致する。
したがって、本ポリヌクレオチドアジュバント組成物の投与が、ADPリボシル化外毒素アジュバント組成物の使用から予想されるTh2様応答ではなく、共投与した対象抗原に対する増強されたTh1様免疫応答を優先的に引き出すことは、本発明の驚くべき特徴である。
(ADPリボシル化外毒素サブユニットのコード配列)
1つの実施形態においては、1以上の組換え核酸分子を含む組成物であって、前記の1以上の分子が第1および第2核酸配列((a)第1核酸配列は、ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Aサブユニットペプチドのコード領域であり、(b)第2核酸配列は、ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Bサブユニットペプチドのコード領域である)を含有することを特徴とする組成物が提供される。前記コード領域は、それぞれのサブユニットコード領域が5’欠失をもたらすように遺伝的に改変されており、それにより、該コード化サブユニットペプチドがアミノ末端の細菌シグナルペプチドをもたないという点で、「トランケート化」(truncated)サブユニットペプチドを与える。
もう1つの実施形態においては、1以上の組換え核酸分子を含む組成物であって、前記の1以上の分子が第1および第2核酸配列((a)第1核酸配列は、ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導された修飾型成熟Aサブユニットペプチドのコード領域であり、(b)第2核酸配列は、ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導された成熟Bサブユニットペプチドのコード領域である)を含有することを特徴とする組成物を提供する。第1核酸配列は、該コード化サブユニットペプチド中で通常見出される4アミノ酸残基のC末端KDELまたはRDELモチーフを欠失するようにコード領域が遺伝的に改変されるという点で「修飾(型)」Aサブユニットペプチドを与えるコード領域を含有する。
更にもう1つの実施形態においては、1以上の組換え核酸分子を含む組成物であって、前記の1以上の分子が第1および第2核酸配列((a)第1核酸配列は、ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化修飾Aサブユニットペプチドのコード領域であり、(b)第2核酸配列は、ADPリボシル化外毒素から得られたまたは誘導されたトランケート化Bサブユニットペプチドのコード領域である)を含有することを特徴とする組成物を提供する。
特に好ましい実施形態においては、ADPリボシル化外毒素ペプチドサブユニットコード配列はコレラ毒素(CT)から取得または誘導される。他の特に好ましい実施形態においては、ADPリボシル化外毒素ペプチドサブユニットペプチドコード配列は大腸菌(E. coli)易熱性エンテロトキシン(LT)、例えばLT1またはLT2から取得または誘導される。
種々の腸管毒性細菌種のゲノムの部分、特に、ADPリボシル化外毒素のコード配列を含有する部分が一般に公知であり、その配列は例えばWWW(World Wide Web)上で公に入手可能であり、および/または、GenBankデータベースのような登録機関に登録されている。例えば、CTサブユニットAおよびB遺伝子の完全な配列のGenBankエントリーは、Locus VIBCTXABB(登録番号D30053)において見出されうる。一方、LTサブユニットAおよびB遺伝子の完全な配列のGenBankエントリーは、Locus AB0116677(登録番号AB011677)において見出されうる。これらの毒素配列の活性変異体または断片も、本発明の組成物および方法において使用することができる。ADPリボシル化外毒素の一般的な考察は、例えば、Kruegerら (1995) Clin. Microbiol. Rev. 8:34-47を参照されたい。さらに、本発明の或る態様においては、毒素サブユニットペプチドコード領域の一方または両方が更に、それによってコードされるサブユニットペプチドを解毒するように遺伝的に修飾されていてもよい。例えば、破壊されたADPリボシル化活性、トリプシン切断部位突然変異または破壊された結合活性を有する遺伝的に改変された毒素突然変異体が当技術分野において公知である。例えば、Burnetteら (1994) “Recombinant microbial ADP-ribosylating toxins of Bordetella pertusis, Vibrio cholerae, and enterotoxigenic Escherichia coli: structure, function and toxoid vaccine development,” in Bioprocess Technology, Burnetteら編, pp.185-203; Rappuoliら (1995) Int. Archiv. Allergy Immunol. 108:327-333; およびRappuoliら (1996) Ad. Exp. Med. Biol. 397: 55-60を参照されたい。選択された毒素サブユニットをコードする配列は、典型的には、公知技術を用いて及び後記実施例に記載のとおりに、適当なベクター(例えば、プラスミドバックボーン)中に挿入される。
対象となるADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドをコードする配列は、公知方法を用いて取得および/または調製することができる。例えば、実質的に純粋な調製物は、標準的な分子生物学的手段を用いて得ることができる。すなわち、前記毒素サブユニットをコードするポリヌクレオチド配列は、組換え方法を用いて、例えば、該毒素サブユニットを発現する細胞からのcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、またはそれを含むことが知られているベクターから該毒素サブユニットのコード配列を誘導することにより得ることができる。種々の細菌株からの毒素サブユニットコード配列がAmerican Type Culture Collection ATCCに寄託されており、更に他のものは国内の及び国際的な保健機関、例えばCenters of Disease Control (Atlanta, GA)から入手可能である。例えば、核酸分子を取得し単離するために用いる技術の説明に関しては、Sambrookら, 前掲を参照されたい。また、ポリヌクレオチド配列は、クローニング以外に、合成法によっても調製されうる。
特定の核酸分子を単離するための更にもう1つの簡便な方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Mullisら (1987) Methods Enzymol. 155:335-350)によるものである。この技術は、所望のDNA領域を複製させるためにDNAポリメラーゼ、通常は熱安定性DNAポリメラーゼを使用する。複製されるDNA領域は、該複製反応を開始するための、所望のDNAの相対する末端および相対する鎖に相補的な特定の配列のオリゴヌクレオチドにより特定される。複製の第1ラウンドの産物自体が後続の複製反応のための鋳型となり、それにより、複製の連続的な反復サイクルは、使用したプライマー対により定められたDNA断片の幾何級数的増幅をもたらす。
対象となるADPリボシル化外毒素サブユニットの関連配列が得られたら、標準的なクローニングまたは分子生物学的技術を用いてそれらを互いに連結して1以上の連続的な核酸分子を得ることができる。より詳しくは、選択した毒素サブユニットの組合せの配列情報を得た後、該コード配列を互いに又は他の配列と組合せてハイブリッド配列を形成させたり、あるいは別々に取り扱うことが可能である。ハイブリッド配列においては、該サブユニットペプチドコード配列は、互いに対して任意の様式で位置づけたり、単一の分子中にいくつかの様式で、例えば単一コピーとして含有させたり、該分子中に多コピーとしてランダムに繰り返させたり、あるいは複数の縦列反復または規則的な反復モチーフとして該分子中に含有させることができる。
そのような組換え核酸分子を構築するためにはいくつかの慣用の分子生物学的技術を用いることが可能であるが、1つの簡便な方法は、シャトルまたはクローニングベクター中の1以上のユニーク制限部位(または適当なベクター配列中への1以上のユニーク制限部位の挿入)、および該サブユニットペプチドコード配列をベクター中の特定の標的位置へ導くための標準的なクローニング技術の使用を含む。
あるいは、ハイブリッド分子は、クローニング以外に、合成法によっても調製されうる。該ヌクレオチド配列は、所望の特定のアミノ酸配列に関する適当なコドンで設計することができる。一般には、該配列を発現させようとする宿主に好ましいコドンを選択する。ついで、標準的な方法により調製された重複オリゴヌクレオチドから完全配列を組み立て、完全なコード配列に集合させることができる。例えば、Edge (1981) Nature 292:756; Nambairら (1984) Science (1984) 223:1299; Jayら (1984) J. Biol. Chem. 259:6311を参照されたい。
関連ADPリボシル化外毒素ペプチドコード配列を取得または構築したら、それらを、1以上の適当なベクター(該ベクターは、該挿入配列に機能しうる形で連結された制御配列を含む)中に挿入して、標的被験者種におけるin vivoでの毒素サブユニットペプチドの発現を可能にする発現カセットを得ることができる。
哺乳動物細胞発現用の典型的なプロモーターには、SV40初期プロモーター、CMVプロモーター、例えばCMV前初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)および他の適当に効率的なプロモーター系が含まれる。非ウイルスプロモーター、例えば、マウスメタロチオネイン遺伝子から誘導されたプロモーターも、哺乳動物発現のために使用することができる。誘導性、抑制性または制御可能なプロモーターも使用することができる。また、典型的には、転写終結およびポリアデニル化配列が、各翻訳終結コドンの3’側に位置して存在する。好ましくは、各コード配列の5’側に位置する、翻訳の開始の最適化のための配列も存在する。転写ターミネーター/ポリアデニル化シグナルの具体例には、Sambrookら, 前掲に記載のSV40から誘導されたもの、およびウシ成長ホルモンターミネーター配列が含まれる。スプライス供与および受容部位を含有するイントロンも、該発現カセット中に設計することが可能である。
また、発現レベルを増加させるために、該発現カセット中にエンハンサー要素を含有させることが可能である。適当なエンハンサーの具体例には、SV40初期遺伝子エンハンサー(Dijkemaら (1985) EMBO J. 4:761)、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復配列(LTR)から誘導されたエンハンサー/プロモーター(Gormanら (1982) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:6777)、およびヒトまたはマウスCMVから誘導された要素(Boshartら (1985) Cell 41:521)、例えば、CMVイントロンA配列中に含まれる要素が含まれる。
いくつかの特定の実施形態においては、哺乳動物細胞からの結合ADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドの分泌をもたらす更なる補助配列が含まれうる。そのような分泌リーダー配列は当業者に公知であり、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tpa)リーダーシグナル配列を含む。
対象となるADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドコード配列を含有する1以上の適当な発現カセット(またはプラスミドベクターのような核酸構築物)を得た後、該発現カセットは、被験者へのその後の投与のためのDNAプラスミドベクターまたはウイルスベクターのような適当なトランスフェクションベクター中で提供されうる。これに関して、本発明のポリヌクレオチド組成物は、標準的なアジュバント組成物として使用したり、あるいは例えば多成分ワクチン組成物の一部として、対象の抗原と共に投与することができる。例えば、多成分ワクチン組成物においては、本核酸分子(対象となるADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドのコード配列を含有するもの)を、病原体からの防御をもたらすのに重要であることが知られている1以上の抗原をコードする追加的な核酸分子、例えば、インフルエンザHAまたはNA抗原をコードする配列を含有する分子、またはHIV抗原をコードする配列を含有する分子と組合せることができる。あるいは、多成分ワクチン組成物は、該毒素サブユニットをコードするポリヌクレオチドに加えて、通常の全ウイルス、スプリットウイルス(ウイルス成分)、多糖、または精製サブユニットワクチン調製物(本明細書中に後述される)の形態の抗原を含有しうる。
(抗原)
本発明の組成物および方法は、多種多様な共投与される抗原、例えば、疾患細胞もしくは組織から又はヒトもしくは動物病原体から得られたまたは誘導された抗原に対する免疫応答を増強するのに有用である。本発明の目的においては、特定の抗原に対する免疫応答を増強するためにアジュバントを使用し(例えば、アジュバントをワクチン組成物と共に共投与する場合、その免疫応答は、該アジュバント無しで投与した等量のワクチン組成物により惹起される免疫応答より大きい)、あるいは共投与抗原に対する特定のタイプまたはクラスの免疫応答を導くために該アジュバントを使用する。本発明のアジュバント組成物の「有効量」は、例えば、効率的な免疫応答を生起させるために必要とされる該抗原の用量が低く又は少なくなるような、共投与抗原に対する免疫応答を増強する量である。
例えば本発明のADPリボシル化外毒素サブユニットコード化アジュバント組成物を対象の抗原(例えば、ワクチン組成物)と共投与する場合に本明細書で用いる「共投与」なる語は、該アジュバント組成物と該抗原との同時または共存投与を意味し、例えば、それらの2つが同一組成物中に存在する場合、または別々の組成物中でほぼ同じ時間に投与するが異なる部位において投与する場合、および異なる時間に別々の組成物中の該アジュバント組成物および抗原を送達する(異なる部位への送達を含む)場合が含まれる。例えば、該アジュバント組成物は、同じ又は異なる部位に該抗原の送達の前または後で送達されうる。アジュバント送達と抗原送達の間の時間は、約数分間隔から数時間間隔または数日間隔の範囲となりうる。
本発明の目的においては、「病原体」なる語は、疾患または状態の特定の原因因子を示すために広義に用いられ、免疫応答を惹起する分子の起源を与える任意の因子を含む。したがって、病原体には、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、寄生体、癌細胞などが含まれるが、これらに限定されるものではない。典型的には、免疫応答は、病原体により産生される1以上のペプチドまたは炭水化物抗原により惹起される。適当な抗原を同定し、そのような分子を取得および調製し、ついで適当な投与量を決定し、適当な免疫原性についてアッセイし、そのような抗原で治療するための方法は、当技術分野でよく知られている。例えば、Plotkinら (1994) Vaccines, 2nd Edition, W. B. Saunders, Philadelphia, PAを参照されたい。したがって、脊椎動物被験者、特にヒトおよび非ヒト哺乳動物にワクチン接種するために使用しうる抗原の起源の非限定的な具体例には、ウイルス、細菌、真菌および他の病原生物が含まれる。
適当なウイルス抗原には、肝炎ウイルスファミリー、例えばA型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、国際公開番号WO 89/04669、WO 90/11089およびWO 90/14436を参照されたい。HCVゲノムは、いくつかのウイルスタンパク質(例えば、E1およびE2)をコードする。例えば、Houghtonら (1991) Hepatology 14:381-388を参照されたい。これらのタンパク質およびそれらの抗原性断片をコードする配列を含有するゲノム断片は本方法において有用であろう。同様に、HDVからのδ抗原のコード配列が公知である(例えば、米国特許第5,378,814号を参照されたい)。
同様に、ヘルペスウイルスファミリーからの多種多様のタンパク質を本発明において抗原として使用することが可能であり、それらには、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型、例えばHSV-1およびHSV-2糖タンパク質gB、gDおよびgHから誘導されたタンパク質;水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)(例えばCMV gBおよびgH)由来の抗原;およびHHV6およびHHV7のような他のヒトヘルペスウイルス由来の抗原が含まれる(例えば、Cheeら (1990) Cytomegaloviruses (J. K. McDougall,編, Springer-Verlag, pp.125-169; McGeochら (1988) J. Gen. Virol. 69:1531-1574; 米国特許第5,171,568号; Baerら (1984) Nature 310:207-211; およびDavisonら (1986) J. Gen. Virol. 67:1759-1816を参照されたい)。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原、例えば、HIVの種々の遺伝的サブタイプのメンバーを含む多数のHIV-1およびHIV-2分離株のgp120分子が公知で報告されており(例えば、Myersら, Los Alamos Database, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico (1992); およびModrowら (1987) J. Virol. 61:570-578を参照されたい)、これらの分離株のいずれかから誘導または取得される抗原含有ゲノム断片が本発明において有用であろう。さらに、種々のHIV分離株のいずれかから誘導または取得される他の免疫原性タンパク質が本発明において有用であり、それらには、種々のエンベロープタンパク質、例えば、gp160およびgp41、gag抗原、例えばp24gagおよびp55gag、ならびにHIVのpol、env、tat、vif、rev、nef、vpr、vpuおよびLTR領域の1以上を含有する断片が含まれる。
他のウイルスから誘導または取得される抗原も本発明において有用であり、例えば、以下のメンバーからの抗原が挙げられるが、これらに限定されるものではない:ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ポリオウイルス、ライノウイルスなど);カリシウイルス科(Caliciviridae);トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、風疹ウイルス、デング熱ウイルスなど);フラビウイルス科(Flaviviridae);コロナウイルス科(Coronaviridae);レオウイルス科(Reoviridae)(例えば、ロタウイルスなど)、ビルナウイルス科(Birnaviridae);ラブドウイルス科(Rhabodoviridae)(例えば、狂犬病ウイルスなど);オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えば、インフルエンザウイルスA、BおよびC型など);フィロウイルス科(Filoviridae);パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなど);ブンヤウイルス科(Bunyaviridae);アレナウイルス科(Arenaviridae);レトロウイルス科(Retroviradae)(例えば、HTLV-1; HTLV-II; HIV-1(HTLV-III、LAV、ARV、hTLRなどとしても公知である))、とりわけ、分離株HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV-1CM235、HIV-1US4、HIV-2からの抗原;サル免疫不全ウイルス(SIV);パピローマウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルスなど。これら及び他のウイルスの説明は、例えば、Virology, 3rd Edition (W. K. Joklik 編. 1988); Fundamental Virolgy, 2nd Edition (B. N. FieldsおよびD. M. Knipe編 1991)を参照されたい。
いくつかの場合には、選択するウイルス抗原は、典型的には粘膜表面を介して体内に侵入しヒトにおける疾患を引き起こす又はそれに関連していることが公知のウイルス病原体から取得または誘導するのが好ましいかもしれない。こうしたウイルス病原体には、例えば、HIV(エイズ)、インフルエンザウイルス(フル)、単純ヘルペスウイルス(性器感染、口唇ヘルペス、STD)、ロタウイルス(下痢)、パラインフルエンザウイルス(呼吸器感染)、ポリオウイルス(ポリオ)、RSウイルス(呼吸器感染)、麻疹および流行性耳下腺炎ウイルス(麻疹、流行性耳下腺炎)、風疹ウイルス(風疹)およびライノウイルス(感冒)がある。
細菌および寄生体抗原を含有するゲノム断片は、疾患(ジフテリア、百日咳、破傷風、結核、細菌性または真菌性肺炎、中耳炎、淋病、コレラ、腸チフス、髄膜炎、単球増加症、ペスト、細菌性下痢またはサルモネラ症、レジオネラ症、ライム病、ハンセン病、マラリア、鈎虫、オンコセルカ症、住血吸虫症、トリパノソーマ症、リシューマニア症、ジアルジア症、アメーバ症、フィラリア症、ボレリアおよび旋毛虫症が含まれるが、これらに限定されるものではない)を引き起こす既知の原因因子から取得または誘導することができる。更に別の抗原は、一般的ではないウイルス、例えば、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、スクレーピー、伝染性ミンク脳症および慢性消耗病の原因因子から、またはタンパク質感染粒子、例えば狂牛病に関連したプリオンから取得または誘導することができる。
具体的な病原体には、結核菌(M. tuberculosis)、クラミジア(Chlamydia)、淋菌(N. gonorrhoeae)、赤痢菌(Shigella)、サルモネラ(Salmonella)、ビブリオ・コレレ(Vibrio Cholera)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidua)、シュードモナス(Pseudomonas)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブルセラ(Brucella)、フランシセラ・ツラレンシス(Franciscella tulorensis)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レプトスピラ・インタロガンス(Leptospria interrogaus)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、ストレプトコッカス(Streptococcus)(AおよびB型)、ニューモコッカス(Pneumococcus)、メニンゴコッカス(Meningococcus)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Hemophilus influenza)(b型)、トキソプラズマ・ゴンヂ(Toxoplasma gondic)、カンピロバクター症(Complylobacteriosis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ドノヴァン症(Donovanosis)および放線菌症(Actinomycosis);カンジダ症およびアスペルギルス症を含む真菌病原体;条虫、吸虫、回虫、アメーバ症、ジアルジア症、クリプトスポリジウム、住血吸虫、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、トリコモナス症および旋毛虫症を含む寄生虫(体)病原体が含まれうる。したがって、本発明はまた、多数の獣医学的疾患、例えば、口蹄疫、コロナウイルス、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、ヘリコバクター(Helicobacter)、普通円虫(Strongylus vulgaris)、アクチノバシラス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumonia)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌(E. coli)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)およびブロキセプチカ(brochiseptica)に対する適当な免疫応答をもたらすために使用することができる。
いくつかの実施形態においては、対象となる抗原はアレルゲンでありうる。「アレルゲン」は、アレルゲンで既に感作された個体において過敏症の状態を開始しうる又は即時型過敏反応を惹起しうる抗原である。アレルゲンは、一般には、アレルゲン特性を有するタンパク質に結合した化学物質またはタンパク質であるが、アレルゲンはまた、植物材料、金属、化粧品または洗剤中の成分、ラテックスなどのような種々の人工的または天然起源に由来する有機または無機物質を含みうる。本発明の方法において使用する適当なアレルゲンのクラスには、例えば、花粉、動物の鱗せつ、草、カビ、塵埃、抗生物質、有針昆虫毒および種々の環境(化学物質および金属を含む)、薬物および食物アレルゲンが含まれうるが、これらに限定されるものではない。一般的な樹木アレルゲンには、ポプラ、ハクヨウ、トネリコ、カバノキ、カエデ、オーク、ニレ、ヒッコリーおよびペカン樹木からの花粉が含まれる。一般的な植物アレルゲンには、ライムギ、ブタクサ、ヘラオオバコ、ギシギシおよびアカザからのものが含まれる。植物接触アレルゲンには、ウルシ、アメリカ産ウルシおよびイラクサからのものが含まれる。一般的な草アレルゲンには、チモシー、ジョンソン、ギョウギシバ(バミューダ)、ウシノケグサおよびイチゴツナギアレルゲンが含まれる。また、一般的なアレルゲンは、カビまたは真菌、例えば、アルテルナリア(Alternaria)、フザリウム(Fusarium)、ホルモデンドラム(Hormodendrum)、アスペルギルス(Aspergillus)、ミクロポリスポラ(Micropolyspora)、ムコール(Mucor)および高温性アクチノミセス類から入手することができる。ペニシリンおよびテトラサイクリンは一般的な抗生物質アレルゲンである。表皮性アレルゲンは、ハウスダストまたは有機ダスト(有機塵埃)(典型的には真菌由来)から、あるいはイエダニ(dermatphagoides pterosinyssis)のような昆虫から、あるいは羽毛ならびにネコおよびイヌの鱗せつのような動物由来のものから入手することができる。一般的な食物アレルゲンには、乳およびチーズ(乳製品)、卵、コムギ、ナッツ(例えば、ピーナッツ)、シーフード(例えば、貝類)、エンドウ、豆およびグルテンアレルゲンが含まれる。一般的な環境アレルゲンには、金属(ニッケルおよび金)、化学物質(ホルムアルデヒド、トリニトロフェノールおよび松やに)、ラテックス、ゴム、繊維(綿または羊毛)、バーラップ、毛染め剤、化粧品、洗剤および香水アレルゲンが含まれる。一般的な薬物アレルゲンには、局所麻酔薬およびサリシラートアレルゲンが含まれる。抗生物質アレルゲンには、ペニシリンおよびスルホンアミドアレルゲンが含まれる。一般的な昆虫アレルゲンには、ハチ、スズメバチおよびアリ毒ならびにゴキブリ杯アレルゲンが含まれる。特に良く特徴づけられたアレルゲンには、Der pIアレルゲンの主要および潜在(cryptic)エピトープ(Hoyneら (1994) Immunology 83:190-195)、ハチ毒ホスホリパーゼA2(PLA)(Akdisら (1996) J. Clin. Invest. 98:1676-1683)、カバノキ花粉アレルゲンBet v1(Bauerら (1997) Clin. Exp. Immunol. 107:536-541)および多エピトープ組換え草アレルゲンrKBG8.3(Caoら (1997) Immunology 90:46-51)が含まれるが、これらに限定されるものではない。これら及び他の適当なアレルゲンは商業的に入手可能であり、および/または、公知技術に従い抽出物として容易に調製することが可能である。
ある他の実施形態においては、対象となる抗原は腫瘍特異的抗原でありうる。本発明の目的においては、腫瘍特異的抗原には、種々のMAGE(黒色腫関連抗原E)、例えばMAGE1、MAGE2、MAGE3(HLA-A1ペプチド)、MAGE4のいずれか;種々のチロシナーゼ(HLA-A2ペプチド)のいずれか;突然変異体ras;突然変異体p53;およびp97黒色腫抗原が含まれるが、これらに限定されるものではない。他の腫瘍特異的抗原には、進行癌に関連したRasペプチドおよびp53ペプチド、子宮頸癌に関連したHPV 16/18およびE6/E7抗原、乳癌に関連したMUC1-KLH抗原、結腸直腸癌に関連したCEA(癌胎児性抗原)、黒色腫に関連したgp100またはMART1抗原、および前立腺癌に関連したPSA抗原が含まれる。p53遺伝子配列は公知であり(例えば、Harrisら (1986) Mol. Cell. Biol. 6:4650-4656を参照されたい)、登録番号M14694でGenBankに寄託されている。したがって、本発明のアジュバント組成物は、子宮頸癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌および黒色腫を治療するために免疫療法を行うために使用することができる。
本発明で使用する抗原は、当業者に公知の種々の方法を用いて入手または製造することができる。特に、標準的な精製技術を用いて抗原を天然起源から直接単離することができる。あるいは、公知技術を用いて、組換え的に抗原を調製することができる(例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols.I, IIおよびIII, Second Edition (1989); DNA Cloning, Vols.IおよびII(D. N. Glover編 ed.1985))。また、本発明で用いる抗原は、記載されているアミノ酸配列に基づいて、固相ペプチド合成のような化学ポリマー合成により合成することが可能である。そのような方法は当業者に公知である。例えば、固相ペプチド合成技術に関しては、J. M. StewartおよびJ. D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Co., Rockford, IL (1984)、ならびにG. BaranyおよびR. B. Merrifield, The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, E. GrossおよびJ. Meienhofer編, Vol. 2, Academic Press, New York, (1980), pp.3-254を参照されたい。古典的な液相合成に関しては、M. Bodansky, Principles of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin (1984)ならびにE. GrossおよびJ. Meienhofer編, The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, 前掲, Vol.1を参照されたい。
所望により、前記抗原をコードするポリヌクレオチド配列は、組換え法を用いて、例えば、該遺伝子を発現する細胞からのcDNAおよびゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより、またはそれを含むことが知られているベクターから該遺伝子を誘導することにより入手することができる。さらに、所望の遺伝子は、フェノール抽出およびcDNAまたはゲノムDNAのPCRのような標準的な技術を用いて、それを含有する細胞および組織から直接単離することができる。例えば、DNAを取得し単離するために用いる技術の説明は、Sambrookら, 前掲を参照されたい。また、クローニング以外に合成法によっても、ポリヌクレオチド配列を製造することが可能である。
対象となる抗原をコードする核酸配列により該抗原成分が与えられる組成物においては、選択抗原のコード配列を、ADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドのコード配列の一方または両方と組合せて、3種全てのコード配列を保持する単一の構築物を得たり、毒素サブユニットのコード配列の一方のみと組合せて、例えば、2プラスミド組成物を得ることが可能であり、あるいは該毒素サブユニットコード配列を保持する単一の構築物または複数の構築物からの別々の構築物で提供されうる。前記の場合のそれぞれにおいては、該抗原は、同一もしくは異なる制御要素(例えば、プロモーターおよびエンハンサー)に機能しうる形で連結されていること又はその転写制御下にあることが可能である。2以上のコード配列の転写を導くために単一の制御要素を使用する構築物においては、それらの複数の配列の転写を促進するために内部リボソームエントリー配列(IRES)を使用することができる。
(ポリヌクレオチドの投与)
本明細書に記載のポリヌクレオチド(選択したADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドのコード配列を含有する核酸分子)は任意の適当な方法により投与することができる。後記の好ましい実施形態においては、対象となるADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドのコード配列(および、ある実施形態においては、同じ又は異なる構築物上の対象となる抗原のコード配列)を含有する1以上の適当な構築物(例えば、1以上のDNAプラスミド構築物)をコア担体粒子上にコーティングし、ついで該コーティング粒子を被験者または細胞に投与することにより、該ポリヌクレオチドを投与する。しかし、本発明のポリヌクレオチドはまた、ウイルスベクターを使用して又は非ウイルス系(例えば、裸の核酸の送達)を使用して送達することができる。
ウイルスベクター
多数のウイルスに基づく系が遺伝子送達に使用されている。例えば、レトロウイルス系が公知であり、一般には、該ウイルスの遺伝子の全部を発現するがパッケージングシグナル(psi配列として公知である)の欠失のためにそれ自身のゲノムをパッケージングし得ない組込み型欠損プロウイルス(「ヘルパー」)を有するパッケージング系を使用する。したがって、細胞系は空のウイルス殻を産生する。プロデューサー系は、ヘルパーに加えて、ウイルスの複製およびパッケージングのためにcisで必要とされる配列(長末端反復配列(LTR)として公知である)を含むウイルスベクターを含有するパッケージング系から誘導することができる。対象となるポリヌクレオチドをベクター中に挿入し、レトロウイルスヘルパーにより合成されたウイルス殻中にパッケージングすることができる。ついで組換えウイルスを単離し、被験者に送達することができる(例えば、米国特許第5,219,740号を参照されたい)。代表的なレトロウイルスベクターには、米国特許第5,219,740号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載のLHL、N2、LNSAL、LSHLおよびLHL2ベクターのようなベクター、ならびにこれらのベクターの誘導体、例えば、本明細書に記載の修飾N2ベクターが含まれるが、これらに限定されるものではない。レトロウイルスベクターは、当技術分野でよく知られた技術を用いて構築することができる。例えば、米国特許第5,219,740号;Mannら (1983) Cell 33:153-159を参照されたい。
アデノウイルスに基づく系が遺伝子送達用に開発されており、本明細書に記載の核酸分子を送達するのに適している。ヒトアデノウイルスは、受容体媒介エンドサイトーシスにより細胞に侵入する二本鎖DNAウイルスである。これらのウイルスは遺伝子導入に特に適している。なぜなら、それらは増殖および操作が容易であり、それらはin vivoおよびin vitroで広い宿主域を示すからである。例えば、アデノウイルスは造血、リンパ系および骨髄由来のヒト細胞に感染しうる。さらに、アデノウイルスは、増殖中の標的細胞だけでなく静止中の標的細胞にも感染する。宿主ゲノムに組込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは染色体外に維持され、したがって、挿入突然変異誘発に関連したリスクを最小限に抑える。該ウイルスは高力価で容易に産生され安定であるため、精製および保存が可能である。アデノウイルスは、複製能のある形態であっても、低レベルの罹患率を示すに過ぎず、ヒト悪性疾患には関連していない。したがって、これらの利点を利用して、アデノウイルスベクターが開発されている。アデノウイルスベクターおよびその用途の説明に関しては、例えば、Haj-AhmadおよびGraham (1986) J. Virol. 57:267-274; Bettら (1993) J. Virol. 67:5911-5921; Maitterederら (1994) Human Gene Therapy 5: 717-729; Sethら (1994) J. Virol. 68: 933-940; Barrら (1994) Gene Therapy 1: 51-58; Berkner, K. L. (1988) BioTechniques 6:616-629; Richら (1993) Human Gene Therapy 4:461-476を参照されたい。
本明細書に記載のポリヌクレオチドを投与するためには、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)も使用することができる。この場合、AAVベクターは、任意のAAV血清型(AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAVX7などを含むが、これらに限定されるものではない)から誘導することができる。AAVベクターは、AAV野生型遺伝子(好ましくは、repおよび/またはcap遺伝子)の1以上を全体的または部分的に欠失しているが、1以上の機能的フランキング逆方向末端反復(ITR)配列を保持する。機能的ITR配列は、一般には、AAVビリオンのレスキュー、複製およびパッケージングに必要と考えられる。したがって、AAVベクターは、少なくとも、該ウイルスの複製およびパッケージングのためにcisで必要とされる配列(例えば、機能的ITR)を含む。ITRは野生型ヌクレオチド配列である必要はなく、該配列が機能的なレスキュー、複製およびパッケージングをもたらす限り、例えばヌクレオチドの挿入、欠失または置換により改変されていてもよい。
AAV発現ベクターは、少なくとも、転写開始領域、対象となるDNAおよび転写終結領域を含む制御要素を、転写方向で機能しうる形に連結された成分として得るために、公知技術を用いて構築する。制御要素は哺乳動物細胞中で機能的となるよう選択される。機能しうる形で連結された成分を含有する得られた構築物は、機能的AAV ITR配列で境界(5’側および3’側)を定められる。適当なAAV構築物は、当技術分野で良く知られた技術を用いて設計することができる。例えば、米国特許第5,173,414号および第5,139,941号; WO 92/01070 (1992年1月23日付け公開)およびWO 93/03769 (1993年3月4日付け公開); Lebkowskiら (1988) Molec. Cell. Biol. 8:3988-3996; Vincentら (1990) Vaccines 90 (Cold Spring Harbor Laboratory Press); Carter, B. J. (1992) Current Opinion in Biotechnology 3: 533-539; Muzyczka, N. (1992) Current Topics in Microbiol.and Immunol. 158: 97-129; Kotin, R. M. (1994) Human Gene Therapy 5: 793-801; ShellingおよびSmith (1994) Gene Therapy 1:165-169; およびZhouら (1994) J. Exp. Med. 179:1867-1875を参照されたい。
通常の医薬製剤
抗原組成物を添加した又は添加してない、本発明のポリヌクレオチドを含む製剤の処方は、標準的な医薬製剤の化学および方法(それらのすべては当業者に容易に利用されうる)を用いて行うことができる。例えば、1以上の適当なベクターを含有する組成物を1以上の製薬上許容される賦形剤またはビヒクルと組合せて、液体製剤を得ることができる。
補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などが賦形剤またはビヒクル中に存在していてもよい。これらの賦形剤、ビヒクルおよび補助物質は、一般には、該組成物の投与を受けた個体において免疫応答を誘導せず、また、不適当な毒性を伴うことなく、投与されうる医薬用物質である。製薬上許容される賦形剤には、水、食塩水、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、グリセロールおよびエタノールのような液体が含まれるが、これらに限定されるものではない。製薬上許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの無機酸の塩、および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩も、それに含有させることが可能である。また、必ずしも必要なわけではないが、ペプチド、タンパク質または他の同様の抗原分子をワクチン組成物中に含有させる場合には特に、該製剤は、安定剤として機能する製薬上許容される賦形剤を含有することが好ましい。ペプチドに対する安定剤としても機能する適当な担体の具体例には、医薬等級のデキストロース、スクロース、ラクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。他の適当な担体には、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムまたはカルシウム、クエン酸、酒石酸、グリシン、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)およびそれらの組合せが含まれるが、この場合もこれらに限定されるものではない。製薬上許容される賦形剤、ビヒクルおよび補助物質の十分な考察は、参照により本明細書に組み入れるREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES (Mack Pub. Co., N.J. 1991)に載っている。
核酸の取込みおよび/または発現の促進剤(「トランスフェクション促進剤」)も該組成物中に含有させることが可能であり、例えば、ブピバカイン、カルジオトキシンおよびスクロースのような促進剤、ならびに核酸分子を送達するために常套的に使用されるリポソーム製剤または脂質製剤のようなトランスフェクション促進性ビヒクルが挙げられる。陰イオン性および中性リポソームが広く利用可能であり、核酸分子の送達に関してよく知られている(例えば、Liposomes: A Practical Approach, (1990) RPC New Ed.,IRL Pressを参照されたい)。陽イオン性脂質製剤も、核酸分子の送達に使用するための公知ビヒクルである。適当な脂質製剤には、商品名Lipofectin(商標)で入手可能なDOTMA(N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド)、およびDOTAP(1,2-ビス(オレイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン)が含まれる。例えば、Felgnerら (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7416; Maloneら (1989) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86:6077-6081; 米国特許第5,283,185号および第5,527,928号ならびに国際公開番号WO 90/11092、WO 91/15501およびWO 95/26356を参照されたい。これらの陽イオン性脂質は、好ましくは、中性脂質、例えばDOPE(ジオレイルホスファチジルエタノールアミン)と共に使用されうる。前記脂質またはリポソーム製剤に加えることが可能な更に他のトランスフェクション促進性組成物には、スペルミン誘導体(例えば、国際公開番号WO 93/18759を参照されたい)および膜透過促進性化合物、例えばGALA、グラミシジンSおよび陽イオン性胆汁酸塩(例えば、国際公開番号WO 93/19768を参照されたい)が含まれる。
あるいは、本発明の核酸分子を粒子担体に封入(カプセル化)し、吸着させ又は会合させることが可能である。適当な粒子担体には、ポリメチルメタクリレート重合体から誘導されたもの並びにポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)から誘導されたPLG微粒子が含まれる。例えば、Jefferyら (1993) Pharm. Res. 10:362-368を参照されたい。他の粒子系および重合体も使用することが可能であり、例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリオルチニン、スペルミン、スペルミジンのような重合体およびこれらの分子のコンジュゲートが挙げられる。
したがって、製剤化された組成物は、典型的には、選択したADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドのコード配列を含有する1以上のポリヌクレオチド分子(例えば、プラスミドベクター)を、共投与される抗原に対する免疫応答を増強するのに十分な量で含む。適当な有効量は当業者により容易に決定されうる。そのような量は、通常の実験により決定されうる比較的広い範囲内に含まれる。例えば、適当なアジュバント効果は僅か0.1μgのDNAでも得ることができるが、他の投与においては、2mgまでのDNAを使用することができる。一般に、対象となるADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドコード配列を含有するポリヌクレオチドの有効な用量は約1μg〜1000μgの範囲内であると予想されるが、この範囲を上回る及び下回る用量も有効でありうる。したがって、該組成物は約0.1%〜約99.9%の該ポリヌクレオチド分子を含有しうる。
通常の医薬製剤の投与
前記医薬製剤の投与は、1回の用量で、連続的にまたは断続的に治療経過の全体を通して行うことができる。すなわち、本発明の組成物は、適切に製剤化したら、種々の公知経路および技術を用いてin vivoで被験者に投与することができる。例えば、液体製剤は注射溶液、懸濁液または乳濁液として提供することが可能であり、通常の針および注射器を使用して又は液体噴射注射系を使用して非経口的、皮下、皮内、筋肉内、静脈内注射により投与しうる。また、液体製剤は皮膚または粘膜組織に局所的に投与することが可能であり、あるいは呼吸器または肺への投与に適した微粒子スプレー剤としても提供しうる。他の投与様式には、経口投与、坐剤、および能動的または受動的経皮送達技術が含まれる。
あるいは、該組成物はex vivoで投与することが可能であり、例えば、被験者への形質転換細胞の送達および再移植が公知である(例えば、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降法、エレクトロポレーションおよび核内への直接的マイクロインジェクション)。しかし、粒子組成物を含有する液体懸濁液および液体組成物の場合、送達は、最も典型的には、通常の針および注射器によるものである。最も有効な投与手段および投与量を決定するための方法は当業者によく知られており、送達ビヒクル、療法の組成物、標的細胞および治療被験者によって様々となるであろう。1回または複数回の投与を行うことが可能であり、用量のレベルおよびパターンは担当医師により決定されうる。2以上のサブユニットコード領域および/または抗原コード領域が単一のポリヌクレオチドベクター構築物により保持されうると理解されるべきである。あるいは、任意の病原体から誘導された1以上の毒素サブユニットペプチドおよび/または抗原をそれぞれが発現する別々のベクター(例えば、ウイルスベクター、プラスミドまたはそれらの任意の組合せ)も、本明細書に記載のとおりに被験者に送達することができる。
さらに、本発明の方法により送達されるポリヌクレオチドは他の適当な組成物および療法と組合せることが可能であると意図される。例えば、被験者における免疫応答を更に増強するために、本明細書に記載の組成物および方法を、薬理学的因子、サイトカインなどのような補助物質(例えば、他のアジュバント)の送達と組合せることが可能である。補助物質は、例えば、タンパク質または他の巨大分子として、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子の投与と同時に又はその前もしくは後に投与することができる。また、当業者に公知の方法を用いて、核酸分子組成物は被験者に直接投与することが可能であり、あるいは被験者から誘導された細胞にex vivoで送達することが可能である。
コーティング粒子
1つの実施形態においては、選択したADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドのコード配列および他の補助成分(例えば、1以上の抗原のコード配列)を含有するポリヌクレオチド構築物を、担体粒子を使用して送達する。そのような核酸製剤を投与するための粒子媒介送達方法は当技術分野において公知である。したがって、前記のプラスミドベクター構築物を、調製し適切に精製したら、当技術分野において公知の種々の技術を用いて担体粒子(例えば、コア担体)上にコーティングすることができる。担体粒子は、適当な粒子送達装置からの細胞内送達に典型的に使用される粒子サイズの範囲内で適当な密度を有する材料から選択される。もちろん、最適な担体粒子サイズは標的細胞の直径に左右される。
本発明の目的においては、タングステン、金、白金およびイリジウムコア担体粒子を使用することができる。タングステンおよび金粒子が好ましい。タングステン粒子は直径0.5〜2.0μmの平均サイズで容易に利用可能である。そのような粒子は粒子送達方法での使用のための最適密度を有し、非常に効率的なDNAコーティングを可能にするが、タングステンはある種の細胞型に対して潜在的に毒性でありうる。したがって、金粒子または微晶質金(例えば、Engelhard Corp., East Newark, NJから入手可能な金粉末A1570)も本方法に有用である。金粒子はサイズが均一であり(Alpha Chemicalsからは1〜3μmの粒子サイズで入手可能、あるいはDegussa, South Plainfield, NJからは0.95μmを含む粒子サイズの範囲で入手可能)、また、毒性が低い。
金またはタングステン粒子上へのDNAまたはRNAのコーティングまたは沈殿のための多数の方法が公知であり、既に記載されている。ほとんどのそのような方法においては、一般には、所定量の金またはタングステンをプラスミドDNA、CaCl2およびスペルミジンと混合する。反応混合物の均一性を確保するために、得られた溶液をコーティング操作中に連続的にボルテックス混合する。核酸の沈殿後、コーティング粒子を適当な膜に移し、使用前に乾燥させ、サンプルモジュールまたはカセットの表面上にコーティングし、あるいは適当な粒子送達装置で使用するための送達カセット中に装填することができる。
また、ペプチド抗原を同じ又は類似したコア担体粒子上にコーティングすることができる。例えば、担体粒子へのペプチドの結合を、実験的に決定された比率のそれらの2成分を単に混合することにより、あるいは当業者によく知られた硫安沈殿また他の溶媒沈殿法により、あるいは該担体粒子への該ペプチドの化学的カップリングにより行うことができる。金へのL-システイン残基のカップリングが既に記載されている(Brownら, Chemical Society Reviews 9:271-311 (1980))。他の方法は、例えば、無水エタノール、水またはアルコール/水混合物に該ペプチドを溶解させ、ある量の担体粒子に該溶液を加え、ついでボルテックス混合しながら空気または窒素ガス雰囲気下で該混合物を乾燥させることを含む。あるいは、抗原を真空下の遠心分離により担体粒子上に乾燥させることが可能である。一旦乾燥したら、コーティング粒子を適当な溶媒(例えば、酢酸エチルまたはアセトン)に再懸濁させ、トリチュレート(例えば、音波処理により)して、実質的に均一な懸濁液を得る。ついで、抗原でコーティングされたコア担体粒子を、ADPリボシル化外毒素サブユニットペプチド構築物を保持するコア担体粒子と組み合わせ、単一の粒子注射ステップにおいて投与したり、あるいは毒素サブユニット組成物とは別に投与することができる。
コーティング粒子の投与
本発明の核酸製剤のみで又はそれと例えば抗原製剤とを組み合わせてコーティングされたコア担体粒子を、その形成後に、粒子媒介送達技術を用いて被験者に送達する。
粒子媒介送達技術に適した種々の粒子送達装置が当技術分野において公知であり、すべて本発明の実施において使用するのに適している。現在の装置設計においては、コーティングコア担体粒子を標的細胞に噴射するために爆発型、電気式またはガス式発射を用いる。コーティング粒子自体は、移動可能な担体シートに、遊離しうる様式で結合していたり、あるいはガス流が通過する表面に、遊離しうる様式で結合しており、該表面から粒子を上昇させ、それを標的に向けて加速することが可能である。ガス式発射装置の一例は米国特許第5,204,253号に記載されている。爆発型装置は米国特許第4,945,050号に記載されている。電気式発射型粒子加速装置は米国特許第5,120,657号に記載されている。本発明での使用に適したもう1つの電気式発射装置は米国特許第5,149,655号に記載されている。これらの特許のすべての開示内容を参照により本明細書に組み入れることとする。
コーティング粒子は、投薬剤形に適した様式で且つ所望のアジュバント効果/免疫応答を引き起こすのに有効な量で治療すべき被験者に投与する。送達する組成物の量は、核酸分子の場合に一般には1回につき核酸分子0.001〜1000μg、より典型的には0.01〜10.0μgであり、ペプチドまたはタンパク質分子の場合にはペプチド1μg〜5mg、より典型的には1〜50μgであるが、治療すべき被験者に左右される。厳密な必要量は、免疫すべき個体の年齢および一般的な健康状態ならびに選択した個々のヌクレオチド配列またはペプチドならびに他の要因に応じて様々となろう。当業者は、本明細書を読めば、適当な有効量を容易に決定しうるであろう。
粒子状組成物
あるいは、選択したADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドコード配列および1以上の選択した抗原部分を保持するポリヌクレオチドを粒子状組成物として製剤化することができる。より詳しくは、1以上のポリヌクレオチド分子を含む粒子の製剤化は、標準的な医薬製剤化の化学および方法(それらのすべては当業者に容易に利用可能である)を用いて行うことができる。例えば、1以上のベクター構築物および/または抗原組成物を1以上の製薬上許容される賦形剤またはビヒクルと組み合わせて、ワクチン組成物を得ることが可能である。補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などが賦形剤またはビヒクル中に存在していてもよい。これらの賦形剤、ビヒクルおよび補助物質は、一般には、該組成物の投与を受けた個体においてそれ自体では免疫応答を誘導せず、また、不適当な毒性を伴うことなく、投与されうる医薬用物質である。製薬上許容される賦形剤には、水、食塩水、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、グリセロールおよびエタノールのような液体が含まれるが、これらに限定されるものではない。製薬上許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの無機酸の塩、および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩も、それに含有させることが可能である。また、必ずしも必要なわけではないが、ペプチド、タンパク質または他の同様の抗原分子または補助物質の場合には特に、核酸組成物は、安定剤として機能する製薬上許容される担体を含有することが好ましい。ペプチドに対する安定剤としても機能する適当な担体の具体例には、医薬等級のデキストロース、スクロース、ラクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。他の適当な担体には、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムまたはカルシウム、クエン酸、酒石酸、グリシン、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)およびそれらの組合せが含まれるが、この場合もこれらに限定されるものではない。製薬上許容される賦形剤、担体、安定剤および他の補助物質の十分な考察は、参照により本明細書に組み入れるREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES (Mack Pub. Co., N.J. 1991)に載っている。
製剤化された組成物は、前記のとおりの共投与される抗原に対する所望のアジュバント効果を得るのに十分な量の毒素サブユニットペプチドコード化ポリヌクレオチドを含む。適当な有効量は当業者により容易に決定されうる。そのような量は、比較的広い範囲内、通常は対象となる核酸構築物約0.001μg〜25mgまたはそれ以上の範囲に含まれ、具体的な適量は通常の実験により決定することができる。該組成物は約0.1%〜約99.9%の核酸分子を含有しうる。抗原成分が組成物中に含まれる場合または粒子抗原組成物を得るために上記方法を用いる場合には、抗原は前記の適当な量で存在する。ついで、標準的な技術を用いて、例えば、単なる蒸発(風乾)、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、噴霧コーティング、沈殿、超臨界流体粒子形成などにより、該組成物を粒子として製造する。所望により、共通に所有された国際公開番号WO 97/48485(それを参照により本明細書に組み入れることとする)に記載の技術を用いて、得られた粒子を高密度化することができる。
使用前に粒子が収容されうる単回投薬または複数回投薬容器は、適当な核酸構築物および/または選択した抗原(例えば、多成分ワクチン組成物を提供するため)を含む適量の粒子を収容しうる密閉容器を含みうる。粒子組成物は、無菌製剤として収容されることが可能であり、したがって、密閉容器は、本発明の方法における使用まで該製剤の無菌性を保持するよう設計されうる。所望により、該容器は、粒子送達装置における直接的使用に適合させることができる。そのような容器は、カプセル、フォイルパウチ、サシェ(sachet)、カセットなどの形態をとり得る。適当な粒子送達装置(例えば、針無し注射器)が本明細書に記載されている。
粒子が収容される容器は更に、該組成物を識別するため及び関連投与情報を提供するためのラベルを有しうる。また、該容器は、政府機関、例えば食品医薬品局(Food and Drug Administration)により定められた注意書きのラベルを有し、その注意書きは、ヒトへの投与のためのそれに含有されるアジュバント、抗原(またはワクチン組成物)の製造、使用または販売の、連邦法に基づく該機関による承認を示す。
ついで、経皮送達技術を用いて粒子組成物を投与することができる。好ましくは、粒子組成物は粉末注射法により送達され、例えば、共通に所有された国際公開番号WO 94/24263、WO 96/04947、WO 96/12513およびWO 96/20022(それらのすべてを参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているような針無し注射器系から送達される。そのような針無し注射器系からの粒子の送達は、典型的には、一般には0.1〜250μmの範囲、好ましくは約10〜70μmの範囲のサイズを有する粒子で実施される。約250μmより大きな粒子も該装置から送達することが可能であり、その上限は、粒子のサイズが皮膚細胞に不都合な損傷を引き起こすポイントである。送達粒子が標的表面に侵入する実際の距離は、粒子サイズ(例えば、ほぼ球状の粒子形状を仮定した場合の呼称粒径)、粒子密度、該粒子が該表面に衝突する初期速度ならびに標的皮膚組織の密度および動粘度に左右される。この場合、針無し注射に用いる最適粒子密度は、一般には約0.1〜25g/cm3、好ましくは約0.9〜1.5g/cm3であり、注入速度は、一般には約100〜3,000m/秒またはそれ以上である。適当な気圧で、10〜70μmの平均径を有する粒子を、ノズルを介して、推進気流の超音速に近い速度で加速することができる。
治療に有効な量の本明細書に記載の粉末分子を含有する組成物を、前記粒子送達装置を介して、任意の適当な標的組織に送達することができる。例えば、該組成物は、筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺および結合組織に送達することができる。核酸分子の場合には、送達は、好ましくは、最終分化細胞に対するものであり、該分子は最終分化細胞中で発現される。しかし、該分子は、皮膚繊維芽細胞および血液の幹細胞のような未分化または部分分化細胞に送達することも可能である。
所望により、これらの針無し注射器系は、対象となるADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドコード配列を含む粒子の適当な投与量を含有する予め装填された状態で提供されうる。装填注射器は密閉容器中に収容することが可能であり、それは更に、前記のとおりのラベルが貼付されうる。
したがって、前記方法は、約10〜約250μm、好ましくは約10〜約150μm、最も好ましくは約20〜約60μmのサイズおよび約0.1〜25g/cm3の範囲の粒子密度および約0.5〜約3.0g/cm3またはそれ以上のバルク密度を有する核酸粒子を取得するために用いることができる。
同様に、約0.1〜約250μm、好ましくは約0.1〜約150μm、最も好ましくは約20〜約60μmの範囲のサイズおよび約0.1〜25g/cm3の範囲の粒子密度および好ましくは約0.5〜約3.0g/cm3、最も好ましくは約0.8〜約1.5g/cm3のバルク密度を有する選択した抗原の粒子を得ることができる。
(免疫応答の増強)
本発明のもう1つの実施形態においては、共投与される対象の抗原に対する免疫応答を増強するための方法を提供する。本質的には、該方法は、(a)対象となる抗原を被験者に投与し、(b)本発明のアジュバント組成物(該組成物は、ADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドの選択したコード配列を含有する1以上の核酸分子を含有する)を準備し、(c)該アジュバント組成物を被験者に共投与することを含み、それにより、該毒素サブユニットペプチドが、共投与抗原に対する増強された免疫応答を惹起するのに十分な量で、それらのそれぞれのコード配列から発現される。前記で詳しく説明したとおり、該コード配列を、同じ又は異なる調節配列に機能しうる形で連結して、1以上の発現カセットを得る。ついで、これらの発現カセットは、適当なベクター、例えばプラスミドベクター構築物またはウイルスベクター中に提供される。
1つの態様においては、該方法は、当技術分野において公知の標準的な遺伝子送達技術を用いてポリヌクレオチド組成物を被験者に投与することを含む。例えば、米国特許第5,399,346号、第5,580,859号、第5,589,466号を参照されたい。典型的には、ポリヌクレオチドワクチン組成物を、製薬上許容される賦形剤またはビヒクルと混合して、液体製剤(前記のとおり)を得、ついで、通常の針および注射器を使用する又は液体噴射注射系を使用する非経口的、皮下、皮内、筋肉内、静脈内注射による投与のための注射可能な溶液、懸濁液または乳濁液として使用する。該組成物は被験者の皮膚または粘膜組織に投与することが好ましい。また、液体製剤は皮膚または粘膜組織に局所的に投与することが可能であり、あるいは呼吸器または肺への投与に適した微粒子スプレー剤として提供されうる。他の投与様式には、経口投与、坐剤、および能動的または受動的経皮送達技術が含まれる。あるいは、ポリヌクレオチド組成物を、被験者から誘導された細胞にex vivoで送達し、ついで該細胞を被験者に再移植する。被験者への導入後、核酸配列が発現されて、ワクチン接種被験者において共投与抗原に対する免疫応答を増強するのに十分な量でADPリボシル化外毒素サブユニットペプチドをin situで与える。この増強された免疫応答は、増強された体液性(抗体)応答、増強された細胞性(CTL)応答として、あるいは共投与抗原に対する体液性および細胞性応答の両方の増強として特徴づけられうる。
ある好ましい実施形態においては、その増強された免疫応答は、共投与抗原に対する、Th2様応答ではなくTh1様(細胞性)免疫応答の増強として特徴づけられる。この場合、その増強されたTh1様免疫応答は、インターフェロン産生CD4+ヘルパーTリンパ球および/またはCD8+ CTLの力価の増加、抗原特異的CTL活性の増加、典型的には細胞性免疫に関連しているサブクラス(例えばIgG2a)の抗原特異的抗体の力価の増加の1以上により定性化されうる。
本発明のポリヌクレオチドアジュバント組成物は粒子形態で送達することが好ましい。例えば、該組成物は、前記で詳しく説明した粒子送達装置を使用して投与することができる。ある実施形態においては、該ポリヌクレオチド組成物を、当技術分野で公知の種々の技術を用いてコア担体粒子上にコーティングし、粒子媒介送達法を用いて送達することができる。担体粒子は、粒子送達装置からの細胞内送達に典型的に用いられる粒子サイズの範囲内で適当な密度を有する材料から選ばれる。もちろん、最適な担体粒子サイズは標的細胞の直径に左右される。
あるいは、これらの方法は、被験者への追加的または補助的成分の共投与により修飾することができる。例えば、二次ワクチン組成物を投与することが可能であり、二次組成物は核酸ワクチンを含むことが可能であり、あるいは二次ワクチン組成物は全ウイルス、スプリットウイルス(ウイルス成分)またはサブユニットワクチンのような通常のワクチンを含むことが可能である。二次ワクチン組成物をポリヌクレオチドADPリボシル化外毒素サブユニットペプチド組成物と組み合わせて単一の組成物を形成させたり、あるいは二次ワクチン組成物を別々に同じ又は異なる部位に同時に、連続的に、または該組成物の初回投与の数日後の追加免疫ステップの場合のように有意な経過時間を隔てて、投与することができる。
前記のとおり、二次ワクチン組成物および/または他の補助成分は、通常の注射器を使用して注射により又は同様に前記で説明した粒子媒介送達系を使用して投与することができる。投与は、典型的には、皮下、表皮、皮内、粘膜内(例えば、鼻腔内、直腸内および/または膣内)、腹腔内、静脈内、経口的または筋肉内へのものである。他の投与方法には、局所、経口および肺投与、坐剤ならびに経皮適用が含まれる。投与治療は1回量の投与計画または複数回量の投与計画でありうる。
実験例
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。これらの実施例は専ら例示目的で記載されているに過ぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
用いられている数字(例えば、量、温度など)に関しては、正確さを確保するように努めたが、もちろん、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。
CTのAおよびBサブユニットをコードする発現ベクターの開発
コレラ毒素(CT)のAおよびB両サブユニットのコード配列を含有するDNA断片を作製するために、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)からのゲノムDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の鋳型として使用した。Aサブユニットコード化断片(CTA)のPCR作製には、以下の2種類のオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーを使用した。
Figure 0004221289
発現ベクター中への挿入を促進するために、プライマー1および2は、それらの5’末端(CTAコード配列に対する相同性の領域の外側)にそれぞれNheIおよびBamHIの認識部位を含む追加的な配列を含有する。プライマー1および2は、ヌクレオチド164位から開始しヌクレオチド886位で終結するAサブユニットコード配列の断片(GenBank登録番号#D30053)のPCR作製をもたらすように設計した。この領域は成熟サブユニットAペプチドの全コード配列を含むが、プレ-サブユニットAペプチドのアミノ末端に見出される細菌シグナルペプチドをコードする配列を含まない。
Bサブユニットコード化断片(CTB)のPCR作製のためには、以下の2種類のオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーを使用した。
Figure 0004221289
Figure 0004221289
発現ベクター中への挿入を促進するために、プライマー3および4は、それらの5’末端(CTBコード配列に対する相同性の領域の外側)にそれぞれNheIおよびBamHIの認識部位を含む追加的な配列を含有する。プライマー3および4は、ヌクレオチド946位から開始しヌクレオチド1257位で終結するBサブユニットコード配列の断片(GenBank登録番号#D30053)のPCR作製をもたらすように設計した。この領域は成熟サブユニットBペプチドの全コード配列を含むが、プレ-サブユニットBペプチドのアミノ末端に見出される細菌シグナルペプチドをコードする配列を含まない。
前記の2つのPCR反応に加えて、C末端の4アミノ酸KDELモチーフが除去された、修飾された形態のCTサブユニットAのコード配列を作製するために第3のPCR反応を行った。該反応では、プライマー1(配列番号7)および以下のプライマーを使用した。
Figure 0004221289
すべてのPCR反応は、Pfu Turbo DNAポリメラーゼ(Strategene, La Jolla, CAから入手)を、製造業者により提供されたPCR反応バッファーと共に使用して行った。PCR条件は以下のとおりであった:95℃で2分間、30サイクル(95℃で1分間、55℃で2分15秒間、72℃で1分間)、72℃で5分間および4℃で維持。
PCR反応の完了後、新たに合成された断片をNheIおよびBamHI酵素で消化して付着末端を得、個々の断片を、NheIおよびBamHIで切断されたpWRG7054発現ベクター中に挿入して、以下のクローンを得た:それぞれCTA、CTBおよび修飾CTA(KDELを欠く)をコードするpPJV2002、pPJV2003およびpPJV2006。親クローニングベクターpWRG7054は、ヒトサイトメガロウイルス前初期プロモーターおよび付随イントロンA配列を含有する。また、pWRG7054には、適当なリーディングフレームでNheI部位に挿入されたコード配列の任意のタンパク質が哺乳動物細胞から分泌されるのを可能にするためのヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターのシグナルペプチドのコード配列が含まれる(例えば、Chapmanら (1991) Nuc. Acids Res. 19:3979-3986、およびBurkeら (1986) J. Biol. Chem. 261:12574-12578を参照されたい)。
プラスミドpPJV2002、pPJV2003およびpPJV2006の制限地図および完全な配列を、それぞれ図1、2および3に示す。
大腸菌(E. coli)易熱性エンテロトキシンのAおよびBサブユニットをコードする発現ベクターの開発
易熱性エンテロトキシン(LT)のAおよびB両サブユニットのコード配列を含有するDNA断片を作製するために、大腸菌(E. coli)株E078:H11(American Type Culture Collection #35401)からのゲノムDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の鋳型として使用した。Aサブユニットコード化断片のPCR作製には、以下の2種類のオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーを使用した。
Figure 0004221289
発現ベクター中への挿入を促進するために、プライマー6および7は、それらの5’末端(LTAコード配列に対する相同性の領域の外側)にそれぞれNheIおよびBamHIの認識部位を含む追加的な配列を含有する。プライマー6および7は、ヌクレオチド145位から開始しヌクレオチド867位で終結するAサブユニットコード配列の断片(GenBank登録番号#AB011677)のPCR作製をもたらすように設計した。この領域は成熟サブユニットAペプチドの全コード配列を含むが、プレ-サブユニットAペプチドのアミノ末端に見出される細菌シグナルペプチドをコードする配列を含まない。
Bサブユニットコード化断片(CTB)のPCR作製のためには、以下の2種類のオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーを使用した。
Figure 0004221289
発現ベクター中への挿入を促進するために、プライマー8および9は、それらの5’末端(LTBコード配列に対する相同性の領域の外側)にそれぞれNheIおよびBamHIの認識部位を含む追加的な配列を含有する。プライマー8および9は、ヌクレオチド927位から開始しヌクレオチド1238位で終結するBサブユニットコード配列の断片(GenBank登録番号#AB011677)のPCR作製をもたらすように設計した。この領域は成熟サブユニットBペプチドの全コード配列を含むが、プレ-サブユニットBペプチドのアミノ末端に見出される細菌シグナルペプチドをコードする配列を含まない。
前記の2つのPCR反応に加えて、C末端の4アミノ酸RDELモチーフが除去された、修飾された形態のLTサブユニットAのコード配列を作製するために第3のPCR反応を行った。この反応では、プライマー6(配列番号12)および以下のプライマーを使用した。
Figure 0004221289
すべてのPCR反応は、Pfu Turbo DNAポリメラーゼ(Strategene, La Jolla, CAから入手)を、製造業者により提供されたPCR反応バッファーと共に使用して行った。PCR条件は以下のとおりであった:95℃で2分間、30サイクル(95℃で1分間、55℃で2分15秒間、72℃で1分間)、72℃で5分間および4℃で維持。
PCR反応の完了後、新たに合成された断片をNheIおよびBamHIで消化して付着末端を得、個々の断片を、NheIおよびBamHIで切断されたpWRG7054発現ベクター中に挿入して、それぞれLTA、LTBおよび修飾LTA(RDELを欠く)をコードするクローンpPJV2004、pPJV2005およびpPJV2007を得た。
プラスミドpPJV2004、pPJV2005およびpPJV2007の制限地図および完全な配列を、それぞれ図4、5および6に示す。
CTAおよび/またはCTBをコードするプラスミドベクターを使用するDNAワクチンに対する抗原特異的抗体応答の増強
粒子媒介DNAワクチン接種の場合におけるpPJV2002、pPJV2003およびpPJV2006アジュバントベクターのアジュバント効果を試験するために、インフルエンザAウイルスのM2タンパク質をコードするDNAワクチンベクターを使用した。pPJV2002、pPJV2003およびpPJV2006アジュバントベクターの種々の組合せの存在下または非存在下でM2 DNAワクチンベクターを微小金粒子上に沈殿させ、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJcet Vaccines, Inc. Madison, WI)を使用して該コーティング金粒子をマウスの表皮内に加速することにより、粒子媒介DNAワクチン接種を行った。
より詳しくは、A/Sydney/5/97(H3N2)からの成熟M2コード配列のクローニングを促進するために、インフルエンザウイルス株A/Kagoshima/10/95(H3N2)のRNAセグメント#7からの配列(M2タンパク質をコードする)を、PCRプライマーを設計するためのモデルとして使用した。プライマー設計にA/Kagoshima配列を使用したのは、A/SydneyのRNAセグメント7の配列が未だ決定されていないからである。M2配列間の高度の保存性は、異なるウイルス株から設計されたプライマーの使用を促進すると予想された。
M2はスプライシングされたRNAから翻訳されるため、セグメント7 RNAのコード領域中のヌクレオチド27〜714位がスプライシング除去される必要があると考えられた。したがって、完全なM2コード配列を作製し、得られたM2コード配列クローンから該イントロンがきれいに除去されたことを保証するために、1組のPCRプライマーを作製し設計した。完全長M2コード配列クローンを作製するために使用したPCRプライマーは以下のとおりであった。
Figure 0004221289
プライマー11(配列番号17)は、その5’末端に、mRNAの翻訳開始を促進するコザックコンセンサス配列およびHindIIIの認識部位を含む追加的な配列を含有する。また、プライマー12(配列番号)は、その5’末端に、BamHIの認識配列を含む追加的な配列を含有する。
孵化鶏卵中で増殖したA/Sydney/5/97(H3N2)のサンプルからウイルスRNAを単離した。ウイルスRNA単離方法は、当業者に公知の標準的な技術を用いた。Stratagene(La Jolla, CA)から入手したRT-PCRキットを使用する逆転写/ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)において、このウイルスからのRNAを使用した。RNアーゼを含有しない水5.9μlを反応チューブに加えることにより、RT反応ステップを完了させた。このチューブに、1.0μlの10×MMLV-RTバッファーおよび1.0μlのdNTP混合物(該キットのもの)を加えた。また、1μlのA/Sydney/5/97 RNAおよび0.6μl(0.6μg)のプライマー11(配列番号17)を加えた。該反応液を65℃に5分間加熱してRNAを変性させ、ついでキットからの0.5μlの逆転写酵素を加えた。該反応液を37℃で15分間インキュベートして逆転写ステップを完了させた。
新たな反応チューブに以下の成分を加えることにより、該PCRステップを完了させた:40μlの水、該キットからの5μlの10×超HFバッファー、該キットからの1.0μlのdNTP混合物、1.0μlのプライマー11(配列番号17)(1.0μg)、1.0μlのプライマー12(配列番号18)(1.0μg)、前記からの1μlの逆転写反応混合物、および該キットからの1μlのTurbo PFUポリメラーゼ。該PCR反応は、以下のインキュベーション手順を用いて行った:95℃で1分間、ついで30サイクル(95℃で30秒間、46℃で30秒間、68℃で3分間)、ついで68℃で10分間。PCR産物を2%アガロースゲル上で電気泳動したところ、約300bpの推定サイズの単一のDNAバンドが示された。
その約300bpのバンドをゲルから単離し、HindIIIおよびBamHIで消化して、pWRG7077 DNAワクチン発現ベクター(Schmaljohnら (1997) J. Virol. 71: 9563-9569)中への挿入のための必要な付着末端を作製した。該pWRG7077 DNAをHindIIIで部分的に消化し、BamHIで完全に消化して、M2コード化挿入物の挿入を容易にした。該ベクターを部分的にHindIII消化することを要したのは、このプラスミドのカナマイシン耐性マーカー中に第2のHindIII部位が存在するからであった。得られたM2 DNAワクチンベクターをpM2-FLと命名した。該pM2-FLベクターは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)からの前初期プロモーターおよびその付随イントロンA配列(該M2コード配列から転写を駆動するためのもの)を含有する。このベクターはまた、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列を含む。
ついで該pM2-FLプラスミドを2ミクロンの金粒子上に単一ベクターまたは混合ベクター+アジュバントベクターサンプル(すなわち、該M2プラスミドベクターをpPJV2002、pPJV2003および/またはpPVJ2006アジュバントベクターと組合せた)として沈殿させた。具体的には、プラスミドDNA(単一M2ベクター、またはM2ベクター+1以上のアジュバントベクター)を、400μlの50mM スペルミジンを含有する小さな遠心チューブ中、2ミクロンの金粒子(Degussa, Lot 65-0)と混合した。そのDNA:金の比は、金 1mg当たりDNA 2.5μgから金 1mg当たりDNA 4.0μgまで様々であり、単一バッチは26mgの金を含有していた。ロータリーミキサー上での該チューブの連続攪拌中に1/10容積の10% CaCl2を加えることにより、DNAを金粒子上に沈殿させた。DNA-金複合体を無水エタノールで3回洗浄し、ついで、TEFZEL(登録商標)チューブ(McMaster-Carr)(これは、該チューブの内側を金/DNA複合体でコーティングするチューブ回転(turner)コーティング装置(PowderJect Vaccines, Inc., Madison WI)中に収容されている)中に注入した。このチューブ回転装置は米国特許第5,733,600号に記載されている。また、PCT特許出願PCT/US95/00780および米国特許第5,780,100号、第5,865,796号および第5,584,807号も参照されたい。該コーティング操作が完了した後、チューブを、粒子送達装置中へのロードに適した0.5インチの「カートリッジ」に切断した。
以下のDNA-金製剤をマウスDNAワクチンアジュバント実験用に作製した。
製剤#1:pM2-FL DNA単独、金 1mg当たり2.5μg DNA、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#2:第1バッチの金上に沈殿したpM2-FL DNAベクター(金 1mg当たり2μg pM2-FL DNA)、第2バッチの金上に共沈したpPJV2002およびpPJV2003 DNAベクター(金 1mg当たり1.75μgの各DNAアジュバントベクター)(該金バッチを同等に混合した)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#3:すべて単一バッチの金上に共沈したpM2-FL DNAベクター、pPJV2002およびpPJV2003 DNAベクター(金 1mg当たり2μg pM2-FL DNAおよび金 1mg当たりそれぞれ1μgのpPJV2002およびpPJV2003)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#4:すべて単一バッチの金上に共沈したpM2-FL DNAベクター、pPJV2006およびpPJV2003 DNAベクター(金 1mg当たり2μg pM2-FL DNAおよび金 1mg当たりそれぞれ1μgのpPJV2006およびpPJV2003 DNA)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#5:単一バッチの金上に共沈したpM2-FL DNAベクターおよびpPJV2002(金 1mg当たり2μg pM2-FL DNAおよび金 1mg当たり1μg pPJV2002 DNA)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#6:単一バッチの金上に共沈したpM2-FL DNAベクターおよびpPJV2003(金 1mg当たり2μg pM2-FL DNAおよび金 1mg当たり1μg pPJV2003 DNA)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
ついでこれらのDNAワクチン製剤を、以下のとおりに6群のマウスに投与した。各実験群は7匹の動物を含有し、各動物はそれぞれの製剤での2回の免疫を、それらの免疫の間に4週間の休止期間を挟んで受けた。各免疫は、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJect Vaccines Inc., Madison, WI)を400p.s.i.のヘリウム圧で使用する腹部表皮への2回の縦列的(tandem)送達(1回の送達当たり1カートリッジ)よりなるものであった。初回免疫の4週間後(追加免疫の直前)および2回目のまたは追加免疫の2週間後に、血清サンプルを集めた。
ELISAアッセイ(この場合、以下の配列よりなるM2合成ペプチドで96ウェルプレートが予めコーティングされている)を用いて、個々の血清サンプルをM2特異的抗体応答に関してアッセイした:SLLTEVETPIRNEWECR(配列番号19)。ELISAプレートをM2ペプチドで、リン酸緩衝食塩水(PBS)中で1μg/mlの濃度で該ペプチドを使用して、4℃で一晩コーティングした。翌日、該プレートをPBS中の5%脱脂粉乳で室温にて1時間ブロッキングした。ついでプレートを洗浄バッファー(10mM Tris緩衝食塩水, 0.1% Brij-35)で3回洗浄した。ついで、希釈された血清サンプルを該ウェルに加え、プレートを室温で2時間インキュベートした。該プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、100μlの二次抗体を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。該二次抗体は、1% BSA/PBS/0.1% Tween-20中で1:8000で希釈されたヤギ抗マウスIgG(H+L)ビオチン標識抗体(Southern Biotechnology)よりなるものであった。ついでプレートを3回洗浄し、PBS/0.1% Tween-20中で1:8000で希釈されたストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(Southern Biotechnology)を加え、該プレートを室温で1時間インキュベートした。更に3回の洗浄の後、100μlのTMB基質(Bio Rad, Hercules, CA)を加え、発色を室温で30分間にわたり進行させた。1N H2SO4の添加により発色を停止させ、該プレートを450nmで測定した。非免疫対照サンプルを使用して得られたバックグラウンド吸光度値の2倍の吸光度値を尚も与えていた血清の最大希釈度を確認することにより、終点希釈力価を測定した。
各群の個々の動物の終点抗体力価および各実験群の幾何平均力価を、以下の表1に示す。
Figure 0004221289
Figure 0004221289
以上のように、CTコード化アジュバントベクター(製剤#2〜6)の1以上を含有する製剤で免疫した全ての実験群は、M2ベクター(製剤#1)のみで免疫した対照動物と比較して、追加免疫後に幾何平均力価の増加を示した。
CT-AおよびCT-Bサブユニットペプチドをコードするアジュバントプラスミドベクターを使用した場合のB型肝炎表面抗原(HBsAg)をコードするDNAワクチンに対する抗原特異的細胞性応答の増強
B型肝炎表面抗原(HBsAg)ベクタープラスミドを以下のとおりに構築した。HbsAgコード領域を作製するために、pAM6構築物(American Type Culture Collection「ATCC」から入手可能)をNcoIで切断し、マングビーンヌクレアーゼで処理してX抗原の開始コドンを除去した。ついで、得られたDNAをBamHIで切断し、T4 DNAポリメラーゼで処理して該DNAを平滑末端化し、HBsAg発現カセットを作製した。HBsAg発現カセットは1.2kB断片中に存在する。完全長ヒトCMV(Towne株)前初期プロモーター(エンハンサーを伴う)を含有するプラスミド構築物pPJV7077(Schmaljohnら (1997) J. Virol. 71:9563-9569)をHindIIIおよびBglIIで切断し、ついでT4 DNAポリメラーゼおよび子ウシアルカリホスファターゼで処理して平滑末端化DNAを作製し、HBsAg発現カセットを該プラスミド中に連結してpWRG7128構築物を得た。
再び金 1mg当たり2μgのDNAを使用する実施例3に記載の方法に従い、該pWRG7128プラスミドを金粒子上に沈殿させた。CTAおよびCTBサブユニット遺伝子を発現するアジュバントプラスミドベクター(それぞれpPJV2002およびpPJV2003)を共に混合し、金粒子上に沈殿させた(ここで、各プラスミドは金 1mg当たり1μg DNAで存在し、また、全量は金 1mg当たり2μg DNAであった)。pWRG7128でコーティングされた金粒子とpPJV2002およびpPJV2003でコーティングされた金粒子とを1:1で混合し、ついで前記のとおりTEFZEL(登録商標)チューブ中にロードした。免疫のために、実施例3において前記したのと同じ送達条件を用いるPowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置を使用して、1μgのDNA(0.5μgのpWRG7128プラスミドならびにそれぞれ0.25μgのpPJV2002およびpPJV2003プラスミド)に対応する0.5インチ長のチューブをBalb/cマウスの表皮中に送達した。対照に関しては、pWRG7128(送達当たり1μg DNA/0.5mg 金)のみでコーティングされた金粒子でマウスを免疫した。マウス(4匹/実験群)を免疫し、第4週に追加免疫し、ついで追加免疫の2週間後に犠牲にした。ELISAにより血清抗体レベルに関して免疫応答を評価した。また、ELISPOTアッセイを用いて細胞性免疫応答を測定して、CD8特異的IFN-γ分泌を定量した。
ELISAアッセイを用いて、HBsAgに特異的な抗体に関して個々のマウスの血清サンプルを試験した。該ELISAのために、Falcon Pro Bindマイクロタイタープレートを、PBS(リン酸緩衝食塩水、Bio Whittaker)中0.1μg/ウェルの精製HBsAg(BioDesign)で4℃にて一晩コーティングした。該プレートを5%粉乳/PBSで室温(RT)で1時間ブロッキングし、ついで洗浄バッファー(10mM Tris緩衝食塩水, 0.1% Brij-35)で3回洗浄し、希釈バッファー(2%粉乳/PBS/0.05% Tween20)中で希釈された血清サンプルをプレートに加え、室温で2時間インキュベートした。該プレートを3回洗浄し、希釈バッファー中で1:8000で希釈されたビオチン化ヤギ抗マウス抗体(Southern Biotechnology)を該プレートに加え、室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを3回洗浄し、ついで、PBS中で1:8000に希釈されたストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(Southern Biotechnology)を加え、該プレートを室温で更に1時間インキュベートした。更に3回洗浄した後、プレートを3回洗浄し、ついでTMB基質溶液(BioRad)を加え、30分後に該反応を1N H2SO4で停止させた。光学密度を450nmで測定した。該サンプルを既知力価の標準品と比較することにより、終点力価を計算した。
細胞性免疫アッセイのために、Balb/cマウスにおける公知CD8エピトープに対応するペプチドの存在下、該免疫動物の脾臓からの脾細胞の単個細胞浮遊液をin vitroで培養した。該ペプチドをDMSO(10mg/ml)に溶解し、培養内で10ug/mlまで希釈した。該ペプチドの配列はIPQSLDSWWTSL(配列番号20)であった。
IFN-γ ELISPOTアッセイのために、Millipore Multiscreen膜濾過プレートを、無菌0.1M 炭酸バッファー(pH9.6)中の50μlの15μg/ml 抗IFN-γ抗血清(Pharmingen)で4℃にて一晩にわたりコーティングした。プレートを無菌PBSで6回洗浄し、ついで、10% ウシ胎仔血清(FBS)を含有する組織培養培地で室温にて1〜2時間にわたりブロッキングした。培地を除去し、脾臓細胞を該ウェル中に合計1×106細胞/ウェルで分注した。免疫動物からの1×106個未満の細胞が加えられたウェルに関しては、ナイーブ動物からの細胞を使用して合計1×106個にした。細胞を、前記ペプチドの存在下、組織培養インキュベーター中で一晩インキュベートした。ついで該プレートをPBSで2回および蒸留水で1回洗浄した。この後にPBSで3回の洗浄を行った。ビオチン化抗IFN-γモノクローナル抗体(Pharmingen)を該プレートに加え(PBS中1μg/ml溶液50μl)、室温で2時間インキュベートした。プレートをPBSで6回洗浄し、ついで50μlのストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(PBS中1:1000, Pharmingen)を加え、室温で2時間インキュベートした。該プレートをPBSで6回洗浄し、アルカリホスファターゼ発色基質(BioRad)を加え、ダークスポットが出現するまで該反応を進行させた。水で3回洗浄することにより該反応を停止させた。プレートを風乾させ、スポットを顕微鏡下で計数した。
IFN-γ ELISAアッセイのために、細胞を、ペプチドの存在下、丸底96ウェル組織培養プレート中で一晩培養した。該上清のサンプルを採取し、IFN-γレベルの測定のために使用した。高結合プレート(Costar)を重炭酸バッファー(pH9.6)中の100μlの0.5ug/mlの抗マウスIFN-γ抗体(Pharmingen)でコーティングした。プレートを、10% FBSを含有する組織培養培地で室温で1時間ブロッキングし、ついでTBS洗浄バッファーで3回洗浄した。培養細胞から得られた上清サンプルを組織培養培地中で希釈し、該プレート上にロードし、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、二次抗体(PBS中0.5μg/mlのビオチン化ラット抗マウスIFN-γ, Pharmingen)を該プレートに加え、室温で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(PBS中1:2000, Southern Biotechnology)を室温で1時間にわたり加えた。プレートを3回洗浄し、ついでTMB基質溶液を加え(BioRad)、該反応を1N H2SO4で停止させた。光学密度を450nmで測定した。
該ELISAの結果を以下の表2に示す。
Figure 0004221289
以上のように、pWRG7128のみで免疫した対照マウスにおける抗体レベルは、pWRG7128とCTアジュバントベクター(pPJV2002およびpPJV2003)との組合せで免疫したマウスより高いことが判明した。対照動物の平均終点力価は55,000であり、アジュバント化製剤で免疫した動物における平均力価は23,000であった。しかし、アジュバント化製剤を投与した群には、実際には、対照のpWRG7128の量の半分しか投与しておらず、このことが抗体力価の減少の原因と説明されうる。
それらの2つのマウス群において測定された細胞性免疫応答は、CTアジュバントベクターによる細胞性応答の有意な増強を示している。より詳しくは、CD8特異的IFN-γ ELISAアッセイの結果を以下の表3に示す。
Figure 0004221289
このIFN-γ ELISAアッセイにおいて、細胞数/ウェルは、ウェル当たりにプレーティングされた免疫動物から回収された細胞の数を表す。ウェル当たりの細胞の総数は一定(例えば、1×106)であり、ナイーブ動物からの細胞で補足されている。値は、450nmで測定したOD値である。CTアジュバント化製剤で処理されたマウスからの細胞に関して見出された、該ELISAにおける、より高いOD値は、抗原に応答してこれらの細胞から分泌された、より多量のIFN-γを示す。ナイーブマウスからの細胞は、IFN-γ ELISAにおいて、測定可能なOD値を与えなかった。
CD8特異的IFN-γ ELISPOTアッセイの結果を以下の表4に示す。
Figure 0004221289
このIFN-γ ELISPOTアッセイにおいては、数は2組のウェルの平均であり、1×106細胞当たりの陽性細胞数に相当する。このELISPOTアッセイにおいて、ナイーブマウスからの細胞はスポットを全く与えなかった。また、CTアジュバント化製剤で処理した動物において見出されたより大きな数のELISPOTは、抗原(pWRG7128)のみを投与した動物と比較した場合の、より著しい応答を示す。
前記のデータは、本発明の新規アジュバント組成物が、共投与抗原(この場合は、DNAワクチンから発現されたHBsAg)に対する細胞性免疫応答を増強する強力な能力を有することを示している。
gp120抗原ベクターとCTA/CTBアジュバントベクターとの同時送達を用いた場合のHIV-1 gp120抗原に対する体液性および細胞性応答の増強
HIV-1 gp120をコードするプラスミドベクターを以下のとおりに構築した。該ベクターは、Bluescript(Stratagene, La Jolla, CA)プラスミドバックボーン、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期プロモーター(Fullerら (1994) Aids Res. Hum Retroviruses 10:1433)およびSV40ウイルス後期ポリアデニル化部位から構築した。該hCMVプロモーターは619塩基対(bp)内に含有されている。
前初期転写開始部位の522bp上流と96bp下流にAccII断片が伸長する。SV40ウイルス後期ポリアデニル化配列は、pSV2dhfr(以前はBethesda Research Laboratories, カタログ#5369 SSから入手可能であった)から誘導された約800bpのBamHI-BglII断片内に含有されている。まず、「pC-Env」と称されるHIV-1 gp160をコードするプラスミドを構築した。このプラスミドは、LAV-1BRU(ATCC受託番号53069, GenBank登録番号K02013)からの2565bpのKpnI-XhoI断片を含有し、これは、成熟gp160アミノ末端のアミノ酸4位をコードする配列から始まる。envコード配列断片を、既に記載(Fullerら (1994) Aids Res. Hum Retroviruses 10:1433)されているとおりの単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)シグナルペプチドおよび成熟gDアミノ末端非アミノ酸をコードする160bpの合成断片の直下流に配置し、それとインフレームで融合させた。
ついで、本明細書中で「pCIA-Env/T」と称されるHIV-1 gp120をコードするプラスミドを以下のとおりに構築した。pCIA-Env/Tプラスミドは、トランケート化形態のHIV-1 gp160をコードし、envコード配列がヌクレオチド8188位のHindIII部位でトランケート化されている以外はpC-Env構築物と同一である。これは、gp120/gp41プロセシング部位の下流の128アミノ酸残基に横たわるトランケート化点を有するトランケート化gp160翻訳産物を与える。
本明細書中で「pC-rev」と称されるHIV-1 revをコードする第2のプラスミドベクターを以下のとおりに構築した。このベクターは、前記のhCMVプロモーターとSV40ウイルス後期ポリアデニル化配列との間に直接位置するLAV-1BRUプロウイルスの3つの不連続領域(ヌクレオチド678-1085位、5821-6379位および8188-8944位)を含有する。その3つの不連続領域は、それぞれ、主要5’スプライス供与部位、rev遺伝子の第1エキソンおよびrev遺伝子の第2エキソンを含有する。
「pWRG7054」と称される第3のプラスミドベクター構築物を、研究における空ベクター対照として使用した。pWRG7054構築物は、SIV nefコード領域、イントロンA領域を伴うhCMV前初期プロモーター、TPAリーダー配列およびウシ成長ホルモンポリアデニル化配列を含有する。pWRG7054プラスミドの構築は後記実施例6に記載されている。
以下のDNA-金製剤をマウスDNAワクチンアジュバント試験のために作製した。
製剤#1:空ベクター対照(gp120挿入物をもたないpWRG7054)、金 1mg当たり2.5μg DNA、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#2:すべて単一バッチの金上に共沈した空ベクター対照(pWRG7054)、gp120(pCIA-EnvT)DNAベクターおよびrev(pC-rev)DNAベクター(HIV-1 gp120分子の発現を可能にする)(金 1mg当たりそれぞれ1.25μgのpWRG7054 DNAおよびpCIA-EnvT DNA、ならびに金 1mg当たり0.125μgのpC-rev)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#3:すべて単一バッチの金上に共沈した空ベクター対照(pWRG7054)、CTA(pPJV2002)およびCTB(pPJV2003)DNAベクター(金 1mg当たり1.25μg pWRG7054 DNA、金 1mg当たりそれぞれ1μgのpPJV2002およびpPJV2003 DNA)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#4:すべて単一バッチの金上に共沈したgp120(pCIA-EnvT)DNAベクター、HIV-1 rev(pC-rev)DNAベクター、CTA(pPJV2002)およびCTB(pPJV2003)DNAベクター(金 1mg当たり1.25μg pCIA-EnvT DNA、金 1mg当たり0.125μg pC-rev DNA、ならびに金 1mg当たりそれぞれ1μgのpPJV2002およびpPJV2003 DNA)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#5:すべて単一バッチの金上に共沈したgp120(pCIA-EnvT)DNAベクター、HIV-1 rev(pC-rev)DNAベクター、CTA-KDEL(pPJV2006)およびCTB(pPJV2003)DNAベクター(金 1mg当たり1.25μg pCIA-EnvT DNA、金 1mg当たり0.125μg pC-rev DNA、ならびに金 1mg当たりそれぞれ1μgのpPJV2006およびpPJV2003 DNA)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
再び金 1mg当たり2μgのDNAを使用する前記実施例3に記載の方法に従い、該pWRG7054、pCIA-EnvT、pC-rev、pPJV2002、pPJV2003およびpPJV2006プラスミドベクターを金粒子上に沈殿させた。再び前記実施例3に記載の方法を用いて、該コーティング金粒子をTEFZEL(登録商標)チューブ中にロードした。免疫のために、実施例3において前記したのと同じ送達条件(400p.s.i.ヘリウム)で作動する粒子送達装置を使用して、5〜6週齢の雌のBalb/cマウスの表皮中へ総充填量1.0mgの金を送達するために、2個の0.5インチ長のチューブを使用した。
それらの5つの実験群(各DNAワクチン製剤当たり1つ)のそれぞれは4匹の動物よりなり、各動物に、それらのそれぞれの製剤で第0週および第5週の時点で初回および追加免疫を行った。各免疫は、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJect Vaccines Inc., Madison, WI)を使用する腹部表皮への2回の縦列的送達(1回の送達当たり1カートリッジ)よりなるものであった。
第5週および第6.5週(それぞれ初回免疫後および追加免疫後)に集めた試料に対してELISAアッセイを用いて、HIV gp120抗原に対する血清抗体応答を試験した。該ELISAのために、4℃で一晩のインキュベーションにより、Costar高結合EIAプレートを50μlのPBS中の0.3μg/ウェルの組換えHIV gp120(Intracel)でコーティングした。プレートを3回洗浄し、PBS中の2% BSAで室温にて2時間ブロッキングした。血清の連続希釈物を該コーティングプレートに加え、37℃で1時間インキュベートした。洗浄後、該プレートを1:1500希釈のアルカリホスファターゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(H+L)(BioRad)と共にインキュベートし、ついでp-ニトロフェニルホスファート(PNPP)(BioRad)で発色させ、ODを405nmで測定した。
該ELISAの結果を図7に示す。図に示されるように、gp120ベクターと共にアジュバントベクター(pPJV2002およびpPJV2003ベクターを含有する製剤#4、またはpPJV2006およびpPJV2003ベクターを含有する製剤#5)を投与した群では、gp120ベクターをアジュバント無し(製剤#2、pCIA-EnvT)で投与した群と比較して、gp120特異的免疫応答における約20倍の増強が認められた。
該追加免疫血清サンプルを集めた後、動物を犠牲にし、各マウスから脾臓を集めた。脾臓を粉砕し、細胞を70μm細胞濾過器に通過させ、赤血球をACK細胞溶解バッファー(BioWhittaker)で細胞溶解することにより、脾細胞を単離した。脾細胞をRPMI-5% FCSで3回洗浄し、抗生物質、ピルビン酸ナトリウムおよび非必須アミノ酸で補足されたRPMI-10% FCS中で1×107細胞/mlの濃度まで再懸濁させた。
脾細胞により分泌された抗原特異的IFN-γの量を、in situ ELISAを用いて測定した。50μlの0.1M重炭酸バッファー(pH9.6)中の10μg/mlの抗マウスIFN-γ捕捉モノクローナル抗体(mAb)(Pharmingen, San Diego, CA)で、Costar高結合プレートをコーティングした。4℃で一晩のインキュベーションの後、該ウェルをPBS-0.05% Tween-20で5回洗浄し、200μlの完全R10培地で室温にて2時間にわたりブロッキングした。1×106個の脾細胞を各ウェルに加え、培地単体(陰性対照)中または配列RIQRGPGRAFVITGK(配列番号21)を有する1μg/mlのHIV gp120ペプチドを含有する培地中で刺激した。5% CO、37℃で24時間のインキュベーション後、該プレートを脱イオン(DI)水で2回洗浄して該細胞を細胞溶解し、ついでPBS-0.05% Tween 20で3回洗浄し、50μl/ウェルの1μg/ml ビオチン化抗マウスIFN-γ検出用mAb(Pharmingen)と共に室温で1時間インキュベートした。ついで該プレートを5回洗浄し、50μl/ウェルの1:8000希釈のストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)溶液(Southern Biotechnology)と共に1時間インキュベートした。該プレートを再び5回洗浄し、TMB基質(BioRad, Hercules, CA)を室温で30分間加えることにより発色を行った。1N硫酸の添加により反応を停止させた。450nmでの吸光度を光学プレートリーダーで測定した。
この研究の結果を図8に示す。この図は、前記製剤(製剤#1〜5)を投与した5つの異なるワクチン試験群における抗原特異的IFN-γ産生の相対レベルを示す。重要なことに、CTアジュバントベクターと組合せたgp120ベクター(pCIA-EnvT)(すなわち、pPJV2002およびpPJV2003ベクターを含有する製剤#4ならびにpPJV2006およびpPJV2003ベクターを含有する製剤#5)を投与した2つの免疫群は、アジュバント無しのgp120群(空ベクター対照およびpCIA-EnvTを含有する製剤#2)より有意に高いIFN-γ産生レベルを示した(それぞれP<0.000001およびP=0.0068)。これらのデータは、本CTベクターアジュバント組合せ体が、動物モデルにおけるHIV抗原に対する抗原特異的細胞性免疫を著しく増強しうることを示している。
IFN-γ産生レベルの増加に加えて、ELISPOT方法により測定したところIFN-γ分泌性HIV-gp120ペプチド特異的脾細胞の数も著しく増加した。該ELISPOTアッセイにおいては、ニトロセルロースプレート(Millipore)をIFN-γ捕捉抗体でコーティングし、洗浄し、ブロッキングした(Tヘルパー細胞IFN-γ in situ ELISAに関して前記したとおり)。脾細胞を1×106細胞/ウェルの投入細胞数で、予めコーティングされたウェルに加え、培地単体(陰性対照)中または免疫優性HIV-gp120 CTLエピトープを含有し配列RGPGRAFVTI(配列番号22)を有する1μg/ml ペプチドを含有する培地中で刺激した。該プレートを5% CO、37℃で24時間インキュベートし、DI水で2回、PBSで3回洗浄し、50μl/ウェルの1μg/ml ビオチン化抗マウスIFN-γ検出用mAb(Pharmingen)と共に室温で1時間インキュベートした。ついで該プレートを5回洗浄し、50μl/ウェルの1:1000希釈のストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(ALP)溶液(Mabtech)と共に1時間インキュベートした。該プレートを再び5回洗浄し、スポットが形成されるまで(2〜30分間、室温)ALP膜基質(BioRad, Hercules, CA)を加えることにより発色を行った。DI水で洗浄することにより該反応を停止させ、該プレートを一晩風乾させた。スポットを40倍顕微鏡下で計数した。不鮮明な境界を有する大きなスポットのみをスポット形成細胞(SFC)として記録した。
このELISPOTアッセイの結果を図9に示す。この図は、5つの異なるワクチン試験群(それぞれ製剤#1〜5を投与)における抗原特異的IFN-γ産生脾細胞の相対レベルを示す。重要なことに、CTアジュバントベクターと組合せたgp120ベクター(すなわち、pPJV2002およびpPJV2003ベクターを含有する製剤#4ならびにpPJV2006およびpPJV2003ベクターを含有する製剤#5)を投与した2つの免疫群は、アジュバント無しのgp120群(空ベクター対照およびpCIA-EnvTを含有する製剤#2)より有意に多い数のIFN-γ産生細胞を示した(それぞれP<0.000001およびP=0.0032)。これらのデータは、本CTアジュバント組合せ体が、動物モデルにおける共投与HIV gp120抗原に対する抗原特異的細胞性免疫を著しく増強しうることを示している。また、これらの研究において認められたIFN-γ産生の増強は、本発明のCTアジュバントベクター組合せ体の使用が該免疫動物において強力なTh1様免疫応答を与えることを示している。
HBcAgおよびHBsAgをコードするベクターとCTA/CTBアジュバントベクターとの同時送達を用いた場合のB型肝炎コアおよび表面抗原に対する抗体応答の増強
B型肝炎コア抗原(HBcAg)およびB型肝炎表面抗原(HBsAg)のコード配列を含有するベクタープラスミドを以下のとおりに構築した。該HBcAgおよびHBsAgコード配列は共に、HBVクローンpAM6(ATCC受託番号45020)から入手した。HBsAgコード領域を作製するために、pAM6構築物をNcoIで切断し、マングビーンヌクレアーゼで処理してX抗原の開始コドンを除去した。ついで、得られたDNAをBamHIで切断し、T4 DNAポリメラーゼで処理して該DNAを平滑末端化し、HBsAg発現カセットを作製した。該HBsAg発現カセットは該1.2kB断片中に存在する。完全長ヒトCMV(Towne株)前初期プロモーター(エンハンサーを伴う)を含有するプラスミド構築物pPJV7077(Schmaljohnら (1997) J. Virol. 71:9563-9569)をHindIIIおよびBglIIで切断し、ついでT4 DNAポリメラーゼおよび子ウシアルカリホスファターゼで処理して平滑末端化DNAを作製し、該HBsAg発現カセットを該プラスミド中に連結してpWRG7128構築物を得た。
該HBcAgコード領域を作製するために、pAM6構築物を切断してHBcAg発現カセットを得、ついでHBcAg配列を部位特異的突然変異誘発によりトランケート化して、C末端のアルギニンに富む領域を該コア抗原粒子から除去した(この欠失は粒子形成を妨げない)。ついで該トランケート化HBcAg配列を、ヒト伸長因子プロモーター(「hELF」, Mizushimaら (1990) Nucl. Acids Res. 18:5322)を含有するプラスミド構築物中にクローニングしてHBcAgベクター構築物を得た。
(a)CMVプロモーター/エンハンサー、イントロンA-5’非翻訳領域およびヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(hTPA)シグナルペプチド(「CMV-IA-TPA」)か、(b)ウシ成長ホルモンポリA配列(bGHpA)かのいずれかを含有する発現カセットはそれぞれ、JW4303ベクター構築物(Harriet Robinson博士, University of Massachusettsから贈呈された)から入手し、プラスミドバックボーン中に挿入した。得られた構築物をNheIで切断し、ポリメラーゼで埋め、ついでBamHIで切断して、pUC19複製起点、アンピシリン耐性遺伝子およびbGHpA配列を含有するベクター断片を得た。該プラスミドバックボーンをSalIで再度切断し、ポリメラーゼで埋め、BamHIで切断して、CMV-IA-TPAベクター断片を含有するベクター断片を遊離させた。それらの2つのベクター断片を互いに連結させて、pWRG7054と称される構築物を得た。
pWRG7054構築物をNheIで切断し、ポリメラーゼで埋め、BamHIで切断してベクター断片を得た。HBcAgベクター構築物をNcoIで切断し、ポリメラーゼで埋め、BamHIで切断して、挿入断片を得た。ついで2つの断片を互いに連結してpWRG7063と称される構築物を得た。
PEL-BosをEcoRIで切断し、子ウシ腸ホスファターゼで脱リン酸化してベクター断片を得た。pWRG7063プラスミドをHindIIIで切断し、ポリメラーゼで埋め、EcoRIで切断して、hTPAシグナルペプチド、HBcAg抗原配列およびbGHpA領域を含有する挿入断片を得た。これらの2つの断片を互いに連結して、pWRG7145と称される構築物を得た。
pWRG7128構築物をEcoRIで切断し、子ウシ腸ホスファターゼで脱リン酸化して、hCMVプロモーターの転写制御下でHBsAgコード領域を含有するベクター断片を得た。pWRG7145構築物をMfeIおよびEcoRIで切断して、hELFプロモーター/イントロン、hTPAシグナルペプチド配列、HBcAG抗原配列およびbGHpA領域を含む挿入断片を得た。ついでこれらの断片を互いに連結して、HBcAgおよびHBsAgコード配列を含有するpPJV7193プラスミド構築物を得た。
ついで以下のDNA-金製剤をブタDNAワクチンアジュバント試験のために作製した。
製剤#1:対照、HBcAg/HBsAgベクター(pWRG7193)単独、金1mg当たり2μg DNA、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#2:すべて単一バッチの金上に共沈したHBcAg/HBsAgベクター(pWRG7193)、CTA-KDEL(pPJV2006)およびCTB(pPJV2003)DNAベクター(金1mg当たり1.0μg pWRG7193 DNAおよび金 1mg当たりそれぞれ0.5μgのpPJV2006およびpPJV2003 DNA)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
pWRG7193プラスミドの単体またはpPJV2006およびpPJV2003アジュバントベクターとの組合せ体を、再び金 1mg当たり2μg DNAの最終濃度で前記実施例3に記載の方法に従い金粒子上に沈殿させた。前記実施例3に記載の方法を用いて、該コーティング金粒子をTEFZEL(登録商標)チューブ中にロードした。2つの実験群(それぞれ5頭の家畜ブタ)に、それぞれ製剤#1および製剤#2で2回の免疫を行い、この場合、それらの2回の免疫は6週間隔で行った。各免疫は、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置を使用する鼠径領域への2回の縦列的500p.s.i.投与よりなり、各投与には単一カートリッジを使用した。したがって、該対照群(製剤#1)においては、各免疫は、合計1mgの金および2μgのDNAワクチンベクターpWRG7193の送達よりなるものであった。同様に、該アジュバント試験群(製剤#2)においては、各免疫は、合計1mgの金、2μgのDNAワクチンベクターpWRG7193ならびにそれぞれ1μgのアジュバントベクターpPJV2006およびpPJV2003の送達よりなるものであった。該追加免疫時(第6週)および該追加免疫の2週間後(第8週)に、各動物から血液サンプルを集めた。
コア抗原に特異的な抗体応答の検出を以下のとおりに行った。ELISAプレートをPBS中100ng/mlのB型肝炎コア抗原(Biodesign)でコーティングした。4℃で一晩のコーティングの後、プレートをPBS中の5% 脱脂粉乳で室温にて1時間ブロッキングした。ついでプレートを、0.05% Tween-20を含有するPBSで3回洗浄した。ブタ血清サンプルを2% 脱脂粉乳/PBS/0.01% Tween-20中で連続希釈し、該ELISAプレートに加えた。室温で2時間のインキュベーションの後、プレートをPBS/0.05% Tween-20で3回洗浄した。二次抗体は、2% 脱脂粉乳/PBS/0.01% Tween-20中で1:2000で希釈された西洋ワサビペルオキシダーゼ(Kirkegaard and Perry)にコンジュゲートしたヤギ抗ブタIgGよりなり、該プレートに加えて室温で1時間インキュベートした。ついでプレートをPBS/0.05% Tween-20で5回洗浄し、100μlのTMB基質を加えた。発色を15分間にわたり進行させ、100μlの1N H2SO4の添加により発色を停止させた。プレートを450nmで測定した。図10および11は、4つの異なる血清希釈度におけるそれらの2つのブタ群それぞれに関する、それぞれ第6週および第8週における幾何平均吸光度値を示す。これらのデータは、CTアジュバントベクターpPJV2006およびpPJV2003の使用後のB型肝炎コア抗原に対する抗体力価の著しい増大を示している。
B型肝炎コア抗原に対する体液性応答の上昇に加えて、B型肝炎表面抗原に特異的な抗体応答の測定可能な上昇も、アジュバント試験群において観察された。表面抗原特異的抗体は、市販のアッセイキット(AUSAB, Abbott Laboratories)を使用して個々の動物からの血清サンプル中で定量した。このキットは、標準的なパネルを使用するミリ国際単位(mIU/ml)での抗体応答の定量を可能にする。対照群(製剤#1)およびアジュバント試験群(製剤#2)における幾何平均表面抗原抗体力価は、それぞれ285および662mIU/mlであり、このことは、本アジュバントプラスミド(pPJV2006およびpPJV2003)が、別のベクターにコードされる抗原に対する免疫応答を増強しうることを示している。
CTまたはLTサブユニットをコードするプラスミドベクターを使用した場合のDNAワクチンに対する細胞性Th1様免疫応答の増強
粒子媒介DNAワクチン接種におけるpPJV2002、pPJV2003、pPJV2004、pPJV2005、pPJV2006およびpPJV2007アジュバントベクターのアジュバント効果を試験するために、インフルエンザAウイルスのM2タンパク質をコードするpM2-FL DNAワクチンベクターを使用した。それらのアジュバントベクターの種々の組合せの存在下または非存在下で該M2 DNAワクチンベクターを微小金粒子上に沈殿させ、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJect Vaccines, Inc. Madison, WI)を使用して該コーティング金粒子をマウスの表皮内に加速することにより、粒子媒介DNAワクチン接種を行った。
前記のとおり、pM2-FLプラスミドを2ミクロンの金粒子上に単一ベクターまたは混合ベクター+アジュバントベクターサンプルとして沈殿させた。具体的には、プラスミドDNA(単一pM2-FLベクター、またはpM2-FLベクター+1以上のアジュバントベクター)を、スペルミジンを含有する小さな遠心チューブ中、2ミクロンの金粒子(Degussa)と混合した。沈殿は、実施例3の方法に従い行い、ついで、同様に実施例3に記載のとおりに、該コーティング金粒子をTEFZEL(登録商標)チューブの内表面上にコーティングした。ついでチューブを、粒子送達装置中へのロードに適した0.5インチのカートリッジに切断した。
以下のDNA-金製剤をマウスDNAワクチンアジュバント実験用に作製した。
製剤#1:同一バッチの金上への沈殿前にpWRG7054空プラスミドベクターと組合されたpM2-FL DNAベクター、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(0.1μg pM2-FLおよび2.0μg pWRG7054)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#2:単一バッチの金上への沈殿前にpWRG7054空プラスミドベクターCTAおよびCTB(pPJV2002およびpPJV2003)DNAベクターと組合されたpM2-FL DNAベクター、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(金 1mg当たり1.0μgの各DNAアジュバントベクター、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#3:すべて単一バッチの金上に共沈したCTA-KDELおよびCTB(pPJV2006およびpPJV2003)DNAベクターと組合されたpM2-FL DNAベクター、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(金 1mg当たり1.0μgの各DNAアジュバントベクター、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#4:すべて単一バッチの金上で組合され共沈したCTA-KDEL(pPJV2006)DNAベクターと組合されpWRG7054空プラスミドベクターで補足されたpM2-FL DNAベクター、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(1.0μg pPJV2006、1.0μg pWRG7054、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#5:CTA(pPJV2002)DNAベクターと組合されpWRG7054空プラスミドベクターで補足されたpM2-FL DNAベクター(すべてのDNAは単一バッチの金上で組合され共沈した)、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(1.0μg pPJV2002、1.0μg pWRG7054、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#6:CTB(pPJV2003)DNAベクターと組合されpWRG7054空プラスミドベクターで補足されたpM2-FL DNAベクター(すべてのDNAは単一バッチの金上で組合され共沈した)、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(1.0μg pPJV2003、1.0μg pWRG7054、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#7:単一バッチの金上への沈殿前にLTAおよびLTB(pPJV2004およびpPJV2005)DNAベクターと組合されたpM2-FL DNAベクター、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(金 1mg当たり1.0μgの各DNAアジュバントベクター、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#8:すべて単一バッチの金上に共沈したLTA-RDELおよびLTB(pPJV2007およびpPJV2005)DNAベクターと組合されたpM2-FL DNAベクター、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(金 1mg当たり1.0μgの各DNAアジュバントベクター、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#9:すべて単一バッチの金上で組合され共沈したLTA-RDEL(pPJV2007)DNAベクターと組合されpWRG7054空プラスミドベクターで補足されたpM2-FL DNAベクター、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(1.0μg pPJV2007、1.0μg pWRG7054、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#10:LTA(pPJV2004)DNAベクターと組合されpWRG7054空プラスミドベクターで補足されたpM2-FL DNAベクター(すべてのDNAは単一バッチの金上で組合され共沈した)、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(1.0μg pPJV2004、1.0μg pWRG7054、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
製剤#11:LTB(pPJV2005)DNAベクターと組合されpWRG7054空プラスミドベクターで補足されたpM2-FL DNAベクター(すべてのDNAは単一バッチの金上で組合され共沈した)、金 1mg当たり合計2.1μgのDNA(1.0μg pPJV2005、1.0μg pWRG7054、0.1μg pM2-FL)、カートリッジ当たり0.5mg 金。
ついでこれらのDNAワクチン製剤を、以下のとおりに11群のマウスに投与した。各実験群は8匹の動物を含有し、各動物はそれぞれの製剤での2回の免疫を、それらの免疫の間に4週間の休止期間を挟んで受けた。各免疫は、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJect Vaccines Inc., Madison, WI)を400p.s.i.のヘリウム圧で使用する腹部表皮への2回の縦列的送達(1回の送達当たり1カートリッジ)よりなるものであった。2回目のまたは追加免疫の2週間後に、血清サンプルを集めた。
IgG1またはIgG2aに特異的な二次抗体コンジュゲートを使用する点以外は全IgG力価の測定に関する前記実施例3のとおりのELISAアッセイを用いて、IgG1およびIgG2a両サブクラスのM2特異的抗体応答に関して、個々の血清サンプルをアッセイした。ヤギ抗マウスIgG1-ビオチンコンジュゲート抗体はSouthern Biotechnology Associates, Inc.(カタログ#1070-08, 濃度0.5mg/ml)から入手し、1/8000の希釈度で使用した。ヤギ抗マウスIgG2a-ビオチンコンジュゲート抗体は同じ入手元(カタログ#1080-08, 濃度0.5mg/ml)から入手し、1/8000の希釈度で使用した。
M2抗原特異的IgG1およびIgG2aの幾何平均抗体力価を各実験群について測定し、IgG1対IgG2aの比率を計算した。これらのデータを以下の表5に示す。
Figure 0004221289
表5に示されるように、M2 DNAワクチン製剤へのAもしくはBサブユニットのいずれかまたはAおよびBサブユニットの種々の組合せ体の添加は、それを行わないアジュバントを含まないM2 DNAワクチン(pM2-FL)(製剤#1)では惹起されたIgG1対IgG2aの比率の有意な減少を引き起こした。最大の比率減少は、LTA+LTB、およびLTA-RDEL+LTBベクター組合せ体(それぞれ製剤#7および#8)の使用から生じた。これらのどちらの製剤においても、本発明のポリヌクレオチドアジュバントの使用はM2抗原特異的IgG2a力価をIgG1より高め、この特徴はマウスにおけるTh1様免疫応答に特徴的なものである。
図12には、製剤#1、#2および#7を投与した実験群からの結果をlog IgG1対IgG2a比率としてプロットした。図12に示されるように、該CTA+CTBアジュバントベクターによりアジュバント化されたpM2-FL DNAワクチン組成物(製剤#2)は、アジュバントを伴わないpM2-FLワクチン組成物(製剤#1)と比較して、IgG1対IgG2aの比率において2桁の減少を引き起こした。また、pM2-FL DNAワクチンをLTA+LTBアジュバントベクターでアジュバント化した場合(製剤#7)には、この比率における更に2桁の減少が観察された。
CTまたはLTをコードするアジュバントベクターへのシグナルペプチドコード配列の添加
CTA、CTB、LTAおよびLTB毒素サブユニットを含有するベクター構築物(それぞれpPJV2002、pPJV2003、pPJV2004およびpPJV2005)を、tpaシグナルペプチドコード配列を除去するよう修飾し、B型肝炎表面およびコア抗原の両方をコードする二重(dual)DNAワクチンベクターを以下の実験で使用するために構築した。
該ベクターの構築/修飾に使用した標準的なPCR条件は以下のとおりであった:1.5mM MgCl2を含有する1×PCRコア(core)バッファー(Promega Corp, Madison, WI)、0.400μMの各プライマー、200μMの各dNTP(USB Inc., Cleveland, OH)、2.5μg Taqポリメラーゼ(Promega Corp., Madison, WI)、1.0ng 鋳型DNA、水で全量を100μl、および鉱油(Aldrich Chemical Inc., Milwaukee WI)重層。PTC-200サーモサイクラー(MJ Research Inc., Waltham, MA)を、以下のルーチンを実行するようプログラムした:95℃で4分間、30サイクル(95℃で1分間/55℃で1分15秒間/72℃で1分間)、72℃で10分間、4℃で維持。制限酵素(New England Biolabs, Beverly, MA)で切断する前にQIAquick(登録商標) PCR Purification Kit(Qiagen Inc., Valencia CA)を使用して、増幅産物をPCR反応から取り出した。増幅の忠実度を確認するために、クローニング後にすべてのPCR産物を配列決定した。
より詳しくは、B型肝炎表面およびコア抗原の両方をコードする二重DNAワクチンベクターを以下のとおりに構築した。一連の標準的な分子生物学的技術を用いて、該表面抗原コード配列を含有するpWRG7128構築物(実施例4)を修飾して、二重(表面/コア抗原)構築物を得た。まず、該pWRG7128構築物を、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域を除去し、それをウサギβグロビンポリアデニル化領域で置換するよう修飾した。エキソン1およびエキソン2配列と共にCMVプロモーターを含有する第1挿入断片、ならびに第2ウサギβグロビンポリアデニル化領域を含有する第2挿入断片を、該修飾pWRG7128構築物中に連結し、合成オリゴヌクレオチドをアニールさせることにより構築したアダプターを、該挿入CMVプロモーターの直上流に位置するSph1部位とPst1部位との間に挿入した。
プラスミドmpSmpCC(GlaxoSmithKline, UK)をプライマー5'-GCC GCT AGC ATG GAC ATT GAC CCT TAT AAA GA-3'(配列番号23)および5'-CCA GGA TCC TTA ACA TTG AGA TTC C-3'(配列番号24)でのPCRに付して、B型肝炎-adw2コア抗原コード配列を得た。このPCR産物をNhe1およびBamH1で切断して挿入断片を得、ついでこの断片を、下流Bgl2部位を含むよう修飾し、クローニングベクター中に挿入した。該クローニングベクターをPst1およびEcoR1で切断してコア抗原挿入断片を得、該修飾pWRG7128プラスミドをPst1およびMfe1で切断してベクター断片を得、コア抗原挿入断片をベクター断片中に連結することにより、二重表面/コア抗原プラスミド構築物を得た。
CTA、CTB、LTAおよびLTB毒素サブユニットを含有するベクター構築物(それぞれpPJV2002、pPJV2003、pPJV2004およびpPJV2005)を、制限酵素を使用して該tpaコード配列を単に切り出すことによりtpaシグナルペプチドコード配列を除去するよう修飾して、以下の構築物を得た:それぞれCTA w/o TPA、CTB w/o TPA、LTA w/o TPAおよびLTB w/o TPA。
該二重表面/コア抗原プラスミドを非関連プラスミドDNA(非アジュバント化対照の場合)または毒素サブユニットベクター構築物と組合せ、2ミクロンの金粒子上に沈殿させた。具体的には、プラスミドDNA(二重表面/コア抗原プラスミドベクター)+2つのアジュバントベクター(CTA/CTBまたはLTA/LTBの組合せを得る場合)を、スペルミジンを含有する小さな遠心チューブ中、2ミクロンの金粒子(Degussa)と混合した。沈殿は、実施例3の方法に従い行い、ついで、同様に実施例3に記載のとおりに、該コーティング金粒子をTEFZEL(登録商標)チューブの内表面上にコーティングした。ついでチューブを、粒子送達装置中へのロードに適した0.5インチのカートリッジに切断した。
このようにして、以下のDNA-金製剤をマウスDNAワクチンアジュバント実験用に作製した。
製剤#1:(「無アジュバント」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg 非関連DNAプラスミドベクター。
製剤#2:(「CT」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、0.5μg pPJV2002(CTA)DNAプラスミドベクター、0.5μg pPJV2003(CTB)DNAプラスミドベクター。
製剤#3:(「CT w/o TPA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、0.5μg CTA w/o TPA DNAプラスミドベクター、0.5μg CTB w/o TPA DNAプラスミドベクター。
製剤#4:(「CTA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg pPJV2002(CTA)DNAプラスミドベクター。
製剤#5:(「CTA w/o TPA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg CTA w/o TPA DNAプラスミドベクター。
製剤#6:(「CTB」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg pPJV2003(CTB)DNAプラスミドベクター。
製剤#7:(「CTB w/o TPA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg CTB w/o TPA DNAプラスミドベクター。
製剤#8:(「LT」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、0.5μg pPJV2004(LTA)DNAプラスミドベクター、0.5μg pPJV2005(LTB)DNAプラスミドベクター。
製剤#9:(「LT w/o TPA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、0.5μg LTA w/o TPA DNAプラスミドベクター、0.5μg LTB w/o TPA DNAプラスミドベクター。
製剤#10:(「LTA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg pPJV2004(LTA)DNAプラスミドベクター。
製剤#11:(「LTA w/o TPA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg LTA w/o TPA DNAプラスミドベクター。
製剤#12:(「LTB」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg pPJV2005(LTB)DNAプラスミドベクター。
製剤#13:(「LTB w/o TPA」)1μg 二重表面/コア抗原DNAプラスミドベクター、1μg LTB w/o TPA DNAプラスミドベクター。
第1の研究においては、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJect Vaccines Inc., Madison, WI)を使用して種々の前記DNAワクチン製剤を5群のマウスに投与した。各実験群は5匹の動物を含有し、各動物はそれぞれの製剤での2回の免疫を、それらの免疫の間に4週間の休止期間を挟んで受けた。試験した製剤は以下のとおりであった:製剤#1(無アジュバント)、製剤#2(CT)、製剤#3(CT w/o TPA)、製剤#8(LT)および製剤#9(LT w/o TPA)。2回目の免疫の2週間後にすべての動物を犠牲にし、IFN-γおよびIL-4 ELISPOTアッセイにおいて使用するために脾臓を集めた。該細胞性免疫アッセイのために、免疫動物の脾臓からの脾細胞の単個細胞浮遊液を、マウスにおける公知T細胞エピトープ(表面またはコア抗原由来)に対応するペプチドの存在下、in vitroで培養した。該ペプチドをDMSO(10mg/ml)に溶解し、培養内で10ug/mlまで希釈した。
該ELISPOTアッセイのために、Millipore Multiscreen膜濾過プレートを、無菌0.1M 炭酸バッファー(pH9.6)中の50μlの適当な抗血清(15μg/ml 抗IFN-γまたは抗IL-4抗血清, Pharmingen)で4℃にて一晩にわたりコーティングした。プレートを無菌PBSで6回洗浄し、ついで、10% ウシ胎仔血清(FBS)を含有する組織培養培地で室温にて1〜2時間にわたりブロッキングした。培地を除去し、脾臓細胞をウェル中に合計1×106細胞/ウェルで分注した。免疫動物からの1×106個未満の細胞が加えられたウェルに関しては、ナイーブ動物からの細胞を使用して合計1×106にした。細胞を、前記ペプチドの存在下、組織培養インキュベーター中で一晩インキュベートした。ついで該プレートをPBSで2回および蒸留水で1回洗浄した。この後にPBSで3回の洗浄を行った。ビオチン化抗IFN-γまたは抗IL-4モノクローナル抗体(Pharmingen)を該プレートに加え(PBS中1μg/mlの溶液50μl)、室温で2時間インキュベートした。プレートをPBSで6回洗浄し、ついで50μlのストレプトアビジンアルカリホスファターゼコンジュゲート(PBS中1:1000, Pharmingen)を加え、室温で2時間インキュベートした。該プレートをPBSで6回洗浄し、アルカリホスファターゼ発色基質(BioRad)を加え、ダークスポットが出現するまで該反応を進行させた。水で3回洗浄することにより該反応を停止させた。プレートを風乾させ、スポットを顕微鏡下で計数した。
該二重表面/コア抗原構築物にコードされるB型肝炎表面およびコア抗原(「sAg」および「cAg」)の両方に対するIFN-γおよびIL-4 ELISPOT応答を測定することにより、分泌性または非分泌性毒素サブユニットコード配列のアジュバント効果を評価し、これらの結果を、図13A〜13Dに示されているとおりに比較した。図に示されるように、分泌性(シグナル配列含有)CTおよびLTアジュバントベクター(それぞれ製剤#2および#8)は、表面およびコア抗原の両方に対するIFN-γ応答における並びに表面抗原に対するIL-4応答における有意な増加(P< 0.05)を引き起こした(図13A、13Bおよび13Cを参照されたい)。該コア抗原に対するIL-4応答に関して、LTベクター(製剤#8および#9)によるアジュバント効果の欠如は、LT毒素がCT毒素よりもTh1アジュバント性であるという観察と符合する。最も重要なことに、シグナル配列を欠くCTおよびLTベクター(それぞれ製剤#3および#9)は、特に表面およびコア抗原の両方についてのIFN-γ ELISPOTデータ(図13Aおよび13Cを参照されたい)に示されるように、より弱いアジュバント効果を示した(この場合、該シグナル配列の欠失によるアジュバント活性における統計的に有意な減少が認められた)。
最後に、アジュバント効果において分泌体(製剤#2および#8)と非分泌体(製剤#3および#9)との間で明らかに認められうる相違は、観察されたアジュバント効果が該アジュバントベクター中のCpGモチーフによるものではないことを確証するのに役立つ。なぜなら、該シグナル含有ベクターとシグナル非含有ベクターとでは、細菌DNA(CpG)含量における相違を全く示さないが、表面抗原特異的IFN-γ応答を増強するそれらの能力においては有意な相違を示すからである。
第2の研究においては、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJect Vaccines Inc., Madison, WI)を使用して前記DNAワクチン製剤を8群のマウスに投与した。各実験群は5匹の動物を含有し、各動物はそれぞれの製剤での2回の免疫を、それらの免疫の間に4週間の休止期間を挟んで受けた。試験した製剤は以下のとおりであった:製剤#1(無アジュバント)、製剤#2(CT)、製剤#4(CTA)、製剤#5(CTA w/o TPA)、製剤#6(CTB)、製剤#7(CTB w/o TPA)、製剤#8(LT)、製剤#10(LTA)、製剤#11(LTA w/o TPA)、製剤#12(LTB)および製剤#13(LTB w/o TPA)。2回目の免疫の2週間後にすべての動物を犠牲にし、前記IFN-γおよびIL-4 ELISPOTアッセイにおいて使用するために脾臓を集めた。
この第2の研究の結果(データは示していない)として、各種アジュバントプラスミド中のCpG含量に起因すると認められうるアジュバント効果が存在しないことが再び観察された。ほとんどの場合、統計的に関連のあるアジュバント効果はそれらの種々の毒素サブユニットアジュバントベクターにおいては観察されなかったが、該LTサブユニットベクター(製剤#10〜13)は、該分泌シグナル配列の存在/非存在により影響される表面抗原(sAg)に対するIFN-γおよびIL-4応答におけるアジュバント効果を示した。
ウイルスチャレンジ研究におけるCTA/CTBまたはLTA/LTBサブユニットペプチドをコードするアジュバントプラスミドベクター
単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)ウイルスチャレンジモデルにおいて防御効果を付与する本発明のアジュバントプラスミドベクターの能力を評価するために、以下の研究を行った。HSV-2抗原をコードするDNAワクチンを構築し、ついで本アジュバントプラスミドベクターの種々の組合せ体と組合せてワクチン組成物を得た。免疫後、該免疫動物をHSV-2ウイルスでチャレンジし、それらの種々のワクチン組成物の防御効果を測定した。
該DNA抗原プラスミドの構築に関しては、プラスミドを構築するために標準的なPCR技術を用いた。該ベクターの構築に使用した標準的なPCR条件は以下のとおりであった:1.5mM MgCl2を含有する1×PCRコアバッファー(Promega Corp, Madison, WI)、0.400μMの各プライマー、200μMの各dNTP(USB Inc., Cleveland, OH)、2.5μg Taqポリメラーゼ(Promega Corp., Madison, WI)、1.0ng 鋳型DNA、水で全量100μl、および鉱油(Aldrich Chemical Inc., Milwaukee WI)重層。PTC-200サーモサイクラー(MJ Research Inc., Waltham, MA)を、以下のルーチンを実行するようプログラムした:95℃で4分間、30サイクル(95℃で1分間/55℃で1分15秒間/72℃で1分間)、72℃で10分間、4℃で維持。制限酵素(New England Biolabs, Beverly, MA)で切断する前にQIAquick(登録商標) PCR Purification Kit(Qiagen Inc., Valencia CA)を使用して、増幅産物をPCR反応から取り出した。増幅の忠実度を確認するために、クローニング後にすべてのPCR産物を配列決定した。
より詳しくは、HSV-2初期ICP27抗原をコードするDNAワクチンプラスミドベクターを以下のとおりに構築した。HSVは、約150〜160kbpのゲノムを有する二本鎖DNAウイルスである。該ウイルスゲノムは、膜中に包膜される20面体ヌクレオキャプシド中にパッケージングされる。該膜(またはエンベロープ)は、少なくとも10のウイルスコード化糖タンパク質を含み、そのうちで最も豊富なのはgB、gC、gDおよびgEである。また、該ウイルスゲノムは、約5種類のICP抗原群を含む70を超える他のタンパク質をコードしている。これらの初期タンパク質はウイルス複製サイクルの初期において合成され、該ウイルスのライフサイクルの後期においてのみ産生されるエンベロープタンパク質とは対照的である。HSVの分子構造および構成の総説としては、例えば、RoizmanおよびSears(1996)“Herpes simplex viruses and their replication”, Fields Virology, 3rd ed., Fieldsら編, Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, PAを参照されたい。HSV-2 ICP27抗原は、HSV-2ゲノムから、例えば、HSV-2ゲノムのヌクレオチド約114589-134980に伸長するゲノム領域またはHSV-2ゲノムのヌクレオチド110931-139697に伸長するEcoRI断片から容易に入手することができる。HSV-2ゲノムの配列は、公開されている入手元、例えば、登録番号NC 001798でGenBankに受託されている配列から入手可能である。
本研究で使用するICP27ベクターを構築するために、該ICP27コード領域を、プライマー5'-GCC ACT CTC TTC CGA CAC-3'(配列番号25)および5'-CAA GAA CAT CAC ACG GAA C-3'(配列番号26)を使用するHSV-2ゲノムからのPCRに付して、該ICP27コード領域に対応するHSV-2のヌクレオチド配列114523-116179(GenBank)を含有するヌクレオチド断片を得た。ついでICP27断片をpTargetベクター(Promega Corp., Madison, WI)のマルチクローニング領域中にクローニングした。
CTA、CTB、LTAおよびLTB毒素サブユニットを含有するアジュバントプラスミドベクター構築物(それぞれpPJV2002、pPJV2003、pPJV2004およびpPJV2005)を組合せて、CTA/CTB(pPJV2002+pPJV2003)およびLTA/LTB(pPJV2004+pPJV2005)アジュバントを得た。該ICP27抗原プラスミドを該毒素サブユニットベクター構築物ペアと組合せ、2ミクロンの金粒子上に沈殿させた。具体的には、プラスミドDNA(ICP27抗原プラスミドベクター)+2つのアジュバントベクター(CTA/CTBまたはLTA/LTBの組合せを得る場合)を、スペルミジンを含有する小さな遠心チューブ中、2ミクロンの金粒子(Degussa)と混合した。沈殿は、実施例3の方法に従って行い、ついで、同様に実施例3に記載のとおりに、該コーティング金粒子をTEFZEL(登録商標)チューブの内表面上にコーティングした。ついでチューブを、粒子送達装置中へのロードに適した0.5インチのカートリッジに切断した。
このようにして、以下のDNA-金製剤をHSV-2チャレンジ研究用に作製した。
製剤#1:(「無アジュバント」)2μg ICP27抗原DNAプラスミドベクター。
製剤#2:(「高CT」)900ng ICP27抗原DNAプラスミドベクター、50ngのpPJV2002(CTA)、50ngのpPJV2003(CTB)。
製剤#3:(「低CT」)500ng ICP27抗原DNAプラスミドベクター、250ngのpPJV2002(CTA)、250ngのpPJV2003(CTB)。
製剤#4:(「高LT」)900ng ICP27抗原DNAプラスミドベクター、50ngのpPJV2004(LTA)、50ngのpPJV2005(LTB)。
製剤#5:(「低LT」)500ng ICP27抗原DNAプラスミドベクター、250ngのpPJV2004(LTA)、250ngのpPJV2005(LTB)。
該研究においては、PowderJect(登録商標)XR-1粒子送達装置(PowderJect Vaccines Inc., Madison, WI)を使用して前記DNAワクチン製剤を5つの異なるマウス群に投与した。各実験群は12匹の動物を含有し、各動物はそれぞれの製剤での2回の免疫(単回用量を腹部に適用)を、それらの免疫の間に4週間の休止期間を挟んで受けた。第6群のマウスを陰性(ナイーブ)対照として確立し、それはいずれのワクチン接種も受けなかった。各群からの4匹のマウスを、2回目の免疫の2週間後に犠牲にし、IFN-γ ELISPOTアッセイに使用した(データは示していない)。
第2免疫の2週間後、残りのすべてのマウス(8匹/群)を、1×106 PFUのHSV-2ウイルス株MSで、鼻腔内点滴によりチャレンジした。該チャレンジ研究の結果を示す生存グラフを図14に示す。図に示されるように、チャレンジの4日後までに該ナイーブ動物の100%が死亡した。該ナイーブ動物はグラフ上に(●)曲線で示されている。また、ICP27抗原プラスミドベクターのみ(製剤#1)を投与した動物の100%がチャレンジの7日後までに死亡した。製剤#1を投与した動物はグラフ上に(▼)曲線で示されている。これとは著しく対照的に、低用量CTでアジュバント化されたICP27プラスミド(製剤#3)を投与した動物の25%(2/8)がウイルスチャレンジから防御され、高用量CTでアジュバント化されたICP27プラスミド(製剤#2)を投与した動物の38%(3/8)がウイルスチャレンジから防御された。製剤#3を投与した動物はグラフ上に(■)曲線で示されている。製剤#2を投与した動物はグラフ上に(◆)曲線で示されている。最後に、低用量LTアジュバント化(製剤#5)および高用量LTアジュバント化(製剤#4)ICP27ワクチンは共に、免疫動物において完全(100%)な防御を与えた。製剤#5を投与した動物はグラフ上に(▲)曲線で示されている。製剤#4を投与した動物はグラフ上に(○)曲線で示されている。
このように、新規ポリヌクレオチドアジュバント分子、それらのアジュバント分子を含む組成物、および従来のおよび核酸を利用した免疫技術が記載されている。本発明の好ましい実施形態が相当詳しく記載されているが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく明らかな変更が施されうると理解される。
コレラ毒素(CT)サブユニットA(CTA)ペプチドのトランケート化コード配列を含有するプラスミドpPJV2002の制限地図および機能地図である。ここで、該プラスミドは更に、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期プロモーターおよび付随イントロンA配列、ならびにトランケート化CTA発現産物の哺乳動物細胞からの分泌を可能にするヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターのシグナルペプチドのコード配列を含有する。図1は更に、pPJV2002プラスミドの完全な核酸配列(配列番号1)を含有する。 コレラ毒素(CT)サブユニットB(CTB)ペプチドのトランケート化コード配列を含有するプラスミドpPJV2003の制限地図および機能地図である。ここで、該プラスミドは更に、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期プロモーターおよび付随イントロンA配列、ならびにトランケート化CTB発現産物の哺乳動物細胞からの分泌を可能にするヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターのシグナルペプチドのコード配列を含有する。図2は更に、pPJV2003プラスミドの完全な核酸配列(配列番号2)を含有する。 CTAペプチドのトランケート化コード配列を含有するプラスミドpPJV2006の制限地図および機能地図である。ここで、トランケート化CTAコード配列は更に、それによってコードされるサブユニットペプチド中のC末端KDELモチーフを欠失するように修飾されている。該プラスミドは更に、hCMV前初期プロモーターおよび付随イントロンA配列、ならびにトランケート化CTA発現産物の哺乳動物細胞からの分泌を可能にするヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターのシグナルペプチドのコード配列を含有する。図3は更に、pPJV2006プラスミドの完全な核酸配列(配列番号3)を含有する。 大腸菌(E. coli)易熱性エンテロトキシン(LT)サブユニットA(LTA)ペプチドのトランケート化コード配列を含有するプラスミドpPJV2004の制限地図および機能地図である。ここで、該プラスミドは更に、hCMV前初期プロモーターおよび付随イントロンA配列、ならびにトランケート化LTA発現産物の哺乳動物細胞からの分泌を可能にするヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターのシグナルペプチドのコード配列を含有する。図4は更に、pPJV2004プラスミドの完全な核酸配列(配列番号4)を含有する。 LTサブユニットB(LTB)ペプチドのトランケート化コード配列を含有するプラスミドpPJV2005の制限地図および機能地図である。ここで、該プラスミドは更に、hCMV前初期プロモーターおよび付随イントロンA配列、ならびにトランケート化LTB発現産物の哺乳動物細胞からの分泌を可能にするヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターのシグナルペプチドのコード配列を含有する。図5は更に、pPJV2005プラスミドの完全な核酸配列(配列番号5)を含有する。 LTAペプチドのトランケート化コード配列を含有するプラスミドpPJV2007の制限地図および機能地図である。ここで、トランケート化LTAコード配列は更に、それによってコードされるサブユニットペプチド中のC末端RDELモチーフを欠失するように修飾されている。該プラスミドは更に、hCMV前初期プロモーターおよび付随イントロンA配列、ならびにトランケート化LTA発現産物の哺乳動物細胞からの分泌を可能にするヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターのシグナルペプチドのコード配列を含有する。図6は更に、pPJV2007プラスミドの完全な核酸配列(配列番号6)を含有する。 実施例5で行ったELISAからの結果を示す。ヒストグラムは、図の左から右に、空pWRG7054ベクター(「Emp Vec」)を含有する製剤#1、EmpVec(pWRG7054)およびpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#2、pPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたEmpVec(pWRG7054)を含有する製剤#3、pPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#4、pPJV2006およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA-KDEL/B」)と組み合わされたpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#5、または無ワクチンおよび/またはアジュバント組成物(「ナイーブ」)を投与した動物中に存在する抗gp120抗体の逆数力価の対数を表す。 実施例5で行ったin situ ELISAからの結果を示す。ヒストグラムは、図の左から右に、空pWRG7054ベクター(「Emp Vec」)を含有する製剤#1、EmpVec(pWRG7054)およびpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#2、pPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたEmpVec(pWRG7054)を含有する製剤#3、pPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#4、またはpPJV2006およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA-KDEL/B」)と組み合わされたpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#5を投与した動物から得られた脾細胞中のgp120特異的IFN-γ産生の相対レベルを表す。 実施例5で行ったELISPOTアッセイからの結果を示す。ヒストグラムは、図の左から右に、空pWRG7054ベクター(「Emp Vec」)を含有する製剤#1、EmpVec(pWRG7054)およびpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#2、pPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたEmpVec(pWRG7054)を含有する製剤#3、pPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#4、またはpPJV2006およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA-KDEL/B」)と組み合わされたpCIA-EnvTプラスミド(「gp120」)を含有する製剤#5を投与した動物から得られたIFN-γ産生脾細胞の相対レベルを表す。 実施例6で行ったELISAからの結果を示す。この図において、幾何平均吸光度値は、HBcAg/HBsAgベクタープラスミド(pWRG7193)を含有する製剤#1、またはpPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたHBcAg/HBsAgベクタープラスミド(pWRG7193)を含有する製剤#2を投与した動物から追加免疫時(実験の6週目)に採取した血清サンプル(4つの異なる希釈度におけるもの)中に存在する抗HBcAg抗体の力価を表す。 実施例6で行ったELISAからの結果を示す。この図において、幾何平均吸光度値は、HBcAg/HBsAgベクタープラスミド(pWRG7193)を含有する製剤#1、またはpPJV2002およびpPJV2003アジュバントベクター(「CTA/B」)と組み合わされたHBcAg/HBsAgベクタープラスミド(pWRG7193)を含有する製剤#2を投与した動物から追加免疫の2週間後(実験の8週目)に採取した血清サンプル(4つの異なる希釈度におけるもの)中に存在する抗HBcAg抗体の力価を表す。 実施例7で行ったELISAからの結果を示す。ヒストグラムは、図の左から右に、空ベクタープラスミド対照(pWRG7054)と組み合わされたpM2-FLプラスミド(「M2」)を含有する製剤#1、pPJV2002およびpPJV2003 CTA/Bアジュバントベクター(「M2+CT」)と組み合わされたpM2-FLプラスミドを含有する製剤#2、またはpPJV2004およびpPJV2005 LTA/Bアジュバントベクター(「M2+LT」)と組み合わされたpM2-FLプラスミドを含有する製剤#7を投与した各免疫群からのIgG1::IgG2a比の対数を表す。 図13A〜13Dは、実施例8の第1研究におけるB型肝炎ウイルス表面およびコア抗原に対する免疫応答を評価するために用いたIFN-γおよびIL4 ELISPOTアッセイからの結果を示す。ヒストグラムは、種々の実験群からの脾臓細胞1×105個当たりのスポットの数を表す。 実施例9で行ったHSV-2ウイルスチャレンジ研究からの生存結果を示す。
配列表
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Claims (31)

  1. 被験者において対象の抗原に対する免疫応答を増強するための薬剤であって、(i)第1核酸配列;(ii)第2核酸配列;および(iii)タングステン、金、白金およびイリジウムコア担体粒子からなる群から選択されるコア担体粒子を含むアジュバント組成物を含んでなり、この場合:
    (a) 該第1核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Aサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (b) 該第2核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Bサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (c) 該第1および第2核酸配列は、同じ又は異なるコア担体粒子上にコーティングされ、哺乳動物細胞中で活性なプロモーターに機能しうる形で連結され、または機能しうる形でそれぞれ連結され;かつ
    該トランケート化サブユニットコード領域のそれぞれは哺乳動物細胞からの分泌のためのリーダー配列に機能しうる形で連結されるサブユニットをコードしていることを特徴とする前記薬剤。
  2. (a) 前記組成物が粒子媒介送達技術を用いて被験者に投与されるものであり、かつ/または
    (b) 被験者がヒトである、
    請求項1記載の薬剤。
  3. トランケート化サブユニットコード領域が同じ細菌ADPリボシル化外毒素に由来する、請求項1または2に記載の薬剤。
  4. 細菌ADPリボシル化外毒素サブユニットの1つまたは両方が大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)サブユニットである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤。
  5. 細菌ADPリボシル化外毒素サブユニットの両方が大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)サブユニットである、請求項4に記載の薬剤。
  6. 細菌ADPリボシル化外毒素サブユニットの1つまたは両方がコレラ毒素(CT)サブユニットである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤。
  7. 細菌ADPリボシル化外毒素サブユニットの両方がコレラ毒素(CT)サブユニットである、請求項6に記載の薬剤。
  8. トランケート化サブユニットコード領域の少なくとも1つが、それによってコードされるサブユニットペプチドを解毒するよう遺伝的に修飾されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬剤。
  9. トランケート化Aサブユニットコード領域が、それによってコードされるサブユニットペプチドにおけるADPリボシルトランスフェラーゼ活性を破壊または不活性化するように遺伝的に修飾されている、請求項8記載の薬剤。
  10. コードされるサブユニットが両方とも解毒されていない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬剤。
  11. トランケート化Aサブユニットコード領域が更に、それによってコードされるサブユニットペプチド中のC末端KDELまたはRDELモチーフを欠失するよう遺伝的に修飾されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬剤。
  12. 第1および第2核酸配列が単一の核酸構築物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬剤。
  13. 第1および第2核酸配列が別々の核酸構築物中に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬剤。
  14. 前記の別々の核酸構築物がプラスミドベクターである、請求項13記載の薬剤。
  15. 前記コア担体粒子が、0.1〜10μmの平均径を有し、かつ/または金属を含有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の薬剤。
  16. 前記金属が金である、請求項15記載の薬剤。
  17. 対象となる抗原および/もしくは対象となる抗原をコードする第3の核酸配列を更に含み、該抗原もしくは第3の核酸を投与すべき被験者に投与することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の薬剤。
  18. 前記抗原が細菌病原体、ウイルス病原体、寄生体病原体、アレルゲンまたは腫瘍特異的抗原に由来するものである、請求項17記載の薬剤。
  19. 前記抗原がインフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、肝炎ウイルスまたはパピローマウイルスに由来するものである、請求項18記載の薬剤。
  20. 第3核酸配列が、第1核酸配列も第2核酸配列も含有しない核酸構築物中に存在する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の薬剤。
  21. 第3核酸配列が、第1または第2核酸配列の少なくとも1つを含有する核酸構築物中に存在する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の薬剤。
  22. 第3核酸配列を含有する核酸構築物がプラスミドベクターである、請求項20または21記載の薬剤。
  23. 前記の対象抗原および薬剤を被験者の同一部位に投与する、かつ/または同時に投与する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の薬剤。
  24. 製薬上許容されるビヒクルまたは賦形剤を更に含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の薬剤。
  25. (i)第1核酸配列;(ii)第2核酸配列;および(iii)タングステン、金、白金およびイリジウムコア担体粒子からなる群から選択されるコア担体粒子を含む粒子状ワクチン組成物がロードされた粒子送達装置であって、この場合:
    (a) 該第1核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Aサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (b) 該第2核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Bサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (c) 該第1および第2核酸配列は、同じ又は異なるコア担体粒子上にコーティングされ、哺乳動物細胞中で活性なプロモーターに機能しうる形で連結され、または機能しうる形でそれぞれ連結され;かつ
    該トランケート化サブユニットコード領域のそれぞれは哺乳動物細胞からの分泌のためのリーダー配列に機能しうる形で連結されるサブユニットをコードしていることを特徴とする前記装置。
  26. 第1および第2核酸が請求項1〜14のいずれか1項に記載されたものである、請求項25記載の粒子送達装置。
  27. ワクチン組成物が、抗原または抗原をコードする第3の核酸を含有するものであり、この場合、抗原または第3の核酸が請求項17〜22のいずれか1項に記載したものである、請求項26記載の粒子送達装置。
  28. 粒子送達装置における使用に適した密閉された単回投薬または複数回投薬容器であって、該容器は(i)第1核酸配列;(ii)第2核酸配列;および(iii)タングステン、金、白金およびイリジウムコア担体粒子からなる群から選択されるコア担体粒子を含む粒子状ワクチン組成物収容されており、この場合:
    (a) 該第1核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Aサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (b) 該第2核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Bサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (c) 該第1および第2核酸配列は、同じ又は異なるコア担体粒子上にコーティングされ、哺乳動物細胞中で活性なプロモーターに機能しうる形で連結され、または機能しうる形でそれぞれ連結され;かつ
    該トランケート化サブユニットコード領域のそれぞれは哺乳動物細胞からの分泌のためのリーダー配列に機能しうる形で連結されるサブユニットをコードしていることを特徴とする前記容器。
  29. (i)第1核酸配列;(ii)第2核酸配列;および(iii)タングステン、金、白金およびイリジウムコア担体粒子からなる群から選択されるコア担体粒子を含んでなる組成物であって、この場合:
    (a) 該第1核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Aサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (b) 該第2核酸配列は、5’トランケート化細菌ADPリボシル化外毒素Bサブユニットをコードし、このトランケーションは該サブユニットがアミノ末端のシグナルペプチドを有さないことを意味し;
    (c) 該第1および第2核酸配列は、同じ又は異なるコア担体粒子上にコーティングされ、哺乳動物細胞中で活性なプロモーターに機能しうる形で連結され、または機能しうる形でそれぞれ連結され;かつ
    該トランケート化サブユニットコード領域のそれぞれは哺乳動物細胞からの分泌のためのリーダー配列に機能しうる形で連結されるサブユニットをコードしていることを特徴とする前記組成物。
  30. 第1および第2核酸構築物が請求項1〜14のいずれか1項に記載されたものである、請求項29記載の組成物。
  31. ワクチン組成物が、抗原または抗原をコードする第3の核酸を含有するものであり、この場合、抗原または第3の核酸が請求項17〜22のいずれか1項に記載されたものである、請求項30記載の組成物。
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