JP4221279B2 - 樹脂発泡体の製造方法および該発泡体を用いた紙葉類重送防止部材 - Google Patents

樹脂発泡体の製造方法および該発泡体を用いた紙葉類重送防止部材 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂発泡体の製造方法および該製造方法により得られる樹脂発泡体を用いた紙葉類重送防止部材に関し、詳しくは気泡径を小さくして発泡体の耐摩耗性を向上させることができる押出ガス発泡による樹脂発泡体の製造方法に関する。
従来、インクジェットプリンター、レーザープリンター、静電複写機、普通紙ファクシミリ装置、自動預金支払機(ATM)等における紙送り機構では紙葉類重送防止部材が用いられており、例えばトレイの上面に取り付けられ給紙ローラとの間に紙を挟んで搬送する分離シート等がその代表例である。
上記分離シート等の紙葉類重送防止部材においては摩擦係数が高いことが要求されているが、従来は紙葉類重送防止部材に加わる負荷が低かったため紙との接触で発生する摩耗量も比較的少なかった。よって、紙葉類重送防止部材に対して耐摩耗性はさほど要求されていなかった。
近年、低コスト化に向けて部品点数を少なくする傾向にあり、紙送り機構もより簡単にするため一枚紙送り毎に給紙ローラが空転する機構としたものもある。この場合、紙葉類重送防止部材に加わる負荷は空転する給紙ローラとの接触で大きくなることから、紙葉類重送防止部材にも高強度で耐摩耗性を有することが要求されてきている。
従来、上記紙葉類重送防止部材はウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のゴム材料より形成されている。これらのゴム材料からなる紙葉類重送防止部材は摩擦係数が高く耐摩耗性に優れているが、それでも上記したような一枚紙送り毎に給紙ローラを空転させる場合には紙葉類重送防止部材に加わる荷重に対して耐摩耗性が十分とはいえない。そのうえ、これらのゴム部材からなる紙葉類重送防止部材では通紙時に紙と紙葉類重送防止部材との接触により「鳴き」と呼ばれる不快な振動音を発生しやすいという不都合がある。
上記「鳴き」の問題に対してゴム化学発泡剤を配合し加硫させた発泡ゴム体の紙葉類重送防止部材が提供されている。発泡ゴム体内の空隙で振動を吸収することにより「鳴き」の発生を抑えることができる。しかしながら、加硫工程が必要であるためコスト高になり、かつ化学発泡剤を用いるために環境上の配慮が必要となる。
かかる問題を解決するために、熱可塑性樹脂に高圧ガスを注入してガス発泡させるという物理的方法で発泡体を製造する方法が特開2003−127201号(特許文献1)で提供されている。この特許文献1に記載の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法では、熱可塑性エラストマーに不活性ガスまたは水または化学発泡剤を混入し、ダイス(口金)手前の圧力を10MPa以上に保持して押出しこれらを気泡化させることによって、表面の凹凸を10μm以下とした熱可塑性エラストマーの発泡体を製造している。
上記特許文献1に記載されているダイスの出口部の形状はダイス手前の圧力を10MPa以上に保持するために図4(A)(B)に示す形状とされている。図4(A)に示すように出口先端1に至る部分1aは出口面に対して垂直な直線状となっており断面積に変化がないため、圧力が急激に落とされず圧力勾配が穏やかになる。その結果、気泡が大きくなり連続気泡が発生しやすく、ひいては製造される発泡体の強度が低下するという問題がある。また、図4(B)に示す構造では側面が一部カットされた円柱2を設け、該円柱2を回転させて断面積を小さくしているが、この部分で詰まりが発生しやすい問題がある。
そこで、本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、前記特許文献1に開示した製造方法を改良して、発泡体の気泡径をコントロールし、該気泡により生じる空隙で振動音の発生を効果的に抑制できる樹脂発泡体の製造方法を開発した(特許文献2および3)。
特開2003−127201号公報 特願2003−164315号 特願2003−314962号
本発明は、発泡体の気泡径をより小さく制御して発泡体の強度および耐摩耗性を向上させるとともに「鳴き」の原因である振動を気泡の空隙で吸収することにより振動の発生を効果的に抑制でき、さらに押出時における熱可塑性樹脂のドローダウンおよび樹脂詰まりが実質的にみられない樹脂発泡体の製造方法および該製造方法により製造される樹脂発泡体から形成される紙葉類重送防止部材を提供することを課題としている。
上記問題を解決するため、本発明は、溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)が0.1未満である熱可塑性樹脂の混練物に電子線を照射して、溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)を0.1以上1未満で、かつ、上記電子線照射後の熱可塑性樹脂混練物の溶融温度+20℃における溶融粘度が1400Pa・s以上2500Pa・s以下に調整し、
得られた上記熱可塑性樹脂の混練物を押出機に投入して押し出し、該押出工程の途中で6MPa以上10MPa以下の炭酸ガスを注入して上記熱可塑性樹脂の混練物に溶解し、
上記押出機の炭酸ガス注入部位の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−5℃以上+40℃以下とし、
押出機先端にヘッドを介して付設する口金は出口開口に向かって縮径させたテーパ状出口とし、該ヘッドおよび口金の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−25℃以上+15℃以下とし、
上記口金の出口開口手前で樹脂圧を急激に上昇させて、上記出口から押し出される際に生じる急激な圧力低下により上記熱可塑性樹脂の混練物中に分散・溶解された炭酸ガスが気泡を発生させることを特徴とする樹脂発泡体の製造方法を提供している。
本発明者らは特許文献2および3に記載の方法に基づき、上記課題を解決できる新たな樹脂発泡体の製造方法を検討した。
特に、本発明者らは出発物である熱可塑性樹脂に着目し、押出時のドローダウンがなく押出発泡に適した溶融粘度を有する熱可塑性樹脂の開発を試みた。押出時のドローダウンを防ぐためには、押出機ダイ出口から押し出されても溶融粘度が低下しないことが必要である。さらに、気泡径の小さな樹脂発泡体を得るためには押出発泡に適した溶融粘度を有し押出機ダイ出口の樹脂圧が適切な値になっている必要がある。
これら2つの要件を満たす熱可塑性樹脂としては、溶融温度が200℃を超える熱可塑性樹脂が代表的である。しかし、かかる熱可塑性樹脂については成形温度が溶融温度+40℃付近であるのに対し熱可塑性樹脂の分解温度が溶融温度+45℃付近と両者は極めて近く、発泡体の生産時に熱可塑性樹脂の分解温度に達しないよう厳密な温度管理が要求される。よって、出発物である熱可塑性樹脂には、溶融温度が低く、溶融温度と分解温度との差が大きいという要件も満たすことが好ましい。しかし、溶融温度の低い熱可塑性樹脂は溶融温度の温度依存性が大きく、特に溶融温度付近で急激に溶融粘度が変化するため押出加工には適していなかった。
本発明者らは、これら矛盾する3つの要件を満たすため鋭意検討したところ、溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)が0.1未満である溶融温度の温度依存性が比較的大きい熱可塑性樹脂の混練物に電子線を照射することにより分子鎖の架橋を誘発させ、溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)を0.1以上1未満という押出発泡に適した溶融粘度を有する熱可塑性樹脂を調整することに成功した。
かかる熱可塑性樹脂を用いて、押出機の温度、炭酸ガスの圧力および滞留時間等を上記範囲に設定して押出発泡することにより、気泡径が小さくかつ気泡が均一に存在する樹脂発泡体を得ることができる。すなわち、押出機の炭酸ガス注入部位の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−5℃程度以上+40℃程度以下とすることにより樹脂を確実に可塑化させることができる。また、押出機先端に付設するヘッドおよび口金の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−25℃程度以上+15℃程度以下とすることにより炭酸ガスが溶解した樹脂の圧力を高めることができる。さらに、炭酸ガスの圧力を約6MPa以上約10MPa以下とし、かつ樹脂混練物の滞留時間を約3分以上約6分以下とすることにより、炭酸ガスが樹脂混練物に均一に溶解・分散される。押出機の口金を所定の角度を有するテーパ形状とすることにより、出口開口手前で樹脂圧を急激に高めることができる。このように炭酸ガスを樹脂混練物に均一に溶解・分散させ、押出機の出口開口手前で樹脂圧を急激に上昇させた後に出口開口より押し出すと押し出された瞬間に圧力が開放され出口部分で急激な圧力低下が生じるため、上記熱可塑性樹脂の混練物中に混入している炭酸ガスがセル径の小さい気泡を均一に発生させ、強度および耐摩耗性に優れた樹脂発泡体を得ることができる。
上記したように、本発明で用いる熱可塑性樹脂は溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)が約0.1未満としている。このように溶融粘度の温度依存性が比較的大きい熱可塑性樹脂は、溶融温度が低いことが多く、溶融温度と分解温度との差が大きいため、成形温度幅が広く、生産時の温度管理が容易であり、大量生産に適しているという利点がある。なお、溶融粘度の測定はせん断速度102sec−1の条件下に行う。下記する溶融粘度についても同一の条件で測定する。
上記特定範囲内の溶融粘度を有する熱可塑性樹脂の混練物に電子線照射を行い、溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)を約0.1以上約1未満に調整する。
電子線照射を行うと高速の電子線が物質内を通過するときに分子の励起やイオン化などを生じさせ化学反応を引き起こす結果、溶融粘度を変化させることができる。粘度調整方法としては、化学架橋剤の使用、Co60などのγ線照射による架橋、可塑剤の使用、プラスチックのブレンドなどが知られている。
本発明においては熱可塑性樹脂の溶融粘度調整のためにこれらの方法を電子線照射と併用して使用することもできるが、電子線照射を単独で用いる方が工程の簡素化または環境への配慮等の点から好ましい。
電子線照射の条件は前記B/Aを約0.1以上約1未満にすることができれば特に限定されない。具体的には線量100kGyの電子線を加速電圧約300kV以上約800kV以下、より好ましくは約400kV以上約600kV以下で照射することが好ましい。電子線照射による架橋の誘発を促進し、溶融温度付近での粘度変化を極力抑え、成形加工性を向上させるためには、加速電圧は約300kV以上であることが好ましい。一方、溶融粘度が高くなりすぎたり、分子鎖の切断が起こり分子量が低下し物性が悪化してしまったりするおそれがあるので、加速電圧は約800kV以下であることが好ましい
上記したように、電子線照射後の熱可塑性樹脂においては、溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)が約0.1以上、好ましくは約0.3以上で、限りなく1に近づくことが好ましい。溶融粘度の温度依存性が大きい場合、溶融温度より高い温度に加熱されると溶融粘度が低下し気泡が巨大化し破泡しやすくなる一方で、温度を低下させると急激な粘度変化が生じるため、口金出口部分の温度変化および押出直後の温度変化で粘度硬化が急速に進み、出口開口で詰まりが発生しやすいとともに均一な発泡を実現しにくい。しかしながら温度依存性を表すB/Aが約0.1以上と低い場合には、口金出口部分および押出直後に温度が低下しても急速に硬化せず、ゆっくりと硬化が進むため、均一な気泡発生が促進される。このことから溶融粘度の温度依存性を表す前記B/Aが約0.1以上であることが望ましく、B/Aは1に限りなく近い、すなわち温度依存性が限りなく小さいことがより望ましい。なお、B/Aの上限を1未満としているのは1以上となる熱可塑性樹脂は存在しないことによる。
また、電子線照射後の溶融温度+20℃における溶融粘度を約1400Pa・s以上約2500Pa・s以下としている。なお、約1500Pa・s以上約2000Pa・s以下であることがより好ましい。
これは、押出加工の際のダイ出口でのドローダウンを防ぎ、成形加工性を向上させるためには溶融温度+20℃における溶融粘度が約1400Pa・s以上であることが好ましいことによる。一方、押出加工の際にダイ出口において高粘度が原因の樹脂詰まりを防ぎ、成形加工性を向上させるためには、溶融温度+20℃における溶融粘度が約2500Pa・s以下であることが好ましい。
なお、溶融温度+20℃における溶融粘度を基準としたのは、上述したようにヘッドおよび口金の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−25℃程度以上+15℃程度以下とした場合、押出機シリンダ内での実際の樹脂温度は溶融温度+20℃程度になっており、この温度における溶融粘度がダイ出口での樹脂詰まりおよびドローダウンを防ぐ鍵となるからである。
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては上述してきた条件を満たすことができれば特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでも、本発明で用いる熱可塑性樹脂は熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては例えばオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系重合体−ポリウレタン熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系重合体−アクリロニトリル−ブタジエンゴム熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができ、前記熱可塑性エラストマーと組み合わせても良い。本発明においてはなかでもエステル系熱可塑性エラストマーを用いることが特に好ましい。エステル系熱可塑性エラストマーは比較的溶融粘度の依存性が低くかつ安価に入手できると共に、押出ガス発泡した状態で弾性ゴムと同様な物性を付与することができる。特に耐熱性と物理的強度のバランスが良いものが好適に用いられる。エステル系熱可塑性エラストマーはハードセグメント成分(ポリエステル)とソフトセグメント成分(ポリエーテル)の比率やハードセグメント成分の種類、分子量の大きさ等によって種々のグレードがあるが、溶融温度があまり低くなく低硬度のエステル系熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。具体的には、溶融温度が160℃であり、170℃(溶融温度+10℃)の溶融粘度Aが3700Pa・s、220℃(溶融温度+60℃)の溶融粘度Bが260Pa・sで、B/Aが0.07のエステル系熱可塑性エラストマーが最も好適に用いられる。
本発明では、得られた熱可塑性樹脂の混練物を押出機に投入し、該押出工程の途中で炭酸ガスを注入する。押出機の口金の出口開口手前で樹脂圧を急激に上昇させ、前記出口より押し出される際に生じる急激な圧力低下で上記樹脂混練物中に分散・溶解された炭酸ガスが気泡を発生させる。この工程における各種条件について下記に詳述する。
炭酸ガスの注入部位における押出機の温度は上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−5℃程度以上+40℃程度以下、好ましくは溶融温度の+15℃程度以上+35℃程度とする。熱可塑性樹脂が溶融せず粘度が非常に高くなり、混練する際に押出機に大きな負荷がかかり押出機が停止してしまうおそれがあるため、炭酸ガスの注入部位における押出機の温度は溶融温度−5℃程度以上であることが好ましい。樹脂混練物の押出中に樹脂が分解してしまうおそれがあるため、炭酸ガスの注入部位における押出機の温度は溶融温度+40℃程度以下であることが好ましい。
上記樹脂混練物に注入する炭酸ガスの圧力は約6MPa以上約10MPa以下、好ましくは約8MPa以上約10MPa以下とする。樹脂の混練物への炭酸ガスの溶解量を増加させ発泡倍率を向上させるためには炭酸ガスの圧力は約6MPa以上であることが好ましい。一方、炭酸ガスの溶解量が樹脂への飽和溶解量を超えてしまい溶解されないガスが押出機出口で爆発するように放出するのを防ぐため、炭酸ガスの圧力は約10MPa以下であることが好ましい。
樹脂混練物に注入する炭酸ガス流量は約50g/h以上約200g/h以下が好ましい。発泡体が「鳴き」の原因となる振動を十分に吸収できる程度に気泡を発生させるためには、炭酸ガス流量が約50g/h以上であることが好ましい。一方、炭酸ガスをすべて溶解させて未溶解ガスが発生しないようにし気泡の均一な発泡体を得るためには炭酸ガス流量が約200g/h以下であることが好ましい。
押出機内での熱可塑性樹脂混練物の滞留時間を約3分以上約6分以下としている。滞留時間とは、押出機のシリンダへ熱可塑性樹脂の混練物を注入した時点から熱可塑性樹脂の混練物が押出機出口から押し出される時点までの時間をいう。注入した炭酸ガスを樹脂混練物に完全に溶融させることにより、未溶解ガスが大きな気泡を樹脂内に形成するのを防ぎ、気泡の均一な発泡体を得るためには滞留時間を約3分以上とするのが好ましい。熱可塑性樹脂の混練物の熱劣化が進行し発泡状態が悪くなるのを防ぐため、滞留時間を約6分以下とするのが好ましい。
熱可塑性樹脂混練物の滞留時間は、押出機の種々の条件を制御することにより調整することができる。例えば押出機がシリンダ内にスクリューを内蔵したスクリュー式押出機である場合、樹脂混練物の滞留時間を上記範囲内とするためには押出機のスクリュー回転数を約20rpm以上約40rpmとすることが好ましい。シリンダ径がφ30で、樹脂混練物のシリンダへの投入量が50g/分の場合、スクリュー回転数が20rpmのときは上記滞留時間が6分に、スクリュー回転数が40rpmのときは上記滞留時間が3分となるという実験結果に基づく値である。
押出機の先端側にヘッドを介して付設する口金は出口開口に向かって縮径させたテーパ状出口とし、該テーパ状出口のテーパ角度θを出口部分の中心軸線に対して約5°≦θ≦20°程度、好ましくは約8°≦θ≦15°程度とし、出口開口先端を最小面積としている。口金の出口開口付近で樹脂圧を急激に上昇させるためにはテーパ角度θが約5°以上であることが好ましい。このように樹脂圧を急激に上昇させることにより熱可塑性樹脂の混練物が口金出口より押し出された時点で急激な圧力低下が生じ樹脂混練物中に溶解した炭酸ガスが気泡を均一に発生させることができる。一方、樹脂圧の上昇が急激すぎて押出機に過負荷がかかるのを避けるためテーパ角度θは約20°以下であることが好ましい。
また、上記テーパ状出口の先端開口は厚さ(縦寸法)Tに対する幅(横寸法)W(W/T)を約30以下とするのが好ましく、約7以下とするのがより好ましい。幅が小さく非常に細長い開口となると口金出口で樹脂が詰まり易くなるためである。同じ理由から、前記W/Tは約1/30以下とするのが好ましく、約1/7以下とするのがより好ましい。
さらに、テーパ状出口の先端開口の断面積は約11mm2以下とするのが好ましい。押出圧力を高くしたときに出口からガスが抜けないようにし、また炭酸ガスから生じる気泡が大きくなったり連泡したりするのを避けるためである。一方、押出時の樹脂詰まりを防ぐためには、前記断面積は約6mm2以上とするのが好ましい。
本発明においては、押出機先端に付設するヘッドおよび口金の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−25℃程度以上+15℃程度以下、好ましくは溶融温度の−25℃程度以上−5℃程度以下としている。熱可塑性樹脂の固化が始まり押出機出口で樹脂が詰まってしまうのを防ぐため、ヘッドおよび口金の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−25℃程度以上とするのが好ましい。押出機先端付近において熱可塑性樹脂の混練物の粘度を保ち、押出機出口で溶解させた炭酸ガスを発泡させるのに適した樹脂圧とするため、ヘッドおよび口金の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の+15℃程度以下とするのが好ましい。
押出機の口金の出口開口における樹脂圧は約5〜10MPaとするのが好ましく、約7〜10MPaとするのがより好ましい。当該範囲とすることにより押出機から樹脂混練物が押し出される直前で急激に樹脂圧が上昇し、押し出される際に急激な圧力低下が生じるので、樹脂混練物に溶かし込んだ炭酸ガスが気泡化し良好な発泡体が得られる。具体的には、押出機の口金の出口開口手前における樹脂圧が当該樹脂の可塑時における樹脂圧に対して約240%〜330%程度となることが好ましい。
本発明においては、熱可塑性樹脂に化学発泡剤を配合せずに押出ガス発泡だけで発泡体とするのが好ましい。さらに高圧ガスとして炭酸ガスを用いることがとくに好ましい。このように環境に好ましくない化学発泡剤を配合せずに炭酸ガスを注入して押出ガス発泡だけで発泡体とすることにより、リサイクルする際に気泡としての炭酸ガス以外のものが含まれていないため環境に配慮した製品となる。さらには化学発泡剤を使用しないことから製造コストの低減を図ることができる。
本発明においては、押出ガス発泡で発生させる気泡を平均セル径約200μm以下で、かつ発泡倍率を約3倍以上とするのが好ましい。
気泡同士の壁が成長段階で破壊して2以上の気泡が結合し、1つの大きな空隙となる連続気泡(連泡)を避けるため、樹脂発泡体の気泡の平均セル径は約200μm以下であることが好ましい。好ましくは約100μm以下である。このように気泡の平均セル径を約200μm以下と小さくし該気泡を均一に分散させると、発泡体の強度および耐摩耗性を向上させることができる。なお、気泡の平均セル径は製造上の観点から約50μm以上であることが好ましい。
また、気泡密度を保ち発泡体として機能させるためには発泡倍率を約3倍以上であることが好ましい。発泡倍率は好ましくは約3.3倍以上、より好ましくは4倍以上である。なお、セル径が大きくなり強度が低下するのを防ぐためには発泡倍率は約20以下が好ましい。
以上のような方法で製造される本発明の樹脂発泡体は、高い摩擦係数、優れた強度または耐摩耗性等が必要とされる用途に特に制限なく好適に用いることができる。なかでも、本発明の樹脂発泡体は紙葉類重送防止部材に用いることが好ましい。紙葉類重送防止部材としては例えば分離シート、分離パッドまたは分離ローラ等が挙げられる。本発明の紙葉類重送防止部材は装置内での設置位置などに応じて公知の形状をとることができる。その他、インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、自動預金支払機(ATM)等における給紙ローラなどに使用することもできる。
本発明においては溶融粘度の温度依存性が高い熱可塑性樹脂の混練物に電子線を照射することにより分子鎖の架橋を誘発させ溶融粘度の温度依存性が低く押出発泡に適した溶融粘度を有する熱可塑性樹脂を調整することができる。そして、かかる熱可塑性樹脂の混練物に炭酸ガスを注入し、炭酸ガスを注入する箇所の温度、炭酸ガスの圧力、押出機先端に付設するヘッドおよび口金の温度、樹脂混練物の滞留時間を制御して、所定のテーパ形状を有する口金から押し出すことにより、均一でセル径の小さい気泡を有する樹脂発泡体を製造することができる。本発明において化学発泡剤を配合せずに押出ガス発泡だけで発泡体とすれば、環境にもやさしく製造コストの低減も図ることができる。
本発明にかかる方法により得られる樹脂発泡体は、ゴム発泡体と比較して強度および耐摩耗性に優れている。そのため、本発明の樹脂発泡体を紙葉類重送防止部材に応用した場合は、紙送りローラの空転時に発生する摩耗量が少なく耐久性を備えた製品が得られる。さらに、本発明の樹脂発泡体で形成される紙葉類重送防止部材は気泡の空隙部に振動音を吸収できるため、従来の紙葉類重送防止部材において問題となっている「鳴き」を低減あるいは防止することができる。
以下、本発明にかかる樹脂発泡体の製造方法の実施形態について説明する。
出発物質として、溶融温度が160℃であり、170℃(溶融温度+10℃)の溶融粘度Aが3700Pa・s、220℃(溶融温度+60℃)の溶融粘度Bが260Pa・sで、B/Aが0.07のエステル系熱可塑性エラストマー(以下「TPEE−0」という)を用いる。かかるTPEE−0に線量100kGyの電子線を加速電圧300V〜800Vで照射する。
電子線照射後のエステル系熱可塑性エラストマーにおける温度と溶融粘度との関係を図1に示した。図1では、TPEE−0に線量100kGyの電子線を加速電圧300V、400V、600Vおよび800Vそれぞれの条件で照射して得られるエステル系熱可塑性エラストマーをそれぞれ「TPEE−300」、「TPEE−400」、「TPEE−600」、「TPEE−800」と称している。図1から明らかなように、電子線を照射することにより溶融粘度の温度依存性が低くなる。具体的には、電子線照射により溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)を0.1以上1未満に調整する。
得られたエステル系熱可塑性エラストマーを図2に示す押出装置で押出ガス発泡させている。
以下、図2に示す押出装置について詳述する。なお、本実施形態では単軸押出機を用いているがこれに限定されず2軸押出機を用いてもよい。
押出装置として水平方向に配置するシリンダ(本実施形態ではφ30)内にスクリューを内蔵させたスクリュー式の単軸押出機10を用いている。
上記単軸押出機10はシリンダの一端にホッパー11を備え、他端にヘッド21を介して口金12を付設している。上記ホッパー11より押出機10の搬送空間10a内に原料(上記エステル系熱可塑性エラストマー)が投入される。搬送空間10a内にはスクリュー(図示せず)が装着され、該スクリューの回転で投入された原料は出口10b側へと混練しながら押し出される。上記搬送空間10aの搬送路の中間位置に炭酸ガス注入口10cを設け、炭酸ガス安定供給装置20より所要温度に加熱した炭酸ガスを混練中に注入する。また、押出機10のシリンダ(C1〜C7)、ヘッド21、口金12からなる搬送空間に沿って9個の温調ヒータ30を取り付け、各部をそれぞれ所要温度に加熱している。
上記炭酸ガス注入口10cの位置はシリンダの中間位置としている。樹脂が十分に混練された状態で炭酸ガスが樹脂混練物に供給され、かつ注入後に樹脂混練物中でガスが分散するとともに口金12の出口から押し出されるまでの間で樹脂混練物の全体に渡りガスを十分に溶解・分散させることができるからである。なかでも、炭酸ガス注入口10cの位置は、炭酸ガスの溶融時間をできるだけ長くするために、樹脂混練物の可塑化が可能な最短の長さの位置(図2ではC4)とすることがより好ましい。
樹脂の押出ガス発泡では、ヘッド21および口金12の温度が低いほど気泡のセル径は小さく発泡倍率も高くなることを本発明者らは実験の繰り返しで知見している。さらに、一般に樹脂温度が高ければ炭酸ガスの溶解度は低下する一方で、炭酸ガスの樹脂への拡散係数は温度上昇に応じて増加する。これらの点を考慮して上記9個のヒータ30により各部をそれぞれ温度調節している。そのうえ、押出搬送距離とスクリュー回転速度を調整し樹脂混練物の押出機内での滞留時間を制御することで、押出機10の搬送空間10a内で樹脂に供給した炭酸ガスが十分に拡散され、樹脂混練物中に溶解させることができる。具体的には、図2におけるC4の温度を200℃(融解温度+40℃)、ヘッド21・口金12の温度を140℃(融解温度−20℃)とし、シリンダ投入時から口金出口で押し出されるまでの樹脂混練物の滞留時間を3〜6分としている。
口金12の出口構造は図3(A)に示すように出口部分のランド部12aから出口開口12bに向けて先細りするテーパ状出口12cを設け、出口開口12bを最小面積としている。上記テーパ状出口12cの内周面の角度θは出口の中心軸線に対して約5°≦θ≦20°程度の範囲とし、本実施形態では20°としている。また、最小面積となる出口開口12bは図3(B)に示すように長方形状とする。該出口開口12bの幅をW、厚さをTとするとW/Tを約1/30以上約30以下として細長い形状とはせずに、出口で詰まりを発生させないとともに発泡が促進できる形状としている。本実施形態ではWを7mm、Tを1mmとし、W/T=7としている。この出口開口12bの断面積は製造量によっても相違するが、大きすぎるとヘッド圧力が低下する問題があるため約11mm2以下、好ましくは約7mm2以下とする。一方で、押出時の樹脂詰まりを防ぐためには、前記断面積は約6mm2以上としている。
次に、上記押出装置により上述のエステル系熱可塑性エラストマーを押出ガス発泡で発泡させて樹脂発泡体を製造する工程について説明する。
上記エステル系熱可塑性エラストマーをスクリュー式単軸押出機10のホッパー11に投入し、該押出機10内のスクリューを20rpmで回転してエラストマーを混練しながら押し出す。該押出機の搬送途中で高圧ガス安定供給装置20より押出機10の搬送空間10aに10MPaの圧力で炭酸ガスを樹脂混練物に注入する。注入した炭酸ガスは高圧であるため樹脂混練物中に均一に分散するとともに溶解する。ガス注入後は短時間で出口側へと押し出し、出口部に付設した口金12のテーパ状出口12cの手前で圧力に急激に上昇させると、出口12cより押し出される瞬間に圧力が急減に低下し、樹脂混練物に溶かし込んだ炭酸ガスが気泡化して発泡体となる。具体的には、口金の出口開口の出口圧は約5〜10MPaとなることが好ましく、シリンダ内での押出圧力は3.0MPaであるから出口開口手間での押出圧力を約167〜333%急激に上昇させている。
上記方法で製造した樹脂発泡体は、発泡倍率が約3倍以上、好ましくは3.3倍以上、より好ましくは4倍以上、気泡の平均セル径が200μm以下、好ましくは平均約100μm以下と、小さな気泡が均一に分散された発泡状態の良いものとなる。
ここで、発泡倍率および気泡のセル径は下記実施例に記載方法で測定する。
「実施例」
実施例1〜5および比較例1,3〜10では、溶融温度が160℃であり、170℃(溶融温度+10℃)の溶融粘度Aが3700Pa・s、220℃(溶融温度+60℃)の溶融粘度Bが260Pa・sで、B/Aが0.07であるエステル系熱可塑性エラストマー(東洋紡績(株)製「ペルプレンP40H」)を樹脂混練物の材料として用いた。比較例2では、溶融温度が200℃、210℃(溶融温度+10℃)の溶融粘度Aが2100Pa・s、260℃(溶融温度+60℃)の溶融粘度Bが1470Pa・sで、B/Aが0.7であるポリエステル系熱可塑性エラストマー(東洋紡績(株)製「ペルプレンP47D」)を樹脂混練物の材料として用いた。
比較例1以外は、樹脂混練物に線量100kGyの電子線を表1に示す加速電圧で照射した。電子線照射後の溶融粘度を、溶融温度+10℃、溶融温度+20℃および溶融温度+60℃の温度条件下、せん断速度102sec−1で測定した。得られた値から溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)を求めた。なお、比較例2においては電子線照射後の溶融粘度が溶融粘度測定機の測定限界以上の粘度となったため測定できなかった。したがって前記B/Aも算出できなかった。
押出機としてφ30単軸押出機(サン・エヌ・ティ(株)製)を用い、押出機のスクリューを回転させてホッパーよりシリンダへ上述したポリエステル系熱可塑性エラストマーを投入し、加熱しながら混練して押し出した。スクリュー回転数を20rpmに調整した。
該押出工程の中間位置C4で炭酸ガス安定供給装置(昭和炭酸(株)製)で炭酸ガスを樹脂混練物中に注入した。このとき供給される炭酸ガスの温度を50℃、流量を200g/h、供給圧力を10MPaとした。ただし、比較例6および7においては、炭酸ガス流量を調整し、供給圧力をそれぞれ4MPaおよび12MPaとした。押出工程において、押出機におけるC4の温度、ヘッド・口金の温度、口金のテーパ状出口のテーパ角度θは表1に記載の条件とした。
実施例1〜5および比較例1〜10について、後述する方法により口金のテーパ状出口の出口圧(MPa)およびシート状の発泡体の発泡倍率(倍)、平均セル径(μm)、発泡状態の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(出口圧の測定)
口金のテーパ状出口圧は口金出口付近に設置した樹脂圧力計を用いて樹脂圧力を測定した。樹脂圧力は5MPa以上10MPa以下が適正値である。
(発泡倍率の測定)
発泡後の比重と発泡前の比重を測定し、(発泡前の比重/発泡後の比重)より発泡倍率を求め、体積の増加率を測定した。体積増加率は3倍以上が適正値であり、3.3倍以上が好ましい値であり、4倍以上がより好ましい値である。
(平均セル径の測定)
得られた発泡体の断面を電子線走査顕微鏡にて観察し、断面の平均セル径を求めた。平均セル径は200μm以下が適正値であり、100μm以下がさらに好ましい値である。
(発泡状態)
得られた発泡体の発泡倍率および平均セル径から発泡状態を判断した。発泡倍率および平均セル径が好ましい範囲のものを「良い」、適正範囲のものを「まあまあ良い」、適正範囲から少し外れるものを「やや悪い」、適正範囲から大きく外れるものを「悪い」とした。
Figure 0004221279
表1の結果から明らかなように、実施例1〜5においては炭酸ガスが樹脂混練物中に十分に分散・融解され、かつ口金の出口手前の樹脂圧が所要の高圧となり樹脂を押し出す際に樹脂圧を急激に低下させることができるので、平均セル径が小さく適正な発泡状態の発泡体を得ることができた。
比較例1では、電子線を照射しなかったため溶解粘度比B/Aが0.07と本発明で規定する比(0.1以上1未満)よりも低かったため、押出機ダイ出口付近で溶融粘度が低下し押出時にドローダウンが生じた。
比較例2では、出発物の熱可塑性樹脂の溶解粘度比B/Aが0.7と本発明で規定する比(0.1以下)よりも大きかったため、電子線照射により溶解粘度が高くなり押出機の金口で樹脂詰まりを起こした。
比較例3では、電子線の照射量が少なく、電子照射後の溶解粘度比B/Aが0.09と本発明で規定する比(0.1以上1未満)よりも低かったため、押出機ダイ出口付近での溶融粘度が低く発泡状態は悪くなった。
比較例4では、電子線照射後の溶融温度+20℃における溶融粘度が本発明の範囲外の2700であったため、押出機ダイ出口で樹脂詰まりが発生した。
比較例5では、押出機のC4の温度を熱可塑性樹脂の溶融温度+60℃と本発明で規定する温度範囲(溶融温度の−5℃以上+40℃以下)よりも高くしたため分解による粘度低下から樹脂の出口圧が低くなり発泡状態は悪くなった。
比較例6では、押出機先端に付設するヘッド・口金の温度を熱可塑性樹脂の溶融温度+20℃と本発明の温度範囲(溶融温度−25℃以上溶融温度+15℃以下)よりも高くしたため樹脂の出口圧が低くなり発泡状態は悪くなった。
比較例7では、炭酸ガスの圧力を4MPaと本発明で規定する圧力(6MPa以上10MPa以下)より小さくしたため、炭酸ガスの樹脂混練物への溶解量が少なくなり低発泡倍率の発泡体となった。
比較例8では、炭酸ガスの圧力を12MPaと本発明で規定する圧力(6MPa以上10MPa以下)より大きくしたため、炭酸ガスの供給量が樹脂混練物への飽和溶解量を超えてしまい破泡した。
比較例9では、口金のテーパ角度θを2゜と本発明で規定する角度(5°≦θ≦20°)より小さくしたため、樹脂の出口圧が低くなり発泡状態は悪くなった。
比較例10では、口金のテーパ角度θを30゜と本発明で規定する角度(5°≦θ≦20°)より大きくしたため出口の樹脂圧が上昇しすぎて破泡した。
上記したように、本発明では、溶融温度が低い熱可塑性樹脂に電子線照射を施すことにより、ダイ出口から押し出されても溶融粘度が低下しない温度依存性が少ない熱可塑性樹脂を用いているため、押出工程で気泡径の小さい樹脂発泡体を得ることができる。その結果、高い摩擦係数、優れた強度または耐摩耗性等が必要とされる用途に用いることができ、特に、紙葉類重送防止部材の分離シート、分離パッドまたは分離ローラ等として好適に用いることができる。さらに、インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、自動預金支払機(ATM)等における給紙ローラなどに使用することもできる。
電子線照射後のエステル系熱可塑性エラストマーにおける温度と溶融粘度との関係を示す図である。 本発明の製造方法に用いる押出機の概略図である。 本発明の製造方法に用いる口金を示し、(A)は断面図、(B)は正面図である。 (A)(B)は従来例の口金の出口形状を示す断面図である。
符号の説明
10 押出機
10a 搬送空間
10b シリンダ出口
10c 炭酸ガス注入口
11 ホッパー
12 口金
12a ランド部
12b 出口開口
12c テーパ状出口
20 高圧ガス供給装置
21 ヘッド

Claims (6)

  1. 溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)が0.1未満である熱可塑性樹脂の混練物に電子線を照射して、溶融温度+10℃の溶融粘度Aに対する溶融温度+60℃の溶融粘度B(B/A)を0.1以上1未満で、かつ、上記電子線照射後の熱可塑性樹脂混練物の溶融温度+20℃における溶融粘度が1400Pa・s以上2500Pa・s以下に調整し、
    得られた上記熱可塑性樹脂の混練物を押出機に投入して押し出し、該押出工程の途中で6MPa以上10MPa以下の炭酸ガスを注入して上記熱可塑性樹脂の混練物に溶解し、
    上記押出機の炭酸ガス注入部位の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−5℃以上+40℃以下とし、
    押出機先端にヘッドを介して付設する口金は出口開口に向かって縮径させたテーパ状出口とし、該ヘッドおよび口金の温度を上記熱可塑性樹脂の溶融温度の−25℃以上+15℃以下とし、
    上記口金の出口開口手前で樹脂圧を急激に上昇させて、上記出口から押し出される際に生じる急激な圧力低下により上記熱可塑性樹脂の混練物中に分散・溶解された炭酸ガスが気泡を発生させることを特徴とする樹脂発泡体の製造方法。
  2. 上記熱可塑性樹脂の混練物の押出機内での滞留時間を3分以上6分以下とし、かつ、上記テーパ状出口のテーパ角度θを出口部分の中心軸線に対して5°≦θ≦20° の範囲としている請求項1に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  3. 上記電子線照射は、線量100kGyの電子線を加速電圧300kV以上800kV以下で照射している請求項1または請求項2に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂としてエステル系熱可塑性エラストマーを用い、化学発泡剤を配合せずに押出ガス発泡だけで発泡体としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法で製造された樹脂発泡体。
  6. 請求項5に記載の樹脂発泡体により形成される紙葉類重送防止部材。
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