JP4220415B2 - エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、カム軸からロッカーアームを介して吸気弁と排気弁とに駆動力を伝達するエンジンに関するものである。
従来のこの種のエンジンとしては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この公報に示されたエンジンは、自動二輪車用のもので、シリンダの軸線が車体の前方を指向する状態で車体フレームに搭載されている。このエンジンのシリンダヘッドは、車体の側方から見て上下方向の中央部に1本のカム軸が設けられており、このカム軸の上方に1本の吸気弁が設けられるとともに、前記カム軸の下方に1本の排気弁が設けられている。前記吸・排気弁は、カム軸から駆動力が吸気弁用ロッカーアームと排気弁用ロッカーアームとを介して伝達される。
前記ロッカーアームは、カム軸の上方近傍と下方近傍に位置するロッカーシャフトに回動自在に支持されたボス部と、このボス部に突設されて前記カム軸のカムに摺接するスリッパ部と、前記ボス部からスリッパ部とは逆方向に突設されて吸・排気弁のステムの先端部を押圧するアーム部とが一体に形成されている。
また、この従来のエンジンは、前記2本のロッカーシャフトの中空部に潤滑油を供給し、この中空部からロッカーシャフトとロッカーアームのボス部との嵌合部分に潤滑油を供給する潤滑装置が設けられている。この潤滑装置は、カム軸より上方に位置する吸気弁用ロッカーアームのボス部から下方へ潤滑油を吐出させ、この潤滑油によってカム軸とスリッパ部との摺接部分を潤滑する構成が採られている。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
特開平5−156904号公報(第3−5頁、図1)
上述したようにロッカーアームを有する従来のエンジンは、シリンダヘッドが上下方向(吸・排気弁が並ぶ方向)に大形化するという問題があった。これは、ロッカーアームのアーム部の長さが所定の長さとなるように吸・排気弁のステムの先端部をカム軸から上方または下方に離間させなければならず、バルブ挾み角が大きくなってしまうからである。また、前記従来のエンジンは、吸気弁用ロッカーアームと吸気弁のステムとの接触部分がロッカーシャフトから上方に大きく離間するため、この接触部分に潤滑油が供給され難くなるという不具合もあった。
発明者らは、例えば農薬を散布したり危険地域の空中撮影などを行う無人ヘリコプタに上述したようなエンジン、すなわちロッカーアームによって吸・排気弁を駆動する構成のエンジンを搭載することを考えている。しかしながら、これを実現するためには、シリンダヘッドを小型化するばかりではなく、エンジン全体をさらに小型軽量に形成しなければならない。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、ロッカーアームを有するエンジンの小型化を図り、このエンジンの動弁系の潤滑性を向上させるとともに、このエンジンを無人ヘリコプタに容易に搭載できるようにすることを目的とする。
この目的を達成するため、本発明に係るエンジンは、1本のカム軸と、これの両側に配設された一対のロッカーシャフトとをシリンダヘッド上に有し、前記各ロッカーシャフトにはこれと回動自在に嵌合するボス部と、このボス部に突設されて前記カム軸に摺接するスリッパ部と、前記ボス部からスリッパ部とは逆方向に突設されて吸・排気弁を押圧するアーム部とからなる吸気弁用ロッカーアームおよび排気弁用ロッカーアームを備えたエンジンにおいて、前記両ロッカーアームのボス部における前記カム軸と対向する部位に、他方のロッカーアームのスリッパ部の先端部分が臨む切欠きを形成し、前記各ロッカーシャフトの両端に各ロッカーアームのボス部の両端が回動自在に嵌合する大径部を形成するとともに、各ロッカーシャフトの中間に細径部を形成してこの細径部とボス部との間に空間を形成し、この空間に前記ロッカーアームのボス部の切欠きを臨ませたものである。
請求項に記載した発明に係るエンジンは、請求項に記載した発明に係るエンジンにおいて、シリンダの軸線を略水平とし、吸気弁をカム軸の上方に、排気弁をカム軸の下方に設け、各ロッカーシャフトの両端部をシリンダヘッドに支持させ、前記各ロッカーシャフトの内部に形成された中空部に潤滑油を供給し、この中空部から径方向に延びる第1の潤滑油通路を通して各ロッカーシャフトと両ロッカーアームのボス部との嵌合部に潤滑油を供給する潤滑装置を備え、吸気弁用ロッカーアームのボス部に、一端が前記第1の潤滑油通路と対向しかつ他端がボス部の外面に開口して吸気弁用アーム部先端と吸気弁のステムとの接触部分に潤滑油を吹きかける第2の潤滑油通路と、前記ロッカーシャフトの細径部とボス部との間の空間に一端が開口する貫通孔とボス部の切欠きとからなりカム軸と各ロッカーアームのスリッパ部との接触部分に潤滑油を垂らす第3の潤滑油通路とを形成し、排気弁用ロッカーアームのボス部における平面視において排気弁のステムと重なる部位に、一端がボス部内の空間に開口しかつ他端がボス部の外面に開口して排気弁用アーム部先端と排気弁のステムとの接触部分に潤滑油を垂らす第4の潤滑油通路を形成したものである。
請求項に記載した発明に係るエンジンは、請求項1または請求項2に記載したエンジンを水平対向型とし、このエンジンのクランク軸と両シリンダのカム軸とをクランク軸の軸線方向の一端側に位置する1本の巻掛け式伝動手段によって接続し、両シリンダのうち前記軸線方向の他端側に位置するシリンダの上部と下部であって前記巻掛け式伝動手段と隣接する部位にオイルポンプと冷却水ポンプとを支持させ、これらのポンプの入力軸を前記巻掛け式伝動手段に接続したものである。
請求項に記載した発明に係るエンジンは、請求項に記載した発明に係るエンジンにおいて、オイルポンプの駆動用回転輪と冷却水ポンプの駆動用回転輪を巻掛け式伝動手段のアイドラ回転輪としたものである。
本発明によれば、ロッカーアームのボス部の切欠きに他方のロッカーアームのスリッパ部を臨ませることにより、前記ボス部とスリッパ部との干渉を避けながら、ロッカーシャフトの位置を互いに接近させることができる。したがって、ロッカーアームのアーム長さを変えることなく吸・排気弁のバルブ挾み角を小さくすることができるから、従来のエンジンに較べてシリンダヘッドを小型に形成することができる。
また、本発明によれば、ロッカーアームのボス部とロッカーシャフトの細径部との間に形成された空間の分だけロッカーシャフトの位置をさらに互いに接近させることができるから、バルブ挾み角を一層小さく形成できるようになり、シリンダヘッドをさらに小型に形成することができる。
請求項記載の発明によれば、ロッカーシャフトと、吸気弁用ロッカーアームのボス部との嵌合部に供給された潤滑油の一部が第2の潤滑油通路から噴出し、吸気弁用アーム部先端と吸気弁のステムとの接触部分に供給される。また、前記嵌合部に供給された潤滑油の一部がロッカーシャフトの細径部と前記ボス部との間の空間に流出し、この空間から前記ボス部の貫通孔と切欠き(第3の潤滑油通路)とを通って両ロッカーアームのスリッパ部とカムとの接触部分に重力あるいは遠心力で自然に垂れる。また、ロッカーシャフトと、排気弁用ロッカーアームのボス部との嵌合部に供給された潤滑油の一部が第4の潤滑油通路を通って排気弁用アーム部先端と排気弁のステムとの接触部分に重力あるいは遠心力で自然に垂れる。
したがって、請求項に記載した発明の効果に加えて、水平シリンダとロッカーシャフトのくびれ形状およびロッカーアームの切欠きの構成を利用して簡易かつ確実にロッカーアームと吸・排気弁との接触部分やロッカーアームのスリッパ部とカムとの接触部分を潤滑することができる。このため、従来より動弁機構の潤滑性が高いエンジンを提供することができる。
請求項記載の発明によれば、オイルポンプと冷却水ポンプとをいわゆるバンクオフセットにより巻掛け式伝動手段との間隔が相対的に大きくなる方のシリンダに支持させているから、他方のシリンダに近接するように配設した巻掛け式伝動手段に前記両ポンプを容易に接続することができる。このため、巻掛け式伝動手段をシリンダに近接させてクランク軸の軸線方向の長さを短縮することができるから、クランク軸の軸線方向にコンパクトな水平対向型エンジンを提供することができる。
請求項記載の発明によれば、専ら巻掛け式伝動手段のアイドラ回転輪として機能する部材が不要になるから、前記伝動手段が配設されるエンジンの一端部をコンパクトに形成することができる。
以下、本発明に係るエンジンの一実施の形態を図1ないし図12によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るエンジンの側面図、図2は同じく平面図で、これらの図においては、無人ヘリコプタの前部の形状を二点鎖線によって描いてある。図3は本発明に係るエンジンの正面図で、同図はシリンダボディ部分を破断した状態で描いてある。図4はエンジンの横断面図、図5はタイミングチェーンの構成を説明するための正面図である。
図6は要部の断面図、図7は図6におけるVII−VII線断面図、図8は図6におけるVIII−VIII線断面図、図9は図6におけるIX−IX線断面図、図10は図6におけるX−X線断面図である。図11は図5におけるXI−XI線断面図、図12は図5におけるXII−XII線断面図である。
これらの図において、符号1で示すものは、無人ヘリコプタ2の機体に搭載される水冷式水平対向型2気筒エンジンである。このエンジン1は、シリンダ3の軸線方向が機体の左右方向と平行になるとともに、クランク軸4(図3〜図5参照)の軸線方向が機体の前後方向を指向する状態で機体の前部に搭載されている。図1および図2において、エンジン1の機体後側に接続された符号5で示すものは、エンジン1の動力をメインロータ6とテールロータ(図示せず)とに伝達するための駆動装置を示し、7はエンジン1の吸気装置、8は同じく排気装置、9は降着装置、10は機体前部を覆うカウリングを示す。このカウリング10は、図2に示すように、エンジン1と隣接する部位がヘッドカバー11との干渉を避けるために機体の側方へ部分的に膨出するように形成されている。この膨出部分を図2中に符号10aで示す。
前記エンジン1は、図3および図4に示すように、機体の左右方向に分割可能に形成されてクランク軸4を回転自在に支持する左側シリンダボディ12および右側シリンダボディ13と、前記左側シリンダボディ12に取付けられた左側シリンダヘッド14と、前記右側シリンダボディ13に取付けられた右側シリンダヘッド15と、これらのシリンダヘッド14,15に取付けられた前記ヘッドカバー11と、前記左右のシリンダヘッド14,15に設けられたカム軸16にクランク軸4から動力を伝達するためのチェーン式伝動装置17などによって構成されている。この実施の形態によるエンジン1は、図4に示すように、機体左側(同図においても左側)に位置するシリンダ3が他方のシリンダ3より機体後側(同図の下側)に位置するように形成されている。図3および図4において、18はコンロッドを示し、19はピストンを示す。
前記クランク軸4は、機体前側の端部にフライホイールマグネトウ20とスタータ用歯車20aが設けられ、機体後側の端部に前記駆動装置5が接続されている。
前記左側シリンダヘッド14と右側シリンダヘッド15には、図6および図7に示すように、2本の吸気弁21,21および1本の排気弁22と、これらの吸・排気弁21,22を駆動する動弁装置23とがそれぞれ設けられている。これらの左右のシリンダヘッド14,15は、機体の左右方向に対称となるように形成されているため、ここでは機体右側のシリンダヘッド15について図6〜図10によって説明する。
前記吸気弁21は、図7に示すように、シリンダヘッド15の上部に設けられ、前記排気弁22は、シリンダヘッド15の下部に設けられている。この実施の形態による排気弁22は、図7においては同一平面上に位置するように描いてあるが、実際には、吸気弁21の下方に平面視において二つの吸気弁21どうしの間に位置するように配設されている。これらの吸・排気弁21,22は、従来からよく知られているように、バルブスプリング24によって閉じる方向に付勢されている。
前記動弁装置23は、前記吸・排気弁21,22の間に位置するようにシリンダヘッド15の上下方向の中央部に配設された1本のカム軸16と、このカム軸16から吸・排気弁21,22に動力を伝達するための吸気弁用ロッカーアーム25および排気弁用ロッカーアーム26とによって構成されている。
前記カム軸16は、図6および図8に示すように、軸線方向の両端部がシリンダヘッド15の軸受15aとカムキャップ27とに挟持され、これら両部材によって回転自在に支持されている。また、このカム軸16の機体前側の端部は、前記軸受部分より機体の前方(図6においては右方)に突出するように形成されており、この突出側端部に後述するチェーン式伝動装置17の一部を構成する従動スプロケット28が取付けられている。このカム軸16は、チェーン式伝動装置17によりクランク軸4の回転が伝達されることによって回転する。
前記カムキャップ27は、図6に示すように、後述する吸気弁用ロッカーアーム25を支持する上側ロッカーシャフト31と、排気弁用ロッカーアーム26を支持する下側ロッカーシャフト32とが取付けられている。これらのロッカーシャフト31,32は、図6〜図8に示すように、前記カム軸16より機体外側で互いに上下方向に間隔をおいて離間し、カム軸16と平行に延びるように配設されており、前記カムキャップ27の円形凹部27aに両端部が嵌合して支持されている。また、これらのロッカーシャフト31,32は、カムキャップ27をシリンダヘッド15に固定するための固定用ボルト33が両端部に係合している。この実施の形態による前記固定用ボルト33は、図8に示すように、頭部とねじ部との間の棒状部分33aが相対的に細くなるように形成されている。これは、後述するように、前記棒状部分33aとボルト孔34の孔壁面との間の空間を潤滑油通路として使用するためである。
前記ロッカーシャフト31,32は、図6に示すように、前記カムキャップ27に嵌合する両端部どうしの間に前記両端部より外径が細くなる細径部35が形成されている。すなわち、このロッカーシャフト31,32は、カムキャップ27に支持される両端側の大径部36と、これらの大径部36,36どうしの間に位置する前記細径部35とから構成されている。前記大径部36の軸線方向の長さは、ロッカーシャフト31,32が前記固定用ボルト33によって位置決めされている状態で、前記円形凹部27aの外に一部が露出するように形成されている。この露出部分には、後述するロッカーアーム25,26のボス部が嵌合する。また、前記ロッカーシャフト31,32の軸心部には、後述する潤滑装置37の潤滑油通路の一部を構成する中空部38が形成されている。
前記吸気弁用ロッカーアーム25と排気弁用ロッカーアーム26は、図6〜図10に示すように、円筒状に形成されて前記ロッカーシャフト31,32の大径部36に回動自在に支持されたボス部41と、このボス部41に突設されて前記カム軸16に摺接するスリッパ部42と、前記ボス部41からスリッパ部42とは逆方向に突設されて吸気弁21または排気弁22を押圧するアーム部43とがそれぞれ一体に形成されている。
前記吸気弁用ロッカーアーム25の前記アーム部43は、2本の吸気弁21を押圧することができるように、ボス部41の軸線方向の両端部にそれぞれ設けられている。排気弁22用ロッカーアーム26の前記アーム部43は、ボス部41の軸線方向の中央部に設けられている。これらのアーム部43の先端部分には、従来からよく知られているように、バルブクリアランスを調整するためのアジャストボルト44(図7〜図10参照)が取り付けられている。
前記吸気弁用ロッカーアーム25の前記スリッパ部42と、排気弁用ロッカーアーム26のスリッパ部42は、カム軸16の軸線方向に並ぶように形成されている。この実施の形態においては、吸気弁用ロッカーアーム25のスリッパ部42は、排気弁用ロッカーアーム26のスリッパ部42より機体前側(図6においては右側)に位置付けられている。
吸気弁用ロッカーアーム25の前記ボス部41と、排気弁用ロッカーアーム26の前記ボス部41は、図6、図7および図9に示すように、前記カム軸16と対向する部位に他方のロッカーアームのスリッパ部42の先端部分が臨む切欠き45が形成されている。この切欠き45は、円筒状のボス部41の外周部を部分的に開口させるように形成されている。
この切欠き45の開口部分の大きさは、切欠き45内に臨むスリッパ部42がカム軸16の回転に伴って揺動したときにスリッパ部42の先端部分がボス部41に接触することがないように設定されている。すなわち、切欠き45におけるボス部41の軸線方向の長さは、前記スリッパ部42の幅(前記軸線方向の長さ)より僅かに大きくなるように形成されている。また、切欠き45におけるボス部41の周方向の長さは、例えば図7に示すように、一方のスリッパ部42がカム軸16のカム16aの頂部に位置しかつ他方のスリッパ部42がカムの基礎円部に位置している状態で、スリッパ部42とボス部41との間に隙間が形成されるように設定されている。
この実施の形態では、ボス部41の内部に位置するロッカーシャフト31,32に細径部35が形成されているから、スリッパ部42の先端部分を前記切欠き45を越えてボス部41の内方空間S内にも挿入させることができる。すなわち、この実施の形態においては、スリッパ部42と、他方のロッカーアームのボス部41およびロッカーシャフトとの干渉を避けながら、ロッカーシャフト31,32の位置を従来のエンジンに較べて互いに接近させることができ、したがって吸・排気弁のバルブ挾み角を小さくすることができる。
前記ロッカーシャフト31,32の細径部35は、前記切欠き45と対応する部位にのみ形成されていれば前記スリッパ部42との接触を避けることができるものであるが、この実施の形態では、ロッカーシャフト31,32の軽量化を図るために、前記切欠き45とは対応していない部位にも延在させている。また、この実施の形態では、上述したようにロッカーシャフト31,32に細径部35を形成することによりボス部41内に形成される空間Sを潤滑油通路の一部として使用している。ここで、吸・排気弁用ロッカーアーム25,26の被潤滑部を潤滑する潤滑装置37について説明する。
ロッカーアーム用潤滑装置37は、カム軸潤滑用の潤滑油の一部をロッカーシャフト31,32の中空部38内に供給し、この中空部38内からロッカーアーム25,26の各被潤滑部に供給する構成が採られている。ロッカーアームの被潤滑部とは、ボス部41とロッカーシャフト31,32の大径部36との嵌合部と、アーム部43と吸・排気弁21,22のステム21a,22aとの接触部分と、スリッパ部42とカム軸16との接触部分である。
前記カム軸潤滑用の潤滑油は、図4および図8に示すように、シリンダヘッド15内に形成された潤滑油供給用通路51からカム軸16の一端側の軸受部16bに供給され、この軸受部16bの周面に形成された環状の潤滑油通路52から小孔16cと中空部16dとを通ってカム軸16の他端側の軸受部16e(図4参照)に供給される。前記環状の潤滑油通路52は、カム軸16の外周面と、シリンダヘッド15およびカムキャップ27との間をカム軸16の周方向に途切れることなく延びるように形成されている。
前記潤滑油供給用通路51の上流側は、図3に示すように、機体前方に向かって右側に位置する右側シリンダボディ13の下壁53内に形成された潤滑油通路54と、左右のシリンダボディ12,13の最下部に取付けられたオイルパン55に形成された潤滑油通路56などによって機体左側へ延出され、前記オイルパン55に装着されたオイルフィルタ57の潤滑油出口57aに接続されている。このオイルフィルタ57の潤滑油入口は、左側シリンダボディ12に装着されたオイルポンプ58の潤滑油吐出口に接続されている。
前記オイルポンプ58は、図5および図11に示すように、左側シリンダボディ12の下部であって機体前側の端部に入力軸58aの軸線方向が機体の前後方向と平行になるように取付けられている。このオイルポンプ58は、前記入力軸58aに後述するチェーン式伝動装置17を介してクランク軸4の回転が伝達される。前記オイルパン55内に貯留された潤滑油を吸込み、前記潤滑油供給用通路51に吐出する。この前記潤滑油供給用通路51は、図示してはいないが、前記オイルフィルタ57の下流側で右側シリンダ側と左側シリンダ側とに分岐されている。
前記潤滑油供給用通路51から潤滑油が供給されるカム軸16の周面の前記環状の潤滑油通路52は、図8に示すように、カムキャップ27内をカム軸16側から前記固定用ボルト33側へ延びる連通路61と、前記固定用ボルト33とボルト孔34との間に形成された筒状の潤滑油通路62とによってロッカーシャフト31,32の中空部38(図4および図6参照)に接続されている。
ロッカーシャフト31,32の中空部38は、図6に示すように、ロッカーシャフト31,32の軸心部を一端から他端へ貫通するように形成されており、ロッカーシャフト31,32の大径部36におけるロッカーアーム25,26のボス部41が嵌合する部位(4箇所)に径方向に延びるように形成された第1の潤滑油通路63によって、ロッカーシャフト31,32とロッカーアーム25,26のボス部41との嵌合部に接続されている。この中空部38は、図6において右側の端部38a(機体前側の端部)に前記筒状の潤滑油通路62が連通されている。
潤滑油は、前記筒状の潤滑油通路62から前記機体前側の端部38aに入り、この端部38aから中空部38内を図6において左方へ(機体後側へ)流れる。これとともに、この潤滑油は、前記両端部38a,38bから前記第1の潤滑油通路63を通ってロッカーアーム25,26の前記嵌合部に供給される。この結果、ロッカーシャフト31,32の大径部36と前記ボス部41との嵌合部が潤滑油によって潤滑される。
前記4箇所の第1の潤滑油通路63のうち、吸気弁用ロッカーアーム25との嵌合部に潤滑油を供給する二つの第1の潤滑油通路63は、図8および図10に示すように、吸気弁用ロッカーアーム25のボス部41の両端部に穿設された第2の潤滑油通路64に接続されている。前記第2の潤滑油通路64は、前記第1の潤滑油通路63と対向する一端からボス部41の径方向の外側へ延びるように形成されており、他端がボス部41の外面に開口している。この第2の潤滑油通路64の前記他端の開口は、吸気弁用ロッカーアーム25のアジャストボルト44と吸気弁21のステム21aとの接触部分を指向するように形成されている。
また、この第2の潤滑油通路64は、吸気弁用ロッカーアーム25のスリッパ部42がカム軸16の基礎円部分に摺接している状態で前記第1の潤滑油通路63に接続される位置に形成されている。すなわち、吸気弁21が全閉状態にあるとき、換言すれば吸気弁21のステム21aと吸気弁用ロッカーアーム25との接触部分の位置が最も高くなるときに、潤滑油が前記第1の潤滑油通路63から第2の潤滑油通路64に供給されて前記他端の開口からオイルポンプ58の吐出圧で噴出し、吸気弁用ロッカーアーム25と2本の吸気弁21のステム21aとの接触部分(アジャストボルト44とステム21aとの間のバルブクリアランスからなる微小隙間も含む)に供給される。
前記ロッカーシャフト31,32と前記ボス部41との4箇所の嵌合部に前記第1の潤滑油通路63から供給された潤滑油は、ボス部41とロッカーシャフト13,32の細径部35との間に形成された空間S内に流出する。吸気弁用ロッカーアーム25のボス部41内に流出した潤滑油は、前記切欠き45と、ボス部41に穿設された貫通孔65(図6,図7および図9参照)とから下方へ重力または遠心力によって自然に流下する。この切欠き45と貫通孔65とによって請求項記載の発明でいう第3の潤滑油通路が構成されている。前記切欠き45から流下した潤滑油は、その下方に位置する排気弁用ロッカーアーム26のスリッパ部42とカム軸16との接触部分に付着し、このスリッパ部42の摺接部分を潤滑する。前記貫通孔65は、前記ボス部41における吸気弁用ロッカーアーム25のスリッパ部42とカム軸16との接触部分の上方となる部位に配設されており、この貫通孔65を通って流下した潤滑油は前記接触部分を潤滑する。
一方、排気弁用ロッカーアーム26のボス部41内に流出した潤滑油は、このボス部41の軸線方向の中央部に穿設された第4の潤滑油通路66(図6および図9参照)を通って重力または遠心力によって自然に下方へ流下する。この第4の潤滑油通路66は、前記ボス部41における平面視において排気弁22と重なる部位に配設されており、一端がボス部41の内周面に開口しかつ他端がボス部41の外面に排気弁用ロッカーアーム26のアジャストボルト44と排気弁22のステム22aとの接触部分を指向するように開口している。この貫通孔を通って下方へ流下した潤滑油は、排気弁用ロッカーアーム26と排気弁22との接触部分を潤滑する。
このように両スリッパ部42,42とカム軸16との接触部分および排気弁用ロッカーアーム26と排気弁22との接触部分は、オイルポンプ58の吐出圧によらず、シリンダが水平に搭載されることを利用して重力または遠心力によって潤滑油が供給される。このため、一般的にスチール素材で重量の嵩むロッカーシャフト31,32の中央の細径部35と、ロッカーアーム25,26の切欠き45による軽量化が可能となる。
上述したようにロッカーアーム25,26の各被潤滑部とカム軸16の軸受部を潤滑した潤滑油は、シリンダヘッド15とヘッドカバー11との間に形成された動弁カム室67(図6〜図10)の底部に流下し、ここから後述する第1の潤滑油戻り通路68(図6参照)または第2の潤滑油戻り通路69を通って前記オイルパン55内に戻る。
前記第1の潤滑油戻り通路68は、図6に示すように、動弁カム室67の底部であって機体後側(図6においては左側)の端部に開口する第1戻し孔68aから潤滑油戻り用パイプ68b(図3参照)を介して前記オイルパン55内に延びている。前記第2の潤滑油戻り通路69は、動弁カム室67の底部における機体前側の端部に開口する第2戻し孔69aからチェーン室下壁に沿ってバッフルプレート70(図3参照)より下方のオイルパン55内に延びている。なお、バッフルプレート70は、クランク軸4の回転によるオイルのかき上げを防止するためのもので、この実施の形態においては、左側シリンダボディ12と右側シリンダボディ13とに一体成形され、シリンダボディの剛性確保と部品点数の削減を図っている。
前記カム軸16にクランク軸4の回転を伝達するチェーン式伝動装置17は、図4に示すように、クランク軸4の軸線方向の一端側(機体前側)に位置付けられており、図5に示すように、1本チェーン71によって右側シリンダヘッド15のカム軸16と左側シリンダヘッド14のカム軸16とを駆動する構成が採られている。詳述すると、このチェーン式伝動装置17は、前記チェーン71と、クランク軸4に一体に形成された駆動スプロケット72と、各カム軸16に取付けられた2個の従動スプロケット28と、前記オイルポンプ58の駆動用スプロケット73と、オイルポンプ58の上方に配設された冷却水ポンプ74の駆動用スプロケット75と、3個のチェーンガイド76と、チェーンテンショナー77などによって構成されている。また、この伝動装置17は、エンジン1の機体前側の端部に取付けられたチェーンカバー78(図4,5および図11参照)と、前記ヘッドカバー11とによって覆われている。この伝動装置17によって請求項に記載した発明でいう巻掛け式伝動手段が構成されている。
前記チェーン71は、オイルポンプ58の駆動用スプロケット73と、冷却水ポンプ74の駆動用スプロケット75とによって回転時の移動経路が所定の経路となるように規制されている。すなわち、チェーン71は、クランク軸4の駆動スプロケット72に巻掛けられる範囲がオイルポンプ58の駆動用スプロケット73によって拡げられている。また、このチェーン71は、一方のカム軸16側から他方のカム軸16側へ移動するときに前記駆動スプロケット72の上方を迂回して通過するように、冷却水ポンプ74の駆動用スプロケット75によって移動経路が規制されている。これら二つの駆動用スプロケット73,75によってチェーン71の移動経路を変えているために、この伝動装置17は、専らアイドラスプロケットとして機能する部材は設けられていない。
前記冷却水ポンプ74は、図11に示すように、左側シリンダボディ12の上部であって機体前側の端部に取付けられている。この冷却水ポンプ74の入力軸74aは、左側シリンダボディ12から機体の前方に突出され、先端部に前記駆動用スプロケット75が取付けられている。この冷却水ポンプ74と上述したオイルポンプ58とを左側シリンダボディ12に取付けるに当たっては、いわゆるバンクオフセットにより形成されるデッドスペースを有効に利用している。
すなわち、前記左側シリンダボディ12は、図4に示すように、バンクオフセットによって右側シリンダボディ13より機体後側に位置しているために、この左側シリンダボディ12の機体前側の端部と前記チェーン71との間隔が右側シリンダボディ13とチェーン71との間隔より広く形成される。このため、左側シリンダボディ12と前記チェーン71との間に上述したデッドスペースが形成される。しかし、この実施の形態においては、オイルポンプ58と冷却水ポンプ74とをその一部が前記デッドスペースに臨むように左側シリンダボディ12の機体前側の端部に取付けることにより、これらの補機の左側シリンダボディ12に対する上下方向の突出量が可及的少なくなるようにしている。この構成を採ることにより、前記デッドスペースを有効に利用してエンジン1を上下方向にコンパクトに形成することができる。
また、前記バンクオフセットにより相対的に機体後側に位置する左側シリンダボディ12にオイルポンプ58と冷却水ポンプ74とを設けているから、これら両ポンプの駆動用スプロケット73,75の位置が左側シリンダボディ12より機体前側へ突出するにもかかわらず、前記チェーン71を右側シリンダボディ13の機体前側の端部に近接させて配設することができる。すなわち、チェーン71を巻掛けるクランク軸4の駆動スプロケット72を可及的機体後側に位置付けることができ、クランク軸4の軸線方向の長さを短縮させることができるから、エンジン1をクランク軸4の軸線方向にコンパクトに形成することができる。
前記チェーンガイド76は、図5および図12に示すように、芯金76aと硬質ゴム76bとによって弓状に湾曲するように形成され、この実施の形態では機体左側と右側のシリンダボディ12,13およびシリンダヘッド14,15と、前記チェーンカバー78とによって両端部が挟持されるとともに、湾曲内側の突起76cがシリンダボディ12,13の壁面に対接する状態で所定の位置に固定されている。このチェーンガイド76の一端部は、例えば図12に示すように、シリンダボディ12,13に形成された位置決め用凹陥部81にチェーンガイド76のピン76dを嵌合させた状態で、シリンダボディ12,13とチェーンカバー78とによって挟持されている。このチェーンガイド76の他端部は、角部76eが形成され、この角部76eがシリンダヘッド14,15およびチェーンカバー78の凹陥部(図示せず)に嵌合することによって、移動が規制されている。
構造が採られている。このようにチェーンガイド76をシリンダボディ12,13に固定するに当たって取付用ボルトを使用しない構成を採ることによって、エンジン1の軽量化を図ることができる。
上述したように構成したエンジン1においては、吸気弁用ロッカーアーム25のボス部41と排気弁用ロッカーアーム26のボス部41に他方のロッカーアームのスリッパ部42が臨む切欠き45が形成されているから、前記ボス部41とスリッパ部42との干渉を避けながら、ロッカーシャフト31,32の位置を互いに接近させることができる。したがって、ロッカーアーム25,26のアーム部43の長さを変えることなく吸・排気弁21,22のバルブ挾み角を小さくすることができる。
この実施の形態では、ロッカーアーム25,26のボス部41とロッカーシャフト31,32の細径部35との間に形成された空間の分だけロッカーシャフト31,32の位置をさらに互いに接近させることができるから、前記バルブ挾み角をより一層小さく形成することができる。
このため、シリンダの軸線が略水平となるように構成し、シリンダヘッド15を上下方向に小型化することができるから、このエンジン1を搭載する無人ヘリコプタ2は、図2に示すカウリング10の膨出部10aを上下方向に小さく形成することができる。
また、上述したように吸・排気弁21,22のバルブ挾み角が小さくなることにより、ピストン19の頂面を平坦または凹形状となるように形成することができるから、燃焼室をコンパクトに形成することができ、燃焼効率を向上させることができる。さらに、このようにピストンを形成することができることから、ピストン19の重心をクランク軸4に近付けることができる。すなわち、ピストン19とコンロッド18などからなるマスの集中を図ることができるとともに、往復運動部分の慣性重量が低減されることから必要な強度が小さくなり、軽量化を図ることができる。
加えて、シリンダヘッド15からヘッドカバー11を取外すことによって、吸気弁用ロッカーアーム25のアジャストボルト44と、排気弁用ロッカーアーム26のアジャストボルト44とを露出させることができるから、バルブクリアランスの調整作業を容易に行うことができる。なお、ヘッドカバー11は、吸気系の動弁機構と排気系の動弁機構を覆うために大型に形成されているが、このヘッドカバー11は、例えばマグネシウムなどの軽量な材料によって薄肉となるように形成することにより、重量増加となることを阻止することができる。
さらにまた、この実施の形態で示したエンジン1は、ロッカーシャフト31,32をカムキャップ27に支持させているから、シリンダヘッドにロッカーシャフトを支持させる従来のエンジンに較べるとシリンダヘッドに形成するロッカーシャフト取付用ボス部の分だけシリンダヘッドの軽量化を図ることができる。
この実施の形態によるエンジン1は、ロッカーシャフト31と、吸気弁用ロッカーアーム25のボス部41との嵌合部に供給された潤滑油の一部が第2の潤滑油通路64から噴出し、吸気弁用ロッカーアーム25と吸気弁21との接触部分に供給される。また、このエンジン1においては、吸気弁用ロッカーアーム25のボス部41内に流出した潤滑油は、切欠き45と、ボス部41の貫通孔65とから下方へ重力または遠心力によって自然に流下し、その下方に位置する排気弁用ロッカーアーム26のスリッパ部42とカム軸16との接触部分と、吸気弁用ロッカーアーム25のスリッパ部42とカム軸16との接触部分とを潤滑する。
さらに、このエンジン1においては、ロッカーシャフト32と、排気弁用ロッカーアーム26のボス部41との嵌合部に供給された潤滑油の一部が第4の潤滑油通路66を通って排気弁用ロッカーアーム26と排気弁22との接触部分に付着する。このため、バルブ挾み角が小さくなることと、各接触部分に潤滑油を積極的に導く通路が形成されていることとが相俟って、前記接触部分を潤滑油によって充分に潤滑することができる。
上述した実施の形態では巻掛け式伝動手段をチェーン71によって構成する例を示したが、チェーン71の代わりベルトを使用することもできる。
上述した実施の形態においては、両ロッカーアーム25,26のスリッパ部42,42とカム軸16との接触部分に切欠き45と貫通孔65とから潤滑油を流下させる構成を採っているが、前記接触部分に潤滑油を供給するに当たっては、例えば機体前側のカムキャップ27からカム軸16の軸線方向に沿って前記接触部分へ潤滑油を噴出させる構成を採ることができる。この場合は、図8に示すように、カムキャップ27に、その内部に形成された連通路61からカム軸16の軸線方向に沿ってカムキャップ27を貫通するように延びる小孔91を形成する。この小孔91は、機体前側(図6においては右側)に位置するカムキャップ27の内側面に開口させる。この開口の位置を図7中に二点鎖線で示す。この構成を採ることにより、潤滑油がオイルポンプ58の吐出圧で小孔91から前記接触部分に噴出し、この潤滑油によって両スリッパ部42,42とカム軸16との接触部分が潤滑される。
上述した実施の形態では本発明に係るエンジンを無人ヘリコプタに搭載する例を示したが、本発明に係るエンジンは、自動車や自動二輪車などの車両に搭載することもできる。
本発明に係るエンジンの側面図である。 本発明に係るエンジンの平面図である。 本発明に係るエンジンの正面図である。 本発明に係るエンジンの横断面図である。 タイミングチェーンの構成を説明するための正面図である。 要部の断面図である。 図6におけるVII−VII線断面図である。 図6におけるVIII−VIII線断面図である。 図6におけるIX−IX線断面図である。 図6におけるX−X線断面図である。 図5におけるXI−XI線断面図である。 図5におけるXII−XII線断面図である。
符号の説明
1…エンジン、4…クランク軸、16…カム軸、17…チェーン式伝動装置、21…吸気弁、22…排気弁、25…吸気弁用ロッカーアーム、26…排気弁用ロッカーアーム、27…カムキャップ、28…従動スプロケット、31,32…ロッカーシャフト、35…細径部、36…大径部、37…潤滑装置、38…中空部、41…ボス部、42…スリッパ部、43…アーム部、45…切欠き、58…オイルポンプ、62…筒状の潤滑油通路、63…第1の潤滑油通路、64…第2の潤滑油通路、66…第4の潤滑油通路、72…駆動スプロケット、73,75…駆動用スプロケット、74…冷却水ポンプ、S…空間。

Claims (4)

  1. 1本のカム軸と、これの両側に配設された一対のロッカーシャフトとをシリンダヘッド上に有し、前記各ロッカーシャフトにはこれと回動自在に嵌合するボス部と、このボス部に突設されて前記カム軸に摺接するスリッパ部と、前記ボス部からスリッパ部とは逆方向に突設されて吸・排気弁を押圧するアーム部とからなる吸気弁用ロッカーアームおよび排気弁用ロッカーアームを備えたエンジンにおいて、前記両ロッカーアームのボス部における前記カム軸と対向する部位に、他方のロッカーアームのスリッパ部の先端部分が臨む切欠きを形成し
    前記各ロッカーシャフトの両端に各ロッカーアームのボス部の両端が回動自在に嵌合する大径部を形成するとともに、各ロッカーシャフトの中間に細径部を形成してこの細径部とボス部との間に空間を形成し、この空間に前記ロッカーアームのボス部の切欠きを臨ませたことを特徴とするエンジン。
  2. 請求項記載のエンジンにおいて、シリンダの軸線を略水平とし、吸気弁をカム軸の上方に、排気弁をカム軸の下方に設け、各ロッカーシャフトの両端部をシリンダヘッドに支持させ、前記各ロッカーシャフトの内部に形成された中空部に潤滑油を供給し、この中空部から径方向に延びる第1の潤滑油通路を通して各ロッカーシャフトと両ロッカーアームのボス部との嵌合部に潤滑油を供給する潤滑装置を備え、吸気弁用ロッカーアームのボス部に、一端が前記第1の潤滑油通路と対向しかつ他端がボス部の外面に開口して吸気弁用アーム部先端と吸気弁のステムとの接触部分に潤滑油を吹きかける第2の潤滑油通路と、前記ロッカーシャフトの細径部とボス部との間の空間に一端が開口する貫通孔とボス部の切欠きとからなりカム軸と各ロッカーアームのスリッパ部との接触部分に潤滑油を垂らす第3の潤滑油通路とを形成し、排気弁用ロッカーアームのボス部における平面視において排気弁のステムと重なる部位に、一端がボス部内の空間に開口しかつ他端がボス部の外面に開口して排気弁用アーム部先端と排気弁のステムとの接触部分に潤滑油を垂らす第4の潤滑油通路を形成してなるエンジン。
  3. 請求項1または請求項2に記載したエンジンを水平対向型とし、このエンジンのクランク軸と両シリンダのカム軸とをクランク軸の軸線方向の一端側に位置する1本の巻掛け式伝動手段によって接続し、両シリンダのうち前記軸線方向の他端側に位置するシリンダの上部と下部であって前記巻掛け式伝動手段と隣接する部位にオイルポンプと冷却水ポンプとを支持させ、これらのポンプの入力軸を前記巻掛け式伝動手段に接続してなるエンジン。
  4. 請求項記載のエンジンにおいて、オイルポンプの駆動用回転輪と冷却水ポンプの駆動用回転輪を巻掛け式伝動手段のアイドラ回転輪としてなるエンジン。
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