JP4220080B2 - 生分解性熱収縮多層フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する熱収縮性多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から包装分野において大量の熱収縮性フィルムが使用されている。該熱収縮性フィルムに用いられる合成樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。しかしながら、これらの合成樹脂からなる熱収縮性フィルムは、使用後自然環境に投棄されると、その化学的安定性のために分解されることがなく、自然環境に長期にわたって残留し自然環境汚染の一因となっている。また、最近ではゴミ減量化の観点から生ゴミのコンポスト化が推進されているが、熱収縮包装分野に供されるフィルムはその厚みが非常に薄く、生ゴミに混入した場合、分別は困難であり、コンポスト化の妨げになっている。
【0003】
このような状況のなか、生分解性を有する熱収縮フィルムとして特開平5−212790号公報には、ラベル用熱収縮フィルムが開示されている。しかしながら同公報によって提案されたフィルムは、収縮温度が高い高温収縮性フィルムであり、一般雑貨、食品等の収縮包装のように、フィルムを収縮させる際の熱による内容物の劣化防止が要求される用途には使用が困難であり、特定の用途にしか使用できない。
また、熱収縮フィルムを用いての自動包装工程における運転速度の向上、あるいは、熱収縮包装後の製品同士の融着防止という意味合いから、この種のフィルムに要求される性能として滑り性が挙げられている。しかしながら、通常のポリ乳酸系重合体のガラス転移温度はおよそ50〜60℃と自動包装工程における環境温度、ならびに熱収縮工程の温度(熱収縮トンネルの温度)に接近しており、自動包装工程の作業性、包装された商品同士の熱融着の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、透明、光沢に優れ、なおかつ、滑り性能に優れ、ヒートシール可能な生分解性熱収縮多層フィルムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリ乳酸系重合体、および特定の脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体からなる樹脂層を構成層として有する多層フィルムを基材とすることによりフィルムの延伸加工が可能となり、この結果、収縮包材に必要とされる熱収縮性、滑り性能、ならびに透明性に優れたヒートシール可能な熱収縮性フィルムが得られることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、
L−乳酸とD−乳酸の組成比が94:6〜79:21であるポリ乳酸系重合体(A)と、主として脂肪族多価アルコールと脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体から合成された脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)からなり脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)の割合が0重量%を超過し、30重量%以下である混合物(C)からなる両外層、並びに前記両外層間にポリ乳酸系重合体(A)、及び/又は、脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)からなる少なくとも1つの層を有し、全層におけるポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)の割合が、(A):(B)=30:70重量%〜75:25重量%である多層フィルムを、少なくとも一方向に延伸することによって得られるフィルムであって、90℃のグリセリン中に30秒間浸漬した後の収縮率が、フィルムのMD、TD方向の少なくとも一方向において20%以上であることを特徴とする生分解性熱収縮多層フィルムを提供するものである。
【0006】
また、より好ましい形態として、両外層の樹脂組成比が、(A):(B)=99:1重量%〜70:30重量%であることを特徴とする上記の生分解性熱収縮多層フィルムを提供するものである。
【0007】
また、更により好ましい形態として、脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)が、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体であることを特徴とする前記いずれかの生分解性熱収縮多層フィルムを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明で使用されるポリ乳酸系重合体(A)は、L−乳酸とD−乳酸の組成比が94:6〜79:21であるポリ乳酸系重合体である。
尚、このようなポリ乳酸系重合体として、カーギル社から市販されている商品名”EcoPLA6310D”等が例示できる。
【0009】
L−乳酸の組成比が94を越えると脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)との融点の差が大きくなり、ポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)の多層未延伸原反を製膜する際に脂肪族ポリステル(B)の熱劣化を引き起こし、得られた熱収縮フィルムの物性低下につながり好ましくない。また、脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)とポリ乳酸系重合体(A)とを混合して用いる層においては両樹脂の相溶性が悪化しフィルム全体の透明性の低下を招き好ましくない。逆にL−乳酸の組成比が79を下回ると耐熱性低下のため、包装分野に適した熱収縮特性を有したフィルムが得られなくなり好ましくない。
【0010】
本発明で用いられる脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)としては、主として脂肪族多価アルコールと脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体から合成された脂肪族ポリエステルであり、詳しくは脂肪族多価アルコール成分として1、4−ブタンジオール、脂肪族ジカルボン酸成分としてコハク酸を用いて得られるポリエステル樹脂をポリイソシアネートを用いて高分子量化したポリブチレンサクシネート、脂肪族多価アルコール成分として1、4−ブタンジオール、脂肪族ジカルボン酸成分としてコハク酸とアジピン酸から得られるポリエステル樹脂を、ポリイソシアネートを用いて高分子量化したポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体である。また、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体の中でも、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体を用いると延伸温度を低く設定することが可能で、ひいてはより良好な低温収縮性が得られることから好適に用いられる。
尚、このような脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体として、昭和高分子(株)から市販されている商品名”ビオノーレ#1001”、”ビオノーレ#3001”等が例示できる。以下、この種の脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体を単に、脂肪族ポリエステルと称する。
【0011】
本発明において、両外層を構成する樹脂は、ポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物(C)であり、そして該混合物(C)中に占める脂肪族ポリエステル(B)の割合は、0重量%を超過し、30重量%以下である。
【0012】
また両外層を構成する樹脂は(A):(B)=99:1重量%〜70:30重量%が好ましい。さらには、(A):(B)=99:1重量%〜80:20重量%がより好ましい。
【0013】
両外層用の樹脂としてポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物(C)を使用することにより、延伸時において両樹脂の延伸挙動が異なることに由縁して、得られたフィルムの表面が適度に荒れ、摩擦係数が小さくなり滑り性が良好となる。しかしながら、脂肪族ポリエステル(B)の割合が30重量%を越えると延伸後のフィルムの透明性および光沢が悪化する傾向がある。
なお、ポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の割合が前記した範囲内であれば、両外層におけるポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物(C)の組成は同一でなくてもよい。
【0014】
また、両外層用の樹脂として脂肪族ポリエステル(B)を単独で使用した場合は、延伸後のフィルムの透明性および光沢が悪化し、好ましくない。
【0015】
またフィルム全体に占めるポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の重量的な割合は、(A):(B)=30:70重量%〜75:25重量%である。ポリ乳酸系重合体(A)の割合がこの範囲を下回ると延伸加工性が低下し、ひいては低温収縮性が発現しないため好ましくない。また、ポリ乳酸系重合体(A)の割合がこの範囲を超えると、得られるフィルムの柔軟性が低下し好ましくない。
【0016】
なお、滑剤を両外層の樹脂に添加することによって、フィルムの滑り性を改善することも可能である。しかし、滑剤として脂肪族アミド系あるいは金属セッケンを使用した場合、その種類あるいは添加量によっては、得られた熱収縮フィルムの生分解性を著しく阻害する場合がある。そのため、滑剤は添加しないか、もしくは必要最低限の添加量にとどめることが好ましい。すなわち、本発明で示されたごとく、両外層にポリ乳酸系樹脂(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物(C)を用いることは、実用上問題のない滑り性能を保持し、良好な生分解性を有する熱収縮フィルムを得るにおいて重要な意義があるのである。
【0017】
一方、本発明の両外層以外の層に使用する樹脂としては、フィルム全体に占めるポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の重量的な割合が、(A):(B)=30:70重量%〜75:25重量%となる範囲内で自由に選択できる。また、両外層以外に使用するポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物を(D)とすると、本発明の多層フィルムの構成は、(C)/(B)/(C)、(C)/(D)/(C)、(C)/(D)/(B)/(D)/(C)、(C)/(B)/(D)/(B)/(C)、(C)/(D)/(A)/(D)/(C)、(C)/(B)/(D)/(C)、等があるが、両外層に(C)が位置することを必須とすれば目的に応じて任意に設定できる。
【0018】
両外層以外に使用するポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物(D)は、ポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)のバージン原料をブレンドして使用することはもちろん、フィルム生産時に発生するスリッターロス等を再生還元することも可能である。
【0019】
両外層に使用するポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物(C)についても、ポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)のバージン原料をブレンドして使用することはもちろん、フィルム生産時に発生するスリッターロス等を再生還元することも可能である。しかし、熱履歴による樹脂の劣化を考慮した場合、透明性、光沢、滑り性に影響を与える両外層にはポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)のバージン原料をブレンドして使用することがより好ましい。
【0020】
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、上記したポリ乳酸系重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)以外に、ポリカプロラクトン系樹脂、デンプン系樹脂、ポリヒドロキシブチレート等の別種の生分解性樹脂や、滑剤、可塑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、酸化防止剤、充填剤および着色剤等の添加剤を併用することができる。
【0021】
上記した組成物を用いて、本発明の生分解性熱収縮多層フィルムを製造する方法としては、まず、インフレーション法や、Tダイ法等公知の方法で該組成物をフィルムに成形した後、テンター方式によって一軸延伸、同時二軸延伸、或いは逐次二軸延伸を行う方法が挙げられる。また、インフレーション法によるフィルム成形に引き続きチューブラー二軸延伸を行う方法が挙げられる。
【0022】
なお、上記の方法で延伸して得られたフィルムは、従来のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる熱収縮フィルムの包装に使用している包装機、シール機でのヒートシールが可能である。
【0023】
一方、本発明の生分解性熱収縮多層フィルムは90℃のグリセリン中に30秒間浸漬した後の収縮率がフィルムのMD(フィルムの縦方向)、TD(フィルムの横方向)の少なくとも一方向において20%以上のものである。収縮率がフィルムのMD、TDの少なくとも一方向において20%に満たないものは、収縮包装用途に適用しえない。
従って、前記した延伸加工時の延伸倍率は、フィルムを構成する樹脂組成、目的とする熱収縮フィルムの熱収縮特性に応じて、得られるフィルムのMD、TDの少なくとも一方向における収縮率が20%以上となるように適宜選択されるものである。
【0024】
本発明の生分解性熱収縮多層フィルムの厚みは用途によって異なるが、5〜300μm程度であることが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明をより具体的に説明する。尚、本発明は以下に記載される事項によって、限定されるものではない。
【0026】
使用されたポリ乳酸系重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)は以下の通りである。
・ポリ乳酸1:L−乳酸/D−乳酸=89.5/10.5から成るポリ乳酸系重合体(カーギル社製、商品名:EcoPLA6310D)…以下PLA1と略称する。
・ポリ乳酸2:L−乳酸/D−乳酸=98.6/1.4から成るポリ乳酸系重合体(カーギル社製、商品名:EcoPLA4030D)…以下PLA2と略称する。
・脂肪族ポリエステル:ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体(昭和高分子(株)製、商品名:ビオノーレ#3001)…以下PBSAと略称する。
【0027】
また、フィルムの透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)、熱収縮性、滑り性、ヒートシール性の評価は以下の手順によった。
・透明性(ヘイズ):日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH−20Dにて測定する。
・光沢(グロス):日本電色工業(株)製デジタル変角光沢計VG−1Dにて測定する。
・熱収縮率:延伸フィルムを裁断してMD(縦方向)、TD(横方向)ともに100mmの試験片を作製する。この試験片を90℃のグリセリン恒温槽に30秒間浸漬した後、試験片のMD、およびTDの寸法を測定して下記の式を用いて収縮率を算出する。
収縮率(%)=100×(100−L)/100
[L:90℃のグリセリンに30秒間浸漬させた後の試験片の長さ(mm)]・静摩擦係数:テスター産業(株)製スリップテスターにて測定する。
・ヒートシール性:インパルスシール機(溶断タイプ)でシールが可能であるか評価を行い、シールが可能であればシール部分15mm幅でサンプリングし、引張速度300mm/minで破断強度を測定することによりシール強度を測定する。
【0028】
[実施例1〜4]
三基の単軸押出機と三層ダイスを備えた共押出機を用いて、各層の構成、ならびにフィルム全体の構成が表1に示すようになるように、PLA1、PBSAを押出し、キャスティングロールで急冷して厚み約300μmの未延伸フィルムを得た。次いで、二軸延伸装置((株)岩本製作所)を用い、縦方向、横方向ともに4倍の延伸倍率で同時二軸延伸を行い、膜厚18μmの熱収縮性多層フィルムを得た。得られたフィルムの透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)、熱収縮性、滑り性およびヒートシール性を評価した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004220080
【0030】
表1より、実施例1〜4で示された本発明の生分解性熱収縮多層フィルムは良好な熱収縮性を有するとともに、透明性、光沢、滑り性およびヒートシール性も良好であることがわかる。
【0031】
[比較例1〜5]
三基の単軸押出機と三層ダイスを備えた共押出機を用いて、各層の構成、ならびにフィルム全体の構成が表2に示すようになるように、PLA1、PBSAを押出し、キャスティングロールで急冷して厚み約300μmの未延伸フィルムを得た。次いで、二軸延伸装置((株)岩本製作所)を用い、縦方向、横方向ともに4倍の延伸倍率で同時二軸延伸を行い、膜厚18μmの熱収縮性多層フィルムを得た。得られたフィルムの透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)、熱収縮性および滑り性を評価した。その結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0004220080
【0033】
表2の比較例1で示したように、両外層にPLA1を使用すると、熱収縮性、透明性(ヘイズ)および光沢(グロス)は非常に優れており、実施例1〜4と比較しても遜色ないフィルムが得られた。しかし、静摩擦係数は1.25と滑り性能の面で劣っている。
【0034】
比較例2で示したように、全層におけるPLA1とPBSAの重量割合が実施例1〜3と等しい50:50重量%になる様に設定され、同時に両外層のPLA1とPBSAの割合も50:50重量%に設定した混合物(C)を使用したフィルム(実質的に単層フィルム)は、延伸加工性は実施例と比較して遜色ない結果であったが、透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)は実施例よりも劣っていることがわかる。
【0035】
比較例3〜5で示したように、全層におけるPLA1とPBSAの重量割合が実施例1〜3と等しくなる様に設定され、両外層にPLA1:PBSA=60:40重量%〜0:100重量%の混合物を使用したフィルムは、延伸加工性は実施例と比較して遜色ない結果であったが、透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)は実施例よりも劣っていることがわかる。
【0036】
以上の結果より、透明性(ヘイズ)および光沢(グロス)と滑り性能を備えた熱収縮フィルムを得るためには、両外層を構成する樹脂がポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)の混合物(C)であり、なおかつ、該混合物(C)中の脂肪族ポリエステル(B)の割合がが0重量%を超過し、30重量%以下であることが必須条件である。
【0037】
[比較例6、7]
三基の単軸押出機と三層ダイスを備えた共押出機を用いて、各層の構成、ならびにフィルム全体の構成が表3に示すようになるように、PLA2、PBSAを押出し、キャスティングロールで急冷して厚み約300μmの未延伸フィルムを得た。次いで、二軸延伸装置((株)岩本製作所)を用い、縦方向、横方向ともに4倍の延伸倍率で同時二軸延伸を行った。しかしながら延伸温度を80〜120℃に変化させて適切な延伸温度を探ったにもかかわらず延伸することができなかった。
【0038】
【表3】
Figure 0004220080
【0039】
比較例6、7の結果より、L−乳酸、D−乳酸を本発明に示されたごとくの割合で含有するポリ乳酸を使用しないと、収縮包装分野に適した生分解性熱収縮多層フィルムが得られないことが明らかである。
【0040】
尚、以上の実施例、比較例においては得られたサンプルの透明性、光沢、熱収縮性、延伸加工特性、滑り性、ヒートシール性に着目し、生分解性についてはあえて言及しなかったが、本発明において用いられる2種の合成樹脂の特性上、本発明の生分解性熱収縮多層フィルムが完全な生分解性を有することは自明である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の生分解性熱収縮多層フィルムは、熱収縮性、とりわけ低温での熱収縮特性が優れているとともに、透明性、光沢および滑り性能にも優れ、シートシールが可能であるという特長を有している。また、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステルを主成分とするため、廃棄された場合に自然環境の中で生分解され、自然環境に悪影響を与えない。さらに、たとえ焼却処理された場合でも、ポリ乳酸系重合体、脂肪族ポリエステルともに分子中に塩素が存在しないため、焼却時に有毒ガスを発生する恐れはない。
このように本発明により提供される生分解性熱収縮多層フィルムは自然環境に負荷をかけない包装材料であり、当業界において有用に活用されるものである。

Claims (3)

  1. L−乳酸とD−乳酸の組成比が94:6〜79:21であるポリ乳酸系重合体(A)と、主として脂肪族多価アルコールと脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体から合成された脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)からなり脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)の割合が0重量%を超過し、30重量%以下である混合物(C)からなる両外層、並びに前記両外層間にポリ乳酸系重合体(A)、及び/又は、脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)からなる少なくとも1つの層を有し、全層におけるポリ乳酸系重合体(A)と脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)の割合が、(A):(B)=30:70重量%〜75:25重量%である多層フィルムを、少なくとも一方向に延伸することによって得られるフィルムであって、90℃のグリセリン中に30秒間浸漬した後の収縮率が、フィルムのMD、TD方向の少なくとも一方向において20%以上であることを特徴とする生分解性熱収縮多層フィルム。
  2. 両外層の樹脂組成比が、(A):(B)=99:1重量%〜70:30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性熱収縮多層フィルム。
  3. 脂肪族多価アルコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体(B)が、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性熱収縮多層フィルム。
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