JP4219646B2 - グロープラグ通電制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動を補助するグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置に関し、特に、マイクロコンピュータを備えるグロープラグ通電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にディーゼル自動車等においては、外気の温度が低くてエンジンが冷却されているような状態で始動される場合、シリンダ内の空気を圧縮しても燃料着火温度まで達しないため、これを補助する目的からグロープラグが取り付けられている。つまり、グロープラグは、これを高温加熱した後に、空気を圧縮して燃料を噴射することにより、シリンダ内の燃料に着火して、エンジンの始動を補助するものである。
近年、エンジンの始動性向上の要請に応え、グロープラグは、エンジン始動当初に直流電圧を印加することにより、短時間のうちに高温にまで昇温できるようになってきているが、それ故、直流電圧の印加時間を適切に制御しないと、グロープラグに大きな負担が掛かる。即ち、グロープラグへの直流電圧の印加時間が不必要に長くなると、過昇温となり、グロープラグが断線するなどの不具合が生じることがある。
【0003】
グロープラグの通電制御は、一般には、図7に示すように、グロープラグ通電制御装置100によって行われている。まず、キースイッチ(始動スイッチ)101をオンすると、グロープラグ通電制御装置100にバッテリ102から電力が供給される。そうすると、グロープラグ通電制御装置100が立ち上がり、予め設定された所定時間にわたりグロープラグ103への通電を行い、グロープラグ103を目標温度まで昇温させる。
ところで、近年のグロープラグ通電制御装置として、グロープラグへの通電制御等の精度を高める目的で、マイクロコンピュータを備え、このマイクロコンピュータにより上述の通電制御を含めた各種制御を実行するものが普及している。このようなマイクロコンピュータを備えたグロープラグ通電制御装置では、図8に示すように、時刻t90にキースイッチをオンすると、マイクロコンピュータに電力が供給され、マイクロコンピュータが初期通電期間T0(時刻t91〜t92)だけグロープラグへ直流電圧(デューティ比100%)を印加する。さらに、その後は、プラグ温度を所定温度(例えば1000℃)に保つように、PWM制御(例えばデューティ比50%)による通電制御を行う。また、その後、例えば時刻t93でキースイッチをオフすると、マイクロコンピュータへの電力供給が遮断され、非動作となる。従って、プラグ温度は一点鎖線で示すように、常温に向かって徐々に低下する。また、マイクロコンピュータが非通電となるので通電制御に用いていた情報は揮発する。
【0004】
しかし、このようなマイクロコンピュータを備えるグロープラグ通電制御装置を用いてグロープラグの通電制御を行った場合、以下のような状況において問題が生じることがある。即ち、上述のように、操作者がキースイッチ101をオン(時刻t90)してグロープラグ103に通電している最中(時刻t93)にキースイッチをオフし、さらにその後短時間のうちに、即ち時刻t94に、再びキースイッチ101をオンしてグロープラグに通電させようとすることがある(以下、このような再通電を短時間再通電ともいう)。
この場合には、再びグロープラグ通電制御装置101、つまりマイクロコンピュータが立ち上がって、制御を始める時刻t95の段階では、先の通電でグロープラグ103が昇温しているため、短時間のオフ(時刻t93〜t95)ではグロープラグ103が十分降温していない。このため、グロープラグ103がまだある程度の高温状態(図8では250℃の状態)から、再び通電が開始されることになる。しかるに、グロープラグ通電制御装置101(マイクロコンピュータ)は、初期通電期間T0の期間(時刻t95〜t96)にわたって、直流電圧を印加し続け、その後、PWM制御を行う。このため、グロープラグ103が過昇温(例えば、時刻t96で1200℃)となる。
【0005】
このような問題を解決するため、従来より、いくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1、及び特許文献2では、コンデンサと抵抗器からなるメモリ素子(コンデンサ充放電回路)をマイクロプロセッサに接続した構成としている。そして上述の公報記載の技術では、キースイッチがオンされて、マイクロコンピュータに電力が投入されたときには、メモリ素子(コンデンサ充放電回路)のコンデンサが充電されていることを認識すると、コンデンサの充電電圧に応じて通電時間を補正して、グロープラグの過昇温を防止することが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−253177号公報
【特許文献2】
特開昭60−26177号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に示されたグロープラグの通電制御装置では、メモリ素子(コンデンサ充放電回路)の特性(充放電特性)と、グロープラグの昇降温特性とのマッチングが複雑であり、調整に手間がかかる問題がある。さらに、メモリ素子(コンデンサ充放電回路)の他に、ダイオード、コンパレータといった多数の電子部品を使用した構成を採っているため、装置自体が高価になる。
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、再始動時においても、グロープラグを適切な温度に昇温することができる、即ち、過昇温を防止することができ、構造が簡単で安価なグロープラグ通電制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、始動スイッチのオンにより第1電源からの第1電力供給回路が形成されるマイクロコンピュータを備えるグロープラグ通電制御装置であって、上記マイクロコンピュータの作動により実現され、少なくとも上記グロープラグのヒータ温度の昇温時及び降温時に、このヒータ温度に対応した新たな制御量を、過去に得た制御量を基礎として算出し更新する制御量算出手段と、上記制御量を用いて上記グロープラグの通電制御を行う通電制御手段であって、上記始動スイッチがオフのときには、上記グロープラグへの通電を遮断する通電制御手段と、上記始動スイッチがオンからオフへ切換えられた後でも、上記制御量が上記グロープラグのヒータ温度がしきいヒータ温度以下となったことに対応する所定条件を満たすまでは、前記マイクロコンピュータへの電力供給を確保して、上記制御量の算出更新を含む上記マイクロコンピュータの作動を維持する作動維持手段と、を備えるグロープラグ通電制御装置である。
【0010】
本発明のグロープラグ通電制御装置では、制御量算出手段で制御量を算出し、この制御量を用いてグロープラグの通電制御を行うほか、作動維持手段を備える。このように作動維持手段を備えるため、始動スイッチがオフに切り換えられた後でも、制御量が所定条件を満たすまで、つまり、グロープラグのヒータ温度がしきいヒータ温度以下になるまで、マイクロコンピュータの作動が維持され、制御量が算出更新される。
始動スイッチがオフになると、通電制御手段は、グロープラグへの通電を遮断する。従って、ヒータ温度が高い場合には、ヒータ温度が下がり始める。
ここでまず、始動スイッチがオフした後、制御量が所定条件を満たしたために、マイクロコンピュータへの電力供給回路が形成されなくなった場合、つまりヒータ温度がしきいヒータ温度以下となったためにマイクロコンピュータへの通電がオフされた場合について考察する。この場合には、その後に始動スイッチをオンに切り換えると、再びマイクロコンピュータへ電力が供給され、マイクロコンピュータが立ち上がって作動を開始し、グロープラグの通電制御が開始される。この場合には、ヒータ温度はしきいヒータ温度以下に低下しているのであるから、通常の始動と同じ、つまりヒータ温度が低いことを前提としたグロープラグの通電制御を行う。これにより、グロープラグが通電され昇温するが、目標温度を超える過昇温は生じない。
【0011】
一方、始動スイッチをオフした後、制御量が所定条件を満たす前に、再び始動スイッチがオンした場合、つまり短時間再通電の場合を考える。この場合、作動維持手段により、マイクロコンピュータは依然として作動しており、これによって実現される制御量算出手段により、ヒータ温度に対応する制御量も算出更新されている。従って、まだ十分冷えていないグロープラグについて再通電(短時間再通電)を行うことになっても、この算出更新される最新の制御量(つまりヒータ温度)を用いて通電制御を開始することで、適切な通電制御を行うことができ、グロープラグの過昇温を防止することができる。
しかも、マイクロコンピュータの作動維持手段を備えれば、特許文献1や特許文献2に示されているメモリ素子(コンデンサ充放電回路)などを形成しておく必要はなく、回路構成も簡単になり、安価なグロープラグ通電制御装置とすることができる。
また、始動スイッチのオフ後、所定条件が満たされれば、マイクロコンピュータへの通電も遮断されるから、マイクロコンピュータへの通電維持による電力消費はその期間が限定される。従って、第2電源にバッテリを用いる場合でも、バッテリ上がりなどの不具合を生じさせない。
【0012】
なお、制御量としては、グロープラグのヒータ温度の対応した量(値)であり、新たな制御量を得るのに当たり、過去に得た制御量に基づいて算出するという算出形態を持つ制御量を用いればよい。
このような制御量としては、例えば、初期ヒータ温度のグロープラグを、現在のヒータ温度まで短時間で加熱するために、このグロープラグに投入を要する電力量を示す対応電力量が挙げられる。加熱開始後に投入した電力から推定したヒータ温度の温度推定値が挙げられる。また、グロープラグへの印加電圧(バッテリ電圧など)一定値であるという条件の下、あるいは一定値であると仮定して換算を行った上で、現在のヒータ温度は何秒通電したのに相当するかを示す対応通電時間などが挙げられる。あるいは、グロープラグを現在のヒータ温度から短時間で目標温度(例えば1000℃)まで昇温させるのに要する要求電力量などを制御量として用いることもできる。
【0013】
さらに、上記したグロープラグ通電制御装置であって、前記作動維持手段は、第2電源から前記マイクロコンピュータへの第2電力供給回路を開閉する第2回路スイッチと、前記始動スイッチがオンからオフへ切換えられた後でも、前記所定条件が満たされるまで、上記第2回路スイッチをオンする第2回路スイッチ制御手段と、を含むグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0014】
本発明のグロープラグ通電制御装置では、作動維持手段に第2回路スイッチと第2回路スイッチ制御手段を含む。この第2回路スイッチ制御手段は、所定条件が満たされるまで、第2回路スイッチをオンとする。従って、第2電力供給回路を通じてマイクロコンピュータへの電力供給が確保され、マイクロコンピュータの作動を維持することができる。第2スイッチと、マイクロコンピュータの作動により実現される第2回路スイッチ制御手段を用いれば足りるから、簡単な回路構成及び制御によって、適切な通電制御を行ってグロープラグの過昇温を防止することができる、安価なグロープラグ通電制御装置となしうる。
なお、第2回路スイッチは、マイクロコンピュータへの通電と非通電とを切り換え得るものであればよく、例えば、リレースイッチや、トランジスタ、パワーMOSFET、サイリスタ、GTO等のスイッチング素子、あるいはこれれを含むスイッチ回路が挙げられる。
【0015】
さらに、上述のグロープラグ通電制御装置であって、前記第1電源と前記第2電源は、同一電源であるグロープラグ通電制御装置とすると良い。このグロープラグ通電制御装置を用いるに当たり、2つの電源を用いる必要がないため、全体として安価にすることができるからである。
【0016】
また上記いずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記通電制御手段は、前記始動スイッチのオフからオンへの切換時に前記マイクロコンピュータが非通電により非動作であるときには、所定の初期の制御量に基づいて通電制御を開始し、上記始動スイッチのオフからオンへの切換時に上記マイクロコンピュータの作動中であるときには、最新の前記制御量に基づいて通電制御を行うグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0017】
本発明のグロープラグ通電制御装置では、始動スイッチのオフからオンへの切換時にマイクロコンピュータが非通電により非動作の場合には、所定の初期の制御量を用いてグロープラグへの通電制御が開始される。マイクロコンピュータが非通電となっているということは、作動維持手段でグロープラグが十分降温したと判断されたために、マイクロコンピュータへの通電が遮断されたと考えられるから、所定の初期の制御量、例えば、ヒータ温度が常温であることを前提に設定された初期の制御量を用いて、目標温度に至るように適切にグロープラグの通電制御を行うことができる。
【0018】
一方、始動スイッチのオフからオンへの切換時にマイクロコンピュータが通電されている場合、つまり短時間再通電の場合には、最新の制御量を用いて通電制御を行う。始動スイッチがオフであるにも拘わらず、マイクロコンピュータが作動しているということは、作動維持手段でまだグロープラグが十分降温していないと判断されているから、マイクロコンピュータの通電が維持されていると考えられるからである。
もしここで、上述の場合と同様に初期の制御量を用いれば、実際はまだヒータ温度が高いにも拘わらず、常温など低いヒータ温度に対応する初期の制御量を用いることとなる。すると、これ以降に制御量算出手段で算出される制御量も、正しいヒータ温度に対応していないこととなる。このため、この制御量を用いて通電制御すれば過昇温を生じる。
これに対し、本発明では、始動スイッチのオフの後に所定条件を満たすまで、マイクロコンピュータの作動を維持して、ヒータ温度に対応した制御量を算出している。このため、短時間通電時には、実際のヒータ温度と制御量との対応を正しく保った状態で、この制御量を用いてグロープラグへの通電制御を行うから、過昇温になることなく適切にグロープラグのヒータ温度制御を行うことができる。
【0019】
あるいは、前記始動スイッチのオフからオンへの切換時に前記マイクロコンピュータが非通電により非動作であるとき、初期の前記制御量を取得する初期値取得手段を備え、前記通電制御手段は、前記グロープラグへの通電を断続するグロー通電スイッチと、上記グロー通電スイッチをスイッチング制御するグロー通電スイッチ制御手段であって、上記始動スイッチがオフしているときには、上記グロー通電スイッチをオフし、前記始動スイッチのオフからオンへの切換時に上記マイクロコンピュータが非通電により非動作であるときには、上記初期値取得手段で取得した上記初期の制御量に基づいて上記グロー通電スイッチの制御を開始し、上記始動スイッチのオフからオンへの切換時に上記マイクロコンピュータの作動中であるときには、最新の前記制御量に基づいて上記グロー通電スイッチの制御を行うグロー通電スイッチ制御手段と、を含むグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0020】
本発明のグロープラグ通電制御装置では、初期値取得手段と備え、また、通電制御手段に、グロー通電スイッチとグロー通電スイッチ制御手段をふくむ。このグロー通電スイッチ制御手段では、以下のような制御が行われれる。
即ち、始動スイッチがオフしているときには、グロー通電スイッチをオフし、グロープラグへの通電を遮断する。操作者が始動スイッチをオフとしたことから、エンジンを始動させる意思が無くなったと考えられるので、グロープラグへの通電も不要となったからである。
一方、マイクロコンピュータの作動中で、かつ、始動スイッチがオンを維持しているときには、電力量算出手段で得た最新の制御量に基づいてグロー通電スイッチの制御を行う。操作者がエンジンを始動させる意思を有しているからである。この場合、最新の制御量に基づいてグロー通電スイッチを制御するので、適切な制御が可能となる。
【0021】
ところで、始動スイッチが一旦はオフとされたが、再びオンとされることがある。この場合において、始動スイッチのオフからオンへの切換時にマイクロコンピュータが非通電により非動作である場合がある。このときには、初期の制御量に基づいてグロー通電スイッチの制御を開始する。本発明では、マイクロコンピュータが非通電ということは、始動スイッチがオフとなった後、グロープラグが降温し、作動維持手段による作動維持が完了したと考えられる。従って、その後に始動スイッチをオンさせたときには、低いヒータ温度に対応する初期の制御量を用いて通電制御を開始する。その後は、この初期の制御量を基礎として新たな制御量が算出される。
【0022】
一方、始動スイッチのオフからオンへの切換時にマイクロコンピュータの作動中である場合もある。このときには、電力量算出手段で得た最新の制御量に基づいてグロー通電スイッチの制御を行う。マイクロコンピュータが作動中ということは、始動スイッチがオフとなった後、まだグロープラグの充分降温していないために、作動維持手段によってマイクロコンピュータへの通電が維持されていると考えられる。また、制御量も算出されている。従って、このタイミングで始動スイッチをオンさせたときには、現在のヒータ温度に対応する最新の制御量を用いてヒータ温度の昇温を再開する。このように、短時間再通電の場合には、上述のような初期の制御量を用いるのではなく、現在のヒータ温度に対応した最新の制御量を用いる。すると、その後も、この制御量を基礎として新たな制御量が算出されるから、実際のヒータ温度と制御量とが正しく対応した状態を維持しながらヒータ温度を昇温させることができる。かくして、短時間再通電を行っても、過昇温になることなく、適切にヒータ温度を昇温させることができる。
なお、グロー通電スイッチは、グロープラグへの通電と非通電とを切り換え得るものであれば良く、リレースイッチや、トランジスタ、パワーMOSFET、サイリスタ、GTO等のスイッチング素子、あるいはこれらを含むスイッチ回路が挙げられる。
【0023】
さらに、上記のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記所定条件は、前記制御量が、しきいヒータ温度に対応するしきい制御量に比して、上記しきいヒータ温度よりも低いヒータ温度に対応する制御量となることであるグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0024】
制御量算出手段で算出される制御量は、グロープラグのヒータ温度に対応する。この制御量が、しきい制御量が対応するしきいヒータ温度よりも、低いヒータ温度に対応する制御量になれば、実際のヒータ温度もしきいヒータ温度以下となったと考えられる。かくして、グロープラグが充分降温したとして、マイクロコンピュータの通電を遮断すれば良い。
また、こうすることで、作動維持手段によって、始動スイッチがオフされた後に維持されるマイクロコンピュータへの通電時間が、ヒータ温度が充分低下するまでという限られた時間に限定されるから、マイクロコンピュータの作動による消費電力も必要最小限に限定される。特に、電源としてバッテリを用いる場合には、マイクロコンピュータへの通電が長時間となることによるバッテリ上がりを防止することができる。
【0025】
さらに、上記いずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記制御量は、対応電力量であり、前記制御量算出手段は、上記グロープラグのヒータ温度の昇温時に、このヒータ温度に対応した新たな対応電力量を、過去の時点に得られていた対応電力量と上記過去の時点から現在までに投入した増加電力量とを加えて算出し更新する電力量算出手段であるグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0026】
グロープラグのヒータ温度と対応電力量との間には対応関係がある。一方、対応電力量は、昇温時には、過去に得ていた対応電力量と増加電力量の和により、またこのうちの増加電力量は、グロープラグへの印加電圧等を測定することで、容易に算出することができる。従って、制御量としてこの対応電力量を、電力量算出手段で算出更新することで、容易に制御を行うことができる。
【0027】
ここで、対応電力量とは、グロープラグのヒータ温度に対応した量であり、初期ヒータ温度(例えば0℃)のグロープラグを、現在のヒータ温度まで短時間(例えば、3秒間、5秒間など)で加熱するために、このグロープラグに投入を要する電力量をいう。初期ヒータ温度(例えば0℃)のグロープラグに対し、大きな電力を投入した場合(例えば12Vの直流電圧(デューティ100%)を印加し続けた場合)に、ヒータ温度が例えば3〜5秒間で1000℃まで急速昇温するグロープラグがある。このグロープラグについてヒータ温度変化を見ると、1000℃程度までは時間の経過とともにほぼ直線的に上昇する。一方、この間に投入した電力量も時間の経過とともに直線的に増加する。従って、このグロープラグようなについて言えば、ヒータ温度と投入した電力量とが1対1で対応していることとなる。そこで、この電力量をヒータ温度に対応した対応電力量とする。従って、例えば、1000℃のヒータ温度に対応する対応電力量、400℃のヒータ温度に対応する対応電力量などが決まる。
なお、PWM通電などによって、グロープラグのヒータ温度が一定温度(例えば1000℃)に維持されている場合、実際にグロープラグに投入されている電力量は、時間の経過と共に増加する。しかし、対応電力量は変化しない。1000℃にまで急速昇温させるのに要する電力量は、PWM通電の前後で同じだからである。
また、加熱されたグロープラグに対する通電を遮断すると、放熱によりヒータ温度は徐々に低下する。この場合、投入された電力量はもはや増減しない。しかし、対応電力量は減少する。例えば、ヒータ温度が400℃である場合、対応電力量はグロープラグを400℃まで急速昇温させるのに要する電力量である。従って、対応する温度が高いほど対応電力量は大きくなるからである。かくして、ヒータ温度が低下すれば、対応電力量が少なくなる。
この対応電力量は、グロープラグに印加するプラグ電圧とグロープラグに流す電流との積及び通電時間から求めることができる。あるいは、グロープラグに印加するプラグ電圧とグロープラグの抵抗値及び通電時間から求めることもできる。
【0028】
さらに上記グロープラグ通電制御装置であって、前記対増加電力量は、前記グロープラグの抵抗値とこのグロープラグに印加されたプラグ電圧とこのグロープラグへの通電時間とに基づいて算出するグロープラグ通電制御装置とするのが好ましい。
【0029】
増加電力量は、プラグ電圧とグロープラグに流す電流との積及び通電時間から求めることもできる。しかし、一般に、グロープラグの抵抗値は数オーム以下の低抵抗であるので、電流を測定するためにグロープラグと直列に検出抵抗を挿入すると、この検出抵抗による電圧降下が無視できない大きさとなり、流せる電流が減少することになりやすい。そこで、既知のグロープラグの抵抗値と、プラグ電圧及び通電時間とに基づいて、前回の対応電力量を得た過去から現在までに投入した電力量を求めるのである。
【0030】
さらに、上記いずれかに記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記通電制御手段は、前記制御量が目標温度に対応する目標制御量に達した後は、所定時間にわたりPWM通電制御により、前記グロープラグへの通電を断続してグロープラグのヒータ温度を維持するグロープラグ通電制御装置とするのが好ましい。グロープラグのヒータ温度が目標温度に達した後も、所定期間にわたりヒータ温度を目標温度に維持できるので、その間にいつでもエンジンを始動することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施形態のグロープラグ通電制御装置10をバッテリBT及びグロープラグGP1に接続した状態の回路図を示す。バッテリBTはキースイッチSSWを介して、このグロープラグ通電制御装置10の接続端子10Bに接続される。さらにこのバッテリBTは、別途、このグロープラグ通電制御装置10の接続端子10Cに接続される。また、グロープラグGP1は、接続端子10Dに接続されている。このグロープラグGP1は、公知の構成を有しており、その先端に発熱コイルを備え、抵抗値RGである。この発熱コイルは、Fe−Cr合金あるいはNi−Cr合金等から構成され、20℃における電気比抵抗R20と1000℃における電気比抵抗R1000との比(R1000/R20)が0.9〜1.2の、温度変化による抵抗値変化が小さな材料を用いている。
【0032】
このグロープラグ通電制御装置10は、グロープラグGP1への通電制御を行うものであり、短時間再通電を行っても、グロープラグGP1の過昇温を適切に防止することができるように構成されている。このグロープラグ通電制御装置10は、マイクロコンピュータ1、ダイオード3,6、三端子レギュレータ4、第2回路スイッチ5を有している。操作者の操作により、キースイッチSSWがオンとなると、バッテリBTから、キースイッチSSW、接続端子10Bを通じ、ダイオード3を経由する第1回路C1により、三端子レギュレータ4にバッテリ電圧Vbatが印加される。これにより、三端子レギュレータ4からの駆動電圧VDDがマイクロコンピュータ1の電源端子1Bに入力される。マイクロコンピュータ1は、詳細な構成は図示しないが、ROM,RAM,CPU等、公知の構成を有し、その電源端子1Bと接地端子1Cとの間に、電源端子1Bに駆動電圧VDDが印加されることによって作動し、後述する通電制御のためのプログラムが自動的に立ち上がるように構成されている。また、このマイクロコンピュータ1は、スイッチ信号出力端子1Dを有しており、抵抗7,8で分圧して入力されるスイッチ信号SDによって、キースイッチSSWのオンオフを監視することができる。即ち、スイッチ信号SDがハイレベルの場合には、キースイッチSSWはオンであり、逆に、スイッチ信号SDがローレベルの場合には、キースイッチSSWはオフである。
【0033】
さらに、マイクロコンピュータ1は、スイッチ信号出力端子1Eを有しており、スイッチ信号SEによって、第2回路スイッチ5の開閉を制御できる。即ち、スイッチ信号SEをハイレベルHとすることで、第2回路スイッチ5がオンとなり、バッテリBTから、接続端子10C、第2回路スイッチ5、ダイオード6を経由する第2回路C2によっても、三端子レギュレータ4にバッテリ電圧Vbatが印加できるようになっている。つまり、三端子レギュレータ4とバッテリBTとの間には、2つの経路が存在することになる。
【0034】
そのほか、このグロープラグ通電制御装置10は、バッテリBTからグロープラグGP1への通電を断続するためのグロー通電スイッチ12を有している。グロー通電スイッチ12は、マイクロコンピュータ1のスイッチ信号出力端子1Fと接続している。このため、マイクロコンピュータ1のスイッチ信号出力端子1Fから出力されるスイッチ信号SFによって、このグロー通電スイッチ12の断続を制御することができる。さらに、グロープラグGP1に実際に印加されている電圧(プラグ電圧)VGを、抵抗13,14で分圧して、プラグ電圧入力端子1Gに入力することにより、プラグ電圧VGも監視することができる。なお、プラグ電圧VGは、VG={(R1+R2)/R2}・VEで与えられる。ここで、VEは、プラグ電圧入力端子1Gに入力された入力電圧である。
【0035】
次いで、このマイクロコンピュータ1で実行するグロープラグの通電制御について、図2及び図3に示すフローチャートを参照して説明する。この通電制御では、基本的に、以下の動作を行わせる。即ち、操作者がキースイッチSSWをオンすると、バッテリ電圧VbatをグロープラグGP1に直接印加して、短時間に昇温させて目標温度TEGA(1000℃)まで到達させる。さらにPWM制御により、この目標温度TEGAを所定期間TAだけ維持し、操作者の始動指示(エンジンのクランキング)を待つ。しかるに、PWM制御が所定期間を越えた場合には、グロープラグGP1への通電(PWM制御)を止める(グロープラグGP1を冷却する)。操作者が忘れるなど、何らかの理由により、エンジンを始動させる意思がなくなったと考えられるからである。
【0036】
まず、マイクロコンピュータ1に電源が投入されると、具体的には、三端子レギュレータ4を通じて、電源端子1Bに駆動電圧VDDが印加されると、マイクロコンピュータ1が所定の手順で作動し始める。その後、図2に示すように、ステップS1において、このプログラムの初期設定を行う。その中で、対応電力量P=0、PWM通電期間T1=0とする。
【0037】
さらに、ステップS2において、第2回路スイッチ5をオンにする。具体的には、スイッチ信号出力端子1Eから出力するスイッチ信号SEをハイレベルとする。これにより、三端子レギュレータ4及びマイクロコンピュータ1は、キースイッチSSWを経由する第1回路C1の他、第2回路スイッチ5を経由する第2回路C2を経由しても、バッテリBTに接続されたことになる。従って、後述するように、操作者がキースイッチSSWをオフさせて第1回路C1を開路しても、第2開路C2を通じて、バッテリBTからの電力供給を確保できることになる。
【0038】
次いで、グロープラグ通電処理のサブルーチン(ステップS3)に進む。さらに、ステップS4では、所定のサイクルタイム△T1が経過したか否かを判断し、サイクルタイム経過後、ステップS3のグロープラグ通電処理のサブルーチンに戻る。かくして、ステップS3,S4の繰り返しをマイクロコンピュータ1への電力供給が絶たれるまで継続する。
【0039】
次いで、ステップS3のグロープラグ通電処理のサブルーチンを図3に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS31で、キースイッチSSWがオンしているかをチェックする。具体的には、スイッチ信号入力端子1Dに入力されるスイッチ信号SDがハイレベルであるか否かの判断をする。ここで、Yes即ち、キースイッチSSWがオンされている場合には、ステップS32に進む。なお、このステップS31で、Yesと判断されるのは、キースイッチSSWのオンによって、非通電であったマイクロコンピュータ1が通電されて立上がり、このステップS31でYesと判断した場合、及び、既にキースイッチSSWがオンとされ、マイクロコンピュータ1に通電されていた場合の2つが含まれる。一方、このステップS31で、Noと判断されるのは、マイクロコンピュータ1は通電され作動しているが、キースイッチSSWはオフされている場合である。
【0040】
ステップS32では、グロープラグGP1への通電が必要であるか否かを判断する。具体的には、グロープラグGP1に対するPWM通電期間T1が、所定期間TAを超えたか否かを判断する。上述したように、PWM通電期間が所定期間TAを超えた場合には、グロープラグGP1への通電(ヒータ温度の維持)を止めるからである。ここで、Yes、つまりグロープラグGP1を目標温度TEGAまで昇温させる前あるいはPWM制御の継続時間が所定期間TAより短い場合には、さらなる通電が必要であるので、ステップS33に進む。
【0041】
ステップ33では、プラグ電圧VGを測定する。具体的には、プラグ電圧入力端子1Gに印加されている入力電圧VEを読み込み、前述した式VG={(R1+R2)/R2}・VEによって算出する。プラグ電圧VG(バッテリ電圧Vbat)は、他機器の駆動やクランキングなどにより時間とともに変動するので、各時点でのプラグ電圧を得ておくことで、後述する対応電力量Pの算出、あるいはPWM制御のおけるデューティ比の選択に用いることができるからである。
【0042】
次いで、ステップS34では、現在の対応電力量Pと目標電力量PAとを比較する。なお、目標電力量PAは正の数である(PA>0)。この対応電力量Pは、前述したステップS2で与えられるほか、後述するステップS36,S3C,S3Gで算出する。後述するように、対応電力量Pはヒータ温度TEGに対応しているので、ステップS34では、ヒータ温度TEGが目標温度TEGAに達しているか否かを判定するのに代えて、対応電力量Pが目標電力量PAに達しているか否かを判断する。ここで、No、つまりP<PAの場合には、ステップS35に進む。マイクロコンピュータ1が立ち上がり、ステップS2において、初期の対応電力量Pとして、P=0が与えられた場合には、これから、グロープラグGP1を昇温させる必要があるからである。同じく、後述するステップS36で算出された対応電力量Pが、まだP<PAの場合にも、さらにグロープラグGP1を昇温させる必要があるからである。一方、P≧PAの場合には、ステップS37に進む。現在の対応電力量Pが目標電力量PAを超えたから、対応するヒータ温度TEGも目標温度TEGA(例えば1000℃)を越えたと考えられるからである。
【0043】
ここで、対応電力量PとグロープラグGP1のヒータ温度TEGの関係について、図4を参照して説明する。本実施形態において用いるグロープラグGP1は、バッテリ電圧Vbatを印加すると、常温(例えば20℃)から短時間(3〜5秒程度)で1000℃にまで到達する急速昇温タイプのグロープラグである。そしてこの短時間の期間では、このグロープラグのヒータ温度TEGは時間とともに、ほぼ直線的に上昇する。同様に、昇温開始後にこのグロープラグに投入した電力量も時間とともに直線的に増加する。図4に即して説明する。時刻t1から時刻t2まで、グロー通電スイッチ12をオンとして、グロープラグGP1にバッテリ電圧Vbatを印加すると、ヒータ温度TEGが時間とともに直線的に増加し、時刻t2には、目標温度TEGA(1000℃)に達していることがわかる。一方、開始の時刻t1から各時刻までに投入された電力量も時間とともに直線的に増加し、時刻t2では、目標電力量PAに達する。このように、この期間においては、ヒータ温度TEGと投入された電力量との間には、対応関係があることがわかる。
【0044】
これに対し、グロープラグGP1に投入された電力については、プラグ電圧VGとグロープラグを流れる電流、あるいは、プラグ電圧VGとグロープラグの抵抗値RGが判れば算出できる。そこで、本実施形態では、ヒータ温度TEGと対応する量として対応電力量Pを導入する。対応電力量Pは、常温(例えば20℃)のグロープラグGP1を短時間(3〜5秒程度)で対応するヒータ温度TEG(例えば400℃)にまで昇温させるのに、このグロープラグGP1へ投入が必要な電力量で表す。
なお、後述するように、図4に示す実施例1では、時刻t2〜t3の期間中、PWM制御を行い、ヒータ温度TEGを1000℃に保っている。この間、対応電力量Pも一定となる。実際には、グロープラグGP1に電力が投入されてヒータ温度TEGが維持されている。しかし、対応電力量Pはヒータ温度TEGに対応する量であるから、時刻t1〜t2においては、実際に投入された電力量と同じになるが、時刻t2〜t3においては、両者は異なる値となる。
【0045】
ステップS35では、デューティ100%通電、つまり、直流電圧の印加を行う。具体的には、グロー通電スイッチ12をオンさせて、グロープラグGP1にバッテリ電圧Vbatを連続して印加する。
【0046】
次いで、ステップS36に進み、対応電力量Pの算出と更新を行う。上述したように、ステップS35でデューティ100%通電を行うため、グロープラグGP1のヒータ温度TEGは上昇する。そこで、このステップS36では、新たな対応電力量Pを、P=P+(VG2/RG)・△T1によって算出し更新する。ここで、RGはグロープラグGP1の持つ抵抗値、VGはステップS33で得たプラグ電圧である。また、△T1はサイクルタイム、つまり前回の対応電力量Pの算出からの経過時間である。なお、本実施形態に用いるグロープラグGP1は、その発熱コイルに温度変化による抵抗値変化が小さな材料を用いている。そこで、グロープラグGP1の抵抗値RGは温度によらず一定とみなして、上述の対応電力量Pを算出することとする。
ステップS36での算出更新が済んだら、メインルーチンに戻る。前述したように、メインルーチンでは、サイクルタイム△T1の経過を待って、再びグロープラグ通電処理のサブルーチン(ステップS3)に戻る。
【0047】
一方、ステップS34で、Yes即ち、P≧PAの場合には、ステップS37に進み、PWM通電を行う。具体的には、目標温度TEGA(例えば1000℃)を維持するため、グロー通電スイッチ12を所定のデューティ比でオンオフして、ステップS35で与える電力よりも小さな電力を与える。さらに具体的には、ステップS33で測定したプラグ電圧VGを用いて、スイッチ信号出力端子1Fから送信するスイッチ信号SFのデューティ比を決定し、グロー通電スイッチ12をこのデューティ比でオンオフさせる。プラグ電圧VG(つまりバッテリ電圧Vbat)が変動すると、グロープラグGP1に投入される電力量が変化するので、現在のプラグ電圧VGで目標温度TEGAを維持するのに適切なデューティ比を用いる。このデューティ比を求めるには、算出式を用いても良いが、プラグ電圧VGとこれに適合するデューティ比とを予め求め、これを1次元のテーブルとして記憶しておき、プラグ電圧VGに応じて、デューティ比を選択するようにすると良い。
【0048】
次いで、ステップS38に進み、PWM通電期間T1を、T1=T1+△T1によって求める。前述したように、ステップS2において、T1=0としたので、このPWM通電期間T1は、0から△T1ずつ増加する。このPWM通電期間T1は既に説明したように、ステップS32におけるグロー通電の要否判断に利用する。ステップS38が済んだら、メインルーチンに戻る。前述したように、メインルーチンでは、サイクルタイム△T1の経過を待って、再びグロープラグ通電処理のサブルーチン(ステップS3)に戻る。
【0049】
また、ステップS32でNo、つまりPWM通電期間T1が所定期間TAより以上となった場合(T1≧TA)には、ステップS39に進み、グロープラグGP1の通電をオフとする。具体的には、グロー通電スイッチ12をオフとする。これにより、PWM制御によってヒータ温度TEGが目標温度TEGA(例えば1000℃)に維持されていたグロープラグGP1は、放熱によって徐々に冷却され、ヒータ温度TEGが徐々に低下する。
【0050】
次いで、ステップS3Aでは、PWM通電期間T1を、T1=0とする。目標温度TEGAの維持を行わなくなったから、再度PWM通電を行う際に備えるためである。
さらに、ステップS3Bに進み、対応電力量Pをしきい電力量PBとを比較する。なお、しきい電力量PBは0または正の数である(PB≧0)。本実施形態では、PB=0としている。前述したように、対応電力量Pはヒータ温度TEGに対応しているので、ヒータ温度TEGがしきい温度TEGB以下となったか否かを判定するのに代えて、ステップS3Bでは、対応電力量Pがしきい電力量PB以下となったか否かを判断する。ここで、Noつまり、P>PBの場合には、まだグロープラグGP1のヒータ温度TEGがしきい温度TEGBよりも高いと考えられるから、ステップS3Cに進む。
【0051】
ステップS3Cでは、対応電力量Pの算出と更新を行う。上述したように、ステップS39でグロー通電をオフ(グロー通電スイッチ12をオフ)としたので、グロープラグGP1のヒータ温度TEGは徐々に低下する。そこで、このステップS3Cでは、新たな対応電力量Pを、P=P−△Pによって算出し更新する。ここで、△Pは、前回の対応電力量Pの算出からサイクルタイム△T1の間に生じた対応電力量Pの減少分である。
【0052】
なお、一般に、グロープラグGP1が放熱によって降温する場合、時間の経過とともに、環境温度(例えば常温の20℃)に徐々に近づく。しかも、当初の温度変化は大きく時間の経過とともに温度変化も緩やかになって行く。また、その変化の様子は、出発点の温度が異なっても、ほぼ同じ経路を通ると考えられる。即ち、例えば1000℃から20℃まで降温する場合と、400℃から20℃まで降温する場合とを比較すると、400℃から20℃までの期間に生じる変化の様子は、同様になると考えられる。従って、サイクルタイム△T1の間に生じる降温は、ヒータ温度が決まると一意に与えることができると考えられる。そこで、この関係を対応電力量Pに適用して、時間の経過とともに対応電力量Pがヒータ温度TEGと近似の形態のグラフとなって低下するように、減少分△Pの大きさをその時点での対応電力量Pの大きさに応じて変化させる。具体的には、△Pを得るのに、算出式を用いても良いが、現在の対応電力量Pとこのときに生じる減少分△Pとを予め求め、これを1次元のテーブルとして記憶しておき、現在の対応電力量Pに応じて、減少分△Pを選択するようにすると良い。あるいは、現在の対応電力量Pから、サイクルタイム△T1経過後に与えられる新たな対応電力量Pを直接得られるように、テーブルを構成しても良い。
【0053】
一方、ステップS3BでYes、つまりP≦PBの場合には、メインルーチンに戻る。グロープラグGP1が十分冷却され、ヒータ温度TEGがしきい温度TEGB以下となったと考えられるので、もはや対応電力量Pを算出する必要も無くなったと考えられるからである。
【0054】
また、前述したステップS31において、Noと判断された場合、つまり、マイクロコンピュータ1は第2開路C2と経由して通電され作動しているが、キースイッチSSWが操作者によりオフにされた場合には、ステップS3Dに進み、グロープラグGP1の通電をオフとする。具体的には、グロー通電スイッチ12をオフとする。これにより、グロープラグGP1の制御が、昇温段階(ステップS35)、PWM制御段階(ステップS37)、降温段階(ステップS39)のいずれの段階にあったとしても、強制的に、グロープラグGP1への通電は遮断される。これによって、グロープラグGP1は放熱によって徐々に冷却され、ヒータ温度TEGが徐々に低下する。
【0055】
次いで、ステップS3Eでは、ステップS3Aと同じく、PWM通電期間T1をT1=0とする。目標温度TEGAの維持を行わなくなったから、再度PWM通電を行う際に備えるためである。
さらに、ステップS3Fに進み、ステップS3Bと同じく、対応電力量Pをしきい電力量PBとを比較する。しきい電力量PBは0または正の数であり(PB≧0)、本実施形態ではPB=0である。ステップS3Bでは、対応電力量Pがしきい電力量PB以下となっているか否かを判断する。ここで、Noつまり、P>PBの場合には、まだグロープラグGP1のヒータ温度TEGがしきい温度TEGBよりも高いと考えられるから、ステップS3Gに進む。
【0056】
ステップS3Gでは、ステップS3Cと同じく、対応電力量Pの算出と更新を行う。上述したように、ステップS3Dでグロー通電をオフとしたので、ヒータ温度TEGは時間とともに低下するからである。
【0057】
一方、ステップS3FでYes、つまりP≦PBの場合には、ステップS3Hに進む。ステップS3Hでは、第2回路スイッチ5をオフする。具体的は、マイクロコンピュータ1からのスイッチ信号SEをローレベルとすることで、第2回路スイッチ5をオフとする。これにより、第1回路C1のみならず、第2回路C2からのマイクロコンピュータ1への電力供給も遮断されるので、三端子レギュレータ4からの出力が低下し、マイクロコンピュータ1の作動が停止する。キースイッチSSWのオフの後、グロープラグGP1が十分冷却され、ヒータ温度TEGがしきい温度TEGBを下回ったと考えられる。このため、次回、再度キースイッチSSWがオンされて、グロープラグGP1を昇温する際には、ステップS2で与えられる初期の対応電力量P=0を用いれば足りるので、これ以上マイクロコンピュータ1の作動を維持し、対応電力量Pを算出し続ける必要が無くなったと考えられるからである。
【0058】
以上で説明したグロープラグ通電制御装置10の作動を、具体例を挙げて説明する。
(実施例1)
まず、グロープラグGP1の温度が十分に低い状態(常温の状態)で、操作者が時刻t0にキースイッチSSWをオンし、その後充分に時間が経過した時刻t5にキースイッチSSWをオフし、さらにこれから充分時間が経過した時刻t6に再びキースイッチSSWをオンした場合について考察する。この場合における、グロープラグ通電制御装置10で行われる制御について、図4を参照して説明する。
まず、時刻t0で操作者がキースイッチSSWをオンさせると、マイクロコンピュータ1の駆動電圧がVDDに上昇し、マイクロコンピュータ1が作動を開始する。そして、マイクロコンピュータ1における種々の設定の後、グロープラグ通電制御装置10にかかるプログラムが立ち上がり、初期設定(ステップS1)を経た後、時刻t1に第2回路スイッチ5がオン(ステップS2)する。これにより、バッテリBTから第2回路C2を経由してマイクロコンピュータ1へ電力供給される経路が確保される。
さらに、ステップS31〜S34を経由して、グロー通電スイッチ12がオンする(ステップS35)。すると、グロープラグGP1にバッテリ電圧Vbat(プラグ電圧VG)が印加され、グロープラグGP1が昇温し始める。この際には、対応電力量Pの初期値として、ステップS2で与えられた対応電力量P=0が用いられる。その後、時間とともに対応電力量Pが直線的に増加し(ステップS36)、これと同様に、ヒータ温度TEGの直線的に増加する。
【0059】
時刻t2において、対応電力量Pが目標温度TEGA(=1000℃)に対応する目標電力量PAに達すると(ステップS34でYes)、PWM制御に移行する(ステップS37)。具体的には、グロー通電スイッチ12を所定のデューティ比でオンオフさせて、ヒータ温度TEGを目標温度TEGAに維持し続ける。
このPWM制御は所定期間TAだけ続き、時刻t3で降温期間に移行する(ステップS32でNo)。降温期間には、グロー通電スイッチ12がオフにされるので、ヒータ温度TEGが低下し、同様に、対応電力量Pも低下する(ステップS3C)。なお、時刻t4には、対応電力量Pはしきい電力量PB(本実施形態ではPB=0)以下となる(ステップS3BでYes)ので、それ以降、対応電力量Pの算出更新は行われない。
【0060】
その後、時刻t5にキースイッチSSWがオフされると、第1回路C1が遮断される。また、ステップS31でNoと判断され、ステップS3FでYesと判断されるので、ステップS3Hにおいて、第2回路スイッチ5のオフが指示される。すると、第2回路C2を経由したマイクロコンピュータ1への電力供給も遮断されることとなるから、マイクロコンピュータ1の駆動電圧もローレベルとなり、マイクロコンピュータ1の作動も停止する。
【0061】
その後、時刻t6で再び操作者がキースイッチSSWをオンさせると、マイクロコンピュータ1に電力が供給され、時刻t7には、マイクロコンピュータ1が立ち上がり、第2回路スイッチ5がオンして、第2回路C2によるマイクロコンピュータ1への電力供給経路が確保される。さらに、再びグロー通電スイッチ12がオンし(ステップS35)、グロープラグGP1の昇温が開始される。この際にも、対応電力量Pの初期値として、ステップS2で与えられたP=0が用いられる。ヒータ温度TEGのグラフから明らかなように、グロープラグGP1は十分に冷却されているので、対応電力量Pとして、ヒータ温度TEGが常温である場合に対応するP=0の値を用いても、対応電力量Pとヒータ温度TEGとの間の対応関係に乖離を生じないからである。
【0062】
その後、時刻t8には、対応電力量Pが目標電力量PAに達し(ステップS34でYes)、PWM制御に移行する(ステップS37)。この場合、ヒータ温度TEGも、目標温度TEGA(1000℃)に達し、過昇温となることはない。
【0063】
(実施例2)
次いで、グロープラグGP1の温度が十分に低い状態で、操作者が時刻t10にキースイッチSSWをオンし、しばらく経過した時刻t13にキースイッチSSWをオフし、その後すぐ(時刻t14)に再びキースイッチSSWをオンした場合について考察する。この場合における、グロープラグ通電制御装置10で行われる制御について、図5を参照して説明する。
【0064】
まず、時刻t10から時刻t13の前までは、上記した実施例1と同様である。即ち、時刻t10で操作者がキースイッチSSWをオンさせると、駆動電圧がVDDに上昇し、マイクロコンピュータ1が作動を開始する。そして、グロープラグ通電制御装置10にかかるプログラムが立ち上がり、初期設定(ステップS1)を経た後、時刻t11に第2回路スイッチ5がオン(ステップS2)する。これにより、バッテリBTから第2回路C2を経由するマイクロコンピュータ1への電力供給路が確保される。さらに、グロー通電スイッチ12がオンする(ステップS35)ことで、グロープラグGP1にバッテリ電圧Vbatが印加され、グロープラグGP1が昇温し始める。この際、対応電力量Pとして、ステップS2で与えられたP=0が用いられる。その後、時間とともに対応電力量Pが直線的に増加し(ステップS36)、これと同様に、ヒータ温度TEGの直線的に増加する。
さらに、時刻t12において、対応電力量Pが目標温度TEGA(=1000℃)に対応する目標電力量PAに達すると(ステップS34でYes)、PWM制御に移行する(ステップS37)。具体的には、グロー通電スイッチ12を所定のデューティ比でオンオフさせて、ヒータ温度TEGが目標温度TEGAを維持する。
【0065】
その後、時刻t13にキースイッチSSWがオフされることにより、第1回路C1が遮断される。また、PWM制御は解除されてグロー通電スイッチ12はオフにされる(ステップS31でNo)。しかし、対応電力量Pがしきい電力量PBよりも大きいので、ステップS3FでNoと判断されるから、第2回路スイッチ5はオンし続け、マイクロコンピュータ1の作動が維持され、ステップS3Gにより、サイクルタイム△T1毎に、新たな対応電力量Pが算出更新される。
なお、グロープラグGP1への通電が遮断されるので、ヒータ温度TEG及びこれに対応する対応電力量Pは時間とともに低下する(ステップS3G)。
【0066】
その後、時刻t13から間もない時刻t14に、操作者がキースイッチSSWを再びオンにすると、ステップS31でYesと判断され、ステップS34でNoと判断される。このため、再びステップS35により、グロープラグGP1に通電が開始され、ステップS36で昇温時の対応電力量Pが算出更新される。ところで時刻t14では、まだヒータ温度TEGが常温よりも高いTEGX(例えば300℃)であり、これに対応する対応電力量Pもしきい電力量PBより大きなP=PXとなっているため、ステップS3FでNoと判断され、マイクロコンピュータ1の作動が維持されているからである。
ここで、ステップS34の判断に用い、ステップS36で新たな対応電力量Pの算出の基礎とする現在の対応電力量Pとしては、ステップS3Gで算出更新された対応電力量P=PXが用いられる。
【0067】
かくして、本実施例2では、前述した実施例1における時刻t7以降の場合とは異なり、時刻t14で対応電力量P=PXを基礎として、新たな対応電力量Pを算出する(ステップS36)。時刻t14の時点でマイクロコンピュータ1が作動していたためである。そして、それ以降の時刻t14〜t15の期間にも、1つ前の対応電力量Pを基礎として順次新たな対応電力量Pを算出更新い、グロープラグGP1の昇温を行う。このため、図5におけるヒータ温度TEG及び対応電力量Pのグラフが同様な変化をしていることから理解できるように、ヒータ温度TEGと対応電力量Pとの対応関係に乖離が生じることが無い。かくして、時刻t15で対応電力量Pが目標電力量PAに達すると、ヒータ温度TEGも目標温度TEGA(1000℃)に達し、過昇温とならない。
【0068】
時刻t15以降は、前記した実施例1における時刻t2以降と同様である。即ち、時刻t15において、対応電力量Pが目標電力量PAに達するとPWM制御に移行し、グロー通電スイッチ12を所定のデューティ比でオンオフさせて、所定期間TAだけ、ヒータ温度TEGを目標温度TEGAに維持し続ける。その後、時刻t16で降温期間に移行する。降温期間には、グロー通電スイッチ12がオフにされるので、ヒータ温度TEGが低下し、同様に、対応電力量Pも低下する。
その後、時刻t17に操作者がキースイッチSSWをオフにすると、ステップS31でNoと判断され、ステップS3FでYesと判断されるので、ステップS3Hにおいて、第2回路スイッチ5のオフが指示され、マイクロコンピュータ1の作動が停止する。
【0069】
さらに、時刻t18で再び操作者がキースイッチSSWをオンさせると、マイクロコンピュータ1に電力が供給され、時刻t19には、マイクロコンピュータ1が立ち上がり、第2回路スイッチ5がオンして、第2回路C2によるマイクロコンピュータ1への電力供給経路が確保される。さらに再び、グロー通電スイッチ12がオンし、グロープラグGP1の昇温が開始される。この際には、時刻t4の場合と異なり、対応電力量Pの初期値として、ステップS2で与えられたP=0が用いられる。時刻t19の時点では、ヒータ温度TEG十分に低いので、対応電力量PとしてP=0の値を用いても、対応電力量Pとヒータ温度TEGとの間の対応関係に乖離を生じないからである。
従って、時刻t20には、対応電力量Pが目標電力量PAに達し、PWM制御に移行するが、ヒータ温度TEGも、目標温度TEGA(1000℃)に達し、過昇温となることはない。
【0070】
(実施例3)
さらに、グロープラグGP1の温度が十分に低い状態で、操作者が時刻t30にキースイッチSSWをオンし、グロー通電スイッチ12によりPWM制御が行われている時刻t33にキースイッチSSWをオフし、その後、放置した場合について考察する。この場合における、グロープラグ通電制御装置10で行われる制御について、図6を参照して説明する。
【0071】
まず、時刻t30から時刻t33の前までは、上記した実施例1及び実施例2と同様である。即ち、時刻t30で操作者がキースイッチSSWをオンさせると、駆動電圧がVDDに上昇し、マイクロコンピュータ1が作動を開始する。そして、グロープラグ通電制御装置10にかかるプログラムが立ち上がり、初期設定(ステップS1)を経た後、時刻t31に第2回路スイッチ5がオン(ステップS2)する。これにより、バッテリBTから第2回路C2を経由するマイクロコンピュータ1への電力供給路が確保される。さらに、グロー通電スイッチ12がオンする(ステップS35)ことで、グロープラグGP1にバッテリ電圧Vbatが印加され、グロープラグGP1が昇温し始める。この際、対応電力量Pとして、ステップS2で与えられたP=0が用いられる。その後、時間とともに対応電力量Pが直線的に増加し(ステップS36)、これと同様に、ヒータ温度TEGの直線的に増加する。
さらに、時刻t32において、対応電力量Pが、目標温度TEGA(=1000℃)に対応する目標電力量PAに達すると(ステップS34でYes)、PWM制御に移行する(ステップS37)。具体的には、グロー通電スイッチ12を所定のデューティ比でオンオフさせて、ヒータ温度TEGが目標温度TEGAを維持する。
【0072】
その後、時刻t33にキースイッチSSWがオフされることにより、実施例2と同様に、このPWM制御は解除されてグロー通電スイッチ12はオフにされ(ステップS31でNo)、第1回路C1が遮断される。しかし時刻t33〜t34においては、対応電力量Pがしきい電力量PBよりも大きいので、ステップS3FでNoと判断されるから、第2回路スイッチ5はオンし続け、マイクロコンピュータ1の作動が維持され、ステップS3Gにより、サイクルタイム△T1毎に、新たな対応電力量PがステップS3Gによって算出更新される。
なお、グロープラグGP1への通電が遮断されるので、ヒータ温度TEG及びこれに対応する対応電力量Pは時間とともに低下する(ステップS3G)。
【0073】
その後、時刻t34になると、対応電力量Pがしきい電力量PB以下の大きさ(P≦PB)となって、ステップS3FでYesと判断されるので、ステップS3Hにおいて、第2回路スイッチ5のオフが指示され、マイクロコンピュータ1の電源の低下し、マイクロコンピュータ1の作動が停止する。
このように、本実施形態のグロープラグ通電制御装置10は、操作者がキースイッチSSWをオフとした時刻t33の後、時刻t34までは、第2回路スイッチ5をオンし続けて、第2回路C2経由での電力供給を確保し、マイクロコンピュータ1の作動を維持する。しかし、対応電力量Pがしきい電力量PB以下となり、ヒータ温度TEGが充分低下したと考えられる時刻t34以降には、第2回路スイッチ5をオフし、第2回路C2を遮断し、マイクロコンピュータ1の作動を停止させる。このように、キースイッチSSWがオフであるにも拘わらずマイクロコンピュータ1を作動させるのは、時刻t33〜t34に限られており、時刻t34以降には、マイクロコンピュータ1等による電力消費が無くなる。従って、キースイッチSSWをオフした後に、マイクロコンピュータ1を作動させ続ける場合とは異なり、バッテリBTの充電不足(バッテリ上がり)を生じる危険性はない。
【0074】
なお、上記実施形態及び実施例1〜3において、抵抗13,14及びステップS36,S3C,S3Gが制御量算出手段及び電力量算出手段に相当する。また、グロー通電スイッチ12、スイッチ信号出力端子1F及びステップS32,S34,S35,S37,S39,S3Dが通電制御手段に相当する。第2回路スイッチ5、スイッチ信号出力端子1E及びステップS2,S3F,S3Hが作動維持手段に相当する。また、スイッチ信号出力端子1E及びステップS2,S3Hが第2回路スイッチ制御手段に相当する。ステップS1が初期値取得手段に相当する。スイッチ信号出力端子1F及びステップS35,S37,S39,S3Dがグロー通電スイッチ制御手段に相当する。
【0075】
以上において、本発明を実施形態及び実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記した実施形態では、グロープラグGP1のヒータ温度TEGの降温完了を判定する条件として、対応電力量PがP≦PBとした(ステップS3C,S3G)。しかし、これに代えて、キースイッチSSWがオフされてから、一律に所定時間が経過したら、ヒータ温度TEGが降温完了したと判定することもできる。このようにすると、キースイッチSSWがオフしても、所定時間が経過するまで、マイクロコンピュータ1への電力供給を確保することができる。このため、キースイッチSSWをオフしても、マイクロコンピュータ1が作動しているので、対応電力量Pが算出され続ける(ステップS3G)ので、キースイッチSSWを再びオンしたときに、この対応電力量Pに基づいてグロー通電スイッチ12の断続を制御することにより、グロープラグGP1を目標温度TEGAまで昇温させることができる。
【0076】
また、上記した実施形態では、1つのバッテリBTを用い、このバッテリBTは第1回路C1と第2回路C2の2つを経由してマイクロコンピュータ1に電力を供給した。しかし、2つの電源を別々に設けることもできる。
また、上記した実施形態では、図1に示したように、このグロープラグ通電制御装置10を用いて、1つのグロー通電スイッチ12に1本のグロープラグGP1を接続して通電制御を行った例を示した。しかし、図1に破線で示すように、1つのグロー通電スイッチ12に2つ以上のグロープラグGP1,GP2…を並列に接続して、同時に制御することもできる。
また、上記した実施形態では、グロープラグを昇温させるに当たって、グロープラグGP1に直流電圧、つまりデューティ比を100%として通電したが、例えば90%などのデューティ比で通電を行って、昇温させても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置をバッテリ及びグロープラグに接続した状態を示す回路図である。
【図2】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置における処理のうちメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図2に示すメインルーチンのうち、グロープラグ通電制御のサブルーチンにける処理を示すフローチャートである。
【図4】実施例1に示す状況において、実施形態に係るグロープラグ通電制御装置の動作等を示す説明図である。
【図5】実施例2に示す状況において、実施形態に係るグロープラグ通電制御装置の動作等を示す説明図である。
【図6】実施例3に示す状況において、実施形態に係るグロープラグ通電制御装置の動作等を示す説明図である。
【図7】従来技術に係るグロープラグの通電制御の概略を示す説明図である。
【図8】従来技術に係り、キースイッチのオン・オフと、グロープラグへの通電状況及びプラグ温度との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 マイクロコンピュータ
1B 電源端子
1C 接地端子
1D スイッチ信号入力端子
1E,1F スイッチ信号出力端子
1G プラグ電圧入力端子
3,6 ダイオード
4 レギュレータ
7,8 抵抗
5 第2回路スイッチ
10 グロープラグ通電制御装置
10B,10C,10D 端子
12 グロー通電スイッチ
13,14 抵抗
C1 第1回路(第1電力供給回路)
C2 第2回路(第2電力供給回路)
BT バッテリ(第1電源、第2電源)
SSW キースイッチ(始動スイッチ)
GP1,GP2 グロープラグ
RG グロープラグの抵抗値
Vbat バッテリ電圧
VG プラグ電圧
P 対応電力量(制御量)
PA 目標電力量
PB しきい電力量(しきい制御量)
TEG ヒータ温度
TEGA 目標温度
TEGB しきい温度(しきいヒータ温度)

Claims (7)

  1. 始動スイッチのオンにより第1電源からの第1電力供給回路が形成されるマイクロコンピュータ
    を備えるグロープラグ通電制御装置であって、
    上記マイクロコンピュータの作動により実現され、少なくとも上記グロープラグのヒータ温度の昇温時及び降温時に、このヒータ温度に対応した新たな制御量を、過去に得た制御量を基礎として算出し更新する制御量算出手段と、
    上記制御量を用いて上記グロープラグの通電制御を行う通電制御手段であって、上記始動スイッチがオフのときには、上記グロープラグへの通電を遮断する通電制御手段と、
    上記始動スイッチがオンからオフへ切換えられた後でも、上記制御量が上記グロープラグのヒータ温度がしきいヒータ温度以下となったことに対応する所定条件を満たすまでは、前記マイクロコンピュータへの電力供給を確保して、上記制御量の算出更新を含む上記マイクロコンピュータの作動を維持する作動維持手段と、を備える
    グロープラグ通電制御装置。
  2. 請求項1に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
    前記作動維持手段は、
    第2電源から前記マイクロコンピュータへの第2電力供給回路を開閉する第2回路スイッチと、
    前記始動スイッチがオンからオフへ切換えられた後でも、前記所定条件が満たされるまで、上記第2回路スイッチをオンする第2回路スイッチ制御手段と、を含む
    グロープラグ通電制御装置。
  3. 請求項2に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
    前記第1電源と前記第2電源は、同一電源である
    グロープラグ通電制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
    前記通電制御手段は、
    前記始動スイッチのオフからオンへの切換時に前記マイクロコンピュータが非通電により非動作であるときには、所定の初期の制御量に基づいて通電制御を開始し、
    上記始動スイッチのオフからオンへの切換時に上記マイクロコンピュータの作動中であるときには、最新の前記制御量に基づいて通電制御を行う
    グロープラグ通電制御装置。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
    前記始動スイッチのオフからオンへの切換時に前記マイクロコンピュータが非通電により非動作であるとき、初期の前記制御量を取得する初期値取得手段を備え、
    前記通電制御手段は、
    前記グロープラグへの通電を断続するグロー通電スイッチと、
    上記グロー通電スイッチをスイッチング制御するグロー通電スイッチ制御手段であって、
    上記始動スイッチがオフしているときには、上記グロー通電スイッチをオフし、
    前記始動スイッチのオフからオンへの切換時に上記マイクロコンピュータが非通電により非動作であるときには、上記初期値取得手段で取得した上記初期の制御量に基づいて上記グロー通電スイッチの制御を開始し、
    上記始動スイッチのオフからオンへの切換時に上記マイクロコンピュータの作動中であるときには、最新の前記制御量に基づいて上記グロー通電スイッチの制御を行う
    グロー通電スイッチ制御手段と、を含む
    グロープラグ通電制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
    前記所定条件は、
    前記制御量が、しきいヒータ温度に対応するしきい制御量に比して、上記しきいヒータ温度よりも低いヒータ温度に対応する制御量となることである
    グロープラグ通電制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
    前記制御量は、対応電力量であり、
    前記制御量算出手段は、
    上記グロープラグのヒータ温度の昇温時に、このヒータ温度に対応した新たな対応電力量を、過去の時点に得られていた対応電力量と上記過去の時点から現在までに投入した増加電力量とを加えて算出し更新する電力量算出手段である
    グロープラグ通電制御装置。
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