JP4219604B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技を演出する演出音を出音する出音手段を備えた遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の遊技機としては例えばスロットマシンがある。
【0003】
従来の一般的なスロットマシンでは、正面中央のパネルに3つの表示窓が形成されており、これら各表示窓の背後に3個のリールが設置されている。各リールの外周には複数の図柄が描かれている。遊技者によってメダルが投入され、スタートレバーが操作されると、各リールが回転を開始して遊技が開始される。各リールの回転中、各表示窓には高速に移動する図柄が観察される。遊技者によってストップボタンが押圧操作されると、その操作タイミングに応じて各リールが停止制御される。各リールの停止時に、所定の図柄組み合わせが有効化入賞ライン上に揃うと入賞が発生し、所定枚数のメダルがメダル払出口からメダル受け皿へ払い出される。リールの回転中や入賞発生時等には、内蔵スピーカから演出音が出音されたり、電飾装置が発光されたりして様々な遊技演出がなされる。
【0004】
従来のスロットマシンにおいては、各入賞態様はスタートレバーの操作と同時に機械内部で行われる確率抽選処理によって予め決定されており、この決定された内部入賞態様に対応する図柄組合せでリールが停止された場合に入賞が発生する。確率抽選結果に応じて発生する入賞には、小当たり、中当たり、大当たりに大別される種々の態様があり、大当たり入賞態様が確率抽選処理において内部当選したことは、機種により、特定の演出音の出音や告知ランプの点灯等によって遊技者に告知される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスロットマシンにおいては、大当たり入賞態様の内部当選を告知する際の告知音は、例えば、「心地よい音」、「インパクトのある音」、「広がりのある音」、「立体感を醸し出す音」等の遊技者に快適感を与える効果(エフェクト)を駆使した音がおしなべて用いられている。このため、どの遊技台で遊技を行っても似たような告知音による演出しか行われず、遊技者は大当たり入賞態様の内部当選の告知演出に対して食傷気味になっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、遊技を演出する演出音を出音する出音手段を備えて構成される遊技機において、
出音手段が、人間の可聴限界に近い周波数の演出音を、遊技者が携帯可能な、演出音を集音して解読し、解読結果を表す受音装置が受信可能なパルス状音波に変換して出音し、
出音手段を制御して特定の演出音を出音させ、その演出音に応じて、抽選によって内部入賞態様を決定する入賞態様決定手段によって特定の内部入賞態様が決定された情報を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
このような構成においては、人間の可聴域の音のうちの可聴限界に近い周波数の演出音が出音される。この音は、人間が聴くと極めて不快な感覚を与えて嫌でも耳につく音であったり、聞こえないようで聞こえる気がする認識し難い音であったりする。
【0009】
また、従来の演出音とは趣向の異なる特定の演出音に対応づけられて遊技に関する情報が報知される。
【0011】
また、特定の入賞態様、例えば大当たり入賞態様が内部当選したことが、対応づけられた特定の演出音が出音されることによって遊技者に報知される。
【0013】
また、演出や遊技に関する情報は、出音手段からパルス状音波として出力され、受音装置によってこの音波が集音され、解読されて受音装置に表される。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第1の実施形態について説明する。
【0015】
図1は本実施形態によるスロットマシン1の外観を示す正面図である。スロットマシン1の前面パネル2の背後には3個のリール3,4,5が回転自在に設けられている。各リール3,4,5の外周面には円周方向に沿って複数の図柄が描かれたリール帯が貼られており、これらの図柄は正面の表示窓6,7,8を通してそれぞれ3個ずつ観察される。
【0016】
表示窓6〜8には、横3本(中央L1および上下L2A,L2B)および斜め2本(斜め右上がりL3A,斜め右下がりL3B)の入賞ラインが記されている。遊技者が、表示窓6〜8の下方右側に設けられたメダル投入口9に1枚のメダルを投入したときは、各リール3〜5上にある中央の入賞ラインL1だけが有効化される。また、2枚のメダルを投入したときはこれに上下の入賞ラインL2A,L2Bが加わり、横3本の入賞ラインL1,L2AおよびL2Bが有効化される。また、3枚のメダルを投入したときは全ての入賞ラインL1,L2A,L2B,L3AおよびL3Bが有効化される。
【0017】
表示窓6〜8の下方左側には、1BETボタン10、2BETボタン11、およびMAXBETボタン12が設けられている。メダル貯留数表示部13にメダルが貯留されている場合には、メダル投入口9へのメダル投入に代え、これら1BETボタン10、2BETボタン11、およびMAXBETボタン12の各押ボタン操作により、それぞれ1枚、2枚、および3枚のメダルが賭けられる。
【0018】
これらBETボタン10〜12の下方には貯留/精算切換スイッチ(C/Pスイッチ)14およびスタートレバー15が設けられており、スタートレバー15の右方の機器中央部にはストップボタン16,17,18が設けられている。C/Pスイッチ14の押しボタン操作により、メダルの貯留/払い出し(PLAY CREDIT/PAY OUT)を切り換えることが出来る。また、スタートレバー15のレバー操作により、リール3,4,5は一斉に回転を開始する。ストップボタン16,17,18は、各リール3,4,5に対応して配置されており、これら各リール3〜5の回転が一定速度に達したとき操作が有効化され、遊技者の押しボタン操作に応じて各リール3,4,5の回転を停止させる。
【0019】
また、表示窓6〜8の直ぐ下方には液晶表示装置19が設けられている。この液晶表示装置19には遊技のデモンストレーション画面やキャラクタ図柄等による遊技演出画面、および遊技に関する種々の情報などが表示される。また、スロットマシン1の正面下部にはメダル受皿20およびメダル払出口21が設けられている。メダル受皿20は、メダル払出口21から払い出されるメダルを貯めるものである。また、スロットマシン1の正面上部には、各入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかが示されている配当表示部22が設けられており、この配当表示部22の左右には、一対のスピーカ23,23が設けられている。
【0020】
図2および図3は、本実施形態によるスロットマシン1の遊技処理動作を制御するメイン制御基板29およびサブ制御基板48に構成された回路構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すメイン制御基板29には主制御回路が構成されており、その制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うメインCPU(中央演算処理装置)31と、記憶手段であるプログラムROM(読み出し専用メモリ)32およびバックアップ機能付き制御RAM(読み書き可能メモリ)33とを含んで構成されている。メインCPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34および分周器35と、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生器36および発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数サンプリング回路37とが接続されている。マイコン30は抽選によって内部入賞態様を決定する入賞態様決定手段を構成している。
【0022】
プログラムROM32には、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル、図柄テーブル、および入賞図柄組合せテーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。
【0023】
マイコン30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、リール3〜5を回転駆動する各ステッピングモータ38、およびメダルを収納するホッパー39がある。これらはそれぞれモータ駆動回路40、およびホッパー駆動回路41によって駆動される。各ステッピングモータ38はモータ駆動回路40によって1−2相励磁されており、400パルスの駆動信号が供給されるとそれぞれ1回転する。
【0024】
また、マイコン30が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、メダル投入口9から投入されたメダルを検出するメダルセンサ9S、各BETボタン10,11,12の操作を検出するBETスイッチ10S,11S,12S、前述したC/Pスイッチ14、およびスタートレバー15の操作を検出するスタートスイッチ15Sがある。
【0025】
さらに、マイコン30が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する入力信号発生手段として、リール位置検出回路42、リール停止信号回路43、および払出し完了信号発生回路44がある。リール位置検出回路42は、ホトセンサによって各リール3,4,5の回転位置を検出する。リール停止信号回路43は、ストップボタン16,17,18が押された時に、対応するリール3,4,5を停止させる信号を発生する。また、メダル検出部45はホッパー39から払い出されるメダル数を計数し、払出し完了信号発生回路44は、このメダル検出部45から入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が所定の配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を知らせる信号をメインCPU31へ出力する。
【0026】
また、メインCPU31にはサブ制御部通信ポート46が接続されており、マイコン30はこのサブ制御部通信ポート46を介してサブ制御基板48へ信号を送出する。図3に示すサブ制御基板48には、この信号を受信するメイン制御部通信ポート49が設けられている。サブ制御部通信ポート46およびメイン制御部通信ポート49間の通信は、サブ制御部通信ポート46からメイン制御部通信ポート49へ向かう一方向についてだけ行われる。本実施形態では、サブ制御部通信ポート46からメイン制御部通信ポート49へ送出される信号は、7ビット長でその制御種別が表されるコマンド種別と、8ビットまたは24ビット長でそのコマンドの内容が表されるパラメータとのセットで構成されている。
【0027】
サブ制御基板48には副制御回路が構成されており、その制御部は、マイコン50を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン50も、主制御回路におけるマイコン30と同様、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うサブCPU51と、プログラム記憶手段であるプログラムROM52およびバックアップ機能付き制御RAM53とを含んで構成されている。サブCPU51にも、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路54および分周器55が接続されており、さらに、上記のメイン制御部通信ポート49や、後述するアクチュエータとの間で信号を授受するI/Oポート56が接続されている。サブCPU51は、液晶表示装置19に遊技機データを表示させるのに必要なデータを、メイン制御基板29から送信されるコマンドに基づいてゲーム毎に算出し、制御RAM53に記憶したデータをゲーム毎に算出したデータに更新している。
【0028】
マイコン50からの制御信号により動作が制御されるアクチュエータとして、各リール3〜5に内蔵されたリールバックランプ47a,47b,47cがある。これらリールバックランプ47a〜47cは、I/Oポート56に接続されたランプ駆動回路57からの駆動信号によって点灯制御され、リール帯に描かれた図柄を背後から個別に照らし出す。
【0029】
また、I/Oポート56には画像制御IC(高集積化回路)58および音源IC61が接続されている。画像制御IC58には、キャラクタ・データが記憶されたキャラクタROM59およびカラーディスプレイ表示用メモリであるビデオRAM60が接続されており、画像制御IC58は、マイコン50の制御の下、液晶表示装置19に画像表示を行う。マイコン50は、その時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報をメイン制御部通信ポート49を介してメイン制御基板29から取り込み、取り込んだ遊技状態および当選フラグに基づいて、表示する演出態様をプログラムROM52に記憶された演出選択テーブルを参照して選択する。そして、画像制御IC58を制御して選択した演出態様に基づく画像表示パターンを液晶表示装置19に表示させ、また、ランプ駆動回路57を制御して選択した演出態様に基づく点灯パターンでリールバックランプ47a〜47cを点灯させる。
【0030】
また、音源IC61にはサウンドデータが記憶されたサウンドROM62が接続されており、音源IC61は、マイコン50の制御の下、パワーアンプ63を介してスピーカ23,23からサウンドを放音させる。マイコン50は、メイン制御部通信ポート49を介してメイン制御基板29から入力されるサウンド演出指示に従い、音源IC61およびパワーアンプ63を制御し、メダル投入音,スタートレバー操作音,ストップボタン操作音,ボーナスゲーム中の演出音といった様々な演出音をスピーカ23,23から出力させる。また、メイン制御基板29から取り込んだ遊技状態および当選フラグに基づいて選択した演出態様に基づく出音パターンで、スピーカ23,23から出音させる。
【0031】
音源IC61、サウンドROM62、パワーアンプ63、およびスピーカ23,23は、遊技を演出する演出音を出音する出音手段を構成している。本実施形態においては、この出音手段は、演出音を出音する。また、マイコン50は、出音手段を制御して人間の可聴限界に近い周波数の特定の演出音を出音させ、その演出音に応じて遊技に関する情報を報知する報知手段を構成している。本実施形態においては、マイコン50は前述の入賞態様決定手段によって大当たり入賞態様または中当たり入賞態様が決定されたことを上記の特定の演出音を出音させることによって報知する。
【0032】
次に、本実施形態において主制御基板29のマイコン30で制御されるスロットマシン1の遊技処理動作について説明する。
【0033】
図4および図5は、この遊技処理のメイン処理の概略を示すフローチャートである。まず、メインCPU31により、メダルが賭けられたか否かが判別される(図4,ステップ101参照)。この判別は、メダル投入口9にメダルが投入され、メダルセンサ9Sからの検出信号入力があった場合、あるいはBETボタン10〜12の押圧操作によっていずれかのBETスイッチ10S〜12Sからの検出信号入力があった場合に“Yes”となり、メダルが賭けられたことになる。メダルが賭けられると、次に、スタートレバー15の操作によりスタートスイッチ15Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ102)。スタート信号が入力されると、次に、確率抽選処理が行われる(ステップ103)。確率抽選は、乱数発生器36で発生し、乱数サンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、入賞確率テーブルにおいてどの入賞グループに属する値になっているか判断されることによって行われる。この確率抽選で決定された入賞態様は当選フラグの種類によって表され、「ハズレ」,「再遊技(リプレイ)」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「RB」または「BB」の8種類の中のいずれか1つの当選フラグが制御RAM33の所定領域にセットされる。
【0034】
ここで、RBはレギュラーボーナスゲーム(中当たり入賞)を意味しており、このRBゲームでは複数回の高配当ゲームが一組となったボーナスゲームが1回行える。また、BBはビッグボーナスゲーム(大当たり入賞)を意味しており、このBBゲームでは一般遊技および上記のボーナスゲームのセットを複数回行うことが出来る。また、「2枚チェリー」、「4枚チェリー」、「ベル」および「スイカ」は、それぞれ配当の異なる小当たり入賞の種類を表している。
【0035】
確率抽選処理が終了すると、次に、リール回転処理が行われ(ステップ104)、続いて、スタートコマンド送信処理が行われる(ステップ105)。リール回転処理では、まず、リール3〜5の各回転位置が書き込まれる制御RAM33の所定領域が、メインCPU31によってリール回転の開始に際して初期化され、引き続いて各リール3〜5がステッピングモータ38によって回転駆動される。スタートコマンド送信処理では、スタートスイッチ15SからメインCPU31へ入力されたスタート信号に基づき、スタートコマンドがサブ制御部通信ポート46を介してサブ制御基板48側へ送信される。このスタートコマンドのパラメータには、ステップ103の確率抽選の結果立てられた当たり要求フラグの種類およびその時の遊技状態等の情報が含められている。
【0036】
この後、遊技者による各ストップボタン16,17,18の操作に応じて各リール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ106)。そして、全リール停止時の表示が所定の入賞図柄の組合せであるか否かが、入賞図柄組合せテーブルを参照して判断される(ステップ107)。入賞が得られなかったときは、処理は初めのステップ101に戻る。入賞判定の結果リプレイゲーム(再遊技)であるときは、処理はステップ102のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ108)。また、リプレイゲームでない入賞のときには、メインCPU31によってホッパー駆動回路41が制御され、所定枚数のメダルがホッパー39によってメダル受皿20へ払い出される(図5,ステップ109参照)。
【0037】
次に、BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ110)、BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ111)。また、BBゲームが発生していない場合には、次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ112)、RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ113)。その後、処理は始めのステップ101に戻る。
【0038】
図6は、サブ制御基板48のサブCPU51によって制御される遊技処理の概略を示すフローチャートである。サブ制御基板48では、メイン制御基板29側から受信される各種コマンドがサブCPU51によって常に解析され、このコマンドに基づいた各種遊技処理が適宜行われている(図6,ステップ201参照)。
【0039】
サブCPU51は、メイン制御基板29側から受信したスタートコマンドに基づき、内部入賞態様告知処理を行う。この内部入賞態様告知処理では、前述のスタートコマンド送信処理(図4,ステップ105参照)においてメイン制御基板29側から送信されたスタートコマンドに含められている当たり要求フラグの種類が、サブCPU51によって識別される。サブCPU51は、識別した当たり要求フラグが「BB」または「RB」当たり要求フラグである場合、大当たりまたは中当たり入賞態様に対応した演出態様を選択し、音源IC61を制御して、人間の可聴限界に近い周波数の特定の演出音をパワーアンプ63を介してスピーカ23,23から放音させる。この演出音は帯域の狭い極めて音程の高い音である。
【0040】
このような本実施形態によるスロットマシン1では、一般的な人の可聴域20〔Hz〕〜20〔kHz〕の音のうちの可聴限界20〔Hz〕,20〔kHz〕に近い周波数の演出音が上記のように出音される。この音は、人間が聴くと極めて不快な感覚を与えて嫌でも耳につく衝撃的な音であったり、聞こえないようで聞こえる気がする認識し難い音であったりする。このため、スロットマシン1の演出音は、遊技者に快適感だけを与える従来のスロットマシンの演出音とは趣向の違う全く新しい音となり、スロットマシン遊技の興趣が増す。なお、不快で衝撃的な音の場合は、余り長い時間これを聴くと身体に悪いので、瞬間的に出音するなどの配慮が必要である。
【0041】
また、本実施形態では、この特定の演出音がBBゲームまたはRBゲームの内部当選に対応づけられて出音され、BBまたはRBの内部当選情報が遊技者に報知される。このBBまたはRBの内部当選の告知は従来の告知とは趣向の異なる目新しいものとなり、告知演出の興趣は増す。また、このBBまたはRBの内部当選音は、上記のような認識し難い演出音や、聴くに耐えない演出音等であるため、年齢等に起因する個人の聴力差によって告知の会得状態が異なり、遊技者間で差別が生じ、この点においてもスロットマシン1の告知演出の面白味が増す。
【0042】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第2の実施形態について説明する。
【0043】
本実施形態によるスロットマシンは、サブCPU51が音源IC61を制御してパルス状音波に変換した演出音をスピーカ23,23から出音させる点と、このパルス状の演出音を受音する受音装置を備えている点とが、上述の第1の実施形態によるスロットマシン1と相違する。その他の構成においては上述したスロットマシン1と同様である。従って、以下の説明では、上述したスロットマシン1と同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0044】
本実施形態においては、前述の内部入賞態様告知処理で出音されるBBまたはRBの内部当選を知らせる演出音は、図7(a)に示す、人間の可聴限界に近い周波数のパルス状音波に変換されて、サウンドデータに仕込まれる。同図(b)はそのパルス状音波のスペクトラム解析図である。同図(a)のグラフにおいて、横軸は時間、縦軸は音の大きさをそれぞれ表している。また、同図(b)のグラフにおいて、横軸は周波数〔Hz〕、縦軸は音の大きさ〔dB〕をそれぞれ表している。
【0045】
同図(a)において、矢示A部は、デコード開始の合図となる例えば15〔kHz〕で100〔msec〕の2つのパルスを示している。矢示B部は、例えばBB内部入賞態様に対応づけられた例えば14〔kHz〕で100〔msec〕の複数パルスからなる演出音を示している。矢示C部は、演出音のデータエンドを表す例えば15〔kHz〕で100〔msec〕の2つのパルスを示している。同図(b)に示すように、これらのパルス状音波の周波数は可聴限界周波数20〔kHz〕に近いところに分布している。
【0046】
図8は、上記のパルス状音波を受音する受音装置の構成の概略を示すブロック図である。
【0047】
本実施形態においては、この受音装置80はスロットマシン本体とは分離して設けられており、遊技者が持ち運べるハンディサイズに構成されている。受音装置80は、集音用マイクロフォン81、ゲート82、ハイパスフィルタ83、デコーダ84、および表示装置85が直列に接続されて構成されている。
【0048】
集音用マイクロフォン81はスロットマシン本体からの演出音を集音するコンデンサマイクによって構成されている。しかし、可聴限界に近い周波数の音を集音出来るマイクロフォンであれば他のマイクロフォンを適用することもできる。ゲート82は、一定以上の強さの信号のみを通過させるものであり、目的以外の信号を強度によって除去する。通過させる信号の強さのしきい値の設定は、スロットマシンの設置環境に応じて調整することが可能である。ハイパスフィルタ83は、カットオフ周波数より高い周波数の信号を通過させ、目的以外の信号を周波数によって除去するものである。デコーダ84はマイクロフォン81で取得したパルスの周波数・タイミングを解析して元の信号に変換・解読するものである。表示装置85は、LCD(液晶表示装置)からなり、デコーダ84の解読結果を文字等で可視表示する。この表示装置85は、LED(発光ダイオード)の発光色や発光態様、あるいは振動装置の振動態様等で解読結果を表すものであってもよい。
【0049】
このような構成をした第2の実施形態によるスロットマシンでは、内部入賞態様告知処理において、スピーカ23,23より出音された演出音は、集音用マイクロフォン81に集音され、ゲート82、フィルタ83を通過したパルス信号はデコーダ84によって解読される。その解読結果は、表示装置85のLCDに表示されて遊技者に告知される。例えば、スピーカ23,23より図7(a)に示すパルス状音波が出音された場合には、この表示装置85にBBまたはRBが内部当選したことが表示される。
【0050】
このような本実施形態によるスロットマシンでは、スロットマシン本体から分離した受音装置80のLCDの表示によって内部入賞態様の告知が行われる。従って、個人の聴力差にかかわらず、遊技者は内部入賞態様の告知を認識することが出来、内部入賞態様告知の面白味が増すと共に、この受音装置80を所有することの優越感を所有していない遊技者に対して抱くことが出来る。また、スロットマシン本体に電波による無線送信機や赤外線発光機といった通信専用の装置を別途設けることなく、既設のスピーカ23,23等で外部の受音装置との間で通信が行え、経済的である。また、機器に誤作動を生じさせる虞がある電波等を用いることなく通信が行えるので、内部入賞態様の告知にとどまらず、その用途は多様である。
【0051】
なお、上記の第2の実施形態では、演出音を構成するパルス状音波は14〔kHz〕の単一周波数とした場合について説明したが、プッシュ電話回線のダイヤル音に用いられるDTMF信号のように、複数の周波数の信号を用いて演出音を構成するようにしてもよい。また、上記第1、第2の各実施形態においては、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した場合について説明したが、本発明は演出音を出音するパチンコ機を始めとする弾球遊技機などの他の遊技機にも適用することが出来る。この場合においても、上記各実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、人間の可聴域の音のうちの可聴限界に近い周波数の演出音が出音される。この音は、人間が聴くと極めて不快な感覚を与えて嫌でも耳につく音であったり、聞こえないようで聞こえる気がする認識し難い音であったりする。このため、遊技の演出音は、遊技者に快適感だけを与える従来の演出音とは趣向の違う全く新しい音となり、遊技の興趣が増す。
【0053】
また、特定の演出音を出音させ、その演出音に応じて遊技に関する情報を報知する構成としたので、従来の演出音とは趣向の異なる特定の演出音に対応づけられて遊技に関する情報が報知される。このため、従来の報知とは趣向の異なる目新しい報知が行われ、遊技に関する情報報知の面白味が増す。また、可聴限界に近い周波数の音が出音されるため、認識し難い演出音や、聴くに耐えない演出音等が出音され、年齢等に起因する個人の聴力差によって情報の会得状態が異なり、この点においても情報報知の面白味が増す。
【0054】
また、抽選によって内部入賞態様を決定する入賞態様決定手段によって特定の内部入賞態様が決定されたことを報知する構成としたので、特定の入賞態様、例えば大当たり入賞態様が内部当選したことが、対応づけられた特定の演出音が出音されることによって遊技者に報知される。従って、大当たり入賞態様の内部当選の告知は従来の告知とは趣向の異なる目新しいものとなり、告知演出の興趣は増す。また、個人の聴力差によって大当たり入賞態様の内部当選の告知を認識できたり出来なかったりして差別が生じ、遊技の興趣は増す。
【0055】
また、演出音をパルス状音波に変換して出力し、この演出音を集音して解読し,解読結果を表す受音装置を遊技機本体から分離して設ける構成としたので、演出や遊技に関する情報は、出音手段からパルス状音波として出力され、受音装置によってこの音波が集音され、解読されて受音装置に表される。従って、個人の聴力差にかかわらず、遊技者は出力された演出や遊技に関する情報を認識することが出来、演出や情報報知の面白味が増すと共に、この受音装置を所有することの優越感を所有していない遊技者に対して抱くことが出来る。また、遊技機本体に通信専用の装置を別途設けることなく、既設の出音手段で外部の受信装置との間で通信が行え、経済的である。また、機器に誤作動を生じさせる虞がある電波等を用いることなく通信が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるスロットマシンのメイン制御基板に構成された主制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるスロットマシンのサブ制御基板に構成された副制御回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるスロットマシンのメインCPUによるメイン遊技処理の概略を示す第1のフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態によるスロットマシンのメインCPUによるメイン遊技処理の概略を示す第2のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態によるスロットマシンのサブCPUによる遊技処理の概略を示すフローチャートである。
【図7】(a)は本発明の他の実施形態によるスロットマシンにおいて出力されるパルス状音波の波形の一例を示す図であり、(b)はそのスペクトラム解析図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるスロットマシンのパルス状音波を受音する受音装置の構成の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…スロットマシン
3,4,5…リール
6,7,8…表示窓
15…スタートレバー
16,17,18…ストップボタン
23…スピーカ
30,50…マイクロコンピュータ
31…メインCPU(中央演算処理装置)
32…プログラムROM(読み出し専用メモリ)
33…制御RAM(読み書き可能メモリ)
51…サブCPU
61…音源IC(高集積化回路)
63…パワーアンプ
80…受音装置

Claims (2)

  1. 遊技を演出する演出音を出音する出音手段を備えて構成される遊技機において、
    前記出音手段は、人間の可聴限界に近い周波数の演出音を、遊技者が携帯可能な、前記演出音を集音して解読し、解読結果を表す受音装置が受信可能なパルス状音波に変換して出音し、
    前記出音手段を制御して特定の前記演出音を出音させ、その演出音に応じて、抽選によって内部入賞態様を決定する入賞態様決定手段によって特定の内部入賞態様が決定された情報を報知する報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。
  2. 前記受音装置は、遊技機本体からの演出音を集音する集音用マイクロフォンと、目的以外の信号を強度によって除去するゲートと、目的以外の信号を周波数によって除去するハイパスフィルタと、前記集音用マイクロフォンで取得したパルスの周波数およびタイミングを解析して元の信号に変換して解読するデコーダと、前記デコーダの解読結果を可視表示する表示装置とを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
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