JP4219534B2 - 体液吸収体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、バックシートと体液を吸収する体液吸収ユニットと透水性表面シートとを有し、このバックシートが、体液吸収ユニットおよび透水性表面シートから分離可能に形成されている体液吸収体に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、生理用ナプキン、おむつ、おりものシート、失禁パット、母乳パット、ペットのトイレ用シート等のような生体からの分泌物を吸収する吸収体(以下これらを総称して、「体液吸収体」と記載することもある)には布等が使用されていたが、近年、布に代わって紙、不織布が使用されることが多くなってきている。こうした紙、不織布からなる上記体液吸収体は一回使い切りであり、非常に便利であることから、今後益々その需要の増大が予想される。
【0003】
このような体液吸収体は、生体からの分泌物を吸収する吸収部材(体液吸収ユニット)と、吸収部材に吸収された体液が漏洩しないようにこの吸収部材の一方の面に配置された防水部材(バックシート)とを有している。この体液吸収体を構成する吸収部材は、コットン、パルプ、不織布などで形成されており、この吸収部材を形成する素材は可燃性であり、焼却処理が可能である。ところが、この吸収部材の一方の面に配置されている防水部材は、水分の透過を防止する層であることから、合成樹脂フィルムなどで形成されていることが多く、こうした合成樹脂フィルムは焼却処理には適していない。従って、従来は、上記合成樹脂フィルムからなる防水部材と吸収部材とを有する体液吸収体は全体として不燃ごみとして処理する必要がある。
【0004】
また、上記体液吸収体についての水に対する崩壊性に着目してみると、防水部材は、その機能からして水に溶解することはありえないが、吸収部材は、所定量の水分は吸収するが、この吸収部材の吸収許容量を遥かに超える量の水が存在した場合に水に崩壊するように形成することは可能である。
さらに、従来の体液吸収体には、身体への密着性を良好にして吸収された体液の漏れを防止するために、体液吸収体の長手方向の縁部に沿ってゴムなどの弾性部材を配置して側縁部にギャザーを形成したものがあるが、この弾性部材は、吸収部材中に組み込まれていることが多い。この弾性部材自体は、不燃性であり、水に対する崩壊性も有していない。
【0005】
このように体液吸収体を形成する各素材の特性を考慮すると、不燃性素材と可燃性素材とが渾然一体となっており、さらに水に対する崩壊性を有する素材と水に不溶な素材とも渾然一体となっており、従って、こうした体液吸収体を廃棄する際には、不燃性でかつ水に不溶なものとして処理されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、こうした体液吸収体の使用後の処理方法について検討したところ、体液吸収体を構成する各素材には、上述のように可燃物と不燃物とがあること、また、この体液吸収体を構成する素材には、大過剰の水と接触した場合に崩壊するとの特性を付与できるものと絶対的な意味において耐水性を必要とする部材があることを見出した。そして、従来上述のような特性を考慮することなく特性の異なる素材が渾然一体となって形成されていた体液吸収体を、それぞれの特性を考慮して形成すれば、可燃物と不燃物との分別して廃棄することが可能であり、さらには水に投入して崩壊処理するものと、一般ごみとして処理するものとに分離可能になるとの知見を得た。
【0007】
即ち、本発明は上記のように体液吸収体における使用後の処理を容易にするためになされたものであって、本発明は、異なる素材を分離して処理することが可能な体液吸収体を提供することを目的としている。
さらに本発明は、汚物を含む部分を水に不溶な部分から分離して、好適にはこの汚物を含む部分を水に投入して水解させて処理することを可能にした体液吸収体、あるいは、不燃物と可燃物とに分離して処理することを可能にした体液吸収体を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明の体液吸収体は、透水性表面シート、パルプ体と該パルプ体を囲繞するティッシュからなる表層材とを有する体液吸収ユニットおよびバックシートとがこの順序で一体に積層された積層構造を少なくとも有する体液吸収体であり、該体液吸収ユニットが該透水性表面シート共に、該バックシートから剥離可能に積層されており、該バックシートと該体液吸収ユニットとが剥離可能に接着剤により接着されており、かつ該接着剤が、該体液吸収ユニットを形成する該表層材の表面破壊強度よりも高い接着強度を有し、該体液吸収ユニットを該透水性表面シートと共に該バックシートから剥離する際に、該体液吸収ユニットの該表層材が、該バックシートの表面に残るようにバックシート表面に塗設されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の体液吸収体は、水に不溶であるバックシート(防水シート)と、体液を吸収する体液吸収ユニットおよびその表面にある透水性表面シートとが分離可能に形成されている。体液吸収ユニットおよび透水性表面シートは、可燃性の素材であると共に形成する繊維の種類、バインダーの種類、繊維長さなどを調整することにより、体液のように少量の水分を含有した状態では、この形態を維持し、大過剰の水に投入した際には水解するとの特性を付与することは可能である。
【0010】
一方、防水シートであるバックシートは、不燃性のプラスチックシートであり、水分の漏れ出しを防止するものであるから、このバックシートが水解することはありえない。
そこで、本発明の体液吸収体では、好適には、使用後に、不燃性で水に対する溶解性を示し得ないバックシートと、可燃性で水解可能な体液吸収ユニットおよび表面シートとを分離することができるように構成し、従来一体として処理されていた体液吸収体を、その後処理方法を勘案して、可燃部分と不燃部分、さらに望ましくは水解部分と非水解部分に分離可能にしているのである。
【0011】
【発明の具体的説明】
次に、本発明の体液吸収体について具体的に説明する。
図1に本発明の体液吸収体の一例である紙おむつの例を示す。図2は図1におけるA−A断面図であり、図3はB−B断面図である。また、図4は、本発明の体液吸収体におけるバックシートを示す斜視図であり、図5は、このバックシートにおけるC-C断面図であり、図6は、バックシートの他の態様を示す断面図である。また、図7は、体液吸収体を使用後につまみ部を形成する破断線から吸収ユニットをバックシートと分離する状態を示す斜視図である。
【0012】
本発明の体液吸収体には、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット、おりものシート、母乳パット、ペットのトイレ用吸収シートなどがある。
図1に示すような紙おむつ10と同様に、これらは、いずれも透水性表面シート12、体液吸収ユニット14およびバックシート16を有している。
本発明の体液吸収体10を形成する透水性表面シート12は、尿などの体液が透過する織布、不織布、多孔性シート、メッシュを有するフィルムなどで形成することができる。また、この透水性表面シート12は、体液を体液吸収ユニット14に吸収させるように透過するが、体液吸収ユニット14に吸収された体液が逆流しないような一方方向に透水する選択的な透水性を有していることが好ましい。このような一方方向に透水する選択的な透水性は、例えば、透水性表面シート12の体液吸収ユニット14に接触する面のみを起毛させる方法、透水性表面シート12を、点状、線状、格子状など透水性を有する部分と撥水性を有する部分とに区分けして撥水加工する方法、疎水性繊維を用いて特定目開きのメッシュ状にする方法などにより発現させることができる。
【0013】
また、この透水性表面シート12は、水解性不織布から形成することもできる。水解性不織布は、水解性繊維あるいは短繊維に不織布を構成するように交絡を形成して水解性を発現させた不織布であり、ここで謂う水解性とは、少量の水(例えば不織布重量と同重量乃至3重量倍程度)を含有した際には、シートの形状が崩壊することはないが、これを超える大過剰の水に投入することにより、繊維の状態に解繊する不織布の特性をいう。
【0014】
透水性表面シート12を形成することができる水解性不織布は、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された繊維から構成されていることが好ましい。また、この樹脂組成物は通常は基材樹脂を含有している。本発明の不織布において、基材樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース、再生セルロースなどを挙げることができる。これらの樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。この基材樹脂は、繊維を形成する樹脂組成物100重量%中に通常は1〜99重量%、好ましくは10〜95重量%の量で含有されている。本発明では基材樹脂として、再生セルロースを使用することが特に好ましい。
【0015】
従って、本発明において透水性表面シート12を形成するのに好適な不織布は、再生セルロース、カチオン性樹脂およびアニオン性樹脂を含有する樹脂組成物から形成された繊維から構成されている。以下この好適な不織布について詳述する。
本発明の体液吸収体10における透水性表面シート12である不織布を構成する繊維は、基材樹脂としての再生セルロースと、後述する水溶性高分子とを含有してなる樹脂組成物から得られる。ここで、「水溶性高分子」とは、水と接触することで膨潤あるいは溶解する性質を有する物質をいう。
【0016】
このような水溶性高分子を再生セルロースとともに含有させた繊維を用いて不織布を形成することにより、この不織布を大過剰の水に投入することにより解繊するという特性を付与することができる。
この不織布には、この不織布を形成する繊維の形成樹脂成分の合計を100重量%としたとき、上記再生セルロースが、通常は20〜98重量%、好ましくは20〜95重量%、特に好ましくは30〜85重量%、より好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは70〜80重量%の量で含有するとともに、上記水溶性高分子を通常は2〜80重量%、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは15〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは20〜30重量%の量で含有されている。
【0017】
特に、上記水溶性高分子においては、カチオン性樹脂は、通常は1〜79重量%、好ましくは2〜68重量%、特に好ましくは2〜50重量%の量で含有されるとともに、アニオン性樹脂が通常は1〜79重量%、好ましくは2〜68重量%、特に好ましくは13〜48重量%の量で含有されている。
再生セルロースおよび水溶性高分子(カチオン性樹脂およびアニオン性樹脂)の量が上記範囲内にある繊維からなる不織布は、乾燥状態あるいは少量の水を含有した状態では、その形態が損なわれることがなく、一方、この不織布を大過剰の水に投入することによりこの不織布は繊維の状態にまで水解する。
【0018】
また、再生セルロースおよび水溶性高分子が上記範囲内の量で用いることにより、不織布を製造する際に水溶性高分子の脱落が防止できることから繊維間の膠着が少なくなるとの効果があり、従来と同じ繊維・不織布製造設備を用いることができる点で工業的にも有利である。さらに、このような従来の不織布の製造設備を使用しても、歩留まりが低下することなく向上し、製造コスト上でも有利である。
【0019】
なお、この繊維を形成する樹脂組成物には、本発明で使用する不織布の特性を損なわない範囲内で、基材樹脂(好ましくは再生セルロース)および水溶性高分子以外の第三成分を含有していてもよく、その含有量は80重量%以下、好ましくは40重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
上記不織布は、例えば以下の方法で得られた繊維を用いて製造することができる。例えば、パルプを水酸化ナトリウム溶液に浸漬してアルカリセルロースに変化させ、老成させた後、二硫化炭素を加えて硫化し、セルロースキサントゲン酸ナトリウムにして溶解し紡糸原液を調製する。この紡糸原液にカチオン化セルロースの水溶液およびポリアクリル酸ナトリウムの水溶液を加え混合する。この混合物を紡糸孔から凝固浴中に圧出し紡糸する。こうして製造される繊維の長さは、通常2mm以上、好ましくは20〜100mm、さらに好ましくは30〜80mmである。本発明で使用される不織布は、例えば上記のようにして製造された繊維を用いて製造することができる。上記繊維を用いて不織布を製造する方法としては、水解性を損なわないように上記繊維に交絡を形成すれば良く、湿式法、湿式スパンレース法、乾式スパンレース法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法の何れも好適に挙げることができる。しかしながら、先に述べたように、できるだけ化学物質からなるバインダーを用いないことがよいので、本発明において最も好ましい不織布加工法は乾式スパンレース法およびニードルパンチ法である。
【0020】
上記例示した製法において使用されるセルロースとしては、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラ、鹸化アセテートなどが挙げられ、これらの中でもビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラが、衛生性、安全性の観点から好ましい。これらの再生セルロースは単独であるいは組み合わせて使用することができる。上記カチオン性樹脂としては、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストリン、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムなどが挙げられ、これらの中でもカチオン化セルロース、カチオン化デンプンが、衛生性、安全性、水解性の観点から好ましい。これらのカチオン性樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。上記アニオン性樹脂としては、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ポリアルギン酸、キサンタンガムまたはポリメタクリル酸塩などが挙げられ、これらの中でもポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプンが、衛生性、安全性、水解性の観点から好ましい。これらのアニオン性樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0021】
また、上記三成分と共に使用される他の成分しては、パルプ、レーヨン、ポリプロピレン熱融着繊維、コットン、麻(ラミー)、ポリエステル繊維などが挙げられる。本発明において透水性表面シートを形成する不織布を構成する水解性繊維には、ウェブが形成されていることが好ましい。
本発明の体液吸収体で使用され可能な不織布は、好ましくは上記のように、再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から繊維(水解性繊維)を製造し、この繊維を用いて例えば上記の方法で製造することができるが、さらに、この水解性繊維に非水解性短繊維を加えて不織布を製造することができる。
【0022】
すなわち、本発明で透水性表面シートとして好適に使用される不織布は、再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された繊維、および、非水解性短繊維から構成されている。
ここで使用する非水解性短繊維は、それ自体では水に溶解あるいは安定に分散する特性は有していない樹脂から形成されている短繊維であり、このような短繊維の例としては、パルプ繊維、再生セルロース繊維(例;ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラ、鹸化アセテート)、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維、天然繊維および再生繊維を挙げることができる。上記のような非水解性短繊維の中でも、再生セルロース繊維を使用することが好ましい。このような再生セルロース繊維を使用することにより、得られる不織布の風合いあるいは肌触りが著しく改善されると共に、吸水性も高くなる。ここで使用する非水解性短繊維は、本発明の不織布に有する水解性を損なわないように非水解性短繊維が複雑な交絡を形成せず、不織布の水解性が損なわれない程度の繊維長を有していることが好ましい。このような非水解性短繊維の平均繊維長は、通常は、80mm未満、好ましくは40mm未満、さらに好ましくは20mm未満である。こうした非水解性短繊維を水解性繊維に混合して不織布を製造した不織布において、この不織布が良好な水解性を維持するためには、非水解性短繊維の平均繊維長が短いことが好ましい。また、この非水解性短繊維の平均繊維長の下限値は、不織布を漉く際に非水解性短繊維が流出しないような長さであればよく、不織布の製造方法により異なるが、下限値は通常は0.1mm、好ましくは0.5mm程度である。このような非水解性繊維は、水解性繊維と同様にウェブを形成していることが好ましい。
【0023】
このような特に好ましい不織布において、水解性繊維と非水解性繊維とは、この不織布の水解性を損なわないような量比で使用することができ、水解性繊維と非水解性繊維とは通常は1:99〜99:1の範囲内の量、好ましくは30:70〜70:30の範囲内の量で混合して使用される。すなわち、水解性繊維と非水解性繊維とを上記の量で混合して、上述の湿式法、湿式スパンレース法、乾式スパンレース法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、好ましくは乾式スパンレース法あるいはニードルパンチ法などの公知の方法を利用することにより不織布を製造することができる。
【0024】
このような不織布は、非水解性繊維を有しているにも拘わらず水解性を有している。
このようにして透水性表面シート12を構成する不織布としては、目付は、通常は20〜60g/m2の範囲内にあり、また、厚さは、通常は0.1〜2mmの範囲内にある。また、この透水性表面シート12を構成する不織布は、湿潤時において充分な強度を保持し、過剰の水中で撹拌したときに水解性を示す。特にこの不織布は、多量の水との接触により水解性を示す。さらに、水解する際に従来から用いられる水解性不織布のように含水時に一価のアルカリ成分を解離させるバインダーが溶出することがないので、直接肌に密着させても肌あれなどを引き起こしにくい。従って、この不織布は、紙おむつ、尿取りパット、生理用品などの体液吸収体10の透水性表面シート12として好適に使用することができる。
【0025】
本発明の体液吸収体10は、上記のような水解性の不織布を透水性表面シート12として使用することが好ましい。
本発明の体液吸収体10において、体液吸収ユニット14は、透水性表面シート12を透過した水分を吸収するものであり、繊維の集合である。この体液吸収ユニット14を形成する繊維としては、上述したような、
(a)カチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された繊維、
(b)再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された繊維、および、再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された水解性繊維、
(c)再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された繊維、および、非水解性短繊維との混合繊維、
(d) パルプ、再生セルロースのような吸水性を有するが水解性を有しない樹脂からなる非水解性短繊維を挙げることができる。即ち、このような体液吸収ユニット14に良好な水解性を付与するためには、上記のような水解性繊維を使用するか、水解性繊維と共に非水解性短繊維を使用するか、あるいは、非水解性短繊維を使用する。
【0026】
ここで使用する非水解性短繊維の平均長さは、水解性繊維と併用するか否かによっても異なるが、通常は8mm以下、好ましくは4mm以下、特に好ましくは2mm以下である。このような短繊維からなる体液吸収ユニット14は、繊維長さが短いか、あるいは、繊維が水解性を有していることから、大過剰の水に投入すると解繊する。
本発明の体液吸収体10において、この体液吸収ユニット14は、通常はティッシュと呼ばれる紙状体15で囲繞されている。体液吸収ユニット14を形成する繊維は、通常は短繊維であるが、ティッシュ15で囲繞することにより、これらの短繊維が、使用前、あるいは、使用中に体液吸収ユニット14から抜け落ちることはない。このティッシュ15は、パルプ、レーヨンなどの繊維からなる薄い紙状の不織布の一種である。
この透水性表面シート12および/または体液吸収ユニット14は、使用後に、バックシート16から分離するためのつまみ部19を体液吸収体10の長手方向端部に有している。このつまみ部は、透水性表面シート12と共に体液吸収ユニット14がバックシート16から剥離しやすいように、透水性表面シートの長手方向の両縁部に沿って形成された破断線18によって形成されている。従って、この体液吸収体10を使用後に、つまみ部19から透水性表面シート12を引き上げることにより、透水性表面シート12は破断線18から長手方向に沿って切断されながら体液吸収ユニット14と共に、バックシート16から分離される。
【0027】
本発明の体液吸収体10は、最外部にバックシート16を有する。
本発明の体液吸収体10を形成するバックシート16は、体液吸収ユニットの裏面に配置され、吸収した体液の漏洩を防止するバックシートである。
本発明の体液吸収体10を形成するバックシート16は、図4に示すように、水分不透過性シート21と、この水分不透過性シート21の体液吸収ユニット敷設面の長さ方向22および幅方向24の中央部近傍に貼着された補助吸水部材35とを有する。
【0028】
このバックシート16を形成する水分不透過性シート21は、吸収された体液が漏洩しないように水分が透過しない耐水性の素材で形成されている。このような耐水性の素材の例としては、ポリエチレン、炭素数3以上のオレフィンからなるポリオレフィン(例;ポリプロピレン、LLDPEなどのα-オレフィン(共)重合体);ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化オレフィン(共)重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル;ナイロンTMなどの合成樹脂から形成されているフィルム;あるいはこれらの樹脂を用いて紙、織布、不織布などの表面が被覆された複合フィルム、ラミネート紙を挙げることができる。
【0029】
特に本発明では、このような合成樹脂のなかでもα-オレフィン(共)重合体が好ましく、さらにポリエチレンが特に好ましい。このような合成樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような合成樹脂からなる水分不透過性シート21は、体液吸収体を装着したときの装着感を良くするためにできるだけ薄いことが好ましく、通常は、10〜50μm、好ましくは10〜30μmの範囲内の厚さを有している。
【0030】
また、この水分不透過性シート21は、体液が滲み出すことがないものであることが必要であるが、体液吸収体が装着されている部分(体液吸収体で囲繞された身体部分)の湿気を放出することができるように透湿性を有していることが好ましい。
即ち、水分不透過性シート21に体液吸収ユニットに吸収されている液体状の水分は透過しないが、水蒸気は透過するように水分不透過性シート21に微細孔を形成することが好ましい。このような水蒸気透過性を水分不透過性シート21に賦与するための微細孔の開口部の最小直径は、通常1〜100μm、好ましくは1〜20μmの範囲内にあり、このような微細孔を1cm2あたり50〜1000個、好ましくは100〜500個程度形成することにより、体液吸収体で囲繞された部分の湿気(気体状の水分=水蒸気)を選択的に体液吸収体の外に放出することができる。このような微細孔は、例えばフィルムを製造する際に合成樹脂に酸などの特定の溶媒に可溶性の微細粒子など(例えば炭酸カルシウムなど)を混合し、この微細粒子を含有する合成樹脂を用いてフィルムを形成し、延伸した後に酸処理などにより微細粒子を溶出することにより形成することができる。即ち、微細粒子を含有する延伸シートを微細粒子は溶解するが合成樹脂は溶解しない溶媒で処理することにより、例えば上記炭酸カルシウムを用いた場合には酸溶液で処理することにより、微細粒子を溶出させて微細孔を形成することができる。このようにして微細孔を形成したバックシートに体液吸収ユニットを配置してこの体液吸収ユニットに多量の体液が含浸されても、この微細孔からは液体の表面張力により吸収された体液が水分不透過性シート21から滲み出ることがないが、水蒸気は、この微細孔からは良好に排出される。従って、本発明の体液吸収体10に透湿性の微細孔を有するバックシート16を配置することにより、装着時に湿度による蒸れた感じがしなくなり、皮膚の炎症などの発生を有効に防止することができる。
【0031】
本発明で使用されるバックシート16には、上記のような水分不透過性シート21の幅方向24の中央部近傍および長さ方向22の中央部近傍に補助吸水部材35を有する。本発明の体液吸収体10では、体液の排出される部分の吸水能力を他の部分よりも高くして、排出された体液を体液吸収ユニットで充分吸収できるように構成されているが、体液吸収体の装着ずれ、あるいは、予定量を超えた排出体液量によって、排出された体液全部を吸収できない場合がある。こうした排出体液はその周囲に拡散して体液吸収ユニット全体で吸収するように構成されているのが一般的であるが、その一部が体液吸収体の側部などから漏出することがある。即ち、従来の体液吸収体においては、例えば上記の理由などによって吸水能力の低い部分に排出された体液、あるいは、吸収能力を超えて排出された体液は、水分不透過性シートと体液吸収ユニットとの間に流れ込みバックシートに添って広がって、最終的には流れた部分の体液吸収ユニットの吸水能力を超えた分の体液は、体液吸収体の縁部から滲み出してしまう。本発明の体液吸収体10ではバックシート16に形成された補助吸水部材35で上記のように体液吸収ユニット14で吸収しきれなかった体液を吸収する。
【0032】
本発明の体液吸収体10に配置されるバックシート16においては、図5に示すように水分不透過性シート21の表面に薄い不織布31を積層してバックシート基材30とすることが好ましい。このバックシート基材30を形成する薄い不織布31は体液吸収体の技術分野ではティッシュと呼ばれており、このティッシュ31は通常はパルプ、レーヨンなどの繊維からなる薄い不織布である。このティッシュ31は、水透過性を有しており、このティッシュ31に到達した体液は、このティッシュ31を通過してこのティッシュ31の下層に形成されている補助吸水部材35によって吸収される。
このバックシートにおける補助吸水部材35は、例えば図2および図5などに示すように樹脂フィルムからなる水分不透過性シート21の表面に薄い不織布(ティッシュ)31が積層されたバックシート基材30の水分不透過性シート21とティッシュ31との間に形成することができる。この補助吸水部材35は、水分不透過性シート21とティッシュ31との間に挟まれてバックシート基材30と一体不可分に形成されている。また、この補助吸水部材35はバックシート基材30の表面、即ち、ティッシュ31の表面に積層されていてもよい。
【0033】
この補助吸水部材35は、織布あるいは不織布と高分子吸水材とから形成されている。この補助吸水部材35を形成する織布あるいは不織布は、例えば、コットン、パルプなどの天然繊維、セルロースなどの再生繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維から形成することができる。
このような織布あるいは不織布は、できるだけ薄いことが好ましく、この織布あるいは不織布の厚さは、通常は0.1〜2mm、好ましくは0.5〜1.0mmである。この織布あるいは不織布は、主としてこの補助吸水部材35中に含有される高分子吸水材を保持するものであり、この織布あるいは不織布の吸水能力は低くても差し支えない。従って、ここで使用される織布あるいは不織布としては、バックシート全体の使用感が著しく変化しないように上記のような範囲内の厚さを有するものを使用することが好ましい。なお、本発明では、好ましい例として補助吸水部材35に含有される高分子吸水材を安定に保持するために上記のように織布あるいは不織布に高分子吸水材を含有させる方法を採用した例を示したが、高分子吸水材を安定に保持できる他の方法を採用することもでき、他の方法を採用する場合には織布あるいは不織布は必ずしも使用することを必要としない場合もある。
【0034】
本発明で補助吸水部材35中に含有される高分子吸水材は、被吸収剤を水とした場合の吸水量が、100g/g以上、好ましくは300g/g以上の吸水性を有する吸水性の重合体である。体液は、種々の電解質を含有するので、電解物質を含有する溶液について測定した吸水量は、上記値よりも通常は低い値を示すこともある。
【0035】
このような高分子吸水材としては、原料別に分類すると、
でんぷん系吸水材(例;でんぷん/アクリロニトリル系高分子吸水材、でんぷん/アクリル酸系架橋型高分子吸水材、でんぷん/モノクロル酢酸塩系高分子吸水材、でんぷん/ポリアクリル酸塩系高分子吸水材)、
セルロース系吸水材(例;セルロース/アクリロニトリル系高分子吸水材、セルロース/モノクロル酢酸塩系高分子吸水材、再生セルロースポリアクリル酸塩系高分子給水材)、
合成ポリマー系吸水材(例;アクリル酸金属塩ポリマー系高分子吸水材、ポリアクリル酸塩系高分子吸収剤、ポリビニルアルコール系高分子吸水材、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸アルキルエステル系高分子吸水材、ポリアクリルアミド系高分子吸水材、ポリオキシエチレン系高分子吸水材、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸系高分子吸水材、アクリロニトリル/酢酸ビニル系高分子吸水材、アクリロニトリル/アクリル酸/N-メチロールアクリルアミド系高分子吸水材、アシル化ポリエチレンイミン/TDI系高分子吸水材)などがある。本発明ではこれらの高分子吸水材を単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0036】
本発明の体液吸収体10で使用されるバックシート16を構成する補助吸水部材35には上記のような高分子吸水材が含有されているが、このバックシートにおける高分子吸水材の量は、電解質を含有する水溶液(即ち、擬似体液(例えば擬似尿など))を通常は5〜100g程度、好ましくは30〜100g程度吸収できる量であることが望ましい。高分子吸水材によって擬似体液の吸収量は異なることから、高分子吸水材の使用量はその種類によって適宜設定することができるが、例えば高分子吸水材としてポリアクリル酸系高分子吸水材を使用する場合には、バックシート1枚あたり、通常は0.1〜10g、好ましくは1〜5g程度である。また、他の高分子吸水材を使用する場合にも、ほぼ上記範囲内の量の高分子吸水材を使用することができる。
【0037】
即ち、本発明のバックシート16におけるティッシュ31上に体液吸収ユニットを配置して使用する場合、大部分の体液はこの体液吸収ユニットで吸収され、通常の場合、補助吸水部材35にまで到達する体液の量は多い場合であっても1〜50g程度である。従って、本発明の体液吸収体10を構成するバックシート16における補助吸水部材に含有される高分子吸水材は、上記のようにして補助吸水部材35に達することもある体液の量に対して1〜5倍、好ましくは3〜5倍であり、補助吸水部材35にまで体液が到達したとしても、この体液は補助吸水部材35で吸収されるので、体液がバックシート(水分不透過性シート)の表面に沿って漏出するのを防止することができる。
【0038】
この補助吸水部材35は、使用状態によっても異なるが、バックシート16の全面積に対して、通常は10〜80%、好ましくは20〜50%の範囲内に面積になるように形成される。
また、この補助吸水部材35は、通常はバックシートの中央部に配置されるが、バックシートの縁部に沿って配置してもよい。
【0039】
なお、この補助吸水部材35中には、抗菌剤、防黴材、消臭材、芳香剤などを配合することもできる。これらは補助吸水部材35に配合することもできるし、高分子吸水材中に配合することもできるし、さらに、水分不溶性シートと積層されるティッシュに配合することもできる。
本発明の体液吸収体10を構成するバックシート16の長手方向の縁部近傍には、図1、図2、図4および図5に示すように、長手方向22に沿って、弾性部材32が敷設されていることが好ましい。
【0040】
このように縁部近傍に弾性部材32を配置することにより、バックシート16の長手方向の縁部にギャザー33を形成することができる。このようにギャザー33を形成することにより、このバックシート16に体液吸収ユニットと共に使用する際にバックシート16の縁部が身体に密着するので、より確実に横漏れを防止することができる。
【0041】
この弾性部材32は、水分不透過性シート21とティッシュ31との間に、紐状あるいはリボン状の弾性部材32に張力をかけた状態で接着することにより配置することができるし、また、ティッシュ31の表面に貼着することもできる。そして、この貼着の際の張力を開放することにより、バックシート16の長手方向22の縁部にギャザー33が形成される。
【0042】
この弾性部材32は、上記のように水分不透過性シート21とティッシュ31との間に敷設するか、ティッシュ31の表面あるいは水分不透過性シート21の裏面などに貼着することが好ましい。
この弾性部材32としては、天然ゴム、合成ゴムなどを含有する弾性体を例えばひも状あるいはリボン状などの形態にして使用することができる。
【0043】
ここで使用される弾性部材32はできるだけ薄いことが好ましく、通常この弾性部材の厚さ(あるいは断面直径)は10〜1000μmの範囲内にある。
また、バックシート16の長手方向22の縁部には、疎水性部材(疎水性不織布)40をバックシートの長手方向の縁部に沿ってティッシュ31の表面に貼着することができる。図2.図3および図6には、この疎水性不織布40をバックシート16の長手方向22の縁部に位置する端部42から所定幅で貼着し、内側に位置する端部43は接着せずに貼着した態様が示されている。
【0044】
この疎水性部材40と水分不透過性シート21でバックシートの長手方向の縁部で直接接着してティッシュ31を挟み込み、ティッシュ31の側端部がバックシートの長手方向の縁部から存在しないよう疎水性部材40と水分不透過性シート21を接着することにより親水性を有するティッシュ31を伝っても縁部からの体液の滲み出しを防止することができる(図6参照)。
【0045】
ここで使用される疎水性部材として好適に使用される疎水性不織布40は、疎水性のフィラメントからなる不織布であり、この不織布は水と親和性がないので、仮に補助吸水部材35で捕捉できなかった水分があったとしても、この疎水性不織布40を貼着することにより、この疎水性不織布40よりも外側に漏出しにくくなる。特に疎水性不織布40の内側の端部43を接着せずにバックシートから浮かせて配置することにより、この非接着部分が内側から外側に向かう体液に対して、所謂反しになり、この疎水性不織布40から外側への体液の漏出を有効に防止することができる。
【0046】
このような疎水性不織布は、疎水性を有するフィラメントから形成されているが、ここで使用される疎水性フィラメントとしては、フッ素化ポリオレフィン、ケイ素含有単量体、ポリオレフィン、ポリエステルなどの水に対して親和性を有していない樹脂からなるフィラメントから形成することができる。また、上記のようなフィラメントとは異なり、本質的にフィラメントを形成する樹脂として疎水性を示さない樹脂を用いてフィラメントを調製し、このフィラメントの表面に疎水性処理、例えばシリコン処理、フッ素樹脂コーティング、ワックス処理などを施してフィラメントを疎水性にして用いることができる。
【0047】
また、通常の繊維から不織布を形成し、この不織布を例えばフッ素樹脂処理、シリコン処理などの疎水性処理することにより、この不織布を疎水性にして使用することもできる。なお、この疎水性不織布40において不織布を用いるのが好適であるが織布であってもよい。
このような疎水性不織布の厚さは、通常は500〜2000μm、好ましくは500〜1000μmの範囲内にある。また、図8に示すように、反しとなる内側の端部43の先端にさらに弾性部材50を張力をかけながら貼着することにより立体ギャザーを形成することができ、このようにして立体ギャザーを形成することにより吸収された体液の横漏れを効率的に防止することができる。なお、図8に立体ギャザーの部分を拡大して示してある。この図8において、他の図面の共通の部材には共通の付け番を賦してある。
【0048】
上記バックシート16と体液吸収ユニットは図2および図3に示すように、接着剤20で接着されている。この接着剤20は、バックシート16の表面に塗布されている。そして、この接着剤20は体液吸収ユニットを囲繞しているティッシュ15の表面でバックシート16と体液吸収ユニット14とを接着している。この接着剤20は、体液吸収ユニット14が含水してもその接着力が著しく低下しないように耐水性を有していることが好ましく、通常は水に対する溶解性を示さないホットメルト型接着剤などが使用される。
【0049】
本発明の体液吸収体10では、使用後にバックシート16から体液吸収ユニット14を透水性表面シート12と共に分離して処理することから、この接着剤20は、体液吸収ユニット14をバックシート16から剥離する際にバックシート側に残ることが好ましく、従って、この接着剤20の接着強度は、体液吸収ユニット14の周囲にあるティッシュ15の破壊強度よりも高いことが好ましい。このような接着強度を有する接着剤20を使用することにより、体液吸収ユニット14をバックシート16から剥離すると、接着剤20に接着されているティッシュ15の接着部分は破壊されて、バックシート16側表面に残る。
【0050】
上記のような本発明のバックシート16を形成する構成成分は、全体が一体化されており、体液吸収ユニット14とは別に取り扱うことができる。そして、本発明のバックシートを形成する構成要素である水分不透過性シート21、補助吸水部材35、水不透過性シート21と一体化されたティッシュ31、さらに必要により配置される弾性部材32および疎水性不織布40は、不燃性のものが多いと共に水に対する溶解性および分散性を有していない。従って、例えば図7に示すように、このバックシート16に、水解性の素材で形成した体液吸収ユニット14の裏面に接着して配置して使用した後、廃棄の際に本発明のバックシートを体液吸収ユニット14から剥離すれば、体液が吸収され、汚物が付着している体液吸収ユニット14と不燃性で水に不溶なバックシート16とを個別に処理することができる。そして、体液吸収ユニット14及び透水性表面シート12が水解性を有する場合には、これらを水に投入して、水に分散あるいは溶解させて処理することが可能になる。
【0051】
即ち、バックシート16には不燃性で水に分散あるいは溶解させて処理できない構成要素が一体化されているおり、このバックシート16に接着して用いられる体液吸収ユニット14および透水性表面シート12には、可燃性でありこうした水に不溶な成分を構成要素を組み込まれていないから、バックシート16と、体液吸収ユニット14および透水性表面シート12とを分離して、これずれを個別に処理することができる。そして、図7に示すように、例えば体液吸収ユニット14、例えば2mm以下の短繊維で形成することにより、この体液吸収ユニット14を、使用後にバックシートを分離して水中に投入すれば、この体液吸収ユニット14を水に溶解若しくは分散させて処理することができる。
【0052】
このように不燃性で水に分散しない構成要素を一体にしたバックシートを使用して体液吸収体を形成すると、使用後にバックシートを体液吸収ユニットから剥離し、体液吸収ユニットは、可燃ごみとして若しくは水解させて処理することが可能になり、また分離されたバックシートは、不燃ごみとして分別して処理することが可能になる。
【0053】
図5に本発明のバックシート10に体液吸収ユニット14を配置した体液吸収体50の断面の例を示す。なお、構成を明確にするため、実際よりも厚く示している。
また、体液吸収ユニット14が水崩壊性を有していない場合であっても、汚物、体液を含有する水性吸収ユニット40とバックシート10とを分離して可燃ごみとして処理することができるので、環境にやさしくしかも衛生的である。
【0054】
また、本発明のバックシートは補助吸水部材を有するので、仮に体液吸収ユニットで吸収しきれない体液がバックシートに形成されている補助吸水部材によってほぼ完全に吸収される。また、この補助吸水部材によって吸収されなかった体液がある場合においてさえも、バックシートの縁部に敷設されている弾性部材によって形成されているギャザーおよび同様に縁部に形成されている疎水性部材によって体液吸収体の側面からの吸収体液の漏洩がほぼ完全に防止することができる。
【0055】
上記のような本発明のバックシートは、本発明の目的を損なわない範囲で種々改変することができる。
例えば、本発明のバックシートには、水分不透過性シートの表面に粘着剤層45を形成することができる。即ち、本発明のバックシートに体液吸収ユニットを配置し装着する際に下着などと接触する水分不透過性シート11の表面の少なくとも一部に粘着剤層45を設けることにより、装着時の体液吸収体のずれを防止することができる。この粘着剤層45はバックシートの裏面全面に形成することもできるし、その一部に形成することもできる。このような粘着剤層を形成した場合には、この粘着剤層の表面に剥離紙(図示なし)を貼着することが好ましい。この剥離紙は、少なくとも粘着剤層45を覆う大きさであればよく、この剥離紙をバックシート16と同等若しくはバックシートよりも若干大きく形成して本発明のバックシートを有する体液吸収体を取り替えて装着する際に使用済みの体液吸収体を囲繞して廃棄する際の囲繞体とすることもできる。
【0056】
なお、上記の説明では、体液吸収体について紙おむつを例にして説明したが、紙おむつのほかに、生理用ナプキン、おりものシート、失禁パット、母乳パット、ペットのトイレ用シート等のような人体等からの分泌物を吸収する吸収体についても同様に構成することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の透水性表面シートおよび体液吸収ユニットと、バックシートとを分離することができる。そして、バックシートには、不燃物を中心とした水に対して水解性を示さない構成要素が一体化されており、一方、体液吸収ユニットおよび透水性表面シートは可燃性で、かつ水解性を有する素材で形成することが可能であり、両者を分別処理することが可能である。さらに、体液吸収ユニットおよび透水性表面シートを水解性素材で形成することにより、使用後に体液吸収ユニットおよび透水性表面シートを、バックシートから分離して水洗処理することが可能になる。
【0058】
また、本発明で使用されるバックシートは、補助吸水部材と水分不透過性シートとが一体に形成されていることから、体液吸収ユニットに過剰な体液が供給された場合であってもこの補助吸水部材によって余剰の体液を吸収することができる。従って、このバックシートを用いることにより、体液吸収体の側縁部からの体液の漏洩を有効に防止することができる。そして、バックシートに補助吸水部材を一体に配置することにより、もしもの場合の余剰吸水能力をこの補助吸水部材に委ねることができるので、嵩高な体液吸収ユニットを通常の使用状態に併せて薄く形成することができる。従って、このバックシートを用いることにより、体液吸収体全体の厚さを薄くすることができる。
【0059】
また、このバックシートは体液吸収ユニットから分離することができる。従って、汚物が付着あるいは体液が吸収されている体液吸収ユニットと、水分不透過性シートとして合成樹脂フィルムを有するバックシートとを別々に処理することができる。
このようにバックシートと体液吸収ユニットとを分離可能にすることにより、分別してごみを処理することができ、さらに体液吸収ユニットを水解性繊維を用いて形成して使用後にバックシートから分離した体液吸収ユニットを水に投じて水解させて処理すると共に、樹脂フィルムを有するバックシートは不燃ごみとして処理することも可能になる。
【0060】
さらに、本発明の体液吸収体の透水性表面シートなどを形成することが可能な水解性不織布は、水性バインダーを用いることなく形成することが可能であり、従って、アルカリ成分が解離しないので、皮膚に対して刺激性が少なく、例えば抵抗力の低い皮膚に対しても安全で、殊に乳幼児が使用しても皮膚の炎症などを引き起こしにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1に本発明の体液吸収体の一例である紙おむつの例を示す。
【図2】 図2は図1におけるA−A断面図である。
【図3】 図3はB−B断面図である。
【図4】 図4は、本発明の体液吸収体におけるバックシートを示す斜視図である。
【図5】 図5は、図4に示すバックシートにおけるC-C断面図である。
【図6】 図6は、バックシートの他の態様を示す断面図である。
【図7】 図7は、体液吸収体を使用後につまみ部を形成する破断線から吸収ユニットをバックシートと分離する状態を示す斜視図である。
【図8】 図8は、立体ギャザーを設けた態様を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10・・・体液吸収体
12・・・透水性表面シート
14・・・体液吸収ユニット
15・・・ティッシュ
16・・・バックシーt
18・・・破断線
19・・・つまみ部
20・・・接着剤
21・・・水分不透過性シート
31・・・ティッシュ
32・・・弾性部材
33・・・ギャザー
40・・・疎水性不織布
50・・・弾性部材
Claims (10)
- 透水性表面シート、パルプ体と該パルプ体を囲繞するティッシュからなる表層材とを有する体液吸収ユニットおよびバックシートとがこの順序で一体に積層された積層構造を少なくとも有する体液吸収体であり、該体液吸収ユニットが該透水性表面シート共に、該バックシートから剥離可能に積層されており、
該バックシートと該体液吸収ユニットとが剥離可能に接着剤により接着されており、
かつ該接着剤が、該体液吸収ユニットを形成する該表層材の表面破壊強度よりも高い接着強度を有し、該体液吸収ユニットを該透水性表面シートと共に該バックシートから剥離する際に、該体液吸収ユニットの該表層材が、該バックシートの表面に残るようにバックシート表面に塗設されていることを特徴とする体液吸収体。 - 上記体液吸収ユニットの端部に、該体液吸収ユニットを上記バックシートから引き剥がすための引き剥がしつまみ部が形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。
- 上記バックシートが、水分不透過性シートと、該水分不透過性シートと一体に形成された補助吸水部材とを有し、該補助吸水部材中には高分子吸水材が含有されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。
- 上記バックシートが水分不透過性シートとティッシュとが積層されたバックシート基材とを有し、補助吸水部材が、該水不透過性シートと該ティッシュとの間に、該バックシート基材と一体不可分に配置されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。
- 上記バックシートの長手方向の縁部近傍に沿って、疎水性部材が張設されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。
- 上記バックシートが、透湿性を有することを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。
- 上記バックシートを形成する上記水分不透過性シートが、ポリエチレン、ポリエステルおよびポリ塩化ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の合成樹脂からなるフィルムから形成されていることを特徴とする請求項第3項記載の体液吸収体。
- 上記バックシートを形成する上記補助吸水部材が、不織布あるいは織布と該不織布あるいは織布に含有された高分子吸水材とからなることを特徴とする請求項第3項記載の体液吸収体。
- 上記体液吸収体の上記バックシートの上記体液吸収ユニットが配置される面と反対の面に粘着剤層が形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。
- 上記体液吸収体が、使い捨て紙おむつであることを特徴とする請求項第1項乃至第9項のいずれかの項記載の体液吸収体。
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