JP4218823B2 - 分散拡声方式スピーカシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は分散拡声方式スピーカシステムに関し、とくに大空間の天井に分散配置したスピーカにより当該大空間の受音面で均一な音色の拡声音を与えるスピーカシステムに関する。本発明は、分散スピーカを利用して音像を定位する拡声システムに有効に適用できる。
【0002】
【従来の技術】
不特定多数の人が使用する公共施設やスポーツ施設、ホール等の大空間で拡声システムを設計する場合に、ハース効果(先行音効果)を利用して話者方向から音声が聞こえるように音像を定位して拡声することは、話者と聞き手との一体感を作り出し音声の明瞭性を向上させる上で重要である。ハース効果とは、例えば図13(B)に示すように、受音点においてスピーカAの方向からの音(先行音)を聞くと、別の方向のスピーカBから一定範囲の時間遅れと音圧レベル差を伴って到達する別の音(補強音)をスピーカAの方向(先行音の方向)に定位する音響心理効果である。図13(A)は、受音点においてハース効果が得られる先行音と補強音との間の到達時刻差(遅延時間、Tb−Ta=補強音の受音点到達時刻−先行音の受音点到達時刻)と到達音圧レベル差(Lb−La=補強音の受音点到達音圧レベル−先行音の受音点到達音圧レベル)との関係を示す。図中の斜線で示す範囲がハース効果の得られる範囲、すなわち音像定位領域である。
【0003】
従来、ハース効果を利用した拡声方式として半分散拡声方式が知られている。半分散拡声方式では、話者の近傍にメインスピーカを配置し、天井に配置した分散スピーカからも音を出し、メインスピーカの音が受音点に到達してから10ms秒程度遅れた時刻に分散スピーカからの音が受音点に到達するように各スピーカの発音時刻を制御することにより音像を話者に定位する。しかし、半分散拡声方式は拡声対象空間(以下、音場ということがある。)が比較的狭い場合(例えば話者から最後部座席までの距離をR2、天井高さをR1として、R2/R1=3〜5程度の場合)は適用可能であるものの、音場が広くなると全ての受音点で音像定位を得ることが難しくなり、しかも音源の位置の変化への対応が難しい等の問題点がある。
【0004】
これに対し本発明者は、半分散拡声方式のように分散スピーカと異なるメインスピーカを用いるのではなく、音響特性が実質的に同一の分散スピーカのみを用いる分散拡声方式により、広い音場(例えば、前記R2/R1>5の音場)でも全ての受音点で音像定位を得ることでき且つ音源の位置の変化に応じて音像定位の方向を音源に合わせることができる音像定位拡声システム(以下、分散拡声方式の音像定位システムということがある。)を開発し、特許文献1に開示した。
【0005】
特許文献1が開示する音像定位システムの一例を図14に示す。図示例は、受音面Ph上方の所定位置に音源Oの音の拡声に使う実質上同一音響特性の複数のスピーカSj(1≦j≦n)を隣接スピーカのカバーエリアを一部(例えば20%程度)重畳させて下向きに分散配置し、各スピーカSjの垂直下方の受音面Ph上の部位をそれぞれ受音点Pi(1≦i≦n)としたものである。受音面Phは、例えば床面6上の聴者2の耳の高さ位置hに想定した仮想面である。音場内の話者や演奏者等の音源Oの近傍にマイクロホン3を設置し、音源Oからの音響信号を信号伝送装置10により分散配置した各スピーカSjへ入力する。信号伝送装置10と各スピーカSjとの間に各スピーカSjの音響遅延及び音圧レベルを調整する信号調整装置(イフェクタ)20を挿入し、各信号調整装置20と接続したコンピュータ30より各信号調整装置20の音響遅延及び入力パワーの調整を一括して制御する。図中の符号11はミキサー、符号12はアンプを示す。
【0006】
図15は、音像定位を得るためのコンピュータ30による信号調整装置20の制御方法の流れ図を示す。先ず、コンピュータ30のスピーカ選択手段31により各スピーカSjのうち音源Oに最も近いスピーカ(例えばS1)を主スピーカSoとして選び、残余のスピーカをスピーカ順位付け手段32により主スピーカSoからの距離の昇順に順位付けして周辺スピーカSgx(x=1、2、……、(n−1))とする(ステップS001〜S003)。主スピーカSoからは、コンピュータ30の主スピーカ音指示手段33により、音源Oの音の拡声音を時間遅延なしの時刻零に所要入力パワーで発音する(ステップS004)。
【0007】
図15のステップS005〜S008において、周辺スピーカSgxの順位の昇順に従い、コンピュータ30の周辺スピーカ音指示手段34により各周辺スピーカSgxの発音時刻を決定する。すなわち周辺スピーカSgxの各々について、周辺スピーカSgx(例えばSg15)の下方の受音点Pgx(例えばPg15)において当該周辺スピーカSgxからの拡声音到達時刻Txxが主スピーカSoからの拡声音到達時刻Toxに対しハース効果を与える遅延時間Δtxだけ遅れる(Txx=Tox+Δtx)ように、周辺スピーカSgx(例えばSg15)の発音時刻を算出する。
【0008】
また、図15のステップS009〜S012において、周辺スピーカSgxの順位の昇順に従い、周辺スピーカ音指示手段34により各周辺スピーカSgxの入力パワーを決定する。すなわち周辺スピーカSgxの各々について、周辺スピーカSgx(例えばSg15)の下方の受音点Pgx(例えばPg15)において当該周辺スピーカSgx(例えばSg15)からの拡声音到達時刻Txxより先行して到達する下位順位の周辺スピーカSgk(k=1、2、……、(x−1))及び主スピーカSoからの拡声音のそれぞれの到達音圧レベルの総和(ΣLkx+Lox)を求め、その総和に対しハース効果を与える音圧レベル差ΔLxだけ高くなるように当該周辺スピーカSgx(例えばSg15)からの拡声音到達音圧レベルLxx(=ΣLkx+Lox+ΔLx)を定め、定めた到達音圧レベルLxxに対応する周辺スピーカSgx(例えばSg15)の入力パワーを算出する。受音点Pgxにおける周辺スピーカSgk及び主スピーカSoからの到達音圧レベルLkx、Loxは、各スピーカSgk及びSoから受音点Pgxまでの距離と各スピーカSgk及びSoの入力パワー及び音響特性との関数として求めることができる。
【0009】
図15のステップS005〜S012を全ての周辺スピーカSgxについて順位の昇順に繰り返すことにより、周辺スピーカSgxの各々の発音時刻及び入力パワーが決定できる。信号調整装置20により、周辺スピーカSgxの各々から音源Oの音の拡声音を前記算出した発音時刻に前記算出した入力パワーで発音することにより、受音面Ph上のあらゆる受音点Piにおいて音源Oヘ向かう方向に音像を定位することができる。また、音源Oの位置の移動に応じて主スピーカの選択と周辺スピーカの順位付けとをやり直すことにより、移動する音源O(例えば、不特定な位置に表れる質問者等)に音像を定位させることができる。
【0010】
従来の分散拡声方式のスピーカシステムは、音声パワーの大半を含む周波数帯域(例えば125Hzから8kHzの範囲の周波数帯。以下、音声帯域という。)を1台で再生するフルレンジ型コーンスピーカ、又は低音域再生用スピーカ(ウーハ部)と高音域再生用スピーカ(ツイータ部)とを合成した複合型スピーカを使用するのが一般的である。例えば、音場の天井が余り高くない場合は、公称口径10〜16cm程度のフルレンジ型コーンスピーカを天井に分散配置してシステムを構築する。天井が高い場合は、受音面Ph上で必要十分な音圧を得るために、例えば公称口径250〜300mm程度の大口径コーンスピーカにホーンを装着したウーハー部とホーンを装着したツイータ部とを用いる2ウェイ方式の複合型スピーカ等を用いる。
【0011】
【特許文献1】
特許第3273561号公報
【特許文献2】
特開平10−229595号公報
【非特許文献1】
中島平太郎著「ハイファイスピーカ」日本放送出版協会、昭和43年1月20日、第1版、p52〜p55
【非特許文献2】
JAS journal、MARCH 2000 No.3、日本オーディオ協会、2000年3月
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のフルレンジ型コーンスピーカや複合型スピーカのシステムを用いて上述した音像定位システムを実際に構築する際には、以下のような点が問題となる。
【0013】
(1)従来の複合型スピーカは、ウーハ部及びツイータ部の周波数のクロスオーバー近辺において指向特性が確保されず、またウーハ部及びツイータ部の振動板材料の相異により両者の音色が異なるため、明瞭性が低下したり再生音が不自然となる場合がある。図13に示すハース効果は、2つのスピーカA、Bからの音が両耳に対して同じ周波数特性をもつ場合に起き易いことが知られている。ところが複合型スピーカでは、クロスオーバー近辺の周波数においてウーハ部とツイータ部との指向特性が不連続になり、またウーハ部とツイータ部との位相干渉によるディップが発生するため、ハース効果が起き難くなる。音像定位システムを構築するためには、音声帯域の全域において均一な音圧周波数特性が得られるように、複合型ではなくフルレンジ型のスピーカを使用することが望ましい。
【0014】
(2)他方、従来のフルレンジ型コーンスピーカは、音声帯域の高音域で出力音圧レベルに山谷が発生し、正面軸上の音圧は比較的高いものの指向特性が急激に劣化する問題点がある。一般にコーンスピーカの指向性はコーンの実効振動半径(すなわちコーンの外径)aと音波の波長λとの比k(=a/λ)で定まり、周波数が高いほど、コーンの実効振動半径aが大きいほど、またスピーカの正面軸から離れるほど指向性の劣化が著しくなることが知られている(非特許文献1)。このため,従来のフルレンジ型コーンスピーカを用いて音像定位システムを構築すると、例えば図14の受音点P5と受音点P4との間においてスピーカS5からの高音域の音色とスピーカS4からの高音域の音色とが異なる事態が生じ、ハース効果が起き難い受音点が発生する場合がある。
【0015】
コーンスピーカの高音域における山谷の発生を改善するため、振動板を朝顔形コーンとしたカーブド・コーンスピーカが知られている(非特許文献1)。しかし、カーブド・コーンを使用しても指向特性を十分に改善することは難しい。図9は、カーブド・コーンを用いた公称口径16cmのスピーカの正面軸上における音圧レベルの周波数特性(実線グラフ)と、正面軸から45度傾斜した軸上における音圧レベルの周波数特性(点線グラフ)とを示す。同図から分かるように、カーブド・コーンを使用した場合でも、比較的低い約5kHz以上の周波数で正面軸上の音圧レベルに大きな山谷が発生し、45度傾斜軸上の音圧レベルが急激に劣化している。音像定位システムの実用化を図るため、高音域において指向特性が急激に劣化しないフルレンジ型スピーカの開発が望まれている。
【0016】
(3)また、従来のフルレンジ型コーンスピーカは、ホーンを装着する場合にホーン負荷に耐える強度を得るためにコーンを厚くすると、ピークが大きくなる問題点もある。コーンスピーカの高音域の指向特性を向上するためにはコーンの質量を小さくすることが必要であるとされており、コーンを厚くして質量が大きくなると逆に高音域の指向特性が低下してしまう。すなわち、従来のコーンはホーンのドライバには適していない。音像定位システムの実用化のためには、ホーンを装着しても指向特性が劣化しないフルレンジ型スピーカの開発が必要である。
【0017】
そこで本発明の目的は、音像定位に適した分散拡声方式スピーカシステムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、振動板を双曲放物面(Hyperbolic Paraboloid)形状としたコーンスピーカ(以下、HP型スピーカということがある。)に注目した。双曲放物面形状の振動板(以下、HP型振動板ということがある。)とは、捻れの位置にある2本の線分上の2点を結ぶ直線(又は線分)をその2本の直線に沿って移動させることにより形成される曲面又はその曲面の組み合せにより形成した振動板である。従来、分割振動を抑えて良質な音を得ることを目的として双曲放物面形状の振動板を用いたHP型スピーカが提案されている(特許文献2、非特許文献2参照)。
【0019】
特許文献2が開示するHP型スピーカの一例を図16に示す。同図(A)はHP型振動板22の一例の作成方法を示し、図中の符号CはHP型振動板22の中心軸線、QはHP型振動板22の中心点を表わす。コーン22の外方端周縁23を4等分した弧E1の両端及び中点をF1、F3及びF2とし、中心軸線C上の中心点Qから同一方向に偏位した点をG1、G2とする。例えば、G1とF2とを結ぶ線分の両端G1、F2を直線G1-G2及び曲線F2-F3に沿って移動させることにより、F2、G1、G2、F3で囲まれる領域に双曲放物面を形成する。同様に、G1とF2とを結ぶ線分の両端G1、F2を直線G1-G2及び曲線F2-F1に沿って移動させることによりF2、G1、G2、F1で囲まれる領域に双曲放物面を形成する。4つの弧E1、E2、E3、E4にそれぞれ2面ずつ形成した8面の双曲放物面によりHP型振動板が構成される。同図のHP型振動板22は、双曲放物面上に山(例えばF2-G1を結ぶ領域)と谷(例えばF3-G2を結ぶ領域とF1-G2を結ぶ領域)とが周方向に交互に形成される。また同図(B)に示すように、各双曲放物面は2方向の直線と双曲線(Hyperbolic)と放物線(Paraboloid)の4つの断面で構成される。このように作成した双曲放物面は、各要素の直線に剪断力(ずれ応力)のみが働き、曲げが生じないため、軽量でありながら強い構造となることが知られている。同図(C)はHP型振動板22を組み込んだHP型スピーカ21の一例の断面図を示す。図示例のHP型スピーカ21はHP型振動板22の構造に特徴があり、その他の部分に関しては従来の構成を適用したものである。
【0020】
従来、HP型スピーカ21は広い周波数帯域で使用でき、材料の選定の自由度が広いので安価に製造できる等の利点が報告されている(特許文献2の段落0022)。しかし、HP型スピーカ21の指向特性については詳細な検討はなされていない。本発明者は、図3〜5に示す振動板構造のHP型スピーカ21を試作し、HP型スピーカ21の指向特性を確認するシミュレーション実験を行った。図5(A)に示すHP型振動板22は、16cmの円形を扇形状に5等分した構造であり、各扇形部の半径上に山(A点)を定めると共に扇形部の中心に谷(B点)を定め、各山及び谷の稜線と扇形部の弧とを結ぶ直線(図中の点線)により双曲放物面を形成したものである。図5(B)の断面図に示すようにHP型振動板22の外径Wを110mmとした。
【0021】
図3は、図5のHP型振動板22を組み込んだHP型スピーカ21(スピーカ公称口径160mm)の断面図を示す。同図に示すように、HP型振動板22の外方端周縁をエッジ56によりフレーム55の先端へ係止し、HP型振動板22の内方端に所定径のボイスコイル27を接合した。従来のコーン型と異なりHP型振動板22ではボイスコイル27との接合部位が平坦でなく複雑な形状となるため、図5(C)に示すような振動板形状に沿ったカップリングアダプタ28を用いてHP型振動板22とボイスコイル27とを接合した。HP型振動板22とボイスコイル27との接合位置(HP型振動板22のドライブ位置)は、図5(A)に示すように多角形となる。ボイスコイル27の径Bは、アダプタ28の内周縁に沿って接合されるため、アダプタ28の径より若干小さくなる。ボイスコイル27と対向する部位にマグネット51、センターポール52及びヨーク53を設け、センターポール52とヨーク53との間にマグネット51により磁界を形成する。音声信号に応じてボイスコイル27の電流が流れるとボイスコイル27に力が加わり、ボイスコイル27に接合されたHP型振動板22が前後(同図では上下)方向に振動して外方端周縁から音波を放射する。図中の符号54はダンパ、54aはダンパーリング、58は端子板を示す。図4はエッジ56及びダンパ54を含むHP型振動板22の斜視図を示す。
【0022】
図3のボイスコイル27の径Bを20mm、35mm及び50mmとし、各ボイスコイル径BにおけるHP型スピーカ21の指向特性をシミュレーションした。シミュレーション結果を図6〜図8のグラフに示す。図6のグラフは、ボイスコイル径Bを20mmとした場合のスピーカ正面軸上の周波数特性(実線グラフ)と45度傾斜軸上の周波数特性(点線グラフ)とを表わし、高音域は伸びるが中音域の1kHz付近にピークとディップ(山・谷)が発生することを示す。この中音域の山谷の発生は、ボイスコイル27のドライブ位置をHP型振動板22の中心点Q(図5(B)参照)に近づけ過ぎたため駆動力が不足したことが原因であると考えられる。また図8のグラフは、ボイスコイル径Bを50mmとした場合のスピーカ正面軸上の周波数特性(実線グラフ)と45度傾斜軸上の周波数特性(点線グラフ)を表わし、何れも5kHz程度から音圧が低下することを示す。このグラフから、大き過ぎるボイスコイル径Bはフルレンジ型スピーカに適さないと考えられる。これに対し図7に示すボイスコイル径Bを35mmとした場合のスピーカ正面軸上の周波数特性(実線グラフ)と45度傾斜軸上の周波数特性(点線グラフ)は、図9に示すカーブド・コーンのような正面軸上の大きな山谷も45度傾斜軸上の音圧レベルの急激な劣化も見られず、軸上特性及び指向特性が共に低・中音域でフラットであり高音域で緩やかに低下している。図7の特性のHP型振動板22を用いれば、高音域において指向特性が急激に劣化しないフルレンジ型スピーカとすることができる。
【0023】
図10は、図7に示すHP型振動板22の45度傾斜軸上の音圧レベルと、図9に示すカーブド・コーン型振動板の45度傾斜軸上の音圧レベルとの対比結果を示す。本発明者は、図10に示す両グラフの相異の原因を検討するため、両振動板の5kHz近傍での分割振動状態のモーダル解析を行った。解析結果を図11及び図12に示す。図中、白く表わした部分が分割振動状態の部分に相当する。図12はカーブド・コーン型振動板の分割振動状態を表わし、共振部位が振動板外周部に集中していることを示す。カーブド・コーン型振動板の高音域における指向特性の急激な劣化は、この振動板外周部に集中した分割振動により中心から角度がずれた位置で位相干渉が強くなった結果と考えられる。これに対し図11はHP型振動板22の分割振動状態を表わし、共振部位が振動板の全体に分散していることを示す。HP型振動板22では、このように共振部位が分散しているため指向特性の急激な劣化が発生しないと考えられる。
【0024】
更に本発明者は外径W=110mm以外のHP型振動板22についても前記シミュレーション実験を繰り返し、振動板22の外径Wに対するボイスコイル27の径Bの比率を28〜69%の範囲内で選択することにより図7の場合と同様の軸上特性及び指向特性が得られることを見出した。すなわち、HP型振動板22では、振動板外径Wに対するボイスコイル径Bの比率の調節により指向特性を改善し、低・中音域でフラットであり高音域で緩やかに低下する指向特性とすることができる。本発明は、この知見に基づく更なる研究・開発の結果,完成に至ったものである。
【0025】
図1の実施例を参照するに、本発明による分散拡声方式スピーカシステムは、音場の天井5に分散配置した複数の下向きスピーカ21により音源Oの音を拡声する分散拡声方式スピーカシステムにおいて、音場の床6から天井5までの高さHが4.5mを中心として3.8〜5.2mのときに、スピーカ21の振動板22を外径W(図3及び5参照)が69〜89mmの双曲放物面形状とし、振動板22の内方端に振動板形状に沿って結合したボイスコイル27の径B(図3及び5参照)の外径Wに対する比率を28〜69%の範囲内として高音域の指向角度を広げ、スピーカ21の相互間隔Dを前記高音域の指向角度が音場の所定高さhの受音面Phにおいて一部重なる大きさとしてなるものである。
【0026】
好ましくは、ボイスコイル径Bを20〜50mmとする。更に好ましくは、振動板22を密度が低くヤング率が高い材質製とする。例えば振動板22の材質を、密度0.60〜1.15g/cm3、ヤング率6〜15GPaの範囲内のものとすることが望ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は、高さH1、H2の異なる天井が隣接する音場に本発明のスピーカシステムを適用した実施例を示す。図示例では、受音面Ph上方の天井5に、例えば図3〜5に示すHP型振動板22が組み込まれた複数のHP型スピーカ21を下向きに分散配置している。但し、HP型振動板22の形状は図示例に限定されず、形状には様々な可能性がある。例えば、図5に示すHP型振動板22の山・谷の数や高さ、及び全体の深さについても、有限要素法によるモダール解析(FEMモダール解析)と現物シミュレーションとの繰り返しにより、最適な軸上特性及び指向特性が得られるように実験的に定めることができる。
【0028】
各HP型スピーカ21の振動板22の外径Wは、天井5と受音面Phとの間の距離に応じて、適当な入力パワーを加えたときに受音面Phで所要音圧レベルが得やすいように調整することができる。必要に応じて、後述するようにホーン41を装着してもよい。図示例のように音場内の床6から天井5までの高さ(天井高さ)Hに段差がある場合でも、HP型スピーカ21毎の振動板22の外径Wやホーンの寸法を受音面Phで均一な音圧レベルが得やすいように調整すれば、各スピーカ21の信号調整装置20で拡声音量を調節することにより音場内の受音面Phをイベントに集中できる適正で均一な音量レベルとすることができる。
【0029】
例えば、静かな空間でのスピーチの適正な音声レベルは55〜65dB程度である。他方、一般的な高層ビルではスラブ間の間隔は3.0、4.5、6.0又は9.0m程度であり、このスラブ間隔と天井裏や床下のスペースとにより音場の天井高さHが決まる。音場内の受音面Phで55〜65dB程度の音圧レベルが得やすい振動板22の外径Wの一例は、その天井高さHが3.0mを中心として2.2〜4.0mのときは34〜69mm、天井高さHが4.5mを中心として3.8〜5.2mのときは69〜89mm、天井高さHが6.0mを中心として5.0〜7.5mのときは89〜138mm、天井高さHが9.0mを中心として7.0〜11.0mのときは138〜280mmである。但し、本発明において振動板22の外径Wは音場の目的や開催されるイベントの種類等に応じて適宜選択可能であり、この例に限定されない。
【0030】
HP型スピーカ21の相互間隔Dは、受音面Phにおいて音像定位の際に音が途切れることがないように、スピーカ21の指向角度に応じて調整することができる。指向角度とは、スピーカの正面軸方向に対し音圧レベルが6dB減衰する開き角度である。一般的に指向角度は低音域ほど広く、高音域ほど狭い。人の音声は大体125Hzから8kHzまでの範囲であるが、主力は250Hzから2kHzの4オクターブの幅にある。例えば各スピーカ21の2kHzの指向角度が受音面Phにおいて相互に一部(例えば10〜25%程度)重なるように、スピーカ21の相互間隔Dを設計することができる。
【0031】
また本発明では、HP型振動板22の外径Wに対するボイスコイル径Bの比率を調整し、図7を参照して上述したように高音域で緩やかに低下する指向特性、すなわち高音域において広い指向角度を確保できる。従って、各スピーカ21の2kHzより高音域の指向角度が重なるようにスピーカ21の相互間隔Dを設計することにより、受音面Phのあらゆる地点で音声帯域の全域にわたり実質上均一な音圧周波数特性を作り出し、明瞭で自然に近い音像定位を作り出すことが可能である。
【0032】
各HP型スピーカ21におけるボイスコイル径Bは、HP型スピーカ21の振動板22の外径Wに応じて、その外径Wの28〜69%の範囲内において最適な指向特性が得られるように調整することができる。最適な指向特性が得られるボイスコイル径Bの一例は、振動板外径Wが34〜69mm未満のときは10〜40mm、振動板外径Wが69〜89mm未満のときは20〜50mm、振動板外径Wが89〜138mm未満のときは25〜100mm、振動板外径Wが138〜280mmのときは40〜160mmである。具体的な振動板外径Wに対するボイスコイル口径Bの大きさは、28〜69%の範囲内において、上述したシミュレーション実験により定めることができる。
【0033】
なお、一般的に振動板22の外径Wはスピーカ21の公称口径として説明されることが多いが、厳密にはスピーカ21の公称口径が同一であっても振動板周囲に設けたエッジ56の幅により振動板22の外径Wは異なる。例えば、図3に示す公称口径160mmのスピーカ21に使われる振動板22は、外径110mmに限らず外径120mm程度の場合もあり得る。スピーカ21の公称口径はほぼ取り付け穴59のピッチで決まり、その公称口径とエッジ56の幅とにより振動板22の外径Wが定まる。エッジ56の幅はスピーカ21の要求仕様(振幅特性や形状等)により適宜選定される。但し、通常の場合は本発明で使用するHP型振動板22をスピーカ21の公称口径の約69%とすることができる。従って通常の場合は、振動板外径W=34〜69mmはスピーカ公称口径=50〜100mmに相当し、振動板外径W=69〜89mmはスピーカ公称口径=100〜130mmに相当し、振動板外径W=89〜138mmはスピーカ公称口径=130〜200mmに相当し、振動板外径W=138〜280mmはスピーカ公称口径=200〜400mmに相当する。
【0034】
本発明は、天井高さに応じた外径WのHP型振動板が組み込まれたフルレンジ型スピーカを用いるので、複合型スピーカのように低音域と高音域とのクロスオーバー近辺における音圧レベルの不連続等を避け、音声帯域の全域にわたり均一な音圧周波数特性が得られる。また、HP型振動板の外径Wに対するボイスコイル径Bの比率の調節により高音域において広い指向角度を確保できるので、スピーカの相互間隔を適当に設計することにより、受音面上のあらゆる地点で実質上均一な音圧周波数特性を得ることができる。従って、ハース効果が起き難い受音点の発生が避けられる。しかも、高音域において各スピーカの広い指向角度を確保できるので、従来のコーンスピーカシステムに比し分散配置するスピーカの間隔(図1の間隔D1〜D3)を広げることができ、スピーカの数を節約して経済的なスピーカシステムとすることが可能である。
【0035】
こうして本発明の目的である「音像定位に適した分散拡声方式スピーカシステム」の提供が達成できる。
【0036】
好ましくは、HP型振動板22をヤング率が高く密度が比較的低い材質製とする。従来のコーンスピーカにおいて、図12に示すような分割振動により山谷が発生する高音域の共振周波数(高音限界周波数)fは、(1)式で表わされることが知られている。(1)式においてtは振動板の厚さ、Eはヤング率、ρは密度を表わす。(1)式は、振動板22の密度ρを低くしヤング率Eを高くすれば高音域の共振周波数を高くできることを示す。HP型振動板22を密度が低くヤング率が高い材質製とすることにより、本発明における高音域の指向特性の更なる改善が期待できる。
【0037】
【数1】
f∝{E・(t2/ρ)}1/2=t(E/ρ)1/2 …………………………(1)
【0038】
また、HP型振動板22を密度が低くヤング率が高い材質製とすることにより、振動板22を厚くして曲げ剛性を高めることができる。後述するようにホーン41を装着する場合にホーン負荷に耐える強度を得るため厚くしても、特定の周波数に大きなピークが発生しないHP型振動板22では、密度が低くヤング率が高い材質製とすることにより高音域の指向特性の劣化を最小限に防ぐことができる。従って、HP型振動板22はホーンのドライバに適しており、本発明のスピーカシステムをホーン41の装着時にも指向特性が劣化しないフルレンジ型スピーカシステムとすることが可能となる。
【0039】
例えば、HP型振動板22の材質を密度0.60〜1.15g/cm3、ヤング率6〜15GPaの範囲内のものとすることができる。このような材料の一例は、バイオセルロース(味の素株式会社製)をマトリクス材とし高弾性のカーボンファイバ、木材パルプ等の繊維質、マイカ粉等を強化材として複合させた複合材料である。
【0040】
【実施例】
図1の実施例では、HP型スピーカ21に受音面Phと天井5との距離に応じた開口角度のホーン41を装着し、HP型振動板22をホーンドライバとして使用している。ホーン41を装着したHP型スピーカ21の一例を図2に示す。HP型スピーカ21にホーン41を装着することにより、音場の天井5が高い場合でも、受音面Ph上での音圧レベルを必要十分な大きさとすることが容易に可能となる。
【0041】
図2のホーン41付きHP型スピーカ21は、天井裏の空間に設けた支持枠体42内に、HP型スピーカ21とホーン41とを収納したものである。従来のコーンスピーカでは高音域における指向特性の急激な劣化を避けるため振動板の外径が小さい方が有利であり、天井5が高い場合は小さな振動板で受音面Phにおける所要音圧レベルが得られるようにホーン41を長くする必要があった。これに対しHP型振動板22は、高音域における指向特性がよいので振動板を比較的大きくすることができ、ホーン41を装着する場合でもホーン41を短くすることが可能である。図2のホーン41付きHP型スピーカ21は、ホーン41を短くすることによりコンパクトなものとすることができ、天井5における設置の制約が少ない利点がある。また、例えばスピーカ21及びホーン41を天井裏に隠すことができるので、意匠上の制約も減らすことができる。
【0042】
HP型スピーカ21に装着するホーン41の開口角度は、低・中音域の拡がりを制限し、受音面Ph上の各地点で音声帯域の全域にわたり実質上均一な音圧周波数特性が得られる大きさとすることができる。HP型スピーカ21は高音域においても90度程度の広い指向角度を確保できるので、ホーン41の開き角度により低・中音域の指向特性を調節することにより、音声帯域の全帯域にわたり指向性を制御することが可能である。例えば図14及び15の音像定位システムを構築する場合に、ホーン41を装着したHP型スピーカ21を使用することにより全帯域における指向性を制御し、各HP型スピーカ21の低・中音域の到達範囲を制限することにより、低・中音域が遠くまで影響してしまう問題点を避け、受音面Ph上に音色の異なる拡声音の到達を避けて明瞭な音像定位が期待できる。
【0043】
低・中音域の拡がりを調節して受音面Ph上の各地点における音圧周波数特性を実質上均一とするためには、例えば天井高さHが3.0mを中心として2.2〜4.0mのときはホーン41を装着する必要はないが、天井高さHが4.5mを中心として3.8〜5.2mのときは開口角度90±20度の範囲内、天井高さHが6.0mを中心として5.0〜7.5mのときは開口角度60±20度の範囲内、天井高さHが9.0mを中心として7.0〜11.0mのときは開口角度45±15の範囲内のホーン41を装着することが望ましい。
【0044】
この場合、HP型スピーカ21の相互間隔Dを、ホーン41の正面軸方向に対し音圧レベルの3dB減衰する開き角度が受音面Phにおいて相互に一部(例えば10〜20%程度)重なるように設計することが望ましい。一般的にホーン41を使用した場合は、正面軸上ではホーン開口面からの出力は強まるが、正面軸から外れた方向では高音域の出力音圧レベルが低下する。ホーン41の正面軸方向に対し音圧レベルの3dB減衰する開き角度を相互に一部重ねることにより、受音面Phにおける高音域音圧レベルの低下の影響を最小限に抑え、受音面Ph上の各地点で音声帯域の全域にわたり実質上均一な音圧周波数特性を得ることが可能となる。
【0045】
例えば図1におけるHP型スピーカ21の相互間隔Dを、天井高さHが3.0mを中心として2.2〜4.0mのときは3.0±0.4mの範囲内、天井高さHが4.5mを中心として3.8〜5.2mのときは4.5±1.0mの範囲内、天井高さHが6.0mを中心として5.0〜7.5mのときは6.0±1.5mの範囲内、天井高さHが9.0mを中心として7.0〜11.0mのときは9.0±2.0mの範囲内とすることにより、音圧レベルの3dB減衰する開き角度を相互に一部重ねることが可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の分散拡声方式スピーカシステムは、受音面上方の天井に、受音面で所要音圧レベルが得やすい外径の双曲放物面構造の振動板のスピーカを分散配置し、振動板のボイスコイルの径の前記外径に対する比率を低・中音域でフラットであり且つ高音域で緩やかに低下する指向特性が得られる大きさに調節するので、次の顕著な効果を奏する。
【0047】
(イ)天井高さに応じた振動板外径のフルレンジ型スピーカを用いるので、受音面において音声帯域の全域で均一な音圧周波数特性が得られる。
(ロ)高音域において広い指向角度を確保できるので、スピーカの相互間隔を適当に設計することにより、受音面上のあらゆる地点を実質上均一な音圧周波数特性とすることができる。
(ハ)ハース効果が起き難い受音点の発生を避け、受音面上のあらゆる地点でハース効果による音像定位が可能なシステムを構築できる。
(ニ)高音域の指向角度が広いので、分散配置するスピーカの間隔を大きく取ることができ、スピーカの数を節約して経済的なシステムとすることができる。
【0048】
(ホ)振動板を密度が低くヤング率が高い材質製とすることにより、高音域の指向特性の一層の改善が期待できる。
(ヘ)また、振動板を密度が低くヤング率が高い材質製とすることにより、ホーンを装着しても指向特性が劣化しないシステムとすることができる。
(ト)ホーンを装着して低・中音域の拡がりを制限することにより、音声帯域の全帯域にわたり指向性を制御することが可能となる。
(チ)振動板を大きくしても高音域の良好な指向特性が得られるので、ホーンを装着する場合でもホーンを短くして設置の制約が少ないシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例の説明図である。
【図2】は、ホーンを装着したHP型スピーカの一実施例の説明図である。
【図3】は、HP型スピーカの一実施例の説明図である。
【図4】は、図3のスピーカに用いるHP型振動板の説明図である。
【図5】は、図4のHP型振動板の頂面図及び断面図とボイスコイル接続用アダプタの説明図である。
【図6】は、図3のHP型スピーカのボイスコイル径を20mmとした場合の指向特性を示すグラフの一例である。
【図7】は、図3のHP型スピーカのボイスコイル径を35mmとした場合の指向特性を示すグラフの一例である。
【図8】は、図3のHP型スピーカのボイスコイル径を50mmとした場合の指向特性を示すグラフの一例である。
【図9】は、従来のカーブド・コーン振動板の指向特性を示すグラフの一例である。
【図10】は、図7の指向特性グラフと図9の指向特性グラフとを比較した図である。
【図11】は、図4のHP型振動板の5kHz近傍における分割振動状態のモーダル解析結果を示す図である。
【図12】は、従来のコーン振動板の5kHz近傍における分割振動状態のモーダル解析結果を示す図である。
【図13】は、ハース効果の説明図である。
【図14】は、従来の分散拡声方式の音像定位システムの説明図である。
【図15】は、図14のスピーカ制御方法の流れ図の一例である。
【図16】は、従来のHP型スピーカの一例の説明図である。
【符号の説明】
1…話者 2…聴者
3…マイクロホン 5…天井
5a…天井材 6…床
10…信号伝送装置 11…ミキサー
12…アンプ 20…信号調整装置
21…HP型スピーカ 22…HP型振動板
23…外方端周縁 24…内方端周縁
27…ボイスコイル 28…アダプタ
30…コンピュータ 31…スピーカ選択手段
32…スピーカ順位付け手段
33…主スピーカ音指示手段
34…周辺スピーカ音指示手段
37…マイクロホン位置検出装置
40…スピーカ装置 41…ホーン
42…支持枠体 43…防振ゴム
44…前面保護枠
50…円筒体 51…マグネット
52…センターポール 53…ヨーク
54…ダンパー 54a…ダンパーリング
55…フレーム 56…エッジ
57…プレート 58…端子板
59…取り付け孔
B…ボイスコイル径 C…スピーカ中心軸線
D…スピーカ相互間隔 H…天井高さ
h…受音面の高さ L…音圧レベル
O…音源 Pi…受音点
Ph…受音面 Q…振動板中心点
R…距離 S、Sj…スピーカ
So…主スピーカ Sgx…周辺スピーカ
T…時刻 Δt…遅延時間
W…振動板外径
Claims (10)
- 音場の天井に分散配置した複数の下向きスピーカにより音源の音を拡声する分散拡声方式スピーカシステムにおいて、前記音場の床から天井までの高さが4.5mを中心として3.8〜5.2mのときに、前記スピーカの振動板を外径69〜89mmの双曲放物面形状とし、前記振動板の内方端に振動板形状に沿って結合したボイスコイルの径の前記外径に対する比率を28〜69%の範囲内として高音域の指向角度を広げ、前記スピーカの相互間隔を前記高音域の指向角度が音場の所定高さの受音面において一部重なる大きさとしてなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項1のスピーカシステムにおいて、前記ボイスコイル径を20〜50mmとしてなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項1のスピーカシステムにおいて、前記振動板の外径を、前記音場の床から天井までの高さが3.0mを中心として2.2〜4.0mのときは34〜69mm、当該高さが6.0mを中心として5.0〜7.5mのときは89〜138mm、当該高さが9.0mを中心として7.0〜11.0mのときは138〜280mmとしてなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項3のスピーカシステムにおいて、前記ボイスコイル径を、前記振動板の外径が34〜69mm未満のときは10〜40mm、当該外径が89〜138mm未満のときは25〜100mm、当該外径が138〜280mmのときは40〜160mmとしてなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項1又は2のスピーカシステムにおいて、前記スピーカの振動板に開口角度が90±20度の範囲内のホーンを装着してなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項1又は2のスピーカシステムにおいて、前記音場の床から天井までの高さが6.0mを中心として5.0〜7.5mのときは、前記スピーカの振動板に開口角度が60±20度の範囲内のホーンを装着してなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項1又は2のスピーカシステムにおいて、前記音場の床から天井までの高さが9.0mを中心として7.0〜11.0mのときは、前記スピーカの振動板に開口角度が45±15度の範囲内のホーンを装着してなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項5から7の何れかのスピーカシステムにおいて、前記スピーカの相互間隔を、前記ホーンの正面軸方向に対し音圧レベルの3dB減衰する開き角度が前記受音面において一部重なる大きさとしてなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項8のスピーカシステムにおいて、前記スピーカの相互間隔を、前記音場の床から天井までの高さが3.0mを中心として2.2〜4.0mのときは3.0±0.4mの範囲内、当該高さが4.5mを中心として3.8〜5.2mのときは4.5±1.0mの範囲内、当該高さが6.0mを中心として5.0〜7.5mのときは6.0±1.5mの範囲内、当該高さが9.0mを中心として7.0〜11.0mのときは9.0±2.0mの範囲内としてなる分散拡声方式スピーカシステム。
- 請求項1から9の何れかのスピーカシステムにおいて、前記振動板の材質を密度0.60〜1.15g/cm3、ヤング率6〜15GPaの範囲内のものとしてなる分散拡声方式スピーカシステム。
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