JP4218012B2 - 送電鉄塔用仮腕金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電鉄塔に関する作業時に、送電線を送電鉄塔の腕金に代わって支持する送電鉄塔用仮腕金に関する。
【0002】
【従来の技術】
送電鉄塔の建て替えなどを行う場合、送電線への通電を止める時間、つまり停電時間をできるだけ短くする必要があるため、送電鉄塔の建て替えなどの作業は、できる限り送電線に通電した状態で行われる。したがって、作業時の作業者の安全を確保するため、送電線と作業者との間に所定の距離を置く離隔が必要となる。
【0003】
これに対して、従来は、送電鉄塔の腕金の延在方向に延在し、送電鉄塔の腕金よりも長く延びた1本の棒状の鋼材または四角柱状に組んだ鋼材からなる仮腕金を送電鉄塔に取り付け、この仮腕金に送電線を支持させることで、送電線と作業者との離隔を行っている。このような送電鉄塔に取り付けられる従来の送電鉄塔用仮腕金では、送電鉄塔用仮腕金の先端部に碍子を懸架し、この碍子の下端に設けられたフックに送電線を吊り下げることで、送電線を送電鉄塔の位置から遠ざけ、作業者と送電線との離隔を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−112131号公報(第2−4頁、第1図)
【発明が解決しようとする課題】
ところで、送電鉄塔の腕金による送電線の支持方式には、懸垂型支持方式と耐張型支持方式とがある。懸垂型支持方式は、一連の送電線の一部を腕金の先端部から垂下された碍子の一端に掛けて吊り下げたものである。一方、耐張型支持方式は、2本の送電線の端部を腕金の先端部に、この先端部の両側方側から各々碍子を介して掛け、2本の送電線をジャンパーで電気的に接続するものである。したがって、懸垂型支持方式では、送電鉄塔の間隔などに関係なく送電鉄塔の腕金には、送電線の荷重が均等にかかる。しかし、耐張型支持方式では、両側の隣り合う送電鉄塔との間隔などが異なると、送電鉄塔の腕金には、荷重により一方の送電線がこの送電線側に引っ張る力と、他方の送電線がこの送電線側に引っ張る力とに差が生じる。つまり、耐張型支持方式では、送電鉄塔の腕金が、左右方向に異なる張力がさようすることになる。
【0005】
したがって、従来の棒状または四角柱状の送電鉄塔用仮腕金は、左右方向で均等に張力が作用する懸垂型支持方式に用いることはできたが、左右方向で異なる張力が作用する耐張型支持方式の場合には強度の問題から用い難い。このため、従来の送電鉄塔用仮腕金では、耐張型支持方式の送電鉄塔の場合、腕金の両側に掛けられた送電線を通常のジャンパ線よりも長いジャンパ線で接続して、送電鉄塔用仮腕金の先端部に懸架された碍子に吊り下げることで、懸垂型支持方式と同じ支持状態とするか、または、仮の鉄塔などを施工し、この仮の鉄塔で送電線を支持している。しかし、従来の送電鉄塔用仮腕金を用いる場合には、送電線の送電鉄塔用仮腕金の取り付け作業が煩雑であり、また、仮の送電鉄塔を設置する場合には、仮の送電鉄塔を設置するという煩雑な作業が生じるのに加えて、現在鉄塔が設置され送電線の経路以外の場所に仮の送電鉄塔を設置するための用地を確保しなければならないなどといった問題が生じている。また、従来の送電鉄塔用仮腕金は、送電鉄塔製作メーカーのオリジナルの物品となっており、送電鉄塔の新設工事などを行う際、送電鉄塔用仮腕金をメーカーからリースで借りて用いている。さらに、送電鉄塔製作メーカー毎に送電鉄塔用仮腕金をリースで借りる必要がある。また、従来の送電鉄塔用仮腕金は、製品化されたものではなく、送電鉄塔に合った大きさや送電鉄塔への取り付け構造のものを、必要時にその都度製作して用いるものであり、使用後は廃棄されている。このため、送電鉄塔の建て替え作業のコストの上昇、作業効率の低下、作業に伴う廃棄物の発生といった問題が生じている。
【0006】
本発明の課題は、耐張型支持方式の送電鉄塔に適用でき、汎用性の高い送電鉄塔用仮腕金を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の送電鉄塔用仮腕金は、横断面矩形のフレーム構造を有し、複数の腕金を備える送電鉄塔に取り付けられる送電鉄塔用仮腕金において、送電鉄塔用仮腕金は、2本の下側支持部材と1本の上側支持部材と4本の下側の仮腕金部材と2本の上側の仮腕金部材と2つの架線プレートとからなり、下側支持部材は、送電鉄塔のフレーム構造を構成して腕金の延在方向に延在する2つの対向する水平材にそれぞれ固定され、貫通穴が形成された平板状の連結プレートを両端に備える棒状部材であり、上側支持部材は、送電鉄塔のフレーム構造を構成して腕金の延在方向に直交する方向に延在する2つの対向する水平材を跨いで固定され、貫通穴が形成された平板状の連結プレートを両端に備える棒状部材であり、下側の仮腕金部材は、腕金の延在方向に延在して腕金の長さよりも長い棒状部材であり、貫通穴が形成された断面U字状の連結アームを両端に備え、連結アームの一端に下側支持部材の連結プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで横方向に回動可能に下側支持部材に連結されてなり、上側の仮腕金部材は、伸縮部を介して連結された2本の棒状部材からなり、腕金の延在方向に延在して腕金の長さよりも長く、貫通穴が形成された断面U字状の連結アームを両端に備え、上側の仮腕金部材の連結アームの一端に上側支持部材の連結プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで上下方向に回動可能に上側支持部材に連結されてなり、伸縮部は、上側の仮腕金部材の2本の棒状部材の連結部側端にそれぞれ設けられ貫通穴が形成されたフランジの貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合し、フランジ間の間隔を変えることで上側の仮腕金部材の長さを変えるように構成され、架線プレートは、水平方向に両側に張り出してそれぞれ貫通穴が形成された水平プレートと、該水平プレートの一面側に垂直方向に垂下されて貫通穴が形成された垂直プレートとを備え、下側の仮腕金部材は、下側の仮腕金部材の連結アームの他端に水平プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで横方向に回動可能に架線プレートに連結され、上側の仮腕金部材は、上側の仮腕金部材の連結アームの他端に垂直プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで上下方向に回動可能に架線プレートに連結されてなり、各仮腕金部材は架線プレートを頂点に角錐状に集合され、架線プレートで送電線を支持することにより上記課題を解決する。
【0008】
このような構成とすることにより、複数の仮腕金部材が鉄塔に取り付けられた送電鉄塔の腕金以下の部分に取り付けられる下側支持部材及び腕金以上の部分に取り付けられる上側支持部材で支持される。そして、下側支持部材及び上側支持部材で支持された複数の仮腕金部材が角錐を形成して送電鉄塔の腕金を囲った状態で設置される。これにより、送電鉄塔用仮腕金が、送電鉄塔の腕金と同様の構造で送電鉄塔に取り付けられた状態となり、送電鉄塔用仮腕金の強度が向上して送電鉄塔の腕金と同様の強度を有した状態となる。したがって、耐張型支持方式で送電鉄塔用仮腕金の左右方向での張力に差がある場合でも、送電鉄塔用仮腕金は、送電線を支持することができる。すなわち、耐張型支持方式の送電鉄塔に適用できる送電鉄塔用仮腕金を提供できる。
【0009】
ところで、鉄塔の腕金が設けられた部分の主柱材には、主柱材に斜材や水平材を組み付けるためのプレート状部材やステップなどがあるため、主柱材には、下側支持部材及び上側支持部材を取り付けるスペースが確保し難い場合がある。そこで、下側支持部材は、送電鉄塔の腕金が設けられた部分の下側に位置する水平材に取り付けられ、上側支持部材送電鉄塔の腕金が設けられた部分の上側に位置する水平材に取り付けられる構成とする。このような構成とすれば、水平部材には、ステップやプレート状部材などが設けられていないため、送電鉄塔に下側支持部材及び上側支持部材を取り付けて、送電鉄塔用仮腕金を送電鉄塔に容易に固定することができる。
【0011】
また、このような構成とすれば、送電鉄塔の水平材を利用して三角錐形状に形成された仮腕金部材が送電鉄塔の腕金を囲んだ状態に設置できるため、耐張型支持方式の送電鉄塔に適用できる強度を保ちながら、仮腕金部材の構成を簡素化できる。さらに、上側の仮腕金部材の長さと、上側支持部材及び下側支持部材に支持された各々の仮腕金部材の角度とを調整でき、仮腕金部材で形成される角錐の大きさを調整できる。このため、規格が異なる送電鉄塔の腕金に対応することができるため、送電鉄塔用仮腕金に汎用性を与ることができるので好ましい。なお、回動可能とは、送電鉄塔への取り付け作業時に回動可能であり、取り付け完了後は必要に応じて固定して回動不能にできる構成である。
【0013】
また、送電線支持部材は、水平方向に両側に張り出して各々貫通穴が形成された水平プレート部と、垂直方向に垂下されて貫通穴が形成された垂直プレート部とが形成されている構成とする。これにより、1つの送電鉄塔用仮腕金で懸垂型支持方式と耐張型支持方式の両方の方式で送電線を支持できるので好ましい。
【0014】
さらに、上側支持部材、下側支持部材、及び仮腕金部材が各々鋼管で形成されている構成とすれば、組み立てや取り付け作業を簡素化できるので好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の一実施形態について図1乃至図8を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の概略構成を送電鉄塔に取り付けた状態で示す側面図である。図2は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の上側支持部材と上側の仮腕金部材との概略構成を示す平面図である。図3は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の下側支持部材と下側の仮腕金部材との概略構成を示す平面図である。図4は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の下側支持部材の概略構成を示す(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は断面図である。図5は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の架線プレートの概略構成を示す(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。図6は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金を送電鉄塔に取り付けたところを説明する側面図である。図7は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金を送電鉄塔に取り付けたところを説明する平面図である。図8は、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金を送電鉄塔の上段の腕金部分及び中段の腕金部分に取り付けた状態を説明する側面図である。
【0016】
本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1は、図1に示すように、上側支持部材3、下側支持部材5、上側支持部材3の両側に取り付けられた1本ずつの上側の仮腕金部材7、下側支持部材5の両側に取り付けられた2本ずつの下側の仮腕金部材9、そして上側の仮腕金部材7と下側の仮腕金部材9とが形成する三角錐の先端部に取り付けられて送電線支持部材となる架線プレート11などで構成されている。なお、本実施形態では、1本の上側の仮腕金部材7、2本の下側の仮腕金部材9、そして架線プレート11は、上側支持部材3と下側支持部材5とを挟んで対称に上側支持部材3と下側支持部材5とに取り付けられている。そして、上側の仮腕金部材7、下側の仮腕金部材9、そして架線プレート11は、両側とも同じ構成である。ただし、上側の仮腕金部材7、下側の仮腕金部材9、そして架線プレート11は、上側支持部材3と下側支持部材5とを挟んで対称に取り付けられている必要はなく、例えば片側だけに取り付けられた構成などにすることもできる。
【0017】
上側支持部材3は、図1及び図2に示すように、上側支持部材の棒状部となる1本の円筒状の鋼管からなる鋼管部3aの両端部寄りの部分に、各々、鋼材からなるバンド3bで山形鋼からなる補強部3cを取り付けたものである。鋼管部3aの両端部には、面の中央部分に貫通穴が形成された平板状の連結プレート3dが各々設けられている。補強部3cは、L字状の断面において一辺を形成する部分の外面を鋼管部3aに向けて、そして、他の一辺を形成する部分の外面を鋼管部3aの端部側に向け、鋼管部3aの延在方向と90度で交わる方向に延在させて、補強部3cの中央部分が鋼管部3aに接触した状態で、各々鋼管部3aに取り付けられている。
【0018】
2つの補強部3cは、L字状の断面を有する補強部3cの鋼管部3aに接触しない側の辺を形成する部分の外面間の間隔を、送電鉄塔用仮腕金1を取り付ける送電鉄塔13の腕金15の上側部分に位置する山形鋼からなる水平材17の送電鉄塔13の内側に向いた面間の間隔に調整した状態で、バンド3bをボルト3eとボルト3eに対応するナット3fとで補強部3cに固定することで、鋼管部3aに取り付けられている。また、鋼管部3aは、連結プレート3dの面が側方に向いた状態、つまり連結プレート3dの面が鋼管部3aの延在方向と90度で交わる方向に向いた状態で補強部3cに取り付けられている。
【0019】
上側の仮腕金部材7は、2本の円筒状の鋼管部7a、7bで形成されている。鋼管部7a、7bは、各々、一端に鍔状に形成されたフランジ7c、7dを有し、他端に断面がU字状に形成されて各面の中央部分に図示していない貫通穴が形成された連結アーム7e、7fを有している。2本の鋼管部7a、7bは、フランジ7c、7dを対向させた状態で、フランジ7c、7dに等間隔に形成された図示していない複数の貫通穴に挿通されたボルト19と、ボルト19に対応するナット21で連結されている。そして、鋼管部7aのフランジ7c、鋼管部7bのフランジ7d、そしてボルト19及びナット21により、上側の仮腕金部材7の長さを伸縮させて調整する伸縮部23が形成されている。このように伸縮部23を介して連結した鋼管部7aと鋼管部7bなどからなる仮腕金部材7の長さは、送電鉄塔用仮腕金1を取り付ける送電鉄塔13の腕金15を形成する上側の斜めに取り付けられた山形鋼の長さよりも長くなっている。
【0020】
伸縮部23は、フランジ7c、7dに、各々、等間隔に形成された複数の貫通穴に挿通された各ボルト19に対して3つずつのナット21a、21b、21cを螺合させることで、フランジ7c、7d間の間隔を調整し、仮腕金部材7の長さを調整するものである。例えば、ボルト19がフランジ7cの連結アーム7e側の面側からフランジ7cの図示していない貫通穴に挿通されているとき、フランジ7dと対向する面側にナット21aを締め込むことで、ボルト19の頭部とナット21aでフランジ7cが挟まれ、ボルト19がフランジ7cに固定される。
【0021】
フランジ7cに固定されたボルト19の軸部に2つ目のナット21bを取り付けた状態で、ボルト19の軸部をフランジ7dのフランジ7cに対向する面側からフランジ7dの貫通穴に挿通し、フランジ7dの連結アーム7f側の面側に突出したボルト19の軸部に3つ目のナット21cを螺合させる。そして、フランジ7dの連結アーム7f側の面側に在るナット21cを締め付けることで、フランジ7dのフランジ7cに対向する面側に在るナット21bとフランジ7dの連結アーム7f側の面側に在るナット21cとで、フランジ7dが挟まれ、フランジ7dがボルト19に固定される。このとき、フランジ7dのフランジ7cに対向する面側に在るナット21bの位置により、フランジ7c、7d間の間隔が決まり、仮腕金部材7の長さが決まる。
【0022】
本実施形態では、上側の仮腕金部材7を形成する鋼管部7aの連結アーム7eに上側支持部材3の連結プレート3dが挿入され、各々の図示していない貫通穴を位置合わせした状態で、回転軸となるボルト24が鋼管部7aの連結アーム7eと上側支持部材3の連結プレート3dの図示していない貫通穴に挿通される。鋼管部7aの連結アーム7eの外面から突出したボルト24の軸部には、ボルト24に対応する図示していないナットが螺合される。これにより、上側支持部材3が送電鉄塔13に取り付けられた状態で、上側の仮腕金部材7が上下方向に回動可能に上側支持部材3に連結される。また、上側の仮腕金部材7を形成する鋼管部7bの連結アーム7fには、架線プレート11が連結される。
【0023】
下側支持部材5は、図1、図3及び図4に示すように、下側支持部材の棒状部となる円筒状の鋼管からなる鋼管部5aに、複数の連結板5bを介して鋼管部5aと同方向に延在する山形鋼からなる取付部5cを取り付けたもの2つを1組として構成されている。また、各鋼管部5aの両端部には、各々、面の鋼管部5aの中心線上に対応する位置に貫通穴25が形成された平板状の連結プレート5dが設けられている。取付部5cは、断面がL字状の取付部5cの内面に適宜の間隔をおいて、この内面と直角に設けられた複数の連結板5bを介し、L字状の断面の一辺を形成する部分が鋼管部5aの断面の中心点を通る線上に延在して、かつ、この部分の端縁が鋼管部5aに接した状態で、鋼管部5aに取り付けられている。
【0024】
取付部5cの、L字状の断面の鋼管部5aに接していない側の辺を形成する部分には、この部分の端縁寄りに、この端縁に沿って複数の貫通穴27が形成されている。連結プレート5dは、取付部5cの貫通穴27が形成されている部分の面と面を平行にした状態で設けられている。また、連結プレート5dは、取付部5cの貫通穴27が形成されている部分と同方向に張り出した部分を有しており、この部分には、張り出した方向に沿って、つまり鋼管部5aの延在方向に直角な方向に沿って複数の貫通穴29が形成されている。
【0025】
2つの鋼管部5aは、各々の対応する端部の連結プレート5dに設けられた張り出した部分間に渡された山形鋼や帯状の鋼材などを適宜組み合わせて棒状に形成した連結材5eによって連結される。2本の連結材5eの両端部には、連結プレート5dの貫通穴29に対応する位置に図示していない貫通穴が形成されており、連結プレート5dと連結材5eとは、連結プレート5dの貫通穴29と、連結材5eの図示していない貫通穴に挿通されたボルト31とボルト31に対応するナットとによって固定される。これにより、下側支持部材5は、2つの鋼管部5a、そして2つの鋼管部5aを連結する連結材5eなどからなる枠状に形成されている。
【0026】
下側の仮腕金部材9は、1本の円筒状の鋼管部9a、鋼管部9aの両端に設けられた断面がU字状に形成されて各面の中央部分に貫通穴が形成された連結アーム9b、9cなどで形成されている。この仮腕金部材9の長さは、送電鉄塔用仮腕金1を取り付ける送電鉄塔13の腕金15を形成する下側の水平に取り付けられた山形鋼の長さよりも長くなっている。一方の連結アーム9bには図示していない1つの貫通穴が、他方の連結アーム9cには、鋼管部9aの延在方向に並ぶ図示していない2つの貫通穴が形成されている。
【0027】
そして、仮腕金部材9の連結アーム9bに下側支持部材5の連結プレート5dが挿入され、連結プレート5dの貫通穴25と仮腕金部材9の連結アーム9bの図示していない貫通穴を位置合わせした状態で、回転軸となるボルト24が連結アーム9dの1方の外面側から挿通される。連結アーム9dの他方の外面側に突出したボルト24の軸端部には、ボルト24に対応する図示していないナットが螺合される。このように2つの下側支持部材5の各々に仮腕金部材9が連結されることにより、下側支持部材5が送電鉄塔13に取り付けられた状態で、下側の仮腕金部材9が横方向に回動可能に下側支持部材5に連結される。また、下側の仮腕金部材9の連結アーム9cには、架線プレート11が連結される。
【0028】
架線プレート11は、図5に示すように、略方形の平板状で、両長辺側の縁部が連続する複数の円弧形状に形成された水平プレート部11a、水平プレート部11aの一面側に、この面の長辺に沿う中心線上に直角に突設された楔形の平板状の上側垂直プレート部11b、そして水平プレート部11aの他面側に、この面の長辺に沿う中心線上に直角に突設された略方形の平板状の下側垂直プレート部11cなどで形成されている。
【0029】
水平プレート部11aは、本実施形態では、各々の長辺側の縁部に4つの円弧状に突出した部分を対称な形状で有しており、各々の円弧の中心点に対応する部分には、貫通穴が形成されている。片側の縁部に設けられた4つの貫通穴のうち、両端側の2つの貫通穴と、中央に位置する貫通穴のうちの一方の貫通穴は、円形の貫通穴31となっている。そして、中央に位置する貫通穴のうちの他方の貫通穴は、隣り合う端側の貫通穴31を中心点とする円弧状の貫通穴33となっている
上側垂直プレート部11bは、楔の先端側が水平プレート部11aの一方の短辺側縁部に位置し、楔の頭側が水平プレート部11aの他方の短辺側縁部から張り出した状態となっている。この水平プレート部11aの他方の短辺側縁部から張り出した楔の頭側の端部は円弧状に形成されており、この端部の円弧の中心点に対応する位置に貫通穴35が形成されている。下側垂直プレート部11cは、水平プレート部11aの対向する短辺側縁部の間に設けられており、下側垂直プレート部11cの延在方向に沿って、等間隔で3つの貫通穴37が形成されている。
【0030】
このような架線プレート11は、図3に示すように、水平プレート部11aの両側の、円弧状の貫通穴33と貫通穴33に隣り合う端側の貫通穴31とが形成された部分を、各々、下側の仮腕金部材9の連結アーム9cに挿入する。仮腕金部材9の連結アーム9cの鋼管部9a側に位置する図示していない貫通穴と、架線プレート11の水平プレート部11aの端部側に位置する貫通穴31とを位置合わせし、仮腕金部材9の連結アーム9cのもう一方の図示していない貫通穴と、架線プレート11の円弧状の貫通穴33とを位置合わせして、各々にボルト24を挿通して、ボルト24の軸の端部にボルト24に対応する図示していないナットを螺合させる。
【0031】
これにより、下側の仮腕金部材9は、架線プレート11の水平プレート部11aの面に沿う面内で回動可能に架線プレート11と連結される。なお、下側の仮腕金部材9の回動範囲は、架線プレート11の水平プレート部11aに形成された円弧状の貫通穴33の長さによって決まる。また、本実施形態では、腕金部材9の連結アーム9cの上側に来る面上に断面L字状で、架線プレート11の隣り合う貫通穴31、33に対応する位置に、対応する形状の貫通穴を形成した板材39を、L字状の断面の1辺を形成する部分の外面が架線プレート11の上側垂直プレート部11bの面に接するように、ボルト24により取り付けている。
【0032】
一方、架線プレート11の楔状に形成された上側垂直プレート部11bの頭側の端部は、図1に示すように、上側の仮腕金部材7を形成する鋼管部7bの連結アーム7fに挿入される。上側の仮腕金部材7を形成する鋼管部7bの連結アーム7fの図示していない貫通穴と、架線プレート11の上側垂直プレート部11bの貫通穴35とを位置合わせしてボルト24を挿通し、ボルト24の軸部にボルト24に対応する図示していないナットを螺合させる。これにより、上側の仮腕金部材7は、架線プレート11の上側垂直プレート部11bの面に沿う面内で回動可能に架線プレート11と連結される。
【0033】
なお、本実施形態では、図1乃至図4に示すように、下側支持部材5の鋼管部5aの外側側面、上側の仮腕金部材7の鋼管部7a、7bの両側面、そして下側の仮腕金部材9の鋼管部9aの両側面に各々等間隔でステップを取り付けるためのねじが切られた穴を有するステップ台座41が設けられている。ステップ台座41には、ボルト状で軸端部にステップ台座41に対応するねじが切られたステップ43が螺合され取り付けられている。
【0034】
このような構成の送電鉄塔用仮腕金の設置方法と本発明の特徴部について説明する。本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1を設置する場合、図1乃至図3に示すように、鋼管部3aと補強部3cなどで形成される上側支持部材3、鋼管部5aと連結材5eなどで枠状に形成される下側支持部材5を各々組み立てる。さらに、架線プレート11と上側の仮腕金部材7及び、下側の仮腕金部材9とを回動可能に連結しておく。組み立てた上側支持部材3は、送電鉄塔用仮腕金1を設置する送電鉄塔13の腕金15の位置に釣り上げ、図1及び図2に示すように、腕金15の上側で、腕金15が設置されている送電鉄塔13の面の水平材17上に、鋼管部3aが腕金の延在方向に延在した状態に設置する。なお、上側支持部材3の補強材3cと送電鉄塔13の水平材17とは、必要に応じてボルトなどを用いて固定する。
【0035】
一方、組み立てた下側支持部材5は、送電鉄塔用仮腕金1を設置する送電鉄塔13の腕金15の位置に吊り上げ、図1及び図3に示すように、腕金15の下側で、送電鉄塔13の腕金15が設置されていない面の水平材45に、取付部5cを固定することで設置する。このとき、送電鉄塔13の水平材45には、予め取付部5cの貫通穴27に対応する位置に貫通穴を形成しておく。そして、送電鉄塔13の水平材45に形成した貫通穴と下側支持部材5の取付部5cに形成した貫通穴27とを位置合わせして固定用のボルト47を挿通し、ボルト47に対応する図示していないナットを螺合させることで、下側支持部材5を送電鉄塔13に固定する。
【0036】
架線プレート11に上側の仮腕金部材7と下側の仮腕金部材9とを連結したものは、三脚様に開閉が可能であるため、上側の仮腕金部材7と下側の仮腕金部材9とを閉じて畳んだ状態で、送電鉄塔13の腕金15の位置に釣り上げる。そして、上側の仮腕金部材7と下側の仮腕金部材9とを開き、上側の仮腕金部材7の連結アーム7eに上側支持部材3の連結プレート3dを挿入し、ボルト24と図示していないナットで上側支持部材3に上側の仮腕金部材7を回動可能に連結する。また、2本の下側の仮腕金部材9の連結アーム9bに、各々対応する下側支持部材5の連結プレート5dを挿入し、ボルト24と図示していないナットで下側支持部材5に2本の下側の仮腕金部材9を回動可能に連結する。この状態で、2本の下側の仮腕金部材9が水平になっていない場合には、上側の仮腕金部材7の伸縮部23により上側の仮腕金部材7の長さを調整し、2本の下側の仮腕金部材9を水平にする。この状態で、必要に応じて各ボルト24と図示していないナットとを締め付け、回動可能部分を固定させる。
【0037】
このようにして送電鉄塔用仮腕金1が取り付けられると、図1及び図6に示すように、1本の上側の仮腕金部材7と2本の下側の仮腕金部材9によって、2本の下側の仮腕金部材9が水平な状態の三角錐が、送電鉄塔13の腕金15を囲った状態となり、1本の上側の仮腕金部材7と2本の下側の仮腕金部材9からなる三角錐は、送電鉄塔13の腕金15よりも長く水平に張りだした状態となる。送電鉄塔用仮腕金1の実際の取付作業を行ったときの取付所用時間は、1方向の仮腕金当たり1時間もかからず数十分程度であった。
【0038】
このように取り付けられた送電鉄塔用仮腕金1に、送電鉄塔13の腕金15に支持されている架空送電線47を送電鉄塔用仮腕金1に掛け替える。このとき、図6に示すように、架空送電線47が耐張型支持方式で支持される場合、架空送電線47が取り付けられた碍子49の架空送電線47が取り付けられていない側の端部に設けられたフックを、例えば図3に示すような架線プレート11の水平プレート部11aの先端側に上側垂直プレート部11bを挟んで対称に位置する貫通穴31に掛ける。なお、架線プレート11の水平プレート部11aの先端側に上側垂直プレート部11bを挟んで対称に位置する貫通穴31に各々掛けられた2本の架空送電線47は、図6に示すように、ジャンパ51で電気的に接続されている。また、図6では、送電鉄塔13の上段の腕金15部分に送電鉄塔用仮腕金1を取り付けた場合を示している。
【0039】
一方、図示していないが、架空送電線47が懸垂型支持方式で支持される場合、架線プレート11の下側垂直プレート部11cに形成された貫通穴37に、鋼材からなる吊り環を通して掛け、この吊り環に碍子を介して架空送電線を吊り下げる。このように架線プレート11は、1つで、懸垂型支持方式と耐張型支持方式の両方の支持方式に対応できる。
【0040】
このように送電鉄塔用仮腕金1に架空送電線47を支持させることにより、図7に示すように、建て替えようとする既設の送電鉄塔13の位置で、この送電鉄塔13に取り付けられた送電鉄塔用仮腕金1によって、送電鉄塔13の両側に支持されていた架空送電線47が、各々、送電鉄塔13の腕金15に支持されていたときよりも外側に拡がった状態となる。これにより、新しく設置する送電鉄塔53は、腕金55の先端部分でも架空送電線47とは、離隔された状態となっており、送電線47が通電された活線状態であっても、送電鉄塔53の設置作業を安全に行うことができる。なお、図7の破線は、建て替えを行う送電鉄塔13の腕金15に架空送電線47が支持されていたときの架空送電線47の位置を示す。
【0041】
ところで、図6に例示した送電鉄塔13の中段の腕金57は、水平に張りだした長さが上段の腕金15よりもほぼ倍の長さになっている。そして、送電鉄塔13の上段の腕金15部分に用いた送電鉄塔用仮腕金1は、送電鉄塔13の中段の腕金57と水平方向に張り出した長さがほぼ同じになっている。このため、送電鉄塔13の上段の腕金15部分に用いた送電鉄塔用仮腕金1は、送電鉄塔13の中段の腕金57部分に用いることはできない。
【0042】
このような場合には、送電鉄塔13の中段の腕金57部分に用いるために、腕金57を形成する上側に位置する山形鋼や下側に位置する山形鋼よりも長い、上側の仮腕金部材7や下側の仮腕金部材9を備えた送電鉄塔用仮腕金1を用いる。送電鉄塔13の上段の腕金15部分と中段の腕金57部分に各々対応する長さの上側の仮腕金部材7や下側の仮腕金部材9を備えた送電鉄塔用仮腕金1を取り付けた状態を図8に示す。
【0043】
また、送電鉄塔13の下段の腕金59は、水平に張りだした長さは上段の腕金15と同じであるが、腕金59の送電鉄塔13を形成する主柱材61側の部分における高さ方向の幅が腕金15よりも広くなっている。本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1では、上側の仮腕金部材7が上側支持部材3と架線プレート11に上下方向に回動可能に取り付けられており、2本の下側の仮腕金部材9が、各々下側支持部材5と架線プレート11に横方向に回動可能に取り付けられている。つまり、上側の仮腕金部材7と2本の下側の仮腕金部材9とが、互いに直角に交わる面内で回動可能である。さらに、上側の仮腕金部材7は、伸縮部23を有しており、長さの調整が可能である。
【0044】
したがって、腕金59の主柱材61側の部分における高さ方向の幅にもよるが、本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1では、上側の仮腕金部材7と2本の下側の仮腕金部材9とで形成される三角錐の形状を調整可能であるため、主柱材61側の部分における高さ方向の幅が腕金15よりも広くなっている送電鉄塔13の下段の腕金59部分にも、上段の腕金15の部分に用いた送電鉄塔用仮腕金1を用いることができる。このように、本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1は、規格などが異なるため腕金の大きさや形状が異なる送電鉄塔に対して適用することができ汎用性を有している。また、これにより、より少ない種類の送電鉄塔用仮腕金で、より多くの送電鉄塔に対応できる。
【0045】
ここで、本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1の強度について検討した結果の一例を示す。図6に示すように、架空送電線47が耐張型支持方式で支持される場合、架空送電線47は送電鉄塔用仮腕金1の部分で分断されている。このため、この送電鉄塔用仮腕金1が取り付けられた送電鉄塔13と隣り合う両側の送電鉄塔までの距離が異なる場合などでは、送電鉄塔用仮腕金1の架線プレート11側から、つまり送電鉄塔用仮腕金1の先端部側から送電鉄塔用仮腕金1を見たときに送電鉄塔用仮腕金1の左右方向で斜め下方への張力、つまり送電鉄塔用仮腕金1の左右にかかる垂直荷重と水平荷重は不均一となる。このため、架空送電線47が耐張型支持方式で支持される場合、送電鉄塔用仮腕金は、この左右不均一な荷重、つまり不平均荷重に対して耐えうる強度を有している必要がある。
【0046】
そこで、上側支持部材3の鋼管部3a、下側支持部材5の鋼管部5a、上側の仮腕金部材7の鋼管部7a、そして下側の仮腕金部材9の鋼管部9aに管径114.3mm、厚み3.5mmの鋼管を用いて形成した、両方向に延びた仮腕金の先端部間の距離つまり両方向に延びた仮腕金に掛けられた送電線の水平線間距離が7700mmと11700mmの2種類の送電鉄塔用仮腕金1を準備し、垂直方向載荷試験と水平方向載荷試験を行った。この結果、本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1は、2トン程度の不平均荷重に十分に耐えうることがわかった。したがって、この強度に関する結果と送電線の種類やその張力などから、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金は、耐張型支持方式の送電鉄塔に適用できることがわかった。
【0047】
さらに、上側支持部材3の鋼管部3a、下側支持部材5の鋼管部5a、上側の仮腕金部材7の鋼管部7a、そして下側の仮腕金部材9の鋼管部9aなど棒状部に用いる鋼材の形態について検討を行った。等辺山形鋼材を用いた場合と、本実施形態のような中空鋼管材を用いた場合とを比較したところ、表1のような結果となった。
【0048】
【表1】
表1に示すように、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金は、中空鋼管材に代えて等辺山形鋼材など中空鋼管材以外の鋼材を用いて送電鉄塔用仮腕金を形成することもできる。しかし、中空鋼管材を用いた方が、組み立て及び取付作業を簡素化できることに加えて、汎用性を与えるために仮腕金部材を回動及び伸縮可能な構成にし易い。
【0049】
また、送電鉄塔用仮腕金の形状について検討を行った。仮腕金部材で形成される角錐が、四角錐の場合と本実施形態のように三角錐の場合とを比較したところ、表2のうような結果となった。
【0050】
【表2】
表2に示すように、本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金は、三角錐に代えて四角錐など他の角錐形状を有する送電鉄塔用仮腕金にすることもできる。しかし、三角錐とした方が、組み立て状態で軽量であり、また、組み立て及び取付作業を簡素化できる。さらに、汎用性を与えるための仮腕金部材を回動可能とする連結部分の構成を簡素化でき、また、1箇所の伸縮部の調整で角錐の形状の調整が可能になる。
【0051】
このように本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1は、上側の仮腕金部材7と2本の下側の仮腕金部材9とで三角錐を形成し、送電鉄塔13の腕金15を囲った状態で設置される。これにより、送電鉄塔用仮腕金1は、送電鉄塔13の腕金15と同様の状態で送電鉄塔13に取り付けられ、耐張型支持方式の送電鉄塔13で送電鉄塔用仮腕金1の左右方向での張力に差がある場合でも、送電鉄塔用仮腕金1は、架空送電線47を支持することができる。すなわち、耐張型支持方式の送電鉄塔に適用できる送電鉄塔用仮腕金を提供できる。
【0052】
さらに、送電鉄塔13は、図1、図6及び図8に示すように、主柱材61に斜材63や水平材17を組み合わせた構造となっており、送電鉄塔13の腕金15が設けられた部分の主柱材61には、主柱材61に斜材63や水平材17を組み付けるための図示していないプレート状部材や、作業用のステップなどが設けられている。このため、例えば下側支持部材及び上側支持部材などが主柱材61を把持することで仮腕金部材を支持するような構成にすることもできるが、主柱材61に下側支持部材及び上側支持部材で把持するためのスペースを確保することが難い場合がある。そこで、本実施形態の下側支持部材5は、送電鉄塔13の腕金15の下側に位置する水平材45に取り付けられ、上側支持部材3は、送電鉄塔13の腕金15の上側に位置する水平材17に取り付けられる構成とすることで、送電鉄塔の腕金部分への送電鉄塔用仮腕金の固定を容易にしている。
【0053】
加えて、本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1は、上側の仮腕金部材7は、伸縮してこの仮腕金部材の長さを調整する伸縮部23を有すると共に、一端部で上下方向に回動可能に上側支持部材3に連結され、他端部で上下方向に回動可能に架線プレート11に連結されている。2本の下側の仮腕金部材9は、各々、一端部で横方向に回動可能に下側支持部材5に連結され、他端部で横方向に回動可能に架線プレート11に連結されている。このため、上側の仮腕金部材7の長さと、上側支持部材3に対する仮腕金部材7の上下方向の角度と、下側支持部材5に対する下側の仮腕金部材9の水平方向の角度を調整でき、仮腕金部材7、9で形成される三角錐の大きさを調整できる。このため、規格が異なる送電鉄塔の腕金に対応することができ、送電鉄塔用仮腕金に汎用性を与ることができる。
【0054】
ところで、従来の送電鉄塔用仮腕金は、送電鉄塔製作メーカーのオリジナルの物品となっており、送電鉄塔の新設工事などを行う際、送電鉄塔用仮腕金をメーカーからリースで借りて用いている。さらに、送電鉄塔製作メーカー毎に送電鉄塔用仮腕金をリースで借りる必要がある。また、従来の送電鉄塔用仮腕金は、製品化されたものではなく、送電鉄塔に合った大きさや送電鉄塔への取り付け構造のものを、必要時にその都度製作して用いるものであり、使用後は廃棄されている。このため、送電鉄塔の建て替え作業のコストの上昇、作業効率の低下、作業に伴う廃棄物の発生といった問題が生じている。
【0055】
これに対して、本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1は、上側支持部材3と下側支持部材5とは、送電鉄塔への着脱が自在な構成であり、また、上側支持部材3、下側支持部材5、そして仮腕金部材7、9などの構成から汎用性があり、製品化が可能な送電鉄塔用仮腕金となっている。したがって、送電鉄塔の建て替え作業のコストを低減でき、また、作業効率を向上できる。加えて、送電鉄塔用仮腕金を用いることに伴う廃棄物の発生など抑えることができる。
【0056】
さらに、1本の上側の仮腕金部材7と、2本の下側の仮腕金部材9で三角錐を形成して送電鉄塔13の腕金15を囲っているため、仮腕金部材の構成や送電鉄塔用仮腕金の組み立て及び取り付けを簡素化できる。また、汎用性を与えるための仮腕金部材を回動可能とする連結部分の構成を簡素化でき、また、1箇所の伸縮部の調整で角錐の形状の調整が可能になる。
【0057】
加えて、上側支持部材3、下側支持部材5、及び仮腕金部材7、9が各々鋼管で形成されているため、組み立て及び取付作業を簡素化できることに加えて、汎用性を与えるために仮腕金部材を回動及び伸縮可能な構成にし易い。
【0058】
さらに、本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1では、送電線支持部材である架線プレート11は、水平方向に両側に張り出して各々貫通穴が形成された水平プレート部11aと、垂直方向に垂下されて貫通穴が形成された下側垂直プレート部11bとが形成されている。このため、1つの本実施形態の送電鉄塔用仮腕金1で、懸垂型支持方式と耐張型支持方式の両方の方式で架空送電線を支持できる。
【0059】
また、本実施形態では、伸縮部23は、鋼管部7aのフランジ7c、鋼管部7bのフランジ7d、そしてボルト19及びナット21により形成された構成としているが、伸縮部は、上側の仮腕金部材を伸縮させ長さを調整できれば様々な構成にできる。例えば、伸縮部は、ターンバックルのような構造で構成することもできる。ただし、本実施形態の伸縮部23のような構成であれば、コストを抑えながら伸縮部を形成することができ、また、強度も向上できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、耐張型支持方式の送電鉄塔に適用できる送電鉄塔用仮腕金を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の一実施形態の概略構成を送電鉄塔に取り付けた状態で示す側面図である。
【図2】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の一実施形態の上側支持部材と上側の仮腕金部材との概略構成を示す平面図である。
【図3】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の一実施形態の下側支持部材と下側の仮腕金部材との概略構成を示す平面図である。
【図4】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の一実施形態の下側支持部材の概略構成を示す(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は断面図である。
【図5】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金の一実施形態の架線プレートの概略構成を示す(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図6】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金を送電鉄塔に取り付けたところを説明する側面図である。
【図7】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金を送電鉄塔に取り付けたところを説明する平面図である。
【図8】本発明を適用してなる送電鉄塔用仮腕金を送電鉄塔の上段の腕金部分及び中段の腕金部分に取り付けた状態を説明する側面図である。
【符号の説明】
1 送電鉄塔用仮腕金
3 上側支持部材
3a 鋼管部
5 下側支持部材
5a 鋼管部
7 上側の仮腕金部材
9 下側の仮腕金部材
11 架線プレート
13 送電鉄塔
15 腕金
17、45 水平材
23 伸縮部
Claims (1)
- 横断面矩形のフレーム構造を有し、複数の腕金を備える送電鉄塔に取り付けられる送電鉄塔用仮腕金において、
前記送電鉄塔用仮腕金は、2本の下側支持部材と1本の上側支持部材と4本の下側の仮腕金部材と2本の上側の仮腕金部材と2つの架線プレートとからなり、
前記下側支持部材は、前記送電鉄塔のフレーム構造を構成して前記腕金の延在方向に延在する2つの対向する水平材にそれぞれ固定され、貫通穴が形成された平板状の連結プレートを両端に備える棒状部材であり、
前記上側支持部材は、前記送電鉄塔のフレーム構造を構成して前記腕金の延在方向に直交する方向に延在する2つの対向する水平材を跨いで固定され、貫通穴が形成された平板状の連結プレートを両端に備える棒状部材であり、
前記下側の仮腕金部材は、前記腕金の延在方向に延在して前記腕金の長さよりも長い棒状部材であり、貫通穴が形成された断面U字状の連結アームを両端に備え、前記連結アームの一端に前記下側支持部材の連結プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで横方向に回動可能に前記下側支持部材に連結されてなり、
前記上側の仮腕金部材は、伸縮部を介して連結された2本の棒状部材からなり、前記腕金の延在方向に延在して前記腕金の長さよりも長く、貫通穴が形成された断面U字状の連結アームを両端に備え、前記上側の仮腕金部材の連結アームの一端に前記上側支持部材の連結プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで上下方向に回動可能に前記上側支持部材に連結されてなり、
前記伸縮部は、前記上側の仮腕金部材の2本の棒状部材の連結部側端にそれぞれ設けられ貫通穴が形成されたフランジの貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合し、前記フランジ間の間隔を変えることで前記上側の仮腕金部材の長さを変えるように構成され、
前記架線プレートは、水平方向に両側に張り出してそれぞれ貫通穴が形成された水平プレートと、該水平プレートの一面側に垂直方向に垂下されて貫通穴が形成された垂直プレートとを備え、
前記下側の仮腕金部材は、前記下側の仮腕金部材の前記連結アームの他端に前記水平プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで横方向に回動可能に前記架線プレートに連結され、
前記上側の仮腕金部材は、前記上側の仮腕金部材の前記連結アームの他端に前記垂直プレートが挿入され、貫通穴の位置を合わせてボルトを挿通しナットで螺合することで上下方向に回動可能に前記架線プレートに連結されてなり、
前記各仮腕金部材は前記架線プレートを頂点に角錐状に集合され、前記架線プレートで送電線を支持することを特徴とする送電鉄塔用仮腕金。
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