JP4217443B2 - 放射線画像撮影装置及びその製造方法並びに撮像回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射する放射線を画像用センサで電気信号に変換し画像情報を生成するとともに、一方で放射線の入射量をAECセンサで検出して放射線に対する露出制御を行う画像撮影装置に適用可能な放射線画像撮影装置及びその製造方法並びに撮像回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線画像撮影装置には、人体を透過した放射線を2次元で検出し画像とする画像撮影用放射線検出装置と、放射線源から入射される放射線の露出を制御する放射線自動露出制御装置(AEC)とが別々に組み込まれている。
【0003】
この種の代表的な画像撮影用放射線検出装置としては、MIS型光変換素子とスイッチTFTとで構成された画素がマトリックス状に配置され、その放射線の入射面に放射線を可視光に変換する蛍光体を配置したものが一般的である。
【0004】
図12は、従来の画像撮影用放射線検出装置の等価回路図である。図13は、図12に示した画像撮影用放射線検出装置の平面図である。
図12、図13において8は光変換素子などの半導体変換素子、7はスイッチTFTであり、それぞれ画素を構成している。なお、ここでは画素エリアに4×4画素を示しているが、実際には例えば2000×2000画素が絶縁基板に配置されている。
【0005】
TFT7のゲート電極は共通のゲート線(Vg)1に接続されており、ゲート線1はTFTのON、OFFを制御するゲートドライバ2に接続されている。さらに各TFT7のソース若しくはドレイン電極は共通の信号線(Sig線)3に接続されており、信号線3はアンプIC4に接続されている。また、図示するように光変換素子駆動用バイアス線(Vs線)5は共通電極ドライバ6に接続されている。
【0006】
被検体に向けて入射された放射線は、被検体により減衰を受けて透過し、蛍光体層で可視光に変換され、この可視光が光変換素子に入射し、電荷に変換される。この電荷は、ゲートドライバ2より印加されるゲート駆動パルスによりTFT7を介して信号線3に転送され、アンプIC4により外部に読み出される。その後、光変換素子駆動用バイアス線(Vs線)5により、光変換素子で発生し転送されきれなかった電荷が除去され、この動作をリフレッシュと呼ぶ。
【0007】
図14はMIS型光変換素子とスイッチTFTで構成された1画素領域(図13内D-D'位置)の層構成を示す模式的断面図で、ここではMIS型光変換素子とスイッチTFTを同時に形成する例を示している。
MIS型光変換素子は、第1の導電層(下部電極)101、第1の絶縁層102、第1の半導体層103、オーミックコンタクト層105、第2の導電層(バイアス線)106、及び、透明電極113(例えばITO)から構成され、下部電極はTFT7のソース若しくはドレイン電極と接続されている。TFT7は、第1の導電層101(ゲート電極層)、第1の絶縁層102(ゲート絶縁層)、第1の半導体層103、オーミックコンタクト層105、及び、第2の導電層106(ソース及びドレイン電極)を備えている。各ゲート線はTFT7のゲート電極が形成される電極層に、各信号線はソース及びドレイン電極を形成する層にそれぞれ接続されている。その後上部には保護層(例えばSiNと有機膜)118と、放射線を可視光に変換する蛍光体119が形成される。
【0008】
また、従来a-Se等に代表される放射線の直接変換材料と蓄積コンデンサ、スイッチTFTとを組み合わせた画像撮影用放射線検出装置も実用化されている。
【0009】
次に、放射線画像撮影装置において、放射線源から入射される放射線の露出を制御する、放射線自動露出制御装置(AEC)について説明する。
一般に、2次元状に配設されたセンサを有する放射線画像撮影装置においては、入射する放射線量を被写体毎に、若しくは撮影毎に調整(AEC制御)する必要がある。従来はAEC制御用センサを、画像撮影用放射線検出装置とは別に設けている。放射線の減衰が5%程度の薄型のAECセンサ複数個を、画像撮影用放射線検出装置の前面に別途設け、これらのAECセンサの出力により放射線の入射をストップさせ、画像化に適切な放射線量を得ていた。ここで使用されるAECセンサとしては、放射線をイオンチャンバで直接電荷として取り出すものや、蛍光体を介して可視光に変換し光ファイバで外部に取り出し、フォトマルで電荷に変換するものなどが使用されている。従来の放射線画像撮影装置を構成する画像撮影用放射線検出装置と、放射線自動露出制御装置(AEC)のイメージ図を図15に示す。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したように、2次元状に配設された画像撮影用放射線検出装置において、別途AECセンサを設け、入射する放射線量を調整(AEC)する場合、このセンサの配置が問題となる。つまり、一般にAECに必要な情報は被写体の中央部にあるため、画像撮影用放射線検出装置による撮像に支障の無いようにAECセンサを配置するためには、放射線の減衰が非常に小さいAECセンサが必要となり、装置全体のコスト上昇を引き起こす。
【0011】
しかも全く減衰の無いセンサは存在しないため、被写体の中央部という診断において非常に重要な部位画像の画質低下は避けられない。また、このような別途設けたAECセンサでは、持ち運び可能で様々な部位の撮影が可能な放射線画像撮影装置のコンパクト化に不利である。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、検出手段(AECセンサ)を別途用意する必要がなく、従来のように検出手段を放射線画像撮影装置上に配置することにより減衰した放射線を変換手段(画像用センサ)が受け、画質の低下を招くことを回避可能とするとともに、装置本体のコンパクト化に寄与することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の放射線画像撮影装置は、入射する放射線を可視光に変換する蛍光体と、前記可視光を電気信号に変換する第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子からの電気信号の出力動作を切り換えるスイッチング素子とを含む画素を基板上に複数有してなる画素エリアを含み、前記第1の光電変換素子から出力される電気信号に基づいて画像情報が生成される放射線画像撮影装置であって、前記放射線の入射量を検出するための第2の光電変換素子を有し、前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子は、前記画素エリア内において前記基板と前記第1の光電変換素子との間に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の放射線画像撮影装置の制御方法は、入射する放射線を電気信号に変換する第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子からの電気信号の出力動作を切り換えるスイッチング素子とを含む画素を複数有してなる画素エリアと、放射線の入射量を検出するための第2の光電変換素子と、を有する放射線画像撮影装置の製造方法であって、基板上に前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子を形成する工程と、前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子の上方に前記第1の光電変換素子を形成して画素エリアを形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の撮像回路基板は、入射する放射線に応じた可視光を電気信号に変換するための第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子と接続されたスイッチング素子とを含む画素を基板上に複数有してなる画素エリアを含む放射線画像撮影用の撮像回路基板であって、前記放射線の入射量を検出するための第2の光電変換素子を有し、前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子は、前記画素エリア内において前記基板と前記第1の光電変換素子との間に配置されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態として、放射線画像撮影装置を構成する画像撮影用放射線検出装置において、スイッチTFTと同時にAECセンサ(第二の光変換素子)を形成し、その上に有機絶縁膜を介してMIS型光変換素子(第一の光変換素子)を積層して形成している。画像撮影用のMIS型光変換素子(第一の光変換素子)の間隙に光が入射するように素子間隙の光吸収層を薄膜化する例を図面を用いて説明する。
【0017】
図1は本実施形態の放射線画像撮影装置の模式的等価回路図である。図2,図3は本実施形態の放射線画像撮影装置の模式的平面図である。図4(a)は本実施形態の放射線画像撮影装置の1画素領域(図2、図3内A-A'位置)の模式的断面図である。図4(b)は本実施形態の放射線画像撮影装置の1画素領域(図3内a-a'位置)の模式的断面図である。
【0018】
図1、図2、図3において8は第一の光変換素子などの半導体変換素子、7はスイッチTFTであり、それぞれ画素を構成している。そして複数の画素にまたがって第二の光変換素子9があり、AECセンサ用読み出し装置10、AECセンサ用制御装置(1)11、AECセンサ用制御装置(2)12に接続されている。
【0019】
なお、図2、図3の平面図では画素エリアを3×3画素としている、実際には例えば2000×2000画素が絶縁基板に配置される。さらに第二の光変換素子は2×2画素にまたがった形状となっているが、実際には例えば1個の第二の光変換素子は200×200画素にまたがり、パネル内で少なくとも3個以上配置される。
【0020】
第一の光変換素子8とスイッチTFT7は従来例と同様であり、TFT7のゲート電極は共通のゲート線(Vg)1に接続されており、ゲート線はTFTのON、OFFを制御するゲートドライバ2に接続されている。さらに各TFT7のソース若しくはドレイン電極は共通の信号線(Sig線)3に接続されており、信号線3はアンプIC4に接続されている。また、図示するように光変換素子駆動用バイアス線(Vs線)5は共通電極ドライバ6に接続されている。
【0021】
第二の光変換素子9のソース線14、ゲート線15はそれぞれAECセンサ用制御装置(1)11、AECセンサ用制御装置(2)12に接続されており、その電荷の読み出しの際には、入射光量に応じて電荷を常に出力することが出来る。そのため、常に一定電位が印加されている。この第二の光変換素子9で検出された電荷は、ドレイン線13を介してAECセンサ用読み出し装置10で増幅され、この出力を加算することにより放射線の総入射量を検出する。
【0022】
次に、図4(a)を用いて、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の層構成を説明する。
まずガラス基板100上にスイッチTFT7と、AECセンサとして用いる第二の光変換素子9を形成する。まず、第一の導電層101をスパッタリング法により成膜し、TFT7及び第二の光変換素子9のゲート電極及びゲート線(例えばAlNd/Mo 2500A)、その上に第一の絶縁層102(例えばSiN 3000A)、第一の半導体層(第一の光吸収層)103(例えばa-Si 1500A)、第二の絶縁層104(例えばSiN 2000A)をCVD法により連続成膜し、第二の絶縁層を裏面露光により各ソース、ドレイン間の保護膜としてゲート電極及びゲート線上に形成する。
【0023】
続いてCVD法により第一のオーミックコンタクト層105(例えばa-Si(n+)200A)を、スパッタリング法により第二の導電層106(例えばMo/Al/Mo 4000A)を成膜し、各ソース、ドレイン電極及び配線を形成する。更にその上には、保護層である第三の絶縁層107(例えば有機膜BCB(ベンゾシクロブテン))を形成する。このように、本実施形態によればTFT7と第二の光変換素子9とを同時に形成することによって、TFT7と第二の光変換素子9を同一層に備えた撮像回路基板を形成している。
【0024】
第三の導電層108(例えばMo/Al/Mo 4000A)をスパッタリング法により成膜し、コンタクトホールによりTFT7のソース若しくはドレイン電極と接続し、さらに第一の光変換素子8の下電極として画素毎に分離する。その上に第四の絶縁層109(例えばSiN 2000A)、第二の半導体層(第二の光吸収層)110(例えばa-Si 5000A)、第二のオーミックコンタクト層111(例えばa-Si(n+)200A)をCVD法により連続成膜する。
【0025】
さらにスパッタリング法により第四の導電層112(例えばMo/Al/Mo 4000A)を成膜し、第一の光変換素子8のバイアス線を形成、続いてスパッタリング法により透明導電層113(例えばITO 200A)を成膜する。第二の光変換素子9に光を入射させるため(光伝播領域)に、第二の光変換素子9のソース・ドレイン線に沿ったストライプ状に透明導電層113、第二のオーミックコンタクト層111、第二の半導体層(第二の光吸収層)110をウエット及びドライ方式によりエッチングし、第二の半導体層に窪みを形成する。
【0026】
このとき光伝播領域の第二の半導体層(第二の光吸収層)110は、完全に無くし開孔パターンを形成するほうが、第二の光変換素子9への光の入射量が大きくなり好ましいが、図のようにハーフエッチングの状態でも第二の半導体層(第二の光吸収層)110での吸収が50%以下になる残膜量であれば機能可能である。
【0027】
また本実施形態では第二の光変換素子9のソース・ドレイン線に沿ったストライプ状に光伝播領域を形成するが(図4(a)参照)、画素ごとに第二の半導体層(第二の光吸収層)110を素子分離しても構わない。その後保護層118(例えばSiNと有機膜)、蛍光体119を上面に形成する。
【0028】
本実施形態では第一の光変換素子8としてMIS型光変換素子を用いたが、もちろんPIN型光変換素子を用いても構わない。また本実施形態では第二の光変換素子9としてゲート、ソース、ドレインの3つで構成されるTFT型の光変換素子を用いたが、ゲートを除いた構成でも十分な性能が得られる。また図2のように第二の光変換素子のゲート配線15を第一の光変換素子の下電極の間隙に配置すれば、ゲート配線15と第一の光変換素子間における寄生容量の発生を回避することができノイズ等の面で有利であるが、図3、図4(b)のように第一の光変換素子の下電極の真下に配置すれば第一の光検出素子の下電極面積を広く取ることが出来るため、シグナルが向上する。また、本実施形態では、図2及び図3に示されるように、TFT7の上方にも第一の光変換素子8を形成しており、これによって第一の光変換素子8の高い開口率を確保しているが、第一の光変換素子8の形成領域からTFT7の上方部位を除いても構わない。
【0029】
本実施形態によれば、AECセンサ(第二の光変換素子)を画像撮影用放射線検出装置の基板に同時に作りこむため、放射線自動露出制御装置(AEC)を別体で設ける必要がなくなり放射線画像撮影装置を小型化出来る。
また、本実施形態では画像撮影用放射線検出装置の基板の作製プロセスをそのまま用いているため、コスト面で有効である。
これまで別体で画像撮影用放射線検出装置の前面にAECセンサを設けていたが、本実施形態では画像撮影用の第一の光変換素子の開口率に影響を与えずに、間隙を用いてAECセンサ(第二の光変換素子)を形成しているため、画像の低下がない。
【0030】
さらに、本実施形態では第一の光変換素子の間隙という狭い領域の第二の光変換素子を、複数画素(例えば200×200画素)にまたがって形成し電気的に接続するため、AECセンサとしての十分な出力を取り出すことが出来る。
また、AECセンサは同時に放射線モニタとして使うことも出来る。
放射線モニタとは、画像撮影用放射線検出装置に入射する放射線のON、OFFを検知し、画像撮影用放射線検出装置の検出を制御するものであり、第一の実施例に限らず、本発明の実施例全てで使用可能である。
【0031】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態として、放射線画像撮影装置を構成する画像撮影用放射線検出装置において、スイッチTFTと同時にAECセンサ(第二の光変換素子)を形成し、その上に有機絶縁膜を介してPIN型光変換素子(第一の光変換素子)を積層する際に、画像撮影用のPIN型光変換素子(第一の光変換素子)の間隙に光が入射するように素子間隙の光吸収層を除去する例を図面を用いて説明する。
【0032】
図5は本実施形態の放射線画像撮影装置の模式的等価回路図である。図6,図7は本実施形態の放射線画像撮影装置の模式的平面図である。図8(a)は本実施形態の放射線画像撮影装置の1画素領域(図6、図7内B-B'位置)の模式的断面図である。図8(b)は本実施形態の放射線画像撮影装置の1画素領域(図7内b-b'位置)の模式的断面図である。
【0033】
図5,図6,図7において8は第一の光変換素子などの半導体変換素子、7はスイッチTFTであり、それぞれ画素を構成している。そして複数の画素にまたがって第二の光変換素子9があり、AECセンサ用読み出し装置10、AECセンサ用制御装置(1)11、AECセンサ用制御装置(2)12に接続されている。
【0034】
なお、図6、図7の平面図では画素エリアを3×3画素としている、実際には例えば2000×2000画素が絶縁基板に配置される。さらに第二の光変換素子は2×2画素にまたがった形状となっているが、実際には例えば1個の第二の光変換素子は200×200画素にまたがり、パネル内で少なくとも3個以上配置される。
【0035】
第一の光変換素子8とスイッチTFT7は従来例と同様であり、TFT7のゲート電極は共通のゲート線(Vg)1に接続されており、ゲート線はTFT7のON、OFFを制御するゲートドライバ2に接続されている。さらに各TFT7のソース若しくはドレイン電極は共通の信号線(Sig線)3に接続されており、信号線3はアンプIC4に接続されている。また、図示するように光変換素子駆動用バイアス線(Vs線)5は共通電極ドライバ6に接続されている。
【0036】
第二の光変換素子9のソース線14、ゲート線15はそれぞれAECセンサ用制御装置(1)11、AECセンサ用制御装置(2)12に接続されており、その電荷の読み出しの際には、入射光量に応じて電荷を常に出力することが出来る。そのため、常に一定電位が印加されている。この第二の光変換素子9で検出された電荷は、ドレイン線13を介してAECセンサー用読み出し装置10で増幅され、この出力を加算することにより放射線の総入射量を検出する。
【0037】
次に、図8(a)を用いて、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の層構成を説明する。
まずガラス基板100上にスイッチTFT7と、AECセンサとして用いる第二の光変換素子9を形成する。第一の導電層101をスパッタリング法により成膜し、TFT及び第二の光変換素子のゲート電極及びゲート線(例えばAlNd/Mo 2500A)、その上に第一の絶縁層102(例えばSiN 3000A)、第一の半導体層(第一の光吸収層)103(例えばa-Si 5000A)をCVD法により連続成膜する。
【0038】
ここでTFT7は転送速度が速いほうが望ましいため、第一の半導体層103は薄膜の方が望ましいため、TFT部分のみハーフエッチングにより第一の半導体層103を薄膜化する。続いてCVD法により第一のオーミックコンタクト層105(例えばa-Si(n+)200A)を、スパッタリング法により第二の導電層106(例えばMo/Al/Mo 4000A)を成膜し、各ソース、ドレイン電極及び配線を形成する。
【0039】
その上には、特にTFT7のチャネル部分を保護するためにCVD法により第二の絶縁層104(例えばSiN 2000A)を成膜し、さらに保護層である第三の絶縁層107(例えば有機膜BCB(ベンゾシクロブテン))を形成する。
【0040】
第三の導電層108(例えばMo/Al/Mo 4000A)をスパッタリング法により成膜し、コンタクトホールによりTFT7のソース若しくはドレイン電極と接続し、さらに第一の光変換素子の下電極としてTFT部分の上にかからないように画素毎に分離する。その上にN型半導体層114(例えばa-Si(P) 1000A)、高抵抗半導体層(第二の光吸収層)115(例えばa-Si 5000A)、P型半導体層116(例えばa-Si(N) 1000A)をCVD法により連続成膜する。さらにスパッタリング法により第四の導電層112(例えばMo/Al/Mo 4000A)を成膜し、第一の光変換素子のバイアス線を形成する。
【0041】
各画素の分離と、第二の光変換素子9への光伝播経路確保のために、N型半導体層114、高抵抗半導体層 (第二の光吸収層)115、P型半導体層116を、第一の光変換素子の下電極に沿った形状でドライエッチングする(素子分離)。本実施形態では図8のように、画素ごとにN型半導体層114、高抵抗半導体層 (第二の光吸収層)115、P型半導体層116を、第一の光変換素子の下電極に沿った形状で素子分離したが、第1の実施形態のように第二の光変換素子9のソース・ドレイン線に沿ったストライプ状に光伝播領域を形成したほうが、第一の光変換素子の開口率が広がり好ましい。その後保護層118(例えばSiNと有機膜)、蛍光体119を上面に形成する。
【0042】
本実施形態では第一の光変換素子としてPIN型光変換素子を用いたが、もちろんMIS型光変換素子を用いても構わない。また本実施形態では第二の光変換素子としてゲート、ソース、ドレインの3つで構成されるTFT型の光変換素子を用いたが、ゲートを除いた構成でも十分な性能が得られる。
【0043】
また図6のように第二の光変換素子のゲート配線を第二の光変換素子の下電極の間隙に配置すれば、ゲート電極15と第一の光変換素子間における寄生容量の発生を回避することができノイズ等の面に有利であるが、図7,図8(b)に示すように第二の光変換素子の下電極の真下に配置すれば第一の光検出素子の下電極面積を広く取ることが出来るため、シグナルが向上する。さらに本実施形態ではTFT7の上方部位を第一の光変換素子8の形成領域から除いた構成としているが、TFT7の光リーク電流を考慮した場合には第1の実施形態の図4(a)に示すようにTFT7上方部位にも第一の光変換素子8を形成しTFTへの光入射を低減させても良い。
【0044】
本実施形態によれば、AECセンサ(第二の光変換素子)を画像撮影用放射線検出装置の基板に同時に作りこむため、放射線自動露出制御装置(AEC)を別体で設ける必要がなくなり放射線画像撮影装置を小型化出来る。
また、本実施形態によれば、画像撮影用放射線検出装置の基板の作製プロセスをそのまま用いているため、コスト面で有効である。
また、これまで別体で画像撮影用放射線検出装置の前面にAECセンサを設けていたが、本実施形態では画像撮影用の第一の光変換素子の開口率に影響を与えずに、間隙を用いてAECセンサ(第二の光変換素子)を形成しているため、画像の低下がない。
さらに、本実施形態によれば、第一の光変換素子の間隙という狭い領域の第二の光変換素子を、複数画素(例えば200×200画素)にまたがって形成し電気的に接続するため、AECセンサとしての十分な出力を取り出すことが出来る。
【0045】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態として、放射線画像撮影装置を構成する画像撮影用放射線検出装置において、スイッチTFT7と、その上に有機絶縁膜を介してアモルファスセレン(a-Se)やガリウム砒素(GaAs)などの代表される放射線の直接検出材料を形成する(第一の放射線変換素子)際に、その第一の放射線変換素子の間隙にAECセンサ(第二の放射線変換素子)を形成する例を図面を用いて説明する。
【0046】
図9は本実施形態の放射線画像撮影装置の模式的等価回路図である。図10は本実施形態の放射線画像撮影装置の模式的平面図である。図11は本実施形態の放射線画像撮影装置の1画素領域(図10内C-C'位置)の模式的断面図である。
【0047】
図9、図10を用いて、本実施形態の動作を説明する。17は第一の放射線変換素子などの半導体変換素子、7はスイッチTFTであり、それぞれ画素を構成している。そして複数の画素にまたがった第二の放射線変換素子18は第一の放射線変換素子17とバイアス線5を共有し、第二の放射線変換素子18固有の下電極配線20はAECセンサ用読み出し装置10に接続されている。なお、実際には例えば2000×2000画素が絶縁基板に配置される。さらに第二の放射線変換素子18は実際には例えば1個の第二の光変換素子は200×200画素にまたがり、パネル内で少なくとも3個以上配置される。
【0048】
被検体に向けて入射された放射線は、被検体により減衰を受けて透過し、第一の放射線変換素子17(例えばa-Se)へ入射する。a-Seに放射線が入ると、光導電効果により入射した放射線エネルギーに応じたプラスとマイナスの電荷が発生する。共通電極ドライバ6からつながるバイアス線5を用いa-Seの両端に数キロボルトの電圧を印加しておくと、発生した電荷は電場に沿って光流として取り出す事ができ、画像撮像用の第1の放射線変換素子17で発生した電荷は、絶縁基板上に配置した蓄積用コンデンサ19に蓄積される。この蓄積された電荷は、TFT7を介して信号線3に転送され、アンプIC4により外部に読み出される。TFT7のゲート電極は共通のゲート線(Vg)1に接続されており、ゲート線1はTFTのON、OFFを制御するゲートドライバ2に接続されている。
【0049】
一方、第二の放射線変換素子18はバイアス線5(上電極)と下電極配線20に挟まれ、常に一定電位を印加することで、入射光量に応じて電荷を出力することが出来る。発生した電荷は下電極を介して直接AECセンサ用読み出し装置10に接続・増幅され、この出力を加算することにより放射線の総入射量を検出する。
【0050】
次に、図11を用いて、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の層構成を説明する。
まず、ガラス基板100上に第一の導電層101をスパッタリング法により成膜し、TFT7のゲート電極及びゲート線、第二の放射線変換素子用蓄積コンデンサの下電極を形成する。(例えばAlNd/Mo 2500A)、その上に第一の絶縁層102(例えばSiN 3000A)、第一の半導体層(第一の光吸収層)103(例えばa-Si 1500A)、第二の絶縁層104(例えばSiN 2000A)をCVD法により連続成膜し、第二の絶縁層を裏面露光によりTFTソース、ドレイン間の保護膜として第一の導電層上に形成する。
【0051】
続いてCVD法により第一のオーミックコンタクト層105(例えばa-Si(n+)200A)を、スパッタリング法により第二の導電層106(例えばMo/Al/Mo 4000A)を成膜し、各ソース、ドレイン電極及び配線、第二の放射線変換素子の下電極配線(20)を形成する。更にその上には、保護層である第三の絶縁層107(例えば有機膜BCB(ベンゾシクロブテン))を形成する。TFT7のソース若しくはドレイン電極上のコンタクトホール部と、第二の放射線変換素子の下電極部分の第三の絶縁層をエッチングにより除去する。
【0052】
第三の導電層108(例えばCu2000A)をスパッタリング法により成膜し、コンタクトホールによりTFTのソース若しくはドレイン電極と接続し、さらに第一の光変換素子の下電極として画素毎に分離する。その上にa-Seを形成する。さらにスパッタリング法により第四の導電層112(例えばMo/Al/Mo 4000A)を成膜する。その後上面に保護層118(例えばSiNと有機膜)を形成する。
【0053】
また本実施形態ではAECセンサとして用いる第二の放射線変換素子の発生電荷は下電極配線20を介して直接読み出されるが、第一の導電層で固有の電極を形成すれば、蓄積・読み出しも可能となる。さらに本実施形態では、図10に示されるように、TFT7の上方部位を第一の放射線変換素子(第一の放射線変換素子の下電極)17の形成領域から除いた構成としているがTFT7の光リーク電流を考慮した場合には、第1の実施形態の図4(a)に示すようにTFT7上方部位にも第一の放射線変換素子17を形成しTFTへの光入射を低減させても良い。
【0054】
本実施形態によれば、AECセンサ(第二の放射線変換素子)を画像撮影用放射線検出装置の基板に同時に作りこむため、放射線自動露出制御装置(AEC)を別体で設ける必要がなくなり放射線画像撮影装置を小型化出来る。
また、本実施形態では画像撮影用放射線検出装置の基板の作製プロセスをそのまま用いているため、コスト面で有効である。
また、これまで別体で画像撮影用放射線検出装置の前面にAECセンサを設けていたが、本実施形態では画像撮影用の第一の放射線変換素子の開口率に影響を与えずに、間隙を用いてAECセンサ(第二の放射線変換素子)を形成しているため、画像の低下がない。
さらに、本実施形態によれば、第一の放射線変換素子の間隙という狭い領域の第二の放射線変換素子を、複数画素(例えば200×200画素)にまたがって形成し電気的に接続するため、AECセンサとしての十分な出力を取り出すことが出来る。
【0055】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、画像の低下を引き起こすことなく、十分な感度で入射する放射線量を検出・調整する(AEC)機能を備え持った低コスト、且つコンパクトな放射線画像撮影装置を実現するものである。
また本発明はこれら実施形態に限られるものではなく、適宜組み合わせて用いることも可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、装置のコンパクト化の阻害とコスト上昇を招くことなく良好なAEC制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的等価回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置の1画素領域の模式的断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的等価回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置の1画素領域の模式的断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的等価回路図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る放射線画像撮影装置の模式的平面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る放射線画像撮影装置の1画素領域の模式的断面図である。
【図12】従来例における画像撮影用放射線検出装置の等価回路図である。
【図13】従来例における画像撮影用放射線検出装置の平面図である。
【図14】MIS型光変換素子とスイッチTFTで構成された1画素領域の層構成を模式的に示した断面図である。
【図15】従来例における放射線画像撮影装置を構成する画像撮影用放射線検出装置と、放射線自動露出制御装置(AEC)のイメージ図である。
【符号の説明】
1 ゲート配線
2 ゲートドライバ
3 信号線
4 アンプIC
5 バイアス配線
6 共通電極ドライバ
7 TFT
8 第一の光変換素子
9 第二の光変換素子
10 AECセンサ用読み出し装置
11 AECセンサ用制御装置(1)
12 AECセンサ用制御装置(2)
13 第二の光変換素子のドレイン線
14 第二の光変換素子のソース線
15 第二の光変換素子のゲート線
16 光伝播領域
17 第一の放射線変換素子
18 第二の放射線変換素子
19 蓄積用コンデンサ
20 第二の放射線変換素子の下電極配線
100 ガラス基板
101 第一の導電層
102 第一の絶縁層
103 第一の半導体層
104 第二の絶縁層
105 第一のオーミックコンタクト層
106 第二の導電層
107 第三の絶縁層
108 第三の導電層
109 第四の絶縁層
110 第二の半導体層
111 第二のオーミックコンタクト層
112 第四の導電層
113 透明導電層
114 N型半導体層
115 高抵抗半導体層
116 P型半導体層
117 直接変換材料
118 保護層
119 蛍光体
Claims (12)
- 入射する放射線を可視光に変換する蛍光体と、
前記可視光を電気信号に変換する第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子からの電気信号の出力動作を切り換えるスイッチング素子とを含む画素を基板上に複数有してなる画素エリアを含み、前記第1の光電変換素子から出力される電気信号に基づいて画像情報が生成される放射線画像撮影装置であって、
前記放射線の入射量を検出するための第2の光電変換素子を有し、
前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子は、前記画素エリア内において前記基板と前記第1の光電変換素子との間に配置されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。 - 前記第2の光電変換素子は、複数の前記第1の光電変換素子である第1の光電変換素子群と前記基板との間で且つ複数の前記第1の光電変換素子の間隙に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記第2の光電変換素子による検出結果に基づいて、入射する放射線に対する露出制御及び前記画素の制御が行われることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記第1の光電変換素子群は、半導体層を含み、前記半導体層は、前記第2の光電変換素子の上方部位においてその他の箇所に比べて膜厚が薄くなっていること特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記第1の光電変換素子群は、半導体層を含み、前記第2の光電変換素子の上方部位において前記半導体層がないことを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記第2の光電変換素子は、前記蛍光体により放射線から変換された可視光を電気信号に変換することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記第2の光電変換素子は、前記スイッチング素子と同層に形成されることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記スイッチング素子はTFTであり、前記第2の光電変換素子はTFT型又はMIS型の光電変換素子であることを特徴とする請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記第1の光電変換素子は、MIS型又はPIN型の光電変換素子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
- 入射する放射線を電気信号に変換する第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子からの電気信号の出力動作を切り換えるスイッチング素子とを含む画素を複数有してなる画素エリアと、放射線の入射量を検出するための第2の光電変換素子と、を有する放射線画像撮影装置の製造方法であって、
基板上に前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子を形成する工程と、
前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子の上方に前記第1の光電変換素子を形成して画素エリアを形成する工程と、
を有することを特徴とする放射線画像撮影装置の製造方法。 - 入射する放射線に応じた可視光を電気信号に変換するための第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子と接続されたスイッチング素子とを含む画素を基板上に複数有してなる画素エリアを含む放射線画像撮影用の撮像回路基板であって、
前記放射線の入射量を検出するための第2の光電変換素子を有し、
前記スイッチング素子及び前記第2の光電変換素子は、前記画素エリア内において前記基板と前記第1の光電変換素子との間に配置されていることを特徴とする撮像回路基板。 - 前記第2の光電変換素子は、前記スイッチング素子と同層に形成されることを特徴とする請求項11に記載の撮像回路基板。
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