JP4216678B2 - 適応変調方法及び適応変調回路及びデジタル無線装置 - Google Patents
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限られた周波数範囲、すなわち限られた伝送帯域の中で大きな伝送容量を確保するためには、シンボル当たりのビット数がより多い変調方式を採用することが効果的である。
例えば、4値のシンボルを持つQPSK変調では2ビット/シンボルであり、16値のシンボルを持つ16QAMでは4ビット/シンボルであるから、16QAMの方が2倍の情報伝送が可能である。この一方で、同じ伝送品質、すなわち同じビット誤り率を確保するためには、16QAMのほうがより高いCNR(Carrier to Noise Ratio:搬送波電力対雑音電力比)が必要となる。
例えば、ビット誤り率10−4を得るためには、16QAMはQPSKに比べて約7dB高いCNRを必要とする。
そして、16QAMとQPSKを適応的に変調するには、例えばCNRが図2に示したVthより高い場合には16QAMを、これより低い場合にはQPSKを採用して、ビット誤り率が10−4を下回らないようにするというように、最低限の伝送品質を確保しながら、より伝送容量の大きい変調方式に適宜切り替える方式とする必要がある。
図3において、横軸は時間、縦軸はCNRを表す。CNRの変化は受信電界強度RSSIの変化と相対的には等しい意味を持つので、以下CNRの代わりにRSSIと表記する。
RSSIは一般的に短区間変動と長区間変動の成分にモデル化され、図3中に実線で示したRSSIもこれに対応した変化をしている。
図中の点線は、短区間変動成分を除去する目的でRSSIを平均化したものである。平均算出は過去のRSSI測定値を平均したものであるので、時間的な遅延が生じている。
変調方式の切り替えにはこのRSSI平均値を用いる。
変調方式がQPSKである状態において、RSSIが大きくなり、ある閾値C2を超えた時に変調方式を16QAMに切り替える。
この状態で、RSSIが減少に転じ、ある閾値C1を下回った時に変調方式をQPSKに切り替える。
そして、C1、C2は予めC2>C1>Cthとなるように設定する必要がある。
ここで、Cthは図2に示したVthに対応し、最低保証品質であるビット誤り率を与えるRSSIである。
さらに、本発明は上記従来技術に鑑みて為されたもので、適応変調方式において、受信電界が小さくなる場合に速やかに変調方式を切り替える手段を有する適応変調方法及び適応変調回路及びデジタル無線装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明により、適応変調方式において、受信電界が小さくなる場合に速やかに変調方式を切り替える手段を有する適応変調方法及び適応変調回路及びデジタル無線装置を提供することができる。
図4は、本発明の実施の形態である適応変調制御部のブロック図を示す。
図4中の入力端子101にはRSSI値が入力されるが、これに相当する信号、例えば何らかの手段により推定されるCNR値でもよい。符号102から105に示した要素により平均演算器110が構成され、入力されたRSSI値の平均値が逐次算出される。
ここで記載されている定数αは0<α<1の値をとるもので、平均演算の時定数を決定する。αが小さくなるほど時定数が大きくなる。
符号106と107は同一の機能を有する比較器である。二つの入力信号a,bがあり、a>bの場合に1、それ以外の場合に0を出力する。
符号108は信号の立ち上がりを検出するエッジ検出器である。
入力aが0から1へ変化した時に出力を1に、入力bが0から1へ変化したら出力を0に、それ以外の場合は値を維持する。エッジ検出器108の出力は選択された変調方式を意味する。
そして、本実施の形態においては、0がQPSK、1が16QAMを意味する。
比較器106は、RSSI平均値が閾値C2を上回っている区間において1、それ以外の区間では0、比較器107は、閾値C1を下回っている区間において1、それ以外の区間では0を出力する。
エッジ検出器109は、比較器106および107の出力の立ち上がりを監視し、比較器106出力の立ち上がりで1、比較器107出力の立ち上がりで0に出力を設定する。
エッジ検出器109の出力は前述のように選択された変調方式を意味し、この場合は図に示すように変調方式が変更される。
こうした動作をさせることにより、品質を確保しながらより伝送容量の大きい変調方式が選択され、効率的な無線伝送が可能となる。
この例では、2種の変調方式による適応変調であるが、QPSK、16QAMの他、BPSK、64QAMなどの変調方式と組み合わせることも可能である。
ここで、更に、適応変調の的確な動作を行うためにはいくつかのパラメータすなわち前述の例では閾値C1、C2、平均時定数α等を適切に設定する必要がある。
この結果、RSSIの変化に対して、適応制御に時間的な遅れが生じることになる。
RSSIが増大傾向にある場合は閾値を超えた状態の安定性を十分に監視した上で、より変調値数の多い変調方式に遷移すべきであるので、この時間的な遅れは問題とはならない。
しかしながら、RSSIが時間経過に伴って小さくなる場合には、速やかに変調値数の小さい変調方式への切り替えることが望ましいが、このタイミングが遅れることによって、一時的に伝送品質が劣化する可能性がある。
そこで、RSSIの変化に対応したより適切な変調方式が選択され、通信品質の劣化時間を最小限にしながら、より高速な通信を実現することができる適応変調方法及び適応変調回路について次に説明する。
RSSI信号、あるいは何らかの手段により推定されたCNRは入力端子101を通じて二つの平均演算器115および116へ入力される。
平均演算器115は乗算器102、加算器103、乗算器104、遅延素子105から構成され、同様に、平均演算器116は乗算器111、加算器112、乗算器113、遅延素子114から構成される。
各演算器のパラメータαおよびβは、0<α<β<1となるように適切に予め設定する必要がある。結果的に、平均演算の時定数は平均演算器115の方が長くなる。
前述したように、符号106と107は同一の機能を有する比較器であり、二つの入力信号a,bを比較し、a>bの場合に1、それ以外の場合に0を出力する。
比較器106のa入力端子には平均演算器115の出力を、b入力端子には定数C2を入力する。
比較器106の出力は、平均演算器115の出力が定数C2を上回っている場合に1を、それ以外は0を出力する。
同様に、比較器106のa入力端子には平均演算器115の出力を、b入力端子には定数C2を入力する。
比較器107の出力は、平均演算器116の出力が定数C1を下回っている場合に1を、それ以外は0を出力する。
符号108は信号の立ち上がりを検出するエッジ検出器であり、比較器106の出力が0から1へ変化した時に出力を1に、比較器107の出力が0から1へ変化したら出力を0に、それ以外の場合は値を維持する。
エッジ検出器108は変調方式の選択値(0:QPSK,1:16QAM)を出力する。
図6において、横軸は時間、縦軸はRSSIあるいは推定されたCNRを表す。
RSSIの測定値、平均演算器115および116の出力を示している。
RSSIが増加から減少へ転じる場合を仮定している。
初めはQPSKが選択された状態で、平均演算器115の出力が閾値C2を越えた時点で比較演算器106の出力が0から1へ変化し、これに伴いエッジ検出器109の出力が0から1へ変化し、変調方式が16QAMに変更される。
その後、平均演算器116の出力が閾値C1を下回った時点で比較演算器107の出力が0から1へ変化し、これに伴いエッジ検出器109の出力が1から0へ変化し、変調方式がQPSKに変更される。
また、短時定数平均演算器の出力がある閾値C1を下回ったとき、変調方式をより変調値数が小さい方式へ変更する。
そして、長時定数平均演算器の出力がある閾値C2を上回ったとき、変調方式をより変調値数が大きい方式へ変更する。
また、短時定数平均演算器の出力がある閾値C1を下回ったとき、変調方式をより変調値数が小さい方式へ変更する。
そしてこのとき、受信信号の強度の値が突発的に変動し、切り替え動作が頻繁に行われてしまう現象を抑えるため、平均値を演算する際の時定数は大きめに設定しておく必要がある。
しかし、時定数を大きく設定すると、その分、演算時間が遅い変調方式で伝送してしまうこととなるため、より適切な適応変調とするために、伝送状態が悪くなる場合は、受信信号の強度の平均値を演算するための時定数を小さい方式とすることにより、エラー耐性が悪い変調方式で伝送してしまうことを防止することができる。
Claims (3)
- 複数の変調方式を切り替えるデジタル無線通信における適応変調方法において、
受信信号の強度を検出する手段と、
該検出した受信信号の強度に基づいて、時定数を長くとった平均値を演算する第1の平均演算手段と、時定数を短くとった平均値を演算する第2の平均演算手段と、
前記第1の平均演算手段の出力が任意に定めた第1の閾値を上回った場合は、前記複数の変調方式を現在選択している変調方式より変調値数が大きい変調方式へ移行し、
前記第2の平均演算手段の出力が任意に定めた第2の閾値を下回った場合は、前記複数の変調方式を現在選択している変調方式より変調値数が小さい変調方式へ移行することを特徴とするデジタル無線通信の適応変調方法。 - 複数の変調方式を切り替えるデジタル無線通信における適応変調回路において、
受信信号の強度を検出するRSSI部と、
該RSSI部が検出した受信信号の強度に基づいて、時定数を長くとった平均値を演算する第1の平均演算部と、時定数を短くとった平均値を演算する第2の平均演算部と、
前記第1の平均演算部の出力が任意に定めた第1の閾値を上回った場合は、前記複数の変調方式を現在選択している変調方式より変調値数が大きい変調方式へ移行し、
前記第2の平均演算部の出力が任意に定めた第2の閾値を下回った場合は、前記複数の変調方式を現在選択している変調方式より変調値数が小さい変調方式へ移行することを特徴とするデジタル無線通信の適応変調回路。 - 前記請求項2に記載の適応変調回路を備えた無線基地局または無線中継局であることを特徴とするデジタル無線装置。
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