JP4215820B2 - 診断的および治療的使用のための新規な標的化組成物 - Google Patents

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Description

関連出願の引用
本出願は1996年5月1日出願の米国特許出願番号第08/640,464の一部継続出願であり、それは1995年6月7日出願の米国特許出願番号第08/497,684の一部継続出願である。上記の各出願は引用することによって全開示内容が本明細書中に取り込まれている。
発明の技術分野
本発明は新規な標的化組成物およびそれらの使用に関する。さらに詳しくは、本発明は、診断用画像形成および/または生物活性剤の投与のための、体内の組織を標的化され得る新規な標的化組成物に関する。
発明の背景
疾病を診断するために、種々の画像形成技術が使用されてきた。これらの画像形成技術の一つにX線画像形成法がある。X線法では、作成された画像は、患者の体内の構造および組織の異なる密度を反映する。この画像形成技術の診断用有用性を改善するために、造影剤は、周囲組織に比して興味のある組織の密度を増強するのに使用されてもよい。かかる造影剤の例として、例えば、食道、胃、腸および直腸を含む胃腸部位のX線試験のために使用されてもよいバリウムおよびヨウ素化化合物が挙げられる。造影剤はまた、興味のある組織、例えば、胃腸管の可視化を改善するために、計算機断層撮影法(CT)および計算機助成断層撮影法(CAT)研究のために使用されてもよい。
磁気共鳴画像形成法(MRI)は、X線とは異なって、イオン化照射を含まないもう一つの画像形成技術である。MRIは、例えば、軸方向、冠状、矢状または直交のような種々の走査平面で身体の断面画像を作成するために使用されてもよい。MRIは、磁場、無線周波数エネルギーおよび磁場勾配を使用して、身体の画像を作成する。組織間のコントラストまたは信号強度の差異は、主としてT1(縦)およびT2(横)緩和値並びにプロトン密度を反映し、それは一般的には組織中の遊離水の含有量に対応する。造影剤の使用によって患者の部位中の信号強度を変えるために、数種の可能な方法が利用できる。例えば、造影剤は、T1、T2またはプロトン密度を変化させるように設計されてもよい。
一般的言えば、MRIは造影剤の使用を必要とする。MRIは造影剤を使用しないで行われる場合、得られる画像中の周囲組織から興味ある組織の識別が困難であってもよい。過去には、関心が、主としてMRIのための常磁性造影剤に集中された。常磁性造影剤は、不対電子を含有する物質を含む。不対電子は、主磁場内で小磁石として作用して、縦(T1)および横(T2)緩和を増強する。常磁性造影剤は典型的には、不対電子の源を提供する金属イオン、例えば遷移金属イオンを含む。しかし、これらの金属イオンはまた一般的に高い毒性がある。毒性を減少させる努力では、金属イオンは典型的には配位子でキレート化される。
酸化金属、最も注目に値する酸化鉄はまた、MRI造影剤として使用されてきた。酸化鉄の小粒子、例えば、約20nm未満の直径を有する粒子は望ましい常磁気緩和特性を有する可能性があるが、それらの主要な効果はバルク感受性によるものである。ニトロキシドは、常磁性である他のクラスのMRI造影剤である。これらは比較的に低い緩和能を有し、そして一般的に常イオンより有効性が低い。
現行のMRI造影剤は多くの限界に悩まされている。例えば、強い画像ノイズは、キレート金属を含む造影剤を含む一定の造影剤に付随するかも知れない。このノイズは一般的に、固有のぜん動運動および呼吸および心臓血管作用からの運動から生じる。さらに、造影剤についての信号強度は一般的に、造影剤の濃度および使用されるパルスシーケンスに依存する。造影剤の吸収は、十分に高い濃度の常磁性種が使用されない限り、特に小腸の末端部分で画像の解釈を複雑にする事がありうる。例えば、Kommesserなど,Magnetic Resonance Imaging,6:124(1988)を参照。
他の造影剤は、パルスシーケンスの変形に低感受性であってもよく、そしてさらに調和したコントラストを提供してもよい。しかし、フェライトのような粒子の高濃度は、例えば、腸中液体の吸収が起こり超常磁性物質が濃縮されてもよい結腸中で特にあきらかである磁気感受性人工産物を生成させるすことができる。
毒性は、MRIのための造影剤を含む現在市販されている造影剤に一般的に付随するもう一つの問題点である。例えば、フェライトは、経口投与後の悪心の症状、並びに鼓腸および血清鉄の一過性上昇を起すことが多い。Gd−DTPAに複合化しているガドリニウムイオンは、遊離の形態で高い毒性を示す。胃中の高い酸性(低いpH)および腸中の高いアルカリ性(高いpH)を含む胃腸管の種々の環境は、分解および複合体から遊離のイオンの分離の可能性を増大させてもよい。
超音波法は、例えば、組織微小血管系のような血管系を含む身体の種々の区域を研究するための他の貴重な診断画像形成技術である。超音波法は他の診断技術より一定の利点を提供する。例えば、核医学およびX線を含む診断技術は一般的に、患者をイオン化電子照射に暴露することを含む。かかる照射は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)およびタンパク質を含む遺伝子物質に損傷を引き起こすことができる。超音波法はかかる潜在的に損傷を与える照射を含まない。さらに、超音波法は、精巧で高価な装置を要するCTおよびMRIを含む他の診断技術に比して比較的に安価である。
超音波法は患者に音波を暴露することを含む。一般的に、音波は、身体組織による吸収のために消散し、組織を貫通するか、または組織から反射する。音波の組織からの反射は、一般的に後方散乱または反射能と呼ばれ、超音波画像を現像するための基礎を形成する。この点では、音波は種々の身体組織から差異的に反射する。この差異的反射は、観察されている特定の組織の成分および密度を含む種々の要因によるものである。超音波法は、一般的には1メガヘルツ(MHZ)〜10MHZの周波数を有する音波を検出することができる変換器を用いて、差異的に反射した音波を検出することを含む。検出された音波は、測定される画像に統合され、そして測定された音波は試験されている組織の画像に変換されることができる。
上記の診断技術として、超音波も一般的に造影剤の使用を含む。模範的な造影剤として、例えば、固体粒子の懸濁液、乳化液体小滴、またはガス充填バブルが挙げられる。例えば、Hilmannなど,米国特許第4,466,442号明細書並びに国際公開第92/17212号明細書および第92/21382号明細書を参照のこと。Widderなど,欧州特許出願公開第0324938号明細書は、熱変性生物適合性タンパク質、例えば、アルブミン、ヘモグロビンおよびコラーゲンから製造された安定化微小バブル型超音波造影剤を開示している。
超音波から作成された画像の品質は顕著に改善された。それにもかかわらず、さらなる改善が、血管の血液供給で灌流される組織中の血管を含む画像に関して、要求されている。従って、血管系および血管関連器官の医学的に有用な画像を提供することができる改善された造影剤を含む、高い超音波技術に対する要求がある。
液体−気体界面からの音波の反射は極めて効率的である。従って、ガス充填バブルを含むバブルは造影剤として有用である。用語「バブル」は、本明細書で使用されるように、ガスまたは前駆物質で充填されている内部空隙を囲む一つまたはそれ以上の膜または壁の存在を一般的に特徴とする小胞を指す。模範的なバブルとして、例えば、リポソーム、ミセルなどが挙げられる。下記にさらに詳しく記載するように、造影剤としてのバブルの有用性は、例えば、バブルの粒径および/または弾性に依存する。
バブルの粒径の効果に関して、以下に検討される。当業者には既知であるように、バブルから反射される信号は、バブルの半径(r6)の関数である(Rayleigh Scatterer)。従って、診断用超音波の周波数範囲では、4マイクロメータ(μm)の直径を有するバブルは、2μmの直径を有するバブルの約64倍の散乱能力を有する。従って、一般的に言えば、バブルが大きくなる程、反射信号は大きくなる。
しかし、バブル粒径は、バブルが通過しなければならない毛細管の直径によって制限される。一般的には、10μmを超える直径を有するバブルを含んでなる造影剤は、微小管が閉塞されかも知れないから、危険であり得る。従って、造影剤中の約99%を超えるバブルが10μm未満の直径を有することが望ましい。平均のバブル直径が重要であり、そして1μmを超えるべきであり、2μmを超えるものが好適である。バブルの容積重み付け平均直径が約7〜10μmであるべきである。
バブルの弾性も重要である。これは、高弾性バブルは必要に応じて変形して、毛細管を「むりに通り抜け」そして/またはバブルの周りに血液を流れさせることができるからである。これによって、閉塞の可能性が減少する。バブルを含む造影剤の有用性はまた、バブル濃度に依存する。一般的には、バブル濃度が高くなる程、造影剤の反射度は大きくなる。
造影剤としてのバブルの有用性に関係する他の重要な特徴は、バブルの安定性である。本明細書で使用されるように、特にガス充填バブルに関して、「バブルの安定性」は、大気圧を超える圧力に暴露した後、バブルがその中に閉じ込められたガスを保持する能力を指す。造影剤として有用であるためには、バブルは一般的に、水銀(Hg)の300ミリメータ(mm)の圧力に約1分間暴露した後、閉じ込められたガスの50%より多くを保持する必要がある。特に、有効なバブルは、300mm Hgの圧力に1分間暴露された後、閉じ込められたガスの75%を保持し、90%の閉じ込められたガス含有量は特に有効な造影剤を提供する。圧力の解放の後、バブルがそれらの元の粒径に戻ることは非常に望ましい。このことは、一般的に「バブル・レジリエンス」と呼ばれる。
所望の安定性を欠くバブルは不良造影剤を提供する。例えば、バブルがその中に閉じ込められたガスを生体内で解放する場合、反射能は減少する。同様に、不良なレジリエンスを有するバブルの粒径は生体内で減少して、反射能が低下する。
従来技術で開示されたバブルの安定性は一般的に、造影剤としての使用には不適切である。例えば、従来技術は、脂質含有壁または膜を含んでなる、ガス充填リポソームを含むバブルを開示している。Ryanなど,米国特許第4,900,540号明細書および第4,544,545号明細書;Ticknerなど,米国特許第4,276,885号明細書;Klavenessなど,国際公開第93/13809号明細書およびSchneiderなど,欧州特許第0554213号明細書と国際公開第91/15244号明細書を参照。Lanzaなど,国際公開第93/20802号明細書には、音響反射性オリゴ層リポソームが開示され、それは二重層の間の水性空間を増加させた多重層リポソームであるか、またはリポソームが二重層内に同軸様式で嵌合され、従って内部で分離された二重層を含有する。超音波画像形成を強化するために超音波造影剤としてそれらを使用すること、および患者に投与されたリポソーム中で送達された薬物を監視するのにそれらを使用することも記載されている。D′Arrigo,米国特許第4,684,479号明細書および第5,215,680号明細書には、それぞれ液体中気体エマルジョンおよび脂質コーティングマイクロバブルが開示されている。
従来技術で開示されたバブルの多くは、望ましくない不良な安定性を有する。従って、従来技術バブルは生体内でもっと破裂しやすく、例えば、その中に含有されたいずれの治療および/または診断剤も究極的には解放される。バブルの安定性を増強する試みで、種々の研究が行われた。かかる研究は、例えば、それらの膜または壁がアルブミンのようなタンパク質、または架橋によって明らかに強化される物質を含んでなるバブルの製造を包含する。例えば、Klavenessなど,国際公開第92/17212号明細書を参照のこと、明細書中には、生物分解性架橋剤で架橋されたタンパク質を含んでなるバブルが開示されている。講演が、Moseleyなどによって、1991年、Napa,California meeting of the Society for Magnetic Resonance in Medicineで行われ、それは「マイクロバブル:新規なMR感受性造影剤」(“Microbubbles:A Novel MR Susceptibility Contrast Agent”)という題目の要旨中に要約されている。Moseleyなどによって記載されたマイクロバブルは、ヒト・アルブミンの外殻でコーティングされた空気を含む。その他、バブル膜は、タンパク質ではなく、生物適合性化合物で架橋される化合物を含むことができる。例えば、Klavenessなど,国際公開第92/17436号明細書、国際公開第93/17718号明細書および国際公開第92/21382号明細書を参照。
外膜または膜成分の架橋にタンパク質の使用を含む、安定化バブルのための従来技術は、種々の欠点に悩まされている。例えば、上記の架橋は一般的に、代謝的運命が未知である架橋タンパク質または他のタンパク質を含む新規な物質の使用を含む。さらに、架橋は、架橋化合物の単離および精製を含む追加の化学的工程を必要とする。さらに、バブル膜中でのアルブミンのようなタンパク質の使用、およびバブル膜成分の架橋は、バブルの壁に剛性を与えることができる。このことによって、バブルは低い弾性を有し、それ故、変形して毛細管を通過する能力が低下する。従って、タンパク質および/または架橋を含む、従来技術の造影剤を用いると、閉塞の可能性が増大する。
従って、新規なそして/または安定化された造影剤並びにそれらを提供する方法が要求されている。本発明はこの並びに他の重要な目的に向けられている。
発明の要旨
本発明は、部分的には、診断用画像形成のための造影剤を目的にしている。具体的には、一つの態様において、標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる診断用画像形成のための造影剤が提供される。
本発明のもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる標的化組成物に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、ポリマーもしくはタンパク質およびガスを含んでなる小胞を水性担体中に含んでなる小胞組成物に関する。
本発明のもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが組織または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、フッ素化ガスを含んでなる小胞を含んでなる標的化小胞組成物に関する。
本発明のさらにもう一つの態様に、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを、生物活性剤と組合せて含んでなる治療的または診断的使用のための製剤に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、脂質、タンパク質もしくはポリマー、ガスおよび標的指向性リガンドを結合させることを含んでなる標的化組成物の製造方法に関する。
本発明のもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、生物活性剤および、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる組成物を結合させることことを含んでなる診断的または治療的使用のための製剤の製造方法に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、脂質、タンパク質もしくはポリマー、ガスおよび標的指向性リガンドを結合させることによって製造される標的化組成物に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、生物活性剤および、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる組成物を結合させることによって製造された診断的または治療的使用のための標的化製剤に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、(i)前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる標的化組成物を患者に投与し、そして(ii)超音波を使用して患者を走査して部位の可視画像を得ることを含んでなる患者の内部部位の画像を提供する方法に関する。
本発明のもう一つの態様は、(i)前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる小胞を水性担体中に含んでなる小胞組成物を患者に投与し、そして(ii)超音波を使用して患者を走査して部位の可視画像を得ることを含んでなる患者の内部部位の画像を提供する方法に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、(i)前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを水性担体中に含んでなる標的化組成物を患者に投与し、そして(ii)超音波を使用して患者を走査して部位の可視画像を得ることを含んでなる患者中の疾患組織の存在を診断する方法に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、(i)前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる小胞を水性担体中に含んでなる小胞組成物を患者に投与し、そして(ii)超音波を使用して患者を走査して患者中の疾患組織の可視画像を得ることを含んでなる患者中のいずれの疾患組織もの存在を診断する方法に関する。
本発明のもう一つの態様は、前記標的指向性リガンドが、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する、標的指向性リガンドと組合せて、脂質、タンパク質もしくはポリマーおよびガスを含んでなる標的化組成物を、生物活性剤と組合せて、含んでなる製剤の治療的有効量を患者に投与することを含んでなる生物活性剤を治療的に生体内送達する方法に関する。
本発明のもう一つの態様では、式
Figure 0004215820
式中、
各X1は独立して−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR4−、−X4−C(=X5)−、−C(=X5)−X4−または−C(=X5)−であり;
2およびX3の各々は独立して直接結合、−R5−X4−C(=X5)−、−R5−C(=X5)−X4−、−X4−C(=X5)−R5−、−C(=X5)−X4−R5−、−X4−R5−C(=X5)−X4−、−R5−X4−C(=X5)−R5−C(=X5)−X4−または−R5−C(=X5)−X4−R5−X4−C(=X5)−であり;
各X4は独立して−O−、−NR4−または−S−であり;
各X5は独立してOまたはSであり;
Mは−R5−X4−C(=X5)−、−R5−C(=X5)−X4−、−R5−X4−(YX5)P(=X5)−X4−または−X4−(YX5)P(=X5)−X4−R5−であり;
Yは水素または薬学的に許容される対イオンであり;
Zは親水性ポリマーであり;
Qは標的指向性リガンドまたはそれらに対する前駆物質であり;
各R1は独立して1〜約50個の炭素を有するアルキルであり;
各R2は独立して1〜約30個の炭素を有するアルキレンであり;
3およびR4の各々は独立して水素または1〜約10個の炭素を有するアルキルであり;そして
各R5は独立して直接結合または1〜約30個の炭素を有するアルキレンである、
を有する化合物が提供される。
本発明のさらにもう一つの態様は、式
L−P−T
式中、
Lは脂質、タンパク質またはポリマーであり;
Pは親水性ポリマーであり;そして
Tは標的指向性リガンドである、
を有する化合物に関する。
本発明のこれらおよび他の態様は以下の詳細な説明からさらに明らかになる。
発明の詳細な記述
上記に使用されたようにそして全開示を通して、以下の用語は、特記しない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
「脂質」は、一般的に両親媒性および生物適合性である合成または天然産化合物を指す。脂質は典型的には親水性成分および疎水成分を含んでなる。模範的な脂質として、例えば、脂肪酸、中性脂肪、ホスファチド、糖脂質、表面活性剤(界面活性剤)、脂肪族アルコール。ワックス、テルペンおよびステロイドが挙げられる。
「脂質組成物」は、典型的には水性媒体中に脂質化合物を含んでなる組成物を指す。模範的な脂質組成物は懸濁液、エマルジョンおよび小胞組成物を含む。
「脂質製剤」は、生物活性剤も含んでなる脂質組成物を指す。
「小胞」は、一般的に一つまたはそれ以上の内部空隙を形成する一つまたはそれ以上の壁または膜の存在を特徴とする球形実体を指す。小胞は、例えば、本明細書に記載の種々の脂質を含む脂質、タンパク質様物質、または天然、合成および半合成ポリマーを含む高分子物質から製剤されてもよい。好適な小胞は、脂質から製剤された壁または膜を含んでなるものである。これらの好適な小胞中では、脂質は単一層または二重層の形態であってよく、そして単一層または二重層脂質は一つまたはそれ以上の単一層または二重層を形成するのに使用されてもよい。一つ以上の単一層または二重層の場合、単一層または二重層は同心性であってもよい。脂質は、一枚膜小胞(単一層または二重層からなる)、オリゴ膜小胞(約二つまたは約三つの単一層または二重層からなる)または多重膜小胞(約三つ以上の単一層または二重層からなる)を形成するのに使用されてもよい。同様に、タンパク質またはポリマーから製造された小胞は、一つまたはそれ以上の同心性壁または膜を含んでなってもよい。タンパク質またはポリマーから製造された小胞の壁または膜は、実質的に固体であってもよいか、或いはそれらは多孔性または半多孔性であってもよい。本明細書に記載の小胞は、通常はリポソーム、ミセル、バブル、マイクロスフェアー、脂質−、ポリマー−および/またはタンパク質−被覆バブル、マイクロバブルおよび/またはマイクスフェアー、マイクロバルーン、エアロゲル、クラスレートなどと呼ばれるような実体を含む。小胞の内部空隙は、液体(例えば、水性液体を含む)、ガス、発泡性前駆物質、および/または、例えば、所望に応じて標的指向性リガンドおよび/または生物活性剤を含む固体または溶質物質で充填されてもよい。
「リポソーム」は、典型的には一つまたはそれ以上の同心性層、例えば、二重層の形態の脂質化合物を含む、両親媒性化合物の一般的な球状クラスターまたは集合体を指す。それらはまた、本明細書では脂質小胞と呼ばれてもよい。リポソームは、例えば、イオン性脂質および/または非イオン性脂質から製剤されてもよい。非イオン性脂質から製剤されるリポソームは「ニオソーム」と呼ばれてもよい。
「ミセル」は、脂質から製剤されたコロイド状の実体を指す。一定の好適な態様では、ミセルは、単一層または六角H2相形状を含んでなる。他の好適な態様では、ミセルは二重層形状を含んでなってもよい。
「エーロゲル」は、一般的に複数の小内部空隙を特徴とする球状実体を指す。エーロゲルは、合成物質(例えば、ベーキングレゾルシノールおよびホルムアルデヒドから製造されたフォーム)、並びに糖またはタンパク質のような天然物質から製剤されてもよい。
「クラスレート」は、小胞と会合してもよい固体、半多孔性または多孔性粒子を指す。好適な形態では、クラスレートは、小胞を含んでなるキャビティーを含有する籠様構造を形成してもよい。一つまたはそれ以上の小胞はクラスレートに結合してもよい。安定化物質は、所望に応じて、クラスレートと会合して、小胞とクラスレートとの会合を促進してもよい。クラスレートが製剤されてもよい適切な物質として、例えば、カルシウムヒドロキシアパタイトのような多孔性アパタイト、およびカルシウム塩で沈殿したアルギン酸のようなポリマーと金属イオンとの沈殿が挙げられる。
本発明の小胞は好適にはガスまたは発泡性前駆物質を含有する。「ガス充填小胞」はガスが封入されている小胞を指す。「発泡性前駆物質充填小胞」は前駆物質が封入されている小胞を指す。小胞は最小限には、部分的または実質的に完全にガスおよび/または発泡性前駆物質で充填されてもよい。一定の好適な態様では、小胞は、実質的または完全にガスおよび/または発泡性前駆物質で充填されてもよい。用語「実質的に」は、ガスおよび/または発泡性前駆物質充填小胞に関連して使用されるように、小胞の内部空隙容量の約50%以上がガスからなることを意味する。好適には、実質的に充填された小胞の内部空隙の約60%以上がガスからなり、約70%以上がさらに好適である。もっとさらに好適には、実質的に充填された小胞の内部空隙の約80%以上がガスからなり、約90%以上がさらに好適である。特に好適な態様では、小胞の内部空隙の約95%以上がガスからなり、約100%が特に好適である。本発明の好適な態様とは考えないが、小胞はまた、所望に応じて、全くまたは実質的にガスまたは発泡性前駆物質を含有しなくてもよい。
「小胞組成物」は、小胞を含んでなる、典型的には水性媒体中の組成物を指す。
「小胞製剤」は、生物活性剤も含んでなる小胞組成物を指す。小胞製剤中で使用するための適切な小胞または小胞種として、例えば、ガス充填小胞および発泡性前駆物質充填小胞が挙げられる。
「エマルジョン」は、二種またはそれ以上の液体のリポイド様混合物を指し、一般的にコロイドの形態である。その他、脂質は、例えば、単一層または二重層を含むクラスターまたは層の形態に凝集してもよい。
「懸濁液」は、長時間安定であり得る、微細に分割された液体または液体中に浮遊している固体粒子の混合物を指す。
「六角HII層構造」は、液体媒体、例えば、水性媒体中の脂質の一般的に管状の凝集物を指し、媒体中で脂質の疎水性部分は一般的に管内部の液体環境と関連して内側に向いている。脂質の疎水性部分は外側に向き、そして錯体は六角管の形状を呈する。複数の管は一般的に六角相構造中で詰められている。
「患者」は、哺乳類を含む動物、好適にはヒトを指す。
句「患者の内部部位」および「興味ある部位」は、患者全体または患者の特定の区域もしくは部分を指す。患者の内部部位および興味なる部位として、例えば、診断用画像形成法で画像形成された区域および/または生物活性剤で処理された区域が挙げられる。かかる区域の模範例として、例えば、心筋組織を含む心臓部位、並びに血管系および循環系統および癌性組織を含む他の体組織が挙げられる。句「血管系」は、本明細書で使用される場合、身体中或いは身体の器官または部分中の血管を表す。
「生物活性剤」は、患者中の疾患の有無を診断するための方法中および/または患者中の疾患の治療のための方法中のような、実際に治療的または診断的である用途と関連して使用されてもよい物質を指す。本明細書で使用されるように、「生物活性剤」はまた、生体外および/または生体内で生物学的効果を奏することができる物質を指す。生物活性剤は中性或いは正または負に電荷されていてもよい。適切な生物活性剤の例として、診断薬、医薬品、薬物、合成有機分子、タンパク質、ペプチド、ビタミン、ステロイドまたは、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを含む遺伝物質が挙げられる。
「診断薬」は、患者の内部部位を画像形成するためおよび/または患者中の疾患の存在を診断するための方法に関連して使用されてもよいいずれの試薬をもさす。模範的な診断薬として、例えば、本明細書に記載の脂質および/または小胞組成物を含む、患者の超音波、磁気共鳴画像形成または計算機断層撮影に関連して使用するための造影剤が挙げられる。
「ポリマー」は、本明細書で使用されるように、二つまたはそれ以上の反復単位の化学ユニオンから形成された分子を指す。従って、用語「ポリマー」内には、例えば、二量体、三量体およびオリゴ体が含まれてもよい。ポリマーは合成的、天然産または半合成的であってもよい。好適な形態では、用語「ポリマー」は10またはそれ以上の反復単位を含んでなる分子を指す。
「増粘剤」は、本明細書に記載の脂質および/または小胞組成物中に取り込まれた場合、粘土増強剤、乳化剤および/または安定化剤、懸濁化剤および強度向上剤として作用してもよい、種々の一般的に疎水性物質のいずれもを指す。増粘剤は、かかる特性のために組成物の安定性を維持するのを助成することができてもよいと考えられる。
「分散剤」は、例えば、本明細書に記載の一定の脂質および/または小胞組成物を含むコロイド状粒子の懸濁媒体に添加された場合、粒子の均一な分離を促進してもよい界面活性剤を指す。一定の好適な態様では、分散剤は高分子シロキサン化合物を含んでなってもよい。
「遺伝物質」は一般的にデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を含むヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを指す。遺伝物質は、当業者に既知である合成化学的方法論によってか、或いは組換え技術の使用によってか、或いはこの2つの組合せによって製造されてもよい。DNAおよびRNAは場合により非天然ヌクレオチドを含んでなってもよく、そして一本鎖または二本鎖であってもよい。「遺伝物質」はまた、センスおよびアンチセンスDNAおよびRNA、即ち、DNAおよび/またはRNA中のヌクレオチドの特定の配列に相補的であるヌクレオチド配列を指す。
「医薬品」または「薬物」は、患者中の疾病、苦痛、疾患または傷害の治療(予防、診断、緩和または治療を含む)で使用されてもよいいずれの治療剤または予防剤をも指す。治療的に有用なペプチド、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは用語医薬品または薬物の意味内に含まれてもよい。
「安定化物質」は、生体適合性でありそして脂質組成物中の小胞の形成を促進することができる物質を指す。本明細書中で使用されるように、「安定化物質」はまた、生体適合性でありそして小胞の安定性を増強することができる物質を指す。一定の好適な態様では、安定化物質はポリマーを含んでなる。「ポリマー」は、本明細書中で使用されるように、二つまたはそれ以上の反復単位の化学的連結体から形成された分子を指す。従って、用語「ポリマー」内には、例えば、二量体、三量体およびオリゴ体が含まれる。一定の他の好適な態様では、安定化物質は、例えば、単量体分子を含む非ポリマー物質を含んでなる。「安定化物質」の定義中にはまた本生物活性剤の一定も包含される。安定化物質は中性或いは正または負の電荷をもってもよい。中性の安定化物質の内、極性物質が好適である。脂質を含む好適な態様の場合、安定化物質は、脂質化合物を共有的および/または非共有的に会合してもよい。
「小胞の安定性」は、約300mmHgの圧力に約1分間暴露された後、ガス充填小胞がその中に閉じ込められたガスを保持する能力を指す。小胞の安定性は、パーセント(%)で測定され、これはもともと小胞中に閉じ込められていてそして圧力の解放の後保持されるガスの量の分率である。小胞の安定性は、小胞が圧力の解放の後に元の粒径に戻る能力を指す「小胞の弾力性」への参照を含む。
「共有的会合」は、二つの原子の結合軌道中の電子の共有を含む分子間会合または結合を指す。
「非共有的会合」は、共有結合を含まない、二つまたはそれ以上の個別の分子の間の分子間相互作用を指す。分子間相互作用は、例えば、関与分子の極性、もし有れば、慣用分子の電荷(正または負)などを含む種々の因子に依存する。非共有的会合は好適には、イオンせい相互作用、双極子−双極子相互作用およびvan der Waal力並びにそれらの組合せよりなる群から選ばれる。
「イオン性相互作用」または「静電気的相互作用」は、各々が正または負を電荷を持つ二つまたはそれ以上の分子の間の分子間相互作用を指す。従って、例えば、「イオン性相互作用」または「静電気的相互作用」は、第一の正の電荷の分子と第二の負の電荷の分子との間の引力を指す。模範的なイオン性または静電気的相互作用として、例えば、負の電荷の安定化物質、例えば、遺伝物質および正の電荷の脂質、例えば、ラルリルトリメチルアンモニウムブロミドのようなカチオン性脂質との間の引力が挙げられる。
「双極子−双極子相互作用」は一般的に、二つまたはそれ以上の極性分子の間に起こる引力を指す。従って、「双極子−双極子相互作用」は、第一の極性分子の非電荷で、部分的に正の末端(通常はδ+を表記される)の第二極性分子の非電荷で部分的に負の末端(通常はδ-を表記される)に対する引力を指す。双極子−双極子相互作用は、例えば、電気陽性頭基、例えば、ホスファチジルコリンのコリン頭基と電気陰性原子、例えば、糖のような安定化物質中に存在する酸素、窒素または硫黄のようなヘテロ原子との間の引力によって例示される。「双極子−双極子相互作用」はまた、水素原子が、別々の分子上の電気陰性原子の間の橋として働き、そして水素原子が共有結合によって第一分子に保持され、静電力によって第二分子に保持される分子間水素結合を指す。
「Van der Waal力」は、量子力学によって説明される非極性分子の間の引力を指す。Van der Waal力は一般的に、近隣の分子によって誘導されそして電子分布の変化を含む瞬間双極子モーメントを伴う。
「水素結合」は、電気陰性原子、例えば、酸素、硫黄、窒素等および他の電気陰性原子に共有的に結合する水素原子間に起ってもよい引力または橋を指す。水素結合は、第一分子中の水素原子および第二分子中の電気陰性原子の間に起ってもよい(分子間水素結合)。また、水素結合は、単一分子中に両者が含有される水素原子および電気陰性原子の間に起ってもよい(分子内水素結合)。
「親水性相互作用」は、実質的に水と結合し、水中に吸収および/または溶解してもよい分子または分子の部分を指す。これによって、膨潤が起りそして/または可逆性ゲルが生成してもよい。
「疎水性相互作用」は、実質的には水と結合せず、水中に吸収および/または溶解しない分子または分子の部分を指す。
「生物適合性」は、一般的に生物学的機能に有害でなくそしてアレルギー反応および疾病状態を含むいずれの程度の許容できない毒性も生成しない物質を指す。
「組合せで」は、一定の態様では、脂質組成物および小胞組成物を含む、本発明の組成物中に標的指向性リガンドを取り込むことを指す。「組合せで」は、脂質組成物および小胞組成物を含む、本発明の組成物中に生物活性剤を取り込むことも指す。生物活性剤および/または標的指向性リガンドは、種々の方法のいずれかで本組成物と組合せられることができる。例えば、脂質組成物の場合、生物活性剤および/または標的指向性リガンドは、脂質化合物または任意の安定化物質と共有的および/または非共有的に会合してもよい。小胞組成物の場合、生物活性剤および/または標的指向性リガンドは、小胞の内部空隙内に封入されてもよい。生物活性剤および/または標的指向性リガンドはまた、例えば、小胞の層または壁内に含有される脂質の間に散在させることによって、小胞の層または壁内に組み込まれてもよい。さらに、生物活性剤および/または標的指向性リガンドは、小胞の表面上に置かれてもよいと考えられる。いずれの場合も、生物活性剤および/または標的指向性リガンドは、例えば、小胞の内側および/または外側表面を含む、小胞の壁と化学的に相互作用してもよく、そしてそれらに実質的に付着してもよい。かかる相互作用は、例えば、共有的会合および/または非共有的会合の形態を取ってもよい。一定の態様では、相互作用によって、小胞は安定化してもよい。
「標的指向性リガンド」は、本発明の組成物による生体内の組織および/または受容体への標的指向を促進してもよいいずれの材料または物質をも指す。標的指向性リガンドは、合成的、半合成的または天然産であってもよい。標的指向性リガンドとして働いてもよい材料または物質として、例えば、抗体を含むタンパク質、糖タンパク質およびレシチン、ペプチド、ポリペプチド、単糖および多糖を含む糖、ビタミン、ステロイド、ステロイド類似物、ホルモン、補因子、生物活性剤、およびヌクレオシド、ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを含む遺伝物質が挙げられる。
標的指向性リガンドの「前駆物質」は、標的指向性リガンドに転化されてもよいいずれの材料または物質をも指す。かかる転化は、例えば、標的指向性リガンドの前駆物質を固着することを含んでもよい。模範的な標的指向性前駆物質部分は、例えば、マレイミド基、オルト−ピリジルジスルフィドのようなジスルフィド基、ビニルスルフォン基、アジド基、およびα−ヨードアセチル基が挙げられる。
「ペプチド」は、約2〜約100個のアミノ酸残基を含有してもよい窒素化合物を指す。
「タンパク質」は、約100個を超えるアミノ酸残基を含有してもよい窒素化合物を指す。
「被覆」または「コーティング」は、脂質および/または小胞で物質を安定化する相互作用を指し、そして共有的および/または非共有的会合を含んでもよい。
「組織は一般的に、」、一般的に特定の機能を行ってもよい特定の細胞を指す。用語「組織」は、本明細書で使用される場合、個々の細胞または複数または集合体の細胞、例えば、膜または器官を指してもよいと理解されるべきである。用語「組織」はまた、異常な細胞または複数の異常な細胞に対する対照を含む。模範的な組織として、例えば、心筋細胞および心筋細胞(cardiomyocites)を含む心筋組織(心臓または心筋とも呼ばれる)、内皮および上皮、板を含む膜性組織、間質組織を含む結合組織、および腫瘍が挙げられる。
「受容体」は、一般的に特定の物質の選択的結合を特徴とする、細胞内または細胞の表面上の分子構造を指す。模範的な受容体として、例えば、ペプチドホルモンのための細胞表面受容体、神経伝達物質、抗原、補体フラグメント、並びに免疫グロブリンおよびステロイドホルモンのための細胞質受容体が挙げられる。本発明の文脈内の模範的な受容体は、血小板インテグリンである糖タンパク質GPIIbIIIaである。
「内皮細胞」または「内皮」は、正常でありそして/または疾患であってもよく、そして端から端へまたは重なった様式で結合して膜を形成してもよい平滑透明な内皮細胞の単一層を含んでなってもよい、細胞および/または組織の集合体を指す。内皮細胞は、心臓、血管およびリンパ管の内層膜の一部として、薄膜の遊離表面上、脳および脊髄の表面上、並びに目の前室中に見出だされる。上皮は、中胚葉から由来し、そして梗塞性心臓組織、心臓血管系、動脈、静脈、および毛細血管(その位置が心臓に対して末梢であると認められる)のような末梢血管系、血餅、並びにアテローム性硬化症斑を囲む部位を含む心臓組織を含む。
「上皮細胞」または「上皮」は、正常でありそして/または疾患であってもよく、そして基底膜上に支持された間質セメント様物質によって結合されてもよい一つまたはそれ以上の細胞層を含んでよい細胞および/または組織の集合体を指す。上皮は、単一層の細胞(単純上皮);単一層以上の細胞(重層上皮);および実質的に重層化の出現なしに一緒に固定される約3〜4層の細胞を含む、種々の種類に分類されてもよい。各種形態の単純上皮は通常、鱗状、舗装、円柱状、腺状、回転楕円状および/または繊毛状と呼ばれる。上皮は外胚葉または内胚葉から由来する。上皮は、梗塞性心臓組織、心臓血管系、動脈、静脈、および毛細血管のような末梢血管系、血餅並びにアテローム性硬化症斑を囲む部位を含む、心臓組織を包含する。
「心筋」は、一般的に心筋細胞、心筋、内皮細胞および上皮細胞を含む心臓組織を指す。用語「心筋」は、梗塞性心臓組織、心臓血管系、動脈、静脈、および毛細血管(その位置が心臓に対して末梢であると認められる)のような末梢血管系、血餅、血栓、並びにアテローム性硬化症斑を囲む部位を意味する。
「腫瘍細胞」は、制御できない細胞増殖を特徴とする疾病状態に関与してもよい異常な細胞および/または組織の集合体を指す。疾病状態は、例えば、内皮細胞、上皮細胞および心筋細胞を含む各種の細胞の種類を含んでもよい。疾病状態の内には、新生物、癌、白血病および再狭窄損傷が含まれる。
「アルキル」は、直鎖状、分岐鎖状または環状炭化水素基を指す。好適には、アルキルは直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基、さらに好適には直鎖状の炭化水素基である。模範的な直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、およびデシル基が挙げられる。模範的な環状炭化水素基(即ち、シクロアルキル基)として、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロホプチル基が挙げられる。
「アルケニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有するアルキルを指す。模範的なアルケニル基として、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、デセニルおよびドデセニル基が挙げられる。
「アルコキシ」は、アルキル−O−基(基中、アルキルは既に記載された通りである)を指す。模範的なアルコキシ基として、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。
本発明は、一部、脂質および/または小胞組成物を目的をする。脂質、生体内の組織、細胞および/または受容体を標的化してもよくそして結合基によって脂質に結合してもよい標的指向性リガンド、およびガスまたは前駆物質を含む脂質組成物を含んでなる態様が提供される。脂質、タンパク質もしくはポリマー、生体内の組織、細胞および/または受容体を標的化してもよい標的指向性リガンド、およびガスまたは前駆物質を含む脂質組成物を、水性担体中に、含んでなる態様も本明細書中に提供される。脂質組成物および特に小胞組成物の形態の脂質組成物に関連して、脂質を、関与の脂質のゲルから液晶への相転移温度以下の温度で製造することは有利であってもよい。この相転移温度は、脂質二重層がゲル状態から液晶状態に転移する温度である。例えば、Chapman等,J.Biol.Chem.,1974,249,2512−2521を参照のこと
一般的に、高いゲル状態から液晶状態への相転移温度を有する脂質から製造される小胞は、いずれの一定の温度でも、強い不透過性を有する傾向があると考えられる。飽和ジアシル−sn−グルセロ−3−ホスホコリンの主要鎖の融解転移温度のためには、Derek Marsh,「脂質二重層のCRCハンドブック」(CRC Handbook of Lipid Bilayers),第139頁(CRC Press,Boca Raton,FL 1990)を参照のこと。種々のゲル状態から液晶状態への相転移温度は当業者には容易に明らかであり、そしてGregoriadis編、リポソーム技術(Liposome Technology)、第I巻、第1−18頁(CRC Press,1984)に記載されている。以下の表は代表的な脂質およびそれらの相転移温度をリストしたものである。
Figure 0004215820
例えば、Derek Marsh,「脂質二重層のCRCハンドブック」(CRC Handbook of Lipid Bilayers),第139頁(CRC Press,Boca Raton,FL 1990)を参照。
本脂質および/または小胞組成物中に、使用脂質の全量に基づいて、少なくとも少量、例えば、約1〜10モル%の負に電荷した脂質を取り込むことによって、小胞の安定性を向上することが可能であってもよい。負に電荷した適切な脂質として、例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、および脂肪酸が挙げられる。いずれの機序理論にも拘束されるつもりはないが、かかる負に電荷した脂質は、小胞が融合することによって破裂する傾向を消すことによって、高い安定性を与えることが考えられる。従って、負に電荷した脂質が作用して、小胞の外側表面上に均一な負に電荷した層を確立し、その層は、それに近接する他の小胞上の同様に電荷した外層によって反発される。この方法で、小胞は、それぞれの小胞の膜または皮が破裂してそして接触小胞が単一の大きい小胞に合併してもよい相互の近接に接触し難くなってもよい。この合併の過程が続くと、勿論、小胞は相当分解する。
使用された脂質物質はまた、特に小胞組成物と関連して、好適には柔軟である。これは、本発明の文脈において、小胞がそれらの形状を変えて、例えば、小胞の直径より小さい直径を有する開口部を通過することができることを意味する。
多種類の脂質は、脂質組成物中に取り込むのに適切であると考えられる。特に小胞組成物、例えば、ミセルおよび/またはリポソームに関して、それらの製造に適切であると当業者に知られているいずれの物質またはそれらの組合せも使用されてもよい。使用される脂質は天然、合成または半合成起源であってもよい。上記のように、適切な脂質として一般的に、例えば、脂肪酸、中性脂肪、ホスファチド、糖脂質、脂肪族アルコールとワックス、テルペンおよびステロイドが挙げられる。
本脂質組成物を製造するのに使用されてもよい模範的な脂質として、例えば、脂肪酸、リゾ脂質、1−アルキル−2−アセトイル−sn−グリセロ=3−ホスホコリンおよび1−アルキル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ=3−ホスホコリンを含む、血餅を標的化する、血小板活性化因子(PAF)(Avanti Polar Lipids,Alabaster,AL)に付随するもののようなホスホコリン;ジオレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)およびジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む飽和および不飽和脂質の両方を持つホスファチジルコリン;ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)およびジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)のようなホスファチジルエタノールアミン;ホスファチジルセリン;ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)を含むホスファチジルグリセロール;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリンのようなスフィンゴ脂質;ガングリオシドGM1およびGM2のような糖脂質;グルコ脂質;スルファチド;糖スフィンゴ脂質;ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)およびジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)のようなホスファチジン酸;パルミチン酸;ステアリン酸;アラキドン酸;オレイン酸;キチン、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール(PEG)のようなポリマーを含むポリマーを持つ脂質(本明細書では「ペギル化脂質」とも呼ばれる)、ポリマーを持つ好適な脂質は、例えば、DPPE−PEG5000(約5000の平均分子量を有するPEGポリマーが結合したDPPEを指す)を含むDPPE−PEG(DPPE−PEG)(PEGポリマーが結合した脂質DPPEを指す)を含む;スルホン化単糖、二糖、オリゴ糖または多糖を持つ脂質;コレステロール、コレステロールスルフェートおよびコレステロールヘミスクシナート;トコフェロールおよびトコフェロールヘミスクシナート;エーテルおよびエステル結合脂肪酸を持つ脂質;重合脂質(その多種類のものは当該技術分野では既知である);ジアセチルリン酸;ジセチルリン酸;ステアリルアミン;カルジオリピン;約6〜約8個の炭素の長さの短鎖脂肪酸を持つリン脂質;例えば、約6個の炭素の一つのアシル鎖および約12個の炭素の他のアシル鎖のような不斉アシル鎖を持つ合成リン脂質;セラミド;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレン化ソルビタン脂肪酸エステル、グルセロールポリエチレングルコールオキシステアラート、グリセロールポリエチレングリコールリシノレアート、エトキシル化大豆ステロール、エトキシ化ひまし油、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマーおよびポリオキシエチレン脂肪酸ステアラートのようなニオソームを含む非イオン性リポソーム;コレステロール硫酸、コレステロールブチラート、コレステロールイソブチラート、コレステロールパルミタート、コレステロールステアラート、ラノステロールアセタート、エルゴステロールパルミタート、およびフィトステロール=n−ブチラートを含むステロール脂肪酸エステル;コレステロールグルクロニド、ラノステロールグルクロノド、7−デヒドロコレステロールグルクロニド、エルゴステロールグルクロニド、コレステロールグルコナート、ラノステロールグルコナート、およびエルゴステロールグルコナートを含む糖酸のステロールエステル;ラウリルグルクロニド、ステアロイルグルクロニド、ミリストイルグルクロニド、ラウリルグルコナート、ミリストイルグルコナート、およびステアロイルグルコナートを含む糖酸およびアルコールのエステル;スクロースラウラート、フルクトースラウラート、スクロースパルミタート、スクロースステアラート、グルクロン酸、グルコン酸およびポリウロン酸を含む糖および脂肪酸のエステル;サルササポゲニン、スミラゲニン、ヘデラガニン、オレアノール酸、およびジギトキシゲニンを含むサポニン;グリセロールジラウラート、グリセロールトリラウラート、グリセロールジパルミタート、グリセロールおよびグリセロールトリパルミタート、グリセロールジステアラート、グリセロールトリステアラート、グリセロールジミリスタート、グリセロールトリミリスタートを含むグリセロールエステル;n−デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、およびn−オクタデシルアルコールを含む長鎖アルコール;6−(5−コレステン−3β−イルオキシ)−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド;ジガラクトシルジグリセリド;6−(5−コレステン−3β−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド;6−(5−コレステン−3β−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−α−D−マンノピラノシド;12−(((7′−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカン酸;N−[12−(((7′−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカノイル]−2−アミノパルミチン酸;コレステリル(4′−トリメチルアンモニオ)ブタノアート;N−スクシニルジオレオイルホスファチジルエタノールアミン;1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール;1,2−ジパルミトイル−sn−3−スクシニルグリセロール;1,3−ジパルミトイル−2−スクシニルグリセロール;1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン;およびパルミトホモシステイン、並びにそれらの組合せが挙げられる。
所望に応じて、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);1,2−ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP);1,2−ジオレオイル−e−(4′−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール(DOTB)のようなカチオン性脂質が使用されてもよい。カチオン性脂質が脂質組成物中で使用される場合、カチオン性脂質の非カチオン性脂質に対するモル比は、例えば、約1:1000〜約1:100であってもよい。好適には、カチオン性脂質の非カチオン性脂質に対するモル比は、約2:1〜約1:10であってもよく、約1:1〜1:2.5の比率が好適である。もっとさらに好適には、カチオン性脂質の非カチオン性脂質に対するモル比は、約1:1であってもよい。
カチオン性および非カチオン性脂質の両方を含有する脂質組成物の場合、多種類の脂質が非カチオン性脂質として使用されてもよい。好適には、この非カチオン性脂質は、一つまたはそれ以上のDPPC、DPPEおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンを含んでなる。上記のカチオン性脂質の代わりに、ポリリジンまたはポリアルギニン、並びにホスホン酸アルキル、ホスフィン酸アルキル、および亜リン酸アルキルのようなカチオン性ポリマーを持つ脂質が脂質組成物中で使用されてもよい。
本発明の一定の好適な態様では、脂質組成物は、以下の式(I)を有する一つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含んでいてもよい。
Figure 0004215820
式中、
x、yおよびzの各々は独立して0〜約100の整数であり;
各X1は独立して−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R52)P(=X2)−X2−であり;
各X2は独立してOまたはSであり;
各Y1は独立してリン酸残基、N(R6a−、S(R6a−、P(R6a−または−CO26(基中、aは1〜3の整数である)であり;
各Y2は独立して−N(R6b−、−S(R6b−またはP(R6b(基中、bは0〜2の整数である)であり;
各Y3は独立してリン酸残基、N(R6a−、S(R6a−、P(R6a−または−CO26(基中、aは1〜3の整数である)であり;
1、R2、R3およびR4の各々は独立して1〜20個の炭素のアルキレンであり;
各R5は独立して水素または1〜約10個の炭素のアルキルであり;そして
各R6は独立して−[R7−X3c−R8または−R9−[X4−R10d−Q(基中、cおよびdの各々は独立して0〜約100の整数である)であり;
各Qは独立してリン酸残基、−N(R11q、−S(R11q、−P(R11qまたはCO26(基中、qは1〜3の整数である)であり;
3およびX4の各々は独立して−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R52)P(=X2)−X2−であり;
各R7は独立して1〜約20個の炭素のアルキレンであり;
各R8は独立して水素または1〜約60個の炭素のアルキルであり;
9およびR10の各々は独立して1〜約20個の炭素のアルキレンであり;
各R11は独立して−[R7−X3c−R8または−R9−[X4−R10d−W[基中、各Wは独立してリン酸残基、−N(R12w、−S(R12w、−P(R12wまたは−CO26(基中、wは1〜3の整数である)である]であり;そして
12は−[R7−X3c−R8であるが、ただし式(I)で示される化合物は少なくとも1つ、好適には少なくとも2つの第四級塩を含んでなることを条件しとする。
本発明の組成物中に取り込まれてもよい他のカチオン性脂質化合物は式(II)で示される化合物である、
Figure 0004215820
式中、
各Y1は独立してリン酸残基、N(R2)a−、S(R2)a−、P(R2)a−または−CO22(基中、aは1〜3の整数である)であり;
1は0〜約30の−O−、−S−、−NR3−または−X2−(R32)P(=X2)−X2−ヘテロ原子もしくはヘテロ基を含有する1〜約60個の炭素のアルキレンであり;
2は式−R4−「(X1−R5x−Y2y−R6(基中、xおよびyの各々は独立して0〜約100の整数である)であり;
各X1は独立して直接結合、−O−、−S−、−NR3−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R3)−、−N(R3)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R32)P(=X2)−X2−であり;
各X2は独立してOまたはSであり;
各Y2は独立して−S(R2b−、−N(R2b−または−P(R2b−(基中、bは0〜2の整数である)であり;
各R3は独立して水素または1〜10個の炭素のアルキルであり;
4およびR5の各々は独立して直接または0〜約15の−O−、−S−、−NR3−または−X2−(R32)P(=X2)−X2−ヘテロ原子もしくはヘテロ基を含有する1〜約30個の炭素のアルキレンであり;
各R6は独立して水素または0〜約30の−O−、−S−、−NR3−または−X2−(R32)P(=X2)−X2−ヘテロ原子もしくはヘテロ基を含有する1〜約60個の炭素のアルキルであるが、ただし式(II)で示される化合物は少なくとも1つ、好適には少なくとも2つの第四級塩を含んでなることを条件とする。
もっと他の態様では、本脂質組成物は式(III)で示されるカチオン性脂質化合物を含んでいてもよい。
Figure 0004215820
式中、
x、yおよびzの各々は独立して0〜約100の整数であり;
各X1は独立して−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R52)P(=X2)−X2−であり;
各X2は独立してOまたはSであり;
各Y1は独立して−O−、−N(R6a−、−S(R6a−または−P(R6a−(基中、aは0〜2の整数である)であり;
各Y2は独立して−N(R6a−、−S(R6a−または−P(R6a−(基中、aは0〜2の整数である)であり;
各Y3は独立してリン酸残基、−N(R6b−、−S(R6b−、−P(R6b−または−CO26(基中、bは0〜3の整数である)であり;
1、R2、R3およびR4の各々は独立して1〜約20個の炭素のアルキレンであり;
各R5は独立して水素または1〜約10個の炭素のアルキルであり;そして
各R6は独立して−[R7−X3c−R8または−R9−[X4−R10d−Q(基中、cおよびdの各々は独立して0〜約100の整数である)であり;
各Qは独立してリン酸残基、−N(R11q、−S(R11q、−P(R11qまたは−CO211(基中、qは1〜3の整数である)であり;
3およびX4の各々は独立して−O−、−S−、−NR5−、−C(=X2)−、−C(=X2)−N(R5)−、−N(R5)−C(=X2)−、−C(=X2)−O−、−O−C(=X2)−または−X2−(R52)P(=X2)−X2−であり;
各R7は独立して1〜約20個の炭素のアルキレンであり;
各R8は独立して水素または1〜約60個の炭素のアルキルであり;
9およびR10の各々は独立して1〜約20個の炭素のアルキレンであり;
各R11は独立して−[R7−X3c−R8または−R9−[X4−R10d−W[基中、各Wは独立して;リン酸残基、−N(R12w、−S(R12w、P(R12wまたは−CO212(基中、wは1〜3の整数である)]であり;そして
12は−[R7−X3c−R8であるが、ただし式(III)で示される化合物は少なくとも1つ、好適には少なくとも2つの第四級塩を含んでなりことを条件とする。総称的に記載されているカチオン性脂質化合物は、同時継続中の米国特許第08/391,938号明細書中にで示され、引用することによってその全開示内容は本明細書中に取り込まれている。
一定の好適な態様では、脂質組成物は、リン脂質、特に一つまたはそれ以上のDPPC、DPPE、DPPA、DSPC、DSPE、DSPG、およびDAPC(20個の炭素)を含んでなる。
さらに、本脂質組成物中で使用されてもよい飽和および不飽和脂肪酸として、好適には約12個の炭素から約22個の炭素までを、直鎖状もしくは分岐鎖状形態で含有する分子が挙げられる。イソプレノイド単位および/またはプレニル基よりなる炭化水素基も同様に使用することができる。適切である飽和脂肪酸の例として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸が挙げられる。使用されてもよい適切な不飽和脂肪酸として、例えば、ラウロレイン酸、フィセテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、およびオレイン酸が挙げられる。使用されてもよい分岐鎖状脂肪酸の例として、例えば、イソラウリン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、およびイソステアリン酸が挙げられる。
脂質から製剤された脂質組成物および/または小胞組成物の外に、本発明の態様はまた、タンパク質またはそれらの誘導体から製剤された小胞を含んでもよい。本発明の標的化小胞を製造するのに使用されてもよいタンパク質から製剤される小胞は、例えば、Feinstein、米国特許第4,572,203号明細書、第4,718,433号明細書および第4,774,958号明細書並びにCerny等、米国特許第4,957,656号明細書に記載されている。上記の特許に記載されたものの外に、他のタンパク質を基材とする小胞は、一旦本開示内容で武装した当業者には明らかである。
脂質および/またはタンパク質から製剤された脂質組成物および/または小胞組成物の外に、本発明の態様はまた、天然、半合成(修飾された天然)または合成起源であってもよいポリマーから製剤された小胞を含んでもよい。本明細書中で使用されるように、用語ポリマーは、2つまたはそれ以上の反復モノマー単位、好適には10またはそれ以上の反復モノマー単位を含んでなる化合物を示す。句半合成ポリマー(または修飾された天然ポリマー)は、本明細書中で使用されるように、幾つかの方式で化学的に修飾された天然ポリマーを示す。本発明で使用するのに適切な模範的な天然ポリマーは天然産多糖を包含する。かかる多糖として、例えば、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン(例えば、イヌリンのような)、レバン、フコイダン、カラゲナン、ガラクトカロロース、ペクチン酸、アミロースを含む、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイタン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、澱粉および他の各種天然ホモポリマーまたはヘテロポリマー、例えば、以下のアルドース、ケトース、酸またはアミン、即ちエリスロース、スレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキシソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリスルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトース、セロビオース、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸の一つまたはそれ以上を含有するもの、並びにそれらの天然に存在する誘導体が挙げられる。従って、適切なポリマーとして、例えば、アルブミンのようなタンパク質が挙げられる。模範的な半合成ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、およびメトキシセルロースが挙げられる。本発明で使用するのに適切な模範的な合成ポリマーとして、ポリエチレン(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンおよびポリエチレンテレフタラートのような)、ポリプロピレン(例えば、ポリプロピレングリコールのような)、ポリウレタン;(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、塩かポリビニルおよびポリビニルピロリドンのような)、ナイロンを含むポリアミド、ポリスチレン、ポリ酢酸、フッ素化炭化水素、フッ素化炭素(例えば、ポリテトラフルオロエチレンのような)、およびポリメチルメタクリラート、並びにそれらの誘導体が挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、エチレンイミン、クロトン酸、アクリルアミド、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、アクロレイン、シアノアクリレート、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン、ヒドロキシアルキルアクリレート、シロキサン、ジメチルシロキサン、エチレンオキシド、エチレングリコール、ヒドロキシアルキルメタクリレート、N−置換アクリルアミド、N−置換メタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、2,4−ペンタジエン−1−オール、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、pーアミノ−スチレン、p−アミノベンジルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−スルホキシエチル−メタクリル酸ナトリウム、ビニルピリジン、メタクリル酸アミノエチルおよび2−メタクリロイルオキシトリメチル−塩化アンモニウム、およびポリビニリデン、並びにN,N′−メチレンビスアクリルアミド、ジメチルアクリル酸エチレングルコール、ジメタクリル酸2,2′−(p−フェニレンジオキシ)−ジエチル、ジビニルベンゼン、トリアリルアミンおよびメチレンビス−(4−フェニル−イソシアナート)、それらの組合せを含む、ようなモノマーから製造された生物適合性の合成ポリマーまたはコポリマーは好適である。好適なポリマーとして、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、エポキシ樹脂、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)およびポリアミド(ナイロン)ポリマーが挙げられる。好適なコポリマーとして以下のものが挙げられる:ポリビニリデン−ポリアクリロニトリル、ポリビニリデン−ポリアクリロニトリル−ポリメチルメタクリレートおよびポリスチレン−ポリアクリロニトリルおよびポリd−1,ラクチドコグリコリドポリマー。好適なコポリマーはポリビニリデン−ポリアクリロニトリルである。他の適切な生物適合性モノマーおよびポリマーは、一旦本開示内容で武装された当業者には容易に明らかである。
上記のように、本脂質組成物は好適には、不活性ガスのようなガスも含んでなる。ガスは、特にガスが小胞内に閉じ込められたされている小胞組成物に関連して、高い反射能を持つ脂質組成物を提供する。これは造影剤としてそれらの有効性を向上させてもよい。
好適なガスは、不活性でありそして生物適合性である即ち生物学的機能に対して有害でないガスである。好適なガスとして、空気、ヘリウム、ルビジウム、超分極化キセノン、超分極化アルゴン、超分極化ヘリウム、ネオン、アルゴンおよびキセノンのような貴ガス、二酸化炭素、窒素、フッ素、酸素、六フッ化硫黄、四フッ化硫黄のような硫黄を基材とするガス、例えば、部分的にフッ素化されたガスまたは完全にフッ素化されたガスを含むフッ素化ガスよりなる群から選ばれたものが挙げられる。模範的なフッ素化ガスとして、ペルフルオロカーボンおよびそれらの混合物のようなフルオロカーボンガスが挙げられる。172のような常磁性ガスもまた脂質組成物に使用されてもよい。
好適な態様では、ガスはフッ素化ガスを含んでなる。かかるフッ素化ガスは、一つまたはそれ以上のフッ素原子を含有する物質を含む。一つを超えるフッ素原子を含有するガスは好適であり、ペルフルオロカーボン(即ち、全部フッ素化されたフルオロカーボン)はさらに好適である。好適には、ペルフルオロカーボンガスは、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロシクロブタンおよびそれらの混合物よりなる群から選ばれる。さらに好適には、ペルフルオロカーボンガスは、ペルフルオロプロパンまたはペルフルオロブタンであり、ペルフルオロプロパンが特に好適である。他の好適なガスは六フッ化硫黄である。さらに他の好適なガスは、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンおよびその異性体、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンを含むヘプタフルオロプロパンである。ペルフルオロカーボンガスおよび他の種類のガス例えば空気の混合物のような種々の種類のガスの混合物もまた本発明の組成物に使用することができることが考えられる。上記に例示されたガスを含めて他のガスは、本開示内容に基づく当業者には容易に明らかである。
一定の好適な態様では、ガス、例えば、空気またはペルフルオロカーボンガスは、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクチルブロミド(PFOB)、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロドデカリン、ペルフルオロオクチルヨージド、ペルフルオロトリプロピルアミン、およびペルフルオロトリブチルアミンのような液体ペルフルオロカーボンと組合される。
脂質組成物中に発泡性物質の前駆物質を取り込むことも望ましくてよい。かかる前駆物質は生体内でガスに変換することができる物質を含む。好適には、発泡性前駆物質は生物適合性であり、そして生体内で製造されたガスも生物適合性である。
本明細書に記載の組成物に使用するのに適切である発泡性前駆物質の一つはpHに感受性の試薬である。これらの試薬は、例えば、中性または酸性のpHに暴露されると、ガスを発生することができる物質を包含する。かかるpH感受性試薬の例として、無機酸、有機酸およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる酸の塩が挙げられる。カルボン酸(H2CO3)は適切な無機酸の例であり、アミノマロンは適切な有機酸の例である。無機および有機酸を含む他の酸は、本開示内容に基づいて当業者に容易に明らかである。
塩から誘導される発泡性前駆物質は好適には、アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる。さらに好適には、塩は、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、アミノマロン酸塩およびそれらの混合物よりなる群から選ばれる。
塩から誘導される適切な発泡性前駆物質の例として、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、セスキ炭酸アンモニウム、セスキ炭酸ナトリウム、アミノマロン酸ナトリウムおよびアミノマロン酸アンモニウムが挙げられる。アミノマロン酸塩は当該技術分野で既知であり、そしてその製造は、例えば、Thanassi,Biochemistry,Vol.9,no.3,pp.525−532(1970);Fitzpatrickなど,Inorganic Chemistry,Vol.13,no.3,pp.568−574(1974);およびStelmashokなど,Koodinatsionnaya,Vol.3,no.4,pp.524−527(1977)に記載されている。これらの刊行物の開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
pHの変化に感受性であることの外に、または代わりに、発泡性前駆物質はまた、温度の変化に感受性である化合物を含んでなってもよい。温度の変化に感受性である適切な発泡性前駆物質の例はペルフルオロカーボンである。
当該技術者が理解するように、特定のペルフルオロカーボンは、脂質組成物が最初に作成される時、液体状態で存在してもよく、従って発泡性前駆物質として使用される。その他、ペルフルオロカーボンは、脂質組成物が作成される時、ガス状で存在してもよく、従ってガスとして直接に使用される。ペルフルオロカーボンが液体またはガスとして使用されるかどうかは、一般的に液相/気相転移温度または沸点に依存する。例えば、好適なペルフルオロカーボン、ペルフルオロペンタンは29.5℃の液相/気相転移温度または沸点を有する。このことは、ペルフルオロペンタンが室温(約25℃)では液体であるが、その標準温度(37℃)がペルフルオロペンタンの転移温度以上である人体内ではガスに変換することを意味する。従って、標準の環境下では、ペルフルオロペンタンは発泡性前駆物質である。さらなる例として、ペルフルオロペンタンの同族体、即ちペルフルオロブタンおよびペルフルオロヘキサンがある。ペルフルオロブタンの液体/気体転移は4℃であり、ペルフルオロヘキサンのそれは57℃である。従って、ペルフルオロブタンは潜在的に発泡性前駆物質として有用であるが、ガスとしてさらに有望であり、他方ペルフルオロヘキサンはその比較的高い沸点のために、発泡性前駆物質として有望である。当業者には既知であるように、物質の有効沸点は、物質が暴露される圧力に関係してもよい。この関係は理想気体の法則によって例示される:PV=nRT、式中、Pは圧力であり、Vは容積であり、nは物質のモルであり、Rは気体定数であり、そしてTは温度である。理想気体の法則は、圧力が上昇すると、有効沸点も上昇することを示す。反対に、圧力が減少すると、有効沸点が低下する。
多種多様な物質が本組成物中の発泡性前駆物質として使用することができる。その物質は、適切な温度を通過する際、気相への相転移を受けることができることだけが必要である。適切な発泡性前駆物質として、例えば、ヘキサフルオロアセトン、イソプロピルアセチレン、アレン、テトラフルオロアレン、三フッ化ホウ素、1,2−ブタジエン、2,3−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,2,3−トリクロロ−2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン、ブタジイン、1−フルオロブタン、2−メチルブタン、ペルフルオロブタン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペルフルオロ−1−ブテン、ペルフルオロ−2−ブテン、4−フェニル−3−ブテン−2−オン、2−メチル−1−ブテン−3−イン、硝酸ブチル、1−ブチン、2−ブチン、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブチン、3−メチル−1−ブチン、ペルフルオロ−2−ブチン、2−ブロモ−ブチルアルデヒド、カルボニルスルフィド、クロトンニトリル、シクロブタン、メチルシクロブタン、オクタフルオロシクロブタン、ペルフルオロシクロブテン、3−クロロシクロペンテン、ペリフルオロシクロペンタン、オクタフルオロシクロペンテン、シクロプロパン、ペルフルオロシクロプロパン、1,2−ジメチル−シクロプロパン、1,1−ジメチルシクロプロパン、1,2−ジメチルシクロプロパン、エチルシクロプロパン、メチルシクロプロパン、ジアセチレン、3−エチル−3−メチルジアジリジン、1,1,1−トリフルオロジアゾエタン、ジメチルアミン、ヘキサフルオロジメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ビス−(ジメチルホスフィン)アミン、ペルフルオロヘキサン、ペリフルオロヘプタン、2,3−ジメチル−2−ノルボルナン、ペルフルオロジメチルアミン、ジメチルオキソニウムクロリド、1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジクロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,1,2,2,2−ペンタフルオロエタン、2−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロ−2−フルオロエタン、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、2−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、クロロエタン、クロロペンタフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、フルオロエタン、ペルフルオロエタン、ニトロペンタフルオロエタン、ニトロソペンタフルオロエタン、ペルフルオロエチルアミン、エチルビニルエーテル、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、メタン、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド、ブロモジフルオロニトロソメタン、ブロモフルオロメタン、ブロモクロロフルオロメタン、ブロモトリフルオロメタン、クロロジフルオロニトロメタン、クロロジニトロメタン、クロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジブロモジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジフルオロメタン、ジフルオロヨードメタン、ジシラノメタン、フルオロメタン、ヨードメタン、ヨードトリフルオロメタン、ニトロトリフルオロメタン、ニトロソトリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、2−メチルブタン、メチウエーテル、メチルイソプロピルエーテル、酢酸メチル、亜硝酸メチル、メチルスルフィド、メチルビニルエーテル、ネオペンタン、亜酸化窒素、1,2,3−ノナデカン−トリカルボン酸2−ヒドロキシトリメチルエステル、1−ノネン−3−イン、1,4−ペンタジエン、n−ペンタン、ペルフルオロペンタン、4−アミノ−4−メチルペンタン−2−オン、1−ペンテン、2−ペンテン(シスおよびトランス)、3−ブロモペント−1−エン、ペルフルオロペント−1−エン、テトラクロロフタル酸、2,3,6−トリメチルピペリジン、プロパン、1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロプロパン、1,2−エポキシプロパン、2,2−ジフルオロプロパン、2−アミノプロパン、2−クロロプロパン、ヘプタフルオロ−1−ニトロプロパン、ヘプタフルオロ−1−ニトロソプロパン、ペルフルオロプロパン、プロペン、ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−2,3−ジクロロプロパン、1−クロロプロパン、クロロプロパン−(トランス)、2−クロロプロパン、3−フルオロプロパン、プロピン、3,3,3−トリフルオロプロピン、3−フルオロスチレン、サルファ(ジ)−デカフルオリド(S210)、2,4−ジアミノトルエン、トリフルオロアセトニトリル、トリフルオロメチルペルオキシド、トリフルオロメチルスルフィド、タングステンヘキサフルオリド、ビニルアセチレン、およびビニルエーテルが挙げられる。
ペルフルオロカーボンは、本発明の方法で使用される組成物に関連して使用するのに好適なガスでありかつ好適な発泡性前駆物質である。かかるペルフルオロカーボンには、飽和ペルフルオロカーボン、不飽和ペルフルオロカーボン、および環状ペルフルオロカーボンが含まれる。通常好適である飽和ペルフルオロカーボンは、式Cn2n+2、式中、nは1〜約12、好適には約2〜約10、さらに好適には約3〜約8、そしてさらに好適には約3〜約6である、を有する。適切なペルフルオロカーボンとして、例えば、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタンおよびペルフルオロノナンが挙げられる。好適にはペルフルオロカーボンは、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタンよりなる群から選ばれ、ペルフルオロプロパンが特に好適である。式Cn2n+2、式中、nは3〜8、好適には3〜6である、を有する環状ペルフルオロカーボンも好適であってもよく、そして例えば、ヘキサフルオロシクロプロパン、オクタフルオロシクロブタン、およびデカフルオロシクロペンタンが含む。
ペルフルオロカーボンの外に、完全にはフッ素化されていない安定なフルオロカーボンを使用することは望ましくあってもよい。かかるフルオロカーボンには、ヘプタフルオロプロパン、例えば、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンおよびその異性体、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンが含まれる。
発泡性前駆物質はまた、ジアゾニウムイオンおよびアミノマロン酸塩のような光活性化物質であってもよい。下記にさらに詳しく記載するように、一定の脂質および/または小胞組成物、特に小胞組成物は、ガスが標的組織で形成されるかまたは脂質組成物への音波の作用によって形成されるように、製剤されてもよい。発泡性前駆物質の例は、例えば、米国特許第5,088,499号明細書、第5,149,319号明細書に記載され、その開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。上記に例示されたものの外に、他の発泡性前駆物質は本開示内容に基づいて当業者には明らかである。
発泡性物質および/または発泡性前駆物質は好適には、組成物の物理性質に関係なく、脂質および/または小胞組成物中に取り込まれる。従って、発泡性物質および/または前駆物質は、例えば、脂質が不規則に集合している脂質組成物中、並びにミセルおよびリポソームのような脂質から製剤される小胞組成物を含む小胞組成物中に取り込まれても良い考えられる。脂質および/または小胞組成物中への発泡性物質および/または前駆物質の取り込みは、多くの方法のいずれかを使用することによって達成されてもよい。例えば、脂質を基材とする小胞の場合、ガス充填小胞の形成は、ガスまたは発泡性前駆物質および一つもしくはそれ以上の脂質を含んでなる水性混合物を振盪するか或いは撹拌することによって達成することができる。このことは、ガスまたはガス前駆物質が閉じ込められている安定化小胞の形成を促進する。
さらに、ガスは、脂質および/または小胞形成化合物の水性混合物中に直接に吹き込まれてもよい。別法として、ガス徐添加法は、例えば、米国特許第5,352,435号明細書、第5,228,446号明細書に記載のように使用することができ、その開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。カチオン性脂質組成物中にガスまたはガス前駆物質を取り込ませるための適切な方法はまた、米国特許第4,865,836号明細書に記載され、その開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。他の方法は本開示内容に基づいて当業者には明らかである。好適には、ガスは、安定化物質の添加の後もしくは間および/または小胞の形成の間に、脂質および/または小胞組成物中に徐添加されてもよい。
好適な態様では、発泡性物質および/または発泡性前駆物質は小胞組成物中に取り込まれ、ミセルまたはリポソームは好適である。下記の詳細に記載されるように、ガスまたは発泡性前駆物質或いは両方が封入される小胞は、それらは生体内で高い反射能を提供する点で有利である。
下記にさらに詳細に記載されるように、脂質組成物、特に小胞組成物は脂質および任意の安定化化合物から製剤されて安定な小胞の形成を促進することは好適である。さらに、脂質および/または小胞組成物が高度に安定なガスも含んでなることも好適である。句「高度に安定なガス」は、水性媒体中で低い溶解度および拡散能を有するガスを指す。模範的な高度に安定なガスは、ペルフルオロカーボンが一般的に水性媒体中で拡散性が少なくかつ比較的に不溶性であるから、ペルフルオロカーボンを含む。従って、それらの使用は高度に安定な小胞の形成を促進してもよい。
一定の態様では、例えば、人体の生体内温度を含む脂質および/または小胞組成物の使用の温度で液相であってもよいフッ素化化合物、特にペルフルオロカーボン化合物を使用して、脂質および/または小胞組成物、特にガス充填小胞の安定性を助成または向上することは望ましくてよい。適切なフッ素化化合物として、例えば、ZONYL(商標)(the DuPont Company,Wilmington,DE)として市販されているフッ素化界面活性剤のようなフッ素化界面活性剤、並びに、例えば、ペルフルオロオクチルブロミド(PFOB)、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロドデカリン、ペルフルオロオクチルヨージド、ペルフルオロトリプロピルアミン、およびペルフルオロトリブチルアミンのような液体ペルフルオロカーボンが挙げられる。一般的に、約6個またはそれ以上の炭素原子を含むペルフルオロカーボンは正常な人体温度で液体である。これらのペルフルオロカーボンの中、室温で液体であるペルフルオロオクチルブロミドおよびペルフルオロヘキサンが好適である。存在するガスは、例えば、窒素またはペルフルオロプロパンであってもよいか、或いはペルフルオロカーボン、例えば、ペルフルオロペンタンであってもよい発泡性前駆物質から誘導されてもよい。後者の場合、脂質および/または小胞組成物は、例えば、ペルフルオロプロパン(気体)またはペルフルオロペンタン(発泡性前駆物質)およびペルフルオロイクチルブロミド(液体)であるペルフルオロカーボンの混合物から製造されてもよい。作業の理論に捕らわれるつもりはないが、小胞組成物の場合、液体フッ素化化合物は、ガスと小胞の膜もしくは壁表面の界面に位置してもよいと考えられる。従って、安定化化合物、例えば、小胞を形成するのに使用された生物適合性脂質の内部表面上に液体フッ素化化合物のさらなる安定化層が形成されてもよく、そしてこのペルフルオロカーボン層もまた、ガスが小胞膜を通過して拡散するのを防止してもよい。本発明の文脈内では、発泡性前駆物質は製造および/または貯蔵の温度で液体であるが、少なくとも使用の時間または間は気体になる。
従って、ペルフルオロカーボンのような液体フッ素化化合物は、通常使用されるガスまたは発泡性前駆物質と組合されて、本明細書に記載の脂質および/または小胞組成物となる場合、ガスまたは発泡性前駆物質単独とでは得られない高い程度の安定性を付与できることが発見された。従って、ペルフルオロカーボン発泡性前駆物質、例えば、ペルフルオロペンタンのようなガスまたは発泡性前駆物質を、患者に投与後に液体で残る、即ち、その液相から気相への転移温度が患者の体温以上であるペルフルオロカーボン、例えば、ペルフルオロオクチルブロミドと一緒に使用することは本発明の範囲内にある。ZONYL(商標)フッ素化界面活性剤のようなフルオロ化界面活性剤は、脂質および/または小胞組成物を安定化し、そして、例えば、小胞のためのコーティングとして作用するように使用してもよい。好適なペルフルオロ化界面活性剤は部分的にフッ素化されたホスホコリン界面活性剤である。これらのフッ素界面活性剤では、二アルキル化合物は末端アルキル鎖でフッ素化されてもよく、そして近接の炭素が水素化されてもよい。これらのフッ素化ホスホコリン界面活性剤は、本発明の標的化脂質および/または小胞組成物を製造するのに使用されてもよい。
小胞組成物を含む態様に関連して、小胞の粒径は、例えば、診断的および/または治療的使用を含む特定の意図された末端使用のために調整することができる。小胞の粒径は好適には、約30ナノメータ(nm)〜約100マイクロメータ(μm)の範囲内の直径、並びにその範囲内のすべての組合せおよび副組合せであってもよい。さらに好適には、小胞は約100nm〜約10μmの直径を有し、約200nm〜約7μmの直径はもっとさらに好適である。特定の使用、例えば、血管系の磁気共鳴画像形成を含む脈管内使用に関連して、小胞が約30μm以下の直径であることは好適であり、さらに小さい小胞、例えば、約12μm以下の直径の小胞が好適である。一定の好適な態様では、小胞の直径は約7μmまたはそれ以下であってよく、約5μmまたはそれ以下の平均直径を有する小胞はさらに好適であり、約3μmまたはそれ以下の平均直径を有する小胞はもっとさらに好適である。これらのより小さい小胞は、微小血管系のような小血管通路を灌流し、一方同時に血管通路内に十分な空間または室を提供して、赤血球が小胞を通り越して流れることができてもよいと考えられる。
ガス充填小胞の粒径は、所望に応じて、微小乳化法、渦巻き法、押出し法、濾過法、超音波処理法、均質化法、反復凍結および融解サイクル法、加圧下で規定された粒径の細孔を通す押出し法、および類似の方法を含む、多種類の方法によって調節することができる。
上記のように、本明細書で使用された組成物はまた、それらの製造、製剤および使用に関して、温度、pH、光線、およびエネルギー(超音波のような)によって活性化され、液体または固体状態から気体に変化することができる発泡性前駆物質を含んでもよい。発泡性前駆物質は、前駆物質を減圧下で貯蔵することによって気体にされてもよい。例えば、減圧下で貯蔵されたバイアルは、注射の前に予備生成ガスを作り出すのに有用であるペルフルオロペンタンまたはペルフルオロヘキサンガスのヘッドスペースを作り出してもよい。好適には、発泡性前駆物質は温度によって活性化されてもよい。正常な体温(37℃)に比較的に近辺またはそれ以下で、液体から気体状態への相転移を受ける一連の発泡性前駆物質、並びに10μmの最大粒径の小胞を形成するのに要する乳化液滴の粒径をリストした表を以下に示す。
Figure 0004215820
既に示されたように、ペルフルオロカーボンは、ガスまたは発泡性前駆物質並びに追加の安定化成分として使用するのに好適である。
上記のように、脂質および/または小胞組成物、特に脂質から製剤された小胞組成物の効用を、限定された溶解度のガスを使用することによって最適化することは好適である。
「限定された溶解度」は、周囲の水性媒体中でのその溶解度のために、ガスが小胞から拡散する能力を指す。水性媒体中での溶解度が大きいと、小胞中でガスの勾配が課せられるので、ガスが小胞から拡散する傾向を有してもよい。ガスがマイクロスフェアーから拡散する傾向を有する。水性媒体中の溶解度が小さいと、反対に、小胞と界面との間の勾配が減少または回避されるので、ガスの小胞からの拡散が妨げられてもよい。好適には、小胞中に取り込まれたガスは、酸素より低い溶解度、即ち約32部の水中に1部のガスを有する。Matheson Gas Data Book 1966,Matheson Company,Inc.を参照のこと。さらに好適には、マイクロスフェアー中に取り込まれたガスは空気より低い水中の溶解度を有し、さらに好適には、小胞中に取り込まれたガスは空気より低い水中での溶解度を有し、さらに好適には、小胞中に取り込まれたガスは空気より低い水中での溶解度を有する。
一定の態様では、実質的に不透過性の高分子物質から小胞を製剤することは望ましくてよい。これらの態様では、高度に不溶性であるガスを使用することは一般的に不必要である。例えば、実質的に不透過性の高分子物質を含んでなる安定な小胞組成物は、高い溶解度を有するガス、例えば、空気または窒素で製剤されてもよい。
上記の脂質、タンパク質様および/または高分子化合物の外にまたは代わりに、本明細書に記載の組成物は一つまたはそれ以上の安定化物質を含んでなってもよい。かかる安定化物質の例として、例えば、生物適合性ポリマーが挙げられる。安定化物質を使用して、小胞の形成を助成しそして/またはガスもしくは発泡性前駆物質の実質的な封入を確保してもよい。ペルフルオロプロパンまたは六フッ化硫黄のような比較的に不溶性で非拡散性のガスの場合でも、発泡性前駆物質充填小胞を形成する際に、一種またはそれ以上の安定化物質を使用する場合、改善された小胞が得られてもよい。これらの化合物は、粒径、形状および/または他の属性に関して、小胞の安定性および保全性を改善するのを助成してもよい。用語「安定な」または「安定化された」は、本明細書で使用されるように、小胞が、有用な時間の間、例えば、小胞構造または閉じ込められたガスもしくは発泡性前駆物質の損失を含む分解に対して抵抗性であってもよいことを意味する。典型的には、本発明で使用される小胞は望ましい保存寿命を有し、しばしば、通常の周囲条件下で少なくとも約2〜3週間の期間、その元の構造の少なくとも約90容積%を保持する。好適な形態では、小胞は望ましくは、少なくとも約1カ月、さらに好適には少なくとも約2カ月、もっとさらに好適には少なくとも約6カ月、もっとさらに好適には約18カ月、もっとさらに好適には約3年までの期間は安定である。ガスまたは発泡性前駆物質充填小胞を含む本明細書に記載の小胞はまた、通常の周囲条件下で経験したもの以上または以下である温度および圧力のような逆条件下でも、安定であることができる。
本明細書に記載の小胞の安定性は、少なくとも一部、例えば、上記の脂質、ポリマーおよび/またはタンパク質を含む、小胞が作成される物質に帰せられてもよく、そして追加の安定化物質を使用することは、そうすることは任意でありそして好適であってもよいが、必要ないことが多い。かかる追加の安定化物質およびそれらの特徴は下記にさらに詳しく記載される。
小胞が構築される物質は好適には、生物適合性脂質、タンパク質またはポリマー物質であり、これらの内、生物適合性脂質が好適である。さらに、投与直前に小胞を製造できる能力を含む、製剤の容易さのために、これらの小胞は便宜的にはその場で製造されてもよい。
ガスおよび発泡性前駆物質充填小胞を製造するための安定化物質として有用な生物適合性ポリマーは、天然、半合成(修飾された天然)または合成起源であってもよい。本明細書で使用されるように、用語ポリマーは、2つまたはそれ以上の反復モノマー単位、好適には10またはそれ以上の反復モノマー単位を含む化合物を表す。句、半合成ポリマー(または修飾された天然ポリマー)は、本明細書で使用されるように、幾つかの方式で化学的に修飾された天然ポリマーを表す。本発明で使用するのに適切な模範的な天然ポリマーには天然産の多糖を含まれる。かかる多糖として、例えば、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン(例えば、イヌリンのような)、レバン、ルコイダン、カラゲナン、ガラクトカロロース、ペクチン酸、アミロースを含む、プルラン、グルコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストリン、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイタン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、澱粉および以下のアルドース、ケトース、酸またはアミンの一つまたはそれ以上を含有するもののような他の各種天然ホモポリマーまたはヘテロポリマー:エリスロース、スレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリスルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトース、セロビオース、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸、並びにそれらの天然に存在する誘導体、が挙げられる。従って、適切なポリマーとして、例えば、アルブミンのようなタンパク質が挙げられる。模範的な半合成ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、およびメトキシセルロースが挙げられる。本発明で使用するのに適切な模範的な合成ポリマーとして、ポリエチレン(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンおよびポリエチレンテレフタラートのような);ポリプロピレン(例えば、ポリプロピレングリコールのような);ポリウレタン(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルクロリドおよびポリビニルピロリドンのような);ナイロンを含むポリアミド;ポリスチレン;ポリ酢酸;フッ素化炭化水素、フッ素化炭素(例えば、ポリテトラフルオロエチレンのような);およびポリメチルメタクリレート、並びにそれらの誘導体が挙げられる。安定化化合物としてポリマーを使用する小胞の製造方法は、一旦本開示内容で武装された当該技術者には容易に、Unger、米国特許第5,205,290号明細書(その開示内容は引用することによって本明細書中に全部が取り込まれている)中に記載され引用されているような当該技術分野で既知の情報と結び合された場合、容易に明らかである。
本発明の特に好適な態様は、3つの成分:(1)中性脂質、例えば、非イオン性または両性イオン性脂質、(2)負電荷の脂質、および(3)例えば、安定化物質、例えば、親水性ポリマーを持つ脂質、を含む小胞を包含する。好適には、負電荷の脂質の量は、存在する全脂質の約1モル%を超え、そして親水性ポリマーを持つ脂質の量は、存在する全脂質の約1モル%を超える。模範的で好適な負電荷の脂質はホスファチジン酸を含む。親水性ポリマーを持つ脂質は望ましくは、ポリマーに共有結合した脂質であり、そしてポリマーは好適には、約400〜約100,000の重量平均分子量を有する。親水性ポリマーは好適には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドン、並びにそれらのコポリマーからなる群から選ばれ、PEGポリマーが好適である。好適には、PEGポリマーは約1000〜約7500の分子量を有し、約2000〜約5000の分子量がさらに好適である。PEGまたは他のポリマーは、脂質、例えば、DPPEに、アミド、カルバメートまたはアミン結合のような共有結合によって結合されてもよい。さらに、PEGまたは他のポリマーは標的指向性リガンドまたは他のリン脂質に、例えば、アミド、エステル、エーテル、チオエステル、チオアミドまたはジスルフィド結合を含む共有結合で結合されてもよい。親水性ポリマーがPEGである場合、かかるポリマーを持つ脂質は、「ペギル化された(pegylated)」と呼称される。好適には、親水性ポリマーを持つ脂質は、例えば、それに結合した約5000の平均分子量のポリエチレングリコールポリマーを有するDPPE(DPPE−PEG)を指すDPPE−PEG5000を含むDPPE−PEGであってもよい。他の適切なペギル化脂質はジステアロイルホスファチジルエタノールグルコール5000(DSPE−PEG5000)である。
本発明の一定の好適な態様では、脂質組成物は、約77.5モル%DPPC、12.5モル%DPPA、および10モル%DPPE−PEG5000を含んでもよい。約80〜約90モル%DPPC、約5〜約15モル%DPPA、および約5〜約15モル%DPPE−PEG5000を含んでなる組成物も好適である。それぞれ82:10:8のモル%l比でDPPC、DPPAおよびDPPE−PEG5000を含んでなる組成物は特に好適である。ホスファチジル部分が負の電荷であり、そしてコリン部分が正の電荷であるから、DPPC成分は両性イオンである。従って、負の電荷であるDPPAは、上記した機構に従って、安定化を向上させるために添加されてもよい。DPPE−PEGは、DPPE部分によって小胞の脂質膜または外皮に結合したペギル化物質を提供し、PEG部分は、小胞膜または外皮を自由に囲み、その機能がかかる外来物質を分解する体内の各種酵素的および他の内因性作用物質に対する物理的障壁を形成する。DPPE−PEGは、DPPCおよびDPPAのような他の脂質と一定の比率で組み合わされた場合、圧力に対して安全で安定であるより小さい粒径の小胞をさらに提供する。ペギル化物質は、それが水と構造的に類似しているので、そうでなければ外来物質を囲んで除去する傾向があるヒト免疫系のマクロファージの作用を打ち負かしてもよいとも考えられる。その結果、安定化小胞が診断的画像形成造影剤として機能してもよい時間が増加する。
小胞組成物は、そのように製造された小胞が本明細書に記載されれた安定性および他の判断基準を満たすならば、上記の物質の外に、他の物質から製造されてもよい。これらの物質は基礎的でかつ基本的であり、そして安定化ガスおよび発泡性前駆物質充填小胞を創作または確立するための主要な基礎を形成してもよい。他方、それらは補助的であり、そして基礎的安定化物質の機能を向上させるか、または基礎的安定化物質によって供せられるもの外に幾つかの望ましい性質を与える付属剤または補足剤として作用してもよい。
しかし、問題の物質の機能は、例えば、安定化小胞の製造に関して生まれた結果によって実験的に決定されるから、特定の物質が基礎的かまたは補助的かどうかを決定することは必ずしも可能ではない。これらの基礎でかつ補助的な物質がどもように機能するかの例として、生物適合性脂質および水または食塩水の単純な組合せは、振盪する場合、滅菌のためのオートクレーブの後に曇った溶液を与えることが多い。かかる曇った溶液は造影剤として機能してもよいが、美的感覚的に不愉快であり、そして不溶性または不拡散性脂質粒子の形態の不安定性を内含してもよい。不溶性粒状物質は約7μmを超える、特に約10μmを超える直径を有する曇った溶液もまた望ましくない。無菌濾過のような製造工程はまた、不溶性粒状物質を含有する溶液で、問題となってもよい。従って、プロピレングリコールを添加して、脂質粒子の拡散または溶解を促進することによってこの曇りを除去してもよい。プロピレングリコールはまた、小胞膜または外皮上の表面張力を増加させることによって、小胞の形成および安定化を改善することができる増粘剤として機能してもよい。プロピレングリコールはまた、小胞の膜または外皮をコーティングして追加の安定性を提供してもよい追加の層として機能することが可能である。かかるさらなる基礎および補助的安定化物質の例として、使用されてもよい通常の界面活性剤がある:D′Arrigo,米国特許第4,684,479号明細書および第5,215,680号明細書を参照。
追加の補助および基礎安定化化合物として、落花生油、カノラ(canola)油、オリーブ油、紅花油、トウモロコシ油、または摂取できると通常知られ、本明細書の教示に従って安定化化合物として使用するのに適切である他のいずれの油のような試剤が挙げられる。種々の補助および基礎的安定化物質は、例えば、米国特許第08/444,574号明細書、1995年、5月19日出願、中が開示され、その開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
さらに、混合ミセルシステムを製造するのに使用される化合物は、基礎的または補助的安定化物質として使用するのに適切であってもよく、そしてこれらのものとして、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド(ドデシル−)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(ヘキサデシル−)、ミリスチルメチルアンモニウムブロミド(テトラデシル−)、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(基中、アルキルはC12、C14またはC16である)、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムブロミド/クロリド、ベンジルジメチルヒキサデシルアンモニウムブロミド/クロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムブロミド/クロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムブロミド/クロリド、またはセチルピリジニウムブロミド/クロリドが挙げられる。
本発明で使用されるガスおよび発泡性前駆物質充填小胞は、粒径、溶解度および熱安定性に従って、本明細書に記載の各種追加のまたは補助的な安定化物質の間から選ぶことによって調節されてもよいことも見い出された。これらの物質は、膜とのそれらの物理的相互作用によるのみならず、それらがガスおよび発泡性前駆物質充填小胞の表面の粘度および表面張力を改良する能力によっても、小胞、特に脂質から製剤された小胞のパラメーターに影響することができる。従って、本発明で使用されるガスおよび発泡性前駆物質充填小胞は好適には、例えば、多種類の(a)例えば、炭水化物およびそれらのリン酸化およびスルホン化誘導体;好適には400〜100,000の範囲内の分子量を有するポリエーテル;およびジ−とトリヒドロキシアルカンおよび好適には200〜50,000の分子量を有するそれらのポリマー含む粘度改良剤;(b)例えば、アラビアゴム、コレステロール、ジエタノールアミン、グリセロールモノステアラート、ラノリンアルコール、レシチン、モノ−およびジグリセリド、モノエタノールアミン、オレイン酸、オレイルアルコール、ポロキサマー(poloxamer)、例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー184とポロキサマー181、ポリオキシエチレン50ステアラート、ポリオキシ35ひまし油、ポリオキシ10オレイルエーテル、ポリオキン20セトステアリルエーテル、ポリオキシ40ステアラート、ポリソルバート20、ポリソルバート40、ポリソルバート60、ポリソルバート80、プロピレングリコールジアセタート、プロピレングリコールモノステアラート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステラート、ステアリン酸、トロルアミン(trolamin)および乳化ワックスを含む乳化剤および/または溶解化剤;(c)例えば、アラビアガム、寒天、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、マグマ、カルボマー(carbomer)934P、カルボキシメチルセルロース、カルシウムとナトリウムとナトリウム12、カラゲナン、セルロース、デキストラン、ゼラチン、グアールガム、ローカストビーンガム、ビーガム(veegum)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、Zeolite(商標)、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポビドン、プロピレングリコールアルギナート、二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キサンタンガム、α−d−グルコノラクトン、グリセロールとマンニトールを含む懸濁化剤および/または増粘剤;(d)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびポリソルバートのような合成懸濁化剤;並びに(e)例えば、ソルビトール、プロピレングリコールおよびグルセロールを含む,張度を安定化し添加する張度増強物質;の一つまたはそれ以上の添加によって改良されさらに安定化されてもよい。
上記のように、本発明の組成物はさらに標的指向性リガンドを含んでなる。標的指向性リガンドは好適には、脂質化合物、タンパク質、ポリマーおよび/または小胞と共有結合的または非共有結合的に会合する。従って、脂質組成物の場合、標的指向性リガンドは、例えば、共有結合的または非共有結合的結合によって、組成物中に取り込まれた脂質の少なくとも1種と結合してもよい。脂質以外の物質から製剤さえる小胞、例えば、クラスレート、エアロゲルおよびアルブミン小胞の場合、標的指向性リガンドは好適には、小胞の壁に取り込まれた物質の一つまたはそれ以上に共有結合的または非共有結合的に結合してもよい。標的指向性リガンドが脂質および/または小胞に共有結合的に結合することは一般的に好適である。好適には、コレステロールを含んでなる小胞組成物の場合、標的指向性リガンドはコレステロールに実質的に非共有結合的にのみ結合し、そして/または標的指向性リガンドは、組成物の成分、例えば、コレステロール以外の、リン脂質のような他の脂質に共有結合的に結合する。
所望に応じて、標的指向性リガンドはまた、他の安定化物質、例えば、組成物中に存在してもよい生物適合性ポリマーに結合してもよい。本発明の組成物中に取り込まれる標的指向性リガンドは好適には、生体内で受容体および/または組織を標的化することができる物質である。組織への標的指向に関して、上記のように、標的指向性リガンドは望ましくは、心筋細胞、および内皮細胞と上皮細胞を含む膜性組織を含む心臓組織を標的化することができる。受容体の場合、標的指向性リガンドは望ましくは、GPIIbIIIa受容体を標的化することができる。上記に例示した組織および受容体を含む組織および/または受容体を標的化する際に使用するための好適な標的指向性リガンドは、タンパク質、ペプチド、糖、ステロイド、ステロイド類似物、生物活性剤、および、例えば、抗体、糖タンパク質およびレシチンを含む遺伝物質よりなる群から選ばれると考えられる。標的指向性リガンドとして使用するのに好適であってもよいタンパク質の例は、スタヒロコッカス・アウレウス(Staaphylococcus aureus)の大多数の菌株によって産生されるプロティンAである。プロティンAは、例えば、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)から市販されている。プロティンAは、種々のIgG抗体を結合するために使用されてもよい。一般的に言えば、標的指向性リガンドとして特に有用であるペプチドとして、エステラーゼ、アミダーゼ、またはペプチダーゼを血管系で循環させることによって分解に対する抵抗性の追加の方式を取り込む天然、修飾された天然、または合成ペプチドが挙げられる。
ペプチド部分の安定化の一つの極めて有用な方法は、環状化技術の使用を取り込んでいる。一例として、カルボキシ末端がアミド結合によってアミン末端に共有結合的に結合する末端対末端の環状化は、ペプチド分解を阻止するのに有用であり、そして循環半減期を増加させる。追加的に、側鎖対側鎖の環状化もまた安定性を誘導するのに特に有用である。さらに、末端対末端の環状化は、その上に有用な修飾であってもよい。さらに、ペプチドの戦略的領域でのD−アミノ酸のL−アミノ酸への置換は、生物学的分解に対する抵抗性を与えてもよい。適切な標的指向性リガンド、およびそれらの製造方法は、一旦本明細書の開示内容で武装した当業者には容易に明らかである。
内皮細胞への標的指向に関連して、適切な標的指向性リガンドとして、例えば、以下の一つまたはそれ以上が挙げられる:例えば、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)、トランスフォーミング増殖因子−アルファ(TGF−α)、トランスフォーミング増殖因子−ベータ(TGF−β)、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびヒト成長因子(HGF)を含む増殖因子;アンギオゲニン;腫瘍壊死因子−アルファー(TNF−α)および腫瘍壊死因子−ベータ(TNF−β)を含む腫瘍壊死因子;約4,500の分子量を持つ銅含有ポリリボヌクレオチドアンギオトロピン並びに1−ブチリルグリセロールのような低分子量非ペプチド血管形成誘導因子;例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)およびプロスタグランジンE2(PGE2)を含むプロスタグランジン;ニコチンアミド;アデノシン;ジピリダモール;ドブタミン;例えば、ヒアルロン酸を含む、β結合の加水分解から生成する分解生成物のようなヒアルロン酸分解生成物;例えば、コラゲナーゼ阻害剤を含む血管形成誘導阻害剤;ミノサイクリン;メドロキシプロゲステロン;6−O−硫酸基および6−O−カルボキシメチル基で化学的に修飾されたキチン;テトラヒドロコリチゾルのような毛細血管性出血ステロイド;およびヘパリンの断片を含む、例えば、約6,000の分子量を有する、例えば、コルチゾンまたはヒドロカルチゾンのようなステロイドと混合した断片のようなヘパリン;アンギオインヒビン(AGM−147−毛細血管性出血抗生物質)を含む血管形成誘導阻害剤;血小板因子4;プロタミン;アルスロバクター属(Arthobacter)の種の細菌壁由来の硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体;アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)由来のフマギリンのような真菌由来血管形成誘導阻害剤;チオリンゴ酸金;スロンボスポンジン;例えば、1−α,25−ジヒドロキシビタミンD3および合成類似物22−オキサ−1−α,25−ジヒドロキシビタミンD3のようなビタミンD3類似物;α−インターフェロン;例えば、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−8(IL−8)を含むインターロイキンのようなサイトカイン;顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF);ヘパリンの低分子量断片またはヘパリンの類似体を含むヘパリン;α−、β−およびγ−サイクロデキストリンを含むサイクロデキストリンのような単純硫酸化多糖;テトラデカスルフェート;トランスフェリン;フェリチン;血小板因子4;プロタミン;銅とのGly−His−Lys複合体;セルロプラスミン;(12R)−ヒドロキシエイコサトリエン酸;オカダ酸;レクチン;抗体;CD11a/CD18;並びに超後期活性化インテグリン−4(VLA−4)。
内皮細胞−白血球接着分子(ELAM)は、血管系を内張りする内皮を横切って白血球が周囲組織中に移動するのを促進する条件下で内皮細胞によって発現される抗原である。これらの同一の内皮細胞−白血球接着分子が有利的には小胞の標的指向のための受容体として利用されてもよいことはまた驚くべき発見である。これらの内皮細胞接着分子は、GMP−140のような既知のメンバーがすべて内皮細胞接着分子中に参加しそしてELAM−1、LAM−1、並びに血小板活性化−依存性顆粒−外膜タンパク質(PADGEM)VCAM−1/INCAM−110(血管性接着分子/誘導接着分子)およびICAM−1(細胞間接着分子)として知られている顆粒膜タンパク質140(GMP−140)を含むセレクチンとして知られたファミリーに属する。例えば、E−、N−、およびP−カドヘリン、カドヘリン−4、カドヘリン−5、カドヘリン−6、カドヘリン−7、カドヘリン−8、カドヘリン−9、カドヘリン−10およびカドヘリン−11を含む細胞接着分子のカドヘリンファミリーもまた標的指向性リガンドとして使用されてもよく、そして最も好適にはカドヘリンC5である。さらに、例えば、モノクローナル抗体Ec6C10のような、カドヘリンに指向する抗体は、特異的内皮細胞によって局所的に発現されたカドヘリンを認識するのに使用されてもよい。
多種類の異なった標的指向性リガンドは、ELAM分子の細胞質ドメインに結合するように選ばれることができる。この点で、標的指向性リガンドは、レクチン、多種類の炭水化物および糖質部分、抗体、抗体フラグメント、例えば、Fab′2のようなFabフラグメント、および、例えば、創傷治癒に標的指向してもよいアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(R−G−D)を含む合成ペプチドを含んでもよい。これらの物質の多くは天然源から由来してもよいが、幾つかのものは分子生物学的組換え技術によって合成されてもよく、そして他のものは合成起源であってもよい。ペプチドは、現在当該技術分野で既知である種々の異なった組合せ化学技術によって製造されてもよい。CD11a/CD18のようなヒト白血球源、および白血球細胞表面糖タンパク質(LFA−1)から誘導または修飾された標的指向性リガンドもまた、これらが内皮細胞受容体ICAM−1に結合すると知られているから、使用されてもよい。単核白血球選択性である、免疫グロブリンスーパーファミリーのサイトカイン由来性メンバー、VCAM−1、もまた標的指向性リガンドとして使用されてもよい。ヒト単球由来のVLA−4はVCAM−1を標的化するのに使用されてもよい。抗体および他の標的指向性リガンドは、内皮細胞増殖マーカーであるエンドグリンを標的化するのに使用されてもよい。エンドグリンは、雑固体腫瘍中の内皮細胞上でアップレグレートされる。エンドグリンを標的化するのに使用されてもよい標的指向性リガンドは抗体TEC−11である。R.E.Thorpe and F.J.Burrows,Breast Cancer Research and Treatment,Vol.36,pp.237−51(1995)。
アテローム性硬化症の硬化中の内皮細胞活性化は、本発明において、例えば、アテローム性硬化症斑を含むアテローム性硬化症の部位に組成物を標的化させるのに使用される。使用することができる一つのかかる標的は、Rb1/9によってATHERO−ELAMと認識される誘導性単核白血球内皮細胞接着分子である。ものクローナル抗体、H4/18およびH18/7は、サイトカイン仲介体によって誘導される内皮細胞表面抗原を標的化するのに使用されてもよい。本発明の好適な態様として、ガス充填小胞は、適切な医学的または外科的介入が行われてもよいように、重篤の損傷が起こる前、例えば、発作または心筋梗塞の前に、疾患血管を検出するためにアテローム性硬化症斑に標的指向させられる。ATHERO−ELAMは好適な標的であり、そして抗体、ペプチドもしくはレクチン、またはそれらの組合せのようなリガンドは、アテローム性硬化症の文脈中で内皮細胞上で発現されたこの細胞表面エピトープを標的化するのに使用されてもよい。その他、低または高密度リポタンパク質タンパク質から誘導されたリポタンパク質またはリポタンパク質フラグメントは標的指向性リガンドとして使用されてもよい。追加的には、コレステロールは、内皮細胞を標的化し、脂質、小胞などをアテローム性硬化症斑の部位に制限するのに使用されてもよい。コレステロールを標的指向性リガンドとして使用することを含む態様では、コレステロールは好適には、他の化学的基、部分、リガンドなどで非修飾(非誘導)である。
斑中の血栓物質に向けられる標的指向性リガンドは、アテローム性硬化症斑の活性または不活性部位を識別するのに使用できる。血栓を発生させる過程の活性斑は、これらの斑が究極的には血管を閉塞するかまたは血栓を生成してもよいから、さらに危険である。この点で、低分子量ヘパリンフラグメントの外に、例えば、フィブリン抗体、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、抗トロンビン抗体および血小板活性化因子に向けられるフィブリン抗体のような他の標的指向性リガンドは、発生する血餅をもつ活性斑を標的化するのに使用されてもよい。最も好適な標的指向性リガンドは、P−セレクチンの外に活性化血小板中の原形質膜関連GPIIbIIIaおよびGPIIbIIIaに向けられる抗体もしくは関連抗体フラグメントを標的化するものである。本発明はまた、急性心筋梗塞の部位を検出するのに有用である。便宜的には、抗ミオシン(特に心筋ミオシン)抗体または抗アクチン抗体を脂質、ポリマーまたは安定化物質に結合させることによって、梗塞性心筋は本発明の方法によって検出されてもよい。顆粒化組織(創傷を治癒する)を標的化するためには、上記の標的指向性リガンドのおおくが有用であってもよい。創傷治癒性ポリペプチド、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)は、この点で標的指向性リガンドとして使用されてもよい。
上記の内皮細胞に関して、多種類のペプチド、タンパク質および抗体は、内皮細胞を標的化する標的指向性リガンドとして使用されてもよい。好適には、上皮細胞標的受容体に高い親和性を持つ、合成、半合成または天然産ペプチドを含むペプチドが選ばれてもよく、合成ペプチドがさらに好適である。これらの好適な態様では、約5〜約15個のアミノ酸残基を有するペプチドが好適である。抗体は、天然または組換え体起源の全抗体または抗体フラグメント、例えば、FabまたはFab′2として使用されてもよい。天然起源の抗体は動物またはヒト起源であってもよいか、或いはキメラ(マウス/ヒト)であってもよい。ヒト組換え体またはキメラ抗体は好適であり、そしてフラグメントは全抗体より好適である。
本発明で標的指向性リガンドとして使用されてもよいモノクローナル抗体の例として、CALAM27が挙げら、それは、BALB/cマウスを舌の全ヒト偏平上皮細胞癌腫で免疫処理し、抽出脾臓細胞をNS1同系骨髄腫細胞株で交差してハイブリドーマを形成することによって生成される。Gioanni,J.など,Cancer Research,Vol.47,pp.4417−4424(1987)。CALAM27は、正常および悪性上皮細胞の表面エピトープに向けられる。正常なリンパ節は一般的に、これらのエピトープを発現する細胞を含有しない。Cancer,Research,Vol.47,4417−4424(1987)。従って、この抗体を含んでなる脂質および/または小胞組成物は、リンパ節中の転移を標的化するのに使用することができる。ものクローナル抗体3C2は、重篤な卵巣癌腫および類内膜癌腫の悪性上皮細胞を標的化するための標的指向性リガンドとして使用されてもよい。他の模範的な標的指向性リガンドはMab4C7(Cancer Research,Vol.45,2358−2362,1985)である。粘液性癌腫、類内膜癌腫および中腎癌腫を標的化するのに使用されてもよい。頭部中の偏平上皮細胞癌腫および頸部癌を標的化するためには、Mab E48(Biological Abstract,Vol.099 Issue,066Ref.082748)が標的指向性リガンドとして使用されてもよい。悪性黒色腫を標的化するためには、モノクローナル抗体225.28s(Pathol.Biol.,Vol.38(8),pp.866−869(1990))が使用されてもよい。
標的指向性リガンドは、表皮成長因子受容体(EGFR)、繊維芽細胞増殖因子受容体、erB2/HER−2および腫瘍関連炭水化物抗原(Cancer,Vol.74(3)pp.1006−12(1994))のような乳癌関連抗原を含む抗原を標的化するために選ばれてもよい。サイトケラチン8、18および19に類似のCTA16.88は、結腸、膵臓、乳房、卵巣および肺臓の癌腫を含む、多くの上皮細胞由来腫瘍によって発現される。従って、CTA16.88(Semin,Nucl.Med.Vol.23(2),pp.165−79(1993))上の種々のエピトープを認識する、16.88(IgM)および88BV59(IgG3k)のようなサイトケラチンに向けられる抗体は、標的指向性リガンドとして使用されてもよい。結腸癌を標的化するために、好適にはCEA IgG Fab′フラグメントが標的指向性リガンドとして使用されてもよい。化学的に抱合された二重特異性の抗細胞表面抗原、抗ハプテンFab′−Fab抗体もまた標的指向性リガンドとして使用することができる。MGシリーズのモノクローナル抗体は、例えば、胃癌(Chin,Med.Sci.J.,Vol.6(1),pp.56−59(1991))を標的化するために選ぶことができる。
標的指向性リガンドが選ばれてもよい上皮細胞上に種々の細胞表面エピトープがある。例えば、プロティンヒトパピロマウイルス(HPV)は、皮膚および粘膜中の良性および悪性上皮細胞増殖と関連していた。2種のHPV腫瘍形成タンパク質、E6およびE7は、これらが、頸部癌腫のような一定の上皮細胞由来癌中で発現されうるので、標的化されてもよい。Curr.Opin.Immunol.Vo.6(5),pp.746−54(1994)。癌細胞増殖に関与しているペプチド増殖因子のための膜受容体(PGF−R)はまた、腫瘍抗原として選ばれてもよい。Anticancer Drugs,Vol.5(4),pp.379−93(1994)。また、表皮成長因子(EGF)およびインターロイキン−2は、これらの受容体と結合するペプチドを含む、適切な標的指向性リガンドで標的化されてもよい。悪性黒色腫細胞によって発現される、表皮成長因子受容体(EGFR)および接着分子(Tumor Biol.,Vol.15(4),pp.188−202(1994))のような一定の黒色腫関連抗原(MAA)は、本明細書で提供された組成物で標的化されることができる。黒色腫細胞の表面上の腫瘍関連抗原FAB−72も標的として選ばれてもよい。
多種類の標的指向性リガンドは、心筋細胞を標的化するために選ぶことができる。模範的な標的指向性リガンドとして、例えば、ポリクローナル抗体、Fab′2フラグメントを含んでなってもよいか、或いはヒト起源、動物起源、例えば、マウス起源、またはキメラ起源であってもよい抗心筋ミオシン抗体が挙げられる。追加の標的指向性リガンドとして、ジピリダモル;ジギタリス;ニフェジピン;アポリポタンパク質;α−LDL、vLDLおよびメチルLDLを含む低密度リポタンパク質(LDL);リアノジン;エンドテリン;補体受容体型1;IgG Fc;β1−アドレナリン;ジヒドロピリジン;アデノシン;ミネラルコルチコイド;ニコチン性アセチルコリンおよびムスカリン性アセチルコリン;ヒトアルファ1A−アドレナリン受容体に対する抗体;アルファ1−アンタゴニストプラゾシンを含む薬物のような生物活性剤;抗ベータ−受容体に対する抗体;抗ベータ−受容体に結合する薬物;抗心臓RyR抗体;心臓組織に強力な正の変力効果を奏する内皮細胞由来血管収縮性ペプチドであるエンドセリン−1;T細胞受容体アルファ−ベータ受容体に生成されそして標的指向性リガンドを発生させるのに使用されてもよいモノクローナル抗体;補体阻害剤sCR1;ジヒドロピリジン受容体に生成される薬物、ペプチドまたは抗体;この受容体を発現しそして炎症条件下でアップレギュレートされてもよい本組成物を心筋組織の区域に向けられる標的指向性リガンドとして使用されてもよい抗インターロイキン2受容体に向けられるモノクローナル抗体;組成物を炎症心筋組織の区域に同様に向けられるサイクロスポリン;メチルイソブチルイソニトリル;心臓ミオサイトおよび心臓内皮細胞の膜上の特定糖類に結合するレクチン;内因性低血圧および血管緊張低下性ペプチドであるアドレノメズリン(ADM);内皮細胞起源の22個のアミノ酸ペプチドでありそして心房ナトリウム排泄増加性ペプチドと構造的に関連するが遺伝的に相違し、そして血管作用性で抗細胞分裂性活性を有するC型ナトリウム排泄増加性ペプチド(CNP);心房ナトリウム排泄増加性ペプチド(ANP)およびC型ナトリウム排泄増加性ペプチド(CNP)のキメラでありそして27個のアミノ酸を含むバソナトリンペプチド(VNP);トロンビン;内皮由来緊張低下性因子(EDRF);中性エンドペプチダーゼ(NEP−1);例えば、NG−モノメチル−L−アルギニン(L−NMMA)EDRFに対する競争的阻害剤;チャリブドトキシンおよびグリベンクルアミドのようなカリウムチャンネルアンタゴニスト;特発性拡大心筋症を持つ患者に確認されてもよいが心筋中に細胞溶解を誘起しない抗心臓抗体;アデニンヌクレオチドトランスロケーター、分岐鎖状ケト酸デヒドロゲナーゼまたは心臓ミオシンに指向する抗体;BQ−123と呼ばれてもよい、エンドセリン−A受容体のための特異的アンタゴニスト;およびアンギオテンシンII受容体に対する抗体が挙げられる。
心臓筋細胞膜の主要抗原の2つは、ジヒドロピリジン受容体で共精製するカルシウム結合糖タンパク質である。ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を含む抗血清は、精製された筋細胞膜に対して増加してもよい。これらの抗体はまた標的指向性リガンドとして使用されてもよい。カルシウム結合糖タンパク質は、筋細胞膜のプラスマ膜から単離され、抗体を発生させるのに使用されてもよい。上記のように、標的指向性リガンドとして使用されてもよいANPは、ヒト大動脈内皮細胞の培養物から得ることができる。ANPは一般的に内皮中に局在するが、内皮または心臓組織に局在してもよい。ANPは、例えば、組換え技術を使用して、並びに当業者に既知であるペプチド合成技術を使用するペプチドの合成法によって製造することができる。ANPに対して向けられる、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使用することも可能である。同様に、ANPに向けられるペプチドは、内皮および/または心筋細胞を標的化するために使用することができる。心房ナトリウム排泄増加因子のβおよびα型の両方は、本組成物を心筋組織に向けられる潜在的標的指向性リガンドとして使用することができる。
多種類の標的指向性リガンドは、本脂質組成物特に小胞組成物を、GPIIbIIIa受容体に向けるのに使用してもよい。GPIIbIIIa受容体に向けられる組成物は、血管性血栓または血餅を標的化するために高度に有用であり、そしてかかる血餅を診断、並びに治療するために有用である。かかる標的指向性リガンドとして、例えば、Arg−Gly−Asp−Ser(RGDS)、Gly−Arg−Gly_Asp−Ser−Pro(GRGDSP)、およびGly−Pro−Arg−Pro(GPRP)のようなペプチドが挙げられる。例えば、アミノ酸配列Arg−Gly−Asp(RGD)を含有する環状ペプチドであるG4120を含む配列Arg−Gly−Asp(RGD)を含有するペンタペプチドも有用である。例えば、
Figure 0004215820
(式中、R1は−CONH2または−NH2である)のようなフラグメントを含むヒト凝固因子XIIIAのフラグメントから誘導あれたペプチドも有用である。さらに、因子XIIIAフラフメントのフラグメントであるペプチドは、それらの配列中に、配列
Figure 0004215820
を含む。
GPIIbIIIa受容体に向けるための標的指向性リガンドとして有用でありうる追加のペプチドとして、例えば、アミノからカルボキシ末端に結合しそして活性化血小板約のGPIIbIIIa結合部位に結合してもよいアルギニン−チロシン−アスパラギン酸(Arg−Tyr−Asp;また略してRGD)のトリペプチドを含むペプチドが挙げられる。かかる模範的なペプチドとして、例えば、R1−(X1n−Arg−Tyr−Asp−(Y)o−(X2m−R2(基中、X1、X2およびYは独立して一つまたはそれ以上のアミノ酸残基であってもよく、一方、一定の場合、Yがセリンまたはアラニン残基以外であることは好適であり、そしてm、nおよびoは独立して0または1であるが、ただし、一定の場合、mは1であり、oは1であることを条件とし、そしてR1は非保護末端アミノ記であり、そしてR2は保護または非保護末端カルボキシ基である)が挙げられる。好適な態様では、X1はペプチドAla−Arg−Arg−Ser−Ser−Pro−Ser−Tyr−Tyrであり、X2はペプチドGly−Ala−Gly−Pro−Tyr−Tyr−Ala−Met−Asp−Tyrである。有用なペプチドは、
Figure 0004215820
を含む。
天然アミノ酸配列に合成アミノ酸を化合させた合成化合物もまた標的指向性リガンドとして使用することができる、例えば、配列XX−Gly−Asp(式中、XXは直鎖状側鎖を含有する合成α−アミノ酸である)を含むフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト化合物、例えば、
Figure 0004215820
(式中、n+n′は3であり;AAは単結合であり;そしてRはフェニルまたはベンジルである)、或いは
−(CH2n−AA−(CH2n−NHR
(式中、nは1〜4の整数あり;n′は2〜4の整数であり;AAは酸素、硫黄または単結合であり;そしてRはH、C1-6アルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアリールメチルまたは場合により置換されたシクロアルキルであるが、ただし、一定の場合、AAが単結合であり、そしてRがHである場合、n+n′は3以外または4であることを条件とする)。
他のかかる化合物は、式で示されるフィブリノーゲン受容体アンタゴニストを含んでなる、
Figure 0004215820
式中、XXは、式
Figure 0004215820
(式中、n+n′は3であり;AAは単結合であり;そしてRはフェニルまたはベンジルである)、或いは
−(CH2n−AA−(CH2n−NHR
(式中、nは1〜4の整数あり;n′は2〜4の整数であり;AAは酸素、硫黄または単結合であり;そしてRはH、C1-6アルキル、場合により置換されたシクロアルキルであるが、ただし、一定の場合、AAが単結合でありそしてRがHである場合、n+n′は3または4以外であることを条件とする)
を有する直鎖状側鎖を含有する合成α−アミノ酸であり、そして
ZZは1〜4の整数個の場合により置換されたアミノ酸の配列である。
標的指向性リガンドとして使用するための他の有用なペプチドには、例えば、以下の配列を有する「エレガンチン」;
Figure 0004215820
(配列中、RおよびR’の各々は独立していずれかのアミノ酸である)が包含される。
GPIIbIIIaを標的化するのに有用な他のリガンドとして、合成化合物、例えば、Ac−(D)Fhe−Pro−boroArgおよび環状ペプチドミメチックシクロ(D−2−アミノブチラート−N−メチル−L−アルギニル−グリシル−L−アスパルチル−3−アミノ−メチル−安息香酸)メタンスルホン酸塩が挙げられる。また使用することができるペプチドとして、システィン残基(環状ジスルフィドを形成することができる)によってフランクされたヘキサペプチドのライブラリーおよび環状、配列Arg−Gly−AspもしくはLys−Gly−Aspをもつペプチドのジスルフィド結合型、並びにカルボキシル−末端誘導ペプチド、REYVVMWKが挙げられる。一定のマトリックス糖タンパク質、例えば、トロンボスポンジンもこの点で有用である。セリンプロテアーゼ阻害剤のセルピンファミリーの成員、例えば、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤型1(PAI−1)は他の有用なリガンドである。
一般的に言って、GPIIbIIIa受容体のための標的指向性リガンドとして、約3〜約20個のアミノ酸を有するペプチドを使用することが好適であり、約4〜約15個のアミノ酸を有するペプチドがもっと好適である。もっとさらに好適には、GPIIbIIIa受容体のための標的指向性リガンドは、約4〜約8個のアミノ酸を有するペプチドを含んでなり、約4〜約6個のアミノ酸または約5個のアミノ酸を有するペプチドはさらにもっと好適である。所望に応じて、ペプチドは、例えば、(1)例えば、システィンもしくはペニシラミンを含む2つのチオールを含有するアミノ酸またはそれらの類似物の酸化によるジスルフィド結合の形成によることを含む、側鎖−対−側鎖共有結合;(2)例えば、アミノ酸配列のアミノ末端および例えば非臨界グルタン酸もしくはアスパラギン酸基のような側鎖カルボキシレート基の使用んいよることを含む、末端−対−側鎖共有結合によって環状化されてもよい。別法として、末端−対−側鎖共有結合は、アミノ配列のカルボキシレート末端および求核性窒素原子を含有する側鎖中の側鎖アミノ、アミジン、グアニジンまたは他の基を包含してもよく、かかる側鎖基は、例えば、リジン、アルギニン、ホモアルギニン、ホモリジンなど;(3)共有アミド結合などである末端−対−末端共有結合を含む。さらに、環状が、二次構造の折りたたみを誘導して一種の環状部分を形成する、静電相互作用のような、非共有相互作用によって起こる「疑似環状化」を使用してもよい。金属イオンが「擬似環状」形成の誘導を助けることが考えられる。この種の疑似環状形成は「亜鉛フィンガー」と同様であり得る。当業者に既知であるように、亜鉛フィンガーは亜鉛イオン(Zn2+)とシスティン、ペニシラミンおよび/またはホモシスティンとの間の静電相互作用による、ロープの形状(フィンガー)の部位の形成を含む。ホモシスティンの場合、RGD配列はフィンガーの頂部に存在する。勿論、本発明の文脈において、例えば、RGDのような、認識および結合ペプチドリガンドが、適切な配座および/またはトポグラフィーを維持して、合理的なMichaelis−Menten定数(km)または結合定数で適切な受容体を血餅に結合させる限り、いずれの種類の安定化環状化も適切であることが認められる。本明細書中で使用されるように、用語「配座」は、ペプチド、ペプトイド、または疑似ペプチドの背骨の3次元組織を指し、そして「トポグラフィー」は、ペプチド、ペプトイド、または疑似ペプチドの側鎖の3次元組織を指す。他の適切な標的指向性リガンドは以下の化合物を含む:Ac−Cys−Arg−Gly−Asp−Met−Phe−Gly−Cys−CONH2;Ac−Cys−Arg−Gly−Asp−Met−Leu−Arg−Cys−CONH2;Ac−Cys−Arg−Gly−Asp−Phe−Leu−Asn−Cys−CONH2;Ac−Cys−Asn−Thr−Leu−Lys−Gly−Asp−Cys−CONH2;Ac−Cys−Asn−Ttp−Lys−Gly−Asp−Cys−CONH2;およびAc−Cys−N−メチル−Arg−Gly−Asp−Pen−CONH2(基中、「Pen」はペニシラミン(β,β−ジメチルシスティン)を表す)。
標的指向性リガンドとして使用される他の化合物は、式で示されるペプチドまたはそれらの誘導体を含む、
A−B−Arg−Gly−Asp−C−D
式中、
Aはプロリン、チオプロリン、ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、2−オキソ−4−チアゾリジンカルボン酸、N−アルキルグリシンまたは式で示されるアミノ酸誘導体、
Figure 0004215820
トリプトファンまたは式で示されるトリプトファンの誘導体、
Figure 0004215820
ピログルタミン酸または2−アゼチジノン−4−カルボン酸であり、
Bはセリン、グリシン、バリン、アラニン、スレオニンまたはβ−アラニンであり、
Cは疎水性官能基を有するアミノ酸基であり、
Dはヒドロキシまたはアミノである、
式中、
1は水素、−(CH2pCH3または−CO−(CH2pCH3であり、
2は水素またはアルキルであり、
3は水素またはアルコキシであり、
4は水素またはアルキルであり、
5は水素、アミノまたはアシルアミノであり、
mは2〜5の整数であり、
nは0〜2の整数であり、
pは0〜5の整数であり、
qは0〜3の整数である。
本組成物に関連して使用に適し得る他の標的指向性リガンドは、式を有するペプチド、ペプチド誘導体、またはそれらの塩である、
A−B−Arg−Gly−Asp−C−D
式中、
Aはアロチン酸またはヒドロオロチン酸であり、
Bはアミノ酸であり、
Cは疎水性官能基を有するアミノ酸であり、そして
Dはヒドロキシまたはアミノである。
上記の化合物において、「C」の定義の疎水性官能基を有するアミノ酸の例はトリプトファンおよびフェニルアラニンである。
本発明に関連して、特にGPIIbIIIaを標的化するための標的指向性リガンドとして使用に適する種々のペプチドは、例えば、Sato等,米国特許第5,498,601号明細書および欧州特許出願公開第0368486号、第0382451号および第0422938号開示され、引用することによってその全開示内容は本明細書中い取り込まれている。上記に例示したものの外に、本発明の組成物で使用してもよい他の標的指向性リガンドは、本開示内容で武装した当業者には明らかである。他の標的指向性リガンドとして、例えば、糖複合物およびレシチンのような、糖部分に結合したペプチドである複合ペプチドが挙げられる。組成物は単一標的指向性リガンド、並びに2種類またはそれ以上の標的指向性リガンドを含んでなってもよい。
本発明によれば、式を有する化合物も提供される、
Figure 0004215820
式中、
各X1は独立して−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR4−、−X4−C(=X5)−、−C(=X5)−X4−または−C(=X5)−であり;
2およびX3の各々は独立して直接結合、−R5−X4−C(=X5)−、−R5−C(=X5)−X4−、−X4−C(=X5)−R5−、−C(=X5)−X4−R5−、−X4−R5−C(=X5)−X4−、−R5−X4−C(=X5)−R5−C(=X5)−X4−または−R5−C(=X5)−X4−R5−X4−C(=X5)−であり;
各X4は独立して−O−、−NR4−または−S−であり;
各X5は独立してOまたはSであり;
Mは−R5−X4−C(=X5)−、−R5−C(=X5)−X4−、−R5−X4−(YX5)P(=X5)−X4−または−X4−(YX5)P(=X5)−X4−R5−であり;
Yは水素または薬学的に許容される対イオンであり;
Zは親水性ポリマーであり;
Qは標的指向性リガンドまたはそれらに対する前駆物質であり;
各R1は独立して1〜約50個の炭素を有するアルキルであり;
各R2は独立して1〜約30個の炭素を有するアルキレンであり;
3およびR4の各々は独立して水素または1〜約10個の炭素を有するアルキルであり;そして各R5は独立して直接結合または1〜約30個の炭素を有するアルキレンである。
上記の式において、いずれかの記号が特定の式または置換基中に一回以上出てくる場合、各例でのその意味はその他のものから独立していることが意図される。
また上記の式において、2つまたはそれ以上の隣接記号が、多重、隣接直接結合を提供する「直接結合」であると規定されている場合、その多重および隣接直接結合は単直接結合に帰することが意図される。
上記の式において、各X1は独立して−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR4−、−X4−C(=X5)−、−C(=X5)−X4−または−C(=X5)−である。好適な態様では、各X1は独立して−X4−C(=X5)−、−C(=X5)−X4−または−C(=X5)−である。さらに好適には、各X1は独立して−X4−C(=X5)−および−C(=X5)−X4−である。もっとさらに好適には、各X1は−C(=X5)−X4−、例えば、−C(=O)−O−である。
上記の式において、X2およびX3の各々は独立して直接結合、−R5−X4−C(=X5)−、−R5−C(=X5)−X4−、−X4−C(=X5)−R5−、−C(=X5)−X4−R5−、−X4−R5−C(=X5)−X4−、−R5−X4−C(=X5)−R5−C(=X5)−X4−または−R5−C(=X5)−X4−R5−X4−C(=X5)−である。好適な態様では、X2およびX3の各々は独立して直接結合、−R5−X4−C(=X5)−、−R5−C(=X5)−X4−、−X4−C(=X5)−R5−、−C(=X5)−X4−R5−、−X4−R5−C(=X5)−X4−または−R5−X4−C(=X5)−R5−C(=X5)−X4−である。さらに好適には、X2は−CH2CH2−C(=O)−NH−または−CH2CH2NH−C(=O)−CH2CH2−C(=O)−NH−でありそしてX3は直接結合、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−NH−C(=O)−CH2−、−NHCH2−C(=O)−NH−または−NH−C(=O)−CH2CH2−である。
上記の式において、各X4が独立して−O−、−NR4−または−S−である。好適には、各X4が独立して−O−または−NR4−である。
上記の式において、各X5は独立してOまたはSである。好適には、各X5はOである。
上記の式において、Mは−R5−X4−C(=X5)−、−R5−C(=X5)−X4−、−R5−X4−(YX5)P(=X5)−X4−または−X4−(YX5)P(=X5)−X4−R5−である。ある好適な態様では、Mは−R5−X4−C(=X5)−または−R5−X4−(YX5)P(=X5)−X4−であり、Mはさらに好適には−CH2O−C(=O)−または−CH2O−(HO)P(=O)−O−である。一定の他の好適な態様では、Mは−R5−X4−C(=X5)−または−R5−C(=X5)−X4−である。さらに他の好適な態様では、Mは−R5−X4−(YX5)P(=X5)−X4−または−X4−(YX5)P(=X5)−X4−R5−であり、基中、少なくともX4またはX5はSである。
上記の式では、Zは疎水性ポリマーである。好適には、Zは、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリホスファゼン、ポリ(ヒドロキシアルキルカルボン酸)およびポリオキサゾリジンよりなる群から選ばれる。さらに好適には、Zはポリアルキレンオキシドを含んでなる。もっとさらに好適には、Zは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれたポリアルキレンオキシドであり、ポリエチレングルコールがもっとさらに好適である。一定の他の好適な態様では、Zは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを含むポリアルキレングリコール以外の疎水性ポリマーである。Zの分子量は、例えば、化合物の特定の末端用途によって変わる。好適には、Zは、約100〜約10,000の範囲内の分子量を有するポリマー、並びにそれらの範囲の組合せおよび副組合せである。さらに好適には、Zは、約1,000〜約5,000の範囲内の分子量を有するポリマーである。約1を超えるから約3の範囲内の多分散性を示すポリマー、並びにそれらの範囲内の組合せおよび副組合せも好適である。さらに好適には、Zは約1を超えるから約2の多分散性を有するポリマーであり、約1を超えるなら約1.5の多分散性はもっとさらに好適であり、そして約1を超えるから1.2の多分散性はもっとさらに好適である。
上記の式では、Qは標的指向性リガンドまたはそれの前駆物質である。Qが標的指向性リガンドである態様では、Qは好適には、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選らばれた細胞または受容体を標的化する。一定の好適な態様では、Qは、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する。さらに、Qが標的指向性リガンドである態様では、Qは好適には、タンパク質、ペプチド、糖、ステロイド、ステロイド類似物、生物活性剤および遺伝物質よりなる群から選らばれる。これらの後者の態様では、Qは好適には、タンパク質、ペプチドおよび糖よりなる群から選らばれる。Qがペプチドを含んでなる態様では、Qは好適には、ペプチド−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valまたは環状ペプチド、例えば、DMP728である(例えば、Mousa等,Thrombosis Research,Vol.72(2),pp.109−119(1994)を参照、引用することによってその全開示内容は本明細書中に取り込まれている)。Qがタンパク質を含んでなる態様では、Qは好適にはプロティンAである。Qが糖を含んでなる態様では、Qは好適には単糖であり、マンノースおよびグルコースがさらに好適である。Qが標的指向性リガンドの前駆物質である態様では、Qは好適には1〜2個のN、OまたはSを含有する部分的不飽和または芳香族5〜7員単環式環、さらに好適にはマレイミドまたはピリジル部分を含んでなる。
上記の式では、各R1は独立して、1〜約5個の範囲内の炭素のアルキルおよびそれらの範囲内の組合せおよび副組合せ、2〜約50個の範囲内の炭素のアルケニルおよびそれらの範囲内の組合せおよび副組合せである。好適には、各R1は独立して、1を超えるから40個の炭素のアルキルである。さらに好適には、各R1は独立して、約5〜約30個の炭素のアルキルである。もっとさらに好適には、各R1は独立して、約10〜約20個の炭素のアルキルであり、約15個の炭素のアルキルがもっとさらに好適である。一定の好適な態様では、R1は1〜約20個の炭素の短鎖アルキルである。一定の他の好適な態様では、R1は約20〜約50個の炭素または約30〜約50個の炭素での長鎖アルキルある。
上記の式では、各R2は独立して、1〜約30個の範囲内の炭素のアルキレンおよびそれらの範囲内の組合せおよび副組合せである。好適には、各R2は独立して、1〜約20個の炭素のアルキレンである。さらに好適には、各R2は独立して、1〜約10個の炭素のアルキレンである。もっとさらに好適には、1〜約5個の炭素のアルキレンであり、メチレンは特に好適である。
上記の式では、R3およびR4の各々は独立して、水素または1〜約10個の範囲内の炭素のアルキルおよびそれらの範囲内の組合せおよび副組合せである。好適には、R3およびR4の各々は、水素または1〜約5個の範囲内のアルキルである。さらに好適には、R3およびR4の各々は、水素である。
上記の式では、各R5は独立して、直接結合または1〜約30個の範囲内のアルキレンおよびそれらの範囲内の組合せおよび副組合せである。好適には、各R5は独立して、直接結合または1〜約20個のアルキレンである。さらに好適には、各R5は独立して、直接結合または1〜約10個のアルキレンである。もっとさらに好適には、各R5は独立して、直接結合または1〜約5個のアルキレンである。もっとさらに好適には、各R5は直接結合または−(CH2x−(基中、xは1または2である)である。
式で示される化合物が提供される、
L−P−T
式中、
Lは脂質、タンパク質またはポリマーであり;
Pは親水性ポリマーであり;そして
Tは標的指向性リガンドである。
好適な態様では、Lは、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、コレステロール、コレステロールアミン、リゾホスファチド、エリトロ−スフィンゴシン、スフィンゴミエリン、セラミド、セレブロシド、飽和リン脂質、不飽和リン脂質およびキリル(krill)リン脂質よりなる群から選ばれた脂質である。さらに好適には、Lは、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルイノシトールよりなる群から選ばれた脂質である。他の好適な態様では、Lは、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロ−ル)]、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスフェート、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−[ホスホセリン]、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルグリセロール、1,2−ジアシル−sn−グリセロール、1,2−ジアシル−エチレングリコール、N−(n−カプロイルアミン)−1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、N−ドデカニルアミン−1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、N−スクシニル−1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、N−グルタリル−1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンおよびN−ドデカニル−1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンよりなる群から選ばれた脂質である。さらに好適には、Lは、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)]、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスフェート、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−[ホスホセリン]、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルグリセロールおよび1,2−ジアシル−sn−グリセロールよりなる群から選ばれた脂質である。
他の好適な態様では、Lは、アルブミンを含んでなるタンパク質である。さらに他の好適な態様では、Lは、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンイミン、クロトン酸、アクリルアミド、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、アクロレイン、シアノアクリレート、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン、ヒドロキシアルキルアクリレート、シロキサン、ジメチルシロキサン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、ヒドロキシアルキルメタクリレート、N−置換アクリルアミド、N−置換メタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、2,4−ペンタジエン−1−オール、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、p−アミノ−スチレン、p−アミノベンジルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−スルホキシエチル−メタクリル酸ナトリウム、ビニルピリジン、メタクリル酸アミノエチルおよび2−メタクリロイルオキシトリメチル−塩化アンモニウムよりなる群から選ばれたモノマーから製造された合成ポリマーまたはコポリマーを含んでなるポリマーである。また、Lが、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、エポキシ樹脂、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリアミド、ポリビニリデン−ポリアクリロニトリル、ポリビニリデン−ポリアクリロニトリル−ポリメチルメタクリレートおよびポリスチレン−ポリアクリロニトリルよりなる群から選ばれた合成ポリマーまたはコポリマーを含んでなるポリマーである化合物も好適である。これらのポリマーの内、ポリビニリデン−ポリアクリロニトリルコポリマーは好適である。
上記の式では、Pは疎水性ポリマーである。好適には、Pは、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリホスファゼン、ポリ(ヒドロキシアルキルカルボン酸)およびポリオキサゾリジンよりなる群から選ばれた親水性ポリマーである。さらに好適には、Pはポリアルキレンオキシドポリマーであり、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールはもっとさらに好適であり、ポリエチレングリコールは特に好適である。
上記の式では、Tは標的指向性リガンドである。好適には、Tは、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的化する標的指向性リガンドである。また、好適な態様では、Tは、タンパク質、ペプチド、糖、ステロイド、ステロイド類似物、生物活性剤および遺伝物質よりなる群から選らばれた標的指向性リガンドであり、タンパク質、ペプチドおよび糖はさらに好適である。また、アテローム性硬化症、特にアテローム性硬化症斑の部位を標的化する標的指向性リガンドは好適である。
糖基を含んでなる標的指向性リガンドの場合、適切な糖部分として、例えば、単糖、二糖および多糖が挙げられる。模範的な単糖は6個の炭素原子を有してよく、そしてこれらの糖として、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フルクトース、ピコース、ベルボースおよびタガトースが挙げられる。5炭素糖として、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、リブロースおよびキシルロースが挙げられる。4炭糖として、エリストース、スレオースおよびエリスルロースが挙げられる。二糖として、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルトースおよびセロビオースが挙げられる。標的指向性リガンドを持つ糖は、下記にさらに詳しく記載されるように、多段階有機合成手法によって合成されてもよい。例えば、標的指向性グルコース部分を持つ脂質は、例えば、α−グルコピラノシルブロミドを、ω−トリフルオロアセチルアミノポリエチレングリコールと反応させて、ω−グルコピラノシルテトラベンジル−ω′−トリフルオロアセチルアミノポリエチレングリコールを得ることによって製造されてもよい。次いで、これを、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム溶液中で加水分解し、次いで水素化して、ω−グルコピラノシル−ω′−アミノ−ポリエチレングリコールを得てもよい。次いで、アミノグリコピラノシル末端化ポリエチレングリコールを、N−DPGS−スクシンイミドと反応させて、糖を持つ脂質DPGS−NH−PEGグルコースを生成してもよい。梗塞性心筋を標的化する標的指向性リガンドもまた好適である。一定の態様では、標的指向性リガンドは癌細胞を標的化する。
本発明の化合物の上記の好適な態様は、合成の容易性、診断の効能、高い生物適合性および/または高い標的化能を含む種々な理由から好適である。標的指向性リガンドは本組成物中に多種類の方法で取り込まれてもよい。一般的に言って、標的指向性リガンドは、組成物中に含まれ、例えば、脂質、タンパク質、ポリマーおよび/または補助安定化物質を含む一つまたはそれ以上の物質と共有結合的または非共有結合的に会合することによって、本組成物中に取り込まれもよい。好適な形態では、標的指向性リガンドは、本組成物に含有される上記の物質の一つまたはそれ以上と共有結合的に会合する。上記のように、本発明の好適な組成物は、脂質、タンパク質またはポリマー化合物を含んでなる。これらの組成物では、標的指向性リガンドは好適には、脂質、タンパク質またはポリマー化合物と共有結合的に会合する。
標的指向性リガンドが脂質、タンパク質、ポリマーおよび/または小胞と会合する模範的な共有結合として、例えば、アミド(−CONH−)、チオアミド(−CSNH−)、エーテル(ROR′、式中、RおよびR′は同一または異なってもよくそして水素以外である)、エステル(−COO−)、チオエステル(−COS−)、−O−、−S−、−Sn−(基中、nは1以上、好適には約2〜約8、さらに好適には約2である)、カルバメート、−NH−、NR−(基中、Rはアルキル、例えば、1〜約4個の炭素のアルキルである)、ウレタン、および置換イミダエート、並びにこれらの二つまたはそれ以上の組合せが挙げられる。標的指向性リガンドおよび、例えば、脂質の間の共有結合は、リガンドの配座的およびトポグラフィー的柔軟性を増加させるスペーサーとして作用する分子の使用によって達成されてもよい。かかるスペーサーの例として、例えば、コハク酸、1,6−ヘキサン二酸、1,8−オクタン二酸など並びに修飾アミノ酸、例えば、6−アミノヘキサン酸、4−アミノブタン酸などが挙げられる。さらに、ペプチド部分、側鎖−対−側鎖架橋を含んでなる標的指向性リガンドは、側鎖−対−末端架橋および/または末端−対−末端架橋で補足されてもよい。また、ジメチルスベルイミダエートのような小スペーサー分子が、同様の目的を達成するのに使用されてもよい。グルテルアルデヒドのようなSchiff塩基型反応で使用されるものを含んで試薬の使用も利用されてもよい。可逆率号であってもいSchiff塩基結合は、還元的アミノ化法の使用によってさらに持続性の共有結合とされ得る。これは、例えば、リチウムアルミニウム水化物(DIBAL)、ナトリウムボロ水化物(NaBH4)またはナトリウムシアノボロ水化物(NaBH3CN)を含む、リチウムアルミニウム水化物還元剤またはそれの緩やかな類似物のような化学還元剤を包含してもよい。
脂質、タンパク質および/またはポリマーを含む本組成物中の物質に対する
標的指向性リガンドの共有結合は、当業者に容易に明らかである、本開示に基づく有機合成法を使用して達成されてもよい。例えば、標的指向性リガンドは、脂質を含む物質と、既知の結合または活性化剤の使用によって結合されてもよい。当業者に知られているように、活性化剤は一般的に求電子性である。この求電子性は、共有結合の形成を引き出すのに使用することができる。使用されてもよい模範的な活性化剤として、例えば、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、メチルスルホニルクロリド、Castro試薬およびジフェニルホスホリルクロリドが挙げられる。
共有結合は架橋および/または重合を含んでもよい。架橋は好適には、ポリマー分子の2本の鎖を、元素、基または化合物よりなり、鎖の一定の炭素原子を共有化学結合によって結合させる橋によって結合させることを指す。例えば、架橋は、シスチン残基のジスルフィド結合によって結合しているペプチド中で起こってもよい。架橋は、例えば、(1)化学物質(架橋剤)を添加して、混合物に熱に暴露すること、或いは(2)ポリマーに高エネルギー照射を行うことによって達成されてもよい。多種類の架橋剤、または種々の長さおよび/または官能価の「係留剤」(“tethers”)が、R.L.Lunbland,Techniques in Protein Modification,CRC Press,Inc.,Ann Arbor,MI,pp.249−68(1995)に記載され、引用することによってその全開示内容が本明細書中に取り込まれている。模範的な架橋剤として、例えば、3,3−ジチオビス(スクシンイミヂルプロピオナート)、ジメチルスベルイミダートおよび炭化水素長さに基づくその変形、並びにビス−N−マレイミド−1,8−オクタンが挙げられる。
好適な態様によれば、標的指向性リガンドは、脂質、タンパク質またはポリマー或いは他の安定化物質に、結合基によって結合されてもよい。種々の結合基が利用でき、本開示で一旦武装した当業者には明らかである。好適には、結合基は親水性ポリマーを含んでなる。適切な親水性リンカーポリマーとして、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)およびプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテルのようなポリアルキレンオキシド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミドおよびポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、アクリル酸ポリヒドロキシエッチル、メタクリル酸ポリヒドロキシプロピルンポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリビニルアルコール、ポリホスファゼン、ポリ(ヒドロキシアルキルカルボン酸)、ポリオキサゾリヂン、並びにポリアスパルトアミドのようなポリアクリラートが挙げられる。親水性ポリマーは好適には、PEG、PPG、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン並びにそれらのコポリマーよりなる群から選ばれ、PEGおよびPPGポリマーがさらに好適であり、PEGポリマーがもっとさらに好適である。従って、例えば、DPPE−PEGを含む脂質を持つポリマーを含んでなる脂質組成物を包含する態様では、標的指向性リガンドは、脂質に結合するポリマーに直接に結合して、例えば、DPPE−PEG−TL(式中、TLは標的指向性リガンドである)の複合物を提供してもよい。従って、例えば、DPPE−PEG5000のような例DPPE−PEGを使用して、上記の複合物はDPPE−PEG5000−TLとして表わしてもよい。結合基として使用される親水性ポリマーは好適には、二官能ポリマー、例えば、ジアミノ−PEGのような二官能PEGである。この場合、PEG基の一つの末端は、例えば、脂質化合物に結合し、そして遊離の末端でアミド結合によって標的指向性リガンドに結合する。一つの末端アミノ基で末端カルボキシレートでそして他の末端で末端アミノ基で置換された親水性ポリマー、例えば、PEGも使用されてもよい。これらの後者の二官能親水性ポリマーは、それらはアミノ酸と類似性を有するので、好適であってよい。
2つの独特の末端官能基を有するリンカー基を使用する場合、標的指向性リガンドを脂質に結合させるのに、標準ペプチド方法論が使用されてもよい。二官能親水性ポリマーおよび特に二官能PEGは、標準有機合成方法論を使用して合成されてもよい。さらに、これらの物質の多くは市販されている。例えば、α−アミノ,ω−カルボキシPEGはSheawater Polymers(Huntsville,AL)から市販されている。結合基としてPEG物質を使用する利点は、エチレングリコールのモノマーサブ単位の数が、例えば、約5しかないか或いは約500またはそれ以上もあってもように、PEGの粒径が変えることができると言うことである。従って、「係留物」または結合の長さは所望に応じて変えられてもよい。このことは、例えば、使用される特定の標的指向性リガンド依存して、重要にであってもよい。例えば、大タンパク質分子を含んでなる標的指向性リガンドは、それが膜結合タンパク質をまねるように、短い係留物を必要とする。短い係留物によって、小胞は細胞への密接な近接を維持することができる。このことは、生物活性剤を含んでなる小胞との関連で、細胞に送達される生物活性剤の濃度が有利的に増加してもよい点で、有利的に使用することができる。
短い係留物を提供してもよい他の適切な結合基はグルセルアルデヒドである。グリセルアルデヒドは、例えば、Schiff塩基反応によってDPPEに結合してもよい。その後のAmadori転位は実質的に短い結合基を提供することができる。Schiff塩基のβカルボニルは、標的指向性タンパク質またはペプチドのリジンまたはアルギニンと反応して標的指向性脂質を生成してもよい。さらに詳しくは、脂質、タンパク質および/またはポリマーを含む、本組成物中で使用される化合物は、例えば、ヒドロキシ、チオまたはアミン基のような、親水性ポリマーリンカーのカルボン酸またはカルボン酸誘導体と、本開示内容で一旦武装した当業者に明らかである適切な結合条件を使用して反応することができる種々の官能基を含有してもよい。カルボン酸基(またはそれらの誘導体)は官能基、例えば、ヒドロキシ、チオまたはアミノ基と反応して、エステル、チオエステルまたはアミド基を生成した後、いずれの保護官能基も、当業者によく知られている操作法を使用して脱保護されてもよい。用語、保護基は、本明細書中で使用されるように、官能基のブロック反応に使用されそして所望に応じて除去されて、非保護官能基を与えてもよいいずれの部分をも指す。種々の保護基のいずれもは使用されてよく、これらは、例えば、保護されるべき基がアミン、ヒドロキシルまたはカルボキシル部分であるかどうかによって変わる。官能基がヒドロキシル基である場合、適切な保護基として、例えば、一定のエーテル、エステルおよびカーボナートが挙げられる。かかる保護基は、例えば、Greene,TW. and Wuts,PGM「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis),John Wiley,New York,第2版,(1991)に記載され、引用することによってその全開示内容は本明細書中に取り込まれている。アミン基のための模範的な保護基として、例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、o−ニトロベンジルオキシカルボニルおよびトリフルオロ酢酸(TFA)が挙げられる。
例えば、小胞中に含まれるポリマーの背骨上に存在してもよいアミノ基は、親水性結合ポリマー上のアミンキと、Schiff塩基を形成することによって、例えば、グルタルアルデヒドのような結合剤を使用することによって結合されてもよい。この結合の例は、Allcockなど,Macromolecules,Vol.19(6),pp.1502−1508(1986)によって記載され、引用することによってその全開示内容は本明細書中に取り込まれている。例えば、小胞がポリリジンから製剤さえる場合、遊離アミノ基は小胞の表面上に暴露されてもよく、そしてこれらの遊離アミン基は上記のように活性化されてもよい。活性化アミン基は、順に、例えば、ω−ヒドロキシ基がカーボネート基で保護されたα−アミノ−ω−ヒドロキシ−PEGのような官能化親水性ポリマーに結合するのに使用することができる。反応が完了した後、カーボネート基を開裂することができ、それによって末端ヒドロキシ基は、適切な標的指向性リガンドへの反応のために活性化されることができる。一定の態様では、小胞の表面は、例えば、ポリジクロロホスファジンのような塩素含有ホスファゼン残基中の塩素原子を置き換えることによって活性化されてもよい。その後標的指向性リガンドを添加しそして残余の塩化物基を水または水性メタノールで消失させて、結合生成物を得る。
さらに、ポリ(ジフェノキシホスアゼン)を合成し(Allcockなど,Macromolecules,Vol.19(6),pp.1502−1508(1986))、例えば、DPPE上に固定し、次いで硝酸および酢酸無水物の混合物の添加によってフェノキシ部分をニトロ化することができる。次いで、ニトロ基を、例えば、(1)0.1Mリン酸緩衝液(pH11)中のシアノーゲンブロミドで処理し、次いで遊離アミノ部分を含有する標的指向性リガンドを添加して、結合尿素類似物を生成することによって、(2)亜硝酸ナトリウム/HClを使用して、ジアゾニウム塩を生成し、次いで標的指向性リガンドを添加して、結合標的指向性リガンドを生成することによって、および/または(3)ジアルデヒド、例えば、上記のグルタルアルデヒドを使用して、Schiff塩基を生成することによって、活性化してもよい。DPPEを親水性ポリマーおよび標的指向性リガンドに結合させた後、小胞を本明細書に記載の操作法を使用して製剤してもよい。
ポリマー上のアルデヒド基は、上記のアミンと、Schiff塩基を生成することによって結合されることができる。この結合操作法の例は、Allcock and Austin Macromolecules,Vol.14,pp.1616(1981)に記載され、引用することによってその全開示内容は本明細書中に取り込まれている。
上記の操作法では、ポリマーまたは脂質の末端、例えば、ホスファチジルグルセロールまたはホスファチジルエタノールアミンは好適には活性化され、そしてその末端が適切な様式で遮蔽された親水性ポリマーリンカーに結合する。この戦略の例として、t−Boc保護末端アミノ基および遊離カルボキシレート末端を有するα−アミノ,ω−カルボキシPEG−4000は、1,1′−カルボニルジイミダゾールで、N−メチルピロリドン中のヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で活性化されてもよい。ホスファチジルエタノールアミンを添加した後、t−Boc基は、トリフルオロ酢酸(TFA)を使用することによって除去し、遊離アミンを得てもよい。次いで、アミンを、例えば、ペプチド、タンパク質、アルカロイドまたは他の部分を含んでなってもよい標的指向性リガンドと、リガンドの同様の活性化によって反応させて、脂質−リンカー−標的指向性リガンド複合物を得てもよい。上記のものの外に、他の戦略を使用して、脂質−リンカー−標的指向性リガンド複合物を得てもよい。一般的に言えば、これらの方法は、合成有機化学の当業者に一般的に既知である合成的戦略を使用する。
当業者に既知であるように、免疫ブロブリンは典型的には、「ヒンジ部」と確認される柔軟部を含んでなる。例えば、「コンサイス・エンサイクロペディア・オブ・バイオケミストリー」(Concise Encyclopedia of Biochmistry),第2版,Walter de Gruyter & Co.,pp.282−283(1988)を参照のこと。Fab′フラグメントは、脂質、ポリマー、タンパク質および/または小胞に、ヒンジ部のチオールのよく規定された部位を使用して結合させることができる。これは、潜在的結合部位が抗原認識部位から遠いから、Fab′フラグメントを結合するために好適な部位である。一般的に言って、ヒンジ基のチオールを、それらが適切に製造されない限り、使用することは困難であってもよい。特に、Shahinian and Salvias(Biochimica et Biophysica Acta,Vol.1239(1995)、157−167)によって概説されたように、チオール基を、それらが、例えば、マレイミド誘導結合基に結合するために利用できるように、還元することは重要であってもよい。通常使用される還元剤の例は、エタンジチオール、メルカプトエタノール、メルカプトエチルアミンまたは通常Cleland試薬と呼ばれる、さらに通常使用されるジチオトレイトールである。しかし、ジチオトレイトールのような一定の還元剤を使用する場合、過還元が起こるから、注意しなければならないことを注目すべきである。還元剤の使用を区別することは、その活性または結合能力が、過還元およびその後の変性または配座変化のために妥協されてもよいタンパク質に関連して、必要であってよい。例えば、Shahinian,S.and Salvias,J.R.(1995)Biochim.Biophys.Acta,1239,157−167を参照のこと。
F(ab′)2抗体フラグメントは、抗体を0.1M酢酸緩衝液(pH4.2)中のペプシン(60μg/ml)で37℃で4時間インキュベートによって製造されてもよい。消化は、2MTris(pH8.8)を80mMの最終濃度まで添加することによって停止させてもよい。次いで、F(ab′)2フラグメントを遠心分離(10,000×g、30分、40℃)によって得てもよい。次いで上澄液を、pH7.0の150mM NaCl,20mMリン酸塩に対して4℃で透析してもよい。次いで、これを、プロティンA−Sepharose CL−4Bのカラム上でクロマトグラフィーして、未消化のいずれのIgGをも除去してもよい。次いでFab′フラグメントは、溶液を強力にガス抜きしそして使用前に窒素でパージすることによって製造されてもよい。F(ab′)2フラグメントは5mg/mlの濃度で提供され、30mM中でアルゴン下で還元されてもよい。別法として、システアミンを使用してもよい。100mM Tris、pH7.6を、緩衝液として37℃で15分間使用してもよい。次いで溶液を、適切な実験緩衝液の等量で2倍に希釈し、Bio−Gel P−6DGの0.4mlのスピンカラムを通して回転してもよい。得られたFab′フラグメントは、それらがマレイミドに結合するのにさらに効率的になってよい。また、例えば、マレイミドスペーサに結合するためのシスティン残基を含有する他の高分子で同一の操作法を使用してもよいことに注目すること。また、ペプチドは、それらがシスティン残基を含有するならば、使用されてもよい。ペプチドが新しくされなかって、ペプチド構造内でシスティン残基の酸化の可能性がある場合、上記の手法を使用してチオール基を再生させることが必要であってよい。
追加のリンカーは、二官能スペーサーに結合するために有用な脂質の他の誘導体を含んでよい。例えば、ホスファチジルエタノールアミン(PE)は二官能試薬に結合してもよい。例えば、4−(p−マレイミド−フェニル)酪酸N−スクシンイミジル−4(SMPB)および3−(2−ピリジルジチオール)プロピオン酸N−スクシンイミヂル(SPDP)、トランス−4−(4−マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸N−スクシンイミヂル(SMCC)および3−マレイミジル安息香酸N−スクシンイミヂル(SMB)が、例えば、二官能脂質MPB−PEおよびPDP−PEを製造するために、その他の間で使用されてもよい。
アミンまたはヒドロキシル基のような反応せい基を含有する、ポリエチレングリコールエチルアミンのような親水せいスペーサーの遊離末端は、補因子または他の標的指向性リガンドにけ結合するのに使用されることができる。例えば、ポリエチレングリコールエチルアミンは、N−スクシンイミジルビオチンまたはP−ニトロフェニルビオインと反応して、スペーサー上に有用な結合基を導入してもよい。例えば、ビオチンはスペーサーに結合してもよく、これは容易に非共有結合的にタンパク質と結合する。例として、MPB−PEG−DPPEは次の通りに合成されてもよい。PEGの末端に遊離アミノ基を持つDPPE−PEGは既に記載されたように提供される。次いでSMPB:PEG−DPPEの合成が、1当量のトリエチルアミンと、クロロホルム中で、1:5のSMPB:PEG−DPPEのモル比で行われてもよい。3時間後、反応混合物はアルゴン下で乾固まで蒸発される。過剰の未反応SMPBおよび主要な副生成物は、調製薄層クロマトグラフィー(TLC、クロロホルム中の50%アセトンで展開されたシリカゲル)によって除去される。液体バンドの上方部分を、シリカからクロロホルム中の約20−30%メタノールで抽出して、純粋な未傷のMPB−PEG−DPPEを単離することができる。次いで、タンパク質が順にMPB−PEG−DPPEに結合してもよいように、ストレプタビジンをタンパク質に結合させてもよい。要するに、SPDPをストレプタビジンと室温で30分間インキュベートし、クロマトグラフィーを使用して未反応SPDPを除去する。ジチオトレイトール(DTT)を反応混合物に添加して、そして10分後2−チオピリドンを343nMの濃度で添加した。反応混合物の残余をDTTで還元する(25mM、10分間)。次いで、得られたストレプタビジン標識タンパク質を利用して、脂質部分に添付されたビオチン化スペーサーに結合してもよい。
本発明の好適な態様では、標的指向性リガンド、即ち、標的指向性脂質、タンパク質およびポリマーは、例えば、標的指向性ミセル、標的指向性リポソーム、標的指向性アルブミン被覆マイクロスフェアー、および/または標的指向性ポリマー被覆マイクロスフェアーを含む標的指向性小胞を形成するために使用される組成物中に取り込まれている。小胞が製造される化合物に結合する標的指向性リガンドは、例えば、小胞の表面から外の方に向かっていてもよい。従って、受容体および組織を標的化するのに使用することができる標的指向性リガンドが提供される。
一定の態様では、標的指向性リガンドは、非共有結合的会合によって本組成物中に取り込まれてもよい。当業者に知られているように、非共有結合的会合は一般的には、例えば、関与分子の極性、関与分子の、もし有れば、電荷(正または負)、分子の網状構造中の水素結合の程度などを含む種々の因子の機能である。
非共有結合は好適には、イオン相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、親水性相互作用、van der Waal力、およびそれらのいずれもの組合せよりなる群から選ばれる。非共有相互作用を使用して、標的指向性リガンドを、脂質に結合するか、或いは小胞の表面に直接に結合してもよい。例えば、Gly−Gly−Hisのアミノ酸配列を、小胞の表面に好適にはPEGのようなリンカーによって結合してもよく、次いで銅、鉄またはバナジルイオンを添加してもよい。次いで、ヒスチジン残基を含有する抗体のようなタンパク質を、米国特許第5,466,467号明細書(引用することによって全開示内容は本明細書中に取り込まれている)に記載されているように、小胞に、鉄イオンとのイオン橋によって結合してもよい。
小胞組成物を含む、本発明の好適な態様では、変化、例えば、生体内のpHおよび/または温度の変化を使用して、標的指向性リガンド中の位置の変化、例えば、小胞内の位置から小胞の外壁の外の位置への変化を促進してもよい。これは、標的指向性リガンドがかかる標的化部位を暴露する大きい可能性があるから、標的指向性リガンドの標的化部位、例えば、GPIIbIIIa受容体のような受容体、並びに心筋細胞、内皮細胞および上皮細胞を含む組織への結合を促進しうる。さらに、高エネルギー超音波を使用して、小胞の破裂を促進することができる。これもまた、標的指向性リガンドで所望の結合部位を暴露することができる。
上記のように、本脂質および/または小胞組成物は望ましくは、水性環境中で製剤される。これは脂質を、その親水性/疎水性のために誘導して、かかる環境下で達成することができる最も安定な配置であってもよい小胞を形成することができる。かかる水性環境を作り出すために使用することができる希釈剤として、例えば、脱イオン水を含む水、または好適には小胞の形質転換背および/または安定性または超音波造影剤、MRI造影剤またはCT造影剤のような診断試薬としてのそれらの使用を妨害しない塩のような一つまたはそれ以上の溶質を含有する水、並びに正食塩水および生理学的食塩水が挙げられる。
本発明の脂質および/または小胞組成物はまた、診断用画像形成のための造影剤としてのそれらの有効性を増加するように働いてもよい、通常の造影剤を含む追加の造影剤を含んでもよい。
従って、柔軟な小胞、例えば、脂質から製剤された小胞、または非柔軟な小胞、例えば、メタクリル酸ポリメチルから製造された小胞を含んでなる小胞組成物を提供することは本発明の範囲内である。
本発明の組成物は、診断および治療用超音波を含む超音波法に関連して特に有用であると考えられる。超音波法での本組成物の使用は本開示を通して記載されている。
上記のように、本組成物はまた計算機断層撮影法(CT)画像形成に関連して使用されてもよい。CTは種々の欠陥に悩まされ、そして一般的に上記の診断技法と比較して効果が少ない。にも拘らず、十分高い濃度の本造影剤および特にガス充填小胞組成物が興味のある部位、例えば、血餅に送達される場合、血餅は、血餅の全体密度の増加のために、CT画像上で検出されることができる。一般的には、上記の血餅を含む、CTによって検出されるべき興味ある部位に送達するためには、1%の約1/10の濃度またはそれ以上のガス充填小胞が必要とされうる。
本組成物中での使用に適切な模範的な常磁性造影剤として、例えば、安定なニトロキシドのような安定な遊離ラジカル、並びに所望に応じて塩の形態にあってもよいか、或いはそれらの親油性誘導体を含む錯化剤またはタンパク質様高分子に共有的または非共有的に結合してもよい、遷移、ランタニドおよびアクチニド元素を含んでなる化合物が挙げられる。
好適な遷移、ランタニドおよびアクチニド元素として、例えば、Gd(III)、Mn(II)、Cu(II)、Cr(III)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Er(II)、Ni(II)、Eu(III)およびDy(III)が挙げられる。さらに好適には、元素は、Gd(III)、Mn(II)、Cu(II)、Fe(II)、Fe(III)、Eu(III)およびDy(III)、特にMn(II)およびGd(III)であってよい。
上記の元素は、所望に応じて、マンガン塩、例えば、塩化マンガン、炭酸マンガン、酢酸マンガンのような無期塩およびグルコン酸マンガンおよびマンガンヒドロキシルアパタイトのような有機塩を含む、塩の形態であってもよい。他の模範的な塩として、例えば、硫化鉄および塩化第二鉄のような塩化第二鉄を含む。
これらの元素もまた、所望に応じて、例えば、共有的または非共有的会合によって、それらの親油性誘導体またはタンパク質様高分子を含む錯化剤に結合してもよい。好適な錯化剤として、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N′、N′、N″′−四酢酸(DOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N′,N″−三酢酸(DOTA)、3,6,9−トリアザ−12−オキサ−3,6,9−トリカルボキシメチレン−10−カルボキシ−13−フェニル−三デカン酸(B−19036)、ヒドロキシベンジルエチレンジアミン二酢酸(HBED)、N,N′−ビス(ピリドキシル−5−ホスファート)エチレンジアミン、N,N′−二酢酸(DPDP)、1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N′,N″−三酢酸(NOTA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N′,N″,N−″′−四酢酸(TETA)、クリプタン(kryptands)(大環状錯体)およびデスフェリオキサミンが挙げられる。さらに好適には、錯化剤はEDTA、DTPA、DOTA、DO3Aおよびクリプタンであり、最も好適にはDTPAである。好適な親油性錯体として、米国特許第5,312,617号明細書(引用することによって全開示内容は本明細書中に取り込まれている)に記載のものを含む、錯化剤EDTAのアルキル化誘導体、例えば、N,N′−ビス−(カルボキシデシルアミドメチル−N−2,3−ジヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン−N,N′−二酢酸(EDTA−DDP);N,N′−ビス−(カルボキシオクタデシルアミド−メチル−N−2,3−ジヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン−N,N′−二酢酸(EDTA−ODP);N,N′−ビス−(カルボキシ−ラウリルアミドメチル−N−2,3−ジヒドロキシプロピル)エチレンジアミン−N,N′−二酢酸(EDTA−LDP);などが挙げられる。好適なタンパク質様高分子として、例えば、アルブミン、コラーゲン、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリヒスチジン、γ−グロブリンおよびβ−グロブリンが挙げられ、アルブミン、ポリアルギニン、ポリリジンおよびポリヒスチジンがさらに好適である。
それ故、適切な錯体として、Mn(II)−DTPA、Mn(II)−EDTA、Mn(II)−DOTA、Mn(II)−DO3A、Mn(II)−クリプタンド、Gd(III)−DIPA、Gd(III)−DOTA、Gd(III)−DO3A、Gd(III)−クリプタンド、Cr(III)−EDTA、Cu(II)−EDTA、または鉄−デスフェリオキサミン、特にMn(II)−DTPAまたはGd(III)−DTPAが挙げられる。
ニトロキシドは、ニトロキシド分子中の不対電子の存在のためにMRI上のT1およびT2緩和率を増加させる常磁性造影剤である。当業者には既知であるように、MRI造影剤のような一定の化合物の常磁性有効性は、常磁性核または分子中の不対電子の数、詳しくは不対電子の数の平方に少なくとも一部関連してもよい。例えば、ガドリニウムは7個の不対電子を有するが、他方ニトロキシド分子は1個の不対電子を有する。従って、ガドリニウムは一般的にニトロキシドヨリもっと強いMRI造影剤である。しかし、造影剤の有効性を検査するために有効な相関時間、他の重要なパラメーターは、ニトロキシドの潜在的に高い緩和率を与える。転がし速度が、例えば、常磁性造影剤を大きい分子に取り付けることによって減速される場合、それは一層緩慢に転がり、従って一層有効にエネルギーを転移して水プロトンの緩和を促進する。しかし、ガドリウムでは、電子スピン緩和時間は急速であり、そして緩速回転相関時間が緩和率を増加することができる程度を制限する。しかし、ニトロキシドでは、電子スピン相関時間はもっと好適であり、そして緩和率の巨大な増加が、これらの分子の回転相関時間を減速することによって得られる。本発明のガス充填小胞は、減速回転相関時間および得られる緩和率の改良の目標を達成するのに理想的である。操作法のいずれの特定の理論に縛られるつもりはないが、ニトロキシドは小胞の周辺を、例えば、それらのアルキル誘導体を作ることによってコーティングするように設計されてもよいから、得られる相関時間は最適にされ得ると考えられる。さらに、本発明の得られる造影剤は、磁性球、緩和率を最大にする幾何学的配置として見られてもよい。
所望に応じて、ニトロキシドは、アルキル化またはその他の方法でニトロキシド 2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジンニルオキシ、遊離ラジカル、および2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、遊離ラジカル(TMPO)のように誘導体化されてもよい。
本発明の組成物中での使用に適する模範的な超常磁性造影剤として、磁区強磁性またはフェリ磁性化合物、例えば、純鉄;磁性酸化鉄、例えば、磁鉄鉱、γ−Fe23,F34;亜鉄酸マンガン;亜鉄酸コバルト;および亜鉄酸ニッケルを経験する酸化金属および硫化金属が挙げられる。酸素17ガス(172)のような常磁性ガスも、本組成物中で使用することができる。さらに、超分極性キセノン、ネオン、またはヘリウムガスも使用されてもよい。MR全身画像形成は、身体、例えば、血栓症を迅速に検査するのに使用されてもよく、そして超音波が、所望に応じて、血栓崩壊を助成するために適用されてもよい。
上記の常磁性および超常磁性造影剤のような造影剤は、脂質および/または小胞組成物内の成分として使用されてもよい。小胞組成物の場合、上記の造影剤は、それらの内部空隙内に取り込まれ、いずれの追加の安定化物質かで統合された小胞を持つ溶液としえ投与されるか、或いは小胞の表面もしくは膜上にコーティングされてもよい。
所望に応じて、常磁性または超常磁性剤は、組成物、特に小胞の脂質性壁中に取り込まれたアルキル化または他の誘導体として送達されてもよい。特に、ニトロキシド2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジンニルオキシ、遊離ラジカル、および2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、遊離ラジカルは、例えば、アセチルオキシ結合を含む種々の結合を介してメチル基によって占められていない環の位置に長鎖脂肪酸を持つ付加物を形成することができる。かかる付加物は、本発明の脂質および/または小胞組成物中に十分取り込むことができる。
本組成物中のいずれか一つまたはそれ以上の常磁性剤および/または超常磁性剤の混合物は使用されてもよい。常磁性および超常磁性剤はまた、所望に応じて、別々に共投与されてもよい。
本発明の脂質および/または小胞組成物、特に小胞組成物は、上記の超常磁性剤の有効な担体として働くだけではなく、磁化率造影剤の効果を増強してもよい。超常磁性造影剤として、酸化金属、特に酸化マンガンを含む酸化鉄、並びに磁区を経験する種々の量のマンガン、コバルトおよびニッケルを含有する酸化鉄が挙げられる。これらの試剤はナノまたはマイクロ粒子であり、極めて高い体積磁化率および横緩和率を有する。大きい粒子、例えば、約100nmの直径を有する粒子は、R1緩和率と比較してもっと高いR2緩和率を有する。小さい粒子、例えば、約10〜約15nmの直径を有する粒子は、幾分低いR2緩和率を有するが、もっと大きい平衡R1およびR2値を有する。もっと小さい粒子、例えば、約3〜約5nmの直径を有する単結晶酸化鉄は、より低いR2緩和率を有するが多分最も大きい大の平衡R1およびR2緩和率を有する。フェリチンはまた、極めて高い緩和率超常磁性鉄のコアーをカプセルで閉じ込めるように製剤してもよい。脂質および/または小胞組成物、特にガス充填小胞を含む小胞組成物は、これらの通常の酸化鉄を基材とするMRI造影剤の効能および安全性を向上することができることが発見された。
酸化鉄は単に脂質および/または小胞組成物中に取り込まれてもよい。好適には、脂質から製剤された小胞の場合、酸化鉄は、小胞の壁中に、例えば、小胞の表面上に吸収されるか、または米国特許第5,088,499号明細書(その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている)に記載のように小胞の内部に閉じ込めることによって取り込まれてもよい。
操作法のいずれの特定の理論にも縛られるわけではないが、本発明の小胞は、数種の機構によって超常磁性造影剤の効能を増加する考えられる。第一に、小胞は、酸化鉄粒子の見掛け磁気濃度を増加するように機能すると考えられる。また、小胞は、常磁性および超常磁性造影剤を含むMRI造影剤の見掛け回転相関時間を増加し、それ故緩和率が増加すると考えられる。さらに、小胞は、下記の方式に従って、造影剤の見掛け磁区を増加するようである。
本発明の小胞の一定のもの、特に脂質から製剤された小胞は、例えば、造影剤の水性懸濁液または血液もしくは他の体液を含む懸濁媒体から、例えば、血管注入法および他の身体部位中への注入の場合、種々の磁化率の柔軟な球形の分域として可視化されてもよい。フェライトまたは酸化鉄粒子の場合、これらの試剤によって提供されたコントラストは粒子の粒径に依存することは注目されるべきである。この現象は、極めて通常のことであり、そして水分子の「永年」緩和と呼ばれることが多い。さらに物理的観点から記載すると、この緩和機構は、常磁性原子または常磁性分子が存在してもよい分子錯体の有効粒径に依存する。一つの物理学的説明は、常磁性寄与率を、常磁性イオンによって摂動された回転磁気率gによるスピン1/2核のT1およびT2緩和時間の関数として定義するSolonon−Bloembergen式で記載されてもよい。
Figure 0004215820
式中、
Sは電子スピン量子数であり;
gは電子g因数であり;
βはBohrマグネトンであり;
ωIおよびω3(657w1)は,核スピンおよび電子スピンについてのLarmor角歳差運動周波数であり;
rはイオン−核距離であり;
Aは超微細結合定数であり;
τcおよびτeは、それぞれ双極子およびスカラ相互作用についての相関時間であり;そして
hはPlanck定数である。
Solomon,I.Phys.Rev.Vol.99,p.559(1955)およびBloembergen,N.,J.Chem.Phy.Vol.27,p.572,595(1957)を参照。
少数の大きい粒子は、主として大きい相関時間のために、より多数のもっと小さい粒子よりも一層大きい効果を有してもよい。しかし、酸化鉄粒子を非常に大きくしなければならない場合、強い毒性が生成してもよく、そして肺は塞栓形成されてもよいかまたは補体カスケード系は活性化されてもよい。さらに、粒子の全粒径は、その縁または外側表面での粒子の直径ほど重要ではない考えられる。磁化の区域または磁化率効果は粒子の表面から指数関数的に下降する。一般的に言えば、双極子(通過空間)緩和機構の場合、この指数関数的効果は、常磁性双極子−双極子相互作用についてのr6依存関係を示す。文字通りに解釈すると、常磁性表面から4オングストローム離れている水分子は、同一の常磁性表面から2オングストローム離れている水分子より64倍影響が少ない。コントラストを最大にする点から理想的な状況は、酸化鉄粒子を中空で柔軟でそして出来る限り大きくすることである。従来これを達成することは可能ではなかった。その利益が従来認識されなかったと考えられる。造影剤で小胞の内部または外側表面をコーティングすることによって、個別の造影剤、例えば、酸化鉄ナノ粒子または常磁性イオンが比較的に小さい構造である場合でも、造影剤の有効性は大きく向上されてもよい。そうする場合、造影剤は、磁性化の有効区域が小胞の直径によって決定されそして小胞の表面で最大になる、有効的にもっと大きい球として機能してもよい。これらの試剤は柔軟性、即ち、コンプライアンスの利点を与える。堅い小胞は肺または他の器官中で止まりそして毒性反応を起こすが、これらの柔軟な小胞は毛細管をもっと容易に滑り通る。
上記の柔軟な小胞と反対に、一定の状況では、例えば、ポリメチルメタクリレートを含む実質的に不透過性の高分子物質から小胞を製剤することが望ましい。このことによって、一般的に、実質的に不透過性で、比較的に非弾性で、脆性であってもよい小胞が形成される。診断用画像形成、例えば、超音波を含む態様では、かかる脆性の小胞を含んでなる造影剤は一般的に、柔軟な小胞が提供してもよい望ましい反射能を提供しない。しかし、超音波の動力出力を増加することによって、脆性のマイクロスフィアーは破裂させられ得て、超音波変換器によって検出され得る音響放射を起こす。
核医学画像形成法(NMI)はまた、本発明の診断および治療法観点と関連して、使用されてもよい。例えば、NMIは、上記のガスの外かまたは代りに本組成物中に取り込まれてもよい、Xe133のような放射性ガスを検出するのに使用されてもよい。かかる放射性ガスは、例えば、血栓症を検出するのに使用するための小胞内に封入されてもよい。好適には、二官能性キレート誘導体は小胞の壁中に取り込まれ、得られる小胞はNMIおよび超音波法で使用されてもよい。この場合、高エネルギー、高品質の核医学画像形成同位体、例えば、テクネチウム99mまたはインジウム111は、小胞の壁中に取り込まれることができる。全身ガンマ走査カメラ法は、生体内の小胞摂取の部位を迅速に局限するのに使用することができる。所望に応じて、超音波法は、超音波法が一般的に核医学技術と比較して高い分解能を提供するから、例えば、血管内の血餅の存在を確認するのに使用されてもよい。NMIはまた、血管血栓症の区域を検出するために患者の全身を検査するのに使用されてもよく、そして超音波法は、小胞の破裂を促進しそして血餅を治療するためにこれらの区域に局所的に適用することができる。
光学的画像形成法の場合、アルゴンまたはネオンのような光学的活性な気体は本組成物中に取り込まれてもよい。さらに、光学的活性物質、例えば、ポーフィリン誘導体を含む蛍光物質もまた使用されてもよい。エラストグラフィー法は、1MHz以上の周波数を含むことができる超音波と比較してもっと低い周波数の音波、例えば、約60KHzを一般的に使用する画像形成法である。エラストグラフィー法では、音波エネルギーは一般的に組織に適用され、次いで組織の弾性が決定される。高弾性の小胞を含む本発明の好適な態様に関連して、かかる小胞の例えば血餅中への沈着によって、血餅を囲む組織および/または空間の局所弾性は増加する。次いで、この増加した弾性がエラストグラフィー法で検出されてもよい。所望に応じて、エラストグラフィー法は、MRIおよび超音波法のような他の画像形成技術と合同して使用することができる。
上記の診断用画像形成技術および血餅の血栓崩壊の外に、本組成物は種々の治療的処理物理療法で使用することができる。例えば、生物活性剤、例えば、薬物は本組成物中に取り込まれてもよい。有用な薬物として、例えば、硫酸ヘパリン、組織プラスモノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよびヒルジンが挙げられる。治療的用途に関連して、例えば、静脈鬱血を減少させるために硫酸ヘパリンと一緒に使用することができるジヒドロエルゴタミンを含む補足剤も使用することができる。さらに、ワルファリンが抗凝血治療への補助物として使用されてもよい。遺伝物質もまた本組成物によって取り込まれてもよい。小胞組成物の場合、遺伝物質は、小胞の壁中または小胞の中央ガス充填空隙内に取り込まれることができる。これは通常、カチオン性脂質が小胞壁中に使用される場合、達成されてもよい。血管内皮増殖因子、または基礎繊維芽細胞増殖因子に指向するアンチセンス遺伝子フラグメントのような遺伝子が使用されてもよい。本発明は、潜在的なアテローム性硬化症を治療するためか、または繊維内膜過形成に対する傾向を低下させるのに有用であることができる。
本発明の脂質および/または小胞組成物は、種々の適切な法のいずれかを使用して製造されてもよい。これらは、ガス充填小胞を含む、脂質組成物およびガスを包含する態様、並びに発泡性前駆物質充填小胞を含む、脂質組成物および発泡性前駆物質を包含する態様の場合について、ガスおよび発泡性zk卯を含む組成物は本発明の一部を形成するが、個別に以下に記載する。
標的指向性リガンドは、上記のように、ガスまたは発泡性前駆物質充填小胞に、脂質、タンパク質、ポリマー、および/または補助安定化物質を含む、それらが製造さる、組成物中に使用された物質の一つまたはそれ以上に結合させることによって取り付けられてもよい。
多種類の方法が、ミセルおよび/またはリポソームのような小胞組成物を含む組成の製造に利用できる。これらの方法には、例えば、振盪法、乾燥法、ガス徐添加法、噴霧乾燥法などが含まれる。小胞組成物を製造する適切な方法は、例えば、米国特許第5,469,854号明細書に記載されていて、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。上記のように、小胞は好適には、ゲル状態のままである脂質から製造される。
特にミセル組成物の製造方法に関して、以下の説明が提供される。ミセルは、当業者には明らかである種々の通常ミセル製造方法のいずれか一つを使用して、製造されてもよい。これらの方法は典型的には、有機溶媒中への脂質化合物の懸濁、溶媒の蒸発、水性媒体中への再懸濁、音波処理および遠心分離を含む。上記の方法並びに他の方法は、例えば、Canfieldなど,Methods in Enzymology,Vol.189,pp.418−422(1990);EI−Gorabなど,Biochem.Biophys.Acta,Vol.306,pp.58−66(1973);コロイド性界面活性剤(Colloidal Surfactant),Shinoda,K.,Nakagana,Tamamushi and Isejera,Academic Press,NY(1963)(特に「ミセルの形成」(“The Formation of Micelles”),Shinoda,第1章,第1−88頁);ミセルおよび高分子系中の触媒作用(Catalysis in Micellar and Macromolecular Systems),Fendler and Fendler,Academic Press,NY(1975)記載されている。上記の出版物の各々の全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
上記のように、小胞組成物はリポソームを含んでもよい。いずれもの一定のリポソームでは、脂質化合物は、単層または二重層の形態であってもよく、そして単層または二重層脂質は、一つもしくはそれ以上の単層または二重層を形成するのに使用されてもよい。一つを超える単層または二重層の場合、単層または二重層は一般的に同心的である。従って、脂質は一枚膜リポソーム(一つの単層または二重層からなる)、オリゴ層リポソーム(2つまたは3つの単層または二重層からなる)または多重膜リポソーム(3つを超える単層または二重層からなる)を形成するのに使用されうる。
多種類の方法が、リポソーム組成物の製造方法に関連して利用できる。従って、リポソームは、当業者に明らかである種々の通常のリポソーム製造技術をいずれかを使用して製造されてもよい。これらの技術として、例えば、溶媒透析法、フレンチプレス加圧押出し法(凍結−融解ありまたはなし)、単純凍結−融解法、音波処理法、キレート透析法、均質化法、溶剤浸出法、微小乳化法、自然形成法、溶剤蒸発法、調節洗剤透析法、およびその他が挙げられ、各方法は各種方式で小胞の製造方法を含む。Madden等,脂質の化学と物理学(Chemistry and Physics of Lipids),1990,53,37−46、その全開示内容は引用することによって本明細書中に全部取り込まれている、を参照のこと。適切な凍結−融解法は、例えば、国際特許出願番号第PCT/US89/05040号明細書、1989年11月8日出願、に記載され、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。凍結−融解法を含む方法は、リポソームの製造に関連して好適である。リポソームの製造は、食塩水溶液、リン酸緩衝水溶液、または無菌水のような溶液中で行われてもよい。リポソームはまた、振盪または渦巻き処理法を含む各種方法によって製造されうる。これは、例えば、Wig−L−Bug(商標)(Crescent Dental,Lyons,IL)、Mixomat,Degussa AG,Frankfurt,Germany販売;Capmix,Espe Fabrik Pharmazeutischer Praeparate GMBH & Co.,Seefeld,Oberay Germany販売;Silamat Plus,Vivadent,Lechtenstein販売;Vibros,Quayle Dental,Sussex,England販売のような機械的振盪装置の使用によって達成されてもよい。Microfluidizer(商標)(Microfluidics,Woburn,MA)のような通常の微小乳化装置もまた使用されうる。
噴霧乾燥方法もまたガス充填小胞を製造するのに使用されてもよい。この操作法を使用する場合、脂質は水性環境下で予備混合され、次いで噴霧乾燥されてガス充填小胞を製造してもよい。小胞は所望のガスのヘッドスペース下で貯蔵されうる。
小胞組成物の製造での使用に適合されてもよい多数のリポソーム製造技術は、例えば、米国特許第4,728,578号明細書;英国特許第GB2193095号明細書;米国特許第4,728,575号明細書;米国特許第4,737,323号明細書;国際特許出願番号第PCT/US85/01161号明細書;Mayerなど,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.858,pp.161−168(1986);Hopeなど,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.812,pp.55−65(1985);米国特許第4,533,254号明細書;Mayhewなど,Methods in Enzymology,Vol.149,pp.64−77(1987);Mayhewなど,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.755,pp.169−74(1984);Chengなど,Investigative Radiology,Vol.22,pp.47−55(1987);国際特許出願番号第PCT/US89/05040号明細書;米国特許第4,162,282号明細書;米国特許第4,310,505号明細書;米国特許第4,921,706号明細書;並びにリポソーム技術(Liposome Technology),Gregoriadis,G.編、第I巻、第29−31、51−67および79−108頁(CRC Press Inc.,Boca Raton,FL 1984)に記載され、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
ガスを含む脂質組成物は、所望に応じて、安定化物質を含有する水溶液を、ガスの存在下で撹拌することによって製造することができる。用語「撹拌」(“agitating”)は本明細書で使用されるように、気体が局所周囲環境から水性溶液中に導入されるような、水性溶液のいずれかの振盪運動を意味する。この撹拌は好適には、脂質のゲルから液晶への相転移温度以下の温度で行われる。溶液の撹拌に関与する振盪は好適には、小胞組成物、特にガス充填小胞を含む小胞組成物を含む脂質組成物を形成するのに十分な力を有する。振盪は、渦巻き、左右運動、または上下運動によるようなスワーリングによるものであってもよい。種々の種類の運動を組合せてもよい。また、振盪は、水性脂質溶液を保持している容器を振盪することによってか、または容器自体を振盪することなく水性溶液を振盪することによって起こすことができる。
振盪は手動または機械によって起こしてもよい。使用されてもよい機械的振盪として、例えば、VWR Scientific(Cerritos,CA)振盪台のような振盪台、並びに上記の振盪装置のいずれかが挙げられ、Capmix(Espe,Fabrik Pharmazeutischer Praeparate GMBH & Co.,Seefeld,Oberay Germany)が好適である。一定の方式の振盪法または渦巻き処理法が、好適な粒径範囲内の小胞を製造するのに使用することができることが見出だされた。振盪法は好適であり、そして振盪法がEspe Capmix機械的振盪機を使用して行われることは好適である。この好適な方法によれば、往復運動を使用して、脂質組成物、特に脂質組成物を生成させることは好適である。運動が弧の形態に往復することはさらにもっと好適である。往復運動の速度並びにそれらの弧が、小胞の形成に関連して、特に重要であると考えられる。好適には、往復運動数または全サイクル振動数は毎分約1000〜約20,000である。さらに好適には、往復運動数または振動数は毎分約2500〜約8000であり、往復運動数または振動数は約3300〜約5000がさらに好適である。勿論、振動数は撹拌されている内容物の量に依存することができる。一般的に言えば、大きい量は、少ない振動数を必要とする。振盪を生み出す他の方法として、高速または高圧下で噴出するガスの作用が挙げられる。
好適には、水性溶液の量が多くなる程、それに相応して力の全量が増加することも理解される。激しい振盪は毎分少なくとも約60振盪運動と定義され、そして好適である。毎分約60〜約300回転の渦巻きはさらに好適である。毎分約300〜約1800回転の渦巻きはもっとさらに好適である。
単純振盪法の外に、さらに精巧な方法が使用されてもよい。かかる精巧な方法として、例えば、1993年6月11日出願で同時係属中の米国特許出願番号第08/076,250号明細書、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている、に記載のもののような液晶振盪式ガス徐添加法および真空乾燥式ガス徐添加法が挙げられる。多くの種々の技術のいずれかを使用することができるが、本発明で使用される小胞組成物は好適には振盪法を使用して製造される。好適には、振盪技術は、例えば、1993年11月30日出願で同時係属中の米国特許出願番号第160,232号明細書、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている、に開示された技術を使用して、Espe Capmix(Seefeld,Oberay Germany)のような機械的振盪装置による撹拌を含む。
ガス充填小胞の粒径は、所望に応じて、微小乳化法、渦巻き処理法、押出し法、濾過法、超音波処理法、均質化法、反復凍結および融解サイクル法、加圧下で規定された粒径の細孔を通す押出し法、および類似の方法を含む、多種類の方法によって調節することができる。本明細書に記載の方法に従って製造されたガス充填小胞は、約1μm未満から約100μmを超えるまでの範囲内の粒径であることができる。さらに、以下に詳細に記載される、押出し操作および滅菌操作の後、撹拌または振盪によって、溶液の残余中に実質的に残留無水脂質相を提供しないかまたは最小限しか提供しない小胞組成物が提供される(Bangham,A.D.,Standish,M.M.,& Watkins,J.C.,J.C.,J.Mol.Biol.Vol.13,pp.238−252(1965))。所望に応じて、本発明の小胞は、それらの粒径をさらに改良することを試みることなく、形成されたまま使用されてもよい。血管内使用の場合、小胞は好適には、約30μm未満、さらに好適には約12μm未満の直径を有する。例えば、癌性組織のような一定の組織への結合を含む、標的化された血管内使用の場合、小胞は相当に小さく、例えば、約100nm未満の直径であることができる。腸または胃腸使用の場合、小胞は相当に大きく、例えば、1ミリメータまでの粒径であることができる。好適には小胞は約2μm〜約100μmの直径を有するように分粒される。
ガス充填小胞は、フィルターの孔径によって、得られるガス充填小胞の粒径分布が調節されるフィルターを通して押出す簡単な方法によって分粒されてもよい。フィルター、例えば、10μmフィルター次いで8μmフィルターの2つまたはそれ以上のカスケードまたは積重ねセットを使用することによって、ガス充填小胞は、約7〜9μmの極めて幅狭い粒径分布を有するように選択することができる。濾過後、被安定化ガス充填小胞は24時間以上安定である。
分粒または濾過工程は、例えば、組成物が使用前に無菌バイアルから除去される場合、フィルター集成体の使用によって達成されてもよいか、またはさらに好適には、フィルター集成体が使用の間シリンジ中に組み込まれてもよい。その場合、小胞を分粒する方法は、バレル、少なくとも1つのフィルター、および針を含むシリンジを使用することを含み;そして、バレルから、バレルと針との間のシリンジに備えられたフィルターを通して押出し、そして患者に投与する前に、小胞を分粒する工程を含む採取の工程によって行われる。採取の工程はまた、小胞をシリンジ中に引き込み、そこでフィルターは同一の方法で機能して、小胞をシリンジ中に入るとき分粒することを含む。他の別法は、かかるシリンジを、幾つかの他の方法によって既に分粒された小胞で充満させることであり、その場合、フィルターは今では、所要の粒径の範囲内、または所要の最大の粒径の小胞のみが、その後シリンジからの押出しによって投与されることを確保するように機能する。
一定の好適な態様では、小胞組成物は、熱滅菌されかまたは無菌濾過され、そして振盪する前にフィルターを通して押出されてもよい。一般的言えば、ガスを含む小胞組成物は熱滅菌されてもよく、そして発泡性前駆物質を含む小胞組成物は濾過滅菌されてもよい。ガス充填小胞が一旦形成されると、それらを上記のように分粒のために濾過されてもよい。ガスおよび発泡性前駆物質充填小胞の形成の前のこれらの工程は行うことによって、患者へすぐ投与できる滅菌ガス充填小胞が提供される。例えば、バイアルまたはシリンジのような混合容器は、濾過された脂質組成物で満たれてもよく、そして組成物は混合容器内で、例えば、オートクレーブによって滅菌されてもよい。ガスは、無菌容器を振盪することによって、組成物中に徐添加されて、ガス充填小胞を形成してもよい。好適には、無菌容器は、ガス充填小胞が患者に接触する前にフィルターを通過するように置かれたフィルターを備えている。
脂質化合物の溶液をフィルターを通して押出す工程は、いずれの乾燥物質をも分裂させることによって不水和化合物の量を減少させ、そして水和のためにより大きな表面積を暴露させる。好適には、フィルターは、約0.1〜約5μm、さらに好適には約0.1〜約4μm、もっとさらに好適には約0.1〜約2μm、なおさらに好適には約1μmの孔径を有する。一般的に好ましくない不水和化合物は、非均一な粒径の無定形塊として現れる。
滅菌工程は、例えば、超音波法またはCTを含む診断用画像形成のために患者に容易に投与されてもよい組成物を提供する。一定の好適な態様では、滅菌は、熱滅菌、好適には、溶液を少なくとも約100℃の温度でオートクレーブすること、さらに好適には約100℃〜約130℃の温度でオートクレーブすること、もっとさらに好適には約110℃〜約130℃、なおさらに好適には約120℃〜約130℃、もっとさらに好適には約130℃でオートクレーブすることによって達成されてもよい。好適には、加熱は少なくとも約1分間、さらに好適には約1〜約30分間、もっとさらに好適には約10〜20分間、なおさらに好適には約15分間起こる。
所望に応じて、上記のような、押出し工程および加熱工程は、逆にしてもよいか、または2つ工程の中の1つだけを使用することができる。滅菌の他の方法は、例えば、ガンマ照射を含めて、使用されてもよい。
上記の態様の外に、例えば、高温、各種pH、または光への暴露によって活性化されると、小胞中に取り込まれた液体を含む液体から気体状態に相転移を受け、膨脹して、本明細書に記載のガス充填小胞を形成する、小胞中に含有された発泡性前駆物質を製剤することができる。この技術は,1993年11月30日出願で同時係属中の特許出願出願番号第08/160,232号明細書および1993年11月30日出願の第08/159,687号明細書、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている、に詳細に記載されている。
発泡性前駆物質を活性化する好適な方法は高温に暴露することによる方法である。活性化または転移温度などの用語は、発泡性前駆物質の沸点を指し、そして発泡性前駆物質の液体から気相への転移が起こる温度である。有用な発泡性前駆物質は、約−100℃〜70℃の範囲内の沸点を有する物質である。活性化温度は各発泡性前駆物質に特有である。約37℃またはほぼ人体温度の活性化温度は本発明の文脈での発泡性前駆物質に好適である。従って、好適な形態では、液状発泡性前駆物質は約37℃またはそれ以下でで活性化されてガスになる。発泡性前駆物質は本発明の方法で使用するためには液体または気体相であってもよい。
発泡性前駆物質充填小胞を製造する方法は、液体が、例えば、小胞中に取り込まれるように、発泡性前駆物質の沸点以下で行ってもよい。さらに、方法は、ガスが、例えば、小胞中に取り込まれるように、発泡性前駆物質の沸点で行われてもよい。低温の沸点を有する前駆物質の場合、液体前駆物質は、低温に冷却した微小流動化装置を使用して乳化されてもよい。沸点はまた、液体媒体中に溶剤を使用して液体形態の前駆物質を利用して、降下させてもよい。さらに、温度が全工程を通じて上昇し、それによって工程が発泡性前駆物質が液体として出発し、ガスで終わる、方法を行われてもよい。
発泡性前駆物質は、標的組織または体液中でインサイチュで、患者または動物に入ると直ぐ生体内で、使用前に、貯蔵中に、または製造中にガスを生成するように選択されてもよい。温度活性化発泡性前駆物質充填小胞を製造する方法は、発泡性前駆物質の沸点以下の温度で行われてもよい。この態様では、発泡性前駆物質は、相転移が製造中起こらないように、小胞内に取り込まれている。その代わり、発泡性前駆物質充填小胞は発泡性前駆物質の液相中で製造される。相転移の活性化は、温度が発泡性前駆物質の沸点を超えるいずれの時点でも起こってもよい。また、液体の発泡性前駆物質の液滴中の量が分かれば、ガス状態を維持しているときの小胞の粒径が決定されてもよい。
別法として、発泡性前駆物質を利用して、使用の前に予備形成される安定なガス充填小胞を作成してもよい。この態様では、発泡性前駆物質は、各発泡性前駆物質の液体−気体相転移温度以下の温度の脂質組成物を収容する容器に添加される。温度が上昇し、発泡性前駆物質と液体溶液との間にエマルジョンが形成されるにつれて、発泡性前駆物質は液体からガス状態への転移を受ける。この加熱およびガス生成の結果として、ガスは、液体混合物上のヘッドスペース中の空気と置き代わり、発泡性前駆物質のガス、周囲ガス(例えば、空気)を取り込むか、またはガス状態の発泡性前駆物質と周囲空気を共に取り込むガス充填小胞を形成する。この相転移は、造影剤の最適の混合および形成のために使用することができる。例えば、発泡性前駆物質、ペルフルオロブタンは脂質小胞中に取り込まれ、そして温度がペルフルオロブタンの沸点(4℃)以上に上がると、ペルフルオロブタン・ガスは小胞中に取り込まれる。
従って、発泡性前駆物質は、生体内でガス充填小胞を形成するように選択されともよいか、または製造工程の間、貯蔵中、または使用前の幾つかの時点で、シンサイチュでガス充填小胞を製造するように設計されてもよい。水槽、音波処理機またはシリンジのプランジャーを閉鎖した活栓に対して後方に引くことによる流体力学的活性化は、温度感受性発泡性前駆物質からの標的化ガス充填小胞をI.V.注射の前に活性化するために、使用されてもよい。
本発明のさらなる態様では、液体状態の発泡性前駆物質を水性エマルジョン中で予備形成することによって、ガス状態への転移が起こった時の小胞の最大の粒径を、理想気体の法則を使用して推定することができる。発泡性前駆物質からガス充填小胞を製造する目的のためには、気相は瞬間的に生成されると仮定され、そして新しく生成した小胞中のガスは、一般的に水性の性質である液体中への拡散のために、実質的には使い尽くされなかった。それ故、エマルジョン中の既知の液体容積から、ガス充填小胞の粒径の上限を予測することができる。
本発明の態様では、規定の粒径の液滴を含有する、脂質化合物および発泡性前駆物質の混合物は、特定温度、例えば、発泡性前駆物質の沸点に到達した時、液滴が規定の粒径のガス充填小胞に膨脹するように、製剤されてもよい。理想気体の法則は、溶液中へのガス拡散、ガスの大気中への損失、および高圧の効果のような要因を説明することができないから、規定の粒径は、実際の粒径の上限を表す。
液体から気体状態への転移の時の気体バルブの容積増加を計算するために利用できる理想気体の法則は次の通りである。
PV=nRT
式中、
Pは大気の圧力(atm)であり;
Vは容積(L)であり;
nはガスのモルであり;
TはKelvin度の温度(K)であり;
Rは理想気体定数(22.4L−atm/K−モル)である。
液体の混合物中の液体の容積、密度および温度が既知の場合、気体に変換するとき、既知容積の小胞中で膨脹する液体前駆物質の量、例えば、モル、および容積は計算されてもよい。膨脹時における、ガスのガス充填小胞中での瞬間的膨脹とガスの無視し得る拡散を仮定すれば、この計算容積はガス充填小胞の粒径についての上限を反映する。
従って、前駆物質液滴が球状である混合物中で液体状態の前駆物質が安定化されている場合、前駆物質液滴の容積は次式によって決定されてもよい。
V(球形小胞)=4/3πr3
式中、
rは球の半径である。
従って、容積が予測され、所望温度での液体の密度が既知であれば、液滴中の液体発泡性前駆物質の量は決定されてもよい。さらに記述的に示すと、次式を適用することができる。
ガス=4/3π(rガス3
理想気体の法則によって、
PV=nRT
置換すると、
ガス=nRT/Pガス
または、
(A)n=4/3[πrガス 3]P/RT
量n=4/3[πrガス 3]P/RT・MWn
となり、
液体容積に変換して、
(B)V液体==[4/3[πrガス 3]P/RT]・MWn・/D]
式中、Dは前駆物質の密度である。
液体液滴の直径について解くと、
(C)直径/2=[3/4π[4/3・[πrガス 3]P/RT]MWn/D]1/3
換算すると、
直径=2[rガス 3]P/RT[MWn/D]1/3
本発明の方法で使用される所望の粒径の小胞を製造するさらなる手段として、そして液体液滴の容積および特に半径の知見を用いて、適切には発泡性前駆物質微滴を適切な直径の球に分粒することができる。
代表的な発泡性前駆物質を使用して規定粒径、例えば10μmの直径の小胞を形成してもよい。この実施例では、小胞はヒトの血流中、従って典型的な温度は37℃または310Kで形成される。1気圧の圧力下で、(A)の式を使用して、10μm直径の小胞の容積を満たすには、7.54×10-17モルの発泡性前駆物質が必要である。
上記の計算量の発泡性前駆物質および、76.11の分子量、32.5℃の沸点、20℃での6.7789g/mL-1の密度を有する1−フルオロブタンを使用して、さらに計算すると、10μmの小胞のためには、この前駆物質の5.74×10-15gが必要であると予測される。さらに外挿し、そして密度の知見で用いて、式(B)からさらに、10μmの上限をもつ小胞を形成するには液体前駆物質の8.47×10-16mLが必要であることが予測される。
最後に、式(C)を使用して、10μmの上限の小胞を持つ発泡性前駆物質充填小胞を製造するためには、混合物、例えば、0.0272μmの半径、または0.0544μmの対応する直径をもつ液滴を含有するエマルションを生成させる。
この特定粒径のエマルションは適切な細孔径のフィルターを使用することによって、容易に達成することができる。さらに、規定粒径の発泡性前駆物質液滴を形成するのに必要なフィルターの孔径から分かるように、フィルターの孔径は考えられるいずれの可能な細菌汚染をも除去するに十分であるから、滅菌濾過としても使用することができる。
ガス充填小胞を製造するこの態様は、温度によって活性化されるすべての発泡性前駆物質に適用されてもよい。事実、溶媒系の凍結点の降下によって、0℃以下の温度で液体から気体への相転移を受ける発泡性前駆物質の使用が可能になる。溶媒系は、発泡性前駆物質の懸濁液のための媒体を提供するように選ばれることができる。例えば、緩衝食塩水中で混和できる20%ポリエチレングリコールは水単独の凍結点以下の凍結点降下を示す。ポリエチレングリコール量を増加すること、または塩化ナトリウムのような物質を添加することによって、凍結点はさらに降下させることができる。
適切な溶媒系の選択は物理学的方法によっても決定されてもよい。物質、固体もしくは液体、本明細書では溶質と呼ぶ、が例えば水を基材とする緩衝液のような溶媒中に溶解する場合、凍結点は溶液の組成に依存する量だけ降下する。Wallによって定義されたように、溶媒の凍結点の降下は次式によって説明することができる。
InXa=In(1−Xb)=ΔHfus/R(1/T0−1/T)
式中、
Xaは溶媒のモル分率であり;
Xbは溶質のモル分率であり;
ΔHfusは溶媒の融合熱であり;そして
0は溶媒の標準沸点である。
溶媒の標準凍結点は式を解くことによって得られる。XbがXaと比べて小さい場合、上記の式は次のように書き換えられてもよい。
b=ΔHfus/R[T−T0/T0T] ΔHfusΔT/R4T0 2
上記の式は、温度変化ΔTがT2に比し小さいと仮定する。溶質の濃度(溶媒の1000g当たりのモル)をモル濃度mで表現することによって、この式はさらに簡略化することができる。従って、式は次のように書き換えることができる。
b=m/[m+1000/ma] mMa/1000
式中、Maは溶媒の分子量である。
従って、分率Xbで置換して、
ΔT=[MaRT0 2/1000ΔHfus]m
またはΔT=Kf
式中、Kf=MaRT0 2/1000ΔHfus
fはモル凍結点であり、一気圧で水についてモル濃度の単位当たり1.86度に等しい。上記の式を使用して、発泡性前駆物質充填小胞の溶液のモル凍結点を正確に決定してもよい。
従って、上記の式を適用して、凍結点降下を推定し、溶媒凍結温度を適切な値に降下させるのに必要な液体もしくは固体溶質の適切な濃度を決定することができる。
温度活性化発泡性前駆物質充填小胞の製造方法には、
(a)発泡性前駆物質並びに、例えば、安定化物質、増粘剤および/または分散剤を含む所望の追加物質との混合物を渦巻き処理および/または振盪すること。この方法の任意の変法は、渦巻き処理または振盪前のオートクレーブすること;前駆物質の水性混合物を加熱すること;混合物/懸濁液を含有する容器をガス抜きすること;発泡性前駆物質充填小胞を振盪またはを自然に生成させ、そして発泡性前駆物質充填小胞の懸濁液を冷却すること、および発泡性前駆物質の水性懸濁液を約0.22μmのフィルターを通して押出すことをふくむ。別法として、濾過は、約0.22μmのフィルターが使用されるように、小胞の生体内投与の間に行われてもよい;
(b)発泡性前駆物質の水性混合物を撹拌によって乳化し、そして加熱して患者に投与する前に小胞を形成させるマイクロエマルジョン法;
(c)撹拌しながらまたは撹拌せずに混合物中の前駆物質を加熱して、低密度の発泡性前駆物質充填小胞は、膨脹および容器中の他の小胞と置き代わることによって、溶液の頂部に浮き、そして容器をガス抜きして空気を放出させること、および
(d)上記の方法のいずれかで、発泡性前駆物質の水性懸濁液を収容する封止容器を使用し、そして水性懸濁液を前駆物質相転移温度以下の温度に維持し、次いで任意には振盪しながら、オートクレブして相転移温度以上の温度まで上昇させるか、または発泡性前駆物質を自然に生成させ、封止容器中の膨脹した発泡性前駆物質が容器中で圧力を増加させ、そしてガス充填小胞懸濁液を冷却した後、振盪をおこなってもよいこと;が含まれる。
凍結乾燥は振盪式ガス徐添加法の前に水および有機物質を除去するのに有用である。乾燥ガス徐添加法は小胞から水を除去するのに使用してもよい。加温後の乾燥小胞(即ち、乾燥前)中に発泡性前駆物質を予備取り込みすることによって、発泡性前駆物質は膨脹して小胞に充満する。発泡性前駆物質はまた、それらが真空処理を受けた後、乾燥小胞を充填するのに使用することができる。乾燥小胞はゲル状態から液晶への温度以下の温度に保持されるから、乾燥室はガス状態にある発泡性前駆物質で徐々に充填されることができる。例えば、ペルフルオロブタンは、乾燥小胞を4℃(ペルフルオロブタンの沸点)で使用することができる。
温度活性化発泡性前駆物質充填小胞の製造する好適な方法は、脂質化合物を有する水性溶液を、発泡性前駆物質の存在下で、発泡性前駆物質のゲル状態から気体相への相転移温度以下の温度で、振盪することを含む。これは好適には、脂質のゲル状態から液晶状態への相転移温度以上の温度で行われる。次いで、混合物を、前駆物質が揮発して膨脹する、発泡性前駆物質の液体状態から気体状態への相転移温度以上の温度まで加熱される。次いで加熱を停止し、そして混合物の温度を発泡性前駆物質の液体状態から気体状態への相転移温度以下に降下させる。混合物の振盪は加熱工程中か、またはその後混合物を冷却させた後に行ってもよい。
発泡性前駆物質充填小胞を製造する他の方法は、例えば、脂質および発泡性前駆物質の水性溶液を振盪し、そして得られた発泡性前駆物質充填小胞を分離することを含むことができる。
通常の、従来技術の水性充填リポソームは、日常作業的に、それらを製造するのに使用される脂質の相転移温度以上の温度で形成されるから、それらはより柔軟であり、従って液晶状態で生物学的系で有用である。例えば、Szoka and Papahadjopulos,Proc.Natl.Acad.Sci.,1978,75,4194−4198を参照。反対に、本明細書に記載の好一定の適な態様従って製造された小胞は発泡性前駆物質充填であり、それはガス生成後の発泡性前駆物質が水性溶液より圧縮性でありそして迎合性であるから、より大きい柔軟性を与える。
本発明によって考えられた方法は、脂質を含む水性溶液をを温度活性化発泡性前駆物質の存在下で振盪することを規定している。好適には、振盪は、約30分内、好適には約20分内、さらに好適には約10分内のような短時間内に泡が生成するのに十分な力のあるものである。振盪は、微小乳化、微小流動化、スワーリング(渦巻き処理によるような)、左右または上下運動を含んでもよい。液体状態の発泡性前駆物質の添加の場合には、上記の振盪方法の外に超音波処理が使用されてもよい。さらに、異なった種類の運動を組み合わせてもよい。また、振盪は、水性脂質溶液を収容する容器を振盪することによってか、または容器自体を振盪することなく容器内の水性溶液を振盪することによって起こってもよい。さらに、振盪は手動または機械によって起ってもよい。使用してもよい機械的振盪機として、例えば、上記の機械的振盪機が挙げられ、Espe Capmix(Seefeld,Oberay Germany)が好適である。振盪を作り出す他の手段として、高速または高圧下で放出される発泡性前駆物質の作用が挙げられる。
上記の方法によれば、空気のようなガスもまた、局所周囲大気によって提供されてもよい。局所周囲大気は、密閉容器内の大気、並びに外部環境を含むことができる。別法として、例えば、ガスは、水性脂質溶液を有する容器中か、或いは空気以外のガスを提供するために水性脂質溶液自体中に注入または他の方法で添加されてもよい。空気より軽いガスは一般的に密閉容器中に添加され、他方空気より重いガスは密閉または非密閉容器に添加されることができる。従って、本発明は、発泡性前駆物質と空気および/または他のガスとの共取込みを含む。
それ故、発泡性前駆物質充填小胞は、一旦温度またはpHのようなかかる要因がガスの発生をもたらすように使用されてもよい宿主の組織への適用によって活性化されて、実質的に本明細書に記載のガス充填小胞と同一の方式で使用することができる。発泡性前駆物質が宿主の正常体温の近辺で液体から気体状態への相転移を受け、そして例えば、気体相への転移を受けるように宿主の生体内温度によって活性化されることは好適である。その他、I.V.注射の前の活性化は、例えば、熱的、機械的または光学的手段によって使用されてもよい。この活性化は、宿主組織が約37℃の正常温度を有するヒト組織であり、そして発泡性前駆物質が37℃近辺で液体から気体状態への相転移を受ける場合に起こることができる。
上記のように、脂質および/または小胞組成物は、これらの方法がガス徐添加工程の前または組成物内の温度感受性発泡性前駆物質の温度媒介変換の前に行われる場合、オートクレーブまたは無菌濾過によって滅菌されてもよい。別法として、安息香酸ナトリウム、第四アンモニウム塩、アジ化ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、アスコルビルパルミタート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、エチレンジアミン、モノチオグリセロール、安息香酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソリビン酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、および有機水銀塩のような一つまたはそれ以上の抗微生物剤および/または保存剤が、組成物の製剤中に含まれてもよい。かかる滅菌は、他の通常の手段、例えば、照射によって達成されてもよいが、安定化小胞が観血的状況下で、例えば、脈管内的にまたは腹腔内的に、画像形成するのに使用される場合に必要である。滅菌の適切な手段は、本開示に基づいて当業者には明らかである。
アルブミン小胞のような、タンパク質から製剤された小胞を含む小胞組成物(タンパク質カプセル封入化マイクロバブルと呼ぶ)は、種々の方法によって製造されてもよく、一旦本開示内容で武装した当業者には容易に明らかである。適切な方法として、例えば、Feinstein、米国特許第4,572,203号明細書、第4,718,433明細書および第4,774,958明細書、並びにCernyなど,米国特許第4,957,656号明細書に記載のものが挙げられ、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。タンパク質を基材とする小胞の製造のための上記の特許に記載された方法の一つが、タンパク質の溶液を音波処理を含む方法である。好適な形態では、出発物質は、熱変性可能な、水溶性の生物適合性タンパク質の水性溶液であってもよい。カプセル封入化タンパク質は好適には熱感受性であるので、それは音波処理の間に熱によって一部不溶性化されることができる。適切な熱感受性タンパク質には、例えば、アルブミン、ヘモグロビン、コラーゲンなどが含まれる。好適には、タンパク質はヒトタンパク質であり、ヒト血清アルブミン(HSA)がさらに好適である。HSAは無菌5%水溶液として市販されていて、それはタンパク質を基材とする小胞の製造で使用するのに適している。勿論、当業者には明らかであるように、アルブミン並びに熱変性できる他のタンパク質の他の濃度は使用して小胞を製造することができる。一般的に言えば、HSAの濃度は変化することができ、約0.1〜約25重量%の範囲内並びにその範囲のすべての組合せおよび副組合せであってもよい。タンパク質を基材とする小胞の製造のための一定の方法に関連して、タンパク質を希水溶液の形態で利用することは好適であってもよい。アルブミンの場合、約0.5〜約7.5重量%のアルブミンを含有する水溶液を利用することは好適であってもよく、約5重量%未満、例えば、約0.5〜約3重量%の濃度は好適である。
タンパク質を基材とする小胞は市販の装置を使用して製造されてもよい。例えば、Cernyなど、米国特許第4,957,656号明細書に開示されているような供給パーパレーション(perparation)操作法に関連して、Walker Stainless Equipment Co.(New Lisbon,WI)から市販されているステンレススチールのタンクおよびMilipore(Bedford,MA)から市販されているプロセスフィルターが使用されてもよい。
音波処理操作法は、熱交換器および流通音波処理容器を直列で使用してもよい。この種類の熱交換装置はITT Standard(Buffalo,NY)から入手してもよい。熱交換機は音波処理中の作業温度を維持し、温度調節は媒体の構成に依存して、約65℃〜約80℃の範囲内である。音波処理装置の振動周波数は広範囲、例えば、約5〜約40キロヘルツ(kHz)に亙って変わってもよく、大多数の市販の音波処理機は約10または20kHzで作業する。適切な音波処理装置として、例えば、Sonics & Materials,Inc.(Danbury,CT)から市販されている、フラッタ−チップト音波処理器ホーンを備えているSonics & Materials Vibra−Cellが挙げられる。音波処理器ハーンに掛けられる動力は、Sonics & Materials Vibra−Cell Model VL1500では、製造業者によって1〜10に目盛られた動力設定値の範囲内で変えることができる。中間の動力設定値、例えば、5〜9を使用することができる。振動周波数および適用される動力は、音波処理される液体中でキャビテーションを作り出すのに十分であることが好適である。供給流速は、約50ml/分〜約1000ml/分の範囲内、並びにその範囲内のすべての組合せおよび副組合せであってもよい。音波処理容器中の滞留時間は、約1秒〜約4分の範囲内であってよく、そして発泡性流体の添加速度は、毎分10立方センチメータ(cc)〜約100cc/分または供給速度の5%〜25%の範囲内、並びにその範囲内の組合せおよび副組合せであってもよい。
溶液の発泡、特に強い発泡を作り出すような方式で音波処理を行うことは好適であってもよい。一般的に言えば、強い発泡およびエアロゾル化は、高い濃度および安定性を有する造影剤を得るために重要である。発泡を促進するためには、音波処理器ホーンへの動力入力を増加させてもよく、そして方法は軽度の圧力下、例えば、約1〜約5psiで操作されてもよい。発泡は溶液の曇りの出現および生成した泡によって容易に検出されてもよい。
タンパク質を基材とする小胞の製造のための適切な方法はまた、物質を変性または固定するために、水溶液中のタンパク質またはタンパク質誘導体を物理的または化学的に変質させることを含む。例えば、タンパク質を基材とする小胞は、造影剤の形成の後または間に音波処理による加熱によって、HSAの5%水溶液から製造されてもよい。化学的変質は、タンパク質をグルテルアルデヒドのような二官能性アルデヒドと結合することによって、化学的に変性または固定することを含む。例えば、小胞は、タンパク質のg当たり0.25gの50%水性グルテルアルデヒドと、pH4.5で6時間反応させられてもよい。次いで、未反応のグルテルアルデヒドはタンパク質から洗浄し去ってもよい。
タンパク質を基材とする小胞の製造のための上記の技術のいずれでも、標的指向性リガンドは、一旦本開示内容で武装した当業者には明らかなように、小胞の形成の前、間または後に、タンパク質で取り込まれてもよい。
ポリマーから製剤された小胞を含む小胞組成物は、一旦本開示内容で武装した当業者には明らかなように、種々の方法によって製造されてもよい。模範的な方法として、例えば、界面重合法、相分離およびコアセルベート化法、多孔遠心分離的製造法、並びに溶媒蒸発法が挙げられる。ポリマーから小胞を製造するために、本発明に従って使用または改変されてもよい適切な方法として、Garnerなど、米国特許第4,179,546号明細書、Garner、米国特許第3,945,956号明細書、Cohrsなど、米国特許第4,108,806号明細書、特開昭62−286534号、英国特許第1,044,680号明細書、Kenagaなど、米国特許第3,293,114号明細書、Morehouseなど、米国特許第3,401,475号明細書、Wakters、米国特許第3,479,811号明細書、Waltaersなど、米国特許第3,488,714号明細書、Morehouseなど、米国特許第3,615,972号明細書、Bakerなど、米国特許第4,549,892号明細書、Sandsなど、米国特許第4,540,629号明細書、Sandsなど、米国特許第4,421,562号明細書、Sands、米国特許第4,420,442号明細書、Mathiowitzなど、米国特許第4,898,734号明細書、Lenckiなど、米国特許第4,822,534号明細書、Herbigなど、米国特許第3,732,172号明細書、Himmelなど、米国特許第3,594,326号明細書、Sommervilleなど、米国特許第3,015,128号明細書、Deasy,マイクロカプセル封入および関連する薬物製造法(Microencapsulation and Related Drug Processes)、第20巻、第9章、第195−240頁(Marcel Dekker,Inc.,N.Y.,1984)、Changなど,Canadian J.of Physiology and Pharmacology,Vol,44,pp.115−129(1966)、およびChang,Sciense,Vol.146,pp.524−525(1964)が挙げられ、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
好適な合成プロトコールによれば、小胞は、例えば、Garnerなど、米国特許第4,179,546号明細書、Garner、米国特許第3,945,956号明細書、Cohrsなど、米国特許第4,108,806号明細書、英国特許第1,044,680号明細書、および特開昭62−286534号に記載の方法のような熱膨脹法を使用して製造されてもよい。一般的な見地では、熱膨脹法は、それらの空隙(キャビティ)中に揮発性液体(発泡性前駆物質)を含有してもよい膨脹性ポリマーまたはコポリマーの小胞を製造することによって行われてもよい。次いで、小胞を加熱して小胞を可塑化し、そして揮発性液体をガスに変換して、小胞をそのの元の粒径の数倍まで膨脹させる。熱が除かれた時、熱可塑性ポリマーはその膨脹した形状の少なくとも幾らか保持する。この方法によって製造された小胞は特に低い密度になる傾向があり、従って好適である。上記の方法は当該技術分野では既知であり、低密度小胞を製造するための熱膨脹法と呼んでもよい。
熱膨脹法で有用なポリマーは当業者には容易に明らかであり、上記のモノマーの多くのポリマーまたはコポリマーを含む熱可塑性ポリマーまたはコポリマーを含む。上記のポリマーおよびコポリマーの中で好適なものは、以下のコポリマーを含む:ポリビニリデン−ポリアクリロニトリル、ポリビニリデン−ポリアクリロニトリル−ポリメチルメタクリレート、およびポリスチレン−ポリアクリロニトリルを含む。最も好適なポリマーはポリビニリデン−ポリアクリロニトリルである。
熱膨脹法で有用な揮発性液体はまた当業者には容易に明らかであり、そして脂肪族炭化水素、例えば、エタン、エチレン、プロパン、ベタン、イソブタン、ネオペンタン、アセチレン、ヘキサン、ヘプタン;クロロフルオロカーボン、例えば、CCl3F、CCl23、CClF3、CClF2−CCl22、クロロヘプタフルオロシクロブタン、および1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン;テトラアルキルシラン、例えば、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、およびトリメチルn−プロピルシラン;並びに上記のペルフルオロカーボンを含むペルフルオロカーボンが含まれる。一般的に、揮発性液体が、使用されているポリマーまたはコポリマーのための溶媒でないことが重要である。揮発性液体が、関与するポリマーまたはコポリマーの軟化点以下である沸点を有することはまた好適である。各種揮発性液体の沸点並びに各種ポリマーおよびコポリマーの軟化点は当業者には容易に確認できるものであり、そしてポリマーまたはコポリマーの適切な組合せは当業者には容易に明らかである。指導によって、そして当業者が認識しているように、一般的には揮発性液体の炭素鎖の長さが増加する程、その液体の沸点は上昇する。また、小胞を最終的な加熱および膨脹の前に水中で過酸化水素の存在下で軽く予備加熱すると、小胞は予備軟化されて、膨脹がさらに容易に起ってもよい。
例えば、合成ポリマーから小胞を製造するために、ビニリデンおよびアクリロニトリルを、イソブン液体の媒体中で、一つまたはそれ以上の上記の改良または未改良の文献の操作法を使用して、イソブタンが小胞内に取り込まれるように、共重合させてもよい。次いでかかる小胞を約80℃〜約120℃の温度に加熱すると、イソブタンは膨脹し、それは順に小胞を膨脹させる。加熱が除かれた後、膨脹したポリビニリデンおよびアクリロニトリルコポリマー小胞は実質的にそれらの膨脹した位置に固定されたまま残る。得られた低密度小胞は極めて安定で乾燥していて、水性媒体中に懸濁される。イソブタンは本明細書では、単に例示的な液体として使用される。これらの小胞の合成および加熱時の低密度小胞の形成に有用な温度で液体/気体転移を受ける他の液体が、イソブタンの代わりに用いられることができる。同様に、ビニリデンおよびアクリロニトリル以外のモノマーが小胞を製造するのに使用されてもよい。
一定の好適な態様では、合成ポリマーから製剤されそして本発明の法で使用されてもよい小胞は、EXPANCELL 551 DE(商標)マイクロスフィアーを含めて、Expancel,Nobel Industries(Sundsvall,Sweden)から市販されている。EXPANCELL 551 DE(商標)マイクロスフィアーは、その中にイソブタン液体を取り込んだビニリデンおよびアクリロニトリルのコポリマーからなっている。かかるマイクロスフィアーは乾燥組成物として販売され、約50ミクロンの粒径である。EXPANCELL 551 DE(商標)マイクロスフィアーは、水の密度の50分の1〜20分の1の範囲内であるわずか0.02〜0.05の比重を有する。
ポリマー基材とする小胞の製造のための上記の技術のいずれにおいても、標的指向性リガンドは、一旦本開示内容で武装した当業者には明らかであるよに、小胞の形成の前、間または後に、ポリマーで取り込まれてもよい。
液体および/または小胞組成物の製造に関して、多種類の技術が脂質製剤の製造のために利用できる。例えば、脂質および/または小胞製剤は、脂質化合物、生物活性剤およびガスまたは発泡性前駆物質の混合物から製造されてもよい。この場合、上記のように、組成物もまた生物活性剤を含む脂質組成物が製造される。従って、例えば、ミセルは生物活性剤の存在下で製造することができる。ガスを含む脂質組成物に関連して、製造方法は、例えば、ガスを、脂質化合物および一つまたはそれ以上の追加の物質の混合物中に直接に吹き込むことを含む。別法として、脂質組成物は脂質化合物およびガスまたは発泡性前駆物質から予備形成されてもよい。後者の場合、生物活性剤は使用前に脂質組成物に添加される。例えば、生物活性剤が添加されそして撹拌されてリポソーム製剤を与えるリポソームおよびガスの水性混合物が製造されてもよい。ガスおよび/または生物活性剤充填リポソーム小胞は一般的に水性溶液の頂部に浮上するから、リポソーム製剤は容易に単離することができる。過剰の生物活性剤は残余の水溶液から回収することができる。
当業者が認識しているように、脂質および/または小胞組成物および/または脂質および/または小胞製剤は貯蔵のために凍結乾燥され、そして例えば、水性媒体中(滅菌水、リン酸緩衝液、または食塩水)で激しい撹拌の助成によって再構成されてもよい。凍結乾燥の結果として脂質および/または小胞の凝集または融合を防止するために、かかる融合または凝集を発生から防止する添加物を含むことは有用であってもよい。有用であってもよい添加物として、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、トレハロース、ポリビニルピロリドンおよびポリ(エチレングリコール)(PEG)、例えば、PEG400が挙げられる。これらおよび他の添加物は、米国薬局方(U.S.Pharmacopeia),USP XXII,NF XVII,The United States Pharmacopeia,The National Formulary,United States Pharmacopeial Convention Inc.,12601 Twinbrook Parkway,Rockville,MD 20852のような文献に記載され、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。凍結乾燥製剤は一般的に長い貯蔵寿命の利点を有する。
上記のように、ガスおよび/または発泡性前駆物質充填小胞を含む本発明の組成物は、例えば、超音波画像形成法(US)、CT血管造影(CTA)画像形成法を含む計算機断層撮影(CT)画像形成法、磁気共鳴(MR)画像形成法、磁気共鳴血管造影法(MRA)、核医学光学的画像形成法およびエラストグラフィー法を含む診断用画像形成のための造影剤として有用である。
本発明によれば、患者の一つまたはそれ以上の部位を画像形成する方法が提供される。本発明はまた、患者中の疾患組織の存在または不在を診断する方法を提供する。本発明の方法は、患者に、脂質および/または小胞組成物の形態で造影剤を投与することを含む。患者を、例えば、超音波画像形成法を使用して走査して、患者の内部領域の可視画像を得る。この方法は、心臓部位、特に胃腸領域またはリンパ系の画像を提供するのに有用であるが、また、例えば、血管系を含む患者の他の内部部位を画像形成するのにさらに広く使用することができる。句、「胃腸領域」または「胃腸管」は、本明細書中で使用されるように、食道、胃、小腸と大腸、および直腸によって定義されるた患者の領域を含む。本発明はまた、患者の内部部位への生物活性剤の送達に関連して使用することができる。当業者が認識するように、本発明の脂質および/または小胞の投与は種々の方式、即ち、非経口的、経口的、腹腔内的に行うことができる。好適である非経口投与は以下の経路による投与を含む:静脈的;筋肉内的;間質的;動脈内的;皮下的;眼内的;滑液包内的;皮膚透過的を含む上皮透過的;吸入による肺的;眼的;舌舌的および舌下的;眼的を含む局所的;皮膚的;眼球的;直腸的;および通気による鼻吸入。非経口投与の経路のうち静脈投与が好適である。投与される有用な投与量および投与の特定方法は、年令、体重および特定の哺乳類と走査されるそれらの部位、並びに使用される特定の造影剤によって変る。典型的には、投与量は低い水準から始まり、そして所望のコントラスト増強が達成されるまで増加させる。脂質組成物の種々の組合せが、所望に応じて、粘度、浸透モル濃度(osmoarity)または嗜好性を含む特性を変えるのに使用されてもよい。本発明の画像形成法を行う場合、造影剤は単独、または診断薬、治療薬もしくは他の試薬と組合せて使用することができる。かかる他の試薬は香味剤または着色剤のような補助剤を含む。使用されるCTが造影剤形成法は慣用法であり、例えば、計算機人体断層撮影法(Computed Body Tomography),Lee,J.K.T.,Sagel,S.S.,and Stanley,R.J.編,1983年,Ravens Press,New York,N.Y.、特に題目「物理学的原理および計測機器」(“Physical Principles and Instrumentation”),Ter−Pogossian,M.M.および「技法」“Techniques”,Aronberg,D.J.に記載され、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
超音波およびCTのような診断的用途の場合、超音波エネルギーのようなエネルギーを、患者の少なくとも一部に適用して、標的組織を画像形成する。疾患組織の存在または不在が確認し得るような、患者の内部部位の可視画像が得られる。超音波に関して、第二調和画像形成法およびゲーテッド画像形成法を含む超音波画像形成法は当業者には既知であり、そして例えば、Unlendorf,「超音波コントラスト画像形成法の物理学:直線範囲での散乱」(“Physics of Ultrasoud Contrast Imaging:Scattering in the Linear Range”),IEEE Transaction on Ultrasonic,Ferroelectrics,and Frequency Control,Vol.14(1),pp.70−79(1994)およびSutherlandなど,「色彩ドップラー心筋画像形成法:心筋作用の評価のための新技術」(“Color Doppler Mycocardial Imaging:A New Technique for the Assessment of Mycocardial Function”),Journal of the American Society of Echocardiography,Vol.7(5),pp.441−458(1994)に記載され、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
超音波は診断的および治療的目的の両方のために使用することができる。診断的超音波法では、超音波および超音波のパルスの連続は変換器で適用されてもよい。超音波は一般的に、所望に応じて、連続的であってもよいが、それは連続的よりむしろパルス化されている。従って、診断用超音波は一般的に、エコーのパルスの適用を含み、その後、聴音期間の間、超音波変換器が反射信号を受け取る。倍音、超倍音または副倍音が使用されてもよい。2x周波数(xは寄生周波数である)が受信される第二倍音モードは有利的に使用されてもよい。これは、背景物質からの信号を減少させ、そして所望の部位、例えば、血餅に標的指向してもよい、本発明の標的化された造影剤を使用して変換器からの信号を増強する。奇数倍音信号、例えば、2xまたは5xのような他の調波信号は、この方法を使用して同様に受信される。副倍音信号、例えば、x/2およびx/3はまた受信され、画像形成するように加工されてもよい。
パルス法の外に、連続波超音波法、例えば、Power Dopplerが適用されてもよい。これは、堅い小胞、例えば、ポリメチルメタクリレートから製剤された小胞が使用される場合、特に有用であってもよい。この場合、Power Dopplerの比較的に高いエネルギーは小胞を共鳴させて、それらの破裂を促進してもよい。これは、副倍音または超倍音の範囲内にあるか、または適用された超音波と同一の周波数であってもよい音響エミションを作り出すことができる。この方法で解放された音響記号のスペクトルがあり、そして使用された変換器が音響エミションを受信して、例えば、血餅を検出してもよいことが考えられる。さらに、小胞破裂の方法は、血餅溶解を促進するために運動エネルギーを、例えば、血餅の表面に移転するのに使用されてもよい。従って、治療的血栓崩壊は、診断的および塗料的超音波法の組合せの間に達成されてもよい。Spectral Dopplerも使用されてもよい。一般的に、診断用超音波からのエネルギー水準は、小胞の破裂を促進しそして生物活性剤の放出および細胞摂取を助長するのに不十分である。上記のように、診断用超音波法は、一つまたはそれ以上の音波のパルスの適用を含んでもよい。パルス間のポーズによって、反射音波信号が受信され分析されることができる。診断用超音波法で使用されるパルスの数が少ないと、試験されている組織に送達される有効エネルギーが制限される。
高エネルギー超音波法、例えば、治療用超音波装置によって発生される超音波は一般的に、小胞種の破裂を起こすことができる。一般的には、治療用超音波法のための装置は、超音波で治療される組織の区域に依存して、約10〜約100%使用率で使用する。大量の筋肉塊、例えば、背部および大腿部、並びに心臓組織のような高血管化組織を特徴とする身体の区域は、大きい使用率、例えば、約100%までを必要としてもよい。
治療用超音波では、高エネルギー水準を送達するのに連続波超音波が使用される。小胞の破裂のためには、音波エネルギーがパルス化されてもよいが、連続波超音波が好適である。パルス化音波エネルギーが使用される場合、音波は一般的は、一回に約8〜約20またはそれ以上のパルスのエコー列長さでパルス化される。好適には、エコー列長さは一回に約20パルスである。さらに、使用される音波の周波数は約0.025〜約100メガヘルツ(MHz)の範囲内で変化してもよい。一般的には、治療用超音波法のための周波数は好適には、約0.75〜約3MHzの範囲内であり、約1〜約2MHzが好適である。さらに、エネルギー水準は、約0.5ワット(W)/平方センチメータ(cm2)〜約5.0W/cm2で変化してもよく、約0.5W/cm2〜約2.5W/cm2の範囲内のエネルギ水準が好適である。高熱を含む治療的超音波法のためのエネルギー水準は一般的には、約5W/cm2〜約50W/cm2の範囲内である。極めて小さい小胞、例えば、約0.5μm未満の直径を有する小胞の場合、音波の高い周波数が一般的に好適である。これは、小さい小胞は、高い周波数の音波の場合よりももっと有効に音波エネルギーを吸収することができるからである。極めて高い周波数、例えば、約10MHzを越える周波数が使用される場合、音波エネルギーは一般的に流体および組織を浅い深度までしか貫通しない。従って、音波エネルギーの体外適用は、皮膚および他の表面組織に適してもよい。しかし、超音波エネルギーが好適には焦点域内に向けられるように、超音波エネルギーの焦点を合わせることは、深くの構造には一般的に必要である。別法として、超音波エネルギーは、間質プローブ、脈管内超音波カテーテルまたは管腔内カテーテルによって適用されてもよい。かかるプローブまたはカテーテルは、例えば、食道中で、食道癌腫の診断および/または治療のために使用されてもよい。上記の治療的使用の外に、本組成物は、食道癌腫と関連してかまたは冠状動脈中でアテローム性動脈硬化症のために、並びに、例えば、米国特許第5,149,319号明細書(その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている)に記載の治療的使用として使用することができる。
超音波の2つの周波数を使用する治療用超音波装置が使用されてもよい。第一の周波数はxであってもよく、そして第二の周波数は2xであってもよい。好適な形態では、装置は、第一および第二の周波数の焦点域が単一の焦点域に集中するように設計されてもよい。装置の焦点域は、標的組織内の標的化組成物、例えば、標的化小胞組成物に向けられてもよい。この超音波装置は、xおよび2x周波数の超音波エネルギーの同時適用のよる第二倍音療法を提供してもよい。小胞を含む超音波法の場合、この第二倍音療法は、単一周波数を含む超音波エネルギーと比較して、小胞の改善された破裂を提供することが考えられる。また、好適な周波数の範囲が小胞の基本倍音周波数内にあることが考えれる。この装置で低エネルギーも使用されてもよい。上記の第二倍音療法と関連して使用されてもよい超音波装置は、例えば、Kawabata,K.など,Ultrasonics Sonochemistry,Vol.3,pp.1−5(1996)に記載され、その全開示内容は引用することによって本明細書中に取り込まれている。
安定化小胞の所望水準を形成するのに要する脂質の濃度は、使用する脂質の種類によって変わり、そして日常的な実験によって容易に決定されてもよい。例えば、好適な態様では、本発明の方法に従って安定化小胞を形成するのに使用される1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPE)は、食塩水溶液の約0.1mg/ml〜約30mg/ml、さらに好適には約0.5mg/ml〜約20mg/ml、最も好適には約1mg/ml〜約10mg/mlである。好適な態様で使用されるジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)は、食塩水溶液の約0.1mg/ml〜約30mg/ml、さらに好適には約0.5mg/ml〜約20mg/ml、最も好適には約1mg/ml〜約10mg/mlである。患者に投与される組成物の量は変えることができる。典型的には、IV投与量は、70Kg患者の場合約10ml未満であってもよく、それ以下の投与量が好適である。
上記の方法に外に、標的化造影剤を製造する他の態様は、少なくとも1種の生物適合性脂質および発泡性前駆物質を合併すること;ガス充填小胞が生成するまで撹拌すること;標的指向性リガンドが前記ガス充填小胞に共有結合または非共有結合によって結合するように、標的指向性リガンドを前記ガス充填小胞に添加すること;およびガス充填小胞および標的指向性リガンドを含んでなる造影剤が生成するまで撹拌することを含んでなる。標的指向性リガンドを添加する前にガス充填小胞が生成するまで撹拌するよりむしろ、発泡性前駆物質は使用時まで発泡性前駆物質で残ってもよい。即ち、発泡性前駆物質は造影剤を製造するのに使用され、そして前駆物質は生体内で、例の温度によって活性化される。
別法として、内皮細胞が標的化された造影剤を製造する方法は、少なくとも1種の生物適合性脂質および標的指向性リガンドを、標的指向性リガンドが前記脂質に共有結合または非共有結合によって結合するように合併すること、発泡性前駆物質を添加すること、およびガス充填小胞および標的指向性リガンドを含む造影剤が生成するまで撹拌することを含んでなる。さらに、発泡性前駆物質は添加され、そして使用時まで発泡性前駆物質として残ってもよい。即ち、発泡性前駆物質は、発泡性前駆物質充填小胞および生体内で使用のために生成する標的指向性リガンドを有する造影剤を製造するのに使用される。
別法として、発泡性前駆物質は、使用前に予備形成される標的指向性リガンドを持つ安定なガス充填小胞を作り出すのに使用されてもよい。この態様では、発泡性前駆物質および標的指向性リガンドは、懸濁媒体および/または安定化媒体を収容する容器に、各々の発泡性前駆物質の液体−気体相転移温度以下の温度で添加される。温度が超過しそして発泡性前駆物質と脂質溶液との間にエマルジョンが生成するにつれて、発泡性前駆物質は液体から気体状態への転移を受ける。この加熱およびガス形成の結果として、ガスは、脂質懸濁液上のヘッドスペース中の空気に取って代り、発泡性前駆物質のガス、周囲ガス例えば、空気を取り込むか、或いはガス状態の発泡性前駆物質および周囲空気を共に取り込んでいるガス充填脂質球を形成する。この相転移は、造影剤の最適な混合および安定化のために使用することができる。例えば、発泡性前駆物質、ペルフルオロブタン、は生物適合性脂質またはたの安定化化合物中に取り込まれことができ、そして温度が4℃(ペルフルオロブタンの沸点)以上に上昇するにつれて、フルオロブタンを取り込んだ安定化化合物が生成する。追加の例として、発泡性前駆物質フルオロブタンは、乳化剤およびグルセロールまたはプロピレングリコールのような安定化剤を含有する水性懸濁液中に懸濁され、そして市販の渦巻き処理機上で渦巻き処理されることができる。渦巻き処理は、発泡性前駆物質が液体である低い温度で始められ、そして試料の温度が液体から気体状態への相転移温度以上に上昇するまで続けられる。そうすると、前駆物質はマイクロエマルジョン化工程中に気体状態に転化する。適切な安定化剤が存在すると、驚くべきことに、安定なガス充填小胞および標的指向性リガンドが生成する。
従って、発泡性前駆物質は、生体内でガス充填小胞を形成するように選ばれてもよいか、或いはその場でガス充填小胞を、製造工程中、貯蔵中または使用すこし前に製造するように設計されてもよい。
一旦本開示内容で武装された当業者によって理解されるように、出発物質として使用される脂質、タンパク質、ポリマーおよび他の安定化化合物、または小胞最終生成物は、本発明によって考えれた方法で処理される前または後に操作されてもよい。例えば、生物適合性脂質のような安定化化合物は水和され、次いで凍結乾燥され、凍結および融解サイクルによって処理されるか、単に水和されてもよい。好適な態様では、脂質は、発泡性前駆物質充填小胞の形成の前に、水和され次いで凍結乾燥されるか或いは、水和され次いで凍結および融解のサイクルによって処理され、次いで凍結乾燥される。
本発明によって考えられた方法によれば、空気のようなそしてそれに限定されないが、ガスの存在は、局所周囲雰囲気によって提供されてもよい。局所周囲雰囲気は、内部環境であってもよい封止容器または非封止容器内の雰囲気であってもよい。その他、例えば、ガスは、水性脂質溶液を有する容器中または水性脂質溶液自体中に注入または他の方法で添加されて、空気以外のガスを提供してもよい。空気より重くないガスは密閉容器に添加されてもよく、他方空気より重いガスは密閉または非密閉容器に添加されてもよい。従って、本発明は、空気および/またはその他のガスを発泡性前駆物質と一緒に共取り込みすることを含む。
安定化化合物を扱った節に既に記載されたように、本発明によって考えられた好適な方法は、使用する脂質のゲル状態から液晶状態への相転温度以下の温度で行われる。「ゲル状態から液晶状態への相転温度」は、脂質二重層がゲル状態から液晶状態に転化する温度を意味する。例えば、Chapmanなど,J.Biol.Chem.1974,249,2512−2521を参照。
それ故、上記の安定化小胞前駆物質は、一旦温度またはpHのような要因がガスの発生を起こすように使用されてもよい宿主の組織への適用によって活性化されて、本発明中で使用される他の安定化小胞と同一の方法で使用されることができる。この態様は、発泡性前駆物質が前記宿主の正常な体温の近辺で液体から気体状態への相転移を受け、そしてその中の気体相への転移を受けるように前記宿主組織の温度によって活性化されるものであることは好適である。さらに好適には、この方法は、宿主組織は約37℃の正常温度を有するヒト組織であり、そして発泡性前駆物質が37℃近辺で液体から気体状態への転移を受けるものである。
本発明で使用される安定化ガス充填小胞の製造を含む上記の態様のすべては、これらの方法がガス徐添加の前かまたは懸濁液内での温度感受性発泡性前駆物質の温度媒介ガス転化の前に行われる場合、オートクレーブまたは無菌濾過によって滅菌されてもよい。別法として、一つまたはそれ以上の抗バクテリア剤および/または保存剤、例えば、安息香酸ナトリウム、すべての第四級アンモニウム塩、ナトリウムアジド、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、アスコルビルパラミタート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、エチレンジアミン、ものチオグリセロール、安息香酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、および有機水銀塩は造影剤の製剤中に含まれてもよい。照射によるような他の通常の手段によって達成されてもよいかかる滅菌は、安定化マイクロスフィアーが、観血的状況下、例えば、脈管内的または腹腔内的に画像形成するために使用される場合に必要である。滅菌の適切な手段は、安定化ガス充填小胞およびそれらの使用についての本記載によって教示された当業者には明らかである。造影剤は一般的に水性懸濁液として貯蔵されるが、乾燥小胞または乾燥脂質球の場合は、使用前に容易に再構成される乾燥粉末として造影剤は貯蔵されてもよい。
本発明の新規な組成物およびとくに小胞組成物は、診断用画像形成での造影剤として有用であり、そして診断用画像形成が使用されるすべての区域での使用に適している。しかし、安定化小胞は特に灌流画像形成に有用である。
診断用画像形成は患者の体内部位を可視化する手段である。診断用画像形成として、例えば、超音波法(US)、磁気共鳴画像形成法(MRI)、核磁気共鳴法(NMR)、計算機断層撮影法(CT)、電子スピン共鳴法(ESR)、造影剤が放射性物質を含む場合の核医学、および特に蛍光造影剤を用いる光学的画像形成法が挙げられる。診断用画像形成法はまた、本発明の方法によって小胞の破裂を促進することを含む。例えば、超音波法は、小胞を可視化しそして一定の組織中への小胞の局在を確認するのに使用されてもよい。さらに、超音波法は、組織および/または受容体目標を含む意図された標的に達した際に小胞の破裂を促進し、生物活性剤および/または診断剤を解放するのに使用されてもよい。
本発明によれば、患者を全体的に画像形成する方法および/または患者中の疾患組織の存在を特定的に診断するする方法が提供される。本発明の画像形成法はは、患者に本発明の造影剤を投与し、次いで、例えば、超音波法、計算機断層撮影法、および/または磁気共鳴画像形成法を使用して患者を走査して、患者の内部部位またはその部位のいずれの疾患組織もの可視画像を得ることによって行われてもよい。患者の部位とは、患者全体または患者の特定区域もしくは部分を意味する。造影剤は特に、組織、例えば、心筋、内皮および/または上皮組織、並びに胃腸および心臓血管部位の画像を提供するのに有用であってもよいが、またさらに広く、例えば、血管系または当業者に容易に明らかなような他の法で使用することができる。心臓血管部位は、この句が本明細書で使用されるように、心臓によって規定された患者の部位および心臓に直接に出入りする血管系を表す。句、血管系は、本明細書で使用されるように、体内または身体の器官もしくは部分中の血管(動脈、静脈など)を表す。患者は哺乳類のいずれの種類でもあることができるが、ヒトがもっとも好適である。
本発明はまた疾患組織の存在を診断する方法を提供する。疾患組織として、例えば、疾患組織を保持する血管系から生成する内皮組織が挙げられる。結果として、正常な状況下では内皮組織と付随しない患者の部位への内皮組織の局在および可視化は、部位中の疾患組織の指示を提供する。
本発明の磁気共鳴画像形成法を行う場合、造影剤は、単独または他の診断的、治療的もしくは他の試薬との組合せで使用することができる。かかる他の試薬として、香味物質または着色物質のような補助剤が挙げられる。使用される磁気共鳴画像形成法は通常のものであり、そして、例えば、D.M.Kean and M.A.Smith,磁気共鳴画像形成法:原理および応用(Magnetic Resonance Imaging:Princiles and Applications),(William and Wilkins,Baltimore 1986)に記載されている。考えられたMRI法として、それらの限定されないが、核磁気共鳴法(NMR)および電子スピン共鳴法(ESR)が挙げられる。好適な画像形成法の様相はNMRである。
本発明はさらに以下の実施例で説明される。実施例1〜8、13〜15、20〜22、27、28、42、43〜45および47〜48は実際の実施例であり、実施例9〜12、16〜19、23〜26、29〜41および49〜59は予言的な実施例である。実施例46は実際的(一部)および予言的(一部)の両方である。実施例は本発明の説明の目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
実施例
実施例1
この実施例は、以下の式を有するN,N′−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N,N′−ジメチル−N−N′−エチレンジアミン四ヨウ化物(EDTA−HA−TMA四ヨウ化物)の製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.N,N′−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−エチレンジアミン−N,N′−二酢酸(EDTA−HA)の製造
Figure 0004215820
乾燥メタノール(30ml)中のエチレンジアミン四酢酸二無水物(2.56g、0.01モル)および乾燥メタノール(60ml)中のヘキサデシルアミン(4.82g、0.02モル)を合併し、50℃で6時間撹拌した。得られた白色の固体を濾過によって単離し、室温で真空下で乾燥して、3.43g(64%)のEDTA−HAを得た。
IR:3320cm-1(OH)、1670cm-1(C=O(カルボニル))。
B.N,N′−ビス−(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N′−(β−N,N−ジメチルアミノ−エチルアミノカルボニルメチレン)エチレンジアミン(EDTA−HA−DMA)の製造
Figure 0004215820
ステップAからのEDTA−HA(3.69g、0.005モル)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(0.88g、0.01モル)およびCHCl3(100ml)の冷却された(5℃)溶液に、CHCl3(20ml)中のDCC(2.227g、0.011モル)の溶液を滴下した。得られたエマルジョンを室温で約24時間撹拌し、濾過した。濾液を0.5%酢酸(100ml)で洗浄して、いずれの過剰のDCCも分解した。二層に分離した白色のミルク状の溶液を認めた。低い有機層を一晩乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮して、3.81gのEDTA−HA−DMAを柔らかい固体として得た。
IR:3280cm-1、2900cm-1、1640cm-1、1530cm-1
C.EDTA−HA−TMA四ヨウ化物の製造
ステップBからのEDTA−HA−DMA(4.22g、4.77ミリモル)、ヨードメタン(3.41g、24ミリモル)およびエタノール(30ml)を合併し、2時間還流した。反応混合物を濃縮し、残渣を一晩凍結乾燥した。4.98gの表題生成物(EDTA−HA−TMA四ヨウ化物)を黄色の固体として得た。
IR:3260cm-1、1650cm-1
実施例2
この実施例は、以下の式を有するN,N′−ビス(ヘキサデシルオキシカルボニルメチレン)−N−(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N−メチル−N′−(カルボキシメチレン)エチレンジアミン二ヨウ化物(EDTA−HAL−DMA二ヨウ化物)の製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.N,N′−ビス−(ヘキサデシルオキシカルボニルメチレン)−エチレンジアミン−N,N′−二酢酸(EDTA−HAL)の製造
Figure 0004215820
ヘキサデシルアルコール(4.84g、0.02モル)、乾燥ジメチルホルムアミド(20ml)、乾燥トリエチルアミン(3.3g)およびエチレンジアミン四酢酸二無水物(2.56g、0.01モル)を合併し、50℃で2時間撹拌した。反応混合物を冷水(200ml)中に注ぎ込み、得られた水性混合物をHClで酸性化した。得られた白色の沈殿を濾過によって単離し、濾過ケーキを水で洗浄した。白色の固体をエタノールから再結して、7gのEDTA−HALを得た。融点103℃。
B.N,N′−ビス(ヘキサデシルオキシカルボニルメチレン)−N−(β−N−ジメチルアミノエチルアミノカルボニル)−N′−酢酸(EDTA−HAL−DMA)の製造
Figure 0004215820
ステップAからのEDTA−HLA(3.70g、0.005モル)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(1.598g、0.0175モル)およびCHCl3(100ml)の冷却された(5℃)溶液に、CHCl3(20ml)中のDCC(3.60g、0.0175モル)の溶液を滴下した。沈殿が生成し、反応混合物を室温で約24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を0.5%酢酸(100ml)で洗浄していずれの過剰のDCCも分解した。二層に分離した白色のミルク状の溶液が生成した。底部の有機層を乾燥し、真空中で濃縮して、3.85gのEDTA−HAL−DMAを粘性な液体として得た。
C.EDTA−HAL−DMA二ヨウ化物の製造
ステップBからのEDTA−HAL−DMA(2.36g、0.0027モル)、ヨードメタン(3.81g)およびエタノール(50ml)を合併し、2時間還流した。溶液を真空中で濃縮し、得られた残渣を一晩凍結乾燥した。2.96gの表題化合物(EDTA−HAL−DMA二ヨウ化物)をやや黄色の固体として得た。
実施例3
この実施例は、以下の式を有するN,N′−ビス(ヘキサデシルオキシカルボニルメチレン)−N−(β−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N−メチル−N′−(カルボキシメチレン)エチレンジアミン二ヨウ化物(EDTA−HAL−DMA二ヨウ化物)の製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.N,N′−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−エチレンジアミン−N,N′−の二酢酸(EDTA−HA)の製造
Figure 0004215820
乾燥メタノール(60ml)中のヘキサデシルアミン(4.82g、0.02モル)を、乾燥メタノール(30ml)中のエチレンジアミン四酢酸二無水物(2.56g、0.01モル)の懸濁液に添加した。混合物を50℃で6時間撹拌した。得られた白色固体の沈殿を濾過によって単離し、室温で真空中で乾燥して、3.43g(64%)のEDTA−HAを得た。融点156−158℃。
IR:3320cm-1(OH)、1650cm-1(−C(=O)−)。
B.N,N′−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N′−ビス(β−N,N,−ジメチルアミノエチルアミノカルボニルメチレン)エチレンジアミン(EDTA−HA−DMA)の製造
Figure 0004215820
ステップAからのEDTA−HA(3.69g、0.005モル)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(0.88g、0.01モル)およびCHCl3(100ml)の冷却した(5℃)溶液に、CHCl3(20ml)中の1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(2.227g、0.011モル)の溶液を滴下した。沈殿を認め、反応混合物を室温で約24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を0.5%酢酸(100ml)で洗浄して、いずれの過剰のDCCも分解した。二層に分離した白色のミルク状の溶液が生成した。底部の有機層を乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮して、3.81gのEDTA−HA−DMAを柔らかい固体として得た。
IR:3280cm-1、2900cm-1、1640cm-1、1530cm-1
C.EDTA−HA−DMA二ヨウ化物の製造
ステップBからのEDTA−HA−DMA(4.2g、4.77ミリモル)、ヨードメタン(3.41g、24ミリモル)およびエタノール(30ml)の溶液を2時間還流した。エタノール性溶液を真空中で濃縮して、得られた残渣を一晩凍結乾燥した。3.98gの表題化合物(EDTA−LA−DMA二ヨウ化物)を黄色の固体として得た。
IR:3260cm-1、1650cm-1
実施例4
この実施例は以下の式を有するDPGS−PEG−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valの製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.N−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−スクシニル)−スクシンイミド(N−DPGS)の製造
Figure 0004215820
DCC(20.6mg)およびアセトニトリル(10ml)の冷却した(0〜5℃)溶液に、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−スクシナート(Avanti Polar Lipid,Alabaster,AL)(66.8mg)、N−ヒドロキシスクシンイミド(11.5mg)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(2mg)およびアセトニトリル(40ml)の溶液を滴下した。反応混合物を5時間撹拌し、得られた固体を濾過によって除去した。濾液を真空中で濃縮して、78mgのN−DPGS−スクシンイミドを白色の生成物として得た。
B.3−ω−カルボキシ−ポリエチレングリコールイミノスクシナート−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール(DPGS−ω−カルボキシ−PEG)の製造
Figure 0004215820
CHCl3(20ml)中のω−アミノ−ω′−カルボキシ−ポリエチレングルコール(Shearwater Polymers,Huntsville,AL)(0.3g)およびトリエチルアミン(40mg)の冷却した(0〜5℃)溶液に、CHCl3(20ml)中のステップAからのN−DPGS−スクシンイミド(78mg)の溶液を滴下した。得られた溶液を10℃で約5時間撹拌し、一晩放置した。反応混合物を氷水中に注ぎ込み、10%HClで3未満のpHに酸性化した。有機層を単離し、水で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。濾過し、真空中で濃縮して、0.34gのDPGS−ω−カルボキシ−PEGを白色の固体として得た。
C.3−スクシナモイルオキシカルボニル−ポリエチレングルコール−イミノ−スクシナート−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール(DPGS−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド)の製造
Figure 0004215820
アセトニトリル(10ml)中のDCC(12mg)の冷却した(0〜5℃)溶液に、ステップBからのDPGS−ω−カルボキシ−PEG(200mg)、N−ヒドロキシスクシンイミド(6mg)およびジメチルアミノピリジン(2mg)の溶液を添加した。得られた反応混合物を5時間撹拌した。生成した白色の固体を濾過によって反応混合物から除去し、濾液を真空中で濃縮した。DPGS−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミドを白色の固体(200mg)として得た。
D.DPGS−PEG−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val複合物の製造
pH8.5の緩衝液(20ml)中のペプチドLys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val(5mg)の冷却した(0〜5℃)溶液に、アセトニトリル(0.1ml)中のステップCからのDPGS−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド(40mg)の溶液を滴下した。得られた反応混合物を室温で約48時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、無機塩を約1,000の分子量カットオフを有する膜を通して透析し、凍結乾燥器で乾燥した。表題化合物(DPGS−PEG−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val)を白色の固体(24mg)として得た。
実施例5
この実施例は以下の式を有するDPPE−PEG−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valの製造を目的とする。
Figure 0004215820
式中、「ペプチド」は−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valである。
A.ω,ω′−ジメチレンカルボキシ−ポリエチレングルコール無水物の製造
Figure 0004215820
CHCl3(5ml)中のクロロスルホニルイソシアナート(14.2mg)の冷却した(0〜5℃)溶液に、CHCl3(20ml)中のω,ω′−ジメチレンカルボキシ−ポリエチレングルコール(0.34g)およびトリエチルアミン(20mg)の溶液を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、氷水中に注ぎ込むだ。有機層を単離し、乾燥した(Na2SO4)。有機層を濾過し、真空中で濃縮して、表題無水物化合物を白色の固体(0.2g)として得た。
B.1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン−N−カルボニルメチレン−ω′−カルボキシ−ポリエチレングルコール(DPPE−ω−カルボキシ−PEG)の製造
Figure 0004215820
CH2Cl2(10ml)中のステップAからの無水物化合物(0.3g)の冷却した(0〜10℃)溶液に、CH2Cl2(15ml)中のDPPE(0.07g)およびトリエチルアミン(0.05g)の溶液を添加した。得られた反応混合物を一晩撹拌し、氷水中に注ぎ込み、10%HClで3未満のpHに酸性化した。有機層を単離し、乾燥した(Na2SO4)。有機層を濾過し、真空中で濃縮して、0.45gのDPPE−−ω−カルボキシ−PEGを暗白色の固体として得た。
C.1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン−N−カルボニルメチレン−ポリエチレングルコール−スクシンイミド(DPPE−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド)の製造
Figure 0004215820
アセトニトリル(2ml)中のDCC(3mg)の冷却した(0〜5℃)溶液に、アセトニトリル(5ml)中のステップBからのDPPE−ω−カルボキシ−PEG(60mg)、N−ヒドロキシ−スクシンイミド(1.8mg)およびジメチルアミノピリジン(0.2mg)の溶液を添加した。得られた混合物を0〜5℃で3時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。生成した固体を濾過によって除去し、濾液を真空中で濃縮して、60mgのDPPE−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミドを得た。
D.DPPE−PEG−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val複合物の製造
pH8.5の緩衝液中のLys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val(5mg)の冷却した(0〜5℃)溶液に、アセトニトリル(10ml)中のDPPE−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド(40mg)を滴下した。得られた混合物を室温で約48時間撹拌した。アセトニトリルを真空中で除去し、無機塩を約1,000の分子量カットオフを有する膜を通して透析した。凍結乾燥して、35mgの表題化合物(DPPE−PEG−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val)を白色の固体として得た。
実施例6
食塩水、プロピレングルコールおよびグリセロール(8:1:1)の溶液に、DPPC、DPPE−PEG500およびDPPA(82:8:10のモル比)を添加した。得られた混合物を約45℃に加熱し、濾過した(0.22μm)。濾過混合液をバイアル中に入れ、室温まで冷却させた。バイアルを真空下に入れて、いずれのガスも真空排気した後、バイアルをPFPで加圧した。次いで、バイアルを封止し、振盪器上に置き、室温で撹拌して、約2.5μmの平均直径を有するPFP充填小胞の溶液を得た。
実施例7
この実施例は本発明の範囲内の標的化小胞の製造を目的とする。
実施例5に記載の操作法を使用して、GPIIbIIIa結合ペプチド(Integrated Biomolecule Corporation,Tucson,AZ)を、DPPE−PEG3400に共有結合させた。次いで、このペプチド複合物を、DPPC(82モル%)、DPPE−PEG5000(8モル%)およびDPPA(8モル%)の乾燥脂質混合物と合併した。この混合物をを水和し、Labconco Lyph−Lock12凍結乾燥機(Kansas City,MO)で凍結乾燥した。凍結乾燥した物質を、8:1:1の正食塩水:プロピレングリコール:グリセロール中に、1mg/mlの濃度で再懸濁させた。この混合物のアリコートを2mlのWheatonバイアル(Millville,NJ)中に入れ、蓋をして、ヘッドスペースをペルフルオロブタン・ガス(Flura,Newport,TN)に置き換えた。バイアルを撹拌して、GPIIbIIIa受容体に対して標的化された小胞組成物を得た。
実施例8
この実施例は、実施例6および7で製造した小胞組成物を使用するペプチド結合実験の説明を含む。
非ヘパリン化ヒト血液をVacutainer管(Becton Dickinson,Rutherford,NJ)中に入れ、凝固させた。血餅をBeckman TJ−6遠心分離機(Palo Alto,CA)で遠心分離して収集した。次いで、血餅を、正に電荷した顕微鏡スライド(Fisher Scientific,Pittsburgh,PA)上に置いた。9枚のスライドを凝固血液で被覆した。6枚の未被覆スライドも対照として使用した。次いで、結合試験は、以下の通りに、上記のスライドに実施例6および7からの小胞組成物(200μl)を塗布することによって行った:(A)血餅単独(対照);(B)実施例6からの小胞組成物、血餅なし;(C)実施例6からの小胞組成物、血餅有り;(D)実施例7からの小胞組成物、血餅なし;および(E)実施例7からの小胞組成物、血餅有り。スライドを20分間インキュベートし、次いで未結合物質をリン酸緩衝食塩水を使用して洗浄し去った。次いで、スライドをNikon Diaphot(Tokyo,Japan)顕微鏡を使用して観察した。結果を以下の表中に示す。
Figure 0004215820
上記の表から分かり得るように、結合は、GPIIbIIIa標的指向性ペプチドを含有する、実施例7で製造した小胞組成物を用いた場合だけ認められた。
実施例9
この実施例は、GPIIbIIIa受容体に対して向けられる標的指向性リガンドを有する、ヒト血清アルブミンを基材とする小胞の製造を目的とする。
容器中に、5%ヒト血清アルブミンの懸濁液を入れる。懸濁液を連続真空下で脱気し、国際公開第95/29705号明細書(引用することによって開示内容は本明細書中に取り込まれている)の記載そのままの通りに、ペルフルオロプロパン・ガスのヘッドスペースを導入する。得られたガス充填アルブミン小胞を、正食塩水による洗浄の反復によって、いずれの遊離アルブミンからも分離する。ガス充填小胞を正食塩水:プロピレングルコール:グリセロール(6:2:2、v:v:v)の混合物中に再懸濁させ、そして懸濁液を静かに混合する。この懸濁液に1%グルタルアルデヒドおよび1重量%のペプチドLys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valを添加して、GPIIbIIIa結合ペプチドを有する架橋化ペルフルオロプロパン小胞が生成する。
実施例10
この実施例は、GPIIbIIIa受容体に対して標的化された重合性アクリル/スチリル脂質類似物結合標的指向性リガンドによって安定化された小胞の製造を目的とする。
12−ヒドロキシドデカン酸を、メタクリロイルクロリドでエステル化し、そのエステルを無水物に転化して、12−(メタクリロイルオキシ)ドデカン酸無水物を得る。卵レシチンから誘導されたL−α−グリセロホスホコリンを、12−(メタクリロイルオキシ)ドデカン酸無水物でアシル化して、ビス[12−(メタクリロイル)オキシドデカノイル]−L−α−ホスファチジルコリン(1)を得る。化合物(1)を、ガラガラヘビ(Crotalus adamanteus)の粗毒液由来のホスホリパーゼA2で酵素的に加水分解し、次いでパルミトイル無水物でアシル化して、1−[2−(メタクリロイルオキシ)ドデカノイル]−2−パルミトイル−L−α−ホスファチジルコリン(2)を得る。同様の方法を使用して、ジパルミトイル−L−α−ホスファチジルコリンを1−パルミトイル−2−[12−(メタクリロイルオキシ)ドデカノイル]−L−α−ホスファチジルコリン(3)を得る。
DPPE−PEG5000(1.8mg/ml)および実施例5に記載の操作法を使用して製造されるGPIIbIIIa結合ペプチド(Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val)で標識された10重量%DPPE−PEG5000の正食塩水中の溶液に、上記に製造された化合物(3)を添加する。この溶液のアリコートを無菌の3mlのバイアル中に入れる。バイアルのヘッドスペースを真空排気し、窒素およびペルフルオロ・ガスの混合物(20:80、v/v)をバイアルのヘッドスペース中に周囲圧まで充填する。バイアルをESPE Capmix(Seefeld,Oberay Germany)で室温で約1分間振盪する。小胞組成物を照射して(254nm)、GPIIbIIIa結合ペプチドを有する重合性ガス充填小胞を得る。小胞の平均直径は約3μmである。
実施例11
この実施例は、GPIIbIIIa受容体に対して標的化された合成ポリビス(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン(PCPP)ガス充填小胞の製造を目的とする。
PCPP−PEG2000−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valを、実施例5に記載の操作法を使用して製造する。次いで、PCPP小胞を、米国特許第5,487,390号明細書(引用することによって開示内容は本明細書中に取り込まれてる)の記載そのままの通りに製造する。PCPP小胞(100mg)を1mlのNa2CO3溶液(30mg/ml)中に添加し、室温で一晩撹拌して溶解させる。2.5%(w/v)のポリマー最終濃度および7.4の溶液pHが得られるように、溶液をリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で希釈する。必要に応じて、pHを1N HClで調節する。
0.2%Tween20を含有するPCPPの溶液(2.5%w/v)を、コロイドミル中でペルフルオロプロパン・ガスと混合して、数時間安定であるガス混入PCPP溶液を製造する。溶液中に使用されたPCPPの10モル%はPCPP−PEG2000−Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valである。ガス混入溶液をシリンジ・ポンプから150μl/分でペルフルオロプロパン・ガスの雰囲気下の空気噴霧器中に押し出し、そして0.5%Tween20を含有する7.5%CaCl2溶液の250mlを含有するパン中に噴霧する。CaCl2溶液に接触すると、PCPPは二価のカルシウムイオンによって架橋されて、GPIIbIIIaに対して標的化されそしてペルフルオロプロパンが充填された球形ゲル小胞の比較的均質な集団を製造する。封入ペルフルオロプロパンの存在は、倒立顕微鏡を使用して小胞を観察することによって示される。
実施例12
この実施例は、フッ素化脂質から製剤され、GPIIbIIIaに対して標的化された小胞の製造を目的とする。
α−アミノ,ω−カルボキシ−PEG3400(Shearwater Polymer,Huntsville,AL)中のアミノ基は、1当量のα−アミノ,ω−カルボキシ−PEG3400を水:ジオキサン(1:1,v:v)の溶液中に溶解させることによって保護される。この溶液に撹拌しながら、各1モル当量のt−Boc−無水物(Bachem,Gardena,CA)およびトリエチルアミン(Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)を添加する。得られる溶液を一晩撹拌し、真空下で濃縮して揮発性ジオキサンを除去する。濃縮物質に、水を関して10容積当量の酢酸エチルを添加し、得られる混合物を氷浴で冷却する。混合物のpHを2N硫酸水溶液でpH2に調節し、水性下層を分液ロートを使用して除去する。酢酸エチルを飽和ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、真空下で濃縮して、シラップを得る。
t−BOC−α−アミノ,ω−カルボキシ−PEG3400、1モル当量のジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)および乾燥DMFを合併する。溶液を撹拌し、そして各1当量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)および1,2−ジ−(15,16,17,18−ノナフルオロ)ステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(フルオロ−DSPE)を添加する。得られる溶液を2時間撹拌し、真空下で濃縮する。フルオロ−DSPE−t−BOC−α−アミノ,ω−アミドPEG3400を、トリフルオロ酢酸およびCH2Cl2(4:6,v:v)の溶液中に懸濁させ、次いで追加の20分間撹拌する。次いで、溶液をDIEAで中和し、真空下で濃縮する。生成物をCH2Cl2中に再懸濁させ、約2のpHまでHCl水溶液を添加する。水性層を分離し、pHを1.0%NaOHでpH10に調節する。水性混合物に、分離される酢酸エチルを添加し、飽和ブラインで洗浄し、乾燥する(MgSO4)。濾過し、真空下で濃縮して、フルオロ−DSPE−α−アミノ,ω−アミドPEG3400を黄色の油として得る。
上記で得た黄色の油、1当量のN−ブロモスクシンイミド(NBS)(Sigma Chemical,St.Louis,MO)およびDMFを合併する。得られる混合物を3時間撹拌し、真空下で一晩濃縮する。濃縮物質をpH7のリン酸緩衝食塩水中に懸濁させる。GPIIbIIIa受容体に対して標的化されているペプチドArg−Gly−Asp−Ser(RGDS)を懸濁液に添加する。一晩撹拌した後、反応混合物をAmicon Filter Concentrator(Amicon,Beverly,MA)で300mlの容積まで濃縮する。濃縮溶液をサイズ排除クロマトグラフィーによって精製して、フルオロ−DSPE−α−アミノ,ω−アミドPEG3400−Arg−Gly−Asp−Serを得る。この生成物をDPPCおよびDPPAの混合物に添加して、40:54:6,w:w:wのDPPC:フルオロ−DSPE:DPPAの比率を得る。この脂質混合物を、正食塩水:グリセロール:プロピレングリコール(8:1:1,v:v:v)を含んでなる希釈剤に添加して、1mg/mlの最終脂質濃度の希釈剤を得る。この溶液のアリコートを2mlのバイアル(Wheaton Industries,Chicago,IL)中に導入し、ヘッドスペースをペルフルオロプロパンで充填する。バイアルを、ESPE Capmix(ESPE,Seefeld,Germany)で、4300rpmで1分間撹拌して、GPIIbIIIa受容体に対して標的化されたフッ素化小胞を得る。
実施例13
この実施例は、以下の式を有するN−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−スクシニル)−PEG−プロティンA複合物の製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.N−DPGS−スクシンイミドの製造
Figure 0004215820
100ml丸底フラスコ中の1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−スクシナート(66.8mg)、N−ヒドロキシ−スクシンイミド(11.5mg)、DMAP(2mg)およびアセトニトリル(40ml)の冷却された(0〜5℃)溶液に、アセトニトリル(10ml)中のDCC(20.6mg)の溶液を滴下した。得られた混合物を5時間撹拌する。反応中に生成した固体物質(ジシクロヘキシルウレア)を濾過によって除去し、濾液を真空下で濃縮して、78mgのN−DPGS−スクシンイミドを白色生成物として得た。
B.3−ω−カルボキシーポリエチレングルコール−イミノ−スクシナト−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール(DPGS−ω−カルボキシ−PEG)の製造
Figure 0004215820
100ml丸底フラスコ中の実施例ステップA.からのN−DPGS−スクシンイミド(78mg)およびCHCl3(10ml)(Mallinckrodt,St.Louis,MO)の冷却された(0〜5℃)溶液に、CHCl3(20ml)中のω−アミノ−ω′−カルボキシ−ポリエチレングリコール(0.3g)およびトリエチルアミン(40mg)の溶液を滴下した。得られた混合物を10℃で5時間撹拌した。一晩撹拌した後、反応混合物を氷水中に注ぎ込み、10%HClで約3以下のpHまで中和した。有機下層を分液ロートを使用して取り出し、水で3回洗浄した。有機層を収集して、乾燥した(Na2SO4)。濾過し、真空下で濃縮して、0.34gのDPGS−ω−カルボキシ−PEGを白色の固体として得た。
C.3−スクシナモイル−オキシ−カルボニル−ポリエチレングルコール−イミノ−スクシナト−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール(DPGS−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド)の製造
Figure 0004215820
250ml丸底フラスコ中のステップBからのDPGS−ω−カルボキシ−PEG(200mg)、N−ヒドロキシスクシンイミド(6mg)、DMAP(2mg)およびアセトニトリル(40ml)の冷却された(0〜5℃)溶液に、アセトニトリル(10ml)中のDCC(12mg)の溶液を滴下した。得られた混合物を5時間撹拌し、生成した白色固体(ジシクロヘキシルウレア)を濾過によって除去した。濾液を真空下で濃縮して、200mgのDPGS−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミドを白色固体として得た。
D.DPGS−PEG−プロティンA複合物の製造
pH8.2の緩衝水溶液(20ml)中のプロティンA(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)(20mg)の冷却され(5〜10℃)、撹拌された溶液に、ステップCからのDPGS−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド(4mg)およびアセトニトリル(10ml)の溶液を滴下した。得られた混合物の温度を室温に平衡させ、反応混合物を約48時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残留塩を、約3500の分子量カットオフを有し水に対し平衡させた透析バッグを使用して透析し去った。得られた透析溶液を凍結し、凍結乾燥して、12mgの表題物質(DPGS−PEG−プロティンA複合物)を白色の固体として得た。
実施例14
この実施例は、以下の式を有するDPPE−PEG−プロティンA複合物の製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.ω,ω′−ジメチレンカルボキシ−ポリエチレングリコール無水物の製造
Figure 0004215820
100ml丸底フラスコ中のω,ω′−ジメチレンカルボキシ−ポリエチレングルコール(0.34g)およびCHCl3(20ml)の冷却された(0〜5℃)溶液に、CHCl3(5ml)中のDCC(0.02g)の溶液を添加した。この溶液を一晩撹拌し、得られた白色固体沈殿(ジシクロヘキシルウレア)を濾過によって除去する。濾液を真空下で濃縮して、0.3gの無水物を白色固体として得る。
B.1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン−N−カルボニル−メチレン−ω′−ポリエチレングリコール(DPPE−ω−PEG)の製造
Figure 0004215820
100ml丸底フラスコ中のステップAからの無水物(0.3g)およびCH2Cl2(10ml)の冷却された(0〜10℃)溶液に、CH2Cl2(15ml)中のDPPE(0.07g)およびトリエチルアミン(0.05g)の溶液を添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を氷水中に注ぎ込み、10%HClで約3以下のpHに酸性化した。次いで、底部の有機層を250mlの分液ロートを使用して分離し、乾燥した(Na2SO4)。CH2Cl2溶液を濾過し、真空下で濃縮して、0.45gのDPPE−ω−カルボキシ−PEGを白色まがいの固体として得た。
C.1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−カルボニルメチレン−ポリエチレングリコール−スクシンイミド(DPPE−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド)の製造
Figure 0004215820
DCC(3mg)およびアセトニトリル(2ml)の冷却された(0〜5℃)溶液に、ステップBからのDPPE−ω−カルボキシ−PEG(60mg)、N−ヒドロキシ−スクシンイミド(1.8mg)およびDMAP(0.2mg)の溶液を添加した。0〜5℃で3時間撹拌した後、反応混合物の温度を室温に平衡させた。一晩撹拌した後、生成した白色の固体沈殿物(ジシクロヘキシルウレア)を濾過によって除去し、濾液を真空下で濃縮して、60mgのDPPE−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミドを得た。
D.DPPE−PEG−プロティンA複合物の製造
pH8.5の緩衝水溶液(15ml)中のプロティンA(20mg)の冷却された(5〜10℃)溶液に、アセトニトリル(8ml)中のステップCからのDPPE−ω−カルボキシ−PEG−スクシンイミド(4mg)滴下した。反応混合物の温度を室温に平衡させ、撹拌を48時間継続した。混合物を真空下で濃縮し、残留塩を、約3500の分子量カットオフを有する透析膜を使用して水に対して透析した。水性透析試料を凍結乾燥して、15mgの表題生成物(DPPE−PEG−プロティンA複合物)を白色の固体として得た。
実施例15
この実施例は、標的指向性上皮細胞のための標的化小胞組成物の製造および使用を目的とする。
A.小胞組成物の製造
実施例13からのDPGS−PEG−プロティンA複合物生成物(1重量%)を、DPPE(82モル%)、DPPA(10モル%)およびDPPE(8モル%)の乾燥脂質混合物と合併した。この乾燥脂質混合物を水和し、Labconco(Kansas City,MO)Lyph−Lock12凍結乾燥機で凍結乾燥した。凍結乾燥混合物を、正食塩水:プロピレングリコール:グルセロール(8:1:1)中に1mg/mlの脂質濃度で再懸濁させた。混合物を2mlのWheatonバイアル(Millville,NJ)中に分注した。バイアルに蓋をし、バイアル中のヘッドスペースをペルフルオロブタン・ガス(Flura,Newport,TN)に置き換えた。次いで、バイアルをEspe Capmix(商標)(Seefeld,Germany)で1分間振盪して、ガス充填小胞を得た。ウサギ抗ケラチン抗体(Calbiochem,San Diego,CA)(100μl)をバイアルの試料中に添加し、これらのバイアルを倒立させて、抗体とガス充填小胞とを混合した。バイアルを室温で約1時間インキュベートした。PBSによる洗浄の前および後の両方の小胞組成物についてビシンコニン酸(bicinchoninic acid)タンパク質検定法を行った。この検定の結果、抗ケラチン抗体はプロティンAを介して小胞に結合しそして洗浄中も結合していることが示された。
B.小胞組成物による標的化実験
HeLa細胞(ケラチンを発現する上皮頸部癌細胞株)を、EMEM培地(Cellgro,Washington,DC)中の平滑面組織培養管(Nunc,Roskilde,Denmark)中にプレートした。細胞を一晩増殖させ、小胞組成物のアリコートを各管に添加した。使用した小胞組成物は次の通りである:(i)実施例6からの小胞;(ii)ウサギ抗ケラチン抗体を含有しないステップAで製造された小胞;(iii)ウサギ抗ケラチン抗体を含有するステップAで製造された小胞。抗体を包含する(iii)中の小胞だけがHeLa細胞と結合した。
実施例16
ペギレート化(pegylated)脂質を、ジステアロイルホスファチジル−エタノールアミン(DSPE)(Avanti,Polar Lipids,Alabaster,AL)およびα−アミノ,ω−カルボキシ−PEG3400(SHearwater Polymer,Huntsville,AL)から製造する。アミノ基は、水:ジオキサン(1:1,v;v)中で、α−アミノω−アミドPEG並びに各1モル当量のt−Boc−無水物(Bachem,Gardena,CA)およびトリエチルアミン(Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)を合併することによって保護する。得られた溶液を一晩撹拌し、ジオキサンを真空下で除去する。水性残渣に、水に関して10容積当量の酢酸エチル(Mallincrodt,St.Louis,MO)を添加し、この混合物を氷浴中で冷却する。pHを硫酸水溶液(2N)でpH2に調節し、水性層を分液ロートを使用して分離する。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮して、シロップを得る。
黄色の油、DSPE−t−Boc−α−アミノ,ω−アミド−PEG3400、1モル当量のジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)および乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)を合併する。溶液を撹拌し、各1モル当量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)およびヒドロキシルベンゾトリアゾール(HOBT)を添加する。溶液を2時間撹拌し、真空下で濃縮する。濃縮残渣DSPE−t−Boc−α−アミノ,ω−アミド−PEG3400を、トリフルオロ酢酸および塩化メチレン(4:6,v:v)と合併し、得られた混合物を追加の20分間撹拌する。溶液をDIEAで中和し、真空下で濃縮する。この残渣を塩化メチレン中に懸濁させ、pH2になるまで、塩酸水溶液を添加する。水性層を分離し、pHを1.0%NaOHでpH10に調節する。この水性混合物に、分離される酢酸エチルを添加し、飽和ブラインで洗浄し、乾燥する(MgSO4)。酢酸エチル溶液を真空下で濃縮して、黄色の油を得る。
DMF中の黄色の油、DSPE−α−アミノ,ω−アミド−PEG3400の溶液に、1当量のN−ブロモスクシンイミド(NBS)(Sigma Chemical,St.Louis,MO)を添加する。3時間撹拌した後、反応混合物を真空下で一晩濃縮する。約7のpHのリン酸緩衝食塩水(PBS)中の得られた濃厚残渣の懸濁液に、マウス/ヒトキメラ源のモノクローナル抗体である抗癌胎児性抗原(抗CEA)を添加する。一晩撹拌した後、溶液をAmicon フィルター濃縮器(Amicon,Beverly,MA)で300lの容積まで濃縮する。濃厚溶液をサイズ排除クロマトグラフィーによって精製して、最終生成物を得る。
実施例17
小胞製剤は、小胞製剤の前に、約1ノナモルの組換えヒト成長ホルモンを脂質組成物に添加する以外は、実施例6を反復することによって製造する。
実施例18
DPPAをカチオン性脂質ジパルミトイルホスホコリン(Adanti)に置き換え、そしてDPPCを中性脂質DPPEに置き換えること以外は、実施例17を反復する。これによって、生物活性剤、特に遺伝物質、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)のための遺伝子が結合することができるカチオン性小胞を提供される。標的指向性リガンド、例えば、抗心筋性抗体脂質複合体の取り込むことによって、梗塞性および/または乏血性組織に指向することができる標的化小胞が提供される。高エネルギー超音波、例えば、1MHz連続波200mMの破裂を種々のパルス持続時間で適用して、小胞の破裂を促進することができる。その結果、VEGFを梗塞性および/または乏血性組織に実質的に直接に送達することができる。
実施例19
この実施例は膵臓の神経内分泌腺腫瘍を標的化する小胞組成物の製造を目的とする。
抗CEAの代わりにソマトスタチンペプチドを使用する以外は、実施例16を反復する。治療用抗癌剤、ストレプトゾシンも小胞組成物中に取り込まれる。えられる小胞組成物は、神経内分泌腺腫瘍が診断された患者中に静脈注射される。小胞は好適には腫瘍に近接する膵臓の部位中に吸収され、腫瘍に対する抗癌剤の送達が増強される。
実施例20
HeLa細胞の外に、標的化小胞をマウスの正常な肝臓細胞を含む上皮細胞株に添加する以外は、実施例15を反復した。抗体を含有する小胞だけが肝臓細胞に結合した。
実施例21
この実施例は、心筋細胞(Cardiomyocites)を標的化する小胞組成物の製造および使用を目的とする。
A.標的化小胞のの製造
ウサギ抗ケラチン抗体をウサギ抗ヒト骨格ミオシン抗体(Biomakor(商標)Kiryat Weizmann,Rehovolt,Israel)(100μl)に置き換えた以外は、実施例15を反復した。
B.ラット心臓筋原細胞(American Type Culture Collection,Rockville,MD)を、EMEM培地(Cellgro,Washington,DC)中の平滑面組織培養管(Nunc,Roskilde,Denmark)中にプレートした。細胞を一晩培養し、小胞組成物のアリコートを各管に添加した。使用した小胞組成物は次の通りである:(i)実施例6からの小胞;(ii)ウサギ抗ミオシン抗体を含有しないステップAで製造された小胞;(iii)ウサギ抗ミオシン抗体を含有するステップAで製造された小胞。抗体を含む(iii)の小胞だけが筋原細胞に結合した。
実施例22
この実施例は、心筋細胞(cardiomyocites)に対して標的化された小胞組成物の製造および使用を目的とする。
A.標的化小胞の製造
ウサギ抗ケラチン抗体をウサギ抗ミオシン(骨格)抗体(Accurate Chemical,Westbury,NY)(100μl)に置き換えた以外は、実施例15を反復した。
B.心筋細胞への標的化
H9C2、心臓ミオシンを発現するラット心筋細胞株を使用した。(骨格筋ミオシンと心筋ミオシンは実質的に同じである。)対照細胞は、ヒト腸細胞株であるINT407であった。細胞はEMEM培地(Cellgro,Washington,DC)中の平滑面組織培養管(Nunc,Roskilde,Denmark)中にプレートした。細胞を一晩増殖させ、小胞組成物のアリコートを各管に添加した。使用した小胞組成物は次の通りである:(i)実施例6からの小胞;(ii)ウサギ抗ケラチン抗体を含有しないステップAで製造された小胞;(iii)ウサギ抗ケラチン抗体を含有する上記ステップAで製造された小胞。次の3種の実験細胞型を使用した:(a)INT407;(b)H9C2;(c)10%グルコースに10分間暴露して、抗ミオシンと細胞質ミオシンとが結合するように細孔が開口されたH9C2。細胞型(a),(b)または(c)のいずれにおいても小胞組成物(i)または(ii)については結合が認められなかった。小胞組成物(iii)の細胞型(a)に結合しなかった。小胞組成物(iii)と細胞型(b)とは多少の結合が認められたが、一方小胞組成物(iii)と細胞型(c)との実質的な結合が認められた。
実施例23
ジピリダモール(例えば、The Merck Index,第10版,第489頁(1983年)を参照)は、それが冠状血管拡張薬である点において、本発明の文脈内の生物活性剤である。ジピリダモールはまた、それが心臓組織中の一つまたはそれ以上の受容体と結合することができるから、本発明の文脈内の標的指向性リガンドであり、そしてリン脂質に結合して膜適合性誘導体を提供することができる。特に、N−スクシニル−DPPEは、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび縮合剤として触媒を使用してジピリダモールと結合し、N−ジピリダモイルスクシナート−DPPEを生成する。この脂質結合ジピリダモールは、心臓組織に標的指向性の小胞の製造のための脂質組成物中に使用される。
実施例24
バルーン付きカテーテルを、大腿動脈アクセスを介して試験動物の左回旋冠状動脈中に経皮的に入れる。バルーンを3時間の間注気して、血液が前外側の心筋に流れるのを防止し、そして心筋梗塞を生起させる。超音波心臓検査法を5MHzトランスデューサで行った結果、持続性壁運動異常、並びに左心室の前外側壁の心筋薄層化が示される。バルーンを脱気し、例えば、実施例22のステップAで製造したものと同様の、ドデカフルオロペンタン・ガスを充填した、抗心臓ミオシン抗体標識小胞の30μl/Kgの投与量を静脈注射する。注射30分後に超音波心臓検査法を行う。画像形成の結果、梗塞の部位に対応する前外側壁中に反響源性の増加した区域が示される。梗塞の周辺(再灌流部位)は最も明るく見え、中央は強さが少ない(持続的に血流の無い部位)。例えば、中央心室腔は比較的暗く、心室の大部分はこの時には清澄になっていた。
実施例25
胸痛に罹っている患者を病院の緊急室に収容する。超音波試験を行い、左心室の前壁中に壁運動異常が示される。患者に、例えば、実施例22のステップAで製造したものと同様の、ペルフルオロブタンを充填した、抗心臓ミオシン抗体標識小胞の5μl/Kgの投与量を投与する。投与10分後、超音波画像形成法を反復し、左心室の前壁中に反響源性が増加している区域が示された。このことは、心筋高速の診断を確認するものであり、患者を組織プラスミモゲン活性化因子で治療する。
実施例26
冠状動脈症の有無を診断するために、患者にストレス超音波心臓検査を行う。最大運動中に、患者に、上記の実施例23に記載のような、ペピリダモールで標識されたルフルオロプロパン充填小胞の5μl/Kgを投与する。ジピリダモールは小胞と次のものの使用によって結合している:(a)二官能結合基;(b)小スパニング分子;(c)還元性アミノ化の有るまたは無いSchiff塩基;或いは(d)マレイミジルリンカー。小胞は心筋の灌流部位に結合する。背景小胞が無くなるとき、それは約5分かかるが、標識小胞は心筋内に存続する。遅延画像形成法によって、冠状動脈症(CAD)に冒された乏血性心筋は、鮮明な正常に灌流された心筋によって取り囲まれた低強度の部位として示される。心室内に感知できる背景小胞が全く存在しないと、ショドーイングの問題が回避され、CADの診断を行う助けになる。
実施例27
この実施例は本発明の範囲内の小胞組成物および方法を使用してタンパク質の標的化発現を示す。
3匹のSprague−Dawleyラット(本明細書ではラット(A)、(B)および(C)と記載する)をケタミン・アセプロマジンで麻酔した。pSVβ−gal、SV40プロモータおよびエンハンサー遺伝子と共にβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含有するプラスミドを、実施例2で製造したカチオン性脂質化合物と合併した。プラスミドおよびカチオン性脂質化合物の混合物を室温で15分間インキュベートした。次いで、cGMPおよび得られたインキュベートした物質を、正食塩水:グルセロール:プロピレングリコール(8:1:1)中のそれぞれ82:10:8のモル%比のDPPC、DPPAおよびDPPE−PEGの配合物に添加した。得られた混合物を、WIG−L−BUG(商標)上で3200rpmで1分間振盪することによって製造した。得られた小胞組成物をラット(A)、(B)および(C)に注射した。投与量は次の通りである:
Figure 0004215820
小胞組成物を注射している間、ラット(B)および(C)を、治療用超音波機(1.0MHz,Rich−Mar25型,Rich−Mar Corporation,Inola,OK)からの超音波エネルギーに暴露させた。注射中および潮紅後1分間、超音波を右後脚の内部の方に向けた。ラット(A)は超音波処理を受けなかった。48時間後、CO2による窒息によって安楽死させた。各ラットの左右の脚の筋肉および皮膚を取り出した。心臓、肝臓および腎臓も取り出した。切断した組織を2%ホルマリン中に72時間固定した。固定後、組織を、X−gal,フェロシアン化カリウムおよびフェリシアン化カリウムを含有する溶液に浸漬することによって、β−ガラクトシダーゼ活性を分析した。組織を染色し、検査し、撮影した。発現は、ラット中の脚組織に広く分散して、特に内皮細胞、筋肉および皮膚中に観察された。ラット(B)からの切断組織を検査した結果、発現は、同様の細胞型中であるが超音波適用の部位だけに示された。ラット(C)は、標的脚中には点発現を示しそして標的にされなかった脚中には分散発現を示した。
実施例28
この実施例は種々の脂質組成物の製造を目的とする。
DPPC、DPPAおよびDPPE−PEG5000を夫々82:10:8のモル比でブレンドした。この脂質混合物は本明細書では組成物(A)と呼称する。組成物(A)の一部を、実施例2で製造したカチオン性脂質化合物と、10:1(w/w)比で蒸留脱イオン水中で混合した。この後者の混合物は本明細書では組成物(B)と呼称する。組成物(A)および組成物(B)を1mlの血清バイアル中に導入した。バイアルをSargent Welch真空ポンプ(Skokie,IL)で真空排気し、ヘッドスペースをペルフルオロプロパン・ガス(Flura Chemical Corp,Newport,TN)に置き換えた。バイアルをCrescent Dental WIG−L−BUG(商標)3110B(Lyons,IL)機械振盪機で撹拌した。振盪した後、ヘパリン(Elkin Sinns Inc.,Cherry Hill,NJ)を、バイアルの一部に、5:1の脂質対ヘパリンの近似モル比で添加した。ヘパリンおよび組成物(A)の混合物は本明細書では組成物(C)と呼称する。ヘパリンおよび組成物(B)の混合物は本明細書では組成物(D)と呼称する。
次いで、組換えヒト塩基性繊維芽細胞増殖因子(BFGF)(Sigma,St.Louis,MO)を組成物(A)、(B)、(C)および(D)に添加し、夫々本明細書では組成物(E)、(F)、(G)および(H)と呼称する。BFGFを、ヘパリンを含有する組成物(組成物(C)および(D))に、5:1のモル比(BFGF:ヘパリン)で添加した。組成物(A)〜(H)の各々からの少なくとも3試料を、Accusizer770(Particle Sizing Systems,Santa Barbara,CA)を使用して粒径測定した。粒径測定の結果、組成物(A)〜(G)には小胞の粒径に差がないことが示された。しかし、カチオン性脂質、ヘパリンおよびBFGFを含有する組成物(H)中の小胞は小さい平均粒径を有した。
次いで、組成物(E)〜(H)を未変性(native)ポリアクリルアミドゲル(プロティンゲルPAGEミックス,Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)を使用して分析し、ヘパリンおよびBFGFの結合特性を確認した。ゲルはHoefer SE400スラブゲル装置(Hoefer Scientific,San Francisco,CA)上で行った。ゲルは、電気泳動電源器(MBP300,IBI,Rochster,NY)を使用して定電流で行った。次いでゲルを、迅速Coomassieブルー(Eastman Kodak,Rochester,NY)染色法を使用して染色し、視覚的に分析した。ゲル電気泳動の結果、組成物(H)では、カチオン性脂質の存在がヘパリン並びにBFGFの結合を増強することが確認された。アニオン性であるヘパリンはカチオン性脂質と結合し、そしてカチオン性であるBFGFはヘパリンと結合することが考えられる。ヘパリンを含有せずそしてカチオン性脂質を含有する組成物中のBFGFは電気泳動中に移動する。
実施例29
抗CEA抗原の代わりに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を使用する以外は、実施例16を反復する。
実施例30
DPPC、DPPAおよびDPPE−PEG5000を、食塩水;プロピレングリコール;グリセロール(8:1:1,w/w/w)中で、82:10:8のモル%比で合併する。溶液中の脂質の全濃度は1mg/mlである。組換えヒト成長ホルモンを、この混合物に、脂質の全重量に関して10重量%の濃度で添加する。この混合物のアリコート(1.5ml)を3ml容のガラスバイアル中い入れ、バイアルのヘッドスペースをペルフルオロプロパン・ガスに交換する。バイアルを密閉し、振盪して、ヒト成長ホルモンと結合しそして内皮細胞を標的化するのに有用であるガス重点小胞が生成する。小胞の平均直径は約3μmである。
実施例31
ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)およびDPPE−PEG5000を、無菌水中で92:8のモル比で合併する。脂質の濃度は約1mg/mlである。トキトサンを、10モル重量%の塩基性繊維芽竿増殖因子(bFGF)で、キトサンのアミン基をbFGFのカルボキシル部分に結合させるアミド結合を使用して誘導体化する。誘導体化キトサンを、脂質懸濁液に、キトサン中のカチオン性基およびDSPG中のアニオン性基の実質的に当量濃度を与えるような量で添加する。この混合物のアリコート(1.5ml)を3mlのバイアル中に入れ、ヘッドスペースをペルフルオロブタンに置き換える。バイアルを密閉し、ESPE Capmix(Seefeld,Germany)上で振盪して、内皮細胞を標的化するのに有用なガス充填小胞を得る。
実施例32
ペギレート脂質は、DSPEおよびα、ω−ビス(カルボキシメチル)−PEG2000(Shearwater Polymers,Huntsville,AL)から製造して、MeO2C−PEG−DSPEを得る。この脂質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製し、遊離酸(HO2C−PEG−DSPE)を得た後、VEGFを遊離カルボキシル基に結合する。DPPC、DSPA、DSPE−PEGおよびDSPE−PEG−VEGFを、82:10:6:2のモル比で、食塩水:グルセロール:プロピレングリコール(8:1:1,w/w/w)中に、1.5mg/mlの全脂質濃度で合併する。この混合物のアリコート(1.5ml)を無菌の3mlのバイアル中に入れ、バイアルのヘッドスペースをペルフルオロペンタン・ガスで30℃で置き換え、密閉する。バイアルを、ESPE Capmix(Seefeld,Germany)上で、3,200rpmで30℃で約90秒間振盪して、ペルフルオロペンタン・ガス充填標的化小胞が生成する。
実施例33
DSPC、コレステロールおよびDPPAを、65:27:8のモル比で、食塩水:プロピレングリコール:グリセロール(8:1:1,w/w/w)中に合併する。全脂質濃度は5mg/mlである。この混合物のアリコート(1.5ml)を無菌のバイアル中に入れ、ヘッドスペースをペルフルオロブタン・ガスで30℃で置き換える。バイアルを密閉し、ESPE Capmix(Seefeld,Germany)上で約5分間振盪して、本発明の範囲内の小胞組成物を得る。高コレステロール食餌で飼育したWatanabeウサギに、小胞組成物の0.10ml/Kgの投与量を、静脈投与する。投与の約25分後に超音波画像形成を行い、小胞がアテローム性硬化症斑によって冒された内皮細胞の部位中に蓄積することが示された。このことは、本発明の小胞組成物が内皮細胞のアテローム性硬化部位を検出するのに有用であることを示している。
実施例34
使用脂質の一つが、アミド結合を介してDPPE−PEG−カルボキシレートに共有結合したコレステロールアミンであること以外は、実施例33を反復した。その場合、脂質混合物は、82:7:1:11のモル%比で合併されるDPPC、DPPE−PEG5000、DPPE−PEG−コレステロールアミンおよびDPPAを含んでなる。
実施例35
脂質濃度を約5mg/mlに増加させ、懸濁媒体が正食塩、トレハロース(10mg/ml)およびプルロニック(pluronic)F−68(10mg/ml)の溶液を含んでなること以外は、実施例33を反復した。この脂質懸濁液を、Microfluidizer(Microfluidics,Newton,MA)を使用して、16,000psiで、全部で10パスの間マイクロエマル化する。得られた小胞組成物を凍結乾燥し、凍結乾燥室のヘッドスペースを、ペルフルオロブタン・ガスを徐々に点滴することによって、72時間かけて周囲圧まで徐々に戻す。得られたガス充填凍結乾燥小胞は、使用するまで乾燥粉末として貯蔵する。
実施例36
脂質濃度を約25mg/mlに増加させ、懸濁媒体が正食塩、ソルビトール(20mg/ml)およびプルロニック(pluronic)F−68(20mg/ml)の溶液を含んでなること以外は、実施例35を反復した。脂質懸濁液を4℃に冷却し、この混合物にペルフルオロペンタン・ガスを添加して、8μl/mlのペルフルオロペンタン濃度の溶液を得た。この混合物を、4℃の温度を維持するマイクロフルーイダイザーを、16,000psiで20パスの間通過させる。このことによって、ペルフルオロペンタン充填小胞の小胞組成物が提供される。この組成物を患者に静脈注射し、内皮細胞を標的化するのに有用なガス充填小胞を生体内に形成させる。
小胞組成物を約30℃を超えるまで加温しそして、例えば、ESPE Capmix(Seefeld,Germany)もしくは他の振盪機またはアマルガム機装置上で振盪してすることによるか、或いは圧力を低下させてペルフルオロペンタン液体がペルフルオロペンタン・ガスに変換するように、ペルフルオロペンタン充填小胞の組成物で満たしたシリンジのプランジャーを引き出すことによって、ガス充填小胞を静脈注射前に得ることもできる。
実施例37
12−ヒドロキシドデカン酸を塩化メタクリロイルでエステル化し、エステルを無水物に転化して、12−(メタクリロイルオキシ)ドデカン酸無水物を得る。卵レシチン由来のL−α−グリセロホスホコリンを、12−(メタクリロイルオキシ)ドデカン酸無水物でアシル化して、ビス[(メタクリロイルオキシ)ドデカノイル]−L−α−グリセロホスホコリン(1)を得る。ガラガラヘビ(Crotalus adamanteus)の粗毒液由来のホスホリパーゼA2による(1)の酵素的加水分解後、パルミトイル無水物によってアシル化して、1−[2−(メタクリロイルオキシ)ドデカノイル]−2−パルミトイル−L−α−ホスファチジルコリン(2)を得る。
上記の(2)を正食塩水と3mg/mlの脂質濃度で合併する。この混合物に、DSPE−PEG−VEGFを、0.30mg/mlの濃度で添加する。混合物のアリコート(1.5ml)を無菌の3mlのバイアル中に入れる。バイアルのヘッドスペースを真空排気して、ペルフルオロプロパンに置き換え、バイアルを密閉し、軽い不透過性箔で包む。バイアルを、ESPE Capmix(Seefeld,Germany)上で3分間振盪して、ガス充填小胞を得る。箔を取り除いて、小胞組成物を光線(254nm)で照射して、内皮細胞を標的化するためのVEGFを有する重合化ガス充填小胞を得る。
実施例38
脂質(2)をDSPE−PEG(実施例8を参照)と合併すること以外は、実施例37を反復した。VEGFは、DSPE−PEGと共有結合させるよりむしろ、ESPE Capmix(Seefeld,Germany)上で振盪する前にこの脂質混合物と混合させる。光重合の後、VEGFは、小胞を被覆する高分子脂質膜中に直接に埋封される。
実施例39
この実施例は、内部的に架橋されそして国際公開第95/00126号明細書(引用することによって開示内容は本明細書中に取り込まれている)に記載そのままの通りにポリオキシ(C1-4)の結合によって修飾される表面を含んでなるアルブミン小胞の製造を目的とする。
このアルキレン鎖修飾剤の末端は反応性基を含有し、エーテル基である国際公開第95/00126号明細書のアルキレン鎖の末端とは異なる。反応性基は内皮細胞指向性リガンドと結合するために含まれる。
実施例39A
5%ヒトウシ血清アルブミン水溶液(5ml)を、超音波反応容器中に、500ml/分の速度で導入する。混合物を、Sonifier B−30(Branson,FRG)を使用して、約15分間、100ワット/cm2でエネルギーフラックスで音波処理する。温度は、反応容器の冷却によって22℃に維持される。必要に応じて、薬物のような生物活性剤がこの混合物中に含まれてもよい。架橋は、アルブミン溶液に、グルタルアルデヒドで飽和したCH2Cl2の溶液(0.2ml)を添加することによって開始される。得られた溶液を約1時間撹拌する。メタノールで洗浄し、次いでアセトンそして最後にn−ヘキサンで洗浄した後、架橋アルブミン小胞を褐色の粉末として得て、真空下で約24時間乾燥する。得られた小胞の粒径は、Nicompsレーザー光線粒子散乱システムによって、約200nmで測定する。
実施例39B
実施例39Aで製造された小胞より大きい直径を有するアルブミン小胞は、4枚羽根インペラのよる高強度乳化方法に取り替えそして高濃度、例えば、約10〜約25%のアルブミンを使用することによって製造する。架橋は実施例39Aに記載の通りに行う。
実施例39C
この実施例はガス充填アルブミン小胞の製造を目的とする。
アルブミン小胞は、5mlの5%アルブミンを無菌のバイアル中に入れそしてバイアルのヘッドスペースをペルフルオロブタン・ガスで充填することによって製造する。バイアルを、ESPE Capmix(Seefeld,Germany)上で、3,300rpmで約5分間振盪する。架橋は実施例39Aに記載の通りに行う。
実施例39D
この実施例はガス充填アルブミン小胞の製造を目的とする。
アルブミン小胞は、ヒト血清アルブミンの5%溶液およびペルフルオロプロパンのヘッドスペースを含有するバイアルを音波処理することによって製造する。この音波処理は、音波処理機のホーンチップを液体界面中に中出力設定で約5分間浸漬することを包含する(Heat,System Probe,Farmingdale,NY)。アルブミン小胞は実施例39Aに記載の通りに架橋される。
実施例39E
この実施例は、ヘテロ二官能PEGを、上記で製造したアルブミン小胞に結合させることを目的とする。
α−アミノ、ω−カルボキシ−PEG5000(Shearwater Polymers)のωカルボキシ基を、適切なエステル官能性、例えば、ベンジルエステルで保護する。タンパク質の適切なアミノ酸部分、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸部分を1,1−カルボニルジイミダゾールで活性化することによって、PEGのアミノ基を、アルブミン小胞に、10:1重量比のアルブミン対PEGを与えるように共有結合させる。PEGがアルブミンにアミド結合を介して共有結合した後、ベンジルエステル基を除去する。PEGのカルボキレート末端を1,1−カルボニルジイミダゾールで活性化することによって、aFGFを遊離カルボキシル基に結合させる。このことによって、PEGリンカーを介してアルブミン小胞に結合した内皮細胞標的指向性リガンドが提供される。
別法として、aFGFの適切なアミノ酸、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸をカルボニルジイミダゾールで活性化し、次いでカルボキシル基保護されたα−アミノ、ω−カルボキシ−PEGを添加することによって、結合を達成してもよい。保護カルボキシル基を脱保護し、そして非保護カルボキシル基をカルボニルジイミダゾールで活性化する。活性化aFGF−PEGを合併し、アルブミン小胞と反応させる。
小胞を真空下で注意深く脱水しそしてペルフルオロブタンのようなガスを使用して周囲圧に徐々に戻すことによって、ガスを小胞中に入れる。脱水およびガス封入ステップの前に、1種またはそれ以上の界面活性剤、例えば、プルロニックF−68を添加してもよい。
実施例40
この実施例はガス充填クラスレートの製造を目的とする。
ヒドロキシ,ω−カルボキシ−PEG2000中のωカルボキシ基を適切なエステル官能性、例えば、ベンジルエステルで保護する。保護化合物を、1当量のPOCl3と、Et3NおよびCHCl3中で0〜5℃で反応させ、ヒドロキシ基を塩化リンエステルに転化する。次いでこの化合物を過剰のNaHCO3と反応させ、対応するリン酸ナトリウム(PEG−PO4Na2)を製造する。この塩をHClでpH3に酸性化し、対応する酸(PEG−PO42)を得る。この生成物を、約100の分子量カットオフを有する膜を使用して純水に対して透析する。
透析した後、上記のリン酸生成物(2g)を水中(100ml)でピロリン酸二水素二ナトリウム(Na2227)(8g)と合併する。この溶液をBuchi噴霧乾燥機中に導入して、噴霧乾燥する。得られた粒子を120℃で真空下で1時間ベーキングして、中空のPEG被覆ピロリン酸塩小胞を得る。これらの小胞を水性媒体中に再懸濁させ、ベンジル保護基を除去する。PEGの脱保護カルビキシル基を1,1−カルボニルジイミダゾールで活性化し、そして得られた化合物を内皮細胞を標的化するためのELAMのモノクローナル抗体に結合させる。標的化小胞を含有する水性媒体に、DDPCおよびプルロニックF−68を、夫々1mg/mlおよび5mg/mlの濃度になるように添加する。小胞を含有する水性媒体を約45℃に加熱し、手動で静かに撹拌し、真空下でロータリー蒸発器を使用して乾燥し、その間この温度を維持する。得られた乾燥物質を適切な容器中に導入し、凍結乾燥する。ペルフルオロブタン・ガスを、容器のヘッドスペース中に、周囲圧が達成するまで、約48時間に亙って徐々に入れる。得られたガス充填ピロリン酸塩クラスレートは使用するまで凍結乾燥粉末として貯蔵する。
実施例41
0.25M Ca+2溶液は、CaCl2・H2O(3.68g)を蒸留水(100ml)中に溶解させることによって製造する。この溶液のpHを、0.1M NaOHを使用してpH11に調節する。0.74Mのリン酸二水素カリウム(KH2PO4)は、0.75gの塩を蒸留水(10ml)中に溶解させることによって製造する。この溶液に、1.75gの二官能PEG,α−フェニルカルボキシエステル,ω−ホスホリル−PEG5000を添加する。pHを再び0.1M NaOHでpH11に調節する。リン酸二水素カリウム/PEGリン酸塩溶液を、激しく撹拌されたCaCl2溶液に滴下する。得られた沈殿を、単一粒子光学的粒径測定法によっておよび光学顕微鏡によって粒径測定する。粒子の直径は約1〜2μmの範囲内である。粒子を濾過し、正食塩水中に再懸濁させ、フェニル基をカルボキシ基から除去する。カルボキシ基を1.1−カルボニルジイミダゾールで活性化し、これを、ELAMに特異的であるモノクローナル抗体と反応させる。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature,1975,256:495(引用することによって開示内容は全面的に本明細書中に取り込まれている)の方法に従った常法によって製造する。粒子をプルロニックF−68(20mg/ml)の溶液中に懸濁させ、この懸濁液を適切な容器中に導入して、凍結乾燥する。容器のヘッドスペースを、ペルフルオロプロパン・ガスで周囲圧まで徐々に平衡させて、ヒドロキシアパタイト・ガス・クラスレートを得る。
実施例42
実施例3のカチオン性脂質化合物が遺伝物質を細胞内で送達する高い有効性を示すウサギの生体内実験を行った。実験はまた、遺伝物質を含有する小胞組成物で生体内の特定組織を標的化するために、超音波エネルギーを使用することの有用性も示す。β−ガラクトシダーゼ遺伝子を含有するプラスミドpSVβ−gal(Promega,Madison,WI)および実施例3で製造したカチオン性脂質化合物を、混合によって合併した。得られた混合物を、3匹のSprague Dawleyラット(ラット(A)、(B)および(C))の各々に尾静脈を経て注射した。ラット(A)は超音波処理しなかった。超音波エネルギーは、ラット(B)および(C)の各々に注射している間に、後脚の内部に適用した。48時間後、ラットを安楽死させ、組織を取り出した。組織を2%ホルマリン中に72時間固定し、薄くスライスし、X−gal溶液中に入れた。37℃で16時間後、組織を検査した。ラット(A)からの組織は、一般的トランスフェクションを示す青色を示した。ラット(B)および(C)からの組織は、超音波エネルギーが適用された部位にだけ青色を示した。このことは、遺伝子発現の位置確認が本発明の化合物および方法で達成され得ることを示している。
実施例43
新しいヒト血液をガーゼストリップ(Tillotson Health Care,Bedford,NH)に塗布し、血液凝固させた。Tygonチューブを1%アガロース(Boehringer Mannheim Biochmical,Indianapolis,Indiana)スタンドオフパッド中にキャストした。血餅を有するストリップをTygonチューブ中に挿入した。乱流を作るために、直列混合エレメント(Cole−Parmer,Chicago,IL)もチューブ中に挿入した。リン酸緩衝食塩水(Boehringer Mannheim Biochmical)を、MasterFlexペリスタポンプ(Cole−Parmer)を使用してガーゼストリップの両側に送液した。7.5MHz末梢血管トランスデューサ(Phoenix,AZ)を持つAcoustic Imaging5200超音波機を使用して、超音波画像形成を行った。トランスデューサをリングスタンドに固定し、スタンドオフパッドの下方から画像形成を行った。未結合血餅をストリップから洗浄し去った後、GPIIbIIIaを標的化する標的化小胞組成物および実施例6からの小胞組成物(非標的化)の各1mlを、PBS流中に、約2ml/分の流速で注入した。小胞をこの速度で2分間結合させ、次いで流速を6ml/分に上げて、未結合小胞を除去した。6ml/分で洗浄した後、標的化小胞をガーゼストリップに結合させ、一方非標的化小胞を洗浄し去った。超音波画像形成の結果、GPIIbIIIaに対し標的化された小胞を持つ血餅中の反響源性が増加することが示された。
Macintosh660AVコンピュータ(Apple Computing,Cupertino,CA)を使用して、ビデオ濃度分析をオフラインで行った。血餅の全区域を選び、ビデオ濃度測定単位を測定した。画像を捕らえて、Image1.55(National Institutes of Health,Washington,DC)を使用して分析した。この分析は、収集し、前コントラスト基線画像を後コントラスト画像に重ね、そして後コントラスト画像から前コントラスト基線画像を引くことを包含した。未結合小胞を除去する洗浄の前後にも、この収集、重畳および減算を行った。ビデオ濃度分析は、連続および断続超音波の両方を使用して行った。この分析で得たデータを以下の表に示し、表中、高い数字はコントラストの増強を表す。
Figure 0004215820
上記の表を検討した結果、非標的化小胞と比較して標的化小胞からの後方散乱が増加したことが示される。T検定を行った結果、連続および断続画像形成の両方において、非標的化小胞と比較して標的化小胞の場合にビデオ濃度シグナルの有意の増加が示された、p<0.01。
実施例44
この実施例は、以下の式を有するDPGS−NH−PEG−NH−マレイミドの製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.ジパルミトイルグルセロールスクシナト−ポリエチレングリコール−アミン(DPGS−NH−PEG−NH2
Figure 0004215820
丸底フラスコ(100ml)中に、CH2CH2中のDPGS(98mg,0.147ミリモル,1当量)の溶液を添加した。別の丸底フラスコ(100ml)中に、CH2CH2中のH2N−PEG−NH2(PEG−ジアミン)(50mg,0.147ミリモル,1当量)の溶液を添加した。PEG−ジアミン溶液に、CH2CH2(5ml)中のDCC(31mg,0.15ミリモル,1.02当量)の溶液を直ちに添加した。DCCおよびPEG−ジアミンの得られた混合物を、約0〜約5℃のDPGSに滴下した。得られた反応混合物を撹拌して室温に平衡させた。24時間撹拌した後、蒸留−脱イオン水(50ml)を反応混合物に添加し、得られた白色の沈殿(ジシクロヘキシルウレア)を濾過によって除去した。下部の有機層を250mlの分液ロートを使用して単離し、乾燥した(Na2SO4)。乾燥有機溶液を濾過し、CH2CH2(80ml)を濾液に添加した。残留する白色沈殿を濾過によって除去し、濾液を真空中で濃縮して、0.44gのDPGS−NH−PEG−NH2を固体生成物として得た。
IR:1700cm-1
TLC:Rf 0.65。
B.DPGS−PEG−NH−PEG−NH−マレイミドの製造
丸底フラスコ(100ml)中に、CH2CH2(10ml)中のステップAからのDPGS−NH−PEG−NH2の溶液を添加した。この溶液に、CH2CH2中のトリエチルアミン(13mg,0.13ミリモル,1当量)の溶液を添加した。この混合物に、CH2CH2(10ml)中の34.6mgのN−マレオイル−β−アラニンN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(34.6mg)の溶液を滴下した。室温で一晩撹拌した後、蒸留−脱イオン水(30ml)を反応混合物に添加し、撹拌を追加の3時間続けた。下部の有機層を分液ロートを使用して単離し、乾燥した(Na2SO4)。有機溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮して、360mgの表題化合物をワックス様の白色の固体として得た。
IR:1740cm-1,1670-1,1100-1
TLC:Rf 0.75。
実施例45
この実施例は、以下の式を有する1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン−N−カルボニルエチレンカルボニル−イミノ−ポリエチレングリコールアミノカルボニルエチレンマレイミド(DPPE−NH−PEG−NH−マレイミド)の製造を目的とする。
Figure 0004215820
A.1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン−N−カルボニルエチレンカルボニルイミノポリエチレングリコールエチルアミン(DPPE−NH−PEG−NH2)の製造
Figure 0004215820
CH2CH2(20ml)中のDPPEスクシナート(79mg)およびω,ω′−ジアミノポリエチレングルコール(340mg)の冷却した(0〜5℃)溶液に、CH2CH2(10ml)中のDCC(22mg)の溶液を添加した。反応混合物を0〜5℃で4時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。水(10ml)を添加し、反応混合物を追加の1時間撹拌した。下部の有機層を単離し、ロータリー蒸発器そ使用して真空下で濃縮した。残渣をCH3CN中に再溶解させ、沈殿を濾過によって除去した。有機溶液を真空下で濃縮して、390mgのDPPE−NH−PEG−NH−マレイミドを白色の固体として得た。
B.DPPE−NH−PEG−NH−マレイミドの製造
CH2CH2(20ml)中のステップAからのDPPE−NH−PEG−NH2(210mg)およびトリエチルアミン(20mg)の冷却した溶液に、CH2CH2(10ml)中のマレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(26mg)の溶液を添加した。得られた反応混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。水(10ml)を添加し、得られた混合物を撹拌しながら希HClでpH3に酸性化した。有機層を単離し、水(10ml)で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。ロータリー蒸発器を使用して真空下で乾固まで濃縮して、210mgの表題化合物(DPPE−NH−PEG−NH−マレイミド)を白色の固体として得た。
実施例46
Fab′またはF(ab′)2フラグメントを、脂質−PEG−マレイミド脂質を介してガス充填小胞に結合させた。Fab′またはF(ab′)2フラグメントは、Pierce(Rockford,IL)からのFab′および/またはF(ab′)2キットを使用して抗骨格ミオシン(Sigma Chemical,St.Louis,MO)から製造した。
Fab′フラグメントは、抗体をパパインで消化して製造した。これは抗体のFc領域から両Fab′フラグメントを開裂する。次いで、FcフラグメントをプロティンAカラムに結合させて、Fab′フラグメントを収集した。次いで、Fab′フラグメントを凍結乾燥して(Labconco Lyph−Lock12,Kansa,City,MO)、脂質−PEG−マレイミド脂質に結合するために用意した。
F(ab′)2フラグメントは、Fab′フラグメントの場合と同様な方式で製造した。しかし、パパインの代わりに酵素ペプシンを使用した。ペプシンはFc領域中でさらに開裂して、そして2つのFab′フラグメントが連結したまま残る。次いで、F(ab′)2フラグメントを凍結乾燥した。
各種フラグメントを、1mg/mlの濃度で、カップリング緩衝液(150mM NaCl,10mM MOPS,0.1mM EDTA,50μm DTPA,pH6.5)(すべての材料はSigma Chemical,St.Louis,MOから入手した)中に再懸濁させる。次いで、脂質−PEG−マレイミド脂質(0.2〜10mM)を添加し、得られた混合物を4℃で16時間インキュベートする。得られた生成物をポリアクリルアミド電気泳動ゲル上で分析して、Fab′またはF(ab′)2フラグメントが脂質に結合したかどうかを測定した。これは、分子量の変化を観察することによって測定することができる。次いで、標的化小胞を、1%のFab′またはF(ab′)2フラグメント結合脂質を使用して製造する。
実施例47
この実施例は以下の式を有するDPGS−NH−PEG−NH−PDPの製造の製造
Figure 0004215820
ジパルミトイルグリセロールスクシナート−ポリエチレングリコール−アミン(DPGS−NH−PEG−NH2)は、実施例44、ステップDPGS−NH−PEG−NH−Aに記載の操作法を使用して製造した。DPGS−NH−PEG−NH2(440mg,0.13ミリモル)およびトリエチルアミン(13mg,0.13ミリモル)をCH2CH2(10ml)中に溶解させた。この溶液に、CH2CH2(10ml)中の3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(PDP)(31mg)の溶液を添加した。室温で一晩撹拌した後、脱イオン水(30ml)を反応混合物に添加し、撹拌を追加の3時間続けた。下部の有機層を分液ロートを使用して単離し、乾燥した(Na2SO4)。有機層を濾過し、濾液を真空下で濃縮して、360mgの表題化合物(DPGS−NH−PEG−NH−PDP)をワックス様白色の固体として得た。
実施例48
この実施例は以下の式を有するDPPE−NH−PEG−NH−PDPの合成を目的とする。
Figure 0004215820
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン−N−カルボニルエチレンカルボニルイミノポリエチレングリコールエチルアミン(DPPE−NH−PEG−NH2)は、実施例45、ステップAに記載の操作法を使用して製造した。この物質(210mg)およびトリエチルアミン(20mg)をCH2CH2(20ml)中で合併した。この溶液を、CH2CH2(10ml)中の3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(PDP)(31mg)の溶液に添加した。得られた混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。蒸留水(10ml)を添加し、得られた混合物を、撹拌しながら、希HClでpH3に酸性化した。有機層を単離し、水(10ml)で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。有機層を濾過し、ロータリー蒸発器を使用して真空下で乾固まで濃縮して、210mgの表題化合物(DPPE−NH−PEG−NH−PDP)を白色の固体として得た。
実施例49
この実施例は、以下の式を有する、本発明の範囲内の脂質−親水性ポリマー−タンパク質複合物の製造を目的とする。
Figure 0004215820
式中、「A」は−プロティンAである。
実施例48からの化合物は、DPPE−NH−PEG−NH−PDP中の−S−S−ジスルフィド結合の硫黄原子をタンパク質のスルフィドリル基と反応させることによって、プロティンAと連結させる。得られた化合物は、タンパク質を有するリポソームのような、タンパク質を有する小胞を形成するのに利用することができる。
実施例50
この実施例は、以下の式を有する、本発明の範囲内の脂質−親水性ポリマー−タンパク質複合物の製造を目的とする。
Figure 0004215820
実施例47からの化合物(DPGS−NH−PEG−NH−PDP)を、マレイミド標識プロティンAと結合させて、上記の化合物を得る。
実施例51
この実施例は以下の式を有するDPGS−NH−PEG−グルコースの製造を目的とする。
A.NH2−PEG−グルコースの製造
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシルブロミド(0.6g)は、C.A.A.van Broeckel and J.H.van Boom,Tetrahedron,41,4545(1985)の操作法に従って製造した。混合物の乾燥は、ω−トリフルオロアセチルアミノポリエチレングリコール(3.5g)(後者はω−アミノポリエチレングリコールおよび三酢酸無水物から製造された)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(1.2ml)と混合されたDMF中で活性化モレキュラーシーブを使用することによって開始された。得られた溶液を窒素下で4日間撹拌した。溶液をCH2CH2(150ml)で希釈し、10%NaHCO3(50ml)および水で洗浄した。有機層を真空下で濃縮し、得られた残渣を炭酸ナトリウムメタノール−H2O溶液で室温で2日間処理した。溶媒を真空下で除去し、残渣をCHCl3(100ml)で2回抽出した。合併したクロロフォルム抽出液を真空下で濃縮し、得られた残渣をメタノール中に溶解させ、10%パラジウム−炭(0.45g)上で4気圧の圧力下室温で水素化した。触媒を濾過し、濾液を真空下で濃縮して、NH2−PEG−グルコース(3g)を白色の固体として得た。生成物をシリカゲルカラムで精製し、クロロホルム−メタノール−水のアイソクラチック溶離液で溶離させた。
B.DPGS−NH−PEG−グルコースの製造
Figure 0004215820
ステップAからのNH2−PEG−グルコース(1g)、トリエチルアミン(0.5g)並びにアセトニトリルおよび水(50:50)の溶液を合併し、そしてアセトニトリル(10ml)中のステップ13AからのDPGS−スクシンイミド(0.15g)の溶液に添加した。得られた混合物を室温で2日間撹拌し、アセトニトリルを蒸発させた。得られた残渣を水で50mlまで希釈し、500MWCO膜と通して透析し、凍結乾燥して、表題化合物(DPGS−NH−PEG−グルコース)を白色の固体として得た。
実施例52
この実施例は、以下の式を有するDPGS−NH−PEG−NH−マンノースの製造と目的とする。
Figure 0004215820
A.α−ブロモ−アセチルアミノ−D−マンノースの製造
Figure 0004215820
D−マンノース塩化物(2.1g)、トリエチルアミン(3g)およびDMF(50ml)を合併し、そしてCH2CH2中のα−ブロモ−アセチルブロミド(2g)の冷却した(0〜5℃)溶液に、撹拌しながら添加した。得られた混合物を室温で8時間撹拌し、次いで氷水(50ml)中に注ぎ込んだ。この水性混合物を1時間撹拌し、次いで真空下で乾固まで濃縮した。得られた残渣を水およびエタノールの混合物から再結して、α−ブロモ−アセチルアミノ−D−マンノースを白色の固体(2.1)として得た。
B.DPGS−NH−PEG−NH−マンノースの製造
Figure 0004215820
ステップAからのα−ブロモ−アセチルアミノ−D−マンノース(0.3g)、炭酸ナトリウム(0.2g)およびKI(20mg)を、水およびエタノール(1:1)の混合物中で合併した。得られた混合物を40℃に8時間加熱した。エタノールをロータリー蒸発器で蒸発させ、水性残渣を500MWCO膜を通して透析し、凍結乾燥して、4gの表題化合物(DPGS−NH−PEG−NH−マンノース)を白色の固体として得た。
以下の実施例は標的化小胞の製造を目的する。
実施例53
アルブミン小胞(またはアルブミン被覆ガス気泡)を、8を超えるpHの緩衝液中に懸濁させた。この懸濁液に、CH3CN中の3−(2−ピリジル)ジチオプロピオン酸N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル(SPDP)を0〜5℃で添加した。得られた混合物を室温で2日間インキュベートし、500MWCOの膜上で透析して、ピリジルチオプロピオノイルを有するアルブミン小胞を得た。次いで、マレイミドフェニルブチラート複合抗体(MPB−AB)を表面修飾アルブミン小胞とインキュベートして、アルブミン小胞に結合した抗体を得た。
実施例54
ポリグルタミン酸小胞(またはポリグルタミン酸被覆−ガス気泡)を水中に懸濁させた。この懸濁液に、水中のエチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を0〜5℃で添加した。得られた混合物を静かに4時間撹拌し、次いでペプチド溶液(8〜9.5のpHの緩衝液中)を添加した。この混合物を室温で2日間インキュベートし、500MWCOの膜上で透析して、ペプチド複合ポリグルタミン酸小胞を得た。
実施例55
アルブミン小胞の代わりにシアノメタクリル酸メチル(2−シアノ−2−プロピオン酸、メタクリル酸メチルエステル)およびメタクリル酸ω−アミノ−テトラエチレングリコールのコポリマーから製剤された小胞を用いた以外は実施例53を反復した。
実施例56
この実施例は脂質−ポリマー−ペプチド複合物およびそれからの標的化小胞の製造を目的とする。
丸底フラスコ中に、t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)保護基を有する1当量のα−アミノ、ω−カルボキシPEG−4000を導入した。これを、カルボニルジイミダゾール(CDI)(1当量)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(1当量)の添加によって活性化した。この溶液に、アミノ末端で脱保護されたペプチドLys−Gln−Ala−Gly−Asp−Valを添加した。得られた溶液を撹拌し、メチレンブルーまたはニンヒドリンによる分析によって遊離アミノ基を定期的に検査した。遊離アミノ末端のさらなる証明が全く無くなった時、全混合物の脱保護を、塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸の添加によって行った。次いでそのPEGからの遊離アミンを標準法によって単離した。別の丸底フラスコ中に、DMFおよびカルボニルジイミダゾール(1当量)中のDPPE(1当量)の溶液を導入した。モレキュラーシーブ(4オングストローム)上での撹拌を1時間続けた。次いでこの混合物に、PEG−ペプチドリガンド混合物を添加し、次いで撹拌を続けた。次いで混合物を真空下で乾燥し、DEAESepharoseサイズ排除カラムに添加して、DPPE−PEG−ペプチド複合物を単離した。次いで、このDPPE−PEG−ペプチドから標準法を使用してガス充填小胞を製造した。
実施例57
この実施例は以下の式を有するDPGS−PEG−環式ペプチドの製造を目的とする。
Figure 0004215820
環式[D−2−アミノブチリル−N−2−メチル−L−アルギニル−グリシル−L−アスパルチル−3−(アミノメチル安息香酸)]を標準ペプチド合成法を使用して製造した。水(20ml)中の66mgのこの環式ペプチドの溶液に、水(10ml)中のエチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を0〜5℃で添加した。得られた混合物を0〜5℃で4時間撹拌し、次いで室温で8時間撹拌した。この溶液に、CH3CN(10ml)中の実施例44AからのDPGS−NH−PEG−NH2(400mg)を0〜5℃で添加した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を真空下で濃縮し、水性残渣を1000MWCO膜を通して透析した。凍結乾燥して、上記の化合物(410mg)を白色の固体として得た。
実施例58
この実施例は環式ペプチドで標的化された小胞の製造を目的とする。
水(20ml)中の環式[D−2−アミノブチリル−N−2−メチル−L−アルギニル−グリシル−L−アスパルチル−3−(アミノメチル安息香酸)](66mg)の溶液に、水(10ml)中のエチル−N,N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を0〜5℃で添加した。得られた混合物を0〜5℃で4時間撹拌し、次いで室温で8時間撹拌した。次いで反応混合物をアルブミン小胞の懸濁液に0〜5℃で添加した。得られた混合物を室温で2日間インキュベートし、1000のMWCOを有する膜を使用して透析して、ポーフリン標的指向性リガンドで標的化されたアルブミン小胞を得た。
実施例59
アルブミン小胞の代わりにシアノメタクリル酸メチル(2−シアノ−2−プロピオン酸、メタクリル酸メチルエステル)およびメタクリル酸ω−アミノ−テトラエチレングリコールのコポリマーから製剤された小胞を用いた以外は、実施例58を反復した。
本明細書中に引用または記載された各特許、特許出願書および特許公報の開示内容は、引用することによって本明細書中に全面的に取り込まれている。
本明細書に記載のものの外の本発明の種々の改変は、上記の記載から当業者には明らかである。かかる改変もまた添付請求の範囲の範囲内にあると意図されている。

Claims (39)

  1. フッ素化ガスが閉じ込められた脂質小胞を含んで成る標的指向性化組成物であって、該脂質小胞が標的指向性リガンドを有する脂質を含み、かつ、該標的指向性リガンドが親水性ポリマーの結合基を介して該脂質に共有結合しており、該標的指向性リガンドが心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および糖タンパク質GPIIbIIIa受容体よりなる群から選ばれた細胞または受容体を標的にするものであり、そして該フッ素化ガスが、ペルフルオロカーボンおよび六フッ化硫黄よりなる群から選ばれる、ことを特徴とする標的指向性化組成物。
  2. 動脈硬化症の部位を標的する請求項1に記載の標的指向性化組成物。
  3. 前記動脈硬化症がアテローム性硬化症斑を含んでなる請求項2に記載の標的指向性化組成物。
  4. 梗塞状心筋を標的にする請求項1に記載の標的指向性化組成物。
  5. 癌細胞を標的する請求項1に記載の標的指向性化組成物。
  6. 前記脂質がリン脂質を含んでなる請求項1に記載の標的指向性化脂質組成物。
  7. 前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジン酸よりなる群から選ばれる請求項6に記載の標的指向性化脂質組成物。
  8. 前記ホスファチジルコリンが、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンよりなる群から選ばれる請求項7に記載の標的指向性化脂質組成物。
  9. 前記ホスファチジルコリンがジパルミトイルホスファチジルコリンを含んでなる請求項8に記載の標的指向性化脂質組成物。
  10. 前記ホスファチジルエタノールアミンが、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、N−スクシニルジオレオイルホスファチジルエタノールアミンおよび1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミンよりなる群から選ばれる請求項7に記載の標的指向性化脂質組成物。
  11. 前記ホスファチジルエタノールアミンがジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンを含んでなる請求項10に記載の標的指向性化脂質組成物。
  12. 前記ホスファチジン酸がジパルミトイルホスファチジン酸を含んでなる請求項7に記載の標的指向性化脂質組成物。
  13. 前記脂質小胞がマイナスに荷電した脂質をさらに含んで成る請求項6に記載の標的指向性化脂質組成物。
  14. 前記マイナスに荷電した脂質がホスファチジルセリンである請求項13に記載の標的指向性化脂質組成物。
  15. 前記フッ素化ガスが、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタンおよびペルフルオロシクロブタンよりなる群から選ばれるペルフルオロカーボンを含んでなる請求項1に記載の標的指向性化組成物。
  16. 前記ガスが、少なくとも部分的には、ガス前駆体に由来する請求項1記載の標的指向性化組成物。
  17. 前記ガス前駆体が約37℃を超える沸点を有する請求項16に記載の標的指向性化組成物。
  18. 前記ガス前駆体がペルフルオロペンタンおよびペルフルオロヘキサンよりなる群から選ばれる請求項17に記載の標的指向性化組成物。
  19. 前記標的指向性リガンドがタンパク質、ペプチド、糖、ステロイド、ステロイド類似物、生物活性剤および遺伝物質よりなる群から選ばれる請求項1〜18のいずれかに記載の標的指向性化組成物。
  20. 前記標的指向性リガンドがタンパク質、ペプチドおよび糖よりなる群から選ばれる請求項19に記載の標的指向性化組成物。
  21. 前記標的指向性リガンドがペプチドである請求項20に記載の標的指向性化組成物。
  22. 前記ペプチドが約3〜約20のアミノ酸を有する請求項21に記載の標的指向性化組成物。
  23. 前記ペプチドが約4〜約6のアミノ酸を有する請求項22に記載の標的指向性化組成物。
  24. 前記ペプチドがペンタペプチドである請求項23に記載の標的指向性化組成物。
  25. 前記ペプチドがトリペプチド配列Arg-Gly-Asp-(RGD)を含んで成る請求項21〜24のいずれかに記載の標的指向性化組成物。
  26. 前記ペプチドが環化されている請求項21〜25のいずれかに記載の標的指向性化組成物。
  27. 前記環化が2つのチオール含有アミノ酸またはそれらの類似物の酸化を介するジスルフィド結合の形成によりもたらされる請求項26に記載の標的指向性化組成物。
  28. 前記チオール含有アミノ酸がシステインである請求項27に記載の標的指向性化組成物。
  29. 前記受容体が糖タンパク質GPIIbIIIa受容体を含んで成る請求項21〜28のいずれかに記載の標的指向性化組成物。
  30. 前記親水性のポリマーがポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリホスファゼン、ポリ(ヒドロキシアルキルカルボン酸)およびポリオキサゾリジンよりなる群から選ばれる請求項1に記載の標的指向性化組成物。
  31. 前記親水性ポリマーがポリアルキレンオキシドを含んで成る請求項30に記載の標的指向性化組成物。
  32. 前記アルキルレンオキシドが、ポリエチレングルコールおよびポリプロピレングルコールよりなる群から選ばれる請求項31に記載の標的指向性化組成物。
  33. 前記ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールを含んでなる請求項32に記載の標的指向性化組成物。
  34. 水性カリヤーをさらに含んで成る請求項1に記載の標的指向性化組成物。
  35. 前記脂質小胞が、ミセルおよびリポソームよりなる群から選ばれる請求項1に記載の標的指向性化組成物。
  36. 請求項1〜35のいずれかに記載の標的指向性化組成物を含んで成る診断画像形成用造影剤。
  37. 患者の障害を受けた組織の存在を診断するための造影剤の製造における請求項1〜35のいずれかに記載の標的指向性化組成物の使用方法。
  38. 生物活性剤の生体内での治療的送達用医薬製剤の製造における請求項1〜35のいずれかに記載の標的指向性化組成物の使用方法。
  39. 患者の内部の凝塊を溶解するための製剤の製造における請求項1〜35のいずれかに記載の標的指向性化組成物の使用方法。
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