JP4215358B2 - トルク校正装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、校正するトルクメータの測定軸に接続されて該測定軸と一体に回動可能なレバーと、該レバーの支軸を回動自在な状態で支持する軸受と、レバーを介してトルクメータにトルクを付加するための荷重を付加することが可能な荷重付加手段と、を備えたトルク校正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
校正するトルクメータの測定軸に接続されて該測定軸と一体に回動可能なレバーと、該レバーを回動自在な状態で支持する軸受と、レバーを介してトルクメータにトルクを付加するための荷重を付加することが可能な荷重付加手段と、を備えたトルク校正装置では、トルクメータは、その測定軸がレバーの回動軸線上に配置されるように取り付けられている。
このため、従来では、例えば、図5に示すように、トルクメータ2の測定軸の両端にフランジ状の取付部材16,16を装着することによって、トルクメータ2の向きを所定方向(測定軸がレバーの回動軸と平行になる方向)に固定し、また、この取付部材16,16が装着されたトルクメータ2の取り付けに際して、例えば、図6に示す取付用治具60を用いることによって、トルクメータ2の位置決めをするようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、トルクメータ2の取り付けに際して、上記のようにトルクメータ2の向きを固定し、トルクメータ2の位置決めをするようにしても、トルクメータ2の測定軸がレバーの回動軸線上からずれてしまう可能性が全く無いとは言えなかった。
そして、ずれた状態でトルクメータ2を取り付けた場合、トルクメータ2の測定軸やレバーの支軸にモーメントが生じて、トルクメータ2に付加しているトルク値に誤差が生じてしまう、という問題点があった。
また、トルクメータ2に付加しているトルク値と、トルクメータ2から出力されるトルク値との間に差異が生じた場合には、それが上記のような取付位置のズレによる誤差なのか、或いはトルクメータ2の検出誤差なのかを区別することができなかった。
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、トルクメータの取付状態が正常であるか否かを検出可能にトルク校正装置を構成することによって、常に、トルクメータが正常に取り付けられた状態で校正試験が行われるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
請求項1記載の発明は、校正するトルクメータ(2)を取り付けるトルクメータ取付部(15)と、
該トルクメータ取付部にあるトルクメータの測定軸に接続されて該測定軸と一体に回動可能なレバー(10)と、
該レバーの支軸(11)を回動自在な状態で支持する軸受(12)と、
前記レバーを介して前記トルクメータにトルクを加えるための荷重を付加することが可能な荷重付加手段(30)と、
を備えたトルク校正装置(1)において、
前記軸受は、静圧気体軸受からなり、
この静圧気体軸受の軸受面内には、圧縮空気が供給される給気溝(41a,…、41b,…)に囲まれたポケット(41)内の空気圧を計測可能な圧力センサ(40)が配設されていて、
該圧力センサによる前記ポケット内の空気圧の計測値に基づき、前記トルクメータの取付状態が正常であるか否かを検出可能に構成されている。
【0006】
この請求項1記載の発明によれば、静圧気体軸受からなる軸受の軸受面内には、圧縮空気が供給される給気溝に囲まれたポケット内の空気圧を検出可能な圧力センサが配設されていて、該圧力センサによるポケット内の空気圧の計測値に基づき、トルクメータの取付状態が正常であるか否かを検出可能に構成されているため、当該トルク校正装置では、常に、トルクメータが正常に取り付けられた状態で校正試験が行われるようになる。
そのため、トルクメータに付加しているトルク値と、トルクメータから出力されるトルク値との間に差異が生じた場合には、それが取付位置のズレによる誤差ではなく、トルクメータの検出誤差であることを認識することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図4の図面を参照しながら説明する。
【0008】
図1は、本発明に係るトルク校正装置を示す斜視図である。図2は、図1のトルク校正装置のトルクメータ取付部周辺を示す斜視図である。図3は、図1のトルク校正装置を構成する制御装置及び該制御装置に接続される各種電気機器を示すブロック図である。図4は、図1のトルク校正装置を構成するレバー及び該レバーを支持する軸受を示すもので、(a)はその平断面図、(b)は正面図、(c)は縦断面図である。
【0009】
この実施の形態のトルク校正装置1は、図1に示すように、校正するトルクメータ2を取り付けるトルクメータ取付部15、該トルクメータ取付部15にあるトルクメータ2の測定軸の一方に接続されて該測定軸と一体に回動するレバー10、該レバー10の回動位置を調整するサーボモータ14、レバー10の水平方向の長さを測定するレバー長測定手段20、レバー10に重錘31a,…を吊り下げてトルクメータ2にトルクを付加する荷重付加手段30、この荷重付加手段30の制御等を行う制御装置50(図3)等により構成されている。
【0010】
トルクメータ2は、トルクを測定するための測定軸を有し、トルクメータ取付部15に組み付けられた状態において、図2に示すように、その測定軸の一端がサーボモータ14の出力軸に、一方、測定軸の他端がレバー10に、それぞれフランジ状の取付部材16,…(図5)等を介して接続されている。即ち、レバー10、トルクメータ2の測定軸及びサーボモータ14の出力軸は、それぞれトルクを伝達可能な状態で直列に接続されている。
【0011】
レバー10は、その中央に架設された支軸11が、本体フレーム1A(図1)に設けられた軸受12に支持されて、本体フレーム1Aに対し回動自在となっている。
軸受12は、静圧気体軸受により構成されている。
この軸受12の軸受面12Aには、図4に示すように、軸方向に形成された給気溝41b,…と、円周方向に形成された給気溝41a,…とにより四方を囲まれたポケット41,…が複数形成されている。各給気溝41a,…、41b,…には、クリーンエアユニット45(図1)より、絞り42,…を通して圧縮空気が供給されるようになっている。
各ポケット41,…の間には、外部に連通する排気溝43,…が形成されている。
また、軸受面12Aには、各ポケット41,…内の空気圧を計測可能な圧力センサ40,…が設置されている。
これら圧力センサ40,…からの出力に基づき、制御装置50は、軸受12における負荷変動を監視して、トルクメータ2の取付状態が正常であるか否かを検出するようになっている。
また、レバー10の両端には、図2に示すように、後述の重錘群31に備わる釣り棒31bと連結自在な釣り棒固定部13bが、メタルバンド13aを介して取り付けられている。
【0012】
サーボモータ14は、図1に示すように、本体フレーム1A上端に設けられたレール18に沿って水平移動可能な可動テーブル17上に設置されている。
この可動テーブル17は、トルクメータ2の着脱に際してトルクメータ2の測定軸方向(レバー10に対して近接離間する方向)に移動される。
【0013】
レバー長測定手段20は、図3に示すように、例えば、レーザ光源21を用いた光学系の変位計により構成されている。
このレバー長計測手段20は、例えば、うず電流式の変位センサ、静電容量式変位センサなどによって構成することも可能である。
【0014】
荷重付加手段30は、図1〜図3に示すように、複数の重錘31a,…を直列に連結してなる複数種類(ここでは、3種)の重錘群31,…と、これら重錘群31,…を載置するテーブル32と、レバー10に吊り下げる重錘群31,…の交換に際してテーブル32を回転する重錘切換モータ33aと、レバー10に付加する荷重(レバー10に吊り下げる重錘31a,…の数量)を増減するためにテーブル32を昇降させるトルクレンジ切換モータ33bと、テーブル32の高さを検出可能なロータリエンコーダ34と、レバー10に付加されている荷重を検出可能なロードセル35,…と、制御装置50による制御の下、トルクレンジ切換モータ33bや重錘切換モータ33aを制御する重錘加除コントローラ36等により構成されている。
【0015】
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/Oインターフェイス等を備え、ROM中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いI/Oインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。
制御装置50には、図3に示すように、CRT51や、図には現れないキーボード等の入力手段が接続される他、サーボモータコントローラ14A、傾斜アンプ19A、測長器コントローラ29、ロードセルアンプ35A、35B、重錘加除コントローラ36、トルクメータアンプ2A及び軸受アンプ40A等が接続されている。
そして、サーボモータコントローラ14Aにはサーボモータ14が、傾斜アンプ19Aにはレバー傾斜センサ19,19が、測長器コントローラ29には測定レシーバ28,28が、ロードセルアンプ35A、35Bにはロードセル35,…が、重錘加除コントローラ36には重錘切換モータ33a、トルクレンジ切換モータ33b及びロータリエンコーダ34が、トルクメータアンプ2Aにはトルクメータ2が、軸受アンプ40Aには圧力センサ40,…が、それぞれ接続されている。
【0016】
この制御装置50は、軸受アンプ40Aを介して圧力センサ40,…から入力された入力信号に基づき、軸受12における負荷変動を検出(トルクメータ2をトルクメータ取付部15に取り付ける前と後で比較)して、トルクメータ2の取付状態が正常であるか否かを判定する。ここで、異常と判定される場合には、この判定結果を、例えば、CRT51等に表示するなどして作業者に対し報知する。この報知により、作業者は、一度トルクメータ2をトルクメータ取付部15から取り外した後、測定軸がレバー10の回動軸線上に配置されるように、トルクメータ2を再度つけ直す。
【0017】
こうしてトルクメータ2が正常に取り付けられた後、制御装置50は、トルクメータ2に所望のトルクを付加するため、重錘加除コントローラ36を介して荷重付加手段30を制御する。
即ち、キーボード等の入力手段からの入力や、ロードセルアンプ35A、35Bを介してロードセル35,…から入力された入力信号等に基づいて、重錘切換モータ33aを駆動することによりテーブル32を回転してレバー10端部の下方位置に所望の重錘群31を配置すると共に、トルクレンジ切換モータ33bを駆動することによりテーブル32を昇降してレバー10に吊り下げる重錘31aの数量を調整し、トルクメータ2に付加するトルクを制御する。
【0018】
また、制御装置50は、トルクメータ2にトルクを付加した際に、傾斜センサアンプ19Aを介してレバー傾斜センサ19,19から入力された入力信号等に基づいてレバー10の傾斜状態を検出すると共に、この検出に基づいてレバー10を地面に対し水平に保持すべく、サーボモータコントローラ14Aを介してサーボモータ14を駆動制御する。
【0019】
そして、制御装置50は、測長器コントローラ29を介して測定レシーバ28,28から入力された入力信号等に基づいて、レバー10の水平方向の長さ(たわみが生じている状態)を求めると共に、このレバー10の水平方向長さとトルク付加手段30がレバー10に付加している荷重との関係により、トルクメータ2に付加しているトルク値を演算する。そして、この基準となるトルク値(トルク基準値)と、トルクメータアンプ2Aを介してトルクメータ2から出力されたトルク値(トルク測定値)とによりトルクメータ2の校正を行う。
【0020】
この実施の形態のトルク校正装置1によれば、静圧気体軸受からなる軸受12の軸受面12Aには、圧縮空気が供給される給気溝41a,…、41b,…に囲まれたポケット41,…内の空気圧を検出可能な圧力センサ40,…が配設されていて、該圧力センサ40,…によるポケット41,…内の空気圧の計測値に基づき、トルクメータ2の取付状態が正常であるか否かを検出可能に構成されているため、当該トルク校正装置1では、常に、トルクメータ2が正常に取り付けられた状態で校正試験が行われるようになる。
そのため、トルクメータ2に付加しているトルク値と、トルクメータ2から出力されるトルク値との間に差異が生じた場合には、それが取付位置のズレによる誤差ではなく、トルクメータ2の検出誤差であることを認識することができる。
【0021】
なお、この実施の形態では、圧力センサ40,…を各ポケット41,…毎に複数設けるようにしたが、その設置数量及び設置位置は適宜変更可能である。
また、レバー長測定手段20や荷重付加手段30の構成、レバー10の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係るトルク校正装置によれば、静圧気体軸受からなる軸受の軸受面内には、圧縮空気が供給される給気溝に囲まれたポケット内の空気圧を検出可能な圧力センサが配設されていて、該圧力センサによるポケット内の空気圧の計測値に基づき、トルクメータの取付状態が正常であるか否かを検出可能に構成されているため、当該トルク校正装置では、常に、トルクメータが正常に取り付けられた状態で校正試験が行われるようになる。
そのため、トルクメータに付加しているトルク値と、トルクメータから出力されるトルク値との間に差異が生じた場合には、それが取付位置のズレによる誤差ではなく、トルクメータの検出誤差であることを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトルク校正装置を示す斜視図である。
【図2】図1のトルク校正装置のトルクメータ取付部周辺を示す斜視図である。
【図3】図1のトルク校正装置を構成する制御装置及び該制御装置に接続される各種電気機器を示すブロック図である。
【図4】図1のトルク校正装置を構成するレバー及び該レバーを支持する軸受を示すもので、(a)はその平断面図、(b)は正面図、(c)は縦断面図である。
【図5】トルクメータの測定軸の両端にフランジ状の取付部材を装着した状態を示す斜視図である。
【図6】図5の状態のトルクメータの取り付けに際しトルクメータの位置決めをするための取付用治具を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 トルク校正装置
1A 本体フレーム
2 トルクメータ
10 レバー
11 支軸
12 軸受
12A 軸受面
15 トルクメータ取付部
30 荷重付加手段
40 圧力センサ
41 ポケット
41a、41b 給気溝
42 絞り
43 排気溝
45 クリーンエアユニット
50 制御装置

Claims (1)

  1. 校正するトルクメータを取り付けるトルクメータ取付部と、
    該トルクメータ取付部にあるトルクメータの測定軸に接続されて該測定軸と一体に回動可能なレバーと、
    該レバーの支軸を回動自在な状態で支持する軸受と、
    前記レバーを介して前記トルクメータにトルクを加えるための荷重を付加することが可能な荷重付加手段と、
    を備えたトルク校正装置において、
    前記軸受は、静圧気体軸受からなり、
    この静圧気体軸受の軸受面内には、圧縮空気が供給される給気溝に囲まれたポケット内の空気圧を計測可能な圧力センサが配設されていて、
    該圧力センサによる前記ポケット内の空気圧の計測値に基づき、前記トルクメータの取付状態が正常であるか否かを検出可能に構成されていることを特徴とするトルク校正装置。
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