JP4214247B2 - 酸性ペルオキシダーゼ及びその遺伝子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、担子菌テルミトマイセス・アルブミノサス(Termitomyces albuminosus)ATTC42010由来の酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質、及び該タンパク質をコードする遺伝子等に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペルオキシダーゼは、過酸化酵素ともよばれ、過酸化水素の存在下、種々の化合物を酸化する酵素であり、動物界、植物界及び微生物界に広く分布することが知られている。ペルオキシダーゼは、各種酵素抗体標識など各種分析試薬として既に実用化されており、また、各種廃液・排水中の有機塩素化合物、環境ホルモン等の分解・除去、パルプ廃液の脱色、洗濯物の色移り防止、フェノール樹脂の合成、食品の劣化防止などの幅広い用途が期待されている。かかるペルオキダーゼの中でも、近年、種々の微生物に由来するペルオキダーゼが探索されてきており、例えば、担子菌のコプリヌス・シネリウス(特開平3−1949号公報)、ヒラタケ(Biochim. Biopys. Acta, 1251, 205-209, 1995)、ホウロクタケ(特開平8−70862号公報)、白色腐朽菌のファネロカエテ・クリソスポリウム(Gene, 93, 119-124, 1990)、ファネロカエテ・ソルディダ(特開2000−152786号公報)、糸状菌のアルスロマイセス・ラモスス(Agric. Biol. Chem, 50, 247, 1986)、子嚢菌ゲオトリカム・キャンディウム(Journal of Bioscience and Bioengineering, 87, 411, 1999)、コフキサルノコシカケ(Biotech. Lett. 23, 103, 2001)、カワラタケ(Biochem. Biophys. Res. Commun, 179, 428-435, 1991)、セリポリオプシス・スベミスポラ(Gene, 206, 185-193, 1998)、ダイコミタス・スクアレンス(Biochim. Biophys. Acta, 1434, 356-364, 1999)、フレビア・ラヂアタ(Gene, 85, 343-351, 1989)、不完全菌類のフザリウム・オキシスポルム、フミコラ・インソレンスなどの微生物に由来するペルオキシダーゼが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、担子菌テルミトマイセス・アルブミノサスATTC42010に由来する新規な酸性ペルオキシダーゼや、かかる酸性ペルオキシダーゼをコードする遺伝子の塩基配列を明らかにして、その有用な機能をより広く活用するための手段を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
担子菌テルミトマイセス・アルブミノサスATTC42010より新規な酸性ペルオキシダーゼ(TAP)を単離し、その酵素学的性質を決定したところ、従来知られているペルオキシダーゼと比較して、pH2.3において最大活性を示すなど非常に低いpH条件で高い活性を有することを見い出した。また、同菌株より単離したTAP遺伝子は既存の担子菌由来のペルオキシダーゼに対して非常に低い相同性(約30%)を示したに過ぎなかったが、pH3.0〜4.0において最大活性を有する子嚢菌ゲオトリカム・キャンディウム(Geotricum candium)由来のペルオキシダーゼDypに対し、TAPはアミノ酸配列で56%の相同性を示すことから、TAPは担子菌より単離された新規のペルオキシダーゼであり、相同酵素であるDyPより低pH領域において活性を示す酵素であることがわかった。本発明はこれら知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0005】
すなわち本発明は、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA(請求項1)や、配列番号1に示される塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの配列の一部若しくは全部を含む配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA(請求項2)や、請求項2記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA(請求項3)や、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(請求項4)や、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質(請求項5)に関する。
【0006】
また本発明は、請求項4又は5記載のタンパク質と、マーカータンパク質及び/又はペプチドタグとを結合させた融合タンパク質(請求項6)や、請求項4又は5記載のタンパク質に特異的に結合する抗体(請求項7)や、抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項7記載の抗体(請求項8)や、請求項1〜3のいずれか記載のDNAを含む組換えベクター(請求項9)や、請求項4又は5記載のタンパク質を発現することができる発現系を含んでなる宿主細胞(請求項10)や、請求項10記載の発現系を含んでなる宿主細胞を培地に培養し、得られる培養物から酸性ペルオキシダーゼ活性を有する組換えタンパク質を採取することを特徴とする組換えタンパク質の製造方法(請求項11)に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の対象となるDNAとしては、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAや、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAや、配列番号1に示される塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの配列の一部若しくは全部を含む配列からなるDNAであればどのようなものでもよく、ここで、上記酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質とは、酸性領域においてペルオキシダーゼ活性を定性的に呈するタンパク質をいう。
【0008】
また、配列番号1に示される塩基配列又はその相補的配列並びにこれらの配列の一部又は全部を含む配列からなるDNAをプローブとして、各種DNAライブラリーに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションを行ない、該プローブにハイブリダイズするDNAを単離することにより、新規な酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを得ることもできる。こうして得られるDNAも本発明に包含される。かかる本発明のDNAを取得するためのハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、42℃でのハイブリダイゼーション、及び1×SSC、0.1%のSDSを含む緩衝液による42℃での洗浄処理を挙げることができ、65℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC、0.1%のSDSを含む緩衝液による65℃での洗浄処理をより好ましく挙げることができる。なお、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を与える要素としては、上記温度条件以外に種々の要素があり、当業者であれば、種々の要素を適宜組み合わせて、上記例示したハイブリダイゼーションのストリンジェンシーと同等のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0009】
これら本発明のDNAは、本発明に開示されたDNA配列情報等に基づき、例えば担子菌テルミトマイセス・アルブミノサスATTC42010等のゲノム遺伝子から、PCR又はDNA断片をプローブとするハイブリダイゼーションなど公知の方法により調製することができる。その他、化学合成によっても調製することができる。また、これら本発明のDNAから、酸性ペルオキシダーゼ活性を有する人工変異タンパク質をコードする本発明のDNA、すなわち、塩基配列レベルやアミノ酸配列レベルでの本発明の人工変異DNAを得るには、公知の突然変異手段を用いればよく、例えば市販の突然変異誘発キットを用いると変異を容易に導入することができる。さらに、アミノ酸配列に含まれる第1番目のメチオニン(Met)が欠失しているものなども、アミノ酸配列の変異によるタンパク質に含まれる。
【0010】
本発明のタンパク質としては、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質であれば特に制限されるものではなく、これら本発明のタンパク質はそのDNA配列情報等に基づき公知の方法で調製することができ、その由来は特に制限されるものではない。
【0011】
本発明の融合タンパク質としては、本発明のタンパク質とマーカータンパク質及び/又はペプチドタグとが結合しているものであればどのようなものでもよく、マーカータンパク質としては、従来知られているマーカータンパク質であれば特に制限されるものではなく、例えば、アルカリフォスファターゼ、抗体のFc領域、GFPなどを具体的に挙げることができ、また本発明におけるペプチドタグとしては、Mycタグ、Hisタグ、FLAGタグ、GSTタグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。かかる融合タンパク質は、常法により作製することができ、Ni−NTAとHisタグの親和性を利用した酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質等の精製や、酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質等に対する抗体の定量用などとして、また当該分野の研究用試薬としても有用である。
【0012】
本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体等の免疫特異的な抗体を具体的に挙げることができ、これらは上記本発明のタンパク質、融合タンパク質等の全部又は一部を抗原として用いて常法により作製することができるが、その中でもモノクローナル抗体がその特異性の点でより好ましい。かかるモノクローナル抗体等の抗体は、例えば、酸性ペルオキシダーゼの特性やその産生機構を明らかにする上で有用である。
【0013】
上記の本発明の抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以外)に本発明のタンパク質又はエピトープを含むその断片を投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ法(Nature 256, 495-497, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Immunology Today 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc., 1985)など任意の方法を用いることができる。
【0014】
また前記モノクローナル抗体等の抗体に、例えば、FITC(フルオレセインイソシアネート)又はテトラメチルローダミンイソシアネート等の蛍光物質や、125I、32P、14C、35S又は3H等のラジオアイソトープや、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ又はフィコエリトリン等の酵素で標識したものや、グリーン蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光発光タンパク質などを融合させた融合タンパク質を用いることによって、本発明のタンパク質の機能解析を行うことができる。また本件発明の抗体を用いる免疫学的測定方法としては、RIA法、ELISA法、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、血球凝集反応法、オクタロニー法等の方法を挙げることができる。
【0015】
本発明の組換えベクターとしては、上記本発明のDNAを含むベクターであれば特に制限されないが、本発明のタンパク質を宿主細胞内で発現させることができる発現系を含むものが好ましく、例えば、染色体、エピソーム及びウイルスに由来する発現系、より具体的には、細菌プラスミド由来、酵母プラスミド由来、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス由来のベクター、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来及びこれらの組合せに由来するベクター、例えば、コスミドやファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝的要素に由来するものを挙げることができる。この発現系は発現を起こさせるだけでなく発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。
【0016】
本発明はまた、上記本発明のタンパク質を発現することができる発現系を含んでなる宿主細胞に関する。かかる本発明のタンパク質をコードするDNAや上記発現系を含む組換えベクターの宿主細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング (scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)、感染等により行うことができる。そして、宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真菌細胞や、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞や、L細胞、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、BALB/c3T3細胞(ジヒドロ葉酸レダクターゼやチミジンキナーゼなどを欠損した変異株を含む)、BHK21細胞、HEK293細胞、Bowes悪性黒色腫細胞等の動物細胞や、植物細胞等を挙げることができる。
【0017】
また、本発明の組換えタンパク質の製造方法としては、上記発現系を含んでなる宿主細胞を培地に培養し、得られる培養物から酸性ペルオキシダーゼ活性を有する組換えタンパク質を採取する方法であればどのような方法でもよく、かかる本発明のタンパク質を細胞培養物から回収し精製する方法としては、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法、好ましくは、高速液体クロマトグラフィーを用いる方法を挙げることができる。また、上記アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、本発明のタンパク質に対する抗体を結合させたカラムや、上記本発明のタンパク質に通常のペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結合したカラムを用いることにより、本発明のタンパク質を得ることができる。上記本発明のタンパク質の精製方法は、ペプチド合成の際にも適用することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施例により限定されるものではない。
実施例1(TAPの調製)
[1.テルミトマイセス・アルブミノサスの培養]
担子菌テルミトマイセス・アルブミノサスATCC42010は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)より購入したものを、ポテトデキストロース(Potato dextrose)寒天培地(Difco社製)により生育させ、保存しておいたものを用いた。前培養は、ポテトデキストロース寒天培地上で生育した本菌株を直径5mmのコルクボーラーで打ち抜き、それを下記に示すTAP単離用培地10mlを入れた100ml容三角フラスコに移し、30℃で1週間培養することにより行った。前培養で得られた菌体を、カップ型ブレンダーCM100(イウチ社製)を用い破砕し、TAP単離用培地500mlを入れた2リットル容フラスコに植菌して本培養を行った。本培養は、30℃で4日間振盪培養(100rpm)し、5目日以降は、毎日15分間酸素ガスをフラスコに吹き込み培養することにより行った。
【0019】
本培養中、経時的に採取した培養上清0.1mlに、反応液[50mMクエン酸緩衝液(pH2.3)、0.1mM過酸化水素、0.5mM2,6−ジメトキシフェノール]1mlを加え、分光光度計DU530(ベックマン社製)を用いて、469nmの吸光度の上昇により反応を追跡しすることにより、TAP活性を測定したところ、培養20日目に最大のTAP活性を得ることができた。
【0020】
[2.TAP単離用培地組成(1リットル)]
Yeast Carbon Base(Difco社製) 1.17g
酒石酸アンモニウム 12mM
金属塩混合液*(下記に組成を示す) 60ml
MnSO4 100μM
Tween80 0.1%
イオン交換水を用い1リットルとし、pH6.0に調整
*:金属塩混合液 (Methods in Enzymology,161, 238-249, 1988)
MgSO4 3g
NaCl 0.5g
FeSO4 0.1g
CoCl2 0.1g
ZnSO4 7H2O 0.1g
CuSO4 0.1g
AlK(SO4)2 12H2O 10mg
H3BO3 10mg
Na2MoO4 2H2O 10mg
Sodium nitrilotriacetate 1.5g
イオン交換水を用い1リットルとし、pH4.5に調整
【0021】
[3.TAPの単離]
TAPを単離するため、培養20日目の培養液を、グラスウールにより菌体と濾別した。濾液は10mMリン酸緩衝液(pH7.5)に対して透析を12時間行った。これを予め10mMリン酸緩衝液(pH7.5)により平衡化したDEAE−Toyopearl(東ソー社製)を充填したカラム(3cm×10cm)に流し込み、TAPをカラムに結合させた。流し込み終了後、10mMリン酸緩衝液(pH7.5)200ml、10mM酢酸緩衝液(pH5.5)200mlによりカラムを洗浄した。TAPは0.5Mの塩化ナトリウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH5.5)への直線グラジエントによりカラムから溶出させた。活性画分は、限外濾過膜PM-10(amicon社製)により濃縮後、Superdex 200HR 10/30(Amasham-Pharmasic Biotech社製)を用い分画した。分画条件は溶離液として0.1M塩化ナトリウム含有20mM酢酸緩衝液(pH5.5)を用い、流速0.5ml/分とした。活性画分は、10mM酢酸緩衝液(pH6.0)に対し透析後、MonoQ HR5/5(Amasham-Pharmasic Biotech社製)により更に分画を行った。分画条件は溶離液として10mM酢酸緩衝液(pH6.0)を用い、塩化ナトリウム0〜0.5Mへのリニアグラジエントで、流速1.0ml/分とした。最終的に得られた活性画分をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析を行ったところ、唯一のバンドを与えた。
【0022】
[4.TAPの至適pH]
精製したTAP2.3ngに、反応液[50mMクエン酸緩衝液(pH5.5〜2.0)及び50mMリン酸緩衝液(pH3.1〜2.0)、0.4mM過酸化水素、50μM2,2'−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2アンモニウム]1mlを加え、分光光度計DU530(ベックマン社製)を用いて、415nmの吸光度の上昇により追跡することにより、至適pHを決定した。結果を図1に示す。なお、図中の●はリン酸緩衝液、■はクエン酸緩衝液である。図1からわかるように、精製TAPはpH2.3において最大活性を示し、TAPの至適pHがpH2.3であることがわかった。
【0023】
実施例2(TAP遺伝子の調製)
[1.TAP遺伝子断片の取得]
TAP遺伝子断片の取得は、図2に示されるように、各種プライマーを用いて行った。まず、培養17日目の菌体(湿潤重量約3g)より、全RNAの単離をacid guanidinium phenol-chloroform法(Chonczynski P., Sacchi N., Analytical Biochemistry, 162, 156-159, 1987)により行った。単離した全RNAは、oligotex-dT30 <Super> mRNA Purification Kit(TAKARA社製)を用い、polyA RNAを分別することにより回収した。60ngのPolyA RNAは、SuperscriptII(Gibco BRL社製)により、プライマー1:5'-TTTACCTCTTCAGC(T)19-3'(配列番号3)を用いて取扱説明書に従い逆転写し、first strand cDNAを得た。
【0024】
TAPのN末端アミノ酸配列を、気相プロテインシークエンサーABI 477Aを用いて常法により分析した。その結果、配列番号4のアミノ酸配列が決定された。このN末端アミノ酸配列をもとに、プライマー2:5'-TTCGARAAYATHGARGCHGCYAT-3'(配列番号5)及びプライマー3:5'-ATYYTBGTKGGYATGAAGAARCA-3'(配列番号6)の2種類の混合プライマーを作製した。TAP遺伝子断片の取得には、RT−PCR(reverse transcription polymerase chain reaction)法を用いた。1μlのfirst strand cDNA溶液に、0.2μMのプライマー1、5μMのプライマー2、0.2mMのdNTP(deoxyribonucleoside triphosphate)、2UのEXTaq(TAKARA社製)、3μlの10×EXTaq bufferを加え、最終液量を30μlとした。
【0025】
PCRは、MJ Research PTC-200を用い、反応1(94℃30秒、45℃1分、72℃2分、5サイクル)、反応2(94℃30秒、49℃1分、72℃2分、5サイクル)、反応3(94℃30秒、53℃1分、72℃2分、5サイクル)、反応4(94℃30秒、57℃1分、72℃2分、20サイクル)の条件で行った。こうして得られた反応液1μlを鋳型DNAとし、2回目のPCRを次の条件で行った。上記反応液1μlに、0.3μMプライマー1、5μMプライマー3、0.2mMのdNTP、2UのExTaq(TAKARA社製)、3μlの10×EXTaq bufferを加え、最終液量30μlとし、PCRサイクルを94℃30秒、55℃1分、72℃2分40サイクルで行った。
【0026】
この結果得られた該反応液を、アガロース電気泳動により分離し、QIAEX II Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用い、約1.3kbpのDNA断片をゲルから回収した。該DNA断片をpGEM−Tベクター(Promega社製)に取扱説明書に従い連結し、このベクターを用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、目的のDNA断片を含むコロニーを、シークエンスすることでスクリーニングを行った。なお、DNAシークエンサーはABI PRISM377(Applied Biosystems社製)、シークエンス反応はABI PRISM Cycle sequencing Kit (Applied Biosystems社製)を用いた。
【0027】
[2.完全長TAP遺伝子配列の決定]
上記得られたTAP遺伝子断片は、5'末端を欠くものである。そこで、完全長TAP遺伝子を取得するため、5'RACE(5' rapid amplification of cDNA ends)法を、5'RACE version2.0(GIBCO BRL社製)を用いて行った。まず、先に得た部分TAP遺伝子の塩基配列をもとに、プライマー4:5'-AATCGTATACGACAGTCCACG-3'(配列番号7)、プライマー5: 5'-CATCGGAGGCATCAGCGAAC-3'(配列番号8)を作製した。2.5pmolのプライマー4を用い、約22ngのpolyA RNAを用いて、SuperscriptII(GIBCO BRL 社製)により逆転写反応を行った。得られたfirst strand cDNAの5'末端にデオキシシトシンテールを付加し、これを鋳型として、プライマー5と5'RACEversion2.0(GIBCO BRL社製)に添付のAbridged anchor primerを用いて、PCRを以下の条件で行った。first strand cDNA約1ngに対して、終濃度各0.4μMのプライマー、0.2mMのdNTP、2UのEX−Taqを加え、最終反応量を50μlとし、PCRサイクルを94℃40秒、55℃40秒、72℃1分、35サイクルで行った。PCR反応終了後、約400bpのDNA断片をアガロースゲルより、前記と同様の方法により抽出し、pGEM−Tベクターにクローニング後、シークエンスの決定を行った。こうして得た配列は、上記得られたTAP遺伝子断片の塩基配列と約300bpにわたり同一の配列をもち、両配列を連結することにより完全長TAP遺伝子配列(配列番号1)を決定することができた。また、連結後の配列から推定されるTAPアミノ酸配列(配列番号2)には、精製酵素より決定されたN末端アミノ酸配列が存在していた。
【0028】
上記TAPアミノ酸配列(配列番号2)に対し、相同性検索を行ったところ、有意な相同性を示す2つの遺伝子が存在した。結果を表1に示す。遺伝子cpop21は、担子菌Polyporaceae sp.に由来するもののその機能は不明である。遺伝子dypは子嚢菌Geotricum candidumに由来し、その発現産物であるペルオキシダーゼDyPの至適pHは最低3.0である。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
TAPは従来のペルオキシダーゼと比較して、極めて低いpH領域において活性を有することから、従来知られているペルオキシダーゼでは使用不可能なpH領域での使用が可能であり、酸性領域での各種酵素抗体標識(ウェスタンブロット、レポーターアッセイ等)の原理に基づく分析法や、酸性廃液・排水中の有機塩素化合物、環境ホルモン等の分解に有利に用いることができる。
【0031】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のTAPの至適pHの測定結果を示す図である。
【図2】本発明のTAP遺伝子の取得の概要を示す図である。
Claims (11)
- 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードするDNA。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質 - 配列番号1に示される塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの配列の一部若しくは全部を含む配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
- 請求項2記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酸性ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質。
- 請求項4又は5記載のタンパク質と、マーカータンパク質及び/又はペプチドタグとを結合させた融合タンパク質。
- 請求項4又は5記載のタンパク質に特異的に結合する抗体。
- 抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項7記載の抗体。
- 請求項1〜3のいずれか記載のDNAを含む組換えベクター。
- 請求項4又は5記載のタンパク質を発現することができる発現系を含んでなる宿主細胞。
- 請求項10記載の発現系を含んでなる宿主細胞を培地に培養し、得られる培養物から酸性ペルオキシダーゼ活性を有する組換えタンパク質を採取することを特徴とする組換えタンパク質の製造方法。
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