次に、本願に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、本願に係る光ピックアップ装置を、レーザ光(光ビーム)を用いて光記録媒体の記録再生を行うための光ピックアップ装置に適用した場合の実施形態であり、光記録媒体としては書き込み用の光ディスク(以下、単に、光ディスクという。)を用いて説明をする。
〔第1実施形態〕
図1〜図8を用いて光ピックアップ装置の第1実施形態について説明する。
まず、図1を用いて本実施形態の光ピックアップ装置の構成について説明する。
なお、図1は、本実施形態の光ピックアップ装置の機器構成を示す機器構成図である。
図1に示す光ピックアップ装置100は、データの記録・再生を行うためのレーザ光を光ディスクに対して出射する半導体レーザ出力制御部110と、この出射されたレーザ光の一部を検出し、検出されたレーザ光に基づいて電流(以下、検出電流という。)を出力するフォトディテクタ120と、この検出電流を電圧(以下、検出電圧という。)に変換する第1変換部130と、当該検出電圧に対してサンプル処理を行うサンプル処理部140と、サンプル処理された電圧を電流に変換する第2変換部150と、後述する消去電流パルス、書き込み電流パルスおよび読み出し電流パルスを生成するパルス電流生成部160と、生成された各電流パルスと第2変換部150によって変換された電流とを加算する加算処理部170と、上記各部を制御する制御部180と、を有している。
なお、例えば、半導体レーザ出力制御部110は、本発明に係る出射手段および出射制御手段を構成し、フォトディテクタ120は、本発明に係る検出手段を構成する。
また、例えば、サンプル処理部140は、本発明に係る取得手段、誤差算出手段、情報取得手段および設定手段を構成し、制御部180は、本発明に係る制御手段、期間設定手段およびレベル制御手段を構成する。
半導体レーザ出力制御部110は、半導体レーザ回路を有し、第2変換部150から出力された制御電流に基づいて、出力するレーザ光の光強度レベルの制御および出力されるレーザ光のパルス形式の制御を行うようになっており、当該制御されたレーザ光を光ディスクに対して出射するようになっている。
この半導体レーザ出力制御部110は、レーザ光を出射することにより、光ディスク上に設けられた記録膜である相変化膜にマークを形成、または、光ディスク上の相変化膜に既に形成されたマークを消去して当該相変化膜にスペースを形成させるとともに、光ディスク上の相変化膜に既に形成されたマークおよびスペースのデータを読み出すようレーザ光を出射するようになっている。
なお、相変化膜に形成された振幅ピットをマークといい、当該振幅ピットを形成するため、または、光ディスク上に形成された振幅ピットのデータ区間をマーク区間という。また、相変化膜に既に形成されたマークを消去して空白を形成された部分をスペースといい、当該スペースを形成するためのデータ区間、または、スペースが形成されたデータ区間を消去区間という。
半導体レーザ出力制御部110は、具体的には、光ディスクに書き込みデータを書き込む場合に、加算処理部170から出力された制御電流に基づいて、光ディスク上にマークを形成するための強度レベル(以下、書き込みレベルという。)と、光ディスク上にスペースを形成するための強度レベル(以下、消去レベルという。)と、光ディスクからデータを読み出すための強度レベル(以下、読み出しレベルという。)と、を切り換えて光ディスクにレーザ光を出射するようになっている。
具体的には、この半導体レーザ出力制御部110は、光ディスクに書き込みデータを書き込む場合に、加算処理部170から出力された制御電流に基づいて、書き込みレベルによって生成されるパルス(以下、書き込みパルスという。)と、レーザ光の消去レベルによって生成されるパルス(以下、消去パルスという。)と、を切り換えて光ディスク上にレーザ光を出射するようになっている。
この書き込みパルスは、書き込みレベルと当該書き込みレベルに比べ極端に低い強度レベル(以下、書き込み基準レベルという。)とを繰り返す複数のパルス(以下、マルチパルスという。)によって生成されるようになっており、また、この消去パルスは、消去レベルと当該消去レベルに比べ低い強度レベル(以下、消去基準レベルという。)とを繰り返すマルチパルス、または、単一の強度レベルによって生成されるパルス(以下、単一パルスという。)によって生成されるようになっている。
ここで、図2を用いて半導体レーザ出力制御部110から出力されるレーザ光のパルス形式について説明する。
なお、図2は、マルチパルスと単一パルスにおける熱蓄積の関係を示すための図である。
本実施形態では、図2(a)に示すように、レーザ光の照射による光ディスク上に蓄積される熱の関係上、通常、書き込みパルスおよび消去パルスはマルチパルスによって出射されるようになっており、後述するサンプル処理を行う場合にのみ、消去パルスが単一パルスによって出射されるようになっている。
例えば、常に当該消去パルスが単一パルスによって出射されると、図2(b)に示すように、上記光ディスクには常にレーザが照射されるようになるので、消去区間中、当該光ディスク上に熱が蓄積され、光ディスク上に設けられた記録膜の温度が上昇するようになる。しかしながら、消去パルスがマルチパルスによって出射されると、図2(c)に示すように、消去区間中、光ディスク上に蓄積される熱は、出射レベルの高低によって上昇しないようになる。したがって、本実施形態では、通常、マルチパルスによってレーザ光を出射するようになっており、光ディスクの記録膜の保護、および、データ記録によって生ずるエラーを回避することができるようになっている。
一方、後述するように、サンプル処理を行う場合に、レーザ光がマルチパルスの消去パルスによって出射されると、サンプル値を取得するときの光強度レベルが安定しないため、的確にサンプル処理を行うことができないこととなる。このため、本実施形態の半導体レーザ出力制御部110は、後述するサンプル処理を行う場合にのみマルチパルスを単一パルスに切り換えてレーザ光を出射するようになっている。
なお、図2において、マーク区間および消去区間のTは、光ディスクの再生時に、マークおよびスペースの情報を読み出すときのラン長の基準となる周期を示し、WRCは、書き込みクーリングレベルであり、マークの終端を整えるために光ディスク面を急冷するためのレベルである。
また、この半導体レーザ出力制御部110は、後述するように、前記各種類毎の部分データ(以下に示す変調データ)に基づいて生成された制御電流に基づいて、生成された光ビームの強度変調を行い、前記光記録媒体に前記強度変調した光ビームを出射するようになっている。
このように、本実施形態の半導体レーザ出力制御部110は、制御部180の指示により生成された制御電流および各パルス電流に基づいて、読み出しパルス、書き込みパルスおよび消去パルスの切換、マルチパルスおよび単一パルスの切換制御、並びに、変調データによるレーザ光の強度変調制御を行うようになっている。
フォトディテクタ120は、半導体レーザ出力制御部110から出力されたレーザ光の一部、例えば、数%のレーザ光を検出するようになっており、この検出されたレーザ光に基づいて検出電流を生成し、この生成した検出電流を第1変換部130に出力するようになっている。
第1変換部130には、フォトディテクタ120において生成された検出電流が入力されるようになっており、入力された検出電流を検出電圧に変換し、この検出電圧をサンプル処理部140に出力するようになっている。
サンプル処理部140には、第1変換部130から変換された検出電圧が入力されるようになっており、サンプル処理部140は、制御部180の指示に基づいて、この入力された検出電圧に対してサンプル処理を行い、レーザ光における負帰還制御を行う制御電圧を生成するとともに、この制御電圧を第2変換部150に出力するようになっている。
なお、本実施形態のサンプル処理部140の詳細及びサンプル処理の詳細については、後述する。
第2変換部150には、サンプル処理部140から出力された制御電圧が入力されるようになっており、入力された制御電圧を電流に変換し、加算処理部170に出力するようになっている。
パルス電流生成部160は、制御部180の制御に基づいて、消去パルス、書き込みパルスおよび読み出しパルスを生成するようになっており、この各パルスを制御電流に変換し、加算処理部170を介して半導体レーザ出力制御110に出力するようになっている。
具体的には、パルス電流生成部160は、データの読み込み動作(以下、読み込みモードという。)時には、単一パルスの読み出しパルスを生成するようになっており、また、データの書き込み動作(以下、書き込みモードという。)時には、マルチパルスの消去パルスおよび書き込みパルスを生成するとともに、後述するように、APCタイミング期間中に、消去パルスを単一パルスとして生成するようになっている。
このパルス電流生成部160は、図1に示すように、消去電圧パルスを発生させる消去電圧パルス発生部161と、制御部180の制御に基づいて書き込み電圧パルスを発生させる書き込み電圧パルス発生部162と、制御部180の制御に基づいて読み出し電圧パルスを発生させる読み出し電圧パルス発生部163と、各電圧パルスを電流パルスに変換する第1パルス変換部164、第2パルス変換部165および第3パルス変換部166と、を有し、制御部180の指示に基づいて各パルスを生成するようになっている。
各パルス発生部161、162、163は、制御部180からの書き込みモードおよび読み出しモードの動作指示、および、制御部180によって予め設定されたデューティー比に基づいて消去電圧パルス、書き込み電圧パルスまたは読み出し電圧パルスを発生させ、生成した消去電圧パルス、書き込み電圧パルスまたは読み出し電圧パルスを各パルス変換部に出力するようになっている。
第1パルス変換部164には、消去電圧パルス発生部161から出力された消去電圧パルスが入力されるようになっており、この第1パルス変換部164は、入力された消去電圧パルスを消去電流パルスに変換し、加算処理部170に出力するようになっている。
第2パルス変換部165には、書き込み電圧パルス発生部162から出力された書き込み電圧パルスが入力されるようになっており、この第2パルス変換部165は、入力された書き込み電圧パルスを書き込み電流パルスに変換し、加算処理部170に出力するようになっている。
第3パルス変換部166には、読み出し電圧パルス発生部163から出力された読み出し電圧パルスが入力されるようになっており、この第3パルス変換部166は、入力された読み出し電圧パルスを読み出し電流パルスに変換し、加算処理部170に出力するようになっている。
加算処理部170には、第2変換部150において制御電圧から変換された制御電流、パルス電流生成部160から出力された消去電流パルス、書き込み電流パルスおよび読み出し電流パルスの各電流パルスが入力されるようになっており、この各入力された電流パルスおよび制御電流を加算して半導体レーザ出力制御部110に出力するようになっている。
制御部180は、パルス電流生成部160による各電流パルスの生成制御、サンプル処理制御、および、上述のように、半導体レーザ出力制御部110のレーザ光の出力制御を行うようになっており、半導体レーザ出力制御部110を介して半導体レーザのレーザ光出力を負帰還制御するようになっている。
ここで、図3を用いて本実施形態の光ピックアップ装置100における負帰還制御の原理について説明する。
なお、図3は、負帰還動作の原理を説明するための図であり、負帰還制御を行うレーザ光のIP特性と温度の関係を示すグラフである。
通常、書き込み用光ディスクにデータを書き込む場合に、スペースを生成する消去レベルおよびマークを生成する書き込みレベルに対応する光パワーPを一定とすると、図3に示すように、半導体レーザ自体の温度の経時変化により各電流値Iが変化する。したがって、半導体レーザの出力される光強度レベルに対して制御を行わないと、的確にマークの形成およびスペースの形成を行うことができない。
その一方、当該温度変化により、レーザのIP(電流対光パワー)特性が変化したとしても、基準となる光強度レベル(以下、単に、基準レベルという。)からの消去レベルおよび書き込みレベルに対する電流の割合は、基準制御電流に比較して小さく、また、IP特性の傾き(微分量子化効率)は、図3に示したように温度による変化は小さいので、基準レベルが定まってしまえば、それに加算されるデータの書き込みレベルの電流およびデータの消去レベルの電流を制御しなくてもよい。
また、光ディスクに記録されたデータを読み出す場合に、あまりにも強度の高いレーザ光を出力すると、光ディスク上に形成されたマークが消去されてしまうので、制御部180は、光ディスクからデータを読み出す場合には、マークおよびスペースによる反射レベルを感知できる程度の強度レベルでレーザ光を出射させる必要がある。
このように、本実施形態では、制御部180は、温度変化による基準レベルを制御するため、すなわち、レーザ光の光強度レベルを制御する制御電流の基準レベルを制御するため、経時温度変化により、温度に対応して半導体レーザを駆動する駆動電流に対して負帰還制御を行うとともに、データを的確に読み出すために、レーザ光の光強度の出力制御を行うようになっている。
具体的には、この制御部180は、光ディスクからデータを読み出す場合に、光ディスクにデータを記録する場合に、または、光ディスクに既に記録されたデータを消去する場合に、半導体レーザ出力制御部110およびパルス電流生成部160を制御することにより、当該半導体レーザ出力制御部110から出射されるレーザ光の光強度レベルの制御、および、レーザ光のパルス形式の制御を行うようになっている。
また、制御部180は、各種類毎の部分データに基づいて光ビームの強度変調を行い、前記光記録媒体に前記強度変調した光ビームを出射するようになっている。
具体的には、本実施形態では、8ビット毎に構成される書き込みデータを16ビット毎に変調して記録するようになっており、制御部180は、このビットコードが変調された異なるラン長を有する複数種類の部分データ(以下、変調データという。)に基づいてレーザ光の強度変調を行うようになっている。
例えば、本実施形態では、光ディスク上に記録膜として相変化膜が設けられ、各変調データに基づいて出射されたレーザ光によって、相変化膜にラン長の異なるマークおよびスペースが形成されるようになっており、当該各変調データによってデータビットのパルス幅および時間長が異なるビット列を現すようになっている。
また、本実施形態の制御部180は、光ディスクにある映像または音声等のコンテンツ情報が書き込まれる領域(以下、データ書き込み領域という。)に設けられたレーザ光の出力強度レベルを調整するための領域(以下、APC(automatic Power Control)領域
という。)において当該レーザ光の出力強度レベルのレベル制御を行うようになっている。
具体的には、制御部180は、当該制御部180の内部において独自に一定期間毎にAPC領域を示すタイミング(以下、APCタイミングという。)であるパルス(以下、APCタイミングパルスという)を発生させ、当該APCタイミングにレーザ光の出力強度レベルのレベル制御を行うとともに、後述するように、APCタイミング中に入力された変調データに基づいてサンプルパルスを発生させてサンプル処理部140その他の各部を制御するようになっている。
なお、本実施形態では、制御部180において、例えば、独自に設定されるAPCタイミングパルスの周期を10kHzと設定し、当該APCタイミングパルスのパルス幅を数μsec程度に設定するか、または、当該独自に設定されるAPCタイミングパルスの周期を図示しないスピンドルモータの回転数によって検出されるFG(Frequency Generator)パルスの周期によって所定の値に設定し、当該APCタイミングパルスに基づいてパルス幅を設定するようになっている。
また、本実施形態において、制御部180は、コンテンツ情報を記録する光ディスクに予め記録されている制御情報に基づいて指定されたAPC領域において、当該レーザ光の出力強度レベルのレベル制御を行うようにしてもよい。
具体的に上述の場合には、制御部180は、データを書き込む光ディスクのリードイン領域などに予め記録されたプリアドレス情報、ランドプリピット・CAPA(Complimentary Allocated Pit Addressing)によるプリピットによるアドレス情報、または、ウォブル信号によるアドレス情報を取得し、当該取得した情報に基づいてAPC領域のディスク上の位置を把握するようになっており、把握した光ディスク上のAPC領域の位置に併せてAPCタイミングパルスを発生させるようになる。
すなわち、制御部180は、プリアドレス情報その他の光ディスク上に設けられたAPC領域の位置に基づいてAPC領域が設けられている周期を決定し、当該決定された周期に基づいてタイミングパルスを発生させるとともに、当該APCタイミングにレーザ光の出力強度レベルのレベル制御を行い、APCタイミング中に入力された変調データに基づいてサンプルパルスを発生させてサンプル処理部140その他の各部を制御するようになる。
また、制御部180は、この生成したAPCタイミングパルスおよびサンプルパルスをサンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力するようになっている。
なお、光ディスクに設けられたAPC領域に記録されるデータは、再生時には、光ディスクに記録されるべきコンテンツ情報とは無関係のデータとして扱うようになっている。
また、本実施形態の制御部180は、光ディスクにデータを書き込む当初に、試し書きによって個々の光記録媒体の書き込みにおける最適条件を決定するOPC(Optimized Power Control)の際に、書き込みレベルまたは消去レベルの基準レベルおよびデューティ
ー比、並びに、後述する目標サンプル値を各光ディスク毎に決定するようになっており、この決定された各値を内部に格納し、サンプル処理部140および電流パルス生成部160に出力するようになっている。
次に、図4を用いて本実施形態のサンプル処理部140およびサンプル処理について説明する。
なお、図4は、本実施形態のサンプル処理部140におけるサンプル処理を説明するための図である。
本実施形態のサンプル処理は、予め定められたタイミングに半導体レーザ出力制御部110から消去レベルによって出射された単一パルスの強度レベルを示す電圧値が入力され、この入力された単一パルスの電圧値をサンプル値として取得するようになっており、この取得したサンプル値と予め設定された目標値との誤差を算出し、この誤差に基づいてレーザ光に対して負帰還制御を行う制御電圧を生成するようになっている。
通常、マルチパルスは、書き込みレベルまたは消去レベルとこれらより低い強度レベルとの繰り返しによって生成される複数のパルスであるため、安定した強度レベルにおけるサンプル値を取得することができない。また、単一パルスであっても、マルチパルスから変換された直後は、フォトディテクタ120や電流電圧変換の際の周波数特性や伝送経路の不具合によってパルス波形は安定しないので、この期間の値をサンプル値として取得するには適さない。したがって、サンプル処理を行う期間としては、単一パルスの波形が十分安定した期間を抽出することが望ましい。
例えば、消去パルスによってサンプル処理を行う場合に、図4(a)に示すように、消去パルスがマルチパルスであると、サンプル処理部140に入力された検出電圧における電圧レベルが安定しない。このため、サンプル処理部140がサンプル値を取得する前後では、サンプル処理部140から出力する制御電圧において誤差が発生し、的確にサンプル処理を行うことができない。
一方、消去パルスが単一パルスである場合には、図4(b)に示すように、サンプル処理部140に入力された検出電圧における電圧レベルが安定するため、サンプル値を取得する前後においても、サンプル処理部140から出力する制御電圧は一定になり、的確にサンプル処理を行うことができるようになる。
このようなことから、本実施形態では、制御部180によって電流パルス生成部160を制御して消去パルスを単一パルスに変更した場合に、単一パルスによって生成された消去パルスの立ち下げ時間より一定時間前のタイミングにおいてサンプルパルスを発生させ、それに連動させて、そのときのサンプル処理部140に入力された検出電圧レベルをサンプル値としてサンプリングさせるようになっている。
具体的には、制御部180は、APCタイミング期間中に、この消去パルスの立ち下げ時間より前に一定時間の時間長を有する期間におけるパルスレベルをサンプル値としてサンプリングするようサンプルパルスを生成して、サンプル処理部140に出力するようになっている。
本実施形態のサンプル処理部140は、図1に示すように、入力された検出電圧に対して予め定められた期間の検出電圧をサンプリングして固定(ホールド)するサンプルホールド回路141と、レーザ光の目標となる消去レベルの電圧値(以下、サンプル目標消去電圧という。)を予め格納するサンプル電圧格納部142と、誤差を算出するために、各サンプル目標電圧からサンプルホールドされた検出電圧(以下、サンプルホールド電圧という。)を減算する減算処理部143と、減算された電圧を積分する積分処理部144と、制御部180から出力されたAPCタイミングパルスおよびサンプルパルスに基づいて、サンプルホールド回路141を制御するサンプルホールド制御部145と、から構成されている。
なお、例えば、本実施形態のサンプル電圧格納部142は、本発明に係る格納手段を構成する。
サンプルホールド回路141には、第1変換部130から出力された検出電圧が入力されるようになっており、このサンプルホールド回路141は、入力された検出電圧に対してサンプルホールド制御部145によって指定されたタイミングの電圧値を固定(ホールド)し、この固定した値(サンプル値)を減算処理部143に出力するようになっている。
なお、このサンプルホールド回路141は、サンプルホールド制御部145によって指示されたタイミング、すなわち、次のサンプルパルスが入力されるまで、サンプル値を保持し、減算処理部143に出力するようになっている。
サンプル電圧格納部142には、レーザ光の目標となる消去レベルの電圧値(以下、サンプル目標消去電圧という。)が格納されており、このサンプル電圧格納部142は、格納している目標消去電圧をサンプルホールド制御部145による指示に基づいて減算処理部143に出力するようになっている。
例えば、サンプル電圧格納部142は、予め設定された目標値となるサンプル値(以下、目標サンプル値という。)を生成するようになっており、光ディスクにデータを書き込む当初に、試し書きによって個々の光記録媒体の書き込みにおける最適条件を決定するOPC(Optimized Power Control)の際に制御部180の指示に基づいて目標消去電圧を
生成し、内部に格納するようになっている。
減算処理部143には、サンプルホールド回路141から出力されたサンプル値およびサンプル電圧格納部142から出力された目標サンプル値が入力されるようになっており、減算処理部143は、入力された目標サンプル値から入力されたサンプル値を減算し、当該減算した電圧値を積分処理部144に出力するようになっている。
積分処理部144には、減算処理部143から出力された電圧値が入力されるようになっており、入力された電圧値を積分することによって低域成分を抽出、すなわち、入力された電圧値を平均化し、第2変換部150を介して加算処理部170に出力するようになっている。
サンプルホールド制御部145には、制御部180から出力されたAPCタイミングパルスおよびサンプルパルスが入力されるようになっており、入力されたAPCタイミングパルスおよびサンプルパルスに基づいてサンプルホールド回路141およびサンプル電圧格納部142を制御するようになっている。
次に、図5〜図7を用いて本実施形態の光ピックアップ装置100の書き込み用の光ディスクのデータ書き込み中におけるAPC領域での負帰還制御動作について説明する。
なお、図5は、本実施形態のデータ書き込み中における負帰還動作を説明するための図、図6は、本実施形態のレーザ光の出力切換制御の動作を示すフローチャート、および、図7は、本実施形態のサンプル処理の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態では、光ディスクに書き込みデータを記録している書き込みモードのときに、APCタイミングパルスおよびサンプルパルスに基づいて、APCタイミング期間中に消去パルスを単一パルスとして発生させるとともに、サンプルパルスのタイミングにこの単一パルスの消去パルスによって出射されたレーザ光を検出させて上述のサンプル処理を行うようになっている。
なお、本実施形態の光ピックアップ装置100は、上述のように、光ディスクのリードイン領域に、APC領域が設けてあることを示す予め記録されたアドレスの情報と、光ディスクに予め記録されているアドレス情報と、に基づいて一定周期毎にAPCタイミングを設定し、このタイミングでAPCタイミングパルスおよびサンプルパルスを生成するようになっている。
本実施形態では、負帰還制御動作は、制御部180によってレーザ光のパルス形式を切り換えるレーザ光の出力切換制御の動作(以下、出力切換制御動作という。)と、それと平行してサンプル処理の動作を行うことによって実行されるようになっている。
まず、図6を用いて本実施形態の出力切換制御動作について説明する。
まず、制御部180は、アドレス情報など予め光ディスクのリードイン領域に記録されたデータを読み出すため、または、ステップS12から戻ってきた場合には、光ディスク領域のデータ書き込み領域に予め記録されているアドレス情報を読み出すためなど、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御し、読み出しレベルによって単一パルスのレーザ光を出射させる(ステップS11(読み出しモード))。
なお、このとき、光ピックアップ装置100全体としては、図示しないスピンドルモータを制御するスピンドルモータ制御部および読み出したデータの復号を行う復号化部などを制御して光ディスクに記録されたデータを読み出し、APCタイミングのデータまたは予め記録されているアドレス情報などを図示しないメモリに格納するようになっている。
次に、制御部180は、光ピックアップ装置100全体を制御する図示しない中央制御処理部の指示に基づいて書き込みモードであるか否かを判断する(ステップS12)。
具体的には、制御部180は、現時点の光ピックアップ装置100の状態が読み出しモードの場合に、読み出しモードから書き込みモードに切り換えるか否かの判断を行い、または、現時点の光ピックアップ装置100の状態が書き込みモードの場合に、書き込みモードから読み出しモードに切り換わった否かの判断、若しくは、書き込みモードの継続の判断を行う。
例えば、中央制御処理部に光ディスクにコンテンツ情報を録画する旨若しくは当該録画を終了する旨などのユーザの指示が入力された場合、または、中央制御処理部がタイマ動作により所定の時間になったときに光ディスクにコンテンツ情報を録画する旨若しくは当該録画を終了する旨を検出した場合に、当該中央制御処理部は、制御部180に対して書き込みモードまたは読み出しモードであることを指示し、制御部180は、この指示に基づいて書き込みモードであるか否かを判断する。
制御部180が、未だ読み出しモードを継続すると判断した場合には、または、書き込みモードから読み出しモードに切り換わることを判断した場合には、ステップS11に戻り、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御して読み出しレベルによってレーザ光を出射させる。
一方、制御部180が、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて、読み出しモードから書き込みモードに切り換わったこと、または、依然、書き込みモードを継続することを判断した場合には、以下の動作を行う。
まず、制御部180は、半導体レーザ制御部110および電流パルス生成部160を制御して変調データに基づいてマルチパルスのレーザ光を出射させる(ステップS13)。
具体的には、制御部180は、半導体レーザ制御部110およびパルス電流生成部160を制御して、光ディスク上にマークを形成させる変調データが入力された場合には、当該変調データに対応させてマルチパルスを構成する書き込みパルスのレーザ光を出射させ、または、光ディスク上にスペースを形成させる変調データが入力された場合には、当該変調データに対応させてマルチパルスを構成する消去パルスのレーザ光を出射させる。
なお、ステップS13の動作は、非APCタイミング期間であるが、このように非APCタイミング期間である場合でも、サンプル処理部140では、保持されているサンプル値に対して減算処理および積分処理を行わせて制御電圧を生成させ、制御電流を出力するようになるので、半導体レーザ出力制御部110では、パルス電流生成部160によって生成された各電流に制御電流が加算され、当該加算された制御電流に基づいてレーザ光の光強度レベルが制御される。
次いで、制御部180は、一定期間内に内部によって生成されたAPCタイミングパルスを検出したか否かを判断し(ステップS14)、APCタイミングパルスを検出しない場合には、ステップS12に戻る。
一方、一定期間内に制御部180がAPCタイミングパルスを検出した場合には、制御部180は、APCタイミングパルスおよびサンプルパルスを、サンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力し、APCタイミングの期間中、消去パルスのみ単一パルスによって生成させるとともに、マルチパルスを構成する書き込みパルスおよび単一パルスを構成する消去パルスを切り換えてレーザ光を出射させる(ステップS15)。
具体的には、制御部180は、半導体レーザ出力制御部110およびパルス電流生成部160を制御し、書き込みパルスをマルチパルスによって生成させるとともに、消去パルスを単一パルスによって生成させ、単一パルスおよびマルチパルスのレーザ光を出射させる。
次いで、制御部180がAPCタイミングパルスを検出してAPCタイミング期間が終了したか否かを判断し(ステップS16)、APCタイミングが未だ終了していない場合にはステップS15に戻り、APCタイミングが終了しているときは、ステップS12に戻る。
なお、サンプル処理部140の動作およびそれに伴う各部の動作の詳細については、後述する。
このように、本実施形態では、光ディスクにデータを書き込む場合に、半導体レーザ出力制御部110から出力されるレーザ光の光強度レベルの制御およびパルス形式の切換制御を行うようになっている。
次に、図7を用いて本実施形態のサンプル処理部140の動作およびそれに伴う各部の動作について説明する。
まず、光ピックアップ装置100の動作が開始されると(ステップS21)、フォトディテクタ120は、半導体レーザ出力制御部110から出力されたレーザ光を検出し、第1変換部130を介して検出したレーザ光の強度レベルをサンプル処理部140に出力する(ステップS22)。
なお、フォトディテクタ120は、半導体レーザ出力制御部110からレーザ光が出力される限り、出射されたレーザ光を検出する。
次いで、制御部180が、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて、光ピックアップ装置100の動作状態が書き込みモードであるか否かを判断する(ステップS23)。
具体的には、制御部180は、レーザ光出力切換制御動作のステップS12の動作と同様に、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて読み出しモードから書き込みモードに切り換わった否かの判断、中央制御処理部の指示に基づいて書き込みモードから読み出しモードに切り換わった否かの判断、または、既に書き込みモードの場合には書き込みモードを継続するか否かの判断を行う。
制御部180が、光ピックアップ装置100の動作状態が書き込みモードであると判断すると、制御部180は、サンプル処理部140にその旨を指示し、サンプル処理部140は、以下のサンプル処理の動作を行う。
なお、制御部180は、書き込みモードになると、生成したAPCタイミングパルスおよびサンプルパルスを、そのタイミングに、サンプル処理部140に出力する。
まず、サンプルホールド制御部145は、一定期間内に、APCタイミングパルスが入力されたか否か、または、継続してAPCタイミングパルスを検出しているか否かを判断し(ステップS24)、当該サンプルホールド制御部145が、一定期間内にAPCタイミングパルスを検出しないと、または、既にAPCタイミングパルスを検出していないと、サンプルホールド回路141を制御して既に保持しているサンプル値を減算処理部143に出力させ(ステップS25)、ステップS27に行く。
なお、本実施形態では、サンプルホールド回路141に保持されているサンプル値の初期値は「0」とする。
一方、サンプルホールド制御部145が一定期間内にAPCタイミングパルスを検出すると、または、継続してAPCタイミングパルスを検出すると、サンプルホールド制御部145は、制御部180から出力されたサンプルパルスに基づいてサンプルホールド回路141に入力された検出電圧の電圧レベルをサンプル値としてサンプリングするとともに、当該サンプルされた値を減算処理部143に出力させる(ステップS26)。
なお、サンプルホールド回路141は、サンプルホールド制御部145から新たにサンプル値をサンプリングする指示を受けるまで、当該サンプル値を保持する。
次いで、サンプルホールド制御部145は、サンプル電圧格納部142を制御して予め格納されている目標サンプル値を減算処理部142に出力させる(ステップS27)。
次いで、減算処理部143は、サンプル値および目標サンプル値が入力されると、当該入力された目標サンプル値から入力されたサンプル値を減算して、減算した電圧値を積分処理部144に出力する(ステップS28)。
次いで、積分処理部144は、減算された電圧値が入力されると、当該入力された電圧値の積分を行い、制御電圧を生成し、当該生成した制御電圧を、第2変換部150を介して加算処理部170に出力し(ステップS29)、ステップS23に戻る。
本実施形態では、このようにサンプル処理が行われると、加算処理部170では、制御電流と各パルス電流が加算されるので、半導体レーザ出力制御部110では、レーザ光の光出力強度に対して負帰還制御を行うことができるようになっている。
以上のように本実施形態によれば、マルチパルスのレーザ光と単一パルスのレーザ光とを切り換えて光ディスクに当該レーザ光を出射する半導体レーザ出力制御部110と、この出射されたレーザ光を検出するフォトディテクタ120と、各目標電圧を格納するサンプル電圧格納部142と、APCタイミング期間中に消去パルスの変調データを記録するときに、検出されたレーザ光の光強度レベルをサンプル値として取得し、格納された各目標電圧と前記取得したサンプル値との誤差を算出するサンプル処理部140と、この算出された誤差に基づいて半導体レーザ出力制御部110から出射されるレーザ光の出力強度レベルを制御する制御部180と、を備え、制御部180は、半導体レーザ出力制御部110から消去パルスを出射させる際に、(a)APCタイミング期間中、消去パルスとして単一パルスを出射させる一方、(b)APCタイミング期間を除く期間中、消去パルスとしてマルチパルスビームを出射させる構成を有している。
この構成により、本実施形態では、半導体レーザから出力されるレーザ光の強度レベルが変調されて光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、マルチパルスのレーザ光を用いることができるとともに、波形の安定したレーザ光によってサンプル値を取得することができるので、レーザ光の光強度レベルを的確に把握することができるサンプル値に基づいて当該レーザ光を出射する半導体レーザ出力制御部110を制御することができ、変調される各強度レベルまたは照射時間などの容易に、かつ、独立的にレーザ光の光強度を変更することができる。
すなわち、上述したAverage APC方式では、マルチパルスの平均値を用いて出射するレーザ光の負帰還制御を行う場合には、光ディスクの製造上のばらつき、データの書き込み条件など個々の光ディスク毎に半導体レーザからの出射されるレーザ光の消去レベルおよび書き込みレベルの強度レベルを変える必要があるので、負帰還制御の基となる目標値として、一定期間内の光強度レベルの平均値を用いる当該Average APCでは、目標値を一定値に固定にしたまま一方の強度レベルを変更すると、他方の値における強度レベルも変更されてしまう。
具体的には、図8(a)に示すように、書き換え用の光ディスクにデータを書き込む場合に、半導体レーザのレーザ光の出力レベルにおいて、負帰還制御の目標値を一定にしたまま、消去パルスのレベル(または、書き込みパルスのレベル)だけを変更しても書き込みパルスのレベル(または、消去パルスのレベル)も変化してしまう。
また、通常、光ディスク上に情報を書き込む際に、例えば、書き込みパルスまたは消去パルスをマルチパルスにした場合に、個々の光ディスク毎に光ディスク上の熱蓄積の関係上、マルチパルスのデューティー比(レーザ光の照射時間)を変更する必要がある。
しかしながら、このAverage APC方式では、図8(b)に示すように負帰還制御の基準となる目標値を一定値に固定にしたまま書き込みパルスのデューティー比を変更すると、目標値に一定期間の平均値を用いているため、当該書き込みパルスにおけるマルチパルスのピークパワーが変更されてしまう。
一方、上述したように、本実施形態では、光強度レベルおよびデューティー比を書き込みパルスおよび消去パルスにおいて独自に変更したとしても、他のパルスの強度レベルなどには影響を与えないので、変調される各強度レベルまたは照射時間などの容易に、かつ、独立的にレーザ光の光強度を変更することができ、OPC動作の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、制御部180が光ディスクに記録されたアドレス情報によるかまたは独自にAPCタイミングを設定したとしても、的確にAPCタイミング期間中に負帰還制御動作の基準となるサンプル処理を行うことができるので、サンプル処理の周期を短くなるようAPCタイミングを設定すれば、負帰還制御の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、APCタイミングを独自に設定かつ変更することによって、常に定まった光ディスク上の位置に、サンプル処理を行うときのレーザ光の照射を行わず、データを記録する毎にレーザ光が照射される位置をランダムに異ならしめることが可能となるので、光ディスク上に設けられた記録膜の耐久性も向上させることができる。
すなわち、サンプル処理を行うためには、レーザ光を単一パルスによって出射する必要があり、光ディスクにデータを書き込む毎に当該光ディスクの同じ位置に熱蓄積が高い単一パルスのレーザ光が出射されると、記録膜は著しく劣化するようになる。しかしながら、本実施形態では、APCタイミングを独自に設定することができるので、データを書き込む毎に、単一パルスのレーザ光によって出射される位置を変更すれば、光ディスク上に設けられた記録膜の耐久性も向上させることができる。
なお、本実施形態では、光ディスクに予め記録されたプリアドレスの情報に基づいてAPCタイミングパルスを生成するようになっているが、制御部180内部にタイマや図示しないスピンドルモータの回転数をカウントするカウンタを備え、タイマによって一定の期間毎に、または、一定の回転数毎にAPCタイミングパルスを生成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、上述の光ピックアップ装置100によって、光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、レーザ光の出射制御を行うようになっているが、フォトディテクタ120と半導体レーザ回路とを有する光ピックアップ装置100にコンピュータおよび記録媒体を備え、この記録媒体に上述の負帰還制御動作を行う制御プログラムを格納し、このコンピュータで当該制御プログラムを読み込むことによって上述と同様の負帰還制御動作を行うようにしてもよい。
〔第2実施形態〕
図9〜図12を用いて光ピックアップ装置の第2実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、第1実施形態において、APCタイミングパルスおよびサンプルパルスに基づいて負帰還制御を行う点に代えて、特定の種類のビットデータに基づいて負帰還制御行う点に特徴があり、この他の構成については第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一番号を付して説明を省略する。
また、図9は、本実施形態のデータ書き込み中における負帰還動作を説明するための図、図10は、本実施形態のレーザ光の出力切換制御の動作を示すフローチャート、および、図11は、本実施形態のサンプル処理の動作を示すフローチャートである。
本実施形態では、光ディスクに書き込みデータを記録している書き込みモードのときに、この入力されたビットデータを構成する特定の種類の変調データ(以下、特定変調データという。)に基づいて、サンプル処理部140およびパルス電流生成部160を制御するようになっている。
具体的には、制御部180には、第1実施形態と同様に、書き込みデータが入力されるようになっており、この入力された特定変調データに基づいてサンプルパルスを発生させ、当該サンプルパルスに基づいてサンプル処理部140およびパルス電流生成部160を制御するようになっている。
通常、書き込みデータは、光ディスクに記録されるときに、スクランブルなどの暗号化が施されることにより、同種類の変調データが長期間継続されることがないため、同種の変調データは、ある程度分散されて配列されるようになっている。したがって、特定変調データによってサンプルパルスを発生させ、サンプル処理を行ったとしても、的確に一定期間毎にサンプル処理を行うことができるようになっている。
本実施形態では、特定変調データには、5Tのラン長を有する変調データを用いるようになっている。例えば、光ディスクの再生・記録を行う場合、同期信号を14Tのラン長を有する変調データとし、その同期周波数17kHzとすると、5Tの変調データは同期周波数の数倍程度の確率で出現するようになるので、本実施形態において、特定変調データを5Tの変調データを用いると、APCタイミングの周期を短くすることができるので、サンプル処理を行う周期が短くなり、負帰還制御の精度を向上させることができるようになっている。
次に、図9〜図11を用いて本実施形態の負帰還動作制御について説明する。
本実施形態の制御部180は、図9に示すように、当該制御部180に5Tの変調データが入力され、かつ、当該5Tの変調データが消去パルスを発生させる変調データである場合に、サンプルパルスを発生させて、当該サンプルパルスをサンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力するようになっており、サンプル処理部140は、入力されたサンプルパルスに基づいてサンプル処理を行うとともに、パルス電流生成部160は、このサンプルパルスに基づいて消去パルスを単一パルスとして発生させるようになっている。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、負帰還制御動作は、制御部180によってレーザ光のパルス形式を切り換えるレーザ光の出力切換制御動作と、それと平行してサンプル処理の動作を行うことによって実行されるようになっている。
まず、図10を用いて本実施形態の出力切換制御動作について説明する。
まず、制御部180は、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御し、読み出しレベルによって単一パルスのレーザ光を出射させる(ステップS31(読み出しモード))。
次に、制御部180は、光ピックアップ装置100全体を制御する図示しない中央制御処理部の指示に基づいて書き込みモードであるか否かを判断する(ステップS32)。
制御部180が、未だ読み出しモードを継続すると判断した場合には、または
書き込みモードから読み出しモードに切り換わることを判断した場合には、ステップS31に戻り、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御して読み出しレベルによってレーザ光を出射させる。
一方、制御部180が、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて、読み出しモードから書き込みモードに切り換わったこと、または、依然、書き込みモードを継続することを判断した場合には、以下の動作を行う。
まず、制御部180は、半導体レーザ制御部110および電流パルス生成部160を制御して変調データに基づいてマルチパルスのレーザ光を出射させる(ステップS33)。
なお、ステップS33の動作は、サンプルパルスが発生していない期間では、サンプル処理部140では、保持されているサンプル値に対して減算処理および積分処理を行わせて制御電圧を生成させて制御電流を出力するようになるので、半導体レーザ出力制御部110では、パルス電流生成部160によって生成された各電流に制御電流が加算され、当該加算された制御電流に基づいてレーザ光の光強度レベルが制御される。
次いで、制御部180は、一定期間内に、5Tの特定変調データであって、消去パルスのデータが入力されたか否かを検出し(ステップS34)、当該データを検出しない場合には、ステップS32に戻る。
一方、一定期間内に制御部180が5Tの特定変調データであって、消去パルスのデータが入力されたことを検出した場合には、制御部180は、サンプルパルスをサンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力し、当該変調データを単一パルスによって生成させるとともに、当該単一パルスのレーザ光を出射させ(ステップS35)、ステップS32に戻る。
なお、サンプル処理部140の動作およびそれに伴う各部の動作の詳細については、後述する。
このように、本実施形態では、光ディスクにデータを書き込む場合に、半導体レーザ出力制御部110から出力されるレーザ光の光強度レベルの制御およびパルス形式の切換制御を行うようになっている。
次に、図11を用いて本実施形態のサンプル処理部140の動作およびそれに伴う各部の動作について説明する。
まず、光ピックアップ装置100の動作が開始されると(ステップS41)、フォトディテクタ120は、半導体レーザ出力制御部110から出力されたレーザ光を検出し、第1変換部130を介して検出したレーザ光の強度レベルをサンプル処理部140に出力する(ステップS42)。
次いで、制御部180が、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて、光ピックアップ装置100の動作状態が書き込みモードであるか否かを判断する(ステップS43)。
制御部180が、光ピックアップ装置100の動作状態が書き込みモードであると判断すると、制御部180は、サンプル処理部140にその旨を指示し、サンプル処理部140は、以下のサンプル処理の動作を行う。
なお、制御部180は、書き込みモードになると、生成したサンプルパルスを、そのタイミングに、サンプル処理部140に出力する。
まず、サンプルホールド制御部145は、一定期間内に、サンプルパルスが入力されたか否かを検出し(ステップS44)、当該サンプルホールド制御部145が、一定期間内にサンプルパルスを検出しないと、サンプルホールド回路141を制御して既に保持しているサンプル値を減算処理部143に出力させ(ステップS45)、ステップS47に行く。
なお、本実施形態では、サンプルホールド回路141に保持されているサンプル値の初期値は「0」とする。
一方、サンプルホールド制御部145が一定期間内にサンプルパルスを検出すると、サンプルホールド制御部145は、制御部180から出力されたサンプルパルスに基づいてサンプルホールド回路141に入力された検出電圧の電圧レベルをサンプル値としてサンプリングするとともに、当該保持させたサンプル値を減算処理部143に出力させる(ステップS46)。
なお、サンプルホールド回路141は、サンプルホールド制御部145から新たにサンプル値をサンプリングする指示を受けるまで、当該サンプル値を保持する。
次いで、サンプルホールド制御部145は、サンプル電圧格納部142を制御して予め格納されている目標サンプル値を減算処理部142に出力させる(ステップS47)。
次いで、減算処理部143は、サンプル値および目標サンプル値が入力されると、当該入力された目標サンプル値から入力されたサンプル値を減算して、減算した電圧値を積分処理部144に出力する(ステップS48)。
次いで、積分処理部144は、減算された電圧値が入力されると、当該入力された電圧値の積分を行い、制御電圧を生成し、当該生成した制御電圧を、第2変換部150を介して加算処理部170に出力し(ステップS49)、ステップS43に戻る。
本実施形態では、このようにサンプル処理が行われると、加算処理部170では、制御電流と各パルス電流が加算されるので、半導体レーザ出力制御部110では、レーザ光の光出力強度に対して負帰還制御を行うことができるようになっている。
以上のように本実施形態によれば、マルチパルスのレーザ光と単一パルスのレーザ光とを切り換えて光ディスクに当該レーザ光を出射するとともに、特定変調データを光ディスクに記録するときに、単一パルスを出射する半導体レーザ出力制御部110と、この出射されたレーザ光を検出するフォトディテクタ120と、各目標電圧を格納するサンプル電圧格納部142と、特定変調データを記録するときに、検出されたレーザ光の光強度レベルをサンプル値として取得し、格納された各目標電圧と前記取得したサンプル値との誤差を算出するサンプル処理部140と、この算出された誤差に基づいて半導体レーザ出力制御部110から出射されるレーザ光の出力強度レベルを制御する制御部180と、を備えた構成を有している。
この構成により、本実施形態では、第1実施形態と同様に、半導体レーザから出力されるレーザ光の強度レベルが変調されて光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、マルチパルスのレーザ光を用いることができるとともに、波形の安定したレーザ光によってサンプル値を取得することできるので、レーザ光の光強度レベルを的確に把握することができるサンプル値に基づいて当該レーザ光を出射する半導体レーザ出力制御部110を制御することができ、変調される各強度レベルまたは照射時間などを容易に、かつ、独立的にレーザ光の光強度を変更することができる。
また、本実施形態では、特定のラン長を有する変調データに基づいてサンプル処理を行うようになっているので、サンプル処理を行う周期を的確に確保することができるとともに、サンプル処理の周期を短くなるよう特定変調データを設定すれば、負帰還制御の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、特定変調データに基づいて単一パルスのレーザ光を光ディスクに照射するので、常に定まった光ディスク上の位置に熱蓄積の高い単一パルスのレーザ光の照射を行わず、データを記録する毎に当該単一パルスのレーザ光が照射される位置が異なるので、光ディスク上に設けられた記録膜の耐久性も向上させることができる。
なお、本実施形態では、当該変調データが消去パルス(消去区間)である5Tの変調データを記録する場合に、消去パルスを単一パルスにして出射するようになっているが、このラン長を有する変調データに限らず、これより短いラン長または長いラン長を有する変調データを用いてもよい。
この場合、図12に示すように、2Tや3Tなど短いラン長の場合には、APCタイミングにおける出現回数が多くなるので、比較的頻繁にサンプル値をホールドすることができ、短い間隔でレーザ光の光強度の出力制御を行うことができるようになっている。また、10Tや11Tなど長いラン長の場合には、APCタイミングにおける出現回数は少なくなるものの、単一パルスが比較的長くなるので、さらに安定したサンプル値を得ることができるようになる。
なお、10Tや11Tと言った比較的に長いラン長の変調データを用いる場合には、異なるラン長を有する2種以上の変調データのときに単一パルスを出射するようにしてもよい。これによって、サンプルにおける出現回数を確保することができる。
また、本実施形態では、上述の光ピックアップ装置100によって、光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、レーザ光の出射制御行うようになっているが、フォトディテクタ120と半導体レーザ回路とを有する光ピックアップ装置100にコンピュータおよび記録媒体を備え、この記録媒体に上述の負帰還制御動作を行う制御プログラムを格納し、このコンピュータで当該制御プログラムを読み込むことによって上述と同様の負帰還制御動作を行うようにしてもよい。
〔第3実施形態〕
図13〜図15を用いて光ピックアップ装置の第3実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、第1実施形態において、APCタイミングパルスおよびサンプルパルスに基づいて負帰還制御を行う点に加えて、APCタイミング期間中に特定変調データにのみ基づいてサンプルパルスを生成させて負帰還制御行う点に特徴があり、この他の構成については第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一番号を付して説明を省略する。
また、図13は、本実施形態のデータ書き込み中における負帰還動作を説明するための図、図14は、本実施形態のレーザ光の出力切換制御の動作を示すフローチャート、および、図15は、本実施形態のサンプル処理の動作を示すフローチャートである。
本実施形態では、光ディスクに書き込みデータを記録している書き込みモードのときに、APCタイミング期間中に、入力された書き込みデータを構成する特定変調データに基づいてサンプル処理部140およびパルス電流生成部160を制御するようになっている。
具体的には、制御部180には、第1実施形態に示すように、変調データが入力されるようになっており、APCタイミング期間中に入力された特定変調データのみに基づいてサンプルパルスを発生させ、当該サンプルパルスに基づいてサンプル処理部140およびパルス電流生成部160を制御するようになっている。
なお、本実施形態では、特定変調データには、5Tの変調データを用いるようになっている。
次に、図13〜図15を用いて本実施形態の負帰還動作制御について説明する。
本実施形態の制御部180は、図13に示すように、APCタイミング期間中に、当該制御部180に5Tの変調データが入力され、かつ、当該5Tの変調データが消去パルスを発生させる変調データである場合に、サンプルパルスを発生させて、当該サンプルパルスをサンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力するようになっており、サンプル処理部140は、入力されたサンプルパルスに基づいてサンプル処理を行うとともに、パルス電流生成部160は、このサンプルパルスに基づいて消去パルスを単一パルスとして発生させるようになっている。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、負帰還制御動作は、制御部180によってレーザ光のパルス形式を切り換えるレーザ光の出力切換制御動作と、それと平行してサンプル処理の動作を行うことによって実行されるようになっている。
まず、図14を用いて本実施形態の出力切換制御動作について説明する。
まず、制御部180は、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御し、読み出しレベルによって単一パルスのレーザ光を出射させる(ステップS51(読み出しモード))。
次に、制御部180は、光ピックアップ装置100全体を制御する図示しない中央制御処理部の指示に基づいて書き込みモードであるか否かを判断する(ステップS52)。
制御部180が、未だ読み出しモードを継続すると判断した場合には、または
書き込みモードから読み出しモードに切り換わることを判断した場合には、ステップS31に戻り、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御して読み出しレベルによってレーザ光を出射させる。
一方、制御部180が、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて、読み出しモードから書き込みモードに切り換わったこと、または、依然、書き込みモードを継続することを判断した場合には、以下の動作を行う。
まず、制御部180は、半導体レーザ制御部110および電流パルス生成部160を制御して変調データに基づいてマルチパルスのレーザ光を出射させる(ステップS53)。
なお、ステップS53の動作は、非APCタイミング期間、または、APCタイミング期間中であってもサンプルパルスが発生していない期間では、サンプル処理部140では、保持されているサンプル値に対して減算処理および積分処理を行わせて制御電圧を生成させて制御電流を出力するようになるので、半導体レーザ出力制御部110では、パルス電流生成部160によって生成された各電流に制御電流が加算され、当該加算された制御電流に基づいてレーザ光の光強度レベルが制御される。
次いで、制御部180は、一定期間内に、APCタイミングパルスを検出し(ステップS54)、当該APCタイミングパルスを検出しない場合には、ステップS52に戻る。
一方、一定期間内に制御部180がAPCタイミングパルスを検出した場合には、制御部180は、入力された変調データが、5Tの特定変調データであって、消去パルスのデータであるか否かを検出し(ステップS55)、入力された変調データが5Tの特定変調データでない場合、または、5Tの特定変調データであっても書き込みパルスのデータである場合は、ステップS57に行く。
一方、制御部180が5Tの特定変調データであって、消去パルスのデータが入力されたことを検出すると、制御部180は、サンプルパルスをサンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力し、当該変調データを単一パルスによって生成させるとともに、当該単一パルスレーザ光を出射させる(ステップS56)。
次いで、制御部180がAPCタイミングパルスを検出してAPCタイミング期間が終了したか否かを判断し(ステップS57)、APCタイミングが未だ終了していない場合にはステップS55に戻り、APCタイミングが終了しているときは、ステップS52に戻る。
なお、サンプル処理部140の動作およびそれに伴う各部の動作の詳細については、後述する。
このように、本実施形態では、光ディスクにデータを書き込む場合に、半導体レーザ出力制御部110から出力されるレーザ光の光強度レベルの制御およびパルス形式の切換制御を行うようになっている。
次に、図15を用いて本実施形態のサンプル処理部140の動作およびそれに伴う各部の動作について説明する。
まず、光ピックアップ装置100の動作が開始されると(ステップS61)、フォトディテクタ120は、半導体レーザ出力制御部110から出力されたレーザ光を検出し、第1変換部130を介して検出したレーザ光の強度レベルをサンプル処理部140に出力する(ステップS62)。
次いで、制御部180が、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて、光ピックアップ装置100の動作状態が書き込みモードであるか否かを判断する(ステップS63)。
制御部180が、光ピックアップ装置100の動作状態が書き込みモードであると判断すると、制御部180は、サンプル処理部140にその旨を指示し、サンプル処理部140は、以下のサンプル処理の動作を行う。
なお、制御部180は、書き込みモードになると、生成したAPCタイミングパルスおよびサンプルパルスを、そのタイミングに、サンプル処理部140に出力する。
まず、サンプルホールド制御部145は、一定期間内に、APCタイミングパルスが入力されたか否かを検出し(ステップS64)、当該サンプルホールド制御部145が、一定期間内にAPCタイミングパルスを検出しないと、サンプルホールド回路141を制御して既に保持しているサンプル値を減算処理部143に出力させ(ステップS65)、ステップS68に行く。
なお、本実施形態では、サンプルホールド回路141に保持されているサンプル値の初期値は「0」とする。
一方、サンプルホールド制御部145が一定期間内にAPCタイミングパルスを検出すると、サンプルホールド制御部145は、さらに、一定期間内に、サンプルパルスが入力されたか否かを検出し(ステップS66)、当該サンプルホールド制御部145が、一定期間内にAPCタイミングパルスを検出しないと、サンプルホールド回路141を制御して既に保持しているサンプル値を減算処理部143に出力させ(ステップS65)、ステップS68に行く。
一方、サンプルホールド制御部145が一定期間内にサンプルパルスを検出すると、制御部180から出力されたサンプルパルスに基づいてサンプルホールド回路141に入力された検出電圧の電圧レベルをサンプル値としてサンプリングするとともに、当該保持させたサンプル値を減算処理部143に出力させる(ステップS67)。
なお、サンプルホールド回路141は、サンプルホールド制御部145から新たにサンプル値をサンプリングする指示を受けるまで、当該サンプル値を保持する。
次いで、サンプルホールド制御部145は、サンプル電圧格納部142を制御して予め格納されている目標サンプル値を減算処理部142に出力させる(ステップS68)。
次いで、減算処理部143は、サンプル値および目標サンプル値が入力されると、当該入力された目標サンプル値から入力されたサンプル値を減算して、減算した電圧値を積分処理部144に出力する(ステップS69)。
次いで、積分処理部144は、減算された電圧値が入力されると、当該入力された電圧値の積分を行い、制御電圧を生成し、当該生成した制御電圧を、第2変換部150を介して加算処理部170に出力し(ステップS70)、ステップS63に戻る。
本実施形態では、このようにサンプル処理が行われると、加算処理部170では、制御電流と各パルス電流が加算されるので、半導体レーザ出力制御部110では、レーザ光の光出力強度に対して負帰還制御を行うことができるようになっている。
以上のように本実施形態によれば、マルチパルスのレーザ光と単一パルスのレーザ光とを切り換えて光ディスクに当該レーザ光を出射するとともに、予め定められたAPCタイミング期間中に、特定変調データを光ディスクに記録するときに、単一パルスを出射する半導体レーザ出力制御部110と、この出射されたレーザ光を検出するフォトディテクタ120と、各目標電圧を格納するサンプル電圧格納部142と、当該APCタイミング期間中に特定変調データを記録するときに、検出されたレーザ光の光強度レベルをサンプル値として取得し、格納された各目標電圧と前記取得したサンプル値との誤差を算出するサンプル処理部140と、この算出された誤差に基づいて半導体レーザ出力制御部110から出射されるレーザ光の出力強度レベルを制御する制御部180と、を備えた構成を有している。
この構成により、本実施形態では、第1実施形態と同様に、半導体レーザから出力されるレーザ光の強度レベルが変調されて光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、マルチパルスのレーザ光を用いることができるとともに、波形の安定したレーザ光によってサンプル値を取得することができるので、レーザ光の光強度レベルを的確に把握することができるサンプル値に基づいて当該レーザ光を出射する半導体レーザ出力制御部110を制御することができ、変調される各強度レベルまたは照射時間などを容易に、かつ、独立的にレーザ光の光強度を変更することができる。
また、本実施形態では、予め設定されたAPCタイミング期間中に、特定変調データに基づいて単一パルスのレーザ光を光ディスクに照射するので、常に定まった光ディスク上の位置に熱蓄積の高い単一パルスのレーザ光の照射を行わず、データを記録する毎に当該単一パルスのレーザ光が照射される位置が異なるので、光ディスク上に設けられた記録膜の耐久性も向上させることができる。
なお、本実施形態では、第2実施形態と同様に、当該変調データが消去パルス(消去区間)である5Tの変調データを記録する場合に、消去パルスを単一パルスにして出射するようになっているが、このラン長を有する変調データに限らず、これより短いラン長または長いラン長を有する変調データを用いてもよい。
また、特定変調データに10Tや11Tと言った比較的に長いラン長の変調データを用いる場合には、異なるラン長を有する2種以上の変調データのときに単一パルスを出射するようにしてもよい。これによって、サンプルにおける出現回数を確保することができる。
また、本実施形態では、上述の光ピックアップ装置100によって、光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、レーザ光の出射制御行うようになっているが、フォトディテクタ120と半導体レーザ回路とを有する光ピックアップ装置100にコンピュータおよび記録媒体を備え、この記録媒体に上述の負帰還制御動作を行う制御プログラムを格納し、このコンピュータで当該制御プログラムを読み込むことによって上述と同様の負帰還制御動作を行うようにしてもよい。
〔第4実施形態〕
図16、図17を用いて光ピックアップ装置の第4実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、第1実施形態において、APCタイミングパルスおよびサンプルパルスに基づいて負帰還制御を行う点に加えて、APCタイミング期間中に最初に入力された特定変調データのみに基づいてサンプルパルスを生成させて負帰還制御を行う点に特徴があり、この他の構成については第1実施形態と同様であるため、同一部材には同一番号を付して説明を省略する。
また、図16は、本実施形態のデータ書き込み中における負帰還動作を説明するための図であり、図17は、本実施形態のレーザ光の出力切換制御の動作を示すフローチャートである。
本実施形態では、光ディスクに書き込みデータを記録している書き込みモードのときに、APCタイミング期間中に、入力された変調データを構成する特定変調データであって、最初に入力された当該変調データに基づいてサンプル処理部140およびパルス電流生成部160を制御するようになっている。
具体的には、制御部180には、第1実施形態に示すように、書き込みデータが入力されるようになっており、APCタイミング期間中に、最初に入力された特定変調データのみに基づいてサンプルパルスを発生させ、当該サンプルパルスに基づいてサンプル処理部140およびパルス電流生成部160を制御するようになっている。
なお、本実施形態では、特定変調データには、5Tの変調データを用いるようになっている。
次に、図16、図17を用いて本実施形態の負帰還動作制御について説明する。
本実施形態の制御部180は、図16に示すように、APCタイミング期間中に、当該制御部180に5Tの変調データが入力され、当該5Tの変調データが消去パルスを発生させる変調データあり、かつ、最初に入力された5Tの変調データである場合に、サンプルパルスを発生させて、当該サンプルパルスをサンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力するようになっており、サンプル処理部140は、入力されたサンプルパルスに基づいてサンプル処理を行うとともに、パルス電流生成部160は、このサンプルパルスに基づいて消去パルスを単一パルスとして発生させるようになっている。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、負帰還制御動作は、制御部180によってレーザ光のパルス形式を切り換えるレーザ光の出力切換制御動作と、それと平行してサンプル処理の動作を行うことによって実行されるようになっている。
また、本実施形態のサンプル処理動作は、第3実施形態と同様の構成を示すためその説明を省略する。
以下に、図17を用いて本実施形態の出力切換制御動作について説明する。
まず、制御部180は、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御し、読み出しレベルによって単一パルスのレーザ光を出射させる(ステップS71(読み出しモード))。
次に、制御部180は、光ピックアップ装置100全体を制御する図示しない中央制御処理部の指示に基づいて書き込みモードであるか否かを判断する(ステップS72)。
そして、この判断において、(a)読み出しモードを継続すると判断した場合、或いは、(b)書き込みモードから読み出しモードに切り換わることを判断した場合(ステップS72「no」)、制御部180は、処理をステップS71に戻し、パルス電流生成部160および半導体レーザ出力制御部110を制御して読み出しレベルによってレーザ光を出射させる。
一方、制御部180が、図示しない中央制御処理部の指示に基づいて、読み出しモードから書き込みモードに切り換わったこと、または、依然、書き込みモードを継続することを判断した場合には、以下の動作を行う。
まず、制御部180は、半導体レーザ制御部110および電流パルス生成部160を制御して変調データに基づいてマルチパルスのレーザ光を出射させる(ステップS73)。
なお、ステップS73の動作は、非APCタイミング期間、または、APCタイミング期間中であってもサンプルパルスが発生していない期間では、サンプル処理部140では、保持されているサンプル値に対して減算処理および積分処理を行わせて制御電圧を生成させて制御電流を出力するようになるので、半導体レーザ出力制御部110では、パルス電流生成部160によって生成された各電流に制御電流が加算され、当該加算された制御電流に基づいてレーザ光の光強度レベルが制御される。
次いで、制御部180は、一定期間内に、APCタイミングパルスを検出し(ステップS74)、当該データを検出しない場合には、ステップS72に戻る。
一方、一定期間内に制御部180がAPCタイミングパルスを検出した場合には、制御部180は、入力された変調データが、5Tの特定変調データであって、最初の消去パルスのデータであるか否かを検出し(ステップS75)、入力された変調データが5Tの特定変調データでない場合、5Tの特定変調データであっても書き込みパルスのデータである場合または最初の消去パルスでない場合は、ステップS77に行く。
一方、制御部180が5Tの特定変調データであって、最初の消去パルスのデータが入力されたことを検出すると、制御部180は、サンプルパルスをサンプル処理部140およびパルス電流生成部160に出力し、当該変調データを単一パルスによって生成させるとともに、当該単一パルスのレーザ光を出射させる(ステップS76)。
次いで、制御部180がAPCタイミングパルスを検出してAPCタイミング期間が終了したか否かを判断し(ステップS77)、APCタイミングが未だ終了していない場合にはステップS75に戻り、APCタイミングが終了しているときは、ステップS72に戻る。
このように、本実施形態では、光ディスクにデータを書き込む場合に、半導体レーザ出力制御部110から出力されるレーザ光の光強度レベルの制御およびパルス形式の切換制御を行うようになっている。
以上のように本実施形態によれば、マルチパルスのレーザ光と単一パルスのレーザ光とを切り換えて光ディスクに当該レーザ光を出射するとともに、予め定められたAPCタイミング期間中に、最初の特定変調データを光ディスクに記録するときに、単一パルスを出射する半導体レーザ出力制御部110と、この出射されたレーザ光を検出するフォトディテクタ120と、各目標電圧を格納するサンプル電圧格納部142と、当該APCタイミング期間中に最初に特定変調データを記録するときに、検出されたレーザ光の光強度レベルをサンプル値として取得し、格納された各目標電圧と前記取得したサンプル値との誤差を算出するサンプル処理部140と、この算出された誤差に基づいて半導体レーザ出力制御部110から出射されるレーザ光の出力強度レベルを制御する制御部180と、を備えた構成を有している。
この構成により、本実施形態では、第1実施形態と同様に、半導体レーザから出力されるレーザ光の強度レベルが変調されて光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、マルチパルスのレーザ光を用いることができるとともに、波形の安定したレーザ光によってサンプル値を取得することができるので、レーザ光の光強度レベルを的確に把握することができるサンプル値に基づいて当該レーザ光を出射する半導体レーザ出力制御部110を制御することができ、変調される各強度レベルまたは照射時間などを容易に、かつ、独立的にレーザ光の光強度を変更することができる。
また、本実施形態では、APCタイミング期間中の最初に入力された特定変調データに基づいて単一パルスのレーザ光を光ディスクに照射するので、常に定まった光ディスク上の位置に熱蓄積の高い単一パルスのレーザ光の照射を行わず、データを記録する毎に当該単一パルスのレーザ光が照射される位置が異なるので、光ディスク上に設けられた記録膜の耐久性も向上させることができる。
なお、本実施形態では、当該変調データが消去パルス(消去区間)である5Tの変調データを記録する場合に、消去パルスを単一パルスにして出射するようになっているが、このラン長を有する変調データに限らず、これより短いラン長または長いラン長を有する変調データを用いてもよい。
また、本実施形態では、APCタイミング期間中に最初に入力された特定変調データのみに基づいてサンプルパルスを生成させて負帰還制御行うようになっているが、最初に入力された特定変調データに限らず、2回目以上の複数回目に特定変調データが入力された場合に、サンプルパルスを生成させて負帰還制御を行うようにしてもよいし、複数回、例えば、奇数回目に特定変調データが入力された場合に負帰還制御を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、第2実施形態と同様に、当該変調データが消去パルス(消去区間)である5Tの変調データを記録する場合に、消去パルスを単一パルスにして出射するようになっているが、このラン長を有する変調データに限らず、これより短いラン長または長いラン長を有する変調データを用いてもよい。
また、特定変調データに10Tや11Tと言った比較的に長いラン長の変調データを用いる場合には、異なるラン長を有する2種以上の変調データのときに単一パルスを出射するようにしてもよい。これによって、サンプルにおける出現回数を確保することができる。
また、本実施形態では、上述の光ピックアップ装置100によって、光ディスクに書き込みデータを記録する場合に、レーザ光の出射制御行うようになっているが、フォトディテクタ120と半導体レーザ回路とを有する光ピックアップ装置100にコンピュータおよび記録媒体を備え、この記録媒体に上述の負帰還制御動作を行う制御プログラムを格納し、このコンピュータで当該制御プログラムを読み込むことによって上述と同様の負帰還制御動作を行うようにしてもよい。