JP4213387B2 - 超伝導回路の実装構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超伝導回路の実装構造に関する。特に本発明は、超伝導回路を載置する台座の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来の超伝導回路の実装構造を示す。超伝導回路基板10は、例えば単結晶サファイア製である。超伝導回路基板10は、金属箔30を介して台座20上に載置される。台座20は、例えば略直方体で導電性を有する材料で作成される。金属箔30は、金箔やインジウム箔等、塑性変形しやすく隙間になじみやすい材料を用いる。超伝導回路基板10は、固定手段40によって台座に固定される。固定手段は、例えばボルトと、台座20に設けられたネジ穴である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超伝導回路の実装構造においては、超伝導回路基板10を、金属箔30を介して固定手段40によって台座20に固定する場合に、周辺の気体を巻き込むことになる。従って、超伝導回路基板10と金属箔30、ならびに金属箔30と台座20の間に隙間が発生することがあった。従って、前記隙間に封じ込められた気体が、超伝導回路の実装構造を格納する真空容器内に徐々に放出され、真空容器内の圧力状態が悪化する可能性があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記の課題を解決することのできる超伝導回路の実装構造を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また、従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第1の形態によると、超伝導回路を有する超伝導回路基板と、超伝導回路基板を一面上に載置する台座と、超伝導回路基板と台座の間に位置する金属箔と、超伝導回路基板、及び金属箔を台座の一面に固定する固定手段と、超伝導回路基板、台座、金属箔、及び固定手段を格納し、真空封止された容器と、台座に設けられ、台座の金属箔に覆われている部分から台座の金属箔に接していない部分に貫通する貫通穴とを備えることを特徴とする超伝導回路の実装構造を提供する。
【0006】
金属箔に設けられ、金属箔の超伝導回路基板に接する面から台座に接する面に貫通する貫通穴を備えてもよい。
【0007】
台座の貫通穴と金属箔の貫通穴の少なくとも一部が重なってもよい。また、金属箔の穴は、台座の穴よりも大きくてもよい。
【0008】
台座は、金属箔と接し、金属箔に覆われる面から異なる面に貫通する貫通穴を含む第1の部品と、一部が第1の部品の貫通穴と重なり、第1の部品に接する面とは異なる面に達する溝を含む第2の部品を有してもよい。
【0009】
台座の貫通穴の超伝導回路基板側の開口部は、固定手段が前超伝導回路基板を固定する位置よりも超伝導回路基板の中心側に位置してもよい。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなくこれらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図2は、本実施形態における超伝導回路の実装構造の一例を示す。超伝導回路基板10は、作動条件として極低温状態を必要とするため、台座22上に固定された状態で真空容器100内に格納される。台座22は、真空容器100内のコールドヘッド120上に載置される。台座22は、超伝導回路基板10のグランドを兼ねる。冷却機130は、コールドヘッド120及び台座22を介して超伝導回路基板10を冷却する。超伝導回路基板10の入力部は、真空容器100の側壁に設けられた入力コネクタ102、及びセミリジッドケーブル104を介して、超伝導回路基板10に接続する。また、超伝導回路基板10の出力部は、真空容器100の側壁に設けられた出力コネクタ106、及びセミリジッドケーブル108を介して、真空容器100の外部と接続する。
【0013】
真空容器100の内部は、真空ポンプ110により真空に維持される。すなわち、真空容器100の内部は、断熱された状態に維持される。真空ポンプ110は配管118を介して切替え弁116と接続する。切替え弁116は、配管112を介して台座22と、配管114を介して真空容器100と接続する。すなわち、真空ポンプ110は、切替え弁116の設定によって、台座22と真空容器100を真空吸引することができる。
【0014】
台座22を真空吸引することによって、金属箔30と台座22の隙間に巻きこまれた気体を削減することができる。これによって、金属箔30と台座22の密着性が向上する。密着性が向上することによって、金属箔30と台座22の導電性、及び伝熱性が向上する。
【0015】
以下に真空容器100を真空吸引する手順を示す。まず真空ポンプ110を台座22に接続して、真空吸引する。次に、切替え弁116を操作して真空容器100を真空吸引する。真空容器100内を真空吸引することによって真空容器100内は真空断熱され、冷却機130によって極低温を維持することができる。
【0016】
1台の真空ポンプを用いるのではなく、台座22と真空容器100のそれぞれに1台ずつの真空ポンプを用いてもよい。また、配管112と切替え弁116を用いずに、台座22の貫通穴50と、真空容器100の内部を同時に真空吸引してもよい。
【0017】
図3は、本実施形態における超伝導回路基板の実装構造の一例を示す。超伝導回路基板10は、金属箔30を介して台座22上に載置される。超伝導回路基板10は、固定手段40によって、台座22に固定される。固定手段40は、例えばボルトと、台座22に設けられたネジ穴である。
【0018】
台座22は、例えば略直方体であり、金属箔30に覆われる部分に貫通穴50を有する。貫通穴50は、台座22の金属箔30に覆われる部分とは異なる位置、例えば台座22の側面に貫通する。
【0019】
貫通穴50の金属箔30に覆われる側の開口部は、固定手段40が超伝導回路基板10を固定する位置よりも超伝導回路10の中心側に位置する。これによって、固定手段40が超伝導回路基板10を固定する位置よりも超伝導回路10の中心側に巻きこまれた気体は、貫通穴50を通じて真空吸引される。
【0020】
台座22内の貫通穴50から真空吸引する場合、金属箔30と台座22の隙間に介在する気体が吸引されることによって、台座22と金属箔30のクリアランスが小さくなる。従って、固定手段40はボルトの緩みを防止する手段を有することが好ましい。緩みを防止する手段は、例えばスプリングワッシャである。
【0021】
図4は、図3の変形例を示す。金属箔30と台座22は、それぞれ貫通穴を有する。超伝導回路基板10を台座上に載置した場合に、台座22の貫通穴50と金属箔30の貫通穴56の少なくとも一部は重なる。従って、本実施形態においては、超伝導回路基板10と金属箔30の間に介在する気体と、金属箔30と台座22の間に介在する気体の両方を真空ポンプ110によって吸引することができる。これによって、金属箔30と台座22の密着性に加えて、超伝導回路基板10と金属箔30の密着性も向上させることができる。
【0022】
図5は、図4の変形例を示す。本例は図4に示す実施例と概略同じであるが、金属箔34の貫通穴52の直径が、台座22の貫通穴50の直径よりも大きい点が異なる。金属箔34の貫通穴52の直径を、台座22の貫通穴50の直径よりも大きくすることによって、台座22内を真空吸引した場合に、金属箔34が台座22の貫通穴50に吸い込まれるのを防ぐことができる。
【0023】
図6は、図2に示す台座22の変形例を示す。本例に示す台座22は、金属箔30と接し、金属箔30に覆われる面から異なる面に貫通する貫通穴52を含む第1の部品24と、一部が第1の部品24の貫通穴52と重なり、第1の部品24に接する面とは異なる面に達する溝54を含む第2の部品26、ならびに第1の部品24と第2の部品26を結合する結合手段42を有する。結合手段42は、例えばボルトと、第2の部品26に設けられたネジ穴44である。
【0024】
第1の部品24は、例えば板状部材であり、貫通穴52を有する。第2の部品26は、例えば板状部材であり、第1の部品26と接する面に溝54を有する。第1の部品24の貫通穴52は、例えばドリルで作成される。第2の部品26の溝54は、例えばフライス盤で作成される。従って、台座22を分割して作成することによって、台座22の作成は容易になる。
【0025】
図7は、図4に示した実施形態の変形例を示す。本例は図4に示した超伝導回路基板10の固定方法と概略同じであるが、台座22が有する貫通穴50と、金属箔36が有する貫通穴60は重ならない。
【0026】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることができる。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0027】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、超伝導回路基板と、超伝導回路基板を固定する台座の間に介在する気体を削減することで超伝導回路基板、金属箔及び台座の相互の密着性が向上する。これによって、超伝導回路基板の電気的特性、及び冷却時の温度の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の超伝導回路の実装構造を示す図である。
【図2】本実施形態における超伝導回路の実装構造の一例を示す図である。
【図3】本実施形態における超伝導回路基板の実装構造の一例を示す図である。
【図4】本実施形態における超伝導回路基板の実装構造の一例を示す図である。
【図5】本実施形態における超伝導回路基板の実装構造の一例を示す図である。
【図6】台座22の変形例を示す図である。
【図7】本実施形態における超伝導回路基板の実装構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 超伝導回路基板
20、22 台座
24 第1の部品
26 第2の部品
30、32、34、36 金属箔
40 固定手段
42 結合手段
44 ネジ穴
50、52、56、58、60 貫通穴
54 溝
100 真空容器
102 入力端子
104、108 セミリジッドケーブル
106 出力端子
112、114、118 配管
116 切替え弁
120 コールドヘッド
130 冷却機

Claims (3)

  1. 超伝導回路を有する超伝導回路基板と、
    前記超伝導回路基板を一面上に載置する台座と、
    前記超伝導回路基板と前記台座の間に位置する金属箔と、
    前記超伝導回路基板、及び前記金属箔を前記台座の一面に固定する固定手段と、
    前記超伝導回路基板、前記台座、前記金属箔、及び前記固定手段を格納し、真空封止された容器と、
    前記台座に設けられ、前記台座の前記金属箔に覆われている部分から前記台座の前記金属箔に接していない部分に貫通する第1貫通穴と
    前記金属箔に設けられ、前記金属箔の前記超伝導回路基板に接する面から前記台座に接する面に貫通する第2貫通穴を備え、
    前記第1貫通穴と前記第2貫通穴の少なくとも一部が重なるように構成されたことを特徴とする超伝導回路の実装構造。
  2. 前記第2貫通穴は、前記第1貫通穴よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の超伝導回路の実装構造。
  3. 前記台座は、
    前記金属箔と接し、前記金属箔に覆われる面から異なる面に貫通する第3貫通穴を含む第1の部品と、
    一部が前記第3貫通穴と重なり、前記第1の部品に接する面とは異なる面に達する溝を含む第2の部品を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の超伝導回路の実装構造。
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