JP4213229B2 - アゼチジノン誘導体の製造方法 - Google Patents

アゼチジノン誘導体の製造方法 Download PDF

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  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた抗菌作用を有するカルバペネム系抗生物質の中間体として有用なアゼチジノン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
優れた抗菌剤であるカルバペネム系抗生物質を製造するための中間体として式[V]
【0003】
【化4】
Figure 0004213229
【0004】
(式中、r、rは同一または相異なって、水素または低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)で表される化合物が示されている(特開昭63−284176号、Tetrahedron Letters,vol.27(47),5687−5690(1986),PCT/JP92/01698等)。本化合物は加水分解してカルボン酸誘導体
【0005】
【化5】
Figure 0004213229
【0006】
に容易に導けるほか、さらにイミダゾールとマイルドな条件下直接イミダゾリド化合物
【0007】
【化6】
Figure 0004213229
【0008】
に変換でき、カルバペネム系抗生物質合成上極めて有用な中間体である。この化合物は例えばアゼチジノン化合物
【0009】
【化7】
Figure 0004213229
【0010】
と、式[VI]
【0011】
【化8】
Figure 0004213229
【0012】
(式中、r、rは同一または相異なって、水素または低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)で表される化合物をスズトリフラートまたは、四塩化チタン及びアミン存在下に反応させ、式[V]
【0013】
【化9】
Figure 0004213229
【0014】
(式中、r、rは前記と同じ意味を示す。)を得る方法が報告されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スズトリフラートを使用した方法は収率、選択率共に高いがスズトリフラートは高価であり、工業的製法としては不利である。また四塩化チタンを用いた方法では収率、選択率とも低く実用に耐えうる方法とは言えず、更なる収率および選択率の向上が望まれていた。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況下、高収率、高選択率でかつ安価に製造する方法を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、式[I]
【0017】
【化10】
Figure 0004213229
【0018】
(式中、Rは、トリ置換シリル基、置換されていてもよいベンジル基、低級アルコキシカルボニル基、ハロゲノ低級アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、アシル基、トリフェニルメチル基、又はテトラヒドロピラニル基を示し、Zは、アルカノイルオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、若しくはニトロ基で置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、アルコキシカルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はハロゲン原子を示す。)で表される化合物と、式[II]
【0019】
【化11】
Figure 0004213229
【0020】
(式中、R、Rは同一または相異なって、水素原子または低級アルキル基を示す。)で表される化合物と、TiClおよび塩基を用いて調製したエノラート化合物を、25〜40℃で10分から2時間反応させることを特徴とする、式[IV]
【0021】
【化12】
Figure 0004213229
【0022】
(式中、R、R、Rは前記と同じ意味を示す。)で表される化合物の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
における水酸基の保護基としては一般に水酸基を保護するのに用いられている保護基が使用できる。その具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジフェニルシリル等のトリ置換シリル基、置換されていてもよいベンジル基(置換基としてはニトロ基、低級アルコキシ基等が挙げられる。)、低級アルコキシカルボニル基、ハロゲノ低級アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基(置換基としてはニトロ基、低級アルコキシ基等が挙げられる。)、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、トリフェニルメチル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。その中でt−ブチルジメチルシリルが特に有用である。
【0024】
、Rのアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等の炭素数1〜6までの直鎖もしくは枝分かれの低級アルキル基、ベンジル等の炭素数7〜10のアラルキル基が挙げられる。
【0025】
Zで表される脱離基としては、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ等のアルカノイルオキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基等で置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、アルコキシカルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子等が挙げられる。その中でアセチルオキシは、工業的に容易に得ることができ、有利である。
【0026】
塩基としては、第2級、3級アミン類、アニリン類が挙げられ、例えば、ジシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン等のアルキルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン等のアルキルアニリン、ピペリジン、ピロリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、モルホリン、ピペラジン等の複素環状アミン等の第2級アミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のジアルキルアニリン、1−エチルピペリジン、4−メチルモルホリン、1−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の複素環状アミンもしくはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン等のジアミン等の3級アミンが挙げられる。
【0027】
溶媒は反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンあるいはクロルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリル等の極性溶媒が挙げられる。またこれらを混合して用いてもよい。
【0028】
反応は、式[II]の化合物を式[I]の化合物に対し1〜5倍モルを溶媒に溶解し、−10℃〜20℃にて、四塩化チタン1〜5倍モル(対化合物[I])を加え、次いで塩基1〜5倍モルを同温度で滴下することにより調製されるエノラート化合物に、25〜40℃にて、式[I]の化合物を素早く加えることにより行われる。反応が2時間を超え、長時間にわたるとα,βの選択性が著しく低下する。反応終了後は反応液を冷却し、冷水にあけ、有機層を水洗し、通常の処理をすることにより目的物を得ることが出来る。この化合物の生成の確認はHPLC、NMRにより行った。
【0029】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
(3−〔(R)−2−〔(3S,4R)−3−〔(R)−1−t−ブチルジメチルシリロキシエチル〕−2−オキソアゼチジン−4−イル〕プロピオニル〕−4,4−ジメチルチアゾリジン−2−チオン)
【0030】
【化13】
Figure 0004213229
【0031】
4,4−ジメチル−3−プロピオニルチアゾリジン−2−チオン45.4gを塩化メチレン600mlに溶解し、2℃にて四塩化チタン28.92gを加えた。次に同温度でジイソプロピルエチルアミン28.92gを滴下した。滴下終了後、温度を25℃に上げ(3R,4R)−4−アセトキシ−3−〔(R)−1−t−ブチルジメチルシリロキシエチル〕アゼチジン−2−オン45.85gを加えた。25〜27℃で40分撹拌したのち冷却し、冷水300mlにあけた。塩化メチレン層を水洗し、HPLCで分析したところ目的物を61.8g含有していた。塩化メチレンを濃縮し、ヘキサンを加えて晶析・濾過して単黄色結晶58.4gを得た。このものの1HNMRから表記化合物(β体)であることを確認した。更に得られた結晶を加水分解反応によりカルボン酸に誘導し、HPLCにてβ体であることを確認した。
【0032】
(実施例2)
(3−〔(R)−2−〔(3S,4R)−3−〔(R)−1−t−ブチルジメチルシリロキシエチル〕−2−オキソアゼチジン−4−イル〕プロピオニル〕−4,4−ジメチルチアゾリジン−2−チオン)
【0033】
【化14】
Figure 0004213229
【0034】
4,4−ジメチル−3−プロピオニルチアゾリジン−2−チオン28.5gを塩化メチレン400mlに溶解し、5℃にて四塩化チタン28.45gを加えた。次に同温度でジイソプロピルエチルアミン18.10gを滴下した。滴下終了後、温度を28℃に上げ(3R,4R)−4−アセトキシ−3−〔(R)−1−t−ブチルジメチルシリロキシエチル〕アゼチジン−2−オン28.74gを加えた。30〜32℃で30分撹拌したのち冷却し、冷水200mlにあけた。塩化メチレン層を水洗し、HPLCで分析したところ目的物を39.2g含有していた。塩化メチレンを濃縮し、ヘキサンを加えて晶析・濾過して単黄色結晶36.2gを得た。このものの1HNMRから表記化合物(β体)であることを確認した。更に得られた結晶を加水分解反応によりカルボン酸に誘導し、HPLCにてβ体であることを確認した。
【0035】
【発明の効果】
本発明は優れた抗菌作用を有するカルバペネム系抗生物質の中間体として有用なアゼチジノン誘導体を高収率、高選択率で安価に製造する方法である。

Claims (1)

  1. 式[I]
    Figure 0004213229
    (式中、Rは、トリ置換シリル基若しくはニトロ基で置換されていてもよいベンジル基、ニトロ基で置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、アシル基、トリフェニルメチル基、又はテトラヒドロピラニル基を示し、
    Zは、アルカノイルオキシ基、ハロゲン原子若しくはニトロ基で置換されていてもよいベンゾイルオキシ基、アルコキシカルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はハロゲン原子を示す。)で表される化合物と、式[II]
    Figure 0004213229
    (式中、R、Rは同一または相異なって、水素原子、C1〜C6アルキル基、またはC7〜C10アラルキル基を示す。)で表される化合物と、TiClおよび塩基を用いて調製したエノラート化合物を、25〜40℃で10分から2時間反応させることを特徴とする、式[IV]
    Figure 0004213229
    (式中、R、R、Rは前記と同じ意味を示す。)で表される化合物の製造方法。
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