JP4213075B2 - 発光素子,電子機器および発光素子の製造方法 - Google Patents

発光素子,電子機器および発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蛍光灯や液晶パネルのバックライトなどに使用される発光素子に関するものである。
蛍光管(放電管)は、部屋・オフィス等の照明に使用される蛍光灯(発光面が円筒状)や、非発光表示パネルである液晶パネルのバックライト(棒状またはチューブ形状)として広く用いられている。
また、液晶パネルのバックライトに関しては、大型の液晶パネルを備えた液晶テレビを実現するために、発光量(単位はルーメン)のより多い蛍光管が求められている。
特許文献1には、蛍光管を二重構造(二重管構造)とし、その内部のガス成分を調整して電気−光変換効率を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、二重構造の蛍光管における断熱性を利用して、点灯時間の短縮や周囲温度の変動による輝度変動を抑制する技術が示されている。
また、非特許文献1には、50Hzや60Hzではなく、数kHzから数MHzレベルの交流電圧を蛍光管に印加する技術が開示されている。
このように、高周波数の電圧を蛍光管に印加することにより、水銀蒸気における単位時間あたりの励起回数(電気エネルギーによる励起)を増やし、紫外線放出量を増大させて、蛍光体膜による紫外線の可視光への変換量を増加させることが可能となる。
従って、表示装置のバックライトとして使用される蛍光管に関し、紫外線−可視光変換効率を向上させるとともに、電力(電気パワー)投入量を増加させ、管面輝度をアップできるようになっている。
また、蛍光管に封入するガスとして、水銀に代えて、ゼノンを含むガスを用いる技術開発例(非特許文献2)もある。これは、環境に与える悪影響を抑制するためである。
また、特許文献3〜5には、蛍光管の幾何学的条件(ガラス管の外径や肉厚)を調整することで、低消費電力化や歩留りの向上を図る技術が記載されている。
特開2001−93465公報(公開日;2001年4月6日) 特開2000−48770公報(公開日;2000年2月18日) 特開2001−332170公報(公開日;2001年11月30日) 特許第3191934号公報(公開日;1992年4月6日) 特許第3107369号公報(公開日;1998年9月25日) Y. Baba, M. Izuka, T. Shiga, S. Mikoshiba, S. Nishiyama, SID01 DIGEST, pp.290-293 H. Noguchi and H. Yano, "A Mercury-Free Cold Cathode Fluorescent Lamp for LCD Backlighting", SID’00 DIGEST, pp.935-937 H. Yokogawa, K. Kawano, M. Yokoyama, T. Tsutsui, M. Yahiro, Y. Shigesato, SID 01 DIGEST, pp.405-407 E. Hecht and A. Zajac, Optics, pp.79, Addison-Mesley Publishing Company, December 1976
ところで、特許文献1や非特許文献1に記載されている技術は、電気−光変換や紫外線−可視光変換の効率を高めて発光量を増大させるものである。
一方、発光量の増大については、電気光変換の効率だけでなく、蛍光管からの光の取り出し効率を向上させることでも行える。
しかしながら、上記の文献には、光取り出し効率を向上させる具体的な技術について、何ら開示されていない。
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものである。そして、その目的は、光取り出し効率を向上させることの可能な発光素子を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の第1発光素子は、透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、上記透明層の内壁と外壁とは、同一の中心を有する球面をなしており、上記発光面における微小単位面から放出される光は、ランバート分布となっており、上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nが、
n(a/r)≦1 … (a)
なる関係を満たすことで、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴としている。また、本発明の第1発光素子は、透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、上記透明層の内壁と外壁とは、同一の中心を有する球面をなしており、上記発光面における微小単位面から放出される光は、等方的な分布となっており、上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nが、上記(a)なる関係を満たすことで、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴としている。
この第1発光素子は、中空の球体形状(ボール型)を有しており、透明な外殻(透明層)を備えている。そして、透明層の内壁に形成された発光面で可視光を生成し、外部に放出(照射)する機能を有している。
そして、特に、第1発光素子では、透明層の屈折率n,内半径aおよび外半径rが、上記の(a)式を満たすように設計されている。
これにより、第1発光素子は、光取り出し効率を100%に近い高効率とできるようになっている。
なお、上記の(a)式を満足することで光取り出し効率を高められる理由については、後述する〔発明を実施するための最良の形態〕を参照されたい。
このように、第1発光素子は、透明層の屈折率n,内半径aおよび外半径rを調整するだけで、光取り出し効率を非常に容易に向上させることが可能となっている。
従って、第1発光素子を、電子機器(液晶パネル等)の光源や、飾色用光源として用いれば、その消費電力を簡単に(低コストで)低減させられる。
なお、第1発光素子において、(a)式を満たすために透明層の内半径aを小さくし過ぎると、発光量が減少してしまう。
また、透明層の外半径rの値を大きくし過ぎると、第1発光素子の自重・サイズを大きくする必要が生じる。
従って、第1発光素子では、透明層の外半径rを約1mm〜約50mmの範囲に設定し、n(a/r)が以下の(b)式を満足する範囲で、透明層の内半径aを設定することが好ましい。
0.4≦n(a/r)≦1 … (b)
これにより、第1発光素子の光取り出し効率を100%に近く高められるとともに、サイズを適切化できる。
また、本発明の第2発光素子は、円筒形の透明層を有し、この透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、上記透明層の内壁と外壁とが平行となっており、上記発光面における微小単位面から放出される光は、ランバート分布となっており、透明層の屈折率nが、
1.4≦n≦1.6 … (c)
を満たし、かつ、
透明層の内半径aおよび透明層の外半径rが、
0.2≦(r−a)/r<0.5 … (d)
なる関係を満たすことで、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴としている。なお、ランバート分布とは、上記微小単位面における法線方向から極角θだけ傾いた方向での光強度の、上記法線方向の光強度に対する比が、上記極角θの余弦で近似される分布である。
この第2発光素子も、上記した第1発光素子と同様に、透明層の内壁に形成された発光面で可視光を生成し、外部に放出(照射)するものである。
しかし、第2発光素子では、透明層が円筒形状を有しており、従って、発光面も円筒形となっている。
そして、特に、第2発光素子では、透明層の屈折率n,透明層の内半径aおよび透明層の外半径rが、上記の(c)(d)式を満たすように設計されている。
従って、第2発光素子では、光取り出し効率を、平面形状の蛍光素子(平面蛍光素子)よりも高い値とできるようになっている。
なお、上記の(c)(d)式を満足することで光取り出し効率を高められる理由については、後述する〔発明を実施するための最良の形態〕を参照されたい。
このように、第2発光素子は、第1発光素子と同様に、透明層の屈折率n,内半径aおよび外半径rを調整するだけで、光取り出し効率を容易に向上させることが可能となっている。
従って、第2発光素子を、電子機器(液晶パネル等)の光源や、飾色用光源として用いれば、その消費電力を効率的に低減させられる。
また、通常、発光素子の外殻となる透明層の透明材料としては、内部に封入する希ガスなどの漏れを防ぐために、ガラスなどの比重の重いもの(重材料)が用いられる。
しかしながら、上記の(a)式や(d)式を満足するために透明層を厚くすると、発光素子が重くなってしまう。
そこで、上記した第1・第2発光素子では、透明層を、屈折率が等しく比重の異なる複数の層から構成してもよい。
すなわち、内側に重材料からなる第1層を配するとともに、その外側に、第1層と屈折率の等しく、比重の小さい第2層(例えば透明な樹脂層)を配するように構成してもよい。
これにより、発光素子の重量増加を抑制できる。また、第2層を保護膜として利用できるので、発光素子の強度を向上させられる。
なお、このような第2層の屈折率は、第1層の屈折率と小数点以下1桁の範囲で(小数点以下2桁目を四捨五入したとき)等しくなるような範囲に設定されていることが好ましい。
また、本発明の第1製造方法は、透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子の製造方法において、上記透明層の内壁と外壁とを、同一の中心を有する球面とし、上記発光面における微小単位面から放出される光が、ランバート分布となっている場合に、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように、上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nを、
n(a/r)≦1
なる関係を満たすように設定することを特徴としている。また、本発明の第1製造方法は、透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子の製造方法において、上記透明層の内壁と外壁とを、同一の中心を有する球面とし、上記発光面における微小単位面から放出される光が、等方的な分布となっている場合に、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように、上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nを、
n(a/r)≦1
なる関係を満たすように設定することを特徴としている。
この第1製造方法は、上記した第1発光素子を製造するための方法である。従って、この方法によれば、100%に近い光取り出し効率を有する発光素子を製造できる。
また、この第1製造方法では、透明層の外半径rを1mm〜50mmの範囲に設定することが好ましい。そして、透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nを、
0.4≦n(a/r)≦1
を満たすように設定することが好ましい。
これにより、製造される発光素子の光取り出し効率を100%に近く高められるとともに、サイズを適切化できる。
また、本発明の第2製造方法は、円筒形の透明層を有し、この透明層の内壁が発光面となっている発光素子の製造方法において、上記透明層の内壁と外壁とを平行とし、上記発光面における微小単位面から放出される光が、ランバート分布となっている場合に、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように、透明層の屈折率nを、
1.4≦n≦1.6
を満たすように設定し、かつ、
透明層の内半径aおよび透明層の外半径rを、
0.2≦(r−a)/r<0.5
なる関係を満たすように設定することを特徴としている。
この第2製造方法は、上記した第2発光素子を製造するための方法である。従って、第2製造方法によれば、平面蛍光素子よりも高い光取り出し効率を有する発光素子を製造できる。
以上のように、本発明の第1発光素子は、透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、上記透明層の内壁と外壁とは、同一の中心を有する球面をなしており、上記発光面における微小単位面から放出される光は、ランバート分布となっており、上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nが、
n(a/r)≦1 … (a)
なる関係を満たすことで、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴としている。また、本発明の第1発光素子は、透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、上記透明層の内壁と外壁とは、同一の中心を有する球面をなしており、上記発光面における微小単位面から放出される光は、等方的な分布となっており、上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nが、上記(a)なる関係を満たすことで、自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴としている。
この第1発光素子は、中空の球体形状(ボール型)を有しており、透明な外殻(透明層)を備えている。そして、透明層の内壁に形成された発光面で可視光を生成し、外部に放出(照射)する機能を有している。
そして、特に、第1発光素子では、透明層の屈折率n,内半径aおよび外半径rが、上記の(a)式を満たすように設計されている。
これにより、第1発光素子は、光取り出し効率を100%に近い高効率とできるようになっている。
このように、第1発光素子は、透明層の屈折率n,内半径aおよび外半径rを調整するだけで、光取り出し効率を非常に容易に向上させることが可能となっている。
従って、第1発光素子を、電子機器(液晶パネル等)の光源や、飾色用光源として用いれば、その消費電力を簡単に(低コストで)低減させられる。
本発明の一実施形態について説明する。
本実施の形態にかかる発光素子(本発光素子)は、液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイに使用されるバックライトや、ファックス,スキャナー,複写機用の読み取り光源、さらには照明器具として利用できるものである。
図1は、本発光素子の構成を示す説明図である。
この図に示すように、本発光素子は、ガラス層12(内半径a,外半径r)を外殻とする中空の球体であり、ガラス層12の内壁が、白色用または3原色用の蛍光体の粉末(蛍光体粒子)を塗布した発光面(蛍光面)11となっている球状発光素子である。
本発光素子の内部(発光面11の内部)は、真空排気後に、水銀蒸気やゼノンガス等の紫外線源を含む希ガス(アルゴンガスなど)Gの封入された状態となっている。
また、本発光素子の内部には、一対の電極(図示せず)が配されている。そして、本発光素子では、これらの電極に交流電圧を印加することにより、紫外線源から紫外線を発生させて発光面に照射する。
これにより、発光面11における蛍光体粒子が励起され、この粒子から可視光が照射される。そして、この可視光が、ガラス層12を抜けて外部に放出されるようになっている。
なお、図1では、本発光素子の構成を簡潔に示すために、上記した電極や真空排気のための枝管を省略している。
ガラス層12は、外半径rと内半径aとを有する、肉厚(r−a)の中空のガラス製の球体である。また、ガラス層12の外壁と内壁(発光面11)とは、同一の中心Oを有する球面をなしている。
また、本発光素子では、発光面11における微小な単位面積(微小発光面)dSから放出される光分布は、ランバート分布となる。
ここで、発光素子の光源に関する全光束量と光分布(光放出分布)との関係について、簡単に説明する。
まず、全光束量について説明する。なお、以下に示す光束量の単位は、「単位面積あたりのルーメン」である。
一般に、点光源からの発光強度(光度;I)は、点光源から立体角(dΩ)以内に放出される光束(dΦ)を用いて、
I=dΦ/dΩ
と表される。
また、同様に、微小発光面dSの放出する光の強度(II)は、
II=dF/(dΩ・dS)
となる。
ここで、本発光素子のように、蛍光体粒子を紫外線(あるいは電子線)で励起するタイプの発光素子(蛍光素子)では、蛍光体粒子が可視光の波長より大きく(あるいは、発光面が可視光波長より厚く)なっている。
このため、本発光素子のような蛍光素子では、微小発光面dSから放出される光分布は、ランバート分布となる。従って、微小発光面dSの法線方向から極角θだけ傾いた方向での光強度(IIθ)は、
IIθ=IICos[θ]
によって近似される。
なお、IIは、微小発光面における法線方向の光度である。
この式より、ランバート面(微小単位面から放出される光がランバート分布となる発光面)の微小発光面dSから上半球に放出される全光束量Fは、πIIとなることがわかる。
一方、接合型の発光素子(有機EL発光素子や無機LED発光素子など)では、発光層の厚さが可視光の波長(0.38mm〜0.78mm)よりも光学的に小さいため、微小発光面から放出される光の分布は等方的となる。そして、等方的発光面(微小単位面から放出される光が等方的な分布となる発光面)の微小発光面から上半球に放出される全光束量Fは、2πIInとなる。なお、図2(a)に等方的発光面の光分布を、図2(b)にランバート面の光分布を示す。
次に、本発光素子および比較例の発光素子における、光取り出し効率について説明する。
なお、光取り出し効率とは、発光面11のような光源から放出された全て光の量(全光束量)と、発光素子の外部に出た(取り出された)光束の量(取り出し光束量)との比である。
まず、比較例として、平面形状の蛍光素子(平面蛍光素子)における光取り出し効率について説明する。
図8は、平面蛍光素子の構成を示す説明図である。
この図に示すように、平面蛍光素子は、紫外線源を含む希ガスGをガラスの平板からなる透明層22で覆った形状を有している。また、透明層22における希ガスGに対向する面は、平面蛍光素子の発光面21となっている。
図9は、平面蛍光素子の光取り出し効率を示すグラフである。図9において、縦軸は光取り出し効率ηを、横軸は透明層22の屈折率nを表す。
なお、この図に示した光取り出し効率は、平面蛍光素子のサイズの影響を受けない場合(透明層22の膜厚が十分に薄く(発光面が十分に浅く)、さらに、平面蛍光素子の全体サイズが十分に大きい場合)の値である。
ここで、曲線HL0・HL1は、発光面21がランバート面である場合における、光取り出し効率の概略値(HL0)および実質値(HL1)を示している。
一方、図9に示した曲線HT0・HT1は、平面蛍光素子の発光面21が等方的発光面である場合における、光取り出し効率の概略値(HT0)および実質値(HT1)を示すものである。
屈折率の高い媒体(透明層22)から屈折率の低い媒体(空気)に光束が流れるとき、臨界角θを超えた入射角を有する光束は、両媒体の界面で全反射される。
このような幾何学的因子のみを考慮した概略的な場合、光取り出し効率は、発光面21が等方的発光面である場合に曲線HT0,ランバート面である場合に曲線HL0で表現される。
なお、これらの曲線HT0・HL0を数式で表現すると、
HT0;η=1−(1−1/n1/2〜1/(2n
HL0;η=1/n
となる。
従って、平面蛍光素子では、屈折率nの低い透明層22を用いることによって、光取り出し効率を上げられることとなる。
ところが、臨界角以内の光の一部については、界面反射されるため、外部に取り出すことはできない。このため、実際に外部に取り出せる効率(実質的な光取り出し効率)は、曲線HT0・HL0より低い値、すなわち、曲線HT1・HL1となる。
なお、曲線HT1・HL1の導出には、フレネルの透過率に対する式(非特許文献4)を用いた。
これら曲線HT1・HL1より、透明層22の屈折率を1.5とすると、平面蛍光素子の光取り出し効率は、等方的発光面で22%、ランバート面で44%となることがわかる。
従って、等方的発光面では、残りの78%の光束は、透明層22とその外側の空気層との界面反射により、発光面11に戻ることになる。
なお、この78%の戻り光のうち、何%が発光面21から等方的に再放出されるかは不明であるが、光放出源である発光面21は、双極子放射の原理に基づいて、光を吸収できるエネルギー準位を持っている。
従って、戻り光の一部は、発光面21に吸収されて熱となり、電気光変換効率の低下に関与することとなる。
次に、本発光素子の光取り出し効率について説明する。
図3(a)は、ランバート面の発光面11を有する、本発光素子の光取り出し効率を示すグラフである。
また、図3(b)は、本発光素子と同様のガラス層12を有する発光素子において、発光面11が等方的発光面であった場合における、光取り出し効率を示すグラフである。
なお、これらのグラフでは、光取り出し効率η(z軸)を、ガラス層12の屈折率n(x軸)と、ガラス層12の内外半径の比a/r(y軸)との関数として、3次元的に示している。
これらのグラフに示すように、発光面11がランバート面であっても等方的発光面であっても、平面蛍光素子と同様に、ガラス層12の屈折率nが高くなると、光取り出し効率は低下する傾向にある。
ところが、ガラス層12の屈折率nが1.5のときでも、比a/rが0.5に近い場合には、ほぼ100%の光取り出し効率を得られることがわかる。
これは、ガラス層12が曲面形状を有しているため、光取り出し効率に関するガラス層12の屈折率(有効屈折率)を、より小さい値(n(a/r)で近似される)にできるからである。
このように、球状発光素子では、光取り出し効率に関する透明層12の屈折率(有効屈折率)が、ほぼn(a/r)となる。これは、屈折率というバルク特性は、光取り出し効率という実用上大切な因子からみると、発光素子の形状因子に依存して小さくなるためである。
なお、このことは、発光面が等方的発光面であっても、ランバート面であっても成り立っている。
なお、平面型発光素子では、透明層の屈折率を小さくするためには、材料自体を変える必要がある。球状発光素子のような非平面発光素子では、通常のガラスの屈折を、形状因子を基に低減できる。従って、材料を変えなくとも、取り出し効率を高められる。
また、図3(a)に示した破線Pは、n(a/r)=1.0を示すxy面上の曲線である。
そして、この図3(a)より、本発光素子では、有効屈折率n(a/r)を以下の式(1)を満たすように設定することで、光取り出し効率を100%に近い高効率とできることがわかる。
n(a/r)≦1 … (1)
すなわち、(1)式を満たすようにガラス層12を肉厚化する(ガラス層12の内半径aを小さくする、あるいは、ガラス層12の外半径rを大きくする)ことで、平面蛍光素子を越える性能(非常に高い光取り出し効率)を非常に容易に実現することが可能となっている。
従って、(1)式を満たすように設定した本発光素子を、非発光表示パネルである液晶パネルのバックライトや飾色用光源として用いれば、その消費電力を簡単に(低コストで)低減させられる。
なお、ガラス層12を肉厚化すると、発光面11の内部で発生する紫外線を外部に漏らしてしまうことを防止できる。これにより、本発光素子を液晶パネルのような電子機器に備えた場合に、電子機器の劣化を抑制できる。
また、本発光素子において、(1)式を満たすためにガラス層12の内半径aを小さくし過ぎると、発光量が減少してしまう。また、電極対の形成や、真空排気用の枝管の取り付けが困難になる。
一方、ガラス層12の外半径rの値を大きくし過ぎると、本発光素子の自重・サイズを大きくする必要が生じる。
従って、本発光素子では、ガラス層12の外半径rを約1mm〜約50mmの範囲に設定し、n(a/r)が以下の(2)式を満足する範囲で、ガラス層12の内半径aを設定することが好ましい。
0.4≦n(a/r)≦1 … (2)
これにより、本発光素子の光取り出し効率を100%に近く高められるとともに、サイズを適切化できる。
なお、図3(b)に示すように、本発光素子と同様のガラス層12を有する発光素子において、発光面11が等方的発光面であった場合でも、本発光素子と同様に、有効屈折率n(a/r)の値を1以下とすれば、光取り出し効率を100%に近い値とできる。
従って、本発光素子の発光面11を、等方的発光面(接合型の発光面)として構成してもよい。
また、本発光素子におけるガラス層12の材料として、比重2.5のソーダガラスを用いることもできる。
この場合、有効屈折率n(a/r)の値を1以下とするために、ガラス層12の内半径aを小さくするとともに外半径rを大きくし、ガラス層12を肉厚化すると、本発光素子が重くなりすぎてしまう。
そこで、ガラス層12の上(外側)に、ソーダガラスとほぼ同じ屈折率を有する透明高分子樹脂からなる樹脂層(内半径r、外半径bの中空の球体)を積層するようにしてもよい。
この場合には、ガラス層12の肉厚を、本発光素子が重くなり過ぎないような適切な値とし、樹脂層の外半径bを、上記の式(2)に応じた以下の式(3)を満足するように設定することが好ましい。
0.4≦na/(r+b)≦1 …(3)
これにより、光取り出し効率の向上およびサイズの適正化とともに、本発光素子の重量増加を抑制できる。また、樹脂層を保護膜として利用できるので、破壊されたときのガラス破片の飛散抑制性、本発光素子の力学的強度を向上させられる。
なお、ガラス層12の材料がソーダガラスである場合、上記のような樹脂層としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、または、ビニル樹脂、更に、熱収縮性の大きいポリエチレンテレフタレート樹脂等を用いることが可能である。
また、このような樹脂層を用いる場合、樹脂層の屈折率を、ガラス層12の屈折率と小数点以下1桁の範囲で(小数点以下2桁目を四捨五入したとき)等しくなるような範囲に設定することが好ましい。
また、この場合、樹脂層のさらに外側に、ガラス層12と屈折率のほぼ等しい別の層を設けてもよい。
また、本実施の形態では、本発光素子を、球状発光素子であるとしている。しかしながら、これに限らず、本発光素子を、円筒型発光素子(円筒形状の発光素子)として構成することもできる。
図4は、本発光素子を円筒型発光素子とした場合の構成を示す説明図である。
この図に示すように、この構成は、円筒形のガラス層12の内側に紫外線源を含んだ希ガスを封入し、ガラス層12の内壁を発光面11とするように設計されている。
以下に、この構成の光取り出し効率について説明する。
なお、以下では、ガラス層12の内半径(心から発光面11までの距離)をa,外半径をrとし、ガラス層12の肉厚をh(=r−a)とする。
図5(a)は、ランバート面の発光面11を有する、本発光素子(図4)の光取り出し効率を示すグラフである。
また、図5(b)は、図4に示した本発光素子と同様のガラス層12を備えた発光素子において、発光面11が等方的発光面である発光素子の光取り出し効率を示すグラフである。
これらのグラフでは、光取り出し効率η(z軸)を、ガラス層12の屈折率n(x軸;n=1.2〜2.5)と、円筒形状を特長づける形状因子(パラメータ)であるガラス層12の肉厚hと外半径rとの比h/r(y軸;h/r=0.1〜0.9)との関数として、3次元的に示している。
これらのグラフより、円筒形状の構成でも、ガラス層12の屈折率nが大きくなると、光取り出し効率は低下する傾向を示す。また、この構成では、屈折率nが小さくなっても、光取り出し効率が低下することがわかる。
さらに、光取り出し効率は、形状因子h/rが小さすぎても、また、大きすぎても、低下する傾向にある。
図6は、ランバート面の発光面11を有する本発光素子に関し、h/rを0.5とした場合における、光取り出し効率の屈折率に対する依存性(CL1)を示すグラフである。
また、このグラフには、図9に示した曲線HL1を合わせて示している。上記したように、この曲線HL1は、発光面がランバート面である場合の、平面蛍光素子における実質的な光取り出し効率の屈折率依存性である。
このグラフより、図4に示した本発光素子では、ガラス層12の屈折率nを1.4〜2.0の範囲に設定すると、平面蛍光素子に比して光取り出し効率を約50%向上できることがわかる。
また、図7は、ランバート面の発光面11を有する本発光素子に関し、ガラス層12の屈折率nを1.3,1.4,1.5,1.6,1.7とした場合における、光取り出し効率の形状因子h/rに対する依存性を示すグラフである。
なお、図7に示した点線は、ガラス層12の屈折率nを1.5とした場合の平面蛍光素子の光取り出し効率である。
このグラフに示すように、ガラス層12の屈折率nを1.4〜1.6とした場合には、形状因子h/rを0.3〜0.6の範囲に設定することとで、本発光素子(円筒形状)の光取り出し効率を、平面蛍光素子よりも高くすることが可能となる。
従って、本発光素子を円筒形状とする場合には、ガラス層12の屈折率nを以下の(4)式を満たすように設定し、かつ、形状因子h/rを以下の(5)式を満たすように設定することで、平面蛍光素子よりも光取り出し効率を向上させられるといえる。
1.4≦n≦1.6 … (4)
0.2≦h/r≦0.6 … (5)
なお、図7より、屈折率を一定としたまま、0.1のh/rを0.3〜0.5の範囲とするようにガラス層12を肉厚化すると、本発光素子の光取り出し効率は、0.5から0.6程度に増加する(10%程度向上する)。
このようにガラス層12を肉厚化すると、図1に示した構成と同様に、発光面11の内部で発生する紫外線を外部に漏らしてしまうことを防止できる。これにより、本発光素子を備えた電子機器の劣化を抑制できる。
例えば、本発光素子を液晶パネルに備えた場合、液晶材料や接着剤などの紫外線による劣化を防止できる。
また、図4に示したような形状の本発光素子は、光取り出し効率が高いため、大型の液晶パネルのバックライトとして特に有効なものである。
すなわち、大型の液晶パネルに有効な発光素子は、小型のものではなく、高い輝度での表示を行える、多量の光束を効率よく放出できるものである。すなわち、発光効率が悪いと放熱量が上昇するため、液晶パネルに熱歪が発生して、表示ムラやパネルの劣化を招来してしまう。
従って、本発光素子を液晶パネルのバックライトとして用いることで、表示ムラやパネル劣化を防止することの可能な、大型の液晶パネルを実現できる。
また、図4に示した本発光素子において、(5)式を満たすためにガラス層12の内半径aを小さくし過ぎると、電極対の形成や、真空排気用の枝管の取り付けが困難になる。
また、ガラス層12の外半径rの値を大きくし過ぎると、本発光素子の自重・サイズを大きくする必要が生じる。
従って、図4に示した構成では、ガラス層12の外半径rを1mmから10mmの範囲に設定し、上記の(4)式を満足する範囲で、ガラス層12の内半径aを設定することが好ましい。これにより、本発光素子の光取り出し効率を高められるとともに、サイズを適切化できる。
また、本発光素子を円筒形状とする場合でも、ガラス層12の材料として、比重2.5のソーダガラスを用いることもできる。この場合、光取り出し効率を向上させるためにガラス層12を肉厚化すると、本発光素子が重くなりすぎてしまう。
そこで、この場合も、ガラス層12の上(外側)に、ソーダガラスとほぼ同じ屈折率を有する透明高分子樹脂からなる樹脂層(内半径r、外半径bの円筒形)を積層するようにしてもよい。
この場合には、ガラス層12の肉厚hを、本発光素子が重くなり過ぎないような適切な値とし、樹脂層の外半径bを、以下の式(6)を満足するように設定することが好ましい。
0.2≦(h+b)/(r+b)≦0.6 … (6)
これにより、光取り出し効率を高くできるとともに、本発光素子の重量増加を抑制できる。また、樹脂層を保護膜として利用できるので、本発光素子の強度を向上させられる。
なお、この場合も、樹脂層の屈折率は、ガラス層12の屈折率と小数点以下1桁の範囲で(小数点以下2桁目を四捨五入したとき)等しくなるような範囲に設定されていることが好ましい。
また、この場合も、樹脂層のさらに外側に、ガラス層12と屈折率のほぼ等しい別の層を設けてもよい。
また、本発光素子のような発光素子は、ガラス層12の内壁と外壁とによって、その形状(幾何学的形状)が決まる。
ここで、発光素子の形状については、できるだけ簡単であることが好ましい。例えば、透明層を、レンズや散乱光学作用を有する複雑な構造とすると、製造コストを増大させるため、好ましくない。
従って、本発光素子は、図1や図4に示した球形状,円筒形状など、ガラス層12の外壁と内壁(発光面11)とを平行とする(相似形とする)ような形状となっていることが好ましい。
なお、特許文献3に示された蛍光管(ガラス管)は、外径1.2〜10.0mm程度、肉厚0.2〜0.6mm程度のものである。このため、この蛍光管における形状因子h/rは、0.04≦h/r<1となる。
従って、特許文献3に記載の蛍光管では、形状因子h/rの範囲が広すぎるため、h/rと透明層の屈折率nとを同時に最適化して、光取り出し効率(発光効率)を光学的に向上させることは困難である。
また、特許文献4には、4.0mm以下の細管で外径の構成された蛍光ランプが記載されている。また、この蛍光ランプでは、形状因子h/rが0.23となるようなソーダガラスまたは鉛ガラスが使用されている。従って、この蛍光ランプでは、形状因子h/rが小さすぎて、本発光素子のような高い光取り出し効率を得られない。
なお、特許文献4では、このような細径の蛍光ランプについて、形状因子を適切に設定する手法ではなく、内部に封入する希ガスの圧力を20Torrから100Torrの範囲にすることによって高効率化を図るようになっている。
また、特許文献5には、肉厚0.8mmのガラスバルブの内径Dを4〜12mmの範囲で変化させ、蛍光ランプの照度を測定した結果が示されている(図3)。また、この文献の内径Dは、本実施の形態における2aに相当し、また、この文献の肉厚は、本実施の形態におけるr−aに相当する。
従って、この測定に用いられる値(D,0.8mm)と上記したh/rとの関係は、
h/r=0.8/(0.8+D/2)
となる。
従って、この測定に関し、蛍光ランプにおける形状因子h/rの範囲は、
0.12≦h/r≦0.28
となる。
また、この特許文献5では、内径8mm(内半径4mm)のガラスバルブの肉厚を0.4mm〜1.4mmの範囲で変化させ、蛍光ランプの照度を測定した結果が示されている(図4)。
従って、この測定に用いられる値とh/rとの関係は、
h/r=h/(4+h)
なる関係を満たす。
従って、この測定に関し、蛍光ランプにおける形状因子h/rの範囲は、
0.09≦h/r≦0.23
となる。
従って、特許文献5の蛍光ランプでも、形状因子h/rが小さすぎて、本発光素子のような高い光取り出し効率を得られない。
なお、特許文献5の技術においてガラスバルブの内径・肉厚を上記の範囲に設定する理由は、特殊な電極を使用したときに、光源のチラツキを低減するためであると考えられる。この蛍光ランプは、従来用いられているキセノンを主成分とする封入ガスの圧力を100〜300Torrにまで高くして、所望の明るさを確保するように設計されている。
また、本実施の形態では、ガラス層12の外半径rを1mmから10mmの範囲に設定し、上記の(4)式を満足する範囲で、ガラス層12の内半径aを設定することが好ましいとしている。これは、携帯用途のバックライトの管径は2.5mmも出ているので、半径で1mm以上とし、大型液晶表示(対角20インチ以上)では半径で10mm程度のFPDのイメージは損なわれないだろうとの根拠である。
また、本発明の目的は、低コストかつ低消費電力化または高効率な非平面形状の発光素子によって、環境に優しい表示・照明装置を提供することにあるともいえる。これらはフラットパネルディスプレイやファックス読み取り光源や複写機用光源部品、更には照明器具に利用できる。
また、等方的発光面での全放出光束2πIInは、発光層の内部機構が解明されない限り定量化できない物理量である。しかし、本実施の形態では、その機構がどうであれ、定常的な発光状態において、微小発光面からの全光束は2πIInであるとして、光取り出し効率を算出している。
また、従来には、放電管のガス励起には外部電極による発光素子や環境負荷に配慮して水銀を用いないで、ゼノンを含むガスを用いる技術開発例(非特許文献2)もある。また、バックライトにおける断熱二重構造や蛍光灯におけるインバーターは、光源の低消費電力化および高効率化が確かに図られるが、蛍光材料から発せられる光量そのものを表示または照明サービス領域に有効に取り出す光学手段が最適化される余地があると考えられる。本発明は発光素子からの光束(単位はルーメン)を外部に取り出す効率を向上させる光学的手段に関するものである。この光学的手段に関して、平面型発光素子の場合、屈折率の低い透明材料が用いられる(非特許文献3)。しかし、非平面形状の発光素子については、透明材料の屈折率と共にその形状を同時に最適化する課題があるといえる。
また、本発明では、形状因子は透明層の厚さそのもの、形状によっては素子形状に対する透明層の厚さの比をもって形状を特定できるといえる。また、透明層の屈折率nが光取り出し効率を決定するもう一つの重要な値となることは公知である。
また、本発明を、以下の第1〜第5発光素子として表現することもできる。
すなわち、第1発光素子は、発光面とそれに接する透明層とを有し、透明層表面が発光面と相似形状を有する非平面形状発光素子において、発光面における微小単位面積からの発光分布が等方的またはコサイン法則に従う発光束である構成である。また、第2発光素子は、第1発光素子において、発光面が球形の場合、透明層と空気層界面の半径rと発光面の半径aおよび透明層の屈折率nが、0.4<n(a/r)<1、なる関係を満たす構成である。
また、第3発光素子は、第2発光素子において、発光面が球形の場合、半径rの第一の透明層に接して、第一の透明層の屈折率nとほぼ同じ屈折率をする第二の透明層の肉厚をbとして、0.4<na/(r+b)<1なる関係を満たす構成である。また、第4発光素子は、第1発光素子において、発光面が円筒形状の場合、透明層と空気層界面の半径rと発光面の半径aおよび透明層の屈折率nについて、1.4<n<1.6かつ0.4<(r−a)/r<0.5である構成である。また、第5発光素子は、第4発光素子において、発光面が円筒形状の場合、半径rの第一の透明層に接して、第一の透明層の屈折率とほぼ同じ値を有する第二の透明層(肉厚b)を円筒形状に形成して、0.4<(r+b−a)/(r+b)<0.5なる関係を満たす構成である。
非平面形状の発光素子から効率的にかつ低コストで光束を素子外部に取り出すには、発光素子における透明層の屈折率と発光層の形状を特定する必要がある。発光素子の形状を低コストで実現するには、プリズムシートや拡散シート等の特別な幾何学的形状をもった補助的光学部品を用いないことおよび発光面に特定の周期構造を導入することは避けることが低コスト化の上で重要である。従って、これら第1〜5発光素子においては、素子形状として平面型、球状型、円筒型の三つの形状を比較検討した。鋭意検討した結果、球状型および円筒型形状の最適化及びガラス等の屈折率を特定することにより、平面型より光取り出し効率のよい形状を特定することが解った。
発光素子の効率化は省エネルギー効果により環境にやさしい製品になる。従来、放電管内部の蛍光体材料、電極種類、電極構造、印加電圧とその周波数、ガス種類や分圧等の面で効率化が、特に、円筒型発光素子の場合行われてきた。本発明は球形及び円筒型発光素子において、透明層の屈折率と肉厚をパラメータとして更にこれらの発光素子の発光効率を向上できることがわかった。大型液晶表示では大型故に、高い輝度表示には多量の光束(ルーメン)が必要とされる。ここでは蛍光管の管径の小ささは特段に重要でなく、発光素子の高効率化が重要な課題である。もし、発光効率が悪く熱として放出されるときは表示素子に熱歪が発生し、表示ムラや素子劣化に関係してくる。従って、本発明は、好適には大型液晶表示素子のバックライトへの適用が期待される。
本発明は、蛍光灯や液晶パネルのバックライトなどに使用される発光素子に好適に利用できるものである。
本発明の一実施形態にかかる、球形の発光素子の構成を示す説明図である。 図2(a)は、等方的発光面からの光放出分布を示す説明図であり、図2(b)は、ランバート面からの光放出分布を示す説明図である。 図3(a)は、発光体の発光面がランバート面である場合、また、図3(b)は同じく等方的発光面である場合における、図1に示した発光素子の光取り出し効率を示すグラフである。 本発明の他の実施形態にかかる、円筒型の発光素子の構成を示す説明図である。 図5(a)は、発光体の発光面がランバート面である場合、また、図5(b)は同じく等方的発光面である場合における、図4に示した発光素子の光取り出し効率を示すグラフである。 図4に示した発光素子における発光体の発光面をランバート面とし、h/rを0.5とした場合における、光取り出し効率の屈折率に対する依存性を示すグラフである。 図4に示した発光素子における発光体の発光面をランバート面とし、透明層の屈折率nを1.3,1.4,1.5,1.6,1.7とした場合における、光取り出し効率の形状因子h/rに対する依存性を示すグラフである。 平面蛍光素子の構成を示す説明図である。 図8に示した平面蛍光素子の光取り出し効率を示すグラフである。
符号の説明
11 発光面
12 ガラス層(透明層)
21 発光面
22 透明層
G 希ガス
a ガラス層の内半径
r ガラス層の外半径
b 樹脂層の外半径
h 肉厚
n 屈折率
η 光取り出し効率

Claims (13)

  1. 透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、
    上記透明層の内壁と外壁とは、同一の中心を有する球面をなしており、
    上記発光面における微小単位面から放出される光は、ランバート分布となっており、
    上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nが、
    n(a/r)≦1
    なる関係を満たすことで、
    自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴とする発光素子。
  2. 透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、
    上記透明層の内壁と外壁とは、同一の中心を有する球面をなしており、
    上記発光面における微小単位面から放出される光は、等方的な分布となっており、
    上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nが、
    n(a/r)≦1
    なる関係を満たすことで、
    自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴とする発光素子。
  3. 透明層の外半径rが、1mm〜50mmの範囲に設定されているとともに、
    透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nが、
    0.4≦n(a/r)≦1
    なる関係を満たしていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子。
  4. 円筒形の透明層を有し、この透明層の内壁が発光面となっている発光素子において、
    上記透明層の内壁と外壁とが平行となっており、
    上記発光面における微小単位面から放出される光は、ランバート分布となっており、
    透明層の屈折率nが、
    1.4≦n≦1.6
    を満たし、かつ、
    透明層の内半径aおよび透明層の外半径rが、
    0.2≦(r−a)/r<0.5
    なる関係を満たすことで、
    自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように構成されていることを特徴とする発光素子。
  5. 上記ランバート分布は、上記微小単位面における法線方向から極角θだけ傾いた方向での光強度の、上記法線方向の光強度に対する比が、上記極角θの余弦で近似される分布であることを特徴とする請求項1または4に記載の発光素子。
  6. 上記透明層が、屈折率が等しく比重の異なる複数の層からなることを特徴とする請求項1、2または4に記載の発光素子。
  7. 上記透明層が、発光面を内壁に有するガラス層と、このガラス層を覆う樹脂層とからなることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の発光素子を備えた電子機器。
  9. 透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子の製造方法において、
    上記透明層の内壁と外壁とを、同一の中心を有する球面とし、
    上記発光面における微小単位面から放出される光が、ランバート分布となっている場合に、
    自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように、
    上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nを、
    n(a/r)≦1
    なる関係を満たすように設定することを特徴とする発光素子の製造方法。
  10. 透明層を外殻とする中空の球体形状を有し、透明層の内壁が発光面となっている発光素子の製造方法において、
    上記透明層の内壁と外壁とを、同一の中心を有する球面とし、
    上記発光面における微小単位面から放出される光が、等方的な分布となっている場合に、
    自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように、
    上記透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nを、
    n(a/r)≦1
    なる関係を満たすように設定することを特徴とする発光素子の製造方法。
  11. 透明層の外半径rを1mm〜50mmの範囲に設定するとともに、
    透明層の内半径a,外半径rおよび透明層の屈折率nを、
    0.4≦n(a/r)≦1
    を満たすように設定することを特徴とする請求項9または10に記載の発光素子の製造方法。
  12. 円筒形の透明層を有し、この透明層の内壁が発光面となっている発光素子の製造方法において、
    上記透明層の内壁と外壁とを平行とし、
    上記発光面における微小単位面から放出される光が、ランバート分布となっている場合に、
    自素子の外部に取り出された取り出し光束量の、上記発光面から放出された全光束量に対する比である光の取り出し効率が、一方側の面が発光面である平板状の透明層からなる平面蛍光素子における光の取り出し効率を超えるように、
    透明層の屈折率nを、
    1.4≦n≦1.6
    を満たすように設定し、かつ、
    透明層の内半径aおよび透明層の外半径rを、
    0.2≦(r−a)/r<0.5
    なる関係を満たすように設定することを特徴とする発光素子の製造方法。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の発光素子の製造方法によって製造された発光素子を備えた電子機器。
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