JP4212371B2 - 全自動電気洗濯機における洗濯槽の固定装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全自動電気洗濯機の洗濯槽（脱水槽と兼用）の固定装置の改良に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
電気製品を梱包する場合においては、機器本体やその付属品が段ボール箱の内部で動かないように保持することを目的として、各種緩衝材が機器と共に段ボール箱に収納されている。このような電気製品の内、全自動電気洗濯機は洗濯槽が遊動状態に支持されていることから、輸送時等に洗濯槽を固定するための装置を設ける必要がある。
【０００３】
洗濯槽を固定することによって保護する固定装置としては、成型が容易で緩衝性能に優れた発泡プラスチックや、段ボールを折り曲げて組み立てる構造のものが主流となっている。洗濯槽の固定手段としては、一般的に該洗濯槽と該洗濯槽の上部に開口する本体開口部に固定部材を嵌め込む方法が採られている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
単に洗濯槽を固定するだけであれば、上述した方法のように固定部材を遊動する洗濯槽と本体の一部とに架け渡して設けることで達成することができる。しかし、洗濯槽に内蓋が設けられている場合、その存在によって洗濯槽を固定しにくくなる問題が生じる。一般的に、洗濯槽に設けられた内蓋は強度が比較的低く、これを固定部材で固定しても洗濯槽を確実にすることが固定できない。また、固定部材を洗濯槽に装着すると、内蓋が開いた状態となって本体蓋と干渉するなど構造的な問題が派生する。
【０００５】
従って、このような問題を解決するため従来の段ボール製固定装置では、部品点数が多くなってしまったり、折り曲げ箇所が多く複雑で組み立てにくくなるなど、作業能率が著しく低下する。また、発泡プラスチックやパルプモルードなどの成型品では、空間部分が多く嵩高くなり、輸送コストや保管コストが高くなる問題が生じる。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものでありその特徴とするところは、全自動電気洗濯機に遊動状態に設けられ内蓋を備えた洗濯槽と該洗濯槽上部に開口する本体開口部に接当させることによって該洗濯槽を固定する装置において、該洗濯槽内部の横方向に架け渡す槽嵌込部、及び本体開口部に架け渡す本体嵌込部より成り上面に内蓋支持部を備えた成型品固定具と、該内蓋の基部から該固定具の上面及び該本体開口部に沿わせるもので本体蓋を支持する段ボール製受具とによって構成したことにある。
【０００７】
ここで、本明細書中でいう「成型品固定具」とは、発泡スチロールなどの発泡プラスチック、古紙を溶融して成型したパルプモルードなどで形成した部材をいう。この構造は、全自動電気洗濯機の脱水槽と兼用する洗濯槽内部の横方向に架け渡す槽嵌込部と、全自動電気洗濯機本体開口部に架け渡す本体嵌込部より構成している。また、本発明においては成型品固定具の上面に内蓋支持部を備えている。
【０００８】
槽嵌込部は、全自動電気洗濯機の正面から見て、洗濯槽の横方向に嵌め込む。この場合、前後方向に幅を持たせることによって、横方向だけでなく前後方向にも移動しないようにする。一般的に洗濯槽は円筒形であることから、横方向の直径位置に嵌め込む。本体嵌込部は、槽嵌込部材の上方に設けられたもので、洗濯槽上部に開口する全自動電気洗濯機本体開口部の横方向に架け渡し、両側の周面を接当させて前後方向に移動しないように装着する。この成型品固定具の装着により、本体に対して洗濯槽が固定され、該洗濯槽の内蓋を上面で支持する。
【０００９】
「段ボール製受具」とは、内蓋の基部から固定具の上面及び本体開口部内面に沿わせて装着し、本体蓋を支持する帯状の段ボールをいう。このため、下端部に内蓋や固定具等の形状に合わせた切欠成形部を形成し、上端部には本体蓋支持部を形成している。この段ボール製受具は、成型品固定具を装着して洗濯槽を固定し、これに内蓋を支持した状態で取り付ける。内蓋と本体蓋との間に介在させることで、これらの干渉防止が図られる。段ボール製受具の装着によって本体蓋が幾分開いた状態となる場合もある。本体蓋は、梱包時に本体を保護するための緩衝材で支持したり、テープ止めなどの手段で固定する。
【００１０】
段ボール製受具は、数ヶ所設けられた折罫部分を折り曲げながら本体開口部に沿わせるようにして装着する。この場合、成型品固定具の上面に単に載せるだけでもよいが、成型品固定具に本体開口部との間に隙間を形成する切欠部を設け、受具に突設した差込片を嵌め込んで支持するようにしてもよい。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【００１２】
図１は、本発明に係る固定装置１の実施の形態の一例を示すもので、同図（ａ）は全自動電気洗濯機Ｗの洗濯槽２を固定する発泡スチロール製の固定具３、同図（ｂ）は本体蓋４を支持する段ボール製の受具５である。この固定装置１は、洗濯槽２に内蓋２１が設けられている全自動電気洗濯機Ｗに用いるもので、固定具３には、該洗濯槽２内部に嵌め込む槽嵌込部３１、本体開口部６に嵌め込む本体嵌込部３２、そして上面に内蓋支持部３３を設けている。受具５は、固定具３で洗濯槽２を固定し内蓋２１を支持した状態で、ほぼコの字状に折り曲げてこれらの上から装着するもので、下端部に固定具３や内蓋２１の形状に合わせた切欠成形部５１を形成すると共に、上端部に形成した本体蓋支持部５２で本体蓋４を支持する。
【００１３】
洗濯槽２の固定は、図２のように固定具３を洗濯槽２及び本体開口部６に嵌め込むことによって行われる。この状態で内蓋２１を該固定具３の内蓋支持部３３で支持する。そして、図３のように受具５を装着し、本体蓋４を閉じて鎖線のように本体蓋支持部５２で支持する。
【００１４】
図４は、本発明に係る固定装置１の実施の形態の他の例を示し、固定具３に切欠部３４を設け、受具５に該切欠部３４に嵌め込む差込片５１を設けたものである。切欠部３４を設けたことにより、固定具３の本体嵌込部３２と本体開口部６との間に隙間が形成される。これに受具５の差込片５１を挿通させることで、該受具５を固定させることができ、装着が容易になるのみならず、位置決めが確実にすることができる。
【００１５】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る全自動電気洗濯機における洗濯槽の固定装置は、全自動電気洗濯機に遊動状態に設けられ内蓋を備えた洗濯槽と該洗濯槽上部に開口する本体開口部に接当させることによって該洗濯槽を固定する装置において、該洗濯槽内部の横方向に架け渡す槽嵌込部、及び本体開口部に架け渡す本体嵌込部より成り上面に内蓋支持部を備えた成型品固定具と、該内蓋の基部から該固定具の上面及び該本体開口部に沿わせるもので本体蓋を支持する段ボール製受具とによって構成したことにより、遊動状態に支持された洗濯槽による洗濯機本体の打痕などの損傷を確実に防止することができる。
【００１６】
しかも、成型品固定具と段ボール製受具の２ピース構造としたことにより、内蓋を備えた洗濯槽の固定、及び内蓋と本体蓋との干渉防止に対し、部品点数が少なく、しかも作業能率を低下させることなく簡単確実に対応できるなど実用上極めて有益な効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る洗濯槽の固定装置の実施の形態の一例を示すもので、（ａ）は固定具の斜視図、（ｂ）は受具の正面図である。
【図２】図１（ａ）に示した固定具の使用状態の実施の形態の一例を示す横方向の概略断面図である。
【図３】図１に示した固定装置の使用状態の一例を示す前後方向の概略断面図である。
【図４】本発明に係る洗濯槽の固定装置の実施の形態の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
Ｗ 全自動電気洗濯機
１ 固定装置
２ 洗濯槽
２１ 内蓋
３ 固定具
３１ 槽嵌込部
３２ 本体嵌込部
３３ 内蓋支持部
３４ 切欠部
４ 本体蓋
５ 受具
５１ 切欠成形部
５２ 本体蓋支持部
５３ 差込片
６ 本体開口部

Claims (2)

1. 全自動電気洗濯機に遊動状態に設けられ内蓋を備えた洗濯槽と該洗濯槽上部に開口する本体開口部に接当させることによって該洗濯槽を固定する装置において、該洗濯槽内部の横方向に架け渡す槽嵌込部、及び該槽嵌込部の上部に本体開口部に架け渡す本体嵌込部より成り、該本体嵌込部の上面に内蓋支持部を備えた成型品固定具と、下端部に該固定具上面及び該内蓋上面の形状に合わせた切欠形成部、上端部に本体蓋支持部を形成し、該内蓋支持部に半開き状態で支持した該内蓋の回転軸側基部上面から該固定具の上面及び該本体開口部に沿わせる帯状のもので本体蓋を支持する段ボール製受具とによって構成したことを特徴とする全自動電気洗濯機における洗濯槽の固定装置。
2. 固定具は本体開口部との間に隙間を形成する切欠部を設け、受具は該切欠部に嵌め込む差込片を突設したものである請求項１記載の全自動電気洗濯機における洗濯槽の固定装置。

Images