JP4211483B2 - 車載カメラの露光制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されたカメラの露光を制御する露光制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両に搭載されたカメラによって前方の道路画像を撮像し、撮像画像からレーンマーク(いわゆる白線等の車線区分線)の検出を行う装置が知られている。またこのようなカメラの露光制御においては、撮像した画像中のレーンマークに対応する位置の濃度値を算出し、算出した濃度値にもとづいて次回撮像する際の露光を制御していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の車載カメラの露光制御装置にあっては、自車両の前方に先行車が存在する場合、先行車のボディーによって反射された太陽光をカメラによって撮像してしまうと、次回のカメラ撮像の際に太陽光に合わせた露光制御が行われ、撮像画像からレーンマークを検出することができない可能性があるといった問題があった。また夜間において、先行車がブレーキランプを点灯した場合も上記と同様にブレーキランプの光に合わせた露光制御が行われていた。
【0004】
そこで本発明はこのような問題点に鑑み、先行車が存在する場合にも、適切にカメラの露光制御を行うことができる車両用カメラの露光制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両の走行方向の道路を撮像するカメラと、該カメラによって撮像された道路画像中の道路のレーンマークに対応する位置に、測光ウインドを設定する測光ウインド設定手段と、測光ウインド内の濃度値を算出する濃度値算出手段と、該算出された測光ウインド内の濃度値よりカメラの露光制御値を設定する露光制御値設定手段と、先行車の検出を行う先行車検出手段とを有し、測光ウインド設定手段は、先行車検出手段によって先行車が検出されている場合には、先行車と重なる測光ウインドを、道路のレーンマークに対応する位置から先行車に重ならない位置にずらして設定するものとした。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、先行車が存在する場合には、カメラによって撮像された道路画像上の先行車に重ならない位置に測光ウインドを設定するので、測光ウインド内の濃度値を算出する際に、たとえば先行車のボディーで太陽光が反射し、該反射光をカメラによって撮像している場合や、夜間において先行車がブレーキランプを点灯した場合にも、太陽光の反射光やブレーキランプの濃度値を算出してしまうことが防止され、正しくカメラの露光制御値を設定する事ができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1に本実施例におけるブロック図を示す。
自車両前方の道路を撮像するカメラ100がエッジ画像抽出部101に接続され、カメラ100によって撮像された道路画像がエッジ画像抽出部101に出力される。カメラ100は例えば50msecごとに撮像を行う。
エッジ画像抽出部101では道路画像からエッジ抽出処理演算を行い、縦方向および横方向のエッジ画像を得る。エッジ画像抽出部101において得られたエッジ画像はレーンマーク検出ウインド設定部102へ出力される。
レーンマーク検出ウインド設定部102では入力されたエッジ画像に対してレーンマーク(白線)位置を検出するためのレーンマーク検出ウインドを設定する。
【0008】
レーンマーク検出ウインドが設定されたエッジ画像はレーンマーク位置検出部103へ出力され、レーンマーク位置検出部103において、各レーンマーク検出ウインド内のエッジ画像から直線推定等でレーンマークの位置検出を行う。
車線検出部104では、レーンマーク位置検出部103において検出されたレーンマークの位置から走行車線の推定を行う。各レーンマーク検出ウインド内のレーンマーク位置から曲線推定を行うことで、走行車線全体形状の推定を行う事ができる。
【0009】
図示しない車両のハンドルに取り付けられた操舵角検出部105によってハンドルの回転角が検出され、検出結果は操舵制御部106へ出力される。
操舵角検出部105によって検出されたハンドルの回転角は、走行レーンから自車両が逸脱する可能性があるか否かの判断に用いたり、ドライバの操舵介入があるか否かを判断するために用いられる。
すなわち操舵制御部106は、車線検出部104によって推定された走行車線と、操舵角検出部105によって検出されたハンドル回転角とを用いて、推定された走行車線から得られるレーンマーク位置に沿って自車両が走行するように、自動的に車両を操舵したり、また走行車線を逸脱しそうになった際には逸脱を防止するように自動的に車両の操舵を行う。
【0010】
先行車検出部107が測光ウインド設定部108に接続される。先行車検出部107はレーダ等を自車両前方に向けて照射し、先行車によって反射した反射波から先行車の存在有無を検出し、さらに先行車との距離を測定するものである。測光ウインド設定部108は、カメラ100によって撮像された道路画像に対してレーンマークおよび路面の濃度値を算出するために測光ウインドの設定を行う。測光ウインドの設定の際に、先行車検出部107によって先行車が検出されている場合には、先行車の検出位置に応じて測光ウインドを先行車と重ならないように、先行車を避ける位置にずらして設定する。
【0011】
濃度値算出部109では、測光ウインド設定部108によって設定された測光ウインド内のレーンマークと路面との濃度値を算出する。露光制御部110では、濃度値算出部109において算出された濃度値にもとづいて、カメラ100によって次回撮像する道路画像の露光制御値を設定する。
【0012】
次に図2のフローチャートを用いて、測光ウインドの設定から露光制御値の設定までの処理の流れについて説明する。
ステップ200において、測光ウインド設定部108は先行車検出部107によって先行車が検出されているか否かを判断する。先行車が検出されていない場合にはステップ207へ進む。
【0013】
一方、先行車が検出されている場合には、測光ウインド設定部108はステップ201において、図3に示すようにカメラ100によって撮像された道路画像上に測光ウインドL1〜L6およびR1〜R6を設定する。
この測光ウインドは、道路画像上の左下から中央部上方に向かいL1〜L6、道路画像上の右下から中央部上方に向かいR1〜R6の順にレーンマーク形状に対応する位置に設定する。また先行車検出部107によって検出された先行車120と重なるおそれのある測光ウインドL4〜L6およびR4〜R6については、先行車120と重ならないように左右方向にずらして設定される。
またこの測光ウインドは、道路画像上の下から上に向かうほど小さくなるように設定される。
【0014】
ステップ202において濃度値算出部109は、ずらしていない測光ウインドL1〜L3およびR1〜R3のレーンマークの濃度値aおよび路面の濃度値bを算出する。
この各濃度値a、bの算出例について図4の(a)および(b)を用いて説明する。
図4の(a)に示す測光ウインドL2の濃度算出位置Kから水平方向に濃度値を算出していくと、図4の(b)に示すようにレーンマーク部分と対応する水平位置の濃度値が高いグラフを得ることができる。この高い濃度値aをレーンマークの濃度値として得ることができ、低い濃度値bを路面の濃度値として得ることができる。この濃度値a、bの算出をずらしていない測光ウインド全てについて行う。
【0015】
また設定したn個の測光ウインドごとにレーンマーク濃度値a(n)および路面濃度値b(n)を算出し、この濃度値群から平均値や中央値、3σ値などの統計処理を行い、測光ウインドに対するレーンマーク濃度値aおよび路面濃度値bを算出することで、レーンマークの途切れや汚れ、路面の補修模様などの影響による濃度の誤差を抑えることができる。
【0016】
ステップ203において、ずらしていない各測光ウインドL1〜L3およびR1〜R3について、レーンマークの濃度値aと路面の濃度値bとの濃度値比Nを求める。
N=a/b (1)
さらに、測光ウインドごとに算出された濃度値比Nを平均した平均濃度値N’を求める。
【0017】
ステップ204において、ずらした測光ウインドL4〜L6およびR4〜R6内の路面の濃度値bを算出する。ここで、ずらした測光ウインド内にはレーンマークは無いものとして、低い濃度値を路面の濃度値bとして算出する。
ステップ205において、ずらした測光ウインドL4〜L6およびR4〜R6内のレーンマークの濃度値Aを推定算出する。
【0018】
ここで、レーンマーク濃度値と路面濃度値との濃度値比Nは撮像された道路画像内においてほぼ同じである。よって、ステップ203において算出した平均濃度値比N’と、ずらした測光ウインドの路面濃度値bとを用いて、レーンマークの濃度値Aを次式によって推定することができる。
A=b×N’ (2)
このように式(2)を用いることにより、ずらした測光ウインド内のレーンマーク濃度値Aを推定することができる。
【0019】
ステップ206において、各測光ウインドごとに算出または推定したレーンマークまたは路面の濃度値分布状態から、次回撮像する道路画像の露光制御値を設定する。
本実施例においては、道路画像の濃度値の分布範囲が1つの露光制御値で撮像したときにカバーできる範囲であるときには、1つの露光制御値を設定して、この露光制御値を用いて一回の撮像を行う。
また1つの露光制御値を用いて撮像した場合にカバーすることができない濃度値の分布であるとき、たとえばトンネルに侵入する際にカメラによって撮像された画像の中で明るさが大きく違う場合には、明るい側が撮像できる露光制御値と暗い側が撮像できる露光制御値とを設定し、それぞれの露光制御値を用いて2回の撮像を行い、2枚の撮像画像を重ね合わせて使用する。
【0020】
一方ステップ207においては、図5に示すように測光ウインドL1’〜L6’およびR1’〜R6’を、道路画像上のレーンマークに対応する位置に設定する。
ステップ208において、各測光ウインドL1’〜L6’およびR1’〜R6’のレーンマーク濃度値aおよび路面の濃度値bを算出する。その後、ステップ206へ進む。
【0021】
なお本実施例において、ステップ201およびステップ207が本発明における測光ウインド設定手段を構成し、ステップ202およびステップ208が本発明における濃度値算出手段を構成する。またステップ206が本発明における露光制御値設定手段を構成し、先行車検出部107が本発明における先行車検出手段を構成する。さらにステップ204およびステップ205が本発明における濃度値推定手段を構成する。
【0022】
本実施例は以上のように構成され、先行車が存在する場合には、ステップ201において道路画像上の先行車に重ならない位置に測光ウインドを設定するので、測光ウインド内の濃度値を算出する際に、たとえば先行車のボディーで太陽光が反射し、該反射光をカメラによって撮像している場合や、夜間において先行車がブレーキランプを点灯した場合にも、太陽光の反射光やブレーキランプの濃度値を算出してしまうことが防止される。
【0023】
また、ずらして設定した測光ウインド内のレーンマークの濃度値Aを、ずらした測光ウインド内の路面濃度値bと、ずらしていない測光ウインド内のレーンマーク濃度値aおよび路面濃度値bの濃度値比Nの平均濃度値比N’とを用いて推定する。
これにより、先行車によって遠方のレーンマークが隠されていても、そのレーンマークの濃度値を推定する事ができるので、先行車が存在し、かつトンネルの出入口付近で明るさが大きく変化する場所においても、レーンマークや路面の濃度値を算出および推定する事ができ、この濃度値を用いてカメラの露光制御を行うことによって安定してレーンマークを検出する事ができる。
【0024】
なお本実施例において、図3および図5に示されるように測光ウインドを左右6ヶ所ずつ設定しているが、これに限定されず最低2ヶ所ずつ以上設定すればよい。また測光ウインドの大きさは画像上の下から上に向かうほど小さくなっているが、同じ大きさを設定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例を示す図である。
【図2】露光制御値算出の流れを示すフローチャートである。
【図3】先行車がいる場合の測光ウインドの設定位置を示す図である。
【図4】測光ウインド内の濃度値算出を示す図である。
【図5】先行車がいない場合の測光ウインドの設定位置を示す図である。
【符号の説明】
100 カメラ
101 エッジ抽出部
102 レーンマーク検出ウインド
103 レーンマーク位置検出部
104 車線検出部
105 操舵角検出部
106 操舵制御部
107 先行車検出部
108 測光ウインド設定部
109 濃度値算出部
110 露光制御部

Claims (3)

  1. 車両の走行方向の道路を撮像するカメラと、
    該カメラによって撮像された道路画像中の道路のレーンマークに対応する位置に、測光ウインドを設定する測光ウインド設定手段と、
    前記測光ウインド内の濃度値を算出する濃度値算出手段と、
    該算出された測光ウインド内の濃度値より前記カメラの露光制御値を設定する露光制御値設定手段と、
    先行車の検出を行う先行車検出手段とを有し、
    前記測光ウインド設定手段は、前記先行車検出手段によって先行車が検出されている場合には、該先行車と重なる前記測光ウインドを、前記道路のレーンマークに対応する位置から前記先行車に重ならない位置にずらして設定することを特徴とする車載カメラの露光制御装置。
  2. 前記測光ウインド設定手段によってずらして設定された測光ウインド内の濃度値を推定する濃度値推定手段を有し、
    該濃度値推定手段は、前記ずらして設定された測光ウインドから前記道路のレーンマークの濃度値を推定し、
    前記露光制御値設定手段は、前記濃度値算出手段によって算出された濃度値と、前記濃度値推定手段によって推定された濃度値とより、前記カメラの露光制御値を設定することを特徴とする請求項1記載の車載カメラの露光制御装置。
  3. 前記濃度値算出手段は、ずらしていない測光ウインド内のレーンマーク部分と路面部分の濃度値を算出し、
    前記濃度値推定手段は、前記ずらした測光ウインド内の路面部分の濃度値を算出し、該算出した路面部分の濃度値と、前記濃度値算出手段によって算出されたずらしていない測光ウインド内のレーンマーク部分と路面部分の濃度値の比とを用い、前記ずらした測光ウインド内のレーンマーク部分の濃度値を推定することを特徴とする請求項2記載の車載カメラの露光制御装置。
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