JP4211458B2 - 自走式リフティングマグネット作業機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アームの先端に取り付けたリフティングマグネットにより鉄などの金属スクラップの選別、積み込みなどの作業を行う自走式リフティングマグネット作業機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の自走式リフティングマグネット作業機械は、例えば特許文献1に開示されるように、エンジン駆動式の油圧ポンプと、この油圧ポンプの吐出油によって駆動される油圧モータと、この油圧モータにより駆動される発電機と、アームの先端に取り付けられ発電機を電源とするリフティングマグネットとを備え、上記発電機からリフティングマグネットへの通電を制御してリフティングマグネットによる金属スクラップの吸着及び釈放を行うようになっている。
【0003】
そして、上記リフティングマグネットへの通電の制御は、例えば特許文献2に開示されるように、発電機とリフティングマグネットとの間に接続された電圧制御回路などからなる制御部(制御盤又は制御装置ともいう)によって行われる。その制御内容は、通常、図6に示すように、作業者が吸着スイッチを操作して吸着を行うときには吸着の初期励磁のために順方向に定格電圧以上の電圧(過励磁電圧)を印加し、所定時間(過励磁時間)経過後に順方向に定格電圧(励磁電圧)を印加するものである。また、作業者がリフティングマグネットに吸着した金属スクラップを釈放するために釈放スイッチを操作したときには、電流を遮断しただけでは磁力が残留することから、遮断後所定時間(釈放待ち時間)経過した後に逆方向の電圧を所定時間(釈放時間)印加して消磁を行っている。尚、釈放時の逆方向の出力電流は釈放電流と呼ばれる。また、吸着スイッチと釈放スイッチは、別々に設けられる場合と、一つのスイッチで兼用される場合とがある。
【0004】
【特許文献1】
実開昭57−99882号公報(全頁、全図)
【特許文献2】
特開2002−359112号公報(第2−5頁、図1−図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自走式リフティングマグネット作業機械を製造するメーカーでは、品揃えなどのために種々の大きさのリフティングマグネットを用意しているが、リフティングマグネットの大きさが変わると当然必要とする吸着力も異なることから、アームの先端に取り付けるリフティングマグネットの大きさ毎に、それぞれ容量の異なる油圧モータ、発電機及び制御部を用意し組み付けに使用している。このため、部品管理や組付け作業などが面倒なものになり、製造コストも高くなるという問題があった。
【0006】
また一方、自走式リフティングマグネット作業機械を使用するユーザーでは、吸着物の種類や大きさなどに応じて、アームの先端に取り付けるリフティングマグネットの大きさを変更して使用することがある。しかし、リフティングマグネットへの通電を制御する制御部では、過励磁時間や釈放待ち時間などのパラメータが一定に設定されているため、規定外の大きさのリフティングマグネットをアーム先端に取り付けて使用する場合には通電制御が適切に行われていないのが実情である。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、アームの先端に取り付けるリフティングマグネットの大きさを変更しても油圧モータ、発電機及び制御部を共通して使用可能にするとともに、制御部による通電制御の過励磁時間や釈放待ち時間などのパラメータを調整可能にすることにより、メーカー側での部品管理や組付け作業などの容易化及び製造コストの低廉化を図り、またユーザーが規定外の大きさのリフティングマグネットをアーム先端に取り付けて使用する場合にも適切な通電制御を確保し得る自走式リフティングマグネット作業機械を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、自走式リフティングマグネット作業機械として、油圧モータと、この油圧モータにより駆動される発電機と、アームの先端に取り付けられたリフティングマグネットと、上記発電機からリフティングマグネットへの通電を制御する制御部とを備えることを前提とする。そして、上記油圧モータ、発電機及び制御部に、それぞれアームの先端に取付可能な最大のリフティングマグネットに対応したものを用いるとともに、上記制御部による通電制御の複数のパラメータをリフティングマグネットの大きさに応じて変更するための調整手段を備える構成とする。
【0009】
この構成では、油圧モータ、発電機及び制御部はそれぞれ、アームの先端に実際に取り付けるリフティングマグネットの大きさに拘わらず、アームの先端に取付可能な最大のリフティングマグネットに対応したものが共用されているため、従来の如くメーカー側でリフティングマグネットの大きさに応じて容量の異なる油圧モータ、発電機及び制御部を用意する必要はなく、その分部品管理や組付け作業などが容易になり、また製造コストも安価になる。しかも、アームの先端に実際に取り付けるリフティングマグネットの大きさに応じて、制御部による通電制御の過励磁時間や釈放待ち時間などの複数のパラメータを調整手段によって調整することができるので、リフティングマグネットの大きさに拘わらず、適切な通電制御を確保することができる。
【0010】
請求項1に係る発明は、上述した構成に加えて、上記調整手段を、リフティングマグネットの大きさを選択するためのセレクトスイッチを有し、このセレクトスイッチで選択操作をするとリフティングマグネットの大きさに応じた各パラメータの初期値を自動設定するように設ける構成とする。この構成では、アームの先端に取り付けるリフティングマグネットの大きさを選択するための操作をセレクトスイッチでもって行うだけでリフティングマグネットの大きさに応じた各パラメータの初期値が自動設定されるため、設定に要する時間を短縮することができるとともに、設定間違いを防止することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の自走式リフティングマグネット作業機械において、上記調整手段を、少なくとも過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流及び釈放時間をそれぞれ個別に変更設定するように設ける構成とする。この構成では、制御部による通電制御のパラメータである過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流及び釈放時間を調整手段によってそれぞれ個別に変更設定することができるので、アームの先端に取付可能な全ての種類のリフティングマグネットに対応し、また吸着物の種類や大きさなどに応じて適切な通電制御を確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る自走式リフティングマグネット作業機械の外観を示し、1はクローラを有してなる下部走行体、2はこの下部走行体1上に旋回自在に設けられた上部旋回体であって、この上部旋回体2の後部にはエンジン20(図2参照)などが搭載されているとともに、上部旋回体2の前部にはキャビン3が傾斜面4に沿って上下移動可能に設けられている。
【0013】
また、上記上部旋回体2にはブーム5の基端が支軸6を介して連結されているとともに、このブーム5の先端にはアーム7の基端が支軸8を介して連結され、このアーム7の先端には支軸9などを介してリフティングマグネット10が取り付けられている。ブーム5は油圧シリンダ11により支軸6回りに上下揺動するようになっており、アーム7及びリフティングマグネット10は、それぞれ油圧シリンダ12,13により支軸8,9回りに回動するようになっている。そして、リフティングマグネット10により鉄などの金属スクラップを吸着し、選別や積み込みなどの作業を行うようになっている。また、リフティングマグネット10は、大きさ及び吸着力の異なる複数種類のもの、例えば直径1100mm、1300mm、1500mmのものがアーム7の先端に選択的に取り付けられるようになっている。
【0014】
図2は上記自走式リフティングマグネット作業機械の油圧・電気系の概略構成を示し、20は上部旋回体2に搭載されたエンジンであって、このエンジン20は複数(図では3つ)の油圧ポンプ21,22,23を駆動するようになっている。そのうちの1つの油圧ポンプ23は、その吐出油により発電機24用の油圧モータ25を駆動するようになっており、他の油圧ポンプ21,22の吐出油は、作業機械の他のアクチュエータ、つまりブーム5やアーム7などの駆動用の油圧シリンダ11〜13及び油圧モータの回路に供給されるようになっている。
【0015】
上記発電機24は、油圧モータ25により駆動されて発電作用を行うもので、リフティングマグネット10に対しその電源として電力を供給するようになっている。この発電機24とリフティングマグネット10との間には発電機24からリフティングマグネット10への通電を制御する制御部としての制御盤30が電気的に接続されており、この制御盤30は、リフティングマグネット10への出力電圧を可変制御する電圧制御回路31と、この電圧制御回路31に対し制御指令を出力して制御する制御指令回路32とを備えている。
【0016】
上記電圧制御回路31は、図3に示すように、定電圧回路33と、極性切替回路34とからなる。定電圧回路33は、更に全波整流回路36と、電圧制御用スイッチ回路37と、平滑化回路38と、電圧センサ39とからなる。全波整流回路36は、発電機24の三相出力を、各々ダイオードなどの2つの整流素子36a,36b、36c,36d又は36e,36fを直列してなる3つの全波整流器の整流素子間にそれぞれ接続し、各全波整流器の極性を一致させて並列接続したものである。電圧制御用スイッチ回路37は、全波整流回路36の両極間を短絡又は開放するもので、トランジスタなどからなる半導体スイッチング素子37aで構成されている。これにより、発電機24のリーケージインダクタンスを利用した昇圧チョッパが可能となっている。電圧制御用スイッチ回路37の短絡又は開放の時間比を変化させることにより、平滑化回路38に現れる電圧を変化させることができる。平滑化回路38は、逆流を防止するダイオード38aとスイッチングによる電圧変化を吸収するコンデンサ38bとからなり、全波整流回路36の正極にはダイオード38aを順方向に介してコンデンサ38bの一端を接続し、全波整流回路36の負極にはコンデンサ38bの他端を接続したものである。電圧センサ39は、平滑化回路38の電圧を検出するように、コンデンサ38bと並列に設けられている。
【0017】
上記極性切替回路34は、平滑化回路38の正負の極と2つの負荷用端子41,42とをたすき掛け状に接続するもので、平滑化回路38の正極と負荷用端子41との間及び平滑化回路38の負極と負荷用端子42との間を短絡又は開放する2つの順方向スイッチ回路34a,34bと、平滑化回路38の正極と負荷用端子42との間及び平滑化回路38の負極と負荷用端子41との間を短絡又は開放する2つの逆方向スイッチ回路34c,34dとからなる。2つの負荷用端子41,42間には、バイパス用スイッチ回路43と電力消費用の抵抗器44とが直列に挿入されている。平滑化回路38の正負いずれかの極(図では負極)には、平滑化回路38からの入出力電流つまり発電機24の電流を検出する検出手段としての電流センサ45が設けられている。各スイッチ回路34a〜34d,43は、いずれもトランジスタなどからなる半導体スイッチング素子で構成されている。そして、極性切替回路34の順方向スイッチ回路34a,34bと逆方向スイッチ回路34c,34dとの間で短絡・開放を切り替えることにより、リフティングマグネット10の電磁コイル46に印加する電圧の電極が反転する。尚、バイパス用スイッチ回路43は、リフティングマグネット10によるスクラップの釈放開始時に電磁コイル46で発生する電力の逆流により電磁コイル46の両端間の電圧が所定電圧以上になったとき閉じ、それにより、電磁コイル46の両端間を抵抗器44で短絡して電力を消費するためのものである。
【0018】
一方、上記制御指令回路32は、CPUやメモリなどを内蔵するマイクロコンピュータで構成されており、この制御指令回路32には、上記電圧制御回路31の電圧センサ39及び電流センサ45からの信号が入力されるだけでなく、吸着・釈放スイッチ51及び設定器52などの信号も入力される。そして、制御指令回路32は、電圧センサ39が検出する平滑化回路38の出力電圧と目標電圧との比較に応じて電圧制御用スイッチ回路37のスイッチング素子37aの短絡又は開放の時間比を制御し、これにより、発電機24のリーケージインダクタンスを利用した昇圧チョッパを構成して定電圧制御を達成する。また、制御指令回路32は、吸着・釈放スイッチ51の信号に基づいて、上記定電圧制御に加えて、極性切替回路34の各スイッチ回路34a〜34dの短絡又は開放を制御し、これにより、吸着又は釈放の制御を達成する。この制御は、具体的には図6に示すように、作業者が吸着のために吸着・釈放スイッチ51を操作したときにはそのオン信号の立ち上がり時点から吸着の初期励磁のために順方向に定格電圧以上の電圧(過励磁電圧)を印加し、所定時間(過励磁時間)経過後に順方向に定格電圧(励磁電圧)を印加する。また、作業者が吸着中に釈放のために吸着・釈放スイッチ51を操作したときにはそのオン信号の立ち上がり時点から電流を遮断すべく電圧出力を零にするが、電流を遮断しただけでは磁力が残留することから、遮断後所定時間(釈放待ち時間)経過した後に逆方向の電圧を所定時間(釈放時間)印加して消磁を行う。
【0019】
そして、本発明の特徴点として、上記油圧モータ25、発電機24及び制御盤30は、それぞれアーム7の先端に取付可能な最大のリフティングマグネット(例えば直径1100mm、1300mm、1500mmの3種類のリフティングマグネットが取付可能な場合に直径1500mmのリフティングマグネット)10に対応した容量又は能力のものに設定されている。また、上記設定器52は、アーム7の先端に実際に取り付けるリフティングマグネット10の大きさに対応して、上記制御盤30の制御指令回路31による吸着又は釈放の制御の複数のパラメータである過励時間、釈放待ち時間、釈放電流及び釈放時間を調整する調整手段を構成するもので、制御盤30内に設けられている。この設定器52は、図4に示すように、3桁のデジタル表示器53と、4つの操作ボタンつまり戻るボタン54a、プラスボタン54b、マイナスボタン54c及び設定ボタン54dとを有している。
【0020】
次に、上記設定器52を用いて制御パラメータを設定する方法を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。尚、この設定方法は、設定器52内蔵のマイクロコンピュータ又は制御指令回路32において設定器52を操作する作業者との対話形式で実行される。また、本実施形態の場合、釈放時間は、キャビン3内の作業者が作業中に微調整できるようにするための10段階に操作可能な操作ダイヤル(図示せず)の数値と釈放時間刻みとの積に基準釈放時間を加えて算出されるようになっている。
【0021】
先ず、設定器52の設定ボタン54dを押すと設定モードに入り、調整を開始する。この際、設定器52のデジタル表示器53には「F00」が表示され、プラスボタン54bを押す毎にその表示が順に「F01」、「F02」、「F03」、「F04」、「F05」に変化し、マイナスボタン54cを押す毎に表示が逆の順で変化する。ここで、「F00」はリフティングマグネット10の種類を変更することを意味し、「F01」は過励磁時間の変更を、「F02」は釈放待ち時間の変更を、「F03」は釈放電流の変更を、「F04」は基準釈放時間の変更を、「F05」は釈放時間刻みの変更をそれぞれ意味する。
【0022】
そして、デジタル表示器53に「F00」が表示された状態で設定ボタン54dを押すとマグネット種類の設定に移行する(ステップS4)。このマグネット種類の設定では、デジタル表示器53に最初「G00」が表示され、プラスボタン54bを押す毎にその表示が順に「G01」、「G02」、…に変化し、マイナスボタン54cを押す毎に表示が逆の順で変化する。ここで、「G00」〜「G02」は、いずれもリフティングマグネット10の種類毎に定められたものであり、例えば「G00」が直径1100mmのリフティングマグネットを、「G01」が直径1300mmのリフティングマグネットを、「G02」が直径1500mmのリフティングマグネットをそれぞれ選定することを意味する。デジタル表示器53に特定のマグネット種類を選定した後設定ボタン54dを押すとマグネット種類の選定が確定し、マグネット種類の設定が終了する。この後、設定したマグネット種類に応じて、過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流、基準釈放時間及び釈放時間刻みが初期値として一括して設定される(ステップS5)。この各パラメータの初期値は、いずれもマグネット種類に応じた最適値であって、予め記憶されている。
【0023】
一方、デジタル表示器53に「F01」〜「F05」のいずれかが表示された状態で設定ボタン54dを押すと個別のバラメータの設定に移行する(ステップS6)。この個別パラメータの設定では、過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流、基準釈放時間及び釈放時間刻みがそれぞれ所定の範囲内で10段階に変更設定可能に設けられていて、プラスボタン54b又はマイナスボタン54cの押し操作により所定の数値を選定した後設定ボタン54dを押して確定するようになっている。
【0024】
上記個別パラメータの一括設定又は個別パラメータの設定を行った後、戻るボタン54aを押すと調整を終了する。
【0025】
従って、上記実施形態においては、油圧モータ25、発電機24及び制御盤30はそれぞれ、アーム7の先端に実際に取り付けるリフティングマグネット10の大きさに拘わらず、アーム7の先端に取付可能な最大のリフティングマグネットに対応した容量のものが共通して用いられるため、従来の如くメーカー側でリフティングマグネット10の大きさに応じて容量の異なる油圧モータ25、発電機24及び制御盤30を用意する必要はなく、その分部品管理や組付け作業などが容易になり、また製造コストも安価になる。
【0026】
しかも、アーム7の先端に実際に取り付けるリフティングマグネット10の大きさに応じて、制御盤30によるリフティングマグネット10への通電制御の過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流及び釈放時間を設定器52によって調整することができるので、リフティングマグネット10の大きさに拘わらず常に適切な通電制御を確保することができる。このことは、部品の共通化を意図するメーカー側にとって有利であるだけでなく、ユーザー側において吸着物の種類や大きさなどに応じて、アーム7の先端に取り付けるリフティングマグネットの大きさを変更して使用する場合にも有効なものであり、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0027】
さらに、上記設定器52は、セレクトスイッチとしての操作ボタン54a〜54dの操作により過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流及び釈放時間を、それぞれ個別に変更設定することができるとともに、アーム7の先端に取り付けるリフティングマグネット10の大きさに応じた初期値に一括して設定することができるので、アーム7の先端に取付可能な全ての種類のリフティングマグネットに対応し、また吸着物の種類や大きさなどに応じて適切な通電制御を確保することができる上、設定に要する時間を短縮することができるとともに、設定間違いを防止することができる。
【0028】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。例えば上記実施形態では、制御盤30によるリフティングマグネット10への通電制御の複数のパラメータを調整するための調整手段としての設定器52を、1つのデジタル表示器53とセレクトスイッチとしての4つの操作ボタン54a〜54dとによって構成としたが、本発明は、これに限らず、テンキーなどを用いて構成してもよい。また、デジタル表示器53での表示態様は、上記実施形態のものに限らないのは言うまでもない。
【0029】
さらに、上記実施形態では、発電機24からリフティングマグネット10への通電を制御する制御部としての制御盤30において、電圧制御回路31と制御指令回路32とを備える構成としたが、本発明は、この両回路31,32を1つの半導体集積回路で構成するようにしてもよい。また、電圧制御回路31としては、上記実施形態の如き定電圧回路33と極性切替回路34とで構成するだけでなく、正逆2つのサイリスタ整流器を用いて構成してもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明の自走式リフティングマグネット作業機械によれば、油圧モータ、発電機及び制御部がそれぞれアームの先端に取付可能な最大のリフティングマグネットに対応して共通に用いられるため、従来の如くメーカー側でリフティングマグネットの大きさに応じて容量の異なる油圧モータ、発電機及び制御部を用意する必要はなく、部品管理や組付け作業などの容易化及び製造コストの低廉化を図ることができる。しかも、アームの先端に実際に取り付けるリフティングマグネットの大きさに応じて、制御部による通電制御の過励磁時間や釈放待ち時間などのパラメータを適宜調整することができるので、リフティングマグネットの大きさに拘わらず適切な通電制御を確保することができ、ユーザーの利便性を高めることができる。また、アームの先端に取り付けるリフティングマグネットの大きさを選択するための操作をセレクトスイッチでもって行うだけでリフティングマグネットの大きさに応じた各パラメータの初期値が自動設定されるため、設定に要する時間を短縮することができるとともに、設定間違いを防止することができ、利便性をより高めることができるという効果をも奏する。
【0031】
特に、請求項2に係る発明では、通電制御のパラメータである過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流及び釈放時間をそれぞれ個別に変更設定することができるので、アームの先端に取付可能な全ての種類のリフティングマグネットに対応し、また吸着物の種類や大きさなどに応じて適切な通電制御を確保することができるものである。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る自走式リフティングマグネット作業機械の外観を示す側面図である。
【図2】 上記作業機械の油圧・電気系の概略構成を示すブロック構成図である。
【図3】 図2の電圧制御回路付近の構成を示す電気回路図である。
【図4】 設定器の正面図である。
【図5】 上記設定器を用いて制御パラメータを設定する方法を説明するためのフローチャート図である。
【図6】 吸着及び釈放の制御時における吸着・釈放スイッチ、電圧出力及び電流出力の各波形を示す波形図である。
【符号の説明】
7 アーム
10 リフティングマグネット
24 発電機
25 油圧モータ
30 制御盤(制御部)
52 設定器(調整手段)
54a,54b,54c,54d 操作ボタン(セレクトスイッチ)
Claims (2)
- 油圧モータと、この油圧モータにより駆動される発電機と、アームの先端に取り付けられたリフティングマグネットと、上記発電機からリフティングマグネットへの通電を制御する制御部とを備えた自走式リフティングマグネット作業機械において、
上記油圧モータ、発電機及び制御部は、それぞれアームの先端に取付可能な最大のリフティングマグネットに対応したものが用いられており、上記制御部による通電制御の複数のパラメータをリフティングマグネットの大きさに応じて変更するための調整手段を備え、
上記調整手段は、リフティングマグネットの大きさを選択するためのセレクトスイッチを有し、このセレクトスイッチで選択操作をすると選択されたリフティングマグネットの大きさに応じた各パラメータの初期値を自動設定するように設けられていることを特徴とする自走式リフティングマグネット作業機械。 - 上記調整手段は、少なくとも過励磁時間、釈放待ち時間、釈放電流及び釈放時間をそれぞれ個別に変更設定するように設けられている請求項1記載の自走式リフティングマグネット作業機械。
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