JP4211076B2 - ドライアイス裁断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライアイス裁断器に関するものであり、詳しくは、薄板状のドライアイスを簡単に且つ整った形状に裁断できるドライアイス裁断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
洋菓子などを販売する店舗においては、持ち帰り用の食品と共にドライアイスの小片を冷却材として提供している。ドライアイスの小片は、通常、各店頭において、薄板状で供給されたドライアイスを木槌などにより叩いて小割りにしたものでる。一方、店舗などにおいて上記の様なドライアイスの小片を成形する機器としては、電熱板または電熱線などの発熱体を利用し、部分的に昇華速度を高めて切断する装置や、小型の丸鋸によって裁断する装置などが提案されているが、切断速度、装置の大きさ、安全性などに難点があり、何れの装置も実用化されていないのが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、固形のドライアイスは、液化炭酸ガスを断熱膨張させて得られた粉体のドライアイスを圧縮成形したものであり、硬度が高い反面、比較的脆く、衝撃などにより簡単に崩壊する性質を備えている。従って、上記の様に叩いて分割した場合には、整った形状に成形し難く、かつ、崩壊によるロスが極めて大きいと言う問題がある。
【0004】
本発明は、薄板状のドライアイスを即座に且つ崩壊させることなく分割することを主眼に種々検討の結果なされたものであり、その目的は、薄板状のドライアイスを簡単に且つ整った形状に一括して裁断できる小型のドライアイス裁断器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のドライアイス裁断器は、薄板状のドライアイスが載せられる平板状の受け台と、当該受け台の上方に昇降可能に設けられた刃物部材とから構成され、前記刃物部材は、縦横に組み合わせた複数の帯状のナイフを平板部の下面に突設して成り、前記ナイフの縦横の各配列は、前記刃物部材の中央から周縁側に向かうに従いナイフの高さが低くなる配列になされ、前記ナイフの刃先形状は、縦横の各配列の略中央に位置するナイフを両刃とされ、それ以外のナイフを片刃とされ、しかも、片刃のナイフの刃面は、前記刃物部材の周縁側に向けられており、前記平板部には、前記各ナイフによって4周囲を形成された空間部に通じる小孔が設けられていることを特徴とする。
【0006】
上記の裁断器において、受け台にドライアイスを載せ、刃物部材を押し付けると、縦横の各配列が上記の特定の配列になされた複数のナイフは、刃物部材に与えられた力を分散させることなく、各ナイフの個別に集中する押圧力によってドライアイスを破断する。しかも、縦横の各配列に対して刃先形状が特定の形状になされた各ナイフは、ドライアイスを破断した際、ドライアイスの分割片を外側へ適当に移動させるため、これらの間に噛み込んでクラッシュさせることがなく、分割片の形状を保持できる。そして、平板部の小孔は、切断されたドライアイス片によって閉塞される各ナイフの間の空間部の空気を放出し、切断時の抵抗を低減する。
【0007】
また、上記の構成の裁断器においては、一層少ない力で且つ破損させることなくドライアイスを破断するため、縦横の各配列において、互いに隣接するナイフの高さの差が2〜7mmに設定されているのが好ましい。
【0008】
また、上記の各構成においては、方形になされたドライアイスの平面形状に対し、短手方向に平行な中央のナイフの高さが最も高く設定されていると、ドライアイスの長手方向を先に分割できるため、ドライアイスの破損を一層防止できる。しかも、上記の各構成においては、一層少ない力で効率的に破断するため、刃物部材が3つの高さのナイフによって構成されているのが好ましい。
【0009】
更に、上記の各構成においては、刃物部材がドライアイスに接触した瞬間のドライアイスのずれを抑制するため、受け台の表面には、ドライアイスの底面に食い込む突起が設けられているのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るドライアイス裁断器の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、ドライアイス裁断器の全体構造を示す斜視図である。図2は、刃物部材のナイフの形状および配列を下面側から示す斜視図であり、図3は、図2におけるIII −III 線に沿った側面図、図4は、図2におけるIV−IV線に沿った側面図である。図5は、刃物部材の平板部に設けられた小孔を示す斜視図である。
【0012】
本発明のドライアイス裁断器(以下、「裁断器」と略記する。)は、図1に示す様に、薄板状のドライアイスが載せられる平板状の受け台(10)と、受け台(10)の上方に昇降可能に設けられた刃物部材(2)とから主として構成され、刃物部材(2)を昇降させることにより受け台(10)上のドライアイスを裁断する器具である。図中、被裁断物としてのドライアイスを鎖線で示す。
【0013】
薄板状のドライアイスとしては、通常、一辺の寸法が5〜30cm程度、厚さが10〜50mm程度に成形された方形の平面形状を有するドライアイスが適している。薄板状のドライアイスは、ドライアイス製造装置(プレス装置)によってブロック状に製造されたドライアイスを切断成形したり、或いは、小形のドライアイス製造装置によって直接圧縮成形して得られる。
【0014】
図1に示す裁断器の本体(1)は、盤状の受け台(10)と、受け台(10)の縁部から立設された支柱(11)と、支柱(11)の上部に設けられた箱状のヘッド(12)とを備えている。受け台(10)は、ドライアイスの保持台として且つ本体(1)の台座として機能する。
【0015】
刃物部材(2)は、ヘッド(12)に対して垂直方向に且つ摺動自在に挿通されたスクリューバー(ラック)(3)の下端に吊持される。ヘッド(11)の内部には、歯車(ピニオン)(4)の回動軸(41)が水平に枢着されており、スクリューバー(3)は、歯車(4)に螺合した状態で保持される。また、回動軸(41)の一端には、回動範囲を規制されたレバー(5)が取り付けられる。すなわち、刃物部材(2)は、レバー(5)の操作により、歯車(4)の回動で上下動するスクリューバー(3)に伴って受け台(10)の上方で昇降する。
【0016】
刃物部材(2)は、図1及び図2に示す様に、上記スクリューバー(3)が中心に取り付けられた平板部(20)と、スクリューバー(3)と反対側の平板部(20)の一面(下面)に設けられ且つ縦横に組み合わされた複数の帯状のナイフ(21,22)とを備えている。各ナイフ(21,22)は、各種の炭素鋼や合金鋼から成る一般的な刃物である。ナイフ(21,22)の厚さは、その材質と耐久性などを考慮して決定されるが、通常は1〜5mm程度とされる。また、ナイフ(21,22)の高さ(上下方向の幅)は、20〜50mm程度とされる。
【0017】
本発明の裁断器においては、ドライアイスを崩壊させることなく裁断するため、ナイフ(21,22)の縦横の各配列は、刃物部材(2)の中央から周縁側に向かうに従いナイフ(21,22)の高さが漸次低くなる配列になされる。図2中、ナイフ(21)は縦方向に配置された縦刃であり、ナイフ(22)は横方向に配置された横刃である。
【0018】
最も高い高さのナイフ(21a)と最も低い高さの(21c)、(22c)との高低差は、刃物部材(2)の昇降距離を不要に大きくすることなく且つ確実にドライアイスを裁断するため、通常は3〜20mm程度に設定される。好ましくは、上記の高低差は、刃物部材(2)の下降端において、ナイフ(21a)の刃先が受け台(10)の表面から10mm程度上方に位置し、ナイフ(21c)及び(22c)の刃先がドライアイスの表面から3mm程度入る様に設定される。
【0019】
そして、縦横のナイフ(21,22)の各配列においては、少ない力で各ナイフ(21,22)を確実に機能させるため、互いに隣接するナイフ、すなわち、ナイフ(21a)と(21b)、(21b)と(21c)及び(22b)と(22c)の各高さの差が2〜7mmに設定される。
【0020】
また、図1に例示した様な平面形状が長方形のドライアイスに適用する場合、刃物部材(2)のナイフ(21,22)は、裁断時の崩壊を防止するため、ドライアイスの平面形状に対し、短手方向に平行な縦刃としてのナイフ(21)の中の中央のナイフ(21a)の高さが最も高く設定されるのが好ましい。
【0021】
具体的には、図2及び図4に示す様に、縦刃を構成するナイフ(21)は、例えば、ドライアイスの一辺を6分割する様に5枚配置される。そして、中央のナイフ(21a)の高さを最も高く設定され、左右の各2枚のナイフ(21b)、(21c)の高さを順次に低く設定される。また、図2及び図3に示す様に、横刃を構成するナイフ(22)は、例えば、ドライアイスの一辺を4分割する様に3枚配置される。そして、中央の1枚のナイフ(22a)の高さを最も高く設定され、前後の2枚のナイフ(22b)の高さを低く設定される。
【0022】
すなわち、刃物部材(2)のナイフ(21,22)の配列は、縦横それぞれに、平板部(20)の中心に対して対称で且つ中心側が高くなされた配列とされる。しかも、刃物部材(2)は、各ナイフ(21,22)の組とも、符号(a)、(b)及び(c)にて示す3つの高さのナイフによって構成される。
【0023】
更に、本発明の裁断器において、ナイフ(21,22)の刃先形状は、図2〜図4に示す様に、縦横の各配列の中央に位置するナイフ(21a)及び(22b)を両刃とされ、それ以外のナイフを片刃とされる。しかも、片刃のナイフ(21b)、(21c)及び(22c)の傾斜した刃面は、刃物部材(2)の周縁側に向けられる。斯かるナイフ(21,22)の刃先の構造は、ドライアイスを裁断した際、分割片を外側に逃がす機能を発揮する。
【0024】
また、本発明の裁断器においては、ナイフ(21,22)による分割機能を一層高めるため、図1に示す様に、受け台(10)の表面は、適度な滑り性を有する摺動面として構成されているのが好ましい。具体的には、受け台(10)全体または受け台(10)の表面がステンレスで作製されたり、腐食を防止し且つ平滑性を高めるための塗装が受け台(10)の表面に施されたり、或いは、滑り性を高めるための超高密度ポリエチレン等の樹脂の摺動材が受け台(10)の表面に敷設される。
【0025】
特に、適度な滑り性と言う観点から、受け台(10)の表面は、金属板によって構成されているのが好ましい。図1は、受け台(10)の表面に、ステンレス板(10s)を貼設した例を示している。更に、受け台(10)表面が金属板によって構成されている場合には、表面の氷結を防止するため、受け台(10)にヒーター(図示省略)が付設されていてもよい。
【0026】
更に、本発明の好ましい態様において、裁断する際にドライアイスを確実に位置決めするため、図示しないが、受け台(10)の表面には、ドライアイスの底面に食い込む突起が設けられる。突起は、0.5〜1mm程度の高さで錐状に形成され、通常、受け台(10)のドライアイス支持位置に4個所設けられる。突起の位置は、ナイフ(21,22)の各配列の略中央のナイフ(21a)、(22b)に相当する位置とされる。
【0027】
また、本発明の裁断器において、刃物部材(2)は、上記の様に、平板部(20)の下面に複数の帯状のナイフ(21,22)を突設して成り、かつ、平板部(20)には、図5に示す様に、一層円滑な裁断操作を可能にするため、各ナイフ(21,22)によって4周囲を形成された空間部に通じる小孔(6)が設けられる。小孔(6)は、各ナイフ(21,22)とドライアイスによって閉塞される空間部に対してだけ設けられればよく、通常、小孔(6)の口径は、氷結して閉塞しない程度の口径、具体的には約2〜7mmとされる。
【0028】
本発明の裁断器による裁断は、図1に示す様に、受け台(10)上に薄板状のドライアイス(鎖線で示す)を載せ、レバー(5)を下方に押し下げることによりドライアイスに刃物部材(2)を押し付ける。受け台(10)上のドライアイスに刃物部材(2)を押し付けると、縦横の各配列が上記の特定の配列になされた複数のナイフ(21,22)は、中央のナイフ(21a)から順次に接触し、刃物部材(2)に与えられ且つ各ナイフ(21,22)の個別に集中する押圧力によってドライアイスを破断する。
【0029】
しかも、中央のナイフ(21a)及び(22b)がドライアイスを破断し、次いで、周縁側のナイフ(21b)及び(21c)、(22c)がドライアイスを破断した際、刃先形状が特定の形状になされた各ナイフ(21,22)は、ドライアイスの分割片を外側へ移動させるため、これを噛み込んでクラッシュさせることがなく、分割片の形状を保持できる。従って、本発明の裁断器においては、薄板状のドライアイスを簡単に且つ崩壊させることなく整った形状に一括して裁断できる。
【0030】
また、各ナイフ(21,22)の各配列において、互いに隣接するナイフの高さの差が2〜7mmに設定されている場合は、刃物部材(2)の昇降量が少なく、一層少ない力で且つ破損させることなくドライアイスを破断できる。更に、ドライアイスの平面形状に対し、短手方向に平行な中央のナイフ(21a)の高さが最も高く設定されていると、ドライアイスの長手方向を先に分割できるため、ドライアイスの破損を一層防止できる。
【0031】
また、上記の裁断器において、受け台(10)の表面が金属板、例えばステンレス板(10s)によって構成されていると、破断した際に分割されたドライアイスが適度にずれるため、より一層崩壊を防止できる。更に、受け台(10)の表面に突起が設けられている場合には、刃物部材(2)がドライアイスに接触した瞬間のドライアイスのずれを規制するため、所定位置を正確に且つ崩壊させることなく裁断できる。そして、平板部(20)の小孔(6)は、切断されたドライアイス片によって閉塞される各ナイフ(21,22)の間の空間部の空気を放出し、切断時の抵抗を低減するため、一層少ない力で円滑に刃物部材(2)を操作できる。
【0032】
なお、本発明の裁断器は、より少ない力で操作し得る様に、レバー(5)に錘が敷設されていてもよい。また、各ナイフ(21,22)は、偶数枚数のナイフによって構成されていてもよく、その場合には、各配列における中央部の何れか一方のナイフが最も高く設定される。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のドライアイス裁断器によれば、刃物部材の縦横のナイフが各配列において高さの異なる特定の配列とされ且つ各配列の位置によって特定の刃先形状とされているため、薄板状のドライアイスを分割した際、縦横のナイフがドライアイスの分割片を外側へ移動させ、これを噛み込んでクラッシュさせることがないため、薄板状のドライアイスを簡単に且つ崩壊させることなく整った形状に一括して裁断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドライアイス裁断器の全体構造を示す斜視図
【図2】刃物部材のナイフの形状および配列を下面側から示す斜視図
【図3】図2におけるIII −III 線に沿った側面図
【図4】図2におけるIV−IV線に沿った側面図
【図5】刃物部材の平板部に設けられた小孔を示す斜視図
【符号の説明】
1 :本体
10 :受け台
10s:ステンレス板
12 :ヘッド
2 :刃物部材
20 :平板部
21 :ナイフ(縦刃)
22 :ナイフ(横刃)
3 :スクリューバー
4 :歯車
5 :レバー
6 :小孔
Claims (5)
- 薄板状のドライアイスが載せられる平板状の受け台と、当該受け台の上方に昇降可能に設けられた刃物部材とから構成され、前記刃物部材は、縦横に組み合わせた複数の帯状のナイフを平板部の下面に突設して成り、前記ナイフの縦横の各配列は、前記刃物部材の中央から周縁側に向かうに従いナイフの高さが低くなる配列になされ、前記ナイフの刃先形状は、縦横の各配列の略中央に位置するナイフを両刃とされ、それ以外のナイフを片刃とされ、しかも、片刃のナイフの刃面は、前記刃物部材の周縁側に向けられており、前記平板部には、前記各ナイフによって4周囲を形成された空間部に通じる小孔が設けられていることを特徴とするドライアイス裁断器。
- 縦横の各配列において、互いに隣接するナイフの高さの差が2〜7mmに設定されている請求項1に記載のドライアイス裁断器。
- 方形になされたドライアイスの平面形状に対し、短手方向に平行な中央のナイフの高さが最も高く設定されている請求項1又は2に記載のドライアイス裁断器。
- 刃物部材が3つの高さのナイフによって構成されている請求項1〜3の何れかに記載のドライアイス裁断器。
- 受け台の表面には、ドライアイスの底面に食い込む突起が設けられている請求項1〜4の何れかに記載のドライアイス裁断器。
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