JP4210488B2 - 変位拡大機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変位拡大機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば光学ステージの位置決めなど微動制御を行う際に使用される装置の一つとして、変位拡大機構がある。図4にかかる従来の変位拡大機構を示す。変位拡大機構1には、圧電アクチュエータ素子が組み込まれ駆動用の変位を生み出すアクチュエータ3が設けられている。かかるアクチュエータ3から生じる駆動用の変位は、リンク部材5に伝達され、さらにレバー7で拡大されて出力体9に伝達される。アクチュエータ3とリンク部材5との間には、アクチュエータ3の変位を受けるアタッチメント11が設けられている。さらに、アタッチメント11とリンク部材5との間には、両者の間隔を調整し、アクチュエータ3への予圧力を調整するための、少なくとも二枚の楔部材13が配設される。出力体9におけるアクチュエータ3と逆側の端面は、変位拡大機構1の最終的な変位を出力する出力端部9aとして機能する。出力端部9aには、左右一対の固定部9bが形成されている。かかる一対の固定部9bは、出力端部9aの他の部分よりも突出しており、微動制御を行う対象となる部品が固定される部分となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の変位拡大機構1においては、変位拡大機構1に組み込むアクチュエータの高さ寸法にバラツキがあると、そのバラツキ差がレバー7で拡大されて出力体9における最終的な変位にも現れる問題がある。このバラツキ量は、±400μmにもなることがあり、変位拡大機構1を、微動制御を行う対象となる部品を含んだ装置全体に組み込む際に問題となっていた。このため従来は、ワッシャやシムなどを出力端部9bと微動制御させる部品の間に介入させるギャップ補正を行う必要があったが、かかるギャップ補正は、幾つものサイズのワッシャ等を予め用意しておく必要があり、また、満足のいく補正結果を得るためにはワッシャ等の挿入や取り外しを繰り返す場合もあり得る手間のかかる作業であった。
【0004】
従って、本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、ワッシャやシムなどを用いずに、より簡易に出力端部の位置調整を行うことができる変位拡大機構を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の変位拡大機構は、基体に設けられ、圧電アクチュエータ素子を有するアクチュエータと、前記アクチュエータの軸線を中心に左右対称に設けられ、前記アクチュエータで発生した駆動用の変位を受けるリンク体と、前記アクチュエータの前記軸線を中心に左右対称に設けられ、変位を最終的に出力する出力体と、前記リンク体と隣接し且つ前記アクチュエータの前記軸線を中心に左右対称に設けられ、前記リンク体が受けた変位を拡大して前記出力体に伝える拡大用レバー手段であって、支点部と、作用点部と、前記支点部及び前記作用点部の間の位置に力点部とを有し、前記支点部において前記基体に接続され、前記力点部において前記リンク体に接続され、前記作用点部において前記出力体に接続される拡大用レバー手段、前記リンク体を変位出力方向に移動させ前記出力体の位置決め調整を行う第一のねじ手段であって、前記リンク体と螺合すると共に前記アクチュエータとは非ねじ部において相互に回転可能に当接する調整ねじである第一のねじ手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
記アクチュエータの変位出力側と逆側の端部に当接し、前記アクチュエータを前記リンク体に向けて押圧する調整ねじである第二のねじ手段をさらに備えてもよい。
第一のねじ手段は、前記アクチュエータの前記軸線上に配置されていると好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、実施の形態1に係る変位拡大機構の平面を示す。変位拡大機構21は、アクチュエータ23と、基体25と、リンク体27と、左右一対のレバー体29と、出力体31とを備える。出力体31におけるアクチュエータ23と逆側の端面は、変位拡大機構21の最終的な変位を出力する出力端部61として機能する。アクチュエータ23は、圧電素子などの圧電アクチュエータ素子が組み込まれた円柱状の部材であり、駆動用の変位を生み出す。アクチュエータ23における変位出力側すなわちリンク体27と当接する側の端部には、半球状の突起33が形成されている。リンク体27は、アクチュエータ23の軸線CLを中心として左右対称に設けられている。また、左右一対のレバー体29はそれぞれ、リンク体27と隣接し且つアクチュエータ23の左右の対応する側に振り分けられるように配置されている。各レバー体29は、基体25の中央側寄りの端部に、支点部37を備えると共に、基体25の外側寄りの端部に、作用点部39を備える。そして、各レバー体29は、支点部37を中心に揺動可能に基体25に接続され、作用点部39において出力体31に接続されている。また、各レバー体29は、支点部37と作用点部39との間の位置に力点部41を備え、かかる力点部41においてリンク体27に接続されている。出力体31は、アクチュエータ23を中心として左右対称に延長しており、左右一対の折り曲げばね部43を介してリンク体27に接続されている。
【0008】
基体25は、出力体31と逆側の端部に、直方体状の凹み部45を有し、その凹み部45の底面からは、出力体31に向けて円柱状の貫通穴47が延びており、この貫通穴47にアクチュエータ23が挿入される。また、凹み部45には、当該凹み部45の形状に対応するような直方体状の押し板49が嵌合される。押し板49は、左右一対のねじ49aにより凹み部45に着脱可能に取り付けられ、ねじを締め付けることによってアクチュエータ23をリンク体27に向けて押圧し、アクチュエータ23に好適な予圧を付与する。
【0009】
図2に示されるように、リンク体27には、雌ねじ穴101が穿設されている。雌ねじ穴101は、アクチュエータ23の軸線CLと同軸に形成されている。この雌ねじ穴101には、外周に雄ねじ部を備えた調整ねじ103が螺合されている。調整ねじ103のアクチュエータ23側の端面には、アクチュエータ23に形成された前述の半球状の突起33を受けるような円錐状の窪み105が形成されている。すなわち、調整ねじ103は、リンク体27とは雌ねじ穴101を介して螺合すると共にアクチュエータ23とはねじ溝のない端面において相互に回転可能に当接している。また、出力体31には、調整ねじ103へのアクセス穴107が穿設されている。アクセス穴107もまた、アクチュエータ23の軸線CLと同軸に形成されており、内周面はねじ溝の形成されていない平滑面となっている。かかるアクセス穴107を通して、汎用あるいは専用の工具を調整ねじ103の端面103aにアクセスし、調整ねじ103に回転トルクを付与し、調整ねじ103を上下に移動させることができる。
【0010】
次に、上述した変位拡大機構21の作用について説明する。所定の電圧をかけることによってアクチュエータ23から所期の変位が発生する。かかる変位は、半球状の突起33及び調整ねじ103を介してリンク体27に伝わり、リンク体27は、図1に矢印Aで示されるように移動する。リンク体27の移動により力点部41を介して一対のレバー体29に力が付与され、左右それぞれのレバー体29は支点部37を中心に揺動する。かかるレバー体29の揺動により、リンク体27から力点部41を介してレバー体29に伝達された入力変位が、てこの原理により拡大されて、作用点部39を介して出力体31に出力変位として伝達される。このときの入力変位と出力変位との拡大比は、レバー体29における力点部41及び支点部37の間隔と、作用点部39及び支点部37の間隔との比で決定する。このようにして一対のレバー体29により拡大された変位は出力体31に伝わり、それに応じて出力体31は、矢印Eで示されるようにリンク体27の変位と同方向により大きな変位量で移動し、変位拡大機構21の最終的な変位が出力体31における出力端部61から出力される。
【0011】
また、本実施の形態では、次のように出力端部の位置決め調整を行うことができる。汎用あるいは専用の工具をアクセス穴107に挿入して調整ねじ103の端面103aに当接させ、調整ねじ103に回転トルクを加える。この場合の回転トルクは、調整ねじ103を図2の矢印Bに示す方向すなわちアクチュエータ23に接近する方向に進ませる向きのトルクである。調整ねじ103はこのような回転トルクを受けるとアクチュエータ23をリンク体27から離隔するように押圧する。しかし、アクチュエータ23の移動は前述の押し板49などにより規制されているため、調整ねじ103自体は半球状の突起33に対して回転するだけで軸線CL方向(変位出力方向)には殆ど移動せず、その代わりに、調整ねじ103に螺合しているリンク体27の方が図2に矢印Cで示されるように矢印Bと逆方向に移動することとなる。かかるリンク体27の矢印C方向の移動は、前述した矢印A(図1参照)方向の移動と同態様であり、これによって、一対のレバー体29及び出力体31が移動し、出力端部61の位置決め調整が行えるようになっている。すなわち、調整ねじ103をアクチュエータ23に向けて締め付けたり緩めたりすることで、出力端部61の位置を調整することができるようになっている。本実施の形態では、かかる出力端部の位置決め調整によって、ワッシャやシムなどの部品を使用したギャップ調整を行うことなく、出力変位のバラツキ量を±30μm以下にまで低減することが可能となった。また、かかる調整は、専用の部品として設けられているわけではなくアクチュエータ23の突起33の受けとして必須部品(すなわち既存のアタッチメント)でもある調整ねじ103を回転させるだけよく、簡易な態様で行える。さらに、リンク体27、出力体31及びレバー体29はアクチュエータ23の軸線CLを中心に左右対称に設けられており、かかる軸線CL上に配置された調整ねじ103による回転運動によって、リンク体27及びアクチュエータ23に押圧力を付与するため、出力体31を傾けることなく、真直性を低下させることなく出力端部の位置決め調整を行うことができる。
【0012】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る変位拡大機構について図3をもとに説明する。本実施の形態は、上記実施の形態1において調整ねじ103に加えて又は代えて、アクチュエータの変位出力側と逆側の端部に当接する調整ねじを設けたものである。図3に示されるように、基体25には、実施の形態1における押し板49と同形状の押し板249が設けられている。かかる押し板249もまた、アクチュエータ223を図示しないリンク体に向けて押圧しアクチュエータ223に予圧をかける。また、押し板249における軸線CL上には、雌ねじ穴201が穿設されている。この雌ねじ穴201内には、外周に雄ねじが形成された調整ねじ203が螺合される。調整ねじ203のアクチュエータ側の先端部には、半円球状の突起275が設けられている。一方、アクチュエータ223の端部251における端面277には、半円球状の突起275を受けるような円錐状の窪み279が形成されている。なお、図3では、アクチュエータの変位出力側の図示が省略されているが、本実施の形態2では、アクチュエータの変位出力側の構造は、従来と同様に、アタッチメントと楔との組み合わせでもよいし、実施の形態1のように調整ねじタイプの構造でもよいし、さらに変位を受ける他の構造でもよい。
【0013】
このように構成された本実施の形態に係る変位拡大機構においては、雌ねじ穴201から汎用又は専用の工具を挿入し、調整ねじ203の端面203aに回転トルクを付与して、調整ねじ203を軸線CLに沿ってアクチュエータ223方向に移動させる。これにより、アクチュエータ223はリンク体の方に移動し、リンク体が変位する。かかるリンク体の変位は、すなわち、図2の矢印C方向(従って図1の矢印A方向)の変位であり、実施の形態1の場合と同様に、レバー体及び出力体が変位し、出力端部の位置決め調整が行える。なお、押し板を持たないタイプの変位拡大機構では、基体自体にねじ穴を設け、アクチュエータの変位出力側と逆側の端部に当接するように調整ねじを配設してもよい。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の変位拡大機構によれば、リンク体を変位出力方向に移動させ、出力体を変位させることができるねじ手段を有するので、ねじ手段を締め付け又は緩めるだけの簡易な操作で、出力端部の位置決め調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る変位拡大機構の平面図である。
【図2】 実施の形態1に係る変位拡大機構の調整ねじ近傍の構造を示す図である。
【図3】 実施の形態2に係る変位拡大機構の調整ねじ近傍の構造を示す図である。
【図4】 従来の変位拡大機構の平面図である。
【符号の説明】
21…変位拡大機構、23,223…アクチュエータ、25…基体、29…レバー体(拡大用レバー手段)、31…出力体、251…端部(変位出力側と逆側部分)、103,203…調整ねじ(ねじ手段)、CL…軸線。

Claims (3)

  1. 基体に設けられ、圧電アクチュエータ素子を有するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの軸線を中心に左右対称に設けられ、前記アクチュエータで発生した駆動用の変位を受けるリンク体と、
    前記アクチュエータの前記軸線を中心に左右対称に設けられ、変位を最終的に出力する出力体と、
    前記リンク体と隣接し且つ前記アクチュエータの前記軸線を中心に左右対称に設けられ、前記リンク体から入力された変位を拡大して前記出力体に伝える拡大用レバー手段であって、
    支点部と、作用点部と、前記支点部及び前記作用点部の間の位置に力点部とを有し、
    前記支点部において前記基体に接続され、前記力点部において前記リンク体に接続され、前記作用点部において前記出力体に接続される拡大用レバー手段と、
    記リンク体を変位出力方向に移動させ前記出力体の位置決め調整を行う第一のねじ手段であって、
    前記リンク体と螺合すると共に前記アクチュエータとは非ねじ部において相互に回転可能に当接する調整ねじである第一のねじ手段
    を備えたことを特徴とする変位拡大機構。
  2. 記アクチュエータの変位出力側と逆側の端部に当接し、
    前記アクチュエータを前記リンク体に向けて押圧する調整ねじである第二のねじ手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の変位拡大機構。
  3. 第一のねじ手段は、前記アクチュエータの前記軸線上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の変位拡大機構。
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