JP4210406B2 - 保護フィルム剥離装置およびその方法 - Google Patents

保護フィルム剥離装置およびその方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック基板等のワークの表面にラミネートされた保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離方法に係り、とりわけ、光学表示部品としてのディスプレイや、自動車の内装パネル、屋外通路の窓に用いられる建材部品等に用いられる、ポリカーボネイトやアクリル、ポリエチレン等のプラスチック基板の表面にラミネートされた保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチック基板から保護フィルムを剥離する作業は手作業に頼ることが多かったが、最近ではこの作業を自動化するため、巻き取り式の粘着テープによって保護フィルムを剥離し、その剥離された保護フィルムを巻き取って回収する方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法では、保護フィルムの剥離等のために粘着テープを消耗することとなるので、ランニングコストがかかるという問題がある。また、保護フィルムの粘着力のばらつき度合いによっては、保護フィルムの剥離が確実に行われないおそれもあるという問題がある。
【0004】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、プラスチック基板等のワークから保護フィルムを簡易かつ確実に剥離することができる保護フィルム剥離装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その第1の解決手段として、保護フィルムがラミネートされた保護フィルム付きワークから保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置において、保護フィルム付きワークを載置するステージと、前記ステージ上に載置された保護フィルム付きワークの近傍に配置され、当該保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けるエアー吹き付け装置とを備え、前記エアー吹き付け装置は、円柱状の回転表面に周方向に沿って複数のエアー吹き出し口が設けられた回転体を有し、この回転体が一定方向に複数回回転することにより前記保護フィルム付きワークに対するエアーの吹き付け方向を連続的に変え、前記エアー吹き付け装置は、回転体の複数のエアー吹き出し口によりエアーの吹き付け方向を連続的に変えながら前記保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けることにより、ワークから保護フィルムを剥離するためのきっかけ部を形成することを特徴とする保護フィルム剥離装置を提供する。
【0006】
なお、上述した第1の解決手段において、前記回転体の回転軸は前記ワークと前記保護フィルムとの境界部分がなす面と略平行をなしていることが好ましい。
【0007】
また、上述した第1の解決手段において、前記保護フィルムのきっかけ部をクランプして前記ワークから前記保護フィルムを剥離するフィルム剥離機構をさらに備えることが好ましい。また、前記保護フィルム付きワークを前記ステージ上に供給する搬送機構や、前記保護フィルムが剥離された前記ワークを前記ステージ上から排出する搬送機構をさらに備えることが好ましい。
【0008】
本発明は、その第2の解決手段として、保護フィルムがラミネートされた保護フィルム付きワークから保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離方法において、ステージ上に載置された保護フィルム付きワークの近傍に、円柱状の回転表面に周方向に沿って複数のエアー吹き出し口が設けられた回転体を有し、この回転体が一定方向に複数回回転することにより前記保護フィルム付きワークに対するエアーの吹き付け方向を連続的に変えるエアー吹き付け装置であって、当該保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けるエアー吹き付け装置を位置させる工程と、前記エアー吹き付け装置の回転体の複数のエアー吹き出し口によりエアーの吹き付け方向を連続的に変えながら前記保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けることにより、ワークから保護フィルムを剥離するためのきっかけ部を形成する工程とを含むことを特徴とする保護フィルム剥離方法を提供する。
【0009】
なお、上述した第2の解決手段において、前記保護フィルムのきっかけ部をフィルム剥離機構によりクランプして前記ワークから前記保護フィルムを剥離する工程をさらに含むことが好ましい。
【0010】
本発明の第1および第2の解決手段によれば、エアー吹き付け装置により、エアーの吹き付け方向を連続的に変えながら保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けるので、ワークを傷めることなく、保護フィルム付きワークの角部にて保護フィルムのきっかけ部を容易に形成することができ、このためワークから保護フィルムを簡易かつ確実に剥離することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は本発明の一実施の形態を説明するための図である。
【0012】
図1は本実施の形態に係る保護フィルム剥離装置を示す斜視図であり、図2は図1に示す保護フィルム剥離装置の要部(フィルム剥離位置A)を示す部分拡大平面図である。
【0013】
図1および図2に示すように、保護フィルム剥離装置10は、保護フィルム付きワークWAを供給するワーク供給機構1と、保護フィルム付きワークWAの角部に対してエアーを吹き付けることにより保護フィルムを剥離するためのきっかけ部を形成するエアー吹き付け装置2と、保護フィルムのきっかけ部をクランプしてワークから保護フィルムを剥離するフィルム剥離機構3とを備えている。なお、保護フィルム付きワークWAは、図4に示すように、プラスチック基板等の平板状のワークWの表面に保護フィルムFがラミネートされたものである。
【0014】
ここで、ワーク供給機構1は、保護フィルム付きワークWAを載置するワーク固定ステージ11と、ワーク固定ステージ11をX方向に往復移動させる一軸テーブル12とを有している。
【0015】
また、エアー吹き付け装置2は、エアーの吹き付け方向を変えながら保護フィルム付きワークWAの角部に対してエアーを吹き付けることによりワークWから保護フィルムFの端部を剥がすものである。エアー吹き付け装置2は、円柱状の回転表面21cに4箇所のスリット状のエアー吹き出し口21aが設けられた回転体21と、回転体21のエアー吹き出し口21aに対してエアーを導くためのエアー供給機構(図示せず)とを有し、回転体21を回転駆動機構(図示せず)により回転させることにより保護フィルム付きワークWAに対するエアーの吹き付け方向を変えることができるようになっている(図4参照)。なお、回転体21は、ワーク供給機構1により保護フィルム付きワークWAがフィルム剥離位置Aへ供給された時点で、保護フィルム付きワークWAの近傍に配置されるようになっている。また、その時点で、回転体21の回転軸21bは、ワークWと保護フィルムFとの境界部分がなす面と略平行をなし、かつその面よりも下方に位置するようになっている(図4参照)。なお、保護フィルム付きワークWAの角部は、エアーが吹き付けられたときの抵抗を大きくしてワークWかあ保護フィルムFを剥がれやすくするため、図2に示すように、エアーの吹き付けられる角部のみエアーの吹き付け方向に直交する方向にあらかじめ裁断しておくことが好ましい。
【0016】
フィルム剥離機構3は、固定板31と、固定板31に対してシャフト36(図3(a)等参照)を介して一定距離だけ離間した位置に固定されたワーク押さえ板32と、ワーク押さえ板32との間で保護フィルムFのきっかけ部をクランプするクランプ板33とを有している。ここで、固定板31は、2軸ロボット34によりX方向およびZ方向に往復移動するようになっている。また、クランプ板33は、固定板31に連結されたアクチュエータ35により固定板31とワーク押さえ板32との間でZ方向に往復移動するようになっている。なお、ワーク押さえ板32には、図3(a)(b)(c)(d)に示すように、ワーク押さえ板32とクランプ板33との間における保護フィルムFの有無を検知するフィルム検知センサ37が設けられており、保護フィルムFのきっかけ部がワーク押さえ板32とクランプ板33との間に入り込んだ時点でクランプ板33を閉じることができるようになっている。また、図3(a)(b)(c)(d)に示すように、ワーク押さえ板32のうち保護フィルム付きワークWAと接触する側にはゴムラバー等からなる緩衝材38が設けられており、ワーク押さえ板32が金属等からなる場合でも保護フィルム付きワークWAが傷むことを防止することができるようになっている。
【0017】
なお、図1において、保護フィルムFが剥離される前の保護フィルム付きワークWAは供給側ストッカー4にストックされるようになっている。また、保護フィルムFが剥離された後のワークWは排出側ストッカー6にストックされるようになっている。さらに、保護フィルム付きワークWAから剥離された保護フィルムFは、保護フィルム集積ボックス7に集積されるようになっている。
【0018】
ここで、供給側ストッカー4にストックされた保護フィルム付きワークWAは、下面側に吸着パッドを有する搬送板(搬送機構)5により、供給側ストッカー4からワーク固定ステージ11上に自動的に供給されるようになっている。また、保護フィルムFが剥離された後のワークWは、同じく搬送板5により、ワーク固定ステージ11上から排出側ストッカー6に自動的に排出されるようになっている。なお、搬送板5は、保護フィルム付きワークWAの供給時とワークWの排出時とでその移動経路が切り替えられるようになっている。さらに、保護フィルムFは、フィルム剥離機構3のワーク押さえ板32とクランプ板33との間でクランプされた状態で保護フィルム集積ボックス7まで移動し、さらにワーク押さえ板32とクランプ板33との間でのクランプが解放されることにより、自然落下で保護フィルム集積ボックス7に落とし込まれるようになっている。なお、保護フィルムFを強制的に落とし込んで集積するような機構を設けるようにしてもよい。
【0019】
次に、図1乃至図4により、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここで、図3(a)(b)(c)(d)は、図1に示す保護フィルム剥離装置10により保護フィルム付きワークWAから保護フィルムFを剥離する手順について説明するための図、図4は保護フィルム付きワークWAに対して回転体21からエアーを吹き付ける様子を示す図3(c)に対応する図である。
【0020】
まず最初に、供給側ストッカー4にあらかじめストックされた保護フィルム付きワークWAを搬送板5によりワーク供給機構1のワーク固定ステージ11上に供給する。ワーク固定ステージ11は、最初に保護フィルム付きワークWAが供給しやすいよう供給側ストッカー4側に位置しており、保護フィルム付きワークWAが供給された後に一軸テーブル12によりフィルム剥離位置Aまで移動する。これにより、保護フィルム付きワークWAは、フィルム剥離機構3のワーク押さえ板32の下方に配置される。
【0021】
図2および図3(a)は保護フィルム付きワークWAの移動前の位置に対応しており、図3(b)はその移動後の位置に対応している。
【0022】
図3(b)に示すように、保護フィルム付きワークWAの角部は、フィルム剥離機構3のワーク押さえ板32よりも図面右側に突出した位置で停止し、できるだけエアー吹き付け装置2の回転体21の回転表面21cの近傍に配置される。
【0023】
次に、フィルム剥離機構3において、固定板31を2軸ロボット34により下方に移動させ、固定板31に対して一定距離だけ離間した位置に固定されたワーク押さえ板32を保護フィルム付きワークWAに接触した時点で停止させる。これにより、保護フィルム付きワークWAの角部に対して保護フィルムFを剥離するためのきっかけ部を形成する際に保護フィルム付きワークWAがワーク固定ステージ11から外れないようにすることができる。
【0024】
その後、エアー吹き付け装置2は、回転体21のエアー吹き出し口21aから強烈なエアーを吹き出しながら回転体21を回転駆動機構(図示せず)によりゆっくりと時計回りに複数回回転させる(図3(c)および図4参照)。これにより、エアーの吹き付け方向を連続的に変えながら保護フィルム付きワークWAの角部に対してエアーが吹き付けられ、保護フィルム付きワークWAの角部にてワークWから保護フィルムFが剥がれてきっかけ部が形成される。
【0025】
図3(c)に示すように、このようにして形成された保護フィルムFのきっかけ部は、エアーを吹き出しにより図面左側に押し込まれ、ワーク押さえ板32とクランプ33との間に入り込む。この時点で、フィルム剥離機構3のフィルム検知センサ37は保護フィルムFを検知し、アクチュエータ35によりクランプ板33をシャフト36を介して下方に摺動させることにより、ワーク押さえ板32とクランプ板33との間で保護フィルムFのきっかけ部をクランプする。
【0026】
なお、このようにして保護フィルムFがクランプされた時点で、回転体21の回転を停止するとともに、そのエアー吹き出し口21aからのエアーを吹き出しを停止する。
【0027】
その後、フィルム剥離機構3は、図3(d)に示すように、ワーク押さえ板32とクランプ板33との間で保護フィルムFをクランプした状態で、二軸ロボット34により固定板31を図面上側および左側に移動させ、保護フィルム付きワークWAのワークWから保護フィルムFを完全に剥離する。
【0028】
なお、このようにして剥離された保護フィルムFは、フィルム剥離機構3のワーク押さえ板32とクランプ板33との間でクランプされた状態で保護フィルム集積ボックス7まで移動し、アクチュエータ35によりクランプ板33が上方に移動してワーク押さえ板32とクランプ板33との間でのクランプが解放されることにより、自然落下で保護フィルム集積ボックス7に落とし込まれる。
【0029】
一方、保護フィルムFが剥離された後のワークWは、ワーク固定ステージ11に固定された状態で排出側ストッカー6側に移動した後、搬送板5により、ワーク固定ステージ11上から排出側ストッカー6に排出される。
【0030】
このように本実施の形態によれば、エアー吹き付け装置2により、エアーの吹き付け方向を連続的に変えながら保護フィルム付きワークWAの角部に対してエアーを吹き付けるので、ワークWを傷めることなく、保護フィルム付きワークWAの角部にて保護フィルムFのきっかけ部を容易に形成することができ、このためワークWから保護フィルムFを簡易かつ確実に剥離することができる。
【0031】
なお、上述した実施の形態においては、回転体21の回転表面21cにスリット状のエアー吹き出し口21aを等間隔(90度間隔)で4箇所設けているが、これに限らず、エアー吹き出し口21aを任意の数、形状および配置位置で設けることができる。
【0032】
また、上述した実施の形態においては、回転体21の回転軸21bがワークWと保護フィルムFとの境界部分がなす面と略平行をなし、かつその面よりも下方に位置するようにしているが、保護フィルム付きワークWAの角部に対して確実に保護フィルムFのきっかけ部を形成することができるものであれば、これに限らず、任意の関係で配置することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ワークを傷めることなく、保護フィルム付きワークの角部にて保護フィルムのきっかけ部を容易に形成することができ、このためワークから保護フィルムを簡易かつ確実に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による保護フィルム剥離装置の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す保護フィルム剥離装置の要部を示す部分拡大平面図。
【図3】図1に示す保護フィルム剥離装置により保護フィルム付きワークから保護フィルムを剥離する手順を説明するための図。
【図4】保護フィルム付きワークに対して回転体からエアーを吹き付ける様子を示す図。
【符号の説明】
10 保護フィルム剥離装置
1 ワーク供給機構
11 ワーク固定ステージ
12 一軸テーブル
2 エアー吹き付け装置
21 回転体
21a エアー吹き出し口
21b 回転軸
21c 回転表面
3 フィルム剥離機構
31 固定板
32 ワーク押さえ板
33 クランプ板
34 二軸ロボット
35 アクチュエータ
36 シャフト
37 フィルム検知センサ
4 供給側ストッカー
5 搬送板
6 排出側ストッカー
7 保護フィルム集積ボックス
WA 保護フィルム付きワーク
W ワーク
F 保護フィルム

Claims (4)

  1. 保護フィルムがラミネートされた保護フィルム付きワークから保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置において、
    保護フィルム付きワークを載置するステージと、
    前記ステージ上に載置された保護フィルム付きワークの近傍に配置され、当該保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けるエアー吹き付け装置とを備え、
    前記エアー吹き付け装置は、円柱状の回転表面に周方向に沿って複数のエアー吹き出し口が設けられた回転体を有し、この回転体が一定方向に複数回回転することにより前記保護フィルム付きワークに対するエアーの吹き付け方向を連続的に変え、
    前記エアー吹き付け装置は、回転体の複数のエアー吹き出し口によりエアーの吹き付け方向を連続的に変えながら前記保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けることにより、ワークから保護フィルムを剥離するためのきっかけ部を形成することを特徴とする保護フィルム剥離装置。
  2. 前記回転体の回転軸は前記ワークと前記保護フィルムとの境界部分がなす面と略平行をなしていることを特徴とする請求項記載の保護フィルム剥離装置。
  3. 前記保護フィルムのきっかけ部をクランプして前記ワークから前記保護フィルムを剥離するフィルム剥離機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載の保護フィルム剥離装置。
  4. 保護フィルムがラミネートされた保護フィルム付きワークから保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離方法において、
    ステージ上に載置された保護フィルム付きワークの近傍に、円柱状の回転表面に周方向に沿って複数のエアー吹き出し口が設けられた回転体を有し、この回転体が一定方向に複数回回転することにより前記保護フィルム付きワークに対するエアーの吹き付け方向を連続的に変えるエアー吹き付け装置であって、当該保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けるエアー吹き付け装置を位置させる工程と、
    前記エアー吹き付け装置の回転体の複数のエアー吹き出し口によりエアーの吹き付け方向を連続的に変えながら前記保護フィルム付きワークの角部に対してエアーを吹き付けることにより、ワークから保護フィルムを剥離するためのきっかけ部を形成する工程とを含むことを特徴とする保護フィルム剥離方法。
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