JP4209974B2 - Sliding member for transfer device - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂材料から形成された搬送装置用摺動部材に関し、さらに詳しくは、ポリアリーレンスルフィド、フッ素樹脂、及び導電性カーボンブラックを含有する樹脂組成物を成形してなる搬送装置用摺動部材に関する。本発明の搬送装置用摺動部材は、耐熱性、摺動性、摩擦特性、耐摩耗性、機械的物性などに優れており、しかも電気抵抗率を所望の範囲に制御して帯電防止性を付与することができるため、特に半導体搬送装置などの回転軸受け、搬送ローラ、プーリなどの用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記)は、耐熱性、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、機械的性質等に優れたエンジニアリングプラスチックであり、電気・電子部品、精密機械部品、自動車部品などとして用途が広がっている。
近年、PASは、前記諸特性を活かして、軸受けやギアなどの摺動部材としての用途においても、その需要が増大している。一般に、合成樹脂製の摺動部材には、耐熱性、摺動特性(摺動性、低動摩擦係数、耐摩耗性)、機械的物性などに優れるとともに、射出成形により精密成形が可能で、さらには、相手材を傷つけないことが要求される。また、合成樹脂製の摺動部材には、静電気を発生させないだけの導電性を有することが要求されることがある。さらに、回転軸受けなどの用途では、回転軸との摺動により、回転軸を振動させたり、摩擦音を発生させたりしないことが要求される。しかしながら、従来公知のPAS製の摺動部材では、これらの諸特性を十分に満足させることは困難であった。以下、これらの点について、具体的に説明する。
【0003】
一般に、ベルト伝動による搬送装置では、モータの駆動力をベルトを介して回転軸や搬送ローラに伝え、回転軸に装着された搬送ローラを回転させることにより搬送力を得ている。このような搬送装置においては、回転軸を固定する回転軸受け、回転軸に装着された搬送ローラ、モータの駆動力を回転軸に伝えるプーリなどの摺動部材が用いられている。すなわち、このような搬送装置においては、回転軸と回転軸受け、搬送ローラと回転軸、ベルトとプーリ、ベルトと搬送ローラがそれぞれ摺動するため、回転軸受け、搬送ローラ、及びプーリの材質には、摺動特性に優れた材質を選ぶ必要がある。また、ベルトの代わりにギア等を介して駆動力を回転軸に伝えるタイプの搬送装置においては、その歯車にも摺動特性が要求される。
【0004】
従来より、PASを摺動部材に適用するに際し、摩擦・摩耗特性、機械的強度などを改良するために、フッ素樹脂などの潤滑材、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維などの繊維状補強材を配合することが提案されている。例えば、特開平3−292366号公報には、PPS、フッ素樹脂、及びアラミド繊維などの充填材からなる耐摩耗性樹脂組成物が提案されている。特開平4−63866号公報には、PPSに、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維などの補強材、及び潤滑材を含有させた現像装置のマグネットロールギャップ保持コロ用樹脂組成物が提案されている。特開平2−218753号公報には、PASなどの耐熱性熱可塑性樹脂に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末、ピッチ系炭素繊維、及びカーボンビーズを配合した摺動部材用樹脂組成物が提案されている。特開平10−36679号公報には、PPSなどの熱可塑性樹脂に、チタン酸カリウムウイスカー、炭素繊維、及びポリテトラフルオロエチレンを配合した摺動部材用樹脂組成物が提案されている。
【0005】
しかしながら、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維などの繊維状補強材は、いずれも非常に硬い材料であるため、これらの繊維状補強材を含有するPAS樹脂組成物から形成した摺動部材は、摺動する相手材を損傷させ易く、かつ、その損傷によって摩擦・摩耗特性が低下するという問題があった。また、このような繊維状補強材を含有する摺動部材を搬送装置の回転軸受けなどに適用した場合、回転軸と回転軸受けとの摺動面に硬い繊維状充填材が突き出して、回転軸を振動させたり、摩擦による音を発生させるという問題があった。
【0006】
特開平5−117678号公報には、電子写真装置用の加熱定着用の耐熱性滑り軸受けにおいて、PPS樹脂に、四フッ化エチレン樹脂、溶融フッ素樹脂、並びに、芳香族ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、及びフェノール樹脂からなる群から選ばれる一種以上の耐熱性合成樹脂を必須成分として添加した樹脂組成物からなる耐熱性滑り軸受けが提案されている。この耐熱性滑り軸受けは、炭素繊維などの硬い繊維状充填材を含んでいないため、相手材を損傷させるなどの問題がない。しかしながら、この耐熱性滑り軸受けは、各成分の相溶性が悪く機械的物性が不十分であり、摺動特性やクリープ特性も不十分で、しかも帯電防止機能を持っていない。
【0007】
一方、半導体(半導体素子、半導体部品、集積回路部品、搭載部品など)の搬送装置では、回転軸と回転軸受けとの間の摩擦により発生する静電気により、搬送装置上の半導体が破壊されることがあり、歩留まりが悪いという問題点があった。しかしながら、従来、静電気を発生させることのない適度の導電性を有し、同時に、回転軸を振動させたり、回転軸との摺動により摩擦音を発生することがなく、しかも優れた摺動特性を兼ね備えた合成樹脂製の摺動部材は提供されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性、摺動性、摩擦特性、耐摩耗性、機械的物性などに優れ、しかも電気抵抗率を所望の範囲に制御して帯電防止性を付与することことができる搬送装置用摺動部材を提供することにある。
本発明の他の目的は、相手材を損傷したり、回転軸を振動させたり、摩擦による音を発生させたりしない搬送装置用摺動部材を提供することにある。
【0009】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、ポリアリーレンスルフィド、フッ素樹脂、導電性カーボンブラック、及び劈開性を有する充填剤を適切な量比で配合することにより、繊維状補強材を実質的に含有することなく、搬送装置用摺動部材の樹脂材料に適した樹脂組成物の得られることを見いだした。該樹脂組成物を成形してなる摺動部材は、耐熱性、摺動特性(摺動性、低動摩擦係数、耐摩耗性)、機械的物性などに優れるとともに、帯電防止性をも有している。したがって、この摺動部材を搬送装置の回転軸受け、搬送ローラ、プーリなどに適用すると、相手材を損傷したり、回転軸を振動させたり、摩擦による音を発生させたりすることがなく、さらに、静電気の発生による半導体の破壊のおそれもない。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が25〜450Pa・sのポリアリーレンスルフィド(A)4554.5重量%、フッ素樹脂(B)4048重量%、400〜600ml/100gのDBP吸油量を有する導電性カーボンブラック(C)重量%、及び黒鉛、タルク、マイカ及びクレーからなる群より選ばれる劈開性を有する充填剤(D)1〜5重量%を含有し、かつ繊維状補強材(E)を含有しない樹脂組成物を成形してなる、1×10 〜1×10 13 Ω・cmの範囲内の抵抗率を有する搬送装置用摺動部材が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
ポリアリーレンスルフィド(PAS)
本発明で使用するPASとは、式[−Ar−S−](ただし、−Ar−は、アリーレン基である)で表されるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマーである。[−Ar−S−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発明で使用するPASは、この繰り返し単位を、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するポリマーである。
アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基は、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニレン基である)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基などを挙げることができる。PASとしては、主として同一のアリーレン基を有するポリマーを好ましく用いることができるが、加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を含んだコポリマーを用いることもできる。
【0012】
これらのPASの中でも、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPPSが、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易であることから特に好ましい。この他に、ポリアリーレンケトンスルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフィドなどを使用することができる。コポリマーの具体例としては、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位とm−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンケトンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンスルホンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマーなどを挙げることができる。これらのPASは、結晶性ポリマーであることが好ましい。また、PASは、靭性や強度などの観点から、直鎖状ポリマーであることが好ましい。
【0013】
このようなPASは、極性溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応させる公知の方法(例えば、特公昭63−33775号公報)により得ることができる。
アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどを挙げることができる。反応系中で、NaSHとNaOHを反応させることにより生成させた硫化ナトリウムなども使用することができる。
【0014】
ジハロゲン置換芳香族化合物としては、例えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、p−ジブロモベンゼン、2,6−ジクロロナフタリン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4′−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、p,p′−ジクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン、4,4′−ジクロロジフェニルスルホキシド、4,4′−ジクロロジフェニルケトンなどを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
PASに多少の分岐構造または架橋構造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併用することができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物の好ましい例としては、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなどのトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれらのアルキル置換体を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、経済性、反応性、物性などの観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロベンゼンがより好ましい。
【0016】
極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)などのN−アルキルピロリドン、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒が、反応系の安定性が高く、高分子量のポリマーが得られやすいので好ましい。
【0017】
ASは、310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が、20Pa・s以上のものであり、好ましくは20Pa・s〜500Pa・s、より好ましくは25Pa・s〜450Pa・sである。本発明で使用するPASの溶融粘度は、25Pa・s〜450Pa・sである。PASの溶融粘度が小さすぎると、機械的性質が不十分となるおそれがある。PASの溶融粘度が大きすぎると、射出成形や押出成形での成形性が不十分となるおそれがある。
本発明で使用するPASは、重合終了後の洗浄したものを使用することができるが、さらに、塩酸、酢酸などの酸を含む水溶液あるいは、水−有機溶剤混合溶液により処理されたものや、塩化アンモニウムなどの塩溶液で処理を行ったものなどを使用することが好ましい。特に、重合後の後処理により、アセトン/水=1:2に調整した水−有機溶媒混合液中でのpHを8以下にしたPASを用いると、流動性及び機械的性質をより一層向上させることができる。
【0018】
本発明で使用するPASは、100μm以上の平均粒子径を有する粒状物であることが望ましい。PASの平均粒子径が小さすぎると、押出機による溶融押出の際、フィード量が制限されるため、樹脂組成物の押出機内での滞留時間が長くなり、樹脂組成物の劣化の問題が生じるおそれがある。また、製造効率上も望ましくない。
【0019】
PASの配合割合は、樹脂組成物全量基準で、30〜79重量%であり、好ましくは40〜75重量%、より好ましくは45〜75重量%である。本発明で使用するPASの配合割合は、45〜54.5重量%である。PASの配合割合が少なすぎると、機械的強度が低下するとともに、クリープ特性が不充分になるおそれがある。また、PASの配合割合が少なすぎると、フッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを用いる場合には、射出成形性及び押出成形性が不十分となるおそれがある。PASの配合割合が多すぎると、良好な摺動特性が得られず、また、導電性が不十分になるおそれがある。
【0020】
フッ素樹脂
本発明で使用するフッ素樹脂は、特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン/イソブチレン共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチルビニルエーテル共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、耐熱性、摺動特性などの点で、PTFE、FEP、PFAなどが好ましい。これらのフッ素樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂組成物中のフッ素樹脂の配合割合は、20〜50重量%であり、好ましくは23〜50重量%、より好ましくは23〜48重量%である。本発明では、フッ素樹脂の配合割合は、40〜48重量%である。フッ素樹脂の配合割合が多すぎると、クリープ特性及び成形性が不十分となり、フッ素樹脂の配合割合が少なすぎると、摺動特性が不十分になる場合がある。
【0021】
導電性カーボンブラック
本発明で使用する導電性カーボンブラックは、導電性カーボンブラックであれば特に制限はなく、例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックを用いることができる。導電性カーボンブラックの添加による機械物性及び成形性の低下を最小限度に抑えるには、少量の添加量で導電性または半導電性を発現させることが好ましく、その観点から、DBP吸油量が360ml/100g以上の導電性カーボンブラックを好適に用いることができる。
【0022】
導電性カーボンブラックのDBP吸油量は、ASTM D2414で規定された方法で測定することができる。具体的には、測定装置(Absorpotometer)のチャンバーの中に導電性カーボンブラックを入れ、そのチャンバーの中に、一定の速度でDBP(n−ジブチルフタレート)を加える。DBPを吸収するに従い、導電性カーボンブラックの粘度は上昇し、ある程度に達した時までに吸収したDBPの量からDBP吸油量を算出する。粘度の検出は、トルクセンサーで行う。
【0023】
導電性カーボンブラックのDBP吸油量が小さすぎると、樹脂組成の抵抗率を所望の程度にまで低下させるのに多量の導電性カーボンブラックを配合する必要があり、成形性や機械的物性が低下するおそれを生じる。導電性カーボンブラックのDBP吸油量の上限は、通常、750ml/100g程度である。DBP吸油量は、好ましくは400〜600ml/100g程度である。本発明では、400〜600ml/100gである。
導電性カーボンブラックの配合割合は、導電性カーボンブラックの導電性、構造、DBP吸油量、PAS樹脂の溶融粘度、樹脂組成物の目標抵抗率などに依存する。これらを総合的に勘案すると、導電性カーボンブラックの配合割合は、樹脂組成物全量基準で、1〜20重量%であり、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは2〜7重量%程度である。本発明では、2〜7重量%である。
【0024】
導電性カーボンブラックの配合割合が多すぎると、成形性や機械的物性が低下し、少なすぎると、所望の抵抗率を達成することが困難となる。本発明で使用する樹脂組成物は、抵抗率が1×10〜1×1015Ω・cmの範囲内にあることが好ましい。この抵抗率は、より好ましくは1×10〜1×1013Ω・cmの範囲内である。本発明では、1×10 〜1×10 13 Ω・cmの範囲内である。抵抗率が高すぎると、帯電防止性が不十分となる。導電性カーボンブラックの前記配合割合の範囲内で、所望の抵抗率を達成することが可能である。
【0025】
充填剤
本発明の搬送装置用摺動部材には、前記各成分以外に、必要に応じて、各種充填剤を配合することができる。
充填剤としては、例えば、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、黒鉛、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の粒状または粉末状充填剤を挙げることができる。
【0026】
これらの充填剤の中でも、黒鉛、タルク、マイカ、クレーなどの劈開性を有する充填剤は、搬送装置用摺動部材の優れた摺動特性を保持しつつ、摩耗量を抑制し、それによって、耐久性を飛躍的に高めることができるため好ましい。中でも黒鉛は摩耗性を大きく抑制する効果があり特に好ましい。本発明では、黒鉛、タルク、マイカ及びクレーからなる群より選ばれる劈開性を有する充填剤を使用する。一方、カーボンビーズのような硬い充填剤は、硬い繊維状充填剤と同様に、回転軸を振動させたり、摩擦による音を発生させたりするため、好ましくない。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの充填剤は、樹脂組成物全量基準で、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で使用される。劈開性を有する充填剤などは、多くの場合5重量%以下、典型的には1〜5重量%程度の配合量で十分な耐摩耗性の向上効果を得ることができる。本発明で使用する充填材の配合量は、1〜5重量%である。
【0027】
本発明の搬送装置用摺動部材は、硬い繊維状充填剤(繊維状補強材)を実質的に含有しないことが、相手材を損傷したり、回転軸を振動させたり、摩擦による音を発生させたりしないために、好ましい。本発明では、繊維状補強材を含有しない。
【0028】
また、充填剤は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物の官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、充填剤に対して予め表面処理または集束処理を施して用いるか、あるいは組成物の調製の際に同時に添加してもよい。ただし、半導体搬送装置用摺動部材などのように、摺動部材からのブリード成分による汚染が厳しく制限される用途では、ブリードし易い化合物の添加は好ましくない。
【0029】
その他の添加剤
本発明の樹脂組成物には、充填剤以外のその他の添加剤として、例えば、エポキシ基含有α−オレフィン共重合体のような衝撃改質材、エチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤、熱硬化性樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポロンナイトライドのような核剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤等を適宜添加することができる。ただし、前記したとおり、半導体搬送装置用摺動部材などのように、摺動部材からのブリード成分による汚染が厳しく制限される用途では、ブリードし易い低分子量物などの使用は好ましくない。
【0030】
樹脂組成物
本発明では、前記の如き各成分の所定量を用いて、一般に熱可塑性樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により、樹脂組成物を調製することができる。例えば、各原料成分をヘンシェルミキサー、タンブラー等の混合機を用いて予備混合し、必要があれば充填剤等の添加剤を加えてさらに混合した後、1軸または2軸の押出機を使用して混練し、溶融押出して、成型用ペレットとすることができる。必要成分の一部をマスターバッチとしてから残りの成分と混合する方法、また、各成分の分散性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合し溶融押出することも可能である。さらに成型用ペレットを、射出成形や押出成形などの一般的溶融成形加工法により、搬送装置用摺動部材に成形加工することができる。
【0031】
搬送装置用摺動部材
搬送装置用摺動部材としては、特に限定されないが、例えば、回転軸受け、コロ軸受け、滑り軸受け、搬送ローラ、プーリなどを挙げることができる。より具体的な用途としては、耐熱性、摺動性、摩擦・摩耗特性、機械的物性、適度の抵抗率などの諸特性を活かして、例えば、電子写真複写機、レーザービームプリンター、静電記録装置などの画像形成装置における各種摺動部材、例えば、現像ロールのギャップ保持コロ軸受け、定着部における加熱ローラの滑り軸受け、加圧ローラの滑り軸受けなどを挙げることができる。
また、本発明の搬送装置用摺動部材は、帯電防止性、高温剛性、難燃性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、耐クリープ特性などに優れ、ブリード成分による汚染がないので、特に半導体搬送装置などの回転軸受け、搬送ローラ、プーリなどの用途に好適である。
【0032】
【実施例】
以下に実施例、参考例、及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、物性の測定方法は、以下に示すとおりである。
(1)抵抗率
抵抗率は、JIS K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率測定試験方法)に準拠して測定した。
(2)動摩擦係数
荷重5×10Pa、速度0.2m/s、相手材アルミニウム、走行時間15時間の条件で、鈴木式摩擦摩耗試験を行い、動摩擦係数を求めた。
(3)搬送装置用摺動部材の評価
搬送用摺動部材として回転軸受けを作成し、これを搬送装置に組み込み、摺動性(動摩擦係数が小さく、かつ、円滑に摺動するほど良好)、耐摩耗性(摩耗量が少ないほど良好)、振動(少ないほど良好)、及び音(小さいほど良好)について、それぞれ下記の4段階で評価した。なお、搬送装置の回転軸受け摺動面にかかる荷重は約4kg、摺動面の回転軸との相対速度は30m/s、回転軸の材質はSUS304である。
◎:極めて良好、
○:良好、
△:やや悪い、
×:悪い。
(4)溶融粘度
PASの溶融粘度は、キャピログラフ(東洋精機社製)を用いて、温度310℃、剪断速度1200/秒の条件で測定した。
(5)PASのpH
アセトン:水=1:2(容積比)の混合溶媒中で、PASのpHを測定した。より具体的には、ポリマー20gに対して、アセトン50mlを添加してよく混合し、さらにイオン交換水100mlを加え、振盪機にて30分間振盪した後、上澄み液60mlを分取し、そのpHを測定した。
【0033】
[合成例1]PAS(A)の合成
重合缶に、N−メチルピロリドン(NMP)720kgと、46.21重量%の硫化ナトリウム(Na2S)を含む硫化ナトリウム・5水塩420kgとを仕込み、窒素ガスで置換後、攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水160kgを留出させた。このとき、同時に62モルのH2Sが揮散した。
上記脱水工程後、重合缶にp−ジクロロベンゼン(pDCB)364kgと、NMP250kgを加え、攪拌しながら220℃で4.5時間反応させた。その後、攪拌を続けながら水59kgを圧入し、255℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、室温付近まで冷却してから、内容物を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分し、アセトン洗2回、さらに水洗3回を行い、洗浄ポリマーを得た。さらに、この洗浄ポリマーを3%塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、水洗を行った。脱水後、回収した粒状ポリマーは、105℃で3時間乾燥した。このようにして得られたポリマー(A)の収率は89%で、溶融粘度は140Pa・s、pHは6.5、平均粒径は約900μmであった。
【0034】
[合成例2]PAS(B)の合成
重合缶に、NMP720kgと、46.21重量%の硫化ナトリウムを含む硫化ナトリウム・5水塩を420kg仕込み、窒素ガスで置換後、攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水158kgを留出させた。この時、同時に62モルのH2Sが揮散した。
上記脱水工程後、重合缶にpDCB371kgと、NMP189kgを加え、攪拌しながら220℃で4.5時間反応させた。その後、攪拌を続けながら水49kgを圧入し、255℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、室温付近まで冷却してから、内容物を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分し、アセトン洗2回、さらに水洗3回を行い、洗浄ポリマーを得た。さらに、この洗浄ポリマーを0.6%の塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、水洗を行った。脱水後、回収した粒状ポリマーは、105℃で3時間乾燥した。この様にして得られたポリマー(B)の収率は92%で、溶融粘度は55Pa・sであり、pHは6.2、平均粒径は約500μmであった。
【0035】
参考例1〜3、実施例1、2、比較例1〜6]
表1に示す組成の各成分をヘンシェルミキサーで均一にドライブレンドし、次いで、45mmφ二軸混練押出機(池貝鉄鋼社製PCM−45)へ供給し、シリンダー温度260〜340℃にて混練を行い、ペレット状物を作製した。得られたペレット状物を150℃で6時間乾燥した後、射出成型機(東芝機械社製IS−75)により、金型温度145℃、シリンダー温度300〜340℃で、外径12.5mm、内径8.3mm、幅14mの円筒状の回転軸受け、及び電気抵抗率測定のための平板を作製した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

Figure 0004209974
【0037】
(脚注)
(1)PTFE:ポリテトラフルオロエチレン粉末(喜多村社製、KT−400M)
(2)カーボンブラック:DBP吸油量500ml/100gの導電性カーボンブラック、ケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)
(3)タルク:クラウンタルクDR(松村産業株式会社)
(4)CF:炭素繊維、カーボンファイバー M−107T(呉羽化学工業社製)
(5)カーボンビーズ:ベルパール C−8000(鐘紡社製)
【0038】
考察
表1に示された実験結果から明らかなように、PAS30〜79重量%、フッ素樹脂50〜20重量%、及び導電性カーボンブラック1〜20重量%の範囲で配合した樹脂組成物からなる搬送装置用回転軸受(参考例1〜3及び実施例1〜)は、電気抵抗率が低いため十分な帯電防止効果を発揮するとともに、動摩擦係数が低く、摺動特性に優れる。さらに実用試験においても、摺動性、耐摩耗性に優れ、回転軸と摺動しても振動や音が発生したりすることがない。さらに、少量の劈開性充填剤を配合した本発明の搬送装置用回転軸受け(実施例1〜2)は、耐摩耗性及び摺動特性をさらに改善することができる。
これに対して、導電性カーボンブラック及びPTFE未充填の摺動部材(比較例1)は、動摩擦係数が高いため摺動性に劣り、さらに絶縁材料であるため、帯電防止効果がない。PTFEの配合割合が少ない摺動部材(比較例2)では、摺動特性、耐摩耗性に劣り、回転軸受けとして使用することができない。多量の炭素繊維を充填した摺動部材(比較例3)と参考例1のPAS樹脂の一部をカーボンビーズに置き換えた摺動部材(比較例4)は、電気抵抗率が低いため、十分な帯電防止効果を発揮するとともに、動摩擦係数が低く摺動特性に優れるが、回転軸との摺動により振動や音が発生し、実用に供することができない。フッ素樹脂未充填の摺動部材(比較例5)は、動摩擦係数が高く、実用試験においても摺動性及び耐摩耗性が不充分であった。PTFEの配合量が55%と高くした摺動部材(比較例6)は、射出成型で得られる部材の外観が著しく不良となった。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性、摺動性、摩擦特性、耐摩耗性、機械的物性などに優れ、しかも電気抵抗率を所望の範囲に制御して帯電防止性を付与することができる搬送装置用摺動部材が提供される。また、本発明の搬送用摺動部材は、相手材を損傷したり、回転軸を振動させたり、摩擦による音を発生させたりすることがない。本発明の搬送用摺動部材は、特に半導体搬送装置などの回転軸受け、搬送ローラ、プーリなどの用途に好適である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a sliding member for a conveying device formed from a resin material. More specifically, the sliding member for a conveying device formed by molding a resin composition containing polyarylene sulfide, a fluororesin, and conductive carbon black. It relates to members. The sliding member for a transport device of the present invention is excellent in heat resistance, slidability, friction characteristics, wear resistance, mechanical properties, etc., and further, the antistatic property is controlled by controlling the electric resistivity within a desired range. Since it can be applied, it is particularly suitable for applications such as rotating bearings, transport rollers, pulleys, etc. for semiconductor transport devices.
[0002]
[Prior art]
Polyarylene sulfide (hereinafter abbreviated as PAS), represented by polyphenylene sulfide (hereinafter abbreviated as PPS), is an engineering plastic with excellent heat resistance, flame resistance, chemical resistance, dimensional stability, mechanical properties, etc. Yes, its application is expanding as electrical / electronic parts, precision machine parts, automobile parts, etc.
In recent years, the demand for PAS has been increased in applications as sliding members such as bearings and gears by taking advantage of the above-mentioned characteristics. In general, sliding members made of synthetic resin have excellent heat resistance, sliding properties (sliding properties, low dynamic friction coefficient, wear resistance), mechanical properties, etc., and precision molding is possible by injection molding. Is required not to damage the counterpart material. In addition, the sliding member made of synthetic resin may be required to have conductivity sufficient not to generate static electricity. Furthermore, in applications such as a rotary bearing, it is required that the rotary shaft not vibrate or generate a frictional sound by sliding with the rotary shaft. However, it has been difficult to sufficiently satisfy these various characteristics with a conventionally known PAS sliding member. Hereinafter, these points will be specifically described.
[0003]
In general, in a conveying device using belt transmission, a driving force of a motor is transmitted to a rotating shaft or a conveying roller via a belt, and the conveying force is obtained by rotating a conveying roller mounted on the rotating shaft. In such a conveying apparatus, a sliding member such as a rotating bearing that fixes the rotating shaft, a conveying roller mounted on the rotating shaft, and a pulley that transmits the driving force of the motor to the rotating shaft is used. That is, in such a conveyance device, the rotation shaft and the rotation bearing, the conveyance roller and the rotation shaft, the belt and the pulley, and the belt and the conveyance roller slide, respectively. It is necessary to select a material with excellent sliding characteristics. Further, in a type of conveying device that transmits a driving force to a rotating shaft via a gear or the like instead of a belt, the gear also requires sliding characteristics.
[0004]
Conventionally, when applying PAS to sliding members, in order to improve friction and wear characteristics, mechanical strength, etc., fibrous reinforcements such as lubricants such as fluororesin, aramid fibers, potassium titanate fibers, carbon fibers, etc. It has been proposed to blend the materials. For example, Japanese Patent Laid-Open No. 3-292366 proposes an abrasion-resistant resin composition made of a filler such as PPS, fluororesin, and aramid fiber. Japanese Laid-Open Patent Publication No. 4-63866 proposes a resin composition for a magnet roll gap holding roller of a developing device in which a reinforcing material such as an aramid fiber or potassium titanate fiber and a lubricant are contained in PPS. Japanese Patent Laid-Open No. 2-287553 proposes a resin composition for a sliding member in which polytetrafluoroethylene resin powder, pitch-based carbon fibers, and carbon beads are blended with a heat-resistant thermoplastic resin such as PAS. . Japanese Patent Laid-Open No. 10-36679 proposes a resin composition for a sliding member in which a potassium titanate whisker, carbon fiber, and polytetrafluoroethylene are blended with a thermoplastic resin such as PPS.
[0005]
However, since fibrous reinforcing materials such as aramid fiber, potassium titanate fiber, and carbon fiber are all very hard materials, a sliding member formed from a PAS resin composition containing these fibrous reinforcing materials is used. There is a problem that the sliding counterpart material is easily damaged, and the friction and wear characteristics are deteriorated due to the damage. In addition, when a sliding member containing such a fibrous reinforcing material is applied to a rotating bearing of a transport device, a hard fibrous filler protrudes from the sliding surface between the rotating shaft and the rotating bearing, thereby rotating the rotating shaft. There was a problem of generating vibration or noise due to friction.
[0006]
In JP-A-5-117678, in a heat-resistant sliding bearing for heat fixing for an electrophotographic apparatus, PPS resin includes tetrafluoroethylene resin, molten fluororesin, aromatic polyester resin, polyimide resin, poly A heat-resistant sliding bearing made of a resin composition in which one or more heat-resistant synthetic resins selected from the group consisting of an ether ketone resin, an aromatic polyamide resin, and a phenol resin are added as an essential component has been proposed. Since this heat-resistant sliding bearing does not contain a hard fibrous filler such as carbon fiber, there is no problem of damaging the counterpart material. However, this heat-resistant sliding bearing has poor compatibility with each component, insufficient mechanical properties, insufficient sliding characteristics and creep characteristics, and does not have an antistatic function.
[0007]
On the other hand, in a transport device for semiconductors (semiconductor elements, semiconductor components, integrated circuit components, mounted components, etc.), the semiconductor on the transport device may be destroyed by static electricity generated by friction between the rotating shaft and the rotating bearing. There was a problem that the yield was bad. However, conventionally, it has moderate conductivity that does not generate static electricity, and at the same time, it does not vibrate the rotating shaft or generate frictional noise by sliding with the rotating shaft, and has excellent sliding characteristics. There is no provided synthetic resin sliding member.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
The object of the present invention is excellent in heat resistance, slidability, friction characteristics, abrasion resistance, mechanical properties, etc., and can convey antistatic properties by controlling the electrical resistivity to a desired range. The object is to provide a sliding member for an apparatus.
Another object of the present invention is to provide a sliding member for a conveying device that does not damage a mating member, vibrate a rotating shaft, or generate a sound due to friction.
[0009]
  As a result of intensive studies to overcome the problems of the prior art, the present inventors have found that polyarylene sulfide, fluororesin, GuidanceElectric carbon blackAnd a filler having a cleavage propertyIt has been found that a resin composition suitable for the resin material of the sliding member for a conveying device can be obtained without substantially containing a fibrous reinforcing material by blending in an appropriate amount ratio. The sliding member formed by molding the resin composition is excellent in heat resistance, sliding characteristics (sliding property, low dynamic friction coefficient, wear resistance), mechanical properties and the like, and also has antistatic properties. Yes. Therefore, when this sliding member is applied to the rotating bearing, the conveying roller, the pulley, etc. of the conveying device, the counterpart material is not damaged, the rotating shaft is vibrated, and no sound is generated due to friction. There is no risk of semiconductor breakdown due to static electricity.
  The present invention has been completed based on these findings.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
  According to the present invention, the melt viscosity measured at 310 ° C. and a shear rate of 1200 / sec is25 to 450 Pa · sPolyarylene sulfide (A)45~54.5% By weight, fluororesin (B)40~48weight%,DBP oil absorption of 400-600ml / 100gConductive carbon black (C)2~7weight%,And a filler (D) having a cleavage property selected from the group consisting of graphite, talc, mica and clay, 1 to 5% by weightContainsAnd does not contain fibrous reinforcement (E)Molded resin composition1 × 10 1 ~ 1x10 13 Has a resistivity in the range of Ω · cmA sliding member for a conveying device is provided.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Polyarylene sulfide (PAS)
The PAS used in the present invention is an aromatic polymer mainly composed of an arylene sulfide repeating unit represented by the formula [—Ar—S—] (wherein —Ar— is an arylene group). . When [—Ar—S—] is defined as 1 mol (basic mol), the PAS used in the present invention usually contains 50 mol% or more, preferably 70 mol% or more, more preferably 90 mol% of this repeating unit. It is a polymer containing above.
Examples of the arylene group include a p-phenylene group, an m-phenylene group, a substituted phenylene group (the substituent is preferably an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms, or a phenylene group), p, p'-di- Examples thereof include a phenylene sulfone group, p, p′-biphenylene group, p, p′-diphenylenecarbonyl group, and naphthylene group. As the PAS, a polymer mainly having the same arylene group can be preferably used, but from the viewpoint of processability and heat resistance, a copolymer containing two or more arylene groups can also be used.
[0012]
  Among these PASs, PPS having a repeating unit of p-phenylene sulfide as a main constituent element is particularly preferable since it is excellent in processability and easily industrially available. In addition, polyarylene ketone sulfide, polyarylene ketone ketone sulfide, and the like can be used. Specific examples of the copolymer include a random or block copolymer having a repeating unit of p-phenylene sulfide and a repeating unit of m-phenylene sulfide, a repeating unit of phenylene sulfide and a repeating unit of arylene ketone ketone sulfide.LeeExamples thereof include random or block copolymers having a repeating unit of lensulfone sulfide. These PAS are preferably crystalline polymers. PAS is preferably a linear polymer from the viewpoint of toughness and strength.
[0013]
Such a PAS can be obtained by a known method (for example, Japanese Patent Publication No. 63-33775) in which an alkali metal sulfide and a dihalogen-substituted aromatic compound are subjected to a polymerization reaction in a polar solvent.
Examples of the alkali metal sulfide include lithium sulfide, sodium sulfide, potassium sulfide, rubidium sulfide, and cesium sulfide. Sodium sulfide produced by reacting NaSH and NaOH in the reaction system can also be used.
[0014]
Examples of the dihalogen-substituted aromatic compound include p-dichlorobenzene, m-dichlorobenzene, 2,5-dichlorotoluene, p-dibromobenzene, 2,6-dichloronaphthalene, 1-methoxy-2,5-dichlorobenzene, 4,4'-dichlorobiphenyl, 3,5-dichlorobenzoic acid, p, p'-dichlorodiphenyl ether, 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone, 4,4'-dichlorodiphenyl sulfoxide, 4,4'-dichlorodiphenyl ketone And so on. These can be used alone or in combination of two or more.
[0015]
In order to introduce some branched structure or crosslinked structure into PAS, a small amount of polyhalogen-substituted aromatic compound having 3 or more halogen substituents per molecule can be used together. Preferred examples of the polyhalogen-substituted aromatic compound include 1,2,3-trichlorobenzene, 1,2,3-tribromobenzene, 1,2,4-trichlorobenzene, 1,2,4-tribromobenzene, Examples include trihalogen-substituted aromatic compounds such as 1,3,5-trichlorobenzene, 1,3,5-tribromobenzene, 1,3-dichloro-5-bromobenzene, and alkyl-substituted products thereof. These can be used alone or in combination of two or more. Among these, 1,2,4-trichlorobenzene, 1,3,5-trichlorobenzene, and 1,2,3-trichlorobenzene are more preferable from the viewpoints of economy, reactivity, and physical properties.
[0016]
Examples of polar solvents include N-alkylpyrrolidone such as N-methyl-2-pyrrolidone (hereinafter abbreviated as NMP), 1,3-dialkyl-2-imidazolidinone, tetraalkylurea, hexaalkylphosphoric triamide and the like. The aprotic organic amide solvent is preferable because the stability of the reaction system is high and a high molecular weight polymer is easily obtained.
[0017]
  PAS has a melt viscosity measured at 310 ° C. and a shear rate of 1200 / sec of 20 Pa · s or more, preferably 20 Pa · s to 500 Pa · s, more preferably 25 Pa · s to 450 Pa · s.The melt viscosity of the PAS used in the present invention is 25 Pa · s to 450 Pa · s.If the melt viscosity of PAS is too small, the mechanical properties may be insufficient. If the melt viscosity of PAS is too large, the moldability in injection molding or extrusion molding may be insufficient.
  The PAS used in the present invention can be washed after the completion of the polymerization, but is further treated with an aqueous solution containing an acid such as hydrochloric acid or acetic acid, or a water-organic solvent mixed solution, or chlorinated. It is preferable to use one that has been treated with a salt solution such as ammonium. In particular, when PAS having a pH of 8 or less in a water-organic solvent mixture adjusted to acetone / water = 1: 2 by post-treatment after polymerization is used, the fluidity and mechanical properties are further improved. be able to.
[0018]
The PAS used in the present invention is preferably a granular material having an average particle diameter of 100 μm or more. If the average particle size of the PAS is too small, the feed amount is limited during melt extrusion by the extruder, so the residence time of the resin composition in the extruder becomes long, and the problem of deterioration of the resin composition may occur. There is. Further, it is not desirable in terms of manufacturing efficiency.
[0019]
  The blending ratio of PAS is 30 to 79% by weight, preferably 40 to 75% by weight, more preferably 45 to 75% by weight, based on the total amount of the resin composition.The blending ratio of PAS used in the present invention is 45 to 54.5% by weight.When the blending ratio of PAS is too small, the mechanical strength is lowered and the creep characteristics may be insufficient. Moreover, when there are too few blend ratios of PAS, when using polytetrafluoroethylene as a fluororesin, there exists a possibility that injection moldability and extrusion moldability may become inadequate. When the blending ratio of PAS is too large, good sliding characteristics cannot be obtained, and the conductivity may be insufficient.
[0020]
Fluorine resin
  The fluororesin used in the present invention is not particularly limited. For example, polytetrafluoroethylene (PTFE), tetrafluoroethylene / hexafluoropropylene copolymer (FEP), tetrafluoroethylene / perfluoroalkyl vinyl ether copolymer ( PFA), polychlorotrifluoroethylene (PCTFE), polyvinylidene fluoride (PVDF), vinylidene fluoride / hexafluoropropylene / tetrafluoroethylene copolymer, polyvinyl fluoride, ethylene / tetrafluoroethylene copolymer (ETFE), Ethylene / chlorotrifluoroethylene copolymer (ECTFE), propylene / tetrafluoroethylene copolymer, tetrafluoroethylene / perfluoroalkyl perfluorovinyl ether copolymer, vinylide fluoride / Hexafluoropropylene copolymer, vinylidene fluoride / chlorotrifluoroethylene copolymer, tetrafluoroethylene / ethylene / isobutylene copolymer, ethylene / hexafluoropropylene copolymer, tetrafluoroethylene / ethyl vinyl ether copolymer, etc. Can be mentioned. Among these, PTFE, FEP, PFA, and the like are preferable in terms of heat resistance and sliding characteristics. These fluororesins can be used alone or in combination of two or more.
  The compounding ratio of the fluororesin in the resin composition is 20 to 50% by weight, preferably 23 to 50% by weight, and more preferably 23 to 48% by weight.In the present invention, the blending ratio of the fluororesin is 40 to 48% by weight.If the blending ratio of the fluororesin is too large, the creep characteristics and moldability will be insufficient, and if the blending ratio of the fluororesin is too small, the sliding characteristics may be insufficient.
[0021]
Conductive carbon black
The conductive carbon black used in the present invention is not particularly limited as long as it is conductive carbon black. For example, acetylene black, oil furnace black, thermal black, and channel black can be used. In order to minimize the deterioration of mechanical properties and moldability due to the addition of conductive carbon black, it is preferable to develop conductivity or semiconductivity with a small amount of addition. From this viewpoint, the DBP oil absorption is 360 ml / 100 g or more of conductive carbon black can be suitably used.
[0022]
The DBP oil absorption of the conductive carbon black can be measured by a method defined by ASTM D2414. Specifically, conductive carbon black is put into a chamber of a measuring apparatus (Absorpotometer), and DBP (n-dibutyl phthalate) is added into the chamber at a constant rate. As the DBP is absorbed, the viscosity of the conductive carbon black increases, and the DBP oil absorption is calculated from the amount of DBP absorbed up to a certain point. The viscosity is detected with a torque sensor.
[0023]
  If the DBP oil absorption of the conductive carbon black is too small, the resin compositionobjectIn order to reduce the resistivity to a desired level, it is necessary to add a large amount of conductive carbon black, which may cause a decrease in moldability and mechanical properties. The upper limit of the DBP oil absorption amount of the conductive carbon black is usually about 750 ml / 100 g. The DBP oil absorption is preferably about 400 to 600 ml / 100 g.In this invention, it is 400-600 ml / 100g.
  The blending ratio of the conductive carbon black depends on the conductivity of the conductive carbon black, the structure, the DBP oil absorption, the melt viscosity of the PAS resin, the target resistivity of the resin composition, and the like. Considering these comprehensively, the blending ratio of the conductive carbon black is 1 to 20% by weight, preferably 2 to 10% by weight, more preferably about 2 to 7% by weight, based on the total amount of the resin composition. is there.In this invention, it is 2 to 7 weight%.
[0024]
  If the blending ratio of the conductive carbon black is too large, the moldability and mechanical properties are lowered, and if it is too small, it is difficult to achieve a desired resistivity. The resin composition used in the present invention has a resistivity of 1 × 10.0~ 1x1015It is preferably within the range of Ω · cm. This resistivity is more preferably 1 × 101~ 1x1013It is in the range of Ω · cm.In the present invention, 1 × 10 1 ~ 1x10 13 It is in the range of Ω · cm.If the resistivity is too high, the antistatic property becomes insufficient. It is possible to achieve a desired resistivity within the range of the blending ratio of the conductive carbon black.
[0025]
filler
In addition to the components described above, various fillers can be blended in the sliding member for a conveying device of the present invention as necessary.
Examples of the filler include mica, silica, talc, alumina, kaolin, calcium sulfate, calcium carbonate, titanium oxide, ferrite, clay, graphite, glass powder, zinc oxide, nickel carbonate, iron oxide, quartz powder, magnesium carbonate, Particulate or powder fillers such as barium sulfate can be mentioned.
[0026]
  Among these fillers, fillers having a cleavage property such as graphite, talc, mica, clay, etc. suppress the amount of wear while maintaining the excellent sliding characteristics of the sliding member for the conveying device. Since durability can be improved dramatically, it is preferable. Among these, graphite is particularly preferable because it has an effect of greatly suppressing wear.In the present invention, a filler having a cleavage property selected from the group consisting of graphite, talc, mica and clay is used.On the other hand, a hard filler such as carbon beads is not preferable because, like the hard fibrous filler, the rotating shaft is vibrated or a sound due to friction is generated.
  These fillers can be used alone or in combination of two or more. These fillers are generally used in a proportion of 20% by weight or less, preferably 15% by weight or less, more preferably 10% by weight or less, based on the total amount of the resin composition. In many cases, the filler having cleaving property can obtain a sufficient effect of improving wear resistance with a blending amount of 5% by weight or less, typically about 1 to 5% by weight.The amount of the filler used in the present invention is 1 to 5% by weight.
[0027]
  The sliding member for the conveying device of the present invention does not substantially contain a hard fibrous filler (fibrous reinforcing material), which damages the mating material, vibrates the rotating shaft, or generates noise due to friction. Not preferred. In this invention, a fibrous reinforcement is not contained.
[0028]
Further, the filler may be treated with a sizing agent or a surface treatment agent as necessary. Examples of the sizing agent or surface treating agent include functional compounds such as epoxy compounds, isocyanate compounds, silane compounds, and titanate compounds. These compounds may be used after being subjected to surface treatment or sizing treatment on the filler in advance, or may be added simultaneously with the preparation of the composition. However, in applications where contamination by the bleed component from the sliding member is severely restricted, such as a sliding member for a semiconductor transfer device, it is not preferable to add a compound that easily bleeds.
[0029]
Other additives
In the resin composition of the present invention, as other additives other than the filler, for example, an impact modifier such as an epoxy group-containing α-olefin copolymer, a resin modifier such as ethylene glycidyl methacrylate, pentaerythritol Lubricants such as tetrastearate, thermosetting resins, antioxidants, ultraviolet absorbers, nucleating agents such as poron nitride, flame retardants, colorants such as dyes and pigments, and the like can be appropriately added. However, as described above, in applications where the contamination by the bleed component from the sliding member is severely restricted, such as a sliding member for a semiconductor transport device, it is not preferable to use a low molecular weight material that easily bleeds.
[0030]
Resin composition
In the present invention, the resin composition can be prepared by the equipment and method generally used for preparing the thermoplastic resin composition, using the predetermined amount of each component as described above. For example, each raw material component is premixed using a mixer such as a Henschel mixer or tumbler, and if necessary, an additive such as a filler is added and further mixed, and then a single or twin screw extruder is used. Kneaded and melt extruded to form pellets for molding. A method of mixing a part of the necessary ingredients with the remaining ingredients and mixing with the remaining ingredients. In addition, in order to improve the dispersibility of each ingredient, part of the raw materials to be used are pulverized, mixed with a uniform particle size, and melt extruded. It is also possible. Further, the molding pellets can be molded into a sliding member for a conveying device by a general melt molding method such as injection molding or extrusion molding.
[0031]
Sliding member for transfer device
Although it does not specifically limit as a sliding member for conveying apparatuses, For example, a rotation bearing, a roller bearing, a sliding bearing, a conveyance roller, a pulley etc. can be mentioned. More specific applications include, for example, electrophotographic copying machines, laser beam printers, electrostatic recording, taking advantage of various properties such as heat resistance, slidability, friction / wear characteristics, mechanical properties, and appropriate resistivity. Various sliding members in the image forming apparatus such as the apparatus, for example, a gap holding roller bearing of the developing roll, a sliding bearing of the heating roller in the fixing unit, and a sliding bearing of the pressure roller can be exemplified.
In addition, the sliding member for the transport device of the present invention is excellent in antistatic property, high temperature rigidity, flame resistance, heat resistance, chemical resistance, dimensional stability, creep resistance characteristics, etc., and is free from contamination by bleed components. In particular, it is suitable for applications such as rotating bearings, transport rollers, pulleys, etc. for semiconductor transport devices.
[0032]
【Example】
  Examples below, Reference examples,The present invention will be described more specifically with reference to comparative examples, but the present invention is not limited to these examples.
  In addition, the measuring method of a physical property is as showing below.
(1) resistivity
  The resistivity was measured in accordance with JIS K7194 (Resistivity measurement test method based on conductive probe 4-probe method).
(2) Coefficient of dynamic friction
  Load 5 × 105Under the conditions of Pa, speed 0.2 m / s, mating material aluminum, and running time 15 hours, a Suzuki friction and wear test was performed to determine a dynamic friction coefficient.
(3) Evaluation of sliding member for conveying device
  A rotating bearing is created as a sliding member for conveyance, and this is incorporated into the conveyance device. The sliding property (the smaller the friction coefficient and the smoother the sliding, the better), and the wear resistance (the smaller the amount of wear, the better). The vibration (the smaller the better) and the sound (the smaller the better) were each evaluated in the following four stages. In addition, the load applied to the rotating bearing sliding surface of the conveying device is about 4 kg, the relative speed of the sliding surface with the rotating shaft is 30 m / s, and the material of the rotating shaft is SUS304.
A: Very good,
○: Good,
Δ: Slightly bad
X: Bad.
(4) Melt viscosity
  The melt viscosity of PAS was measured using a capillograph (manufactured by Toyo Seiki Co., Ltd.) under conditions of a temperature of 310 ° C. and a shear rate of 1200 / sec.
(5) pH of PAS
  The pH of PAS was measured in a mixed solvent of acetone: water = 1: 2 (volume ratio). More specifically, 50 ml of acetone is added to 20 g of the polymer and mixed well, 100 ml of ion exchange water is further added, and the mixture is shaken for 30 minutes with a shaker, and then the supernatant 60ml was collected and its pH was measured.
[0033]
[Synthesis Example 1]Synthesis of PAS (A)
In a polymerization can, 720 kg of N-methylpyrrolidone (NMP) and 46.21 wt% sodium sulfide (Na2Sodium sulfide and pentahydrate 420 kg containing S) were charged, and after substitution with nitrogen gas, the temperature was gradually raised to 200 ° C. while stirring to distill 160 kg of water. At this time, 62 mol of H at the same time2S volatilized.
After the dehydration step, 364 kg of p-dichlorobenzene (pDCB) and 250 kg of NMP were added to the polymerization can and reacted at 220 ° C. for 4.5 hours while stirring. Thereafter, 59 kg of water was injected while stirring, and the temperature was raised to 255 ° C. and reacted for 5 hours. After completion of the reaction, the mixture was cooled to near room temperature, and the contents were passed through a 100-mesh screen, the granular polymer was sieved, washed with acetone twice and further washed with water three times to obtain a washed polymer. Further, the washed polymer was washed with a 3% aqueous ammonium chloride solution and then washed with water. After dehydration, the recovered granular polymer was dried at 105 ° C. for 3 hours. The yield of the polymer (A) thus obtained was 89%, the melt viscosity was 140 Pa · s, the pH was 6.5, and the average particle size was about 900 μm.
[0034]
[Synthesis Example 2]Synthesis of PAS (B)
In a polymerization tank, 720 kg of NMP and 420 kg of sodium sulfide pentahydrate containing 46.21% by weight of sodium sulfide were charged. After replacing with nitrogen gas, the temperature was gradually raised to 200 ° C. with stirring, and 158 kg of water was retained. I made it come out. At the same time, 62 mol of H2S volatilized.
After the dehydration step, 371 kg of pDCB and 189 kg of NMP were added to the polymerization can and reacted at 220 ° C. for 4.5 hours while stirring. Thereafter, 49 kg of water was injected while stirring, and the temperature was raised to 255 ° C. and reacted for 5 hours. After completion of the reaction, the mixture was cooled to near room temperature, and the contents were passed through a 100-mesh screen, the granular polymer was sieved, washed with acetone twice and further washed with water three times to obtain a washed polymer. Further, this washing polymer was washed with 0.6% ammonium chloride aqueous solution and then washed with water. After dehydration, the recovered granular polymer was dried at 105 ° C. for 3 hours. The yield of the polymer (B) thus obtained was 92%, the melt viscosity was 55 Pa · s, the pH was 6.2, and the average particle size was about 500 μm.
[0035]
[Reference Examples 1-3,Example1, 2,Comparative Examples 1-6]
  Each component of the composition shown in Table 1 is uniformly dry blended with a Henschel mixer, then supplied to a 45 mmφ twin-screw kneading extruder (PCM-45 manufactured by Ikegai Steel Corporation) and kneaded at a cylinder temperature of 260 to 340 ° C. A pellet was produced. The obtained pellet-like material was dried at 150 ° C. for 6 hours, and then was injected with an injection molding machine (IS-75 manufactured by Toshiba Machine Co., Ltd.) at a mold temperature of 145 ° C., a cylinder temperature of 300 to 340 ° C., an outer diameter of 12.5 mm, A cylindrical rotary bearing having an inner diameter of 8.3 mm and a width of 14 m and a flat plate for measuring electrical resistivity were prepared. The results are shown in Table 1.
[0036]
[Table 1]
Figure 0004209974
[0037]
(footnote)
(1) PTFE: Polytetrafluoroethylene powder (Kitamura Co., Ltd., KT-400M)
(2) Carbon black: conductive carbon black with DBP oil absorption of 500 ml / 100 g, ketjen black EC600JD (manufactured by Lion)
(3) Talc: Crown Talc DR (Matsumura Sangyo Co., Ltd.)
(4) CF: carbon fiber, carbon fiber M-107T (manufactured by Kureha Chemical Industry Co., Ltd.)
(5) Carbon beads: Bell Pearl C-8000 (manufactured by Kanebo Co., Ltd.)
[0038]
Consideration
  As is apparent from the experimental results shown in Table 1, a transport apparatus comprising a resin composition blended in the range of 30 to 79% by weight of PAS, 50 to 20% by weight of fluororesin, and 1 to 20% by weight of conductive carbon black. Rotating bearing (Reference Examples 1-3 andExample 12) Exhibits a sufficient antistatic effect due to its low electrical resistivity, and has a low dynamic friction coefficient and excellent sliding properties. Furthermore, in practical tests, it is excellent in slidability and wear resistance, and no vibration or sound is generated even when sliding with the rotating shaft. furtherSmallFormulated amount of cleaving fillerOf the present inventionRotating bearing for conveyor (Example)1-2) Can further improve wear resistance and sliding properties.
  On the other hand, the sliding member (Comparative Example 1) not filled with conductive carbon black and PTFE is inferior in slidability because of a high dynamic friction coefficient, and further, since it is an insulating material, there is no antistatic effect. A sliding member (Comparative Example 2) with a small proportion of PTFE is inferior in sliding characteristics and wear resistance, and cannot be used as a rotary bearing. A sliding member (Comparative Example 3) filled with a large amount of carbon fiber;referenceThe sliding member (Comparative Example 4) in which a part of the PAS resin of Example 1 is replaced with carbon beads has a low electrical resistivity, so that it exhibits a sufficient antistatic effect and has a low dynamic friction coefficient and excellent sliding characteristics. However, vibration and sound are generated by sliding with the rotating shaft and cannot be put to practical use. The sliding member not filled with the fluororesin (Comparative Example 5) had a high dynamic friction coefficient, and was insufficient in sliding property and wear resistance even in a practical test. The sliding member (Comparative Example 6) in which the blending amount of PTFE was as high as 55% was remarkably poor in appearance of the member obtained by injection molding.
[0039]
【The invention's effect】
  According to the present invention, heat resistance, slidability, friction characteristics, wear resistance, mechanical properties, etc. are excellent, and the electrical resistivity is controlled within a desired range to provide antistatic properties.TogaA sliding member for a transfer device is provided. Moreover, the conveying sliding member of the present invention does not damage the mating member, vibrate the rotating shaft, or generate a sound due to friction. The transport sliding member of the present invention is particularly suitable for applications such as a rotary bearing, a transport roller, a pulley, etc., such as a semiconductor transport device.

Claims (2)

310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が25〜450Pa・sのポリアリーレンスルフィド(A)4554.5重量%、フッ素樹脂(B)4048重量%、400〜600ml/100gのDBP吸油量を有する導電性カーボンブラック(C)重量%、及び黒鉛、タルク、マイカ及びクレーからなる群より選ばれる劈開性を有する充填剤(D)1〜5重量%を含有し、かつ繊維状補強材(E)を含有しない樹脂組成物を成形してなる、1×10 〜1×10 13 Ω・cmの範囲内の抵抗率を有する搬送装置用摺動部材。 45 to 54.5 % by weight of polyarylene sulfide (A) having a melt viscosity of 25 to 450 Pa · s measured at 310 ° C. and a shear rate of 1200 / sec, 40 to 48 % by weight of fluororesin (B), 400 to 600 ml / 100 g conductive carbon black having a DBP oil absorption amount (C) 2 ~ 7 wt%, and contains graphite, talc, 1 to 5% by weight filler (D) having a cleavage property selected from the group consisting of mica and clay And the sliding member for conveyance apparatuses which has a resistivity in the range of 1 * 10 < 1 > -1 * 10 < 13 > (omega | ohm) cm formed by shape | molding the resin composition which does not contain a fibrous reinforcement (E) . 半導体搬送装置用回転軸受け、半導体搬送装置用搬送ローラ、及び半導体搬送装置用プーリからなる群より選ばれる搬送装置用摺動部材である請求項1に記載の搬送装置用摺動部材。The sliding member for a transport apparatus according to claim 1, which is a sliding member for a transport apparatus selected from the group consisting of a rotary bearing for a semiconductor transport apparatus, a transport roller for a semiconductor transport apparatus, and a pulley for a semiconductor transport apparatus .
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