JP4209170B2 - フィルム一体型キートップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話に代表される移動端末、各種携帯情報端末等の電子機器に用いられる押し釦スイッチであるキートップに関するものである。さらに詳しくは、樹脂キートップの表面にフィルムが一体化され、良好な操作性と耐摩耗性を発揮することができるフィルム一体型キートップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器の押し釦スイッチ用カバー部材であるキートップは、キートップ本体の表面側に防水性等を付与するためのフィルムが一体化されたフィルム一体型キートップが薄型かつ軽量であることから広く用いられている。
【0003】
この種のフィルム一体型キートップとしては、フィルムとしてポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルムの両面にナイロンフィルムをラミネートしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このフィルム一体型キートップは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルムによって、キートップに弾力性を付与し、キートップの表面を指先で押圧する際に指先が滑りにくいようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−172379号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近の携帯電話等の小型化された電子機器を使用する際には、電子機器を片手で持ってその手の親指でキートップを押圧する片手操作をすることが多い。また、キー入力する際に、爪でキートップを押圧操作することが多い。このような最近の電子機器の使用方法に伴って、上記従来の技術におけるフィルム一体型キートップでは、キートップの表面におけるキズの形成を十分に抑制することができないという問題があった。
【0006】
また、携帯電話等の電子機器では、入力情報等を表示する液晶画面が設けられ、その液晶画面をキートップの表面に重ね合わせるように折りたたむ折りたたみ式電子機器が主流となっている。このとき、キートップの表面にキズが形成されていると、そのキズによって液晶画面にもキズが形成されてしまうことが多い。このような折りたたみ式の電子機器に対して、上記従来の技術におけるフィルム一体型キートップでは、キートップの表面におけるキズの形成を十分に抑制することができず、液晶画面にキズが形成されてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、良好な操作性を維持できるとともに、キズの形成を十分に抑制することができるフィルム一体型キートップを提供することにある。その他の目的とするところは、折りたたみ式電子機器に対して、その液晶画面におけるキズの形成を十分に抑制することができるフィルム一体型キートップを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明のフィルム一体型キートップでは、樹脂からなるキートップ本体と、該キートップ本体の表面側に一体化されるフィルムとを備えたフィルム一体型キートップにおいて、前記フィルムは樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの表面側に一体化される積層フィルムとを備え、該積層フィルムは複数の弾性層から構成され、該弾性層は軟質弾性層と、該軟質弾性層よりも高い硬度を有する硬質弾性層とからなり、前記軟質弾性層の表面に前記硬質弾性層が設けられ、前記硬質弾性層の厚さに対する前記軟質弾性層の厚さの比率(比率=軟質弾性層の厚さ/前記硬質弾性層の厚さ)が1.5〜80であり、前記硬質弾性層は架橋構造を有する樹脂からなり、前記硬質弾性層の表面を押圧操作するように構成したものである。
【0009】
請求項2に記載の発明のフィルム一体型キートップでは、請求項1に記載の発明において、さらに、前記軟質弾性層は架橋構造を有するゴム状弾性材料からなるものである。
【0010】
請求項3に記載の発明のフィルム一体型キートップでは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記硬質弾性層は、未架橋構造の樹脂をコーティングした後、該未架橋構造の樹脂に架橋構造が形成されたものである。
請求項4に記載の発明のフィルム一体型キートップでは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記軟質弾性層の硬度はタイプAデュロメータで40度以上90度未満であり、前記硬質弾性層の硬度はタイプAデュロメータで90度以上であるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図4に示すように、携帯電話等の入力キー部の表面には、フィルム一体型キーシート11が設けられ、このフィルム一体型キーシート11には押釦スイッチとなる複数のフィルム一体型キートップ12(以下、単にキートップ12と記載することがある。)が配設されている。
【0012】
図1に示すように、キートップ12は突状のキートップ本体13の表面にフィルム14が被覆され、キートップ本体13とフィルム14が一体化されたものである。また、フィルム14は、樹脂フィルム15の表面側に積層フィルム16が一体化されたものである。さらに、積層フィルム16は複数の弾性層から構成されている。この弾性層は軟質弾性層17と硬質弾性層18とから構成され、軟質弾性層17の表面に硬質弾性層18が設けられたものである。
【0013】
キートップ本体13は、所定の大きさ、所定の数及び所定の位置に使用目的に応じて配設される。このキートップ本体13は、射出成形法等の成形法によって樹脂から成形される。樹脂の具体例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/塩素化ポリスチレン/スチレン共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、剛性、透光性、耐熱性、コスト面、加工し易さ等の面から好ましくはポリカーボネート樹脂である。
【0014】
樹脂フィルム15は、熱可塑性樹脂等の合成樹脂によって形成される。樹脂フィルム15の具体例としては、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ビニル系フィルム、フッ素系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアセテートフィルム、ポリアミド系フィルム、アイオノマーフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。この樹脂フィルム15の厚さは、好ましくは10〜150μm、より好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜80μmである。この厚さが10μm未満であると、キートップ本体13と一体化させることが困難となるおそれがある。一方、150μmを超えると、電子機器の軽量化を妨げたり、キートップ12の押圧操作がしにくくなったりするおそれがある。
【0015】
軟質弾性層17は、硬質弾性層18より低い硬度を有し、キートップ12を爪、指先等で押圧した場合、キートップ12に適度な柔軟性を付与するものである。軟質弾性層17は、キートップ12の表面に爪痕等の窪みが付きにくく、液晶画面等にキズが付きにくいことから、好ましくは架橋されたゴム状弾性材料である。架橋されたゴム状弾性材料としては熱可塑性エラストマー、合成ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。架橋されたゴム状弾性材料の中でも、環境温度による弾性力の変化が少ないことから、好ましくは架橋タイプのシリコーンゴムである。
【0016】
軟質弾性層17の硬度は、JIS K 6253Aに準拠してタイプAデュロメータによって測定した場合、好ましくは40以上90度未満、より好ましくは50以上80度未満、さらに好ましくは60以上75度未満である。この硬度が40度未満であると、柔軟性が高すぎてキートップ12の表面に爪痕等の窪みが残り易くなるおそれがある。一方、90度以上であると、十分な柔軟性が付与されないおそれがあり、キートップ12を押圧操作する際、爪や指先が滑り易くなるおそれがある。この軟質弾性層17の厚さは、好ましくは10〜150μm、より好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜80μmである。この厚さが10μm未満であると、キートップ12に十分な柔軟性を付与することができないおそれがある。一方、150μmを超えると、電子機器の軽量化を妨げたり、キートップ12の表面を押圧したときに硬質弾性層18の追従性が低下したりするおそれがある。
【0017】
硬質弾性層18は、キートップ12の表面の耐摩耗性を向上させ、軟質弾性層17を保護するためのものである。硬質弾性層18は、軟質弾性層17より高い硬度を有するとともに、架橋構造を有する樹脂から形成されている。架橋構造を有する樹脂としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂等が挙げられる。架橋構造を形成する形態としては、加熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、電子線硬化型等が挙げられる。これらの中でも耐摩耗性に優れることから、好ましくは加熱硬化型のウレタン系樹脂である。
【0018】
硬質弾性層18は、未架橋構造の樹脂を軟質弾性層17の表面にコーティングし、塗布層を形成した後、各種架橋構造を形成する形態に従って架橋構造を形成することが好ましい。これによって、軟質弾性層17に硬質弾性層18を容易に密着させることができる。硬質弾性層18の硬度は、JIS K 6253に準拠してタイプAデュロメータによって測定した場合、好ましくは90度以上である。また、硬質弾性層18の硬度は、JIS K 6253に準拠してタイプDデュロメータにて測定した場合、好ましくは45度以上である。これらの硬質弾性層18の中でも軟質弾性層17と密着し易いものを選択するとよい。また、軟質弾性層17(例えば、シリコーンゴム)の表面活性が低く、硬質弾性層18と密着しにくい場合は、軟質弾性層17に表面処理(プライマー処理、短波長紫外線照射処理、コロナ処理、イトロ処理、火炎処理等)をすることで、表面活性を高め、硬質弾性層18が密着し易いように構成するとよい。
【0019】
この硬質弾性層18の厚さは、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜5μmである。この厚さが0.5μm未満であると、硬質弾性層18の形成が困難となるおそれがある。一方、15μmを超えると、電子機器の軽量化を妨げたり、軟質弾性層17の柔軟性が発揮されず、操作性を悪化したりするおそれがある。また、軟質弾性層17の柔軟性をさらに発揮させるために、硬質弾性層18の厚さは軟質弾性層17の厚さより薄いことが好ましい。軟質弾性層17の厚さと硬質弾性層18の厚さの比率(=軟質弾性層の厚さ(μm)/硬質弾性層の厚さ(μm))は、好ましくは1.5〜80、より好ましくは3〜60、さらに好ましくは5〜30である。この比率が1.5未満であると、軟質弾性層17の柔軟性が十分に発揮されないおそれがある。一方、80を超えるとフィルム14が厚くなり、電子機器等の軽量化を妨げるおそれがある。
【0020】
次に、キートップ12の製造方法について説明する。
まず、樹脂フィルム15に軟質弾性層17を積層加工するには、次の4つの方法が挙げられる。
【0021】
(a)エキストルージョンラミネート法
軟質弾性層17(又は樹脂フィルム15)を形成する材料を押出機によってTダイのスリットから溶融押出し、別途送られた樹脂フィルム15(又はフィルム状の軟質弾性層17)に積層するとともに冷却固化する方法。
【0022】
(b)ドライラミネート法
樹脂フィルム15(又はフィルム状の軟質弾性層17)の片面に接着剤を塗布し、溶剤型接着剤又は水性接着剤を塗布し、溶剤又は水を乾燥させた後、フィルム状の軟質弾性層17(又は樹脂フィルム15)と圧着し、積層させる方法。
【0023】
(c)多層成型法
Tダイの内部又は出口が数層に分かれている多層ダイを用いそれぞれの層から溶融した樹脂フィルム15の材料及び軟質弾性層17の材料を溶融押出し、製膜と同時にラミネートを行う共押出成形による方法。
【0024】
(d)コーティング法
樹脂フィルム15(又はフィルム状の軟質弾性層17)の片面に軟質弾性層17の材料(又は樹脂フィルム15の材料)をコーティングする方法。
【0025】
次に、軟質弾性層17の表面に硬質弾性層18を積層するには、硬度の高い層を容易に形成できることから、上記(d)のコーティング法を用いることが好ましい。コーティング法の具体例としては、スプレー、グラビア、ロール、スクリーン、転写等の方法が挙げられる。これらの中でも量産性を考慮すると、グラビア又はロールが好ましい。また、これらの中でも硬質弾性層18をキートップ本体13の表面等、必要な部分のみに積層する場合は、スクリーンが好ましい。
【0026】
軟質弾性層17に硬質弾性層18を積層する前に、予め軟質弾性層17の表面に電気処理、化学処理、物理処理、プライマー処理等の方法によって表面処理を施すことが好ましい。これによって、軟質弾性層17に対する硬質弾性層18の密着性を向上させることができる。例えば、軟質弾性層17としてシリコーンゴムフィルムを使用し、その表面にウレタン樹脂をコーティングする場合、シリコーンゴムフィルムは電気処理としてのコロナ処理によって表面処理することが好ましい。
【0027】
続いて、キートップ本体13を成形し、フィルム14と一体化するには、硬質弾性層18の表面にキズが付かないように注意しながら、フィルム14を適当な大きさに裁断する。次に、フィルム14を金型でキートップ本体13の表面形状に加熱変形させる。次いで、加熱変形させたフィルム14をキートップ12の射出成形金型にインサートし、キートップ本体13用の樹脂を射出成形することによってキートップ本体13とフィルム14を一体化する。
【0028】
さて、このキートップ12は、フィルム一体型キーシート11として携帯電話等の電子機器のキー部分に適用される。電子機器として折りたたみ式携帯電話に適用された場合、使用者は折りたたみ式携帯電話を開いて、指先や爪でキートップ12の表面を押圧することによってキー入力する。このとき、樹脂フィルム15の表面には軟質弾性層17が積層されている。そして、指先や爪の押圧に伴って、軟質弾性層17は弾性変形することができる。従って、キートップ12の表面には窪みが形成され、この窪みに指先や爪が沈み込むことにより、キートップ12の表面において指先や爪が滑ることを抑制することができる。また、軟質弾性層17の表面には硬質弾性層18が積層され、この硬質弾性層18は架橋された樹脂から構成されている。従って、この硬質弾性層18によってキートップ12の表面の耐摩耗性が向上され、キートップ12の表面にキズが形成されることを抑制することができる。
【0029】
次いで、使用者は入力した情報を液晶画面で確認するとともにキートップ12の表面から指先や爪を離す。このとき、軟質弾性層17は架橋されたゴム状弾性材料から構成されているため、軟質弾性層17の反発弾性を向上させることができる。従って、キートップ12の表面に対して押圧操作を繰り返しても、押圧時に生じた軟質弾性層17の弾性変形は元の状態に復元され易くなっている。よって、キートップ12の表面に爪痕等の窪みを残りにくくすることができ、キートップ12の外観を良好な状態に維持することができる。
【0030】
続いて、使用後の携帯電話は、液晶画面がキートップ12の表面に重なるように折りたたまれる。このとき、キートップ12の表面におけるキズの形成は十分に抑制されている。従って、キートップ12の表面に起因して、液晶画面にキズが形成されることを抑制することができる。
【0031】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ この実施形態のフィルム一体型キートップ12においては、軟質弾性層17の表面に硬質弾性層18が積層されている。また、硬質弾性層18は架橋された樹脂から構成されている。従って、良好な操作性を維持できるとともに、キズの形成を十分に抑制することができる。また、折りたたみ式電子機器に対して、その液晶画面におけるキズの形成を十分に抑制することができる。
【0032】
・ この実施形態のフィルム一体型キートップ12においては、軟質弾性層17は架橋されたゴム状弾性材料から構成されている。従って、キートップ12の表面に爪痕等の窪みを残りにくくすることができ、外観を良好な状態に維持することができる。
【0033】
・ この実施形態のフィルム一体型キートップ12においては、硬質弾性層18は未架橋構造の樹脂をコーティングした後、架橋構造が形成されたものである。従って、軟質弾性層17の表面に硬質弾性層18を容易に密着させることができる。また、硬質弾性層18を所定の厚さに容易に調整することができる。
【0034】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
図2に示すように、樹脂フィルムとして厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム19(以下、PETフィルム19という)の表面に、ドライラミネート用接着剤を塗布し乾燥させた。次に、PETフィルム19に軟質弾性層として厚さ50μmのシリコーンゴム層20(タイプAデュロメータによる硬度が70度のシリコーンゴムフィルムを積層させたフィルム、三菱樹脂株式会社製、商品名:珪樹)をラミネートした。続いて、シリコーンゴム層20の表面のゴミ・異物を完全に取り除いた後、その表面にコロナ処理を施した。次いで、シリコーンゴム層20のコロナ処理面に加熱硬化型のウレタン樹脂をコーティング法(グラビア)によってコーティングした。その後、ウレタン樹脂を加熱硬化させることによって、厚さ2〜5μmの硬質弾性層としてのウレタン樹脂層21を形成した。ウレタン樹脂層21のタイプDデュロメータによる硬度は55度(タイプAデュロメータによる硬度の約95度に相当)である。ウレタン樹脂層21の表面にキズが付かないように注意しながら、得られたフィルム22を適当な大きさに裁断し、PETフィルム19の裏面の所望位置に乗せ文字状の表示部23をポリエステル系インクによる印刷によって形成した。さらに、PETフィルム19の裏面に装飾層24をポリエステル系インクによるベタ印刷によって形成した。
【0035】
続いて、キートップ本体13の表面側の形状にフィルム22を図示しない金型にて加熱変形させた。このとき、キートップ本体13の略中央に表示部23が位置するようにした。加熱変形させたフィルム22を図示しないキートップ本体13用の射出成形金型にインサートした。次に、射出成形金型に熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂を注入した。そして、キートップ本体13を成型するとともに、キートップ本体13とフィルム22を一体化することによって、複数のフィルム一体型キートップ12が配設されたフィルム一体型キーシート11を得た。
(比較例1)
図3に示すように、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム19(以下、PETフィルム19という。)の表面にドライラミネート用接着剤を塗布し乾燥させた。次に、PETフィルム19に厚さ50μmのシリコーンゴム層20(タイプAデュロメータによる硬度が70度のシリコーンゴムフィルムを積層させたフィルム、三菱樹脂株式会社製、商品名:珪樹)をラミネートし、フィルム25を得た。続いて、シリコーンゴム層20の表面のゴミ・異物を完全に取り除いた後、適当な大きさに裁断しPETフィルム19の裏面の所望位置に乗せ文字状の表示部23をポリエステル系インクによる印刷によって形成した。さらに、PETフィルム19の裏面に装飾層24をポリエステル系インクによるベタ印刷によって形成した。
【0036】
キートップ本体13の表面側の形状にフィルム25を金型にて加熱変形させた。このとき、キートップ本体13の略中央に表示部23が位置するようにした。加熱変形させたフィルム25をキートップ本体13用の射出成形金型にインサートした。次に、射出成形金型に熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂を注入した。そして、キートップ本体13を成型するとともに、キートップ本体13とフィルム25を一体化することによって、複数のフィルム一体型キートップ31が配設されたフィルム一体型キーシートを得た。
【0037】
実施例1及び比較例1によって得られたフィルム22、25の表面における鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4に準拠して測定した。また、フィルム22、25の表面における消しゴム試験として、耐摩耗性の評価を下記の要領で行った。消しゴム試験は、消しゴム摩耗試験機(本光製作所製)及び消しゴム(ラビット株式会社製、RADIC 500B)を用い、荷重0.5N、60往復/分の条件で試験を行った。これらの試験結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004209170
表1に示すように、実施例1ではフィルム22の表面(硬質弾性層の表面)の鉛筆硬度が6Bとなり、シリコーンゴム層20による柔軟性が十分に発揮されている。従って、指先や爪が滑ることが抑制され、操作性が十分に維持されていることがわかる。また、消しゴム試験においても、700回往復した時点で始めて摩耗が確認されたため、非常に高い結果となり、十分な耐摩耗性を有していることがわかる。
【0039】
これに対し、比較例1ではウレタン樹脂層21が積層されていないため、消しゴム試験が300回と低い値となり、十分な耐摩耗性が付与されていないことがわかる。
【0040】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記硬質弾性層18及び軟質弾性層17は、それぞれ複数層から構成されていてもよい。
【0041】
・ 前記実施例1及び図2に示すように、キートップ本体13と樹脂フィルム15の間には、キートップ本体13の表面側全体を被覆するように装飾層24が設けられていてもよく、さらに樹脂フィルム15と装飾層24の間に表示部23が設けられていてもよい。また、表示部23はキートップ本体13の表面のみを被覆するように設けられてもよい。さらに、装飾層24は、表示部23と樹脂フィルム15の間に設けられていてもよい。加えて、表示部23及び装飾層24は硬質弾性層18と軟質弾性層17の間に設けられていてもよい。このように構成すると、装飾層24及び表示部23を硬質弾性層18等によって保護することができる。これらの表示部23及び装飾層24を設けた場合、樹脂フィルム15、軟質弾性層17及び硬質弾性層18は透明性の高い素材で形成することが好ましい。このように構成した場合、キートップ12の表面側から表示部23及び装飾層24の視認性を良好にすることができる。透明性の高い樹脂フィルム15としては、フッ素系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等が挙げられる。透明性の高い軟質弾性層17としては、シリコーンゴムフィルム等が挙げられる。透明性の高い硬質弾性層18としては、好ましくはウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂が挙げられ、より好ましくはアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
【0042】
・ 前記表示部23として文字を形成する場合、文字を印刷等によって形成する乗せ文字でも、文字の周縁部分を印刷して文字を認識できるように構成した抜き文字でもよい。
【0043】
・ 前記樹脂フィルム15及び軟質弾性層17の表面や裏面にアルミニウム等を蒸着した金属薄膜層を形成してもよい。
・ 前記硬質弾性層18は、架橋構造を有する樹脂フィルム15を予め成形し、この架橋構造を有する樹脂フィルム15をドライラミネート法等によって軟質弾性層17の表面に積層加工してもよい。
【0044】
・ 前記未架橋状態の樹脂を軟質弾性層17にコーティングして硬質弾性層18を形成する場合、未架橋状態の樹脂の形態は、溶剤系でも水系でもよい。また、未架橋状態の樹脂の形態は、溶液型でもエマルジョン型でもよい。さらに、未架橋状態の樹脂の形態は、一液から構成され加熱等によって硬化する一液型でも、二液から構成されてコーティング直前に一液と二液を混合して使用する二液型でもよい。
【0045】
・ 前記キートップ本体13とフィルム14を一体化する場合、接着剤、粘着剤等を使用してもよい。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0046】
(1) 前記硬質弾性層の厚さは、軟質弾性層の厚さより薄く形成されていることを特徴とするフィルム一体型キートップ。このように構成した場合、軟質弾性層の柔軟性をさらに発揮させることができ、操作性をさらに向上させることができる。
【0047】
(2) 前記硬質弾性層は、加熱硬化型のウレタン系樹脂から構成されていることを特徴とするフィルム一体型キートップ。このように構成した場合、キズの形成をさらに抑制することができる。
【0048】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項4に記載の発明のフィルム一体型キートップによれば、良好な操作性を維持できるとともに、キズの形成を十分に抑制することができる。また、折りたたみ式電子機器に対して、その液晶画面におけるキズの形成を十分に抑制することができる。
【0049】
請求項2に記載の発明のフィルム一体型キートップによれば、外観を良好な状態に維持することができる。
請求項3に記載の発明のフィルム一体型キートップによれば、軟質弾性層に硬質弾性層を容易に密着させることができる。また、硬質弾性層を所定の厚さに容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態におけるフィルム一体型キートップを示す縦断面図。
【図2】 実施例1におけるフィルム一体型キートップを示す縦断面図。
【図3】 比較例1におけるフィルム一体型キートップを示す縦断面図。
【図4】 フィルム一体型キーシートを示す斜視図。
【符号の説明】
12…フィルム一体型キートップ、13…キートップ本体、14…フィルム、15…樹脂フィルム、16…積層フィルム、17…軟質弾性層、18…硬質弾性層。

Claims (4)

  1. 樹脂からなるキートップ本体と、該キートップ本体の表面側に一体化されるフィルムとを備えたフィルム一体型キートップにおいて、前記フィルムは樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの表面側に一体化される積層フィルムとを備え、該積層フィルムは複数の弾性層から構成され、該弾性層は軟質弾性層と、該軟質弾性層よりも高い硬度を有する硬質弾性層とからなり、前記軟質弾性層の表面に前記硬質弾性層が設けられ、前記硬質弾性層の厚さに対する前記軟質弾性層の厚さの比率(比率=軟質弾性層の厚さ/前記硬質弾性層の厚さ)が1.5〜80であり、前記硬質弾性層は架橋構造を有する樹脂からなり、前記硬質弾性層の表面を押圧操作するように構成したことを特徴とするフィルム一体型キートップ。
  2. さらに、前記軟質弾性層は架橋構造を有するゴム状弾性材料からなることを特徴とする請求項1に記載のフィルム一体型キートップ。
  3. 前記硬質弾性層は、未架橋構造の樹脂をコーティングした後、該未架橋構造の樹脂に架橋構造が形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルム一体型キートップ。
  4. 前記軟質弾性層の硬度はタイプAデュロメータで40度以上90度未満であり、前記硬質弾性層の硬度はタイプAデュロメータで90度以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフィルム一体型キートップ。
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