(2.発明の要旨)
本発明は、新規の幹細胞増殖因子様ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードする新規の単離ポリヌクレオチド(組換えDNA分子、クローン化遺伝子またはその縮重変異体(特に、対立遺伝子改変体のような天然に存在する改変体)、例えば、アンチセンスポリヌクレオチド分子)およびこのようなポリペプチド上に存在する1つまたは複数のエピトープを特異的に認識する抗体、ならびにこのような抗体を産生するハイブリドーマの発見に基づいている。
本発明の組成物はさらに、ベクター(例えば、本発明のポリヌクレオチドを含有する発現ベクター)、このようなポリヌクレオチドを含有するよう遺伝子操作された細胞、およびこのようなポリヌクレオチドを発現するよう遺伝子操作された細胞を包含する。
本発明の組成物は、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26に記載のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のフラグメント;配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26の全長タンパク質コード配列(例えば配列番号3、6、9、11、13、15、18、21または27)を含むポリヌクレオチド;ならびに配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27のいずれかの成熟タンパク質コード配列のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない単離ポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドとしてはまた、(a)配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26に記述されたヌクレオチド配列のいずれかの相補体;(b)配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27のいずれかをコードするヌクレオチド配列;上記のいずれかのポリヌクレオチドの対立遺伝子改変体であるポリヌクレオチド(これらのポリヌクレオチドに対し少なくとも70%のポリヌクレオチド配列同一性を有する);上記のペプチドのいずれかに対する種ホモログ(例えばオルソログ)をコードするポリヌクレオチド;あるいは配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27を含むポリペプチドの特異的ドメインまたは短縮を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
本出願に用いられるようなコレクションは、1つのみのポリヌクレオチドのコレクションであり得る。配列情報または各配列の独自の確認情報のコレクションは、核酸アレイに関して提供され得る。一実施形態では、配列情報のセグメントが核酸アレイに関して提供されて、該セグメントを含有するポリヌクレオチドを検出する。アレイは、該セグメントを含有するポリヌクレオチドに対して、完全な適合またはミスマッチを検出するよう設計され得る。コレクションはまた、コンピューター読取り可能フォーマットでも提供され得る。
本発明はさらに、上記のポリヌクレオチドの少なくとも1つのフラグメントを含むクローニングベクターまたは発現ベクター、およびこれらの発現ベクターで形質転換された宿主細胞または生物体を提供する。有用なベクターとしては、当該技術分野で既知のプラスミド、コスミド、ラムダファージ誘導体、ファージミド等が挙げられる。従って本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、およびポリヌクレオチドを含有する宿主細胞も提供する。一般的にベクターは、少なくとも1つの生物体中で機能性である複製起点、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位および宿主細胞に関する選択可能マーカーを含有する。本発明に従うベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクターおよび配列決定ベクターが挙げられる。本発明に従う宿主細胞は、原核生物でも真核生物細胞でもよく、単細胞生物でも多細胞生物の一部であってもよい。
本発明の組成物は、配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27のアミノ酸配列を含む群から選択される単離ポリペプチド、または対応する全長タンパク質もしくは成熟タンパク質を含むポリペプチドを包含するが、これらに限定されない。本発明のポリペプチドはまた、(a)配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26に記載されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドのいずれか、あるいは(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で(a)のポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、生物学的活性を有するポリペプチドも包含する。配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27として列挙されたタンパク質配列のいずれかの生物学的または免疫学的に活性な改変体、および生物学的または免疫学的活性を保有するその実質的等価物もまた、企図される。本発明のポリペプチドは、全体的または部分的に化学合成され得るが、好ましくは、本発明の遺伝子操作された細胞(例えば宿主細胞)を用いて組換え手段により産生される。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含む組成物も提供する。本発明の薬学的組成物は、本発明のポリペプチド、および受容可能なキャリア(例えば、親水性キャリア(例えば薬学的に受容可能なキャリア))を含み得る。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを生成する方法であって、所望のポリペプチドの発現を可能にする条件下で、適切な培養培地中で本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つのフラグメントを含有する発現ベクターを含む宿主細胞を培養し、そして培養物から、または宿主細胞からタンパク質またはペプチドを精製することを包含する方法にも関する。好ましい実施形態は、このようなプロセスにより産生されるタンパク質が成熟形態のタンパク質である実施形態を、包含する。
本発明に従うポリヌクレオチドは、分子生物学の技術分野の当業者に公知の、種々の技術において多数の用途を有する。これらの技術としては、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用、PCRのためのオリゴマーまたはプライマーとしての使用、アレイ中の使用、コンピューター読取り可能媒体における使用、染色体および遺伝子マッピングのための使用、タンパク質の組換え産生における使用、ならびにアンチセンスDNAまたはアンチセンスRNA、それらの化学的アナログなどの生成における使用等が挙げられる。例えば、mRNAの発現が特定の細胞型または組織型に大いに制限される場合、本発明のポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションプローブとして用いられて、例えばインサイチュハイブリダイゼーションを用いて試料中の特定の細胞または組織のmRNAの存在を検出し得る。
その他の例示的実施形態では、ポリヌクレオチドは、発現遺伝子を同定するための発現配列タグとして、あるいは当該技術分野で既知のように、ならびにVollrathら,Science 258:52−59(1992)に例示されているように、ヒトゲノムの物理的マッピングのための発現配列タグとして、用いられる。
本発明に従うポリペプチドは、他のタンパク質に一般的に適用される種々の慣用的手法および方法に用いられ得る。例えば本発明のポリペプチドは、ポリペプチドを特異的に結合する抗体を生成するために用いられ得る。このような抗体、特にモノクローナル抗体は、組織中のポリペプチドを検出または定量するのに有用である。本発明のポリペプチドは、分子量マーカーとして、ならびに栄養補助剤としても用いられ得る。
医学的状態を予防、治療または改善する方法であって、本発明のペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、治療上有効量の組成物を哺乳類被験体に投与する過程を包含する方法も提供される。
特に、本発明の幹細胞増殖因子様ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、胚性幹細胞および成体幹細胞の分化を誘導して異なる細胞型を生じるために用いられ得る。それらはまた、疾患(例えば、白血病、血友病)および変性疾患(例えば、アルツハイマー病)の処置にも用いられ得る。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドはさらに、移殖組織を必要とする患者を助け得る新しい組織または器官を生成するために利用され得る。
本発明の方法はまた、本明細書中に列挙されたような障害を治療する方法であって、本明細書中に列挙されたような障害に関連した症状または傾向を示す哺乳動物被験体に、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む治療上有効量の組成物の投与を包含する方法も提供する。さらに本発明は、本明細書中に列挙されたような疾患または障害を処置する方法であって、標的遺伝子産物の全体的活性を調整する化合物およびその他の物質ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を投与する工程を包含する方法を包含する。化合物および他の物質は、標的遺伝子/タンパク質発現または標的タンパク質活性のいずれかのレベルに関してこのような調節をもらたし得る。特に、医学的状態、例えばウイルス疾患を予防、処置または改善する方法であって、本発明のポリペプチドを含む治療的有効量の組成物、あるいは本発明の幹細胞増殖因子様ポリペプチドの結合パートナー(例えば、これに対して特異的に反応性である抗体)を含む治療的有効量の組成物を、哺乳動物被験体(例えば、ヒトであるがこれに限定されない)に投与することを包含する方法が提供される。特定の状態または病態の生理学は、本発明のポリペプチドまたはこれらの結合パートナー(または阻害剤)が治療を必要とする個体に有益であるか否かに影響を与える。
この方法によって、本発明のポリペプチドは細胞機能のインビトロまたはインビボでの阻害を生じるために投与され得る。本発明のポリペプチドは、単独でまたは他の療法に対する補助剤としてインビボで投与され得る。逆に、本発明のタンパク質またはその他の活性成分は、このような因子の副作用を最小限にするために、特定の因子の処方物中に含まれ得る。
本発明はさらに、上記の方法に有用な薬剤を製造する方法を提供する。
本発明はさらに、試料(例えば組織または試料)中の本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの存在を検出する方法に関する。このような本発明は、例えば本明細書中に列挙されたような障害の予後評価および診断評価の一部として、ならびにこのような状態に対する素因を示す被験体の同定のために利用され得る。
本発明は、試料中の本発明のポリペプチドを検出する方法であって、複合体が形成された場合に、ポリペプチドが検出されるように、複合体を形成するのに十分な条件下で且つ十分な期間、ポリペプチドと結合し、複合体を形成する化合物と試料を接触させる工程、および複合体の形成を検出する工程を包含する方法を、提供する。
本発明はまた、本発明の方法を実行するための、ポリヌクレオチドプローブおよび/またはモノクローナル抗体、ならびに必要に応じて定量的標準を含むキットも提供する。さらに本発明は、薬物の効能を評価し、そして上記のような障害の処置のための臨床試験に関与する、患者の進行をモニタリングする方法を提供する。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現または活性を調節する(すなわち増減させる)化合物を同定するための方法も提供する。このような方法は、例えば本明細書中に列挙された障害の症状を改善し得る化合物の同定のために利用され得る。このような方法としては、本発明のポリペプチドと相互作用する(例えば結合する)化合物およびその他の物質を同定するためのアッセイが挙げられ得るが、これらに限定されない。
本発明は、本発明のポリペプチドと結合する化合物を同定するための方法であって、ポリペプチド/化合物複合体が検出された場合に、ポリペプチドと結合する化合物が同定されるように、ポリペプチド/化合物複合体を形成するのに十分な条件下で且つ十分な期間、ポリペプチドと化合物を接触させる工程、複合体を検出する工程を包含する方法を提供する。
また、ポリペプチドと結合する化合物を同定するための方法であって、ポリペプチド/化合物複合体が検出された場合にポリペプチドと結合する化合物が同定されるように、この複合体が細胞中のレポーター遺伝子配列の発現を駆動する場合にポリペプチド/化合物複合体を形成するのに十分な時間、細胞中でポリペプチドと化合物とを接触させる工程、およびレポーター遺伝子配列発現を検出することにより複合体を検出する工程を包含する方法も、提供される。
(4.本発明の詳細な説明)
図1は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号3)と、ヒトクローン1トロンボスポンジンmRNA(配列番号23)との間のBLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が232アミノ酸残基に亘って60%の類似性、および同じ232アミノ酸残基に亘って46%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図2は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号3)と、ヒト分泌クローンda288_6(配列番号25)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が232アミノ酸残基に亘って60%の類似性、および同じ232アミノ酸残基に亘って46%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図3は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号9)と、ヒトクローン1トロンボスポンジンmRNA(配列番号23)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が120アミノ酸残基に亘って55%の類似性、および同じ120アミノ酸残基に亘って44%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図4は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号9)と、ヒト分泌タンパク質クローンda288_6(配列番号25)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が第1ハイスコア対内に120アミノ酸残基に亘って55%の類似性および同じ120アミノ酸残基に亘って44%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図5は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号13)と、ヒトクローン1トロンボスポンジンmRNA(配列番号23)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が226アミノ酸残基に亘って62%の類似性、および同じ226アミノ酸残基に亘って46%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図6は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号3)と、ヒト分泌タンパク質クローンda288_6(配列番号25)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が226アミノ酸残基に亘って62%の類似性、および同じ226アミノ酸残基に亘って46%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図7は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号18)と、マウストロンボスポンジン1型ドメイン(配列番号24)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が262アミノ酸残基に亘って92%の類似性、および同じ262アミノ酸残基に亘って88%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図8は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号18)と、ヒトクローン1トロンボスポンジンmRNA(配列番号23)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が242アミノ酸残基に亘って63%の類似性、および同じ242アミノ酸残基に亘って46%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
図9は、幹細胞増殖因子様ポリペプチド(配列番号18)と、ヒト分泌タンパク質クローンda288_6(配列番号25)との間の、BLASTPアミノ酸配列アライメントを示す。これは、2つの配列が242アミノ酸残基に亘って63%の類似性、および同じ242アミノ酸残基に亘って46%の同一性を共有することを示す。ここで、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リジン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンである。ギャップはダッシュとして示される。
配列番号3の幹細胞増殖因子様ポリペプチドは、グリコシル化されていない約28kDaの予測分子量を有する、約250アミノ酸のタンパク質である。最初のメチオニンは、配列番号2の672位で開始し、推定停止コドンは配列番号2の1425位で開始する。BLASTPアルゴリズム(Altschul S.F.ら,J.Mol.Evol.36:290−300(1993)およびAltschul S.F.ら,J.Mol.Biol.21:403−10(1990)(参考として本明細書中に援用される))によるタンパク質データベース検索は、配列番号3が、mRNAにおいてヒトクローン1トロンボスポンジンおよびヒト分泌クローンda288_6と相同であることを示す。
配列番号9の幹細胞増殖因子様ポリペプチドは、グリコシル化されていない約15kDaの予測分子量を有する約131アミノ酸タンパク質である。BLASTPアルゴリズム(Altschul S.F.ら,J.Mol.Evol.36:290−300(1993)およびAltschul S.F.ら,J.Mol.Biol.21:403−10(1990(参考として本明細書中に援用される))によるタンパク質データベース検索は、配列番号9が、mRNAにおいてヒトクローン1トロンボスポンジンおよびヒト分泌クローン288_6と相同であることを示す。
配列番号13の幹細胞増殖因子様ポリペプチドは、グリコシル化されていない約27kDaの予測分子量を有する約243アミノ酸タンパク質である。BLASTPアルゴリズム(Altschul S.F.ら,J.Mol.Evol.36:290−300(1993)およびAltschul S.F.ら,J.Mol.Biol.21:403−10(1990)(参考として本明細書中に援用される))によるタンパク質データベース検索は、配列番号13が、ヒトクローン1トロンボスポンジンmRNAおよびヒト分泌タンパク質クローンda288_6と相同であることを示す。
配列番号18の幹細胞増殖因子様ポリペプチドは、グリコシル化されていない約29kDaの予測分子量を有する約263アミノ酸タンパク質である。BLASTPアルゴリズム(Altschul S.F.ら,J.Mol.Evol.36:290−300(1993)およびAltschul S.F.ら,J.Mol.Biol.21:403−10(1990)(参考として本明細書中に援用される))によるタンパク質データベース検索は、配列番号18が、マウストロンボスポンジン1型ドメイン、ヒトクローン1トロンボスポンジンのmRNAおよび分泌タンパク質288_6と相同であることを示す。
約21残基の推定シグナルペプチド(配列番号5)は、配列番号3、9または13の約残基1〜残基21からコードされる。約20残基の予測シグナルペプチド(配列番号20)は、配列番号18の約残基1〜残基20からコードされる。細胞外部分は、それ自体で有用であり得る。これは、哺乳動物細胞中の発現および取出された生成物の配列決定により確証され得る。シグナルペプチドは、Neural Network SignalP V1.1プログラム(Nielsen et al,(1997)Int.J.Neur.Syst.8,581)(Center for Biological Sequence Analysis,The Technical University of Denmarkから)を用いて予測された。切断部位は、コンピュータープログラムにより予測されるものとは異なり得ることを当業者は認識する。配列番号6は、このシグナルが配列番号3から除去された場合に生じるペプチドである。配列番号11は、このシグナルが配列番号9から除去された場合に生じるペプチドである。配列番号15は、このシグナルが配列番号13から除去された場合に生じるペプチドである。配列番号21は、このシグナルが配列番号18から除去された場合に生じるペプチドである。
トロンボスポンジンは、細胞−細胞連絡および細胞−マトリックス連絡に関与する細胞外マトリックスタンパク質の一ファミリーである(Lawler(200)Curr.Opin.Cell Bio.12,634−640)。組織分布の別個のパターンを有する5つより多い異なるトロンボスポンジンが、公知である。いくつかの組織(例えば、心臓、軟骨および脳)は、ほとんどのトロンボスポンジン遺伝子産物を発現する。トロンボスポンジン−1は、血小板の主要構成成分である。トロンボスポンジン−1は、細胞表面で機能して、膜タンパク質およびサイトカインならびにその他の可溶性因子を結び付けるようである。トロンボスポンジン−1を結合する膜タンパク質としては、インテグリン、インテグリン関連タンパク質(CD47)、CD36、プロテオグリカンが挙げられる。トランスフォーミング増殖因子βおよび血小板由来増殖因子もトロンボスポンジン−1を結合する。
トロンボスポンジン−1は、多数の別個のドメインを有する巨大タンパク質である。それはアミノ末端およびカルボキシ末端の両方の球状ドメイン、プロコラーゲンと相同の領域o、ならびにトロンボスポンジン(TSP)1型反復、2型反復および3型反復と呼ばれる3つの型の反復配列モチーフを含有する。TSP1反復は、種々の異なるタンパク質(補体構成成分(C6、C7、C8A等)細胞外マトリックスタンパク質(例えば、ADAMTS)、ミンジン、軸索誘導分子(例えば、F−スポンジンセマフォリン)ならびにSCO−スポンジン、ならびにマラリア原虫(Plasmodium)のTRAPタンパク質を含む)に、見出されている。
トロンボスポンジン1型(TSP)反復は、細胞の増殖、分化、接着、遊走および死亡の調節に関与する上皮組織中のTGFβを活性化し得る。TSP1はさらに、タンパク質結合、ヘパリン結合、細胞接着、神経突起成長、増殖の抑制、新血管形成の抑制、ならびにアポトーシスの活性化に関与する。マラリア原虫スポロゾイト周囲(CS)タンパク質およびTRAPタンパク質のTSP1ドメインは、スポロゾイトによる唾液腺侵襲に関連がある。
TSP1配列は、保存されたシステイン、間隔が接近したトリプトファン、ならびに塩基性残基のクラスターにより特性化される。TSP1配列の空間配置は、ヘパリンを結合することが示されるβシートドメインを示す(Kilpelainen et al(200)J.Biol Chem.275,13564−13570(参考として本明細書中に援用される))。同様の空間的折畳み(fold)は、ヘパリン結合性増殖関連分子(HB−GAM)に関して記載されている。HB−GAMは、有糸分裂および神経突起成長の促進性タンパク質プレイトロフィン;骨芽細胞特異的因子−1;ヘパリン結合性好中球因子;およびヘパリン親和性(affin)調節ペプチドと同一である。HB−GAMの発現は、軸索路およびシナプスの細胞外マトリックスと関連し、そして脳の外側基底膜および軟骨マトリックス中の基底膜とも関連することが示された。近年、N−シンデカンは、脳中のHB−GAMに対する受容体であることが示され、記憶および学習に関与する脳可塑性の一形態である海馬長期増強の調節において役割を果たすことが示唆された。従って、TSP1含有タンパク質は増殖促進剤として作用し得、幹細胞因子様活性を示し得る。
さらに、骨髄中で合成され、細胞外マトリックス内に沈着されるトロンボスポンジンは、初代多能性始原細胞に関する細胞接着分子、ならびに赤血球、顆粒球および巨核球系列に関する造血性始原細胞に関する細胞接着分子として機能する。従ってトロンボスポンジンは、血液細胞の発達において重要であり得る(LongおよびDixit(1990)Blood 75,2311−2318(参考として本明細書中に援用される))。
本発明の幹細胞増殖因子様ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、胚性幹細胞および成体幹細胞の分化を誘導して、異なる細胞型を生じるために用いられ得る。それらはまた、白血病、血友病および変性疾患(例えば、アルツハイマー病)の処置にも用いられ得る。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドはさらに、移殖組織を必要とする患者を助け得る新しい組織および器官を生成するために利用され得る。
4.1 定義
本明細書中および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、本文中でそれ以外に明記しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
「活性な」という用語は、任意の天然ポリペプチドの生物学的活性および/または免疫学的活性を保有するポリペプチドの形態を指す。本発明によれば、「生物学的に活性な」または「生物学的活性」という用語は、天然分子の構造的、調節的または生化学的機能を有するタンパク質またはペプチドを指す。同様に、「生物学的に活性な」または「生物学的活性」とは、適切な動物または細胞中での特異的な生物学的応答を誘導し、特異的抗体と結合する、天然、組換えまたは合成の、幹細胞増殖因子様ペプチドまたはその任意のペプチドの能力を指す。「幹細胞増殖因子様生物学的活性」という用語は、幹細胞増殖因子様の生物学的活性と同様である生物学的活性を指す。
「活性化細胞」という用語は、本出願中で用いる場合、細胞外または細胞内の膜輸送(例えば正常または疾患過程の一部としての分泌分子または酵素分子の移送)に従事する細胞である。
「相補的」または「相補性」という用語は、塩基対合によるポリヌクレオチドの天然の結合を指す。例えば配列5’−AGT−3’は、相補的配列3’−TCA−5’と結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は、いくつかの核酸のみが結合するよう、「部分的」であり得るか、あるいはそれは、全体的相補性が一本鎖分子間に存在するよう、「完全」であり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に有意の影響を及ぼす。
「胚性幹細胞(ES)」という用語は、胚または成体中に多分化性細胞型(例えば、生殖細胞)を生じ得る細胞を指す。「生殖系列幹細胞(GSC)」という用語は、配偶子の産生のための生殖細胞の安定した且つ継続的供給源を提供する始原幹細胞に由来する幹細胞を指す。「始原生殖細胞(PGC)」という用語は、生殖細胞および他の細胞に分化する能力を有する、他の細胞系列の他に、胚形成中に、特に卵黄嚢、腸間膜または生殖隆起から生じる細胞組の小集団を指す。PGCは、GSCおよびES細胞が由来する供給源である。PGC、GSCおよびES細胞は、自己再生し得る。従ってこれらの細胞は、生殖系列を集団化し、成体の特化器官を含む複数の最終分化細胞を生じるだけでなく、自身を再生し得る。「全能性」という用語は、成体生物体のすべての細胞型に分化する細胞の能力を指す。「多能性」という用語は、成体生物体中に存在する多数の分化細胞型に分化する細胞の能力を指す。多能性細胞は、全能性細胞と比較してその分化能力を制限される。
「発現調整フラグメント(EMF)」という用語は、作動可能に連結されたORFまたは別のEMFの発現を調整する一連のヌクレオチドを意味する。
本明細書中で用いる場合、配列の発現がEMFの存在により変更される場合、配列は、「作動可能に連結された配列の発現を調整する」と言われる。EMFとしては、プロモーターおよびプロモーター調整配列(誘導可能エレメント)が挙げられるが、これらに限定されない。EMFの一クラスは、特定の調節因子または生理学的事象に応答して作動可能連結されたORFの発現を誘導する核酸フラグメントである。
「ヌクレオチド配列」または「核酸」または「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」という用語は、交換可能に用いられ、ヌクレオチドのヘテロポリマーまたはこれらのヌクレオチドの配列を指す。これらの語句は、ゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNAも指し、これらは一本鎖または二本鎖であり得るし、ペプチド核酸(PNA)に対するか、または任意のDNA様またはRNA様物質に対するセンスまたはアンチセンス鎖を表し得る。配列中で、Aはアデニンであり、Cはシトシンであり、Gはグアニンであり、そしてTはチミンであり、一方、NはA、T、GまたはCである。ポリヌクレオチドがRNAである場合、配列中のT(チミン)はこの場合、U(ウラシル)で置換され得る、と意図される。一般に、本発明により提供される核酸セグメントは、ゲノムおよび短オリゴヌクレオチドリンカーのフラグメントからか、または一連のオリゴヌクレオチドから、または個々のヌクレオチドから組み立てられて、微生物オペロンまたはウイルスオペロンあるいは真核生物遺伝子由来の調節エレメントを含む組換え転写ユニット中で発現され得る合成核酸を提供し得る。
「オリゴヌクレオチドフラグメント」または「ポリヌクレオチドフラグメント」、「部分」または「セグメント」または「プローブ」または「プライマー」という用語は交換可能に用いられ、少なくとも約5ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約7ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約9ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約11ヌクレオチド、もっとも好ましくは少なくとも約17ヌクレオチドであるヌクレオチド残基の配列を指す。フラグメントは、好ましくは約500ヌクレオチド未満、好ましくは約200ヌクレオチド未満、さらに好ましくは約100ヌクレオチド未満、さらに好ましくは約50ヌクレオチド未満、もっとも好ましくは30ヌクレオチド未満である。好ましくはプローブは、約6ヌクレオチド〜約200ヌクレオチド、好ましくは約15ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、さらに好ましくは約17ヌクレオチド〜30ヌクレオチド、もっとも好ましくは約20ヌクレオチド〜25ヌクレオチドである。好ましくはフラグメントは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、種々のハイブリダイゼーション手法、またはマイクロアレイ手法に用いられて、mRNA分子またはDNA分子の、同部分または関連部分を同定または増幅し得る。フラグメントまたはセグメントは、本発明の各ポリヌクレオチド配列を独自に同定し得る。好ましくはフラグメントは、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26の一部分と実質的に類似である配列を含む。
プローブは、Walsh等(Walsh,P.S.ら,1992,PCR Methods Appl 1:241−250)により記載されているように、例えば特定のmRNA分子が細胞または組織中に存在するか否かを確定するために、または染色体DNAから類似の核酸配列を単離するために用いられ得る。それらはニック翻訳、クレノウ埋め込み(fill−in)反応、PCRまたは当該技術分野で周知のその他の方法により標識され得る。本発明のプローブ、それらの調製および/または標識は、Sambrook,J.ら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,NYまたはAusubel,F.M.ら,1989,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York NY(これらの両方は、その全体が参考として本明細書中に援用される)に詳述されている。
本発明の核酸配列はまた、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26の核酸配列のいずれかからの配列情報も含む。配列情報は、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26の配列情報を独自に識別しまたは表す、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のセグメントであり得る。このような1セグメントは、20マーがヒトゲノム中で完全一致する確率が300分の1であるため、20マー核酸配列であり得る。ヒトゲノム中では、一組の染色体中に30億の塩基対が存在する。420の存在し得る20マーが存在するため、一組のヒト染色体中に存在する塩基対より300倍多い20マーが存在する。同一分析を用いて、17マーがヒトゲノム中で完全一致する確率は、約5分の1である。これらのセグメントが発現研究のためにアレイに用いられる場合、15マーセグメントが用いられ得る。発現配列が完全ゲノム配列の約5%未満を含むため、15マーが発現配列中で完全に一致する確率も、約5分の1である。
同様に、単一のミスマッチを検出するために配列情報を用いる場合、セグメントは25マーであり得る。25マーが単一ミスマッチを有してヒトゲノム中に現れる確率は、完全一致に関する確率(1÷425)に各ヌクレオチド位置でのミスマッチの確率増加を掛けることにより(3×25)算定される。単一ミスマッチを有する18マーが発現試験のためにアレイ中で検出され得る確率は、約5分の1である。単一ミスマッチを有する20マーがヒトゲノム中で検出され得る確率は、約5分の1である。
「オープンリーディングフレーム(ORF)」という用語は、末端コドンを全く有さずにアミノ酸をコードする一連の三つ組ヌクレオチドを意味し、タンパク質に翻訳可能な配列である。
「作動可能に連結される」または「作動可能に結合される」という用語は、機能的に関連した核酸配列を指す。例えば、プロモーターがコード配列の転写を制御する場合、プロモーターはコード配列と作動可能に結合されるかまたは作動可能に連結される。作動可能に連結された核酸配列は連続的であり、同一リーディングフレーム中に存在し得るが、ある種の遺伝子エレメント、例えばリプレッサー遺伝子は、コード配列と連続的に連結されないが、依然としてコード配列の転写/翻訳を制御する。
「多能性」という用語は、成体生物体中に存在する多数の分化細胞型に分化する細胞の能力を指す。多能性細胞は、全能性細胞と比較して、その分化能力において制限される。
「ポリペプチド」または「ペプチド」または「アミノ酸配列」という用語は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列あるいはそのフラグメントを指し、そして天然分子または合成分子を指す。ポリペプチドの「フラグメント」、「部分」または「セグメント」は、少なくとも約5アミノ酸、好ましくは少なくとも約7アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも約9アミノ酸、もっとも好ましくは少なくとも約17アミノ酸以上の、アミノ酸残基のストレッチ(stretch)である。ペプチドは、好ましくは約200アミノ酸以下、さらに好ましくは150アミノ酸未満、そしてもっとも好ましくは100アミノ酸未満である。好ましくはペプチドは、約5〜約200アミノ酸である。活性であるためには、任意のポリペプチドは、生物学的および/または免疫学的活性を示すのに十分な長さを有さねばならない。
「天然ポリペプチド」という用語は、遺伝子操作されていない細胞により産生されるポリペプチドを指し、特に、ポリペプチドの翻訳後修飾(例えば、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化(これらに限定されない))から生じる種々のポリペプチドを意図する。
「翻訳化タンパク質コード部分」という用語は、任意のリーダー配列またはプロセシング配列を含み得る全長タンパク質をコードする配列を意味する。
「成熟タンパク質コード配列」という用語は、任意のリーダー配列/シグナル配列を伴わないペプチドまたはタンパク質をコードする配列を指す。「成熟タンパク質部分」とは、リーダー配列/シグナル配列を有さないタンパク質の部分を指す。ペプチドは、細胞中でのプロセシングの間に除去されるリーダー配列を有し得るか、あるいはタンパク質は、合成的に、あるいは成熟タンパク質コード配列のみをコードするポリヌクレオチドを用いて生成され得た。成熟タンパク質部分は最初のメチオニン残基を含む場合も含んでも含まなくても良いことが企図される。最初のメチオニンはしばしば、ペプチドのプロセシング中に除去される。
「誘導体」という用語は、ユビキチン化、標識化(例えば、放射性核種または種々の酵素を用いる)、共有ポリマー結合(例えば、ペギル化(ポリエチレングリコールによる誘導化))、ならびに普通はヒトタンパク質中に生じないオルニチンのようなアミノ酸の化学的合成による挿入または置換といったような技術により化学的に修飾されたポリペプチドを指す。
「改変体」(または「類似体」)という用語は、例えば組換えDNA技術を用いて作製されたアミノ酸の挿入、欠失および置換により天然ポリペプチドと異なる任意のポリペプチドを指す。アミノ酸残基が目的の活性を損なわずに、置換、付加または欠失され得ることを決定する指針は、特定のポリペプチド配列と相同ペプチド配列とを比較し、高い相同性領域(保存領域)中に作製されるアミノ酸配列の変更数を最小限にするか、またはアミノ酸をコンセンサス配列と置き換えることにより、見出され得る。
あるいはこれらの同一または類似ポリペプチドをコードする組換え改変体は、遺伝子コードにおける「冗長性」を使用することにより、合成され得るかまたは選択され得る。種々のコドン置換(例えば、種々の制限部位を生じるサイレントな変更)が導入されて、プラスミドまたはウイルスベクター中でのクローニング、あるいは特定の原核生物系または真核生物系における発現を最適化し得る。ポリヌクレオチド配列中の変異は、ポリペプチドまたはポリペプチドに付加されるその他のペプチドのドメインに反映されて、ポリペプチドの任意の部分の特性を改変し、リガンド結合親和性、鎖間親和性または分解/代謝回転率のような特徴を変更し得る。
好ましくはアミノ酸「置換」は、あるアミノ酸を同様の構造的および/または化学的特性を有する別のアミノ酸に置き換える(すなわち、保存的アミノ酸置換)の結果である。「保存的」アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両性における類似性に基づいて成され得る。例えば非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられ;極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられ;正荷電(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが挙げられ;そして負荷電(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。「挿入」または「欠失」は、好ましくは約1〜20アミノ酸、さらに好ましくは1〜10アミノ酸の範囲である。容認される改変体は、組換えDNA技術を用いてポリペプチド分子中のアミノ酸の挿入、欠失または置換を系統的に作製し、その結果生じた組換え改変体を活性に関してアッセイすることにより、実験的に決定され得る。
あるいは、機能の変更が望まれる場合、挿入、欠失または非保存的変更が操作されて、変更ポリペプチドを生成し得る。このような変更は、例えば本発明のポリペプチドの1つまたは複数の生物学的機能または生化学的特徴を変更し得る。例えばこのような変更は、ポリペプチド特徴、例えばリガンド結合親和性、鎖間親和性または分解/代謝回転率を変え得る。さらにこのような変更は、発現のために選択される宿主細胞中での発現、スケールアップ等により良好に適したポリペプチドを生成するよう選択され得る。例えばシステイン残基は、ジスルフィド架橋を排除するために、欠失されるかまたは別のアミノ酸残基で置換され得る。
「精製される」または「実質的に精製される」という用語は、本明細書中で用いる場合、指示された核酸またはポリペプチドが、他の生物学的高分子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)の実質的非存在下で存在することを意味する。一実施形態では、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、存在する指示された生物学的高分子の少なくとも95重量%、さらに好ましくは少なくとも99重量%を構成するよう精製される(しかし、水、緩衝剤およびその他の小分子、特に1000ダルトン未満の分子量を有する分子は存在し得る)。
「単離される」という用語は、本明細書中で用いる場合、その天然供給源中に核酸またはポリペプチドとともに存在する少なくとも1つの他の構成成分(例えば核酸またはポリペプチド)から分離される核酸またはポリペプチドを指す。一実施形態では、核酸またはポリペプチドは、同一溶液中に普通に存在する溶媒、緩衝剤、イオンまたはその他の構成成分のみ(存在する場合)の存在下で見出される。「単離される」および「精製される」という用語は、それらの天然供給源中に存在する核酸またはポリペプチドを包含しない。
「組換え体」という用語は、ポリペプチドまたはタンパク質を指すよう本明細書中で用いられる場合、ポリペプチドまたはタンパク質が組換え体(例えば微生物、昆虫または哺乳動物)発現系に由来することを意味する。「微生物」とは、細菌または真菌(例えば酵母)の発現系で作製される組換えポリペプチドまたはタンパク質を指す。生成物として、「組換え微生物」は、ネイティブの内因性物質を本質的に含有せず、そして関連ネイティブグリコシル化を随伴しないポリペプチドまたはタンパク質を定義する。ほとんどの細菌培養物中(例えば、大腸菌中)で発現されるポリペプチドまたはタンパク質は、グリコシル化修飾を有さない。酵母中で発現されるポリペプチドまたはタンパク質は、一般的に、哺乳動物細胞中で発現されるものとは異なるグリコシル化パターンを有する。
「組換え発現ビヒクルまたはベクター」という用語は、DNA(RNA)配列からポリペプチドを発現するための、プラスミドまたはファージまたはウイルスまたはベクターを指す。発現ビヒクルは、(1)遺伝子発現において調節的役割を有する単数または複数の遺伝子エレメント(例えば、プロモーターまたはエンハンサー)、(2)mRNAに転写され、タンパク質に翻訳される構築物またはコード配列、ならびに(3)適切な転写開始配列および転写終結配列、の組み立てを含む転写ユニットを含み得る。酵母または真核生物の発現系中での使用が企図される構築物ユニットは、好ましくは、宿主細胞による翻訳タンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。あるいは組換えタンパク質がリーダー配列または輸送配列を有さずに発現される場合、それはアミノ末端メチオニン残基を含み得る。この残基は、最終産物を提供するために発現組換えタンパク質から実質的に切断されても切断されなくてもよい。
「組換え発現系」という用語は、染色体DNA中に組換え転写ユニットを安定的に組み込んだか、または組換え転写ユニットを染色体外に保有する宿主細胞を意味する。本明細書中で定義されたような組換え発現系は、発現されるDNAセグメントまたは合成遺伝子に連結された調節エレメントの誘導時に、異種性のポリペプチドまたはタンパク質を発現する。この用語は、遺伝子発現において調節的役割を有する単数または複数の組換え遺伝子エレメント(例えば、プロモーターまたはエンハンサー)を安定的に組み込んだ宿主細胞も意味する。本明細書中で定義されたような組換え発現系は、発現される内因性DNAセグメントまたは遺伝子に連結された調節エレメントの誘導時に細胞に対して内因性のポリペプチドまたはタンパク質を発現する。細胞は、原核生物または真核生物性であり得る。
「分泌される」という用語は、膜を横切ってかまたは膜を通して輸送されるタンパク質を含み、それが適切な宿主細胞中で発現される場合、そのアミノ酸配列中のシグナル配列の結果としての輸送を含む。「分泌」タンパク質としては、それらが発現される細胞から全体的に(例えば可溶性タンパク質)または部分的に(例えば受容体)分泌されるタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。「分泌」タンパク質としてはまた、小胞体の膜を横切って輸送されるタンパク質も挙げられるが、これらに限定されない。「分泌」タンパク質は、非典型的シグナル配列(例えばインターロイキン−1β、Krasney,P.A.およびYoung,P.R.(1992)Cytokine 4(2):134−143参照)および損傷細胞から放出される因子(例えばインターロイキン−1受容体アンタゴニスト、Arend,W.P.ら(1998)Annu.Rev.Immunol.16:27−55を参照のこと)を含有するタンパク質も包含することが意図される。
望ましい場合、発現ベクターは、細胞の膜を通してポリペプチドを向かわせる「シグナル配列またはリーダー配列」を含有するよう設計され得る。このような配列は、本発明のポリペプチド上に天然に存在し得るか、あるいは組換えDNA技術により異種性タンパク質供給源から提供され得る。
「ストリンジェント」という用語は、当該技術分野でストリンジェントと一般的に理解される条件を指すために用いられる。ストリンジェントな条件は、高度にストリンジェントな条件(すなわち、0.5MのNaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTA中で65℃でのフィルターに結合したDNAとのハイブリダイゼーション、0.1×SSC/0.1%SDS中で68℃での洗浄)、および中等度にストリンジェントな条件(すなわち、0.2×SSC/0.1%SDS中で42℃での洗浄)を包含し得る。その他の例示的ハイブリダイゼーション条件は、本明細書中で実施例に記載されている。
デオキシリボヌクレオチドのハイブリダイゼーションの例において、さらなる例示のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中での、37℃(14塩基オリゴヌクレオチドに関して)、48℃(17塩基オリゴヌクレオチドに関して)、55℃(20塩基オリゴヌクレオチドに関して)および60℃(23塩基オリゴヌクレオチドに関して)での洗浄が挙げられる。
本明細書中で用いる場合、「実質的に等価」とは、1つ以上の置換、欠失または付加により参照配列から変化するヌクレオチドおよびアミノ酸配列の両方(例えば、変異体配列)であって、その正味作用が参照配列と対象配列との間に不利な機能的相違点を生じない配列を指し得る。代表的には、このような実質的に等価の配列は、約35%以下だけ、本明細書中に列挙したもののうちの1つから変化する(すなわち、対応する参照配列と比較した場合の実質的に等価な配列中の個々の残基の置換、付加および/または欠失の数を、実質的に等価な配列中の総残基数で割ると、約0.35以下である)。このような配列は、列挙された配列と65%の配列同一性を有するといわれる。一実施形態では、本発明の実質的に等価の配列(例えば、変異体の配列)は、多くとも30%(70%の配列同一性);この実施形態の変形では、多くとも25%(75%の配列同一性);そして、この実施形態のさらなる変形では、多くとも20%(80%の配列同一性);そして、この実施形態のさらなる変形では、多くとも10%(90%の配列同一性)、そしてこの実施形態のさらなる縮退では、多くとも5%(95%の配列同一性)だけ、列挙された配列から変化する。本発明の実質的に等価の、例えば変異体のアミノ酸配列は、好ましくは列挙されたアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を、さらに好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する。本発明の実質的に等価のヌクレオチド配列は、より低いパーセントの配列同一性を有し、例えば遺伝暗号の冗長性または変性を考慮する。好ましくはヌクレオチド配列は、少なくとも約65%の同一性、さらに好ましくは少なくとも約75%の同一性、もっとも好ましくは少なくとも約95%の同一性を有する。本発明の目的のために、実質的に等価の生物学的活性および実質的に等価の発現特徴を有する配列は、実質的に等価であると考えられる。等価性を決定するために、成熟配列の短縮(例えば偽停止コドンを作製する変異による)は、無視されるべきである。配列同一性は、例えばJotun Hein法(Hein,J.(1990)Methods Enzymol.183:626−645)を用いて確定され得る。配列間の同一性は、当該技術分野で既知のその他の方法により(例えば、ハイブリダイゼーション条件を変えることによって)決定され得る。
「全能性」という用語は、成体生物体の細胞型のすべてに分化する細胞の能力を指す。
「形質転換」という用語は、DNAが、染色体外エレメントとしてか、または染色体取込みのいずれかにより複製可能であるような、適切な宿主細胞中へのDNAの導入を意味する。「トランスフェクション」という用語は、任意のコード配列が実際に発現されるか否かにかかわらず、適切な宿主細胞により発現ベクターが受け入れられることを指す。「感染」という用語は、ウイルスまたはウイルスベクターの使用による適切な宿主細胞中への核酸の導入を指す。
本明細書中で用いる場合、「取込み調節フラグメント(UMF)」とは、細胞中への連結DNAフラグメントの取込みを媒介する一連のヌクレオチドを意味する。UMFは、標的配列または標的モチーフとして既知のUMFを下記のコンピューターベース系とともに用いて、容易に同定され得る。UMFの存在および活性は、マーカー配列に疑わしいUMFを付けることにより確証され得る。その結果生じる核酸分子は次に、適切な条件下で適切な宿主を用いてインキュベートされ、マーカー配列の取込みが確定される。上記のように、UMFは連結マーカー配列の取込み頻度を増大する。
上記の用語は各々、その文脈が別記しない限り、各々に関して記載されたものすべてを包含するよう意味される。
(4.2 本発明の核酸)
本発明は、新規の幹細胞増殖因子様ポリペプチド、幹細胞増殖因子様ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびに癌およびその他の免疫学的障害の診断、処置または予防のためのこれらの組成物の使用の開発に基づいている。
本発明の単離ポリヌクレオチドとしては、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のヌクレオチド配列のいずれかを含むポリヌクレオチド;配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のフラグメント;配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26の全長タンパク質コード配列を含むポリヌクレオチド(例えば配列番号3、6、9、11、13、15、18、21または27をコードする);ならびに配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27のいずれか1つのポリペプチドの成熟タンパク質コード配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のポリヌクレオチドとしてはまた、(a)配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のヌクレオチド配列のいずれかの相補体;(b)配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27のポリペプチドのいずれか1つをコードするポリヌクレオチド;(c)上記の任意のポリヌクレオチドの対立遺伝子改変体であるポリヌクレオチド;(d)上記のタンパク質のいずれかの種ホモログをコードするポリヌクレオチド;あるいは(e)配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27のポリペプチドの特異的ドメインまたは短縮を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。目的のドメインは、コードされるポリペプチドの性質に依存し得る;例えば受容体様ポリペプチド中のドメインとしては、リガンド結合、細胞外、膜貫通または細胞質ドメインまたはそれらの組合せが挙げられ;免疫グロブリン様タンパク質中のドメインとしては、可変性免疫グロブリン様ドメインが挙げられ;酵素様ポリペプチド中のドメインとしては、触媒性ドメインおよび基質結合ドメインが挙げられ;そしてリガンドポリペプチド中のドメインとしては、受容体結合ドメインが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、天然DNAあるいは全体DNAまたは部分合成DNA(例えば、cDNAおよびゲノムDNA)ならびにRNA(例えば、mRNA)を包含する。これらポリヌクレオチドは、cDNAのコード領域のすべてを含み得るか、あるいはcDNAのコード領域の一部分を表し得る。
本発明はまた、本明細書中に開示されたcDNA配列に対応する遺伝子も提供する。対応する遺伝子は、本明細書中に開示された配列情報を用いて、公知の方法に従って単離され得る。このような方法としては、適切なゲノムライブラリーまたはゲノム物質の他の供給源中の遺伝子の同定および/または増幅のための、開示された配列情報からのプローブまたはプライマーの調製を含む。更なる5’配列および3’配列は、当該技術分野で公知の方法を用いて得られ得る。例えば配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のポリヌクレオチドのいずれかに対応する全長cDNAまたはゲノムDNAは、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のポリヌクレオチドのいずれかまたはその一部分をプローブとして用いて、適切なハイブリダイゼーション条件下で適切なcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、得られ得る。あるいは配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のポリヌクレオチドは、適切なゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリー中の遺伝子の同定および/または増幅を可能にする適切なプライマー(単数または複数)のための基礎として用いられ得る。
本発明の核酸配列は、1つ以上の公的データベース(例えば、dbEST、gbpriおよびUniGene)から得られるESTおよび配列(例えばcDNAおよびゲノム配列)から組み立てられ得る。EST配列は、全長遺伝子に関する配列情報、代表的フラグメントまたはセグメントの情報、あるいは新規のセグメント情報を同定することを提供し得る。
本発明のポリヌクレオチドはまた、上記のポリヌクレオチドと実質的に等価であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドも提供する。本発明に従うポリヌクレオチドは、上記のポリヌクレオチドに対して、例えば少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%または89%、さらに代表的には少なくとも約90%、91%、92%、93%または94%、さらにより代表的には少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%の、配列同一性を有し得る。
本発明の核酸配列の範囲内に含まれるのは、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のヌクレオチド配列のいずれか、あるいはその相補体と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列フラグメントであって、このフラグメントは約5ヌクレオチドより大きく、好ましくは7ヌクレオチド、さらに好ましくは9ヌクレオチドより大きく、もっとも好ましくは17ヌクレオチドより大きい。選択的である(すなわち、本発明のポリヌクレオチドのいずれか1つと特異的にハイブリダイズする)、例えば15、17または20ヌクレオチドまたはそれ以上のフラグメントが企図される。ポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズし得るプローブは、遺伝子の同一ファミリー中の他のポリヌクレオチド配列から本発明のポリヌクレオチド配列を区別し得るか、あるいは他の種の遺伝子からヒト遺伝子を区別し得、そして好ましくは独特のヌクレオチド配列に基づいている。
本発明の範囲内の配列はこれらの特定の配列に限定されないが、その対立遺伝子バリエーションおよび種バリエーションも含む。対立遺伝子バリエーションおよび種バリエーションは、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26で提供される配列、その代表的フラグメント、または配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26に対して少なくとも90%同一、好ましくは95%同一であるヌクレオチド配列を、同一種の別の単離物からの配列と比較することにより、日常的に決定され得る。さらに、コドン変動性に適応するために、本発明は、本明細書中に開示された特定ORFをコードするのと同一のアミノ酸配列をコードする核酸分子を含む。言い換えれば、ORFのコード領域では、あるコドンの、同一アミノ酸をコードする別のコドンに代えての置換が表現上意図される。
本発明の核酸に関するもっとも近い隣接結果は、アルゴリズムまたはプログラムを用いてデータベースを検索することにより得られ得る。好ましくは、Basic Local Alignment Search Toolを意味するBLASTは、局所配列アライメントに関して検索するために用いられる(Altshul,S.F.J Mol.Evol.36:290−300(1993)およびAltshul,S.F.らJ.Mol.Biol.21:403−410(1990))。
開示されたポリヌクレオチドおよびタンパク質の種ホモログ(すなわちオルソログ)もまた、本発明により提供される。種相同体は、本明細書中で提供される配列から適切なプローブまたはプライマーを作製し、所望の種由来の適切な核酸供給源をスクリーニングすることにより、単離され得、同定され得る。
本発明はまた、開示されたポリヌクレオチドまたはタンパク質の対立遺伝子改変体、すなわち、ポリヌクレオチドによりコードされるものと同一であるか、相同であるかまたは関連するタンパク質もコードする、天然の代替形態の単離ポリヌクレオチドも包含する。
本発明の核酸配列はさらに、記載された核酸の改変体をコードする配列に向けられる。これらのアミノ酸配列改変体は、ネイティブポリヌクレオチドまたは改変体ポリヌクレオチド中に適切なヌクレオチド変更を導入することによる、当該技術分野で公知の方法により調製され得る。アミノ酸配列改変体の構築において2つの変数が存在する:すなわち変異の位置および変異の性質である。アミノ酸配列改変体をコードする核酸は、好ましくはポリヌクレオチドを変異誘発して、天然には生じないアミノ酸配列をコードすることにより構築される。これらの核酸変更は、異なる種とは核酸が異なるか(可変的位置)、あるいは高保存領域(定常領域)が異なる部位に作られ得る。このような位置での部位は、典型的には、例えば最初に保存的選択で(例えば疎水性アミノ酸を異なる疎水性アミノ酸に)置換して、次により離れた選択で(例えば疎水性アミノ酸を荷電アミノ酸に)置換することにより連続的に改変され、次に欠失または挿入が標的部位に作製され得る。アミノ酸配列欠失は一般に、約1〜30残基、好ましくは約1〜10残基の範囲であり、典型的には連続している。アミノ酸挿入は、1〜100以上の残基の長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一アミノ酸残基または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。配列内挿入は、一般に約1〜10アミノ残基、好ましくは1〜5残基の範囲であり得る。末端挿入の例としては、分泌または異なる宿主細胞中での細胞内標的化に必要な異種シグナル配列、ならびに発現タンパク質を精製するために有用なFLAG配列またはポリ−ヒスチジン配列のような配列が挙げられる。
好ましい方法では、新規のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、部位特異的変異誘発により変えられる。この方法は、ポリヌクレオチドを変更し、所望のアミノ酸改変体をコードするためのオリゴヌクレオチド配列、ならびに変更されている部位のいずれか一方の側上に安定二重鎖を形成するのに十分な、変更アミノ酸の両側における隣接ヌクレオチドを用いる。一般的に、部位特異的変異誘発の技術は当業者に公知であり、そしてこの技術は、Edelmanら,DNA 2:183(1983)のような出版物により例示される。ポリヌクレオチド配列中に部位特異的変化を生成するための万能且つ効率的な方法は、ZollerおよびSmith,Nucleic Acids Res.10:6487−6500(1982)により発表されている。PCRも、新規核酸のアミノ酸配列改変体を作るために用いられ得る。少量の鋳型DNAが出発物質として用いられる場合、鋳型DNA中の対応する領域と配列がわずかに異なるプライマー(単数または複数)が、所望のアミノ酸改変体を生成し得る。PCR増幅は、プライマーにより特定される位置で、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド鋳型とは異なる生成物DNAフラグメントの一集団を生じる。生成物DNAフラグメントは、プラスミド中の対応する領域を置換し、これが所望のアミノ酸改変体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
アミノ酸改変体を生成するためのさらに別の技術は、Wellsら,Gene 34:315(1985)に記載されたカセット変異誘発技術、ならびに当該技術分野で既知のその他の変異誘発技術、例えばSambrookら(上記)およびAusubelら,Current protocols in Molecular Biologyにおける技術である。遺伝子コードの固有の縮重のために、実質的に同一であるか、または機能的に等価のアミノ酸配列をコードするその他のDNA配列が、これらの新規の核酸のクローニングおよび発現のために、本発明の実施において用いられ得る。このようなDNA配列としては、ストリンジェントな条件下で適切な新規の核酸配列とハイブリダイズし得る配列が挙げられる。
本発明の好ましい短縮ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、本発明の1つ以上のドメインおよび異種タンパク質配列を含むキメラタンパク質または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを生成し得る。
本発明のポリヌクレオチドは、上記のポリヌクレオチドのいずれかの相補体をさらに含む。ポリヌクレオチドは、DNA(ゲノム、cDNA、増幅性または合成性)またはRNAであり得る。このようなポリヌクレオチドを得るための方法およびアルゴリズムは当業者に周知であり、例としては、例えば所望の配列同一性のポリヌクレオチドをルーチンに単離し得るハイブリダイゼーション条件を確定するための方法が挙げられ得る。
本発明に従って、配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21もしくは27のいずれか1つをコードする成熟タンパク質コード配列を含むポリヌクレオチド配列、またはその機能的等価物を用いて、適切な宿主細胞中で、その核酸またはその機能的等価物の発現を指向する組換えDNA分子を生成し得る。本明細書中で同定されたクローンのいずれかのcDNA挿入物も含まれる。
本発明に従うポリヌクレオチドは、十分に確立された組換えDNA技術(Sambrook Jら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,NYを参照のこと)により、種々のその他のヌクレオチド配列のいずれかに結合され得る。ポリヌクレオチドに結合するための有用なヌクレオチド配列は、当該技術分野で周知のベクター、例えばプラスミド、コスミド、ラムダファージ誘導体、ファージミド等の取り合わせを含む。従って本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、およびポリヌクレオチドを含有する宿主細胞も提供する。一般的にベクターは、少なくとも1つの生物体中で機能的である複製の起点、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、および宿主細胞のための選択可能マーカーを含有する。本発明に従うベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクターおよび配列決定ベクターが挙げられる。本発明に従う宿主細胞は原核生物細胞もしくは真核生物細胞であるか、または単細胞生物もしくは多細胞生物の一部であり得る。
本発明はさらに、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のヌクレオチド配列またはそのフラグメントのいずれか、あるいは本発明の任意のその他のポリヌクレオチドを有する核酸を含む組換え構築物を提供する。一実施形態では、本発明の組換え構築物は、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のヌクレオチド配列またはそのフラグメントのいずれかを有する核酸が、順方向または逆方向で挿入されるベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)を含む。本発明のORFの1つを含むベクターの場合、ベクターは、調節配列、例えばORFに作動可能に連結されるプロモーターをさらに含み得る。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に公知であり、本発明の組換え構築物を生成するために市販される。以下のベクターは、例として提示される。細菌:pBs、ファージスクリプト(phagescript)、ψX174(PsiX174)、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXTI、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmacia)。
本発明の単離ポリヌクレオチドは、タンパク質を組換え的に産生するために、発現制御配列(例えば、Kaufmanら,Nucleic Acids Res.19,4485−4490(1991)に開示されたpMT2発現ベクターまたはpED発現ベクター)と作動可能に連結され得る。多数の適切な発現制御配列が、当該技術分野で公知である。組換えタンパク質を発現する一般的方法もまた公知であり、R.Kaufman,Methods in Enzymology 185,537−566(1990)に例示されている。本明細書中に定義されているように、「作動可能に連結される」とは、連結したポリヌクレオチド配列/発現制御配列で形質転換(トランスフェクト)された宿主細胞によりタンパク質が発現されるような方法で、本発明の単離ポリヌクレオチドおよび発現制御配列がベクターまたは細胞内に配置されることを意味する。
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたはその他のベクターを選択可能マーカーとともに用いて、任意の所望の遺伝子から選択され得る。2つの適切なベクターは、pKK232−8およびpCM7である。特定の命名された細菌プロモーターとしては、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPRおよびtrcが挙げられる。真核生物プロモーターとしては、CMV極初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期のSV40、レトロウイルスからのLTR、ならびにマウスメタロチオネイン−Iが挙げられる。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者のレベル内である。一般に組換え発現ベクターとしては、複製の起点、ならびに宿主細胞の形質転換を可能にする選択可能マーカー、例えばE.coliのアンピシリン耐性遺伝子およびS.cerevisiae TRP1遺伝子、ならびに下流構造配列の転写を指向する高発現遺伝子由来のプロモーターが挙げられる。このようなプロモーターは、特に、解糖酵素、例えば3−ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)、a−因子、酸性ホスファターゼ、または熱ショックタンパク質をコードするオペロンに由来し得る。異種構造配列は、翻訳開始および終結配列、好ましくは細胞周辺腔または細胞外媒質中への翻訳タンパク質の分泌を指向し得るリーダー配列を用いて、適切な段階でアッセンブルされる。必要に応じて、異種配列は、所望の特徴、例えば安定化または発現組換え産物の簡易精製を付与するアミノ末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードし得る。細菌使用のための有用な発現ベクターは、機能性プロモーターを用いて操作可能読取り段階に、適切な翻訳開始および終結シグナルと一緒に所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を挿入することにより、構築される。ベクターは、ベクターの保持を保証し、望ましい場合には、宿主内での増幅を提供するために、1つまたは複数の表現型選択可能マーカーおよび複製の起点を含む。形質転換のための適切な原核生物宿主としては、E.coli、Bacillus subtilus、Salmonella typhimurium、ならびにPseudomonas属、Streptomyces属およびStaphylococus属内の種々の種が挙げられるが、その他も選択物として用いられ得る。
細菌使用のための有用な発現ベクターの代表的であるが非限定例は、選択可能マーカー、および周知のクローニングベクターpBR322(ATCC37017)の遺伝エレメントを含む市販のプラスミドに由来する細菌の複製起点を含み得る。このような市販ベクターとしては、例えばpKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals,Uppsala,Sweden)およびGEM1(Promega Biotech,Madison,WI,USA)が挙げられる。これらのpBR322「骨格」区分は、適切なプロモーターおよび発現される構造配列と組み合わされる。適切な宿主株の形質転換および適切な細胞密度への宿主株の増殖後、適切な手段(例えば温度シフトまたは化学的誘導)により選択プロモーターが誘導されるか、または抑制解除されて、細胞がさらなる期間、培養される。細胞は、典型的には遠心分離により収穫され、物理的または化学的手段により破壊され、その結果生じた粗製抽出物がさらなる精製のために保持される。
本発明のポリヌクレオチドは、免疫応答を誘導するためにも用いられ得る。例えばFanら,Nat.Biotech.17:870−872(1999)(参考として本明細書中に援用される)に記載されているように、ポリペプチドをコードする核酸配列を用いて、裸プラスミドDNAの局所投与後、またはDNAの注射、好ましくは筋肉内注射後、コード化ポリペプチドに対する抗体を生成し得る。核酸配列は、好ましくは組換え発現ベクター中に挿入され、裸DNAの形態であり得る。
(4.2.1 アンチセンス核酸)
本発明の別の局面は、幹細胞増殖因子様ヌクレオチド配列またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含む核酸分子とハイブリダイズし得るかまたは相補的である単離アンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸と相補的である(例えば二本鎖cDNA分子のコード鎖と相補的またはmRNA配列と相補的)ヌクレオチド配列を含む。特定の局面において、少なくとも約10、25、50、100、250または500ヌクレオチドとの、または幹細胞増殖因子様コード鎖全体との、あるいはその一部分のみとの配列相補性を含むアンチセンス核酸分子が提供される。幹細胞増殖因子様のフラグメント、相同体、誘導体および類似体をコードする核酸分子、あるいは幹細胞増殖因子様核酸配列と相補的なアンチセンス核酸が、さらに提供される。
一実施形態では、アンチセンス核酸分子は、幹細胞増殖因子様タンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対するアンチセンスである。用語「コード領域」は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態では、アンチセンス核酸分子は、幹細胞増殖因子様タンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コンシーディング(conceding)領域」に対するアンチセンスである。用語「コンシーディング(conceding)領域」は、アミノ酸に翻訳されないコード領域と隣接する5’配列および3’配列をいう(すなわち、5’非翻訳領域および3’非翻訳領域とも呼ばれる)。
本明細書中に開示された幹細胞増殖因子様タンパク質をコードするコード鎖配列を仮定すると、ワトソン・クリック型またはフーグスティーン型塩基対の原則に従って、本発明のアンチセンス核酸が設計され得る。アンチセンス核酸分子は幹細胞増殖因子様mRNAの全コード領域と相補性であり得るが、さらに好ましくは、幹細胞増殖因子様mRNAのコードまたは非コード領域の一部分のみに対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、幹細胞増殖因子様mRNAの翻訳開始部位周囲の領域と相補性であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該技術分野で公知の手法を用いる化学合成または酵素結合反応を用いて構築され得る。例えばアンチセンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然ヌクレオチド、あるいは分子の生物学的安定性を増大するよう、またはアンチセンスとセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増大するよう設計された種々に改変ヌクレオチドを用いて(例えばホスホロチオネート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが用いられ得る)、化学的に合成され得る。
アンチセンス核酸を生成するために用いられ得る改変ヌクレオチドの例としては、以下のものが挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウィブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、キュエオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6−ジアミノプリン。あるいはアンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配向でサブクローニングされた発現ベクターを用いて、生物学的に産生され得る(すなわち、挿入核酸から転写されたRNAは、以下の節でさらに記載される目的の標的核酸に対してアンチセンス配向を有する)。
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、それらが幹細胞増殖因子様タンパク質をコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするかまたはそれに結合し、それによりタンパク質の発現を阻害する(例えば転写および/または翻訳を阻害することにより)ように、被験体に投与されるか、あるいはインサイチュで生成される。ハイブリダイゼーションは、安定二重鎖を形成するために慣用的ヌクレオチド相補性によってか、あるいは例えばDNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重螺旋の大きい溝における特異的相互作用によってなされる。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の一例としては、組織部位での直接注射が挙げられる。あるいはアンチセンス核酸分子は、選択細胞を標的化するよう改変され、次に全身投与され得る。例えば全身投与のためには、アンチセンス分子は、それらが、選択細胞表面上に発現される受容体または抗原に特異的に結合するよう(例えばアンチセンス核酸分子を、細胞表面受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することにより)、改変され得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載されたベクターを用いて、細胞に送達され得る。十分な核酸分子を達成するためには、アンチセンス核酸分子が強力なpolIIまたはpolIIIプロモーターの制御下に配置されるベクター構築物が好ましい。
さらに別の実施形態では、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、通常のアルファ−単位と逆に、鎖が互いに平行に走る相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成する。例えばGaultier,ら,1987.Nucl.Acids Res.15:6625−6641参照。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(例えばInoue,ら 1987.Nucl.Acids Res.15:6131−6148参照)またはキメラRNA−DNA類似体(例えばInoue,ら,1987.FEBS Lett.215:327−330参照)も含み得る。
(4.2.2 リボザイムおよびPNA部分)
核酸修飾としては、その糖ホスフェート骨格が改変されるかまたは誘導される改変塩基および核酸が挙げられるが、これらに限定されない。これらの改変は、少なくとも一部は、それらが、例えば被験体における治療的用途においてアンチセンス結合核酸として用いられ得るよう、改変核酸の化学的安定性を強化するために実行される。
一実施形態では、本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムである。リボザイムは、それらが相補性領域を有する一本鎖核酸、例えばmRNAを切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。したがってリボザイム(例えばHaselhoff および Gerlach 1988.Nature 334:585−591に記載されたようなハンマーヘッドリボザイム)を用いて幹細胞増殖因子様mRNA転写体を触媒的に切断し、それにより幹細胞増殖因子様mRNAの翻訳を抑制し得る。幹細胞増殖因子様コード核酸に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示された幹細胞増殖因子様cDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計され得る。例えば活性部位のヌクレオチド配列が幹細胞増殖因子様コードmRNA中で切断されるヌクレオチド配列と相補的であるテトラヒメナL−19IVS RNAの誘導体が構築され得る。例えば米国特許第4,987,071号(Cech等)および米国特許第5,116,742号(Cech等)参照。幹細胞増殖因子様mRNAはまた、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択するためにも用いられ得る。例えばBartelら,(1993)Science 261:1411−1418参照。
あるいは幹細胞増殖因子様遺伝子発現は、幹細胞増殖因子様核酸の調節領域(例えば幹細胞増殖因子様プロモーターおよび/またはエンハンサー)と相補的なヌクレオチド配列を標的化して、標的細胞中の幹細胞増殖因子様遺伝子の転写を阻止する三重螺旋構造を形成することにより、阻害され得る。例えばHelene,1991.Anticancer Drug Des.6:569−84;Helene,ら 1992.Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;Maher,1992.Bioassays 14:807−15参照。
種々の実施形態では、幹細胞増殖因子様核酸は、塩基部分、糖部分またはホスフェート骨格で改変されて、例えば分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解性を改善し得る。例えば核酸のデオキシリボースホスフェート骨格は、ペプチド核酸を生成するよう改変され得る。例えばHyrup,ら,1996.Bioorg Med Chem 4:5−23参照。本明細書中で用いる場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースホスフェート骨格が偽ペプチド骨格により置換され、4つの天然核酸塩基だけが保持される核酸模倣物(例えばDNA模倣物)をいう。PNAの中性骨格は、低イオン強度の条件下でのDNAおよびRNAとの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示された。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup,ら,1996.上記;Perry−O’Keefe,ら,1996.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−14675に記載されたような標準固相ペプチド合成プロトコルを用いて実施され得る。
幹細胞増殖因子様のPNAは、治療的および診断的用途に用いられ得る。例えばPNAは、例えば転写または翻訳停止を誘導するか、または複製を阻害することにより、遺伝子発現の配列特異的調整のためのアンチセンスまたは抗遺伝子作用物質として用いられ得る。幹細胞増殖因子様のPNAはまた、例えば遺伝子中の単一塩基対変異の分析(例えばPNA特異的PCRクランピング)に;他の酵素、例えばS1ヌクレアーゼとの組合せで用いられる場合、人工制限酵素として(例えばHyrup,ら,1996、上記)か;あるいはDNA配列およびハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして(Hyrup,ら,1996、上記;Perry−O’Keefe,ら,1996、上記)も用いられ得る。
別の実施形態では、幹細胞増殖因子様のPNAは、例えば親油性またはその他のヘルパー基をPNAに結合することによってか、PNA−DNAキメラの形成によってか、あるいはリポソームまたは当該技術分野で公知の薬剤送達のその他の技術の使用により、それらの安定性または細胞取り込みを強化するよう、改変され得る。例えばPNAおよびDNAの有益な特性を組み合わせ得る幹細胞増殖因子様のPNA−DNAキメラが生成され得る。このようなキメラは、DNA認識酵素(例えばRNアーゼHおよびDNAポリメラーゼ)をDNA部分と相互作用させるが、一方、PNA部分は高結合親和性および特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合の数、および配向に関して選択される適切な長さのリンカーを用いて連結され得る(Hyrup,ら,1996、上記参照)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup,ら,1996.Nucl Acids Res 24:3357−3363(上記)に記載されているように実施され得る。例えばDNA鎖は、標準ホスホルアミダイトカップリング化学を用いて固体支持体上で合成され、修飾ヌクレオシド類似体、例えば5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイトが、PNAおよびDNAの5’末端間に用いられ得る。例えばMag,ら,1989.Nucl Acid Res 17:5973−5988参照。PNAモノマーは次に、段階的様式でカップリングされて、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する。例えばFinn,ら,1996、上記参照。あるいは、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて合成され得る。例えばPetersen,ら,1975.Bioorg.Med.Chem.Lett.5:1119−11124参照。
その他の実施形態では、オリゴヌクレオチドとしては、他の追加基、例えばペプチド(例えば宿主細胞受容体をインビボで標的化するため)、または細胞膜を横切る輸送を促す作用物質(例えばLetsinger,ら,1989.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86:6553−6556;Lemaitre,ら,1987.Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652;PCT公開番号WO88/09810参照)あるいは血液脳関門(例えばPCT公開番号WO89/10134参照)が挙げられ得る。さらにオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発性切断作用物質(例えばKrol,ら,1988.BioTechniques 6:958−976参照)または挿入剤(例えばZon,1988.Pharm.Res.5:539−549参照)を用いて改変され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーション誘発性架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤等と結合され得る。
(4.3 宿主)
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを含有するよう遺伝子操作された宿主細胞を提供する。例えばこのような宿主細胞は、公知の形質転換、トランスフェクションまたは感染方法を用いて宿主細胞中に導入される本発明の核酸を含有し得る。本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを発現するよう遺伝子操作された宿主細胞を提供する。この場合、このようなポリヌクレオチドは、細胞中でのポリヌクレオチドの発現を駆動する宿主細胞と異種の調節配列と作動可能に会合する。
宿主細胞は、高等真核生物宿主細胞、例えば哺乳類細胞、下等真核生物宿主細胞(例えば酵母細胞)であり得るし、あるいは宿主細胞は、原核生物細胞(例えば細菌細胞)であり得る。宿主細胞中への組換え構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE、デキストラン媒介性トランスフェクション、またはエレクトロポレーションにより実行され得る(Davis,L.ら,Basic Methods in Molecular Biology(1986))。本発明のポリヌクレオチドの1つを含有する宿主細胞は、単離フラグメントによりコードされる遺伝子産物を産生するために慣用的様式で用いられ得る(ORFの場合)し、あるいはEMFの制御下で異種タンパク質を産生するために用いられ得る。
任意の宿主/ベクター系を用いて、1つまたは複数の本発明のORFを発現し得る。これらの例としては、真核生物宿主(例えばHeLa細胞、Cv−1細胞、COS細胞およびSf9細胞)、ならびに原核生物宿主(例えばE.coliおよびB.subtilis)が挙げられるが、これらに限定されない。もっとも好ましい細胞は、通常、特定のポリペプチドまたはタンパク質を発現しない細胞、あるいは低天然レベルでポリペプチドまたはタンパク質を発現する細胞である。成熟タンパク質は、適切なプロモーターの制御下で、哺乳類細胞、酵母、細菌またはその他の細胞中で発現され得る。無細胞翻訳系もまた、本発明のDNA構築物に由来するRNAを用いて、このようなタンパク質を産生するために用いられ得る。原核生物宿主および真核生物宿主で用いるための適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Sambrookら,in Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor ,New York(1989)(この開示は、参考として本明細書中に援用される)により記載されている。
種々の哺乳類細胞培養系もまた、組換えタンパク質を発現するために用いられ得る。哺乳類発現系の例としては、Gluzman,Cell 23:175(1981)により記載されたサル腎臓線維芽細胞のCOS−7株、および適合性ベクターを発現し得るその他の細胞株(例えばC127細胞株、3T3細胞株、CHO細胞株、HeLa細胞株およびBHK細胞株)が挙げられる。哺乳類発現ベクターは、複製の起点、適切なプロモーターを、ならびに任意に必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与体および受容体部位、転写終結配列および5’隣接非転写配列も含む。SV40ウイルスゲノム由来のDNA配列、例えばSV40起点、初期プロモーター、エンハンサー、スプライスおよびポリアデニル化部位を用いて、必要な非転写遺伝エレメントを提供し得る。細菌培養中で産生される組換えポリペプチドおよびタンパク質は通常は、細胞ペレットから最初に抽出され、その後の1つまたは複数の塩析水性イオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィー工程により単離される。タンパク質再フォールディング工程は、必要な場合には、成熟タンパク質の立体配置を完成するのに用いられ得る。最後に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が、最終精製工程のために用いられ得る。タンパク質の発現に用いられる微生物細胞は、任意の便利な方法(凍結解凍循環、音波処理、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含む)により、破壊され得る。
多くの種類の細胞が、タンパク質の発現のための適切な宿主細胞として作用し得る。哺乳類宿主細胞としては、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、その他の形質転換された霊長類細胞株、正常二倍体細胞、一次組織(primary tissue)のインビトロ培養物由来の細胞株、一次外植片、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK細胞、HL−60細胞、U937細胞、HaK細胞またはJurkat4細胞が挙げられる。
あるいは、下等真核生物(例えば、酵母中)、または原核生物(例えば細菌)においてタンパク質を産生することも可能であり得る。潜在的に適切な酵母株としては、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candidaまたは異種タンパク質を発現し得る任意の酵母株が挙げられる。潜在的に適切な細菌株としては、Escherichia coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimuriumまたは異種タンパク質を発現し得る任意の細菌株が挙げられる。タンパク質が酵母または細菌内で作られる場合、機能的タンパク質を得るために、例えば適切な部位のリン酸化またはグリコシル化により、そこで産生されるタンパク質を改変する必要があり得る。このような共有結合は、公知の化学的方法または酵素的方法を用いて成し遂げられ得る。
本発明の別の実施形態では、細胞および組織は、誘導性調節エレメントの制御下で本発明のポリヌクレオチドを含む内因性遺伝子を発現するよう操作され得る。この場合、内因性遺伝子の調節配列は、相同組換えにより置換され得る。本明細書中に記載される場合、遺伝子ターゲッティングを用いて、遺伝子の既存の調節領域を、異なる遺伝子から単離された調節配列または遺伝子操作方法により合成された新規の調節配列で置き換え得る。このような調節配列は、プロモーター、エンハンサー、足場結合(scaffold−attachment)領域、負の調節エレメント、転写開始部位、調節タンパク質結合部位または上記の配列の組合せで構成され得る。あるいは、RNAまたは産生されるタンパク質の構造または安定性に影響を及ぼす配列(例えばポリアデニル化シグナル、mRNA安定性エレメント、スプライス部位、タンパク質の輸送または分泌特性を強化または改変するためのリーダー配列、あるいはタンパク質またはRNA分子の機能または安定性を変更または改善するその他の配列を含む)は、置換、除去、付加またはそうでなければターゲッティングによって改変され得る。
ターゲッティング事象は、調節配列の単なる挿入、新規の調節配列の制御下での遺伝子の配置、例えば遺伝子上流での新規のプロモーターまたはエンハンサーあるいはその両方の挿入であり得る。あるいはターゲッティング事象は、調節エレメントの単なる欠失、例えば組織特異的負の調節エレメントの欠失であり得る。あるいはターゲッティング事象は、既存のエレメントを置換し得る。例えば組織特異的エンハンサーは、天然素子より広範なまたは異なる細胞型特異性を有するエンハンサーにより置き換えられ得る。ここで、天然配列は欠失され、新規の配列が付加される。すべての場合に、ターゲッティング事象の同定は、ターゲッティングDNAと連続する1つまたは複数の選択可能マーカー遺伝子の使用により促され得、外因性DNAが宿主細胞ゲノム中に組み込まれた細胞の選択を可能にする。ターゲッティング事象の同定はまた、負の選択可能マーカーが外因性DNAに連結されるが、負の選択可能マーカーがターゲッティング配列と隣接するよう、そして宿主細胞ゲノムの配列による正しい相同的組換え事象が負の選択可能マーカーの安定組込みを生じないよう配置されるように、負の選択の特性を示す1つまたは複数のマーカー遺伝子の使用によっても促され得る。この目的のために有用なマーカーとしては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子または細菌キサンチン−グアニンホスホリボシル−トランスフェラーゼ(gpt)遺伝子が挙げられる。
本発明のこの局面に従って用いられ得る遺伝子ターゲッティングまたは遺伝子活性化技術は、米国特許第5,272,071号(Chappel);米国特許第5,578,461号(Sherwin等);国際出願番号PCT/US92/09627(WO93/09222)(Selden等);および国際出願番号PCT/US90/06436(WO91/06667)(Skoultchi等)により詳細に記載されている(これらは各々、その全体が参考として本明細書中に援用される)。
(4.3.1 キメラおよび融合タンパク質)
本発明はまた、幹細胞増殖因子様キメラタンパク質または融合タンパク質も提供する。本明細書中で用いる場合、幹細胞増殖因子様「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非幹細胞増殖因子様ポリペプチドに作動可能に連結された幹細胞増殖因子様ポリペプチドを含む。「幹細胞増殖因子様ポリペプチド」とは、幹細胞増殖因子様タンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、一方、「非幹細胞増殖因子様ポリペプチド」とは、幹細胞増殖因子様タンパク質と実質的に相同でないタンパク質(例えば幹細胞増殖因子様タンパク質と異なるタンパク質、および同一または異なる生物体に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。幹細胞増殖因子様融合タンパク質内では、幹細胞増殖因子様ポリペプチドは幹細胞増殖因子様タンパク質の全部または一部に対応し得る。一実施形態では、幹細胞増殖因子様融合タンパク質は、幹細胞増殖因子様タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性部分を含む。別の実施形態では、幹細胞増殖因子様融合タンパク質は、幹細胞増殖因子様タンパク質の少なくとも2つの生物学的活性部分を含む。さらに別の実施形態では、幹細胞増殖因子様融合タンパク質は、幹細胞増殖因子様タンパク質の少なくとも3つの生物学的活性部分を含む。融合タンパク質内では、用語「作動可能に連結される」用語は、幹細胞増殖因子様ポリペプチドおよび非幹細胞増殖因子様ポリペプチドが互いにインフレームで融合されることを示すことが意図される。非幹細胞増殖因子様ポリペプチドは、幹細胞増殖因子様ポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
一実施形態では、融合タンパク質は、幹細胞増殖因子様配列がGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合される、GST−幹細胞増殖因子様融合タンパク質である。このような融合タンパク質は、組換え幹細胞増殖因子様ポリペプチドの精製を促し得る。別の実施形態では、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含有する幹細胞増殖因子様タンパク質である。ある種の宿主細胞(例えば哺乳類宿主細胞)では、幹細胞増殖因子様の発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用により増大され得る。
さらに別の実施形態では、融合タンパク質は、幹細胞増殖因子様配列が免疫グロブリンタンパク質ファミリーの一メンバー由来の配列と融合される幹細胞増殖因子様−免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明の幹細胞増殖因子様−免疫グロブリン融合タンパク質は、薬学的組成物中に組み入れられて、被験体に投与され、細胞表面での幹細胞増殖因子様リガンドと幹細胞増殖因子様タンパク質との間の相互作用を阻害し、それによりインビボでの幹細胞増殖因子様媒介性シグナル伝達を阻害し得る。幹細胞増殖因子様−免疫グロブリン融合タンパク質を用いて、幹細胞増殖因子様コグネイトリガンドの生物学的利用能に影響を及ぼし得る。幹細胞増殖因子様リガンド/幹細胞増殖因子様相互作用の抑制は、増殖性および分化性障害の両方の治療に、ならびに細胞生存を調整する(例えば促進するかまたは阻害する)のに、療法的に有用であり得る。さらに、本発明の幹細胞増殖因子様−免疫グロブリン融合タンパク質は、被験体における抗幹細胞増殖因子様抗体を産生するための免疫原として、幹細胞増殖因子様リガンドを精製するための免疫原として、そしてスクリーニングアッセイにおいて幹細胞増殖因子様と幹細胞増殖因子様リガンドとの相互作用を阻害する分子を同定するための免疫原として用いられ得る。
本発明の幹細胞増殖因子様キメラタンパク質または幹細胞増殖因子様融合タンパク質は、標準組換えDNA技術により産生され得る。例えば異なるポリペプチド配列についてコードするDNAフラグメントは、慣用的技術に従って、例えば結合のための平滑末端または付着末端によって、適切な末端を提供するための制限酵素消化、適切な場合、付着末端の充填、望ましくない連結を回避するためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および酵素的結合を用いることにより、インフレームで一緒に結合される。別の実施形態では、融合遺伝子は、慣用的技術(自動DNA合成機を含む)により合成され得る。あるいは、その後アニーリングされ、再増幅されて、キメラ遺伝子配列を生成し得る、2つの連続遺伝子フラグメント間に相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて、遺伝子フラグメントのPCR増幅が実行され得る(例えばAusubelら(eds.)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,1992参照)。さらに、すでに融合部分(例えばGSTポリペプチド)をコードした多数の発現ベクターが市販されている。幹細胞増殖因子様コード核酸は、融合部分が幹細胞増殖因子様タンパク質とインフレームで連結されるよう、このような発現ベクター中でクローン化され得る。
(4.4 本発明のポリペプチド)
本発明の単離されたポリペプチドとしては、配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27のいずれか1つとして記述されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは対応する全長タンパク質または成熟タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のポリペプチドはまた、(a)配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26で記述されるヌクレオチド配列のいずれか1つを有するポリヌクレオチドによってコードされるか、あるいは(b)配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27として記述されるアミノ酸配列のいずれか1つをコードするポリヌクレオチドによってコードされるか、あるいは(c)ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、(a)または(b)のいずれかのポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、好ましくは生物学的または免疫学的活性を有するポリペプチドも包含する。本発明はまた、配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27として記述されるアミノ酸配列のいずれかの生物学的活性改変体または免疫学的活性改変体、あるいは対応する全長タンパク質または成熟タンパク質;ならびに生物学的活性を保有するその「実質的等価物」(例えば、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%または89%、さらに典型的には少なくとも約90%、91%、92%、93%または94%、よりさらに典型的には少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%、最も典型的には少なくとも約99%のアミノ酸同一性を有する)も提供する。対立遺伝子改変体によりコードされるポリペプチドは、配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27を含むポリペプチドと比較して、同様の活性、増大した活性または低下した活性を有し得る。
生物学的活性を示し得る本発明のタンパク質のフラグメントもまた、本発明により包含される。そのタンパク質のフラグメントは、直鎖状形態であり得るし、あるいはそれらは、例えばH.U.Saragoviら、Bio/Technology 10,773−778(1992)に、およびR.S.McDowellら、J.Amer.Chem.Soc.114,9245−9253(1992)(これらの記載内容はともに、参照として本明細書中に援用される)に記載されたような公知の方法を用いて環化され得る。このようなフラグメントは、多数の目的のために(タンパク質結合部位の原子価を増大することを含む)、キャリア分子(例えば免疫グロブリン)と融合され得る。
本発明は、全長形態および成熟形態(例えば、シグナル配列も前駆体配列も有さない)の両方の開示タンパク質もまた提供する。このタンパク質コード配列は、開示ヌクレオチド配列の翻訳により配列表で同定される。このようなタンパク質の成熟形態は、適切な哺乳動物細胞またはその他の宿主細胞中での全長ポリヌクレオチドの発現により、獲得され得る。この成熟形態のタンパク質の配列もまた、全長形態のアミノ酸配列から決定可能である。本発明のタンパク質が膜結合されている場合、可溶性形態のタンパク質もまた、提供される。このような形態では、タンパク質はそれが発現される細胞から完全に分泌されるように、そのタンパク質を膜結合させる領域の一部または全部が欠失されている。
本発明のタンパク質組成物は、受容可能なキャリア(例えば親水性の、例えば薬学的に受容可能なキャリア)をさらに含み得る。
本発明はさらに、本発明の核酸フラグメントにより、あるいは本発明の核酸フラグメントの縮重改変体によりコードされる、単離されたポリペプチドを提供する。「縮重改変体」とは、ヌクレオチド配列が本発明の核酸フラグメント(例えばORF)と異なるが、しかし遺伝暗号の縮重のために同一ポリペプチド配列をコードする、ヌクレオチドフラグメントが意図される。本発明の好ましい核酸フラグメントは、タンパク質をコードするORFである。
当該分野で公知の種々の方法が、本発明の単離されたポリペプチドまたは単離されたタンパク質のいずれか1つを得るために利用され得る。もっとも簡単なレベルで、本アミノ酸配列は、市販のペプチド合成機を用いて合成され得る。合成的に構築されたタンパク質配列は、タンパク質と一次構造特徴、二次構造特徴もしくは三次構造および/または立体配座特徴を共有することによって、そのタンパク質と共通の生物学的特性(例えばタンパク質活性)を保有し得る。この技術は、小ペプチドおよびより大きいポリペプチドのフラグメントを産生するのに特に有用である。フラグメントは、例えばネイティブポリペプチドに対する抗体を生成するのに有用である。従ってそれらは、治療用化合物のスクリーニングにおける、ならびに抗体の開発のための免疫学的方法における、天然精製タンパク質に代わる生物学的に活性な置換物または免疫学的な置換物として用いられ得る。
本発明のポリペプチドおよびタンパク質は、代替的には、所望のポリペプチドまたは所望のタンパク質を発現するよう変更された細胞から精製され得る。本明細書中で用いる場合、細胞は、遺伝子操作により、その細胞が普通には生じないかまたはその細胞が普通はより低レベルで産生するポリペプチドまたはタンパク質を産生するようにされた場合に、所望のポリペプチドまたは所望のタンパク質を発現するよう変更されている、といわれる。本発明のポリペプチドまたはタンパク質の1つを産生する細胞を生成するために、真核生物細胞中または原核生物細胞中に組換え配列または合成配列のいずれかを導入しそして発現するための手法を、当業者は容易に適合させ得る。
本発明はまた、ポリペプチドを生成する方法に関し、この方法は、適切な培養培地中で本発明の宿主細胞の培養を増殖させる工程、およびその細胞またはその細胞が増殖された培地からタンパク質を精製する工程を含む。例えば、本発明の方法は、本発明のポリヌクレオチドを含む適切な発現ベクターを含有する宿主細胞が、コードされたポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養される、ポリペプチドを生成する方法を包含する。本ポリペプチドは、培養物から、便宜的には培養培地から、または宿主細胞から調製された溶解物から回収され得、そしてさらに精製され得る。好ましい実施形態は、このような方法により産生されたタンパク質が全長形態または成熟形態のタンパク質であるものを包含する。
代替的方法では、本ポリペプチドまたは本タンパク質は、天然で本ポリペプチドまたは本タンパク質を産生する細菌細胞から精製される。本発明の単離されたポリペプチドまたは単離されたタンパク質の1つを得るために、当業者は、ポリペプチドおよびタンパク質を単離するための公知の方法に容易に従い得る。これらとしては、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびイムノアフィニティークロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない(例えばScopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer−Verlag(1994);Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual;Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology参照)。生物学的活性/免疫学的活性を保有するポリペプチドフラグメントとしては、約100個より多いアミノ酸、または約200個より多いアミノ酸を含むフラグメント、および特定タンパク質ドメインをコードするフラグメントが挙げられる。
精製ポリペプチドは、当該分野で周知のインビトロ結合アッセイに用いられて、そのポリペプチドと結合する分子を同定し得る。これらの分子としては、例えば低分子、コンビナトリアルライブラリーからの分子、抗体またはその他のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。この結合アッセイで同定された分子は、次に、当該分野で周知のインビボ組織培養または動物モデルで、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性に関して試験される。要するに、これらの分子は、複数の細胞培養物または動物中で力価測定され、次に細胞死/動物死、または動物/細胞の長期生存のいずれかに関して試験される。
さらに、本発明のペプチドまたは本ペプチドと結合し得る分子は、毒素(例えばリシンまたはコレラ毒素)と、あるいは細胞に対して毒性であるその他の化合物と、複合され得る。次にこの毒素結合分子複合体は、配列番号3、5〜7、9、11、13、15、18、20〜21または27に対する結合分子の特異性により、腫瘍またはその他の細胞に対して標的化される。
本発明のタンパク質はまた、そのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する体細胞または生殖細胞により特徴付けられるトランスジェニック動物の生成物として(例えばトランスジェニックウシ、トランスジェニックヤギ、トランスジェニックブタまたはトランスジェニックヒツジの乳の成分として)も、発現され得る。
本明細書中に提供されるタンパク質はまた、精製タンパク質のアミノ酸配列と同様ではあるが、その中に改変が、天然で提供されているかまたは故意に操作されたアミノ酸配列により特徴づけられる、タンパク質も包含する。例えば、改変は、ペプチド配列中またはDNA配列中において、公知の技術を用いて、当業者により作製され得る。そのタンパク質配列における目的とされる改変としては、コード配列中の選択したアミノ酸残基の変更、置換、交換、挿入または欠失が挙げられ得る。例えば、1つ以上のシステイン残基が、欠失されるかまたは別のアミノ酸と交換されて、その分子の立体構造を変更し得る。このような変更、置換、交換、挿入または欠失のための技術は、当業者に周知である(例えば米国特許第4,518,584号参照)。好ましくは、このような変更、置換、交換、挿入または欠失は、そのタンパク質の所望の活性を保有する。そのタンパク質機能のために重要であるタンパク質領域は、当該分野で公知の種々の方法により決定され得る。その例としては、単一アミノ酸またはアミノ酸列をアラニンで系統的に置換し、その後、その結果生じたアラニン含有改変体を生物学的活性に関して試験することを含む、アラニン走査法が挙げられる。この種の分析は、生物学的活性における置換アミノ酸(単数または複数)の重要性を決定する。タンパク質機能に重要であるタンパク質領域は、eMATRIXプログラムにより決定され得る。
全体的または部分的にタンパク質活性を保有すると予測されかつスクリーニングまたはその他の免疫学的方法に有用である、タンパク質の配列のその他のフラグメントおよび誘導体もまた、本明細書中の開示を考慮して当業者により容易に作製され得る。このような改変は、本発明に包含される。
本タンパク質は、本発明の単離されたポリヌクレオチドを、1つ以上の昆虫発現ベクター中の適切な制御配列に作動可能的に連結すること、および昆虫発現系を用いることによってもまた、産生され得る。バキュロウイルス発現系/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、キット形態で、例えばInvitrogen、San Diego、Calif.,U.S.A.から市販されており(MaxBat(登録商標)キット)、このような方法は、SummersおよびSmith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)(この記載内容は、参考として本明細書中に援用される)に記載されているように、当該分野で周知である。本明細書中で用いる場合、本発明のポリヌクレオチドを発現し得る昆虫細胞は、「形質転換」される。
本発明のタンパク質は、その組換えタンパク質を発現するのに適した培養条件下で、形質転換宿主細胞を培養することにより、調製され得る。その結果生じた発現タンパク質は次に、公知の精製方法を用いて(例えばゲル濾過クロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーを用いて)、このような培養物から(すなわち培養培地または細胞抽出物から)精製され得る。このタンパク質の精製はまた、このタンパク質と結合する作用物質を含有するアフィニティーカラム;コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−トヨパール(登録商標)またはシバクロムブルー3GAセファロース(登録商標)のようなアフィニティー樹脂上での1つ以上のカラムステップ;フェニルエーテル、ブチルエーテルまたはプロピルエーテルといったような樹脂を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む1つ以上のステップ;あるいはイムノアフィニティークロマトグラフィーも包含し得る。
あるいは、本発明のタンパク質はまた、精製を容易にする形態でも発現され得る。例えば、本発明のタンパク質は、融合タンパク質(例えばマルトース結合タンパク質(MBP)の融合タンパク質、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)の融合タンパク質またはチオレドキシン(TRX)の融合タンパク質)として、あるいはHisタグとして、発現され得る。このような融合タンパク質の発現および精製のためのキットは、New England BioLab(Beverly,Mass.)、Pharmacia(Piscataway,N.J.)およびInvitrogenからそれぞれ市販されている。本タンパク質はまた、エピトープでタグ化され得、その後、このようなエピトープに対する特異的抗体を用いて精製され得る。このようなエピトープの1つ(「FLAG(登録商標)」)は、Kodak(New Haven,Conn.)から市販されている。
最後に、疎水性RP−HPLC媒質(例えばペンダントメチル基またはその他のペンダント脂肪族基を有するシリカゲル)を用いる1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)ステップが、そのタンパク質をさらに精製するために用いられ得る。上記の精製ステップのうちのいくつかまたは全部をまた、種々の組合せで用いて、実質的に均質な単離された組換えタンパク質を提供し得る。このように精製されたタンパク質は、その他の哺乳動物タンパク質を実質的に含有せず、「単離されたタンパク質」として本発明に従って定義される。
本発明のポリペプチドは、アナログ(改変体)を包含する。本発明のポリペプチドは、幹細胞増殖因子様アナログを包含する。これは、本発明の幹細胞増殖因子様ポリペプチドのフラグメント、ならびに欠失されたか、挿入されたかまたは置換された1つ以上のアミノ酸を含む幹細胞増殖因子様ポリペプチドを包含する。また、本発明の幹細胞増殖因子様ポリペプチドのアナログは、この幹細胞増殖因子様ポリペプチドの融合物あるいはこの幹細胞増殖因子様ポリペプチドの改変形を包含し、この場合、この幹細胞増殖因子様ポリペプチドまたはアナログは、別の部分(例えば標的化部分あるいは別の治療剤)と融合される。このようなアナログは、活性および/または安定性といった特性の改善を示し得る。この幹細胞増殖因子様ポリペプチドまたはアナログに融合され得る部分の例としては、例えばニューロンへのポリペプチドの送達を提供する標的化部分(例えば中枢神経系に対する抗体、またはニューロン細胞上で発現されるレセプターおよびリガンドに対する抗体)が挙げられる。幹細胞増殖因子様ポリペプチドと融合され得るその他の部分としては、治療のために用いられる治療薬(例えば抗うつ薬または神経学的障害のためのその他の薬剤)が挙げられる。また、幹細胞増殖因子様ポリペプチドは、ニューロン成長調節因子ならびに標的化送達のためのその他のケモカインと、融合され得る。
(4.4.1 ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの同一性および類似性の決定)
好ましい同一性および/または類似性は、試験される配列間に最大一致を生じるように設計される。同一性および類似性を決定するための方法は、コンピュータープログラムで体系化されており、その例としては、GCGプログラムパッケージ(GAP(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984);Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)、BLASTP、BLASTN、BLASTX、FASTA(Altschul,S.F.ら,J.Molec.Biol.215:403−410(1990))、PSI−BLAST(Altschul,S.F.ら,Nucleic Acids Res.vol.25,pp.3389−3402、この記載内容は、参考として本明細書中に援用される)、eMatrixソフトウエア(Wuら、J.Comp.Biol.,vol.6,pp.219−235(1999)、この記載内容は、参考として本明細書中に援用される)、eMotifソフトウェア(Nevill−Manningら、ISMB−97,vol 4,pp.202−209、この記載内容は、参考として本明細書中に援用される)、GeneAtlasソフトウエア(Molecular Simulations Inc.(MSI),San Diego,CA)(SanchezおよびSali(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.,95,13597−13602;Kitson DHら(2000)「Remote homology detection using structural modeling−an evaluation」Submitted;Fischer and Eisenberg(1996)Protein Sci.5,947−955)およびKyte−Doolittle疎水性予測アルゴリズム(J.Mol Biol,157,pp.105−31(1982)、この記載内容は、参考として本明細書中に援用される))が挙げられるが、これらに限定されない。BLASTプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)およびその他の供給元(BLAST Manual,Altschul,S.ら、NCB NLM NIH Bethesda,MD 20894;Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990))から公的に利用可能である。
(4.5 遺伝子療法)
本発明の遺伝子のポリヌクレオチドにおける変異は、コードされたタンパク質の正常機能の損失を生じ得る。従って本発明は、本発明のポリペプチドの正常活性を回復するための、あるいは本発明のポリペプチドに関与した疾患状態を処置するための、遺伝子療法を提供する。本発明のポリペプチドをコードする機能性遺伝子を適切な細胞へと送達すると、ベクター(特にウイルスベクター(例えばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター))の使用により、エキソビボ、インサイチュまたはインビボで実行されるか、あるいは物理的DNA移入法(例えばリポソームまたは化学的処理)の使用によりエキソビボで実行される(例えばAnderson,Nature,vol.392に対する補遺,no.6679,pp.25−20(1998)参照)。遺伝子療法技術のさらなる検討のためには、Friedmann,Science,244:1275−1281(1989);Verma,Scientific American:68−84(1990);およびMiller,Nature,357:455−460(1992)を参照されたい。本発明のヌクレオチドのいずれか1つまたは本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の導入はまた、染色体外基質を用いて(一過性発現)かまたは人工染色体を用いて(安定発現)も、成し遂げられ得る。このような細胞に及ぼす所望の作用または細胞中での所望の活性を増殖するかまたは生成するために、細胞はまた、本発明のタンパク質の存在下でエキソビボでも培養され得る。処理された細胞は次に、治療的目的のためにインビボで導入され得る。あるいは、他のヒト疾患状態では、本発明のポリペプチドの発現の防止またはその活性の阻害が、疾患状態を処置するに際して有用であることが、企図される。アンチセンス療法または遺伝子療法は、本発明のポリペプチドの発現を負に調節するために適用され得ることが、企図される。
タンパク質の発現を阻害するその他の方法としては、当該分野で公知の方法による、本発明の核酸、それらの相補体、またはそれらの翻訳されるRNA配列に対する、アンチセンス分子の導入が挙げられる。さらに、本発明のポリペプチドは、標的化欠失法を使用することによるか、または組織特異性であるネガティブ調節エレメント(例えばサイレンサー)の挿入により、阻害され得る。
本発明はなおさらに、本発明のポリヌクレオチドを発現するようにインビボで遺伝子操作された細胞を提供するが、この場合、このようなポリヌクレオチドは、その細胞中でのこのポリヌクレオチドの発現を駆動する、宿主細胞に対して異種である調節配列と作動可能に会合している。これらの方法は、本発明のポリヌクレオチドの発現を増大または低減するために用いられ得る。
本発明により提供されるDNA配列の知識は、内因性ポリペプチドの発現を増大または低減するための細胞の改変を可能にし得る。細胞がより高レベルでタンパク質を発現するように、天然に存在するプロモーターを異種プロモーターの全部または一部で全体的にかまたは一部分置き換えることにより、ポリペプチド発現の増大を提供するように、細胞は(例えば相同組換えにより)改変され得る。その異種プロモーターは、それが所望のタンパク質のコード配列と作動可能に連結されるような方法で、挿入される(例えばPCT国際公開番号WO94/12650、PCT国際公開番号WO92/20808およびPCT国際公開番号WO91/09955参照)。異種プロモーターDNAに加えて、増幅可能マーカーDNA(例えばada、dhfr、およびカルバミルホスフェートシンターゼとアスパルテートトランスカルバミラーゼとジヒドロオロターゼとをコードする多機能性CAD遺伝子)および/またはイントロンDNAが、その異種プロモーターDNAと一緒に挿入され得ることもまた、企図される。所望のタンパク質コード配列に連結された場合、標準的選択法によるマーカーDNAの増幅は、細胞中での所望のタンパク質コード配列の同時増幅を引き起こす。
本発明の別の実施形態では、細胞および組織は、誘導性調節エレメントの制御下で本発明のポリヌクレオチドを含む内因性遺伝子を発現するよう操作され得、この場合、その内因性遺伝子の調節配列は、相同組換えにより置き換えられ得る。本明細書中に記載されているように、遺伝子ターゲッティングを用いて、遺伝子の既存の調節領域を、異なる遺伝子から単離された調節配列によってかまたは遺伝子操作法により合成された新規な調節配列によって、置き換え得る。このような調節配列は、プロモーター、エンハンサー、遺伝子骨格結合領域、負の調節エレメント、転写開始部位、調節タンパク質結合部位または上記の配列の組合せから構成され得る。あるいは、そのRNAまたは産生されるタンパク質の構造または安定性に影響を及ぼす配列が、標的化によって、置換され得、除去され得、付加され得、または別の方法で改変され得る。これらの配列としては、ポリアデニル化シグナル、mRNA安定性エレメント、スプライス部位、タンパク質の輸送もしくは分泌特性を強化もしくは改変するためのリーダー配列、またはタンパク質もしくはRNA分子の機能もしくは安定性を変更もしくは改善するその他の配列が、挙げられる。
この標的化事象は、調節配列の単なる挿入、新規な調節配列の制御下に遺伝子を配置すること(例えば遺伝子上流に新規なプロモーターもしくはエンハンサーまたはその両方を挿入すること)であり得る。あるいは、この標的化事象は、調節エレメントの単なる欠失(例えば組織特異的ネガティブ調節エレメントの欠失)であり得る。あるいは、この標的化事象は、既存のエレメントを置換し得る。例えば、組織特異的エンハンサーは、天然に存在するエレメントより広範な細胞型特異性または天然に存在するエレメントとは異なる細胞型特異性を有するエンハンサーにより、置き換えられ得る。ここで、この天然に存在する配列は欠失され、新規な配列が付加される。すべての場合に、この標的化事象の確認は、標的化DNAと連続する1つ以上の選択マーカー遺伝子の使用により容易にされ得、この使用は、外因性DNAが細胞ゲノム中に組み込まれた細胞の選択を可能にする。この標的化事象の確認は、ネガティブ選択マーカーが外因性DNAに連結されているように、しかしネガティブ選択マーカーが標的化配列と隣接するように構成されており、かつ宿主細胞ゲノムの配列における正しい相同組換え事象がそのネガティブ選択マーカーの安定組込みを生じないように配置されるように、ネガティブ選択の特性を示す1つ以上の遺伝子を使用することによっても、容易にされ得る。この目的のために有用なマーカーとしては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子または細菌キサンチン−グアニンホスホリボシル−トランスフェラーゼ(gpt)遺伝子が挙げられる。
本発明のこの局面に従って用いられ得る遺伝子ターゲッティング技術または遺伝子活性化技術は、より詳細に米国特許第5,272,071号(Chappel);米国特許第5,578,461号(Sherwinら);国際出願番号PCT/US92/09627(WO93/09222)(Seldenら);および国際出願番号PCT/US90/06436(WO91/06667)(Skoultchiら)に記載されている(これらの記載内容は各々、その全体が参考として本明細書中に援用される)。
(4.6 トランスジェニック動物)
本発明のポリペプチドの生物学的機能をインビボで決定するための好ましい方法では、本発明により提供される1つ以上の遺伝子が、相同組換えを用いて、動物の生殖系列中で過剰発現されるかまたは不活化される(Capecchi,Science 244:1288−1292(1989))。外因性プロモーターエレメントまたは内因性プロモーターエレメントの調節制御下で遺伝子が過剰発現される動物は、トランスジェニック動物として公知である。内因性遺伝子が相同組換えにより不活化された動物は、「ノックアウト」動物と呼ばれる。ノックアウト動物(好ましくは、ノックアウト非ヒト哺乳動物)は、米国特許第5,557,032号(この記載内容は、参考として本明細書中に援用される)に記載されているように調製され得る。トランスジェニック動物は、生物学的プロセスにおいて(好ましくは疾患状態において)本発明のポリペプチドが果す役割を決定するために、有用である。トランスジェニック動物は、脂質代謝を調整する化合物を同定するためのモデル系として有用である。トランスジェニック動物(好ましくは、トランスジェニック非ヒト哺乳動物)は、米国特許第5,489,743号およびPCT公開番号WO94/28122(これらの記載内容は、参考として本明細書中に援用される)に記載されたような方法を用いて作製される。
本発明のポリヌクレオチドのプロモーターの全部または一部が、本発明のポリペプチドの発現のレベルを変更するように活性化されるかまたは不活化されている、トランスジェニック動物が調製され得る。不活化は、上記の相同組換え法を用いて実行され得る。活性化は、同種プロモーターを補充するかまたは置換さえして、タンパク質発現増大を提供することによって、達成され得る。その同種プロモーターは、特定組織中でのプロモーター活性化を付与することが公知である1つ以上の異種エンハンサーエレメントの挿入により、補充され得る。
本発明のポリヌクレオチドは、例えば相同組換えストラテジーまたはノックアウトストラテジーにより、機能的幹細胞増殖因子様ポリペプチドを発現できない動物、または幹細胞増殖因子様ポリペプチドの改変体を発現する動物の開発もまた、可能にする。このような動物は、幹細胞増殖因子様ポリペプチドのインビボ活性を研究するための、ならびにこの幹細胞増殖因子様ポリペプチドの調節因子を研究するための、モデルとして有用である。
本発明のポリペプチドの生物学的機能をインビボで決定するための好ましい方法では、本発明により提供される1つ以上の遺伝子が、相同組換えを用いて、動物の生殖系列中で過剰発現されるかまたは不活化される(Capecchi,Science 244:1288−1292(1989))。外因性プロモーターエレメントまたは内因性プロモーターエレメントの調節制御下で遺伝子が過剰発現されている動物は、トランスジェニック動物として公知である。内因性遺伝子が相同組換えにより不活化された動物は、「ノックアウト」動物と呼ばれる。ノックアウト動物(好ましくは、ノックアウト非ヒト哺乳動物)は、米国特許第5,557,032号(この記載内容は、参考として本明細書中に援用される)に記載されているように調製され得る。トランスジェニック動物は、生物学的方法において(好ましくは疾患状態において)本発明のポリペプチドが果す役割を決定するために有用である。トランスジェニック動物は、脂質代謝を調整する化合物を同定するためのモデル系として有用である。トランスジェニック動物(好ましくは、トランスジェニック非ヒト哺乳動物)は、米国特許第5,489,743号およびPCT公開番号WO94/28122(これらの記載内容は、参考として本明細書中に援用される)に記載されたような方法を用いて産生される。
本発明のプロモーターのポリヌクレオチドの全部または一部が、本発明のポリペプチドの発現のレベルを変更するように活性化されているかまたは不活化されている、トランスジェニック動物が調製され得る。不活化は、上記の相同組換え法を用いて実行され得る。活性化は、同種プロモーターを補充するかまたは置換してタンパク質発現増大を提供することによって、達成され得る。同種プロモーターは、特定組織中でのプロモーター活性化を付与することが公知である1つ以上の異種エンハンサーエレメントの挿入によって、補充され得る。
(4.7 ヒト幹細胞増殖因子様ポリペプチドの用途および生物学的活性)
本発明のポリヌクレオチドおよびタンパク質は、本明細書中で同定された1つ以上の用途または生物学的活性(本明細書中に引用されたアッセイに関連したものを包含する)を示すと予測される。本発明のタンパク質に関して記載された用途または活性は、(例えば、遺伝子療法またはDNAの導入に適したベクターにおける)このようなタンパク質またはこのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの投与もしくは使用によって、提供され得る。特定の状態または病態の基礎を成す機構は、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチドまたはその調節因子(アクチベーターまたはインヒビター)が、処置を必要とする被験体にとって有益であるか否かを指示する。従って「本発明の治療用組成物」としては、本発明の単離されたポリヌクレオチド(組換えDNA分子、クローン化遺伝子およびその縮重改変体を包含する)または本発明のポリペプチド(全長タンパク質、成熟タンパク質およびその短縮形態またはドメインを包含する)、あるいは標的遺伝子発現/標的タンパク質発現のレベルまたは標的タンパク質活性のレベルのいずれかで、標的遺伝子産物の全体的活性を調整する化合物およびその他の物質が挙げられる。このような調節因子としては、ポリペプチド、アナログ(改変体)(フラグメントおよび融合タンパク質を包含する)、抗体ならびにその他の結合タンパク質;本発明のポリペプチドを直接または間接的に活性化するかもしくは阻害する化合物(例えば、本明細書中に記載されたような薬剤スクリーニングアッセイにより同定される);アンチセンスポリヌクレオチド、および三重螺旋形成に適したポリヌクレオチド;ならびに特に、本発明のポリペプチドの1つ以上のエピトープを特異的に認識する、抗体またはその他の結合パートナーが挙げられる。
本発明のポリペプチドは、同様に、細胞活性化に、または本明細書中に記載されたその他の生理学的経路の1つに、関与し得る。
(4.7.1 研究用途および有用性)
本発明により提供されるポリヌクレオチドは、種々の目的のために研究共同体により用いられ得る。本ポリヌクレオチドは、分析用途、特徴付け用途または治療的使用のための組換えタンパク質を発現するため;対応するタンパク質が優先的に(構成的に、あるいは組織分化または発生の特定段階で、または疾患状態においてのいずれかで)発現される組織に関するマーカーとして;ゲル上での分子量マーカーとして;染色体を同定するため、または関連遺伝子位置をマッピングするための、染色体マーカーまたはタグ(標識された場合)として;潜在的遺伝性障害を同定するために患者における内因性DNA配列と比較するために;ハイブリダイズし、それにより新規な関連DNA配列を発見するためのプローブとして;遺伝子フィンガープリンティングのためのPCRプライマーを得るための情報源として;他の新規なポリヌクレオチドを発見するプロセスにおいて既知の配列を「差し引く」ためのプローブとして;「遺伝子チップ」またはその他の支持体への付着のため(発現パターンの試験を包含する)のオリゴマーを選択し作製するために;DNA免疫技術を用いて抗タンパク質抗体を惹起させるために;そして抗DNA抗体を惹起させるかまたは別の免疫応答を惹起するための抗原として、用いられ得る。このポリヌクレオチドが、(例えばレセプター−リガンド相互作用において)別のタンパク質と結合するかまたは結合する可能性があるタンパク質をコードする場合、このポリヌクレオチドはまた、結合が起こる他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定するために、または結合相互作用のインヒビターを同定するために、相互作用捕捉アッセイ(例えばGyurisら、Cell 75:791−803(1993)に記載されたようなもの)にも用いられ得る。
本発明により提供されるポリペプチドは、生物学的活性を決定するためのアッセイにおいて(高処理量スクリーニングのための一群の複数のタンパク質においてを含む);抗体を惹起させるかまたは別の免疫応答を引き出すために;生物学的流体中のタンパク質(またはそのレセプター)のレベルを定量的に決定するよう設計されたアッセイにおける試薬(例えば標識化試薬)として;対応するポリペプチドが優先的に(構成的に、あるいは組織分化または発生の特定段階で、あるいは疾患状態においてのいずれかで)発現される組織に関するマーカーとして;そしてもちろん、相関的レセプターまたはリガンドを単離するために、同様に用いられ得る。これらの結合相互作用に関与するタンパク質は、結合相互作用のペプチドインヒビターもしくは低分子インヒビターまたはアゴニストについてスクリーニングするためにも、用いられ得る。
本発明のポリペプチドはまた、幹細胞増殖因子様タンパク質と特異的に免疫応答性である抗体物質を生成するためにも有用である。本発明のポリペプチドと結合する抗体およびその部分(例えばFabフラグメント)は、試料中のこのようなポリペプチドの存在を同定するために用いられ得る。このような決定は、任意の適切な免疫アッセイ形式を用いて実行され得、そしてその抗体により特異的に結合される本発明の任意のポリペプチドは、ポジティブコントロールとして用いられ得る。
これらの研究有用性のいずれかまたはすべては、研究産物としての商業化のために、試薬等級またはキット形式へと開発され得る。
上記の用途を実施するための方法は、当業者に公知である。このような方法を開示している参考文献としては、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Sambrook,J.,E.F.FritschおよびT.Maniatis編,1989および「Methods in Enzymology:Guide to Molecular Cloning Techniques」Academic Press,Berger,S.L.およびA.R.Kimmel編,1987が挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.2 栄養学的用途)
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドはまた、栄養源またはサプリメントとしても用いられ得る。このような用途としては、タンパク質サプリメントまたはアミノ酸サプリメントとしての使用、炭素源としての使用、窒素源としての使用、ならびに炭水化物供給源としての使用が挙げられるが、これらに限定されない。このような場合、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、特定の生物の食物に添加され得るし、あるいは別個の固体調製物または液体調製物として、例えば粉末、ピル、溶液、懸濁液またはカプセルの形態で投与され得る。微生物の場合、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、その微生物が培養される培地中または培地上に添加され得る。
さらに、本発明のポリペプチドは、マーカーとして、ならびに食物サプリメントとして用いられ得る。例えば配列番号6からなるポリペプチドは、その非プロセシング状態および非グリコシル化状態で、約26kDaの分子量を有する。タンパク質食物サプリメントは周知であり、本発明のポリペプチドを含む適切な食物サプリメントの処方は、食物調製物分野の当業者のレベル内である。
(4.7.3 サイトカインおよび細胞増殖活性/細胞分化活性)
本発明のポリペプチドは、サイトカイン、細胞増殖活性(誘導性または阻害性のいずれか)または細胞分化活性(誘導性または阻害性のいずれか)に関連した活性を示し得るし、あるいはある種の細胞集団における他のサイトカインの産生を誘導し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような属性を示すポリペプチドをコードし得る。今までに発見された多数のタンパク質因子(すべての公知のサイトカインを包含する)は、1つ以上の因子依存性細胞増殖アッセイにおいて活性を示しており、それゆえ、これらのアッセイは、サイトカイン活性の便利な確認として役立つ。本発明の治療用組成物の活性は、細胞株(32D、DA2、DA1G、T10、B9、B9/11、BaF3、MC9/G、M+(preB M+)、2E8、RB5、DA1、123、T1165、HT2、CTLL2、TF−1、Mo7e、CMK、HUVECおよびCacoを包含するが、これらに限定されない)に関する多数の慣用的因子依存性細胞増殖アッセイのうちのいずれか1つにより立証される。本発明の治療用組成物は、以下において用いられ得る:
T細胞増殖に関するアッセイまたは胸腺細胞増殖に関するアッセイとしては、Current Protocols in Immunology,J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober編,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience刊(Chapter 3,In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1−3.19;Chapter 7,Immunologic studies in Humans);Takaiら、J.Immunol.137:3494−3500,1986;Bertagnolliら、J.Immunol.145:1706−1712,1990;Bertagnolliら、Cellular Immunology 133:327−341,1991;Bertagnolliら、I.Immunol.149:3778−3783,1992;Bowmanら、I.Immunol.152:1756−1761,1994に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
脾臓細胞、リンパ節細胞または胸腺細胞のサイトカイン産生および/または増殖に関するアッセイとしては、Polyclonal T cell stimulation,Kruisbeek,A.M.およびShevach,E.M.Current Protocols in Immunology.,J.E.e.a.Coligan編,Vol 1 pp.3.12.1−3.12.14,John Wiley and Sons,Toronto.1994;およびMeasurement of mouse and human interleukin−□,Schreiber,R.D.Current Protocols in Immunology.J.E.e.a.Coligan編,Vol.1,pp.6.8.1−6.8.8,John Wiley and Sons,Toronto.1994に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
造血細胞およびリンパ球生成細胞の増殖および分化に関するアッセイとしては、Measurement of Human and Murine Interleukin 2 and Interleukin 4,Bottomly,K.,Davis,L.S.およびLipsky,P.E.,Current Protocols in Immunology.,J.E.e.a.Coligan編,Vol 1 pp.6.3.1−6.3.12,John Wiley and Sons,Toronto.1991;de Vriesら、J.Exp.Med.173:1205−1211,1991;Moreauら、Nature 336:690−692,1988;Greenbergerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:2931−2938,1983;Measurement of mouse and human interleukin 6-Nordan,R.,Current Protocols in Immunology.J.E.Coligan編,Vol 1 pp.6.6.1−6.6.5,John Wiley and Sons,Toronto.1991;Smithら、Proc.Natl.Aced.Sci.U.S.A.83:1857−1861,1986;Measurement of human Interleukin 11-Bennett,F.,Giannotti,J.,Clark,S.C.and Turner,K.J.,Current Protocols in Immunology.J.E.Coligan編,Vol 1 pp.6.15.1 John Wiley and Sons,Toronto.1991;Measurement of mouse and human Interleukin 9-Ciarletta,A.,Giannotti,J.,Clark,S.C.and Turner,K.J.,Current Protocols in Immunology.J.E.Coligan編,Vol 1 pp.6.13.1,John Wiley and Sons,Toronto.1991に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
抗原に対するT細胞クローン応答に関するアッセイ(とりわけ、増殖およびサイトカイン産生を測定することにより、APC−T細胞相互作用に影響を及ぼすタンパク質、ならびにT細胞作用を指向するタンパク質を同定する)としては、Current Protocols in Immunology,J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober編,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience刊(Chapter 3,In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function;Chapter 6,Cytokines and their cellular receptors;Chapter 7,Immunologic studies in Humans);Weinbergerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:6091−6095,1980;Weinbergerら、Eur.J.Immun.11:405−411,1981;Takaiら、J.Immunol.137:3494−3500,1986;Takaiら、J.Immunol.140:508−512,1988に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.4 幹細胞増殖因子活性)
本発明のポリペプチドは、幹細胞増殖因子活性を示し得、かつ多能性および全能性の幹細胞(始原生殖細胞、胚性幹細胞、造血性幹細胞および/または生殖系列幹細胞を包含する)の増殖、分化および生存に関与し得る。幹細胞へのインビボまたはエキソビボでの本発明のポリペプチドの投与は、損傷組織または疾患組織の再操作、移植、バイオ製剤の製造、およびバイオセンサーの開発のために有用である、全能性または多能性状態に細胞集団を維持し得そして増殖させ得る。大量のヒト細胞を産生する能力は、現在は非ヒト供給源またはドナー、疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病およびその他の神経変性疾患)を処置するための細胞移殖;移植のための組織(例えば、骨髄、皮膚、軟骨、腱、骨、筋肉(心筋を包含する)、血管、角膜、神経細胞、胃腸細胞);ならびに移植のための器官(例えば、腎臓、肝臓、膵臓(島細胞を包含する)、心臓および肺);から得られなければならない、ヒトタンパク質の産生のための重要な作業適応性を有する。
多数の異なる外因性増殖因子および/またはサイトカイン(本明細書中に列挙された増殖因子、その他の幹細胞維持因子、ならびに特に幹細胞因子(SCF)、白血病阻害因子(LIF)、Flt−3リガンド(Flt−3L)のいずれか、インターロイキン、IL−6に融合された組換え可溶性IL−6レセプター、マクロファージ炎症タンパク質1−α(MIP−1−α)、G−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン(TPO)、血小板因子4(PF−4)、血小板由来増殖因子(PDGF)、神経成長因子および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)のいずれかを包含する)は、所望の作用を達成するために本発明のポリペプチドと組合せて投与され得ることが、企図される。
全能性幹細胞は事実上すべての成熟細胞型を生じ得るので、培養におけるこれらの細胞の増殖により、大量の成熟細胞の産生が容易になる。幹細胞の培養のための技術は当該分野で公知であり、本発明のポリペプチドを、必要に応じて他の増殖因子および/またはサイトカインとともに投与することは、幹細胞集団の生存および増殖を強化すると予測される。これは、培養培地への本発明のポリペプチドの直接投与により成し遂げられ得る。あるいは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされた間質細胞が、培養中の幹細胞集団のためのフィーダー層としてか、またはインビボで、用いられ得る。フィーダー層のための間質性支持細胞としては、胚性骨髄線維芽細胞、骨髄間質細胞、胎児肝臓細胞または培養胚性線維芽細胞が挙げられ得る(米国特許第5,690,926号参照)。
幹細胞自体は、本発明のポリヌクレオチドでトランスフェクトされて、本発明のポリペプチドのオートクライン発現を誘導し得る。これは、そのままで有用であるかまたはその後、所望の成熟細胞型に分化され得る、未分化全能性/多能性幹細胞の生成を可能にする。これらの安定細胞株は、cDNAライブラリーおよびポリメラーゼ連鎖反応実験のための鋳型を作製するための、未分化全能性/多能性mRNAの供給源としても役立ち得る。これらの研究は、幹細胞増殖および/または幹細胞保持を調節する、幹細胞集団中の差次的に発現される遺伝子の単離および同定を可能にする。
全能性幹細胞集団の拡大および維持は、多数の病理学的状態の処置において有用である。例えば、本発明のポリペプチドを用いて培養中の幹細胞を操作して、疾病、自己免疫疾患、偶発的損傷または遺伝性障害により損傷された細胞を増大または置換するために用いられ得る神経上皮細胞を生じ得る。本発明のポリペプチドは、神経細胞の増殖を誘導するために、そして神経および脳組織の再生のために(すなわち、中枢神経系疾患および末梢神経系疾患およびニューロパシー、ならびに神経細胞または神経組織に対する変性、死または外傷に関与する機械的障害および外傷性障害の処置のために)、有用であり得る。さらにこれらの細胞は、他の分化細胞(例えば、移殖に用いられ得る皮膚組織)を形成するためにインビトロで培養され得る。さらに、増殖された幹細胞集団はまた、遺伝子治療目的で遺伝的に変更され得、移殖または内植後の置換組織の宿主拒絶を低減し得る。
本発明のポリペプチドの発現および幹細胞に及ぼすその作用もまた、より分化した細胞型への幹細胞の制御された分化を達成するよう操作され得る。未分化幹細胞集団から特定の分化細胞型の純粋集団を得るための広範に適用可能な方法は、選択マーカーを駆動する細胞型特異的プロモーターの使用を含む。この選択マーカーは、望ましい型の細胞のみを生存させる。例えば、幹細胞は、心筋細胞(Wobusら、Differentiation,48:173−182,(1991);Klugら、J.Clin.Invest,98(1):216−224,(1998))または骨格筋細胞(Browder,L.W.In:Principles of Tissue Engineering eds.Lanzaら、Academic Press(1997))へと分化するよう誘導され得る。あるいは、幹細胞の方向付けられた分化は、分化因子(例えばレチノイン酸)、ならびに内因性幹細胞因子活性の作用を阻害し分化を進行させる本発明のポリペプチドのアンタゴニストの存在下で、その幹細胞を培養することにより成し遂げられ得る。
幹細胞のインビトロ培養物を用いて、本発明のポリペプチドが幹細胞増殖因子活性を示すか否かを決定し得る。幹細胞は、種々の細胞供給源(造血性幹細胞および胚性幹細胞を包含する)のいずれか1つから単離され、本発明のポリペプチドが単独に存在するかまたは他の増殖因子もしくはサイトカインと組合せて存在する条件下で、Thompsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,92:7844−7848(1995)に記載されているように、フィーダー層上で培養される。幹細胞増殖を誘導する本発明のポリペプチドの能力は、例えばBernsteinら、Blood,77:2316−2321(1991)により記載されたように、半固体支持体上でのコロニー形成により決定される。
(4.7.5 造血調節活性)
本発明のポリペプチドは、造血の調節に、従って骨髄様細胞障害またはリンパ様細胞障害の処置に、関与し得る。コロニー形成細胞を支持するか、または因子依存性細胞株の支持体を支持する辺縁的生物学的活性でさえ、造血調節における関与(例えば、赤血球前駆細胞の単独でかまたは他のサイトカインと組合せての、成長および増殖の支持における関与)を示し、それにより、例えば種々の貧血の処置における有用性、または放射線照射/化学療法と組合せて用いて赤血球前駆体および/または赤血球の産生を刺激するための有用性;例えば化学療法と組み合わせて、その結果として起こる骨髄抑制を予防または処置するのに有用な骨髄様細胞(例えば、顆粒球および単球/マクロファージ)の成長および増殖(すなわち、伝統的コロニー刺激因子活性)を支持する際の有用性;巨核球の成長および増殖、ならびにその結果生じる血小板の成長および増殖を支持し、それにより種々の血小板障害(例えば血小板減少症)の予防または処置を可能にする有用性;そして一般的に血小板輸液の代わりまたは補完的に用いるための有用性;および/または上記の造血性細胞のいずれかおよびすべてへの成熟を可能にし、従って種々の幹細胞障害(例えば、移殖により通常処置されるもの;再生不良性貧血および発作性夜間血色素尿症が挙げられるが、これらに限定されない)における治療的有用性が見出される、造血性幹細胞の成長および増殖を支持する有用性;ならびに正常細胞としてかまたは遺伝子療法のために遺伝子操作された、放射線照射/化学療法後のインビボまたはエキソビボでの(すなわち、骨髄移植と組み合わせてか、または末梢前駆細胞移殖(同種または異種)を伴う)、幹細胞区画の再集団化における有用性を示す。
本発明の治療用組成物は、以下において用いられ得る:
種々の造血系列の増殖および分化に関する適切なアッセイが、上記されている。
胚性幹細胞分化に関するアッセイ(特に、胚性分化造血に影響を及ぼすタンパク質を同定するアッセイ)としては、Johanssonら、Cellular Biology 15:141−151,1995;Kellerら、Molecular and Cellular Biology 13:473−486,1993;McClanahanら、Blood 81:2903−2915,1993に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
幹細胞生存および分化に関するアッセイ(特に、リンパ−造血を調節するタンパク質を同定するアッセイ)としては、Methylcellulose colony forming assays,Freshney,M.G.,Culture of Hematopoietic Cells.,R.I.Freshneyら編,Vol pp.265−268,Wiley−Liss,Inc.,New York,N.Y.1994;Hirayamaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5907−5911,1992;Primitive hematopoietic colony forming cells with high proliferative potential,McNiece,I.K.and Briddell,R.A.,Culture of Hematopoietic Cells.,R.I.Freshneyら、eds.Vol pp.23−39,Wiley−Liss,Inc.,New York,N.Y.1994;Nebenら、Experimental Hematology 22:353−359,1994;Cobblestone area forming cell assay,Ploemacher,R.E.In Culture of Hematopoietic Cells.R.I.Freshneyら編、Vol pp.1−21,Wiley−Liss,Inc.,New York,N.Y.1994;Long term bone marrow cultures in the presence of stromal cells,Spooncer,E.,Dexter,M.およびAllen,T.,Culture of Hematopoietic Cells.R.I.Freshneyら編、Vol pp.163−179,Wiley−Liss,Inc.,New York,N.Y.1994;Long term culture initiating cell assay,Sutherland,H.J.,Culture of Hematopoietic Cells.R.I.Freshneyら編,Vol pp.139−162,Wiley−Liss,Inc.,New York,N.Y.1994に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.6 組織成長活性)
本発明のポリペプチドはまた、骨、軟骨、腱、靭帯および/または神経組織の成長または再生に、ならびに創傷治癒、組織修復および置換に、そして熱傷、切開および潰瘍の治癒にも、関与し得る。
骨が正常に形成されない環境において軟骨および/または骨の成長を誘導する本発明のポリペプチドは、ヒトおよびその他の動物における骨折および軟骨損傷または軟骨欠損の治癒において用途を有する。本発明のポリペプチド、抗体、結合パートナーまたはその他の調節因子の組成物は、閉鎖性骨折ならびに開放性骨折の低減において、そして人工関節の固定改良においても、予防的用途を有し得る。骨形成因子により誘導される新規骨形成は、先天性、外傷誘発性、または腫瘍切除誘発性の頭蓋顔面欠損の修復に寄与し、美容形成外科手術にも有用である。
本発明のポリペプチドはまた、骨形成細胞を誘引すること、骨形成細胞の成長を刺激すること、あるいは骨形成細胞前駆細胞の分化を誘導することにも、関与し得る。例えば骨および/または軟骨修復の刺激によるか、あるいは炎症または炎症プロセスにより媒介される組織破壊プロセス(コラゲナーゼ活性、破骨活性など)の遮断による、骨粗鬆症、変形性関節炎、骨変性障害または歯周病の処置もまた、本発明の組成物の使用が可能であり得る。
本発明のポリペプチドが関与し得る別の部類の組織再生活性は、腱/靭帯形成である。このような組織が正常では形成されない環境での腱様組織/靭帯様組織またはその他の組織形成の誘導は、ヒトおよびその他の動物における腱または靭帯の断裂、変形およびその他の腱欠損または靭帯欠損の治癒において、用途を有する。腱様組織誘導タンパク質/靭帯様組織誘導タンパク質を用いるこのような調製物は、腱組織または靭帯組織に対する損傷を防止するに際して予防的用途を有し得、ならびに腱または靭帯を骨またはその他の組織に固定することの改良において予防的用途を有し得、そして腱組織または靭帯組織に対する欠損修復において、予防的用途を有し得る。本発明の組成物により誘導される新規腱様組織形成/靭帯様組織形成は、先天性、外傷誘発性、あるいは他の起源によるその他の腱または靭帯の欠損の修復に寄与し、腱または靭帯の接着または修復のための美容形成外科手術においても有用である。本発明の組成物は、腱形成細胞または靭帯形成細胞を誘導するため、腱形成組織または靭帯形成細胞の成長を刺激するため、腱形成細胞または靭帯形成細胞の前駆細胞の分化を誘導するため、あるいはインビボでの組織修復を実行するためにエキソビボで戻すために腱細胞/靭帯細胞または前駆細胞の成長を誘導するための、環境を提供し得る。本発明の組成物はまた、腱炎、手根管症候群およびその他の腱欠損または靭帯欠損の処置においても、有用であり得る。この組成物はまた、当該分野で公知であるような適切なマトリックスおよび/または封鎖剤をキャリアとして含み得る。
本発明の組成物はまた、ニューロン細胞の増殖、ならびに神経組織および脳組織の再生のために(すなわち、中枢神経系疾患および末梢神経系疾患およびニューロパシー、ならびに神経細胞または神経組織に対する変性、死または外傷を包含する機械的障害および外傷性障害の処置のために)も有用であり得る。さらに具体的には、組成物は、末梢神経系の疾患(例えば、末梢神経損傷、末梢神経ニューロパシーおよび限局性ニューロパシー)、ならびに中枢神経系疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、およびシャイ−ドレーガー症候群)の処置に用いられ得る。本発明により処置され得るさらなる症状としては、機械的障害および外傷性障害(例えば、脊髄障害、頭部外傷および脳血管疾患(例えば発作))が挙げられる。化学療法またはその他の医学療法に起因する末梢神経ニューロパシーもまた、本発明の組成物を用いて処置可能であり得る。
本発明の組成物は、非治癒性創傷(褥瘡性潰瘍、血管機能不全に関連した潰瘍、外科的創傷および外傷性創傷が挙げられるが、これらに限定されない)のより良好または迅速な閉鎖を促すためにも、有用であり得る。
本発明の組成物は、その他の組織(例えば器官(膵臓、肝臓、小腸、腎臓、皮膚、内皮が挙げられる)、筋肉(平滑筋、骨格筋または心筋)、および血管(血管内皮が挙げられる)組織の生成または再生に関与するか、あるいはこのような組織を含む細胞の増殖の促進のためにも関与し得る。所望の作用の一部は、阻害により得、または線維性瘢痕は、正常組織を再生させ得る。本発明のポリペプチドはまた、血管形成活性も示し得る。
本発明の組成物はまた、腸の保護または再生のために、ならびに肺線維症または肝臓線維症、種々の組織における再灌流損傷、ならびに全身性サイトカイン損傷に起因する症状の処置のためにも、有用であり得る。
本発明の組成物はまた、前駆体組織または前駆細胞からの上記組織の分化を促進または阻害するために、あるいは上記組織の成長を阻害するためにも、有用であり得る。
本発明の治療用組成物は、以下において用いられ得る:
組織形成活性に関するアッセイとしては、国際特許公開WO95/16035(骨、軟骨、腱);国際特許公開WO95/05846(神経、ニューロン);国際特許公開WO91/07491(皮膚、内皮)に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
創傷治癒活性に関するアッセイとしては、Winter,Epidermal Wound Healing,pp.71−112(Maibach,H.I.およびRovee,D.T.編),Year Book Medical Publishers,Inc.,Chicago(EaglsteinおよびMertz,J.Invest.Dermatol 71:382−84(1978)により改変された)に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.7 免疫機能刺激活性または免疫抑制活性)
本発明のポリペプチドはまた、免疫機能刺激活性または免疫抑制活性(アッセイが本明細書中に記載されている活性が挙げられるが、これらに限定されない)も示し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような活性を示すポリペプチドをコードし得る。タンパク質は、種々の免疫不全および免疫障害(重症複合型免疫不全(SCID)を包含する)の処置において、例えばTリンパ球および/またはBリンパ球の成長および増殖を調節(アップレギュレートまたはダウンレギュレート)する際に、ならびにNK細胞およびその他の細胞集団の細胞溶解活性をもたらす際に、有用であり得る。これらの免疫不全は、遺伝性であり得るし、あるいはウイルス(例えばHIV)感染、細菌感染または真菌感染により引き起こされ得るか、あるいは自己免疫障害に起因し得る。より詳細には、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染またはその他の感染(例えば、HIV感染、肝炎ウイルス感染、ヘルペスウイルス感染、マイコバクテリア感染、リーシュマニア感染、マラリア感染、ならびに種々の真菌感染(例えばカンジダ症))により引き起こされる感染性疾患は、本発明のタンパク質を用いて処置可能であり得る。もちろんこの点で、本発明のタンパク質は、免疫系への追加免疫が一般に望まれ得る場合(すなわち、癌の処置の場合)にも、有用であり得る。
本発明のタンパク質を用いて処置され得る自己免疫障害としては、例えば、結合組織疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、自己免疫性肺炎症、ギヤン−バレー症候群、自己免疫甲状腺炎、インスリン依存性真性糖尿病、重症筋無力症、移植片対宿主疾患および自己免疫炎症性眼疾患が挙げられる。本発明のこのようなタンパク質(またはそのアンタゴニスト(抗体が挙げられる))は、アレルギー性反応およびアレルギー性症状(例えば、アナフィラキシー、血清病、薬物反応、食物アレルギー、昆虫毒液アレルギー、肥満細胞症、アレルギー性鼻炎、過敏性肺臓炎、蕁麻疹、血管性水腫、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、多形性紅斑、スティーヴンズ−ジョンソン症候群、アレルギー性結膜炎、アトピー性角膜結膜炎、性病性角膜結膜炎、巨乳頭状結膜炎および接触性アレルギー)、例えば喘息(特にアレルギー性喘息)またはその他の呼吸性問題の処置においても、有用であり得る。免疫抑制が望ましいその他の症状(例えば臓器移植)もまた、本発明のタンパク質(またはそのアンタゴニスト)を用いて処置可能であり得る。アレルギー反応に及ぼすこのポリペプチドまたはそのアンタゴニストの治療効果は、インビボ動物モデルにより(例えば、累積接触強化試験(Lastbomら、Toxicology 125:59−66,1998)、皮膚穿刺試験(Hoffmannら、Allergy 54:446−54,1999)、モルモット皮膚感作試験(Vohrら、Arch.Toxocol.73:501−9)およびマウス局所リンパ節アッセイ(Kimberら、J.Toxicol.Environ.Health 53:563−79)により)評価され得る。
本発明のタンパク質を用いて、多数の方法で、免疫応答を調整することも可能である。ダウンレギュレーションは、すでに進行中の免疫応答を阻害または遮断する形態であり得るし、あるいは免疫応答の誘導の防止を包含し得る。活性化T細胞の機能は、T細胞応答を抑制することによってか、またはT細胞における特異的寛容を誘導することによってか、またはその両方によって、阻害され得る。T細胞応答の免疫抑制は一般に、能動的な非抗原特異的プロセスであり、このプロセスは、抑制因子へのT細胞の連続曝露を要する。T細胞における非応答性すなわちアネルギーの誘導を包含する寛容は、それが一般的に抗原特異的であり、かつ寛容化因子への曝露が終結した後にも存続するという点で、免疫抑制と区別可能である。使用可能には、寛容は、寛容化因子の非存在下での特異の抗原への再曝露時のT細胞応答の欠如により実証され得る。
1つ以上の抗原機能(Bリンパ球抗原機能(例えばB7)が挙げられるが、これらに限定されない)のダウンレギュレーションまたは防止(例えば、活性化T細胞による高レベルリンホカイン合成の防止)は、組織、皮膚および臓器移植の場合に、ならびに移植片対宿主病(GVHD)において、有用である。例えば、T細胞機能の遮断は、組織移殖における組織破壊低減を生じるはずである。典型的には、組織移植においては、その移植片の拒絶は、その移植片がT細胞によって異物として認識されることにより開始され、その後、免疫反応により移植片が破壊される。本発明の治療用組成物の投与は、免疫細胞(例えばT細胞)によるサイトカイン合成を防止し、従って、免疫抑制剤として作用する。さらに、共刺激の欠如もまた、T細胞をアネルギーにするのに十分であり、それにより被験体における寛容を誘導する。Bリンパ球抗原遮断試薬による長期寛容の誘導は、これらの遮断試薬の反復投与の必要性を回避し得る。被験体における十分な免疫抑制または寛容を達成するためには、Bリンパ球抗原の組合せの機能を遮断することも必要であり得る。
臓器移植片拒絶またはGVHDにおける特定の治療用組成物の効力は、ヒトにおける効力を予測する動物モデルを用いて評価され得る。用いられ得る適切な系の例としては、ラットにおける同種異系心移植片およびマウスにおける異種膵臓島細胞移植片が挙げられ、これらはともに、Lenschowら、Science 257:789〜792(1992)に記載されるように、インビボでのCTLA4Igの免疫抑制効果を試験するために使用された。Turkaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:11102−11105(1992)に記載されているように、インビボでのCTLA4Ig融合タンパク質の免疫抑制作用を調べるために用いられている。さらに、GVHDのマウスモデル(Paul編,Fundamental Immunology,Raven Press,New York,1989,pp.846−847参照)は、その疾患の発症に及ぼす本発明の治療用組成物の作用を決定するために用いられ得る。
抗原機能遮断はまた、自己免疫疾患を処置するために治療的に有用であり得る。自己免疫障害の多くは、自己組織に対して反応しかつその疾患の病理に関与するサイトカインおよび自己抗体の産生を促す、T細胞の不適切な活性化の結果である。自己反応性T細胞の活性化防止は、疾患症状を低減または排除し得る。T細胞の刺激を遮断する試薬の投与は、T細胞活性化を阻害するため、および疾患プロセスに関与し得る自己抗体またはT細胞由来サイトカインの産生を防止するために、用いられ得る。さらに、遮断試薬は、その疾患からの長期解放をもたらし得る自己反応性T細胞の抗原特異的寛容を誘導し得る。自己免疫障害の防止または軽減における遮断試薬の効力は、ヒト自己免疫疾患の多数の十分に特徴付けされた動物モデルを用いて決定され得る。例としては、マウス実験的自己免疫脳炎、MRL/lpr/lprマウスまたはNZBハイブリッドマウスにおける全身性エリテマトーデス、マウス自己免疫性コラーゲン関節炎、NODマウスおよびBBラットにおける真性糖尿病、ならびにマウス実験的重症筋無力症が挙げられる(Paul編,Fundamental Immunology,Raven Press,New York,1989,pp.840−856参照)。
免疫応答をアップレギュレートする一手段としての抗原機能(例えば、Bリンパ球抗原機能)のアップレギュレーションも、治療において有用であり得る。免疫応答のアップレギュレーションは、既存の免疫応答を強化する形態または初期免疫応答を惹起する形態であり得る。例えば、免疫応答強化は、ウイルス感染(例えば、全身性ウイルス疾患(例えばインフルエンザ、普通の風邪および脳炎))の場合において、有用であり得る。
あるいは、抗ウイルス性免疫応答は、患者からT細胞を除去すること、本発明のペプチドを発現するウイルス抗原パルス化APCを用いてか、または本発明の可溶性ペプチドの刺激形態と一緒に、インビトロでT細胞を共刺激すること、そして患者内に活性化T細胞をインビトロで再導入することにより、感染患者において強化され得る。抗ウイルス免疫応答の別の強化方法は、患者から感染細胞を単離し、その細胞がその表面にタンパク質の全部または一部を発現するように、その細胞を本明細書中に記載されたような本発明のタンパク質をコードする核酸でトランスフェクトし、そしてトランスフェクトした細胞をその患者内に再導入することである。この感染細胞は、ここで、T細胞に共刺激シグナルを送達可能であり、それによりT細胞をインビボで活性化する。
本発明のポリペプチドは、トランスフェクトした腫瘍細胞に対するT細胞媒介性免疫応答を誘導するために必要な刺激シグナルを、T細胞に提供し得る。さらに、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子を欠く腫瘍細胞、あるいは十分量のMHCクラスI分子またはMHCクラスII分子を再発現できない腫瘍細胞は、MHCクラスIα鎖タンパク質およびβ2ミクログロブリンタンパク質、またはMHCクラスIIα鎖タンパク質およびMHCクラスIIβ鎖タンパク質の全部または一部(例えば、細胞質ドメイン切断型部分)をコードする核酸でトランスフェクトされ、それにより細胞表面にMHCクラスIタンパク質またはMHCクラスIIタンパク質を発現し得る。適切なクラスI MHCまたはクラスII MHCを、Bリンパ球抗原(例えばB7−1、B7−2、B7−3)の活性を有するペプチドとともに発現することは、トランスフェクトした腫瘍細胞に対するT細胞媒介性免疫応答を誘導する。必要に応じて、MHCクラスII関連タンパク質の発現を遮断するアンチセンス構築物をコードする遺伝子(例えば、インバリアント鎖)もまた、Bリンパ球抗原の活性を有するペプチドをコードするDNAで同時トランスフェクトされて、腫瘍関連抗原の提示を促し得そして腫瘍特異的免疫を誘導し得る。従って、ヒト被験体におけるT細胞媒介性免疫応答の誘導は、その被験体における腫瘍特異的寛容を克服するのに十分であり得る。
本発明のタンパク質の活性は、とりわけ、以下の方法により測定され得る:
胸腺細胞または脾臓細胞の細胞傷害性に関する適切なアッセイとしては、Current Protocols in Immunology,J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober編,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience刊(Chapter 3,In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1−3.19;Chapter 7,Immunologic studies in Humans);Herrmannら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2488−2492,1981;Herrmannら、J.Immunol.128:1968−1974,1982;Handaら、J.Immunol.135:1564−1572,1985;Takaiら、J.Immunol.137:3494−3500,1986;Takaiら、J.Immunol.140:508−512,1988;Bowmanら、J.Virology 61:1992−1998;Bertagnolliら、Cellular Immunology 133:327−341,1991;Brownら、J.Immunol.153:3079−3092,1994に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
T細胞依存性免疫グロブリン応答およびアイソタイプ転換に関するアッセイ(特に、T細胞依存性抗体応答を調整し、Th1/Th2プロフィールに影響を及ぼすタンパク質を同定するアッセイ)としては、Maliszewski,J.Immunol.144:3028−3033,1990;およびAssays for B cell function:In vitro antibody production,Mond,J.J.およびBurnswick,M.,Current Protocols in Immunology.J.E.e.a.Coligan編,Vol 1 pp.3.8.1−3.8.16,John Wiley and Sons,Toronto.1994に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
混合リンパ球反応(MLR)アッセイ(特に、Th1応答およびCTL応答を優先的に生じるタンパク質を同定するアッセイ)としては、Current Protocols in Immunology,J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober編,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience刊(Chapter 3,In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1−3.19;Chapter 7,Immunologic studies in Humans);Takaiら、J.Immunol.137:3494−3500,1986;Takaiら、J.Immunol.140:508−512,1988;Bertagnolliら、J.Immunol.149:3778−3783,1992に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
樹状細胞依存性アッセイ(特に、ネイティブT細胞を活性化する樹状細胞により発現されるタンパク質を同定するアッセイ)としては、Gueryら、J.Immunol.134:536−544,1995;Inabaら、Journal of Experimental Medicine 173:549−559,1991;Macatoniaら、Journal of Immunology 154:5071−5079,1995;Porgadorら、Journal of Experimental Medicine 182:255−260,1995;Nairら、Journal of Virology 67:4062−4069,1993;Huangら、Science 264:961−965,1994;Macatoniaら、Journal of Experimental Medicine 169:1255−1264,1989;Bhardwajら、Journal of Clinical Investigation 94:797−807,1994;およびInabaら、Journal of Experimental Medicine 172:631−640,1990に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
リンパ球生存/アポトーシスに関するアッセイ(特に、スーパー抗原誘導後のアポトーシスを防止するタンパク質、およびリンパ球恒常性を調節するタンパク質を同定するアッセイ)としては、Darzynkiewiczら、Cytometry 13:795−808,1992;Gorczycaら、Leukemia 7:659−670,1993;Gorczycaら、Cancer Research 53:1945−1951,1993;Itohら、Cell 66:233−243,1991;Zacharchuk,Journal of Immunology 145:4037−4045,1990;Zamaiら、Cytometry 14:891−897,1993;Gorczycaら、International Journal of Oncology 1:639−648,1992に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
T細胞方向付けおよび発生の初期段階に影響を及ぼすタンパク質に関するアッセイとしては、Anticaら、Blood 84:111−117,1994;Fineら、Cellular Immunology 155:111−122,1994;Galyら、Blood 85:2770−2778,1995;Tokiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7548−7551,1991に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.8 走化性/ケモキネシス活性)
本発明のポリペプチドは、哺乳動物細胞(例えば単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、肥満細胞、好酸球、上皮細胞および/または内皮細胞)に関する走化性またはケモキネシス活性に関与し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような属性を示すポリペプチドをコードし得る。走化性レセプター活性およびケモキネシスレセプター活性化を用いて、所望の細胞集団を所望の作用部位に動員または引き付け得る。走化性組成物またはケモキネシス組成物(例えば、本発明のタンパク質、抗体、結合パートナーまたは調節因子)は、組織に対する創傷またはその他の外傷の処置において、ならびに限局性感染の処置において、特定の利益を提供する。例えば、腫瘍または感染部位へのリンパ球、単球または好中球の誘引は、その腫瘍または感染因子に対する免疫応答改善を生じ得る。
タンパク質またはペプチドは、特定の細胞集団の指向された配向または運動を、直接または間接的に刺激し得る場合、そのような細胞集団に対する走化性活性を有する。好ましくは、そのタンパク質またはペプチドは、細胞の指向された運動を直接刺激する能力を有する。特定のタンパク質が一細胞集団に対する走化性活性を有するか否かは、細胞走化性に関する任意の公知のアッセイにおいてこのようなタンパク質またはペプチドを用いることにより、容易に決定され得る。
本発明の治療用組成物は、以下において用いられ得る:
走化性活性に関するアッセイ(走化性を誘導または防止するタンパク質を同定するアッセイ)は、膜を通る細胞の移動を誘導するタンパク質の能力を測定するアッセイ、ならびにある細胞集団が別の細胞集団へと接着するのを誘導するタンパク質の能力を測定するアッセイからなる。移動および接着に関する適切なアッセイとしては、Current Protocols in Immunology,J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober編,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience刊(Chapter 6.12,Measurement of alpha and beta Chemokines 6.12.1−6.12.28);Taubら、J.Clin.Invest.95:1370−1376,1995;Lindら、APMIS 103:140−146,1995;Mullerら、Eur.J.Immunol.25:1744−1748;Gruberら、J.of Immunol.152:5860−5867,1994;Johnstonら、J.of Immunol.153:1762−1768,1994に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.9 止血活性および血栓溶解活性)
本発明のポリペプチドはまた、止血または血栓溶解または血栓症にも関与し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような属性を示すポリペプチドをコードし得る。組成物は、種々の凝血性障害(例えば、血友病のような遺伝性障害)の処置において、あるいは外傷、手術またはその他の原因に起因する創傷の処置において凝血事象およびその他の止血事象を強化するために、有用であり得る。本発明の組成物はまた、血栓の形成を溶解または阻害するために、ならびに血栓形成に起因する症状(例えば、心臓および中枢神経系脈管の梗塞(例えば発作))の処置および予防のためにも、有用であり得る。
本発明の治療用組成物は、以下において用いられ得る:
止血活性および血栓溶解活性に関するアッセイとしては、Linetら、J.Clin.Pharmacol.26:131−140,1986;Burdickら、Thrombosis Res.45:413−419,1987;Humphreyら、Fibrinolysis 5:71−79(1991);Schaub,Prostaglandins 35:467−474,1988に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.10 癌の診断および治療)
本発明のポリペプチドは、癌細胞の生成、増殖または転移に関与し得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの存在または量の検出は、1つ以上の種類の癌の診断および/または予後判定のために有用であり得る。例えば、本発明のポリヌクレオチド/ポリペプチドの存在または発現増大は、癌、前癌状態または進行中の悪性疾患の遺伝的危険性を示し得る。逆に、そのポリペプチドの遺伝子の欠損または非存在は、癌状態に関連し得る。癌または癌に対する素因と関連する単一ヌクレオチド多型の同定も、診断または予後判定のために有用であり得る。
癌処置は、腫瘍細胞増殖を抑制すること、新血管形成(腫瘍増殖を支持するのに必要な新しい血管の成長)を阻害すること、かつ/または腫瘍細胞の運動性または浸潤性を低減することにより転移を妨げることによって、腫瘍退行を促進する。本発明の治療用組成物は、成体腫瘍学および小児腫瘍学において(固形腫瘍/悪性疾患を含む)、局所的進行性腫瘍、ヒト軟組織肉腫、転移性癌(リンパ性転移を含む)、血球悪性疾患(多発性骨髄腫、急性白血病および慢性白血病を含む)、ならびにリンパ腫、頭部および頚部癌(口腔癌、喉頭癌および甲状腺癌を含む)、肺癌(小細胞癌および非小細胞癌を含む)、乳癌(小細胞癌および腺管癌を含む)、胃腸願(食道癌、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌および結腸直腸新形成に関連したポリープを含む)、膵臓癌、肝臓癌、泌尿器癌(膀胱癌および前立腺癌を含む)、女性生殖管の悪性腫瘍(卵巣癌、子宮(子宮内膜を含む)癌および卵胞における固形腫瘍を含む)、腎臓癌(腎細胞癌を含む)、脳癌(内因性脳腫瘍、神経芽細胞腫、星状細胞性脳腫瘍を含む)、神経膠腫、中枢神経系における転移性腫瘍細胞浸潤、骨癌(骨腫を含む)、皮膚癌(悪性黒色腫、ヒト皮膚ケラチノサイトの腫瘍進行、扁平上皮癌、基底細胞癌を含む)、血管外皮細胞腫、およびカポジ肉腫において有効であり得る。
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの調節因子(本発明のポリペプチドの生物学的活性のインヒビターおよび刺激剤を包含する)は、癌を処置するために投与され得る。治療用組成物は、治療的有効投与量で、単独でか、またはアジュバント癌療法(例えば、外科手術、化学療法、放射線療法、熱療法およびレーザー療法)と組み合わせて投与され得る。治療用組成物は、癌を必ず根絶するというわけではないが、有益な作用(例えば、腫瘍サイズの低減、腫瘍成長の速度遅延、転移阻害またはそうでなければ全体的臨床症状の改善)を提供し得る。
この組成物は、抗癌カクテルの一部としても、治療的有効量で投与され得る。抗癌カクテルは、本発明のポリペプチドまたは調節因子と、送達のための薬学的に受容可能なキャリアに加えて、1つ以上の抗癌薬との混合物である。癌処置としての抗癌カクテルの使用は、慣用手段である。当該分野で周知でありかつ本発明のポリペプチドまたは調節因子と組み合せて処置として用いられる抗癌薬としては、以下のものが挙げられる:アクチノマイシンD、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン(シス−DDP)、シクロホスファミド、塩酸シタラビン(シトシンアラビノシド)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(V16−213)、フロクスリジン、5−フルオロウラシル(5−Fu)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イフォスファミド、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子アナログ)、ロムスチン、塩酸メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート(MTX)、マイトマイシン、塩酸ミトザントロン、オクトレオチド、プリカマイシン、塩酸プロカルバジン、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、アムサクリン、アザシチジン、ヘキサメチルメラミン、インターロイキン−2、ミトグアゾン、ペントスタチン、セムスチン、テニポシドおよび硫酸ビンデシン。
さらに、本発明の治療用組成物は、癌の予防的処置のために用いられ得る。個体が癌を発症する素因を有する、当該分野で公知の遺伝的状態および/または環境情況(例えば、発癌物質への曝露)が存在する。これらの環境下では、治療的有効用量の本発明のポリペプチドでこれらの個体を処置して、癌を発症する危険を低減することが有益であり得る。
可能な癌処置としての本発明のペプチドの有効用量を決定するために、インビトロモデルが用いられ得る。これらのインビトロモデルとしては、培養腫瘍細胞の増殖アッセイ、軟寒天中での培養腫瘍細胞の増殖(Freshney,(1987)Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,Wily−Liss,New York,NY Ch 18およびCh 21参照)、Giovanellaら、J.Natl.Can.Inst.,52:921−30(1974)に記載されたようなヌードマウスにおける腫瘍系、Pilkingtonら、Anticancer Res.,17:4107−9(1997)に記載されたようなボイデンチャンバアッセイ、ならびにそれぞれRibattaら、Intl.J.Dev.Biol.,40:1189−97(1999)およびLiら、Clin.Exp.Metastasis,17:423−9(1999)に記載されたようなヒヨコ漿尿膜の血管新生の誘導または血管内皮細胞遊走の誘導のような、血管新生アッセイが挙げられる。適切な腫瘍細胞株は、例えば、American Type Tissue Culture Collectionカタログから入手可能である。
(4.7.11 レセプター/リガンド活性)
本発明のポリペプチドはまた、レセプター、レセプター/リガンド、あるいはレセプター/リガンド相互作用のインヒビターまたはアゴニストとしての活性も実証し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような特徴を示すポリペプチドをコードし得る。このようなレセプターおよびリガンドの例としては、サイトカインレセプターおよびそれらのリガンド、レセプターキナーゼおよびそれらのリガンド、レセプターホスファターゼおよびそれらのリガンド、細胞−細胞相互作用に関与するレセプターおよびそれらのリガンド(細胞接着分子(例えばセレクチン、インテグリンおよびそれらのリガンド)が挙げられるが、これらに限定されない)、ならびに抗原提示、抗原認識ならびに細胞性免疫応答発生および体液性免疫応答発生に関与するレセプター/リガンド対が挙げられるが、これらに限定されない。レセプターおよびリガンドはまた、関連レセプター/リガンド相互作用の潜在的ペプチドインヒビターまたは低分子インヒビターのスクリーニングのためにも、有用である。本発明のタンパク質(レセプターフラグメントおよびリガンドフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない)は、それ自体、レセプター/リガンド相互作用のインヒビターとして有用であり得る。
本発明のポリペプチドの活性は、数ある手段の中でも特に、以下の方法により測定され得る:
レセプター−リガンド活性に関する適切なアッセイとしては、Current Protocols in Immunology,J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober編,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience刊(Chapter 7.28,Measurement of Cellular Adhesion under static conditions 7.28.1−7.28.22),Takaiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:6864−6868,1987;Biererら、J.Exp.Med.168:1145−1156,1988;Rosensteinら、J.Exp.Med.169:149−160 1989;Stoltenborgら、J.Immunol.Methods 175:59−68,1994;Stittら、Cell 80:661−670,1995に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
例として、本発明のポリペプチドは、リガンド(単数または複数)のためのレセプターとして用いられ、それによりそのリガンド(単数または複数)の生物学的活性を伝達し得る。リガンドは、結合アッセイ、アフィニティークロマトグラフィー、ツーハイブリッドスクリーニングアッセイ、BIAcoreアッセイ、ゲル重層アッセイまたは当該分野で公知のその他の方法によって、同定され得る。
アゴニストまたはアンタゴニストあるいは部分アゴニストまたは部分アンタゴニストとして薬剤またはタンパク質を特徴付けする試験は、競合リガンドとしてのその他のタンパク質の使用を要する。本発明のポリペプチドまたはそのリガンド(単数または複数)は、従来の方法により放射性同位体、発色分子または毒素分子に結合させることにより、標識され得る(「Guide to Protein Purification」Murray P.Deutscher(編),Methods in Enzymology Vol.182(1990) Academic Press,Inc.San Diego)。放射性同位体の例としては、トリチウムおよび炭素14が挙げられるが、これらに限定されない。発色分子の例としては、蛍光分子(例えば、フルオレサミンまたはローダミン)、あるいはその他の発色分子が挙げられるが、これらに限定されない。毒素の例としては、リシンが挙げられるが、これに限定されない。
(4.7.12 薬剤スクリーニング)
本発明は、種々の薬剤スクリーニング技術のいずれかにおいて新規なポリペプチドまたはその結合フラグメントを用いることにより、化合物をスクリーニングするために特に有用である。このような試験に用いられるポリペプチドまたはフラグメントは、溶液中で遊離しているか、固体支持体に付着されるか、細胞表面に保有されるか、または細胞内に位置するかのいずれかであり得る。薬剤スクリーニングの一方法は、このポリペプチドまたはそのフラグメントを発現する組換え核酸で安定的に形質転換された真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞を利用する。薬剤は、競合的結合アッセイにおいて、このような形質転換細胞についてスクリーニングされる。このような細胞は、生存形態または固定形態のいずれかで、標準結合アッセイのために用いられ得る。例えば、本発明のポリペプチドまたはフラグメントと試験される作用物質との間の複合体の形成を測定し得るし、あるいはこの新規なポリペプチドと、当該分野で周知である適切な細胞株との間の複合体形成の減少を調べ得る。
本発明のポリペプチドと結合するかまたはそのポリペプチドの活性を調整する(すなわち増大または低減する)能力に関してスクリーニングされ得る試験化合物に関する供給源としては、(1)無機化学物質ライブラリーおよび有機化学物質ライブラリー、(2)天然産物ライブラリー、ならびに(3)無作為ペプチドまたは模倣物ペプチド、オリゴヌクレオチドまたは有機分子のいずれかから構成される組合せライブラリーが挙げられる。
化学物質ライブラリーは、容易に合成され得るか、あるいは多数の商業的供給元から購入され得、公知の化合物または天然産物スクリーニングにより「ヒット」または「リード」として同定される化合物(単数または複数)の構造的アナログを誘導し得る。
天然産物ライブラリーの供給源は、微生物(細菌および真菌を包含する)、動物、植物またはその他の草木、あるいは海洋生物であり、そしてスクリーニングのための混合物のライブラリーは、(1)土壌、植物または海洋微生物からのブロスの発酵および抽出、あるいは(2)生物自体の抽出によって、作られ得る。天然産物ライブラリーとしては、ポリケチド、非リボソームペプチドおよびその(非天然)改変体が挙げられる(概略に関して、Science 282:63−68(1998)参照)。
コンビナトリアルライブラリーは、多数のペプチド、オリゴヌクレオチドまたは有機化合物から構成されており、伝統的自動合成法、PCR、クローニングまたは独自の合成方法により、容易に調製され得る。特に興味深いのは、ペプチドコンビナトリアルライブラリーおよびオリゴヌクレオチドコンビナトリアルライブラリーである。興味深いさらにその他のライブラリーとしては、ペプチドライブラリー、タンパク質ライブラリー、ペプチド模倣物ライブラリー、多重並列合成コレクションライブラリー、リコンビナトリアルライブラリーおよびポリペプチドライブラリーが挙げられる。コンビナトリアル化学およびそれから作製されるライブラリーの概略に関しては、Myers,Curr.Opin.Biotechnol.8:701−707(1997)を参照されたい。ペプチド模倣物ライブラリーの概略および例に関しては、Al−Obeidiら、Mol.Biotechnol,9(3):205−23(1998);Hrubyら、Curr Opin Chem Biol,1(1):114−19(1997);Dornerら、Bioorg Med Chem,4(5):709−15(1996)(アルキル化ジペプチド)を参照されたい。
本明細書中に記載された種々のライブラリーの使用による調節因子の同定は、本発明のポリペプチドを結合する「ヒット」の能力を最適化するための候補「ヒット」(または「リード」)の改変を可能にする。結合アッセイで同定された分子は、次に、当該分野で周知のインビボ組織培養または動物モデル中において、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性に関して試験される。要するに、その分子は、複数の細胞培養物または動物中で力価測定され、次に細胞死/動物死または動物/細胞の長期生存に関して試験される。
このように同定された結合分子は、毒素(例えばリシンまたはコレラ毒素)と、あるいは細胞に対して毒性であるその他の化合物(例えば、放射性同位体)と複合体化され得る。その毒素結合分子複合体は、次に、本発明のポリペプチドに対するその結合分子の特異性により、腫瘍またはその他の細胞に対して標的化される。あるいは、その結合分子は、標的化のためおよび画像化のために、画像化剤と複合体化され得る。
(4.7.13 レセプター活性に関するアッセイ)
本発明は、ポリペプチド(例えば、リガンドまたはレセプター)の特異的結合を検出するための方法も提供する。当該分野は、本発明のレセプターポリペプチドに対する従来未知であった結合パートナーを同定するために特に有用である、多数のアッセイを提供する。例えば、哺乳動物細胞または細菌細胞を用いる発現クローニング、あるいはツーハイブリッドスクリーニングアッセイを用いて、結合パートナーをコードするポリヌクレオチドを同定し得る。別の例として、本発明の適切な固定化ポリペプチドを用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いて、本発明のポリペプチドを認識しそして結合するポリペプチドを単離し得る。本発明のポリペプチドの生物学的活性を調整する(すなわち増大するかまたは低減する)化合物(特に、低分子)の同定のために用いられる、多数の種々のライブラリーが存在する。本発明のレセプターポリペプチドに対するリガンドもまた、外因性リガンドまたは外因性リガンドカクテルを、本発明のレセプターの発現に関する以外は遺伝子的に同一である2つの細胞集団(一方の細胞集団は本発明のレセプターを発現し、他方は発現しない)に添加することにより、同定され得る。次に、リガンド(単数または複数)の添加に対する2つの細胞集団の応答が比較される。あるいは、発現ライブラリーは、細胞中で本発明のポリペプチドとともに同時発現され得、そして潜在的なリガンド(単数または複数)を同定するためにオートクライン応答に関してアッセイされ得る。さらに別の例として、BIAcoreアッセイ、ゲル重層アッセイ、または当該分野で公知のその他の方法を用いて、結合パートナーポリペプチド(例えば、(1)無機ライブラリーおよび有機化学物質ライブラリー、(2)天然産物ライブラリー、ならびに(3)無作為ペプチド、オリゴヌクレオチドまたは有機分子から構成されるコンビナトリアルライブラリー)を同定し得る。
本発明のポリペプチドのシグナル伝達カスケードにおける下流細胞内シグナル伝達分子の役割が、決定され得る。例えば、本発明のポリペプチドの細胞質ドメインが、そのリガンドが同定されたタンパク質の細胞外部分と融合されているキメラタンパク質が、宿主細胞中で産生される。その細胞は次に、そのキメラタンパク質の細胞外部分に特異的なリガンドとともにインキュベートされ、それによりキメラレセプターを活性化する。細胞内シグナル伝達に関与する公知の下流タンパク質が、次に、予測される改変(すなわち、リン酸化)に関してアッセイされ得る。当業者に公知のその他の方法もまた、レセプター活性に関与するシグナル伝達分子を同定するために用いられ得る。
(4.7.14 白血病)
白血病および関連障害が、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの機能を促進するかまたは阻害する治療薬の投与により、処置または予防され得る。このような白血病および関連障害としては、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病が挙げられるが、これらに限定されない(このような障害の概要に関しては、Fishmanら、1985,Medicine,2d Ed.,J.B.Lippincott Co.,Philadelphiaを参照されたい)。
(4.7.15 神経系障害)
本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの活性を調整する化合物を用いて介入の効力に関して試験され得る、従って治療的有用性の症状発現の観察時に処置され得る、細胞型を包含する神経系障害としては、神経系損傷、および軸索の離断、ニューロンの縮小または変性、あるいは脱髄のいずれかを引き起こす疾患または障害が挙げられるが、これらに限定されない。本発明により患者(ヒト患者および非ヒト哺乳動物患者を包含する)において処置され得る神経系病変としては、中枢神経系(例えば脊髄、脳)または末梢神経系についての以下の病変が挙げられるが、これらに限定されない:
(i)外傷性病変:物理的損傷により引き起こされるかまたは手術に関連する病変(例えば、神経系の一部分を切断する損傷、または圧迫損傷);
(ii)虚血性病変:この場合、神経系の一部分における酸素の欠如が、ニューロンの損傷または死を引き起こす(脳梗塞または虚血、あるいは脊髄梗塞または虚血が挙げられる);
(iii)感染性病変:この場合、例えば膿瘍による感染の結果としてか、またはヒト免疫不全ウイルス、帯状疱疹ウイルスまたは単純ヘルペスウイルスによる感染に関連して、またはライム病、結核、梅毒による感染に関連して、神経系の一部が破壊または損傷される;
(iv)変性病変:この場合、変性プロセスの結果として神経系が破壊または損傷される(パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病または筋萎縮性側索硬化症に関連した変性が挙げられるが、これらに限定されない);
(v)栄養性疾患または障害に関連した病変:この場合、栄養障害または代謝の障害により、神経系の一部が破壊または損傷される(ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、ウェルニッケ病、タバコ−アルコール弱視、マルキアファーヴァ−ビニャーミ病(脳梁の原発性変性)およびアルコール性小脳変性が挙げられるが、これらに限定されない);
(vi)全身性疾患に関係する神経学的病変(糖尿病に関係する神経学的病変(糖尿病性ニューロパシー、ベル麻痺)、全身性エリテマトーデスに関係する神経学的病変、癌腫または類肉腫に関係する神経学的病変が挙げられるが、これらに限定されない);
(vii)毒性物質(アルコール、鉛または特定の神経毒素が挙げられる)により引き起こされる病変;ならびに
(viii)脱髄病変:この場合、脱髄性疾患(多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス関連脊髄障害、横断脊髄障害または種々の病因、進行性多病巣性白質脳症、ならびに橋中央ミエリン溶解が挙げられるが、これらに限定されない)により、神経系の一部が破壊または損傷される。
神経系障害の処置のために本発明により有用である治療薬は、ニューロンの生存または分化の促進における生物学的活性に関して試験することにより、選択され得る。例えば、以下の作用のいずれかを引き出す治療薬が、本発明により有用であり得るが、これらに限定されない:
(i)培養中のニューロンの生存時間増大;
(ii)培養中またはインビボでのニューロンの出芽増大;
(iii)培養中またはインビボでのニューロン関連分子(例えば、運動ニューロンに関連したコリンアセチルトランスフェラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼ)の産生増大;あるいは
(iv)インビボでのニューロン機能不全の症状低減。
このような作用は、当該分野で公知の任意の方法により測定され得る。好ましい非限定的実施形態では、ニューロンの生存増大は、Arakawaら、(1990,J.Neurosci.10:3507−3515)に記述された方法により測定され得るし;ニューロンの出芽増大は、Pestronkら、(1980,Exp.Neurol.70:65−82)またはBrownら、(1981,Ann.Rev.Neurosci.4:17−42)に記述された方法により検出され得るし;ニューロン関連分子の産生増大は、測定される分子に依存して、バイオアッセイ、酵素アッセイ、抗体結合、ノーザンブロットアッセイ等により測定され得るし;そして運動ニューロン機能不全は、運動ニューロン障害の身体的徴候(例えば、衰弱、運動ニューロン伝達速度または機能的不能)を評価することにより、測定され得る。
特定の実施形態では、本発明により処置され得る運動ニューロン障害としては、梗塞、感染、毒素への曝露、外傷、外科的損害、運動ニューロンならびに神経系のその他の構成成分に影響を及ぼし得る変性疾患または悪性疾患、ならびにニューロンに選択的に影響を及ぼす障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症、および進行性棘筋萎縮症、進行性延髄麻痺、原発性側索硬化症、小児性筋萎縮症および若年性筋萎縮症、小児期進行性延髄麻痺(ファツィオ−ロンデ症候群)、ポリオおよびポリオ後症候群、ならびに遺伝性運動感覚性ニューロパシー(シャルコー−マリー−ツース病)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
(4.7.16 その他の活性)
本発明のポリペプチドはまた、以下のさらなる活性または作用のうちの1つ以上も示し得る:感染因子(細菌、ウイルス、真菌またはその他の寄生生物が挙げられるが、これらに限定されない)の増殖、感染または機能を阻害するか、あるいはそれらを殺害すること;身体的特徴(身長、体重、毛髪の色、眼の色、皮膚、脂肪対赤身比またはその他の組織色素沈着、あるいは臓器または身体部分のサイズもしくは形状(例えば、胸部の増大または縮小、骨形態または形状の変化が挙げられるが、これらに限定されない)に作用(抑制または増強)すること;生体リズムあるいは概日性周期または概日リズムに作用すること;男性被験体または女性被験体の生殖能に作用すること;食物の脂肪、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、補因子またはその他の栄養因子または構成成分(単数または複数)の代謝、異化、同化、プロセシング、利用、貯蔵または排泄に作用すること;行動的特徴(食欲、性欲、ストレス、認知(認知障害を包含する)、抑うつ(抑うつ障害を包含する)および暴力的行動が挙げられるが、これらに限定されない)に作用すること;鎮痛作用またはその他の疼痛低減作用を提供すること;造血系列以外の系列における胚性幹細胞の分化および成長を促進すること;ホルモンまたは内分泌活性;酵素の場合には、酵素の欠損を矯正し、欠損関連性疾患を処置すること;過増殖性障害(例えば、乾癬)の処置;免疫グロブリン様活性(例えば、抗原または補体を結合する能力);ならびにこのようなタンパク質あるいはこのようなタンパク質と交差反応性である別の物質もしくは実体に対して免疫応答を引き起こすように、ワクチン組成物中で抗原として作用する能力。
(4.7.17 多型の同定)
多型の実証は、ヒト被験体におけるそのような多型の同定、ならびに診断および処置のためのこの情報の薬理遺伝学的使用を可能にする。このような多型は、例えば、種々の疾患状態(例えば、炎症または免疫応答を包含する障害)に対する差次的素因または感受性、あるいは薬剤投与に対する差次的応答に関連し得、この遺伝情報を用いて、予防的処置または治療的処置を適切に調整させ得る。例えば、炎症または自己免疫疾患に対する素因に関連した多型の存在は、その多型の存在を同定することにより、ヒトにおけるこの状態の診断を可能にする。
多型は、患者から試料を得る工程、その試料からDNAを分析する工程、必要に応じてそのDNAを単離または増幅する工程、そしてそのDNA中の多型の存在を同定する工程を一般的にはすべて含む、当該分野で公知の種々の方法において同定され得る。例えば、PCRを用いて、ゲノムDNAの適切なフラグメントを増幅し、これを次に配列決定し得る。あるいは、そのDNAは、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(この場合、単一塩基ミスマッチの検出を可能にする条件下で、適切なオリゴヌクレオチドがそのDNAとハイブリダイズされる)に、または単一ヌクレオチド伸長アッセイ(この場合、その多型の位置の直ぐ隣でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが、1つ以上の標識ヌクレオチドを用いて伸長される)に供され得る。さらに、伝統的制限フラグメント長多型分析(その多型の存在または非存在に依存して、ゲノムDNAの差次的消化を提供する制限酵素を用いる)が実施され得る。本発明のヌクレオチド配列を有するアレイを用いて、多型を検出し得る。本発明のヌクレオチド配列を検出するために、そのアレイは、本発明の改変型ヌクレオチド配列を含み得る。代替的方法では、本発明のヌクレオチド配列のいずれか1つがそのアレイ上に置かれて、それらの配列からの変化を検出し得る。
あるいは、そのアミノ酸配列における変化を生じる多型もまた、そのタンパク質のアミノ酸配列中の対応する変化を検出することにより(例えば、改変体配列に特異的な抗体により)、検出され得る。
(4.7.18 関節炎および炎症)
慢性関節リウマチに対する本発明の組成物の免疫抑制作用は、実験動物モデル系で決定される。その実験モデル系は、ラットにおけるアジュバント誘導性関節炎であり、そのプロトコルは、J.Holoshitzら、1983,Science,219:56により、またはB.Waksmanら、1963,Int.Arch.Allergy Appl.Immunol.,23:129により記載されている。その疾患の誘導は、完全フロイントアジュバント(CFA)中の死滅結核菌の懸濁液を、一般的に皮内に、1回注射することにより、引き起こされ得る。注射経路は変わり得るが、ラットは、尾の基部にアジュバント混合物を注射され得る。そのポリペプチドは、約1〜5mg/kgの用量で、リン酸緩衝化生理食塩水溶液(PBS)中で投与される。コントロールは、PBSのみの投与からなる。
その試験化合物の作用の試験手順は、CFA中の死滅結核菌を皮内注射すること、その後、直ちにその試験化合物を投与し、その後、24日目まで、1日おきに処置することからなる。結核菌CFA注射後14日目、15日目、18日目、20日目、22日目および24日目に、全体的関節炎スコアが、上記のJ.Holoskitzにより記載されたようにして得られる。そのデータの分析により、関節炎スコアの低減により測定される場合、その試験化合物が関節の腫脹に対して劇的作用を及ぼすことを示す。
(4.8 治療方法)
本発明の組成物(ポリペプチドフラグメント、アナログ、改変体、および抗体またはその他の結合パートナー、あるいは調節因子(アンチセンスポリヌクレオチドを包含する)を包含する)は、種々の治療方法において多数の用途を有する。治療用途の例としては、本明細書中に例示されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.8.1 例)
本発明の一実施形態は、本発明のペプチドを調節することにより調整され得る疾患または障害に罹患した個体への、本発明の有効量の幹細胞増殖因子様ポリペプチドまたはその他の組成物の投与である。投与方式は特に重要ではないが、非経口投与が好ましい。例示的投与方式は、静脈内ボーラスを送達することである。本発明の幹細胞増殖因子様ポリペプチドまたはその他の組成物の投与量は、普通は処方医により決定される。投与量は、個別の患者の年齢、体重、状態および応答によって変わることが、予測される。典型的には、1回の投与当たりに投与されるポリペプチドの量は、約0.01μg/患者体重1kg〜100mg/患者体重1kgの範囲であり、好ましい用量は、約0.1μg/患者体重1kg〜10mg/患者体重1kgである。非経口投与のためには、本発明の幹細胞増殖因子様ポリペプチドは、薬学的に受容可能な非経口ビヒクルと組合せた注射可能形態で処方される。このようなビヒクルは当該分野で周知であり、例としては、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、ならびに少量のヒト血清アルブミンからなる溶液が、挙げられる。このビヒクルは、このポリペプチドまたはその他の活性成分の等張性および安定性を維持する少量の添加剤を含有し得る。このような溶液の調製は、当業者の範囲内である。
(4.9 薬学的処方物および投与経路)
本発明のタンパク質またはその他の組成物(由来する供給源が何であれ、例えば組換え供給源および非組換え供給源が挙げられるがこれらに限らない)(本発明のポリペプチドの抗体またはその他の結合パートナーが挙げられる)は、単独でか、またはそれが種々の障害を処置または改善するための用量で適切なキャリアまたは賦形剤(単数または複数)と混合された薬学的組成物の状態で、必要とする患者に投与され得る。このような組成物は、(タンパク質またはその他の活性成分およびキャリアのほかに)、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤および当該分野で周知のその他の物質を、必要に応じて含有し得る。「薬学的に受容可能な」という用語は、活性成分(単数または複数)の生物学的活性の有効性を妨害しない、非毒性物質を意味する。そのキャリアの特性は、投与経路に依存する。本発明の薬学的組成物はまた、サイトカイン、リンホカイン、またはその他の造血因子(例えば、M−CSF、GM−CSF、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IFN、TNF0、TNF1、TNF2、G−CSF、Meg−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子およびエリスロポエチン)も含有し得る。さらなる組成物中では、本発明のタンパク質は、その疾患または障害の処置に有益なその他の作用物質と組合わされ得る。これらの作用物質としては、種々の増殖因子(例えば、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−αおよびTGF−β)、インスリン様増殖因子(IGF)ならびに本明細書中に記載されたサイトカイン)が挙げられる。
この薬学的組成物は、タンパク質またはその他の活性成分の活性を強化するかあるいは処置におけるその活性または使用を補完するかいずれかである、他の作用物質をさらに含有し得る。このような付加的因子および/または作用物質は、本発明のタンパク質またはその他の活性成分との相乗作用を生じるために、あるいは副作用を最小限にするために、この薬学的組成物中に含まれ得る。逆に、本発明のタンパク質またはその他の活性成分は、特定の凝固因子、サイトカイン、リンホカイン、その他の造血因子、血栓溶解因子または抗血栓因子、あるいは抗炎症薬(例えば、IL−1Ra、IL−1Hy1、IL−1Hy2、抗TNF、コルチコステロイド、免疫抑制剤)の副作用を最小限にするために、特定の凝固因子、サイトカイン、リンホカイン、その他の造血因子、血栓溶解因子または抗血栓因子、あるいは抗炎症薬の処方物中に含まれ得る。本発明のタンパク質は、多量体(例えば、へテロ二量体またはホモ二量体)の状態で、またはそれ自体または他のタンパク質との複合体の状態で、活性であり得る。結果として、本発明の薬学的組成物は、このような多量体継代または複合形態で、本発明のタンパク質を含み得る。
本発明の薬学的組成物中に含まれているもの(第1タンパク質)に対する代替物として、第2タンパク質または治療薬が、第1タンパク質と同時に投与され得る(例えば、同時に、または異なる時点であるが但し、作用因子の組合せの治療濃度が処置部位で達成される)。この適用の化合物の処方および投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co.,Easton,PA最新版において見出され得る。治療的有効用量とは、症状の改善(例えば、関連の医学的症状の処置、治癒、予防または改善)を生じるため、あるいはこのような症状の処置、治癒、予防または改善に関する速度の増大を生じるために十分な、化合物の量をさらに指す。単独で投与される個々の活性成分に適用される場合、治療的有効用量とは、成分単独を指す。組合せに対して適用される場合、治療的有効用量は、組み合わせて逐次投与されるかまたは同時投与されるかに関わらず、治療効果を生じる活性成分の併用量を指す。
本発明の処置または使用の方法の実行において、治療的有効量の本発明のタンパク質またはその他の活性成分が、処置される症状を有する哺乳動物に投与される。本発明のタンパク質またはその他の活性成分は、単独、または他の治療(例えば、サイトカインを使用する処置、リンホカインを使用する処置、またはその他の造血因子を用いる処置)と組合せてのいずれかで、本発明の方法に従って投与され得る。1つ以上のサイトカイン、リンホカインまたはその他の造血因子と同時投与される場合、本発明のタンパク質またはその他の活性成分は、サイトカイン(単数または複数)、リンホカイン(単数または複数)、その他の造血因子(単数または複数)、血栓溶解因子または抗血栓因子と同時にか、あるいは逐次的に投与され得る。逐次的に投与される場合、担当医師は、本発明のタンパク質またはその他の活性成分を、サイトカイン(単数または複数)、リンホカイン(単数または複数)、その他の造血因子(単数または複数)、血栓溶解因子または抗血栓因子と組合せて投与することについての適切な順序を決定する。
(4.9.1 投与経路)
適切な投与経路としては、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与または腸内投与;非経口送達(筋内注射、皮下注射、髄内注射、ならびに髄腔内注射、直接心室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射または眼内注射が挙げられる)が、挙げられ得る。薬学的組成物中においてかまたは本発明の方法を実行するために用いられる、本発明のタンパク質またはその他の活性成分の投与は、種々の従来の方法(例えば、経口摂取、吸入、局所適用、あるいは皮膚注射、皮下注射、腹腔内注射、非経口注射または静脈内注射)で実行され得る。患者への静脈内投与が好ましい。
あるいは、しばしばデポー剤または徐放性処方物中で、全身的方法というよりむしろ局所的方法で、例えば関節中へのまたは線維性組織への直接的な化合物の注射により、化合物を投与し得る。緑内障手術の合併症としてしばしば生じる瘢痕形成過程を防止するために、化合物は、局所的に、例えば点眼薬として投与され得る。さらに、標的化薬剤送達系中で、例えば関節炎または線維性組織を標的化する特異的抗体で被覆されたリポソーム中で、薬剤を投与し得る。リポソームは、罹患組織に標的化され、罹患組織により選択的に取り込まれる。
本発明のポリペプチドは、所望の作用部位に有効投薬量を送達する任意の経路により投与される。適切な投与経路、および特定適応症のための有効投薬量の決定は、当業者のレベル内である。好ましくは、創傷処置のためには、治療化合物をその部位に直接投与する。本発明のポリペプチドのための適切な投薬量範囲は、これらの投薬量から、または適切な動物モデルにおける同様の試験から推定され得る。次に、投薬量は、最大の治療的有益性を与えるように、臨床医により必要に応じて調整され得る。
(4.9.2 組成物/処方物)
したがって、本発明に従って用いるための薬学的組成物は、薬学的に用いられ得る調製物中への活性化合物のプロセシングを促す賦形剤および助剤を含む1つ以上の生理学的に受容可能なキャリアを用いて、慣用的方法で処方され得る。これらの薬学的組成物は、それ自体公知である方法で、例えば慣用的混合、溶解、造粒、糖衣剤製造、研和(levigating:磨砕)、乳化、封入、包括または凍結乾燥法により、製造され得る。適正処方物は、選択される投与経路に拠る。治療的有効量の本発明のタンパク質またはその他の活性成分が経口的に投与される場合、本発明のタンパク質またはその他の活性成分は、錠剤、カプセル、粉末、溶液またはエリキシルの形態である。錠剤形態で投与される場合、本発明の薬学的組成物は、固体キャリア、例えばゼラチンまたはアジュバントをさらに含有し得る。錠剤、カプセルおよび粉末は、約5〜95%の本発明のタンパク質またはその他の活性成分、好ましくは約25〜90%の本発明のタンパク質またはその他の活性成分を含有する。液体形態で投与される場合、液体キャリア、例えば水、石油、動物または植物起源の油、例えば落花生油、鉱油、ダイズ油またはゴマ油、あるいは合成油が添加され得る。液体形態の薬学的組成物は、生理学的生理食塩溶液、デキストロースまたはその他の糖類溶液、あるいはグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールをさらに含有し得る。液体形態で投与される場合、薬学的組成物は、約0.5〜90重量%の本発明のタンパク質またはその他の活性成分、好ましくは約1〜50%の本発明のタンパク質またはその他の活性成分を含有する。
治療的有効量の本発明のタンパク質またはその他の活性成分が、静脈内注射、皮膚注射または皮下注射により投与される場合、本発明のタンパク質またはその他の活性成分は、無発熱物質性の、非経口的に受容可能な水溶液の形態である。pH、等張性、安定性等の点に起因するこのような非経口的に受容可能なタンパク質またはその他の活性成分溶液の調製は、当業者の範囲内である。静脈内注射、皮膚注射または皮下注射のための好ましい薬学的組成物は、本発明のタンパク質またはその他の活性成分のほかに、等張ビヒクル、例えば塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸化リンガー注射液または当該分野で公知のその他のビヒクルを含有すべきである。本発明の薬学的組成物は、安定剤、防腐剤、緩衝剤、酸化防止剤、または当業者に公知のその他の添加剤も含有し得る。注射用には、本発明の作用物質は、水溶液中に、好ましくは生理学的に適応性の緩衝液、例えばハンクス液、リンガー液、または生理学的生理食塩緩衝液中に処方され得る。経粘膜投与のためには、浸透されるバリアに適した浸透剤が、処方物中に用いられる。このような浸透剤は一般に、当該分野で公知である。
経口投与のためには、化合物は、活性化合物を当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアと組合せることにより、容易に処方され得る。このようなキャリアは、処置される患者が経口摂取するための、錠剤、ピル、糖衣丸、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして本発明の化合物を処方させ得る。経口使用のための薬学的調製物は、固体賦形剤を用いて、得られた混合物を任意に粉砕し、この顆粒の混合物を加工処理し、所望により適切な助剤を加えて錠剤または糖衣丸コアを得た後に、生成され得る。適切な賦形剤は、特に充填剤、例えば糖(ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む);セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが添加され得る。糖衣丸コアは、適切なコーティングを有して提供される。この目的のために、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る濃縮糖溶液が用いられ得る。確認のために、または活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けするために、染料または顔料が錠剤または糖衣丸コーティングに添加され得る。
経口的に用いられ得る薬学的調製物としては、ゼラチン製の滑り嵌め式カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールから作られる軟質密封カプセルが挙げられる。滑り嵌め式カプセルは、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、ならびに任意に安定剤との混和物中に活性成分を含有し得る。軟質カプセル中では、活性化合物は、適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が添加され得る。経口投与のための処方物はすべて、このような投与に適した投与量であるべきである。例えば頬投与のためには、組成物は、慣用的方法で処方される錠剤またはロゼンジの形態を採り得る。
吸入による投与のためには、本発明により用いるための化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適切なガスの使用を伴って、加圧式パックまたはネブライザーからのエーロゾル噴霧提供の形態で便利に送達される。加圧エーロゾルの場合、投与量単位は、測定量を送達するための弁を提供することにより決定され得る。吸入器または注入器中に用いるための例えばセラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物および適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの粉末ミックスを含入して処方され得る。化合物は、注射による、例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与のために処方され得る。注射用処方物は、単位投薬形態で、例えばアンプルで、または多重用量容器で、添加防腐剤を伴って、提供され得る。組成物は、油状または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳濁液のような形態をとり、処方剤、例えば沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤を含有し得る。
非経口投与のための薬学的処方物としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油状注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、あるいは合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、あるいはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増大する物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有し得る。任意に、懸濁液は、化合物の溶解度を増大して、高濃縮溶液の調製を可能にする適切な安定剤または作用物質も含有し得る。あるいは活性成分は、使用前は、適切なビヒクル、例えば滅菌発熱物質無含有水を用いる構造のために、粉末形態であり得る。
化合物は、例えば慣用的座薬基剤、例えばココアバターまたはその他のグリセリドを含有する直腸組成物、例えば座薬、または滞留浣腸中にも処方され得る。上記の処方物のほかに、化合物は、デポー製剤としても処方され得る。このような長期作用処方物は、移殖(例えば皮下または筋肉内)により、または筋内注射により投与され得る。したがって、例えば化合物は、適切な高分子または疎水性物質(例えば受容可能な油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは節約型(sparingly)可溶性誘導体として、例えば節約型可溶性塩として処方され得る。
本発明の疎水性化合物のための薬学的キャリアは、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水性相を含む共溶媒系である。共溶媒系は、VPD共溶媒系であり得る。VPDは、無水エタノール中の容積まで作られる3%w/vベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80および65%w/vポリエチレングリコール300の溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中の5%デキストロースで1:1希釈されたVPDからなる。この共溶媒系は、疎水性化合物を十分に溶解し、全身投与時に、自ら低毒性を生じる。天然では、共溶媒系の割合は、その溶解性および毒性の特徴を破壊することなく、かなり変更され得る。さらに共溶媒構成成分の同一性は変更され得る:例えば他の低毒性非極性界面活性剤がポリソルベート80の代わりに用いられ得る;ポリエチレングリコールの分画サイズは、変更され得る;他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンは、ポリエチレングリコールを置換し得る;そして他の糖類または多糖類がデキストロースに取って代わり得る。あるいは疎水性薬学的化合物のための他の送達系が用いられ得る。リポソームおよびエマルションは、疎水性薬剤のための送達ビヒクルまたはキャリアの公知の例である。ある種の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドも用いられ得るが、通常は、より大きい毒性という犠牲を払う。さらに化合物は、徐放系、例えば治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを用いて送達され得る。種々の型の徐放性物質が確立されており、当業者に周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に応じて、2〜3週間から100日間までに亘って化合物を放出し得る。治療薬の化学的性質および生物学的安定性に応じて、タンパク質またはその他の活性成分安定化のためのさらなる戦略が用いられ得る。
薬学的組成物はまた、適切な固体またはゲル相キャリアもしくは賦形剤も含み得る。このようなキャリアまたは賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリマー(例えばポリエチレングリコール)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の活性成分の多くは、薬学的適合性対イオンを有する塩として提供され得る。このような薬学的に受容可能な塩基付加塩は、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、そして無機塩基または有機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、アンモニア、トリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミン、二塩基性アミノ酸、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、トリエタノールアミン等との反応により得られる塩である。
本発明の薬学的組成物は、タンパク質またはペプチド抗原を伴う本発明のタンパク質またはその他の活性成分の複合体の形態であり得る。タンパク質および/またはペプチド抗原は、Bリンパ球およびTリンパ球の両方に、同時にシグナルを送達する。Bリンパ球は、それらの表面免疫グロブリンレセプターにより抗原に応答する。Tリンパ球は、MHCタンパク質による抗原の提示後、T細胞レセプター(TCR)を介して抗原に応答する。MHCおよび構造的に関連するタンパク質(宿主細胞上のクラスIおよびクラスIIのMHC遺伝子によりコードされるものを含む)は、Tリンパ球に対するペプチド抗原を提示するために役立つ。抗原構成成分はまた、精製MHC−ペプチド複合体単独、または、T細胞に直接シグナル伝達し得る同時刺激分子とともに供給され得る。あるいは、B細胞上の表面免疫グロブリンおよび他の分子を結合し得る抗体、ならびにT細胞上のTCRおよび他の分子を結合し得る抗体は、本発明の薬学的組成物と組合され得る。
本発明の薬学的組成物は、本発明のタンパク質が、他の薬学的に受容可能なキャリアのほかに、水溶液中のミセル、不溶性単層、液晶または積層として集塊形態で存在する両性作用物質、例えば脂質と組合されるリポソームの形態であり得る。リポソーム処方物のための適切な脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リソレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸等が挙げられるが、これらに限定されない。このようなリポソーム処方物の調製は、例えば米国特許第4,235,871号;第4,501,728号;第4,837,028号および第4,737,323号(これらの記載内容の全ては、参考として本明細書中に援用される)に開示されているように、当業者のレベルの範囲内である。
本発明の薬学的組成物中の本発明のタンパク質またはその他の活性成分の量は、処置される症状の性質および重症度、ならびに患者が受けていた以前の処置の性質に拠る。最終的には、担当医師が本発明のタンパク質またはその他の活性成分の量を決定し、それを用いて個々の患者を処置する。最初に、担当医師は、低用量の本発明のタンパク質またはその他の活性成分を投与して、患者の応答を観察する。最適治療的効果が患者に関して得られるまで、より高い用量の本発明のタンパク質またはその他の活性成分が投与され、その時点で、投与量はさらに増大されない。本発明の方法を実行するために使用される種々の薬学的組成物は、患者体重1kgあたり、約0.01μg〜約100mg(好ましくは、約0.1μg〜約10mg、さらに好ましくは約0.1μg〜約1mg)の本発明のタンパク質またはその他の活性成分を含有すべきである、と意図される。骨、軟骨、腱または靭帯の再生のために有用である本発明の組成物に関しては、処置方法は、局所的に、全身的に、あるいは移植片またはデバイスとして局在的に、組成物を投与することを包含する。投与される場合、本発明に用いるための治療用組成物は、もちろん、発熱物質無含有の生理学的に受容可能な形態である。さらに組成物は望ましくは、骨、軟骨または組織の損傷部位への送達のために、粘着形態で、封入されるかまたは注入され得る。局所投与は、創傷治癒および組織修復に適し得る。上記のような組成物中にも任意に含まれ得る本発明のタンパク質またはその他の活性成分以外の治療的に有用な作用物質は、代替的にまたはさらに、本発明の方法において組成物と同時にまたは逐次的に投与され得る。好ましくは、骨形成および/または軟骨形成のためには、組成物は、タンパク質含有組成物またはその他の活性成分含有組成物を骨および/または軟骨の損傷部位に送達して、骨および軟骨の発達のための構造を提供し得、そして最適には身体中に吸収され得るマトリクスを含み得る。このようなマトリクスは、他の移殖医療用途に現在用いられている物質で構成され得る。
マトリクス物質の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、美容的外観および界面特性に基づいている。組成物の特定の用途は、適切な処方物を限定する。組成物のための考え得るマトリクスは、生分解性の、化学的に規定される、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ無水物であり得る。その他の考え得る物質は、生分解性であり、生物学的に十分に限定される、例えば骨または皮膚コラーゲンである。さらなるマトリクスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリクス成分から構成される。その他の考え得るマトリクスは、非生分解性で、化学的に規定される、例えば焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミネートまたはその他のセラミックである。マトリクスは、上記の種類の物質のいずれかの組合せ、例えばポリ乳酸とヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンとリン酸三カルシウムから構成される。バイオセラミックは、組成が変更され、例えばカルシウム−アルミネート−ホスフェートであり得、そして孔サイズ、粒子サイズ、粒子形状および生分解性を変えるよう加工処理され得る。目下好ましいのは、150〜800μの範囲の直径を有する多孔性粒子の形態での、乳酸およびグリコール酸の50:50(モル重量)コポリマーである。いくつかの用途においては、金属イオン封鎖剤、例えばカルボキシメチルセルロースまたは自系血餅を利用して、マトリクスからタンパク質組成物が解離するのを防止することが有用である。
金属イオン封鎖剤の好ましいファミリーとしては、セルロース系物質(例えばアルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含む)であり、もっとも好ましいのは、カルボキシメチルセルロース(CMC)の陽イオン性塩である。その他の好ましい金属イオン封鎖剤としては、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、酸化ポリオキシエチレン、カルボキシビニルポリマーおよびポリ(ビニルアルコール)が挙げられる。本明細書中で有用な金属イオン封鎖剤の量は、総処方物重量に基づき、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%であり、これは、ポリマーマトリクスからのタンパク質の脱着を防止し、組成物の適切な取り扱いを提供するのに必要な量を表すが、前駆細胞がマトリクスに浸潤するのを防止されるほどには多くなく、それにより、前駆細胞の骨形成活性を助ける機会をタンパク質に提供する。さらに別の組成物では、本発明のタンパク質またはその他の活性成分は、骨および/または軟骨欠損、創傷または問題の組織の処置に有益であるその他の作用物質と組合され得る。これらの作用物質としては、種々の増殖因子、例えば上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−αおよびTGF−β)およびインスリン様増殖因子(IGF)が挙げられる。
治療用組成物はまた、目下、獣医学的用途のためにも有用である。特に家畜動物およびサラブレッド馬は、ヒトのほかに、本発明のタンパク質またはその他の活性成分によるこのような処置のための望ましい患者である。組織再生に用いられるタンパク質含有薬学的組成物の投薬レジメンは、タンパク質の作用を改変する種々の因子、例えば形成されるために所望される組織重量、損傷部位、損傷組織状態、創傷のサイズ、損傷組織の種類(例えば骨)、患者の年齢、性別および食事、任意の感染の重症度、投与時間ならびにその他の臨床的要因を考慮する担当医師により決定される。投薬量は、再構成に用いられるマトリクスの種類、および薬学的組成物中の他のタンパク質の含入に伴い変わり得る。例えば他の公知の増殖因子、例えばIGF I(インスリン様増殖因子I)の最終組成物への付加もまた、投薬量に影響を及ぼし得る。進行は、組織/骨成長および/または修復の周期的評価により、例えばX線、組織形態計測決定およびテトラサイクリン標識によりモニタリングされ得る。
本発明のポリヌクレオチドはまた、遺伝子療法のためにも用いられ得る。このようなポリヌクレオチドは、インビボでまたはエキソビボのいずれかで、哺乳動物被験体における発現のために細胞中に導入され得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、細胞または生物への核酸の導入(ウイルスベクターまたは裸DNAの形態(これらに限定されない))のための他の公知の方法によっても投与され得る。このような細胞に及ぼす所望の作用またはこのような細胞内の活性を増やすかまたは生成するために、細胞は、本発明のタンパク質の存在下でエキソビボにて培養され得る。処理した細胞は次に、治療的目的のためにインビボで導入され得る。
(4.9.3 有効投薬量)
本発明に用いるのに適した薬学的組成物としては、活性成分が、その意図された目的を達成するために有効量で含有される組成物が挙げられる。より具体的には、治療的有効量とは、処置されている被験体の発症を防止するために、または既存の症状を軽減するために有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書中に提供された詳細な開示にかんがみて、十分に当業者の能力の範囲内である。本発明の方法に用いられる任意の化合物に関しては、治療的有効用量は、適切なインビトロアッセイから最初に概算され得る。例えば用量は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために用いられ得る循環濃度範囲を達成するよう、動物モデルにおいて処方され得る。例えば用量は、細胞培養で決定した場合にIC50(すなわち、タンパク質の生物学的活性の半最大阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するよう、動物モデルにおいて処方され得る。このような情報を用いて、ヒトにおける有用用量を、より正確に決定し得る。
治療的有効用量とは、患者における症状の改善または生存の延長を生じる化合物の量をいう。このような化合物の毒性および治療的効力は、例えばLD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物において、標準的薬学的手法により決定され得る。毒性および治療的有効間の用量比は治療指数であり、それはLD50とED50との間の比として表され得る。高治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトに用いるための用量の範囲を処方するのに用いられ得る。このような化合物の投与量は、好ましくは、ED50を含む循環濃度の範囲内であって、毒性をほとんどまたはまったく伴わない。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路によって、この範囲内で変化し得る。的確な処方、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して、個々の医師により選択され得る(例えばFinglら、1975,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」Ch.1 p.1参照)。投薬量および間隔は、所望の作用または最小有効濃度(MEC)を保持するのに十分である活性部分の血漿レベルを提供するよう、個々に調整され得る。MECは各化合物について変わるが、インビトロデータから概算され得る。MECを達成するのに必要な投薬量は、個体の特性および投与経路に拠る。しかしながらHPLCアッセイまたはバイオアッセイを用いて、血漿濃度を決定し得る。
投薬間隔も、MEC値を用いて決定され得る。化合物は、時間の10〜90%に関して、好ましくは30〜90%、もっとも好ましくは50〜90%に関してMECを上回る血漿レベルを保持するレジメンを用いて投与されるべきである。局在的投与または選択的摂取の場合、薬物の有効局在濃度は、血漿濃度と関連し得ない。
本発明のポリペプチドまたはその他の組成物に関する例示的投薬量レジメンは、体重1kgあたり、毎日約0.01μg〜100mgの範囲であり、好ましい用量は、患者体重1kgあたり、毎日約0.1μg〜25mgであって、成人および小児で変わる。投薬は1日1回であり得るし、あるいは等価用量がより長いまたはより短い間隔で送達され得る。
投与される組成物の量は、もちろん、処置されている被験体に、被験体の年齢および体重、病気の重症度、投与方式、ならびに処方医の判断に拠る。
(4.9.4 包装)
組成物は、所望により、活性成分を含有する1つ以上の単位投薬形態を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス中に存在し得る。パックは、例えば金属またはプラスチック箔、例えばブリスター包装を含み得る。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与に関する使用説明書を添付され得る。適合性薬学的キャリア中に処方された本発明の化合物を含む組成物も調製され、適切な容器中に入れられて、指示条件の処置のためにラベルを貼られ得る。
(4.10 抗体)
(4.10.1 ヒト抗体)
完全ヒト抗体は、本質的に、CDRを含む軽鎖および重鎖の両方の全配列がヒト遺伝子から生じる抗体分子に関する。このような抗体は、本明細書中で「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」と呼ばれる。ヒトモノクローナル抗体は、トリオーマ技法;ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozborら、1983 Immunol Today 4:72参照)ならびにヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技法(Coleら、1985 In:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96参照)により調製され得る。ヒトモノクローナル抗体は本発明の実施に際して利用され、ヒトハイブリドーマを用いることにより(Coteら、1983.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2026−2030参照)、またはヒトB細胞をエプスタイン・バーウイルスを用いてインビトロで形質転換することにより(Coleら、1985 In:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96参照)産生され得る。
さらに、ヒト抗体は、さらに別の技法、例えばファージ表示ライブラリを用いても産生され得る(HoogenboomおよびWinter,J.Mol.Bio.,227:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol.,222:581(1991))。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活化されたマウス中にヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することにより、作製され得る。攻撃誘発(challenge)時に、ヒト抗体産生が観察されるが、これは、すべての点(遺伝子再配列、アセンブリーおよび抗体レパートリーを含む)において、ヒトで観察されたものに非常によく似ている。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号に、ならびにMarksら、(Bio/Technology 10,779−783(1992);Lonbergら、(Nature 368 856−859(1994));Morrison(Nature 368,812−13(1994));Fishwildら(Nature Biotechnology 14,845−51(1996));Neuberger(Nature Biotechnology 14,826(1996));ならびに、LonbergおよびHuszar(Intern.Rev.Immunol.13 65−93(1995))に記載されている。
ヒト抗体はさらに、抗原による攻撃誘発に応答して、動物の内因性抗体よりむしろ完全ヒト抗体を産生するよう改変されるトランスジェニック非ヒト動物を用いて産生され得る(PCT公開番号WO94/02602参照)。非ヒト宿主中で免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードする内因性遺伝子は無力にされており、ヒト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードする活性遺伝子座が宿主のゲノム中に挿入される。ヒト遺伝子は、例えば必要なヒトDNA配列を含有する酵母人工染色体を用いて、組み込まれる。次に所望の改変すべてを提供する動物は、完全より少ない改変相補体を含有する中間トランスジェニック動物を交雑することにより、子孫として得られる。このような非ヒト動物の好ましい実施形態はマウスであり、PCT公開番号WO96/33735およびWO96/34096に開示されているように、キセノマウス(Xenomouse)TMと呼ばれる。この動物は、完全ヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。抗体は、例えばポリクローナル抗体の調製物として、当該免疫原を用いた免疫後の動物から、あるいはモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのような動物由来の不死化B細胞から、直接得られ得る。さらに、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコードする遺伝子が回収され、発現されて、抗体を直接得るか、あるいは抗体のアナログ、例えば一本鎖Fv分子を得るためにさらに改変され得る。
内因性免疫グロブリン重鎖の発現を欠くマウスとして例示される非ヒト宿主を産生する方法の一例は、米国特許第5,939,598号に開示されている。それは、遺伝子座の再配列を防止し、再配列免疫グロブリン重鎖遺伝子座の転写体の形成を防止するために胚性幹細胞中の少なくとも1つの内因性重鎖遺伝子座からJセグメント遺伝子を欠失させる工程を包含する方法により得られるが、この欠失は、選択マーカーをコードする遺伝子を含有する標的化ベクターにより、そしてその体細胞および生殖細胞が選択マーカーをコードする遺伝子を含有するトランスジェニックマウスを胚性幹細胞から生じることにより実行される。
当該抗体、例えばヒト抗体の産生方法は、米国特許第5,916,771号に開示されている。それは、重鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを、培養中の一哺乳動物宿主細胞中に導入し、軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを別の哺乳動物宿主細胞中に導入して、2つの細胞を融合し、ハイブリッド細胞を形成することを包含する。ハイブリッド細胞は、重鎖および軽鎖を含有する抗体を発現する。
この手法におけるさらなる改善において、免疫原上の臨床的に関連するエピトープを同定するための方法、ならびに高親和性で関連エピトープと免疫特異的に結合する抗体を選択するための相関的方法は、PCT公開番号WO 99/53049に開示されている。
(4.10.2 FABフラグメントおよび一本鎖抗体)
本発明に従って、本発明の抗原タンパク質に特異的な一本鎖抗体の産生のための技法が適合され得る(例えば米国特許第4,946,778号参照)。さらに、タンパク質あるいはその誘導体、フラグメント、アナログまたは相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速且つ有効な同定を可能にするための方法が、Fab発現ライブラリの構築のために適合され得る(例えばHuseら、1989 Science 246:1275−1281参照)。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントは、当該分野で公知の技法により産生され、その例としては、(i)抗体分子のペプシン消化により産生されるF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を低減することにより生成されるFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤による抗体分子の処理により生成されるFabフラグメント;ならびに(iv)Fvフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
(4.10.3 二重特異性抗体)
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトまたはヒト化抗体である。本発明の場合、結合特異性の1つは、本発明の抗原性タンパク質に対するものである。第二の結合標的は、任意のその他の抗原であり、有益には、細胞表面タンパク質、あるいはレセプターまたはレセプターサブユニットである。
二重特異性抗体を製造する方法は、当該分野で公知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づいており、この場合、2つの重鎖は異なる特異性を有する(MilsteinおよびCuello,Nature,305:537−539(1983))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の無作為組合せのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の考え得る混合物を生成し、このうち1つだけが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常はアフィニティークロマトグラフィー過程により成し遂げられる。同様の手法は、WO93/08829(1993年5月13日公開)に、ならびにTrauneckerら、1991 EMBO J.,10:3655−3659に開示されている。
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合され得る。融合は好ましくは、ヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインのものである。少なくとも1つの融合において存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する一次重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合、および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは別々の発現ベクター中に挿入されて、適切な宿主生物体中に同時トランスフェクトされる。二重特異性抗体のさらなる詳細に関しては、例えばSureshら、Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。
WO96/27011に記載された別のアプローチによれば、抗体分子の対間の界面は、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にするよう操作され得る。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、一次抗体分子の界面からの1つ以上の小さいアミノ酸側鎖は、より大きい側鎖で置換される(例えばチロシンまたはトリプトファン)。大型アミノ酸側鎖をより小さいものと取り替えることにより、大型側鎖と同一のまたは類似のサイズの代償性「空洞」が二次抗体分子の界面に作られる(例えばアラニンまたはトレオニン)。これは、他の望ましくない最終産物、例えばホモ二量体を上回るヘテロ二量体の収量を増大するためのメカニズムを提供する。
二重特異性抗体は、全長抗体または抗体フラグメントとして調製され得る(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)。抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成するための技法は、文献中に記載されている。例えば二重特異性抗体は、キメラ結合を用いて調製され得る。Brennanら、Science 229:81(1985)は、無傷抗体がタンパク質分解的に切断されて、F(ab’)2フラグメントを生成する手法を記載する。これらのフラグメントは、ジチオール錯化剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元されて、隣接ジチオールを安定化し、分子間ジスルフィド形成を防止する。生成されたFab’フラグメントは次に、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に転化される。Fab’−TNB誘導体の1つは次に、メルカプトエチルアミンを用いた還元によりFab’−チオールに再転化され、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合されて、二重特異性抗体を生成する。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化のための作用物質として用いられ得る。
さらに、Fab’フラグメントは大腸菌から直接回収されて、化学的に結合され、二重特異性抗体を生成し得る。Shalabyら、J.Exp.Med.175:217−225(1992)は、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の産生を記載する。各Fab’フラグメントは大腸菌から別々に分泌され、インビトロで特異的化学結合に供され、二重特異性抗体を生成する。このように生成された二重特異性抗体は、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞と結合し、ヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性を誘発する。
組換え細胞培養から直接二重特異性抗体フラグメントを製造および単離するための種々の技法も記載されている。例えば二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生された(Kostelnyら、J.Immunol.148(5):1547−1553(1992))。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に連結された。抗体ホモ二量体は、ヒンジ領域で還元されて単量体を形成し、次に再酸化されて、抗体へテロ二量体を形成する。この方法は、抗体ホモ二量体の産生のためにも利用され得る。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)により記載された「ジアボディ(diabody)」技法は、二重特異性抗体フラグメントの作製のための代替的メカニズムを提供した。フラグメントは、短すぎて同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にしないリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、一フラグメントのVHおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的VLおよびVHドメインと対合させられ、それにより2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用による二重特異性抗体フラグメントの作製のための別の戦略も報告されている(Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)参照)。
2より大きい結合価を有する抗体が意図される。例えば三重特異性抗体が調製され得る(Tuttら、J.Immunol.147:60(1991))。
例示的二重特異性抗体は、2つの異なるエピトープと結合し得、そのうち少なくとも1つは、本発明のタンパク質抗原で生じる。あるいは免疫グロブリン分子の抗抗原性腕(arm)は、特定抗原を発現する細胞に細胞防御メカニズムを集中させるよう、白血球上のトリガリング分子、例えばT細胞レセプター分子(例えばCD2、CD3、CD28またはB7)、あるいはIgGに対するFcレセプター(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)と結合する腕と組合せされ得る。二重特異性抗体は、特定抗原を発現する細胞に細胞毒性作用物質を向けるためにも用いられ得る。これらの抗体は抗原結合腕および、細胞毒性作用物質または放射性核種キレート化剤、例えばEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAを結合する腕を保有する。別の当該二重特異性抗体は、本明細書中に記載されたタンパク質抗原を結合し、さらに組織因子(TF)を結合する。
(4.10.4 ヘテロ結合抗体)
ヘテロ結合抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロ結合抗体は、2つの共有的に連結された抗体からなる。このような抗体は、例えば望ましくない細胞に対して(米国特許第4,676,980号)、そしてHIV感染の処置のために(WO 91/00360;WO 92/200373;EP 03089)、免疫系細胞を標的化することが提唱されている。抗体は、合成タンパク質化学における公知の方法、例えば架橋剤を包含する方法を用いてインビトロで調製され得ることが意図される。例えば免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用い、またはチオエーテル結合を形成することにより、構築され得る。この目的のための適切な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート(mercaptobutyrimidate)、ならびに例えば米国特許第4,676,980号に開示されたものが挙げられる。
(4.10.5 エフェクター操作(engineering))
例えば癌の処置に際しての抗体の有効性を強化するよう、エフェクター機能に関して本発明の抗体を改変することは望ましくあり得る。例えばシステイン残基がFc領域に導入され、それによりこの領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にし得る。このように生成されるホモ二量体抗体は、内在化能力を改善し、かつ/または相補体媒介性細胞殺傷および抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を増大し得た。Caronら、J.Exp Med.,176:1191−1195(1992)およびShopes,J.Immunol.,148:2918−2922(1992)参照。抗腫瘍活性強化を示すホモ二量体抗体も、Wolffら、Cancer Research,53:2560−2565(1993)に記載されているようなヘテロ二機能性架橋剤を用いて調製され得る。あるいは二元性Fc領域を有し、それにより相補的溶解およびADCC能力強化を示し得る抗体が、操作され得る(Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design,3:219−230(1989)参照)。
(4.10.6 免疫複合体)
本発明は、細胞毒性作用物質、例えば化学療法薬、毒素(例えば細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的活性毒素またはそのフラグメント)または放射性同位元素(すなわち放射性結合体)と結合された抗体を含む免疫結合体にも関する。
このような免疫結合体の生成に有用な化学療法薬は、上記されている。用いられ得る酵素的活性毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシンタンパク質、ヤマゴボウ科のフィトラカアメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリアオフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリコトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。種々の放射性核種は、放射性結合抗体の産生のために利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reが挙げられる。
抗体および細胞毒性作用物質の結合体は種々の二機能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(例えば塩酸ジメチルアジピミデート(HCL))、活性エステル(例えばスベリン酸ジスクシニミジル)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えばビス−(pジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトリエン2,6−ジイソシアネート)およびビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を用いて作られる。例えばリシン免疫毒素は、Vitettaら、Science,238:1098(1987)に記載されたように調製され得る。炭素−14標識1−イソチオシアネートベンジル−3−メチルジエチレントリアミン四酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種と抗体との結合のための例示的キレート化剤である(WO94/11026参照)。
別の実施形態では、抗体は、腫瘍プレ標的化における利用のために「レセプター」(例えばストレプタビジン)と結合され得るが、この場合、抗体−レセプター結合体は患者に投与され、その後、清掃剤を用いて循環から非結合結合体が除去され、次に「リガンド」(例えばアビジン)が投与されて、これが次に細胞毒性作用物質に結合される。
(4.11 コンピューター読取り可能配列)
この実施形態の一用途において、本発明のヌクレオチド配列は、コンピューター読取り可能媒体上に記録され得る。本明細書中で用いる場合、「コンピューター読取り可能媒体」とは、コンピューターにより直接読み取られ、アクセスされ得る任意の媒体を指す。このような媒体としては、磁気保存媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク保存媒体および磁気テープ;光学的保存媒体、例えばCD−ROM;電気的保存媒体、例えばRAMおよびROM;ならびにこれらの部類のハイブリッド、例えば磁気/光学保存媒体が挙げられるが、これらに限定されない。現在公知のコンピューター読取り可能媒体のいずれかを用いて、本発明のヌクレオチド配列をその上に記録したコンピューター読取り可能媒体を含む製品を作り得る方法を、当業者は容易に理解し得る。本明細書中で用いる場合、「記録された」とは、コンピューター読取り可能媒体上に情報を保存するための方法を指す。本発明のヌクレオチド配列情報を含む製品を生成するために、コンピューター読取り可能媒体上に情報を記録するための現在公知の方法のいずれかを、当業者は容易に適合し得る。
本発明のヌクレオチド配列をその上に記録したコンピューター読取り可能媒体を作製するための種々のデータ保存構造が、当業者に利用可能である。データ保存構造の選択は一般に、保存情報にアクセスするために選択される手段に基づいている。さらに、種々のデータプロセッサープログラムおよびフォーマットを用いて、コンピューター読取り可能媒体上に本発明のヌクレオチド配列情報を保存し得る。配列情報は、市販のソフトウエア、例えばワードパーフェクトおよびマイクロソフトワードでフォーマットされたワードプロセシングテキストファイルで表されるか、またはASCIIファイルの形態で表され、データベースアプリケーション、例えばDB2、Sybase、Oracle等に保存され得る。本発明のヌクレオチド配列情報をその上に記録したコンピューター読取り可能媒体を得るために、任意数のデータプロセッサー体系化フォーマット(例えばテキストファイルまたはデータベース)を、当業者は容易に適合し得る。
ヌクレオチドの配列の配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19もしくは26またはその代表的フラグメント;あるいはコンピューター読取り可能形態で配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のヌクレオチド配列のいずれかと少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列のいずれかを提供することにより、当業者は、種々の目的のために配列情報に日常的にアクセスし得る。コンピューター読取り可能媒体中に提供される配列情報に当業者がアクセスできるコンピューターソフトウエアが、公的に利用可能である。以下の例は、Sybaseシステム上でBLAST(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990))およびBLAZE(Brutlagら、Comp.Chem.17:203−207(1993))検索アルゴリズムを実行するソフトウエアを用いて、核酸配列内のオープンリーディングフレーム(ORF)を同定する方法を実証する。このようなORFはタンパク質コードフラグメントであり得、そして商業的に重要なタンパク質、例えば発酵反応に用いられる酵素を生産するのに、ならびに商業的に有用な代謝産物の生産に有用であり得る。
本明細書中で用いる場合、「コンピューターベースのシステム」とは、本発明のヌクレオチド配列情報を分析するために用いられるハードウエア手段、ソフトウエア手段、ならびにデータ保存手段を指す。本発明のコンピューターベースのシステムの最小ハードウエア手段は、中央処理装置(CPU)、入力手段、出力手段およびデータ保存手段を含む。一般に利用可能なコンピューターベースシステムのいずれもが本発明で用いるために適していることを当業者は容易に理解できるであろう。上記のように、本発明のコンピューターベースシステムは、本発明のヌクレオチド配列をその中に保存したデータ保存手段、ならびに検索手段を支持および実行するために必要なハードウエア手段およびソフトウエア手段を含む。本明細書中で用いる場合、「データ保存手段」とは、本発明のヌクレオチド配列情報を保存し得るメモリ、または本発明のヌクレオチド配列情報をその上に記録した製品にアクセスし得るメモリアクセス手段を指す。
本明細書中で用いる場合、「検索手段」とは、標的配列または標的構造モチーフをデータ保存手段内に保存された配列情報と比較するためにコンピューターベースシステム上で実行される1つ以上のプログラムを指す。検索手段を用いて、特定の標的配列または標的モチーフと一致する公知の配列のフラグメントまたは領域を同定する。種々の公知のアルゴリズムが公的に開示されており、検索手段を実行するための種々の市販のソフトウエアが存在し、本発明のコンピューターベースシステムで用いられ得る。このようなソフトウエアの例としては、Smith−Waterman、MacPattern(EMBL)、BLASTNおよびBLASTA(NPOLYPEPTIDEIA)が挙げられるが、これらに限定されない。相同性検索を実行するために利用可能なアルゴリズムまたは実行ソフトウエアパッケージのいずれか1つが、本発明のコンピューターベースシステムに用いるために適合され得ることを当業者は容易に認識できよう。本明細書中で用いる場合、「標的配列」は、6つ以上のヌクレオチドあるいは2つ以上のアミノ酸の任意の核酸またはアミノ酸配列であり得る。データベース中に無作為に生じる場合に、標的配列が長いほど少ない標的配列が存在することを当業者は容易に認識できるであろう。標的配列のもっとも好ましい配列長は、約10〜100アミノ酸または約30〜300ヌクレオチド残基である。しかしながら、商業的に重要なフラグメント、例えば遺伝子発現およびタンパク質プロセシングに関与する配列フラグメントの検索は、より短い長さを有し得ることは十分認識される。
本明細書中で用いる場合、「標的構造的モチーフ」または「標的モチーフ」とは、標的モチーフのフォールディング時に形成される三次元立体配置に基づいて配列が選択される任意の合理的に選択される配列または配列の組合せを指す。当該分野で公知の種々の標的モチーフが存在する。タンパク質標的モチーフとしては、酵素活性部位およびシグナル配列が挙げられるが、これらに限定されない。核酸標的モチーフとしては、プロモーター配列、ヘアピン構造および誘導可能発現エレメント(タンパク質結合配列)が挙げられるが、これらに限定されない。
(4.12 三重螺旋形成)
さらに、本発明のフラグメントは、広範に記載されたように、三重螺旋形成あるいはアンチセンスDNAまたはRNAにより遺伝子発現を制御するために用いられ得、この両方法は、ポリヌクレオチド配列のDNAまたはRNAとの結合に基づいている。これらの方法に用いるのに適したポリヌクレオチドは、通常は20〜40塩基の長さであり、転写に関与する遺伝子の領域(三重螺旋−Leeら、Nucl.Acids Res.6:3073(1979);Cooneyら、Science 15241:456(1988);およびDervanら、Science 251:1360(1991)参照)と、あるいはmRNAそれ自体(アンチセンス−Olmno,J.Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988))と相補的であるよう設計される。三重螺旋形成はDNAからのRNA転写の停止(shut off)を最適にもたらすが、一方、アンチセンスRNAハイブリダイゼーションはポリペプチドへのmRNA分子の翻訳を遮断する。両技法は、モデル系において有効であることが実証されている。本発明の配列中に含入される情報は、アンチセンスまたは三重螺旋オリゴヌクレオチドの設計のために必要である。
(4.13 診断アッセイおよびキット)
本発明はさらに、適切な標識と必要に応じて結合されるかまたは別の方法で会合された本発明の核酸プローブまたは抗体を用いて、試験試料中の本発明のORFのうちの1つ、またはその相同体の存在または発現を同定するための方法を提供する。
概して、本発明のポリヌクレオチドの検出方法は、複合体を形成するために十分な期間、ポリヌクレオチドと結合し、それと複合体を形成する化合物と試料とを接触させること、および複合体が検出される場合、本発明のポリヌクレオチドが試料中に検出されるよう、複合体を検出することを含み得る。このような方法はまた、試料を、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、このような条件下で本発明のポリヌクレオチドとアニーリングする核酸プライマーと接触させること、およびポリヌクレオチドが増幅される場合、本発明のポリヌクレオチドが試料中に検出されるよう、アニーリング化ポリヌクレオチドを増幅することも含み得る。
概して、本発明のポリペプチドの検出方法は、複合体を形成するために十分な期間、ポリペプチドと結合し、それと複合体を形成する化合物と試料とを接触させること、および複合体が検出される場合、本発明のポリペプチドが試料中に検出されるよう、複合体を検出することを含み得る。
詳細に述べると、このような方法は、本発明の1つ以上の抗体、あるいは1つ以上の核酸プローブとともに試験試料をインキュベートすること、および試験試料中の成分と核酸プローブまたは抗体の結合に関してアッセイすることを含む。
核酸プローブまたは抗体を試験試料とともにインキュベートするための条件は、変化する。インキュベーション条件は、アッセイに用いられるフォーマット、用いられる検出方法、ならびにアッセイに用いられる核酸プローブまたは抗体の種類および性質に依存する。一般的に利用可能なハイブリダイゼーション、増幅または免疫学的アッセイフォーマットのいずれか1つが、本発明の核酸プローブまたは抗体を用いるよう容易に適合され得ることを当業者は認識する。このようなアッセイの例は、Chard,T.,An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1986); Bullock,G.R.ら,Techniques in Immunocytochemistry,Academic Press,Orlando,FL Vol.1(1982),Vol.2(1983),Vol.3(1985); Tijssen,P.,Practice and Theory of immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1985)に見出され得る。本発明の試験試料としては、細胞、タンパク質または細胞の膜抽出物、あるいは生物学的流体、例えば痰、血液、血清、血漿または尿が挙げられる。上記の方法に用いられる試験試料は、アッセイフォーマット、検出方法の性質、ならびにアッセイされる試料として用いられる組織、細胞または抽出物によって変わる。タンパク質抽出物または細胞の膜抽出物の調製方法は当該分野で周知であり、利用される系と適合性がある試料を得るよう、容易に適合され得る。
本発明の別の実施形態では、本発明のアッセイを実行するために必要な試薬を含有するキットが提供される。具体的には、本発明は、(a)本発明のプローブまたは抗体のうちの1つを含む第一容器;ならびに(b)洗浄試薬、結合プローブまたは抗体の存在を検出し得る試薬のうちの1つ以上を含む1つ以上の他の容器、を含む1つ以上の容器を、ぴったり閉じ込めて収容するためのコンパートメントキットを提供する。
詳述すると、コンパートメントキットは、試薬が別々の容器に含入される任意のキットを包含する。このような容器は、小ガラス容器、プラスチック容器、あるいはプラスチックまたは紙のストリップを包含する。このような容器は、試料および試薬が交差汚染されないよう、そして各容器の作用物質または溶液が、ある区画から別の区画に定量的に添加され得るよう、ある区画から別の区画に試薬を効率的に移せるようにする。このような容器は、試験試料を受容する容器、アッセイに用いられる抗体を含有する容器、洗浄試薬(例えばリン酸塩緩衝化生理食塩水、Tris緩衝液等)を含有する容器、ならびに結合抗体またはプローブを検出するために用いられる試薬を含有する容器を包含する。検出試薬の種類としては、標識化核酸プローブ、標識化二次抗体が挙げられ、あるいは代替物では、一次抗体が標識される場合、標識化抗体と反応し得る酵素的または抗体結合試薬が挙げられる。本発明の開示されたプローブおよび抗体は、当該分野で周知である確立されたキットフォーマットの1つに容易に組み入れられ得ることを当業者は容易に認識するであろう。
(4.14 医学的画像処理)
本発明の新規なポリペプチドおよび結合パートナーは、本発明の分子を発現する部位の医学的画像処理に有用である(この場合、例えば本発明のポリペプチドは炎症または感染の部位を画像処理するための、免疫応答に関与する)(例えば米国特許第5,413,778号(Kunkelら)参照)。このような方法は、標識剤またはイメージング剤の化学的結合、被験体への薬学的に受容可能なキャリア中での標識化ポリペプチドの投与、ならびに標的部位でのインビボでの標識化ポリペプチドの画像処理を含む。
(4.15 スクリーニングアッセイ)
本発明の単離タンパク質およびポリヌクレオチドを用いて、本発明はさらに、配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26で記述されるヌクレオチド配列のいずれかに対応するORFによりコードされるポリペプチドに結合するか、あるいは核酸によりコードされるポリペプチドの特定のドメインと結合する作用物質を得、そして、同定する方法を提供する。詳述すると、上記の方法は、
(a)本発明のORFによりコードされる単離タンパク質または本発明の核酸と、作用物質とを接触させる工程、および
(b)作用物質が上記タンパク質または上記核酸に結合するか否かを決定する工程を含む。
したがって、概して、本発明のポリヌクレオチドと結合する化合物を同定するためのこのような方法は、ポリヌクレオチド/化合物複合体を形成するのに十分な時間、本発明のポリヌクレオチドと化合物とを接触させること、およびポリヌクレオチド/化合物複合体が検出される場合、本発明のポリヌクレオチドに結合する化合物が同定されるよう、複合体を検出することを含み得る。
したがって、概して同様に、本発明のポリペプチドに結合する化合物を同定するためのこのような方法は、ポリペプチド/化合物複合体を形成するのに十分な時間、本発明のポリペプチドと化合物とを接触させること、およびポリペプチド/化合物複合体が検出される場合、本発明のポリヌクレオチドに結合する化合物が同定されるよう、複合体を検出することを含み得る。
本発明のポリペプチドと結合する化合物を同定する方法はまた、ポリペプチド/化合物複合体(ここで、複合体は細胞中でのレセプター遺伝子配列の発現を駆動する)を形成するのに十分な時間、細胞中の本発明のポリペプチドと化合物とを接触させること、およびポリペプチド/化合物複合体が検出される場合、本発明のポリペプチドに結合する化合物が同定されるよう、レセプター遺伝子配列発現を検出することによって複合体を検出することを含み得る。
このような方法により同定される化合物としては、本発明のポリペプチドの活性を調整する(すなわち、化合物の非存在下で観察される活性に対して、その活性を増大または低減する)化合物が挙げられ得る。あるいはこのような方法により同定される化合物としては、本発明のポリヌクレオチドの発現を調整する(すなわち、化合物の非存在下で観察される発現レベルに対して、発現を増大または低減する)化合物が挙げられ得る。化合物、例えば本発明の方法により同定される化合物は、活性/発現を調整するそれらの能力に関して、当業者に周知の標準アッセイを用いて試験され得る。
上記のアッセイにおいてスクリーニングされる作用物質は、ペプチド、炭水化物、ビタミン誘導体またはその他の薬学的作用物質であり得るが、これらに限定されない。作用物質は、無作為に選択およびスクリーニングされるか、タンパク質モデリング技法を用いて合理的に選択もしくは設計され得る。
無作為スクリーニングに関しては、作用物質、例えばペプチド、炭水化物、薬学的作用物質等は、無作為に選択され、そして本発明のORFによりコードされるタンパク質と結合するそれらの能力に関してアッセイされる。あるいは作用物質は、合理的に選択されるかまたは設計され得る。本明細書中で用いる場合、作用物質は、特定のタンパク質の立体配置に基づいて選択される場合に「合理的に選択または設計される」といわれる。例えば合理的に設計された抗ペプチドペプチド(例えばHurbyら、Application of Synthetic Peptides: Antisense Peptides、「In Synthetic Peptides,A User’s Guide,W.H.Freeman」NY(1992),pp.289−307およびKaspczakら、Biochmistry 28: 9230−8(1989)参照)、あるいは薬学的作用物質等を生成するために、特定のペプチド配列と結合し得るペプチド、薬学的作用物質等を生成するための一般に利用可能な手法を、当業者は容易に適応し得る。
上記のほかに、本発明のある種類の作用物質は、広範に記載されているように、本発明のORFまたはEMFのうちの1つとの結合により遺伝子発現を制御するために用いられ得る。上記のように、このような作用物質は、無作為にスクリーニングされ、あるいは合理的に設計され/選択され得る。ORFまたはEMFの標的化は、当業者が、配列特異的またはエレメント特異的作用物質を設計し、発現制御のために同一EMFに応答する単一ORFまたは多重ORFの発現を調整するのを可能にする。DNA結合作用物質の一クラスは、DNAまたはRNAとハイブリダイズするかまたはそれとの結合により三重螺旋形成をなす塩基性残基を含有する作用物質である。このような作用物質は、古典的ホスホジエステル、リボ核酸骨格に基づくか、あるいは種々のスルフヒドリルまたは塩基結合能力を有する高分子誘導体であり得る。
これらの方法に用いるのに適した作用物質は、通常は、20〜40塩基を含有し、転写に関与する遺伝子の領域(三重螺旋−Leeら、Nucl.Acids Res.6: 3073(1979); Cooneyら、Science 241: 456(1988);およびDervanら、Science 251: 1360(1991)参照)、あるいはmRNAそれ自体(アンチセンス−Okano,J.Neurochem.56: 560(1991); Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988))と相補的であるよう設計される。三重螺旋形成はDNAからのRNA転写の停止を最適にもたらすが、一方、アンチセンスRNAハイブリダイゼーションはポリペプチドへのmRNA分子の翻訳を遮断する。両技法は、モデル系において有効であることが実証されている。本発明の配列中に含入される情報は、アンチセンスまたは三重螺旋オリゴヌクレオチドおよびその他のDNA結合作用物質の設計のために必要である。
本発明のORFのうちの1つによりコードされるタンパク質に結合する作用物質は、診断薬として用いられ得る。本発明のORFのうちの1つによりコードされるタンパク質と結合する作用物質は、薬学的組成物を生成するために、公知の技法を用いて処方され得る。
(4.16 プローブとしての核酸の使用)
本発明の別の態様は、天然ヌクレオチド配列とハイブリダイズし得るポリペプチド特異的核酸ハイブリダイゼーションプローブを提供することである。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、ヌクレオチド配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のいずれかに由来し得る。対応する遺伝子は限定数の組織内でのみ発現されるため、ヌクレオチド配列番号1〜2、4、8、10、12、14、16〜17、19または26のいずれかに由来するハイブリダイゼーションプローブは、試料中のこのような組織の細胞型のRNAの存在の指標として用いられ得る。
任意の適切なハイブリダイゼーション技法、例えばインサイチュハイブリダイゼーションが用いられ得る。米国特許第4,683,195号および同第4,965,188号に記載されたようなPCRは、ヌクレオチド配列に基づいたオリゴヌクレオチドに関する別の用途を提供する。PCRに用いられるこのようなプローブは組換え体起源のものであり、化学的に合成され得るし、あるいは両方の混合物であり得る。プローブは、同一配列の検出のための別個のヌクレオチド配列、あるいは密接に関連したゲノム配列の同定のための考え得る配列の縮重プールを含む。
核酸のための特異的ハイブリダイゼーションプローブを産生するためのその他の手段としては、mRNAプローブの産生のためのベクター中での核酸配列のクローニングが挙げられる。このようなベクターは当該分野で公知であり、市販されており、そして適切なRNAポリメラーゼ、例えばT7またはSP6RNAポリメラーゼ、ならびに適切な放射性標識化ヌクレオチドの付加により、インビトロでRNAプローブを合成するために用いられ得る。ヌクレオチド配列は、それらのそれぞれのゲノム配列をマッピングするためのハイブリダイゼーションプローブを構築するために用いられ得る。本明細書中に提供されたヌクレオチド配列は、周知の遺伝子および/または染色体マッピング技法を用いて、染色体または染色体の特定領域にマッピングされ得る。これらの技法としては、インサイチュハイブリダイゼーション、公知の染色体マーカーに対する連鎖分析、公知の染色体に特異的なライブラリまたはフローソーティングした染色体調製物を用いたハイブリダイゼーションスクリーニング等が挙げられる。染色体展開の蛍光インサイチュハイブリダイゼーションの技法は、特に、Vermaら(1988) Human Chromosomes: A Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New York NYに記載されている。
染色体調製物の蛍光インサイチュハイブリダイゼーションおよびその他の物理的染色体マッピング技法は、付加的遺伝子地図データと相関され得る。遺伝子地図データの例は、1994 Genome Issue of Science(265:1981 f)に見出され得る。物理的染色体地図上の核酸の位置と特定疾患(または特定疾患に対する素因)との相関は、その遺伝病と関連するDNAの領域の範囲を定める助けとなり得る。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常、保因者または罹患個体間の遺伝子配列の差を検出し得る。
(4.17 支持体結合オリゴヌクレオチドの調製)
オリゴヌクレオチド、すなわち小核酸セグメントは、例えば自動オリゴヌクレオチド合成機を用いて一般的に実行されるように、化学的手段によりオリゴヌクレオチドを直接合成することにより、容易に調製され得る。
支持体結合オリゴヌクレオチドは、任意の適切な支持体、例えばガラス、ポリスチレンまたはテフロン(登録商標)を用いて、当業者に公知の方法のいずれかにより調製され得る。一戦略は、標準合成機により合成されたオリゴヌクレオチドを的確にスポットすることである。固定化は、受動吸収を用いて(Inouye & Hondo,1990 J.Clin Microbiol 28(6)1462−72)、UV光を用いて(Nagataら、1985;Dahlenら、1987; Morrissey & Collins,Mol.Cell Probes 1989 3(2)189−207)、あるいは塩基性改変化DNAの共有結合により(Kellerら、1988;1989)、達成され得る(これらの記載内容はすべて、具体的に本明細書中に援用される)。
用いられ得る別の戦略は、リンカーとしての強力なビオチン−ストレプトアビジン相互作用の使用である。例えばBroude et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(8)3072−6は、ビオチニル化プローブの使用を記載するが、これらは、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズ上に固定された二重鎖プローブである。ストレプトアビジン被覆ビーズは、Dynal,Osloから購入され得る。もちろん、この同一結合化学は、ストレプトアビジンを任意の表面に被覆するのに適用可能である。ビオチニル化プローブは、種々の供給元、例えばOperon Technologies(Alameda,CA)から購入され得る。
Nunc Laboratories(Naperville,IL)も、用いられ得る適切な物質を販売している。DNAがコバリンク(Covalink)NHと呼ばれるマイクロウエル表面に共有結合され得る方法を、Nunc Laboratoriesは開発した。コバリンクNHは、さらなる共有的カップリングのための架橋頭として役立つ二次アミノ基(>NH)をグラフトされたポリスチレン表面である。コバリンクモジュール(CovaLink Modules)は、Nunc Laboratoriesから購入可能である。DNA分子は、ホスホルアミデート結合によりもっぱら5’末端でコバリンクに結合されて、1pmolより多いDNAの固定化を可能にする(Rasmussenら、(1991)Anal Biochem 198(1)138−42)。
5’末端でのDNA分子の共有結合のためのコバリンクNHストリップの使用が記載されている(Rasmussenら、1991)。この技術においては、ホスホルアミデート結合が用いられる(Chuら、1983 Nucleic Acids 11(18) 6513−29)。これは、単一共有結合のみを用いる固定化が好ましい場合に、有益である。ホスホルアミデート結合は、2nm長スペーサー腕を介してポリスチレン表面に共有的にグラフトされたスペーサー腕の末端に位置するコバリンクNH二次アミノ基にDNAを結合する。ホスホルアミデート結合によりコバリンクNHにオリゴヌクレオチドを連結するために、オリゴヌクレオチド末端は5’末端リン酸基を有さねばならない。ビオチンがコバリンクに共有結合され、次にプローブを結合するためにストレプトアビジンが用いられることはおそらくは可能である。
より具体的には、連結方法は、水(7.5ng/ul)中にDNAを溶解し、95℃で10分間変性させて、氷上で10分間冷却することを含む。氷冷0.1M 1メチルイミダゾール、pH7.0(1−MeIm7)が次に添加されて、最終濃度10mMの1−MeIm7とされる。次にssDNA溶液がコバリンクNHストリップ(75ul/ウエル)中に分配されて、氷上に放置される。
10mMの1−MeIm7中に溶解されたカルボジイミド0.2M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)が新たに作られ、25ulが1ウエル当たり添加される。ストリップは、50℃で5時間インキュベートされる。インキュベーション後、例えばNunc−Immuno洗浄液を用いてストリップは洗浄される:まずウエルは3回洗浄され、次に、洗浄液に5分間浸漬され、そして最後に3回洗浄される(洗浄溶液中には、0.4NのNaOH、0.25%SDSが存在し、50℃に加熱される)。
本発明とともに用いるためのさらに適切な方法は、PCT特許出願WO90/03382(Southern & Maskos)(参考として本明細書中に援用される)に記載されたものであることが意図される。支持体に結合されたオリゴヌクレオチドのこの調製方法は、支持体により保有される脂肪族ヒドロキシル基への共有的ホスホジエステル結合により、リン酸基を介してヌクレオチド3’−試薬を結合させることを含む。次にオリゴヌクレオチドが、支持化ヌクレオシド上で合成され、支持体からオリゴヌクレオチドを切断しない標準条件下で、保護基が合成オリゴヌクレオチド鎖から除去される。適切な試薬としては、ヌクレオシドホスホルアミダイトおよびヌクレオシド水素ホスホレートが挙げられる。
DNAプローブアレイの調製物のためのDNAプローブの調製のためのオンチップ戦略が用いられ得る。例えば、Fodorら(1991)Science 251(4995)767−73(参考として本明細書中に援用される)に記載されているように、アドレス可能なレーザー活性化リン脱保護化が、直接ガラス表面上でのオリゴヌクレオチドの化学合成に用いられ得る。プローブはまた、Van Ness et al.(1991)Nucleic Acids Res.19(12) 3345−50に記載されているように、ナイロン支持体上にも固定され得るし、あるいはDuncan & Cavalier(1988)Anal Biochem 169(1)104−8の方法を用いてテフロン(登録商標)上に連結され得る(すべての参考文献は、具体的に本明細書中に援用される)。
Van Nessら(1991)により記載されたように、ナイロン支持体にオリゴヌクレオチドを連結するためには、アルキル化によるナイロン表面の活性化ならびにシアヌル酸塩化物によるオリゴヌクレオチドの5’−アミンの選択的活性化を要する。
支持体結合オリゴヌクレオチドを調製するための特定の一方法は、Peaseら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(11)5022−6により記載された発光合成を利用することである。これらの著者等は、現在の写真平板(photolithographic)技法を用いて、固定化オリゴヌクレオチドプローブのアレイ(DNAチップ)を生成する。光を用いて高密度小型化アレイでのオリゴヌクレオチドプローブの合成を指図するこれらの方法は、光不安定性(photolabile)5’−保護化N−アシル−デオキシヌクレオシドホスホルアミダイト、表面リンカー化学および万能組合せ合成戦略を利用する。256空間限定オリゴヌクレオチドプローブのマトリクスが、この様式で生成され得る。
(4.18 核酸フラグメントの調製)
核酸、例えばcDNA、ゲノムDNA、染色体DNA、顕微解剖染色体バンド、コスミドまたはYAC挿入物、ならびにRNA(mRNA(任意の増殖過程を伴わない)を含む)は、任意の適切な供給源から得られ得る。例えばSambrookら、(1989)は、哺乳動物細胞から高分子量DNAを単離するための3つのプロトコルを記載する(p.9.14−9.23)。
DNAフラグメントは、M13、プラスミドまたはλベクター中でクローンとして調製され、および/またはPCRまたはその他の増幅方法によりゲノムDNAまたはcDNAから直接調製され得る。試料は、マルチウエルプレート中で調製されるか、または分配され得る。約100〜1000ngのDNA試料が、2〜500mlの最終容積中に調製され得る。
次に、当業者に公知の方法のいずれかにより、例えばSambrookら、(1989)の9.24−9.28に記載されたように制限酵素を用いて核酸をフラグメント化し、超音波およびNaOH処理により剪断する。
Schrieferら(1990) Nucleic Acids Res.18(24)7455−6に記載されているような低圧剪断もまた、適切である。この方法では、種々の低〜中圧で、DNA試料を小フランス圧セル(French pressure cell)に通す。レバー装置がセルの低〜中圧の制御適用を可能にする。これらの試験の結果は、音波および酵素によるDNAフラグメント化法に代わるものとして、低圧剪断が有用であることを示す。
DNAをフラグメント化するための特に適切な一方法は、Fitzgeraldら(1992) Nucleic Acids Res.20(14)3753−62により記載された2つの塩基性認識エンドヌクレアーゼCviJIを用いることが意図される。これらの著者等は、ショットガンクローニングおよび配列決定に適するよう彼等が意図した特定のサイズへのDNAの迅速なフラグメント化および分画のためのアプローチを記載している。
制限エンドヌクレアーゼCviJIは、通常GおよびC間の認識配列PuGCPyを切断して、平滑末端を残す。この酵素(CviJI**)の特異性を変更する非定型反応条件は、DNAフラグメントの準無作為分布を生じて、小分子pUC19(2688塩基対)を形成する。Fitzgeraldら(1992)は、急速ゲルろ過法によりサイズ分画され、末端修復を伴わずにlacZマイナスM13クローンベクターに直接結合されるpUC19のCviJI**消化物を用いて、このフラグメント化戦略の無作為性を定量的に評価した。76クローンの配列分析は、CviJIs**がPuGCPy部位のほかに、pyGCPyおよびPuGCPuを制限し、そして新規な配列データが無作為フラグメント化と一致する割合で蓄積されることを示した。
文献中に報告されているように、音波処理およびアガロースゲル分画と比較した場合のこのアプローチの利点としては、以下のものが挙げられる:少量のDNAを要する(2〜5ugの代わりに0.2〜0.5ug);そしてより少ない工程が関与する(前結合、末端修復、キメラ抽出またはアガロースゲル電気泳動および溶離が不要)。
核酸フラグメントが得られるかまたは調製される様式に関係なく、DNAを変性して、ハイブリダイゼーションに利用可能な一本鎖化片を生じることが重要である。これは、DNA溶液を80〜90℃で2〜5分間インキュベートすることにより達成される。次に溶液は2℃に急冷されて、DNAフラグメントの復元を防止した後、それらをチップと接触させる。リン酸基はまた、当該分野で公知の方法により、ゲノムDNAから除去されねばならない。
(4.19 DNAアレイの調製)
支持体、例えばナイロン膜の上にDNA試料をスポッティングすることにより、アレイが調製され得る。スポッティングは、金属ピンのアレイを用いることにより実施され得(その位置は、マイクロタイタープレート中のウエルのアレイに対応する)、ナイロン膜に約20nlのDNA溶液が移動するまで反復される。オフセットプリンティングにより、ウエルの密度より高いドット密度が達成される。用いられる標識の種類によって、1mm2中に1〜25ドットが収容される。予備選定数の横列および縦列でのスポッティングを回避することにより、別個のサブセット(サブアレイ)が形成され得る。一サブアレイ中の試料は、異なる個体からのDNA(または同一遺伝子)の同一ゲノムセグメントであり得るし、あるいは異なる重複ゲノムクローンであり得る。サブアレイの各々は、同一試料のレプリカスポッティングを表し得る。一例では、選定遺伝子セグメントは、64人の患者から増幅され得る。各患者に関しては、増幅遺伝子セグメントは、1つの96ウエルプレート中に存在し得る(96ウエルはすべて、同一試料を含有する)。64人の患者の各々についてプレートが調製される。96ピンデバイスを用いることにより、すべての試料が8×12cm膜上にスポットされ得る。サブアレイは、各患者から1ずつ、64個の試料を含有し得る。96サブアレイが同一である場合、ドットスパンは1mm2であり、サブアレイ間に1mmの間隙が存在し得る。
別のアプローチは、物理的スペーサー、例えば膜全体に成形されるプラスチック格子により仕切られ得る膜またはプレート(NUNC,Naperville,Illinois)から入手可能)を使用することであって、格子は、マルチウエルプレートの底に適用される膜の種類、または疎水性ストリップの種類と同様である。固定物理的スペーサーは、平坦リン貯蔵スクリーンまたはx線フィルムへの曝露による画像処理には好ましくない。
本発明を以下の実施例で例証する。本発明の開示を考慮すれば、本発明の範囲内で多数のその他の実施形態および変更が成され得ることを当業者は理解するであろう。したがって本発明のより広範な局面は以下の実施例の開示内容に限定されないことが意図される。本発明の単一局面の例証として意図された例示的実施形態により、本発明はその範囲を限定されず、機能的に等価の組成物および方法は、本発明の範囲内である。実際、本発明の好ましい実施形態を考察すれば、本発明の実施に際して多数の改変およびバリエーションが行われることが当業者には予測されよう。したがって本発明の範囲を限定するのは、添付の特許請求の範囲のみである。
本明細書中の本文に引用された参考文献はすべて、それらの全体が、参考として本明細書中に援用される。