JP4207624B2 - 便器洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用者の放尿を検知して便器に洗浄水を供給する便器洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の便器洗浄装置は、小便器前に使用者が立ったことを赤外線センサによって検知し、放尿後、使用者が立ち去る際にフラッシュバルブを作動させて便器に洗浄水を流す方式がとられていた。しかしながら、このような人体検知に基づいた自動洗浄システムは、放尿の有無、尿量の多少に関係なく、人間の接近、離隔のみを検出して一定の洗浄水を流していたので、水資源の無駄となっていた。
【0003】
そこで、マイクロ波による電波のドプラー効果を利用して、放尿時の尿流の速度を直接検知して、洗浄水の供給を開始するものが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の便器においては、ドプラーセンサを利用した尿速度計が小便器の上部に設置され、検知用電波は便器下方に向かって発信されている。この便器に成人男性が放尿するとき、その尿流は便器の上方に位置し、尿速度計から尿流までの距離が比較的小さいので問題は生じない。
【0004】
ところが、この便器に身長の低い男児が放尿した場合、尿流が低い位置にあり尿速度計から尿流までの距離が大となるため、尿流を感知できないことがある。このような問題に対処するには、ドプラーセンサが発する電波の出力を上げて検知可能距離を伸ばせば良いのであるが、電波法の規制などにより、電波出力を一定値より上げることができないのが実状である。
【0005】
そこで、ドプラーセンサを便器下部に配置するとともに、検知用電波を斜め上方に向かって発信するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。このような小便器であれば、男児の低位置における尿流であってもドプラーセンサで捉えることが可能となる。
【0006】
尿流を検知する方法において、ドプラーセンサの出力信号はアナログ信号で出力されるので、制御マイコンはA/Dポートから当該ドプラーセンサの出力信号を取り込み、マイコン内部でその信号強度を演算処理し、閾値以上の信号が一定時間継続すれば、尿流検知と見なし、電磁駆動のフラッシュバルブを作動させ、洗浄水を小便器内へ流すようになっている。
【0007】
【特許文献1】
実開平2−69760号公報(第4−6頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−285626号公報(第3−5頁、第5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に記載の小便器のように、ドプラーセンサを便器下部に配置し、電波を斜め上方へ発信すると、その延長線上に蛍光灯などがあった場合、蛍光灯が発するノイズがドプラーセンサの受信部に混入し、センサの出力信号にノイズの影響が出る。
【0009】
制御用マイコンはセンサの出力信号の強度のみを検出しており、蛍光灯などからのノイズが混入してもそれを区別することができないので、尿流がないにも関わらず、ノイズを誤検出してフラッシュバルブを開放して、洗浄水を無駄に流すことがある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、蛍光灯などからのノイズによって誤動作することがなく、洗浄水の無駄をなくすことができる便器洗浄装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の便器洗浄装置は、便器内へ洗浄水を供給する給水バルブと、尿流検出用の電波を発信する発信手段と、前記発信手段が発信した電波の反射波を受信する受信手段と、前記発信手段が発信した電波の周波数および前記受信手段が受信した電波の周波数に基づいた出力信号を生成するドプラーセンサと、前記ドプラーセンサからの出力信号のうち特定の周波数範囲のみを選択し出力する帯域通過フィルタと、前記帯域通過フィルタの出力信号の強度が一定の閾値以上であれば前記給水バルブを開放して前記便器内へ洗浄水を供給する尿流判定手段とを備えた便器洗浄装置において、前記帯域通過フィルタの出力信号に含まれるノイズを除去する適応フィルタを備え、前記適応フィルタは、前記ドプラーセンサの出力信号を一定時間間隔ごとに順番に記憶し、記憶した過去の前記出力信号を遅延して出力する遅延回路と、前記ドプラーセンサの出力信号と前記遅延回路の出力信号とに基づいて前記ドプラーセンサの出力信号に含まれるノイズを除去するとともに、前記適応フィルタに、前記遅延回路が出力した過去の前記出力信号に基づいて現在の出力信号と逆位相信号を生成するディジタルフィルタと、前記ディジタルフィルタが生成する前記逆位相信号を前記ドプラーセンサの出力信号に加算して出力する信号加算回路と、前記信号加算回路の出力する信号の一部に基づいて前記ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段とを設けたことを特徴とする。
【0012】
このような構成とすることにより、帯域通過フィルタの出力信号に含まれるノイズ、すなわち、前記ドプラーセンサの受信手段が誤って受信した、反射波以外の電波に起因するノイズを除去することが可能となり、帯域通過フィルタの出力信号は尿流の有無を確実に捉えた信号となるため、蛍光灯などからのノイズによって給水バルブが誤動作することがなくなり、洗浄水の無駄をなくすことができる。なお、発信手段が発信した電波の周波数および受信手段が受信した電波の周波数に基づいてドプラーセンサが生成する出力信号としては、例えば、発信手段が発信した電波の周波数と受信手段が受信した電波の周波数との差分に応じた出力信号( 差分信号) を用いることができるが、前述した電波の周波数に基づいて検波信号を生成する構成とすることもできる。
ここで、ノッチフィルタを設ければ、対象とする周波数帯域内の予め知り得る一つの周波数に振幅のピークがあるノイズに対して優れた除去機能を発揮する。また、適応フィルタを設ければ、ノイズの周波数を予め知り得ない場合においてもノイズの発生状況に応じて的確にノイズ除去を行うことができる。
【0014】
この場合、前記ノイズ除去手段が、周波数50Hz〜240Hzのノイズを除去する機能を有するものであることが望ましい。このような周波数領域のノイズを除去する機能を有することにより、便器設置場所の照明器具として多用され、比較的強力なノイズ発生源である蛍光灯からのノイズを効率的に除去することができるようになるため、誤動作をほとんどなくすことができ、これによって便器洗浄水を節約することができる。
【0016】
ノイズのない状態でドプラーセンサが尿流を検知した場合、その尿流信号の波形はランダムな形状となる。一方、蛍光灯からのノイズは商用電源周波数に起因し周期的な波形形状となる。ドプラーセンサの出力信号に現れた尿流信号の自己相関関数は、時間0のときが最大であり、遅延時間が増えるにつれて急速に減少する傾向にある。そこで、適応フィルタの前段に遅延回路を設け、遅延回路の出力信号を適応フィルタに入力することにより、ドプラーセンサの出力信号に生じたランダムな尿流信号を取り除き、尿流信号に含まれる周期性のあるノイズを強調することができる。
【0017】
なお、遅延回路を構成する遅延素子の個数は1〜20個程度とすることが望ましく、これによって効率的で確実な遅延作用を得ることができるほか、経済的に周期性ノイズの除去を行うことができる。
【0018】
ここで、ディジタルフィルタは、遅延回路が出力した過去の出力信号に基づいて、周期成分のみを強調して生成する機能を有しており、これによってドプラーセンサの出力信号に混入した周期性ノイズのみ強調して出力することができる。
【0019】
また、信号加算回路は、ディジタルフィルタが生成する周期性ノイズの逆位相信号をドプラーセンサの出力信号に加算して出力する機能を有しており、ドプラーセンサの出力信号に含まれた尿流信号とノイズの混在信号のうち周期性ノイズのみを除去することができる。
【0020】
さらに、フィルタ係数更新手段は、信号加算回路の出力する信号の一部に基づいてディジタルフィルタのフィルタ係数を信号の各サンプリング毎に動的に更新する機能を有しており、これによってノイズの周波数、振幅、位相にかかわらずノイズの特徴に応じて最適に周期性ノイズのみを強調することができる。
【0021】
このように、遅延回路と適応フィルタとを備え、適応フィルタに、ディジタルフィルタ、信号加算回路およびフィルタ係数更新手段を設けたことにより、蛍光灯などからのノイズによる給水バルブの誤動作をさらに確実に回避することができるようになる。
【0022】
また、給水バルブが開放されて便器内に洗浄水が流された場合、その洗浄水もドプラーセンサによって検知され、尿流信号よりも大きな信号となって適応フィルタに入力されるが、適応フィルタに過大な信号が入力されると、それに応じてフィルタ係数が大きく乱れることとなる。したがって、洗浄水が流れている間は、ドップラーセンサの出力信号の振幅が非常に大きくなり、適応フィルタのフィルタ係数が大きく乱れてしまい、洗浄完了後におけるノイズ除去機能が低下することがある。
【0023】
そこで、給水バルブの開放中はフィルタ係数更新手段を停止させる機能を適応フィルタに設けることが望ましい。これにより、給水バルブが開放され洗浄水が流れている間はフィルタ係数の更新が行われないようになるため、フィルタ係数が安定し、洗浄後におけるノイズ除去機能の低下が回避され、誤動作をなくすことができる。
【0024】
ここで、フィルタ係数更新手段としては、給水バルブの閉止中に適応フィルタの出力信号と乗算されるステップサイズμと、ステップサイズμに応じてフィルタ係数の算出を行うフィルタ係数算出部とで構成され、給水バルブの開放中は、ステップサイズμの代わりに0<γ<μの範囲内のステップサイズγを使用する機能を設けることが望ましい。このような機能を設けることにより、洗浄中に過大な入力信号が発生しても、フィルタ係数が大きく乱れることがなくなるため、洗浄後におけるノイズ除去機能の低下が回避され、誤動作することがない。
【0025】
また、給水バルブの開放後は前記フィルタ係数を全て0にした後、給水バルブを閉止する機能を設けることが望ましい。このような機能を設ければ、洗浄中に過大な入力信号が発生し、フィルタ係数が大きく乱れることがあっても、改めて小さな値からフィルタ係数の更新が行われることとなるため、洗浄後におけるフィルタ係数が安定し、誤動作をなくすことができる。
【0026】
さらに、給水バルブの開放後、一定時間内は尿流判定手段を停止する機能を設けることが望ましい。このような機能を設ければ、洗浄中に過大な検知信号が発生し、フィルタ係数が大きく乱れることがあっても、その間は尿流判定手段が停止するので、洗浄後における誤動作をなくすことができる。なお、前記一定時間としては3秒〜40秒程度が好適である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態である便器洗浄装置を示す構成図、図2(a)は図1に示す便器洗浄装置を構成するドプラーセンサの水平方向の指向特性を示すパターン図であり、図2(b)は前記ドプラーセンサの垂直方向の指向特性を示すパターン図であり、図3は図1に示す便器洗浄装置を構成する小便器の使用状態を示す側面図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の便器洗浄装置は、給水管12から送給される洗浄水を小便器10内へ供給する給水バルブ11と、小便器10の背面側から正面側の斜め上方に向かって発信アンテナ5aから電波7を発する発信手段5と、発信手段5が発信した電波7の反射波8を受信アンテナ6aを通じて受信する受信手段6と、発信手段5が発信する電波7の周波数と受信手段6が受信した反射波8の周波数との差分に応じた出力信号を生成する差分検出手段4とからなるドプラーセンサ34などを備えている。
【0029】
また、ドプラーセンサ34の後段には、帯域通過フィルタ3、遅延回路38、適応フィルタ2、尿流判定部1および給水バルブ制御部39などが設けられている。適応フィルタ2は、ディジタルフィルタ40、信号加算回路41およびフィルタ係数更新回路42などで構成されている。
【0030】
ドプラーセンサ34の出力信号は、直接および遅延回路38を経由して適応フィルタ2へ送り込まれ、後述する所定の処理が適応フィルタ2で行われた後の出力信号が尿流判定部1へ送信され、その出力信号の強度が一定の閾値以上であれば給水バルブ制御部39が給水バルブ11を開放し、給水管12から供給される洗浄水を小便器10へ流すようになっている。なお、前述したように、本実施形態においては、発信手段5が発信した電波7の周波数と受信手段6が受信した電波8の周波数との差分に応じた出力信号(差分信号)を生成する構成としているが、前述した電波7,8の周波数に基づいて検波信号を生成する構成とすることもできる。
【0031】
ここで、図2,図3を参照してドプラーセンサ34の指向特性について説明する。使用者31が小便器10に向かって放尿するときの尿流33の流速および方向については、水平方向にはあまりばらつかないが、垂直方向には大きくばらつく傾向がある。したがって、尿流33を検知するためのドプラーセンサ34の指向特性としては、図2(a)に示すように水平方向は狭く、同図(b)に示すように垂直方向は広くなるように設定されている。
【0032】
図3に示すように、ドプラーセンサ34は小便器10の背面の下部に取り付けられ、起立した使用者31の正面に向かって斜め上方に拡がった指向特性を持っている。これは、身長の低い男児の尿流のように、位置が低く、かつ流量も少ない尿流であっても確実に検知するためである。また、尿流33を確実に捉えるためには、ドプラーセンサ34を小便器10の高さ方向の中央付近に設置し、水平方向に拡がった指向特性、あるいは斜め下方へ拡がった指向特性なるように設置してもよい。
【0033】
使用者31が所定位置に立って小便器10に向かって放尿すると、使用者31の尿流33をドプラーセンサ34が検知し、前述したような信号処理を経た後、給水配管12の途中に設けられた給水バルブ11を開放して、洗浄水を小便器10の壁面に流し落とし、小便器10内の洗浄動作を行う。
【0034】
本実施形態では、マイクロ波を用いたドプラーセンサ34によって使用者31の尿流33を検知する。このドプラーセンサ34は、マイクロ波帯の電波7(例えば、10.525GHz)を発信アンテナ5aから放射状に発信し、測定物体である尿流33よって反射された電波(反射波8)を受信アンテナ6aで受信し、発信波(電波7)と受信波(反射波8)との間に生じたドプラー波成分を取り出して、尿流33の速度を測定するものとして一般に知られている。すなわち、発信波(電波7)と受信波(反射波8)の間に生じたドプラー周波数ΔFによって、尿流33の速度を推定することができる。
【0035】
ドプラーセンサ34によって尿流33を測定すると、特定の周波数に鋭いピークを持つ線スペクトルではなく、ある程度周波数の広がりを持ったスペクトルとして観測される。これは小便器10の壁面を流れる尿流なども含めて、あらゆる水流の動きを観測するからである。なお、後述する図12に示すように、ドプラーセンサ34で観測した尿流33は、特に100Hz〜200Hzにかけて大きなピークを持つという特徴があることが分かっている。
【0036】
本実施形態では、発信アンテナ5aによって使用者31の尿流33に向けて電波7を放射する。尿流33によって反射された電波8は、受信アンテナ6aを経由して受信手段6に取り込まれ、発信した電波7と受信した反射波8の2つの電波の信号の差分を差分検出手段4によって取り出し、ドプラー周波数成分Fsとして帯域通過フィルタ3へ送り込まれる。帯域通過フィルタ3は、ドプラー周波数成分Fsから、尿流33の特徴である100Hz〜200Hzの周波数成分のみ取り出す。帯域通過フィルタ3を通った信号は、適応フィルタ2の信号加算回路41および遅延回路38へ発信される。マイコン1によって振幅パワー成分が取り出され、閾値以上の振幅パワーが一定時間以上継続すれば尿流と検知する。
【0037】
一方、小便器10の設置場所における照明器具として多用されている蛍光灯9はノイズ35を発生することが知られている。したがって、図2,図3で示した、ドプラーセンサ34の指向特性パターン内に蛍光灯9が存在する場合、蛍光灯9が発するノイズ35をドプラーセンサ34が検知するため、その出力信号にはノイズ35が混在して現れる。
【0038】
図4は、商用電源周波数60Hzの地域において、ドプラーセンサ34が受信した蛍光灯9のノイズ35の信号波形を示すものである。この図によれば、蛍光灯9から発生するノイズ35の特徴として、ある程度の周期性が見られること、完全な正弦波ではなく所々に波形の乱れや大きなうねりが見られることなどが分かる。
【0039】
ここで、図5は図4に示す信号波形を周波数スペクトルに変換して示すものである。蛍光灯9のノイズ35の周波数スペクトルは、120Hzを最大振幅ピークとして、その2倍の240Hzにもピークが見られ、さらに20Hzとその2倍の40Hz、3倍の60Hzにもピークが見られる。このように蛍光灯9のノイズ35は、120Hzを基本成分としながらも、そのn次高調波成分や、電源周波数とは直接は関連のない周波数とそのn次高調波成分などが、複雑に組み合わされた波形となっていることがわかる。ただし、商用電源周波数をその発生原因としている、商用電源の基本周波数ならびにその2次高調波の範囲の50Hz〜240Hzの周波数のノイズが特に問題となり、この範囲のノイズを取り除く必要がある。
【0040】
前述したように、尿流33を検知するためのドプラーセンサ34は垂直方法に広い指向特性パターンを有しているので、この方向からのノイズ35を受信すると、その影響がドプラーセンサ34の出力信号に現れる。例えば、図3において、ドプラーセンサ34が発する電波7の放射中心は水平面から45度の角度で斜め上方に向けられ、尿流33を捉えやすい方向となっている。このとき、ドプラーセンサ34の垂直方向指向特性パターンは図3に示す指向特性パターン32のようになっており、床面から天井方向にわたって拡がった指向特性パターンとなっている。
【0041】
ところで、小便器10の背面の高さ方向の中央付近にドプラーセンサ34を取り付けて、水平方向に電波を放射することもできる。しかしながら、このような方法にしたとしても、センサの指向特性パターンは、図3で示したように、垂直方向に広くなっているので、斜め上方向の蛍光灯のノイズもほとんど減衰せずセンサに入射してしまう。すなわち、ドプラーセンサ34の配置位置あるいは方向を工夫したとしてもノイズ35の影響を避けることができないのが実状である。
【0042】
ここで、適応フィルタ2を使用した場合について説明する。尿流33の周波数成分のみを取り出すため、図1に示す帯域通過フィルタ3によって周波数100Hz〜200Hzに帯域制限を設けている。一方、ドプラーセンサ34が受信した蛍光灯9のノイズ35は、図5に示すように120Hzに大きなピークを持っている。したがって、ノイズ35は帯域通過フィルタ3を容易に通り抜けてしまい、図15に示すように、必要とする周波数範囲にノイズのピークが現れ、ノイズ35を尿流33として誤検知してしまう。そこで、本実施形態では、この帯域通過フィルタ3を通り抜けたノイズ成分を除去するために適応フィルタ2を設けている。
【0043】
一方、帯域通過フィルタ3を通り抜けたノイズ成分除去する手段としては、例えば、ノッチフィルタも有効である。これは図16のフィルタの周波数特性図に示すように、特定の周波数のみを選択して減衰させるものである。ノイズの周波数が既知であれば、その周波数を選択減衰するようにノイズの特性を選定することにより、ノイズを効率的に除去することができる。なお、ノッチフィルタの周波数の選択範囲より尿流の検知周波数の範囲の方が十分広ければ、ノイズ周波数部分を減衰させても尿流検知に大きな影響はない。
【0044】
前述と異なり、ノイズの周波数が既知でない場合は、ノイズに応じて選択周波数を変える必要がある。例えば商用電源の2次高調波がノイズに現れる場合、西日本地域(120Hz)、東日本地域(100Hz)と地域によって周波数を変える必要がある。さらに、目的とする尿流の周波数範囲に、複数の周波数のノイズ成分が見られる場合、一つのノッチフィルタでは対応できないので複数個のノッチフィルタを使用することとなる。そこで、本実施形態においては、周波数が既知でなくても、複数個のノイズであってもノイズの状況に応じて有効にノイズ除去を行うため、適応フィルタ2を設けている。
【0045】
ここで、図1,図3および図11のフローチャートを参照して、本実施形態の便器洗浄装置の動作について説明する。使用者31が小便器10に近づき、小便器10の前に立って放尿をした後、小便器10から離れるという一連の動作をとった場合、ドプラーセンサ34は、使用者10の尿流33を常時検知しており、ドプラーセンサ34が検知したセンサ信号の振幅と閾値とを比較し、閾値以下であればセンサ信号の判定を継続し、閾値以上であればその尿流33が0.5秒以上継続するかどうか判定する。
【0046】
この場合、尿流33が0.5秒以内で停止すれば再度センサ信号の振幅と閾値との比較を行い、尿流33が0.5秒以上継続すれば洗浄水の給水バルブ11を3秒間開放し、小便器10内に洗浄水を供給する。その後、再びセンサ信号の閾値判定を行う。このようにして、ドプラーセンサ34が使用者31の尿流33を検知することによって小便器10内の洗浄が行われる。
【0047】
図13は本実施形態の便器洗浄装置の構成を示すブロック図である。図13に示すように、ドプラーセンサ34から送出されたドプラー信号は制御部43へ送り込まれる。ドプラーセンサ34の検知信号に蛍光灯9のノイズ35などが混入すると、ドプラーセンサ34から送出されるドプラー信号にもノイズ成分が混入される。そこで、制御部43に取り込まれたドプラー信号は、アナログLPF (Low Pass Filter) 44において、サンプリング周波数に合わせて周波数高域成分を削除した後、マイコン45内部のA/D変換器46へ送り込まれる。
【0048】
A/D変換器46でサンプリングしたドプラー信号は、帯域通過フィルタ3により尿流検知成分の周波数帯域(100Hz〜200Hz)に制限された後、適応フィルタ2へ送出される。このとき、適応フィルタ2の入力部に伝えられたドプラー信号にはノイズ35が含まれているが、適応フィルタ2によりノイズ35が取り除れ、振幅判定部48へ送出される。
【0049】
振幅判定部48においては、入力された信号の振幅の移動平均の算出を逐次行っている。振幅判定部48によって算出された移動平均値が、あらかじめ設定された振幅の判定閾値47より大きくかつ一定時間連続して継続した場合、尿流判定部1は尿流33があるものと判定し、給水バルブ制御部39が給水バルブ39を一定時間だけ開放して、小便器10に洗浄水を供給する。
【0050】
ここで、図6を参照して、本実施形態の便器洗浄装置におけるノイズ除去機能について説明する。前述したように、尿流33の検知信号は、100Hz〜200Hzの間の周波数成分が多く含まれるものの、時間軸で見ればランダム信号になっている。これは、壁面を流れる水流も含めて、尿流が移動したり、脈動したりすることによって形成される様々な水流をドプラーセンサ34が検知しているためである。
【0051】
一方、ドプラーセンサ34からのドプラー信号に混入した蛍光灯9のノイズ35は、波形形状が複雑であるものの周波数120Hz程度であり、商用電源周波数に強く依存した周期性信号である。すなわち、蛍光灯9のノイズ35が混入したドプラー信号は、周期性信号とランダム性信号が混在したものとなっている。したがって、適応フィルタ2によってドプラー信号の周期性成分のみを予測し、観測したドプラー信号からこれを減算すれば、ランダム性周波数成分つまり尿流33の検出成分だけを得ることができる。このようにして、周期成分である蛍光灯9のノイズ35が適応フィルタ2により効果的に取り除かれる。
【0052】
さらに、図6を参照して、適応フィルタ2による蛍光灯9のノイズ35の除去機能について詳しく説明する。前述したように、適応フィルタ2を用いて周期性成分であるノイズ予測信号を発生することでノイズを効果的に除去することができる。そこで、本実施形態では、周期性成分を予測するために、適応フィルタ2の前段部に遅延回路38を配置している。尿流33の検知信号はランダム信号であるため、その自己相関関数は遅延が0のときに最大となり、遅延が大きくなるにつれて減少する。
【0053】
一方、蛍光灯9のノイズ35のような周期性のある信号は、遅延が0のときのみならず、周期に応じた遅延時間でその振幅が大きくなる。つまり、0時間の信号成分を取り除けば、尿流33の検知信号のようなランダム成分が取り除かれ、ノイズの周期成分のみが強調される。本実施形態では、図10に示すように、適応フィルタ2の前段に10段の遅延回路38を設けることにより、ドプラーセンサ34の出力信号からランダム成分つまり尿流信号を確実に取り除いている。遅延回路38を構成する遅延素子38aは少なくとも1段以上あれば良い。
【0054】
次に、図6,図10を参照して、本実施形態の便器洗浄装置における適応フィルタ2の機能および動作についてさらに詳しく説明する。
【0055】
これらの図に示すように、帯域通過フィルタ3から入力されたドプラー信号の入力信号x[n]は、前述の遅延回路38に入力される。Z-1はZ変換を表しており遅延回路と等価である。本実施形態では10段の遅延素子38aで遅延回路38を構成している。遅延回路38aは各サンプリング時間毎に次段へ入力信号値を送出するので、本実施形態の遅延回路38より出力される入力信号x[n]は、10サンプリング前の入力信号に等しい。
【0056】
本実施形態においては、適応フィルタ2を、ディジタルフィルタ40と、信号加算回路41と、フィルタ係数更新回路42とで構成している。ディジタルフィルタ40は遅延回路38から送出される信号を受信し、ノイズ予測波形y[n]を出力するものである。本実施形態ではディジタルフィルタ40として64段のFIR型のディジタルフィルタを用いている。FIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数h0〜h63を、各対応する遅延素子の各段とそれぞれ乗算し、さらに、その結果の加算合計を算出して出力信号y[n]を得る。各フィルタ係数h0〜h63は、後述するフィルタ係数更新回路42により、入力信号に含まれる蛍光灯9のノイズ35など周期成分信号のみを取り出すように予め調節されており、出力信号y[n]はノイズ除去に最適な信号となっている。
【0057】
また、信号加算回路41は、入力信号x[n]に、ディジタルフィルタ40の出力信号y[n]の反転信号すなわち逆位相信号である−y[n]を加算するものである。前述したように、y[n]は入力信号に含まれる周期成分、つまり蛍光灯9のノイズ35などの周期成分信号となっているので、結果的に周期性ノイズの逆位相信号を入力信号x[n]と加算することになる。
【0058】
そして、加算結果ε[n]は、入力信号x[n]から蛍光灯9のノイズ35などの周期性ノイズが取り除かれた、ランダムな尿流33の信号成分のみとなっている。この後、加算結果ε[n]は尿流判定部1へ送出され、尿流判定用の信号として利用される。なお、ディジタルフィルタ40の周期性ノイズの予測信号y[n]は、x[n]のノイズ成分と完全に一致しないので、加算結果ε[n]は0にはならない。
【0059】
次に、フィルタ係数更新回路42は、前述した加算結果ε[n]を最小にすべく、ディジタルフィルタ40のフィルタ係数h0〜h63を調節する機能を有している。本実施形態では適応フィルタ2の係数更新方法として、計算処理を簡略化することが可能なLMS(Least Mean Square)法を使用している。このLMS法によれば、ノイズ予測誤差ε[n]にステップサイズμ49の2倍を乗じた上で、現時刻の各入力信号x[n]をさらに乗じ、現在時刻の各フィルタ係数h[n]に足し合わせて、次時刻の各フィルタ係数h[n+1]を得ている。
【0060】
この方法により、計算開始時刻においては残差ε[n]の絶対値は大きいものの、時刻が経過するにつれてε[n]の絶対値が0に収束していくという結果が得られる。ここで、ステップサイズμ49は収束の速度と収束後の誤差量を決定するパラメータであり、一般には0<μ<1なる値を設定する。
【0061】
本実施形態の帯域通過フィルタ3においても、前記と同様、FIR型ディジタルフィルタを使用している。ここで、フィルタ係数h[n]は、尿流33の検知範囲である100Hz〜200Hzを取り出すように設定されている。なお、ディジタル処理する機能を有するフィルタでないアナログフィルタ、例えば、図13におけるLPF部44の代わりに、アナログ回路による帯域通過フィルタを用いることも可能である。さらに、帯域通過フィルタ3と適応フィルタ2の順番を交換し、適応フィルタ2、帯域通過フィルタ3の順番に配置しても、同様の機能、効果が得られる。
【0062】
本実施形態では、A/D変換サンプリング周期を2ms、すなわちサンプリング周波数を500Hzとしている。サンプリング定理よりサンプリング周波数の半分以下の周波数の信号に対して有効であるので、本実施例の有効周波数は250Hz以下となり、100Hz〜240Hzに大きなピークを持つ尿流信号を有効周波数の範囲内としている。帯域通過フィルタ3を素通りする蛍光灯9のノイズ35の周波数は120Hz(商用電源周波数が60Hzの地域の場合)である。本実施形態において、適応フィルタ2による周期性ノイズ除去はサンプリング周波数の約10Hz〜250Hzの範囲の周波数帯に有効であり、120Hzの蛍光灯ノイズを大幅に除去することができることが確認できた。
【0063】
次に、図7を参照して、ドプラー信号に含まれる蛍光灯9のノイズ35の除去結果について説明する。図7に示すように、ドプラー信号x[n]には大きな周期性ノイズが見られる。これに、前述したノイズ予測信号y[n]の逆位相の信号−y[n]を加算すると、ノイズが大きく除去された後、誤差成分ε[n]が残る。本実施形態では約20dBのノイズの低減が確認された。
【0064】
ノイズ除去前のドプラー信号x[n]の波形を、さらに長い時間軸で観測したものを図8に示す。0〜20秒、55秒〜100秒の部分がノイズが混入している部分である。また、20秒〜55秒の部分は使用者31が小便器10に近づき尿流33が検知されている部分である。図9にノイズ除去後のドプラー信号ε[n]を示す。これは図8と同じタイミングで同時に適応フィルタ2によりノイズ除去を行った後の信号波形である。図8と比較すると0〜20秒、55秒〜100秒の部分の振幅が大きく減衰している様子が確認できる。
【0065】
以上のように、本実施形態の便器洗浄装置が、遅延回路38と適応フィルタ2とを備え、適応フィルタ2に、ディジタルフィルタ40、信号加算回路41およびフィルタ係数更新回路42を設けたことにより、蛍光灯9からのノイズ35を除去することができ、これによって、便器洗浄装置の誤動作をなくすことができた。
【0066】
一方、適応フィルタ2を用いる場合、一般に、その入力信号に大きな振幅の信号を加え、次に小さな振幅の信号を加えると、系の収束性が悪化するという現象が見られる。特にLMS法による適応フィルタ2では、出力信号ε[n]にステップサイズ2μを乗算したものを入力信号と乗算してフィルタ係数の更新の入力としているので、フィルタ係数の変化幅は入力信号の振幅に比例して大きくなり、一旦大きな値のフィルタ係数を記憶してしまうと、小さな振幅の信号へ対応するフィルタ係数へ収束させるのに時間がかかる。
【0067】
本実施形態の便器洗浄装置において、ドプラーセンサ34が、尿流33を観測している場合の出力信号の振幅レベルと、小便器10内を流れる洗浄水を観測している場合の出力信号の振幅レベルとを比べると、小便器10内を流れる洗浄水を観測している場合の振幅レベルの方が圧倒的に大きい。このため、尿流33を検知して洗浄バルブ11を開放し、洗浄水が流された場合、その大きな振幅レベルによってフィルタ係数が大きく変動する。
【0068】
本実施形態の便器洗浄装置においては、洗浄バルブ11を閉止して洗浄水を停止した後、適応フィルタ2によってノイズの除去を開始するが、その開始時点では、適応フィルタ2のフィルタ係数は、振幅の大きな洗浄水に適応すべく大きな値が既に記憶されているので、次の尿流判定を目的とするノイズ除去を行う場合には、フィルタ係数が大きすぎることにより、収束に時間がかかる。
【0069】
そこで、洗浄バルブ11を開として洗浄水を流している間は、適応フィルタ2のフィルタ係数の係数h[n]の更新処理を行うフィルタ係数更新回路42の機能を停止させ、係数h[n]の値を保持するようにした。このことにより、洗浄水を流している間のドプラーセンサ34の過大入力に影響されることなく、洗浄水停止後の適応フィルタ2の収束速度の低下を回避することができる。
【0070】
ここで、図14を参照して、適応フィルタ2の動作について説明する。フィルタ係数更新回路42はフィルタ係数算出部50およびステップサイズ49で構成されている。ディジタルフィルタ40にはフィルタ係数算出部50で算出された計数値を格納するフィルタ係数51がある。ステップサイズ49は、収束の速度と収束後の誤差量を決定するパラメータである。ステップサイズ49は値が大きくなれば収束速度は速くなるが、収束後の残差が大きくなり、ステップサイズ49の値が小さくなると、収束後の誤差は小さくなるものの、収束速度が遅くなる傾向がある。
【0071】
そこで、大小2つのステップサイズμ、γを用意し、0<γ<μなるように設定することもできる。大きい方のステップサイズμは入力信号が小さい際に収束速度を向上する目的で使用し、小さい方のステップサイズγは入力信号が大きい場合に収束誤差を小さくする目的で使用するのが効果的である。したがって、給水バルブ11を開放して洗浄水を流しているときは入力信号が大きくなるので小さい方のステップサイズγを使用し、洗浄バルブ11を閉止しているときには収束速度を向上させるため大きい方のステップサイズμを使用する。このことにより、洗浄水を流した後におけるフィルタ機能を安定させるとともに、収束速度を速めることができる。
【0072】
一方、フィルタ係数51の変更幅は入力信号に比例し、洗浄中の過大入力によりフィルタ係数51がいったん大きくなってしまうと、洗浄後の小さな入力信号では変更幅が小さく、収束に時間がかかってしまう。そこで、洗浄水を流して、適応フィルタ2のフィルタ係数51が大きく乱れてしまった後、全ての係数を0クリアする機能を設けることもできる。このような機能を設ければ、洗浄水を流した後のフィルタ動作を安定させるとともに、収束速度を速めることができる。
【0073】
また、洗浄水を流した後にフィルタ係数がいったん大きく乱れてしまうと、前述のように収束に時間がかかってしまうが、その収束過程においては大きな振幅が出ているため、尿流の判定をするには不正確である。そこで、洗浄バルブ11を閉じた後の時間経過をタイマで計測し、予め設定されたt時間内の時は尿流検知判定は行わない機能を設けることもできる。この場合、洗浄バルブ11を閉じた後、最大で30秒間は適応フィルタ2の出力信号の収束が完了しないことが経験的に判明しているため、最大で30秒間の尿流判定停止を行えば、より正確に小便器使用判定を行うことができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明により、以下の効果を奏する。
【0075】
(1)ドプラーセンサからの出力信号のうち特定の周波数範囲のみを選択し出力する帯域通過フィルタと、帯域通過フィルタの出力信号の強度が一定の閾値以上であれば給水バルブを開放して便器内へ洗浄水を供給する尿流判定手段とを備えた便器洗浄装置において、帯域通過フィルタの出力信号に含まれるノイズを除去するノイズ除去手段を設けたことにより、蛍光灯などからのノイズによって誤動作することがなくなり、洗浄水の無駄をなくすことができる。
【0076】
(2)前記ノイズ除去手段として、ノッチフィルタを設ければ、必要とする周波数帯域内の予め知り得る一つの周波数に振幅のピークがあるノイズに対して優れた除去機能を発揮し、適応フィルタを設ければ、ノイズの周波数を予め知り得ない場合においてもノイズの発生状況に応じて的確にノイズ除去を行うことができる。
【0077】
(3)前記ノイズ除去手段が周波数50Hz〜240Hzのノイズを除去する機能を有することにより、便器設置場所の照明器具として多用され、比較的強力なノイズ発生源である蛍光灯からのノイズを効率的に除去することができるようになるため、誤動作をほとんどなくすことができる。
【0078】
(4)前記ノイズ除去手段として遅延回路と適応フィルタとを設け、適応フィルタに、ディジタルフィルタと、信号加算回路と、フィルタ係数更新手段とを設けたことにより、蛍光灯などからのノイズによる給水バルブの誤動作をさらに確実に回避することができる。
【0079】
(5)前記適応フィルタに、給水バルブの開放中はフィルタ係数更新手段を停止させる機能を設けることにより、給水バルブ開放中はフィルタ係数の更新が行われなくなるため、フィルタ係数が安定し、洗浄後におけるノイズ除去機能の低下が回避され、誤動作をなくすことができる。
【0080】
(6)前記フィルタ係数更新手段を、給水バルブ閉止中に適応フィルタの出力信号と乗算されるステップサイズμと、ステップサイズμに基づいてフィルタ係数の算出を行うフィルタ係数算出部とで構成し、給水バルブの開放中はステップサイズμの代わりに0<γ<μの範囲内にあるステップサイズγを使用する機能を適応フィルタに設けることにより、洗浄中に過大な入力信号が発生しても、フィルタ係数が大きく乱れることがなくなるため、洗浄後におけるノイズ除去機能の低下が回避され、誤動作することがない。
【0081】
(7)前記適応フィルタに、給水バルブの開放後はフィルタ係数を0にした後、給水バルブを閉止する機能を設ければ、洗浄中に過大な入力信号が発生し、フィルタ係数が大きく乱れることがあっても、改めて小さな値からフィルタ係数の更新が行われることとなるため、洗浄後におけるフィルタ係数が安定し、誤動作をなくすことができる。
【0082】
(8)前記適応フィルタに、給水バルブの開放後、一定時間内は尿流判定手段を停止する機能を設ければ、洗浄中に過大な検知信号が発生し、フィルタ係数が大きく乱れることがあっても、その間は尿流判定手段が停止するので、洗浄後における誤動作をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である便器洗浄装置を示す構成図である。
【図2】 (a)図1に示す便器洗浄装置を構成するドプラーセンサの水平方向の指向特性を示すパターン図であり、(b)は前記ドプラーセンサの垂直方向の指向特性を示すパターン図である。
【図3】 図1に示す小便器の使用状態を示す側面図である。
【図4】 蛍光灯からのノイズを示す波形図である。
【図5】 蛍光灯からのノイズを示す周波数スペクトル図である。
【図6】 図1に示す便器洗浄装置の一部を示す構成図である。
【図7】 図1に示す便器洗浄装置におけるノイズ除去状況を示す波形図である。
【図8】 図1に示す便器洗浄装置におけるノイズ除去前のドプラーセンサ出力信号を示す波形図である。
【図9】 図1に示す便器洗浄装置におけるノイズ除去後のドプラーセンサ出力信号を示す波形図である。
【図10】 図1に示す便器洗浄装置を構成する適応フィルタのブロック図である。
【図11】 図1に示す便器洗浄装置の動作状態を示すフローチャートである。
【図12】 図1に示す便器洗浄装置において検出された尿流信号のスペクトル図である。
【図13】 図1に示す便器洗浄装置を構成する制御部のブロック図である。
【図14】 図1に示す便器洗浄装置を構成する適応フィルタの概略ブロック図である。
【図15】 ノイズを含んだ尿流信号の周波数スペクトルである。
【図16】 ノッチフィルタの周波数特性図である。
【符号の説明】
1 尿流判定部
2 適応フィルタ
3 帯域通過フィルタ
4 差分検出手段
5 発信手段
6 受信手段
7 電波
8 反射波
9 蛍光灯
10 小便器
11 給水バルブ
12 給水管
31 使用者
32 指向特性パターン
33 尿流
34 ドプラーセンサ
35 ノイズ
36 電磁放射中心
38 遅延回路
39 給水バルブ制御部
40 ディジタルフィルタ
41 信号加算回路
42 フィルタ係数更新回路
43 制御部
44 LPF
45 マイコン
46 A/D変換器
47 判定閾値
48 振幅判定部
49 ステップサイズ
50 フィルタ係数算出部
51 フィルタ係数

Claims (5)

  1. 便器内へ洗浄水を供給する給水バルブと、尿流検出用の電波を発信する発信手段と、前記発信手段が発信した電波の反射波を受信する受信手段と、前記発信手段が発信した電波の周波数および前記受信手段が受信した電波の周波数に基づいた出力信号を生成するドプラーセンサと、
    前記ドプラーセンサからの出力信号のうち特定の周波数範囲のみを選択し出力する帯域通過フィルタと、
    前記帯域通過フィルタの出力信号の強度が一定の閾値以上であれば前記給水バルブを開放して前記便器内へ洗浄水を供給する尿流判定手段とを備えた便器洗浄装置において、
    前記帯域通過フィルタの出力信号に含まれるノイズを除去する適応フィルタを備え、
    前記適応フィルタは、前記ドプラーセンサの出力信号を一定時間間隔ごとに順番に記憶し、記憶した過去の前記出力信号を遅延して出力する遅延回路と、前記ドプラーセンサの出力信号と前記遅延回路の出力信号とに基づいて前記ドプラーセンサの出力信号に含まれるノイズを除去するとともに、
    前記適応フィルタに、
    前記遅延回路が出力した過去の前記出力信号に基づいて現在の出力信号と逆位相信号を生成するディジタルフィルタと、
    前記ディジタルフィルタが生成する前記逆位相信号を前記ドプラーセンサの出力信号に加算して出力する信号加算回路と、
    前記信号加算回路の出力する信号の一部に基づいて前記ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段とを設けたことを特徴とする便器洗浄装置。
  2. 前記適応フィルタに、前記給水バルブの開放中は前記フィルタ係数更新手段を停止させる機能を設けた請求項記載の便器洗浄装置。
  3. 前記フィルタ係数更新手段は、前記給水バルブの閉止中に前記適応フィルタの出力信号と乗算されるステップサイズμと、前記ステップサイズμに基づいて前記フィルタ係数の算出を行うフィルタ係数算出部とで構成され、前記給水バルブの開放中は前記ステップサイズμの代わりに0<γ<μの範囲内にあるステップサイズγを使用する機能を前記適応フィルタに設けた請求項記載の便器洗浄装置。
  4. 前記適応フィルタに、前記給水バルブの開放後は前記フィルタ係数を0にした後、前記給水バルブを閉止する機能を設けた請求項記載の便器洗浄装置。
  5. 前記適応フィルタに、前記給水バルブの開放後、一定時間内は前記尿流判定手段を停止する機能を設けた請求項記載の便器洗浄装置。
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