JP4207618B2 - 産業車両におけるコントローラ取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、産業車両におけるコントローラ取付構造に関するものであり、特に、産業車両において放熱や冷却といった熱対策を必要とする電子部品を含むコントローラの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォークリフト等の産業車両においては、走行用モータや荷役機構等を駆動制御するコントローラを備えているが、こうしたコントローラでは、その動作中における発熱が顕著なことから、コントローラの温度がその発熱により過度に上昇することがないようにする必要がある。
そこで、車体の後部に備えられるカウンタウエイト対してコントローラを密着させて取り付け、熱容量の大きなカウンタウエイトへコントローラの発熱を継続的に放熱するようにしている。
そして、カウンタウエイトに対する効率的な放熱を図るために、コントローラをカウンタウエイトに対して横置き状態で取り付けることがある。
【0003】
例えば、図5(a)及び図5(b)に示される第1の従来技術では、タイヤハウス52を備えるとともに前後に十分な長さを有するカウンタウエイト51が車体50の後部に設けられており、このカウンタウエイト51の上部に形成された水平面にはコントローラ取付部53が備えられている。
一方、箱状のコントローラ54はその内部に制御用の電子部品54a、54bを備えるが、コントローラ54はコントローラ取付部53に対して水平に取り付けられ、言わば、コントローラ54がカウンタウエイト51に対して横置き状態で取り付けられた状態にある。
このコントローラ取付構造によれば、カウンタウエイト51が前後に十分な長さを備え、比較的大型のカウンタウエイト51となることから熱容量の大きなカウンタウエイト51をコントローラ54の放熱先として利用することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−172800号公報(第2−4頁、図4−6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した産業車両におけるコントローラ取付構造では、カウンタウエイト取付部53に対し、単にコントローラ54を横置き状態としただけに過ぎず、直ちにはカウンタウエイト51がコントローラ54の発熱の放熱先として必ずしも十分に利用されていないという問題がある。
つまり、カウンタウエイト54には、タイヤハウス52を設けるために大きく抉り取られている部分が存在することから、カウンタウエイト51を平面視した場合に、カウンタウエイト51において厚肉部51aと薄肉部51bといった熱容量の異なる部位が存在することになる。
【0006】
従来のコントローラ取付構造では、厚肉部51aと薄肉部51bにわたってコントローラ54が取り付けられているから、薄肉部51bに対してコントローラ54の熱を効率的に逃がすことができない。
特に、コントローラ54の両側付近がカウンタウエイト51の薄肉部51bに干渉していると言え、コントローラ54の両側付近では放熱の効率が悪く、コントローラ54の温度が過度に上昇するおそれがある。
【0007】
また、コントローラ54は比較的発熱量の大きな電子部品(高発熱部品)と発熱量の小さい電子部品(低発熱部品)を備えているが、例えば、図5(b)に示される電子部品54aを高発熱部品とし、電子部品54bを低発熱部品とする場合、電子部品54aが薄肉部51aに干渉する位置に備えられていると、発熱の放熱が不十分となるおそれがある。
こうしたコントローラ54に含まれる電子部品54a、54bの取り付け位置やお互いの配置は、その発熱量の多寡とカウンタウエイト51の形状との関係により設定されている訳ではない。
【0008】
また、従来の産業車両におけるコントローラ取付構造では、カウンタウエイト51のコントローラ取付部53に対してコントローラ54が水平に取り付けられていることから、コントローラ54内において結露等により生じた大量の水滴がまとまった水分として残留し続け、電子部品54a、54bの短絡によるコントローラ54の故障を招くおそれがあるという問題がある。
つまり、コントローラ54は車両の運転時において発熱しており、車両が停止してもしばらくはコントローラ54は高い温度を保ち、一方、コントローラ54の周囲が急速に冷却されることから、コントローラ54内に結露による水滴が発生することがある。
特に、車両の停止時に急冷される冷蔵庫や冬の屋外等の環境では、コントローラ54内において結露する水滴が大量となるおそれがあり、車両の運転を再開してもこうした大量の水滴が直ちに消滅する可能性は小さい。
こうした大量の水滴がまとまった水分としてコントローラ54内に引き続き残存すると、コントローラ内の電子部品の短絡を招くおそれがある。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、カウンタウエイトに対して横置き状態のコントローラが生じる発熱を効率的にカウンタウエイトへ放熱することができるコントローラ取付構造の提供にある。
さらに本発明の目的は、コントローラ内において結露等により生じた大量の水滴等のまとまった水分をコントローラ内に残存させることなく速やかにコントローラの外へ排出できるようにし、電子部品の短絡によるコントローラの故障を防止することができるコントローラ取付構造の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため請求項1に記載の発明は、車体に走行用モータ、荷役機構及びカウンタウエイトを備え、カウンタウエイトは後輪を収容可能なタイヤハウスを備え、走行用モータ及び荷役機構を駆動制御するコントローラがカウンタウエイトに取り付けられた産業車両におけるコントローラ取付構造において、カウンタウエイトは、タイヤハウスに干渉する部位である薄肉部と、薄肉部を除く厚肉部とを有し、カウンタウエイトにおける厚肉部の上部にコントローラ取付部が設けられ、コントローラ取付部に高放熱領域と低放熱領域を備えるとともに、高放熱領域及び低放熱領域がカウンタウエイトの形状に応じて設定され、高放熱領域におけるカウンタウエイトの肉厚が低放熱領域におけるカウンタウエイトの肉厚よりも厚く設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の発明によれば、カウンタウエイトにおける厚肉部の上部のコントローラ取付部において、カウンタウエイトの形状に応じて設定される高放熱領域及び低放熱領域にコントローラが取り付けられるが、カウンタウエイトにおける厚肉部はタイヤハウスに干渉する部位を除く部位であり、コントローラにおいて高放熱領域に対応する部位では、カウンタウエイトにおける肉厚が低放熱領域におけるカウンタウエイトの肉厚よりも厚く設定されている高放熱領域に対してコントローラの発熱が効率良く放熱される。従って、コントローラにおいて発熱が高い部位を高放熱領域に、一方、コントローラおいて発熱の低い部位を低放熱領域に位置合わせすれば、コントローラの部位によるばらついた発熱をそれぞれの領域を通じて放熱できるから、コントローラの発熱をカウンタウエイトに対して効率良く放熱することができる。高放熱領域におけるカウンタウエイトの肉厚が低放熱領域におけるカウンタウエイトの肉厚より厚く設定されていることにより、高放熱領域におけるカウンタウエイトの熱容量が低放熱領域におけるカウンタウエイトの熱容量よりも明らかに大きくなり、高放熱領域の放熱能力をさらに高めることが期待できる。なお、高放熱領域は、低放熱領域との比較において、カウンタウエイトに対して単位時間あたりの放熱能力が高い領域であり、低放熱領域は高放熱領域との相対的比較において放熱能力が低い領域を指す。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の産業車両におけるコントローラ取付構造において、コントローラ取付部が勾配を有することを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、結露等によりコントローラ内に大量の水滴等のまとまった水分が生じるとしても、コントローラ取付部が勾配を有することにより、こうしたまとまった水分は低い方へ流れ出し、さらにはコントローラ外に排出される。従って、コントローラ内に残留する水分により生じる電子部品の短絡が防止され、電子部品の短絡によるコントローラの故障が確実に防止される。なお、コントローラ取付部の勾配に基づいて流れ出さない程度の少量の水滴は、基本的にはコントローラに対する影響が小さいものとしている。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の産業車両におけるコントローラ取付構造において、コントローラは、高放熱領域に取り付けられる走行用コントローラと、低放熱領域に取り付けられる荷役用コントローラを備えることを特徴とすることを特徴とする。請求項3記載の発明によれば、荷役用コントローラと比較して高放熱領域に走行用コントローラが取り付けられる一方、低放熱領域に荷役用コントローラが取り付けられる。コントローラを構成する走行用コントローラ及び荷役用コントローラの発熱量に応じて走行用コントローラ及び荷役用コントローラが放熱に適した位置に取り付けられることから、走行用コントローラの発熱を効率良くカウンタウエイトに放熱され、過度に温度上昇することがない。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る産業車両におけるコントローラ取付構造(以後、単にコントローラ取付構造という)を図1〜図2に基づいて説明する。本実施形態のコントローラ取付構造は、産業車両としての四輪式バッテリフォークリフトに適用したものである。
まず、図1に示されるバッテリフォークリフト10の概要を説明すると、バッテリフォークリフト10は、基本的に車体11の前部に一対の前輪(図示せず)を備えており、これらの前輪は走行用モータ(図示せず)によって駆動されるものである。
また、車体11の前部には荷役機構(図示せず)を備えており、荷役機構の駆動により荷物等の荷役を行うことができるように図られている。
【0015】
一方、車体11の内部にはバッテリ室12が設けられており、このバッテリ室12にはバッテリセル(図示せず)を収容したバッテリケース13が設置され、バッテリケース13の上方に位置するように、車体11の上部には運転用シート14が備えられている。
また、車体11の後部にはカウンタウエイト15が備えられ、カウンタウエイト15の上部にはコントローラ16が取り付けられている。
このコントローラ16は電気コード17を備えており、この電気コード17はバッテリ室12の近傍を通過して車体11の前部に至っている。
なお、カウンタウエイト15の上部にはカウンタウエイト15を覆うフード23が備えられており、コントローラ16への雨水等の浸入を防止するように図られている。
【0016】
次に、カウンタウエイト15の詳細について図2に基づき説明する。
カウンタウエイト15は、先に述べたとおり、車体11の後部に配置されているが、荷役作業時における車両バランスを保持させる目的のほか、後述するコントローラ16の発熱の放熱先として利用される。
このカウンタウエイト15は、後輪18を収容可能なタイヤハウス19を両側に備えているが、この実施形態のカウンタウエイト15は鋳鉄を材料する鋳造により製作されており、カウンタウエイト15のタイヤハウス19は鋳造時において形成されるものである。
【0017】
また、カウンタウエイト15の上部は、図2(a)に示されるように、車体11との接続部15a側に形成される前方水平部15bと、前方水平部15bから後部にかけて形成される勾配面15cと、勾配面15cより後部に形成される後方水平部15dを備えている。
そして、勾配面15cにはコントローラ取付部20が設定されているが、このコントローラ取付部20は、コントローラ16の取付場所であり、この実施形態では約15度の角度に設定されている。
従って、カウンタウエイト15の上部における前方水平部15bと後方水平部15dの高さは異なり、後方水平部15dが前方水平部15bよりも高くなっている。
【0018】
このコントローラ取付部20が勾配を有する第1の理由は、結露等により生じる大量の水滴がコントローラ16内に発生する場合に、こうした水分をコントローラ16内からまとめて排出させるためである。
また、別の理由としては、コントローラ取付部20に勾配を付けることにより、カウンタウエイト15の後部の肉厚を増厚するためであり、この実施形態ではカウンタウエイト15の後部の肉厚を増厚させるような勾配となっている。
さらに、別の理由としては、カウンタウエイト15の後部へコントローラ取付部20を向けるためであり、コントローラ取付部20を、熱容量が大きく比較的肉厚の大きなカウンタウエイト15の後部へ向けることにより、放熱の効率を向上させることを意図している。
この実施形態では、コントローラ取付部20の勾配を設ける理由は、水分の排出が主たる目的となっているが、この場合、勾配の角度は少なくとも水分の量応じて流出可能な角度を設定すればよい。
【0019】
ところで、この実施形態では、図2(b)に示されるように、カウンタウエイト15を平面視した場合に、タイヤハウス19に干渉する部位はその肉厚が比較的薄い薄肉部15e(図2においてハッチングの部分)と言え、一方、タイヤハウス19と干渉する部位を除く部位は、肉厚が厚く薄肉部15eに対して厚肉部15f(図2においてハッチングを除いた部分)と言える。また、この厚肉部15fのうち、カウンタウエイト15の後部では、その前部と比較してカウンタウエイト15の材料の占める割合が最も多く、コントローラ16の発熱の放熱先として最も適している。この実施形態では、コントローラ取付部20に高放熱領域21と低放熱領域22が備えられているが、コントローラ取付部20において、カウンタウエイト15の後部寄りの領域を高放熱領域21とし、前部寄りの領域を低放熱領域22と設定しているが、このコントローラ取付部20の高放熱領域21及び低放熱領域22は、カウンタウエイト15の形状に応じて設定されるものとなっている。なお、低放熱領域22は高放熱領域21との相対的比較において放熱能力が低い領域を指すものとしている。さらに言うと、高放熱領域21は、低放熱領域22との比較において、カウンタウエイト15に対して単位時間あたりの放熱能力が高い領域である。
【0020】
次に、コントローラ16について説明する。
このコントローラ16は、カウンタウエイト15のコントローラ取付部20に取り付けられるが、走行用モータ及び荷役機構の駆動制御のためのものであり、パワーモジュールと称される複数の電子部品から主に構成されている。
この実施の形態のコントローラ16では、カバーケース16c内に走行用コントローラ部16aと荷役用コントローラ部16bを備えている。
この走行用コントローラ16aは走行用モータを主に駆動制御するためのものであり、また、荷役用コントローラ16bは主に荷役機構の駆動制御のためのものである。
なお、走行用コントローラ部16a及び荷役用コントローラ部16bは、その動作中に発熱するが、走行用コントローラ部16aは荷役用コントローラ部16bと比較して発熱量が大きいものである。
従って、コントローラ16全体としてみた場合、走行用コントローラ部16aとその周囲は発熱の高い部位と言え、また、荷役用コントローラ部16bとその周囲は発熱の低い部位と言える。
【0021】
この実施形態に係るコントローラ16のコントローラ取付部20への取り付けについて詳述すると、このコントローラ取付部20における高放熱領域21には走行用コントローラ部16aが直接的に取り付けられ、一方、高放熱領域21の前方の低放熱領域22には荷役用コントローラ部16bが同様に取り付けられており、さらに、カバーケース16cが両コントローラ部16a、16bを覆うように備えられている。
なお、カバーケース16cは、図示はしないが空隙あるいは通孔を備えるな等、コントローラ16内からコントローラ16外へまとまった水分を排出することができる構造となっている。
他方、両コントローラ部16a、16bのカウンタウエイト15に対する放熱を高めるために、これらのコントローラ部16a、16bと両領域21、22は互いに密着されている。
両領域21、22にコントローラ部16a、16bが取り付けられることにより、コントローラ部16a、16bが生じる熱は夫々の領域21、22を通じてカウンタウエイト15に直ちに放熱され、これらのコントローラ部16a、16bは過度に温度上昇することがない。
【0022】
ここでは、説明の便宜上、コントローラ16を走行用コントローラ部16aと荷役用コントローラ部16bに区別し、高放熱領域21に走行用コントローラ部16aを取り付けし、低放熱領域22に荷役用コントローラ部16bを取り付けするとしたが、高放熱領域21及び低放熱領域22に固定する対象を、コントローラ16を構成する電子部品単位としてもよく、例えば、基準となる発熱量を越えて発熱する電子部品(以後、高発熱部品という)を高放熱領域21に取り付け、一方、高放熱領域21に固定する高発熱部品以外の電子部品(以後、低発熱部品という)を低放熱領域21に取り付けてもよい。
また、高放熱領域21において複数の高発熱部品を取り付ける場合、高発熱部品の発熱量の多寡に応じて高発熱部品を取り付けする位置を設定してもよい。
この場合、高放熱領域21において、高発熱部品の発熱量の多寡に応じて取り付けられる位置が設定されることから、各高発熱部品の発熱量に応じた最適の位置に各高発熱部品を取り付けることになり、コントローラ15のより一層の効率的な放熱を図ることができる。
なお、通常、低発熱部品は低放熱領域22に取り付けられるものであるが、カバーケース16c内のスペースや各部品との関係等から、高放熱領域21に一部の低発熱部品を高発熱部品と共に取り付けてもよい。
【0023】
この実施形態に係るコントローラ取付構造によれば、コントローラ16のその作動中において走行用コントローラ部16a及び荷役用コントローラ部16bから生じる発熱は、コントローラ取付部20を通じてカウンタウエイト15へ速やかに移動する。
さらに詳しく説明すると、発熱量の大きい走行用コントローラ部16aの発熱は、高放熱領域21を通じて主にカウンタウエイト15の後部に対して効率的に放熱される。
一方、走行用コントローラ部16aに比較して発熱量が小さい荷役用コントローラ部16bの発熱は、低放熱領域22を通じて主にカウンタウエイト15の前部へ放熱される。
従って、コントローラ16において発熱量の大きな部位である走行用コントローラ部16aの発熱は、主に熱容量の大きなカウンタウエイト15の後部の厚肉部15fに放熱され、走行用コントローラ部16aは過度に温度上昇することない。
【0024】
一方、結露等により大量の水滴がコントローラ16内に生じたとしても、カウンタウエイト15におけるコントローラ取付部20が勾配を有することから、こうした大量の水滴は流れ出してまとまった水分となり、コントローラ16内に留まることがなく排出される。
なお、コントローラ取付部20が有する勾配により流れ出さない程度の水滴は、コントローラ16に対する影響は小さく、比較的で短時間で自然蒸発したり、あるいは車両の走行再開によるコントローラ16の発熱により蒸発する。
【0025】
この実施形態に係るコントローラ取付構造によれば、以下の効果を奏する。
(1)コントローラ16の走行用コントローラ部16aが高放熱領域21に取り付けられているから、走行用コントローラ16aの発熱は高放熱領域21を通じて速やかに熱容量の大きなカウンタウエイト15の後部に主に放熱され、コントローラ16を十分に冷却することができる。
(2)カウンタウエイト15のコントローラ取付部20が勾配を有するため、コントローラ16内に大量の水滴等のまとまった水分が留まることがなく、コントローラ16を構成する電子部品の短絡等によるコントローラ16の故障を防止することができる。
(3)高放熱領域21に高発熱部品が取り付けられる一方、低放熱領域22に低発熱部品が取り付けられ、コントローラ16を構成する電子部品の発熱量に応じて各電子部品が放熱に適した位置に取り付けられることから、コントローラ16の発熱を効率良くカウンタウエイト15に放熱することができる。
【0026】
(第2実施形態)次に、図3(a)及び図3(b)に示される第2の実施形態に係るコントローラ取付構造について説明する。まず、カウンタウエイト30を説明するが、この実施形態のカウンタウエイト30は先の実施形態と同様に四輪式のバッテリフォークリフトのカウンタウエイトであり、カウンタウエイトの両側にはタイヤハウス33が形成されている。従って、図3(b)に示されるように、カウンタウエイト30においてタイヤハウス33が干渉する部位は、肉厚の薄い薄肉部30b(図3においてハッチングの部分)が形成され、タイヤハウス33が干渉しない部位は肉厚が厚い厚肉部30a(図3においてハッチングを除く部分)として形成される。一方、この実施形態に係るカウンタウエイト30の上部は、前後に高さの異なる第1水平面30cと第2水平面30dを備えている。そして、カウンタウエイト30の上部に設けられるコントローラ取付部31は、第1水平面30c及び第2水平面30dに対応して、第1コントローラ取付部31aと第2コントローラ取付部31bの2箇所に分離されている。
【0027】
ここでは、カウンタウエイト30の後部において高い第1水平面30cにおける厚肉部30aに第1コントローラ取付部31aが設けられ、他方、カウンタウエイト30の前部において低い第2水平面30dの厚肉部30aに第2コントローラ取付部31bが設けられている。この実施形態では、第1コントローラ取付部31aが高放熱領域として備えられていることになり、また、第2コントローラ取付部31bが低放熱領域として備えられていることになる。
【0028】
一方、第1コントローラ取付部31a及び第2コントローラ取付部31bに対応するように、コントローラ32は第1コントローラ部32a及び第2コントローラ部32bに分割されている。
ここでは、第1コントローラ部32aはケースカバー32cを備えた走行用コントローラ部となっており、第2コントローラ部32bはケースカバー32dを備えた荷役用コントローラ部となっている。
そして、第1コントローラ部32aは高放熱領域である第1コントローラ取付部31aに取り付けられており、一方、第2コントローラ部32bは低放熱領域である第2コントローラ取付部32bに取り付けられている。
【0029】
従って、この実施形態に係るコントローラ取付構造によれば、各コントローラ32a、32bの作動時には、走行用コントローラ部としての第1コントローラ部32aの発熱は高放熱領域である第1コントローラ取付部31aを通じて主にカウンタウエイト30の後部へ放熱され、一方、荷役用コントローラ部としての第2コントローラ部32bの発熱は低放熱領域である第2コントローラ部32bを通じて主にカウンタウエイト30の前部に放熱される。
この実施形態に係るコントローラ取付構造によれば、以下の効果を奏する。
(1)コントローラ取付部31を第1コントローラ取付部31a及び第2コントローラ取付部31bに分割したことから、高放熱領域や低放熱領域をより適切な位置に設定することができる。
(2)コントローラ32を、第1コントローラ部32a及び第2コントローラ部32bに分割したことから、各コントローラ部32a、32bの発熱量の大きさに応じてより放熱に適切なコントローラ取付部31に各コントローラ部32a、32bを固定することができる。
(3)カウンタウエイト30の上部において、高さが互いに異なるように第1コントローラ取付部31a及び第2コントローラ取付部31bが備えられているが、連続した勾配を有するコントローラ取付部とする場合よりも、カウンタウエイト30の後部の肉厚を増厚させることが容易となり、また、カウンタウエイト30の肉厚の増厚に対する自由度が高い。
【0030】
(第3の実施形態)
次に、図4(a)及び図4(b)に示される第3の実施形態に係るコントローラ取付構造について説明する。
この実施形態に係るカウンタウエイト40は、三輪式フォークリフト用のカウンタウエイトであり、ここでは後輪が一輪であることからカウンタウエイト40の中央付近が抉り取られるようにしてタイヤハウス41が形成されている。
また、カウンタウエイト40の上部には、内側から外側へ向かう1対の勾配面40a、40aが備えられている。
そして、各勾配面40に対してコントローラ取付部42が左右一対備えられ、この実施形態では、左右一対のコントローラ取付部42に夫々コントローラ43が取り付けられる。
このコントローラ取付部42が有する勾配面40aは、コントローラ43内において生じる水分の排出を目的としている。
【0031】
そして、これらのコントローラ取付部42には高放熱領域42a及び低放熱領域42bが設定されているが、コントローラ取付部42の外側半分が高放熱領域42aとなっており内側半分が低放熱領域42bとなっている。
高放熱領域42aはカウンタウエイト40の肉厚が最も厚く、一方、低放熱領域42bはタイヤハウス41と接近していることから高放熱領域42aと比較してその肉厚が薄くなっている。
なお、勾配面40aの後方にはカウンタウエイト40の増厚を図るための増厚部40bがカウンタウエイト40に幅方向に設けられている。
【0032】
一方、この実施形態に係るコントローラ43は、左右一対のコントローラ取付部42に固定されることから2台となっているが、2台のコントローラ43、43により走行用モータ及び荷役機構の駆動制御を図るようにしている。
そして、夫々のコントローラ43には発熱量の大きい高発熱部品43aと発熱量が小さい低発熱部品43bが共に備えられており、高発熱部品43aは高放熱領域42aに取り付けられ、一方、低発熱部品43bは低放熱領域42bに取り付けられるように構成されている。
【0033】
この実施形態に係るコントローラ取付構造によれば、各コントローラ43の高発熱部品43aは高放熱領域42aに取り付けられることから、高発熱部品43aの発熱は高放熱領域42aを通じて主にカウンタウエイト40の肉厚の大きな部位へ速やかに放熱され、低発熱部品43bは低放熱領域42bを通じてカウンタウエイト40のタイヤハウス42周辺へ主に放熱される。
また、結露等により大量の水滴等のまとまった水分が生じたとしても、コントローラ取付部42が有する勾配により、これらの水分が流れ出してコントローラ43内から排出される。
【0034】
この実施形態のコントローラ取付構造によれば、以下の効果を奏する。
(1)三輪式フォークリフトにおいてコントローラ43の発熱をカウンタウエイト40に対して効率良く放熱でき、コントローラ43を十分に冷却することができる。
(2)2台のコントローラ43、43により走行用モータ及び荷役機構を駆動することから、コントローラ43が備える高発熱部品が分散され、1台のコントローラとする場合よりも、コントローラ43の放熱を速やかに行うことができる。
(3)左右一対のコントローラ取付部42aにコントローラ43が夫々固定されることから、カウンタウエイト40の幅方向のバランスが安定する。
【0035】
なお、本発明は、上記した第1及び第2の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、各コントローラ取付部における高放熱領域と低放熱領域の面積がほぼ同一となっているが、例えば、高発熱部品及び低発熱部品の発熱量や部品サイズ等の諸条件に応じてこれらの領域の面積を適宜変更してもよい。この場合、高放熱領域に対する高発熱部品の密着面を広くすることにより、より効率的な放熱を図ることができる。
○ 第1、第2の実施形態では、コントローラを発熱量の大きい走行用コントローラ部と発熱量の低い荷役用コントローラ部のように、発熱量の大小のみについて説明したが、コントローラの発熱量の大小にのみ限られず、例えば、コントローラの発熱量の大きさが大中小の三段階というように、発熱量の大きさを多段階とし、各段階の発熱量との相対的な比較において高放熱領域と低放熱領域を設定してもよい。
○ 第2の実施形態では、コントローラを第1コントローラ部及び第2コントローラ部の2個に分割したが、コントローラを構成する電子部品の内容により3個以上に分割してもよい。この場合、各コントローラ部を用いて車両バランスを調整することも可能となる。
○ 第3の実施形態では、2台のコントローラに夫々高発熱部品及び低発熱部品を備えるようにしたが、例えば、右側のコントローラを高発熱部品のみとし、左側のコントローラを低発熱部品を含むようにしてもよい。さらにコントローラを3台以上設けるようにしてもよい。
○ 第1の実施形態では、カウンタウエイトのコントローラ取付部の勾配をカウンタウエイトの前部から後部へ向かう勾配としたが、コントローラ内の水分除去を目的とする場合、その勾配の向きは自由であり、例えば、後部から前部への勾配や、幅方向に向かう勾配としてもよい。この場合、第1の実施形態と同様にコントローラ内からまとまった水分を排出することができる。
○ 第2の実施形態では、第1コントローラ取付部及び第2コントローラ取付部とも水平面としたが、各コントローラ内の水分の排出のために、夫々のコントローラ取付部について個々に勾配を有する面としてもよい。この場合、各コントローラのサイズや形状に応じて勾配を設定することができる。
○ コントローラから排出された水分をさらに車体外へ排出しやすくするために、カウンタウエイトにおけるコントローラの周辺に水抜孔や導水溝を設けてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)カウンタウエイトに対して横置き状態のコントローラが生じる発熱を効率的にカウンタウエイトへ放熱することができる。
(2)コントローラ内において結露等により生じた大量の水滴等のまとまった水分をコントローラ内に残存させることなく速やかにコントローラの外へ排出できるようにし、電子部品の短絡によるコントローラの故障を防止することができる。
(3)荷役用コントローラと比較して高放熱領域に走行用コントローラが取り付けられる一方、低放熱領域に荷役用コントローラが取り付けられる。コントローラを構成する走行用コントローラ及び荷役用コントローラの発熱量に応じて走行用コントローラ及び荷役用コントローラが放熱に適した位置に取り付けられることから、走行用コントローラの発熱を効率良くカウンタウエイトに放熱され、過度に温度上昇することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るコントローラ取付構造を示すバッテリフォークリフトの要部側面図及びカウンタウエイトの平面図である。
【図2】第1の実施形態に係るコントローラ取付構造を示す斜視図及び平面図である。
【図3】第2の実施形態に係るコントローラの取付構造を示す斜視図及び平面図である。
【図4】第3の実施形態に係るコントローラの取付構造を示す斜視図及び側面図である。
【図5】従来のコントローラの取付構造を示すバッテリフォークリフトの要部側面図及びカウンタウエイトの平面図である。
【符号の説明】
10 バッテリフォークリフト
11 車体
15 カウンタウエイト
16 コントローラ
16a 走行用コントローラ部
16b 荷役用コントローラ部
18 タイヤハウス
21 高放熱領域
22 低放熱領域
Claims (3)
- 車体に走行用モータ、荷役機構及びカウンタウエイトを備え、カウンタウエイトは後輪を収容可能なタイヤハウスを備え、走行用モータ及び荷役機構を駆動制御するコントローラがカウンタウエイトに取り付けられた産業車両におけるコントローラ取付構造において、カウンタウエイトは、タイヤハウスに干渉する部位である薄肉部と、薄肉部を除く厚肉部とを有し、カウンタウエイトにおける厚肉部の上部にコントローラ取付部が設けられ、コントローラ取付部に高放熱領域と低放熱領域を備えるとともに、高放熱領域及び低放熱領域がカウンタウエイトの形状に応じて設定され、高放熱領域におけるカウンタウエイトの肉厚が低放熱領域におけるカウンタウエイトの肉厚よりも厚く設定されていることを特徴とする産業車両におけるコントローラの取付構造。
- コントローラ取付部が勾配を有することを特徴とする請求項1に記載の産業車両におけるコントローラの取付構造。
- コントローラは、高放熱領域に取り付けられる走行用コントローラと、低放熱領域に取り付けられる荷役用コントローラを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の産業車両におけるコントローラ取付構造。
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