JP4206913B2 - シートベルト補助装置 - Google Patents

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本発明は、妊婦などがシートベルトを着用する際に利用されるシートベルト補助装置に関するものである。
従来において、自動車等には、急ブレーキ時や衝突時などに乗員の安全性を確保するためのシートベルトが備え付けられている。例えば、三点式シートベルトの場合、ショルダベルトによって乗員の上半身をホールドし、ラップベルトによって乗員の腰部をホールドすることで、乗員の十分な拘束性能が担保される。しかし、妊婦や肥満体などの腹部の大きな乗員が乗車する場合、ラップベルトは、腰部分ではなく腹部に掛かる傾向にあり、十分な拘束性が得られないことがある。特に、妊婦の場合には、胎児への影響を考慮して、腹部にラップベルトが掛かることは好ましくない。このような事態を回避するために、シートクッション型のマタニティシートベルトが市販されている。このマタニティシートベルトは、ラップベルトを下方に引き寄せておくために、シートクッションの両側から延び出た補助ベルトを有している。そして、この補助ベルトに設けられた面ファスナによって、ラップベルトとシートクッションとを連結し、シートベルト装着時において、面ファスナの調整機能によりラップベルトが妊婦に与える圧迫感を軽減している。
特開2003−226224号公報 特開2003−200815号公報 実開平6−44655号公報 実開昭64−19555号公報 特開2003−312号公報 実用新案登録第3023593号公報
しかしながら、前述したマタニティシートベルトは、この補助ベルトに設けられた面ファスナによって、ラップベルトとシートクッションとを連結させる構成を有しているので、面ファスナが劣化などしていると、ラップベルトを拘束し難く、急ブレーキ時や衝突時に面ファスナが外れてしまう場合がある。
本発明は、ラップベルトの拘束性を良好にしたシートベルト補助装置を提供することを目的とする。
本発明に係るシートベルト補助装置は、ラップベルトを下方に引き寄せるためのシートベルト補助装置において、上端側がラップベルトに巻き付けられると共に、ラップベルトを下方に引き寄せる補助ベルトと、補助ベルトの上端側で所定の間隔をもって設けられた第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とからなると共に、第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とを面合わせすることにより補助ベルトをラップベルトに巻き付け固定させる面ファスナと、第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分との面合わせを保持するファスナ保持手段とを備え、
ファスナ保持手段は、面合わせされた第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とを包囲するケースと、ケースの側壁に設けられると共に、補助ベルトの延在方向に沿って傾斜するガイド部と、ガイド部に沿って移動自在なスライダ部とを備えたことを特徴とする。
このシートベルト補助装置においては、補助ベルトをラップベルトに固定する際に面ファスナが利用されているので、ラップベルトが妊婦などの乗員に与える圧迫感を任意に調整することができる。さらに、ファスナ保持手段により、第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分との面合わせを外的に保持するので、急ブレーキ時や衝突時に面ファスナが外れてしまうような事態を回避することができる。このようなシートベルト補助装置の採用により、ラップベルトの十分な拘束性が担保され、シートベルトによる乗員の安全性を更に向上させることができる。
さらに、ファスナ保持手段は、面合わせされた第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とを包囲するケースと、ケースの側壁に設けられると共に、補助ベルトの延在方向に沿って傾斜するガイド部と、ガイド部に沿って移動自在なスライダ部とを備える。急ブレーキ時や衝突時において、補助ベルトがラップベルトから外れようとする力が作用した場合でも、第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とがスライダ部によって互いに圧着される状態が維持されている限りにおいて、補助ベルトがラップベルトから外れることがない。
また、ファスナ保持手段は、スライダ部をラップベルト側に向けて付勢するバネ手段を更に備えると好適である。補助ベルトをラップベルトに装着する際、スライダ部から指を離すと、バネ手段によってスライダ部がラップベルト側に自動的に移動する。その結果、スライダ部は、バネ力により面ファスナを適度な力で締め込むことができ、ファスナ保持手段の確実な装着が容易に達成される。
また、補助ベルトには、ファスナ保持手段の近傍で且つ下方に位置するストッパ棒収容部が設けられていると好適である。ストッパ棒収容部内にストッパ棒を入れ込むと、ストッパ棒はファスナ保持手段の近傍で且つ下方に配置される。従って、急ブレーキ時や衝突時において、補助ベルトがラップベルトから外れようとした場合、補助ベルトの移動に追従してストッパ棒も移動し、ストッパ棒がファスナ保持手段に当たるので、このストッパ棒は補助ベルトの移動を規制し、ラップベルトから補助ベルトが外れるのが防止される。
また、補助ベルトには、ファスナ保持手段のスライダ部に下側から係合するロック部材が着脱自在に設けられていると好適である。急ブレーキ時や衝突時において、補助ベルトがラップベルトから外れようとした場合、補助ベルトの移動に追従してロック部材も移動する。その結果、補助ベルトに装着したロック部材がスライダ部に当たり続け、ロック部材がスライダ部を下側から押し続ける。従って、第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とがスライダ部によって互いに強い力で圧着され続けることになり、急ブレーキ時などでも補助ベルトがラップベルトから極めて外れ難くなる。
本発明によれば、急ブレーキ時や衝突時などにおいて、補助ベルトによるラップベルトの拘束性が良好になる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るシートベルト補助装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各実施形態の説明において、同一又は同等の構成部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1及び図2に示されたシートベルト装置1は三点式であり、ショルダベルト2で乗員CRの上半身をホールドし、ラップベルト3で乗員CRの腰部分をホールドする。しかし、このようなシートベルト装置1を妊婦や肥満体などの腹部Bが大きな乗員が単に装着すると、ラップベルト3は、ズリ上がって腰部分ではなく腹部Bに掛かる傾向にあり、十分な拘束性が得られないことがある。特に、妊婦の場合、胎児への影響を考慮して、二点鎖線で示すようにラップベルト3が腹部Bに掛かることは好ましくない。
そこで、シートSの両側において、ラップベルト3を腰の部分で下方に引き寄せるためのシートベルト補助装置10が利用される。このシートベルト補助装置10は、図3〜図5に示すように、ラップベルト3が弛むのを防止するためにラップベルト3を下方に引き寄せる補助ベルト11を有している。この補助ベルト11の上端は、ラップベルト3に着脱自在に巻き付けられ、補助ベルト11の下端は、シートSの側面に設けられた補助バックル12に着脱自在に装着される。
この補助ベルト11は、伸縮し難い生地(例えばシートベルトと同一生地)によって作られており、この補助ベルト11の下端にはU字状のフック部13が固定されている。例えば、このフック部13の上端に設けられた開口部13a内に補助ベルト11の下端を通した後、補助ベルト11の先端を縫い付けることで、フック部13が補助ベルト11の下端に固定される。これに対し、シートSの側面には、金属製の補助バックル12がネジ固定され、この補助バックル12の上端には、フック部13を引っ掛けるための掛止めバー12aが一体に形成されている。
これに対し、補助ベルト11の上端側には面ファスナ14が設けられ、この面ファスナ14は、補助ベルト11の上端側で所定の間隔をもって設けられた第1の面ファスナ部分16と第2の面ファスナ部分17とからなる。そして、第1の面ファスナ部分16と第2の面ファスナ部分17とを面合わせにより補助ベルト11はラップベルト3に巻き付け固定される。例えば、この面ファスナ14は、小さなループ部が密に並んだ第1の面ファスナ部分16と、小さな鍵状のフック部が密に並んだ第2の面ファスナ部分17とからなり、多数のフック部がループ部に引っ掛かることで、補助ベルト11がラップベルト3にしっかりと固着される。このような面ファスナ14を利用することで、補助ベルト11の長さ調整機能が達成され、ラップベルト3が妊婦などの乗員に与える圧迫感を調整することができる。
このような補助ベルト11を利用してラップベルト3をシートSに引き寄せた場合、補助ベルト11の下端は、フック部13によってシートSにしっかりと固定されている。しかし、補助ベルト11の上端は、面ファスナ14をもってラップベルト3に固定されているだけなので、面ファスナ14の劣化などの原因により、急ブレーキ時や衝突時に第1の面ファスナ部分16から第2の面ファスナ部分17が外れると、補助ベルト11によるラップベルト3の拘束が十分になされず、妊婦などの乗員がサブマリン現象と呼ばれる事態になる場合がある。
そこで、図4〜図6に示すように、シートベルト補助装置10は、第1の面ファスナ部分16と第2の面ファスナ部分17との面合わせを保持するファスナ保持手段20を更に備える。ファスナ保持手段20は、面合わせされた第1の面ファスナ部分16と第2の面ファスナ部分17とを外側から包囲する樹脂製のケース21を有する。このケース21の上壁22及び下壁23には、補助ベルト11を挿入するための開口部22a,23aが形成されている。さらに、このケース21の両側壁26,26には、補助ベルト11の延在方向に沿って傾斜する左右一対のガイド部27,27が設けられ、このガイド部27はガイドレールとして形成されている。
さらに、ケース21内には、左右のガイドレール(ガイド部)27に沿って移動自在なスライダ部28が配置され、このスライダ部28の側面には、ガイドレール27が入り込む程度の大きさを有するガイド溝29が形成されている。また、ガイドレール27は、上方に行くにつれて補助ベルト11に近づくように延在する。従って、スライダ部28を上方に強く引き上げることによって、スライダ部28と底壁25との協働により第1の面ファスナ部分16が第2の面ファスナ部分17に圧着される。そして、シートベルト装着時にこの状態を維持し続けると、急ブレーキ時や衝突時などで、補助ベルト11がラップベルト3から外れようとする力が作用しても、補助ベルト11がラップベルト3から外れることがない。よって、補助ベルト11によって、ラップベルト3の十分な拘束性が担保され、妊婦などの乗員の安全性を更に向上させることができる。なお、スライダ部28の裏面には、滑り止め対策として凹凸状の摩擦面28a(図6参照)が形成され、スライダ部28のロック状態を最適に維持し続けることができる。
[第2の実施形態]
図7及び図8に示すように、他のシートベルト補助装置30におけるファスナ保持手段31は、スライダ部28をロック方向すなわちラップベルト3側に向かう方向に付勢するバネ手段33を更に備えている。すなわち、ケース21の上部において、ケース21の上壁22とスライダ部28とを引張りバネ(バネ手段)33で連結し、スライダ部28が常に上向きに付勢される。なお、バネ手段33として圧縮バネを利用する場合には、図示しないが、ケース21の下部において、ケース21の下壁23とスライダ部28との間に配置させる。従って、スライダ部28から指を離すと、バネ手段33によってスライダ部28をラップベルト3側に自動的に移動させることができる。その結果として、スライダ部28は、バネ力により面ファスナ14を適度な力で締め込み続けることができる。
[第3の実施形態]
図9〜図11に示すように、さらに他のシートベルト補助装置40における補助ベルト41の先端には、円柱状の金属又は樹脂製のストッパ棒42を収容するためのストッパ棒収容部43が形成されている。このストッパ棒収容部43は、横からストッパ棒42を差し込めるように、縫合によって袋状に形成されている。また、このようなストッパ棒収容部43は、補助ベルト11の利用時において、補助ベルト11の上端側でファスナ保持手段20の近傍且つ下方に配置されることになる。
そこで、面ファスナ14上にファスナ保持手段20を装着した状態で、ストッパ棒収容部43内にストッパ棒42を横から差し込むと、ストッパ棒42を、ファスナ保持手段20の近傍且つ下方に配置させることができる。よって、急ブレーキ時や衝突時において、補助ベルト41がラップベルト3から外れようとした場合でも、補助ベルト41の移動に追従してストッパ棒42も移動し、その結果として、ストッパ棒42がファスナ保持手段20に当たる。従って、このストッパ棒42は、補助ベルト41の移動を規制し、ラップベルト3から補助ベルト41が外れるのを適切に防止する。
[第4の実施形態]
図12及び図13に示すように、さらに他のシートベルト補助装置50では、更に板状のロック部材51が面ファスナ52を介して補助ベルト41に着脱自在に装着されている。このロック部材51は、ストッパ棒42の近傍において、面ファスナ52を介して補助ベルト41に装着され、ロック部材51の上端は、開口部23a内に潜り込むよう装着される。これによって、ロック部材51をスライダ部28に近づけることができる。
よって、急ブレーキ時や衝突時において、補助ベルト41がラップベルト3から外れようとした場合でも、補助ベルト41の移動に追従してロック部材51も移動し、その結果として、補助ベルト41に装着したロック部材51がスライダ部28に当たり続け、ロック部材51がスライダ部28を下側から押し続ける。従って、第1の面ファスナ部分16と第2の面ファスナ部分17とが、スライダ部28と底壁25との協働により互いに強い力で圧着され、急ブレーキ時などでも補助ベルト41がラップベルト3から極めて外れ難くなる。なお、ロック部材51は、補助ベルト41に対して面ファスナ52を介して着脱自在に構成されている。従って、ロック部材51は補助ベルト41に対して後付けが可能であり、ロック部材51の装着を確実なものにする。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、三点式シートベルトに限定されず、バス、航空機、ジェットコースなどで採用されている二点式シートベルトのラップベルト3に補助ベルト11を装着させても、良好な効果が得られる。また、図示しないが、ガイド部27を傾斜状のガイド溝として形成した場合、スライダ部28の側面から突出させた摺動ピンをガイド溝内に挿入した構成であってもよい。また、バネ手段33は板バネであってもよい。また、補助ベルト11の下端は車内のフロアに固定してもよい。
シートベルト装置に本発明に係るシートベルト補助装置を適用した第1の実施形態を示す側面図である。 図1に示したシートベルト装置の正面図である。 本発明に係るシートベルト補助装置を示す側面図である。 図3のIV−IV線に沿う断面図である。 シートベルト補助装置の要部を示す斜視図である。 ファスナ保持手段を示す斜視図である。 シートベルト補助装置の第2の実施形態を示す断面図である。 ファスナ保持手段の他の例を示す斜視図である。 シートベルト補助装置の第3の実施形態を示す断面図である。 補助ベルトのストッパ棒収容部を示す斜視図である。 ストッパ棒収容部及びストッパ棒を示す斜視図である。 シートベルト補助装置の第4の実施形態を示す断面図である。 補助ベルトにロック部材を装着した状態を示す斜視図である。
符号の説明
3…ラップベルト、10,30,40,50…シートベルト補助装置、11,41…補助ベルト、14…面ファスナ、16…第1の面ファスナ部分、17…第2の面ファスナ部分、20,31…ファスナ保持手段、21…ケース、26…ケースの側壁、27…ガイドレール(ガイド部)、28…スライダ部、33…引張りバネ(バネ手段)、42…ストッパ棒、43…ストッパ棒収容部、51…ロック部材。

Claims (4)

  1. ラップベルトを下方に引き寄せるためのシートベルト補助装置において、
    上端側が前記ラップベルトに巻き付けられると共に、前記ラップベルトを下方に引き寄せる補助ベルトと、
    前記補助ベルトの前記上端側で所定の間隔をもって設けられた第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とからなると共に、前記第1の面ファスナ部分と前記第2の面ファスナ部分とを面合わせすることにより前記補助ベルトを前記ラップベルトに巻き付け固定させる面ファスナと、
    前記第1の面ファスナ部分と前記第2の面ファスナ部分との面合わせを保持するファスナ保持手段とを備え、
    前記ファスナ保持手段は、
    面合わせされた前記第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とを包囲するケースと、
    前記ケースの側壁に設けられると共に、前記補助ベルトの延在方向に沿って傾斜するガイド部と、
    前記ガイド部に沿って移動自在なスライダ部とを備えたことを特徴とするシートベルト補助装置。
  2. 前記ファスナ保持手段は、前記スライダ部を前記ラップベルト側に向けて付勢するバネ手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のシートベルト補助装置。
  3. 前記補助ベルトには、前記ファスナ保持手段の前記スライダ部を下側から押すロック部材が着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のシートベルト補助装置。
  4. ラップベルトを下方に引き寄せるためのシートベルト補助装置において、
    上端側が前記ラップベルトに巻き付けられると共に、前記ラップベルトを下方に引き寄せる補助ベルトと、
    前記補助ベルトの前記上端側で所定の間隔をもって設けられた第1の面ファスナ部分と第2の面ファスナ部分とからなると共に、前記第1の面ファスナ部分と前記第2の面ファスナ部分とを面合わせすることにより前記補助ベルトを前記ラップベルトに巻き付け固定させる面ファスナと、
    前記第1の面ファスナ部分と前記第2の面ファスナ部分との面合わせを保持するファスナ保持手段とを備え、
    前記補助ベルトには、前記ファスナ保持手段の近傍で且つ下方に位置するストッパ棒収容部が設けられていることを特徴とするシートベルト補助装置。
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