JP4206531B2 - オフセット印刷方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷機のオフセット印刷方法に関連し、更に詳細には試し刷り枚数を削減しうるオフセット印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、枚葉印刷機や輪転印刷機において印刷を行なう場合、印刷版を各色の印刷ユニットに取り付けた後、各々の印刷版の絵柄面積とその分布に応じてインキの供給量を調整し、印刷物の色調合わせを行っていた。その色調合わせは試し刷りでなされていたが、この試し刷りの間の印刷物は当然色調に問題があり、製品として出荷することができない。従って、原価削減のためには試し刷り枚数を削減することが必要であり、その為にいくつもの設備、方法が提案されてきた。
【0003】
当初提案されたのは絵柄面積率計と呼ばれる機械設備で、印刷版の絵柄面積とその分布を測定し、それによりインキ供給量を調整する手段であるインキキー開度を演算し、そのインキキー開度を印刷機に入力することで、印刷開始時から印刷版に応じたインキ供給を行い、試し刷り枚数を削減するものである。ここで、簡単にインキキーの構造を説明すると、インキ元ローラーの横軸に沿って複数のブレードを並べた構造を持ち、このブレードとローラーとの間隔(これを開度という)を変化させることでインキローラー上のインキ皮膜膜厚を調整し、インキ供給量を制御するものである。
【0004】
しかしながら、絵柄面積率計単独では試し刷り枚数を大きく削減することはできなかった。すなわち、印刷版(絵柄面積とその分布が異なる)を交換した際には、前の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜がインキローラー群上に形成されており、この膜厚分布が次の印刷版に応じた膜厚分布に対応するには多数の試し刷り枚数が必要であった。この傾向は、多量のインキ供給を必要とする印刷版から、少量で良い印刷版に交換する際に顕著で、その場合、試し刷りで消費される印刷物一枚当たりのインキ量が少ないため、例えインキが一切供給されていなくても、適性な膜厚分布になるまでに大量の試し刷り枚数が必要である。しかも、絵柄面積率計のデータに基づき適性量のインキが供給されていた場合、インキの消費量と供給量の差は少なく、試し刷り枚数が逆に多くなるという課題があった。
【0005】
そこで、試し刷りの枚数を削減するものとして、特公平4−4947号公報に開示されたものがある。これは、印刷開始前にインキキーの全てのブレードの開度を一律にして開き、インキローラー上に均一な膜厚分布のインキ皮膜を形成、しかる後に絵柄面積率計のデータに基づいて各ブレードの開度を調整するものである。
【0006】
しかしながらこの方法は、印刷機初動当初の印刷、つまり、インキローラー群上にインキが存在しない場合より印刷を開始する場合においては、試し刷り枚数を削減することができたが、印刷版を交換して印刷する場合には、試し刷り枚数を大きく削減することはできなかった。すなわち、印刷版を交換した際にインキローラー群上に形成されている前の印刷版に対応した膜厚分布を有するインキ皮膜に対しては、インキの供給と搬出なしでインキローラー群を所定回数回転させて、均一な膜厚分布のインキ皮膜を形成して対応しており、形成されたインキ皮膜が厚くなってしまう。そのため、多量のインキ供給を必要とする印刷版から、少量で良い印刷版に交換する際に、試し刷りで消費される印刷物一枚当たりのインキ量が少ない(印刷版の絵柄面積が少ないため消費量も少ない)ため、適性な膜厚分布のインキ皮膜になるまでに相応な試し刷り枚数が必要であるという課題があった。無論その場合、厚いインキ皮膜は、ならされることで、均一な厚さとなり、その後に印刷によって消費されることで、適正なインキ皮膜となるため、単純に絵柄面積率計を使用する場合に比較して消費しなくてはならないインキ量を削減することはできるが、インキを一切搬出しない以上、インキローラー群上のインキ総量が減ずるわけではなく、適性な膜厚分布のインキ皮膜になるまでに相応な試し刷り枚数が必要であるという課題は未解決のままであった。
【0007】
そこで、消費する必要があるインキローラー群上のインキ総量を減ずる方法として、特開平4−173248号公報に開示されたものがある。これは、印刷版を交換する時に、インキローラー群を最大速度で回転させて、そのインキをインキ壺に回収することで、インキローラー群上のインキ皮膜を最小とし、それを初期状態として、その後に絵柄面積率計のデータに基づいてインキを供給し、適正な膜厚分布のインキ皮膜を形成するものである。
【0008】
しかしながら、この方法は、一度乳化したインキをインキ壺に戻すこととなるため、インキの性能劣化を招き、作業能率や印刷品質が低下するという課題があった。すなわち、オフセット印刷は、印刷版上において、インキと水(湿し水という)がバランスを持って乳化することで印刷がなりたっている。そのため、印刷版上や印刷版に直接インキを供給するインキ付けローラー上のインキは乳化した状態にあり、この乳化インキをインキ壺の生インキに混入することとなるため、インキ自身の性能が劣化することとなる。その結果、本来乳化インキではなく生インキだけを対象として設定されたインキローラー部分に乳化インキが供給されることで発生する不良や、過剰乳化等が起こりやすくなり、色々な作業不良、印刷不良を起こす原因となる。例えば、作業不良としては、ローラーはげと呼ばれる不良があり、これは乳化したインキをインキローラーで練ってしまったために水が絞り出され、その水がインキローラー群の中の金属ローラー表面に付着してインキ転移を阻害し印刷自体が困難になる不良である。また、例えば、品質不良としては、フロキュレーションと呼ばれる不良があり、これは、水がインキではなく、その中の顔料と乳化してしまい、インキ自体の構造が破壊され極端に光沢が低下しボソボソの状態となり、印刷品質が極端に劣化する不良である。これらの例の様に、本来、水が無いことを前提としているインキ壺やインキローラーの部分に、水を含む乳化インキが入り込むことで作業能率や印刷品質が低下するという課題があった。
【0009】
また、この方法では、単にインキ壺に回収しているため、インキローラー群上の膜厚分布を均一にすることが不可能で、その不均一な膜厚分布を初期状態としているため、その後に絵柄面積率計のデータに基づいてインキを供給したとしても、適正な膜厚分布のインキ皮膜を形成することが困難である。すなわち、印刷版の絵柄に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜に対し、インキローラー群を最大速度で回転させてインキ壺に回収したとしても、膜厚分布に無関係に一定比率(1/2づつ転移する)でインキを取り去るため、インキローラー群上の膜厚分布は均一になることはない。無論、インキローラー群上のインキ総量を削減するため、試し刷りに必要な印刷枚数を比較的削減することは可能であったが、適性な膜厚分布のインキ皮膜になるまでに相応な試し刷り枚数が必要であるという課題は未解決のままであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、少ない試し刷り枚数で印刷物の色調合わせを行いえるオフセット印刷方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも、インキ元ローラー及びインキキーを有しインキを一時的に貯蔵できるインキ壺と、印刷を行なう版胴と、前記インキ壺より前記インキ元ローラーと離接するように往復運動するインキ呼出ローラーを介してインキの供給を受け、当該インキをインキ付けローラーを介して前記版胴に供給するインキローラー群とを有し前記インキキーの開度により前記インキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を調整するオフセット印刷機におけるオフセット印刷方法において、
所定枚数印刷物の印刷終了後にオフセット印刷機停止命令を入力し、該命令入力後に、前記インキキーを閉じ、前記インキ元ローラーの回転及び前記インキ呼出ローラーの往復運動を停止し、該インキ呼出ローラーをインキローラー群に接触させ、前記インキ壺からインキローラー群へのインキ供給を停止した状態で所定枚数だけ印刷し、前記インキローラー群のインキ皮膜の膜厚分布がほぼ平滑となる時点で、前記インキ付けローラーを版胴から離し、前記インキローラー群及び前記インキ付けローラーの回転を停止した状態で、印刷版上のインキ及びブランケット上のインキを消費させながらさらに印刷し、しかる後に、オフセット印刷機の印刷を停止することを特徴とするオフセット印刷方法である。
【0012】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、所定枚数印刷物の印刷終了後にオフセット印刷機停止命令を入力し、該命令入力後に、前記インキキーを閉じ、前記インキ元ローラーの回転及び前記インキ呼出ローラーの往復運動を停止し、該インキ呼出ローラーをインキローラー群に接触させ、前記インキ壺からインキローラー群へのインキ供給を停止した状態で所定枚数だけ印刷し、前記インキローラー群のインキ皮膜の膜厚分布がほぼ平滑となる時点で、前記インキ付けローラーを版胴から離し、前記インキローラー群及び前記インキ付けローラーの回転を停止した状態で、印刷版上のインキ及びブランケット上のインキを消費させながらさらに印刷し、しかる後に、オフセット印刷機の印刷を停止するオフセット印刷方法であるため、オペレーター等がオフセット印刷機に停止命令を入力した後、まずインキローラー群へのインキ供給を停止、次に、版胴へのインキ供給を停止、しかる後にオフセット印刷機の印刷を停止している。この結果、インキ供給が停止した後、まずインキローラー上のインキだけで印刷を行うことで、インキローラー上のインキを消費し、次に印刷版(版胴に搭載されている)上のインキを消費し、オフセット印刷機の印刷停止時のインキローラー群上のインキ皮膜の総量を最小限にすると同時に印刷版上のインキも最小限にしている。そのため、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜を速やかに形成し、試し刷りの枚数を最小に削減することができ、例え、多量のインキ供給を必要とする印刷版から、少量で良い印刷版に交換した場合であっても、少ない試し刷り枚数で印刷物の色調合わせが可能となる。また、インキ壺へのインキ回収を行なうことがなく、インキローラー群上のインキ総量を削減しているため、乳化インキによる各種不良が発生することがない。
【0013】
ここで、従来技術との技術思想上の重要な相違点について説明すると、従来技術においては最初の印刷は通常通り終了し、印刷版を切り換えた後の、次の印刷開始時においてインキローラー群上のインキに対し平滑化又はインキ回収をおこなっていたのに対し、本発明においては、印刷の終了時にインキの消費を行っている点が相違する。ここで大きな特徴は、印刷終了時には、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布に対応した印刷版が版胴に搭載されており、この印刷版を使用すれば極めて効率的にインキを削減できる点にある。つまり、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚が厚い部分は印刷版の絵柄面積も多いため、一枚の印刷を行なうことで多量のインキを削減でき、インキキーを閉じて一律にインキを回収する従来技術に比較して、より効率的にインキを消費することが可能である。しかも、印刷機停止の際は、徐々に回転数を低下させるため、その間の印刷物は全て損紙(印刷不良品)となるが、その損紙を有効利用してインキの消費を行なうため、従来と比較しても一切余分な紙を消費せず、極めて効率的である。更に、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布に対応した印刷版を使用してインキを削減する場合、最小限のインキが平滑なインキ皮膜の膜厚分布となる時点がある。従って、この時点で印刷を停止すればその状態を保持でき、この最小限で平滑なインキ皮膜の膜厚分布上に、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜をより速やかに形成することが可能となる。
【0014】
またここで、印刷の停止について説明すると、オフセット印刷機の印刷停止方法は複数存在しており、本発明においては何れの方法で印刷を停止しても良い。例えば、用紙供給を停止して印刷を停止してもよく、胴抜き(ブランケット胴が動いて印刷が停止する。尚、機械によっては同時に版胴が動くものもある。)で印刷を停止してもよく、印刷機の駆動を停止してもよく、これらの選択又は組合せを適宣に採用してもよいが、本発明はこれに限定するものではなく、印刷さえ停止すれば、他の方法を採用してもよい。
【0017】
また、印刷版上にインキが最小限しか残らず、印刷版の回収が極めて容易になる。つまり、印刷版上にインキが多く残っていた場合、そのインキが他に付着するため、取り外しや搬送に支障が生ずるが、印刷版上のインキが最小限であれば、この影響を抑制することが可能となる。特に、近年は印刷版の自動版交換装置が普及してきており、使用済の印刷版の取り外しと次の印刷版のセットを自動で行なうようになってきている。そのため、使用済印刷版のインキが自動版交換装置に付着し、動作不良となる場合がありうるが、この場合においても、インキが最小限となっているため、動作不良となる確率を低下させ、かつ、そのインキ付着に対する清掃の手間を削減することが可能となる。また、インキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布がほぼ平滑となる時点で、版胴へのインキ供給を停止することで、的確なタイミングでほぼ平滑な膜厚分布がインキローラー上に保持される。従って、この最小限で平滑なインキ皮膜の膜厚分布上に、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜をより速やかに形成することが可能となる。
【0019】
また、インキローラー群へのインキ供給停止より、所定枚数だけ印刷し、前記インキローラー群のインキ皮膜の膜厚分布がほぼ平滑となる時点で、版胴へのインキ供給を停止することで、更に精密にインキローラー群上のインキ皮膜の膜厚を均一な状態として保持することが可能となる。つまり、インキローラー群へのインキ供給が停止した時点よりインキローラー群上のインキの消費が開始されるが、この消費量は印刷枚数(版胴の回転回数)により決定される。印刷一枚(版胴一回転)のインキ消費量は印刷版の絵柄面積とその分布によりほぼ決定され、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布もまた印刷版の絵柄面積とその分布により決定されているため、インキ消費量の制御を行なう場合には、印刷枚数(版胴の回転回数)を制御することが最適となる。
【0020】
詳細に述べると、インキローラー群上に印刷版に対応した膜厚分布のインキ皮膜が形成されているということは、逆に、印刷版を使ってインキを消費すればインキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布が均一になるタイミングが存在し、それは版胴の回転回数で制御できるということである。つまり、印刷版を使用してインキを消費すれば、膜厚分布の厚い所は版胴一回転で多くのインキが消費され、膜厚分布の薄い所は版胴一回転で少ないインキが消費されることとなるため、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布が均一になるタイミングを存在させることができ、このタイミングでインキの消費を停止すれば、最小のインキ量で均一な膜厚分布のインキ皮膜をインキローラー群上に形成することができ、印刷版交換後の印刷に際してはこの最小で均一な膜厚のインキ皮膜上に、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜を速やかに形成し、試し刷りの枚数を最小に削減することができ、多量のインキ供給を必要とする印刷版から、少量で良い印刷版に交換した場合であっても、少ない試し刷り枚数で印刷物の色調合わせが可能となる。
【0021】
従って、従来技術の、印刷開始前にインキキーの全てのブレードの開度を一律にして開き、インキローラー上に均一な膜厚分布のインキ皮膜を形成、しかる後に絵柄面積率計のデータに基づいて各ブレードの開度を調整する場合に比較して、インキを消費しつつ最小のインキ量で均一な膜厚分布のインキ皮膜を形成しており、少量で良い印刷版に交換した場合であっても、インキ量が多すぎて印刷物の濃度が高くなることもなく、その濃度を低下させるために多量の試し刷りを行なう必要もない。
【0022】
また、従来技術の、印刷版を交換する時に、インキローラー群を最大速度で回転させて、そのインキをインキ壺に回収することで、インキローラー群上のインキ皮膜を最小としそれを初期状態とする場合に比較して、単に乳化インキによる不良発生を防止するだけではなく、平滑な膜厚分布を初期状態とできるため、更に試し刷りの枚数を削減することが可能となる。
【0023】
更に、版胴の回転回数を制御する場合、回転速度の影響を排除することができ、逆に回転速度を低下させつつ同時にインキを消費することもでき、より効率的に印刷を停止させることが可能となる。特にオフセット輪転印刷機のように、1分間に500から1000枚程度の印刷を行なう機械の場合、印刷を停止するにしても瞬時にできるわけではなく、回転速度を低下させつつ印刷を停止するため、版胴の回転で制御することはインキを消費するための用紙を削減することとなり、より一層の原価削減を行なうことが可能となる。
【0024】
請求項に記載の発明は、前記印刷機停止命令の入力以後の操作を、印刷機の回転数を徐々に低下させながら行なうことを特徴とするオフセット印刷方法である。
【0025】
すなわち、請求項記載の発明によれば、印刷機停止命令の入力以後の操作を、印刷機の回転数を徐々に低下させながら行なうので、印刷機の停止にあたり必ず必要なものとなる、回転数を低下させる時間とその間の印刷とを利用して、その間にインキローラー群上のインキを消費することで、二つの作業を同時に行なうこととなり、印刷作業を極めて効率的にすることが可能となる
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の構成を示す概念図である。
図1において、1は制御手段、2は命令入力手段、3は命令受け手段、4はローラーインキ供給停止手段、5はインキ呼出ローラー駆動手段、6はインキ元ローラー駆動手段、7はインキキー開閉手段、8は版胴インキ供給停止手段、9はインキ付ローラー駆動手段、10は印刷停止手段、11は印刷機駆動手段、12はカウンター、13は回転数制御手段である。
【0028】
図1において、制御回路1は、すくなくとも命令受け手段3、ローラーインキ供給停止手段4、版胴インキ供給停止手段8、印刷停止手段10、カウンター12を有しており、命令入力手段2から入力されたオフセット印刷機停止命令は制御回路1の命令受け手段3にて受け取られる。次に、ローラーインキ供給停止手段4よりインキ呼出ローラー駆動手段5、インキ元ローラー駆動手段6、インキキー開閉手段7に対し停止命令が発せられる。その結果、インキ呼出ローラーは振り運動を停止し、インキ元ローラーは回転運動を停止し、インキキーは閉じることでインキローラー群へのインキ供給が停止する。同時に、回転数制御手段13は印刷機駆動手段11に対し印刷回転数の低下命令を発し、印刷機の回転数は低下していく。
次に、ローラーインキ供給停止手段4より停止命令が発せられた時よりカウンター12が始動、所定回数又は所定時間をカウントした後、版胴インキ供給停止手段8が停止命令がインキ付ローラー駆動機9に対し停止命令を発し、インキ付けローラーが版胴より外れる。同様に、カウンター12が更にカウントを行ない次の所定回数又は所定時間をカウントしたタイミングで、印刷停止手段10が印刷機駆動手段に対し停止命令を発し、印刷が停止する。
【0029】
本実施の形態では、ローラーインキ供給停止手段4はインキ呼出ローラー駆動手段5、インキ元ローラー駆動手段6、インキキー開閉手段7に対し停止命令が発せられているが、本発明はこれに限定するものではない。すなわち、インキ呼出ローラー駆動手段5にのみ停止命令を発したとしても、インキローラー群へのインキ供給停止は実現可能であり、インキ元ローラー駆動手段6、インキキー開閉手段7の停止は印刷機械全体の停止の時に行っても良い。ただし、インキ呼出ローラー停止後もインキキーが開き、インキ元ローラーが回転している場合、インキ元ローラー上に過剰のインキが蓄積し、そのインキがインキキー裏側に回り込む、印刷機内部に落ちる等の不具合が発するため、これを防止するために、インキ元ローラー駆動手段6、インキキー開閉手段7に対し停止命令を発している。尚、本実施の形態では、印刷機の回転数を低下させつつ、ローラーインキ供給停止、版胴インキ供給停止をおこなっているが、これに限定するものでは無く、ローラーインキ供給停止、版胴インキ供給停止後に印刷機の回転数を低下させ始めて印刷を停止しても良い。
【0030】
本実施の形態では、カウンター12はローラーインキ供給停止手段4の停止命令発行時を基準にカウントしているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、ローラーインキ供給停止手段4の停止命令発行時よりカウントした後に版胴インキ供給停止手段8の停止命令発行時より再カウントしても良い。すなわち本発明は、ローラーインキ供給停止手段4、版胴インキ供給停止手段8、印刷停止手段10が所定の回数間隔又は時間間隔を持って順次作動すれば良く、そのためのカウンター12のカウント方法は適宣に定めて良い。
【0031】
本実施の形態における所定回数又は所定時間とは、個々のオフセット印刷機に応じて決定され、事前に制御回路に入力された数値である。すなわち、オフセット印刷機は形式(例えば輪転機か枚葉機、両面機か片面機等)、設計年代(例えば何年式の機械か)、メーカー(メーカーにより設計思想が大きく相違する)、設定(ブラン下の設定、対応用紙の厚さの設定等)、使用年数、整備状態、折り機の処理スピード等々多くの要因によって、ブランケットから印刷用紙へのインキ転写量や常用回転数が異なる。そのため、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布を平滑にするための印刷停止のタイミングは個々の印刷機によって相違する。そこで、個々の印刷機によって事前に所定回数又は所定時間を測定し、その数値を入力しておくこととなる。
【0032】
図2は、本発明の動きを示すフローチャート図である。
図2において、21はスタート、22は停止命令入力、23はローラーインキ供給停止、24はカウント、25は所定数カウント確認、26は版胴インキ供給停止、27はカウント、28は所定数カウント確認、29は印刷停止、30は終了である。
【0033】
図2において、スタート21においてスタートした後、命令入力22においてオフセット印刷停止命令が入力される。次に、ローラーインキ供給停止23において、ローラーインキ供給停止手段よりインキ呼出ローラー駆動手段、インキ元ローラー駆動手段、インキキー開閉手段7に対し停止命令が発せられ、これらが停止する。これと同時に図示しない回転数制御手段により印刷機の回転数の低下が指示される。次に、カウント24において、カウンターがローラーインキ供給停止時点からの回数又は時間をカウントし、所定カウント確認25において、所定カウントがなされたかどうかを確認、判定する。所定カウントに達しない場合は更にカウントを行い、所定カウントに達した場合は版胴インキ供給停止26へ進む。版胴インキ供給停止26において、版胴インキ供給停止手段よりインキ付ローラー駆動機に対し停止命令を発する。その後もカウント27においてカウンターによりカウントがなされ、所定カウント28において、所定カウントがなされたかどうかを確認、判定する。所定カウントに達しない場合は更にカウントを行い、所定カウントに達した場合は印刷停止29へ進む。印刷停止29において、印刷機駆動手段に停止命令が発せられ、終了30に進み終了する。
【0034】
ここで印刷機の回転数について記載すると、印刷機の回転数は命令入力22の時点より徐々に低下している。これは、瞬間的に印刷機を停止することは困難であり機械の負担も多いため、徐々に回転数を下げて停止させるほうが合理的なためである。また、回転数を低下させる時間とその間の印刷は必ず必要なものとなるため、その間にインキローラー群上のインキを消費することは、二つの作業を同時に行なうこととなり、印刷作業を極めて効率的にすることが可能となる。尚、本発明においては印刷停止命令は最終的に印刷が行われなくなる状態にする命令であって、回転数を低下させる命令を含んでいない。
【0035】
図3の(a)、(b)、(c)は、本発明の印刷機の動きを示す概略断面図である。
図3の(a)、(b)、(c)において、31はオフセット印刷機の印刷ユニットの概略断面、32はインキ元ローラー、33はインキキー、34はインキ呼出ローラー、35はインキローラー群、36はインキ付ローラー、37は版胴、38はブランケット同、39は印刷用紙、40はインキ壺、41はインキ壺内のインキである。尚、図2の(a)、(b)、(c)は、概略断面図あるため、湿し水装置等の設備は図示していない。
【0036】
図3(a)は印刷中の状態を示す断面図である。
図3(a)において、インキ壺40内のインキ41は、インキキー33とインキ元ローラー32の隙間の分量だけが、インキ元ローラー32よりインキ呼出ローラー34に転写され、インキローラー群35を通り、インキ付ローラー36を介して版胴37に付着する。次に、版胴37よりブランケット胴38に移り、印刷用紙39上に移ることで印刷がなされる。ここで、インキ呼出ローラー34はインキ元ローラー32とインキローラー群35の間を振り子の様に往復運動するタイプを採用しているが、本発明はこれに限定するものではなく、インキ呼出ローラー34とインキ元ローラー32、インキローラー群35が一連に連なってインキを供給するタイプでも本発明の範囲内である。
【0037】
図3(b)はローラーインキ供給停止時の状態を示す断面図である。
図3(b)において、インキ元ローラー32は回転を停止、インキローラー群35、インキ付けローラー36、版胴37、ブラケット胴38は回転運動を行っており、印刷は継続されている。インキ呼出ローラー34はインキローラー群35に接触した状態で往復運動を停止しているが、インキローラー群35が回転しているため、それに連れて回転運動を行っている。この状態では印刷用紙39上に形成される印刷画像はインキ呼出ローラー34、インキローラー群35、インキ付けローラー36、版胴37、ブラケット胴38上に保持されているインキを消費することにより印刷されており、その一回転当たりの消費量は版胴37上の図示しない印刷版により決定されている。
【0038】
図3(c)は版胴インキ供給停止時の状態を示す断面図である。
図3(c)において、インキローラー群35は回転を停止、インキ付けローラー36は版胴37から離れた状態で回転を停止、版胴37、ブラケット胴38は回転運動を行っている。この場合、消費されるインキは印刷版上のインキとブランケット上のインキとなる。
【0039】
図4(a)、(b)、(c)、(d)はインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
図4において、51はインキローラー、52はインキ皮膜、53はインキ皮膜、54はインキ皮膜、55はインキ皮膜、56はインキ皮膜、57はインキ皮膜、58はインキ皮膜、59はインキ皮膜、60はインキ皮膜、61はインキ皮膜、62はインキ皮膜、63はインキ皮膜、64はインキ皮膜、65はインキ皮膜、66はインキ皮膜、67はインキ皮膜である。
【0040】
図4(a)は印刷中のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
図4(a)において、インキローラー51上に形成されたインキ皮膜52、53、54、55は各々印刷版に対応した厚さを有しており、全体で印刷版に対応した膜厚分布を形成している。インキ皮膜53は最も厚く印刷版の絵柄面積の多い部分に対応し、インキ皮膜54は最も薄く印刷版の絵柄面積の少ない分に対応している。
【0041】
図4(b)はローラーインキ供給停止後のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
図4(b)において、インキローラー51上に形成されたインキ皮膜56、57、58、59は、各々印刷版に対応したインキ量を消費している。すなわち、印刷版の絵柄面積の多い部分に対応しているインキ皮膜57は最もインキの消費量が多く、逆に印刷版の絵柄面積の少ない分に対応しているインキ皮膜58は最もインキの消費量が少なくなっている。また、インキ皮膜56、59も対応している絵柄面積に応じたインキ量を消費している。尚、点線はインキ皮膜52、53、54、55を参考に図示したものである。
【0042】
図4(c)は版胴インキ供給停止直前のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
図4(c)において、インキローラー51上に形成されたインキ皮膜60、61、62、63は、ほぼ同じ厚さとなっており、全体で最少のインキ量による平滑なインキ皮膜の膜厚分布を形成している。印刷版により絵柄面積に応じてインキを消費した場合、図4(c)の如く、インキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布が平滑になる瞬間が存在している。本発明ではこの時点を版胴インキ供給停止のタイミングとしている。すなわち、インキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布が平滑になった時点でインキローラー上のインキの消費を停止することで、平滑なインキ皮膜の膜厚分布の状態を保持し、その上に次の印刷絵柄に対応した膜厚分布を形成することで、試し刷りの枚数を最小に削減している。
【0043】
図4(d)は版胴インキ供給停止を行わなかった場合のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
図4(d)において、インキローラー51上に形成されたインキ皮膜64、65、66、67は、インキ皮膜の厚さとしては薄いが、平滑性は失われている。すなわち、インキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布が平滑になった後もインキを消費し続けた場合には、インキ皮膜の膜厚分布の平滑性は失われ、その上に次の印刷絵柄に対応した膜厚分布を形成した場合、従来技術に比較すれば格段に試し刷りの枚数を削減することはできるが、試し刷り枚数を最小とすることはできない。
【0044】
図5は、従来の印刷作業の動きを示す概念グラフ図である。
図5において、71はY軸である回転数、72はX軸である経過時間、73は前品目の通常印刷の動き、74は印刷機の停止の動き、75は次品目の準備の動き、76は次品目印刷開始の動き、77は色調合わせの動き、78は回転数向上の動き、79は色調合わせの動き、80は回転数向上の動き、81は次品目の通常印刷の動きである。
【0045】
前品目の通常印刷の動き73において、印刷作業がなされており、印刷物は正紙(正常な印刷物)が印刷されている。印刷機の停止の動き74において、印刷機き停止のために回転数を徐々に低下させており、その間の印刷物は損紙(印刷不良品)となっている。次品目の準備の動き75において、次の印刷のための準備がなされており、例えばブランケット洗浄、印刷版の交換、印刷用紙の交換等の作業がなされている。次品目印刷開始の動き76において、次品目の印刷が開始され、印刷機は低い回転数まで立ち上がるが、この間の印刷物は損紙である。色調合わせの動き77において、前品目のインキ皮膜の膜厚分布の影響を排除し、次品目である交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜をインキローラー群上に形成、すなわち、印刷物が目標濃度で印刷できるようにインキキーの開度を調整している。ここで回転数が少ないのは、できるだけ損紙の枚数を少なくするためである。回転数向上の動き78において、回転数を通常印刷の状態に近づけている。この間の印刷物は損紙であるが、これは、回転数により印刷物の濃度が変動するためである。色調合わせの動き79において、再度印刷物が目標濃度で印刷できるようにインキキーの開度を調整している。これは、印刷機の回転数を向上させた場合、印刷物の濃度に影響が出るため、ここで微調整を行ない修正するためである。この間の印刷物は損紙である。回転数向上の動き80において、回転数を通常印刷の状態まで向上させている。この間の印刷物は損紙として扱われるが、これは、この間は印刷物の濃度を確認している状態だからである。次品目の通常印刷の動き81において、印刷作業がなされており、印刷物は正紙(正常な印刷物)が印刷されている。回転数向上の動き80と次品目の通常印刷の動き81の接点の時点において、印刷物が目標濃度で印刷されていることを確認している。
【0046】
図5において、次品目印刷開始の動き76、色調合わせの動き77、回転数向上の動き78、色調合わせの動き79、回転数向上の動き80の間に発生する損紙を合わせて試し刷り損紙としている。本発明はこの試し刷りの枚数を削減することを課題としている。
【0047】
図6は、本発明の印刷作業の動きを示す概念グラフ図である。
図6において、82はY軸である回転数、83はX軸である経過時間、84は前品目の通常印刷の動き、85は印刷機の停止の動き、86は次品目の準備の動き、87は次品目印刷開始の動き、88は色調合わせの動き、89は回転数向上の動き、90は次品目の通常印刷の動きである。
【0048】
前品目の通常印刷の動き84において、印刷作業がなされており、印刷物は正紙(正常な印刷物)が印刷されている。印刷機の停止の動き85において、印刷機き停止のために回転数を徐々に低下させており、その間の印刷物は損紙(印刷不良品)となっている。この損紙を利用して、インキを消費し、最小限で平滑なインキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布を形成している。ここで、インキの消費は回転数が0となるまで行なう必要性は無く、例えば途中で用紙の供給を停止するなどの方法で印刷を停止してもよく、また、版胴へのインキ供給を停止することでインキの消費を停止(その場合、紙は消費される)しても良い。ただし、最小限で平滑なインキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布を形成するタイミングが回転数0の時点と重ならず、それ以前となる場合は、印刷を停止する又は版胴へのインキ供給を停止する等の方法でインキの消費を停止することが好ましい。
【0049】
次品目の準備の動き86において、次の印刷のための準備がなされており、例えばブランケット洗浄、印刷版の交換、印刷用紙の交換等の作業がなされている。次品目印刷開始の動き87において、次品目の印刷が開始され、印刷機は高い回転数まで立ち上がるが、この間の印刷物は損紙である。この場合、最小限で平滑なインキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布を形成してあるため、例えば前述の絵柄面積率計が極めて有効に稼働し、また、手作業でインキキーを操作する場合であっても見本刷り通りに操作すれば良いため、一気に高回転数ので上げることができる。色調合わせの動き88において、印刷物が目標濃度で印刷できるようにインキキーの開度を調整している。これは、印刷機の回転数を向上させた場合、印刷物の濃度に影響が出るため、ここで微調整を行ない修正するためである。この間の印刷物は損紙である。回転数向上の動き89において、回転数を通常印刷の状態まで向上させている。この間の印刷物は損紙として扱われるが、これは、この間は印刷物の濃度を確認している状態だからである。次品目の通常印刷の動き90において、印刷作業がなされており、印刷物は正紙(正常な印刷物)が印刷されている。回転数向上の動き89と次品目の通常印刷の動き90の接点の時点において、印刷物が目標濃度で印刷されていることを確認している。
【0050】
図6において、次品目印刷開始の動き87、色調合わせの動き88、回転数向上の動き89の間に発生する損紙を合わせて試し刷り損紙としている。図5と図6を比較して明白な様に、試し刷り損紙(試し刷りの枚数)は大幅に削減されている。
【0051】
【実施例】
以下の条件で、従来技術と本発明の比較実験を行った。実験は、A横全判オフセット輪転印刷機システム40(株式会社小森コーポレーション製)において、OKコート(王子製紙株式会社製)にスーパーレオエコー(東洋インキ製造株式会社製)を使って印刷し、その後、印刷版を変更して印刷した場合の印刷濃度の変化を測定したもので、印刷版変更後の印刷物の20枚毎の抜取りサンプルを、濃度計(X−RITE)を使って測定している。その結果を図7に記載する。
【0052】
図7は従来技術と本発明の比較実験のグラフ図である。
図7において、100はY軸であって目標濃度に対する測定濃度の比率、101はX軸であって印刷枚数、102は本発明によるインキ消費を行った後の試し刷りの濃度変化、103は従来技術によるインキ消費を行なわない場合の試し刷りの濃度変化である。
図7において、濃度変化102は200枚程度の印刷で目標濃度となり、微調整を経て1000枚を超えた時点で完全に安定したのに対し、濃度変化103は2500枚の時点でやっと目標濃度に達しており、試し刷り枚数削減の効果は明らかである。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、インキ供給が停止した後、インキローラー上のインキだけで印刷を行うことで、インキローラー上のインキと印刷版上のインキを消費し、オフセット印刷機の印刷停止時のインキローラー群上のインキ皮膜の総量を最小限にしている。そのため、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜を速やかに形成し、試し刷りの枚数を最小に削減することができ、例え、多量のインキ供給を必要とする印刷版から、少量で良い印刷版に交換した場合であっても、少ない試し刷り枚数で印刷物の色調合わせが可能となるという作用効果を奏する。また、インキ壺へのインキ回収を行なうことなく、インキローラー群上のインキ総量を削減しているため、乳化インキによる各種不良が発生することがないという作用効果を奏する。
【0054】
特に、印刷終了時には、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布に対応した印刷版が版胴に搭載されており、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚が厚い部分は印刷版の絵柄面積も多いため、一枚の印刷を行なうことで多量のインキを削減でき、より効率的にインキを消費することが可能であるという作用効果を奏する。しかも、印刷機停止の際は、徐々に回転数を低下させるため、その間の印刷物は全て損紙(印刷不良品)となるが、その損紙を有効利用してインキの消費を行なうため、従来と比較しても一切余分な紙を消費せず、極めて効率的であるという作用効果を奏する。更に、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布に対応した印刷版を使用してインキを削減する場合、最小限のインキが平滑なインキ皮膜の膜厚分布となる時点がある。従って、この時点で印刷を停止すればその状態を保持でき、この最小限で平滑なインキ皮膜の膜厚分布上に、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜をより速やかに形成することが可能となるという作用効果を奏する。
【0055】
また、インキローラー上のインキだけで印刷を行うことで、インキローラー上のインキを消費した後、印刷版(版胴に搭載されている)上のインキを消費し、オフセット印刷機の印刷停止時のインキローラー群上のインキ皮膜の総量を最小限にすると同時に印刷版上のインキも最小限にしているため、印刷版上にインキが最小限しか残らず、印刷版の回収が極めて容易になるという作用効果を奏する。つまり、印刷版上にインキが多く残っていた場合、そのインキが他に付着するため、取り外しや搬送に支障が生ずるが、印刷版上のインキが最小限であれば、この影響を抑制することが可能となる。特に、近年は印刷版の自動版交換装置を普及してきており、使用済の印刷版の取り外しと次の印刷版のセットを自動で行なうようになってきている。そのため、使用済印刷版のインキが自動版交換装置に付着し、動作不良となる場合がありうるが、この場合においても、インキが最小限となっているため、動作不良となる確率を低下させ、かつ、そのインキ付着に対する清掃の手間を削減することが可能となるという作用効果を奏する。
【0056】
また、インキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布がほぼ平滑となる時点で、版胴へのインキ供給を停止することで、的確なタイミングでほぼ平滑な膜厚分布がインキローラー上に保持される。従って、この最小限で平滑なインキ皮膜の膜厚分布上に、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜をより速やかに形成することが可能となるという作用効果を奏する。
【0057】
また、インキローラー群へのインキ供給停止より、所定枚数だけ印刷し、前記インキローラー群のインキ皮膜の膜厚分布がほぼ平滑となる時点で、版胴へのインキ供給を停止することで、更に精密にインキローラー群上のインキ皮膜の膜厚を均一な状態として保持することが可能となるという作用効果を奏する。つまり、インキローラー群へのインキ供給が停止した時点よりインキローラー群上のインキの消費が開始されるが、この消費量は印刷枚数(版胴の回転回数)により決定される。印刷一枚(版胴一回転)のインキ消費量は印刷版の絵柄面積とその分布によりほぼ決定され、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布もまた印刷版の絵柄面積とその分布により決定されているため、インキ消費量の制御を行なう場合には、印刷枚数(版胴の回転回数)を制御することが最適となる。印刷版を使用してインキを消費すれば、膜厚分布の厚い所は版胴一回転で多くのインキが消費され、膜厚分布の薄い所は版胴一回転で少ないインキが消費されることとなるため、インキローラー群上のインキ皮膜の膜厚分布が均一になるタイミングを存在させることができ、このタイミングでインキの消費を停止すれば、最小のインキ量で均一な膜厚分布のインキ皮膜をインキローラー群上に形成することができ、印刷版交換後の印刷に際してはこの最小で均一な膜厚のインキ皮膜上に、交換後の印刷版に対応した膜厚分布を持つインキ皮膜を速やかに形成し、試し刷りの枚数を最小に削減することができ、多量のインキ供給を必要とする印刷版から、少量で良い印刷版に交換した場合であっても、少ない試し刷り枚数で印刷物の色調合わせが可能となるという作用効果を奏する。
【0058】
更に、版胴の回転回数を制御する場合、回転速度の影響を排除することができ、逆に回転速度を低下させつつ同時にインキを消費することもでき、より効率的に印刷を停止させることが可能となる。特にオフセット輪転印刷機のように、1分間に500から1000枚程度の印刷を行なう機械の場合、印刷を停止するにしても瞬時にできるわけではなく、回転速度を低下させつつ印刷を停止するため、版胴の回転で制御することはインキを消費するための用紙を削減することとなり、より一層の原価削減を行なうことが可能となるという作用効果を奏する。
【0059】
請求項記載の発明によれば、印刷機停止命令の入力以後の操作を、印刷機の回転数を徐々に低下させながら行なうので、印刷機の停止にあたり必ず必要なものとなる、回転数を低下させる時間とその間の印刷とを利用して、その間にインキローラー群上のインキを消費することで、二つの作業を同時に行なうこととなり、印刷作業を極めて効率的にすることが可能となるという作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の構成を示す概念図である。
【図2】図2は、本発明の動きを示すフローチャート図である。
【図3】(a)は、印刷中の状態を示す断面図である。
(b)は、ローラーインキ供給停止時の状態を示す断面図である。
(c)は、版胴インキ供給停止時の状態を示す断面図である。
【図4】(a)は、印刷中のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
(b)は、ローラーインキ供給停止後のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
(c)は、版胴インキ供給停止直前のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
(d)は、版胴インキ供給停止を行わなかった場合のインキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を示す概念図である。
【図5】図5は、従来の印刷作業の動きを示す概念グラフ図である。
【図6】図6は、本発明の印刷作業の動きを示す概念グラフ図である。
【図7】図7は、従来技術と本発明の比較実験のグラフ図である。
【符号の説明】
1…制御手段、2…命令入力手段、3…命令受け手段、4…ローラーインキ供給停止手段、5…インキ呼出ローラー駆動手段、6…インキ元ローラー駆動手段、7…インキキー開閉手段、8…版胴インキ供給停止手段、9…インキ付ローラー駆動手段、10…印刷停止手段、11…印刷機駆動手段、12…カウンター、13…回転数制御手段、21…スタート、22…停止命令入力、23…ローラーインキ供給停止、24…カウント、25…所定数カウント確認、26…版胴インキ供給停止、27…カウント、28…所定数カウント確認、29…印刷停止、30…終了、31…オフセット印刷機の印刷ユニットの概略断面、32…インキ元ローラー、33…インキキー、34…インキ呼出ローラー、35…インキローラー群、36…インキ付ローラー、37…版胴、38…ブランケット同、39…印刷用紙、40…インキ壺、41…インキ壺内のインキ、51…インキローラー、52…インキ皮膜、53…インキ皮膜、54…インキ皮膜、55…インキ皮膜、56…インキ皮膜、57…インキ皮膜、58…インキ皮膜、59…インキ皮膜、60…インキ皮膜、61…インキ皮膜、62…インキ皮膜、63…インキ皮膜、64…インキ皮膜、65…インキ皮膜、66…インキ皮膜、67…インキ皮膜、71…Y軸である回転数、72…X軸である経過時間、73…前品目の通常印刷の動き、74…印刷機の停止の動き、75…次品目の準備の動き、76…次品目印刷開始の動き、77…色調合わせの動き、78…回転数向上の動き、79…色調合わせの動き、80…回転数向上の動き、81…次品目の通常印刷の動き、82…Y軸である回転数、83…X軸である経過時間、84…前品目の通常印刷の動き、85…印刷機の停止の動き、86…次品目の準備の動き、87…次品目印刷開始の動き、88…色調合わせの動き、89…回転数向上の動き、90…次品目の通常印刷の動き、100…Y軸であって目標濃度に対する測定濃度の比率、101…X軸であって印刷枚数、102…本発明によるインキ消費を行った後の試し刷りの濃度変化、103…従来技術によるインキ消費を行なわない場合の試し刷りの濃度変化

Claims (2)

  1. 少なくとも、インキ元ローラー及びインキキーを有しインキを一時的に貯蔵できるインキ壺と、印刷を行なう版胴と、前記インキ壺より前記インキ元ローラーと離接するように往復運動するインキ呼出ローラーを介してインキの供給を受け、当該インキをインキ付けローラーを介して前記版胴に供給するインキローラー群とを有し前記インキキーの開度により前記インキローラー上のインキ皮膜の膜厚分布を調整するオフセット印刷機におけるオフセット印刷方法において、
    所定枚数印刷物の印刷終了後にオフセット印刷機停止命令を入力し、該命令入力後に、前記インキキーを閉じ、前記インキ元ローラーの回転及び前記インキ呼出ローラーの往復運動を停止し、該インキ呼出ローラーをインキローラー群に接触させ、前記インキ壺からインキローラー群へのインキ供給を停止した状態で所定枚数だけ印刷し、前記インキローラー群のインキ皮膜の膜厚分布がほぼ平滑となる時点で、前記インキ付けローラーを版胴から離し、前記インキローラー群及び前記インキ付けローラーの回転を停止した状態で、印刷版上のインキ及びブランケット上のインキを消費させながらさらに印刷し、しかる後に、オフセット印刷機の印刷を停止することを特徴とするオフセット印刷方法。
  2. 前記印刷機停止命令の入力以後の操作を、印刷機の回転数を徐々に低下させながら行なうことを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷方法。
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